JP2010196187A - ポリフェニレンサルファイド短繊維およびその製造方法 - Google Patents

ポリフェニレンサルファイド短繊維およびその製造方法 Download PDF

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Masato Masuda
正人 増田
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Abstract

【課題】 長期間にわたって高温条件下で使用されても強度保持率が高く耐薬品性に優れると共に、バグフィルターの濾布に用いても機械的強度が低下しにくくPPS短繊維を提供する。
【解決手段】 重量平均分子量Mwが70,000以上であるポリフェニレンサルファイドのペレットを170℃以下の温度で減圧下にて乾燥した後、ポリフェニレンサルファイドに対し0.1〜10重量%の芳香族ハイパーブランチポリマーと溶融混練し、330℃以下で紡糸口金から紡出し、延伸した後に所定の長さに切断することにより、ポリフェニレンサルファイド短繊維を製造する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、糸強度に優れ、長期間の熱処理下に於いてもその繊維の強力低下が少なく、引張強度に優れたポリフェニレンサルファイド短繊維、その製造方法及びその用途に関するものである。
ポリフェニレンサルファイド(以下PPSと略す)樹脂は、優れた耐熱性、バリア性、耐薬品性、電気絶縁性、耐湿熱性などエンジニアリングプラスチクスとして好適な性質を有しており、射出成型、押出成型用を中心として、各種電気・電子部品、機械部品および自動車部品、フィルム、繊維などに使用されている。例えば、廃ガス集塵用のバグフィルター等の各種産業用フィルターに用いられる濾布にはPPS繊維素材が広く用いられている。
このような濾布は、PPS短繊維の紡績糸から作製された基布にPPS短繊維をニードルパンチングしたものであり、廃ガス中のダストを捕集し、ダストを含まない廃ガスを外へと排気するために使用される。この濾布では、目詰まりのない状態を長期間保持し続けることが重要であり、濾布性能の長寿命化が常に望まれている。一方で、濾布の目詰まりを抑制し濾布性能の長寿命化を図るためには、付着したダストを効率的に濾布から離脱させることが有効である。例えばバグフィルターにおいて濾布が目詰まりすると、焼却設備からの廃ガスの排気が出来なくなるので焼却設備を停止させて、濾布を交換しなければならない。
そこで、濾布が目詰まりする前にダストを効率的に払い落とすことにより濾布の長寿命化を図り、焼却設備の長期連続運転を可能とする方法が採用されている。バグフィルターにおいて濾布に付着したダストを効率的に離脱させる方法として、パルスジェット方式が採用されることが多い(特許文献1および2参照)。パルスジェット方式とは、濾布の表面に付着したダストが蓄積しないうちに、濾布に高速の気流を定期的に吹きつけて濾布を振動させ、濾布の表面に付着したダストを払い落とす方式である。このようなパルスジェット方式でダストの払い落としは可能となるが、当然ながら、外力として加えられる高速の気流は濾布の機械強度を経時的に低下させ易い。定期的に外力が加えられた際に、濾布の機械強度や濾布の寸法安定性が不十分な場合、濾布が破断しバグフィルターとしての機能を果たせなくなる。
また、焼却設備の排ガスは高温であって、排ガス中にはPPSを化学的に劣化させるガスも含まれている。すなわち、バグフィルターに用いられる濾布は過酷な条件下で使用されており、長期間使用すると、高温下の劣化により濾布の強度が低下してくることが指摘されている(特許文献3)。このような長期間の使用による濾布の強度低下を抑制するために、高温劣化による引張強度の経時的低下が起こりにくいPPS繊維が求められている。従来、PPS繊維の機械的強度や寸法安定性を向上させるために、種々の提案がなされている。
たとえば、PPSを溶融紡糸した後、PPSの融点以下で2〜7倍に延伸し、次いで、PPSの融点以上の温度で処理することにより、引張強度、結節強度および引掛強度を高め、耐屈曲摩耗特性および耐屈曲疲労特性を高める技術が特許文献4に開示されている。また、PPS繊維の不織布において、特定の捲縮を付与したPPS短繊維を用いることにより、寸法安定性に優れた不織布とする技術が特許文献5に開示されている。また、繊維の屈曲耐久性を改良するために、PPSにポリカルボジイミド化合物を混合する技術(特許文献6)や、製造時における製糸性を改良するために、PPSにアルキレンビスアルカンアミド類を混合する技術(特許文献7)や、PPSの分子量分布を制御する技術(特許文献8)が提案されている。さらにまた、比較的高分子量のPPSを高速で紡糸し続いて延伸し弛緩熱処理して高物性、高品位のPPSフィラメントを製造する技術(特許文献9)で提案されている。
しかし、このような従来の改良技術では、設備的に溶融紡糸可能なポリマ粘度の上限に制約があることから、許容できる生産性でもって溶融紡糸できるPPSの重量平均分子量Mwは、高くても53000程度であり、従来技術を採用しても、高温下での化学的な劣化による引張強度の経時的低下を抑制するにはまだ不十分であるというのが実情であった。
特開平8−103617号公報 特開平9−248413号公報 特開2006−305562号公報 特開平4−222217号公報 特許第2764911号公報 特開平10−251918号公報 特開平10−60734号公報 特開2006−336140号公報 特開2000−178829号公報
本発明の目的は、従来技術における上述した問題点を解決し、長期間にわたって高温条件下で使用されても強度保持率が高く耐薬品性に優れると共に、バグフィルターの濾布や紡績糸に用いても機械的強度が低下しにくいPPS短繊維を提供することにある。
本発明のPPS短繊維は、前記した目的を達成するために、重量平均分子量Mw70,000以上であるPPSに芳香族ハイパーブランチポリマーを0.1〜10重量%ブレンドした樹脂組成物から構成される。
また、本発明のPPS短繊維の製造方法は、前記した目的を達成するために、重量平均分子量Mwが70,000以上であるPPSのペレットを170℃以下の温度で減圧下にて乾燥した後、PPSに対し0.1〜10重量%の芳香族ハイパーブランチポリマーと溶融混練し、330℃以下で紡糸口金から紡出し、延伸した後に所定の長さに切断する方法である。
本発明によれば、長期高温条件下で使用されても耐薬品性に優れ、さらに、バグフィルターの濾布、紡績糸として用いても機械的強度が低下しにくいPPS短繊維とすることができる。また、バグフィルター等の長期間過酷な条件下に晒される用途で使用しても、強度が低下しにくい濾布を製造することができ、製品寿命を長くすることが可能になる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明におけるPPSは、主たる繰り返し単位として、構造式(I)で示されるp-フェニレンサルファイド単位や、m−フェニレンサルファイド単位などのフェニレンサルファイド単位を含有するポリマーを意味する。
Figure 2010196187
本発明では、重量平均分子量Mwが70,000以上であり、好ましくは80,000以上である高分子量のPPSを用いる。Mwが70,000未満のPPSを用いて溶融紡糸を行った場合には、繊維強力を所望水準まで高くすることができず、また、分子末端基が多く、劣化の進行が早いという問題を解消できない。したがって、重量平均分子量Mwは、高いほど良いが、現在のPPS重合技術では、200,000程度が限界である。
バグフィルターの濾布が使用される高温条件下にPPS成形品が長期間さらされた場合の劣化に関し検討を重ねたところ、従来のPPS繊維で用いられていたよりも高分子量のPPSを用いることにより、長期間高温下に置いても強度劣化が進み難いことを見出した。すなわち、PPS成形品を長期間にわたって高温下に置くと、低分子量PPSの場合では、分子末端基が多く存在するため、その分子末端基から分解が生じ、それが繊維中の大きな欠陥となっていき、繊維の強度が低下していくが、PPSの分子量を高くすると、そのような分子末端基からの分解を抑制することができるのである。
ところが、PPSは融点が約280℃と高く、また、分子量を高くするほど溶融粘度が高くなるので、より高分子量のPPSを溶融紡糸するためには、より高温高圧に耐えられる特殊な紡糸設備を用いる必要があり、工業的製造は困難である。
