JP2003165715A - 炭素フィルムの製造方法およびそれから得られる炭素フィルム - Google Patents

炭素フィルムの製造方法およびそれから得られる炭素フィルム

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Abstract

(57)【要約】 【課題】3つの工程を経ることにより好適な炭素フィル
ムを得る。即ち、(1)化学閉環法によりポリイミドフ
ィルムを得る工程。(2)熱膨張係数の3次元的関係、
ヤング率、平面性および等方性が改良するため、2軸延
伸されたフィルムを提供する工程、(2)更に高温で非
酸化性雰囲気下で炭素化する工程、を経ることにより高
剛性、軽量かつ高熱伝導率性に優れた炭素フィルムおよ
びその製造方法および炭素フィルムを提供することを目
的とするものである 【解決手段】(1)化学閉環法によりイミド化しポリイ
ミドフィルムを製造する工程。 (2)少なくとも一部がイミド化したフィルムを2軸延
伸する工程。 (3)前記(1)および(2)の工程を経て、厚み方向
熱膨張係数(CTEz)と面方向の熱膨張係数(CTEave)と
の比(CTEz/CTEave)が4以上であるポリイミドフィル
ムを温度500℃以上で不活性ガス又は真空中で炭素化
して、比重が2.5以下、熱伝導率が400[Wm-1
-1]以上の炭素フィルムを形成する工程を含むことを特
徴とする炭素フィルムの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリイミドフィル
ムを高温で炭素化することにより得られる、不溶不融で
高剛性と高熱伝導率を有する炭素フィルムの製造法およ
びその炭素フィルムに関する。
【0002】この炭素フィルムは電極、発熱体、構造
体、ガスケット、断熱体、耐食性シール材、電機用ブラ
シ、X線または中性子線モノクロメータ、原子炉用減速
材、電池用セパレータなどに好ましく用いられる。
【0003】
【従来の技術】放熱板に使用される金属板は高比重で、
熱伝導率が十分でなく、屈曲性も不足していた。
【0004】例えば、アルミニウムは比重が約2.7、
熱伝導率が200[Wm-1-1]であり、更に屈曲によ
り破れが生じ易かった。そこで、高分子を高温で焼成し
炭素化することが、特公昭64−12305号公報、特
開平1−105199号公報、特開平4−310569
号公報、特開平4−21508号公報、特開平3−75
211号公報、特開昭62−91414号公報、特開昭
53−139676号公報、特開昭60−11215号
公報など提案されている。また、ビニレン基系高分子フ
ィルムを延伸させた後に炭素化処理を行う方法が特公平
1−48204号公報に開示されている。これらに用い
られている高分子フィルムの焼成では、炭素収率が低い
ため収縮が激しく平面性、強度などに問題があった。
【0005】炭素収率が高い芳香族ポリイミドフィルム
を用い、これを高温加熱処理により熱分解させて炭素フ
ィルムを得る方法が、特開平5−43213号公報、特
公昭64−12305号公報などに開示されている。特
開平4−149012、特開平4−149013では、
焼成後の脆さを改良するため、バインダーを含浸させた
り、圧延し強度を向上させたりしている。これらの方法
では手間がかかるり、又熱伝導率が十分でない問題があ
った。上記で具体的に示されているのは熱閉環法による
ものである。例えば、具体的には特許3152316号
公報では多価アミンを利用し熱閉環法によるポリイミド
フィルムを出発物質とした炭素フィルムが開示されてい
る。これらの問題として、多価アミンが毒性が強く取り
扱い性が難しいこともある。
【0006】一方、ポリイミドフィルムを製造する方法
で、イミド化触媒を用いて閉環する化学閉環法と、イミ
ド化触媒を用いない熱にのみで閉環する熱閉環法とがあ
る。これらの課題を解決するため、本発明者は驚くべき
事に化学閉環法で作成した2軸延伸ポリイミドフィルム
の面配向および面方向熱膨張係数の関係が、高熱伝導
性、高剛性の炭素フィルムとして好適となることが本発
明者によって明らかにされた。
【0007】また熱拡散板として従来アルミニウム(A
l)または銅(Cu)などが用いられてきた。それぞれ
の熱伝導率は約200[W/(m/K)]または約350[W/
(m/K)]である。またそれぞれの比重は2.7または
8.9である。近年の携帯型コンピューターに好適な、
軽量で高熱伝導率の特徴を有する材料は無かった。
【0008】このため化学閉環法でかつ延伸により配向
させ面方向の熱膨張係数との関係を最適化したポリイミ
ドフィルムを作成し、その後特別な条件で焼成し炭素す
るということにより、好適な炭素フィルムを得るという
発明に至った。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した従
来技術における問題点の解決を課題として検討した結果
達成されたもので、3つの工程を経ることにより好適な
炭素フィルムを得る。即ち、(1)化学閉環法によりポ
リイミドフィルムを製造する工程、(2)低温で延伸す
ることによりヤング率、平面性および等方性が改良され
た、厚み方向の熱膨張係数および平面方向の熱膨張係数
との比が4以上である延伸フィルムを提供する工程、
(3)更に高温で非酸化性雰囲気下で炭素化する工程、
を経ることにより高剛性、軽量かつ高熱伝導率性に優れ
た炭素フィルムおよびその製造方法を提供することを目
的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明の炭素フィルムは少なくとも次の3つの工
程を経る。 (1)化学閉環法によりイミド化しポリイミドフィルム
を製造する工程。 (2)少なくとも一部がイミド化したフィルムを2軸延
伸する工程。 (3)前記(1)および(2)の工程を経て、厚み方向
熱膨張係数(CTEz)と面方向の熱膨張係数(CTEave)と
の比(CTEz/CTEave)が4以上であるポリイミドフィル
ムを温度500℃以上で不活性ガス又は真空中で炭素化
して、比重が2.0以下、熱伝導率が400[Wm-1
-1]以上の炭素フィルムを形成する工程を含むことを特
徴とする炭素フィルムの製造方法。
【0011】経由するポリイミドフィルムは芳香族テト
ラカルボン酸無水物として、ピロメリット酸二無水物
類、ビフェニルテトラカルボン酸類、ベンゾフェノンテ
トラカルボン酸類のうち1種以上含むポリイミドが好ま
しい。
【0012】また経由するポリイミドフィルムは芳香族
ジアミン成分として、パラフェニレンジアミン、4,
4’−オキシジアニリン、3,4’−オキシジアニリ
ン、4,4’−ジアミノジフェニルメタンのうち少なく
とも1種以上含むポリイミドであることも好ましい。
【0013】更に、ポリアミド酸溶液から膜を形成し、
次いで00℃以下の温度で、面積倍率1.1〜4倍に延
伸される2延伸工程も好ましい。
【0014】また2軸延伸工程は、以下の(A)〜
(E)の工程を経ることも好ましい。
【0015】(A)芳香族テトラカルボン酸無水物およ
び芳香族ジアミン成分を、不活性な溶剤中で反応させポ
リアミド酸を形成する工程、(B)前記工程(A)から
のポリアミド酸溶液に、ポリアミド酸をポリイミドに転
化することのできる転化用薬剤を混合する工程、(C)
前記工程(B)からの混合物を平滑面上にキャストまた
は押出して、ポリアミド酸−ポリイミドゲルフィルムを
形成する工程、および(D)前記工程(C)からのゲル
フィルムを、回転ロールにより走行速度を規制しながら
走行方向に1.1〜2倍延伸し、この延伸されたゲルフ
ィルムの端部をテンタクリップにより把持し、このゲル
フィルムを幅方向に走行方向の延伸倍率の0.8〜1.
