明 細 書
機能性フイラ一およびそれを含有する樹脂組成物
技術分野
[0001] 本発明は、機能性フイラ一と当該機能性フイラ一を含む機能性フイラ一組成物、お よび当該機能性フイラ一を含む榭脂組成物、これらの製造方法、並びに当該榭脂組 成物からなる成形体に関するものである。
背景技術
[0002] ポリ乳酸は生分解性ポリマーの一種であり、原料が再生産可能な植物資源や、日 常生活の食物残渣、古紙等であって、石油資源を利用せずに製造することができる 。また、廃棄物が自然界で分解するので、従来のプラスチック製品のように廃棄物処 理が問題となることが少ない。よってポリ乳酸は、現在力も将来において、資源ゃェ ネルギー、環境の問題の解決に大きな役割を果たすことが期待されて 、る。
[0003] 具体的には、農業用資材等に使用された場合は、使用後も回収する必要がない。
また、コンビ-弁当や食品の包装容器に使用された場合は、使用後に食べ残しや食 品を分別することなくそのまま生ごみとして捨てることが可能である。よって、植物起 源の生分解樹脂の特徴を生力した材料サイクルや物流の合理ィ匕が可能となるため、 ポリ乳酸は、省力化や省エネルギー化に大きく貢献できる。更に、生体内に使用する 場合においても、その分解物は人体に無害な乳酸と二酸ィ匕炭素と水であることから、 ポリ乳酸は医療用材料等にも使用されている。
[0004] し力しながら、ポリ乳酸は PS榭脂ゃ PET榭脂と同様に透明性に優れる反面、耐熱 性、成形性、衝撃性等の力学強度に劣るという問題がある。力かる性質は、幅広い用 途展開を図る上で課題となって 、る。
[0005] このようなポリ乳酸の耐熱性、成形性、衝撃性等の力学強度を改善するため、ポリ 乳酸にシリカ等のフィラーを配合する方法が試みられている。その様な技術は、特開
2005— 200600号公報、特開 2005— 112456号公報、および特開 2004— 2249
90号公報に記載されて 、る。
発明の開示
[0006] 上述した様に、ポリ乳酸にシリカ等のフィラーを配合することによって、耐熱性等を 改善しょうとする技術は知られていた。しかしながら、従来用いられているシリカ等の フイラ一は、マトリックスポリマーであるポリ乳酸中での分散性やポリ乳酸との相互作 用が不十分である。従って、これらのフィラーをポリ乳酸に配合しても、耐熱性、成形 性、衝撃性等の力学強度が実用的な要求に耐えうるほど向上するには至って 、な 、
[0007] そこで本発明が解決すべき課題は、マトリックスポリマーであるポリ乳酸中での分散 性やポリ乳酸との相互作用に優れ、ポリ乳酸の耐熱性、成形性、力学強度の改善効 果に優れる機能性フイラ一、並びに当該機能性フイラ一を含む機能性フイラ一組成 物と榭脂組成物を提供することにある。また、本発明は、これら機能性フイラ一等の製 造方法と、上記榭脂組成物からなる成形体を提供することも目的とする。
[0008] 本発明者らは、上記課題を解決すベぐ特にポリ乳酸組成物に添加するフイラ一に ついて鋭意研究を進めた。その結果、ポリ D—乳酸など光学活性な乳酸のオリゴマ 一やポリマーは、ポリ L 乳酸など光学異性体である乳酸のオリゴマーやポリマーと 強く相互作用する性質を利用して、マトリックスポリマーであるポリ乳酸の分子と相互 作用する置換基でフィラーを修飾することにより上記課題を解決できることを見出した 。より具体的には、その様な機能性フイラ一は複数のポリ乳酸分子と相互作用し、い わば複数のポリ乳酸分子を架橋する作用効果を有するので、ポリ乳酸の耐熱性や強 度等を向上させることができる。
[0009] 本発明の機能性フイラ一は、原料フィラーとポリ乳酸力 なり、原料フィラーの表面 または末端がポリ乳酸で修飾されていることを特徴とする。
[0010] 本発明の機能性フイラ一組成物は、上記機能性フイラ一と、当該機能性フイラ一製 造時に生成する未結合のポリ乳酸とを含むことを特徴とする。
[0011] 本発明の榭脂組成物は、上記機能性フイラ一、およびマトリックスポリマーであるポ リ乳酸を含み、且つマトリックスポリマーであるポリ乳酸の少なくとも一部力 機能性フ イラ一の表面または末端を修飾しているポリ乳酸と相互作用するものであることを特 徴とする。
[0012] 本発明に係る上記機能性フイラ一の製造方法は、乳酸および Z若しくはラクチドの
溶液、または、乳酸および Z若しくはラクチドの融液と、原料フィラーとを混合するェ 程;および乳酸および Zまたはラクチドを重合させることによって、原料フィラーの表 面または末端をポリ乳酸で修飾する工程を含むことを特徴とする。
[0013] 本発明に係る上記機能性フイラ一組成物の製造方法は、乳酸および Z若しくはラタ チドの溶液、または、乳酸および Z若しくはラクチドの融液と、原料フィラーとを混合 するに当たり、原料フィラーに対して過剰量の乳酸および Zまたはラクチドを用 、る 工程;および乳酸および Zまたはラクチドを重合させることによって、原料フィラーの 表面または末端をポリ乳酸で修飾する工程を含むことを特徴とする。
[0014] 本発明に係る榭脂組成物の製造方法は、乳酸および Z若しくはラクチドの溶液、ま たは、乳酸および Z若しくラクチドの融液と、原料フィラーとを混合する工程;乳酸お よび Zまたはラクチドを重合させること〖こよって、原料フィラーの表面または末端をポ リ乳酸で修飾し、機能性フイラ一とする工程;および機能性フイラ一を、マトリックスポリ マーであるポリ乳酸であって、その少なくとも一部が機能性フイラ一の表面または末 端を修飾しているポリ乳酸と相互作用するものと混合する工程、を含むことを特徴と する。
[0015] 本発明の成形体は、上記榭脂組成物力 なることを特徴とする。
[0016] 本発明によれば、以下の効果を得ることができる。即ち、マトリックスポリマーである ポリ乳酸と相互作用するポリ乳酸でフィラー表面を修飾することによって、マトリックス ポリマー中におけるフィラーの分散性が大きく改善する。また、フィラー表面のポリ乳 酸とマトリックスポリマーとがステレオコンプレックスを形成することにより、得られる榭 脂組成物の耐熱性と強度が改善する。更に、当該ステレオコンプレックスが結晶核剤 として機能するので、榭脂組成物の結晶化速度が速くなり、成形速度や延伸温度と 延伸倍率の向上が可能となり、得られる成形物の物性向上や成形性の改善が可能と なり、用途を拡大することができる。また、得られる成形体はフイラ一で補強されている ために、強度が高い。以上に述べた本発明の機能性フイラ一の特性によって、本発 明の榭脂組成物に対して固体状態または溶融状態で延伸や成形等の処理をする場 合、結晶サイズが小さいこと、フィラー効果、溶融粘度が高いこと等により均一な延伸 、成形ができ、延伸品や成形品の製造時の安定性や製品の品質や性能を改善する
ことができる。
図面の簡単な説明
[0017] [図 1]本発明の機能性フイラ一の概要を示す模式図である。図中、 1は原料フィラーを 示し、 2はフイラ一表面に結合したポリ乳酸を示す。
[図 2]本発明の機能性フイラ一と、その原料フィラーの IRデータである。
[図 3]本発明の機能性フイラ一と、その原料フィラーの NMRデータである。
発明を実施するための最良の形態
[0018] 本発明の機能性フイラ一は、原料フィラーとポリ乳酸力 なり、原料フィラーの表面 または末端がポリ乳酸で修飾されていることを特徴とする。図 1に本発明の機能性フ イラ一の概要を示す模式図を示す。なお、以下では、フィラーの表面または末端を修 飾して 、るポリ乳酸を、「ポリ乳酸 (A)」と 、う場合がある。
[0019] 従来、ポリ乳酸のフイラ一として汎用されているシリカには、ポリ乳酸等の脂肪族ポリ エステル中での分散性を高めるために、シリカの表面をシランカップリング剤で修飾し てポリ乳酸との相溶性を高める方法が用いられている。しかし、その効果は十分なも のではなかった。これに対して本発明ではフイラ一の表面にシランカップリング剤より もポリ乳酸との相溶性がはるかに優れるポリ乳酸を導入することにより、ポリ乳酸中で の分散性または相互作用を極めて高いものとすることができる。
[0020] より詳しくは、ポリ D 乳酸など光学活性な乳酸のオリゴマーやポリマーは、ポリ L 乳酸など光学異性体である乳酸のオリゴマーやポリマーと強く相互作用する。よって 、例えばマトリックスポリマーとして、ポリ D 乳酸とポリ L 乳酸との混合物を用いれ ば、マトリックスポリマー同士が相互作用するので、ポリ乳酸組成物材料の耐熱性等 は向上すると考えられる。しかしかかる態様では、例えば 1つのポリ D 乳酸は 1つの ポリ L 乳酸と相互作用する確率が高ぐ 1つのポリ D 乳酸が 2以上のポリ L 乳酸 と相互作用する確率は極めて低いと考えられる。その一方で、本発明の機能性フイラ 一は、フィラーの表面または末端に結合したポリ乳酸の数に応じて複数のマトリックス ポリマー分子と結合することができ、ステレオコンプレックスを形成する。その結果、ポ リ乳酸組成物材料の耐熱性等を顕著に向上することが可能になる。
[0021] ポリ乳酸 (A)は、少なくともその一部がマトリックスポリマー分子と相互作用するもの
を選択すればよい。例えば、マトリックスポリマー分子がポリ D 乳酸である場合には 、少なくともその一部が L 乳酸力 なるオリゴマーまたはポリマー部分であるポリ乳 酸 (A)を用い、好適には L 乳酸を主体とするポリ L 乳酸を用いる。また、 D 乳酸 力もなるブロックを X、 L 乳酸力もなるブロックを Yとする場合、例えばマトリックスポリ マーであるポリ乳酸力 ¾—Y—Xであるブロック共重合体である場合、好適には、ポリ 乳酸 (Α)を Υ— X— Υのブロック共重合体とする。更に、マトリックスポリマーであるポリ 乳酸が、例えばポリ D 乳酸とポリ L 乳酸との混合物である場合には、ポリ乳酸 (Α) もポリ D 乳酸とポリ L 乳酸との混合物としてよい。また、マトリックスポリマー分子と 少なくとも一部が相互作用できるものであれば、ポリ乳酸 (Α)は、 D 乳酸と L 乳酸 とのランダム共重合体であってもよい。何れにせよ、ポリ乳酸 (Α)は、マトリックスポリ マーの光学特性に応じて適宜選択することができる。
[0022] 本発明において、「ポリ D—乳酸」と「ポリ L—乳酸」は、それぞれ D—乳酸または L 乳酸のみ力 構成されるものに限定されず、それぞれ D—乳酸または L—乳酸を 主体とするものであればよいものとする。ここで「主体とする」とは、「ポリ D 乳酸」また は「ポリ L -乳酸」を構成する乳酸のうち、 80質量%以上がそれぞれ D -乳酸または L 乳酸であることが好ましぐより好ましくは 85質量%以上、更に好ましくは 90質量 %以上がそれぞれ D 乳酸または L 乳酸である。ポリ D 乳酸またはポリ L 乳酸 における D 乳酸または L 乳酸以外の成分は、それぞれの光学異性体、即ちポリ D 乳酸においては L 乳酸であってもよいし、乳酸に重合可能な他の成分であつ てもよい。乳酸に重合可能な他の成分としては、例えば、 2価以上のアルコール性ィ匕 合物若しくは 2価以上のカルボン酸ィ匕合物、または、例えば環状ラタトン、環状エー テル、環状ラタタム等の開環重合可能な化合物を挙げることができる。
[0023] ポリ乳酸は、 L 乳酸または D 乳酸の比率が高い、即ち光学純度が高いと結晶 性が高ぐ耐熱性や力学物性に優れる。一方、ポリ D 乳酸中の L 乳酸の比率や ポリ L 乳酸中の D 乳酸の比率が比較的高!、共重合体は結晶性が低 、かまたは 非晶性であり、耐熱性が低ぐまた、力学物性が低い。よって、本発明のポリ乳酸とし ては、光学純度が高いポリ乳酸が好適である。好適には、ポリ乳酸 (Α)として、実質 的に 100%の光学活性乳酸力もなるホモポリ D 乳酸またはホモポリ L -乳酸を用 ヽ
る。
[0024] ポリ乳酸 (A)は、 100〜100万の数平均分子量を有するものであることが好ましい。
分子量が 100以上であれば、本発明に係る機能性フイラ一のマトリックスポリマーに おける分散性を十分に確保することができる。一方、当該分子量が 100万以下であ れば、ステレオコンプレックスを十分に形成できる。なお、ポリ乳酸 (A)の数平均分子 量の測定は、後述するとおり、 GPC (ゲルパーミエーシヨンクロマトグラフィー)測定を 用いて行うことができる。
[0025] 本発明に係る機能性フイラ一は、原料フィラーの表面または末端がポリ乳酸 (A)で 修飾されているものである。この修飾は、原料フィラーの表面または末端に、ポリ乳酸 (A)をィ匕学的および Zまたは物理的に結合させることにより行う。ここで、化学的結合 としては、ポリ乳酸の末端乳酸分子の水酸基と形成されるエステル結合、末端乳酸 分子のカルボキシル基と形成されるエステル結合やアミド結合などを挙げることがで きる。また、物理的結合としては、イオン結合や水素結合などを挙げることができる。 従って、原料フイラ一力 カルボキシル基、水酸基またはカルボニル基と化学的およ び Zまたは物理的に結合可能な官能基を表面または末端に有するものであれば、ポ リ乳酸 (A)により容易に修飾できる。このような官能基としては、例えば、アミノ基、水 酸基、カルボキシル基およびエポキシ基等の親水性官能基が挙げられる。原料フィ ラーがその表面または末端にこれらの親水性官能基を有して 、な 、場合は、公知の 方法を用いて、これらの親水性官能基を導入してもよい。また、カルボキシル基等は 、反応性を高めるために活性エステルイ匕するなどしてもょ ヽ。
[0026] 原料フィラーとしては、無機系の棒状フィラー、層状フィラー、粒子状フイラ一および これらのゾル溶液のいずれであってもよいし、またポリマーマトリックスと均一に溶解あ るいは分散する有機系化合物 (有機フィラー)も利用可能である。また無機系フイラ一 の原料である金属アルコキサイド類も利用可能である。
[0027] 棒状フィラー、即ち繊維状フイラ一または針状フィラーとしては、最もアスペクト比( 長さ Z直径または直径 Z厚さ)が高ぐ榭脂組成物の機械的特性を大幅に向上させ ることができるものが好適である。その具体例としては、ガラス繊維、アスベスト繊維、 炭素繊維 (カーボンナノチューブ等の繊維状、針状またはフラーレン等の球状の-ュ