そこで、本発明では、PPSの重量平均分子量を70,000以上のように高くした場合でも、溶融紡糸条件を高温高圧化しなくても溶融紡糸することを可能とするために、高分子量PPS溶融紡糸する際に、特定のポリマ、即ち、芳香族ハイパーブランチポリマーを混錬させることにより溶融紡糸時の粘度を低減させることにしたものである。これにより、従来の溶融紡糸設備でも、より高分子量のPPSを曳糸性を持たせて溶融紡糸し製糸することが可能となり、工業的に製糸し高分子量PPS短繊維を製造することが可能となる。
本発明において高分子量PPSにブレンドする芳香族ハイパーブランチポリマーは、樹状ポリエステルの1種であり、芳香族オキシカルボニル単位(P)、芳香族ジオキシ単位(Q)、および芳香族ジカルボニル単位(R)のうちのいずれか1種以上の構造単位と3官能以上の有機残基(B)とを含み、かつ、3官能以上の有機残基(B)の含有量が樹状ポリエステルを構成する全単量体に対して7.5〜50モル%の範囲にある樹状ポリエステルである。
ここで、芳香族オキシカルボニル単位(P)、芳香族ジオキシ単位(Q)、および、芳香族ジカルボニル単位(R)は、それぞれ下式で表される構造単位であることが好ましい。
Figure 2010196187
ここで、R1、R2、およびR3は、それぞれ芳香族化合物の残基である。またR1、R2、およびR3は、それぞれ複数の構造単位を含んでも良い。
上記のR1、R2およびR3の芳香族化合物残基としては、置換または非置換のフェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基などが挙げられる。好ましくは、それぞれ下式で表される構造単位から選ばれる少なくとも1種以上の構造単位である。
Figure 2010196187
本発明において用いる芳香族ハイパーブランチポリマー(以下、樹状ポリエステルと称する場合もある。)は、3官能以上の有機残基(B)が、互いにエステル結合および/またはアミド結合により直接に、あるいは、枝構造部分(D)を構成する(P)、(Q)および(R)から選ばれる構造単位を介して結合した、3分岐以上の分岐構造を基本骨格としている。分岐構造は、3分岐、4分岐など単一の基本骨格で形成されていてもよいし、3分岐と4分岐など、複数の基本骨格が共存していてもよい。ポリマーの全てが該基本骨格からなる必要はなく、たとえば末端封鎖のために末端に他の構造が含まれても良い。また、(B)が3官能性の有機残基である場合には、樹状ポリエステル中には、(B)の3つの官能基が全て反応している構造、2つだけが反応している構造、および1つだけしか反応していない構造が混在していてもよい。好ましくは(B)の3つの官能基が全て反応した構造が、(B)全体に対して15モル%以上であることが好ましく、より好ましくは20モル%以上であり、さらに好ましくは30モル%以上である。また、(B)が4官能性の有機残基である場合には、樹状ポリエステル中には、(B)の4つの官能基が全て反応している構造、3つだけが反応している構造、2つだけが反応している構造、および1つしか反応していない構造が混在していてもよい。好ましくは、(B)の4つの官能基が全て反応した構造が(B)全体に対して10モル%以上かつ3つの官能基が反応した構造が(B)全体に対して20モル%以上であり、より好ましくは、4つの官能基が反応した構造が(B)全体に対して20モル%以上かつ3つの官能基が反応した構造が(B)全体に対して30モル%以上であり、さらに好ましくは、4つの官能基が反応した構造が(B)全体に対して25モル%以上かつ3つの官能基が反応した構造が(B)全体に対して35モル%以上である。
(B)は3官能化合物および/または4官能化合物の有機残基であることが好ましく、3官能化合物の有機残基であることが最も好ましい。
上記3分岐の基本骨格は、模式的に下式(4)で示される。
Figure 2010196187
また、上記4分岐の基本骨格は、模式的に下式(5)で示される。
Figure 2010196187
本発明で用いる芳香族ハイパーブランチポリマーは、溶融液晶性を示す。ここで溶融液晶性を示すとは、室温(25℃)から昇温していった際に、ある温度域で液晶状態を示すことである。液晶状態とは、剪断下において光学的異方性を示す状態である。
溶融液晶性を示すために、3分岐の場合の基本骨格は、下式(6)で示されるように、(B)が、(P)、(Q)および(R)から選ばれる構造単位により構成される枝構造部分(D)を介して結合していることが好ましい。
Figure 2010196187
同様に、4分岐の場合の基本骨格は、下式(7)で示される構造が好ましい。
Figure 2010196187
3官能の有機残基(B)としては、カルボキシル基、ヒドロキシル基およびアミノ基から選ばれる官能基を3つ含有する化合物の有機残基であることが好ましい。例えば、グリセロール、1,2,3−トリカルボキシプロパン、ジアミノプロパノール、ジアミノプロピオン酸などの脂肪族化合物や、トリメシン酸、トリメリット酸、4−ヒドロキシ−1,2−ベンゼンジカルボン酸、フロログルシノール、α−レゾルシン酸、β−レゾルシン酸、γ−レゾルシン酸、トリカルボキシナフタレン、ジヒドロキシナフトエ酸、アミノフタル酸、5−アミノイソフタル酸、アミノテレフタル酸、ジアミノ安息香酸、メラミンなどの芳香族化合物の残基が挙げられる。下式(8)で表される芳香族化合物の残基がさらに好ましい。下式中、Uは、−COOH、−OH、−NHのいずれかである。
Figure 2010196187
上記式で表される3官能の有機残基の具体例としては、フロログルシノール、トリメシン酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸、α−レゾルシル酸、4−ヒドロキシ−1,2−ベンゼンジカルボン酸などの残基が挙げられる。好ましくは、トリメシン酸、α−レゾルシル酸の残基である。
また、4官能以上の有機残基(B)としては、カルボキシル基、ヒドロキシル基およびアミノ基から選ばれる官能基を4以上含有する化合物の有機残基であることが好ましい。例えば、エリスリトール、ペンタエリスリトール、スレイトール、キシリトール、グルシトール、マンニトール、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラオール、1,2,3,4,5−シクロヘキサンペンタンオール、1,2,3,4,5,6−シクロヘキサンヘキサンオール、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸、1,2,3,4,5−シクロヘキサンペンタカルボン酸、1,2,3,4,5,6−シクロヘキサンヘキサカルボン酸、クエン酸、酒石酸などの脂肪族化合物の残基や、1,2,4,5−ベンゼンテトラオ−ル、1,2,3,4−ベンゼンテトラオ−ル、1,2,3,5−ベンゼンテトラオ−ル、1,2,3,4,5−ベンゼンペンタンオ−ル、1,2,3,4,5,6−ベンゼンヘキサンオ−ル、2,2’,3,3’−テトラヒドロキシビフェニル、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシビフェニル、3,3’,4,4’−テトラヒドロキシビフェニル、3,3’,5,5’−テトラヒドロキシビフェニル、2,3,6,7−ナフタレンテトラオール、1,4,5,8−ナフタレンテトラオール、ピロメリット酸、メロファン酸、プレーニト酸、メリット酸、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,2’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,5,5’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、2,3,6,7−ナフタレンテトラオール、1,4,5,8−ナフタレンテトラオール、1,2,4,5,6,8−ナフタレンヘキサオール、1,2,4,5,6,8−ナフタレンヘキサカルボン酸、没食子酸、などの芳香族化合物の残基が挙げられる。
下式(9)で表される芳香族化合物の残基がさらに好ましい。下式中、Uは、−COOH、−OH、−NHのいずれかである。
Figure 2010196187
上記式で表される4官能の有機残基の具体例としては、1,2,4,5−ベンゼンテトラオ−ル、1,2,3,4−ベンゼンテトラオ−ル、1,2,3,5−ベンゼンテトラオ−ル、ピロメリット酸、メロファン酸、プレーニト酸、没食子酸などの残基が挙げられ、没食子酸の残基が特に好ましい。
