JPH04370218A - ポリフェニレンサルファイド繊維の製造方法 - Google Patents

ポリフェニレンサルファイド繊維の製造方法

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JPH04370218A
JPH04370218A JP3168750A JP16875091A JPH04370218A JP H04370218 A JPH04370218 A JP H04370218A JP 3168750 A JP3168750 A JP 3168750A JP 16875091 A JP16875091 A JP 16875091A JP H04370218 A JPH04370218 A JP H04370218A
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spinning
fibers
yarn
polyphenylene sulfide
polymer
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JP3168750A
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Katsuya Tani
谷 勝也
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Toyobo Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐熱性、耐薬品性を有
するポリフェニレンサルファイド繊維の製造方法に関す
るものであり、さらに詳しくは、強度等の繊維特性が優
れ、毛羽やデニール斑等の欠点が少ないポリフェニレン
サルファイド繊維を工業的に高生産性で効率よく製造す
る方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来よりポリフェニレンサルファイド重
合体よりなる繊維は耐熱性、耐酸化性、耐燃性、耐薬品
性等の優れた特性を具備しており、この特性を利用した
工業用フィルターや防護服等の過酷な環境条件下で使用
する繊維製品の素材として期待されている。
【0003】ポリフェニレンサルファイド重合体の繊維
化方法に関しては従来より数多くの提案がなされている
。例えば特公昭52−30609号公報では原料重合体
を予備硬化させて高粘度化した後で溶融紡糸し、該紡出
糸を冷延伸することで高強度・高弾性率で、かつ高温特
性に優れた繊維を得る方法を、又特公昭54−8719
号公報はP−フェニレンサルファイド重合体の製法に関
する提案であるが、その中に溶融紡糸法による繊維化並
びに該繊維を更に熱延伸して高物性化する技術が開示さ
れている。特開昭57−143518号公報にはポリフ
ェニレンサルファイドよりなる未延伸糸にポリエステル
テレフタレートやナイロン6又は66等の延伸に採用さ
れている多段熱延伸法を適用して繊維化することができ
ることを、また特開昭58−204047号公報及び特
開昭60−115659号公報では重合体に安定剤を添
加することにより溶融紡糸過程におけるゲル化が抑制で
出来ると同時に熱安定性に優れた繊維が得られるとして
いる。特開昭58−18409号公報では原料重合体を
予備硬化することなく溶融紡糸した後、該紡出糸を重合
体の溶融流れ特性に応じた加熱温度で熱延伸することに
より延伸過程での糸切れや繊維の強度低下及び毛羽又は
性能斑を抑制出来るとしている。特開昭61−1528
28号公報では特定の平滑剤成分を配合した油剤を紡出
糸に付与することで延伸過程での毛羽や糸切れ発生を防
止する方法が開示されている。特開昭61−21571
5号公報には線状構造で溶融粘度が6,000〜20,
000poise(310℃、200sec −1)の
原料重合体を溶融紡糸することで高強度で耐熱性に優れ