3倍の倍率で延伸する工程。この工程での延伸操作は異
なる温度で少なくとも2回に分割されて延伸される。
【0016】(E)500℃以下の温度で加熱してポリ
アミド酸をポリイミドに変換する工程。
【0017】またこの(3)の炭素化工程において、予
め、ポリイミドフィルムを不活性ガス又は真空中で50
0〜800℃の温度で不融化処理し、次いで、不活性ガ
ス又は真空中で800〜3500℃以上の温度で加熱す
ることも好ましい。
【0018】更に以上に記載のポリイミドフィルムを素
材として製造された、熱伝導度が800[Wm-1-1
以上の炭素フィルムである。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の構成及び効果につ
いて詳述する。
【0020】本発明の炭素フィルムの製造方法およびそ
れから得られる炭素フィルムは、少なくとも次の3つの
工程を経る。 (1)化学閉環法によりイミド化しポリイミドフィルム
を製造する工程。 (2)少なくとも一部がイミド化したフィルムを2軸延
伸する工程。 (3)前記(1)および(2)の工程を経て、厚み方向
熱膨張係数(CTEz)と面方向の熱膨張係数(CTEave)と
の比(CTEz/CTEave)が4以上であるポリイミドフィル
ムを温度500℃以上で不活性ガス又は真空中で炭素化
して、比重が2.0以下、熱伝導率が400[Wm-1
-1]以上の炭素フィルムを形成する工程を含むことを特
徴とする炭素フィルムの製造方法。
【0021】ポリイミドフィルムは、芳香族テトラカル
ボン酸無水物および芳香族ジアミン成分からポリアミド
酸を経由して製造される。
【0022】経由するポリイミドフィルムは芳香族テト
ラカルボン酸無水物として、ピロメリット酸二無水物
類、ビフェニルテトラカルボン酸類、ベンゾフェノンテ
トラカルボン酸類のうち1種以上含むポリイミドが好ま
しい。更には、ピロメリット酸二無水物類、ビフェニル
テトラカルボン酸類のうち1種以上含むポリイミドが好
ましい。最も好ましくは、ピロメリット酸二無水物類で
ある。
【0023】また経由するポリイミドフィルムは芳香族
ジアミン成分として、パラフェニレンジアミンの他に、
ベンゼン環を二つ以上有するジアミン類が好ましい。例
えばオキシジアニリン、ビスアミノフェノキシフェニル
プロパン、ビスアミノフェノキシベンゼン、ビスアミノ
フェノキシビフェニル、メチレンジアニリン、ジアミノ
ジフェニルスルフィド、ジアミノジフェニルスルホンな
どが挙げられる。特にパラフェニレンジアミン、4,
4’−オキシジアニリン、3,4’−オキシジアニリ
ン、4,4’−ジアミノジフェニルメタンのうち少なく
とも1種以上含むポリイミドであることも好ましい。
【0024】無機粒子を添加する場合は少量添加が好ま
しいが、特に焼結工程中に黒鉛結晶核剤となりうる粒子
の添加が好ましい。例えば黒鉛粉砕粒子、カーボンナノ
チューブ、カーボンナノホーンなどのグラファイト構造
およびグラファイト異種形状を有する微粒子がある。扁
平または繊維状の粒子は延伸時に面内方向に長軸が配向
するので、平均短軸径が1μm以下の微細な扁平粒子ま
たは繊維状粒子が好ましい。好ましい添加量は20重量
%以下、より好ましくは5重量%以下である。
【0025】また黒鉛結晶核剤能のない粒子の添加量は
1重量%以下が好ましい。
【0026】添加はポリマー重合前後、配管中の移液中
または押出キャスト直前にポリマー溶液に混合し行うこ
とが出来る。
【0027】このポリアミド酸溶液から膜を形成し、次
いで500℃以下の温度で、好ましくは50〜450℃
の温度で、互いに直交する2軸方向に面積倍率1.1〜
4倍に延伸される。延伸ポリイミドフィルムの好ましい
ヤング率は4[GPa]以上である。
【0028】ポリアミド酸のイミド転化の方法は、イミ
ド転化薬剤を混合したポリアミド酸を加熱処理したり、
またはポリアミド酸をイミド転化薬剤の浴に浸漬する化
学転化法のいずれも採用することができる。本発明にお
いては、化学転化法が熱転化法に比べて、可撓性の炭素
フィルムが、高弾性率、平面性および製膜性を均衡して
高度に実現するのに好適である。
【0029】化学転化法によってポリアミド酸にイミド
転化薬剤を混合し、フィルム状に成形後加熱処理する方
法は、イミド転化に要する時間が短く、均一にイミド転
化が行える等の利点に加え、支持体からの剥離が容易で
あり、さらには、臭気が強く、隔離を必要とするイミド
転化用薬剤を密閉系で取り扱える等の利点を有すること
から、ポリアミド酸フィルム成形後に転化用薬剤や脱水
剤の浴に浸漬する方法に比べて好ましく採用される。
【0030】本発明においては、イミド転化用薬剤とし
て、イミド転化を促進する3級アミン類と、イミド転化
で生成する水分を吸収する脱水剤とを併用する。3級ア
ミン類は、ポリアミド酸とほぼ等モルないしやや過剰に
添加混合され、脱水剤は、ポリアミド酸の約2倍モル量
ないしやや過剰に添加されるが、支持体からの剥離点を
調整するために適当に調整される。
【0031】後述するが、イミド転化用薬剤は、ポリア
ミド酸を重合完了した時点から、ポリアミド酸溶液がフ
ィルム成形用口金やコーチングヘッドに達するいかなる
時点で添加してもよいが、送液途中におけるイミド転化
を防止する意味では、フィルム成形用口金またはコーチ
ングヘッドに到達する少し前に添加し、混合機で混合す
るのが好ましい。
【0032】3級アミンとしては、ピリジンまたはβ−
ピコリンが好適であるが、α−ピコリン、4−メチルピ
リジン、イソキノリン、トリエチルアミン等も使用する
ことができる。使用量は、それぞれの活性によって調整
する。
【0033】脱水剤としては、無水酢酸が最も一般的に
使用されるが、プロピオン酸無水物、酪酸無水物、安息
香酸、蟻酸無水物等も使用することができる。
【0034】イミド転化薬剤を含有するポリアミド酸フ
ィルムは、支持体上で支持体および反対面空間から受け
る熱により、イミド転化が進み、一部イミド転化したポ
リアミド酸−ポリイミドゲルフィルムとなり、支持体か
ら剥離される。
【0035】重合に用いられる有機溶剤としては、それ
ぞれの成分および重合生成物であるポリアミド酸と非反
応性であり、成分の1つから全てを溶解でき、ポリアミ
ド酸を溶解するものから選択するのが好ましい。
【0036】望ましい有機溶剤としては、N,N−ジメ
チルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホル
ムアミド、N−メチル−2−ピロリドン等が挙げられ、
これらは単独でまたは混合使用することができ、場合に
よってはベンゼン等の貧溶媒と併用することも可能であ
る。
【0037】熱閉環では高温での焼成時に配向緩和が生
じる結果、厚み方向の熱膨張係数(CTEz)および平面方
向の熱膨張係数(CTEave)との比(CTEz/CTEave)が4
未満となり、炭素フィルムの弾性率が低下したり熱伝導
率が十分高くならない。
【0038】炭素化前に延伸し、配向させることにより
炭素化フィルムの結晶構造、特に黒鉛結晶構造の配向が
加速され緻密な構造となり、剛性・強度が向上する傾向
がある。この場合、ポリイミドフィルムの剛性が高けれ
ば炭素フィルムの剛性が高くなるとは一概にはいえない
が、CTEz/CTEaveおよび後述する前焼成工程条件との相
対関係とに関係するが、それぞれの特性値をバランスす
るために、化学閉環法で製造することが必要である。
【0039】本発明のポリアミド酸は、175℃以下、