また、芳香族ハイパーブランチポリマーの芳香族オキシカルボニル単位(P)、芳香族ジオキシ単位(Q)、芳香族ジカルボニル単位(R)は、樹状ポリエステルの分岐間の枝構造部分(D)を構成する単位である。それぞれの構造単位(P)、(Q)および(R)の平均含有量(モル比)をp、qおよびrとすると、3官能以上の有機残基(B)の含有量bの1モルに対して、p+q+r=1〜10モルの範囲であることが好ましい。p+q+rは、より好ましくは、2〜6モルの範囲である。枝構造長が長すぎると、剛直で綿密な樹状構造に基づく剪断応答性などの効果やPPSポリマー分子鎖との絡み合い抑制効果が低減するため好ましくない。
このp、qおよびrの値は、例えば、芳香族ハイパーブランチポリマーをペンタフルオロフェノール50重量%:重クロロホルム50重量%の混合溶媒に溶解し、40℃でプロトン核の核磁気共鳴スペクトル分析を行い、それぞれの構造単位に由来するピーク強度比を求める方法により測定できる。各構造単位のピーク面積強度比から、平均含有率を算出し、小数点下3桁まで表す。(B)の含有量bにあたるピークとの面積強度比から、枝構造部分(D)の平均鎖長を算出し、p+q+rの値とする。この場合にも小数点下3桁まで表す。
pとqとの比率(p/q)およびpとrとの比率(p/r)は、いずれも5/95〜95/5の範囲が好ましく、より好ましくは10/90〜90/10であり、さらに好ましくは20/80〜80/20である。この範囲であれば、液晶性が発現しやすい。p/qの比率およびp/rの比率を95/5以下とすることで、芳香族ハイパーブランチポリマーの融点を適正な範囲とすることができる。また、p/qの比率およびp/rの比率を5/95以上とすることで溶融液晶性を発現することができる。
qとrは、実質的に等モルであることが好ましいが、末端基を制御するためにどちらかの成分を過剰に加えることもできる。q/rの比率としては0.7〜1.5の範囲であることが好ましく、より好ましくは0.9〜1.1である。ここでいう等モルとは、繰り返し単位内でのモル量が等しいことを意味し、末端構造は含めない。ここで、末端構造とは、枝構造部分(D)の末端を意味し、末端が封鎖されている場合などには、最も末端に近い枝構造部分(D)の末端を意味する。
(P)、(Q)、(R)の各単位を表す前記した式において、R1は芳香族オキシカルボン酸由来の構造単位であり、具体例としては、p−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸から生成した構造単位などが挙げられる。好ましくはp−ヒドロキシ安息香酸由来の構造単位であり、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸由来の構造単位を併用することも可能である。また本発明の効果を損なわない範囲でグリコール酸、乳酸、ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸などの脂肪族ヒドロキシカルボン酸由来の構造単位を含有しても良い。
R2は芳香族ジオキシ化合物由来の構造単位であり、例えば、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、t−ブチルハイドロキノン、フェニルハイドロキノン、メチルハイドロキノン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンおよび4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、などに由来する構造単位が挙げられる。好ましくは、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン由来の構造単位であり、4,4’−ジヒドロキシビフェニルとハイドロキノン由来の構造単位が含まれることが液晶性の制御の点から好ましい。
本発明で用いる芳香族ハイパーブランチポリマーとしては、このR2単位が芳香族を含む構造単位とすることが特に重要である。すなわち、芳香族を含有させることにより枝構造に剛直性を与え(好ましくは液晶性を与え)、PPSポリマー分子鎖との絡み合いを抑制し、紡糸などの伸長大変形の場でも伸長変形を阻害することを抑制できるからである。これによって、工業的に充分な紡糸性(曳糸性、安定性など)が得られるのである。また、延伸工程においても伸長変形が阻害されないため、優れた力学的特性を有するPPS繊維となる。
R3は芳香族ジカルボン酸由来の構造単位であり、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸、1,2−ビス(2−クロロフェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸および4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸など由来の構造単位が挙げられる。好ましくはテレフタル酸またはイソフタル酸由来の構造単位であり、特に両者を併用した場合に融点調節がしやすく好ましい。また、本発明の効果に影響を及ぼさない範囲で、セバシン酸やアジピン酸などの脂肪族ジカルボン酸由来の構造単位が一部含まれていてもよい。
本発明の芳香族ハイパーブランチポリマーの枝構造部分(D)は、主としてポリエステル骨格からなることが好ましいが、カーボネート構造やアミド構造、ウレタン構造などを、特性に大きな影響を与えない程度に導入することも可能である。中でもアミド構造を導入することが好ましい。このような別の結合を導入することで、多種多様な熱可塑性樹脂に対する相溶性を調整することが可能となる。アミド結合の導入の方法としては、p−アミノ安息香酸、m−アミノ安息香酸、p−アミノフェノール、m−アミノフェノール、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、テトラメチレンジアミンペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、アミノエチルピペラジンなどの脂肪族、脂環族、あるいは芳香族のアミン化合物などを共重合することが好ましい。中でもp−アミノフェノールまたはp−アミノ安息香酸の共重合が好ましい。
芳香族ハイパーブランチポリマーの枝構造部分(D)の具体例としては、p−ヒドロキシ安息香酸および6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸由来の構造単位からなるもの、p−ヒドロキシ安息香酸由来の構造単位、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸由来の構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフェニル由来の構造単位およびテレフタル酸由来の構造単位からなるもの、p−ヒドロキシ安息香酸由来の構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフェニル由来の構造単位、テレフタル酸由来の構造単位およびイソフタル酸由来の構造単位からなるもの、p−ヒドロキシ安息香酸由来の構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフェニル由来の構造単位、ハイドロキノン由来の構造単位、テレフタル酸由来の構造単位およびイソフタル酸由来の構造単位からなるもの、p−ヒドロキシ安息香酸由来の構造単位、ハイドロキノン由来の構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフェニル由来の構造単位、テレフタル酸由来の構造単位および2,6−ナフタレンジカルボン酸由来の構造単位からなるもの、p−ヒドロキシ安息香酸由来の構造単位、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸由来の構造単位、ハイドロキノン由来の構造単位およびテレフタル酸由来の構造単位からなるものなどが挙げられる。
また、本発明の芳香族ハイパーブランチポリマーの末端は、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、またはそれらの誘導体が好ましい。水酸基の誘導体もしくは、カルボン酸の誘導体としては、メチルエステルなどのアルキルエステルやフェニルエステルやベンジルエステルなどの芳香族エステルが挙げられる。また、単官能エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、オルトエステル、酸無水物化合物などを用いて末端封鎖することも可能である。末端封鎖の方法としては、樹状ポリエステルを合成する際に、あらかじめ単官能性の有機化合物を添加する方法や、ある程度樹状ポリステルの骨格が形成された段階で単官能性の有機化合物を添加する方法などが挙げられる。
