JP2007320775A - グラファイトフィルムおよびグラファイトフィルムの製造方法 - Google Patents

グラファイトフィルムおよびグラファイトフィルムの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 熱伝導性、表面硬度、表面の接着性、外観に優れたグラファイトフィルムを得ることができる。さらに、各特性に優れた厚みの厚いグラファイトフィルムを得ることができる。
【解決手段】 高分子フィルムを2000℃以上の温度で熱処理するグラファイトフィルムの製造方法であって、熱処理前および/または熱処理中にフィルム内に不均一層・不均一相(最短径0.1〜50μmの不定形形状の模様)があるグラファイト化の製造方法、とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、放熱フィルムとして使用されるグラファイトフィルムおよびグラファイトフィルムの製造方法に関する。
熱伝導性に優れたグラファイトフィルムを得る方法として、ポリベンゾチアゾール、ポリベンゾビスチアゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾビスオキサゾール、のうちから選ばれた少なくとも1種類の高分子フィルムを1800℃以上で加熱し、グラファイトに転化する事を特徴とするグラファイトの製造方法が(特許文献1))が知られている。
(特許文献1)の方法で得られるグラファイトは、非常に高い熱伝導性を有するため、電子機器の放熱部材として使用されている。具体的な使用例としては、
1.CPUと冷却ファンやヒートシンクの間に挟む放熱スペーサや
2.DVD光ピックアップ部分や筐体部分に貼り熱を拡散させる放熱スプレッダ
等が挙げられる。
特開昭61−275115号公報。
しかし、従来(特許文献1)の方法で作製されるグラファイトフィルムは、面方向に優れた熱拡散性を有するものの、発熱部品の発熱密度が急速に増加している現在においては、十分に熱を面方向に拡散することができず、グラファイトの裏面に温度の高いホットスポットが発生している。そのため、グラファイトフィルムにおいて、厚み方向の熱伝導性上昇を抑えた面方向の熱伝導性の改善、面方向の熱伝導性低減を抑えた厚み方向の熱伝導性の低減が必要となっている。また、面方向の熱拡散率と厚み方向の熱拡散率の異方性を高めることも必要となっている。
また、従来(特許文献1)、発熱部品にグラファイトを取り付ける際、粘着剤や接着剤で取り付ける必要があるが、従来の方法で得られるグラファイトはグラフェン平面が積み重なった構造のため、薄片上に剥がれやすく、その結果、粘着剤や接着剤との密着性、発熱部材との密着性が悪化して、取り付けが困難になったり、密着力が悪いために十分な放熱能力を発揮することが出来なくなったり、使用中に剥がれやすくなったりした。
また、グラファイトを電子機器に取り付ける場合、従来(特許文献1)の方法で得られるグラファイトは表面の硬度が低く。その結果、取り付け時や取り扱い時に表面に傷が入り、傷の入った部分から、黒鉛がはがれ、機器内部を汚染したり、十分な放熱能力を発揮することが出来なくなったりした。また、従来のグラファイトは、平面構造の間に隙間があり、層が部分的に乱れた状態となっているため、厚み方向の強度が弱く、厚み方向に力が加わった場合、変形しやすくなった。
また、従来(特許文献1)の方法は、熱処理中に発生する分解ガスが抜けにくかった。特に原料フィルムの厚みが厚くなるほど、分解ガスは抜けにくくなり、フィルムが破損したり、黒鉛剥がれを起こしやすくなり、グラファイト化の進行が不均一になりやすかった。また、従来の方法では厚みの薄いフィルムしか得られず、全体の熱輸送量が十分ではなかった。
本発明は、以上のような従来の改善必要点に鑑み、
<1>発熱部品からの熱を速やかに移動させることができる十分な熱伝導性と、
<2>グラファイトと発熱部品との接着剤や粘着剤を用いて取り付けた場合に、表面からの黒鉛剥がれが抑えられ、粘着剤、接着剤、発熱部材との密着性が高まり、はがれることのなくグラファイトが本来有する放熱特性を発揮できるほどに十分な表面の接着性と、
<3>グラファイトの取り付け時や取り扱い時に表面に傷が入らない程度に十分な表面硬度と、
<4>表面からの黒鉛はがれにより電子機器内を汚染しないほどに十分な外観と、
<5>全体の熱輸送量が増加し、放熱特性を改善できる十分な厚さと、
を有するグラファイトフィルムを提供することを課題・目的としている。
(1)本発明の第1は、
高分子フィルムおよび/または炭素化した高分子フィルムからなる原料フィルムを2000℃以上の温度で熱処理するグラファイトフィルムの製造方法であって、製造過程のフィルムを取り出しSEM断面観察をすると該フィルム内部に、当初の原料フィルムには観察されなかった最短径0.1〜50μmの不定形形状の模様が観察されることを特徴とする、グラファイトフィルムの製造方法、
である。
(2)本発明の第2は、
高分子フィルムおよび/または炭素化した高分子フィルムからなる原料フィルムを2000℃以上の温度で熱処理するグラファイトフィルムの製造方法であって、原料フィルムのSEM断面観察をすると該フィルム内部に、該フィルム断面に観察される主たる模様とは異なる、最短径0.1〜50μmの不定形形状の模様が観察される原料フィルムを使用することを特徴とする、グラファイトフィルムの製造方法、
である。
(3)本発明の第3は、
前記高分子フィルムおよび/または炭素化した高分子フィルムを金属を含有する物質と接触させることを特徴とする、(1)〜(2)のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法、
である。
(4)本発明の第4は、
金属含有物質と接触させるのは、熱処理前および/または熱処理中であることを特徴とする、(3)に記載のグラファイトフィルムの製造方法、
である。
(5)本発明の第5は、
前記金属が、IUPAC(国際純正・応用化学連合)無機化学命名法改訂版(1989年)による族番号4族、5族、6族、7族、8族、9族、10族、11族、12族、13族、リチウム、ベリリウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、バリウム、アルミニウム、ホウ素、シリコン、ゲルマニウム、セレン、錫、鉛、およびビスマスの元素から選ばれる1以上であることを特徴とする(3)〜(4)のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法、
である。
(6)本発明の第6は、
前記金属が、鉄および/またはコバルトであることを特徴とする(3)〜(4)のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法、
である。
(7)本発明の第7は、
前記原料フィルムが、カーボンブラック、黒鉛、炭素繊維、活性炭、フラーレン、カーボンナノチューブ、カーボンマイクロコイル等の炭素粒子を含む原料フィルムであることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法、
である。
(8)本発明の第8は、
前記高分子フィルムが、ポリイミド、ポリアミド、ポリオキサジアゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾビスオキサゾール、ポリチアゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリベンゾビスチアゾール、ポリパラフェニレンビニレン、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾビスイミダゾールのうちから選ばれた少なくとも一種類以上の高分子からなることを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法、
である。
(9)本発明の第9は、
前記ポリイミドフィルムが、前駆体であるポリアミド酸を脱水剤とイミド化促進剤を用いてイミド化して作製されるポリイミドフィルムであることを特徴とする(8)に記載のグラファイトフィルムの製造方法、
である。
(10)本発明の第10は、
SEM断面観察をすると内部に、最短径0.1〜50μmの不定形形状の模様が観察されることを特徴とするグラファイトフィルム、
である。
(11)本発明の第11は、
面方向の熱拡散率が6×10-42/s以上であることを特徴とする、グラファイトフィルム、
である。
(12)本発明の第12は、
前記グラファイトフィルムの厚みが50μm以上であることを特徴とする(10)〜(11)のいずれかに記載のグラファイトフィルム、
である。
(13)本発明の第13は、
前記グラファイトフィルムの密度が1.5g/cm3以上であることを特徴とする(10)〜(12)のいずれかに記載のグラファイトフィルム、
である。
(14)本発明の第14は、
(1)〜(9)のいずれかに記載の製造方法で製造されうることを特徴とする、グラファイトフィルム、
である。
(15)本発明の第15は、
(1)〜(9)のいずれかに記載の製造方法で製造されうることを特徴とする、(10)〜(13)のいずれかに記載のグラファイトフィルム、
である。
従来技術では、熱伝導性、表面硬度、表面の接着性、外観に優れたグラファイトフィルムを得ることは困難な課題であり、特にこれらを兼ね備えた厚みの厚いグラファイトフィルムを得ることは非常に困難な課題であった。
本発明による、高分子フィルムおよび/または炭素化した高分子フィルムからなる原料フィルムを2000℃以上の温度で熱処理するグラファイトフィルムの製造方法であって、
(1)製造過程のフィルムを取り出しSEM断面観察をすると該フィルム内部に、当初の原料フィルムには観察されなかった最短径0.1〜50μmの不定形形状の模様を発生させる
(2)原料フィルムのSEM断面観察をすると該フィルム内部に、該フィルム断面に観察される主たる模様とは異なる、最短径0.1〜50μmの不定形形状の模様が観察される原料フィルムを使用する
ことにより、
<1>発熱部品からの熱を速やかに移動させることができる十分な熱伝導性と、
