JP3415017B2 - 生分解性樹脂ファスナー成形品 - Google Patents
生分解性樹脂ファスナー成形品Info
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- JP3415017B2 JP3415017B2 JP36250697A JP36250697A JP3415017B2 JP 3415017 B2 JP3415017 B2 JP 3415017B2 JP 36250697 A JP36250697 A JP 36250697A JP 36250697 A JP36250697 A JP 36250697A JP 3415017 B2 JP3415017 B2 JP 3415017B2
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- Japan
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- fastener
- biodegradable resin
- resin
- polylactic acid
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、生分解機能を有す
るポリブチレンサクシネート系及び/又はポリエチレン
アジペート系脂肪族ポリエステルとポリ乳酸からなるフ
ァスナー成形品に関するものである。特に、射出成形、
押出成形により加工されるファスナー成形品に関するも
のである。
るポリブチレンサクシネート系及び/又はポリエチレン
アジペート系脂肪族ポリエステルとポリ乳酸からなるフ
ァスナー成形品に関するものである。特に、射出成形、
押出成形により加工されるファスナー成形品に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】生分解性樹脂であるポリブチレンサクシ
ネートとポリエチレンアジペートは、主としてグリコー
ルと脂肪族ジカルボン酸とから化学的に合成される脂肪
族ポリエステルの一種である。その主たる化学構造式は
下記一般式(1)及び(2)で表わされる。
ネートとポリエチレンアジペートは、主としてグリコー
ルと脂肪族ジカルボン酸とから化学的に合成される脂肪
族ポリエステルの一種である。その主たる化学構造式は
下記一般式(1)及び(2)で表わされる。
【化1】
このうち、ポリブチレンサクシネートについては、これ
を主成分とする生分解性樹脂「ビオノーレ」が既に上市
されており、製造元である昭和高分子(株)の発行する
「TECHNICAL DATA SHEET、ビオノーレ・生分解性プラス
チック(1996)」にその概要、性状及び構造などが
示されている。
を主成分とする生分解性樹脂「ビオノーレ」が既に上市
されており、製造元である昭和高分子(株)の発行する
「TECHNICAL DATA SHEET、ビオノーレ・生分解性プラス
チック(1996)」にその概要、性状及び構造などが
示されている。
【0003】一方、ポリ乳酸はL−乳酸を単量体として
化学合成される。その主たる化学構造式は下記一般式
(3)で表わされる。
化学合成される。その主たる化学構造式は下記一般式
(3)で表わされる。
【化2】
ポリ乳酸についても、これを主成分とする生分解性樹脂
「ラクティ」が既に上市されており、その製造元である
(株)島津製作所から発行される「SHIMADZU LACT Repo
rt−乳酸系生分解性プラスチックNo.1ラクティ」
に、その構造、性状及び機械的特性などについて述べら
れている。これら生分解性樹脂は、木や紙のように空気
中では安定であるが、堆肥中、湿った土中、活性汚泥
中、淡水中及び海水中で生分解し、最終的には水と二酸
化炭素に分解される。
「ラクティ」が既に上市されており、その製造元である
(株)島津製作所から発行される「SHIMADZU LACT Repo
rt−乳酸系生分解性プラスチックNo.1ラクティ」
に、その構造、性状及び機械的特性などについて述べら
れている。これら生分解性樹脂は、木や紙のように空気
中では安定であるが、堆肥中、湿った土中、活性汚泥
中、淡水中及び海水中で生分解し、最終的には水と二酸
化炭素に分解される。
【0004】従来より使用されている合成樹脂製品は、
軽量かつ安価で加工が容易であるという優れた特性によ
って、我々の日常生活のあるゆる部分に浸透し、現代の
経済社会に不可欠な素材となっている。ファスナーにお
いてもその例外ではなく、合成樹脂を利用した樹脂ファ
スナーは、その特徴を活かして様々な製品に利用されて
いる。しかしながら、利用後に廃棄されると、そのまま
の形で分解することなく環境中に蓄積されるため、自然
環境の破壊や汚染といった公害問題を引き起こす可能性
がある。これに対して、実用化例はまだ少ないものの、
既存の合成樹脂に代わるものとして、環境に与える負荷
の小さい生分解性樹脂を利用した製品が登場している。
軽量かつ安価で加工が容易であるという優れた特性によ
って、我々の日常生活のあるゆる部分に浸透し、現代の
経済社会に不可欠な素材となっている。ファスナーにお
いてもその例外ではなく、合成樹脂を利用した樹脂ファ
スナーは、その特徴を活かして様々な製品に利用されて
いる。しかしながら、利用後に廃棄されると、そのまま
の形で分解することなく環境中に蓄積されるため、自然
環境の破壊や汚染といった公害問題を引き起こす可能性
がある。これに対して、実用化例はまだ少ないものの、
既存の合成樹脂に代わるものとして、環境に与える負荷
の小さい生分解性樹脂を利用した製品が登場している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記し
たような生分解性樹脂をファスナー等の実際の製品とし
て使用するにあたっては、その強度及び成形性など解決
しなければならない問題が山積している。ところが、現
時点では、これら全ての要件を満足する生分解性樹脂は
上市されていない。従って、本発明の目的は、生分解性
樹脂にファスナー等としての使用に充分耐えうる強度を
付与でき、かつ、生産時の成形性を改善した生分解性樹
脂成形品の製造方法を開発し、もって実用的に充分な機
械的性質を保持する生分解性樹脂からなるファスナー成
形品を提供することにある。
たような生分解性樹脂をファスナー等の実際の製品とし
て使用するにあたっては、その強度及び成形性など解決
しなければならない問題が山積している。ところが、現
時点では、これら全ての要件を満足する生分解性樹脂は
上市されていない。従って、本発明の目的は、生分解性
樹脂にファスナー等としての使用に充分耐えうる強度を
付与でき、かつ、生産時の成形性を改善した生分解性樹
脂成形品の製造方法を開発し、もって実用的に充分な機
械的性質を保持する生分解性樹脂からなるファスナー成
形品を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明によれば、ポリブチレンサクシネート系及び
/又はポリエチレンアジペート系脂肪族ポリエステル
と、ポリ乳酸を主成分とする生分解性樹脂ファスナー成
形品であって、ポリブチレンサクシネート系及び/又は
ポリエチレンアジペート系脂肪族ポリエステル成分の占
める割合が50重量%以上であり、ポリ乳酸部分の粒子
が上記脂肪族ポリエステル中に分散した構造を有するこ
とを特徴とする生分解性樹脂ファスナー成形品が提供さ
れる。このような生分解性樹脂ファスナー成形品は、所
望の形状に成形することにより各種分野の製品として用
いることができるが、充分高い強度を保持するため、特
にスライドファスナーや面ファスナーに有利に適用でき
る。
に、本発明によれば、ポリブチレンサクシネート系及び
/又はポリエチレンアジペート系脂肪族ポリエステル
と、ポリ乳酸を主成分とする生分解性樹脂ファスナー成
形品であって、ポリブチレンサクシネート系及び/又は
ポリエチレンアジペート系脂肪族ポリエステル成分の占
める割合が50重量%以上であり、ポリ乳酸部分の粒子
が上記脂肪族ポリエステル中に分散した構造を有するこ
とを特徴とする生分解性樹脂ファスナー成形品が提供さ
れる。このような生分解性樹脂ファスナー成形品は、所
望の形状に成形することにより各種分野の製品として用
いることができるが、充分高い強度を保持するため、特
にスライドファスナーや面ファスナーに有利に適用でき
る。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明は、生分解性樹脂にファス
ナー等としての使用に充分耐えうる強度を与え、かつ、
生産時に重要な成形性を改善するために、異なる2種類
の生分解性樹脂材料の複合化を行い、それぞれの生分解
性樹脂の短所を補い合うことで、個々の樹脂材料の物性
より良好な性能を引き出そうとするものである。なお、
従来の合成樹脂の範疇において、この手法は一般にポリ
マーブレンドと称される技術であり、その技術内容につ
いては、例えば秋山三郎他「ポリマーブレンド」CMG
出版(1981)に詳しい。本発明者らは、生分解性樹
脂をファスナー等へ利用するにあたっての問題点である
生分解性樹脂の強度について鋭意研究を進めた結果、生
分解性樹脂の分散状態に着目し、それらの制御を行うこ
とで、材料強度に大きな影響を与えることができるこ