具体的には、水酸基末端やアセトキシ末端を封鎖する場合には、安息香酸、4−t−ブチル安息香酸、3−t−ブチル安息香酸、4−クロロ安息香酸、3−クロロ安息香酸、4−メチル安息香酸、3−メチル安息香酸、3,5−ジメチル安息香酸などを添加することで可能である。
また、カルボキシル基末端の封鎖は、カルボン酸反応性単官能化合物を反応させることにより行うことができる。ここで、カルボン酸反応性単官能化合物とは、常温または加熱時にカルボン酸と反応し、エステル、アミド、ウレタン、ウレア結合を形成しうる官能基を分子内に1つ有する化合物をいう。樹状ポリエステルの分子末端に存在するカルボン酸基に、カルボン酸反応性単官能化合物を反応させ、分子末端に単官能化合物を導入することにより、芳香族ハイパーブランチポリマーの滞留安定性や耐加水分解性を向上させ、さらに他の熱可塑性樹脂や充填剤と混練した際には、熱可塑性樹脂や充填剤の分解を抑制でき、また芳香族ハイパーブランチポリマーの分散性が向上することによって、流動性や物性の改良が期待できる。
本発明の芳香族ハイパーブランチポリマーに用いることのできるカルボン酸反応性単官能化合物としては、オキサゾリン、エポキシド、オルトエステル、イソシアネート、カルボジイミド、ジアゾ化合物から選ばれる1種類以上の化合物である。カルボン酸との反応性およびハンドリング性の観点から、オキサゾリン、エポキシド、オルトエステル、イソシアネートが好ましい。カルボン酸反応性単官能化合物は、単独で使用または2種類以上のカルボン酸反応性単官能化合物を併用しても構わない。
本発明に用いることのできるカルボン酸反応性単官能化合物のうちオキサゾリン化合物としては、例えば、2−メトキシ−2−オキサゾリン、2−エトキシ−2−オキサゾリン、2−プロポキシ−2−オキサゾリン、2−ブトキシ−2−オキサゾリン、2−ペンチルオキシ−2−オキサゾリン、2−ヘキシルオキシ−2−オキサゾリン、2−ヘプチルオキシ−2−オキサゾリン、2−オクチルオキシ−2−オキサゾリン、2−デシルオキシ−2−オキサゾリン、2−シクロペンチルオキシ−2−オキサゾリン、2−シクロヘキシル−2−オキサゾリン、2−アリルオキシ−2−オキサゾリン、2−メタアリルオキシ−2−オキサゾリン、2−フェノキシ−2−オキサゾリン、2−クレジル−2−オキサゾリン、2−p−フェニルフェノキシ−2−オキサゾリン、2−メチル−2−オキサゾリン、2−エチル−2−オキサゾリン、2−プロピル−2−オキサゾリン、2−ブチル−2−オキサゾリン、2−ペンチル−2−オキサゾリン、2−ヘキシル−2−オキサゾリン、2−ヘプチル−2−オキサゾリン、2−オクチル−2−オキサゾリン、2−ノニル−2−オキサゾリン、2−デシル−2−オキサゾリン、2−イソプロピル−2−オキサゾリン、2−イソブチル−2−オキサゾリン、2−sec−ブチル−2−オキサゾリン、2−tert−ブチル−2−オキサゾリン、2−シクロペンチル−2−オキサゾリン、2−シクロヘキシル−2−オキサゾリン、2−アリル−2−オキサゾリン、2−メタアリル−2−オキサゾリン、2−クロチル−2−オキサゾリン、2−フェニル−2−オキサゾリン、2−ビフェニル−2−オキサゾリンなどが挙げられる。このうち、芳香族ハイパーブランチポリマーとの反応性や親和性、および耐熱性の観点から、2−メチル−2−オキサゾリン、2−エチル−2−オキサゾリン、2−プロピル−2−オキサゾリン、2−ブチル−2−オキサゾリン、2−イソプロピル−2−オキサゾリン、2−イソブチル−2−オキサゾリン、2−sec−ブチル−2−オキサゾリン、2−tert−ブチル−2−オキサゾリン、2−フェニル−2−オキサゾリン、2−ビフェニル−2−オキサゾリンが好ましく、特に好ましくは2−フェニル−2−オキサゾリンである。
本発明に用いることのできるカルボン酸反応性単官能化合物のうちエポキシ化合物としては、例えば、N−グリシジルフタルイミド、N−グリシジル−4−メチルフタルイミド、N−グリシジル−4,5−ジメチルフタルイミド、N−グリシジル−3−メチルフタルイミド、N−グリシジル−3,6−ジメチルフタルイミド、N−グリシジル−4−エトキシフタルイミド、N−グリシジル−4−クロルフタルイミド、N−グリシジル−4,5−ジクロルフタルイミド、N−グリシジルサクシンイミド、N−グリシジルヘキサヒドロフタルイミド、N−グリシジルマレインイミド、N−グリシジルベンズアミド、N−グリシジル−p−メチルベンズアミド、N−グリシジルナフトアミド、N−グリシジルステラアミド、o−フェニルフェニルグリシジルエーテル、2−メチルオクチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、3−(2−キセニルオキシ)−1,2−エポキシプロパン、アリルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、ラウリルグリシジルエーテル、ベンジルグリシジルエーテル、シクロヘキシルグリシジルエーテル、α−クレシルグリシジルエーテル、p−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル、メタクリル酸グリシジルエーテル、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、スチレンオキサイド、オクトイレンオキサイド、酢酸グリシジルエステル、プロピオン酸グリシジルエステル、ブタン酸グリシジルエステル、ペンタン酸グリシジルエステル、ヘキサン酸グリシジルエステル、オクタン酸グリシジルエステル、デカン酸グリシジルエステル、ネオデカン酸グリシジルエステル、安息香酸グリシジルエステルなどが挙げられる。このうち、樹状ポリエステルとの反応性や親和性の観点から、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、安息香酸グリシジルエステルが好ましく、特に好ましくは安息香酸グリシジルエステルである。
本発明に用いることのできるカルボン酸反応性単官能化合物のうちオルトエステル化合物としては、例えば、オルト酢酸トリメチル、オルト酢酸トリエチル、オルト酢酸トリプロピル、オルト酢酸トリブチル、オルト酢酸トリベンジル、オルト蟻酸トリメチル、オルト蟻酸トリエチル、オルト蟻酸トリプロピル、オルト蟻酸トリブチル、オルト蟻酸トリベンジル、オルトプロピオン酸トリメチル、オルトプロピオン酸トリエチル、オルトプロピオン酸トリプロピル、オルトプロピオン酸トリブチル、オルトプロピオン酸トリベンジル、オルト安息香酸トリメチル、オルト安息香酸トリエチル、オルト安息香酸トリプロピル、オルト安息香酸トリブチル、オルト安息香酸トリベンジルなどが挙げられる。このうち、樹状ポリエステルとの反応性や親和性およびハンドリング性の観点から、オルト酢酸トリメチル、オルト酢酸トリエチル、オルト蟻酸トリメチル、オルト蟻酸トリエチルが好ましく、特に好ましくはオルト酢酸トリメチルまたはオルト酢酸トリエチルである。
本発明に用いることのできるカルボン酸反応性単官能化合物のうち、イソシアネート化合物としては、例えば、メチルイソシアネート、エチルイソシアネート、プロピルイソシアネート、ブチルイソシアネート、ペンチルイソシアネート、ヘキシルイソシアネート、ヘプチルイソシアネート、オクチルイソシアネート、ノニルイソシアネート、デシルイソシアネート、ドデシルイソシアネート、オクタデシルイソシアネート、ベンジルイソシアネート、シクロへキシルイソシアネート、フェニルイソシアネート、p−クロロフェニルイソシアネート、p−ニトロフェニルイソシアネート、2−クロロエチルイソシアネート、ステアロイルイソシアネート、p−トルオルスルフォニルイソシアネートが挙げられる。このうち、樹状ポリエステルとの反応性や親和性の観点から、メチルイソシアネート、エチルイソシアネート、プロピルイソシアネート、ブチルイソシアネート、フェニルイソシアネートが好ましく、特に好ましくはフェニルイソシアネートである。
本発明に用いることのできるカルボン酸反応性単官能化合物のうち、ジアゾ化合物としては、例えば、ジアゾメタン、ジアゾエタン、ジアゾプロパン、ジアゾブタン、トリメチルシリルジアゾメタンが挙げられる。このうち、樹状ポリエステルとの反応性や親和性の観点から、ジアゾメタンおよびトリメチルシリルジアゾメタンが好ましく用いられる。