<2>グラファイトと発熱部品との接着剤や粘着剤を用いて取り付けた場合に、表面からの黒鉛剥がれが抑えられ、粘着剤、接着剤、発熱部材との密着性が高まり、はがれることのなくグラファイトが本来有する放熱特性を発揮できるほどに十分な表面の接着性と、
<3>グラファイトの取り付け時や取り扱い時に表面に傷が入らない程度に十分な表面硬度と、
<4>表面からの黒鉛はがれにより電子機器内を汚染しないほどに十分な外観と、
<5>全体の熱輸送量が増加し、放熱特性を改善できる十分な厚さと、
を有するグラファイトフィルムを得ることができる。
具体的には、下記のとおりである。
<1>グラファイトフィルムの、熱伝導性は、熱拡散率が7×10-42/s以上、好ましくは8×10-42/s、さらに好ましくは8.5×10-42/s以上である。熱拡散率が7×10-42/s以上であると、発熱部品からの熱を十分拡散できる。
<2>グラファイトフィルムの、表面の接着性は、JIS Z 0237に基づいて測定される粘着テープ・粘着シート試験方法に基づいて測定される粘着力が3N/cm以上、好ましくは4N/cm以上、さらに好ましくは5N/cm以上である。鉛筆硬度が3N/cm以上では、グラファイトと発熱部品を接着剤や粘着剤を用いて取り付けた場合に、剥がれることなく、グラファイトが本来有する放熱特性を発揮することが出来る。
<3>グラファイトフィルムの、表面硬度の具体的レベルは、JIS K 5400に基づいて測定される鉛筆硬度の値が2B以上、好ましくはB以上、さらに好ましくはHB以上である。鉛筆硬度が2B以上では、グラファイトの取り付け時や取り扱い時に傷が入らない程度に十分な表面硬度となる。
<4>グラファイトフィルムの、表面の外観は、JIS K 5400に基づいて測定されるXカットテープ法に基づいて測定される評価が6以上、好ましくは8以上である。外観が6以上では、グラファイトと発熱部品を接着剤や粘着剤を用いて取り付けた場合に、剥がれることなく、また、取り付け時の接触や装置に組み込んだ後にファンの風によって表面から黒鉛が剥がれ落ちることがなくなり、電子機器内を汚染しなくなる。
<5>グラファイトフィルムの厚みは、50μm以上、好ましくは70μm以上、さらに好ましくは90μm以上である。また用いる原料高分子フィルムの厚みは、70μm以上、好ましくは120μm以上、さらに好ましくは150μm以上である。グラファイトフィルムの厚みが50μm以上、原料フィルムの厚みが70μm以上であれば、熱輸送量が向上し、従来よりも優れた放熱性を発現することが可能となる。
原料に面配向の高い高分子フィルムを用い、この原料フィルムの熱処理前および/または熱処理過程で、フィルムのSEM断面観察をすると該フィルム内部に、該フィルム断面に観察される主たる模様とは異なる、最短径0.1〜50μmの不定形形状の模様が観察されることを特徴とすることをおこなえば、従来の技術では改善の余地のあった表面からの黒鉛剥がれという問題を改善するだけにとどまらず、熱伝導性にも優れ、表面硬度、密度、表面の密着性に優れたグラファイトを得ることが可能となる。面配向の高い高分子フィルムと、金属とフィルム内部に不定形形状の模様を存在させることを組み合わせることで、従来の技術では予見できない効果が得られた。
本発明の第1のグラファイトフィルムの製造方法は、高分子フィルムおよび/または炭素化した高分子フィルムからなる原料フィルムを2000℃以上の温度で熱処理するグラファイトフィルムの製造方法であって、製造過程のフィルムを取り出しSEM断面観察をすると該フィルム内部に、当初の原料フィルムには観察されなかった最短径0.1〜50μmの不定形形状の模様が観察されることを特徴とする、グラファイトフィルムの製造方法、である。
本発明の第2のグラファイトフィルムの製造方法は、高分子フィルムおよび/または炭素化した高分子フィルムからなる原料フィルムを2000℃以上の温度で熱処理するグラファイトフィルムの製造方法であって、原料フィルムのSEM断面観察をすると該フィルム内部に、該フィルム断面に観察される主たる模様とは異なる、最短径0.1〜50μmの不定形形状の模様が観察される原料フィルムを使用することを特徴とする、グラファイトフィルムの製造方法、である。
<グラファイトフィルム>
本発明の製造方法で作製されるグラファイトフィルムは、熱伝導性が高いために、例えば、サーバー、サーバー用コンピュータ、デスクトップパソコン、DVD、プラズマテレビ、液晶プロジェクタ、インクジェットプリンタ、電子写真装置等の電子機器や、ノートパソコン、電子辞書、PDA、携帯電話、ポータブル音楽プレイヤー等の携帯電子機器や、半導体製造装置、液晶製造装置等の産業機器の放熱材料として好適である。
<高分子フィルム>
本発明で用いることができる高分子フィルムは、特に限定はされないが、ポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)、ポリオキサジアゾール(POD)、ポリベンゾオキサゾール(PBO)、ポリベンゾビスオキサザール(PBBO)、ポリチアゾール(PT)、ポリベンゾチアゾール(PBT)、ポリベンゾビスチアゾール(PBBT)、ポリパラフェニレンビニレン(PPV)、ポリベンゾイミダゾール(PBI)、ポリベンゾビスイミダゾール(PBBI)が挙げられ、これらのうちから選ばれる少なくとも1種を含む耐熱芳香族性高分子フィルムであることが、最終的に得られるグラファイトの熱伝導性が大きくなることから好ましい。これらのフィルムは、公知の製造方法で製造すればよい。この中でもポリイミドは、原料モノマーを種々選択することによって様々な構造および特性を有するものを得ることができるために好ましい。また、ポリイミドフィルムは、他の有機材料を原料とする高分子フィルムよりもフィルムの炭化、黒鉛化が進行しやすいため、結晶性、熱伝導性に優れたグラファイトとなりやすい。
本発明の高分子フィルムにおける分子の面内配向性に関連する複屈折Δnが、フィルム面内のどの方向に関しても0.08以上、好ましくは0.10以上、さらに好ましくは0.12以上、最も好ましくは0.14である。複屈折0.08以上であると、熱伝導性の高いグラファイトフィルムとなる。またさらに、黒鉛化温度が低温でも十分高い熱伝導性のグラファイトフィルムとなり、厚みが厚くても、高い熱伝導性を有するグラファイトフィルムとなる。さらに、金属と接触させて熱処理した場合には、従来技術では改善の余地があった表面硬度、密度、表面の密着性が改善される
<高分子フィルムと複屈折>
複屈折が高くなるほど、フィルムの炭化(炭素化)、黒鉛化が進行しやすくなる。その結果、グラファイトの結晶配向性がよくなり、熱伝導性が顕著に改善される。特に、高分子フィルムの面配向性が高いと、金属との接触によることにより、高い熱伝導性を保持しながら、表面の黒鉛剥がれを抑制できた表面硬度、密度、表面の密着性に優れたグラファイトが得られる。また、炭化が進行しやすいため、炭化中の昇温速度を速く、熱処理時間を短くしても、品質の優れたグラファイトとなる。また、黒鉛化が進行しやすいため、最高温度を下げて熱処理時間を短くしても品質の優れたグラファイトとなる。
また低温で炭化(炭素化)及び黒鉛化が進行するために、低温の熱処理中からフィルムの熱伝導性が高くなり、表面及び内部へ充分に熱が伝わり、均一な黒鉛化が進行しやすくなる。
また、原料の厚みが厚くなったとしても、表面と内部で均一に黒鉛化が進行するため、熱伝導性の優れたグラファイトが得られる。
複屈折が高くなると黒鉛化しやすくなる理由は明らかではないが、グラファイト化のためには分子が再配列する必要があり、複屈折の高い分子配向性に優れたポリイミドフィルムでは分子の再配列が最小で済むことから、ポリイミドフィルムの中でも、より配向性に優れたポリイミドフィルムの方が、比較的低温の最高処理温度で、厚みが厚くても、結晶性の高いグラファイトフィルムになると推測される。
<複屈折>
ここでいう複屈折とは、フィルム面内の任意方向の屈折率と厚み方向の屈折率との差を意味し、フィルム面内の任意方向Xの複屈折Δnxは次式(数式1)で与えられる。
図1と図2において、複屈折の具体的な測定方法が図解されている。図1の平面図において、フィルム1から細いくさび形シート2が測定試料として切り出される。このくさび形シート2は一つの斜辺を有する細長い台形の形状を有しており、その一底角が直角である。このとき、その台形の底辺はX方向と平行な方向に切り出される。図2は、このようにして切り出された測定試料2を斜視図で示している。台形試料2の底辺に対応する切り出し断面に直角にナトリウム光4を照射し、台形試料2の斜辺に対応する切り出し断面側から偏光顕微鏡で観察すれば、干渉縞5が観察される。この干渉縞の数をnとすれば、フィルム面内X方向の複屈折Δnxは、次式(数式2)で表される。
ここで、λはナトリウムD線の波長589nmであり、dは試料2の台形の高さに相当する試料の幅3である。
なお、前述の「フィルム面内の任意方向X」とは、例えばフィルム形成時における材料流れの方向を基準として、X方向が面内の0゜方向、45゜方向、90゜方向、135゜方向のどの方向においても、の意味である。サンプル測定個所・測定回数は、好ましくは、下記の通りである。例えば、ロール状の原料フィルム(幅514mm、)からサンプルを切り出す際には、幅方向で10cm間隔に6カ所サンプリングして、各部位で複屈折を測定する。その平均を複屈折とする。
<ポリイミドフィルムの熱的性質、機械的性質、物理的性質、化学的性質>
また、本発明に用いられるグラファイトの原料となるポリイミドフィルムは、100〜200℃の範囲において2.5×10-5/℃未満の平均線膨張係数を有しているとよい。線膨張係数が2.5×10-5/℃未満であれば、熱処理中の伸びが小さく、スムースに黒鉛化が進行し、脆くなく、種々の特性に優れたグラファイトを得ることができる。 このようなポリイミドフィルムを原料に用いることで、グラファイトへの転化が2400℃から始まり、2700℃で十分結晶性の高いグラファイトに転化が生じ得る。なお、その線膨張係数は、2.0×10-5/℃以下であることがより好ましい。