好ましくは90℃以下の温度で、上記テトラカルボン酸
二無水物成分とジアミン成分を、モル比を約0.90か
ら1.10、好ましくは0.95から1.05、更に好
ましくは0.98から1.02とし、それぞれの成分と
非反応性の有機溶剤中で反応させることにより製造され
る。後述するブロック重合または混交ポリマー重合方法
が好ましい。
【0040】上記それぞれの成分は、単独で順次有機溶
剤中に供給してもよいし、同時に供給してもよく、また
混合した成分に有機溶剤を供給してもよいが、均一な反
応を行わせるためには、有機溶剤中に各成分を順次添加
することが好ましい。
【0041】それぞれの成分を順次供給する場合の供給
順序は、ブロック成分または混交ポリマー成分となるジ
アミン成分とテトラカルボン酸二無水物成分とを優先し
て供給することが好ましい。すなわち、ブロック成分ま
たは混交ポリマー成分を含有するポリアミド酸を製造す
るために、その反応を少なくとも2回に分割して実行さ
せ、まずブロック成分または混交ポリマー成分を含有す
るポリアミド酸を得てから、これをイミド転化すること
により、得られるポリイミドにブロック成分または混交
ポリマー成分を組み込ませるのである。
【0042】また炭素フィルムは、ポリイミドフィルム
を製造する工程で、更に工程(A)〜(E)を順次行う
ブロック成分または混交ポリマー成分を有する延伸ポリ
イミドフィルムの製造する工程を含むことも好ましい。
【0043】(A)芳香族テトラカルボン酸無水物およ
び芳香族ジアミンを、不活性な溶剤中でで反応させポリ
アミド酸を形成する工程、(B)前記工程(A)からの
ポリアミド酸溶液に、ポリアミド酸をポリイミドに転化
することのできる転化用薬剤を混合する工程、(C)前
記工程(B)からの混合物を平滑面上にキャストまたは
押出して、ポリアミド酸−ポリイミドゲルフィルムを形
成する工程、および(D)前記工程(C)からのゲルフ
ィルムを、回転ロールにより走行速度を規制しながら走
行方向に1.1〜2倍延伸し、この延伸されたゲルフィ
ルムの端部をテンタクリップにより把持し、このゲルフ
ィルムを幅方向に走行方向の延伸倍率の0.8〜1.3
倍の倍率で延伸する工程。
【0044】(E)500℃以下の温度で加熱してポリ
アミド酸をポリイミドに変換する工程。
【0045】(C)〜(E)の工程でイミド化が順次行
われ、(F)の工程でイミド化工程を終了することが出
来る。このイミド化により縮合水が順次放出される。
【0046】そして、延伸操作および/またはポリイミ
ドポリマにさらにブロック成分または混交ポリマー成分
を組み込むことにより、上記各特性をより好ましい範囲
にすることができる。
【0047】ポリアミド酸のブロック成分または混交ポ
リマー成分を生成するために必要な時間は、反応温度と
ブロック成分または混交ポリマー成分のポリアミド酸中
における比率で決定すればよいが、経験的には約1分か
ら約20時間程度が適当である。
【0048】このとき後述するようにブロック成分を含
有するポリマーを形成するためには(A)反応工程中で
反応させるジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物成
分とは実質的に非等モルである。
【0049】また混交ポリマー成分を形成させるために
は(A)反応工程中でのジアミン成分とテトラカルボン
酸二無水物成分とは実質的に等モルであること、または
ジアミン過剰の反応工程を経る場合はジカルボン酸無水
物で末端を封鎖することが好ましい。ジアミン成分とテ
トラカルボン酸二無水物成分とが実質的に等モルである
こと、またはジアミン過剰の反応工程でジカルボン酸無
水物で末端を封鎖することは、これらの反応工程で形成
された混交ポリマー成分が化学的に不活性で後工程の反
応で形成されるポリイミドポリマーの末端に組み込まれ
ないことを意味する。しかるに混交ポリマー成分の反応
とその後のポリイミドを形成する反応とが同一反応槽で
行われることにより、モレキューラーコンポジット(異
なる分子同士の複合体)が形成され易くなり混交ポリマ
ー成分の特徴がより発現できるのである。
【0050】前述したようにイミド化には閉環触媒を用
い更に加熱を行う化学閉環法、及び閉環触媒を用いない
で加熱のみで閉環する熱閉環法とがある。これらの内、
化学閉環から得られるポリアミド酸から製造されるゲル
フィルムは、二軸延伸する際の延伸性が良く、従って安
定して高倍率での二軸延伸ができるので、本発明の炭素
フィルムは化学閉環法で製造されたポリイミドフィルム
を経由して製造される。該ゲルフィルムはスリット付口
金から加熱された支持体上に流延されてフィルム上に成
型され、ポリアミド酸は支持体上で閉環反応をし、自己
支持性を有するゲルフィルムとなって支持体から剥離さ
れる。支持体は金属製の回転ドラムやエンドレスベルト
であって良く、その温度は熱媒、または電気ヒータ等の
輻射熱により制御される。
【0051】従来のポリイミドフィルムの製造時には、
溶媒乾燥時の自己収縮による延伸操作が主であったが、
本発明では2軸延伸される。
【0052】好ましくは面積延伸倍率が1.1倍以上で
延伸される。面積倍率で1.1倍以上とすることにより
炭素化フィルムの剛性・強度および可とう性が改良でき
る。延伸される状態はポリアミド酸ゲルフィルム、ポリ
アミド酸/ポリイミド共存ゲルフィルムまたはポリイミ
ドフィルムのいずれかまたは2段階以上の工程を組み合
わせて延伸しても良い。ゲルフィルムは好ましくは50
0℃以下の温度で、延伸される。
【0053】イミド化率が高いほど、または溶媒含有量
が少ないほど、延伸による配向効果は高くなるが、逆に
フィルム破断が起こりやすくなるのでイミド化率または
溶媒含有量が異なる工程で2段階以上に分割されて延伸
操作が施されることが好ましい。もちろん、ポリアミド
酸ゲルフィルム、ポリアミド酸/ポリイミド共存ゲルフ
ィルムまたはポリイミドフィルムの状態で、特にポリイ
ミドフィルムの状態で同時2軸で延伸されることも他の
工程と組み合わせて好ましく行われる。
【0054】2段階以上の工程を組み合わせて延伸され
る場合は、互いに直交する2軸方向に延伸されるが、異
なる温度で延伸されることも好ましく用いられる。
【0055】ゲルフィルムは支持体からの受熱または外
側の熱風や電気ヒータ等の熱源からの受熱により30℃
から200℃、好ましくは40〜150℃に加熱されて
閉環反応が進行し、有機溶媒などの揮発分を乾燥させる
ことにより自己支持性を有するようになり、支持体から
剥離される。閉環反応の進んでいないポリアミド酸のフ
ィルムを急激に加熱すると平滑な表面のゲルフィルムを
得られないため加熱温度は適宜管理する必要がある。
【0056】好ましい方法として、支持体から剥離され
たゲルフィルムは回転ロールにより走行速度を規制しな
がら走行方向(MD)に延伸される。延伸は50〜20
0℃の温度で1.1〜2倍、好ましくは1.1〜1.6
倍の倍率で実施される。回転ロールはゲルフィルムの走
行速度を規制する必要な把持力が必要であり、金属ロー
ルとゴムロールを組み合わせて成るニップロールまたは
減圧吸引方式のサクションロールを使用する。ゲルフィ
ルムのMD方向への延伸倍率が1.1倍未満では延伸効
果が小さく、高強度化が不十分な場合がある。延伸倍率
が大きくなると、MD方向の力学的性質や寸法安定性の
改善効果は大きくなるが、ゲルフィルムが破断しやすく
なるため後続する幅方向の選定範囲が狭くなる。このた
め、MD延伸倍率は1.1〜1.9倍、好ましくは1.