一カーボンを含む)、グラフアイト繊維、金属繊維、棒状ヒドロキシアパタイト、チタン酸 カリウムゥイスカー、ホウ酸アルミニウムウイスカー、マグネシウム系ゥイスカー、珪素系 ゥイスカー、ウォラストナイト、セピオライト、スラグ繊維、ゾノライト、エレスタダイト、ベ 一マイト、石膏繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、シリカ'アルミナ繊維、ジルコ -ァ繊 維、窒化硼素繊維および硼素繊維等の無機繊維状'針状フィラー;ポリエステル繊維 、ナイロン繊維、アクリル繊維、セルロース繊維、アセテート繊維、ァラミド繊維、ケナ フ繊維、ラミー、木綿、ジユート、麻、サイザル、亜麻、リネン、絹、マニラ麻、木材パル プ、古紙、ウール等の有機繊維状フイラ一が挙げられる。
[0028] 層状フィラーまたは板状フイラ一は、粒子状フイラ一と比較して衝撃強度は劣るもの の、粒状フィラーよりも高いアスペクト比を有するため、剛性の改良効果が大きぐ つ寸法安定性に優れる等の利点を有している。具体的には、天然および合成スメク タイト等、より具体的にはクニミネ工業株式会社製クニピア (登録商標) Pやスメクトン 等のクレー;板状アルミナ、タルク、マイ力、セリサイト、ガラスフレーク、各種金属箔、 黒鉛、板状炭酸カルシウム、板状水酸ィ匕アルミニウム、板状水酸ィ匕マグネシウム等を 材料とするものが挙げられる。
[0029] 球状や不定形状の粒子状フイラ一は、アスペクト比が 1に近いフィラーである。その 具体例としては、ヒドロキシアパタイト、炭酸カルシウム、シリカ、メソポーラスシリカ、ジ ルコユア、アルミナ、 Y— PSZ、スピネル、タルク、ムライト、コージェエライト、炭化ケィ 素、窒化アルミ、へマタイト、コバルトブルー、コバルトバイオレット、コノ ルトグリーン、 マグネタイト、 Mn— Znフェライト、 Ni— Znフェライト、酸化イットリウム、酸ィ匕セリウム、 酸化サマリウム、酸化ランタン、酸ィ匕タンタル、酸ィ匕テルビウム、酸化ユーロピウム、酸 化ネオジム、酸化亜鉛、酸化チタン、フッ化マグネシウム、酸化スズ、アンチモン含有 酸化スズ(ATO)、スズ含有酸化インジウム、チタン酸バリウム、 PT、 PZT、 PLZT、ク レーを材料とするもの、各種鉱石粉砕品、各種ビーズ、各種バルーン等が挙げられる
[0030] ゾル溶液としては、 日産化学株式会社、扶桑ィ匕学株式会社や川研ファインケミカル 株式会社製のシリカゾル溶液、ベーマイトゾル溶液などが挙げられる。
[0031] 金属アルコキサイド類としては、ケィ素系アルコキサイド類、チタン系アルコキサイド
類、アルミニウム系アルコキサイド類、ジルコニウム系アルコキサイド類、スズ系アルコ キサイド類、ゲルマニウム系アルコキサイド類、希土類系アルコキサイド類およびこれ らの混合物および/または複合アルコキサイドが挙げられる。
ケィ素系アルコキサイド類としては、テトラエトキシシランなど、アルコキシ基の炭素 数が 1〜5のテトラアルコキシシラン;メチルトリエトキシシラン等のメチルトリアルコキシ シラン;フエニルトリエトキシシラン等のフエニルトリアルコキシシラン;ジメチルジェトキ シシラン等のジメチルジアルコキシシラン;ジフエ-ルジメトキシシランゃジフエ-ルシ ランジオール等のジフエ-ルジアルコキシシラン;チッソ株式会社製のサイラエース( 登録商標) S210や S220等のビュルトリアルコキシシラン;チッソ株式会社製のサイラ エース S310等の N— (2 アミノエチル) 3 ァミノプロピルメチルジアルコキシシラン ;チッソ株式会社製のサイラエース S320等の N— (2 アミノエチル) 3 ァミノプロピ ルトリアルコキシシラン;チッソ株式会社製のサイラエース S330や S360等の 3 アミ ノプロピルトリアルコキシシラン;チッソ株式会社製のサイラエース S510等の 3 ダリ シドキシプロピルトリアルコキシシラン;チッソ株式会社製のサイラエース S520等の 3 グリシドキシプロピルメチルジアルコキシシラン;チッソ株式会社製のサイラエース S 530等の 2— (3, 4 エポキシシクロへキシル)ェチルトリアルコキシシラン;チッソ株 式会社製のサイラエース S610等の 3 クロ口プロピルメチルジアルコキシシラン;チッ ソ株式会社製のサイラエース S620等の 3 クロ口プロピルトリアルコキシシラン;チッ ソ株式会社製のサイラエース S710等の 3—メタクリロキシプロピルトリアルコキシシラ ン;チッソ株式会社製のサイラエース S810等の 3 メルカプトプロピルトリアルコキシ シラン;チッソ株式会社製のサイラエース S340等の N— (1, 3 ジメチルブチリデン) —3— (トリアルコキシシリル)— 1—プロパンァミン;チッソ株式会社製のサイラエース S350等の N— [2— (ビュルベンジルァミノ)ェチル ] 3 ァミノプロピルトリアルコキ シシラン'塩酸塩;チッソ株式会社製のサイラエース XS 1003等の N, N,-ビス [3— ( トリアルコキシシリル)プロピル]エチレンジァミン;チッソ株式会社製のサイラエースォ リゴマー MS3201、 MS3202、 MS3301、 MS3302等のアミノ系シランカップリング 剤のオリゴマー;チッソ株式会社製のサイラエースオリゴマー MS5101や MS5102 等のエポキシ系シランカップリング剤のオリゴマー;チッソ株式会社製のサイラブレー
ン(登録商標) FM— 1111、サイラプレーン FM— 1121、サイラプレーン FM— 112 5等の末端水素化ポリジメチルシロキサン;チッソ株式会社製のサイラプレーン FM— 2231等の末端ビ-ルイ匕ポリジメチルシロキサン;チッソ株式会社製のサイラプレーン FM— 7711、サイラプレーン FM— 7721、サイラプレーン FM— 7725、サイラブレ ーン FM— 0711、サイラプレーン FM— 0721、サイラプレーン FM— 0725、サイラ プレーン TM -0701,サイラプレーン TM -0701T等の末端メタクリロキシ基化ポリ ジメチルポリシロキサン;チッソ株式会社製のサイラプレーン FM -0411,サイラブレ ーン FM— 0421、サイラプレーン FM— 0425、サイラプレーン DA— 11、サイラブレ ーン DA— 21、サイラプレーン DA— 25等の末端水酸化ポリジメチルシロキサン;チ ッソ株式会社製のサイラプレーン FM— 0511、サイラプレーン FM— 0521、サイラプ レーン FM— 0525等の末端エポキシィ匕ポリジメチルシロキサン;チッソ株式会社製の サイラプレーン FM— 0611、サイラプレーン FM— 0621、サイラプレーン FM— 062 5等の末端カルボキシル化ポリジメチルシロキサン;ポリメチルシルセスキォキサン 10 0%メチル、ポリメチルーヒドリドシルセスキォキサンの 90%メチルー 10%ヒドリド、ポリ フエ二ルシルセスキォキサン 100%フエニル、ポリフエ二ルーメチルシルセスキォキサ ンの 90%フエ-ルー 10%メチル、フエ-ルシルセスキォキサン—ジメチルシロキサン コポリマーの 70%フエ-ルー 30%ジメチル、ポリフエ-ループロピルシルセスキォキ サン 70%フエ-ル, 30%プロピル、ポリフエ-ルーピ-ルシルセスキォキサンの 90% フエ-ルニ 10%ビュル、ポリシクロへキシルシルセスキォキサンシラノール反応性〉 9 0%T7立方体、ポリシクロへキシルシルセスキォキサンシラノール反応性〉 95%Τ7立 方体、ポリシクロペンチルシルセスキォキサン(Η置換体)ヒドロシリル化用 Τ8立方体 、ポリシクロペンチルシルセスキォキサン (メタクリロキシ置換体)重合性 Τ8立方体、ポ リシクロペンチルシルセスキォキサン(全 Η置換体) Τ8立方体、ポリ(2 クロ口ェチル )シルセスキォキサン、 Τ8立方体、ポリ(2 クロロェチル)シルセスキォキサン等のポ リシノレセスキォキサン;等が挙げられる。
チタン系アルコキサイド類としては、テトラエトキシチタン等の、アルコキシ基の炭素 数が 1〜 10のテトラアルコキシチタン;チタンジ η—ブトキサイド(ビス 2, 4 ペン タンジォネートなど)を f列示することができる。
[0034] アルミニウム系アルコキサイド類としては、アルミニウムトリイソプロポキサ;アルミ-ゥ ムジ sec ブトキサイドェチルァセトアセテート等のアルミ-ゥムジアルコキシジケトネ ート;ァノレミ-ゥムー sec—ブトキサイドビス(ェチノレアセトアセテート)等のァノレミ-ゥム アルコキシビスジケトネート;アルミニウムトリ 2, 4 ペンタンジォネート等のアルミ-ゥ ムトリジケトネート;酢酸アルミニウムやアクリル酸アルミニウム等のアルミニウムカルボ キシレートを例示することができる。
[0035] ジルコニウム系アルコキサイド類としては、水酸化ジルコニウム;テトラー n—プロプ キシジルコニウム等のアルコキシ基の炭素数が 1〜10のテトラアルコキシジルコユウ ム;ジルコニウムメタクリルォキシェチルァセトアセテートトリ プロポキサイド等の ジルコニウムトリアルコキシジケトネート;ジルコニウムジ— iso -プロポキサイド(ビス― 2, 2, 6, 6—テトラメチルー 3, 5 ヘプタジォネート)等のジルコニウムジアルコキシ ジケトネート;ジルコニウムテトラー 2, 4 ペンタンジォネート等のジルコニウムテトラ ケトネート;ジルコ -ルジメタタリレートゃジルコ-ルプロピオネート等のジルコニウム力 ルボキシレートを例示することができる。
[0036] ハフニウム系アルコキサイド類としては、テトラー n—ブチルハフニウム等の、アルコ キシ基の炭素数が 1〜10のテトラアルコキシハフニウム;ノヽフニゥムテトラー 2, 4 ぺ ンタンジォネート等のハフニウムテトラケトネート;ハフニウムジー n—ブトキサイド(ビス - 2, 4 ペンタンジォネート)等のハフ-ゥムジアルコキシジケトネートを例示すること ができる。
[0037] イットリウム系アルコキサイド類としては、イットリウムトリイソプロポキサイド等のアルコ キシ基の炭素数が 1〜10のトリアルコキシイットリウム;イットリウムトリ 2, 4 ペンタンジ ォネート等のイットリウムトリジケトネート;酢酸イットリウムやアクリル酸イットリウム等の アルミニウムカルボキシレート等が挙げられる。
[0038] 有機フイラ一としては、二価以上のアルコール、フエノール、カルボン酸、ァミン、ェ ポキシおよびラテックス等が挙げられる。
[0039] 二価以上のアルコールまたはフエノールとしては、例えば、エチレングリコール;ジ エチレングリコール;トリエチレングリコール;分子量 200〜35, 000のポリエチレング リコールおよびポリプロピレングリコール; 1, 3 プロパンジオール; 1, 4 ブタンジォ
ール; 1 , 5 ペンタンジオール; 1, 6 へキサンジオール; 1, 7 ヘプタンジオール ; 1, 8 オクタンジオール; 1, 9ーノナンジオール; 1, 10 デカンジオール; 1, 11 ゥンデカンジオール; 1, 12 ドデカンジオール; 1, 4ージベンジルアルコール; 1, 4 ージヒドロキシベンゼン; 1, 3 ジヒドロキシベンゼン; 4, 4'ージヒドロキシビフエニル ; 2, 2,一ジヒドロキシビフエ-ル; 4 -ヒドロキシフエネチルアルコール; 3— (4 ヒドロ キシフエ-ル) 1—プロパノール;ノヽイドロキノンビス(2—ヒドロキシェチル)エーテル ;4, 4,一イソプロピリデンビス [2— (2, 6 ジブロモフエノキシ)エタノール] ; 2— (2 —ヒドロキシエトキシ)フエノール; trans— 9, 10 ジヒドロ一 9, 10 エタノアントラセ ン一 11 , 12-ジメタノール; 2 -ヒドロキシフエネチルアルコール; 3 -ヒドロキシフエネ チルアルコール; 1 フエ二ルー 1, 2 エタンジオール; 2 ベンジルォキシー 1, 3 プロパンジオール; 3 フエノキシ 1, 2 プロパンジオール; 1, 5 ジヒドロキシ - 1, 2, 3, 4—テトラハイドロナフタレン; 2, 2 ビフエニルジメタノール; 3, 5 ジヒド ロキシベンジルアルコール;ヒドロべンゾイン; a—ナフトールべンゼイン;ベンゾピナ コール; 2—ヒドロキシベンジルアルコール; 1, 2—ベンゼンジメタノール; 2, 2- (1, 2 フエ二レンジォキシ)ジエタノール; 3 ヒドロキシベンジルアルコール; 1, 3 べ ンゼンジメタノール; α , a , α ' , a 'ーテトラメチルー 1, 3 ベンゼンジメタノール; a , a , α ' , α,一テトラキス(トリフルォロメチル) 1, 3 ベンゼンジメタノール; 1, 4—ベンゼンジメタノール、 3—ァミノべンジルアルコール; α , a , α ' , a '—テトラメ チルー 1, 4 ベンゼンジメタノール; a , a , α ' , α,ーテトラキス(トリフルォロメチル )— 1, 4 ベンゼンジメタノールハイドレート;フエ-ルハイドロキノン; 2, 2' , 3, 3 ' , 5, 5 ' , 6, 6,ーォクタフルオロー 4, 4,ービフエノールハイドレート;ビス(4ーヒドロキ シフエ-ル)メタン;ビスフエノール A;ビスフエノール Ρ ;ビスフエノール Μ ; 4, 4,一(へ キサフルォロイソプロピリデン)ジフエノール; 2, 2 ビス(4 ヒドロキシー 3—メチルフ ェ -ル)プロパン; 1, 1, 1—トリス(4 ヒドロキシフエ-ル)ェタン;へキセストロール; テトラフルォロハイドロキノン; 1, 1,一ビー 2 ナフトール; 4, 4,一(9 フルォレニリ デン)ジフエノール; 2, 7 ジヒドロキシフルオレン; 4, 4,一(1, 3 ァダマンタネジル )ジフエノール; N, N,—ビス(2 ヒドロキシェチル)ォキサミド; 1, 5 ジヒドロキシナ フタレン; 1, 6 ジヒドロキシナフタレン; 1, 7 ジヒドロキシナフタレン; 2, 3 ジヒドロ