なお、高分子フィルムの線膨張係数は、TMA(熱機械分析装置)を用いて、まず試料を10℃/分の昇温速度で350℃まで昇温させた後に一旦室温まで空冷し、再度10℃/分の昇温速度で350℃まで昇温させ、2回目の昇温時の100℃〜200℃における平均線膨張係数を測定することによって得られる。具体的には、熱機械分析装置(TMA:セイコー電子製SSC/5200H;TMA120C)を用いて、3mm幅×20mm長のサイズのフィルム試料を所定の治具にセットし、引張モードで3gの荷重をかけて窒素雰囲気下で測定が行われる。
また、本発明に用いられるポリイミドフィルムは、その弾性率が3.4GPa以上であれば、グラファイト化をより容易に行い得るということから好ましい。すなわち、弾性率が3.4GPa以上であれば、熱処理中のフィルムの収縮によるフィルムの破損を防止することができ、種々の特性に優れたグラファイトを得ることができる。
なお、フィルムの弾性率は、ASTM−D−882に準拠して測定することができる。ポリイミドフィルムのより好ましい弾性率は3.9GPa以上であり、さらに好ましくは4.9GPa以上である。フィルムの弾性率が3.4GPaより小さければ、熱処理中のフィルムの収縮で破損および変形しやすくなり、得られるグラファイトの結晶性は劣り、熱伝導性が劣る傾向にある。
フィルムの吸水率は、下記のごとく測定した。フィルムを絶乾するために、100℃で30分乾燥して、25μm厚み10cm角のサンプルを作製した。この重量を測定してA1とする。25μm厚み10cm角のサンプルを蒸留水に23℃で24時間浸漬し、表面の水を拭いて除去し直ちに重量を測定した。この重量をA2とする。下記式より吸水率を求めた。
吸水率(%)=(A2−A1)÷A1×100
<ポリイミドフィルムの作製方法>
本発明で用いられるポリイミドフィルムは、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸の有機溶液をイミド化促進剤と混合した後、エンドレスベルトまたはステンレスドラムなどの支持体上に流延し、それを乾燥および焼成してイミド化させることにより製造され得る。
本発明に用いられるポリアミド酸の製造方法としては公知の方法を用いることができ、通常は、芳香族酸二無水物の少なくとも1種とジアミンの少なくとも1種が実質的に等モル量で有機溶媒中に溶解させられる。そして、得られた有機溶液は酸二無水物とジアミンの重合が完了するまで制御された温度条件下で攪拌され、これによってポリアミド酸が製造され得る。このようなポリアミド酸溶液は、通常は5〜35wt%、好ましくは10〜30wt%の濃度で得られる。この範囲の濃度である場合に、適当な分子量と溶液粘度を得ることができる。
重合方法としてはあらゆる公知の方法を用いることができるが、例えば次のような重合方法(1)−(5)が好ましい。
(1) 芳香族ジアミンを有機極性溶媒中に溶解し、これと実質的に等モルの芳香族テトラカルボン酸二無水物を反応させて重合する方法。
(2) 芳香族テトラカルボン酸二無水物とこれに対して過小モル量の芳香族ジアミン化合物とを有機極性溶媒中で反応させ、両末端に酸無水物基を有するプレポリマを得る。続いて、芳香族テトラカルボン酸二無水物に対して実質的に等モルになるように芳香族ジアミン化合物を用いて重合させる方法。
この好ましい1つの態様は、ジアミンと酸二無水物を用いて前記酸二無水物を両末端に有するプレポリマを合成し、前記プレポリマに前記とは異なるジアミンを反応させてポリアミド酸を合成する方法である。
(3) 芳香族テトラカルボン酸二無水物とこれに対し過剰モル量の芳香族ジアミン化合物とを有機極性溶媒中で反応させ、両末端にアミノ基を有するプレポリマを得る。続いて、このプレポリマに芳香族ジアミン化合物を追加添加後に、芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン化合物が実質的に等モルとなるように芳香族テトラカルボン酸二無水物を用いて重合する方法。
(4) 芳香族テトラカルボン酸二無水物を有機極性溶媒中に溶解および/または分散させた後に、その酸二無水物に対して実質的に等モルになるように芳香族ジアミン化合物を用いて重合させる方法。
(5) 実質的に等モルの芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンの混合物を有機極性溶媒中で反応させて重合する方法。
これらの中でも(2)、(3)に示すプレポリマを経由するシーケンシャル制御(シーケンスコントロール)(ブロックポリマー同士の組み合わせ・ブロックポリマー分子同士の繋がりの制御)をして重合する方法が好ましい。というのは、この方法を用いることで、複屈折が大きく、線膨張係数が小さいポリイミドフィルムが得られやすく、このポリイミドフィルムを熱処理することにより、結晶性が高く、密度および熱伝導性が優れたグラファイトを得やすくなるからである。また、規則正しく、制御されることで、芳香環の重なりが多くなり、低温の熱処理でもグラファイト化が進行しやすくなると推定される。また複屈折を高めるために、イミド基含有量を増やすと、樹脂中の炭素比率が減り、黒鉛処理後の炭素化収率が減るが、シーケンシャル制御をして合成されるポリイミドフィルムは、樹脂中の炭素比率を落とすことなく、複屈折を高めることが出来るために好ましい。炭素比率が高まるために、分解ガスの発生を抑えることができ、外観上優れたグラファイトフィルムが得られやすくなる。また芳香環の再配列を抑えることができ、熱伝導性に優れたグラファイトフィルムを得ることができる。
本発明においてポリイミドの合成に用いられ得る酸二無水物は、ピロメリット酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、オキシジフタル酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、エチレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、ビスフェノールAビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、およびそれらの類似物を含み、それらを単独でまたは任意の割合の混合物で用いることができる。
本発明においてポリイミドの合成に用いられ得るジアミンとしては、4,4’−オキシジアニリン、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ベンジジン、3,3’−ジクロロベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(4,4’−オキシジアニリン)、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル(3,3’−オキシジアニリン)、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル(3,4’−オキシジアニリン)、1,5−ジアミノナフタレン、4,4’−ジアミノジフェニルジエチルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルエチルホスフィンオキシド、4,4’−ジアミノジフェニルN−メチルアミン、4,4’−ジアミノジフェニル N−フェニルアミン、1,4−ジアミノベンゼン(p−フェニレンジアミン)、1,3−ジアミノベンゼン、1,2−ジアミノベンゼンおよびそれらの類似物を含み、それらを単独でまたは任意の割合の混合物で用いることができる。
特に、線膨張係数を小さくして弾性率を高くかつ複屈折を大きくし得るという観点から、本発明におけるポリイミドフィルムの製造では、下記式(1)で表される酸二無水物を原料に用いることが好ましい。
ここで、R1は、下記の式(2)〜式(14)に含まれる2価の有機基の群から選択されるいずれかであって、
ここで、R2、R3、R4、およびR5の各々は−CH3、−Cl、−Br、−F、または−OCH3の群から選択されるいずれかであり得る。
上述の酸二無水物を用いることによって比較的低吸水率のポリイミドフィルムが得られ、このことはグラファイト化過程において水分による発泡を防止し得るという観点からも好ましい。
特に、酸二無水物におけるR1として式(2)〜式(14)に示されているようなベンゼン核を含む有機基を使用すれば、得られるポリイミドフィルムの分子配向性が高くなり、線膨張係数が小さく、弾性率が大きく、複屈折が高く、さらには吸水率が低くなるという観点から好ましい。
さらに線膨張係数を小さく、弾性率を高く、複屈折を大きく、吸水率を小さくするためには、本発明におけるポリイミドの合成に下記式(15)で表される酸二無水物を原料に用いればよい。
特に、2つ以上のエステル結合でベンゼン環が直線状に結合された構造を有する酸二無水物を原料に用いて得られるポリイミドフィルムは、屈曲鎖を含むけれども全体として非常に直線的なコンフォメーションをとりやすく、比較的剛直な性質を有する。その結果、この原料を用いることによってポリイミドフィルムの線膨張係数を小さくすることができ、例えば1.5×10-5/℃以下にすることができる。また、弾性率は500kgf/mm2(490GPa)以上に大きくすることができ、吸水率は1.5%以下に小さくすることができる。
さらに線膨張係数を小さく、弾性率を高く、複屈折を大きくするためには、本発明におけるポリイミドは、p−フェニレンジアミンを原料に用いて合成されることが好ましい。
また、本発明においてポリイミドの合成に用いられる最も適当なジアミンは4,4’−オキシジアニリンとp−フェニレンジアミンであり、これらの単独または2者の合計モルが全ジアミンに対して40モル%以上、さらには50モル%以上、さらには70モル%以上、またさらには80モル%以上であることが好ましい。さらに、p−フェニレンジアミンが10モル%以上、さらには20モル%以上、さらには30モル%以上、またさらには40モル%以上を含むことが好ましい。これらのジアミンの含有量がこれらのモル%範囲の下限値未満になれば、得られるポリイミドフィルムの線膨張係数が大きく、弾性率が小さく、複屈折が小さくなる傾向になる。但し、ジアミンの全量をp−フェニレンジアミンにすると、発泡の少ない厚みの厚いポリイミドフィルムを得るのが難しくなるため、4,4’−オキシジアニリンを使用するのが良い。また炭素比率が減り、分解ガスの発生量を減らすことができ、芳香環の再配列の必要が減り、外観、熱伝導性に優れたグラファイトを得ることができる。
