JP2008266868A - ポリフェニレンサルファイド短繊維およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリフェニレンサルファイドの粉末を減圧下で温度350℃未満で溶融してペレット化したペレットを、温度130〜170℃の減圧下で乾燥した後、溶融し、紡糸口金から紡出し、延伸した後に所定の長さに切断し、沸点が200℃以上の揮発成分を0.15重量%以下含有する、ポリフェニレンサルファイド短繊維。
【選択図】なし
Description
PPSは、通常、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドンなどのN−アルキルピロリドン類、N−メチル−ε−カプロラクタムなどのカプロラクタム類、1、3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアルデヒド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、ジメチルスルホン、テトラメチレンスルホキシドなどに代表されるアプロチック有機溶媒、またはこれらの混合物などである極性溶媒を重合溶媒として用い、その中で、モノマーであるp−ジクロロベンゼンと硫化ナトリウムとを重合反応させて製造されるが、高沸点の揮発成分は、PPSを重合により得る際にモノマーと重合溶媒が反応して発生するものであり、特に酸化されやすいアミン系の化合物、例えばN−メチルクロロアニリンなどを主体とするものである。
(1)引張強度
繊維の引張強度は、JIS L−1015(1999年改訂)−7.7の方法に準じて測定する。
(2)引張強度低下率
測定すべき繊維について、熱処理前の繊維の引張強度aと、熱風乾燥機で200℃、2000時間熱処理した繊維の引張強度bを前記した方法で測定し、次式により算出する。
a:熱処理前の引張強度
b:200℃で2000時間後の引張強度
(3)高沸点揮発成分の含有量
PPS繊維3gを、腹部が100mm、首部が255mm×12mm、肉厚が1mmのガラスアンプルに計り入れてから真空封入する。このガラスアンプルの腹部のみを管状炉に挿入して規定温度で2時間加熱する。加熱によりPPS繊維から揮発成分が気化し、管状炉によって加熱されていないアンプルの首部に冷却されて付着する。アンプルを取り出した後、アンプルの首部をヤスリで切り出して秤量する。次いでアンプルの首部に付着した揮発成分を5gのクロロホルムで溶解して除去した後、60℃のガラス乾燥機で1時間乾燥してから再度秤量する。そして、揮発成分を除去する前の秤量値(重量)から揮発成分を除去した後の秤量値(重量)を差し引き重量差を求める。高沸点揮発成分の含有量は、かかる重量差を、規定温度200℃と規定温度320℃とで測定し、次式を用いて計算して求める。
ここで、Aは、規定温度を200℃として測定した時の重量差であり、Bは、規定温度を320℃として測定した時の重量差である。なお、本実施例では、管状炉として、(株)アサヒ理化製作所製セラミックス電気炉ARF−30Kを用いた。
(4)捲縮弾性率
JIS L−1015(1999年改訂)−7.12.3の方法に準じて測定した。
(5)フィルター材のパルスジェット耐久性
フィルター材に集塵性能試験装置(JIS Z8908−1)を用いて次の条件で繰り返しのパルスジェット負荷を与える。
パルスジェット間隔:5秒
パルスジェット回数:50,000回
パルスジェット負荷を与える前のフィルター材と、パルスジェット負荷を与えた後のフィルター材それぞれについて、破裂強力をJIS L 1096(1990改訂)−6.16.1 A法に準じ測定し、次の計算式にてパルスジェット耐久性を求める。
ここで、Xは、パルスジェット負荷後の破裂強力(試験片5枚の平均値)であり、Yは、パルスジェット負荷前の破裂強力(試験片5枚の平均値)である。耐久性が90%以上であるものを合格とする。
(6)フィルター強度保持率
フィルター材をバグフィルターに縫製後200日間石炭塵の除去フィルターとして実用テストを行なう。運転時の温度は140〜180℃で行う。実用テストの前後においてフィルター強度を測定し、次式からフィルター強度保持率を求める。
ここで、aは、実用テスト前のフィルター強度であり、bは、実用テスト後のフィルター強度である。なお、フィルター強度は、フィルターの破断強力をJIS L 1096(1990改訂)−6.1A報法に準じて測定したものである。
(7)自然延伸倍率
未延伸糸を引張試験機の測定にかけ、その荷重−伸び曲線を測定する。その荷重−伸び曲線の定応力領域を超えた点を自然延伸倍率とする。
(8)カード通過性
5gの短繊維をカード機を通過させてウエッブとする時のウエッブの重量(a)を測定し次式に基づき収率を測定する。その収率が高いほどカード通過性が良好であると判定した。
(実施例1)
東レ(株)製PPS粉粒体E2280(重量平均分子量:49、500)を、2軸方式のベント付きエクストルーダー((株)日本製鋼所製TEX30型)で、真空度 1.3kPa、シリンダー温度290℃に設定し、160rpmのスクリュー回転にて溶融し、円形の孔(孔面積:15.9mm2)から押出して、ストランドカッターにより長さ3mmに切断することでペレットを得た。得られたペレットを160℃で10時間、1.3kPaの真空度にて真空乾燥を行った。なお真空乾燥は、回分式で行い、乾燥するペレットは1回当たり2tであった。
(比較例1)
ペレットを得るに際して、ベント設備が付帯していない一軸のエスクトルーダーを用いて常圧でペレット化することに変更した以外は実施例1と同様にしてPPS短繊維を得るとともに、フィルター材を得た。得られたPPS短繊維について、繊度、引張強度、捲縮弾性率および繊維中の高沸点揮発分の含有量を測定した結果、ならびに得られたフィルター材についてパルスジェット耐久性およびフィルター強度保持率を測定した結果を表1に示す。
(比較例2)
ペレットを得る際のシリンダー温度を350℃に変更した以外は、実施例1と同様にしてPPS短繊維を得るとともに、フィルター材を得た。得られたPPS短繊維について、繊度、引張強度、捲縮弾性率および繊維中の高沸点揮発分の含有量を測定した結果、ならびに得られたフィルター材についてパルスジェット耐久性およびフィルター強度保持率を測定した結果を実験条件とともに表1に示す。
(比較例3)
ペレットを真空乾燥する際の温度と時間を220℃で2時間に変更した以外は、実施例1と同様にしてPPS短繊維を得るとともに、フィルター材を得た。得られたPPS短繊維について、繊度、引張強度、捲縮弾性率および繊維中の高沸点揮発分の含有量を測定した結果、ならびに得られたフィルター材についてパルスジェット耐久性およびフィルター強度保持率を測定した結果を実験条件とともに表1に示す。
(実施例2〜4、比較例4,5)
ペレットを得る際の真空度、または、ペレットの減圧乾燥温度・時間を表1に記載したように変更した以外は、実施例1と同様にしてPPS短繊維を得るとともに、フィルター材を得た。得られたPPS短繊維について、繊度、引張強度、捲縮弾性率および繊維中の高沸点揮発分の含有量を測定した結果、ならびに得られたフィルター材についてパルスジェット耐久性およびフィルター強度保持率を測定した結果を実験条件とともに表1に示す。
Claims (3)
- 沸点が200℃以上の揮発成分を0.15重量%以下含有する、ポリフェニレンサルファイド短繊維。
- 200℃で2000時間の熱処理において繊維の引張強度の低下が40%以内である、請求項1に記載のポリフェニレンサルファイド短繊維。
- ポリフェニレンサルファイドの粉末を減圧下で温度350℃未満で溶融してペレット化したペレットを、温度130〜170℃の減圧下で乾燥した後、溶融し、紡糸口金から紡出し、延伸した後に所定の長さに切断する、ポリフェニレンサルファイド短繊維の製造方法。
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