キシナフタレン; 2, 6 ジヒドロキシナフタレン; 2, 7 ジヒドロキシナフタレン;宇部興 産株式会社製の UC— CARB100、 UH— CARB50、 UH— CARB100、 UH— C ARB200、 UH— CARB300、 UM— CARB90 (1/1)、 UM— CARB90 (3/1)等 の分子量 250〜10, 000のポリカーボネートジオール;ポリテトラハイド口フラン等の 分子量 250〜10, 000のポジエーテノレジ才ーノレ;分子量 250〜 10, 000のポジエス テルジオール;分子量 250〜 10, 000のポリ力プロラタトンジオール;ハイドロキノン; 4, 8 ビス(ヒドロキシメチル)一トリシクロ [5. 2. 1. 0 (2, 6) ]デカン; 1, 4 シクロへ キサンメタノール; 4, 4 '—イソプロピリデンジシクロへキサノール; 1, 5 デカリンジォ ール; 2, 2, 3, 3, 4, 4, 5, 5—ォクタフルォロ 1, 6 へキサンジオール; 2, 2, 3,
3, 4, 4, 5, 5, 6, 6, 7, 7, 8, 8, 9, 9 へキサデカフルォ口 1, 10 デカンジォ ール;チッソ株式会社製のサイラプレーン FM—4411、サイラプレーン FM— 4421、 サイラプレーン FM— 4425等の両末端水酸ィ匕ポリジメチル (フエ-ル)シロキサン;等 の二価のアルコールまたはフエノール;;トリメチロールェタン;トリメチロールプロパン; 2—(ヒドロキシメチル) 1, 3 プロパンジオール、 2 ェチルー 2—(ヒドロキシメチ ル)— 1, 3 プロパンジオール; 1, 1, 1, —トリス(ヒドロキシメチル)ェタン; 1, 2, 4 ブタントリオール;グリセロール; 1, 3, 5 トリメチロールベンゼン; 1, 2, 4 トリヒド ロキシベンゼン; 1, 3, 5 トリヒドロキシベンゼン;ピロガロール; 1, 3, 5 トリス(2— ヒドロシキシェチル)シァヌル酸;等の三価のアルコールまたはフエノール;;ペンタエ リスリトール;ジ(トリメチロールプロパン); DL -キシロース; D -キシロース; L -キシ ロース; 1, 1, 1, 5, 5, 5 へキサフルォロ 2, 2, 4, 4 ペンタンテトロール; 1, 2,
4, 5—テトラメチロールベンゼン;カリックス [4]ァレーン;等の四価のアルコールまた はフエノール;; L—マンノースやキシリトール等の五価のアルコール;;ジペンタエリス リトール、トリペンタエリスリトール、イノシトール、 α—シクロデキストリン、 j8—シクロデ キストリン、 γ—シクロデキストリン、力リックス [6]ァレーン、力リックス [8]ァレーン等の 六価以上のアルコールまたはフエノール等が挙げられる。
二価以上のカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸;スクシン酸;グルタル酸;ァ ジピン酸; 1, 10—デカンジカルボン酸;パーフルォロアジピン酸;パーフルォロスベリ ン酸;パーフルォロセバシン酸;1, 3 ァダマンタンジ酢酸;1, 3 ァダマンタンジカ
ルボン酸; 1, 4 シクロへキサンジカルボン酸; trans— 1, 4 シクロへキサンジカル ボン酸;1, 3 シクロへキサンジカルボン酸;1, 2—シクロへキサンカルボン酸;チッ ソ株式会社製品のサイラプレーン FM— 6611、サイラプレーン FM— 6621、サイラ プレーン FM— 6625等の両末端カルボキシル化ポリジメチル(フエ-ル)シロキサン; 等の二価のカルボン酸;;トリメシン酸; 1, 2, 3 ベンゼンカルボン酸; 1, 3, 5 シク 口へキサントリカルボン酸; 1, 3, 5 トリメチル—1, 3, 5 シクロへキサントリカルボ ン酸;等の三価のカルボン酸;; 1, 2, 4, 5 ベンゼンテトラカルボン酸;シクロブタン テトラカルボン酸; 1, 2, 3, 4, 5, 6 へキサカルボン酸等の四価以上のカルボン酸 等が挙げられる。
二価以上のァミンとしては、例えば、エチレンジァミン; 1, 3 ジァミノプロパン; 1, 2 ジァミノプロパン;1, 4 ジァミノブタン;1, 5 ジァミノペンタン;へキサメチレンジ ァミン; 1, 7 ジァミノヘプタン; 1, 8 ジァミノオクタン; 1, 9ージアミノノナン; 1, 10 ージァミノデカン; 1, 11ージアミノウンデカン; 1, 12 ジアミノドデカン; 4, 4'ージァ ミノべンズァユリド;ビス(へキサメチレン)トリァミン; 4 (アミノメチル)一 1, 8—ォクタ ンジァミン;トリス(2 アミノエチルァミン); 5 ァミノ一 2, 2, 4 トリメチル 1—シク 口ペンタンメチルァミン; 5 アミノー 1, 3, 3 トリメチルシクロへキサンメチルァミン; 4 , 4,一メチレンビス(2—メチルシクロへキシルァミン); 1, 3 シクロへキサンビス(メチ ノレアミン);4, 4,ーメチレンビス(シクロへキシルァミン);4, 4,一エチレンジァ-リン; 3, 3,ーメチレンジァニリン; 4, 4'ーメチレンジァニリン; 4, 4'ーメチレンビス(3—クロ ロー 2, 6 ジメチルァニリン); 4, 4' ォキシジァニリン; 4, 4' エチレンジー m—ト ルイジン; o トリジン;テトラメチルベンジジン; 1, 4 フエ二レンジァミン; 1, 2 フエ 二レンジァミン; 1, 3 フエ二レンジァミン; APB、 APB— N、ビスァニリン P、ビスァ 二リン一 M、 NBDA等の三井ィ匕学株式会社製の機能性榭脂モノマー; 2, 3 ジアミ ノトノレェン; 4 クロ口一 1, 2 フエ二レンジァミン; 4, 5 ジクロロ一 1, 2 フエ二レン ジァミン; 3, 4 ジァミノトルエン; 4ーメトキシ 1, 2 フエ二レンジァミン; 2, 6 ジァ ミノトルエン; 4, 4'ージアミノォクタフルォロビフエニル; 3, 3—ジァミノべンジジン; 4, 5 ジメチルー 1, 2 フエ二レンジァミン; 2, 4 ジァミノトルエン; 3, 5 ジァミノベン ジルアルコール; 1, 2, 4, 5, ベンゼンテトラミン; 4, 4,一(へキサフルォロイソプロ
ピリデン)ジァ-リン; 3, 3,ージメトキシベンジジン;パラロサ-リンベース; 3, 3,ージ メチルナフチジン; 1, 5 ジァミノナフタレン; 2, 7 ジァミノフルオレン; 1, 8 ジアミ ノナフタレン; 9, 10 ジァミノフエナンスレン; 2, 3 ジァミノナフタレン; 3, 7 ジアミ ノー 2—メトキシフルオレン;メラミン; 2, 4, 6 トリアミノビリミジン; 2, —ジメチル一 1, 3 -プロパンジァミン;スペルミディン;スペルミン;ジエチレントリアミン; trans— 1, 4 ジアミノシクロへキサン;チッソ株式会社製のサイラプレーン FM— 3311、サイラプ レーン FM— 3321、サイラプレーン FM— 3325等の両末端アミノ化ポリジメチル(フ ェニル)シロキサン;等が挙げられる。
[0042] 二価以上のエポキシとしては、例えば、ビスフエノール A型エポキシ榭脂;臭素化ビ スフエノール Aエポキシ榭脂;オルソクレゾールノボラック型エポキシ榭脂;脂環式ェ ポキシ榭脂; DCPDエポキシ榭脂;臭素化ノボラック型、フエノールノボラック型、ビフ ェニール型など、ポリフエノール型エポキシ榭脂; 1, 3, 5 トリス(2, 3 エポキシプ 口ピル)イソシァヌレートなど、ポリグリシジルァミン型エポキシ榭脂;アルコール型ェポ キシ榭脂;エステル型エポキシ榭脂;等を例示することができる。以上のエポキシ化合 物は、化学工業日報社発行の「14705の化学商品」の P1126〜P1135に記載され ている。その他の二価以上のエポキシとしては、チッソ株式会社製品のサイラプレー ン FM— 5511、サイラプレーン FM— 5521、サイラプレーン FM— 5525など、両末 端エポキシィ匕ポリジメチル (フエ-ル)シロキサン等が挙げられる。
[0043] ラテックスとしては、日本合成ゴム株式会社、日本エイアンドエル株式会社や日本 ゼオン株式会社等の商品、例えば、商品名ピラテックスや Nipolシリーズ等が挙げら れる。
[0044] 使用する原料フイラ一は、 1種を単独で用いてもよいし、 2種以上を混合して用いて ちょい。
[0045] 特に好適な原料フィラーとしては、ペンタエリスリトール、トリメシン酸、ジペンタエリス リトール、ポリテトラハイド口フラン、 myo イノシトール、ポリエチレングリコール、テトラ エトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、 1, 4 フエ二レンジァミン、へキサメチレン ジァミン、 4, 4,—ビフエノール、 1, 3, 5 トリス(2 ヒドロキシェチル)シァヌル酸、 N , Ν'—ビス (ヒドロキシェチル)ォキサミド、およびビスフエノールカもなる群より選択さ
れる少なくとも 1種力もなるものを例示することができる。これら原料フィラーを構成成 分とする機能性フイラ一の効果は、後述する実施例で証明されて 、る。
[0046] 本発明に係る機能性フイラ一は、原料フィラー 100質量部当たり 0. 01質量部以上 のポリ乳酸 (A)で修飾されていることが好ましい。ポリ乳酸 (A)が 0. 01質量部以上 であれば、マトリックスポリマーであるポリ乳酸中での分散性が十分確保でき、得られ る榭脂組成物の耐熱性、成形性、力学強度の向上効果も十分である。より好ましくは 原料フィラー 1質量部当たりポリ乳酸 (A) 0. 1質量部以上、更に好ましくは 0. 2〜20 00質量部である。
[0047] 原料フィラーの表面または末端を修飾して 、るポリ乳酸の末端の水酸基またはカル ボキシル基は保護されていてもよい。より具体的には、当該水酸基またはカルボキシ ル基を、エステル化、ウレタン化、またはエーテルィ匕する。特に、エステルイ匕すること が好ましい。力かる保護によって、本発明の機能性フイラ一および榭脂組成物等の 熱安定性を向上できる。
[0048] 上記エステル化には、カルボン酸エステル化の他、スルホン酸エステル化やリン酸 エステル化も含まれるものとする。リン酸エステルには、モノエステル、ジエステル、トリ エステルが考えられる。
[0049] 上記水酸基は、エステル化、ウレタン化、またはエーテルィ匕により保護することがで きる。エステルイ匕は、有機酸: R— CO Hまたはその酸無水物などの誘導体等を用い
2
て行うことができる。ウレタン化は、 RNHCOC1などの力ルバミン酸誘導体等を用いて 行うことができる。エーテル化は、 R—C1などのハロゲン化合物等を用いて行うことが できる。また、上記カルボキシル基は、エステルイ匕により保護することができる。当該 エステルイ匕は、 R—OH等により行うことができる。これらエステル化等の具体的な条 件としては、当業者公知の方法を採用することができる。例えば、反応容器中で原料 フィラーにポリ乳酸を結合させた後、単離することなく酸無水物ゃジイソシァネートな どを反応させるか、或いは単離した後、エーダーや二軸押し出し機中でジイソシァネ ートなどと反応させることによって、末端を修飾して保護することが可能である。
[0050] 上記 Rは、通常の有機基であれば特に制限されな 、が、例えば、メチル、ェチル、 プロピル、イソプロピル、 n—ブチル、 iso—ブチル、 sec—ブチル、 tert—ブチル、 n
—ペンチノレ、 n—へキシノレ、 n—ヘプチノレ、 n—ォクチノレ、 n—ノ-ノレ、 n—デシノレ、 n ーゥンデシル、 n—ドデシルなどの炭素数 1〜12のアルキル基;トリフルォロメチルな どの炭素数 1〜 12の置換アルキル基;エチレンなどの炭素数 2〜 12のアルキレン基; シクロへキシルなどの炭素数 3〜 10のシクロアルキル基;フエ-ルなどのァリール基を 挙げることができる。
上記保護を行うための具体的な試薬としては、例えば、無水酢酸、酢酸、酢酸塩化 物、無水プロピオン酸、プロピオン酸、無水ブチリック酸、ブチリック酸、無水コハク酸 、コハク酸、無水フタル酸、フタル酸、アジピン酸、カンファー酸、シクロへキサン二酢 酸、シクロペンタン二酢酸、ァダマンタンジカルボン酸、ノルボルナンジカルボン酸無 水物、ノルボルナンジカルボン酸、ノルボルネンジカルボン酸無水物、ノルボルネン カルボン酸、 2, 6 ナフタレンジカルボン酸、 1, 4 ナフタレンジカルボン酸、 1, 5 ナフタレンジカルボン酸、無水トリフルォロ酢酸、トリフルォロ酢酸、無水ペンタフル ォロプロピオン酸、無水ヘプタフルォロブチリック酸、ヘプタフルォロブチリック酸、無 水安息香酸、安息香酸、無水トリフルォロメタンスルホン酸、トリフルォロメタンスルホ ン酸、ェチルイソシァネート、プロピルイソシァネート、 sec ブチルイソシァネート、 te rtーブチノレイソシァネート、ペンチノレイソシァネート、へキシノレイソシァネート、へプチ ルイソシァネート、ォクチルイソシァネート、シクロへキシノレイソシァネート、イソホロン ジイソシァネート、フエ-ルイソシァネート、トルエンジイソシァネート、トルエン 2, 4 ージイソシァネート、トノレェンー 2, 6 ジイソシァネート、 1, 3 フエ二レンジイソシァ ネート、 1, 3 ビス(イソシァネートメチル)ベンゼン、 1, 3 ビス(イソシァネート一 1 —メチノレエチノレ)ベンゼン、 4, 4, 一メチレンビス(フエ-ルイソシァネート)、 1 , 4 フ ェ-レンジイソシァネート、 1 クロロメチノレー 2, 4 ジイソシァネートベンゼン、 4, 4 ' —メチレンビス(2, 6 ジフエ-ルイソシァネート)、 4, 4, 一ォキシビス(フエ-ルイソ シァネート)、 1, 4ージイソシァネートブタン、 1, 6 ジイソシァネートへキサン、 1, 8 ージイソシァネートオクタン、 1, 12 ジイソシァネートドデカン、 1, 5 ジイソシァネ ート一 2—メチルペンタン、トリメチル 1, 6 ジイソシァネートへキサン、 1, 3 ビス( イソシァネートメチル)シクロへキサン、 trans— 1, 4 シクロへキシレンジイソシァネ ート、 4, 4'—メチレンビス(シクロへキシノレイソシァネート)、イソホロンジイソシァネー
