JP5182914B2 - 樹状ポリエステル、その製造方法および熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、立体的に制御された多数の官能基を有し、熱可塑性樹脂に配合することにより、熱可塑性樹脂の薄肉流動性を改良し、かつガスバリア性や剛性向上による薄肉軽量化が可能になるなどの効果を付与することができる樹状ポリエステルに関するものである。
近年、プラスチックの高性能化に対する要求がますます高まり、種々の新規性能を有するポリマーが数多く開発され市場に供されているが、中でも分子鎖の平行な配列を特徴とする光学異方性の液晶性ポリエステルなどの液晶性ポリマーが優れた成形性と機械的性質を有する点で注目され、電気・電子部品用途を中心とした射出成形品用途で需要が拡大している。
しかし、液晶性ポリマーはその異方性の大きさがしばしば問題となり、単独で使用する場合にも、他の熱可塑性樹脂と配合して使用する場合にも、その非常に大きな異方性が成形品の使用や設計の限界を与えてしまい、使用が制限されることがあった。
そこで、異方性の低減を目指して、液晶性ポリエステルに三官能や四官能の化合物を共重合や混練により配合して、分岐を導入することが検討されている。(特許文献1参照)。
また、ウェルド強度や成形加工性のバランスを目指して同様の分岐構造を導入することが検討されている(特許文献2、3参照)。
また、樹状構造を有するポリアミドが検討され、またこれらを熱可塑性樹脂に配合することによる流動性の改良が検討されている(特許文献4、5参照)。
特許文献1では、少量の分岐構造を導入することにより、流動異方性が改善されることが記載されているが、液晶性樹脂に架橋点を導入すると、液晶性樹脂の規則構造が破壊されるため、1〜3%の少量添加ではほとんど効果がなく、6%の添加では機械特性が低下しており、架橋点が液晶構造を乱しており、効果は充分にバランスがとれたものとは言えない。
特許文献2では、液晶性樹脂に三、四官能の構造単位を共重合して、高重合度化を検討しており、確かに機械物性やウェルド強度が向上しているが、架橋しないものに対して、同等の分子量であっても溶融粘度が大きくなっており、流動性については改良されていない。
特許文献3では、液晶性樹脂に、四分岐構造のポリエステルオリゴマーを配合し、離型性が改良され、機械物性などのバランスも良好であるが、この分岐構造のポリエステルオリゴマーと液晶性樹脂とは積極的に反応しているものではなく、添加量を上げると、分解ガスにより、性能が低下することからも、分岐構造を液晶性樹脂に与える観点からは充分ではない。
特許文献4、5では、ヘテロ原子を分岐点とする樹状高分子が検討されているが、ヘテロ分岐点を持つ場合には、熱安定性が充分でなく充分な性能なものは得られない。
特公平5−38007号公報(第1、2頁) 特開平3−275715号公報(第1頁) 特開平6−340797号公報(第1頁) 特表2005−513186号公報(第1頁) 特開2000−264965号公報(第1頁)
本発明は、液晶性樹脂の特性でもあり、また問題となる特性でもある異方性を改良しつつ、高いせん断応答性を有しており、かつ立体的に制御された多数の官能基を有し、種々の熱可塑性樹脂との反応性、相溶性に富むため、熱可塑性樹脂に配合することにより、熱可塑性樹脂の薄肉流動性を改良し、かつガスバリア性や剛性向上、軽量化などの効果を付与することができる樹状ポリエステルを提供することを課題とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、これまでにない新しい構造を有し、液晶性を示す樹状ポリエステルが得られることを見いだし、本発明に到達したものである。
すなわち、本発明は、芳香族オキシカルボニル単位(P)、芳香族および/または脂肪族ジオキシ単位(Q)、芳香族ジカルボニル単位(R)および3官能の有機残基(B)を含み、芳香族オキシカルボニル単位(P)、芳香族および/または脂肪族ジオキシ単位(Q)、および、芳香族ジカルボニル単位(R)が、それぞれ下式(1)で表される構造単位から選ばれる少なくとも1種の構造単位であり、有機残基Bが式(3)で表される化合物の有機残基であり、かつ、Bの含有量が樹状ポリエステルを構成する全単量体に対して7.5〜50モル%の範囲にあり、構造単位P、QおよびRの平均含有量をそれぞれp、qおよびrとしたときに、p/qが5/95以上、かつ、p/rが5/95以上であり、数平均分子量が1000〜40000であり、かつ、溶融液晶性を示す樹状ポリエステルである。
Figure 0005182914
(ここで、R1、R2およびR3は、それぞれ下式で表される構造単位から選ばれる少なくとも1種の構造単位である。)
Figure 0005182914
(ただし、式中Yは、水素原子、ハロゲン原子およびアルキル基から選ばれる少なくとも1種である。式中nは2〜8の整数である。)
Figure 0005182914
式中、3個の−Uは、互いに同一または異なり、−COOH、−OHおよび−NH から選ばれた基である。
また本発明は、上記の樹状ポリエステルを熱可塑性樹脂に配合してなる熱可塑性樹脂組成物であって、熱可塑性樹脂100重量部に対して樹状ポリエステル0.01〜99重量部を含む熱可塑性樹脂組成物を含む。
また本発明は、下式R1で表される構造単位から選ばれる少なくとも1種の構造単位を含む単量体、下式R2で表される構造単位から選ばれる少なくとも1種の構造単位を含む単量体、下式R3で表される構造単位から選ばれる少なくとも1種の構造単位を含む単量体、および、前記式(3)で表される3官能多官能単量体を反応させる樹状ポリエステルの製造方法であって、該多官能化合物の添加量(モル)が、樹状ポリエステルを構成する全単量体の添加量(モル)に対して7.5モル%以上である上記の樹状ポリエステルの製造方法を含む。
Figure 0005182914
本発明の樹状ポリエステルは、異方性が小さく、せん断応答性に優れており、多数の反応性官能基を有しているため、熱可塑性樹脂に配合することで、薄肉流動性や剛性、ガスバリア性などを著しく向上することができる。
本発明の樹状ポリエステルを配合した熱可塑性樹脂組成物は、通常の射出成形、押出成形、プレス成形などの成形方法によって、優れた表面外観(色調)および機械的性質、耐熱性、難燃性を有する成形品、シート、パイプ、フィルム、繊維などに加工することが可能である。なかでも、薄肉部を有する巨大成形品やガスバリア性を有する燃料タンクなどに有用である。
本発明の樹状ポリエステルは、芳香族オキシカルボニル単位(P)、芳香族および/または脂肪族ジオキシ単位(Q)、および、芳香族ジカルボキシ単位(R)3官能の有機残基(B)とを含み、かつ、Bの含有量が樹状ポリエステルを構成する全単量体に対して7.5〜50モル%の範囲にある樹状ポリエステルである。
ここで、芳香族オキシカルボニル単位(P)、芳香族および/または脂肪族ジオキシ単位(Q)、および、芳香族ジカルボキシ単位(R)は、それぞれ下式(1)で表される構造単位である
Figure 0005182914
ここで、R1およびR3は、それぞれ芳香族残基である。R2は、芳香族残基または脂肪族残基である。R1、R2、およびR3は、それぞれ複数の構造単位を含んでも良い。
上記の芳香族残基としては、置換または非置換のフェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基などが挙げられ、脂肪族残基としてはエチレン、プロピレン、ブチレンなどが挙げられる。R1、R2およびR3は、れぞれ下式で表される構造単位から選ばれる少なくとも1種以上の構造単位である。
Figure 0005182914
ただし、式中Yは、水素原子、ハロゲン原子およびアルキル基から選ばれる少なくとも1種である。ここでアルキル基としては、炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。式中nは2〜8の整数である。
本発明の樹状ポリエステルは、3官能の有機残基(B)が、互いにエステル結合および/またはアミド結合により直接、あるいは、枝構造部分である前記P、QおよびRから選ばれる構造単位を介して結合した、3分岐の分岐構造を基本骨格としている。ポリマーの全てが該基本骨格からなる必要はなく、たとえば末端封鎖のために末端に他の構造が含まれても良い。樹状ポリエステル中には、Bの3つの官能基が全て反応している構造、2つだけが反応している構造、および1つだけしか反応していない構造が混在していてもよい。好ましくはBの3つの官能基が全て反応した構造が、B全体に対して15モル%以上であることが好ましく、より好ましくは20モル%以上であり、さらに好ましくは30モル%以上である。 Bは3官能化合物の有機残基であることが好ましい。
上記3分岐の基本骨格を模式的に示すと、式(2)で示される。
Figure 0005182914
本発明の樹状ポリエステルは、溶融液晶性を示すことが好ましい。ここで溶融液晶性を示すとは、室温から昇温していった際に、ある温度域で液晶状態を示すことである。液晶状態とは、剪断下において光学的異方性を示す状態である。
溶融液晶性を示すために、3分岐の場合の基本骨格は、下式(4)で示されるように、有機残基(B)が、P、QおよびRより構成される枝構造部分Dを介して結合していることが好ましい。
Figure 0005182914
3官能の有機残基Bとしては、カルボキシル基、ヒドロキシル基およびアミノ基から選ばれる官能基を含有する化合物の有機残基例えばグリセロール、1,2,3−トリカルボキシプロパン、ジアミノプロパノール、ジアミノプロピオン酸などの脂肪族化合物や、トリメシン酸、トリメリット酸、4−ヒドロキシ−1,2−ベンゼンジカルボン酸、フロログルシノール、レゾルシン酸、トリカルボキシナフタレン、ジヒドロキシナフトエ酸、アミノフタル酸、5−アミノイソフタル酸、アミノテレフタル酸、ジアミノ安息香酸、メラミンなどの芳香族化合物の残基が挙げられるが、本発明においては、下式(3)で表される芳香族化合物の残基が用いられる