、かつ毛羽の少ない品位の高い繊維及びその繊維の製造
技術が開示されている。特開平−229809号公報で
は延伸・熱処理するときの毛羽・断糸の発生を抑えるた
めに、溶融紡出糸を85℃〜110℃の温度で、延伸後
の繊維の破断伸度伸度が45%以下となる様に一段延伸
を行った後、該一段延伸糸を100℃〜140℃の温度
で弛緩熱セットし、更に150℃〜融点以下の温度で定
長乃至弛緩熱セットする方法が開示されている。また、
特開平1−239109号公報では溶融粘度が一定範囲
にある原料重合体を繊維化することにより紡糸及び延伸
過程での糸切れや毛羽発生を低減できるとしている。
【0004】またポリフェニレンサルファイド繊維に関
しても数々の提案がなされており、例えば特開昭58−
31112号公報では結晶化温度が120℃未満で、か
つ融点が285℃以上である繊維は耐熱性と寸法安定に
優れるとしている。かかる特徴を有する繊維の製造法と
しては高速紡糸技術の適用が開示されている。特開昭6
1−75812号公報ではその中で溶融粘度(ηm)2
0〜500,000poise 、重量平均分子量(M
w)25,000〜500,000の範囲で、  lo
gηm=3.48・logMw−14.25±0.05
の関係を満足する原料重合体を使用することで重合時の
分岐剤、紡糸前の硬化処理、紡糸前の特殊な濾過、紡糸
中の熱安定剤添加、等が不要になると記載されている。 特開昭3−76812号公報ではポリフェニレンサルフ
ァイドに芳香族サルファイドスルホンを共重合すること
で繊維の結晶性を制御し、製糸過程での毛羽や断糸の発
生を抑え高物性・高品位の繊維化が可能であるとしてい
る。これら提案された技術内容は、繊維物性の改善に加
えて、  原料重合体の特性を限定して紡糸安定性(紡
糸中の糸切れ、溶融紡糸口金面の汚れ)の改善を図ろう
とするもの、  延伸方法・条件を最適化して延伸中の
毛羽発生や糸切れの問題を解決しようとするもの、  
生産性向上を図ろうとする試み、例えば高速紡糸の適用
、等に大別ができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記し
た従来のポリフェニレンサルファイド繊維の製造法には
紡糸及び延伸中の毛羽や断糸の発生を改善するには原料
重合体の特性を狭い範囲に特定化し過ぎ、繊維物性を犠
牲にしているという問題を有する点  繊維物性の低下
を犠牲にすることなく紡糸及び延伸中の毛羽や断糸の発
生を抑えようとすると特殊な紡糸装置や延伸装置及び条
件を採用せねばならず生産性の低下を伴う場合が多いと
いう問題を有する点  即ち、高物性と高生産性を兼ね
備えた生産技術の提案は殆どない現状である。つまり従
来より繊維に用いられる汎用の重合体例えばポリエチレ
ンテレフタレートやナイロン等の紡糸及び延伸技術と比
較すればその差は歴然としている。従ってポリフェニレ
ンサルファイドの優れた繊維特性を犠牲にすることなく
大きく生産性が改善できる製糸技術の確立が期待されて
いる。
【0006】従来より紡糸工程と延伸工程を直結した直
接紡糸延伸法は溶融紡出した糸条を一旦ボビン等に巻き
取った後、逐次延伸する方法と比較して生産性の高いこ
とは公知であり、ポリエチレンテレフタレートの溶融紡
出糸を直接紡糸延伸する方法の技術内容は例えば特公昭
62−29525号公報に開示されている。この紡糸延
伸方法をポリフェニレンサルファイド重合体にそのまま
適用して繊維化を試みたが溶融紡糸口金の汚れや紡糸中
の糸切れ(紡糸口金近傍)が頻発するため長時間の安定
した製糸は出来ないことが判った。また繊維特性、特に
繊維強度は従来からポリフェニレンサルファイド重合体
の未延伸糸の延伸に採用されている逐次延伸法で得られ
るものに比較すると低く、この両者から見て紡糸速度が
高速とならざるを得ない直接紡糸延伸法は適用が困難で
あった。但し、延伸糸に毛羽の存在は殆ど認められなか
った。これは適用した直接紡糸延伸法は紡糸口金と第1