と、及び、当該生分解性樹脂の分散相に相当する成分の
粒径と材料強度が大きく関連し、その粒径をある特定の
値以下にすることにより材料の強度が著しく上昇するこ
とを見出し、本発明を完成するに至った。
ナー等としての使用に充分耐えうる強度を与え、かつ、
生産時に重要な成形性を改善するために、異なる2種類
の生分解性樹脂材料の複合化を行い、それぞれの生分解
性樹脂の短所を補い合うことで、個々の樹脂材料の物性
より良好な性能を引き出そうとするものである。なお、
従来の合成樹脂の範疇において、この手法は一般にポリ
マーブレンドと称される技術であり、その技術内容につ
いては、例えば秋山三郎他「ポリマーブレンド」CMG
出版(1981)に詳しい。本発明者らは、生分解性樹
脂をファスナー等へ利用するにあたっての問題点である
生分解性樹脂の強度について鋭意研究を進めた結果、生
分解性樹脂の分散状態に着目し、それらの制御を行うこ
とで、材料強度に大きな影響を与えることができるこ
と、及び、当該生分解性樹脂の分散相に相当する成分の
粒径と材料強度が大きく関連し、その粒径をある特定の
値以下にすることにより材料の強度が著しく上昇するこ
とを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】高分子材料においては、二成分を混合する
際に、通常、いずれかが分散相を、また他方が連続相を
形成する。これらは海−島構造と称され、材料の強度に
大きな影響を与える。この点について、既存の合成樹脂
の多成分系については精査されており、高分子学会編
「ポリマーアロイ−基礎と応用」東京化学同人(198
1)にも詳細に述べられている。事実、ポリブチレンサ
クシネート系及び/又はポリエチレンアジペート系脂肪
族ポリエステル(以下、総称する場合、単に脂肪族ポリ
エステルという)とポリ乳酸からなる生分解性樹脂成形
品においても、一方が分散相を、他方が連続相を形成す
ることとなる。両樹脂のどちらが分散相を形成するかに
より成形品の物性は大きく異なったものとなる。この選
択を決定づけるのは、両生分解性樹脂の混合比である。
際に、通常、いずれかが分散相を、また他方が連続相を
形成する。これらは海−島構造と称され、材料の強度に
大きな影響を与える。この点について、既存の合成樹脂
の多成分系については精査されており、高分子学会編
「ポリマーアロイ−基礎と応用」東京化学同人(198
1)にも詳細に述べられている。事実、ポリブチレンサ
クシネート系及び/又はポリエチレンアジペート系脂肪
族ポリエステル(以下、総称する場合、単に脂肪族ポリ
エステルという)とポリ乳酸からなる生分解性樹脂成形
品においても、一方が分散相を、他方が連続相を形成す
ることとなる。両樹脂のどちらが分散相を形成するかに
より成形品の物性は大きく異なったものとなる。この選
択を決定づけるのは、両生分解性樹脂の混合比である。
【0009】そこで、ポリブチレンサクシネート/ポリ
乳酸からなる種々の混合比の樹脂を調製し、それぞれに
ついて物性調査を行ったところ、引張試験時における伸
びの量は、両樹脂の分散状態に大きく依存していること
が明らかとなった。図1にそれぞれの混合比に対する引
張試験時の伸びを示す。図1において、横軸は混合樹脂
全体に対するポリ乳酸の占める割合を重量%で示し、縦
軸は伸びを%Strainで示す。図中の点線で囲まれた斜線
部分(ポリ乳酸の混合比が10〜45重量%、%Strain
が200%以上)は推奨範囲である。なお、伸び測定時
の標線間距離は50mmである。
乳酸からなる種々の混合比の樹脂を調製し、それぞれに
ついて物性調査を行ったところ、引張試験時における伸
びの量は、両樹脂の分散状態に大きく依存していること
が明らかとなった。図1にそれぞれの混合比に対する引
張試験時の伸びを示す。図1において、横軸は混合樹脂
全体に対するポリ乳酸の占める割合を重量%で示し、縦
軸は伸びを%Strainで示す。図中の点線で囲まれた斜線
部分(ポリ乳酸の混合比が10〜45重量%、%Strain
が200%以上)は推奨範囲である。なお、伸び測定時
の標線間距離は50mmである。
【0010】図1に示す結果から、ポリブチレンサクシ
ネート成分が50重量%以上になると伸びが著しく大き
くなること、また、ポリブチレンサクシネート成分が5
5〜90重量%付近で%Strainは200%を越え、最も
伸びの大きい領域であることが分かる。これら伸びが大
きくなる混合比はポリブチレンサクシネート成分比が多
い混合比であり、ポリブチレンサクシネートが連続相を
形成し易いことは容易に予想される。事実、混合比が上
記範囲内にある混合樹脂について、その分散状態を光学
顕微鏡にて観察すると、ポリ乳酸が分散相を、またポリ
ブチレンサクシネートが連続相を形成していることが理
解できる(図2)。図2は、ポリブチレンサクシネート
/ポリ乳酸=50/50混合比(重量分率)における、
モノフィラメントの断面の偏光顕微鏡写真を示す。撮影
はクロスニコル条件下、1/4波長板を用いて行った。
図中のマトリックス部分はポリブチレンサクシネート成
分を、また、斑紋状部分はポリ乳酸成分を表わす。上記
の結果は、ポリ乳酸を分散相、ポリブチレンサクシネー
トを連続相とする、換言すれば、ポリ乳酸部分の粒子が
ポリブチレンサクシネート媒体中に分散した二相構造で
あることにより、また、ポリブチレンサクシネート成分
を50重量%以上、好ましくは55〜90重量%にする
ことにより、当該二成分系樹脂製品に著しい伸びを付与
できることを示している。
ネート成分が50重量%以上になると伸びが著しく大き
くなること、また、ポリブチレンサクシネート成分が5
5〜90重量%付近で%Strainは200%を越え、最も
伸びの大きい領域であることが分かる。これら伸びが大
きくなる混合比はポリブチレンサクシネート成分比が多
い混合比であり、ポリブチレンサクシネートが連続相を
形成し易いことは容易に予想される。事実、混合比が上
記範囲内にある混合樹脂について、その分散状態を光学
顕微鏡にて観察すると、ポリ乳酸が分散相を、またポリ
ブチレンサクシネートが連続相を形成していることが理
解できる(図2)。図2は、ポリブチレンサクシネート
/ポリ乳酸=50/50混合比(重量分率)における、
モノフィラメントの断面の偏光顕微鏡写真を示す。撮影
はクロスニコル条件下、1/4波長板を用いて行った。
図中のマトリックス部分はポリブチレンサクシネート成
分を、また、斑紋状部分はポリ乳酸成分を表わす。上記
の結果は、ポリ乳酸を分散相、ポリブチレンサクシネー
トを連続相とする、換言すれば、ポリ乳酸部分の粒子が
ポリブチレンサクシネート媒体中に分散した二相構造で
あることにより、また、ポリブチレンサクシネート成分
を50重量%以上、好ましくは55〜90重量%にする
ことにより、当該二成分系樹脂製品に著しい伸びを付与
できることを示している。
【0011】そこで本発明においては、材料の機械的性
質で重要な位置を占める伸びを改善するべく、前述の結
果より、生分解性樹脂ファスナー成形品において脂肪族
ポリエステル/ポリ乳酸の二成分により構成される部分
において、脂肪族ポリエステル成分を50重量%以上と
し、ポリ乳酸部分の粒子が脂肪族ポリエステル媒体中に
分散した二相構造の生分解性樹脂ファスナー成形品を提
供するものである。このような生分解性樹脂ファスナー
成形品を製造するためには、脂肪族ポリエステルとポリ
乳酸を混合する際、脂肪族ポリエステルの混合量をポリ
乳酸より多くすればよい。すなわち、脂肪族ポリエステ
ル/ポリ乳酸の二成分系樹脂において、脂肪族ポリエス
テルを連続相とするためには、両生分解性樹脂を混合す
る際に脂肪族ポリエステルの混合比を樹脂全体重量に対
して50重量%以上とする。このような樹脂材料は上記
のように高い伸びを示すことから、成形性良くファスナ
ー成形品を製造できる。
質で重要な位置を占める伸びを改善するべく、前述の結
果より、生分解性樹脂ファスナー成形品において脂肪族
ポリエステル/ポリ乳酸の二成分により構成される部分
において、脂肪族ポリエステル成分を50重量%以上と
し、ポリ乳酸部分の粒子が脂肪族ポリエステル媒体中に
分散した二相構造の生分解性樹脂ファスナー成形品を提
供するものである。このような生分解性樹脂ファスナー
成形品を製造するためには、脂肪族ポリエステルとポリ
乳酸を混合する際、脂肪族ポリエステルの混合量をポリ
乳酸より多くすればよい。すなわち、脂肪族ポリエステ
ル/ポリ乳酸の二成分系樹脂において、脂肪族ポリエス
テルを連続相とするためには、両生分解性樹脂を混合す
る際に脂肪族ポリエステルの混合比を樹脂全体重量に対
して50重量%以上とする。このような樹脂材料は上記
のように高い伸びを示すことから、成形性良くファスナ
ー成形品を製造できる。
【0012】さらに本発明者らの研究によると、上記条
件下にある、すなわち、ポリ乳酸部分の粒子が脂肪族ポ
リエステル媒体中に分散した二相構造であることを特徴
とするファスナー成形品において、構成するポリ乳酸粒
子の粒子径は、材料の強度に大きな変化を与えることが
見出された。高分子多成分系材料においては、分散相を
形成する粒子の径の大小は、その材料強度に大きな影響
を与える。分散相の粒子径が微細であるほど材料の強度
は上昇する。事実、前述した二成分系樹脂について、ポ