本発明においてポリイミドフィルムの合成に用いられる最も適当な酸二無水物はピロメリット酸二無水物および/または式(15)で表されるp−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸二無水物)であり、これらの単独または2者の合計モルが全酸二無水物に対して40モル%以上、さらには50モル%以上、さらには70モル%以上、またさらには80モル%以上であることが好ましい。これら酸二無水物の使用量が40モル%未満であれば、得られるポリイミドフィルムの線膨張係数が大きく、弾性率が小さく、複屈折が小さくなる傾向になる。
また、ポリイミドフィルム、ポリアミド酸、ポリイミド樹脂に対して、カーボンブラック、グラファイト等の添加剤を添加しても良い。
ポリアミド酸を合成するための好ましい溶媒は、アミド系溶媒であるN,N−ジメチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどであり、N,N−ジメチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドが特に好ましく用いられ得る。
次に、ポリイミドの製造方法には、前駆体であるポリアミド酸を加熱でイミド転化する熱キュア法、またはポリアミド酸に無水酢酸等の酸無水物に代表される脱水剤やピコリン、キノリン、イソキノリン、ピリジン等の第3級アミン類をイミド化促進剤として用いてイミド転化するケミカルキュア法のいずれを用いてもよい。中でも、イソキノリンのように沸点の高いものほど好ましい。というのは、フィルム作製中の初期段階では蒸発せず、乾燥の最後の過程まで、触媒効果が発揮されやすいため好ましい。特に、得られるフィルムの線膨張係数が小さく、弾性率が高く、複屈折が大きくなりやすく、また比較的低温で迅速なグラファイト化が可能で、品質のよいグラファイトを得ることができるという観点からケミカルキュアの方が好ましい。特に、脱水剤とイミド化促進剤を併用することは、得られるフィルムの線膨張係数が小さく、弾性率が大きく、複屈折が大きくなり得るので好ましい。また、ケミカルキュア法は、イミド化反応がより速く進行するので加熱処理においてイミド化反応を短時間で完結させることができ、生産性に優れた工業的に有利な方法である。
具体的なケミカルキュアによるフィルムの製造においては、まずポリアミド酸溶液に化学量論以上の脱水剤と触媒からなるイミド化促進剤を加えて、支持板、PET等の有機フィルム、ドラム、またはエンドレスベルト等の支持体上に流延または塗布して膜状にし、有機溶媒を蒸発させることによって自己支持性を有する膜を得る。次いで、この自己支持性膜をさらに加熱して乾燥させつつイミド化させてポリイミド膜を得る。この加熱の際の温度は、150℃から550℃の範囲内にあることが好ましい。加熱の際の昇温速度には特に制限はないが、連続的もしくは段階的に、徐々に加熱して最高温度がその所定温度範囲内になるようにするのが好ましい。加熱時間はフィルム厚みや最高温度によって異なるが、一般的には最高温度に達してから10秒から10分の範囲が好ましい。さらに、ポリイミドフィルムの製造工程中に、収縮を防止するためにフィルムを容器に接触させたり固定・保持したり延伸したりする工程を含めば、得られるフィルムの線膨張係数が小さく、弾性率が高く、複屈折が大きくなりやすい傾向にあるので好ましい。
<グラファイト化の方法>
本発明の高分子フィルムのグラファイト化は、2000℃以上の温度で熱処理し、熱処理中に金属を含む物質と接触させて行う。
熱処理は、高分子フィルムを炭素化させる工程と黒鉛化させる工程の二つの工程からなる。炭素化と黒鉛化は、別々に行っても良いし、連続的に行っても良い。
炭素化は、出発物質である高分子フィルムを減圧下もしくは窒素ガス中で予備加熱処理して炭素化を行う。この予備加熱は通常800〜1500℃の温度で行われる。また、炭化の最高温度に達した時点で30分から1時間程度、最高温度のまま温度の保持を行っても良い。例えば10℃/分の速度で昇温した場合には1000℃の温度領域で30分程度の温度の保持を行っても良い。昇温の段階では、出発高分子フィルムの分子配向性が失われないように、フィルムの破損が起きない程度に膜面に垂直方向に圧力を加えてもよい。
次に、黒鉛化は、炭素化した高分子フィルムを一度取り出した後、黒鉛化用の炉に移し変えてからおこなっても良いし、炭素化から黒鉛化を連続的におこなっても良い。黒鉛化は、減圧下もしくは不活性ガス中でおこなわれるが、不活性ガスとしてはアルゴン、ヘリウムが適当である。熱処理温度としては最低でも2000℃以上が必要で、最終的には2400℃以上、より好ましくは、2600℃以上さらに好ましくは2800℃以上で熱処理することが、熱伝導性、表面硬度、密度、表面の接着性、外観に優れたグラファイトを得るためにはよい。
熱処理温度が高いほど良質のグラファイトへの転化が可能であるが、経済性の観点からはできるだけ低温で良質のグラファイトに転化できることが好ましい。2500℃以上の超高温を得るには、通常はグラファイトヒータに直接電流を流して、そのジュ−ル熱を利用した加熱が行なわれる。グラファイトヒータの消耗は2700℃以上で進行し、2800℃ではその消耗速度が約10倍になり、2900℃ではさらにその約10倍になる。したがって、原材料の高分子フィルムの改善によって、良質のグラファイトへの転化が可能な温度を例えば2800℃から2700℃に下げることは大きな経済的効果を生じる。なお、一般に入手可能な工業的炉において、熱処理可能な最高温度は3000℃が限界である。高分子フィルムを一旦炭素化して取り出した後、これを黒鉛化しても、炭素化と黒鉛化を連続的におこなっても良い。
<高分子フィルムの固定方法・保持方法>
本発明の熱処理では、容器に高分子フィルムを固定して行われてもよい。本発明のような2000℃の温度領域まで加熱されるような用途では、取り扱いの容易さや、工業的な入手の容易さ等を勘案すると、黒鉛製の容器が、特に好ましい。ここでいう黒鉛とは、上記の温度領域まで加熱することができる限りにおいて、黒鉛を主に含むような材料までを含む広い概念であるが、例えば、等方性黒鉛、押出製黒鉛、が挙げられ、電気伝導性、熱伝導性に優れ、均質性にも優れる等方性黒鉛が、繰り返し用いる場合には好ましい。容器の形状は、特に制約を受けず、単純な平板などの形状でよい。また容器は円筒状で、高分子フィルムを容器に巻きつける方法でも良い。容器の形状は、高分子フィルムを接触させることができる限りにおいて、特に制約を受けない。
なお、黒鉛製容器内に、高分子フィルムを接触させる方法(例えば、保持する方法・固定する方法を含む)とは、例えば、高分子フィルムをグラファイト板で挟んだ上で、グラファイト板の自重以外には特には加圧しない状態で容器壁や容器底に接するように接触させる方法(保持させたり、固定させたりしてもよい)や円筒の黒鉛容器に巻きつける方法が有るが、必ずしもこれらの方法だけに制約を受けるものではない。
<製造過程のフィルムを取り出しSEM断面観察をすると該フィルム内部に、当初の原料フィルムには観察されなかった最短径0.1〜50μmの不定形形状の模様が観察される方法>
本発明の第1のグラファイトフィルムの製造方法おける、製造過程のフィルムを取り出しSEM断面観察をすると該フィルム内部に、当初の原料フィルムには観察されなかった最短径0.1〜50μmの不定形形状の模様が観察される方法としては、熱処理中に<<1>>固体状、<<2>>液体状、<<3>>気体状の金属を含む物質と接触させることが挙げられる。
具体的な方法としては、例えば、次のような方法(1)−(4)が好ましい。
(1)熱処理する前に、高分子フィルムの表面に金属を含む物質を形成する方法。
表面に金属を含む物質を形成する方法としては、金属を含む物質を塗布したり、蒸着したりする方法が挙げられる。この方法では、熱処理を開始する前は、高分子フィルムと金属を含む物質が直接接している。熱処理中に、金属を含む物質が、直接高分子フィルムと相互作用し内部に不定形形状の模様が形成される。熱処理温度が高くなるに従い、金属を含む物質が液体状態および/または気体状態となり、さらにより活発かつ均一にフィルムと相互作用し内部に不定形形状の模様が形成されると推定する。
(2)黒鉛化する前に、炭素化した高分子フィルムの表面に金属を含む物質を形成する方法。
この方法では、操作としては(1)の方法と同じである。但し、金属を含む物質が接触するのは、高分子フィルムではなく、既に炭素化したフィルムとである。熱処理中に、金属を含む物質が、直接炭素化したフィルムと相互作用し内部に不定形形状の模様が形成される。熱処理温度が高くなるに従い、金属を含む物質が液体状態および/または気体状態となり、フィルムと相互作用し内部に不定形形状の模様が形成されると推定する。(2)の方法は、(1)の方法よりも好ましいと考えられる。(1)の方法では、炭素化中に高分子フィルムと直接接するため、炭素化過程で金属を含む物質が高分子フィルムと相互作用することとなり、炭素化と同時に副反応を起こす場合が考えられる。一方(2)の方法では、原料が既に炭素化しているため、熱処理中に副反応を起こすことがなくなり、より品質の高いグラファイトが得られると推定される。
(3)高分子フィルムまたは炭素化した高分子フィルムを、金属を含む容器に入れる方法。
金属を含む容器は、予め容器に金属が含有している容器、金属を含む物質や粉末を入れておいた容器等を挙げられる。この方法では、高分子フィルムまたは炭素化した高分子フィルムは、一部金属を含む物質と接触しているが、(1)(2)の方法よりもその接触の程度は低いものとも考えられる。(3)の方法では、熱処理中に金属を含む物質が、容器内で拡散し、順次原料フィルムと接触することになると考えられる。また、金属を含む物質の種類によっては、気体となり、気体状で原料フィルムに接触することになる。(3)の方法は、(1)の方法よりも好ましいと考えられる。(3)の方法では、低温では接触が少ないが、熱処理温度が高くなってはじめて、金属を含む物質と原料フィルムの十分な接触が起こる。その結果、原料に高分子フィルムを用いた場合には、熱処理温度が高くなる炭素化過程で金属を含む物質と相互作用しにくくなり、炭素化中に副反応を起こしにくくなると推定される。またさらに、(3)の方法では、熱処理温度が高くなり、金属を含む物質の拡散が高くなってはじめて、原料フィルムと金属を含む物質との接触が起こり、金属を含む物質の拡散の度合いが高いために、フィルムに表面全体に非常に均一に相互作用する。特に気体状態ではその相互作用の均一性がより高まる。その結果、非常に品質の高いグラファイトが得られる。