ト、新日本理ィ匕製リカシッド (登録商標) TH、リカシッド ΉΤ— 1A、リカシッド ΉΗ、リカ シッド ΜΗ— 700、リカシッド ΜΤ—500ΤΖ、リカシッド ΗΝΑ— 100、およびこれらの 混合物等が挙げられる。
[0052] なお、無水フタル酸などの 2価の酸の無水物を保護用試薬として用いた場合には、 2つのポリ乳酸の末端水酸基と反応し、 2つのポリ乳酸を結合すると考えられる。但し 、当該無水物がポリ乳酸の 1つの末端水酸基とのみ反応し、無水物由来のカルボキ シル基が残ることもあり得る。
[0053] 原料フィラーを前記ポリ乳酸 (Α)により修飾する方法としては特に限定されないが、 例えば、原料フィラーの存在下、乳酸を脱水重合および Ζまたはラクチドを開環重合 する方法が挙げられる。なお、これらの脱水重合および開環重合は、特開平 9 143 253号公報記載の方法ゃ特開平 7— 206851号公報記載の方法を利用することが できる。
[0054] より具体的には、
乳酸および Ζ若しくはラクチドの溶液、または、乳酸および Ζ若しくはラクチドの融 液と、原料フィラーとを混合する工程;と、
乳酸および Ζまたはラクチドを重合させることによって、原料フィラーの表面または 末端をポリ乳酸で修飾する工程を含む方法で、本発明の機能性フイラ一を製造でき る。このような機能性フイラ一の製造方法もまた、本発明の 1つである。以下、各工程 ごとに条件等を説明する。
[0055] 先ず、乳酸および Ζ若しくはラクチドの溶液、または、乳酸および Ζ若しくはラクチ ドの融液と、原料フィラーとを混合する。溶液の溶媒としては、トルエンを好適に用い ることができる。続く重合工程では、重合により生じる水を除去しつつ反応させるが、 力かる反応ではベンゼンやトルエンが一般的に使用される。しかし、ベンゼンの沸点 は比較的低く反応が良好に進行しないおそれがあるので、好適にはトルエンを用い る。また、乳酸の融点は約 53°Cであり、ラクチドの融点は 124°Cであるので、温度をこ れら以上にすることにより容易に融液とすることができる。なお、混合方法は特に制限 されず、上記溶液または融液に原料フィラーを添加し混合してもよいし、乳酸等と原 料フイラ一を混合した上で溶媒を加えたり乳酸等を融解してもよい。
[0056] 原料フィラーが、その表面または末端に乳酸またはポリ乳酸と結合可能な官能基を 有さない場合には、公知方法を用いて当該官能を導入してもよい。具体的には、ァ ルコキシ基の少なくとも 1つがアミノアルキル基やエポキシアルキル基等の官能基で 置換されて 、るアルコキシシランと原料フィラーとを混合し、アルコキシシランを重合さ せつつ原料フィラーの表面を改質する方法がある。
[0057] 乳酸等と原料フィラーとの割合は、原料フィラーに結合させるポリ乳酸 (A)の量、即 ち結合するポリ乳酸 (A)の数や個々の分子量、また、原料フィラーに結合していない ポリ乳酸を残留させたいか否か等によって、適宜調整すればよい。また、原料フイラ 一の種類によっても調整する。例えば、ポリ乳酸が結合できる官能基を 2個しか有し ない二価アルコールの場合、乳酸等の量は比較的少なくすべきである。一方、表面 改質シリカなど、表面に多くのポリ乳酸等を結合できる原料フィラーを用いる場合に は、乳酸等の量は比較的多くしてもよい。また、乳酸等の溶液の濃度は特に制限さ れないが、例えば 40〜80質量%程度とすることができる。なお、当該工程の段階で は、完全な溶液である必要はなぐ乳酸等の一部が溶解せず懸濁状態にあってもよ い。
[0058] 次に、混合工程で得た混合液の温度を上げ、重合反応を進行させる。乳酸の重合 と同時に、原料フィラーの表面または末端の反応性基へポリ乳酸が結合する。この際 、一般的な重合触媒を添加してもよいが、機能性フイラ一の精製を行わない可能性を 考慮すれば、触媒は用いないことが好ましい。重合反応は、温度を 100〜250°C程 度に上げることにより進行させる。また、アルゴンガスや窒素ガスなどの不活性ガスを 導入したり、反応系における水を除去することによって、重合反応をより一層進行させ ることもできる。反応時間は特に制限されないが、 5〜20時間程度にすることができる 。なお、反応基質に応じて反応温度や反応時間を調節することによって、ポリ乳酸の 重合度を調節することができる。
[0059] 上記製造方法の他、結合させるべきポリ乳酸を別途合成しておき、当該ポリ乳酸を 原料フィラーに結合させることもできる。この方法は、ブロック共重合体など特殊なポリ 乳酸を結合させる場合に有効である。ポリ乳酸を原料フィラーへ結合させる前に、ポ リ乳酸の末端水酸基や末端カルボキシル基を活性ィ匕してもよい。
[0060] 反応終了後は、反応混合物をクロ口ホルムやジォキサンなどに溶解した後、ポリ乳 酸の貧溶媒であるメタノールまたはエタノールを徐々に加えて機能性フイラ一を優先 的に再沈殿させ、この沈殿を回収することで精製してもよい。但し、未結合のポリ乳酸 との混合物として、そのまま用いてもよい。
[0061] また、機能性フイラ一の精製後、必要に応じて固体状態で減圧下加熱することによ り更に固相重合を行って、分子量の増加を図ってもよい。
[0062] 上記製法において、原料フィラーに対して過剰量の乳酸および Zまたはラクチドを 用い、且つ必要以上の精製は行わないことによって、原料スラリーに結合していない ポリ乳酸を含む機能性フイラ一組成物を製造することもできる。力かる機能性フイラ一 組成物とその製造方法も、本発明の 1つである。
[0063] 本発明の機能性フイラ一組成物は、上記機能性フイラ一と、当該機能性フイラ一製 造時に生成する未結合のポリ乳酸とを含む。カゝかる榭脂組成物は、精製工程を省略 して製造できるため、コストの面力も有利である。
[0064] なお、当該機能性フイラ一組成物において、原料フィラーの表面または末端を修飾 して 、るポリ乳酸の末端の水酸基またはカルボキシル基を保護した場合には、未結 合のポリ乳酸の末端の少なくとも一部も、同様に保護されていることが想定される。か 力る機能性フイラ一組成物も、本発明範囲に含まれるものとする。
[0065] 本発明の榭脂組成物は、
本発明の機能性フイラ一、およびマトリックスポリマーであるポリ乳酸を含み、 当該ポリ乳酸の少なくとも一部が、機能性フイラ一の表面または末端を修飾してい るポリ乳酸と相互作用するものであることを特徴とする。この榭脂組成物では、マトリツ タスポリマーであるポリ乳酸と機能性フイラ一に結合しているポリ乳酸とが相互作用で きること力 、機能性フイラ一が複数のマトリックスポリマーを架橋し、組成物材料の耐 熱性や強度等が顕著に高められる。なお、以下、マトリックスポリマーであるポリ乳酸 を「ポリ乳酸 (B)」と 、う場合がある。
[0066] マトリックスポリマーであるポリ乳酸 (B)としては、その少なくとも一部力 機能性フィ ラーに結合して 、るポリ乳酸 (A)と相互作用できるものを用いる。ポリ乳酸 (B)の少な くとも一部がポリ乳酸 (A)と相互作用できれば、複数のポリ乳酸 (B)がポリ乳酸 (A)に
架橋され、耐熱性等が向上し得るが、より一層の効果の向上を期して、ポリ乳酸 (A) に強い相互作用を示すポリ乳酸 (B)を用いることが好ましい。例えば、ポリ乳酸 (A) がポリ L 乳酸である場合には、ポリ乳酸 (B)としてポリ D 乳酸を用いることが好まし い。また、ポリ乳酸 (B)としてポリ乳酸の混合物を用いてもよぐこの場合には、機能性 フイラ一として、ポリ乳酸の混合物により表面または末端が修飾されているものを用い てもよい。
[0067] ポリ L 乳酸やポリ D—乳酸は、例えば、特開平 9— 143253号公報に示されてい るように、植物原料力 発酵法により得られた L 乳酸または D 乳酸を直接縮合し て得ることができる。また、特開平 7— 206851号公報に示されているように、乳酸の 低分子縮合物 (乳酸オリゴマー)を熱分解して得られる乳酸の環状 2量体 (D ラクチ ド、 Lーラクチド)を開環重合しても同様のポリ L 乳酸やポリ D 乳酸を得ることがで きる。
[0068] 本発明に用いる前記ポリ乳酸 (B)の好ま 、分子量は、 目的や用途、必要性能ま たは成形方法によって自ら最適値が定まるが、通常、ポリスチレン換算の数平均分子 量 (Mn)で 5万以上、好ましくは 10万以上、更に好ましくは 12万〜 50万である。本発 明における数平均分子量は、 1, 1, 1, 3, 3, 3 へキサフルオロー 2 イソプロパノ ール溶媒での GPC (ゲルパーミエーシヨンクロマトグラフィ)で測定するものとする。尚 、ポリ乳酸の重量平均分子量は、通常 1. l〜5 X Mn、好ましくは 1. l〜3 X Mnであ る。しかし、例えば発泡用途やインフレーションフィルム用途等の特別な用途におい ては、この範囲以外でも充分に使用可能である。
[0069] 本発明の榭脂組成物には、機能性フイラ一製造時に生成する未結合のポリ乳酸を 配合してもよい。このポリ乳酸は、本発明の機能性フイラ一とマトリックスポリマーの他 に添加してもよいが、上述した本発明の機能性フイラ一組成物に含まれるものである 。よって、本発明の機能性フイラ一組成物とマトリックスポリマーを混合すれば、当該 ポリ乳酸は自然に配合されることになる。尚、機能性フイラ一製造時に生成する未結 合のポリ乳酸を、以下では「ポリ乳酸 (C)」と 、う場合がある。
[0070] ポリ乳酸 (C)の少なくとも一部がポリ乳酸 (B)と相互作用する場合、即ち、例えばポ リ乳酸 (A)やポリ乳酸 (C)がポリ L—乳酸でありポリ乳酸 (B)がポリ D—乳酸である場
合や、ポリ乳酸 (A)やポリ乳酸 (C)がポリ D 乳酸でありポリ乳酸 (B)がポリ L 乳酸 である場合は、ポリ乳酸 (A)および Zまたはポリ乳酸 (C)の少なくとも一部と、前記ポ リ乳酸 (B)とがステレオコンプレックスを形成することが可能である。
[0071] 本発明の機能性フイラ一とマトリックスポリマーであるポリ乳酸 (B)、またはポリ乳酸( B)とポリ乳酸 (C)とのステレオコンプレックスの有無は、例えば榭脂組成物を DSCに て昇温過程で測定する場合、ポリ L—乳酸またはポリ D—乳酸の融点 (Tml)より高 温に新たな融点 (Tm2)を示すことから容易に判断可能である。その融点 (Tm2)で の融解熱 ( Δ Hm2)は、ポリ L 乳酸中でのポリ D 乳酸の量またはポリ D 乳酸中 でのポリ L 乳酸の量に比例する。このことより、ポリ L 乳酸中のステレオコンプレツ タス量またはポリ D 乳酸中のステレオコンプレックス量の定量化が可能となる。
[0072] 本発明に係る榭脂組成物中の前記機能性フイラ一および Zまたは機能性フイラ一 組成物は、マトリックスポリマー 100質量部当たり 0. 01質量部以上であることが好ま しい。 0. 01質量部以上であれば、機能性フイラ一の添カ卩による物性改善効果を十 分に確保できる。より好ましくは 0. 5質量部以上、更に好ましくは 1質量部以上である 。一方、機能性フイラ一が過剰に添加されると、榭脂組成物の強度はかえつて低下す る場合がある。よって、機能性フイラ一の添加量は、マトリックスポリマー 100質量部当 たり 50質量部以下が好ましぐ 30質量部以下がより好ましい。
[0073] 本発明に係る榭脂組成物の耐熱性は、 110°C以上のヒートサグテストにおいて変 形量が 10mm未満の耐熱性であることが好ましい。ここで、上記ヒートサグテストは、 J IS K7195に準じ、 110°C以上の温度で 1時間加熱することにより行う。試験片はホ ットプレスで成形したものを、ホットカッターにより所定のサイズに切り出すことにより作 成する。ここで、耐熱性が良いとは、変形量が 10mm未満である場合をいう。より好ま しい耐熱性は、より高温のヒートサグテストで変形量が少ないことをいう。 110°C以上 における変形量が 10mm以上であると、耐熱性が不充分で用途によっては不適当な ものとなる。より好ましい耐熱性は 120°C以上のヒートサグテストにおいて変形量 10m m未満であり、更に好ましくは 130°C以上で 10mm未満である。
[0074] また、本発明に係る榭脂組成物は透明性が高いことが好ましぐ本発明に係る榭脂 組成物を厚み 0. 2mmのシートサンプルに成形した場合の 550nmの光透過率が 70
%以上であることが好ましぐより好ましくは 75%以上である。
[0075] また、本発明に係る榭脂組成物では、均一に分散した機能性フイラ一が結晶核剤と して機能するので、榭脂組成物の結晶化速度が速くなり、成型速度や延伸温度、延 伸倍率の向上が可能となり、得られた成形物の物性向上や成形性の改善が可能とな り用途を拡大することができる。また、結晶化しても球晶サイズが小さいために透明性 が維持され、球晶界面での破壊もなく成形体の脆さが改善する。 本発明に係る榭 脂組成物は、結晶化度が 25%以上であることが好ましい。結晶化度が 25%未満で あると、耐熱性、弾性率が低いので用途によっては成形体の耐熱性や力学物性が不 充分である。より好ましくは 30%以上、更に好ましくは 35〜80%である。なお、榭脂 組成物の結晶化度は、リガク社製の Rigaku DSC8230などの示差走査熱量計を用い て測定することができる。
[0076] 本発明に係る榭脂組成物は、種々の難燃剤を混練することにより、耐熱性難燃材 料とすることができる。難燃剤としてはハロゲンアンチモン系難燃剤や環境対応型難 燃剤等が挙げられるが、主に使用されるのは環境対応型難燃剤である。
[0077] 環境対応型難燃剤としては、例えば、シリコーン系難燃剤、リン系難燃剤、金属水 酸化物系難燃剤、窒素系難燃剤等が挙げられる。