リブチレンサクシネートが連続相を、ポリ乳酸が分散相
を形成する場合において、分散相であるポリ乳酸粒子の
粒径と材料強度の関係は実験により求めることが可能で
ある。すなわち当該二成分系生分解性樹脂において、ポ
リ乳酸粒子の粒径の異なる試料を種々調製し、それらの
ポリ乳酸の粒径を測定し、強度を引張試験により求め、
粒径と強度の関係を求めた。その結果を図3に示す。な
お、調製した試料の材料混合比はポリブチレンサクシネ
ート/ポリ乳酸=75/25(重量%)である。
件下にある、すなわち、ポリ乳酸部分の粒子が脂肪族ポ
リエステル媒体中に分散した二相構造であることを特徴
とするファスナー成形品において、構成するポリ乳酸粒
子の粒子径は、材料の強度に大きな変化を与えることが
見出された。高分子多成分系材料においては、分散相を
形成する粒子の径の大小は、その材料強度に大きな影響
を与える。分散相の粒子径が微細であるほど材料の強度
は上昇する。事実、前述した二成分系樹脂について、ポ
リブチレンサクシネートが連続相を、ポリ乳酸が分散相
を形成する場合において、分散相であるポリ乳酸粒子の
粒径と材料強度の関係は実験により求めることが可能で
ある。すなわち当該二成分系生分解性樹脂において、ポ
リ乳酸粒子の粒径の異なる試料を種々調製し、それらの
ポリ乳酸の粒径を測定し、強度を引張試験により求め、
粒径と強度の関係を求めた。その結果を図3に示す。な
お、調製した試料の材料混合比はポリブチレンサクシネ
ート/ポリ乳酸=75/25(重量%)である。
【0013】図3から明らかなように、ポリ乳酸粒子径
が9μm以下で、材料強度の顕著な上昇が認められる。
すなわち、本発明の好適な態様においては、ポリ乳酸部
分の粒子が、脂肪族ポリエステル媒体中に分散した二相
構造からなるファスナー成形品において、ポリ乳酸部分
の粒子径を9μm以下とすることにより、生分解性樹脂
ファスナー成形品の強度を著しく向上させることができ
る。また、樹脂材料の強度を向上させるためには、ポリ
乳酸部分の粒子径は小さい程よい。ポリブチレンサクシ
ネートとポリ乳酸が相溶化した状態では、ポリ乳酸粒子
径は最も小さくなり、強度も最も高くなると予想され
る。しかしながら、この両樹脂の相溶化は理論的には可
能であるが、実際には、混練において、特殊な設備や技
術が必要であり、コスト面から現実的ではない。本発明
者らは、これまで通常の混練設備及び条件にて混練を行
ってきた結果、最小のポリ乳酸粒子径は2μmであっ
た。従って、本発明において分散相を形成するポリ乳酸
の粒子径としては、2μm以上が実用的な範囲で好まし
いと考えられる。
が9μm以下で、材料強度の顕著な上昇が認められる。
すなわち、本発明の好適な態様においては、ポリ乳酸部
分の粒子が、脂肪族ポリエステル媒体中に分散した二相
構造からなるファスナー成形品において、ポリ乳酸部分
の粒子径を9μm以下とすることにより、生分解性樹脂
ファスナー成形品の強度を著しく向上させることができ
る。また、樹脂材料の強度を向上させるためには、ポリ
乳酸部分の粒子径は小さい程よい。ポリブチレンサクシ
ネートとポリ乳酸が相溶化した状態では、ポリ乳酸粒子
径は最も小さくなり、強度も最も高くなると予想され
る。しかしながら、この両樹脂の相溶化は理論的には可
能であるが、実際には、混練において、特殊な設備や技
術が必要であり、コスト面から現実的ではない。本発明
者らは、これまで通常の混練設備及び条件にて混練を行
ってきた結果、最小のポリ乳酸粒子径は2μmであっ
た。従って、本発明において分散相を形成するポリ乳酸
の粒子径としては、2μm以上が実用的な範囲で好まし
いと考えられる。
【0014】本発明に用いる生分解性樹脂、ポリブチレ
ンサクシネート系及び/又はポリエチレンアジペート系
脂肪族ポリエステル及びポリ乳酸は、公知の方法により
製造されたものを特に制限無く使用できる。また、本発
明のファスナー成形品の製造方法は特定の方法に限定さ
れるものではない。最も代表的な製造方法を例示すれ
ば、まず、脂肪族ポリエステルとポリ乳酸を、脂肪族ポ
リエステルの多い重量成分比にて、約190℃で混練装
置を用いて混練を行う。次いで、混練された樹脂を射出
成形機によって成形を行うことにより、ポリ乳酸部分の
粒子が脂肪族ポリエステル媒体中に分散した二相構造か
らなることを特徴とする、より高強度の生分解性樹脂製
射出成形品が容易にかつ再現良く得られる。混練温度は
上記温度に限られるものではなく、当該樹脂の溶融する
温度以上であればその温度で混練すればよい。また両樹
脂の混練方法について、混練装置を用いない、すなわ
ち、両樹脂をペレットの状態にて成形前に混合する方法
も採用することができる。
ンサクシネート系及び/又はポリエチレンアジペート系
脂肪族ポリエステル及びポリ乳酸は、公知の方法により
製造されたものを特に制限無く使用できる。また、本発
明のファスナー成形品の製造方法は特定の方法に限定さ
れるものではない。最も代表的な製造方法を例示すれ
ば、まず、脂肪族ポリエステルとポリ乳酸を、脂肪族ポ
リエステルの多い重量成分比にて、約190℃で混練装
置を用いて混練を行う。次いで、混練された樹脂を射出
成形機によって成形を行うことにより、ポリ乳酸部分の
粒子が脂肪族ポリエステル媒体中に分散した二相構造か
らなることを特徴とする、より高強度の生分解性樹脂製
射出成形品が容易にかつ再現良く得られる。混練温度は
上記温度に限られるものではなく、当該樹脂の溶融する
温度以上であればその温度で混練すればよい。また両樹
脂の混練方法について、混練装置を用いない、すなわ
ち、両樹脂をペレットの状態にて成形前に混合する方法
も採用することができる。
【0015】本発明の生分解性樹脂ファスナー成形品
は、各種分野に適用可能であるが、充分に高い強度を有
するため、スライドファスナーや面ファスナーなどにも
有利に用いることができる。以下、添付図面を参照しな
がら各種ファスナーへの本発明の適用態様を具体的に説
明する。図4は、例えば衣服やバッグ等の開口部の開閉
に用いられるスライドファスナー1を示しており、左右
一対のファスナーストリンガー2の上下端部が切断され
た製品形態を有する。ファスナーストリンガー2は、生
分解性樹脂製ファスナーテープ3とそれらの対向する縁
部にそれぞれ止着された一列の生分解性樹脂製エレメン
ト(コイル状エレメント)4とから構成されている。フ
ァスナーテープ3は生分解性樹脂繊維を織成及び/又は
編成して構成されたもの、もしくは不織布から作製され
たもの、あるいは生分解性樹脂製シートからなる。エレ
メント4としては、個々のエレメントを射出成形すると
同時にファスナーテープの縁部に止着する射出タイプ
や、生分解性樹脂製モノフィラメントをコイル状に巻回
してなるコイル状エレメントや平面内に横方向のU字形
に屈曲した部分を長手方向に沿って上下交互に連続して
ジグザグ状に形成したいわゆるジグザグ状エレメントな
どの連続状エレメント、押出成形によって長手方向に平
行に離隔した2本の連結紐(芯紐)に個々のエレメント
の両端部が連結されてはしご状に成形されたものを長手
方向中心線を中心にU字状に折曲した押出成形エレメン
トなど、種々のタイプのものがある。また、例えばコイ
ル状エレメントの場合、さらに芯紐や縫糸が構成部品と
して加わる。符号5は、対向するエレメント上を摺動し
て噛合・開離するためのスライダーである。
は、各種分野に適用可能であるが、充分に高い強度を有
するため、スライドファスナーや面ファスナーなどにも
有利に用いることができる。以下、添付図面を参照しな
がら各種ファスナーへの本発明の適用態様を具体的に説
明する。図4は、例えば衣服やバッグ等の開口部の開閉
に用いられるスライドファスナー1を示しており、左右
一対のファスナーストリンガー2の上下端部が切断され
た製品形態を有する。ファスナーストリンガー2は、生
分解性樹脂製ファスナーテープ3とそれらの対向する縁
部にそれぞれ止着された一列の生分解性樹脂製エレメン
ト(コイル状エレメント)4とから構成されている。フ
ァスナーテープ3は生分解性樹脂繊維を織成及び/又は
編成して構成されたもの、もしくは不織布から作製され
たもの、あるいは生分解性樹脂製シートからなる。エレ
メント4としては、個々のエレメントを射出成形すると
同時にファスナーテープの縁部に止着する射出タイプ
や、生分解性樹脂製モノフィラメントをコイル状に巻回
してなるコイル状エレメントや平面内に横方向のU字形
に屈曲した部分を長手方向に沿って上下交互に連続して
ジグザグ状に形成したいわゆるジグザグ状エレメントな
どの連続状エレメント、押出成形によって長手方向に平
行に離隔した2本の連結紐(芯紐)に個々のエレメント
の両端部が連結されてはしご状に成形されたものを長手
方向中心線を中心にU字状に折曲した押出成形エレメン
トなど、種々のタイプのものがある。また、例えばコイ
ル状エレメントの場合、さらに芯紐や縫糸が構成部品と
して加わる。符号5は、対向するエレメント上を摺動し
て噛合・開離するためのスライダーである。
【0016】図5に示すスライドファスナー1aは、各
ファスナーストリンガー2の上端部が切断された形態を
有するが、噛み合わされたエレメント4の列の下部所定
位置が溶着されて下止部6が形成されている点で図4に
示すスライドファスナーとは異なる。一方、図6に示す