Figure 0005182914
式中、3個の−Uは、互いに同一または異なり、−COOH、−OHおよび−NH から選ばれた基である。
上記の3官能の有機残基の具体例としては、フロログルシノール、トリメシン酸α−レゾルシル酸どの残基が好ましく、さらに好ましくは、トリメシン酸、α−レゾルシル酸の残基であり、最も好ましくはトリメシン酸の残基である。
また、樹状ポリエステルの芳香族ヒドロキシカルボニル単位(P)、芳香族および/または脂肪族ジオキシ単位(Q)、芳香族ジカルボニル単位(R)は、樹状ポリエステルの分岐間の枝構造部分を構成する単位である。p、qおよびrはそれぞれ構造単位P、QおよびRの平均含有量(モル比)であり、Bの含有量bの1モルに対して、p+q+r=1〜10モルの範囲であることが好ましい。p+q+rは、より好ましくは、2〜6モルの範囲である。枝鎖長が長すぎると、剛直で綿密な樹状構造に基づく剪断応答性などの効果が低減するため好ましくない。
このp、qおよびrの値は、例えば、樹状ポリエステルをペンタフルオロフェノール50重量%:重クロロホルム50重量%の混合溶媒に溶解し、40℃でプロトン核の核磁気共鳴スペクトル分析を行い、それぞれの構造単位に由来するピーク強度比から求めることができる。各構造単位のピーク面積強度比から、平均含有率を算出し、小数点3桁は四捨五入する。分岐構造Bの含有量bにあたるピークとの面積強度比から、枝構造部分の平均鎖長を算出し、p+q+rの値とする。この場合にも小数点3桁は四捨五入する。
pとqの比率およびpとrの比率(p/q、p/r)は、いずれも5/95〜95/5の範囲が好ましく、より好ましくは10/90〜90/10であり、さらに好ましくは20/80〜80/20である。この範囲であれば、液晶性が発現しやすく好ましい。p/qおよびp/rの比率を95/5以下とすることで、樹状ポリエステルの融点を適当な範囲とすることができるため好ましい。また、p/qおよびp/rを5/95以上とすることで樹状ポリエステルの溶融液晶性を発現することができるため好ましい。
qとrは、実質的に等モルであることが好ましいが、末端基を制御するためにどちらかの成分を過剰に加えることもできる。q/rの比率としては0.7〜1.5の範囲であることが好ましく、より好ましくは0.9〜1.1である。ここでいう等モルとは、繰り返し単位内でのモル量が等しいことを意味し、末端構造は含めない。ここで、末端構造とは、枝構造部分の末端を意味し、末端が封鎖されている場合などには、最も末端に近い枝構造部分の末端を意味する。
前記一般式(1)において、R1は芳香族オキシカルボニル単位由来の構造単位であり、具体例としては、p−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸から生成した構造単位などが挙げられる。好ましくはp−ヒドロキシ安息香酸由来の構造単位であり、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸由来の構造単位部併用することも可能である。また本発明の効果を損なわない範囲でグリコール酸、乳酸、ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸などの脂肪族ヒドロキシカルボン酸由来の構造単位を含有しても良い。
R2は芳香族および/または脂肪族ジオキシ単位由来の構造単位であり、例えば、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、t−ブチルハイドロキノン、フェニルハイドロキノン、メチルハイドロキノン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンおよび4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオールなど由来の構造単位が挙げられる。好ましくは、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、およびエチレングリコール由来の構造単位であり、4,4’−ジヒドロキシビフェニルとハイドロキノンもしくは4,4’−ジヒドロキシビフェニルとエチレングリコール由来の構造単位が含まれることが液晶性の制御の点から好ましい。
R3は芳香族ジカルボニル単位由来の構造単位であり、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸、1,2−ビス(2−クロロフェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸および4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸など由来の構造単位が挙げられる。好ましくはテレフタル酸またはイソフタル酸由来の構造単位であり、特に両者を併用した場合に融点調節がしやすく好ましい。セバシン酸やアジピン酸などの脂肪族ジカルボン酸由来の構造単位が一部含まれていてもよい。
本発明の樹状ポリエステルの枝構造部分は、主としてポリエステル骨格からなることが好ましいが、カーボネート構造やアミド構造、ウレタン構造などを、特性に大きな影響を与えない程度に導入することも可能である。中でもアミド構造を導入することが好ましい。このような別の結合を導入することで、多種多様な熱可塑性樹脂に対する相溶性を調整することが可能であり、好ましい。アミド結合の導入の方法としては、p−アミノ安息香酸、m−アミノ安息香酸、p−アミノフェノール、m−アミノフェノール、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、テトラメチレンジアミンペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、アミノエチルピペラジンなどの脂肪族、脂環族、あるいは芳香族のアミン化合物などを共重合することが好ましい。中でもp−アミノフェノールまたはp−アミノ安息香酸の共重合が好ましい。
樹状ポリエステルの枝構造部分の具体例としては、p−ヒドロキシ安息香酸および6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸由来の構造単位からなるもの、p−ヒドロキシ安息香酸由来の構造単位、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸由来の構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフェニル由来の構造単位およびテレフタル酸由来の構造単位からなるもの、p−ヒドロキシ安息香酸由来の構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフェニル由来の構造単位、テレフタル酸由来の構造単位およびイソフタル酸由来の構造単位からなるもの、p−ヒドロキシ安息香酸由来の構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフェニル由来の構造単位、ハイドロキノン由来の構造単位、テレフタル酸由来の構造単位およびイソフタル酸由来の構造単位からなるもの、p−ヒドロキシ安息香酸由来の構造単位、エチレングリコール由来の構造単位およびテレフタル酸由来の構造単位からなるもの、p−ヒドロキシ安息香酸由来の構造単位、エチレングリコール由来の構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフェニル由来の構造単位およびテレフタル酸由来の構造単位からなるもの、p−ヒドロキシ安息香酸由来の構造単位、ハイドロキノン由来の構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフェニル由来の構造単位、テレフタル酸由来の構造単位および2,6−ナフタレンジカルボン酸由来の構造単位からなるもの、p−ヒドロキシ安息香酸由来の構造単位、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸由来の構造単位、ハイドロキノン由来の構造単位およびテレフタル酸由来の構造単位からなるものなどが挙げられる。
特に好ましいのは、枝構造部分が、下記構造単位(I)、(II)、(III)、(IV)および(V)から構成されること、もしくは、下記構造単位(I)、(II)、(VI)および(IV)から構成されることである。
Figure 0005182914
Figure 0005182914
枝構造部分が、上記構造単位(I)、(II)、(III)、(IV)および(V)から構成される場合には、構造単位(I)の含有量pは、各構造単位の合計p+q+rに対して30〜70モル%が好ましく、より好ましくは45〜60モル%である。
また、構造単位(II)の含有量q(II)は、構造単位(II)および(III)の合計含有量qに対して60〜75モル%が好ましく、より好ましくは65〜73モル%である。また、構造単位(IV)の含有量r(IV)は、構造単位(IV)および(V)の合計含有量rに対して60〜92モル%が好ましく、より好ましくは60〜70モル%、さらに好ましくは62〜68モル%である。
このような場合には、本発明の効果である、せん断応答性や熱可塑性樹脂への添加効果が顕著に発現するため好ましい。