理論的には、上記末端の封鎖に用いる有機化合物を、封鎖したい末端基に相当する量添加することで末端封鎖が可能である。封鎖したい末端基相当量に対して、末端封鎖に用いる有機化合物を、1.005倍当量以上用いることが好ましく、より好ましくは1.008倍当量以上である。また、末端封鎖に用いる有機化合物の添加量は2.5倍当量以下であることが好ましい。末端封鎖に用いる化合物の添加量が少なすぎると、末端封鎖が充分ではない。一方、添加量が多すぎると、過剰に添加した化合物が系中に残存して、ガスを発生したりするため好ましくない。
また、Bの含有量は、樹状ポリエステルを構成する全単量体の含有量に対して7.5モル%以上であり、10モル%以上がより好ましく、さらに好ましくは20モル%以上である。このような場合に、枝構造部分(D)の連鎖長が、樹状ポリエステルが樹状の形態をとるのに適した長さとなるため好ましい。Bの含有量の上限としては、50モル%以下であり、45モル%以下が好ましく、40モル%以下がより好ましい。
また本発明の芳香族ハイパーブランチポリマーは特性に影響が出ない範囲で、部分的に架橋構造を有していてもよい。
本発明において、芳香族ハイパーブランチポリマーの製造方法は、公知のポリエステルの重縮合法に準じて製造できる。例えば、前記P及びR1で表される芳香族オキシカルボニル単位を含む単量体、前記Q及びR2で表される芳香族ジオキシ単位を含む単量体、並びに、前記R及びR3で表される芳香族ジカルボニル単位を含む単量体から選ばれる少なくとも1種と、3官能以上の有機残査(B)を形成する3官能以上の多官能単量体とを反応させる方法であって、該多官能単量体の添加量(モル)が、芳香族ハイパーブランチを構成する全単量体(モル)に対して7.5モル%以上として製造する方法が好ましい。多官能単量体の添加量は、より好ましくは10モル%以上、より好ましくは15モル%以上、さらに好ましくは20モル%以上である。また、添加量の上限としては、50モル%以下が好ましく、より好ましくは33モル%以下、さらに好ましくは25モル%以下である。
また、上記反応に際して、P及びR1、Q及びR2、並びに、R及びR3で表される構造単位をそれぞれ含む単量体のうちの少なくとも1種をアシル化した後、3官能以上の多官能単量体を反応させる態様も好ましい。また、P及びR1、Q及びR2、並びに、R及びR3で表される構造単位をそれぞれ含む単量体のうちの1種以上と、3官能以上の多官能単量体とをアシル化した後、重合反応させる態様も好ましい。
下記の構造単位(I)、(II)、(III)、(IV)および(V)とトリメシン酸残基から構成される芳香族ハイパーブランチポリマーを製造する場合を例に挙げて、好ましい製造方法を説明する。
Figure 2010196187
(1)p−アセトキシ安息香酸、4,4’−ジアセトキシビフェニル、ジアセトキシベンゼン、テレフタル酸およびイソフタル酸から脱酢酸縮重合反応によって液晶性ポリエステルオリゴマーを合成した後、トリメシン酸を加えて脱酢酸重合反応させて製造する方法。
(2)p−アセトキシ安息香酸、4,4’−ジアセトキシビフェニル、ジアセトキシベンゼン、テレフタル酸、イソフタル酸およびトリメシン酸から脱酢酸縮重合反応によって製造する方法。
(3)p−ヒドロキシ安息香酸、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンとテレフタル酸およびイソフタル酸に無水酢酸を反応させて、フェノール性水酸基をアシル化した後、脱酢酸重縮合反応によって液晶性ポリエステルオリゴマーを合成し、さらにトリメシン酸を加えて脱酢酸重合反応させて製造する方法。
(4)p−ヒドロキシ安息香酸、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンとテレフタル酸、イソフタル酸およびトリメシン酸に無水酢酸を反応させて、フェノール性水酸基をアシル化した後、脱酢酸重縮合反応によって製造する方法。
(5)p−ヒドロキシ安息香酸のフェニルエステル、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、テレフタル酸ジフェニルエステルおよびイソフタル酸ジフェニルエステルから脱フェノール重縮合反応により液晶性ポリエステルオリゴマーを合成した後、トリメシン酸を加えて脱フェノール重縮合反応によって製造する方法。
(6)p−ヒドロキシ安息香酸のフェニルエステル、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、テレフタル酸ジフェニルエステル、イソフタル酸ジフェニルエステルおよびトリメシン酸のフェニルエステルから脱フェノール重縮合反応によって製造する方法。
(7)p−ヒドロキシ安息香酸、テレフタル酸、イソフタル酸、トリメシン酸にジフェニルカーボネートを反応させて、それぞれフェニルエステルとした後、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンを加え、脱フェノール重縮合反応によって製造する方法。
なかでも上記(1)〜(5)の製造方法が好ましく、上記(3)および(4)の方法がより好ましく、鎖長制御と立体規制の点から上記(3)の製造方法が最も好ましい。
上記(3)の製造方法において、無水酢酸の使用量は、鎖長制御の点からフェノール性水酸基の合計の0.95当量以上1.10当量以下であることが好ましく、1.00当量以上1.08当量以下であることがより好ましく、最も好ましくは1.02当量以上1.05当量以下である。無水酢酸量を制御すること、ジヒドロキシモノマーおよびジカルボン酸モノマーのいずれかを過剰に添加すること等により、末端基を制御することが可能である。
分子量を上げるためには、トリメシン酸のカルボン酸量に相当する分だけ、ハイドロキノンや4,4’−ジヒドロキシビフェニルなどのジヒドロキシモノマーを、ジカルボン酸モノマーに対して過剰に加え、全単量体におけるカルボン酸と水酸基との当量を合わせることが好ましい。一方、カルボン酸を意図的に末端基に残す場合には、前記のようなジヒドロキシモノマーの過剰添加を行わないことが好ましい。さらに、水酸基を意図的に末端に残す場合には、ジヒドロキシモノマーをトリメシン酸のカルボン酸当量以上に過剰に添加し、かつ無水酢酸の使用量をフェノール性水酸基の1.00当量未満で行うことが好ましい。
脱酢酸重縮合反応を行う場合には、芳香族ハイパーブランチポリマーが溶融する温度で、場合によっては減圧下で反応させ、所定量の酢酸を留出させ、重縮合反応を完了させる溶融重合法が好ましい。例えば、所定量のp−ヒドロキシ安息香酸、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、テレフタル酸、イソフタル酸および無水酢酸を、攪拌翼および留出管を備え、下部に吐出口を備えた反応容器中に仕込む。混合物を、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら加熱して、水酸基をアセチル化させた後、200〜350℃まで昇温して脱酢酸重縮合反応を行い、酢酸を留出させる。酢酸が、理論留出量の50%まで留出した段階で、トリメシン酸を所定量加えて、さらに理論留出量の91%まで酢酸を留出させ、反応を完了させる。
アセチル化させる条件としては、反応温度は、130〜170℃の範囲が好ましく、より好ましくは135〜155℃の範囲である。反応時間は、0.5〜6時間が好ましく、より好ましくは1〜2時間である。
重縮合させる温度は、芳香族ハイパーブランチポリマーが溶融できる温度であり、好ましくは芳香族ハイパーブランチポリマーの融点+10℃以上の温度である。具体的には、例えば200〜350℃の範囲であり、240〜280℃が好ましい。重縮合させるときの雰囲気は、常圧窒素下でも問題ないが、減圧すると反応が早く進み、系内の残留酢酸が少なくなるため好ましい。減圧度は、0.1mmHg(13.3Pa)〜200mmHg(26600Pa)が好ましく、より好ましくは10mmHg(1330Pa)〜100mmHg(13300Pa)である。なお、アセチル化と重縮合は同一の反応容器で連続して行っても良いし、アセチル化と重縮合を異なる反応容器で行っても良い。