[0078] シリコーン系難燃剤としては、例えば、ダウコーユング 'シリコーン社製のフエ-ルシ リコーンである SZ6018、ダウコーユング 'シリコーン社製のメタクリル基含有ポリメチ ルシロキサンである DC4— 7081、ダウコ一二ング 'シリコーン社製のポリカーボネート +ポリジメチルシロキサンである MB50— 315、信越シリコーン社製のメチルフエ-ル 系シリコーンである X40— 9805、 GE東芝シリコーン社製のフエ-ルシリコーンである XC99— B5664等が挙げられる。
[0079] リン系難燃剤としては、例えば、 Clarient社製等力も販売されて 、る AP系難燃剤、 OP系難燃剤、 TPP系難燃剤;大八化学社製の PX— 200などの芳香族縮合リン酸 エステル;鈴裕化学社製のフアイカット FCP730などのポリリン酸アンモ-ゥム;大八 化学社製等力も販売されているトリフエニルホスフェート等が挙げられる。
[0080] 金属水酸化物系難燃剤としては、例えば、 日本軽金属社製の水酸ィ匕アルミニウム である BF013ST (平均粒径 1 μ m、キスマー 5A)等が挙げられる。
[0081] 窒素系難燃剤としては、例えば、ラインケミー社製のビス (ジイソプロピルフエ-ル) カルポジイミド主成分の混合物であるスタバタゾール I;ラインケミー社製の芳香族モノ カルポジイミド 95%とシリカ 5%の混合物であるスタバタゾール P ;日産化学工業社製 の MC— 440などのメラミンシァヌレート、ジメラミンフォスフェート、メラミンボレート等 のメラミン化合物;三和ケミカル社製「アビノン」シリーズやモンサントネ土製「Melar」シリ ーズなど、スルファミン酸グァ-シン、リン酸グァ-ジン、リン酸グァニール尿素等のグ ァ-シンィ匕合物等が挙げられる。
[0082] 本発明に係る榭脂組成物は、本発明の機能性フイラ一の原料フィラーを混練するこ とにより、更に機械特性やガスノ リア特性など種々の特性を改善することができる。
[0083] また本発明の機能性フイラ一を添加することによって、マトリックスポリマーと他のポリ マー(ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンなど)や添加剤( 染料など)等との分散性あるいは相溶性を向上させることができる。
[0084] 本発明に係る榭脂組成物の製造方法としては特に限定されな!ヽが、例えば、
乳酸および Z若しくはラクチドの溶液、または、乳酸および Z若しくラクチドの融液 と、原料フィラーとを混合する工程;
乳酸および Zまたはラクチドを重合させることによって、原料フィラーの表面または 末端をポリ乳酸で修飾し、機能性フイラ一とする工程;および
機能性フイラ一を、マトリックスポリマーであるポリ乳酸であって、その少なくとも一部 が機能性フイラ一の表面または末端を修飾しているポリ乳酸と相互作用するものと混 合する工程、を含む方法で製造することができる。このような榭脂組成物の製造方法 もまた、本発明の 1つである。
[0085] 上記製造方法において、機能性フイラ一とマトリックスポリマーとの混合は、溶媒中 で行ってもよい。しかし、乾燥工程が必要になることや、溶媒自体が生体に有害であ る場合があるので、好適には少なくとも一方の成分の融点以上の温度で溶融混合す ることが好ましい。
[0086] 本発明に係る榭脂組成物の製造方法にお!、て、機能性フイラ一の製造に用いた溶 剤を除去する方法としては、通常の溶剤除去方法が採用できるがラボプラストミルま たは二軸押し出し器で混合中に、大気圧下または減圧下加熱しながら除去する方法
等が好適に用いられる。
[0087] 本発明にかかる榭脂組成物からなる成形体もまた本発明の 1つである。このような 成形体としては、例えば、射出成型による成型体、押し出し成型による成形体、イン フレーシヨン法による成形体、ブロー成形法による成形体、トランスファー成型法によ る成型体、圧縮成型法による成型体、繊維構造物、その他通常プラスチック成形に 法に用いられる成形法による成形体を挙げることができる。それぞれの成形法に適用 する際には榭脂組成物の溶融特性や固化や結晶化特性が重要な要素になるが、本 発明では!、ずれの成形法に対しても最適化が容易に可能である。
実施例
[0088] 以下に実施例を示して本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定され るものではない。
[0089] 製造例 1.表面を低分子量ポリ乳酸で処理した機能性フイラ一組成物の製造
[1]表面アミノ化シリカの製造、および、そのシリカを用いた D体修飾機能性フイラ 一組成物の製造
(1)表面アミノ化シリカの製造
富士シリシァ社製の球状シリカであるサイロスフエア (登録商標) C 1504 (平均粒 径: 4 m) 56gを、水 75mlが添カ卩されたエタノール 1. 51中に分散させた後、 3 アミ ノプロピルトリエトキシシラン 15gを加えて 24時間室温で攪拌した。
[0090] シリカ粒子を減圧濾過後、エタノールによる洗浄を経てから 100°Cで乾燥させること により、表面アミノ化シリカ 62gを得た。得られた表面アミノ化シリカはほぼ透明であつ た。このことは、球状シリカの表面がァミノ化され、シリカ同士の凝集が解消されている ことを示す。
[0091] (2) D体修飾機能性フイラ一組成物の製造くサンプル 1 >
(1)で得た表面アミノ化シリカ 5gを、 D—乳酸 (ピューラック社製、 90質量%水溶液 ) 50gに分散させ、アルゴンパブリングさせながら、 140°Cで一晩攪拌して、脱水重合 を行った。
[0092] 反応終了後、流動性のポリマーをテフロン (登録商標)の容器に移し、冷却固化さ せることにより、黄褐色ほぼ透明な D体修飾機能性フイラ一組成物を約 30g得た。
[0093] 得られた D体修飾機能性フイラ一組成物がほぼ透明であることは、シリカ粒子の表 面にポリ D—乳酸が結合することによって、シリカ粒子の凝集が解消されていることを 示す。
[0094] (3) D体修飾機能性フイラ一組成物の製造くサンプル 2 >
(1)で得た表面アミノ化シリカ 10gを、 D—乳酸 (ピューラック社製、 90質量%水溶 液) 50gに分散させ、アルゴンパブリングさせながら、 140°Cで一晩攪拌して、脱水重 合を行った。
[0095] 反応終了後、流動性のポリマーをテフロン (登録商標)の容器に移し、冷却固化さ せることにより、黄褐色ほぼ透明な D体修飾機能性フイラ一組成物を約 34g得た。得 られた D体修飾機能性フイラ一組成物がほぼ透明であることは、シリカ粒子の表面に ポリ D—乳酸が結合することによって、シリカ粒子の凝集が解消されて ヽることを示す
[0096] (4) D体修飾機能性フイラ一組成物の製造くサンプル 3 >
(1)で得た表面アミノ化シリカ 40g、 D—乳酸 (ピューラック社製、 90質量%水溶液) 80gをトルエン 120mlに溶解分散させ、アルゴン雰囲気下検水管を用いて還流しな 力 水を除去し、脱水重合を行うことにより、黄褐色ほぼ透明な D体修飾機能性フイラ 一組成物の液体を得た。得られた D体修飾機能性フイラ一組成物がほぼ透明である ことは、シリカ粒子の表面にポリ D—乳酸が結合することによって、シリカ粒子の凝集 が解消されていることを示す。
[0097] この D体修飾機能性フイラ一組成物のトルエン溶液を、そのまま次の実験に用いた
[0098] [2] D体修飾機能性フイラ一組成物の製造くサンプル 4 >
日産化学社製のシリカゾルのメタノール懸濁液 16. 5gを、 D—乳酸 (ピューラック社 製、 90質量%水溶液) 50gに分散させ、アルゴンパブリングさせながら、 140°Cで一 晚攪拌して、脱水重合を行った。
[0099] 反応終了後、冷却固化させスパチュラで固体を搔き出すことにより、無色透明な D 体修飾機能性フイラ一組成物を約 27g得た。
[0100] [3]表面エポキシィ匕シリカの製造、および、そのシリカを用いた D体修飾機能性フィ
ラー組成物の製造
(1)表面エポキシィヒシリカの製造
富士シリシァ社製の球状シリカであるサイロスフエア C - 1504 (平均粒径: 4 m) 5 2gを、水 75mlが添加されたエタノール 1. 51中に分散させた後、酢酸を加えて pHを 約 4に調整した。次に 3—グリシドキシプロピルトリメトキシシラン 16gをカ卩えて 24時間 室温で攪拌した。
[0101] シリカ粒子を減圧濾過後、エタノールによる洗浄を経てから 100°Cで乾燥させること により、表面エポキシィヒシリカ 54gを得た。
[0102] (2) D体修飾機能性フイラ一組成物の製造くサンプル 5 >
(1)で得た表面エポキシ化シリカ 10gを、 D—乳酸 (ピューラック社製、 90質量%水 溶液) 50gに分散させ、アルゴンパブリングさせながら、 140°Cで一晩攪拌して、脱水 重合を行った。
[0103] 反応終了後、流動性のポリマーをテフロン (登録商標)の容器に移し、冷却固化さ せることにより、無色ほぼ透明な D体修飾機能性フイラ一組成物を約 30g得た。得ら れた D体修飾機能性フイラ一組成物がほぼ透明であることは、シリカ粒子がほぼ一次 粒子の状態でポリ D—乳酸中に分散していることを示す。
[0104] [4] D体修飾機能性フイラ一組成物の製造くサンプル 6 >
クニミネ社製のモンモリロナイトであるクニピア PlOgを、 D—乳酸 (ピューラック社製 、 90質量0 /0水溶液) lOOgに分散させ、アルゴンパブリングさせながら、 140°Cでー晚 攪拌して、脱水重合を行った。
[0105] 反応終了後、流動性のポリマーをテフロン (登録商標)の容器に移し、冷却固化さ せることにより、灰緑色な D体修飾機能性フイラ一組成物を約 65g得た。
[0106] [5] D体修飾機能性フイラ一組成物の製造くサンプル 7 >
日本ァエロジル社製のシリカ粒子であるァエロジルシリカ 50 5gと、 D—乳酸(ピュ 一ラック社製、 90質量%水溶液) 50gを混合した。反応初期はァエロジルが D—乳酸 を吸収して固体となり、不均一であつたが、そのまま、アルゴンパブリングさせながら 1 40°Cで反応させると、徐々に均一な溶液となった。更に一晩攪拌させながら、脱水重 合を行った。
[0107] 反応終了後、流動性のポリマーをテフロン (登録商標)の容器に移し、冷却固化さ せることにより、無色ほぼ透明な D体修飾機能性フイラ一組成物を約 32g得た。得ら れた D体修飾機能性フイラ一組成物がほぼ透明であることは、シリカ粒子の表面にポ リ D—乳酸が結合することによって、シリカ粒子の凝集が解消されていることを示す。
[0108] [6] L体修飾機能性フイラ一組成物の製造くサンプル 8 >
日本ァエロジル社製のシリカ粒子であるァエロジルシリカ 50 5gと、 L—乳酸(ナカ ライテスタ社製、 90質量%水溶液) 50gを混合した。反応初期はァエロジルカ L—乳 酸を吸収して固体となり、不均一であつたが、そのまま、アルゴンパブリングさせなが ら 140°Cで反応させると、徐々に均一な溶液となった。更に一晩攪拌させながら、脱 水重合を行った。
[0109] 反応終了後、そのまま流動性のポリマーをテフロン (登録商標)の容器に移し、冷却 固化させることにより、無色ほぼ透明な L体修飾機能性フイラ一組成物を約 32g得た 。得られた L体修飾機能性フイラ一組成物がほぼ透明であることは、シリカ粒子がほ ぼ一次粒子の状態でポリ L—乳酸中に分散していることを示す。
[0110] [7] D体修飾機能性フイラ一組成物の製造くサンプル 9 >
宇部マテリアルズ社製の繊維状ヒドロキシアパタイト 3. 7gを、 D—乳酸 (ピューラック 社製、 90質量0 /0水溶液) 37gに分散させ、アルゴンパブリングさせながら、 140°Cで 一晩攪拌して、脱水重合を行った。
[0111] 反応終了後、そのまま流動性のポリマーをテフロン (登録商標)の容器に移し、冷却 固化させること〖こより、白色の D体修飾機能性フイラ一組成物を約 27g得た。
[0112] [8] D体修飾機能性フイラ一組成物の製造くサンプル 10 >
ノ ルプのシート 9gをミキサーで繊維状にほぐし、水を部分的に除去して、約 40gの 塊を得た。この塊全量と D—乳酸 (ピューラック社製、 90質量%水溶液) 50g、および 水 50gをカ卩えてアルゴンパブリングさせながら、 140°Cでー晚攪拌して、脱水重合を 行った。
[0113] 反応終了後、冷却固化させた後、スパチュラで搔き出することにより、黄褐色の D体 修飾機能性フイラ一組成物を約 33g得た。
[0114] [9] D体修飾機能性フイラ一組成物の製造くサンプル 11 >
ペンタエリスリトール 2. 5gを、 D—乳酸 (ピューラック社製、 90質量0 /0水溶液) 73g に分散させ、アルゴンパブリングさせながら 140°Cで二日間攪拌して、脱水重合を行 つた o
[0115] 反応終了後、流動性のポリマーをテフロン (登録商標)の容器に移し、冷却固化さ せることにより、無色透明の D体修飾機能性フイラ一組成物を約 69g得た。
[0116] [10] D体修飾機能性フイラ一組成物の製造くサンプル 12 >
ペンタエリスリトール 5gを、 D—乳酸 (ピューラック社製、 90質量0 /0水溶液) 73gに溶 解させ、アルゴンパブリングさせながら 140°Cで二日間攪拌して、脱水重合を行った
[0117] 反応終了後、流動性のポリマーをテフロン (登録商標)の容器に移し、冷却固化さ せることにより、無色透明の D体修飾機能性フイラ一組成物を約 66g得た。
[0118] [ 11] D体修飾機能性フイラ一組成物の製造くサンプル 13 >
トリメシン酸 2. 5gを、 D 乳酸 (ピューラック社製、 90質量%水溶液) 71gに分散さ せ、アルゴンパブリングさせながら 140°Cでー晚攪拌して、脱水重合を行った。
[0119] 反応終了後、そのまま流動性のポリマーをテフロン (登録商標)の容器に移し、冷却 固化させること〖こより、白色の D体修飾機能性フイラ一組成物を約 70g得た。
[0120] [ 12] D体修飾機能性フイラ一組成物の製造くサンプル 14 >