前記のように、構造単位(II)および(III)の合計含有量qと(IV)および(V)の合計含有量rは実質的に等モルであることが好ましいが、いずれかの成分を過剰に加えてもよい。
枝構造部分が、上記構造単位(I)、(II)、(VI)および(IV)から構成される場合には、上記構造単位(I)の含有量pは、p+q+rに対して30〜90モル%が好ましく、40〜80モル%がより好ましい。また、構造単位(VI)の含有量q(VI)は、(II)と(VI)の合計含有量qに対して70〜5モル%が好ましく、60〜8モル%がより好ましい。前記のように、構造単位(IV) の含有量rは、構造単位(II)および(VI)の合計含有量qと実質的に等モルであることが好ましいが、いずれかの成分を過剰に加えてもよい。
また、本発明の樹状ポリエステルの末端は、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、またはそれらの誘導体が好ましい。水酸基の誘導体もしくは、カルボン酸の誘導体としては、メチルエステルなどのアルキルエステルやフェニルエステルやベンジルエステルなどの芳香族エステルが挙げられる。また、単官能エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、酸無水物化合物などを用いて末端封鎖することも可能である。末端封鎖の方法としては、樹状ポリエステルを合成する際に、あらかじめ単官能性の有機化合物を添加する方法や、ある程度樹状ポリステルの骨格が形成された段階で単官能性の有機化合物を添加する方法などが挙げられる。
具体的には、水酸基末端やアセトキシ末端を封鎖する場合には、安息香酸、4−t−ブチル安息香酸、3−t−ブチル安息香酸、4−クロロ安息香酸、3−クロロ安息香酸、4−メチル安息香酸、3−メチル安息香酸、3,5−ジメチル安息香酸などを添加することで可能である。
また、カルボキシル基末端を封鎖する場合には、アセトキシベンゼン、1−アセトキシ−4−t−ブチルベンゼン、1−アセトキシ−3−t−ブチルベンゼン、1−アセトキシ−4−クロロベンゼン、1−アセトキシ−3−クロロベンゼン、1−アセトキシ−4−シアノベンゼンなどを添加することで可能である。
理論的には、上記末端封鎖に用いる有機化合物を、封鎖したい末端基に相当する量添加することで末端封鎖が可能である。封鎖したい末端基相当量に対して、末端封鎖に用いる有機化合物を、1.005倍当量以上用いることが好ましく、より好ましくは1.008倍当量以上である。また、末端封鎖に用いる有機化合物の添加量は1.5倍当量以下であることが好ましい。
末端封鎖に用いる有機化合物の添加量が少なすぎると、末端封鎖が充分ではない。一方、添加量が多すぎると、過剰な添加剤が、系中に残存して、反応速度を低下したり、ガスを発生したりするため好ましくない。
また、有機残基Bの含有量は、樹状ポリエステルを構成する全単量体の含有量に対して7.5モル%以上であり、10モル%以上がより好ましく、さらに好ましくは20モル%以上である。このような場合に、枝構造部分の連鎖長が、樹状ポリエステルが樹状の形態をとるのに適した長さとなるため好ましい。有機残基Bの含有量の上限としては、50モル%以下であり、45モル%以下が好ましく、40モル%以下がより好ましい。
また本発明の樹状ポリエステルは特性に影響が出ない範囲で、部分的に架橋構造を有していてもよい。
本発明において、樹状ポリエステルの製造方法は、特に制限されず、公知のポリエステルの重縮合法に準じて製造できる。前記R1で表される構造単位から選ばれる少なくとも1種の構造単位を含む単量体、R2で表される構造単位から選ばれる少なくとも1種の構造単位を含む単量体およびR3で表される構造単位から選ばれる少なくとも1種の構造単位を含む単量体、および、3官能性単量体を反応させる方法であって、該3官能性単量体の添加量(モル)が、樹状ポリエステルを構成する全単量体(モル)に対して7.5モル%以上として製造する方法が好ましい。3官能性単量体の添加量は、より好ましくは10モル%以上、さらに好ましくは20モル%以上である。
また、上記反応に際して、R1、R2およびR3で表される構造単位から選ばれる少なくとも1種の構造単位を含む単量体をアシル化した後、3官能性単量体を反応させる態様も好ましい。また、R1、R2およびR3で表される構造単位から選ばれる少なくとも1種の構造単位を含む単量体、および、3官能性単量体をアシル化した後、重合反応させる態様も好ましい。
前記構造単位(I)、(II)、(III)、(IV)および(V)とトリメシン酸残基から構成される樹状ポリエステルを製造する場合を例に挙げて、好ましい製造方法を説明する。
(1)p−アセトキシ安息香酸、4,4’−ジアセトキシビフェニル、ジアセトキシベンゼン、テレフタル酸およびイソフタル酸から脱酢酸縮重合反応によって液晶性ポリエステルオリゴマーを合成した後、トリメシン酸を加えて脱酢酸重合反応させて製造する方法。
(2)p−アセトキシ安息香酸、4,4’−ジアセトキシビフェニル、ジアセトキシベンゼン、テレフタル酸、イソフタル酸およびトリメシン酸から脱酢酸縮重合反応によって製造する方法。
(3)p−ヒドロキシ安息香酸、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンとテレフタル酸およびイソフタル酸に無水酢酸を反応させて、フェノール性水酸基をアシル化した後、脱酢酸重縮合反応によって液晶性ポリエステルオリゴマーを合成し、さらにトリメシン酸を加えて脱酢酸重合反応させて製造する方法。
(4)p−ヒドロキシ安息香酸、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンとテレフタル酸、イソフタル酸およびトリメシン酸に無水酢酸を反応させて、フェノール性水酸基をアシル化した後、脱酢酸重縮合反応によって製造する方法。
(5)p−ヒドロキシ安息香酸のフェニルエステル、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、テレフタル酸ジフェニルエステルおよびイソフタル酸ジフェニルエステルから脱フェノール重縮合反応により液晶性ポリエステルオリゴマーを合成した後、トリメシン酸を加えて脱フェノール重縮合反応によって製造する方法。
(6)p−ヒドロキシ安息香酸のフェニルエステル、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、テレフタル酸ジフェニルエステル、イソフタル酸ジフェニルエステルおよびトリメシン酸のフェニルエステルから脱フェノール重縮合反応によって製造する方法。
(7)p−ヒドロキシ安息香酸、テレフタル酸、イソフタル酸、トリメシン酸にジフェニルカーボネートを反応させて、それぞれフェニルエステルとした後、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンを加え、脱フェノール重縮合反応によって製造する方法。
なかでも(1)〜(5)の製造方法が好ましく、(3)および(4)の方法がより好ましく、鎖長制御と立体規制の点から(3)の製造方法が最も好ましい。
(3)の製造方法において、無水酢酸の使用量は、鎖長制御の点からフェノール性水酸基の合計の0.95当量以上1.10当量以下であることが好ましく、1.00当量以上1.08当量以下であることがより好ましく、最も好ましくは1.02当量以上1.05当量以下である。無水酢酸量を制御すること、ジヒドロキシモノマーおよびジカルボン酸モノマーのいずれかを過剰に添加すること等により、末端基を制御することが可能である。
分子量を上げるためには、トリメシン酸のカルボン酸量に相当する分だけ、ハイドロキノンや4,4’−ジヒドロキシビフェニルなどのジヒドロキシモノマーを、ジカルボン酸モノマーに対して過剰に加え、全単量体におけるカルボン酸と水酸基当量を合わせることが好ましい。一方、カルボン酸を意図的に末端基に残す場合には、前記のようなジヒドロキシモノマーの過剰添加を行わないことが好ましい。さらに、水酸基を意図的に末端に残す場合には、ジヒドロキシモノマーをトリメシン酸のカルボン酸当量以上に過剰に添加し、かつ無水酢酸の使用量をフェノール性水酸基の1.00当量未満で行うことが好ましい。
これらの方法により、本発明の樹状ポリエステルには、種々の熱可塑性樹脂との反応性に富む末端基構造を選択的に設けることが可能である。ただし、マトリクスとなる熱可塑性樹脂によっては、過剰な反応性を抑制するために、単官能エポキシ化合物などを用いて末端を封鎖した方が分散状態を制御しやすい場合もある。
脱酢酸重縮合反応を行う場合には、樹状ポリエステルが溶融する温度で、場合によっては減圧下で反応させ、所定量の酢酸を留出させ、重縮合反応を完了させる溶融重合法が好ましい。例えば、所定量のp−ヒドロキシ安息香酸、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、テレフタル酸、イソフタル酸および無水酢酸を、攪拌翼および留出管を備え、下部に吐出口を備えた反応容器中に仕込む。混合物を、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら加熱して、水酸基をアセチル化させた後、200〜350℃まで昇温して脱酢酸重縮合反応を行い、酢酸を留出させる。酢酸が、理論留出量の50%まで留出した段階で、トリメシン酸を所定量加えて、さらに理論留出量の91%まで酢酸を留出させ、反応を完了させる。
アセチル化させる条件としては、反応温度は、130〜170℃の範囲が好ましく、より好ましくは135〜155℃の範囲である。反応時間は、0.5〜6時間が好ましく、より好ましくは1〜2時間である。