重縮合反応が完了した後、反応容器内を芳香族ハイパーブランチポリマーが溶融する温度に保ち、例えば、0.01〜1.0kg/cm(0.001〜0.1MPa)に加圧し、反応容器下部に設けられた吐出口より、芳香族ハイパーブランチポリマーをストランド状に吐出する。吐出口には断続的に開閉する機構を設け、液滴状に吐出することも可能である。吐出した芳香族ハイパーブランチポリマーは、空気中もしくは水中を通過して冷却された後、必要に応じて、カッティングもしくは粉砕される。
得られたペレット状、粒状または粉状の芳香族ハイパーブランチポリマーは、さらに必要に応じて、熱乾燥や真空乾燥により水、酢酸などを除く。また、重合度の微調整、あるいは、さらに重合度を上げるために、固相重合をすることも可能である。固相重合は、例えば、上記により得られた芳香族ハイパーブランチポリマーを、窒素気流下、または、減圧下、芳香族ハイパーブランチポリマーの[融点−50℃]〜[融点−5℃](例えば、200〜300℃)の温度範囲で1〜50時間加熱する方法が挙げられる。
芳香族ハイパーブランチポリマーの重縮合反応は無触媒でも進行するが、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸カリウムおよび酢酸ナトリウム、三酸化アンチモン、金属マグネシウムなどの金属化合物を使用することもできる。
本発明の芳香族ハイパーブランチポリマーは、数平均分子量は1,000〜40,000であることが好ましく、より好ましくは1,000〜20,000、さらに好ましくは1,000〜10,000であり、最も好ましくは1,000〜5,000の範囲である。なお、この数平均分子量は、芳香族ハイパーブランチポリマーが可溶な溶媒を使用して、GPC−LS(ゲル浸透クロマトグラフ−光散乱)法により絶対分子量として測定した値である。
また、本発明における芳香族ハイパーブランチポリマーの溶融粘度は、0.01〜30Pa・sが好ましく、0.5〜20Pa・sがより好ましく、1〜10Pa・sが特に好ましい。なお、この溶融粘度は、芳香族ハイパーブランチポリマーの液晶開始温度+10℃の条件で、ずり速度100/sの条件下で高化式フローテスターによって測定した値である。
本発明では、上記した芳香族ハイパーブランチポリマーを高分子量PPSにブレンドすることで、高分子量PPSの流動性を向上させ、紡糸温度を低下させることができる。このメカニズムは以下のように推定される。すなわち、J.Polym.Sci.PartB:Polum.Phys.,vol.34,2433(1996).によると、非相溶系ポリマーブレンドにおけるポリマーの粘度は分子量項+分散相互作用項+スリップ効果項で記述されるが、本発明で用いる芳香族ハイパーブランチポリマーは、分子量項については低分子量化、分散相互作用項については樹状構造、スリップ効果項について液晶性の効果により、ポリマーブレンドの流動性を向上させていると考えられる。このような高度な流動性向上効果は、単に低粘度ポリマーあるいは液晶ポリマー、脂肪族ハイパーブランチポリマーをブレンドさせただけでは得られない。また、Macromolecule,vol.38,10571(2005).ではハイパーブランチポリマーと通常の直鎖状のポリマーのサイズを同一分子量で比較したところ、ハイパーブランチポリマーは1/5以下の分子サイズとなること、さらにPolymer,vol.45,7491(2004)によると、ハイパーブランチポリマーと通常の直鎖状ポリマーで分子間の絡み合いを第2ビリアル係数A2で評価したところ、ハイパーブランチポリマーではA2が2桁小さく、自己分子での分子間絡み合いが極めて少ないことが報告されている。以上より、本発明で用いる芳香族ハイパーブランチポリマーは、PPSポリマー中で有機ナノ粒子的に振る舞い、流動性を向上させていると考えられる。さらに、本発明で用いる芳香族ハイパーブランチポリマ−におけるR1、R2およびR3部分が芳香族で構成されていることで、分子鎖の絡み合いを制御し、従来のハイパーブランチポリマーで問題となっていた伸長変形の阻害を抑制することができるため、低温で溶融押出可能でありつつも、PPSポリマーの本来のポテンシャルを十分利用できるのである。
本発明では高分子量PPSに、上記した芳香族ハイパーブランチポリマーを0.1〜10wt%(高分子量PPSに対する添加量)ブレンドすることが重要である。
ブレンド率が0.1wt%以上であれば流動性向上や弾性率向上効果による紡糸温度低下効果が認められ、0.7wt%以上であればより効果が上がり好ましい。一方、ブレンド率を10wt%以下とすることで、伸長変形を大きく阻害することなく良好な紡糸性を達成することができる。好ましくは2wt%以下である。10wt%より多くブレンドを
行うとPPSポリマーよりも耐熱性、耐薬品性に劣るため繊維の劣化を促進してしまう。
本発明のPPS繊維を得る方法の一例について説明する。芳香族ハイパーブランチポリマーとしては、前記した構造単位(I)〜(V)のうちの1種以上とトリメシン酸残基から構成される芳香族ハイパーブランチポリマーであって、末端アセチル基が安息香酸で封鎖された絶対分子量2000〜5000の範囲のハイパーブランチポリマーを用いる。ブレンドし、繊維化することについては例えば以下のような方法を用いることができる。
すなわち、ハイパーブランチポリマーと高分子量PPSを必要に応じ乾燥し、二軸押し出し混練機に導入しブレンドする。この時のブレンド装置としてはブレンド斑を低減するために二軸押し出し混練機が好ましい。ここで、作製したポリマーブレンドをそのまま紡糸機に導いても、マスターペレットとして一旦ペレット化しても良い。省力化のためには混練直結紡糸が好ましいが、ハイパーブランチポリマーのブレンド率やPPS分子量が異なる品種をいくつかつくるなど汎用性を持たせるためにはマスターペレット化が好ましい。また、混練直結紡糸の場合には、二軸押し出し混練機では一軸押し出し混練機の場合とは異なり、混練機中で誘起された発泡が仕込み側に抜け難いため、発泡が繊維にまで混入し糸切れが頻発する場合がある。この場合には、二軸押し出し混練機の吐出側でベントを行い、泡を抜く操作を行うことが好ましい。なお、マスターペレット化する場合にもガット切れが頻発する時はベントを行うことが好ましい。また、本発明においては樹状ポリエステル添加による良流動化効果により、未添加の場合に比べ同一温度であればスクリュートルクが小さくなるため、混練温度の低温化が可能である。これにより、ポリマーの熱分解や熱変性、また加水分解などを抑制することができ、PPSが本来持っている高分子量や易加工性などを利用し易くなる。
芳香族ハイパーブランチポリマーを高濃度でブレンドしてマスターペレット化した場合には、このマスターペレットを紡糸過程でPPSで希釈するわけであるが、この時も二軸押し出し混練機を用いる方がブレンドの均一性の観点から好ましい。というのは、本発明では芳香族ハイパーブランチポリマーのブレンド率で良流動化効果の程度が異なるため、ポリマーブレンド中でブレンドが不均一であるとスクリュートルクや先端圧、濾圧、口金背面圧、ひいては紡糸応力などの斑が発生し、安定した紡糸が不能となる場合があるからである。やむを得ず一軸押し出し混練機を用いる場合には、ダルメージなどの混練機能を付加するとともに、一軸押し出し混練機吐出付近や紡糸機あるいは紡糸パック内に静止混練器を設け、充分にブレンドを均一化することが好ましい。
前記したように、ハイパーブランチポリマーのブレンドによる良流動化効果のため、未添加の場合に比べ混練機温度を低温化できるのであり、紡糸機の設定温度を低下させることが可能である。従って、高分子量PPSは高粘度のため通常の紡糸温度では粘度が高すぎて紡糸できないが、芳香族ハイパーブランチポリマー添加により通常の紡糸温度でも曳糸性を示すことができる。この効果は、PPSの重合度が高く高粘度となるほど大きい。また、この良流動化効果により紡糸口金孔からのポリマーの吐出が安定し、本来紡糸が不安定で糸斑が発生しやすい高粘度PPSの紡糸であっても糸斑を小さくすることができる。
また、本発明で用いるハイパーブランチポリマーは枝構造が芳香族成分によって構成されており、剛直性を向上、好ましくは液晶性を発現させるため、PPSポリマー分子鎖と絡み合うことがほとんどなく、伸長変形がスムーズになるため、紡糸性が向上し、従来のハイパーブランチポリマー添加では難しかった高速紡糸も可能となるのである。これも紡糸という伸長変形場特有の効果である。
また、紡糸速度は、PPSポリマーの物性や繊維の目的によって異なるが、500〜6000m/分程度とすればよい。特に優れた力学的特性を得るために特に高い分子量のPPSポリマーを用いる場合には、紡糸速度を500〜2000m/分とし、その後高倍率延伸することが好ましい。