(4)高分子フィルムに金属を含む物質を添加する方法。
具体的な方法としては、粉末状の微粒子を添加する方法が挙げられる。但し、ポリイミドを作製する前のポリアミド酸溶液の状態に、金属を含む物質を溶かした溶液を添加する方法は好ましくない。というのは、原料フィルム全体に分子状に金属が分散すると、ポリイミドを作製する過程で、副反応が起こり、均一なポリイミドフィルムを得ることが困難となる。さらに、ポリイミドフィルムに均一に分散していると、炭素化過程の副反応がひどくなり、品質の高いグラファイトを得るのが困難となる。この方法は(1)の方法よりも好ましくない。
<金属を含む物質>
金属を含む物質としては、金属単体、の化合物(酸化物、窒化物、ハロゲン化物、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物等が挙げられるが、これに限定されるものではない)、金属塩等が挙げられる。原料フィルムに直接接触させる場合には、金属を含む物質が溶媒に溶けることよい。というのは、塗布という簡単な方法で、原料フィルムの表面に均一に金属を含む物質を接触させることが出来るからである。金属の種類としては、IUPAC(国際純正・応用化学連合)無機化学命名法改訂版(1989年)による族番号4族、5族、6族、7族、8族、9族、10族、11族、12族、13族、リチウム、ベリリウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、バリウム、アルミニウム、ホウ素、シリコン、ゲルマニウム、セレン、錫、鉛、ビスマス、が挙げられる。中でも、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金、水銀、リチウム、ベリリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、バリウム、アルミニウム、ホウ素、シリコン、ゲルマニウムが良く、さらに好ましくは、チタン、バナジウム、鉄、コバルト、ニッケルである。特に好ましくは、鉄、コバルトである。これらは、熱拡散率、表面硬度、表面の接着性、外観に優れるために好ましい。
<原料フィルムのSEM断面観察をすると該フィルム内部に、該フィルム断面に観察される主たる模様とは異なる、最短径0.1〜50μmの不定形形状の模様が観察される原料フィルムを使用する方法>
本発明の第2のグラファイトフィルムの製造方法おける、原料フィルムのSEM断面観察をすると該フィルム内部に、該フィルム断面に観察される主たる模様とは異なる、最短径0.1〜50μmの不定形形状の模様が観察される原料フィルムを使用する方法としては、原料フィルムに、カーボンブラック、黒鉛、炭素繊維、活性炭、フラーレン、カーボンナノチューブ、カーボンマイクロコイル等の炭素粒子含む原料フィルムを使用すると良い。
具体的な方法としては、粉末状の炭素粒子を高分子フィルムに添加する方法が挙げられる。特に、ポリイミドの場合では、ポリイミドを作製する前のポリアミド酸溶液の状態に、炭素粒子を含む物質を溶かした溶液を添加する方法が好ましい。
<高分子フィルムのグラファイト化>
高分子フィルムのグラファイト化機構について説明する。
高分子フィルムのグラファイト化は、炭素化と黒鉛化の2段階を経由して起こる。まず、一般に炭素化とは、高分子フィルムを1000℃まで熱処理して、炭素分が主成分となる物質に変化させる過程のことを意味する。具体的には、高分子フィルムを分解温度で熱処理すると結合の開裂が起こり、分解成分は二酸化炭素、一酸化炭素、窒素、水素等のガスとなって離脱し、1000℃まで熱処理されると、炭素が主成分の材料となる。次に黒鉛化とは、炭素質材料を2800℃以上の温度で熱処理し、芳香環が平面状に繋がったグラファイト層が多数積層した構造に変換させる過程のことを意味する。
しかし、高分子を熱処理して得られた炭素質材料が全て黒鉛になるわけではなく、エポキシやフェノール樹脂を熱処理して作製した炭素質材料は、2800℃以上の温度で熱処理しても黒鉛になることはなくガラス状炭素のままであり、ポリイミド、ポリオキサジアゾール等の芳香環を有する高分子で芳香環が面内にある程度配向し、耐熱性が高い限られた高分子材料を熱処理して得られる炭素質材料でのみが黒鉛となる。
<ポリイミドフィルムを含む、高分子フィルムのグラファイト化>
高分子フィルムのグラファイト化は上述の通り、炭素化と黒鉛化の2段階を経由しておこり、熱処理により炭素化した後、さらに高温で熱処理することでグラファイト構造に転化させられる。この過程では炭素−炭素結合の開裂と再結合が起きなければならない。グラファイト化をできる限り起こしやすくするためには、その開裂と再結合が最小のエネルギーで起こるようにする必要がある。出発高分子フィルム(例えば、上記に列記した高分子フィルム、特にポリイミドフィルム)の分子配向は炭素化フィルム中の炭素原子の配列に影響を与え、その分子配向はグラファイト化の際に結合の開裂と再結合化のエネルギーを少なくする効果を生じ得る。したがって、高度な分子配向が生じやすくなるように分子設計を行うことによって、グラファイト化の促進が可能になる。この分子配向の効果は、フィルム面に平行な二次元的分子配向とすることによって一層顕著になる。但し、出発原料である高分子フィルムに金属を含む物質を接触させると、熱処理中に相互作用を起し、従来の炭素−炭素結合の開裂と再結合や炭素化中の炭素原子の配列に悪影響を与える場合もある。従って、炭化したフィルムを出発原料とすることが好ましい。
グラファイト化反応における第二の特徴は、高分子フィルムが厚ければグラファイト化が進行しにくいということである。したがって、厚い高分子フィルムをグラファイト化する場合には、表面層ではグラファイト構造が形成されているのに内部ではまだグラファイト構造になっていないという状況が生じ得る。高分子フィルムの分子配向性はフィルム内部でのグラファイト化を促進し、結果的により低温で良質のグラファイトへの転化を可能にする。
高分子フィルムの面配向性を高めることにより、高分子フィルムの表面層と内部とでほぼ同時にグラファイト化が進行するということは、内部から発生するガスのために表面層に形成されたグラファイト構造が破壊されるという事態を避けることにも役立ち、より厚いフィルムのグラファイト化を可能にする。本発明において使用される高分子フィルム(例えば、上記に列記した高分子フィルム、特にポリイミドフィルム)は、まさにこのような効果を生じるのに最適な分子配向を有していると考えられる。但し、金属と接触させない場合では、面配向を高くすぎると、黒鉛化が進行しすぎ、表面から黒鉛がはがれることがあり、原料フィルムの面配向と均一にきれいなグラファイトを得ることを両立させることは非常に難しいことであった。一方、原料に面配向の高い高分子フィルムを用い、この原料を金属と接触させて熱処理をおこなえば、従来の技術では改善の余地のあった表面からの黒鉛剥がれという問題を改善するだけにとどまらず、熱伝導性にも優れ、表面硬度、密度、表面の密着性に優れたグラファイトを得ることが可能となる。面配向の高い高分子フィルムと、金属と接触させて熱処理することとを組み合わせることで、従来の技術では予見できない効果が得られた。
<従来の原料フィルムの熱処理によるグラファイト化>
従来の原料フィルムの熱処理によるグラファイト化では、熱処理により熱伝導性に優れたグラファイトを得ることは可能であるものの、表面硬度、表面の接着性、外観においてはまだ改善の余地が有る、グラファイトフィルムになる。特に原料フィルムの厚みが厚くなるほど、この傾向は顕著になると考えられる。この理由について説明する。
従来のグラファイト化では、炭素化及び黒鉛化は、原料フィルムの内部よりも表面から優先的に起こると考えられる。その結果、表面の緻密な層が内部に残留した未炭化成分由来の分解ガスを閉じ込め、高温に加熱された時に、内部に残留したガスが表面層を破って抜け出し、表面がはがれ、外観においてまだ改善の余地が有る結果となる場合が有った。さらに、黒鉛化過程のグラフェン層の再配列で、配列しきれない余分なグラフェン層が分解ガスとして発生し、表面層を破って抜け出し、表面がはがれ、外観においてまだ改善の余地が有る結果となる場合が有った。またさらに、表面部分のみ黒鉛化が進行し、内部歪みを受け、表面の黒鉛層が脱落したり、全体に黒鉛化が進行しすぎた結果、面間の剥離を起こしやすくなり、黒鉛層が脱落しやすいという点で、まだ改善の余地が有る結果となる場合が有った。
その結果、表面の破損や表面の剥がれによって、表面に脆弱層ができ、その結果として、表面硬度、表面の接着性、外観にまだ改善の余地が有る結果となる場合が有った。このことから、表面硬度、表面の接着性、外観を兼ね備えた熱伝導性の高いグラファイトを得ることは依然として非常に困難な課題である。さらに、原料厚みが厚くなると、厚みの薄いものに比べて、熱処理における表面と内部の炭素化と黒鉛化の進行度により大きな差がでる傾向が有るため、各特性はまだ改善の余地が有る結果となる場合が多かった。
<本発明の、熱処理前および/または熱処理中に、原料フィルムのSEM断面観察をすると該フィルム内部に、該フィルム断面に観察される主たる模様とは異なる、最短径0.1〜50μmの不定形形状の模様が観察される場合のグラファイト化>
しかし、本発明の熱処理前および/または熱処理中に、原料フィルムのSEM断面観察をすると該フィルム内部に、該フィルム断面に観察される主たる模様とは異なる、最短径0.1〜50μmの不定形形状の模様が観察される場合のグラファイト化では、従来困難であった表面硬度、表面の密着性、外観を兼ね備えた熱伝導性の高いグラファイトを得ることができた。
次に、本発明の第1のグラファイトフィルムの製造方法おける、製造過程のフィルムを取り出しSEM断面観察をすると該フィルム内部に、当初の原料フィルムには観察されなかった最短径0.1〜50μmの不定形形状の模様が観察される方法における金属の影響について説明する。