1〜1.6倍の範囲である。
【0057】走行方向に延伸されたゲルフィルムはテン
タ装置に導入され、テンタクリップに幅方向両端部を把
持されて、テンタクリップに幅方向両端部を把持され
て、テンタクリップと共に走行しながら幅方向(TD)
へ延伸され、有機溶媒等の揮発分成分を乾燥された後熱
処理されて二軸配向ポリイミドフィルムとなる。幅方向
への延伸は200〜500℃、好ましくは450℃以下
の温度で次の式(i)で定義される延伸倍率比が0.9〜
1.3、好ましくは1.0〜1.3となる幅方向の延伸
倍率で実施される。
【0058】 (TD方向の延伸倍率)/(MD方向の延伸倍率)=延伸倍率比・・・(i) 延伸倍率比は本発明の目的の一つである高剛性および面
内等方性の改善のため重要である。延伸倍率比が0.9
未満ではMD方向への配向効果が強くなり、1.3倍を
超えるTD方向への配向効果が強くなるため、平面性ま
たは面内等方性が好適な範囲を外れてしまう場合があ
る。またゲルフィルムが乾燥オーブンに導入される前に
幅方向の延伸はその延伸倍率の50%以上を実施するの
が好ましい。このゲルフィルムのMD方向およびTD方
向の延伸はこの順序か、逆の順序で逐次的に行っても、
また同時に行っても良い。
【0059】ゲルフィルムの延伸性はその固形分濃度に
影響され、ゲルフィルムの乾燥が進んで固形分濃度が6
0重量%になると延伸が困難になり、高速の延伸時にゲ
ルフィルムの破断が生じる場合がある。そのため、成型
されて支持体から剥離されたゲルフィルムの固形分濃度
は50重量%以下が好ましい。またゲルフィルムの自己
支持性を保持するためには固形分濃度は5重量%以上で
ある。
【0060】テンタオーブンにおけるゲルフィルムの乾
燥および熱処理は熱風または電気ヒータ等による輻射熱
を使用して実施され、乾燥温度は200〜400℃、熱
処理温度は350〜500℃であるが、急激に加熱する
とゲルフィルムに含有される揮発分成分の発泡により空
隙が発生するため加熱方法を制御する方法がある。この
ようにして製造された二軸延伸ポリイミドフィルムは、
分子鎖がフィルム面方向に配向され、分子鎖の面方向へ
の配向の程度を示す次の式(ii)で定義される面配向係数
が0.11以上となり、寸法安定性の代表値である平均
面内熱膨張係数(CTEave)が未延伸フィルムよりも
次の式(iii)で計算して少なくとも10%小さくなり、
更に面内等方性を示す次の式(iv)で定義される面内異方
性指数が20以下である力学的性質を有し、面内等方性
に優れており、更に改良された寸法安定性をも有する二
軸延伸ポリイミドフィルムとすることが好ましい。
【0061】 (面内最大屈折率+面内最小屈折率)/2−厚さ方向屈折率 =面配向係数・・・(ii) (α−β)×100/α ・・・・・・・・・・・・・(iii) 但し、α・・・未延伸フィルムのCTEave β・・・二軸延伸フィルムのCTEave (γ2−δ2)/(γ2+δ2)×200=面内異方性指数(AI値)・・・(iv) 但し、γ・・・最大配向角方向の音波伝播速度 δ・・・最小配向角方向の音波伝播速度 以上のように製造された延伸ポリイミドフィルムまたは
炭素化前のポリイミドフィルムの厚み方向の熱膨張係数
(CTEz)および面方向の熱膨張係数(CTEave)の比(CT
Ez/CTEave)は4以上である。好ましくは5以上、更に
好ましくは6以上である。CTEz/CTEaveが4未満では、
面内の配向が十分でない。分子構造論的にはポリイミド
の芳香環が面に平行方向に揃うことで、炭素化時の面内
収縮の応力が絶対長さの短い厚み方向に逃げるため、絶
対長さの大きい面内の割れが防止できるのである。以上
の理由により前述したとおりCTEz/CTEave)は4以上で
あり、好ましくは面配向係数が0.11以上である。
【0062】このポリイミドフィルムを500℃以上で
不活性ガス又は真空中で炭素化する。
【0063】一旦500〜800℃の間で前処理焼成を
行い、800℃以上で後処理焼成を行う方法が好まし
い。
【0064】500〜800℃の前処理工程で脱水反応
が進行する。この脱水反応は500℃以下で行われるイ
ミド化による脱水とは異なり、解重合に起因する脱水素
反応に伴う脱水である。従ってこの工程は解重合が伴う
ためボイド生成を抑制するように管理することが重要で
ある。この前工程では好ましくは比重を1.1以上、更
に好ましくは1.3以上、最も好ましくは1.5以上に
保つように管理することである。この工程で比重が1.
1未満のフィルムは、後述する後焼成工程で脆くなりフ
ィルム割れなどが生じ好ましくない。
【0065】炭素フィルム強度を向上させるため、前焼
成処理工程の後または後焼成工程の後にプレスまたはロ
ールなどで圧延し中に含まれるボイドまたは空隙を除く
ことも好ましい。
【0066】前処理工程のみでは焼成時間が十分でない
場合グラファイト構造が十分成長化されないため、柔軟
性が乏しく脆くなる。後処理焼成温度の好ましい範囲は
1000℃以上3500℃以下、更に好ましくは200
0℃以上3400℃以下である。後処理焼成の温度にて
長時間保持し黒鉛結晶構造を再配列成長させることも好
ましい。3500℃を超えると炭素の昇華が起こり炭素
収率が低くなるので好ましくない。
【0067】以上の工程を経て得られた炭素フィルム
は、比重が2.0以下、熱伝導率が400[Wm
-1-1]以上である。
【0068】比重は低い程良いが、具体的な好ましい比
重は1.8以下、更には1.75以下、最も好ましくは
1.7以下である。
【0069】比重が2.0を超えると、放熱シートとし
て組み込まれた場合、軽量化と高性能化が両立しにく
い。
【0070】好ましい引張り弾性率は20[GPa]以
上である。更に好ましい弾性率は30[GPa]以上、
最も好ましくは40[GPa]以上である。弾性率が2
0[GPa]未満では、炭素分子の配向が不十分である
か、炭素からなる結晶が十分に成長していない為、強靱
性が劣る物となる。
【0071】好ましい熱伝導率は600[Wm-1-1
以上、更には900[Wm-1-1]以上である。熱伝導
率が400[Wm-1-1]未満では携帯型電子機器の放
熱シートとして性能が不十分である。
【0072】本発明の炭素フィルムにより、可撓性の熱
放熱シートを実現することができる。
【0073】具体的に、テトラカルボン酸二無水物成分
としてピロメリット酸二無水物(PMDA)、ジアミン
成分として、3,4’−オキシジアニリン(34’OD
A)と4,4’−オキシジアニリン(44’ODA)を
使用し、PMDAと34’ODAとからなるブロック成
分または混交ポリマー成分を含有するポリイミドフィル
ムを経由した炭素フィルムの製造例を以下に説明する。
【0074】まず、有機溶剤としてのジメチルアセトア
ミド(DMAc)に、34’ODAを溶解し、PMDA
を加え、第一段目のブロック成分または混交ポリマー成
分の反応を完了させる。
【0075】次いで、溶液に44’ODAを加え溶解し
た後、溶液にPMDAを加えて反応させることにより、
34’ODAとPMDAとのブロック成分または混交ポ
リマー成分を含有するポリアミド酸溶液が得られる。
【0076】この場合に、最初に供給するPMDAに微
量の44’ODAを添加したり、最初に反応させる3
4’ODAとPMDAとのモル比を非等量にし、過剰量
のジアミン成分と十分に反応させる量の末端封止剤を添
加することにより、混交ポリマー成分の大きさを制御す
ることも可能である。この様に混交ポリマー成分の効果
を有効にするためには、34’ODAとPMDAとのモ
ル比を実質的に等量とするまたは酸無水物/ジアミンの
モル比を非等量にし、過剰量のジアミン成分と十分に反
応させる量の末端封止剤で末端封鎖された混交ポリマー
とすることが好ましい。
【0077】この時用いる末端封止剤は無水ジカルボン
酸、シリル化剤などの末端封止剤を固形分(ポリマー濃
度)に対して0.001〜2%の範囲で添加することも
好ましい。この無水ジカルボン酸として無水酢酸または
無水フタル酸、シリル化剤として非ハロゲン系であるヘ
キサメチルジシラザン、N,O−(ビストリメチルシリ
ル)アセトアミド、N,N−ビス(トリメチルシリル)
ウレアが特に好ましく用いられる。