スライドファスナー1bは、各ファスナーストリンガー
2bのファスナーテープ3bに止着されたエレメント4
bの列の上端部に上止具7が、また下端部に下止具8が
止着されている点で図4に示すスライドファスナーと異
なる。
ファスナーストリンガー2の上端部が切断された形態を
有するが、噛み合わされたエレメント4の列の下部所定
位置が溶着されて下止部6が形成されている点で図4に
示すスライドファスナーとは異なる。一方、図6に示す
スライドファスナー1bは、各ファスナーストリンガー
2bのファスナーテープ3bに止着されたエレメント4
bの列の上端部に上止具7が、また下端部に下止具8が
止着されている点で図4に示すスライドファスナーと異
なる。
【0017】図7は開放式のスライドファスナー1cを
示している。各ファスナーストリンガー2cのファスナ
ーテープ3cの下端部にはそれぞれ接着層(図示せず)
を介して補強用シート状部材(タフタ)9が溶着されて
いる。これらの対向する補強用シート状部材9の一方の
内側縁部には開離嵌挿具10を構成する箱体11が取り
付けられ、他方の補強用シート状部材9の内側縁部には
蝶棒17が取り付けられている。箱体11はその側部の
ガイド突部13及び箱棒12と一体成形されており、箱
棒12とガイド突部13の間にはスライダー5の下端部
が滑り込めるように凹溝14が形成されている。同様
に、一体成形された蝶棒17とその側部のガイド突条1
8との間にもガイド溝19が形成されている。箱体11
の左側部分には上下方向に貫通された蝶棒挿入孔15が
形成されており、この蝶棒挿入孔15の外壁には側溝1
6が形成されている。従って、蝶棒17を箱体11の蝶
棒挿入孔15に挿入する際、ガイド突条18の下端部内
側が箱体11の側溝16の縁部を滑動し、蝶棒17の挿
入をガイドするため、円滑に挿入操作を行うことができ
る。図7において、符号20はコイル状エレメント4c
の螺旋内空間に長手方向に挿通された芯紐であり、符号
21はこれら芯紐20とコイル状エレメント4cをファ
スナーテープ3cの長手方向縁部に縫着した縫糸であ
る。
示している。各ファスナーストリンガー2cのファスナ
ーテープ3cの下端部にはそれぞれ接着層(図示せず)
を介して補強用シート状部材(タフタ)9が溶着されて
いる。これらの対向する補強用シート状部材9の一方の
内側縁部には開離嵌挿具10を構成する箱体11が取り
付けられ、他方の補強用シート状部材9の内側縁部には
蝶棒17が取り付けられている。箱体11はその側部の
ガイド突部13及び箱棒12と一体成形されており、箱
棒12とガイド突部13の間にはスライダー5の下端部
が滑り込めるように凹溝14が形成されている。同様
に、一体成形された蝶棒17とその側部のガイド突条1
8との間にもガイド溝19が形成されている。箱体11
の左側部分には上下方向に貫通された蝶棒挿入孔15が
形成されており、この蝶棒挿入孔15の外壁には側溝1
6が形成されている。従って、蝶棒17を箱体11の蝶
棒挿入孔15に挿入する際、ガイド突条18の下端部内
側が箱体11の側溝16の縁部を滑動し、蝶棒17の挿
入をガイドするため、円滑に挿入操作を行うことができ
る。図7において、符号20はコイル状エレメント4c
の螺旋内空間に長手方向に挿通された芯紐であり、符号
21はこれら芯紐20とコイル状エレメント4cをファ
スナーテープ3cの長手方向縁部に縫着した縫糸であ
る。
【0018】なお、開離嵌挿具としてはスライダー5の
構造と同様なものを箱体にし、スライドファスナーの下
端より解離したり閉鎖したり出来る、いわゆる逆開放タ
イプのものが知られており、図7に示すものに限られな
い。さらにまた、図示の例では開離嵌挿具と別個の補強
用シート状部材をファスナーテープの下端部に溶着した
ものとして説明したが、生分解性樹脂材料からシート状
部分を箱体や蝶棒と一体射出成形し、ファスナーテープ
の幅全体に取り付けたもの、あるいはシート状部分に任
意の模様のスリット等を形成して柔軟性を付与したもの
など、補強片と開離嵌挿具を一体成形したものがあり、
特定のものに限られない。
構造と同様なものを箱体にし、スライドファスナーの下
端より解離したり閉鎖したり出来る、いわゆる逆開放タ
イプのものが知られており、図7に示すものに限られな
い。さらにまた、図示の例では開離嵌挿具と別個の補強
用シート状部材をファスナーテープの下端部に溶着した
ものとして説明したが、生分解性樹脂材料からシート状
部分を箱体や蝶棒と一体射出成形し、ファスナーテープ
の幅全体に取り付けたもの、あるいはシート状部分に任
意の模様のスリット等を形成して柔軟性を付与したもの
など、補強片と開離嵌挿具を一体成形したものがあり、
特定のものに限られない。
【0019】本発明によれば、前記したファスナーテー
プ、エレメント、スライダー、上下止具、縫糸、芯紐、
開離嵌挿具及び補強用シート状部材の全てを前述した本
発明の生分解性樹脂から作製することもできるし、ある
いは、一部の部材を他の生分解性樹脂や合成樹脂から作
製することもできる。樹脂製スライドファスナーを作製
する場合、どのような樹脂材料が適するかはスライドフ
ァスナーの製品形態や個々の構成部品の構造にも依存す
る。要求される機能や構造によっては、例えばスライダ
ー自体は他の樹脂や金属から作製することが必要な場合
もあり、そのような場合には要求される材料で作製でき
る。また、前記したようなタイプのスライドファスナー
だけでなく、例えばレール状ファスナーなど、他のタイ
プにも適用できる。
プ、エレメント、スライダー、上下止具、縫糸、芯紐、
開離嵌挿具及び補強用シート状部材の全てを前述した本
発明の生分解性樹脂から作製することもできるし、ある
いは、一部の部材を他の生分解性樹脂や合成樹脂から作
製することもできる。樹脂製スライドファスナーを作製
する場合、どのような樹脂材料が適するかはスライドフ
ァスナーの製品形態や個々の構成部品の構造にも依存す
る。要求される機能や構造によっては、例えばスライダ
ー自体は他の樹脂や金属から作製することが必要な場合
もあり、そのような場合には要求される材料で作製でき
る。また、前記したようなタイプのスライドファスナー
だけでなく、例えばレール状ファスナーなど、他のタイ
プにも適用できる。
【0020】生分解性樹脂製の面ファスナーにおいて
は、その機能の点からある程度の繰り返し使用によって
も充分な係合力を有する耐久性が要求されることにな
る。面ファスナーの係合要素は小さく、あるいは細いも
のであるため微生物による生分解が比較的に円滑に進行
するが、基部はある程度の厚みがあるため生分解が進行
し難い。基部を薄くすれば、微生物による生分解は進行
し易くなるが、反面、耐久性や強度が低下してしまう。
そこで、好適な態様においては、面ファスナーの少なく
とも基部を、その比表面積が大きくなるような断面形状
とし、例えば少なくとも基部に溝部及び/又は孔部を形
成したり、あるいは基部裏面から係合要素内部にかけて
延在する孔部を形成する。なお、ここでいう孔部とは、
貫通孔及び非貫通孔(もしくは凹部)の両態様を含む概
念と理解されるべきである。平板状の基部においては、
その表面を粗面とすることも一つの有効な手段である。
このように、面ファスナーの基部の比表面積を大きくす
ることにより、充分な耐久性、強度を確保しつつ、微生
物の作用による基部の分解も速やかに進行するようにな
る。また、基部に溝部及び/又は孔部を形成することに
より、基部に柔軟性を与えることができ、従って、基部
変形により係合要素間の係合が速やかに行え、係合力の
向上も期待できる。
は、その機能の点からある程度の繰り返し使用によって
も充分な係合力を有する耐久性が要求されることにな
る。面ファスナーの係合要素は小さく、あるいは細いも
のであるため微生物による生分解が比較的に円滑に進行
するが、基部はある程度の厚みがあるため生分解が進行
し難い。基部を薄くすれば、微生物による生分解は進行
し易くなるが、反面、耐久性や強度が低下してしまう。
そこで、好適な態様においては、面ファスナーの少なく
とも基部を、その比表面積が大きくなるような断面形状
とし、例えば少なくとも基部に溝部及び/又は孔部を形
成したり、あるいは基部裏面から係合要素内部にかけて
延在する孔部を形成する。なお、ここでいう孔部とは、
貫通孔及び非貫通孔(もしくは凹部)の両態様を含む概
念と理解されるべきである。平板状の基部においては、
その表面を粗面とすることも一つの有効な手段である。
このように、面ファスナーの基部の比表面積を大きくす
ることにより、充分な耐久性、強度を確保しつつ、微生
物の作用による基部の分解も速やかに進行するようにな
る。また、基部に溝部及び/又は孔部を形成することに
より、基部に柔軟性を与えることができ、従って、基部
変形により係合要素間の係合が速やかに行え、係合力の
向上も期待できる。
【0021】本発明の面ファスナーの製造は、使用する
材料が生分解性樹脂である点を除けば従来公知の種々の
方法で行うことができ、またその形態も特定のものに限
定されるものではない。例えば、雄部材としては、フッ
ク状の係合要素、半円球状の頭部を有する係合要素、円
錐状の頭部を有する係合要素など種々の形状の係合要素
が基部から突設するように生分解性樹脂から一体成形さ
れた面ファスナーや、生分解性樹脂繊維の織物又は編物