重縮合させる温度は、樹状ポリエステルが溶融する温度であり、好ましくは樹状ポリエステルの融点+10℃以上の温度である。具体的には、例えば、200〜350℃の範囲であり、240〜280℃が好ましい。重縮合させるときの雰囲気は、常圧窒素下でも問題ないが、減圧すると反応が早く進み、系内の残留酢酸が少なくなるため好ましい。減圧度は、0.1mmHg(13.3Pa)〜200mmHg(26600Pa)が好ましく、より好ましくは10mmHg(1330Pa)〜100mmHg(13300Pa)である。なお、アセチル化と重縮合は同一の反応容器で連続して行っても良いし、アセチル化と重縮合を異なる反応容器で行っても良い。
重縮合反応が完了した後、反応容器内を樹状ポリエステルが溶融する温度に保ち、例えば、0.01〜1.0kg/cm(0.001〜0.1MPa)に加圧し、反応容器下部に設けられた吐出口より、樹状ポリエステルをストランド状に吐出する。吐出口には断続的に開閉する機構を設け、液滴状に吐出することも可能である。吐出した樹状ポリエステルは、空気中もしくは水中を通過して冷却された後、必要に応じて、カッティングもしくは粉砕される。
得られたペレット状、粒状または粉状の樹状ポリエステルは、さらに必要に応じて、熱乾燥や真空乾燥により水、酢酸などを除く。また、重合度の微調整、あるいは、さらに重合度を上げるために、固相重合をすることも可能である。固相重合は、例えば、上記により得られた樹状ポリエステルを、窒素気流下、または、減圧下、樹状ポリエステルの融点−5℃〜融点−50℃(例えば、200〜300℃)の温度範囲で1〜50時間加熱する方法が挙げられる。
樹状ポリエステルの重縮合反応は無触媒でも進行するが、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸カリウムおよび酢酸ナトリウム、三酸化アンチモン、金属マグネシウムなどの金属化合物を使用することもできる。
本発明の樹状ポリエステルは、数平均分子量は1,000〜40,000であることが好ましく、より好ましくは1,000〜20,000、さらに好ましくは1,000〜10,000であり、最も好ましくは1,000〜5,000の範囲である。なお、この数平均分子量は、樹状ポリエステルが可溶な溶媒を使用して、GPC−LS(ゲル浸透クロマトグラフ−光散乱)法により絶対分子量として測定した値である。
また、本発明における樹状ポリエステルの溶融粘度は、0.01〜30Pa・sが好ましく、0.5〜20Pa・sがより好ましく、1〜10Pa・sが特に好ましい。なお、この溶融粘度は、樹状ポリエステルの液晶開始温度+10℃の条件で、ずり速度100/sの条件下で高化式フローテスターによって測定した値である。
こうして得られた本発明の樹状ポリエステルは、溶融液晶性を示し、せん断応答性が高く、高弾性率および高ガスバリア性を示すため、単独でも樹脂材料、コーティング剤などに用いられる。
また、本発明の樹状ポリエステルは従来の液晶性ポリエステルとは異なり、多数の末端基を有している。そのため、熱可塑性樹脂に配合した場合に、熱可塑性樹脂に良く分散し、熱可塑性樹脂の特性を低下することなく、高いせん断応答性、高弾性率および高ガスバリア性などの特性を付与することができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物に使用する熱可塑性樹脂とは、熱可塑性を示す樹脂であれば特に限定されず、例えば、スチレン系樹脂、フッ素樹脂、ポリオキシメチレン、ポリアミドポリエステルポリイミド、ポリアミドイミド、塩化ビニル、オレフィン系樹脂、熱可塑性エラストマー、ポリアクリレート、ポリフェニレンエーテル、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィドなどのポリアリーレンスルフィド、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、エチルセルロース等のセルロース誘導体、液晶性樹脂等、およびこれらの変性材あるいは1種または2種以上のブレンド物等が挙げられる。
スチレン系樹脂としては、PS(ポリスチレン)、HIPS(高衝撃ポリスチレン)、AS(アクリロニトリル/スチレン共重合体)、AES(アクリロニトリル/エチレン・プロピレン・非共役ジエンゴム/スチレン共重合体)、ABS(アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体)、MBS(メタクリル酸メチル/ブタジエン/スチレン共重合体)などが挙げられる。
オレフィン系樹脂としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/1−ブテン共重合体、エチレン/プロピレン/非共役ジエン共重合体、エチレン/アクリル酸エチル共重合体、エチレン/メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/酢酸ビニル/メタクリル酸グリシジル共重合体およびエチレン/プロピレン−g−無水マレイン酸共重合体、メタクリル酸/メタクリル酸メチル/グルタル酸無水物共重合体などが挙げられる。
熱可塑性エラストマーとしては、ポリエステルポリエーテルエラストマー、ポリエステルポリエステルエラストマー、熱可塑性ポリウレタンエラストマー、熱可塑性スチレンブタジエンエラストマー、熱可塑性オレフィンエラストマー、熱可塑性ポリアミドエラストマーなどが挙げられる。
ポリアミドとしては、ナイロン6(ポリカプロアミド)、ナイロン66(ポリヘキサメチレンアジパミド)、ナイロン12(ポリドデカンアミド)、ナイロン610(ポリヘキサメチレンセバカミド)、ナイロン6/66コポリマー(ポリカプロアミド/ポリヘキサメチレンアジパミドコポリマー)などが挙げられる。また、ナイロン6T/66コポリマー(ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー)、ナイロン6T/6Iコポリマー(ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー)、ナイロン6T/M5Tコポリマー(ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリ−2−メチルペンタメチレンテレフタルアミドコポリマー)、ナイロン6T/12コポリマー(ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリドデカンアミドコポリマー)、ナイロン66/6T/6Iコポリマー(ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー)およびナイロン6T/6コポリマー(ポリカプロアミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー)などのヘキサメチレンテレフタルアミド単位を有する共重合体も好ましい。さらにこれらのポリアミド樹脂の複数を、耐衝撃性、成形加工性などの必要特性に応じて混合物として用いることも実用上好適である。
これらポリアミド樹脂の重合度には特に制限がないが、サンプル濃度0.01g/mlの98%濃硫酸溶液中、25℃で測定した相対粘度として、1.5〜7.0の範囲のものが好ましく、特に2.0〜6.0の範囲のナイロンが好ましい。
ポリアミド樹脂が、ヘキサメチレンテレフタルアミド単位を有する共重合体の場合、耐熱性が高いので好ましい。この場合、融点は、耐熱性の観点から200℃以上であることが好ましく、より好ましくは250℃以上、特に好ましくは280℃以上である。また融点が340℃を越える場合には、溶融加工時に分解を生じやすくなるため、融点は340℃以下であることが好ましく、より好ましくは330℃以下、特に好ましい融点は320℃以下である。またこの場合、ジカルボン酸成分はテレフタル酸成分単位40〜100モル%、テレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸成分および/または脂肪族ジカルボン酸単位0〜60%からなることが好ましい。
ポリアミド樹脂には、長期耐熱性を向上させる添加物として、銅化合物が好ましく用いられる。なかでも1価の銅化合物とりわけ1価のハロゲン化銅化合物が好ましく、酢酸第1銅、ヨウ化第1銅などを特に好適な銅化合物として例示できる。銅化合物の添加量は、ナイロン100重量部に対して0.01〜2重量部であることが好ましく、さらに0.015〜1重量部の範囲であることが好ましい。添加量が多すぎると溶融成形時に金属銅の遊離が起こり、着色により製品の価値を減ずることになる。銅化合物と併用する形でハロゲン化アルカリを添加することも可能である。このハロゲン化アルカリ化合物の例としては、ヨウ化カリウムおよびヨウ化ナトリウムが特に好ましい。
ポリエステルとしては、ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体とジオールまたはそのエステル形成性誘導体を主構造単位とする重合体または共重合体が好ましい。中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート/テレフタレート、ポリプロピレンイソフタレート/テレフタレート、ポリブチレンイソフタレート/テレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/ナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート/ナフタレート、ポリブチレンテレフタレート/ナフタレートなどの芳香族ポリエステル樹脂が特に好ましく、ポリブチレンテレフタレートが最も好ましい。これらの重合体においては、全ジカルボン酸に対するテレフタル酸ユニットの割合が30モル%以上であることが好ましく、40モル%以上であることがさらに好ましい。