【0078】ポリアミド酸の製造は、その溶液のポリア
ミド酸濃度と溶液の粘度とでその終了点を決定される。
終了点の溶液の粘度を精度良く決定するためには、最後
に供給する成分の一部を、反応に使用する有機溶剤の溶
液として添加することは有効であるが、ポリアミド酸濃
度をあまり低下させないような調節が必要である。
【0079】溶液中のポリアミド酸濃度は、5ないし4
0重量%、好ましくは10ないし30重量%である。
【0080】上記有機溶剤としては、それぞれの成分お
よび重合生成物であるポリアミド酸と非反応性であり、
成分の1つから全てを溶解でき、ポリアミド酸を溶解す
るものから選択するのが好ましい。
【0081】望ましい有機溶剤としては、N,N−ジメ
チルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホル
ムアミド、N−メチル−2−ピロリドン等が挙げられ、
これらは単独でまたは混合使用することができ、場合に
よってはベンゼン等の貧溶媒と併用することも可能であ
る。
【0082】本発明の炭素フィルムの前駆体であるポリ
イミドフィルムを製造するに際しては、かくして得られ
たポリアミド酸溶液を押出機やギヤポンプで加圧して、
ポリアミド酸フィルムの製造工程に送液する。
【0083】ポリアミド酸溶液は、原料に混入していた
り、重合工程で生成した異物、固形物及び高粘度の不純
物等を除去するためにフィルターされ、フィルム成形用
の口金やコーチングヘッドを通してフィルム状に成形さ
れ、回転または移動する支持体上に押出され、支持体か
ら加熱されて、ポリアミド酸が一部イミド転化したポリ
アミド酸−ポリイミドゲルフィルムが生成され、このゲ
ルフィルムが自己支持性となり、支持体から剥離可能と
なった時に支持体から剥離され、乾燥機に導入され、乾
燥機で加熱されて、溶剤を乾燥し、イミド転化を完了す
ることにより、ポリイミドフィルムが製造される。
【0084】このとき、金属焼結フィルターを用いるこ
とは、途中で生成されたゲル物の除去に効果的である。
好ましくは金属繊維焼結フィルターである。具体的には
20μmカットの金属焼結フィルターであり、更に好ま
しくは10μmカットの金属焼結フィルターであり、最
も好ましくは5μmカットの金属焼結フィルターであ
る。
【0085】ポリアミド酸のイミド転化の方法は、加熱
のみによる熱転化法と、イミド転化薬剤を混合したポリ
アミド酸を加熱処理したり、またはポリアミド酸をイミ
ド転化薬剤の浴に浸漬する化学転化法があるが、本発明
においては、化学転化法でイミド化される。
【0086】化学転化法によってポリアミド酸にイミド
転化薬剤を混合し、フィルム状に成形後加熱処理する方
法は、イミド転化に要する時間が短く、均一にイミド転
化が行える等の利点に加え、支持体からの剥離が容易で
あり、さらには、臭気が強く、隔離を必要とするイミド
転化用薬剤を密閉系で取り扱える等の利点を有すること
から、ポリアミド酸フィルム成形後に転化用薬剤や脱水
剤の浴に浸漬する方法に比べて好ましく採用される。
【0087】本発明においては、イミド転化用薬剤とし
て、イミド転化を促進する3級アミン類と、イミド転化
で生成する水分を吸収する脱水剤とを併用する。3級ア
ミン類は、ポリアミド酸とほぼ等モルないしやや過剰に
添加混合され、脱水剤は、ポリアミド酸の約2倍モル量
ないしやや過剰に添加されるが、支持体からの剥離点を
調整するために適当に調整される。
【0088】そして、イミド転化用薬剤は、ポリアミド
酸を重合完了した時点から、ポリアミド酸溶液がフィル
ム成形用口金やコーチングヘッドに達するいかなる時点
で添加してもよいが、送液途中におけるイミド転化を防
止する意味では、フィルム成形用口金またはコーチング
ヘッドに到達する少し前に添加し、混合機で混合するの
が好ましい。
【0089】3級アミンとしては、ピリジンまたはβ−
ピコリンが好適であるが、α−ピコリン、4−メチルピ
リジン、イソキノリン、トリエチルアミン等も使用する
ことができる。使用量は、それぞれの活性によって調整
する。
【0090】脱水剤としては、無水酢酸が最も一般的に
使用されるが、プロピオン酸無水物、酪酸無水物、安息
香酸、蟻酸無水物等も使用することができる。
【0091】イミド転化薬剤を含有するポリアミド酸フ
ィルムは、支持体上で支持体および反対面空間から受け
る熱により、イミド転化が進み、一部イミド転化したポ
リアミド酸−ポリイミドゲルフィルムとなり、支持体か
ら剥離される。
【0092】この場合に、支持体および反対面空間から
与える熱量は多いほどイミド転化が促進されて、速く剥
離するが、熱量が多すぎると支持体とゲルフィルムの間
の有機溶剤のガスがゲルフィルムを変形させ、フィルム
の欠点となるので、剥離点の位置とフィルム欠点を勘案
して、熱量を決定することが望ましい。
【0093】支持体から剥離されたゲルフィルムは、乾
燥機に導入され、溶剤の乾燥およびイミド転化の完了が
なされる。
【0094】このゲルフィルムは、多量の有機溶剤を含
有しており、その乾燥過程において体積が大幅に減少す
る。したがって、この体積減少による寸法収縮を厚さ方
向に集中させるために、ゲルフィルムの両端をテンター
クリップで把持し、このテンタークリップの移動により
ゲルフィルムを乾燥機(テンター)に導入し、テンター
内で加熱して、溶剤の乾燥とイミド転化とを一貫して実
施するのが一般的である。このゲルフィルムを、回転ロ
ールにより走行速度を規制しながら走行方向に1.1〜
2倍延伸し、この延伸されたゲルフィルムの端部をテン
タクリップにより把持し、このゲルフィルムを幅方向に
走行方向の延伸倍率の0.8〜1.3倍の倍率で延伸す
る。なお、テンター内において、フィルム両端のテンタ
ークリップの距離を拡大または縮小して、延伸またはリ
ラックスをおこなうことができる。特に幅方向の延伸操
作においてイミド化率、雰囲気温度または溶媒含有量が
異なる状態で2段階以上に分割されて延伸操作が施され
ることは、フィルム破断を生じさせずに高延伸倍率が得
られるので好ましい。
【0095】熱収縮率を低くするためには、高温領域で
の冷却は低張力で徐冷することが好ましい。徐冷条件は
50〜300℃の温度範囲の冷却速度が500℃/分以
下、好ましくは100℃/分以下で冷却することが好ま
しい。
【0096】この乾燥及びイミド転化は、50ないし5
00℃の温度で行われる。乾燥温度とイミド転化温度は
同一温度でもよいし、異なる温度でもよいが、溶剤を大
量に乾燥する段階では、低めの温度、具体的には50〜
200℃で、として溶剤の突沸を防ぎ、溶剤の突沸のお
それがなくなったら、高温にして、具体的には200〜
500℃で、イミド転化を促進するように、段階的に高
温にすることが好ましい。
【0097】好ましくはブロック成分または混交ポリマ
ー成分を含有し、化学転化法によりイミド転化して得ら
れるカットシート状のポリイミドフィルムは、上記のよ
うに製造した連続したフィルムから切り取って製造する
ことができるが、少量のフィルムを製造するには、後述
の実施例で示しているように、樹脂製やガラス製のフラ
スコ内で、好ましくはブロック成分または混交ポリマー
成分を含有するポリアミド酸を製造し、このポリアミド
酸溶液に化学転化薬剤を混合して得られる混合溶液を、
ガラス板等の支持体上にキャストし、加熱して、一部イ
ミド転化した自己支持性のポリアミド酸−ポリイミドゲ
ルフィルムとして、支持体から剥離し、金属製の固定枠
等に固定して寸法変化を防止しながら加熱して、溶剤の
乾燥およびイミド転化する方法により製造することがで
きる。
【0098】このようにして、化学転化法によりイミド
転化して得られる本発明のポリイミドフィルムは、熱転
化法により得られるポリイミドフィルムに比しても、炭
素フィルム用の原料に適用した場合に、高弾性率かつ熱
伝導率に優れた炭素素材を提供できる。
【0099】以上のような方法で得られた延伸ポリイミ
ドフィルムは、厚み方向熱膨張係数(CTEz)と面方向の
熱膨張係数(CTEave)との比(CTEz/CTEave)が4以上
である。
【0100】引き続き、炭素化工程を行う。上記で得ら
れたポリイミドフィルムを黒鉛板に挟み、窒素ガス雰囲