従来の金属を含む物質と接触させない場合には、分解ガスや余分なグラフェン成分の気化による表層の破壊や表層の部分的な黒鉛化や黒鉛化の進行しすぎによる黒鉛脱離が生じた。
一方、本発明の第1の金属を含む物質をフィルムに接触させて熱処理する場合には、(1)熱処理中に金属を含む物質が原料フィルムと相互作用し、熱処理中のフィルムを取り出しSEM断面観察をすると、該フィルム内部に当初の原料フィルムには観察されなかった最短径0.1〜50μmの不定形形状の模様が形成され、フィルムの表面および/または内部で不均一層・不均一相が形成される。不均一層・不均一相が形成される理由としては、熱処理中に分解ガスや余分なグラフェン成分の気化による表層や内部の破壊した部分に、金属を含む物質が浸透拡散し、部分的にフィルムと反応することが考えられる。また、フィルムの内部まで不均一層・不均一相が形成される理由としては、熱処理が高温でおこわれるために、フィルム内部に浸透拡散し、反応がおこったと考えられる。また原料フィルムに含まれるリン酸水素カルシウム、リン酸カルシウムとったフィラーと反応することやフィラーの抜け落ちた部分に金属を含む物質が浸透拡散し、不均一層・不均一相が形成されることが推定される。このような不均一層・不均一相が形成されることにより、グラファイト化過程で発生する分解ガスが不均一層・不均一相から抜け出すことにより、熱処理中にフィルムが破損することを防止したと考える。また従来のグラファイト過程では、グラフェン層が面に発達し、グラフェン層が層状に剥離するが、内部に不均一層・不均一相が形成されることにより、剥離を部分的に固定し、剥離を防止することが可能となる。またさらに、不均一層・不均一相が形成されることにより、熱処理中にたまる歪を緩和することができると考える。
(2)また別の効果として、金属を含む物質と接触されることにより、表面部分のグラファイト化の進行を抑えることなり、黒鉛化が進行しすぎることを防ぎ、フィルム全体が均一に黒鉛化することとなると推定される。表面の黒鉛化が進行しすぎることにより、表面部分が一部はがれかけたとしても、はがれ端部は反応性が高いため、金属を含む物質が接触することにより、端部と端部が金属を介してゆるい結合状態をもち、剥がれることを抑制するものと推定する。但し、このような金属によって表面の黒鉛層が保持・維持された状態では、金属が不純物となり、熱伝導性を悪化させることも考えられる。しかし、内部のガス発生が終了、表面と内部の黒鉛化の均一化がはかられる後では、熱力学的に安定な、金属を含まない黒鉛の状態となるために、端部と端部をつなぎとめていた金属がはずれ、端部の再結合が起こり、金属は炭素の結合から外れることになると推定する。さらに、2000℃以上という黒鉛化温度は、金属を含む化合物の沸点を超えるものであり、黒鉛化過程で、金属を含む物質が気化し、最終的には不純物を含まない炭素のみからなる物質となり、熱伝導性の優れたグラファイトとなると考えられる。
本発明の第2のグラファイトフィルムの製造方法おける、原料フィルムのSEM断面観察をすると該フィルム内部に、該フィルム断面に観察される主たる模様とは異なる、最短径0.1〜50μmの不定形形状の模様が観察される原料フィルムを使用する方法における原料フィルムの該フィルム断面に観察される主たる模様とは異なる、最短径0.1〜50μmの不定形形状の模様の影響について説明する。
一方、本発明の第2の炭素粒子を原料フィルムを熱処理する場合には、出発原料のフィルムの表面および/または内部にすでに、不均一層・不均一相が形成される。このような不均一層・不均一相があることにより、グラファイト化過程で発生する分解ガスが不均一層・不均一相から抜け出すことにより、熱処理中にフィルムが破損することを防止したと考える。また従来のグラファイト過程では、グラフェン層が面に発達し、グラフェン層が層状に剥離するが、内部に不均一層・不均一相が形成されることにより、剥離を部分的に固定し、剥離を防止することが可能となる。またさらに、不均一層・不均一相が形成されることにより、熱処理中にたまる歪を緩和することができると考える。

<フィルム内における最短径0.1〜50μmの不定形形状の模様>
熱処理前および/または熱処理中にフィルム内に存在する不定形形状の模様の大きさは、最短径が0.1〜50μmの範囲であることが好ましい。0.1μm以上であると、フィルムに内部からの発生するガスをうまく逃がすことが出来、またフィルム内の応力を緩和し、グラファイトの層間の相互作用を高め、フィルムが熱処理中に剥離するのを抑制することが可能となるために好ましい。また、内部の不均一層・不均一相は硬度が高く、0.1μm以上であると、表面硬度を高める働きをするために好ましい。また50μm以下であると、フィルムの熱伝導性を悪化させないために好ましい。
以上のように、本発明の熱処理前および/または熱処理中にフィルム内に不均一層・不均一相があるグラファイト化では、フィルムが剥離することなく、表面及び内部でグラファイト化が進行し、熱伝導性に優れたグラファイトとなる。また、グラファイトフィルム内部は密な状態であり、不均一層・不均一相で層間が結合して形成されているため、硬度が高く、接着剤や粘着剤に対する表面の接着性に優れ、表面の緻密な剥がれのない外観に優れたグラファイトを得ることが出来る。
本発明によるグラファイトフィルムの製造方法が従来製造方法よりも優れている理由や機構、本発明によるグラファイトフィルムが従来製造方法によるグラファイトフィルムよりも優れた特性を発現する理由や機構については、学術的詳細研究がさらに必要ではあるが、上記のとおりと、推定できる。
<得られるグラファイトフィルムの特性>
本発明の製造方法で作製されるグラファイトフィルムの熱拡散率は、7.0×10-42/s以上、好ましくは8.0×10-42/s以上、さらに好ましくは8.5×10-42/s以上であると良い。7.0×10-42/s以上になると、熱伝導性が高いために、発熱機器から熱を逃がしやすくなり、発熱機器の温度上昇を抑えることが可能となる。一方、7.0×10-42/s未満になると、熱伝導性が悪いために、発熱機器から熱を逃がすことができなくなり、発熱機器の温度上昇を抑えることができなくなる。
本発明の製造方法で作製されるグラファイトフィルムの表面硬度は、JIS K 5400に基づいて測定される鉛筆硬度の値で2B以上、好ましくはB以上、さらに好ましくはHB以上である。鉛筆硬度が2B以上では、グラファイトの取り付け時や取り扱い時に傷が入らない程度に十分な表面硬度となる。
本発明の製造方法で作製されるグラファイトフィルムの、表面の接着性は、JIS Z 0237に基づいて測定される粘着テープ・粘着シート試験方法に基づいて測定される粘着力が3N/cm以上、好ましくは4N/cm以上、さらに好ましくは5N/cm以上である。鉛筆硬度が3N/cm以上では、グラファイトと発熱部品を接着剤や粘着剤を用いて取り付けた場合に、剥がれることなく、グラファイトが本来有する放熱特性を発揮することが出来る。
本発明の製造方法で作製されるグラファイトフィルムの、表面の外観の具体的レベルは、JIS K 5400に基づいて測定されるXカットテープ法に基づいて測定される評価が6以上、好ましくは8以上である。外観が6以上では、グラファイトと発熱部品を接着剤や粘着剤を用いて取り付けた場合に、剥がれることなく、また、取り付け時の接触や装置に組み込んだ後にファンの風によって表面から黒鉛が剥がれ落ちることがなくなり、電子機器内を汚染しなくなる。
本発明の製造方法で作製されるグラファイトフィルムの厚みの具体的レベルは、50μm以上、好ましくは70μm以上、さらに好ましくは90μm以上である。また用いる原料高分子フィルムの厚みは、70μm以上、好ましくは120μm以上、さらに好ましくは150μm以上である。グラファイトフィルムの厚みが50μm以上、原料フィルムの厚みが70μm以上であれば、熱輸送量が向上し、従来よりも優れた放熱性を発現することが可能となる。
以上のように、本発明において高分子フィルムを2000℃以上の温度で熱処理するグラファイトフィルムの製造方法であって、熱処理中に金属を含む物質と接触させることを特徴とするグラファイトフィルムの製造方法とすることで、従来よりも熱伝導性、表面硬度、表面の接着性、外観に優れたグラファイトフィルムを製造することが可能となる。さらに、各特性に優れた厚みの厚いグラファイトフィルムを製造することが可能となる。
以下において、本発明の種々の実施例がいくつかの比較例と共に説明される。
<用途など>
本発明の製造方法で作製されるグラファイトフィルムは、熱伝導性、電気伝導性が高いために、例えば、サーバー、サーバー用パソコン、デスクトップパソコン等の電子機器、ノートパソコン、電子辞書、PDA、携帯電話、ポータブル音楽プレイヤー等の携帯電子機器、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、LED、有機EL、無機EL、液晶プロジェクタ、時計等の表示機器、インクジェットプリンタ(インクヘッド)、電子写真装置(現像装置、定着装置、ヒートローラ、ヒートベルト)等の画像形成装置、半導体素子、半導体パッケージ、半導体封止ケース、半導体ダイボンディング、CPU、メモリ、パワートランジスタ、パワートランジスタケース等の半導体関連部品、リジッド配線板、フレキシブル配線板、セラミック配線板、ビルドアップ配線板、多層基板等の配線基板(以上左記の配線板とは、プリント配線板なども含む)、真空処理装置、半導体製造装置、表示機器製造装置等の製造装置、断熱材、真空断熱材、輻射断熱材等の断熱装置、DVD(光ピックアップ、レーザー発生装置、レーザー受光装置)、ハードディスクドライブ等のデータ記録機器、カメラ、ビデオカメラ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、顕微鏡、CCD等の画像記録装置、充電装置、リチウムイオン電池、燃料電池等のバッテリー機器等の放熱材料、放熱部品、冷却部品、温度調節部品、電磁シールド部品として好適である。
<使用形態など>
また、使用において、発熱体、ヒートシンク、ヒートパイプ、水冷冷却装置、ペルチェ素子、筐体、ヒンジとの固定、熱拡散性、放熱性、取り扱い性を改善するために、片面および/または両面に樹脂層、セラミック層、金属層、絶縁層、導電層を形成しても良い。
(ポリイミドフィルムAの作製)