引取りローラーとの間に他のローラーが介在しておらず
、かつ高速で紡糸を行うため紡出糸条が有する僅かな欠
点も糸切れとなって顕在化するためである。かかる紡糸
中の糸切れの問題を解消すべく第3成分を共重合又はブ
レンドにより得たポリフェニレンサルファイド重合体を
直接紡糸延伸する方法、さらには高重合度化したポリフ
ェニレンサルファイド重合体を直接紡糸延伸する方法等
を検討したがいずれも期待した改善効果を得られなかっ
た。この様に単純にポリフェニレンサルファイドに直接
紡糸延伸法を適用しても安定に高物性の繊維を得ること
は困難である。
【0007】
【問題を解決するための手段】本発明は前記課題を解決
するために次の手段を取るものである。すなわち、本発
明は重量平均分子量(Mw)20,000〜100,0
00、分子量分布(Mw/Mn)10以下であり、重量
平均分子量が1,000以下のオリゴマー重量分率が5
%以下のポリフェニレンサルファイド重合体を溶融紡糸
口金から紡出し、溶融紡糸口金下方において該紡出糸に
冷却気流を吹き当てて一旦冷却し、次いで該糸条冷却装
置の下方に設けられた加熱帯域を通過させて熱延伸し、
速度3,000m/分以上で引き取ることを特徴とする
ポリフェニレンサルファイド繊維の製造法である。
【0008】本発明に使用されるポリフェニレンサルフ
ァイドは例えば多ハロ置換ベンゼンとアルカリ金属サル
ファイドとを有機極性溶媒中で反応せしめることによっ
て得られる重合体であり、代表的には例えば米国特許第
3354129号公報に詳細に記載されているものが挙
げられる。この重合体はまず重量平均分子量(Mw)が
20,000以上、100,000以下を満足する必要
がある。重量平均分子量(Mw)が20,000未満の
ポリフェニレンサルファイド重合体を用いて溶融紡糸し
た場合、紡糸張力が低いため紡糸・延伸状態は不安定に
なり紡糸・延伸中に糸切れを発生し易く、所謂製糸安定
性が満足するレベルに達しない。また本発明の特徴であ
る高強度の繊維も得られない。一方、重量平均分子量(
Mw)が100,000を越えるポリフェニレンサルフ
ァイド重合体を用いると溶液の粘度が高くなり、溶融紡
糸法で繊維化するには高耐圧仕様の特殊な紡糸装置を必
要となり、また吐出された紡出糸の紡糸張力が高いため
同一紡速で比較した時の紡出糸の配向度は高くなり後述
する様に直接紡糸延伸法を適用した延伸は原理的に困難
となり、本発明の目的は達成できない。
【0009】更にこの重量平均分子量(Mw)に加えて
分子量布(Mw/Mn)も高速下における紡糸・延伸の
安定性に対して重要な影響を及ぼす因子であり、ポリフ
ェニレンサルファイド重合体の分子量分布が10を越え
ると3,000m/分を越える様な高速下での紡糸・延
伸、特に延伸細化過程で糸切れが発生し易くなり、安定
性の低下につながる。該原料重合体の分子量分布は紡糸
延伸時の糸切れ等の安定性の観点からは当然ながらでき
るだけ低いことが好ましいが重合技術とコストを勘案し
た上で適正に設定することは言うまでもない。
【0010】また本発明の要件の一つにポリフェニレン
サルファイドに含有されるオリゴマー量がある。つまり
重合体に含有される重量平均分子量1,000以下のオ
リゴマーの重量分率は5%以下にする必要がある。該重
合体中に含有される重量平均分子量1,000以下のオ
リゴマー重量分率が5%を越えると加熱溶融時の熱劣化
が著しくなり高速下での紡糸延伸の調子、特に溶融紡糸
口金近傍での糸切れの原因となり易く、長期にわたる紡
糸・遠視においてはこの問題が顕在化してくる。
【0011】上記ポリフェニレンサルファイド重合体は
、通常公知の方法でペレット化とした後、通常公知の溶
融紡糸装置を用いて温度270〜300℃の範囲で溶融
させる。該原料重合体を溶融させる温度が270℃以下
の時には融液の流路に設けられたフィルター部で目詰ま
りを生じやすく、ノズルパック内で時間方向の顕著な圧