気中、1〜50℃/分の昇温速度で500〜800℃ま
で昇温し前焼成を行う(前焼成工程)。このときフィル
ムの比重は1.1以上に管理することが好ましい。一旦
室温まで冷却し、前焼成したフィルムを炭素繊維織布に
挟み、アルゴンガス雰囲気中で室温から10〜500℃
/分の昇温速度で800〜3500℃まで昇温する(後
焼成工程)。この焼成工程において、積層炭素フィルム
を得るため、ポリイミドフィルムを重ね合わせて行って
も良い。または前焼成工程で得られたフィルムを重ね合
わせ後焼成工程を行っても良い。
【0101】以上の製造方法により、本発明の比重が
2.0以下、熱伝導率が400[Wm -1-1]以上の炭
素フィルムを得ることが出来る。 更にこの炭素フィル
ムはこの優れた特性により、電極、発熱体、構造体、ガ
スケット、断熱体、耐食性シール材、電機用ブラシ、X
線または中性子線モノクロメータ、原子炉用減速材、電
池用セパレータなどに用いられる。特に、携帯型コンピ
ューターなどの電気回路に起因する発熱を放熱するため
の軽量でかつ高性能の放熱シートが得られる。
【0102】
【実施例】以下、実施例により、本発明を具体的に説明
するが、本発明は、これら実施例に限定されるものでは
ない。なお各フィルム特性値は、下記の方法で測定した
ものである。
【0103】また、下記の実施例中で、略号DMAcは
ジメチルアセトアミドを、PMDAはピロメリット酸二
無水物を、34’ODAは3,4’−オキシジアニリン
を、また、44’ODAは4,4’−オキシジアニリン
を示す略記である。 (1)弾性率および破断伸度 弾性率は、JISK7113に準じて、室温でORIE
NREC社製のテンシロン型引張試験器により、引張速
度300mm/分にて得られる張力−歪み曲線の初期立
ち上がり部の勾配から求めた。
【0104】破断伸度は試料が破断するときの伸度を取
った。 (2)ガラス転移温度(Tg) 装置は理学電機(株)社製 微少定荷重熱膨張計で、窒
素気流中にて測定 A.ガラス転移温度(Tg) 10mm長さ×約15mm幅の切片を切り出し、これを
円筒状にして10mmの長さ方向に圧縮モードで測定す
る。0.5gの付加荷重で行った。
【0105】2℃/分の昇温速度で、室温から400℃
までの1回目の昇温で測定した。寸法変化試料長L0と
その長さの変化量ΔLから、長さ変化率ΔL/L0とす
る。ΔLは10℃毎に読みとり、横軸に温度、縦軸に長
さ変化率ΔL/L0を取り、200〜400℃で観測さ
れる屈曲温度をTgとした。
【0106】350℃未満のTgのものは、炭素化工程
で皺が発生したり、配向緩和が生じ本発明の主用途には
不適である。 (3)製膜性 用意したフィルムを研究用高分子フィルム二軸延伸装置
(BIX−703、(株)岩本製作所社製)により、4
00℃で両軸当速度同時二軸延伸方式により延伸させフ
ィルム破断面積を求めた。予熱時間60秒、片側延伸速
度10cm/min、 ◎;極めて良好 破断延伸面倍率が2倍を超える。
【0107】 ○;良好 破断延伸面倍率が1.5倍〜2倍。
【0108】 △;実用上問題ない 破断延伸面倍率が1.1倍〜1.5倍。
【0109】 ×;製膜困難 破断延伸面倍率が1.1倍未満。 (4)面内異方性指数 野村商事社製 Sonic Sheet Tester SST−250型
を用いた。サンプルは25μmフィルムについて6枚重
ねとして、MD方向250mm、TD方向170mmの
大きさに正確に切断しサンプルとした。中央部は、幅方
向の中央部から、端部はフィルムの端から100mmの
位置を中心とする位置からサンプリングした。中央部
は、幅方向の中央部から、端部はフィルムの端から10
0mmの位置を中心とする位置からサンプリングした。
測定結果からフィルム中の音波の伝播速度が10°間隔
に測定でき、測定データを2次曲線で相関させ、円周全
方向にわたる配向分布を求め、最大配向角、最小配向角
および最大配向角と最小配向角における音波の伝播速度
を求めた。
【0110】面内異方性指数(AI値)は、最大配向角
の音波伝播速度Peak Value MAX.と最小配向角の音波伝
播速度Peak Value MIN. から上述した式(iv)より計算
される。 (5)面内熱膨張係数(CTEave)および厚み方向熱
膨張係数(CTEz) A.面内熱膨張係数(CTEave) 20mm長さ×約5mm幅の切片を切り出し、これを長
さ方向に引っ張りモードで測定する。0.5gの付加荷
重で行った。
【0111】装置は理学電機(株)社製 微少定荷重熱
膨張計で、窒素気流中にて測定CTEは10℃/分の昇
温速度、5℃/分の降温速度、最大温度250℃で2回
目の昇(降)温時の50℃から200℃の間の寸法変化
から求めた。
【0112】平均面内熱膨張係数(CTEave)は面内
異方性指数測定時に求めた最大配向角方向と最小配向角
方向の熱膨張係数から次の式により計算した。
【0113】 (最大配向角方向のCTE+最小配向角方向のCTE)/2・・・ B.厚み方向熱膨張係数(CTEz) 約7mm角の切片を切り出し、これを厚み方向に圧縮モ
ードで測定する。約17gの付加荷重で行った。
【0114】装置は真空理工(株)製 レーザー熱膨張
計LIX−1型で、ヘリウムガス雰囲気中で測定した。
温度校正は、既知の融点を持つインジウム、スズ、ウッ
ド合金で行った。装置装置の検定は試料測定前後にNIST
(National Institute of Standard and Technology)
の標準サンプルSRM739(溶融石英)で行った。
【0115】CTEzは2℃/分の昇温速度、5℃/分
の降温速度、最大温度250℃で2回目の昇(降)温時
の50℃から200℃の間の寸法変化から求めた。 (6)面配向係数 メトリコン コーポレーション社製のメトリコンPC−
2010を用い、波長0.633μmの光線により測定し
た。サンプルは3cm×3cmに切り取り、メトリコン
PC−2010にセットされて面内最大屈折率、面内最
小屈折率および厚さ方向屈折率を測定し、上述した(i)
式により面配向係数を求めた。 (7)比重 フィルムより4cm×4cmの試料片を切り出し、アル
キメデス法により測定した。測定温度は25℃。浸漬液
は水。
【0116】重量m(kg)の試料が、密度ρw(kg
/cm3)の水に浸かったときに受ける浮力をF(k
g)とすると、試料の密度ρ(kg/cm3)は次式に
より算出される。 ρ=(m×ρw)/F ここで浮力Fは、細線により天秤に試料をつるし、試料
を水につけ、浸漬前後の天秤の読みの差から求めること
が出来る。
【0117】測定装置:重量・・・島津製作所製 電子
分析天秤 AEL−200 (8)熱伝導率 面方向の熱伝導率λ(W/mK)は、熱拡散率αおよび
熱容量ρCp(J/m3K)の積として算出した。
【0118】λ=αρCp 比熱はDSC(示差走査熱量計)法により求めた。
【0119】熱拡散率は光交流法により求めた。測定条
件は以下の通り。
【0120】 測定装置:真空理工(株)製熱定量測定装置PIT−1 測定温度:170℃ 照射光 :ハロゲンランプ光 雰囲気 :真空中 (9)非融着性 ポリイミドフィルムを3枚重ね炭素繊維織布に挟み、加
熱炉内に入れる。窒素雰囲気にした後、室温より800
℃まで5℃/分で昇温し、引き続き1200℃まで10
℃/分で昇温し1時間保持した。冷却は室温まで5℃/
分で行う。
【0121】炉内よりフィルムを取り出し得られた炭素
フィルムの融着状態を観察する。
【0122】△以上が一度に炭素フィルムを得ることが
出来実用レベルである。
【0123】 ○・・・融着していない。3枚同時に炭素フィルムが得
られる。
【0124】 △・・・わずかに融着しているが手で簡単に剥がすこと
が出来る ×・・・融着して剥がすことが出来ない。 [実施例1]500ccのガラス製フラスコに、気相法
炭素繊維(昭和電工(株)社製、VGCF)0.3gお
よびDMAc150mlを入れ、44’ODAをDMA
c中に供給して溶解させ、PMDAを溶解させ、室温
で、約1時間攪拌し、テトラカルボン酸二無水物成分と
ジアミン成分が約100モル%化学量論で表1に示す組
成の成分からなるポリアミド酸濃度20重量%の溶液を
調製した。
【0125】このポリアミド酸溶液30gを、12.7