また、ポリエステルは、ヒドロキシカルボン酸あるいはそのエステル形成性誘導体およびラクトンから選択された一種以上を含有していてもよい。ヒドロキシカルボン酸としては、グリコール酸、乳酸、ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸などが挙げられる。また、ラクトンとしてはカプロラクトン、バレロラクトン、プロピオラクトン、ウンデカラクトン、1,5−オキセパン−2−オンなどが挙げられる。これらを構造単位とする重合体または共重合体としては、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリグリコール酸/乳酸、ポリヒドロキシ酪酸/β−ヒドロキシ酪酸/β−ヒドロキシ吉草酸などの脂肪族ポリエステル樹脂が挙げられる。
ポリエステルの融点は、特に限定されないが、耐熱性の点で、120℃以上であることが好ましく、180℃以上であることがより好ましく、200℃以上であることがさらに好ましく、220℃以上であることが特に好ましい。上限は、特に限定されないが、300℃以下であることが好ましく、280℃以下であることがより好ましい。なお、上記ポリエステルの融点は、示差走査熱量計(DSC)により昇温速度20℃/分で測定した値である。
ポリエステルのカルボキシル末端基量は、特に限定されないが、流動性、耐加水分解性および耐熱性の点で、50eq/t以下であることが好ましく、30eq/t以下であることがより好ましく、20eq/t以下であることがさらに好ましく、10eq/t以下であることが特に好ましい。下限は0eq/tである。なお、本発明において、(A)ポリエステル樹脂のカルボキシル末端基量は、o−クレゾール/クロロホルム溶媒に溶解させた後、エタノール性水酸化カリウムで滴定し測定した値である。
ポリエステルの粘度は、溶融混練が可能であれば特に限定されないが、成形性の点で、o−クロロフェノール溶液を25℃で測定したときの固有粘度が0.36〜1.60dl/gの範囲であることが好ましく、0.50〜1.25dl/gの範囲であることがより好ましい。
ポリエステル樹脂の分子量は、特に限定されないが、耐熱性の点で、重量平均分子量(Mw)5万〜50万の範囲であることが好ましく、10万〜30万の範囲であることがより好ましく、15万〜25万の範囲であることがさらに好ましい。なお、本発明において、上記ポリエステルの分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した値である。
上記ポリエステルの製造方法は、特に限定されるものではなく、公知の重縮合法や開環重合法などにより製造することができる。バッチ重合および連続重合のいずれでもよく、また、エステル交換反応および直接重合による反応のいずれでも適用することができる。
これらの樹脂のうち、エンジニアリングプラスチックに分類されるものが好ましく、具体的には、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、およびポリアリーレンスルフィドなどが好ましい。特にナイロン6、ナイロン66、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイドなどが好ましい。
ポリアミド、およびポリエステルから選ばれた樹脂が、樹状ポリエステルの末端官能基との反応性を有するので、良好な効果が発揮されるため好ましい。
熱可塑性樹脂の溶融粘度については、限定されるものではないが、10〜300Pa・sが好ましく、15〜200Pa・sがより好ましく、さらには20〜100Pa・sが特に好ましい。熱可塑性樹脂の溶融粘度が低すぎると、分散した樹状ポリエステルの体積変化を引き起こすのに充分なせん断力を起こしにくく、効果が発現しにくい。また、熱可塑性樹脂の溶融粘度が高すぎると、樹脂中での分散が不全になり効果が発現しにくい。なお、この溶融粘度は、熱可塑性樹脂の融点+10℃の条件で、ずり速度1000/sの条件下で高化式フローテスターによって測定した値である。
本発明の熱可塑性樹脂組成物における、熱可塑性樹脂100重量部に対する樹状ポリエステルの配合量は、0.01〜99重量部が好ましく、より好ましくは、0.1〜50重量部、さらに好ましくは0.5〜20重量部である。配合量が上記範囲において、本発明の効果が顕著に得られるために好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物においては、機械強度その他の特性を付与するために、さらに充填材を配合することが可能である。繊維状、板状、粉末状、粒状などのいずれの充填材も使用することができる。充填材としては、繊維状充填材および非繊維状充填材のいずれも用いることができる。繊維状充填材としては、ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウィスカ、酸化亜鉛ウィスカ、炭酸カルシウムウィスカ、ワラステナイトウィスカ、硼酸アルミウィスカ、アラミド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、石コウ繊維、金属繊維などが挙げられる。非繊維状充填材としては、タルク、ワラステナイト、ゼオライト、セリサイト、マイカ、カオリン、クレー、パイロフィライト、ベントナイト、アスベスト、アルミナシリケートなどの珪酸塩、酸化珪素、酸化マグネシウム、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄などの金属化合物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイトなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩、ガラスビーズ、セラミックビ−ズ、窒化ホウ素、炭化珪素、燐酸カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどの水酸化物、ガラスフレーク、ガラス粉、カーボンブラックおよびシリカ、黒鉛などが挙げられる。また、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイトなどのスメクタイト系粘土鉱物やバーミキュライト、ハロイサイト、カネマイト、ケニヤイト、燐酸ジルコニウム、燐酸チタニウムなどの各種粘土鉱物、Li型フッ素テニオライト、Na型フッ素テニオライト、Na型四珪素フッ素雲母、Li型四珪素フッ素雲母等の膨潤性雲母に代表される層状珪酸塩も用いられる。
これら充填材の中で好ましくはガラス繊維、タルク、ワラステナイト、モンモリロナイトおよび合成雲母などである。機械強度向上効果の大きいガラス繊維が特に好ましく用いられる。また、充填材は2種以上を併用して使用することもできる。
ガラス繊維の種類は、一般に樹脂の強化用に用いるものなら特に限定はなく、例えば長繊維タイプや短繊維タイプのチョップドストランド、ミルドファイバーなどから選択して用いることができる。また、ガラス繊維は弱アルカリ性のものが機械的強度の点で優れており、好ましく使用できる。ガラス繊維はエチレン/酢酸ビニル共重合体などの熱可塑性樹脂、エポキシ系、ウレタン系、アクリル系などの被覆あるいは収束剤で処理されていることが好ましく、エポキシ系収束剤で処理されていることが特に好ましい。また、ガラス繊維は、シラン系、チタネート系などのカップリング剤、その他表面処理剤で処理されていることが好ましく、エポキシシラン系またはアミノシラン系のカップリング剤が特に好ましい。
充填材の配合量は、熱可塑性樹脂100重量部に対して、0.01〜400重量部が好ましく、より好ましくは0.05〜150重量部、特に好ましくは0.1〜100重量部である。
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、さらに酸化防止剤および熱安定剤(たとえばヒンダードフェノール、ヒドロキノン、ホスファイト類およびこれらの置換体など)、紫外線吸収剤(たとえばレゾルシノール、サリシレート)、難燃剤(臭素系、リン系、金属水酸化物系など)、耐衝撃改良材(オレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマーなど)、着色防止剤(亜リン酸塩、次亜リン酸塩など)、滑剤および離型剤(ステアリン酸、モンタン酸およびその金属塩など)、着色剤、導電剤あるいは着色剤としてのカーボンブラック、結晶核剤、可塑剤および帯電防止剤などの通常の添加剤、もしくは、熱可塑性樹脂以外の重合体を配合することができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法としては、溶融混練によることが好ましい。溶融混練には公知の方法を用いることができる。たとえば、バンバリーミキサー、ゴムロール機、ニーダー、単軸もしくは二軸押出機などを用い、熱可塑性樹脂の溶融温度以上で溶融混練して樹脂組成物を得ることができる。中でも、二軸押出機を用いる方法が好ましい。
混練方法としては、1)熱可塑性樹脂、樹状ポリエステル、任意成分である充填材およびその他の添加剤を一括混練する方法、2)まず熱可塑性樹脂にその他の添加剤を高濃度に含む熱可塑性樹脂組成物(マスターペレット)を作成し、次いで規定の濃度になるように液熱可塑性樹脂、樹状ポリエステル、任意成分である充填材および残りの添加剤を添加する方法(マスターペレット法)、3)熱可塑性樹脂と樹状ポリエステルおよびその他の添加剤の一部を一度混練し、ついで残りの熱可塑性樹脂、樹状ポリエステル、任意成分である充填材および残りの添加剤を添加する分割添加法など、どの方法を用いてもかまわない。