力上昇の原因になる。一方、溶融させる温度が300℃
以上になると該重合体の熱劣化速度が大きくなることに
伴う製糸上の諸問題が派生してくる。また、当然のこと
ながら熱劣化で重合度が低下した場合には本発明の目的
である高物性の達成は困難になる。
【0012】この様にして溶融されたポリフェニレンサ
ルファイドは通常仕様される溶融紡糸口金を通して溶融
紡出され、紡出された糸条は該溶融紡糸口金下方におい
て整流され、また整流されない冷却気流を吹き当てるこ
とで冷却固化されるが、この際紡出糸条に吹き当てる冷
却気流としては45℃以上の温度に保持されたものを使
用することが好ましい。この冷却気流温度が45℃未満
の場合には紡出張力の増大による紡糸・延伸の調子の改
善効果は小さい。一方、冷却気流温度をあまり高温にす
ると紡出糸条同志の融着が発生し、安定した状態で紡糸
・延伸を行うことが困難になる。従って冷却気流温度を
45℃以上、好ましくは50〜120℃とするのがよく
、特に90〜110℃付近の冷却気流を使用すると紡糸
張力の増大が顕著であり、紡糸・延伸の調子は大幅に改
善される。
【0013】本発明の方法における冷却気流を吹き当て
る帯域長は、使用する重合体の重量平均分子量(Mw)
、溶融紡糸口金を構成する紡糸孔1個当りの重合体吐出
量、第1引取りローラー(群)による糸条の引取り速度
等の紡糸条件を勘案した上で適宜選択すればよいが、冷
却気流吹き当て帯域長を長くし過ぎると装置の巨大化に
伴うコスト増加や紡糸安定性の低下を招くことになるか
ら200cmまでにとどめるのが好ましい。このように
溶融紡出糸条は冷却固化し、糸温度を一旦85℃以下に
すればよい。この冷却固化後の紡出糸条の温度が85℃
よりも高い場合には、後続の加熱帯域中における熱延伸
挙動が不安定になり、引取り糸条の糸斑が増大し易くな
り繊維物性並びに品位が低下する傾向にあり、好ましく
ない。
【0014】このようにして冷却固化された紡出糸条は
、分割または収束された後、加熱帯域中へと導入される
。本発明では加熱帯域の構造については特に制限はなく
接触型であっても非接触型であってもよく又加熱手段は
、電熱、レーザー、赤外線、加熱水蒸気、燃焼ガス等が
利用できる。加熱帯域中の温度分布は全区間にわたって
均一であってもよいが、糸条進行方向に対し比較的低温
部から漸次高温部に昇温する温度分布、すなわち正の温
度勾配を付与すると延伸安定性の向上に顕著な効果があ
る。この温度勾配を付与した熱延伸法の場合の一例につ
き更に詳細に説明すると、前記冷却固化後の紡出糸条を
85〜180℃、好ましくは130〜180℃、特に好
ましくは150〜180℃の第1の加熱帯域中に漸次温
度上昇勾配を付与し、または付与しないで0.002秒
以上、好ましくは0.005秒以上滞留させた後、直ち
に180℃以上、好ましくは220℃以上で、かつ糸条
進行方向に漸次増大する温度勾配を有する第2の加熱帯
域中へ導入する。紡出糸条は、該加熱帯域中において加
熱・昇温と空気の摩擦抵抗を受けることで糸自身が変形
し、高速下で糸条の延伸・細化が発生して配向化、歪結
晶化、熱結晶化等が進行して延伸糸になる。この加熱帯
域温度の上限及び温度勾配付与条件は重合体の重量平均
分子量、溶融紡糸口金を構成する紡糸孔1個当たりの吐
出量、溶融紡糸口金全体の吐出量、溶融紡糸口金当たり
の孔数、第1引取りローラー(群)による引取り速度等
を勘案した最適化が必要なことは言うまでもない。
【0015】次に加熱帯域を出た糸条を第1引取りロー
ラー(群)により直ちに3,000m/分以上、好まし
くは4,000〜6,000m/分の速度で引き取る。 第1引取りローラー(群)による引取速度が3,000
m/分未満では前記加熱帯域中を通過させても配向性及
び結晶性の増加は小さく、また紡糸張力も低いため加熱
帯域中での糸条同士の融着現象が発生し紡糸・延伸の安
定性が極度に低下する。かかる弊害を防ぐために加熱帯