4,4’−オキシジアニリンの1当量を溶解したDMF(ジメチルフォルムアミド)溶液に、ビロメリット酸二無水物の1当量を溶解してポリアミド酸溶液(18.5wt%)を得た。
この溶液を冷却しながら、ポリアミド酸に含まれるカルボン酸基に対して、1当量の無水酢酸、1当量のイソキノリン、およびDMFを含むイミド化触媒を添加し脱泡した。次にこの混合溶液が、乾燥後に所定の厚さになるようにアルミ箔上に塗布された。アルミ箔上の混合溶液層は、熱風オーブン、遠赤外線ヒーターを用いて乾燥された。
出来上がり厚みが75μmの場合におけるフィルム作製用の乾燥条件を示す。アルミ箔上の混合溶液層は、熱風オーブンで120℃において240秒乾燥されて、自己支持性を有するゲルフィルムにされた。そのゲルフィルムはアルミ箔から引き剥がされ、フレームに接触させられ、固定・保持された。さらに、ゲルフィルムは、熱風オーブンにて120℃で30秒、275℃で40秒、400℃で43秒、450℃で50秒、および遠赤外線ヒーターにて460℃で23秒段階的に加熱されて乾燥された。
以上のようにして、厚さ75μmのポリイミドフィルム(ポリイミドフィルムA:弾性率3.1GPa、吸水率2.5%、複屈折0.10、線膨張係数3.0×10-5/℃)が製造された。なお、その他厚みのフィルムを作製する場合には、厚みに比例して焼成時間が調整された。例えば厚さ125μm、225μmのフィルムの場合には、75μmの場合よりも焼成時間を5/3倍、3倍に設定した。また、厚みか厚い場合には、ポリイミドフィルムの溶媒やイミド化触媒蒸発による発泡を防ぐために低温での焼成時間を十分とる必要がある。
実際のグラファイト化においては、上記方法と同様にして作製された(株)カネカ製・アピカルAHの厚さ75、125、225μmのポリイミドフィルムを用いた。
(ポリイミドフィルムBの作製方法)
ポリアミド酸に4,4’−オキシジアニリンの3当量を溶解したDMF溶液にピロメリット酸二無水物の4当量を溶解して、両末端に酸無水物を有するプレポリマが合成された後、そのプレポリマを含む溶液にp−フェニレンジアミンの1当量を溶解することによって得られたポリアミド酸を用いた以外は実施例1と同様にして厚さ75μm、125μm、225μmのポリイミドフィルム(ポリイミドフィルムB:弾性率4.1GPa、吸水率2.1%、複屈折0.14、線膨張係数1.6×10-5/℃)が製造された。
実際のグラファイト化においては、上記方法と同様にして作製された(株)カネカ製・アピカルNPIの厚さ75、125、225μmのポリイミドフィルムを用いた。
(ポリイミドフィルムCの作製方法)
ポリアミド酸に4,4’−オキシジアニリンの1当量,p−フェニレンジアミンの1当量を溶解したDMF(ジメチルフォルムアミド)溶液に、ピロメリット酸二無水物の2当量を溶解して得られたポリアミド酸を用いた以外は実施例1と同様にして厚さ75μm、125μm、225μmのポリイミドフィルム(ポリイミドフィルムC:弾性率4.9GPa、吸水率3.0%.複屈折0.14.線膨張係数1.5×10-5/℃)が製造された。
(カーボンブラック含有ポリイミドフィルムAの作製)
カーボンブラック/DMF分散溶液を作製し、この分散溶液にポリイミドフィルムAを作製する際に用いたポリアミド酸溶液を、出来上がりポリイミドフィルムに対してカーボンブラックの配合量が10重量%になるように混合し、ポリアミド酸/カーボンブラック混合溶液を調整した。この溶液を用いてポリイミドフィルムAと同様にしてカーボンブラック含有ポリイミドフィルムAを作製した。
(炭素化フィルムA’、B’、C’の作製方法)
ポリイミドフィルムA、B、C、カーボンブラック含有ポリイミドフィルムAを黒鉛板に挟み、電気炉を用いて窒素雰囲気下で、1000℃まて昇温された後、1000℃で1時間熱処理して炭化処理(炭素化処理)が行われた。この炭素化フィルムを炭素化フィルムA’、B’、C’、カーボンブラック含有炭素化フィルムA’とする。
(実施例1)
原料フィルムに厚み75μm、125μmのポリイミドフィルムAから得られた炭素化フィルムA’に硝酸鉄の2wt%メタノール溶液、225μmのポリイミドフィルムAから得られた炭素化フィルムA’に硝酸鉄の10wt%メタノール溶液を塗布した後、黒鉛板に挟み、黒鉛化炉を用いて1600℃まで減圧下で昇温された後、1600℃で1時間熱処理して、原料フィルムにフィルム内部に図3に示す不均一層・不均一相を有する炭素化フィルム(A2フィルム)が得られた。
このA2フィルムを黒鉛板に挟み、黒鉛化炉を用いて2100℃以下では減圧下、2100℃以上ではアルゴン雰囲気下で3000℃まで昇温された後、3000℃で1時間熱処理して黒鉛化処理がおこなわれ、グラファイトフィルムが作製された。
(実施例2)
厚み75μm、125μmのポリイミドフィルムAから得られた炭素化フィルムA’に硝酸鉄の2wt%メタノール溶液、厚み225μmのポリイミドフィルムAから得られた炭素化フィルムA’に硝酸鉄の10wt%メタノール溶液を塗布した後、黒鉛板に挟み、黒鉛化炉を用いて2100℃以下では減圧下、2100℃以上ではアルゴン雰囲気下で3000℃まで昇温された後、3000℃で1時間熱処理して黒鉛化処理がおこなわれ、グラファイトフィルムが作製された。 (実施例3)
厚み75μm、125μm、225μmのポリイミドフィルムに硝酸鉄の2wt%メタノール溶液、225μmのポリイミドフィルムに硝酸鉄の10wt%メタノール溶液を塗布した後、黒鉛板に挟み、黒鉛化炉を用いて2100℃以下では減圧下、2100℃以上ではアルゴン雰囲気下で3000℃まで昇温された後、3000℃で1時間熱処理して黒鉛化処理がおこなわれ、グラファイトフィルムが作製された。
(実施例4〜5)
原料フィルムに厚み75μm、125μm、225μmのポリイミドフィルムBから得られた炭素化フィルムB’、厚み75μm、125μm、225μmのポリイミドフィルムCから得られた炭素化フィルムC’を用いた以外は、実施例2と同様にしてグラファイトフィルムが作製された。
(実施例6)
硝酸鉄を塩化コバルトに代える以外は実施例2と同様にして、グラファイトフィルムが作製された。
(実施例7)
最高焼成温度が2800℃であること以外は、実施例2と同様にしてグラファイトフィルムが作製された。 (実施例8)
厚み75μm、125μm、225μmのポリイミドフィルムBからなる炭素化フィルムB’に硝酸鉄の2wt%メタノール溶液、225μmのポリイミドフィルムにの10wt%メタノール溶液を塗布した後、黒鉛板に挟み、黒鉛化炉を用いて2100℃以下では減圧下、2100℃以上ではアルゴン雰囲気下で3000℃まで昇温された後、3000℃で1時間熱処理して黒鉛化処理がおこなわれ、グラファイトフィルムが作製された。
(実施例9)
厚み75μm、125μm、225μmのカーボンブラック含有炭素化フィルムA’を黒鉛板に挟み、黒鉛化炉を用いて2100℃以下では減圧下、2100℃以上ではアルゴン雰囲気下で3000℃まで昇温された後、3000℃で1時間熱処理して黒鉛化処理がおこなわれ、グラファイトフィルムが作製された。
(比較例1、2)
厚み75μm、125μm、225μmのポリイミドフィルムから得られた炭素化フィルムA’、B’を黒鉛板に挟み、黒鉛化炉を用いて2100℃以下では減圧下、2100℃以上ではアルゴン雰囲気下で3000℃まで昇温された後、3000℃で1時間熱処理して黒鉛化処理がおこなわれ、グラファイトフィルムが作製された。
(比較例3、4)
最高焼成温度が2800℃であること以外は、比較例1、2と同様にしてグラファイトフィルムが作製された。
実施例1〜9、比較例1〜4で得られたグラファイトフィルムの熱拡散率、鉛筆硬度(表面硬度を示す値)、密度、表面の密着性(表面の接着性を示す値)、外観が表1〜6に示されている。原料厚みとは、炭素化する前の高分子フィルムの厚みである。
グラファイトフィルムの熱拡散率は、4mm×40mmのグラファイトフィルムを光交流法による熱拡散率測定装置(アルバック理工(株)社から入手可能な「LaserPit」)を用いて、20℃の雰囲気下、10Hzにおいて測定された。グラファイト化の進行状況は、フィルム面方向の熱拡散率を測定することによって判定され、熱拡散率が大きいほど、グラファイト化が顕著であることを意味している。
グラファイトフィルムの鉛筆硬度は、JIS K 5400(1990年)(JIS K 5600(1999年))「塗料一般試験方法」の8.4.1 試験機法に準じて、評価された。評価値は2B、B、HB、Hといった鉛筆硬度で示され、この順で、表面硬度が高くなり、グラファイトの表面硬度が高いことを意味している。
グラファイトフィルムの密度は、グラファイトフィルムの重量(g)をグラファイトフィルムの縦、横、厚みの積で算出した体積(cm3)の割り算により算出された。なお、グラファイトフィルムの厚みは、任意の10点で測定した平均値を使用した。密度が高いほど、グラファイト化が顕著であることを意味している。
グラファイトフィルムのピール強度は、JIS Z 0237(1980年)「粘着テープ・粘着シート試験方法」に準じて、評価した。値が大さいほど、表面の接着剤や粘着剤に対する接着性が高いことを意味している。
グラファイトフィルムの外観は、JIS K 5400(1990年)(JIS K 5600(1999年))「塗料一般試験方法」の8.5.3 Xカットテープ法に準じて、評価した。値は0〜10の範囲で示され、値が大きいほど、表面の剥がれが少なく、外観の綺麗なグラファイトであることを意味している。
実施例1〜9で得られたグラファイトフィルムはいずれの水準も、熱拡散率7.0×10-42/s以上、鉛事硬度はB以上、密度1.95g/cm3以上、ビール強度4N/cm以上、外観8以上で、熱伝導性、表面硬度、表面の接着性、外観に優れたものであった。
一方、比較例1〜4で得られたグラファイトフィルムは、熟拡散率が高い水準のものもあるものの、鉛筆硬度は5B以下、密度1.95g/cm3未満、ビール強度1N/cm未満、外観0であったため、熱伝導性、表面硬度、表面の接着性、外観の全てにおいて優れたものは無かった。