ジペンタエリスリトール 5gを、 D—乳酸(ピューラック社製、 90質量0 /0水溶液) 108g に溶解させ、アルゴンパブリングさせながら 140°Cでー晚攪拌して、脱水重合を行つ た。
[0121] 反応終了後、流動性のポリマーをテフロン (登録商標)の容器に移し、冷却固化さ せることにより、無色透明の D体修飾機能性フイラ一組成物を約 73g得た。
[0122] [ 13] D体修飾機能性フイラ一組成物の製造くサンプル 15 >
日本ァエロジル社製のシリカナノ粒子であるァエロジルシリカ 300を 30g、 D—乳酸 (ピューラック社製、 90質量%水溶液)を 300g混合した。反応初期はァエロジルが D 乳酸を吸収して固体となり、不均一であつたが、そのまま、アルゴンパブリングさせ ながら 140°Cで反応させると、徐々に均一な溶液となった。更に一晩攪拌させながら 、脱水重合を行った。
[0123] 反応終了後、流動性のポリマーをテフロン (登録商標)の容器に移し、冷却固化さ せることにより、無色ほぼ透明な D体修飾機能性フイラ一組成物を約 220g得た。
[0124] [14] D体修飾機能性フイラ一組成物の製造くサンプル 16 >
日本エイアンドエル株式会社製のラテックスであるビラテックス一 LB (38. 9質量0 /0 水溶液) 100gを、 D—乳酸 (ピューラック社製、 90質量%水溶液) 300gと混合し、ァ ルゴンバブリングさせながら 130°Cでー晚、更に 160°Cでー晚攪拌して、脱水重合を 行った (重合時、泡の発生が激しく重合物の半分以上が流出した)。
[0125] 反応終了後、流動性のポリマーをテフロン (登録商標)の容器に移し、冷却固化さ せることにより、茶褐色半透明の D体修飾機能性フイラ一組成物を約 70g得た。
[0126] [ 15] D体修飾機能性フイラ一組成物の製造くサンプル 17 >
ポリテトラハイド口フラン (分子量 650) 23. lgを、 D—乳酸 (ピューラック社製、 90質 量0 /0水溶液) 215gに溶解させ、アルゴンパブリングさせながら 130°Cでー晚、更に 1
60°Cで一晩攪拌して、脱水重合を行った。
[0127] 反応終了後、流動性のポリマーをテフロン (登録商標)の容器に移し、冷却固化さ せることにより、無色透明の D体修飾機能性フイラ一組成物を約 145g得た。
[0128] [16] D体修飾機能性フイラ一組成物の製造くサンプル 18 >
ポリテトラハイド口フラン (分子量 250) 17. 8gを、 D—乳酸 (ピューラック社製、 90質 量0 /0水溶液) 427gに溶解させ、アルゴンパブリングさせながら 130°Cでー晚、更に 1
60°Cで一晩攪拌して、脱水重合を行った。
[0129] 反応終了後、流動性のポリマーをテフロン (登録商標)の容器に移し、冷却固化さ せることにより、無色透明の D体修飾機能性フイラ一組成物を約 325g得た。
[0130] [ 17] D体修飾機能性フイラ一組成物の製造くサンプル 19 >
myo—イノシトール 10. Ogを、 D—乳酸(ピューラック社製、 90質量0 /0水溶液) 100
Ogに溶解させ、アルゴンパブリングさせながら 130°Cでー晚、更に 160°Cでー晚攪 拌して、脱水重合を行った。
[0131] 反応終了後、流動性のポリマーをテフロン (登録商標)の容器に移し、冷却固化さ せることにより、ほぼ無色透明の D体修飾機能性フイラ一組成物を約 750g得た。
[0132] [18] D体修飾機能性フイラ一組成物の製造くサンプル 20 >
ポリエチレングリコール(分子量 600) 90gを、 D—乳酸(ピューラック社製、 90質量
%水溶液) 900gに溶解させ、アルゴンパブリングさせながら 130°Cでー晚、更に 160
°Cで一晩攪拌して、脱水重合を行った。
[0133] 反応終了後、そのまま流動性のポリマーをテフロン (登録商標)の容器に移し、冷却 固化させることにより、無色透明な D体修飾機能性フイラ一組成物を約 790g得た。
[0134] [19]D体修飾機能性フイラ一組成物の製造くサンプル 21 >
テトラエトキシシラン 50. Ogを、 D—乳酸 (ピューラック社製、 90質量%水溶液) 450 gに溶解させ、アルゴンパブリングさせながら 130°Cでー晚、更に 160°Cでー晚攪拌 して、脱水重合を行った。
[0135] 反応終了後、流動性のポリマーをテフロン (登録商標)の容器に移し、冷却固化さ せることにより、無色透明な D体修飾機能性フイラ一組成物を約 250g得た。
[0136] [20] D体修飾機能性フイラ一組成物の製造くサンプル 22 >
メチルトリエトキシシラン 37. 5gを、 D—乳酸 (ピューラック社製、 90質量%水溶液)
150gに溶解させ、アルゴンパブリングさせながら 130°Cでー晚、更に 160°Cでー晚 攪拌して、脱水重合を行った。
[0137] 反応終了後、流動性のポリマーをテフロン (登録商標)の容器に移し、冷却固化さ せること〖こより、白色の D体修飾機能性フイラ一組成物を約 95g得た。
[0138] [21] D体修飾機能性フイラ一組成物の製造くサンプル 23 >
チッソ株式会社製の 3—ァミノプロピルトリアルコキシシランであるサイラエース S33
0 61gを、 D—乳酸 (ピューラック社製、 90質量0 /0水溶液) 830gに溶解させ、ァルゴ ンバブリングさせながら、 130°Cでー晚、更に 160°Cでー晚攪拌して、脱水重合を行 つた o
[0139] 反応終了後、そのまま流動性のポリマーをテフロン (登録商標)の容器に移し、冷却 固化させることにより、黄色透明の D体修飾機能性フイラ一組成物を約 600g得た。
[0140] [22] D体修飾機能性フイラ一組成物の製造くサンプル 24 >
チッソ株式会社製の 3—グリシドキシプロピルトリアルコキシシランであるサイラエ一 ス S510 35gを、 D—乳酸(ピューラック社製、 90質量0 /0水溶液) 900gに溶解させ、 アルゴンパブリングさせながら 130°Cでー晚、更に 160°Cでー晚攪拌して、脱水重合
を行った。
[0141] 反応終了後、流動性のポリマーをテフロン (登録商標)の容器に移し、冷却固化さ せることにより、無色透明の D体修飾機能性フイラ一組成物を約 640g得た。
[0142] [23] D体修飾機能性フイラ一組成物の製造くサンプル 25 >
メラミン 15gを、 D—乳酸 (ピューラック社製、 90質量%水溶液) 1071gに溶解させ、 アルゴンパブリングさせながら 130°Cでー晚、更に 160°Cでー晚攪拌して、脱水重合 を行った。
[0143] 反応終了後、流動性のポリマーをテフロン (登録商標)の容器に移し、冷却固化さ せることにより、黄色不透明の D体修飾機能性フイラ一組成物を約 750g得た。
[0144] [24] D体修飾機能性フイラ一組成物の製造くサンプル 26 >
チッソ株式会社製の両末端水酸ィ匕ポリジメチル (フエニル)シロキサンであるサイラ プレーン FMDA11 30gを、 D—乳酸(ピューラック社製、 90質量0 /0水溶液) 300g に分散させ、アルゴンパブリングさせながら 130°Cでー晚、更に 160°Cでー晚攪拌し て、脱水重合を行った。
[0145] 反応終了後、流動性のポリマーをテフロン (登録商標)の容器に移し、冷却固化さ せることにより、無色透明の D体修飾機能性フイラ一組成物を約 220g得た。
[0146] [25] D体修飾機能性フイラ一組成物の製造くサンプル 27 >
チッソ株式会社社製の両末端アミノ化ポリジメチル (フエニル)シロキサンであるサイ ラプレーン FM3311 30gを、 D—乳酸(ピューラック社製、 90質量0 /0水溶液) 300g に分散させ、アルゴンパブリングさせながら 130°Cでー晚、更に 160°Cでー晚攪拌し て、脱水重合を行った。
[0147] 反応終了後、流動性のポリマーをテフロン (登録商標)の容器に移し、冷却固化さ せることにより、黄色透明の D体修飾機能性フイラ一組成物を約 230g得た。
[0148] [26] D体修飾機能性フイラ一組成物の製造くサンプル 28 >
1, 4—フエ-レンジァミン 5. 6gを、 D—乳酸(ピューラック社製、 90質量0 /0水溶液)
515gに溶解させ、アルゴンパブリングさせながら 130°Cでー晚、更に 160°Cでー晚 攪拌して、脱水重合を行った。
[0149] 反応終了後、流動性のポリマーをテフロン (登録商標)の容器に移し、冷却固化さ
せることにより、黄色透明の D体修飾機能性フイラ一組成物を約 350g得た。
[0150] [27] D体修飾機能性フイラ一組成物の製造くサンプル 29 >
へキサメチレンジァミン 3. 4gを、 D 乳酸 (ピューラック社製、 90質量%水溶液) 30
2gに溶解させ、アルゴンパブリングさせながら 130°Cでー晚、更に 160°Cでー晚攪 拌して、脱水重合を行った。
[0151] 反応終了後、流動性のポリマーをテフロン (登録商標)の容器に移し、冷却固化さ せることにより、黄色透明の D体修飾機能性フイラ一組成物を約 190g得た。
[0152] [28] L体修飾機能性フイラ一組成物の製造くサンプル 30 >
1, 4 フエ-レンジァミン 8. 3gを、 L—乳酸 (株式会社武蔵野化学研究所製、 90 質量%水溶液) 773gに溶解させ、アルゴンパブリングさせながら 130°Cでー晚、更に
160°Cで一晩攪拌して、脱水重合を行った。
[0153] 反応終了後、流動性のポリマーをテフロン (登録商標)の容器に移し、冷却固化さ せることにより、黄色透明の L体修飾機能性フイラ一組成物を約 590g得た。
[0154] [29] L体修飾機能性フイラ一組成物の製造くサンプル 31 >
へキサメチレンジァミン 6. 8gを、 L 乳酸 (株式会社武蔵野化学研究所製、 90質 量0 /0水溶液) 604gに溶解させ、アルゴンパブリングさせながら 130°Cでー晚、更に 1
60°Cで一晩攪拌して、脱水重合を行った。
[0155] 反応終了後、流動性のポリマーをテフロン (登録商標)の容器に移し、冷却固化さ せることにより、黄色透明の L体修飾機能性フイラ一組成物を約 430g得た。
[0156] [30] D体修飾機能性フイラ一組成物の製造くサンプル 32 >
4, 4,一ビフエノール 9. 3gを、 D 乳酸(ピューラック社製、 90質量0 /0水溶液) 500 gに溶解させ、アルゴンパブリングさせながら 130°Cでー晚、更に 160°Cでー晚攪拌 して、脱水重合を行った。
[0157] 反応終了後、流動性のポリマーをテフロン (登録商標)の容器に移し、冷却固化さ せることにより、無色透明の D体修飾機能性フイラ一組成物を約 340g得た。
[0158] [31] D体修飾機能性フイラ一組成物の製造くサンプル 33 >
ジルコニウムテトラプロポキサイド(70%、 1—プロパノール溶液) 50gを、 D—乳酸( ピューラック社製、 90質量0 /0水溶液) 250gに分散させ、アルゴンパブリングさせなが
ら 130°Cでー晚、更に 160°Cでー晚攪拌して、脱水重合を行った。
[0159] 反応終了後、固体をテフロン (登録商標)の容器に移し、冷却させることにより、ほぼ 白色個体の D体修飾機能性フイラ一組成物を約 170g得た。
[0160] [32] D体修飾機能性フイラ一組成物の製造くサンプル 34 >
1, 3, 5—トリス(2—ヒドロキシェチル)シァヌル酸 20gを、 D—乳酸(ピューラック社 製、 90質量0 /0水溶液) 1150gに溶解させ、アルゴンパブリングさせながら 130°Cで一 晚、更に 160°Cで一晩攪拌して、脱水重合を行った。
[0161] 反応終了後、流動性のポリマーをテフロン (登録商標)の容器に移し、冷却固化さ せることにより、無色透明の D体修飾機能性フイラ一組成物を約 800g得た。
[0162] [33] D体修飾機能性フイラ一組成物の製造くサンプル 35 >
N, N,—ビス(2—ヒドロキシェチル)ォキサミド 21. lgを、 D—乳酸(ピューラック社 製、 90質量0 /0水溶液) 1200gに溶解させ、アルゴンパブリングさせながら 130°Cで一 晚、更に 160°Cで一晩攪拌して、脱水重合を行った。
[0163] 反応終了後、流動性のポリマーをテフロン (登録商標)の容器に移し、冷却固化さ せることにより、黄色透明の D体修飾機能性フイラ一組成物を約 845g得た。
[0164] [34] D体修飾機能性フイラ一組成物の製造くサンプル 36 >
ビスフエノール 22. 8gを、 D—乳酸(ピューラック社製、 90質量0 /0水溶液) 1200gに 溶解させ、アルゴンパブリングさせながら 130°Cでー晚、更に 160°Cでー晚攪拌して
、脱水重合を行った。
[0165] 反応終了後、流動性のポリマーをテフロン (登録商標)の容器に移し、冷却固化さ せることにより、黄色透明の D体修飾機能性フイラ一組成物を約 837g得た。
[0166] [35] D体修飾機能性フイラ一組成物の製造くサンプル 37 >
宇部興産株式会社製のポリカーボネートジオールの UC— CARB 100 (分子量: 10 00) 98gを、 D—乳酸(ピューラック社製、 90質量0 /0水溶液) 980gに溶解させ、アル ゴンパブリングさせながら 130°Cでー晚、更に 160°Cでー晚攪拌して、脱水重合を行 つた o
[0167] 反応終了後、流動性のポリマーをテフロン (登録商標)の容器に移し、冷却固化さ せることにより、無色透明の D体修飾機能性フイラ一組成物を約 755g得た。
[0168] [36] D体修飾機能性フイラ一組成物の製造くサンプル 38 >
宇部興産株式会社製のポリカーボネートジオールであるポリカーボネートジオール
UH— 200 (分子量: 1000) 150gを、 D—乳酸(ピューラック社製、 90質量0 /0水溶液 ) 750gに溶解させ、アルゴンパブリングさせながら 130°Cでー晚、更に 160°Cでー晚 攪拌して、脱水重合を行った。