mlのDMAc、3.6mlの無水酢酸及び3.6ml
のβ−ピコリンと混合した混合溶液を調製し、この混合
溶液をガラス板上にキャストした後150℃に加熱した
ホットプレート上で約4分間加熱して、自己支持性のポ
リアミド酸−ポリイミドゲルフィルムを形成し、これを
ガラス板から剥離した。
【0126】このゲルフィルムを、多数のピンを備えた
金属製の両軸可動型固定枠に固定し、縦方向1.2倍、
横方向1.2倍に延伸した。この2軸延伸フィルムを更
に250℃から330℃に昇温しながら30分間加熱し
た。さらに450℃で1分熱処理後徐冷し厚さ約18μ
mのポリイミドフィルムを得た。
【0127】得られたポリイミドフィルムの特性値評価
結果を表1に示した。
【0128】このポリイミドフィルムを3枚重ね炭素繊
維織布に挟み、加熱炉内に入れた。窒素雰囲気にした
後、室温より800℃まで5℃/分で昇温し、引き続き
1200℃まで10℃/分で昇温し1時間保持した。冷
却は室温まで5℃/分で行った。
【0129】炉内よりフィルムを取り出したところ、金
属光沢の炭素フィルムが得られた。炭素フィルムは融着
することなく簡単に剥がすことが出来、3枚の面状フィ
ルムが得られた。この炭素フィルムは折り曲げても割れ
なくものであった。
【0130】得られた炭素フィルムの特性値評価結果を
表1に示した。
【0131】[実施例2]500ccのガラス製フラス
コに、人造黒鉛微粉末(昭和電工(株)社製、UFG−
5)0.3gおよびDMAc150mlを入れ、44’
ODAをDMAc中に供給して溶解させ、PMDAを溶
解させ、室温で、約1時間攪拌し、テトラカルボン酸二
無水物成分とジアミン成分が約100モル%化学量論で
表1に示す組成の成分からなるポリアミド酸濃度20重
量%の溶液を調製した。
【0132】この溶液をガラス板上にキャストした後、
DMAc/無水酢酸(=1/1)混合溶液中に30分浸
漬させ、ポリイミドフィルムを得た。
【0133】このゲルフィルムを150℃1時間加熱し
乾燥した後、多数のピンを備えた金属製の両軸可動型固
定枠に固定し、縦方向1.2倍、横方向1.2倍に延伸
した。この2軸延伸フィルムを更に250℃から330
℃に昇温しながら30分間加熱した。さらに450℃で
1分熱処理後徐冷し厚さ約17μmのポリイミドフィル
ムを得た。
【0134】得られたポリイミドフィルムの特性値評価
結果を表1に示した。
【0135】このポリイミドフィルムを3枚重ね炭素繊
維織布に挟み、加熱炉内に入れた。窒素雰囲気にした
後、室温より800℃まで5℃/分で昇温し、引き続き
1200℃まで10℃/分で昇温し1時間保持した。冷
却は室温まで5℃/分で行った。
【0136】炉内よりフィルムを取り出したところ、金
属光沢の炭素フィルムが得られた。炭素フィルムは融着
することなく簡単に剥がすことが出来、3枚の面状フィ
ルムが得られた。この炭素フィルムは折り曲げても割れ
なくものであった。
【0137】得られた炭素フィルムの特性値評価結果を
表1に示した。
【0138】[比較例1]500ccのガラス製フラス
コに、DMAc150mlを入れ、44’ODAをDM
Ac中に供給して溶解させ、PMDAを溶解させ、室温
で、約1時間攪拌し、テトラカルボン酸二無水物成分と
ジアミン成分が約100モル%化学量論で表2に示す組
成の成分からなるポリアミド酸濃度20重量%の溶液を
調製した。
【0139】このポリアミド酸溶液をガラス板上にキャ
ストした後、150℃に加熱したホットプレート上で約
1時間加熱して、自己支持性のポリアミド酸−ポリイミ
ドゲルフィルムを形成し、これをガラス板から剥離し
た。
【0140】このゲルフィルムを、多数のピンを備えた
金属製の固定枠に固定した。このフィルムを更に250
℃〜330℃に昇温しながら30分加熱した。さらに4
50℃で1分熱処理後徐冷し厚さ約25μmのポリイミ
ドフィルムを得た。
【0141】得られたポリイミドフィルムの特性値評価
結果を表2に示した。
【0142】これらのポリイミドフィルムを3枚重ね炭
素繊維織布に挟み、加熱炉内に入れた。窒素雰囲気にし
た後、室温より800℃まで5℃/分で昇温し、引き続
き1200℃まで10℃/分で昇温し1時間保持した。
冷却は室温まで5℃/分で行った。
【0143】炉内よりフィルムを取り出したところ、実
施例1のフィルムは金属光沢の炭素フィルムが得られ
た。炭素フィルムはわずかに融着していたが簡単に剥が
すことが出来、3枚の面状フィルムが得られた。この炭
素フィルムは折り曲げても割れなくものであった。比較
例1のフィルムはややくすんだ金属光沢の炭素フィルム
が得られ、若干波打ったフィルムが得られた。得られた
炭素フィルムの特性値評価結果を表2に示した。 [比較例2,実施例3]混交ポリイミド 乾燥窒素で常時パージされる容器に、DMAc190.
6kgを入れ、34’ODA(49.8モル%)をDM
Ac中に供給し、溶解させ、続いてPMDA(50モル
%)を供給し、室温で、約1時間攪拌した。引き続きジ
アミン成分に対して0.5モル%の無水酢酸を添加し更
に約1時間攪拌し、このポリアミド酸溶液に44’OD
A(50モル%)を供給し、完全に溶解させた後、PM
DA(50モル%)を供給し、室温で約1時間攪拌し、
テトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分が約10
0モル%化学量論で表1に示す組成の成分からなるポリ
アミド酸濃度23重量%の溶液を調製した。この溶液は
20℃で4000ポイズの粘度であった。 (比較例2)比較例2用のポリイミドフィルムとして、
このポリアミド酸溶液を用いて、比較例1と同様の方法
でポリイミドフィルムを得た以外は、比較例1と同様の
方法で炭素フィルムを得た。得られたフィルムは表2に
示した。
【0144】炉内よりフィルムを取り出したところ、比
較例2のフィルムはややくすみ、若干波打った金属光沢
の炭素フィルムが得られた。炭素フィルムはわずかに融
着していたが簡単に剥がすことが出来、3枚の面状フィ
ルムが得られた。得られた炭素フィルムの特性値評価結
果を表2に示した。 (実施例3)比較例1で用いたポリアミド酸溶液に、無
水酢酸をポリアミド酸単位に対して2.5モル、ピリジ
ンをポリアミド酸単位に対して2.0モルを冷却しなが
ら混合し、ポリアミド酸の有機溶媒溶液を得た。このポ
リアミド酸の有機溶媒溶液をスリット付金属に定量供給
し、90℃の金属ドラム上に流延し、自己支持性のある
ゲルフィルムを得た。得られたゲルフィルムの固形分は
18重量%であった。
【0145】このゲルフィルムを金属ドラムから剥離
し、金属ロールとシリコーンゴムロールからなる2組の
ニップロールで温度63℃で走行方向(MD)に延伸し
次いでテンタに導入した。走行方向の延伸倍率、すなわ
ち金属ドラムと各ニップロールおよびテンタとの速度比
は、1.1、2組目のニップロールのそれは1.3、テ
ンタのそれは1.3に調整した。テンタで200℃の温
度で幅方向(TD)に1.4倍延伸し、次いで400℃
で1.1倍延伸し、引き続き450℃で1分間熱処理
し、徐冷却ゾーンで約5%幅方向リラックスさせながら
30秒間冷却し、フィルムをエッジカットし、幅2m、
厚さ25μmの二軸延伸ポリイミドフィルムを得た。得
られたポリイミドフィルムの面配向係数は0.15であ
った。またその面内異方性指数の平均値は10であっ
た。その他の特性値評価結果は表1に示した。
【0146】炭素化処理は実施例1と同様に行った。得
られた炭素フィルムの特性値評価結果を表1に示した。 [比較例3,実施例4]500ccのガラス製フラスコ
に、DMAc150mlを入れ、34’ODAをDMA
c中に供給して溶解させ、続いてPMDAを供給し、室
温で約1時間攪拌した。テトラカルボン酸二無水物成分
とジアミン成分が約100モル%化学量論で表1に示す
組成の成分からなるポリアミド酸濃度20重量%の溶液
を調製した。 (比較例3)このポリアミド酸溶液をガラス板上にキャ
ストした後、150℃に加熱したホットプレート上で約
1時間加熱して、自己支持性のポリアミド酸−ポリイミ
ドゲルフィルムを形成し、これをガラス板から剥離し
た。
【0147】このゲルフィルムを、多数のピンを備えた