域温度、特に第2加熱帯域温度を可及的に低下させると
実質的に延伸は発生せず目的とする物性を有する繊維は
得られない。一方、引取速度が6,000m/分以上の
場合には走行中の糸条に十分な熱を与えて配向性及び結
晶性を増加させ実用的な繊維物性を得るには高性能な加
熱装置が必要になり、さらに高速化に伴って繊維処理剤
の付与部での液飛散が大きくなる等の問題が生じる。従
って引取速度は6,000m/分を上限とするのがよい
。なお、ポリフェニレンサルファイド未延伸糸を逐次多
段熱延伸法で延伸した時に問題となる毛羽の発生は本発
明で採用した直接紡糸延伸法には見られないことは特に
注目すべきである。また機構は不祥であるが極めて熱収
縮率が低く寸法安定性の良好な繊維が得られることも該
直接紡糸延伸法の利点の一つである。このようにして引
き取られ糸条は連続的に捲縮付与を行った後ステープル
状にカットを行ってもよく、あるいは一旦適宜巻取装置
に巻き上げ、しかる後高次加工に供してもよい。重量平
均分子量と分子量分布および重量平均分子量1,000
以下オリゴマー重量分率等を特定したポリフェニレンサ
ルファイド重合体に簡略化された直接紡糸延伸法を適用
することで高強度等を維持し、かつ毛羽等の欠点が少な
い繊維を効率良く製造することが可能になる。
【0016】以下に本発明の評価な用いた各種特性値の
測定方法を述べる。
【0017】<分子量分布の測定法>ポンプ510型、
インジェクターL16K型、データー処理機M740型
データーモジュールはそれぞれWaters社製を、検
出器945型液体クロマトグラフ用FIDはTraco
r  Instruments社製、カラムShode
x  AT−80MのGPC装置を使用し、溶媒に1−
クロロナフタレンを用い、測定温度220℃の条件で分
子量分布を測定した。
【0018】<オリゴマー含有率の測定法>上記した分
子量分布測定における分子量分布曲線よりポリスチレン
換算の分子量(Mw)1,000以下の化合物の含まれ
る比率を算出した。
【0019】<糸温度測定>エベレック  インコーポ
レーション(株)製の赤外温度計(マイクロスコピック
2101型)を用い、該温度計を走行糸条から15mm
の離れた位置に設置して糸条の表面温度を測定した。な
お、被測定糸条の径がφ125ミクロン以下となった場
合には糸道ガイドで糸条をゆるやかに収束した状態で温
度を測定した。
【0020】<操業性の判定方法>紡糸・延伸中の糸切
れ回数と紡糸口金面の清浄作業(ワイピング)回数をカ
ウントし、糸切れについては紡糸機1台、24時間当り
の発生回数に、またワイピングについては紡糸口金1個
につき72時間当りの回数にそれぞれ換算した。糸切れ
回数が1回未満を1級、1回以上で3回未満を2級、3
回以上を3級としまたワイピング回数については1回未
満を1級、1回以上で3回未満を2級、3回以上を3級
に分類した。糸切れとワイピングの両者の級数を総合し
て安定性の判定尺度採用した。
【0021】<複屈折率(Δn)の測定方法>ニコン製
偏光顕微鏡POH型とライツ製ベレックコンペンセータ
ーを用い、干渉縞と消光角度から繊維のリターデーショ
ン(Γ)を、また測微マイクロメーターにより繊維直径
(D)を測定し下記の式により複屈折率(Δn)を算出
した。光源としてはスペクトル光源用起動装置(東芝S
LS−8−B型Na光源)を使用した。 Δn=Γ/D  (Γ;リターデーション)
【0022
】<繊維の鮮度の測定法>鮮度はJIS−L−1074
に準拠した試験方法と条件で測定した。
【0023】<繊維の強度の測定方法>繊維の引張強さ
(強度)はJIS−L−1074に準じ、標準状態の実
験室において東洋ボールドウィン社製の定速伸長型万能
引張試験装置TensilonUTM−IIIを使用し
て繊維の引張強さを測定した。但し、測定条件は5kg
fの引張型ロードセルを用い、つかみ間隔20cm、引
張速度20cm/分、記録用紙送り速度100cm/分