からなる基布に突設したループを切断してフック状にし
た面ファスナーなど、種々の構造のものが使用でき、ま
た雌部材としても、生分解性樹脂繊維からループを形成
するようにパイル状に織編成した物、織物や編物を起毛
して表面に多数のループを形成したもの、あるいは不織
布など、雄部材の係合要素が係合できるものであれば全
て使用可能である。さらに、係合要素の頭部を両側又は
多数方向にフック部が突出した形状とすることによっ
て、これらのフック部が相互に係合することにより、同
時に雄部材としても、また雌部材としても機能するよう
に構成した面ファスナーとすることもできる。
材料が生分解性樹脂である点を除けば従来公知の種々の
方法で行うことができ、またその形態も特定のものに限
定されるものではない。例えば、雄部材としては、フッ
ク状の係合要素、半円球状の頭部を有する係合要素、円
錐状の頭部を有する係合要素など種々の形状の係合要素
が基部から突設するように生分解性樹脂から一体成形さ
れた面ファスナーや、生分解性樹脂繊維の織物又は編物
からなる基布に突設したループを切断してフック状にし
た面ファスナーなど、種々の構造のものが使用でき、ま
た雌部材としても、生分解性樹脂繊維からループを形成
するようにパイル状に織編成した物、織物や編物を起毛
して表面に多数のループを形成したもの、あるいは不織
布など、雄部材の係合要素が係合できるものであれば全
て使用可能である。さらに、係合要素の頭部を両側又は
多数方向にフック部が突出した形状とすることによっ
て、これらのフック部が相互に係合することにより、同
時に雄部材としても、また雌部材としても機能するよう
に構成した面ファスナーとすることもできる。
【0022】以下、本発明の生分解性樹脂製面ファスナ
ーの各種態様について図面を参照しながら具体的に説明
する。図8及び図9は本発明の生分解性樹脂製面ファス
ナーの第一実施態様を示しており、図8は雄面ファスナ
ー30の斜視図、図9は雄面ファスナー30と雌面ファ
スナー40の係合状態を示している。雄面ファスナー3
0は、基部31と該基部から突設された多数のフック状
の係合要素32とが前記したような生分解性樹脂から一
体成形されたものであり、各係合要素32は、基部の長
手方向に所定の間隔で列設された補強用のリブ33に跨
るように形成されている。また、基部31の裏面には、
微生物の作用による分解が速やかに進行するように、ま
た適度の柔軟性と強度を保持するように、長手方向に延
在する溝部(縦溝)34が形成されており、それによっ
て各溝部34の間に縦リブ35が形成されている。この
雄面ファスナー30は、生分解性樹脂の繊維から織成又
は編成された基部41の表面に多数のループ状の係合要
素42が突設された雌面ファスナー40と、図9に示す
ようにフック状の係合要素32がループ状の係合要素4
2に引っ掛かることによって係合する。
ーの各種態様について図面を参照しながら具体的に説明
する。図8及び図9は本発明の生分解性樹脂製面ファス
ナーの第一実施態様を示しており、図8は雄面ファスナ
ー30の斜視図、図9は雄面ファスナー30と雌面ファ
スナー40の係合状態を示している。雄面ファスナー3
0は、基部31と該基部から突設された多数のフック状
の係合要素32とが前記したような生分解性樹脂から一
体成形されたものであり、各係合要素32は、基部の長
手方向に所定の間隔で列設された補強用のリブ33に跨
るように形成されている。また、基部31の裏面には、
微生物の作用による分解が速やかに進行するように、ま
た適度の柔軟性と強度を保持するように、長手方向に延
在する溝部(縦溝)34が形成されており、それによっ
て各溝部34の間に縦リブ35が形成されている。この
雄面ファスナー30は、生分解性樹脂の繊維から織成又
は編成された基部41の表面に多数のループ状の係合要
素42が突設された雌面ファスナー40と、図9に示す
ようにフック状の係合要素32がループ状の係合要素4
2に引っ掛かることによって係合する。
【0023】図10及び図11は本発明の生分解性樹脂
製面ファスナーの第二実施態様を示し、図10は雄面フ
ァスナー30aの斜視図、図11は雄面ファスナー30
aと雌面ファスナー40の係合状態を示している。本実
施態様の雄面ファスナー30aは、係合要素としてフッ
ク状先端が逆向きの一対の隣接するフック片36,37
からなる係合要素32aが基部31a上に突設されてい
る点、補強リブ33aが各係合要素32aの基端部のみ
に断続的に形成されている点、及び横方向への曲げを確
保するために基部31aの裏面に横方向の溝部(横溝)
34aが形成されている点において、前記第一実施態様
とは異なる。なお、雌面ファスナー40の構成は前記第
一実施態様の場合と同じである。前記のような生分解性
樹脂製雄面ファスナーは、例えば米国特許第33125
83号明細書、特開平6−38811号に記載の成形装
置に適当な設計変更(例えば、ダイへの溝成形用突部の
付加、溝成形用ロールの追加等)を加えることにより製
造することができる。
製面ファスナーの第二実施態様を示し、図10は雄面フ
ァスナー30aの斜視図、図11は雄面ファスナー30
aと雌面ファスナー40の係合状態を示している。本実
施態様の雄面ファスナー30aは、係合要素としてフッ
ク状先端が逆向きの一対の隣接するフック片36,37
からなる係合要素32aが基部31a上に突設されてい
る点、補強リブ33aが各係合要素32aの基端部のみ
に断続的に形成されている点、及び横方向への曲げを確
保するために基部31aの裏面に横方向の溝部(横溝)
34aが形成されている点において、前記第一実施態様
とは異なる。なお、雌面ファスナー40の構成は前記第
一実施態様の場合と同じである。前記のような生分解性
樹脂製雄面ファスナーは、例えば米国特許第33125
83号明細書、特開平6−38811号に記載の成形装
置に適当な設計変更(例えば、ダイへの溝成形用突部の
付加、溝成形用ロールの追加等)を加えることにより製
造することができる。
【0024】図12及び図13は、本発明の生分解性樹
脂製面ファスナーの第三実施態様を示しており、雌雄同
一タイプの片状の面ファスナー30bを示している。こ
の面ファスナー30bは、基部31bと多数の係合要素
32bが生分解性樹脂から一体成形されている点は前記
実施態様と同様であるが、係合要素32bが両側に弧状
に突出された一対のフック片36b,37bからなる頭
部を有し、また、該係合要素32bの接合箇所において
基部31b上面に長手方向の溝部34bが多数形成され
ていると共に、該溝部34bの係合要素32b両側部に
孔部38bが形成されている点において異なる。このよ
うな溝部34b及び孔部38bを面ファスナー30bの
基部31bに形成することによって、微生物による分解
作用を早めることができると共に、面ファスナーに適度
の柔軟性と強度を付与することができる。この面ファス
ナー30bは、両側に突出する一対のフック片36b,
37bとからなる多数の係合要素32bを有するので、
双方の係合要素が向き合うように重ね合わせることによ
り、一方の面ファスナーのフック片が他方の面ファスナ
ーのフック片に係合できる。なお、本実施態様の面ファ
スナー30bの場合、所定形状のキャビティ面を有する
上型と下型のキャビティ内に生分解樹脂を射出すること
により成形できる。また、前記した実施態様と異なり、
所定面積の片状(ワンピース物)に成形されるので、広
い面積に用いる場合には多数の面ファスナー30bを相
隣接するように配列して用いる。
脂製面ファスナーの第三実施態様を示しており、雌雄同
一タイプの片状の面ファスナー30bを示している。こ
の面ファスナー30bは、基部31bと多数の係合要素
32bが生分解性樹脂から一体成形されている点は前記
実施態様と同様であるが、係合要素32bが両側に弧状
に突出された一対のフック片36b,37bからなる頭
部を有し、また、該係合要素32bの接合箇所において
基部31b上面に長手方向の溝部34bが多数形成され
ていると共に、該溝部34bの係合要素32b両側部に
孔部38bが形成されている点において異なる。このよ
うな溝部34b及び孔部38bを面ファスナー30bの
基部31bに形成することによって、微生物による分解
作用を早めることができると共に、面ファスナーに適度
の柔軟性と強度を付与することができる。この面ファス
ナー30bは、両側に突出する一対のフック片36b,
37bとからなる多数の係合要素32bを有するので、
双方の係合要素が向き合うように重ね合わせることによ
り、一方の面ファスナーのフック片が他方の面ファスナ
ーのフック片に係合できる。なお、本実施態様の面ファ
スナー30bの場合、所定形状のキャビティ面を有する
上型と下型のキャビティ内に生分解樹脂を射出すること
により成形できる。また、前記した実施態様と異なり、
所定面積の片状(ワンピース物)に成形されるので、広
い面積に用いる場合には多数の面ファスナー30bを相
隣接するように配列して用いる。
【0025】図14及び図15は本発明の生分解性樹脂
製雄面ファスナーの第四実施態様を示しており、生分解
性樹脂でモノフィラメント又はマルチフィラメントを作
製し、これを織成して作製した面ファスナーを示してい
る。図14に示す雌面ファスナー40aにおいては、生