かくして得られる本発明の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂と樹状ポリエステルが、良好な分散状態を取っており、熱可塑性樹脂の特性を低下することなく、薄肉流動性、剛性、ガスバリア性などの特性が熱可塑性樹脂に付与されている。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、通常の射出成形、押出成形、プレス成形などの成形方法によって、優れた表面外観(色調)および機械的性質を有する成形品、シート、パイプ、フィルム、繊維などに加工することが可能である。なかでも自動車部品等の大型射出成形品や厚み0.01〜1.0mmの薄肉部を有する巨大射出成形品やガスバリア性を有する燃料タンクなどに有用である。
このようにして得られた熱可塑性樹脂組成物は、電気・電子部品、家庭・事務電気製品部品、建築部材、水産関連部材、土木関連部材、自動車用アンダーフード部品、自動車用内装部品、自動車用外装部品、各種自動車用コネクター、機械部品、農業部材、衛生用品、医療用品、容器・包装、衣料、インテリア用品などとして有用であり、自動車用内装部品、自動車用外装部品および自動車用コネクターとして特に有用である。
具体的には、電気・電子部品の例としては、リレーケース、コイルボビン、光ピックアップシャーシ、モーターケース、ノートパソコンハウジングおよび内部部品などを挙げることができる。家庭・事務電気製品部品の例としては、VTR部品、テレビ部品、照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品などを挙げることができる。建築部材としては、サッシ戸車、ブラインドカーテンパーツ、配管ジョイント、カーテンライナーなどを挙げることができる。水産関連部材としては、釣り糸、漁網、海藻養殖網、釣り餌袋などを挙げることができる。土木関連部材としては、植生ネット、植生マット、防草袋、防草ネット、養生シート、法面保護シートなどを挙げることができる。自動車用アンダーフード部品としては、エアフローメーター、エアポンプ、各種ケース、各種チューブ、各種タンクなどを挙げることができる。自動車用内装部品としては、トルクコントロールレバー、安全ベルト部品、レジスターブレード、ウオッシャーレバーなどを挙げることができる。自動車用外装部品としては、ルーフレール、フェンダー、バンパー、ドアミラーステー、ドアハンドルなどを挙げることができる。各種自動車用コネクターとしては、ワイヤーハーネスコネクター、SMJコネクター、PCBコネクター、ドアグロメットコネクターなどを挙げることができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物およびそれからなる成形品は、リサイクルすることが可能である。例えば、樹脂組成物およびそれからなる成形品を粉砕し、好ましくは粉末状とした後、必要に応じて添加剤を配合して得られる樹脂組成物は、本発明の樹脂組成物と同じように使用でき、成形品とすることも可能である。
以下、実施例により本発明をさらに詳述するが、本発明の骨子は以下の実施例のみに限定されるものではない。
実施例1
攪拌翼および留出管を備えた500mLの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸66.3g(0.48モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル8.38g(0.045モル)、テレフタル酸7.48g(0.045モル)、固有粘度が約0.6dl/gのポリエチレンテレフタレ−ト14.41g(0.075モル)および無水酢酸62.48g(フェノール性水酸基合計の1.00当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら145℃で2時間反応させた。その後、トリメシン酸31.52g(0.15モル)を加えて260℃まで昇温し、3時間攪拌し、理論留出量の91%の酢酸が留出したところで加熱および攪拌を停止し、内容物を冷水中に吐出した。
得られた樹状ポリエステル(A−1)について、核磁気共鳴スペクトル分析を行った結果、トリメシン酸残基に対して、p−オキシベンゾエート単位の含量pが2.66、4,4’−ジオキシビフェニル単位とエチレンオキシド単位の含量qが0.66、テレフタレート単位の含量rが0.66であり、p+q+r=4であった。末端はカルボン酸とアセチル基が64:36の比率で存在した。
また、分岐度は、トリメシン酸の三つの官能基で3つとも反応しているものの割合を算出した。
核磁気共鳴スペクトルは、サンプルをペンタフルオロフェノール50%:重クロロホルム50%混合溶媒に溶解し、40℃で測定し、プロトン核の核磁気共鳴スペクトル分析を行った。p−オキシベンゾエート単位由来の7.44ppmおよび8.16ppmのピーク、4,4’−ジオキシビフェニル単位由来の7.04ppm、7.70ppmのピーク、テレフタレート単位由来の8.31ppmのピーク、エチレンオキシド単位由来の4.75ppmのピーク、トリメシン酸由来の9.25ppmのピークが検出された。各ピークの面積強度比から、各構造単位の含有比率を算出し、小数点3桁は四捨五入した。枝構造部分P、QおよびR由来のピーク面積強度と、有機残基B由来のピーク面積強度との比から、含量p、q、rおよび分岐点Bの含有量を算出した。また、トリメシン酸の3つのプロトンのピークシフトからカルボン酸の反応の有無を判定し、分岐度を算出し、小数点3桁を四捨五入した。
得られた樹状ポリエステルの融点Tmは185℃、液晶開始温度は159℃で、数平均分子量2300であった。高化式フローテスターを用い、温度189℃、剪断速度100/sで測定した溶融粘度は、12Pa・sであった。
なお、融点(Tm)は、樹状ポリエステルを、示差熱量測定において、室温から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1)の観測後、Tm1+20℃の温度で5分間保持し、20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却し、再度20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm)とした。
液晶開始温度は、剪断応力加熱装置(CSS−450)により、剪断速度100(1/秒)、昇温速度5.0℃/分、対物レンズ60倍において測定し、視野全体が流動開始する温度とした。
また、分子量は樹状ポリエステルが可溶な溶媒であるペンタフルオロフェノールを使用して、GPC−LS(ゲル浸透クロマトグラフ−光散乱)法により測定し、数平均分子量を求めた。
得られた樹状ポリエステルについて(1)〜(3)の評価を行った。結果は表2に示した。
(1)せん断応答性
高化式フローテスターを用い、液晶開始温度+30℃において、せん断速度100/sで測定した溶融粘度(η100)とせん断速度1,000/sで測定した溶融粘度(η1000)の比(η100/η1000)を評価した。せん断応答性が大きい程、液晶性に富み、バリが少なく、低圧での成形が可能となる。
(2)剛性
樹状ポリエステルをファナック30α−C射出成型機を用いて、液晶開始温度+30℃で一速一圧で成形し、厚み1mm×幅6.2mm×長さ40mmの試験片を得た。得られた試験片について、動的粘弾性測定装置(バイブロン)を用い、両持ち曲げ試験(周波数1Hz)法により、25℃での貯蔵弾性率を測定した。
また、異方性については、上記成形機を用いて同様に成形した厚み1mm×40mm四方の角板から、流れ方向に切り出した厚み1mm×幅6.2mm×長さ40mmの試験片と、直角方向に切り出した厚み1mm×幅6.2mm×長さ40mmの試験片の貯蔵弾性率を測定し、その比を評価した。
(3)ガスバリア性
上記成形機を用いて同様に成形した厚み1mm×60mm四方の角板のガスバリア性を、JISK7126 A法(差圧法)に準じて、GTR−10(ヤナコ分析工業製)を用いて35℃で測定した。ガスとしては水素を用いた。
実施例2
原料単量体を、p−ヒドロキシ安息香酸58.01g(0.42モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル23.46g(0.126モル)、ハイドロキノン5.95g(0.054モル)、テレフタル酸19.44g(0.117モル)、イソフタル酸(0.063モル)、無水酢酸79.63g(フェノール性水酸基合計の1.00当量)およびトリメシン酸31.52g(0.15モル)に変更した以外は、実施例1と同様にして、樹状ポリエステルを得た。得られた樹状ポリエステルを実施例1と同様に評価した。結果を表1、表2に示す。
実施例3
原料単量体を、p−ヒドロキシ安息香酸58.01g(0.42モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル65.36g(0.351モル)、ハイドロキノン5.95g(0.054モル)、テレフタル酸19.44g(0.117モル)、イソフタル酸(0.063モル)、無水酢酸83.61g(フェノール性水酸基合計の1.05当量)およびトリメシン酸31.52g(0.15モル)に変更した以外は、実施例1と同様にして、樹状ポリエステルを得た。得られた樹状ポリエステルを実施例1と同様に評価した。結果を表1、表2に示す。
実施例4