で引っ張り、試料が切断したときの荷重(g)を次式に
より引っ張り強さ(g/d)を求め、これを繊維の強度
(g/d)とした。 引張強さ(g/d)=切断時の強さ(g)/試料の繊度
(d) なお伸度は上記引張試験において試料が切断したときの
伸びの試験長に対する比率(%)で表した。
【0024】<熱収縮率の測定方法>JIS−L−10
17(1987)の5.7に準じて測定を行った。但し
、温度は200℃、処理時間は30分である。
【0025】
【作用】繊維の物性を損なうことなく生産性を向上させ
る手段として従来ポリエステル繊維やナイロン繊維で採
用されてきた高速直接紡糸延伸法をポリフェニレンサル
ファイド重合体に適用しても糸切れや毛羽が頻発して安
定な工程下ての製糸は困難である。これは高速下の直接
紡糸延伸に対応できる様にポリフェニレンサルファイド
重合体の特性に配慮を払うことでこの課題は解消できる
。つまり、通常慣用される紡糸及び延伸速度域ではそれ
程問題とならない様な重合体の特性、即ち分子量(溶融
粘度)、分子量の分布、更には低分子量のオリゴマーの
重量分率の組み合わせは紡速が3,000m/分を越え
る様な速度域では製糸安定性に関連して特に重要な因子
になる。かかる観点から原料重合体の前記3種の特性を
適正化が必要である。つまりポリマーの重量平均分子量
を比較的高くすることは繊維強度の増大と同時に紡糸張
力の上昇を介して紡糸・延伸系の安定化に寄与し、また
分子量分布を下げることは紡出糸の均一な冷却・固化を
介して延伸状態の安定化に寄与し、更に原料重合体中の
オリゴマー含有率を下げることは紡糸口金汚れの抑制を
介して長期にわたる高速紡糸の安定性の維持に寄与する
ものと考えられる。
【0026】また、ポリフェニレンサルファイド重合体
の未延伸糸を従来の逐次多段熱延伸法で延伸すると延伸
結晶化が速いため1段目延伸以降では結晶化延伸状態と
なり毛羽、糸切れが頻発するものと考えられ。従って本
発明で採用した溶融紡糸口金と第1引取りローラー間に
他のローラーを介在させることなく熱延伸する所謂簡略
化された直接紡糸延伸法では結晶化が進行する前に延伸
細化が発生するため毛羽、断糸の発生が抑えられるもの
と判断される。このことが延伸過程の安定化性の向上効
果をもたらすものであると推察される。
【0027】
【実施例】以下実施例をあげて、本発明を具体的に説明
する。
【0028】実施例1、比較例1〜5 1リットルのN−メチルピロリドン(NMP)および7
23.3グラムのNa2 S・9H2 Oをガラスフラ
スコに入れ、水和水が蒸発するまでかきまぜながら加熱
する。これにP−ジクロロベンゼン441gを加え、2
27℃で17時間加熱する。次に反応容器より重合体を
取り出し、メタノールと水を用いて各2回洗浄する。乾
燥すると285gのポリフェニレンサルファイドを得る
。 これをポリマーAとする。ポリマーAをさらにメタノー
ルと水を用いて、5回の洗浄を繰り返したものをポリマ
ーB、10回繰り返したものをポリマーCとする。重合
温度を238℃、重合時間を8時間に変更した以外はポ
リマーAと同様にして、ポリマーDを得る。ポリマーD
をさらにメタノールと水を用いて10回の洗浄を繰り返
し、ポリマーEを得る。ポリマーA〜Eの分子量分布と
重量平均分子量が1,000以下の含有率を表1に示す
【0029】
【表1】
【0030】前記A〜Eのポリマーを常法によって溶融
し、孔数30個、孔径0.40mmの紡糸孔を有する溶
融紡糸口金から引取った糸条の単糸繊度が2.08dと
なるように単孔当りの吐出量を定め、紡糸温度290℃
で溶融紡出し、該溶融紡糸口金直下で整流された流速0
.28m/秒、温度95℃の空気冷却気流を20cmの
長さにわたって紡出糸条に吹き当てて糸条30℃の温度
まで冷却し、該糸条を紡糸口金から3m下方に建設した
0.6mの長さの2台の非接触型筒状加熱装置内を通過
させて加熱延伸し、次いで従来より公知の紡糸油剤で処