分解性樹脂フィラメントからなるパイル糸が同様に生分
解性樹脂フィラメントから平織りされた基部(基布)4
1aにパイル状に織り込まれてループ状の雌係合要素4
2aが基部表面から突出するように形成されている。一
方、図15に示す雄面ファスナー30cは、ループの一
部を切断してフック状係合要素32cが形成されている
こと以外は上記雌面ファスナーと同様な構造を有する。
なお、図15に示す面ファスナーは雌雄同一タイプの面
ファスナーとして用いることもできる。また、雌面ファ
スナー40a及び雄面ファスナー30cの裏面には、ほ
つれ防止のために水溶性樹脂又は生分解性樹脂のバック
コート45が施されている。なお、このバックコート4
5に水溶性樹脂を用いることにより、このバックコート
45は水で湿らせることによって接着層として機能す
る。また、このような面ファスナー30c,40aが廃
棄されても、生分解性樹脂から作製されている部分(3
1c,32c,41a,42a)は微生物の作用によっ
て分解されるし、また水溶性樹脂から作製されているバ
ックコート45の部分は雨水等によって溶解して消失し
てしまうので、廃棄物公害の問題を生ずることはない。
しかも水溶性樹脂のバックコート45が溶解して消失す
ることにより、基部(基布)31c,41aは多数の空
隙を有する生分解性樹脂フィラメントの織物生地となる
ので、微生物による分解作用も速やかに進行する。
製雄面ファスナーの第四実施態様を示しており、生分解
性樹脂でモノフィラメント又はマルチフィラメントを作
製し、これを織成して作製した面ファスナーを示してい
る。図14に示す雌面ファスナー40aにおいては、生
分解性樹脂フィラメントからなるパイル糸が同様に生分
解性樹脂フィラメントから平織りされた基部(基布)4
1aにパイル状に織り込まれてループ状の雌係合要素4
2aが基部表面から突出するように形成されている。一
方、図15に示す雄面ファスナー30cは、ループの一
部を切断してフック状係合要素32cが形成されている
こと以外は上記雌面ファスナーと同様な構造を有する。
なお、図15に示す面ファスナーは雌雄同一タイプの面
ファスナーとして用いることもできる。また、雌面ファ
スナー40a及び雄面ファスナー30cの裏面には、ほ
つれ防止のために水溶性樹脂又は生分解性樹脂のバック
コート45が施されている。なお、このバックコート4
5に水溶性樹脂を用いることにより、このバックコート
45は水で湿らせることによって接着層として機能す
る。また、このような面ファスナー30c,40aが廃
棄されても、生分解性樹脂から作製されている部分(3
1c,32c,41a,42a)は微生物の作用によっ
て分解されるし、また水溶性樹脂から作製されているバ
ックコート45の部分は雨水等によって溶解して消失し
てしまうので、廃棄物公害の問題を生ずることはない。
しかも水溶性樹脂のバックコート45が溶解して消失す
ることにより、基部(基布)31c,41aは多数の空
隙を有する生分解性樹脂フィラメントの織物生地となる
ので、微生物による分解作用も速やかに進行する。
【0026】図16及び図17は本発明の生分解性樹脂
製面ファスナーの第五実施態様を示し、水溶性樹脂の溶
媒中への溶出によって面ファスナーの基部に孔部及び溝
部を形成する方法の一例を示している。なお、雄面ファ
スナー30dの係合要素32dの形状は図10に示す実
施態様と同様である。この場合、雄面ファスナー30d
の係合要素32d及び基部31dの一部を生分解性樹脂
により、基部の孔部及び溝部となる部分を水溶性樹脂4
6により成形した後、これを水、アルコール水溶液等の
溶媒中に浸漬して水溶性樹脂46を溶出させることによ
り、図17に示すような基部31dに孔部38d及び溝
部34dが形成された雄面ファスナー30dが得られ
る。なお、図16に示すように基部31d裏面に水溶性
樹脂46が積層された状態の雄面ファスナー30dをそ
のまま使用することもできる。この場合、水溶性樹脂4
6を水で湿らせることによって接着層として機能する。
また、このような雄面ファスナー30dが廃棄されて
も、雨水等によって水溶性樹脂46は溶解、消失し、そ
れによって生分解性樹脂からなる雄面ファスナー30d
には孔部38d及び溝部34dが形成されるので、微生
物による分解作用も速やかに進行する。上記図16に示
すような雄面ファスナー30dの成形は、予め孔部及び
溝部に対応する凸部が形成された水溶性樹脂フィルム
を、生分解性樹脂から成形された半溶融状態の雄面ファ
スナーの裏面に圧着することにより形成することもでき
る。
製面ファスナーの第五実施態様を示し、水溶性樹脂の溶
媒中への溶出によって面ファスナーの基部に孔部及び溝
部を形成する方法の一例を示している。なお、雄面ファ
スナー30dの係合要素32dの形状は図10に示す実
施態様と同様である。この場合、雄面ファスナー30d
の係合要素32d及び基部31dの一部を生分解性樹脂
により、基部の孔部及び溝部となる部分を水溶性樹脂4
6により成形した後、これを水、アルコール水溶液等の
溶媒中に浸漬して水溶性樹脂46を溶出させることによ
り、図17に示すような基部31dに孔部38d及び溝
部34dが形成された雄面ファスナー30dが得られ
る。なお、図16に示すように基部31d裏面に水溶性
樹脂46が積層された状態の雄面ファスナー30dをそ
のまま使用することもできる。この場合、水溶性樹脂4
6を水で湿らせることによって接着層として機能する。
また、このような雄面ファスナー30dが廃棄されて
も、雨水等によって水溶性樹脂46は溶解、消失し、そ
れによって生分解性樹脂からなる雄面ファスナー30d
には孔部38d及び溝部34dが形成されるので、微生
物による分解作用も速やかに進行する。上記図16に示
すような雄面ファスナー30dの成形は、予め孔部及び
溝部に対応する凸部が形成された水溶性樹脂フィルム
を、生分解性樹脂から成形された半溶融状態の雄面ファ
スナーの裏面に圧着することにより形成することもでき
る。
【0027】図18は、本発明の生分解性樹脂製雄面フ
ァスナーの第六実施態様を示している。この実施態様の
雄面ファスナー30eは、基部31eから係合要素32
eにかけて延在する孔部38eを有しており、さらに高
い柔軟性を有し、また微生物による分解速度も高くな
る。このような孔部38eの形成は、例えば、成形され
た直後の半溶融状態又は軟化状態にある雄面ファスナー
30eに、上記孔部38eの形状に対応する鋭角な突部
を予め形成した水溶性樹脂フィルムを上記突部が埋入さ
れるように圧着してラミネートし、その後、雄面ファス
ナーが冷却、固化された後、水溶性樹脂フィルムを適当
な溶媒中に溶出させることによって行うことができる。
また、前記したような孔部及び/又は溝部の形成方法の
別の例として、予め孔部及び/又は溝部に対応する突部
及び/又は突条が形成された水溶性樹脂フィルムを下型
のキャビティ内に配置し、この水溶性樹脂フィルムを下
型のキャビティ面として利用して生分解性樹脂から面フ
ァスナーを成形する方法も採用することができる。
ァスナーの第六実施態様を示している。この実施態様の
雄面ファスナー30eは、基部31eから係合要素32
eにかけて延在する孔部38eを有しており、さらに高
い柔軟性を有し、また微生物による分解速度も高くな
る。このような孔部38eの形成は、例えば、成形され
た直後の半溶融状態又は軟化状態にある雄面ファスナー
30eに、上記孔部38eの形状に対応する鋭角な突部
を予め形成した水溶性樹脂フィルムを上記突部が埋入さ
れるように圧着してラミネートし、その後、雄面ファス
ナーが冷却、固化された後、水溶性樹脂フィルムを適当
な溶媒中に溶出させることによって行うことができる。
また、前記したような孔部及び/又は溝部の形成方法の
別の例として、予め孔部及び/又は溝部に対応する突部
及び/又は突条が形成された水溶性樹脂フィルムを下型
のキャビティ内に配置し、この水溶性樹脂フィルムを下
型のキャビティ面として利用して生分解性樹脂から面フ
ァスナーを成形する方法も採用することができる。
【0028】前記溝部及び/又は孔部の形成に、又は接
着層として用いられる水溶性樹脂としては、水酸基、カ
ルボキシル基、スルホン基等の親水性基を有する水溶性
であって、成形性を有するものであれば使用可能であ
り、例えばポリビニルアルコール、変性ポリビニルアル
コール、ポリアクリル酸、ポリエチレンオキサイド、C
MC、ガム等が挙げられるが、これらの中でも変性ポリ
ビニルアルコール(例えば日本合成化学工業(株)製エ
コマティAX(ビニルアルコール−アリルアルコール共
重合物へのポリオキシアルキレンのグラフト物)を好適
に用いることができる。
着層として用いられる水溶性樹脂としては、水酸基、カ
ルボキシル基、スルホン基等の親水性基を有する水溶性
であって、成形性を有するものであれば使用可能であ
り、例えばポリビニルアルコール、変性ポリビニルアル
コール、ポリアクリル酸、ポリエチレンオキサイド、C
MC、ガム等が挙げられるが、これらの中でも変性ポリ
ビニルアルコール(例えば日本合成化学工業(株)製エ
コマティAX(ビニルアルコール−アリルアルコール共
重合物へのポリオキシアルキレンのグラフト物)を好適
に用いることができる。
【0029】また、必要に応じて本発明に係る生分解性
樹脂と組み合わせて用いることができる他の生分解性樹