原料単量体を、p−ヒドロキシ安息香酸58.01g(0.42モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル70.95g(0.381モル)、ハイドロキノン5.95g(0.054モル)、テレフタル酸19.44g(0.117モル)、イソフタル酸(0.063モル)、無水酢酸75.65g(フェノール性水酸基合計の0.95当量)およびトリメシン酸31.52g(0.15モル)に変更した以外は、実施例1と同様にして、樹状ポリエステルを得た。得られた樹状ポリエステルを実施例1と同様に評価した。結果を表1、表2に示す。
実施例6
攪拌翼および留出管を備えた500mLの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸58.01g(0.42モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル23.46g(0.126モル)、ハイドロキノン5.95g(0.054モル)、テレフタル酸19.44g(0.117モル)、イソフタル酸(0.063モル)および無水酢酸79.63g(フェノール性水酸基合計の1.00当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら145℃で2時間反応させた。その後、トリメシン酸31.52g(0.15モル)を加えて260℃まで昇温し、3時間攪拌し、さらに26600Paに減圧した。理論留出量の93%の酢酸が留出したところで加熱および攪拌を停止し、内容物を冷水中に吐出した。得られた樹状ポリエステルを実施例1と同様に評価した。結果を表1、表2に示す。
実施例7
攪拌翼および留出管を備えた500mLの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸58.01g(0.42モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル23.46g(0.126モル)、ハイドロキノン5.95g(0.054モル)、テレフタル酸19.44g(0.117モル)、イソフタル酸(0.063モル)および無水酢酸79.63g(フェノール性水酸基合計の1.00当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら145℃で2時間反応させた。その後、トリメシン酸31.52g(0.15モル)を加えて260℃まで昇温し、3時間攪拌し、さらに13300Paに減圧した。理論留出量の96%の酢酸が留出したところで加熱および攪拌を停止し、内容物を冷水中に吐出した。得られた樹状ポリエステルを実施例1と同様に評価した。結果を表1、表2に示す。
実施例8
原料単量体を、p−ヒドロキシ安息香酸58.01g(0.42モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル23.46g(0.126モル)、ハイドロキノン5.95g(0.054モル)、テレフタル酸19.44g(0.117モル)、イソフタル酸(0.063モル)、無水酢酸79.63g(フェノール性水酸基合計の1.00当量)およびトリメシン酸15.13g(0.072モル)に変更した以外は、実施例1と同様にして、樹状ポリエステルを得た。得られた樹状ポリエステルを実施例1と同様に評価した。結果を表1、表2に示す。
実施例9
原料単量体を、p−ヒドロキシ安息香酸58.01g(0.42モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル23.46g(0.126モル)、ハイドロキノン5.95g(0.054モル)、テレフタル酸19.44g(0.117モル)、イソフタル酸(0.063モル)および無水酢酸79.63g(フェノール性水酸基合計の1.00当量)に変更し、トリメシン酸に代えてα−レゾルシル酸23.12g(0.15モル)を用いた以外は、実施例1と同様にして、樹状ポリエステルを得た。得られた樹状ポリエステルを実施例1と同様に評価した。結果を表1、表2に示す。
実施例10
攪拌翼および留出管を備えた500mLの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸58.01g(0.42モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル65.368g(0.351モル)、ハイドロキノン5.95g(0.054モル)、テレフタル酸19.44g(0.117モル)、イソフタル酸(0.063モル)、トリメシン酸31.52g(0.15モル)および無水酢酸83.61g(フェノール性水酸基合計の1.05当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら145℃で2時間反応させた。その後、280℃まで昇温し、3時間攪拌し、理論留出量の91%の酢酸が留出したところで、安息香酸12.2g(0.100モル;理論アセトキシ末端に対して1.000倍)を添加し、酢酸を100%まで留出させたところで、加熱および攪拌を停止し、内容物を冷水中に吐出した。得られた樹状ポリエステルを実施例1と同様に評価した。結果を表1、表2に示す。
実施例11
攪拌翼および留出管を備えた500mLの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸66.30g(0.48モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル8.38g(0.045モル)、テレフタル酸7.48g(0.045モル)、固有粘度が約0.6dl/gのポリエチレンテレフタレ−ト14.40g(0.075モル)、α−レゾルシル酸42.72g(0.28モル)および無水酢酸78.26g(フェノール性水酸基合計の1.08当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら145℃で2時間反応させた。その後、260℃まで昇温し、3時間攪拌し、理論留出量の91%の酢酸が留出したところで、安息香酸25.6g(0.21モル;理論アセトキシ末端に対して1.000倍)を添加し、酢酸を100%まで留出させたところで、加熱および攪拌を停止し、内容物を冷水中に吐出した。得られた樹状ポリエステルを実施例1と同様に評価した。結果を表1、表2に示す。
比較例1
原料単量体を、p−ヒドロキシ安息香酸66.3g(0.48モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル8.38g(0.045モル)、テレフタル酸7.48g(0.045モル)、固有粘度が約0.6dl/gのポリエチレンテレフタレ−ト14.41g(0.075モル)および無水酢酸62.48g(フェノール性水酸基合計の1.00当量)に変更し、トリメシン酸を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして、ポリエステル(B−1)を得た。得られたポリエステルを実施例1と同様に評価した。結果を表1、表2に示す。
比較例2
原料単量体を、p−ヒドロキシ安息香酸66.3g(0.48モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル8.38g(0.045モル)、テレフタル酸7.48g(0.045モル)、固有粘度が約0.6dl/gのポリエチレンテレフタレ−ト14.41g(0.075モル)、無水酢酸62.48g(フェノール性水酸基合計の1.00当量)およびトリメシン酸6.62g(0.032モル)に変更した以外は、実施例1と同様にして、樹状ポリエステル(B−2)を得た。得られた樹状ポリエステルを実施例1と同様に評価した。結果を表1、表2に示す。
Figure 0005182914
Figure 0005182914
表1、表2からも明らかなように本発明の樹状ポリエステルは、その特異的な樹状構造によって、優れた液晶性を示す。また、せん断応答性に優れるため、低圧高速成形が可能であり、バリがでにくい。さらに、せん断により容易に配向するために、プレス成形によっても高弾性率化し、得られた成形品は高パッキングしているためにガスバリア性に優れている。また、液晶性を示しているにも関わらず、得られた成形品は異方性が小さい。
(参考例)熱可塑性樹脂
C−1 ナイロン6(N6) 東レ製“アミラン”CM1010(融点225℃)、
C−2 ナイロン66(N66) 東レ製“アミラン”CM3001−N(融点262℃)、
C−3 ポリブチレンテレフタレート(PBT) 東レ製“トレコン”1100S(固有粘度0.89dl/g、融点223℃)
C−4 ポリエチレンテレフタレート(PET) 東レ製T−704(固有粘度1.20dl/g、融点260℃)
C−5 ポリフェニレンサルファイド(PPS) 東レ製M2100(融点283℃)
C−6 ポリ乳酸(PLA)三井化学社製LACEA H−100(融点168℃)
C−7 変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE) GE社製ノリルGTX6011(加工温度280℃)
C−8 メタクリル酸/メタクリル酸メチル/グルタル酸無水物単位の共重合体(加工温度260℃)
容量20リットルのバッフルおよびファウドラ型撹拌翼を備えたステンレス製オートクレーブに、ポリビニルアルコール系懸濁剤(クラレ(株)製“ポバールPVA−117”)0.1重量部をイオン交換水165重量部に溶解した溶液を供給し、400rpmで撹拌しながら、系内を流量10リットル/分の窒素ガスで15分間バブリングした。この時の水溶液の溶存酸素濃度は2.5ppmであった。次に窒素ガスを5リットル/分の流量でフローし、反応系を撹拌しながら下記混合物質を添加し、65℃に昇温した。
メタクリル酸:30重量部
メタクリル酸メチル:70重量部
t−ドデシルメルカプタン:0.4重量部
ラウリルパーオキシド:0.3重量部