理した後、5,000m/分の速度の引取りローラーで
糸条を引き取り、巻取機でパッケージを成型した。なお
、前記非接触型筒状加熱装置は2室に分かれ、糸条導入
側に配設した筒状加熱装置(第1延伸槽と称する)の温
度を180℃、第1延伸槽に連続して配置した筒状加熱
装置(第2延伸槽と称する)の温度を320℃に設定し
た。紡糸延伸時の糸切れ回数とワイピング回数および得
た糸条の物性等を表2に示した。なお、紡糸延伸時の糸
切れ並びにワイピング頻度がともに1級以下であれば安
定性は良好であり、また巻き取った糸条の強度が4.8
g/d以上であれば高強度の繊維といえる。本発明の表
2から明らかように本発明に属するもの(実施例1)は
各比較例のものに比して紡糸延伸の操業性は良好であり
、かつ得られる繊維は高強度で毛羽を全く存在せず品位
も満足すべきものであった。なお、乾熱収縮率は各実験
番号とも1.8〜2.1%であり、従来の逐次多段熱延
伸で得た繊維の4〜6%に比べて低収縮であり寸法安定
性は著しく向上している。
【0031】
【表2】
【0032】実施例2〜5 実施例1で使用したポリマーのCを用い実施例1に記載
した溶融紡糸口金を使用して紡糸温度290℃で該ポリ
マーを溶融吐出し、該紡出糸条を冷却する際の条件を種
々変更した以外はすべて実施例1に記載と同一の製糸条
件で、紡糸延伸を行い、紡糸延伸時の安定性を調べた。 結果を表3に示した。
【0033】
【表3】
【0034】実施例6〜10、比較例5実施例1で使用
したポリマーのCを用い実施例1に記載した溶融紡糸口
金を使用し、紡糸温度290℃で該ポリマーを溶融吐出
し、該吐出物を実施例1に記載した方法と条件で冷却固
化させた後、第1延伸槽、第2延伸槽を通過させて熱延
伸し、引続いて第1引取りローラー速度を種々変更して
糸条を引き取った。なお、第1延伸槽ならびに第2延伸
槽の温度は糸条の引取速度に応じて適宜設定した。結果
は表4のとおりである。
【0035】
【表4】
【0036】表4から明らかなように、本発明の方法に
よるもの(実施例6〜10)は紡糸・延伸状態は安定で
あり繊維強度も満足し得ものであった。一方、比較例5
は延伸状態が極めて不安定で、かつ得られる糸条中に未
延伸糸部が混入し、製品価値のないものであった。
【0037】
【発明の効果】本発明によれば従来よりポリフェニレン
サルファイド重合体は紡糸及び延伸状態が不安定である
ため高物性・高品位の繊維を工業的に高生産性を以て達
成することは困難とされてきた。しかし、重合体の重量
平均分子量と分子量分布およびオリゴマー重量分率を適
正化することにより生産技術の面では、  紡糸・延伸
時の糸切れが減少して長期間の連続運転が可能である、
  紡糸及び延伸速度が3,000m/分以上であり生
産効率は高い、また繊維特性的には、  毛羽がない、
強度4.8g/d以上という優れた力学的特性、  2
00℃での乾熱収縮率が1.8〜2.5%という優れた
寸法安定性、といった工業生産に要求される諸要件を満
足してポリフェニレンサルファイド繊維を得ることが出
来、産業界に寄与すること大である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  重量平均分子量(Mw)20,000
    〜100,000で分子量分布(Mw/Mn)が10以
    下であり、重量平均分子量が1,000以下のオリゴマ
    ー重量分率が5%以下のポリフェニレンサルファイド重
    合体を溶融後、紡糸口金を通して紡出し、該紡糸口金下
    方において紡出糸に冷却気流を吹き当てて一旦冷却し、
    次いで加熱帯域を通過させて熱延伸し、3,000m/
    分以上の速度で引き取ることを特徴とするポリフェニレ
    ンサルファイド繊維の製造方法。
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