脂としては、成形性と適度の柔軟性及び硬度を有し、微
生物の作用により崩壊し得る樹脂であれば使用可能であ
り、例えばゼネカ(株)製バイオポール(ヒドロキシ酪
酸とヒドロキシ吉草酸の共重合体)等の微生物発酵生産
型樹脂、日本合成化学工業(株)製マタービー(澱粉と
変性ポリビニルアルコールとのブレンド物)、アメリ
カ、ワーナー・ランバード社製ノボン(澱粉と生分解性
合成ポリマーとのブレンド物)等の天然高分子(澱粉)
系樹脂、ダイセル化学工業(株)製プラクセル(ポリカ
プロラクトン)等の化学合成型樹脂などが挙げられる。
樹脂と組み合わせて用いることができる他の生分解性樹
脂としては、成形性と適度の柔軟性及び硬度を有し、微
生物の作用により崩壊し得る樹脂であれば使用可能であ
り、例えばゼネカ(株)製バイオポール(ヒドロキシ酪
酸とヒドロキシ吉草酸の共重合体)等の微生物発酵生産
型樹脂、日本合成化学工業(株)製マタービー(澱粉と
変性ポリビニルアルコールとのブレンド物)、アメリ
カ、ワーナー・ランバード社製ノボン(澱粉と生分解性
合成ポリマーとのブレンド物)等の天然高分子(澱粉)
系樹脂、ダイセル化学工業(株)製プラクセル(ポリカ
プロラクトン)等の化学合成型樹脂などが挙げられる。
【0030】
【実施例】以下に本発明の効果について具体的に確認し
た実施例を示すが、本発明が下記実施例に限定されるも
のでないことはもとよりである。
た実施例を示すが、本発明が下記実施例に限定されるも
のでないことはもとよりである。
【0031】実施例1
原料としては市販の生分解性樹脂を用いた。本実施例に
おいては、ポリブチレンサクシネートとして昭和高分子
(株)製の脂肪族ポリエステル系生分解性樹脂である
「ビオノーレ」#1020を、また、ポリ乳酸として
(株)島津製作所製のポリ乳酸系生分解性樹脂である
「ラクティ」をそれぞれ使用した。まず、これらのペレ
ットを減圧下80℃にて4時間乾燥した。両樹脂を重量
比でビオノーレ/ラクティ=75/25となるように計
量し、混練装置へ投入した。混練温度170℃、ミキサ
ー回転数60r/min及び混練時間5分にて混練後、
表1に示す樹脂aを得た。また、混練温度190℃、ミ
キサー回転数60r/min及び混練時間5分の混練条
件で樹脂bを、さらに混練温度210℃、ミキサー回転
数60r/min及び混練時間5分の条件で樹脂cをそ
れぞれ得た。
おいては、ポリブチレンサクシネートとして昭和高分子
(株)製の脂肪族ポリエステル系生分解性樹脂である
「ビオノーレ」#1020を、また、ポリ乳酸として
(株)島津製作所製のポリ乳酸系生分解性樹脂である
「ラクティ」をそれぞれ使用した。まず、これらのペレ
ットを減圧下80℃にて4時間乾燥した。両樹脂を重量
比でビオノーレ/ラクティ=75/25となるように計
量し、混練装置へ投入した。混練温度170℃、ミキサ
ー回転数60r/min及び混練時間5分にて混練後、
表1に示す樹脂aを得た。また、混練温度190℃、ミ
キサー回転数60r/min及び混練時間5分の混練条
件で樹脂bを、さらに混練温度210℃、ミキサー回転
数60r/min及び混練時間5分の条件で樹脂cをそ
れぞれ得た。
【0032】前述の方法で調製した各樹脂a〜cをモノ
フィラメント状に押し出し、それぞれ引張試験機にて引
張強度を測定した。また、樹脂a、b又はcから成る各
モノフィラメントの断面を観察し、ポリ乳酸成分である
ラクティの粒径を測定した。ぞれぞれについての引張強
度とラクティ粒子の粒径を表1に併せて示す。表1に示
す結果から容易に分かるように、各樹脂においてラクテ
ィ粒子の粒径は9μm以下であり、また粒径が小さくな
るとその混練樹脂の強度も上昇していることが分かる。
フィラメント状に押し出し、それぞれ引張試験機にて引
張強度を測定した。また、樹脂a、b又はcから成る各
モノフィラメントの断面を観察し、ポリ乳酸成分である
ラクティの粒径を測定した。ぞれぞれについての引張強
度とラクティ粒子の粒径を表1に併せて示す。表1に示
す結果から容易に分かるように、各樹脂においてラクテ
ィ粒子の粒径は9μm以下であり、また粒径が小さくな
るとその混練樹脂の強度も上昇していることが分かる。
【0033】さらに各樹脂a、b及びcについて、射出
成形機にて5VS規格の射出ファスナーを成形し、各フ
ァスナー成形品A、B及びCを得た。成形品A、B及び
Cのそれぞれについて横引き強度の測定を行った。その
結果をラクティ粒子の粒径とともに表1に併せて示す。
なお、横引き強度は図19に示すように測定した。すな
わち、務歯4dを噛み合わせたファスナーチェーン2d
の状態で、チェーン噛み合い方向に対して図19のよう
に一定速度(300mm/分)で、引張試験機を利用し
てファスナーテープ3dを引張り抵抗を測定する。な
お、クランプ50の幅は25mmである。表1に示す結
果から、ラクティ粒子が小さいほど、ファスナーの横引
き強度も強くなっていることが分かる。また、いずれの
場合においても、5VSのJIS規格に定める25kg
f/25mmの横引き強度を上回る値を示し、ラクティ
粒子の粒径が9μm以下であることによる強度上昇の効
果を確認できた。
成形機にて5VS規格の射出ファスナーを成形し、各フ
ァスナー成形品A、B及びCを得た。成形品A、B及び
Cのそれぞれについて横引き強度の測定を行った。その
結果をラクティ粒子の粒径とともに表1に併せて示す。
なお、横引き強度は図19に示すように測定した。すな
わち、務歯4dを噛み合わせたファスナーチェーン2d
の状態で、チェーン噛み合い方向に対して図19のよう
に一定速度(300mm/分)で、引張試験機を利用し
てファスナーテープ3dを引張り抵抗を測定する。な
お、クランプ50の幅は25mmである。表1に示す結
果から、ラクティ粒子が小さいほど、ファスナーの横引
き強度も強くなっていることが分かる。また、いずれの
場合においても、5VSのJIS規格に定める25kg
f/25mmの横引き強度を上回る値を示し、ラクティ
粒子の粒径が9μm以下であることによる強度上昇の効
果を確認できた。
【表1】
【0034】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、ポリ乳
酸部分の粒子がポリブチレンサクシネート系及び/又は
ポリエチレンアジペート系脂肪族ポリエステル中に分散
した構造を有し、実用的に充分に高い強度を有する生分
解性樹脂ファスナー成形品が提供され、スライドファス
ナー、面ファスナーなど、各種分野の製品として利用可
能である。しかも、このような生分解性樹脂ファスナー
成形品を成形性良く製造できる。また、本発明の生分解
性樹脂ファスナー成形品は、廃棄されても土中や水中の
微生物により分解されるため、地球環境の破壊や廃棄物
公害を引き起こすことはない。しかも、生分解性樹脂製
の製品は、コンポスト(堆肥)にして大地に還元される
ので、通常のプラスチック製品のような散乱ゴミになっ
て野生動物への危害となる恐れもなく、また、分解して
嵩が減少するので埋立地の延命化や安定化にも役立つ。
さらに、これらの製品が焼却処分されても、生分解性樹
脂は焼却時の発熱量が少ないため、焼却炉を損傷する危
険性も減少する。さらに、本発明を適用した生分解性面
ファスナーは、例えば生分解性樹脂や水溶性樹脂から作
製された結束バンドや苗木カバー、エノキ茸育苗カバ
ー、おむつなど各種使い捨て製品の連結具として好適に
用いることができる。
酸部分の粒子がポリブチレンサクシネート系及び/又は
ポリエチレンアジペート系脂肪族ポリエステル中に分散
した構造を有し、実用的に充分に高い強度を有する生分
解性樹脂ファスナー成形品が提供され、スライドファス
ナー、面ファスナーなど、各種分野の製品として利用可
能である。しかも、このような生分解性樹脂ファスナー
成形品を成形性良く製造できる。また、本発明の生分解
性樹脂ファスナー成形品は、廃棄されても土中や水中の
微生物により分解されるため、地球環境の破壊や廃棄物
公害を引き起こすことはない。しかも、生分解性樹脂製
の製品は、コンポスト(堆肥)にして大地に還元される
ので、通常のプラスチック製品のような散乱ゴミになっ
て野生動物への危害となる恐れもなく、また、分解して
嵩が減少するので埋立地の延命化や安定化にも役立つ。
さらに、これらの製品が焼却処分されても、生分解性樹
脂は焼却時の発熱量が少ないため、焼却炉を損傷する危
険性も減少する。さらに、本発明を適用した生分解性面
ファスナーは、例えば生分解性樹脂や水溶性樹脂から作
製された結束バンドや苗木カバー、エノキ茸育苗カバ
ー、おむつなど各種使い捨て製品の連結具として好適に
用いることができる。
【図1】ポリブチレンサクシネート/ポリ乳酸の各種混
合比の樹脂の引張試験時の伸びを示すグラフである。
合比の樹脂の引張試験時の伸びを示すグラフである。
【図2】ポリブチレンサクシネート/ポリ乳酸=50/
50混合比(重量分率)の樹脂のモノフィラメントの断
面組織を示す偏光顕微鏡写真である。
50混合比(重量分率)の樹脂のモノフィラメントの断
面組織を示す偏光顕微鏡写真である。
【図3】ポリブチレンサクシネート/ポリ乳酸の樹脂の
引張強度とポリ乳酸粒子径の関係を示すグラフである。
引張強度とポリ乳酸粒子径の関係を示すグラフである。
【図4】生分解性樹脂製スライドファスナーの一態様を