本発明によって、重量平均分子量Mw70,000以上のPPSからなる短繊維を製造する方法について次に説明する。
まず、重量平均分子量Mw70,000以上のPPS粉末を減圧下で温度350℃未満で溶融、押し出し、冷却しペレットとする。より具体的に説明すると、PPS粉末を、エクストルーダー、好ましくは2軸のエクストルーダーを用い、真空処理しながら、温度350℃未満、通常285〜340℃の温度範囲で溶融させ、孔面積が3.14〜50.24mmの吐出孔から押し出し冷却したストランドを0.5〜6mm程度の長さに切断することによりペレットを得るのである。真空処理は、エクストルーダーのシリンダー内を0.2〜1.5kPa、好ましくは0.2〜1.3kPa、より好ましくは0.2〜0.65kPa程度に減圧することにより行なう。そのようにして得られたペレットについて、減圧下での乾燥(いわゆる真空乾燥)を行なう。真空乾燥時の雰囲気温度を比較的低温である130〜170℃に設定して真空乾燥する場合の乾燥時間は5時間以上で有れば良く、減圧の程度、いわゆる真空度は0.05〜1.3kPaとするのがよい。ペレットをあまりに高温で真空乾燥するとPPS樹脂の酸化架橋がすすみ、増粘など別の問題が発生する事になるので、比較的低温で長時間行うことがPPS樹脂の変性を防ぐために好ましい。乾燥時間については、長い程効果があるが、実用上からは24時間以内とするのがよい。
このようにして得られたPPSペレットを用い、溶融紡糸法で繊維化を行う。この溶融紡糸を行う際に芳香族ハイパーブランチポリマーを所定の比率(即ち、PPSに対し0.1〜10重量%の範囲内の所定比率)にて混錬する。一般的には、1軸または2軸のエクストルーダー型紡糸機を用いて溶融混錬し330℃以下で紡糸する。この溶融混練時や紡糸時の温度は、好ましくは300〜320℃である。紡糸工程では増粘によるゲル化を防止するため、窒素雰囲気下で溶融し口金から吐出することが好ましい。口金から吐出した糸条は、通常、紡出後に風速5〜100m/分の冷却風により冷却され、集束剤として油剤を適量付与させ、未延伸糸として引き取られる。引取速度に特に制限はないが、通常500〜7000m/分、好ましくは800〜7000m/分である。次に、引き取られた未延伸糸条を、熱延伸する。具体的には、引き取られた未延伸糸条を3倍以上、好ましくは3〜4倍の延伸倍率で熱延伸する。熱延伸は、通常、温度が70〜90℃の温水中で行われる。
熱延伸後、必要に応じて、定長熱処理を行っても良い。定長熱処理の温度は、通常、120℃以上、好ましくは180℃以上230℃以下、より好ましくは200℃以上220℃以下で行う。定長熱処理は、糸条の長さを実質的に一定に保って熱処理を施すことであり、通常、加熱されたローラーの前後にて糸条を把持して、その長さを実質的に一定に保って熱処理を施すことにより行われる。
定長熱処理の前後(すなわち熱延伸後と定長熱処理との間、および、定長熱処理と捲縮付与前との間)のそれぞれで糸条を弛緩させてもよい。次いで、必要に応じてスタッフィングボックス型クリンパーなどで捲縮を付与し、油剤を付与した後に、所定の長さに切断してPPS短繊維を製造する。
このようにして得られるPPS短繊維は、通常、繊度が0.01〜20dtex、引張強度が2cN/dtex以上、好ましくは3〜10dtex、引張伸度が10〜100%であり、繊維の引張強度が、6cN/dtex以上である。
本発明のPPS短繊維は、バグフィルター用の濾布として好適に用いられる。バグフィルター用の濾布としては、通常、不織布の形態が採用される。不織布は、湿式、ニードルパンチ及びウォーター・ジェットパンチなどの不織布製造法によって製造することができる。不織布の製法に応じて、用いるPPS短繊維の繊度、繊維長を決定する。例えば、湿式法では、0.01〜1dtexのような細繊度で、0.5〜15mm程度の繊維長の短繊維が好適であり、ニードルパンチ法では、繊度2〜15dtex、繊維長38〜76mmの短繊維が好適であることが多い。なお、本発明のPPS短繊維は、不織布以外にも、通常の紡績加工工程を通過させることで、紡績糸となし、その紡績糸を用いて織物、編物などの布帛となすこともできる。
以下実施例によって本発明を具体的に説明する。なお、本発明で定義する各特性値は以下の方法で求めたものである。
(1)引張強度
PPS繊維の引張強度は、JIS L−1015(1999年改訂)−7.7の方法に準じて測定する。
(2)引張強度低下率
測定すべき繊維について、熱処理前の繊維の引張強度aと、熱風乾燥機で200℃、2000時間熱処理した繊維の引張強度bを前記した方法で測定し、次式により算出する。
引張強度低下率(%)=((a-b)/a)×100
a:熱処理前の引張強度
b:200℃で2000時間熱処理後の引張強度
(3)重量平均分子量
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した標準PMMA換算の値である。GPC測定は、検出器にWATERS社示差屈折計WATER410を用いポンプにMODEL510高速液体クロマトグラフィーを用いて、溶媒にヘキサフルオロイソプロパノールを用い測定した。
(4)フィルター材のパルスジェット耐久性
フィルター材に集塵性能試験装置(JIS Z8908−1)を用いて次の条件で繰り返しのパルスジェット負荷を与える。
パルスジェット圧力:500kPa(50msec)
パルスジェット間隔:5秒
パルスジェット回数:50,000回
パルスジェット負荷を与える前のフィルター材と、パルスジェット負荷を与えた後のフィルター材、それぞれについて、破裂強力をJIS L 1096(1990改訂)−6.16.1 A法に準じ測定し、次の計算式にてパルスジェット耐久性を求める。
パルスジェット耐久性(%)=(X/Y)×100
ここで、Xは、パルスジェット負荷後の破裂強力(試験片5枚の平均値)であり、Yは、パルスジェット負荷前の破裂強力(試験片5枚の平均値)である。耐久性が90%以上であるものを合格とする。
(5)フィルター強度保持率
フィルター材をバグフィルターに縫製した後、200日間石炭塵の除去フィルターとして実用テストを行なう。運転時の温度は140〜180℃で行う。実用テストの前後においてフィルター強度を測定し、次式からフィルター強度保持率を求める。
フィルター強度保持率(%)=((a−b)/a)×100
ここで、aは、実用テスト前のフィルター強度であり、bは、実用テスト後のフィルター強度である。なお、フィルター強度は、フィルターの破断強力をJIS L 1096(1990改訂)−6.1A報法に準じて測定したものである。
[参考例1](芳香族ハイパーブランチポリマーA−1の合成)
攪拌翼、留出管を備えた反応容器に、p−ヒドロキシ安息香酸40.3g(0.292モル)、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸20.3g(0.108モル)、4,4−ジヒドロキシビフェニル21.3g(0.114モル)、トリメシン酸36.0g(0.171モル)および無水酢酸70.6g(フェノール性水酸基合計の1.10当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら145℃で1.5時間反応させた後、280℃まで昇温し、3時間攪拌し、酢酸の理論留出量の91%が留出したところで安息香酸12.6g(0.103モル)を加え、酢酸の理論留出量の100%が留去したところで加熱、攪拌を停止し、内容物を冷水中に吐出した。
得られた芳香族ハイパーブランチポリマー(A−1)について、核磁気共鳴スペクトル解析した結果、R部分の構造におけるp−オキシベンゾエート単位および6−オキシ−2−ナフトエート単位の含量pが2.33であり、4,4’−ジオキシビフェニル単位の含量qが0.66であり、p+q+r=3であり、分岐点(すなわちBの含有率)は樹状ポリエステルを構成する全体単量体に対して25モル%であった。得られた芳香族ハイパーブランチポリマーの融点Tmは155℃、液晶開始温度は138℃、絶対分子量は2300であった。
[参考例2](芳香族ハイパーブランチポリマーA−2の合成)
芳香族ハイパーブランチポリマーA−1を、乾燥機を用いて110℃で5時間乾燥した後、ブレンダーを用いて粉砕し、得られた粉末を、真空加熱乾燥機を用いて100℃で12時間加熱真空乾燥した。
乾燥後の粉末70gと、オルト酢酸エチル31.4g(0.194モル)を、撹拌翼を備えた500mLの反応容器に仕込み、200℃に昇温した。200℃で20分撹拌した後、内容物を冷水中に吐出した。