金属製の両軸可動型固定枠に固定し、縦方向1.4倍、
横方向1.4倍に延伸した。この2軸延伸フィルムを更
に150℃1時間加熱した後、250℃から330℃に
昇温しながら30分間加熱した。さらに450℃で1分
熱処理後徐冷し厚さ約25μmのポリイミドフィルムを
得た。
【0148】得られたポリイミドフィルムの特性値評価
結果を表2に示した。
【0149】これらのポリイミドフィルムを3枚重ね炭
素繊維織布に挟み、加熱炉内に入れた。窒素雰囲気にし
た後、室温より800℃まで5℃/分で昇温し、引き続
き1200℃まで10℃/分で昇温し1時間保持した。
冷却は室温まで5℃/分で行った。
【0150】炉内よりフィルムを取り出したところ、フ
ィルムはくすんだ黒色の炭素フィルムが得られた。炭素
フィルムは融着していた。
【0151】再度、ポリイミドフィルムを1枚を炭素繊
維織布に挟み、加熱炉内に入れた。窒素雰囲気にした
後、室温より800℃まで5℃/分で昇温し、引き続き
1200℃まで10℃/分で昇温し1時間保持した。冷
却は室温まで5℃/分で行った。
【0152】炉内よりフィルムを取り出したところ、若
干波打ったくすんだ黒色の面状フィルムが得られた。得
られた炭素フィルムの特性値評価結果を表2に示した。 (実施例4)比較例3で用いたポリアミド酸溶液30g
を、12.7mlのDMAc、3.6mlの無水酢酸及
び3.6mlのβ−ピコリンと混合した混合溶液を調製
し、この混合溶液をガラス板上にキャストした後150
℃に加熱したホットプレート上で約4分間加熱して、自
己支持性のポリアミド酸−ポリイミドゲルフィルムを形
成し、これをガラス板から剥離した。
【0153】このゲルフィルムを更に250℃から33
0℃に昇温しながら30分間加熱した。さらに450℃
で1分熱処理後徐冷し厚さ約25μmのポリイミドフィ
ルムを得た。
【0154】この得られたフィルムを研究用高分子フィ
ルム二軸延伸装置(BIX−703、(株)岩本製作所
社製)により、400℃で両軸当速度同時二軸延伸方式
により延伸させフィルム破断面積を求めた。破断面倍率
は約2.5倍であった。予熱時間60秒、片側延伸速度
10cm/min。
【0155】同様の条件で、MDおよびTD方向に同時
2軸に1.4倍ずつ延伸した。更にこのフィルムを45
0℃で両軸共に5%リラックスを掛けて1分熱処理し徐
冷を行った。
【0156】得られたポリイミドフィルムの特性値評価
結果を表1に示した。
【0157】このポリイミドフィルムを3枚重ね炭素繊
維織布に挟み、加熱炉内に入れた。窒素雰囲気にした
後、室温より800℃まで5℃/分で昇温し、引き続き
1200℃まで10℃/分で昇温し1時間保持した。冷
却は室温まで5℃/分で行った。
【0158】炉内よりフィルムを取り出したところ、フ
ィルムはくすんだ金属光沢の炭素フィルムが得られた。
炭素フィルムは融着していた。
【0159】再度、ポリイミドフィルムを1枚を炭素繊
維織布に挟み、加熱炉内に入れた。窒素雰囲気にした
後、室温より800℃まで5℃/分で昇温し、引き続き
1200℃まで10℃/分で昇温し1時間保持した。冷
却は室温まで5℃/分で行った。
【0160】炉内よりフィルムを取り出したところ、若
干波打ったくすんだ金属光沢の面状フィルムが得られ
た。得られた炭素フィルムの特性値評価結果を表1に示
した。
【0161】表1〜表2に記載された結果から明らかな
ように、化学転化法で得られた本発明のランダムポリイ
ミドフィルムおよびブロックポリイミドフィルム、また
は混交ポリマーより製造されたポリイミドフィルムを前
駆体として用いて製造された炭素フィルムは、従来の炭
素フィルムに比較して、高熱伝導率、高弾性率および可
とう性を同時に満足しており、携帯型コンピューターの
放熱拡散シートとしての好適な性能を有するものであ
る。
【0162】
【表1】
【0163】
【表2】
【0164】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の炭素フィ
ルムは、熱閉環により得られるポリイミドフィルムを経
由した物に比しても、可撓性を有し、高弾性率および優
れた平面性、製膜性を有するものである。
【0165】したがって、本発明の炭素フィルムを用
い、高熱伝導率、高弾性率および可とう性を同時に満足
しており、携帯型コンピューターの放熱拡散シートとし
ての好適な性能を有するものである。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(1)化学閉環法によりイミド化しポリイ
    ミドフィルムを製造する工程、(2)少なくとも1部が
    イミド化されたフィルムを2軸延伸する工程、(3)前
    記(1)および(2)の工程を経て、厚み方向熱膨張係
    数(CTEz)と面方向の熱膨張係数(CTEave)との比(CT
    Ez/CTEave)が4以上であるポリイミドフィルムを温度
    500℃以上で不活性ガス又は真空中で炭素化して、比
    重が2.0以下、熱伝導率が400[Wm-1-1]以上
    の炭素フィルムを形成する工程を含むことを特徴とする
    炭素フィルムの製造方法。
  2. 【請求項2】ポリイミドフィルムが、ピロメリット酸二
    無水物類、ビフェニルテトラカルボン酸類の二無水物、
    ベンゾフェノンテトラカルボン酸類の二無水物のうち少
    なくとも1種以上の芳香族テトラカルボン酸無水物に由
    来する残基を含むことを特徴とする請求項1記載の炭素
    フィルムの製造方法。
  3. 【請求項3】ポリイミドフィルムが、パラフェニレンジ
    アミン、4,4’−オキシジアニリン、3,4’−オキ
    シジアニリン、4,4’−ジアミノジフェニルメタンの
    うち少なくとも1種以上の芳香族ジアミンに由来する残
    基を含むことを特徴とする請求項1または2記載の炭素
    フィルムの製造方法。
  4. 【請求項4】上記(1)の工程でポリアミド酸溶液から
    膜を形成し、(2)の工程で500℃以下の温度で、面
    積倍率1.1〜4倍に延伸することを特徴とする請求項
    1〜3いずれか記載の炭素フィルムの製造方法。
  5. 【請求項5】前記(1)及び(2)の工程で、工程
    (A)〜(E)を順次行うことにより、異なる温度で少
    なくとも2回に分割されて延伸されたポリイミドフィル
    ムの製造する工程を含むことを特徴とする請求項1〜4
    いずれか記載の炭素フィルムの製造方法。 (A)芳香族テトラカルボン酸無水物および芳香族ジア
    ミンを、不活性な溶剤中でで反応させポリアミド酸を形
    成する工程、 (B)前記工程(A)からのポリアミド酸溶液に、ポリ
    アミド酸をポリイミドに転化することのできる転化用薬
    剤を混合する工程、 (C)前記工程(B)からの混合物を平滑面上にキャス
    トまたは押出して、ポリアミド酸−ポリイミドゲルフィ
    ルムを形成する工程、および (D)前記工程(C)からのゲルフィルムを、回転ロー
    ルにより走行速度を規制しながら走行方向に1.1〜2
    倍延伸し、この延伸されたゲルフィルムの端部をテンタ
    クリップにより把持し、このゲルフィルムを幅方向に走
    行方向の延伸倍率の0.8〜1.3倍の倍率で延伸する
    工程、 (E)500℃以下の温度で加熱してポリアミド酸をポ
    リイミドに変換する工程。
  6. 【請求項6】前記(3)の炭素化工程において、予め、
    ポリイミドフィルムを不活性ガス又は真空中で500〜
    800℃の温度で不融化処理し、次いで、不活性ガス又
    は真空中において800〜3500℃の温度で加熱する
    ことにより炭素化することを特徴とする請求項1〜5い
    ずれか記載の炭素フィルムの製造方法。
  7. 【請求項7】請求項1〜6いずれかの方法で得られた炭
    素フィルム。
  8. 【請求項8】熱伝導度が800[Wm-1-1]以上であ
    る請求項7記載の炭素フィルム。
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