次に内温が65℃に達した時点を重合開始時間として、内温を65℃で210分間保ち、その後85℃に昇温して、内温を85℃で60分間保ち、重合を終了した。以降、反応系を冷却し、ポリマーの分離、洗浄および乾燥を行い、ビーズ状のアクリル樹脂前駆体を得た。このアクリル樹脂前駆体の重合率は98%であり、質量平均分子量は13万であった。
得られたアクリル樹脂前駆体100重量部に、触媒として酢酸リチウム0.2重量部を配合し、これを直径38mmの2軸・単軸複合型連続混練押出機HTM38(CTE社製、L/D=47.5、ベント部2箇所)に供給した。ホッパー部より窒素を10リットル/分の流量でパージしながら、スクリュー回転数75rpm、原料供給量10kg/h、シリンダー温度290℃で分子内環化反応を行い、ペレット状のメタクリル酸/メタクリル酸メチル/グルタル酸無水物単位の共重合体を得た。この共重合体中のグルタル酸無水物単位は32重量%、メタクリル酸メチル単位は65重量%、メタクリル酸単位は3重量%であった。
C−9 アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体(ABS) 東レ製T−100(加工温度220℃)
C−10 ポリカーボネート樹脂(PC) 出光石油化学社製タフロンA1900(加工温度300℃)
実施例12〜35、比較例3〜15
東芝機械製TEM35B型2軸押出機を用い、熱可塑性樹脂(C−1〜C−10)、実施例1〜9で得た樹状ポリエステル(A−1〜A−11)または比較例1、2で得たポリエステル(B−1、B−2)を表3、表4に示す配合比で、ドライブレンドしてホッパーから投入した。一方、充填材(GF:D−1日本電気硝子製ECS03T747H(直径10.5μm)、D−2日東紡績製CS3J948(直径10μm)、D−3日本電気硝子製T−289(直径13μm)、D−4日本電気硝子製T−249(直径13μm))を表3、表4に示す配合比で、サイドフィーダーから投入し、熱可塑性樹脂の融点+10℃(C−7は280℃、C−8は260℃、C−9は220℃、C−10は300℃でそれぞれ行った)で溶融混練して熱可塑性樹脂組成物のペレットを得た。
得られたペレットを熱風乾燥後、ファナックα30C射出成形機(ファナック(株)製)に供し、下記(4)〜(6)のとおり、各試験片を成形し、熱可塑性樹脂組成物の評価を行った。
(4)薄肉流動性
射出成形時の樹脂温度を混練時と同じ温度に設定し、射出速度300mm/s、射出圧力を50MPaに設定し、金型温度を80℃で、150mm長×3.2mm幅×0.3mm厚の棒流動試験片金型を用い、保圧0での棒流動長を測定した。
(5)貯蔵弾性率
射出成形時の樹脂温度を混練時と同じ温度に設定し、射出速度300mm/s、射出圧力を下限圧+1MPaに設定し、金型温度を80℃で、ASTM1号ダンベル試験片を成形した。動的粘弾性測定装置(バイブロン)を用い、両持ち曲げ試験(周波数1Hz)法により25℃での貯蔵弾性率を測定した。
(6)ガスバリア性
射出成形時の樹脂温度を混練時と同じ温度に設定し、射出速度300mm/s、射出圧力を下限圧+1MPaに設定し、金型温度を80℃で、1mm厚×40mm四方の角板試験片を成形した。JISK7126 A法(差圧法)に準じて、GTR−10(ヤナコ分析工業製)を用いて35℃で測定した。ガスとしては水素を用いた。
Figure 0005182914
Figure 0005182914
表3、表4からも明らかなように本発明の樹状ポリエステルを配合した熱可塑性樹脂組成物は、薄肉流動性に優れ、低圧で成形できるため、バリがでにくい。また分岐の少ないポリエステルを配合したものに比べ、剛性およびガスバリア性が向上することが明らかである。また、末端封鎖によって、反応性を制御することで、多種な樹脂に対する効果を調節することも可能であることがわかる。
実施例36
実施例26で得られた熱可塑性樹脂組成物および比較例9で得られた熱可塑性樹脂組成物を、二軸押出機にサンドパックと紡出装置を備えた紡糸器により、パックおよび口金の温度を変えて紡糸を行い、パック圧100MPaとなる温度を評価した。実施例26の熱可塑性樹脂組成物は、パック圧100MPaとなる温度は282℃であり、比較例9の熱可塑性樹脂組成物はパック圧100MPaとなる温度は310℃であった。明らかに本発明の熱可塑性樹脂組成物は粘度が低く、加工性に優れていることがわかる。
実施例37
実施例26で得られた熱可塑性樹脂組成物および比較例9で得られた熱可塑性樹脂組成物を、ベント機構を有する日本製鋼所製TEX30型二軸押出機にダイプレートを介して連結された均一な太さの配管を介してギアポンプおよび15μmφのポリマーフィルターを接続し、さらにTダイを連結した製膜装置に供した。スクリュー回転数150rpmで、ベントを引きながら、ギアポンプで供給量を一定とし、リップ開度0.5mmの滞留部を設けたTダイから、溶融した熱可塑性樹脂組成物を吐出し、フィルムを作成しつつ、その際のTダイ内圧を評価した。温度は全ての部分で290℃で行った。実施例26の熱可塑性樹脂組成物は、Tダイ内圧が65MPaであり、比較例9の熱可塑性樹脂組成物はTダイ内圧が142MPaであった。明らかに本発明の熱可塑性樹脂組成物は加工性に優れていることがわかる。
本発明の樹状ポリエステルは、異方性が小さく、せん断応答性に優れており、多数の反応性官能基を有しているため、種々の熱可塑性樹脂との反応性および相溶性に富む。そのため、本発明の樹状ポリエステルを熱可塑性樹脂に配合することで、薄肉流動性、剛性、ガスバリア性などを著しく向上することができる。
本発明の樹状ポリエステルを配合した熱可塑性樹脂組成物は、通常の射出成形、押出成形、プレス成形などの成形方法によって、優れた表面外観(色調)および機械的性質、耐熱性および難燃性を有する成形品、シート、パイプ、フィルム、繊維などに加工することが可能である。なかでも、薄肉部を有する巨大成形品やガスバリア性を有する燃料タンクなどに有用である。

Claims (10)

  1. 芳香族オキシカルボニル単位(P)、芳香族および/または脂肪族ジオキシ単位(Q)、芳香族ジカルボニル単位(R)および3官能の有機残基(B)を含み、芳香族オキシカルボニル単位(P)、芳香族および/または脂肪族ジオキシ単位(Q)、および、芳香族ジカルボニル単位(R)が、それぞれ下式(1)で表される構造単位から選ばれる少なくとも1種の構造単位であり、有機残基Bが式(3)で表される化合物の有機残基であり、かつ、Bの含有量が樹状ポリエステルを構成する全単量体に対して7.5〜50モル%の範囲にあり、構造単位P、QおよびRの平均含有量をそれぞれp、qおよびrとしたときに、p/qが5/95以上、かつ、p/rが5/95以上であり、数平均分子量が1000〜40000であり、かつ、溶融液晶性を示す樹状ポリエステル。
    Figure 0005182914
    (ここで、R1、R2およびR3は、それぞれ下式で表される構造単位から選ばれる少なくとも1種の構造単位である。)
    Figure 0005182914
    (ただし、式中Yは、水素原子、ハロゲン原子およびアルキル基から選ばれる少なくとも1種である。式中nは2〜8の整数である。)
    Figure 0005182914
    式中、3個の−Uは、互いに同一または異なり、−COOH、−OHおよび−NH から選ばれた基である。
  2. 前記Bの含有量を1モルとした場合にP、QおよびRそれぞれの含有量p、qおよびrがp+q+r=1〜10モルの範囲にある請求項1記載の樹状ポリエステル。
  3. 式(2)で示される基本骨格を含有する請求項1または2記載の樹状ポリエステル。
    Figure 0005182914
    (ここで、Bは3官能化合物の有機残基であり、B−B間はエステル結合および/またはアミド結合により直接、あるいは、前記P、QおよびRを介して結合している。)
  4. 前記有機残基Bの含有量(モル)が、樹状ポリエステルを構成する全単量体に対して10モル%以上である請求項1〜3のいずれか記載の樹状ポリエステル。
  5. 樹状ポリエステルの数平均分子量が1000〜5000である請求項1〜4のいずれかに記載の樹状ポリエステル。
  6. 樹状ポリエステルの末端官能基が単官能性の有機化合物で封鎖されている請求項1〜5のいずれかに記載の樹状ポリエステル。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の樹状ポリエステルを熱可塑性樹脂に配合してなる熱可塑性樹脂組成物であって、熱可塑性樹脂100重量部に対して樹状ポリエステル0.01〜99重量部を含む熱可塑性樹脂組成物。
  8. 請求項7に記載の熱可塑性樹脂組成物からなる成形品。
  9. 下式R1で表される構造単位から選ばれる少なくとも1種の構造単位を含む単量体、下式R2で表される構造単位から選ばれる少なくとも1種の構造単位を含む単量体、下式R3で表される構造単位から選ばれる少なくとも1種の構造単位を含む単量体、および、前記式(3)で表される3官能の多官能単量体を反応させる樹状ポリエステルの製造方法であって、該多官能化合物の添加量(モル)が、樹状ポリエステルを構成する全単量体の添加量(モル)に対して7.5モル%以上である請求項1記載の樹状ポリエステルの製造方法。
    Figure 0005182914
    (ただし、式中Yは、水素原子、ハロゲン原子およびアルキル基から選ばれる少なくとも1種である。式中nは2〜8の整数である。)
  10. 単官能性の有機化合物をさらに添加する請求項9に記載の樹状ポリエステルの製造方法。
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