[0169] 反応終了後、流動性のポリマーをテフロン (登録商標)の容器に移し、冷却固化さ せることにより、無色透明の D体修飾機能性フイラ一組成物を約 645g得た。
[0170] [37] D体修飾機能性フイラ一組成物の製造くサンプル 39 >
ペンタエリスリトール 8. 19gを、 D—乳酸(ピューラック社製、 90質量0 /0水溶液) 120 Ogに溶解させ、アルゴンパブリングさせながら 130°Cでー晚、更に 160°Cでー晚攪 拌して、脱水重合を行った。反応温度を約 110°Cに下げた後、無水酢酸 25gを加え 、 160°Cで更に一晩攪拌することによって、末端水酸基をァセチル化した。
[0171] 反応終了後、流動性のポリマーをテフロン (登録商標)の容器に移し、冷却固化さ せることにより、無色透明の D体修飾機能性フイラ一組成物を約 805g得た。
[0172] [38] D体修飾機能性フイラ一組成物の製造くサンプル 40 >
宇部興産株式会社製のポリカーボネートジオールであるポリカーボネートジオール
UC— CARB100 (分子量: 1000) 200gを、 D—乳酸(ピューラック社製、 90質量0 /0 水溶液) 800gに溶解させ、アルゴンパブリングさせながら 130°Cでー晚、更に 160°C で一晩攪拌して、脱水重合を行った。反応温度を約 110°Cに下げた後、無水酢酸 4 lgをカ卩え、 160°Cで更に一晩攪拌することによって、末端水酸基をァセチル化した。
[0173] 反応終了後、流動性のポリマーをテフロン (登録商標)の容器に移し、冷却固化さ せることにより、無色透明の D体修飾機能性フイラ一組成物を約 790g得た。
[0174] [39] D体修飾機能性フイラ一組成物の製造くサンプル 41 >
ポリエチレングリコール(分子量 600) 100gを、 D—乳酸(ピューラック社製、 90質量 %水溶液) lOOOgに溶解させ、アルゴンパブリングさせながら 130°Cでー晚、更に 16 0°Cで一晩攪拌して、脱水重合を行った。反応温度を約 110°Cに下げた後、無水酢 酸 35gをカ卩え、 160°Cで更に一晩攪拌することによって、末端水酸基をァセチル化し
[0175] 反応終了後、流動性のポリマーをテフロン (登録商標)の容器に移し、冷却固化さ せることにより、無色透明の D体修飾機能性フイラ一組成物を約 850g得た。
[0176] [40] D体修飾機能性フイラ一組成物の製造 <サンプル 42 >
ポリテトラハイド口フラン (分子量 2000) 300gを、 D—乳酸 (ピューラック社製、 90質 量0 /0水溶液) 900gに溶解させ、アルゴンパブリングさせながら 130°Cでー晚、更に 1 60°Cで一晩攪拌して、脱水重合を行った。反応温度を約 110°Cに下げた後、無水 酢酸 31gを加え、 160°Cで更に一晩攪拌することによって、末端水酸基をァセチル 化した。
[0177] 反応終了後、流動性のポリマーをテフロン (登録商標)の容器に移し、冷却固化さ せることにより、無色透明の D体修飾機能性フイラ一組成物を約 780g得た。
[0178] [41] D体修飾機能性フイラ一組成物の製造くサンプル 43 >
宇部興産株式会社製のポリカーボネートジオールであるポリカーボネートジオール
UC— CARB100 (分子量: 1000) 200gを、 D—乳酸(ピューラック社製、 90質量0 /0 水溶液) 800gに溶解させ、アルゴンパブリングさせながら 130°Cでー晚、さらに 160 °Cで一晩攪拌して、脱水重合を行った。反応温度を約 110°Cに下げた後、リカシッド HNA— 100 (新日本理化株式会社製脂環式酸無水物) 28. 8gを加え、 160°Cでさ らに一晩攪拌した。
[0179] 反応終了後、流動性のポリマーをテフロン (登録商標)の容器に移し、冷却固化さ せることにより、無色透明の D体修飾機能性フイラ一組成物を約 710g得た。
[0180] [42] D体修飾機能性フイラ一組成物の製造くサンプル 44 >
宇部興産株式会社製のポリカーボネートジオールであるポリカーボネートジオール
UC— CARB100 (分子量: 1000) 200gを、 D—乳酸(ピューラック社製、 90質量0 /0 水溶液) 800gに溶解させ、アルゴンパブリングさせながら 130°Cでー晚、さらに 160 °Cで一晩攪拌して、脱水重合を行った。反応温度を約 110°Cに下げた後、イソホロン ジイソシァネート 35. 5gを加え、 170°Cでさらにー晚攪拌した。
[0181] 反応終了後、流動性のポリマーをテフロン (登録商標)の容器に移し、冷却固化さ せることにより、無色透明の D体修飾機能性フイラ一組成物を約 690g得た。
[0182] 製造例 1で得られた D体修飾機能性フイラ一組成物および L体修飾機能性フイラ一
組成物をまとめて表 1に示す。
[0183] [表 1]
[0184] 表面をポリ D 乳酸またはポリ L 乳酸で処理した機能性フイラ一組成物溶液の粘 度は、フィラーを添加しないで同じ条件で重合したポリ L—乳酸またはポリ D—乳酸の 溶融物より高!ヽ粘性を示した。
[0185] ペンタエリスリトールなどの有機フィラーを原料フイラ一として用いた場合 (サンプル
11等)は、有機フィラーそのものが分子レベルの大きさなので、 D 乳酸に十分分散
することにより反応が有効に進み、機能性フイラ一組成物が透明になった。一方、トリ メシン酸など原料有機フィラーが結晶性を有し、固体状で D 乳酸に十分分散し切 れない状態では、大きい粒状のものが残留し、機能性フイラ一組成物が不透明にみ えた。また、有機フィラーを原料フィラーとした機能性フイラ一は殆どが無色透明であ り、表面がァミノ化された機能性フイラ一のみ黄色であった。
[0186] 試験例 1.原料フィラーとポリ乳酸との結合の確認
1)サンプル 28とその原料フィラーである 1, 4 フエ-レンジァミンについて、 Nicol er社の IR測定装置 (MAGNA-IR760)を用いて IRを測定した。結果を図 2に示す。
[0187] 図 2の通り、原料フィラーである 1, 4 フエ-レンジァミンでは芳香族ァミンに由来 するピークが明確に現れている。一方、サンプル 28ではアミノ基に由来するピークは 消失しており、代わりにエステル基に由来するピークが明確に現れている。従って、 サンプル 28では、 1, 4 フエ-レンジァミンの両末端にポリ D—乳酸が結合している ことが証明された。
[0188] 2)サンプル 24とその原料フィラーである 3 グリシドキシプロピルトリアルコキシシラ ンについて、 日本電子社製の NMR測定装置(JMM GSX270)を用いて NMRを測定 した。結果を図 3に示す。
[0189] 図 3の通り、 3 グリシドキシプロピルトリアルコキシシランではメトキシ基とエポキシ 基に由来するピークが明確に現れている。一方、サンプル 24では、メトキシ基とェポ キシ基に由来するピークは消失しており、代わりにポリ D 乳酸に由来するピークが 現れている。従って、サンプル 24では、 3 グリシドキシプロピルトリアルコキシシラン の両末端にポリ D 乳酸が結合していることが証明された。
[0190] 製造例 2.機能性フイラ一組成物を用いた榭脂組成物の製造
製造例 1で得られた、表面をポリ D乳酸またはポリ L 乳酸で処理した機能性フィ ラー糸且成物 1〜 14を、マトリックスとなるホモポリ L—乳酸(重量平均分子量 200, 000 、 Tm= 170°C)と、重量比(前者:後者)が 1 : 10となるように、ラボ-一ダーミルにより 190°Cで 15分間溶融混練することによって、機能性フイラ一が均一分散された榭脂 組成物を得た。榭脂組成物はペレット化して構造分析等に使用した。
[0191] 試験例 2.熱的性質の評価
製造例 2で得られた榭脂組成物を加熱して、その挙動を観察した。結果を表 2に示 す。
[0192] [表 2]
[0193] 表 2の通り、サンプル 8以外、ポリ D 乳酸で処理した機能性フイラ一を含有する榭 脂組成物をポリ L—乳酸と溶融混練した組成物は、明確な Tgと Tcを示さない。また、 当該組成物は、 170°C付近にマトリックスポリマーのホモポリ L 乳酸由来の融点 Tm 1を示し、また、 216°C付近にポリ L 乳酸とポリ D—乳酸力も形成されたステレオコン プレックスによると思われる融点 Tm2を示した。一方、ポリ L—乳酸で処理した機能性 フィラーを含有するサンプル番号 8の榭脂組成物は、明確な Tgと Tcを示す上に、ス テレオコンプレックスに起因する融点 Tm2を有しない。
[0194] ポリ D 乳酸で処理した機能性フイラ一を含有する榭脂組成物は、 2つの融点間で 成形することによって、成形後の結晶化速度を速めたり、耐熱性を高めることが可能 になる。詳しくは、本発明の榭脂組成物を 2つの融点間の温度で成形する場合、ポリ 乳酸自体は溶融する一方で、機能性フイラ一とポリ乳酸とのステレオコンプレックスは 溶融しない。その結果、ステレオコンプレックスは、成形時に結晶であるため、成形後 の冷却時に核となり、ポリ乳酸の結晶化を促進する。また、ステレオコンプレックスが 核として多く存在するため、冷却後にサイズが比較的小さな結晶が多く生成すること となり、耐熱性が向上する。
[0195] 以上の通り、本発明の榭脂組成物は良好な成形性と共に良好な耐熱性を有する特 徴を持つことがわかる。
[0196] 試験例 3. 機能性フイラ一を含有する榭脂組成物の成形性および物性の評価 製造例 2で得られた榭脂組成物に対し、 30MPaの加圧下 190°Cで 3分間ホットプ レスを行い、コールドプレスで速やかに急冷することにより、 0. 2mm厚みのシートを 成形した。該シートは結晶化を完全にする為に、更に 130°Cで 1時間熱処理行った。
[0197] これらのシートの透明性を、光透過率により評価した。結果を表 3に示す。
[0198] [表 3]
[0199] 表 3に記載の結果の通り、本発明の機能性フイラ一を含まない場合、急冷シートで は透明であるが、熱処理シートでは白化して不透明になる。このことは、結晶化により 大きなポリ乳酸の球晶が形成されたことを示す。従って、従来のシートは、不透明性 に加えて、一定の耐熱性はあるが大きな球晶のドメイン間の結合力がない為に物性 的に非常にもろいものとなり実用には不適である。原料フィラーが表面エポキシィ匕シ リカ、表面アミノ化シリカ、ナノシリカまたはァエロジルシリカ(ポリ L—乳酸により処理さ れて 、るサンプル 8は除く)である場合は、急冷シートも熱処理シートも!、ずれも透明 性を維持しており、結晶化したものでも生成した球晶のサイズが光の波長のサイズよ り細力 、ことを示す。
[0200] モンモリロナイト(クニミネ社製、クニピア P)を原料フィラーとした機能性フイラ一組成 物を配合した榭脂組成物におけるフィラーの分散性は、ポリ D—乳酸による表面処理 により非常に改善したことがわかるが、熱処理により白化することは熱処理により生成 した球晶のサイズが大きくなつたことを示す。また、繊維状ヒドロキシアパタイトを原料 フイラ一とした場合は、繊維状ヒドロキシアパタイトの粒子サイズが大きい為にコンポジ ットが不透明になったと考えられる。
[0201] 尚、熱処理シートの結晶性は DSCにより評価することが出来る力 いずれも 170°C 付近にポリ L—乳酸の融点 Tmlが、また、 216°C付近にポリ L—乳酸とポリ D—乳酸 とのステレオコンポレックスによる融点 Tm2が観察された。よって、当該榭脂組成物 は、成形性と耐熱性に優れる。
[0202] 試験例 4. 耐熱性の評価
シートの耐熱性の評価は、先に説明したヒートサグテストにて行い、 JIS K7195に 準じて、熱処理後にシートの先端が水平からどの程度下に下がったかで評価した。こ の下がりの距離が 10mm未満であるとその温度で熱的に安定であることを示す。 130 でで 1時間処理した結果を表 4に示す。
[0203] [表 4]
[0204] フィラーなしの急冷シートとサンプル 8の機能性フイラ一組成物を配合した急冷シー
トは 130°Cで直ちに変形し、大きい変形量を示した。これはホモポリ乳酸であると Tg 力 S60°C付近であり、その温度以上でシートが容易に変形したことによると考えられる 。 130°Cで 1時間処理したフィラーなしのシートは耐熱性を有する力 s、不透明であつ た。
[0205] 一方、本発明に係る樹脂組成物(サンプル 8の機能性フイラ一組成物を配合したも のを除く)の耐熱性は、何れも優れている。このことは、上記試験例 2の結果の通り、 本発明に係る樹脂組成物は明確な Tgを有さな 、ことによると考えられる。
[0206] 製造例 3.ペレットの製造
様々な成形体の材料として、本発明の機能性フイラ一を用いてペレットを製造した。 具体的には、二軸押出し機 (Technovel社製、 KZW15- 30MG : L/D)を用いて機能性 フィラーとマトリックスポリ L—乳酸とを機能性フイラ一:ポリ L—乳酸 = 1: 9の割合で混 練した。その際、シリンダー温度を 180°C、ダイ温度を 173°Cに設定し、空冷条件下 でストランドを直接ペレタイザ一でカットし、長さ 2〜3cmのペレットとした。得られたぺ レットの熱的性質は、以下の通りである。
[0207] [表 5]
混練温度は通常のポリ乳酸の混練温度と殆ど変わりないが、ノズル力 ポリ乳酸が 押出される際、固体分のステレオコンプレックスが結晶核剤の役割をする。その結果
、押出されたポリ乳酸コンポジット材料が室温で固化し、水冷しなくとも直接カットでき るようになった。ホモポリ L—乳酸と比べると、本発明の榭脂組成物は、 170°C付近の ホモポリ乳酸融点以外に 190〜210°Cの間でポリ乳酸ステレオコンプレックスの融点 を有することが分かる。ステレオコンプレックスの部分は機能性フイラ一の添加量の向 上とともに多くなり、結晶化したポリ乳酸組成物が得られ易くなる。
[0209] 製造例 3で製造したコンポジットペレットを、以下の通り様々な成形方法に応用した
[0210] 製造例 4