得られた芳香族ハイパーブランチポリマー(A−2)の融点Tmは149℃、液晶開始温度は132℃、絶対分子量は2700であった。
[参考例3](芳香族ハイパーブランチポリマーA−3の合成)
攪拌翼、留出管を備えた反応容器に、p−ヒドロキシ安息香酸53.4g(0.387モル)、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸26.9g(0.143モル)、α−レゾルシン酸27.2g(0.177モル)および無水酢酸99.2g(フェノール性水酸基合計の1.10当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら145℃で1.5時間反応させた後、280℃まで昇温し、3時間攪拌し、酢酸の理論留出量の85%が留出したところで安息香酸8.63g(0.071モル)を加え、酢酸の理論留出量の100%が留去したところで加熱、攪拌を停止し、内容物を冷水中に吐出した。
得られた芳香族ハイパーブランチポリマー(A−3)について、核磁気共鳴スペクトル解析した結果、R部分の構造におけるp−オキシベンゾエート単位および6−オキシ−2−ナフトエート単位の含量pが3.00であり、p+q+r=3であり、分岐点(すなわちBの含有率)は芳香族ハイパーブランチポリマーを構成する全体単量体に対して25モル%であった。得られた芳香族ハイパーブランチポリマーの融点Tmは138℃、液晶開始温度は115℃、絶対分子量は2600であった。
[参考例4](芳香族ハイパーブランチポリマーA−4の合成)
芳香族ハイパーブランチポリマーA−3を、乾燥機を用いて80℃で5時間乾燥した後、ブレンダーを用いて粉砕し、得られた粉末を、真空加熱乾燥機を用いて80℃で12時間加熱真空乾燥した。
乾燥後の粉末70gと、オルト酢酸エチル26.0g(0.160モル)を、撹拌翼を備えた500mLの反応容器に仕込み、200℃に昇温した。200℃で20分撹拌した後、内容物を冷水中に吐出した。
得られた芳香族ハイパーブランチポリマー(A−4)の融点Tmは131℃、液晶開始温度は110℃、絶対分子量は2900であった。
[参考例5](芳香族ハイパーブランチポリマーA−5の合成)
攪拌翼、留出管を備えた反応容器に、p−ヒドロキシ安息香酸48.0g(0.35モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル30.9g(0.17モル)、テレフタル酸5.41g(0.033モル)、固有粘度が約0.6dl/gのポリエチレンテレフタレート10.4g(0.054モル)、トリメシン酸42.0g(0.20モル)、および無水酢酸76.3g(フェノール性水酸基合計の1.1当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら145℃で1.5時間反応させた後、250℃まで昇温して脱酢酸縮合反応を行った。反応器内温が250℃に達した後、安息香酸14.7g(0.12モル)を加えて280℃まで昇温させた。酢酸の理論留出量の100%が留出したところで加熱、攪拌を停止し、内容物を冷水中に吐出した。
得られた芳香族ハイパーブランチポリマー(A−5)について、核磁気共鳴スペクトル解析した結果、R部分の構造におけるp−オキシベンゾエート単位の含量pが2.0であり、4,4’−ジオキシビフェニル単位とエチレンオキシド単位の含量qが0.5であり、テレフタレート単位の含量rが0.5であり、p+q+r=3であり、分岐点(すなわちBの含有率)は樹状ポリエステルを構成する全体単量体に対して25モル%であった。また末端構造はカルボン酸と安息香酸エステルであった。
得られた芳香族ハイパーブランチポリマーA−5の融点Tmは182℃、液晶開始温度は163℃、絶対分子量は5500であった。
[参考例6](脂肪族系超分岐ポリマーA−6の合成)
特表2005−513186号公報に準じ脂肪族系超分岐ポリマーを合成した。
(実施例1)
東レ(株)製PPS粉粒体(重量平均分子量:80,500)を、2軸方式のベント付きエクストルーダー((株)日本製鋼所製TEX30型)で、真空度 1.3kPa、シリンダー温度290℃に設定し、160rpmのスクリュー回転にて溶融し、円形の孔(孔面積:15.9mm)から押出して、ストランドカッターにより長さ3mmに切断し、PPSペレットを製造した。
得られたPPSペレットと参考例1で合成した芳香族ハイパーブランチポリマー(A−1)を別々に乾燥温度165℃、100℃で乾燥したあと、別々に計量し、それぞれを2軸エクストルーダーに仕込んだ。この時、芳香族ハイパーブランチの添加量は、PPSに対して1重量%とした。2軸エクストルーダーで300℃で溶融混練し、続いて紡糸温度320℃で溶融紡糸し、引取速度1000m/分で引き取って未延伸糸を製造した。引き続き、得られた未延伸糸を、温度85℃の温水中で延伸倍率を3.2倍として延伸を行ない、スタッフィングボックス型クリンパー(スチーム処理なし)で捲縮を付与した後、油剤を付与し、90℃で乾燥してから長さ51mmに切断して、PPS短繊維を製造した。得られたPPS短繊維について、繊度、引張強度を測定し、その結果を実験条件とともに表1に示す。
また、得られたPPS短繊維を通常の方法でカーディング処理し、針密度40本/cmで仮ニードルパンチを行って、目付210g/mの不織布とした。また、得られたPPS短繊維を単糸番手20s、合糸本数2本の紡績糸とし、これを経糸密度28本/2.54cm、緯糸密度18本/2.54cmで平織りして織物とした。上記不織布2枚で上記織物を挟み、さらにニードルパンチ加工により織物と不織布を交絡させ、目付680g/m、総針密度300本/cmのフィルター材とした。得られたフィルター材についてパルスジェット耐久性およびフィルター強度保持率を測定し、その結果を表1に示す。
(実施例2〜5)
参考例2で合成した芳香族ハイパーブランチポリマー(A−2)〜(A−5)を表1に示す混率にて混錬した以外は、実施例1と同様にしてPPS短繊維を製造し、フィルター材とした。得られたPPS短繊維について、繊度、引張強度を測定した結果、並びに得られたフィルター材についてパルスジェット耐久性及びフィルター強度保持率を測定した結果と実験条件を表1に示す。
(比較例1)
芳香族ハイパーブランチポリマーを混錬しなかった以外は、実施例1と同様にして高分子量PPSの溶融紡糸を行おうとしたが、紡糸パック圧が非常に高くなり、紡糸不可であった。
(比較例2)
重量平均分子量Mw48,500のPPSを用い、芳香族ハイパーブランチポリマーを混練しなかったこと以外は、実施例1と同様にしてPPS短繊維を製造し、フィルター材とした。得られたPPS短繊維について、繊度、引張強度を測定した結果、ならびに得られたフィルター材についてパルスジェット耐久性およびフィルター強度保持率を測定した結果を実験条件とともに表1に示す。
(比較例3)
参考例6で合成した脂肪族ハイパーブランチポリマー(A−6)を用いた以外は、実施例1と同様に溶融紡糸を行ったところ、芳香族ハイパーブランチポリマー(A−1)や(A−2)を用いた場合と比較し、流動性改善効果は小さいものであり、また、紡糸が安定せず、糸切れが多発するなど製糸性も劣っていた。
(比較例4)
芳香族ハイパーブランチポリマー(A−1)を15%の添加率で混錬した以外は、実施例1と同様にしてPPS短繊維を製造し、フィルター材とした。得られたPPS短繊維について、繊度、引張強度を測定した結果、ならびに得られたフィルター材についてパルスジェット耐久性およびフィルター強度保持率を測定した結果を実験条件とともに表1に示す。
Figure 2010196187

Claims (4)

  1. 重量平均分子量Mwが70,000以上であるポリフェニレンサルファイドに芳香族ハイパーブランチポリマーを0.1〜10重量%ブレンドした樹脂組成物から構成されるポリフェニレンサルファイド短繊維。
  2. 重量平均分子量Mwが70,000以上であるポリフェニレンサルファイドのペレットを170℃以下の温度で減圧下にて乾燥した後、ポリフェニレンサルファイドに対し0.1〜10重量%の芳香族ハイパーブランチポリマーと溶融混練し、330℃以下で紡糸口金から紡出し、延伸した後に所定の長さに切断する、ポリフェニレンサルファイド短繊維の製造方法。
  3. 請求項1に記載のポリフェニレンサルファイド短繊維から構成される紡績糸。
  4. 請求項1に記載のポリフェニレンサルファイド短繊維から構成される不織布。
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