示す平面図である。
示す平面図である。
【図5】生分解性樹脂製スライドファスナーの他の態様
を示す平面図である。
を示す平面図である。
【図6】生分解性樹脂製スライドファスナーのさらに他
の態様を示す平面図である。
の態様を示す平面図である。
【図7】生分解性樹脂製スライドファスナーの別の態様
を示す部分破断平面図である。
を示す部分破断平面図である。
【図8】生分解性樹脂製雄面ファスナーの第一実施態様
の部分斜視図である。
の部分斜視図である。
【図9】図8に示す生分解性樹脂製雄面ファスナーと生
分解性樹脂製雌面ファスナーの係合状態を示す部分断面
図であり、雄面ファスナーは図8のA−A線矢視方向の
断面を示す。
分解性樹脂製雌面ファスナーの係合状態を示す部分断面
図であり、雄面ファスナーは図8のA−A線矢視方向の
断面を示す。
【図10】生分解性樹脂製雄面ファスナーの第二実施態
様の部分斜視図である。
様の部分斜視図である。
【図11】図10に示す生分解性樹脂製雄面ファスナー
と生分解性樹脂製雌面ファスナーの係合状態を示す部分
断面図であり、雄面ファスナーは図10のB−B線矢視
方向の断面を示す。
と生分解性樹脂製雌面ファスナーの係合状態を示す部分
断面図であり、雄面ファスナーは図10のB−B線矢視
方向の断面を示す。
【図12】生分解性樹脂製面ファスナーの第三実施態様
の斜視図である。
の斜視図である。
【図13】図12に示す生分解性樹脂製面ファスナーの
係合方法を示す部分破断側面図である。
係合方法を示す部分破断側面図である。
【図14】第四実施態様の生分解性樹脂製雌面ファスナ
ーの部分断面図である。
ーの部分断面図である。
【図15】第四実施態様の生分解性樹脂製雄面ファスナ
ーの部分断面図である。
ーの部分断面図である。
【図16】生分解性樹脂製雄面ファスナーの第五実施態
様の基部裏面に水溶性樹脂をラミネートした状態を示す
部分断面図である。
様の基部裏面に水溶性樹脂をラミネートした状態を示す
部分断面図である。
【図17】生分解性樹脂製雄面ファスナーの第五実施態
様を示す部分断面図である。
様を示す部分断面図である。
【図18】生分解性樹脂製雄面ファスナーの第六実施態
様の部分断面図である。
様の部分断面図である。
【図19】実施例1における横引き強度の測定方法を示
す概略図である。
す概略図である。
1,1a,1b,1c スライドファスナー
2,2b,2c,2d ファスナーチェーン
3,3b,3c,3d ファスナーテープ
4,4b,4c,4d エレメント
5 スライダー
6 下止部
7 上止具
8 下止具
9 補強用シート状部材
10 開離嵌挿具
30,30a,30b,30c,30d,30e 雄面
ファスナー 31,31a,31b,31c,31d,31e,4
1,41a 基部 32,32a,32b,32c,32d,32e フッ
ク状係合要素 34,34a,34b,34d 溝部 38b,38d,38e 孔部 40,40a 雌面ファスナー
ファスナー 31,31a,31b,31c,31d,31e,4
1,41a 基部 32,32a,32b,32c,32d,32e フッ
ク状係合要素 34,34a,34b,34d 溝部 38b,38d,38e 孔部 40,40a 雌面ファスナー
フロントページの続き
(51)Int.Cl.7 識別記号 FI
C08L 67:04) C08L 67:04
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
C08L 67/00 - 67/02
C08L 67/04
Claims (5)
- 【請求項1】 ポリブチレンサクシネート系及び/又は
ポリエチレンアジペート系脂肪族ポリエステルと、ポリ
乳酸を主成分とする生分解性樹脂ファスナー成形品であ
って、ポリブチレンサクシネート系及び/又はポリエチ
レンアジペート系脂肪族ポリエステル成分の占める割合
が50重量%以上であり、ポリ乳酸部分の粒子が上記脂
肪族ポリエステル中に分散した構造を有することを特徴
とする生分解性樹脂ファスナー成形品。 - 【請求項2】 ポリブチレンサクシネート系及び/又は
ポリエチレンアジペート系脂肪族ポリエステル成分の占
める割合が55〜90重量%であることを特徴とする請
求項1に記載のファスナー成形品。 - 【請求項3】 ポリ乳酸部分の粒子径が9μm以下であ
ることを特徴とする請求項1又は2に記載のファスナー
成形品。 - 【請求項4】 ファスナー成形品がスライドファスナー
である請求項1乃至3のいずれか一項に記載のファスナ
ー成形品。 - 【請求項5】 ファスナー成形品が面ファスナーである
請求項1乃至3のいずれか一項に記載のファスナー成形
品。
Priority Applications (7)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP36250697A JP3415017B2 (ja) | 1997-12-15 | 1997-12-15 | 生分解性樹脂ファスナー成形品 |
TW087120117A TW506894B (en) | 1997-12-15 | 1998-12-03 | A biodegradable resin composition |
DE19857067A DE19857067B4 (de) | 1997-12-15 | 1998-12-10 | Verschlußelement aus biologisch abbaubarem Kunststoff |
CNB981228399A CN1161418C (zh) | 1997-12-15 | 1998-12-11 | 可生物降解树脂的成形制品 |
US09/210,539 US20010003761A1 (en) | 1997-12-15 | 1998-12-14 | Formed article of biodegradable resin |
GB9827498A GB2332204B (en) | 1997-12-15 | 1998-12-14 | Slide fastener and separable fastener of biodegradable resin |
HK99104710A HK1019887A1 (en) | 1997-12-15 | 1999-10-22 | Formed article of biodegradable resin. |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP36250697A JP3415017B2 (ja) | 1997-12-15 | 1997-12-15 | 生分解性樹脂ファスナー成形品 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11172091A JPH11172091A (ja) | 1999-06-29 |
JP3415017B2 true JP3415017B2 (ja) | 2003-06-09 |
Family
ID=18477028
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP36250697A Expired - Fee Related JP3415017B2 (ja) | 1997-12-15 | 1997-12-15 | 生分解性樹脂ファスナー成形品 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3415017B2 (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4127648B2 (ja) * | 2001-05-22 | 2008-07-30 | ダイセル化学工業株式会社 | 生分解速度が制御された生分解性樹脂組成物、フィルム及び農業用マルチフィルム |
JP3980446B2 (ja) | 2002-08-13 | 2007-09-26 | 富士通株式会社 | 生分解性樹脂組成物、並びに、生分解性樹脂組成物用充填材及び成形体 |
US7067185B2 (en) * | 2003-06-11 | 2006-06-27 | 3M Innovative Properties Company | Reinforced hook web |
JP2010042655A (ja) * | 2008-03-19 | 2010-02-25 | Tohcello Co Ltd | 積層フィルム及びそれからなる包装材 |
JP7015704B2 (ja) * | 2018-02-05 | 2022-02-03 | アキレス株式会社 | 苗木保護カバー |
JP2020195500A (ja) * | 2019-05-31 | 2020-12-10 | 出光ユニテック株式会社 | ジッパーテープおよびジッパーテープ付き容器 |
-
1997
- 1997-12-15 JP JP36250697A patent/JP3415017B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH11172091A (ja) | 1999-06-29 |
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