製造例 3で調製した本発明の榭脂組成物の中から、有機物を原料フイラ一とした機 能性フイラ一を含有するものを選択し、当該機能性フイラ一の含有割合を変えて、射 出成形に応用した。具体的には、シリンダー温度をステレオコンプレックス融解温度 以上にし、ノズル温度をステレオコンプレックス温度以下にした。シリンダー温度をス テレオコンプレックス融解温度以上にすることで、機能性フイラ一含有ポリ乳酸コンポ ジット材料はシリンダーの中では十分融解し、均一に混合される。また、ノズル温度を ステレオコンプレックス温度以下にすることで、射出されたステレオコンプレックスは直 ぐに固体となる。また、金型温度は 27°Cに設定し、成形サイクルは 20秒に設定した。 また、 JIS K7110に準じて、東洋精機製作所製のアイゾット衝撃試験機を用いて、 各成形体の衝撃強度を測定した。結果を表 6に示す。
[0211] [表 6]
[0212] 本発明の機能性フイラ一とポリ乳酸が形成するステレオコンプレックスは、射出され た後に結晶の核となり固化を促進し、成形サイクルを短くできると共に、成形体の透 明性を向上させることができる。
[0213] また、従来のホモポリ乳酸の衝撃強度は 2. 6KjZm2である力 上記結果の通り、 本発明の機能性フイラ一の添加量を 5〜: LO質量%とすれば、約 3. OKjZm2まで向 上させることができた。但し、機能性フイラ一の添加量を 20質量%まで増やすと、衝 撃強度はかえつて低下した。
[0214] 製造例 5
製造例 3で製造したペレットの中で、ペンタエリスリトールとァエロジルシリカを原料 フイラ一とした機能性フイラ一を含有するものを、下記条件下で二酸化炭素発泡に応 用した。その結果は以下の通りである。
[表 7]
[0216] 機能性フイラ一とポリ乳酸とのステレオコンプレックスの形成により、通常のポリ乳酸 の融点以上でもステレオコンプレックスは固体状態であり、ポリ乳酸の粘度を向上さ せる効果を発揮した。更に、ステレオコンプレックスの存在により、発泡したポリ乳酸 成形物は発泡段階で結晶化され、未結晶のポリ乳酸発泡体より高い耐熱性を示した 。二酸ィ匕炭素発泡したものの物性力 見ると、少量のフィラーの添カ卩により発泡し難 いポリ乳酸も発泡成形可能となり、且つその耐熱性も 100°C以上であり、 日常生活中 使われる PS発泡体に取って代わり得るものであることが分かる。
[0217] 製造例 6
実施例 3で混練したコンポジット物の中で、サンプル 12、即ちペンタエリスリトールを 原料フィラーとした機能性フイラ一を含有するものの溶融紡糸を、下記条件で行った
[0218] [表 8] 溶融紡糸温度
原料フィラー
シリンダー温度 ダイ温度
ペンタエリスリトール (。C) (。c)
5mass% 180 170
10mass% 180 170
20mass% 180 170
[0219] 本発明に係る榭脂組成物の紡糸は、ホモポリ乳酸の融点以上、ステレオコンプレツ タスの融点以下で行うことが好ましい。その理由は、ステレオコンプレックスが溶解す ると粘度がかなり低くなり、成形物になり難くなるおそれがあることによる。そこで、ホモ ポリマーの融点以上、ステレオコンプレックスの融点以下で紡糸することにより、ステ レオコンプレックスが部分的に形成することにより、ホモポリマー同士が繋がり、見か け上長い分子が紡糸され得る。本実施例では 170°Cの紡糸温度を設定し、マルチフ イラメントを溶融紡糸により得た。また、粘度上の変化がないことから、特別に現有装 置を改良する必要がなく、紡糸を行 ヽ得ることが本発明に係る榭脂組成物の特徴で ある。
[0220] 製造例 7
製造例 3で製造したペレットの中で、ジペンタエリスリトールとァエロジルシリカを原 料フイラ一とした機能性フイラ一を含有するものを、下記条件でシート成形した。
[0221] [表 9] シート成形温度 Tダイ押出し成形物の熱物性 重合開始剤 シリンダー τダイ温度 Tg Tc1 Tm1 Tm2 温度 ( ) ( c) (°c) (°o (。C) (。C) ジペンタエリスリト一 -ル
20mass% 180 170 53.7 99.1 162.3 210
30mass% 180 170 55.9 109.6 164.3 210.3 ァエロジルシリカ(1 : 10)
30mass% 190 180 54.2 ― 164.5 21 1.6
[0222] 上記結果の通り、機能性フイラ一の添加量が多い場合、成形したシートは Tダイか ら出た時点力も耐熱性を有する。このような耐熱性は、ステレオコンプレックスにより結 晶化し易くなつたことと、ポリ乳酸分子の可動性を拘束することによるものと考えられる 。 Tダイ力 放出されたポリ乳酸シートも透明性と耐熱性の両方を有し、 2次加工も可 能である。
[0223] 製造例 8
ペンタエリスリトールを原料フイラ一とし、末端を無水酢酸で処理した機能性フイラ一 を含有するサンプル 39の榭脂組成物を用いて、モノフィラメントの紡糸を行った。具 体的には、 1軸溶融押し出し機にて榭脂組成物を 170〜190°Cで溶融して口径 1. 2 mmの口金より吐出し、 50mmのギャップを経て 60°Cの温水中に通した。温水中で
は十分な緊張を持たせつつ固化させ、次いで 90°Cの熱水中にて 5倍の延伸を行つ た。更に、 130°Cの過熱水蒸気中で 2倍延伸した。その後、 150〜180°Cの空気中、 長さを保ちつつ熱処理することによりモノフィラメントを得た。得られたモノフィラメント は透明で且つフレキシブルであり、 300dTexの繊度を有していた。また、当該モノフ イラメントの強度を測定したところ、最大強度は 600MPa、破断伸度は 33%と、モノフ イラメントとしては極めて高強度であった。
[0224] 製造例 9
ァエロジルシリカ A300 (日本ァエロジル社製、平均粒径 30nmの球状シリカ) 56質 量部を、水 100質量部を添加したエタノール 2000質量部中に分散させた後、 3 ァ ミノプロピルトリエトキシシラン 20質量部をカ卩えて 24時間室温で攪拌した。シリカ粒子 を減圧濾過後、エタノールにより洗浄し、 100°Cで乾燥することによって、表面アミノ 化シリカ 60質量部を得た。
[0225] 次いで、当該表面アミノ化シリカ 50質量部を、 1Lの 4つ口フラスコ中、 D—乳酸 (ピ ユーラック社製、 90質量%) 550質量部中に分散させ、アルゴンパブリングさせながら 140°Cで 24時間攪拌して、脱水重合を行った。重合反応の進行は、生成する水の 量で確認した。反応終了後、幾分黄みがついているが透明で粘調な液状のものが得 られた。得られた機能性フイラ一組成物はほぼ透明であり、シリカ粒子がほぼ完全に ポリ D—乳酸中に分散していることを示す。反応物はフラスコの下からストランド状に 押し出した後、カットしてペレットにした。 上記機能性フイラ一組成物は、 11質量% のシリカナノ粒子と、 89質量%のポリ D—乳酸力もなるものであり、 GPC測定の結果 、フィラーに結合していないポリ D 乳酸の重量平均分子量(Mw)は 3300であった 。本機能性フイラ一を 10質量%、ポリ L 乳酸 (融点:173°C、重量平均分子量: 180 , 000) 90質量%とドライブレンドし、 2軸混練機を用いて 180〜200°Cで溶融混練し た後、空冷によりペレツトイ匕して榭脂組成物を得た。
[0226] 当該榭脂組成物を用い、以下の通りモノフィラメントの紡糸を行った。 1軸溶融押し 出し機にて、 170〜190°Cで榭脂組成物を溶融し、口径 1. 2mmの口金より吐出し、 50mmのギャップを経由して 60°Cの温水中に通した。温水中では十分に緊張を持つ て固化させ、次いで 90°Cの熱水中にて 5倍の延伸を行った。更に、 130°Cの過熱水
蒸気中で 2倍延伸した。その後、 150〜180°Cの空気中で定長で熱処理することに よって、透明で硬度を有してフレキシブルな 350dTexのモノフィラメントを得た。得ら れたモノフィラメントの最大強度は 610MPa、破断伸度は 36%と、極めて優れた物性 を有するポリ乳酸繊維であった。
[0227] 製造例 10
ポリエチレングリコール (分子量 600)を原料フイラ一とし、末端を無水酢酸で処理し た機能性フイラ一を含有するサンプル 41の榭脂組成物を用いて、マルチフィラメント を製造した。具体的には、孔径: 0. 25mmの孔を 32個有する口金力ゝら榭脂組成物 を空気中に押し出して固化させ、 800mZ分で巻き取ることによって、未延伸糸を得 た。次いで、当該未延伸糸を 95°Cのホットローラーにて 5倍延伸し、更に 135°Cのホ ットローラーにて 2. 5倍延伸した。次に、 150°Cの熱板を接触させて、長さを保ちつ つ熱処理することによって、 75dTexZ32filのマルチフィラメントを得た。当該マルチ フィラメントの最大強度は 780MPa、初期弾性率は 10500MPa (10. 5GPa)、破断 伸度は 43%であった。当該結果の通り、本発明の榭脂組成物を原料として、優れた 物性を有するマルチフィラメントが得られることが実証された。
[0228] 製造例 11
製造例 10と同一の榭脂組成物を用い、 3000mZ分で紡糸して半延伸糸を得た。 この半延伸糸を、 120°Cの表面温度を有する熱ローラーにて 5倍延伸し、更に 135°C の表面温度を有する熱ローラーにて 3倍延伸した。次いで、当該延伸糸を、 150°Cの 表面温度を有する熱板上、長さを保ちつつ熱処理することによって、 50dTexZ32fi 1のマルチフィラメントを得た。当該マルチフィラメントの最大強度は 1. 30GPa、初期 弾性率は 16GPa、破断伸度は 29%であった。当該結果の通り、本発明の榭脂組成 物を原料として、これまで報告されたことがな!、程の高強度と高弾性率を有するマル チフィラメントが得られることが実証された。
[0229] 製造例 12 ペンタエリスリトール 13. 6部と 90%の D—乳酸水溶液 2000部を混合 し、アルゴンパブリングさせながら 140°Cで 24時間、さらに 170°Cで 24時間反応させ た。その結果、ペンタエリスリトールの 4個の水酸基末端にポリ D—乳酸が結合した機 能性フイラ一を 1430部得た。当該機能性フイラ一とポリ L—乳酸 (融点 = 165°C、 M
w= 185, 000)とを質量換算で 5 : 95の比率で混合した。当該混合物を、インフレ一 シヨン口金を有する単軸混練機に供給し、 170〜190°Cの温度で混練溶融し、 180 〜190°Cに設定した円形口金より定法により空中に押し出した。押し出した後、空気 圧によって 3倍までブローした。ブロー後、直ちにスリツターを通じて幅 15mmのシー トに成形した。次いで、表面温度 120°Cのプレートヒーターにて長手方向に 4倍一次 延伸した。さらに、一次延伸したテープを、表面温度 140°Cのプレートヒーターにて 2 . 5倍に二次延伸した。二次延伸したテープを、表面温度 150°Cのヒーターにて定長 熱処理し、 600dTexのフラットヤーンを得た。当該フラットヤーンの引張強度は 5. 6c N/dTex,引張破断伸度は 27%、熱水収縮率は 1. 6%であった。
[0230] 比較のために、本発明の機能性フイラ一を使用しない以外は上記と同様にして、ポ リ L—乳酸のみでフラットヤーンの製造を試みた。しかし、一次延伸時にテープが容 易に熱で溶融して切断したり、局部的な加熱により延伸斑が生じて良好な延伸がで きな力つた。また、本発明の機能性フイラ一を使用しない以外は上記と同様にして、 高分子量のポリ D—乳酸のみでフラットヤーンの製造を試みた。その結果、ブローフ イルム自体が非常に脆ぐバルーンの形成が困難であり、シートの形成さえできなか つた o
[0231] 製造 ί列 13 ポリエチレングリコーノレ 600 (関東ィ匕学製、 PEG— 600) 100咅と 90% の D—乳酸水溶液 1000部を混合して、アルゴンパブリングしながら 140°Cで 24時間 、さらに 170°Cで 24時間反応させた。その結果、 PEG— 600の 2個の OH基末端に ポリ D-乳酸が結合した機能性フイラ一を 750部得た。当該機能性フイラ一とポリし— 乳酸(融点 = 165°C、 Mw= 185, 000)とを、質量換算で 7. 5 : 92. 5の比率で混合 した。当該混合物を、インフレーション口金を有する単軸混練機に供給し、 165〜18 0°Cの温度で混練溶融し、 170〜180°Cに設定した円形口金より定法により空中に 押し出した。押し出した後、空気圧によって縦 2. 5倍、横 2倍までブローし、厚さ 30ミ クロンのフィルムとした。当該フィルムを、定法により二つ折りにしてチューブ状に巻き 取った。
[0232] 得られたチューブの物性を DSCにより測定したところ、ポリ乳酸の融解ピークが 17 0°C前後に、また、機能性フイラ一由来のポリ D—乳酸とマトリックスを構成するポリ L
乳酸のコンプレックスの融解ピークが 190〜200°C付近に 1〜2個程度確認された
[0233] 比較のために、本発明の機能性フイラ一を用いずポリ乳酸だけで同様のフィルムを 作製した。得られたフィルムを DSCで測定した結果、ポリ乳酸の結晶化ピークが 100 °C付近に、また、融解ピークが 170°C付近に確認された。この DSCの結果から、本発 明の機能性フイラ一を添加することによって、フィルムの結晶化度が増大し、得られた フィルムの耐熱性が改善することがわかる。
産業上の利用可能性
[0234] 本発明によって、例えば以下のことが実現可能となる。
1.マトリックスである液体やポリマー等に対するフィラーの均一分散性を改善すること ができる。それによつて、様々な物性に優れた各種添加剤、結晶核剤、強化材、滑剤 の開発が可能になる。
2.ポリ乳酸組成物の、強度などの物性や成形性を改善することができる。
3.ポリ乳酸を主成分とするペレット、シート、フィルム、射出成形体、押し出し成形体
、インフレーションフィルム、繊維等、および、その他の応用製品の、耐熱性や力学強 度を向上させることができる。