熱処理温度が3000℃で同じ、実施例1〜6、9と比較例1、2を比較すると、各特性で実施例1〜6、9の方が優れていた。また、熱処理温度が2800℃で同じ、実施例7、8と比較例3、4を比較すると、各特性で実施例3、4の方が優れていた。実施例においては、熱処理前および/または熱処理中に、フィルムを取り出しSEM断面観察をすると該フィルム内部に、当初の原料フィルムには観察されなかった最短径0.1〜50μmの不定形形状の模様(不均一層・不均一相)が形成されたためと考える。不均一層・不均一相が形成される理由としては、熱処理中に分解ガスや余分なグラフェン成分の気化による表層や内部の破壊した部分に、金属を含む物質が浸透拡散し、部分的にフィルムと反応することが考えられる。また、フィルムの内部まで不均一層・不均一相が形成される理由としては、熱処理が高温でおこわれるために、フィルム内部に浸透拡散し、反応がおこったと考えられる。また原料フィルムに含まれるリン酸水素カルシウム、リン酸カルシウムとったフィラーと反応することやフィラーの抜け落ちた部分に金属を含む物質が浸透拡散し、不均一層・不均一相が形成されることが推定される。このような不均一層が形成されることにより、グラファイト化過程で発生する分解ガスが不均一層・不均一相から抜け出すことにより、熱処理中にフィルムが破損することを防止したと考える。また従来のグラファイト過程では、グラフェン層が面に発達し、グラフェン層が層状に剥離するが、内部に不均一層・不均一相が形成されることにより、剥離を部分的に固定し、剥離を防止することが可能となる。またさらに、不均一層・不均一相が形成されることにより、熱処理中にたまる歪を緩和することができると考える。
図3は、実施例1で使用した、フィルム内部に不均一層・不均一相を有する原料フィルムの断面SEM写真である。このように、出発原料のフィルム内部に不均一層・不均一相を有しているため、各特性に優れたグラファイトフィルムが得られたと考える。
図4は、厚み225μmのポリイミドフィルムAを炭素化したフィルムの断面SEM写真である。また、図5〜7は、ポリイミドフィルムAを炭素化したフィルムを1600℃、2000℃、2000℃、2400℃熱処理した後の断面SEM写真である。実験方法は、比較例1、3に準ずる。これらの断面写真からもわかるとおり、1600℃熱処理後に部分的にフィルム内部に亀裂および/または亀裂のきっかけが発生し、2000℃熱処理後には、フィルム内部に空隙が生じ、さらに2400℃熱処理後には、フィルムの表層および内層の全面にわたり、亀裂が生じ破損している。この原因としては、熱処理過程で発生するガスがうまく抜けることが出来ず、発泡したことが考えられる。特に、厚いフィルムにおいては、表層にグラファイト層が発達し、ガスが抜けにくくなったものと推定される。また、フィルム内部の相互作用が弱いために、厚みが厚くなると、内部応力でフィルムが裂けたとも推定される。
一方、図8〜11は、厚み225μmのポリイミドフィルムAを炭素化したフィルムを金属含有物質と接触させ、1600℃、2000℃、2400℃、2800℃で熱処理した後の断面SEM写真である。また、図12は図11の拡大写真である。実験方法は、実施例2に準ずる。これらの断面写真からもわかるとおり、1600℃熱処理後に部分的にフィルム内部に部分的な不均一層・不均一相が形成されし、2400℃を超えると、フィルム全体にグラファイト化が進行し、フィルム内部に空隙のない非常に緻密なグラファイトフィルムとなった。
比較例1、3とは異なり、緻密なグラファイトが得られた理由としては、熱処理過程で発生するガスがうまく抜けることが出来、フィルムの破損をおこさなかったことが考えられる。また、フィルム内部の不均一層・不均一相が、グラファイトの層間の剥がれを引き止め、内部応力でフィルムが裂けることを抑制したと推定する。
図13〜17は、厚み75μmのポリイミドフィルムAを炭素化したフィルムを1600℃、2000℃、2400℃、2600℃、2800℃熱処理した後の断面SEM写真である。実験方法は、比較例1、3に準ずる。厚み75μmのポリイミドフィルムを用いた場合には、厚み225μmのポリイミドフィルムを用いた場合のように、2400℃以下でフィルムに裂けが発生することはなく、部分的に穴があいている程度である。しかし、さらにこのフィルムをさらに高温の2600℃で熱処理すると、フィルム内部に空隙ができ、全体に層が剥離したフィルムとなる。
図18は、松下電器産業(株)製のグラファイトフィルムの断面写真であるが、これは、図16、17と似た構造を有していることがわかる。
一方、図19〜22は、厚み75μmのポリイミドフィルムAを炭素化したフィルムを金属含有物質と接触させ、1600℃、2000℃、2400℃、2800℃で熱処理した後の断面SEM写真である。また、図23は図22の拡大写真である。実験方法は、実施例2に準ずる。これらの断面写真からもわかるとおり、厚み225μmのポリイミドフィルムを用いた場合と同様に、1600℃熱処理後に部分的にフィルム内部に部分的な不均一層・不均一相が形成されし、2400℃を超えると、フィルム全体にグラファイト化が進行し、フィルム内部に空隙のない非常に緻密なグラファイトフィルムとなった。

実施例2と実施例3を比較すると、実施例2の方が各特性に優れるものであった。実施例2では炭素化したフィルムに金属を含む物質を塗布しているのに対し、実施例3ではポリイミドフィルムに塗布しているという違いが有る。この結果から、金属を含む物質を塗布する場合、高分子フィルムよりも炭素化したフィルムに塗布する方が特性に優れたグラファイトフィルムを得られることが分かる。金属を含む物質を直接接触させる方法としては、容器に金属が含む方法でも実施例3より各特性に品質の優れたグラファイトフィルムが得られる。
実施例2、実施例4、実施例5を比較すると、実施例2、実施例5、実施例4の順で各特性が優れていた。実施例4と5が実施例2よりも優れていた理由は、実施例4と5が実施例2よりも複屈折、弾性率の高いまた線膨張係数の小さい原料を用いており、黒鉛化中の分子の再配列を容易にしたものと考える。また、実施例4が実施例5よりも優れていた理由としては、出発原料がシーケンスコントロールされて製造されているため、黒鉛化中の分子の再配列を容易にしたものと考える。また、出発原料の炭素比率が高いために、分解ガスの発生量が少なく、スムースに黒鉛化が進行したものと考える。
実施例2と実施例6を比較すると、実施例6の方が各特性に優れるものであった。実施例6では炭素化したフィルムに塩化コバルト溶液を塗布しているのに対し、実施例2では硝酸鉄溶液を塗布しているという違いが有る。この結果から、コバルトの方が、特性改善能力に優れていることが分かる。またコバルト溶液の方が鉄溶液よりも濃度が低く、このことから、コバルト化合物の方が、特性改善孔化に優れることがわかる。
実施例では、原料高分子フィルムに厚み225μmのポリイミドフィルムを用いたものであるが、厚みが厚くなっても十分特性に優れたものが得られている。また、比較例では、フィルムが破損してしまう。このことから、厚くなる場合において、特に金属の効果の差が顕著であることが分かる。
実施例1〜9で得られたグラファイトフィルムの厚み方向の熱拡散率は、0.05×10-42/s以下であり、比較例1〜4で得られたグラファイトフィルムの厚み方向の熱拡散率は、0.05×10-42/sより高く、実施例1〜9で得られたグラファイトは、面方向のグラフェン層が非常に発達していることがわかる。厚み方向の熱伝導性上昇を抑えて、面方向の熱伝導性が改善され、面方向の熱伝導性低減を抑えて、厚み方向の熱伝導性が低減され、面方向の熱拡散率と厚み方向の熱拡散率の異方性の高いグラファイトフィルムであり、本発明で作製されるグラファイトフィルムは、放熱材料として用いた場合、グラファイトの裏面に温度の高いホットスポットを無くすことができる。
ポリイミドフィルム及びくさび形シート くさび形シートの斜視図 実施例1の不均一層・不均一相を有する炭素化フィルムの断面SEM写真 厚み225μmのポリイミドフィルムAにおける1000℃熱処理後の断面SEM写真 厚み225μmのポリイミドフィルムAにおける1600℃熱処理後の断面SEM写真 厚み225μmのポリイミドフィルムAにおける2000℃熱処理後の断面SEM写真 厚み225μmのポリイミドフィルムAにおける2400℃熱処理後の断面SEM写真 厚み225μmのポリイミドフィルムAにおける金属含有物質と接触させて1600℃熱処理後の断面SEM写真 厚み225μmのポリイミドフィルムAにおける金属含有物質と接触させて2000℃熱処理後の断面SEM写真 厚み225μmのポリイミドフィルムAにおける金属含有物質と接触させて2400℃熱処理後の断面SEM写真 厚み225μmのポリイミドフィルムAにおける金属含有物質と接触させて2800℃熱処理後の断面SEM写真 図11の拡大断面SEM写真 厚み75μmのポリイミドフィルムAにおける1600℃熱処理後の断面SEM写真 厚み225μmのポリイミドフィルムAにおける2000℃熱処理後の断面SEM写真 厚み225μmのポリイミドフィルムAにおける2400℃熱処理後の断面SEM写真 厚み225μmのポリイミドフィルムAにおける2600℃熱処理後の断面SEM写真 厚み225μmのポリイミドフィルムAにおける2800℃熱処理後の断面SEM写真 松下電器産業(株)製グラファイトフィルムの断面SEM写真 厚み75μmのポリイミドフィルムAにおける金属含有物質と接触させて1600℃熱処理後の断面SEM写真 厚み75μmのポリイミドフィルムAにおける金属含有物質と接触させて2000℃熱処理後の断面SEM写真 厚み75μmのポリイミドフィルムAにおける金属含有物質と接触させて2400℃熱処理後の断面SEM写真 厚み75μmのポリイミドフィルムAにおける金属含有物質と接触させて2800℃熱処理後の断面SEM写真 図22の拡大断面SEM写真
符号の説明
1 ポリイミドフィルム
2 くさび形シート
3 くさび形シートの塙
4 ナトリウム光
5 干渉縞

Claims (15)

  1. 高分子フィルムおよび/または炭素化した高分子フィルムからなる原料フィルムを2000℃以上の温度で熱処理するグラファイトフィルムの製造方法であって、製造過程のフィルムを取り出しSEM断面観察をすると該フィルム内部に、当初の原料フィルムには観察されなかった最短径0.1〜50μmの不定形形状の模様が観察されることを特徴とする、グラファイトフィルムの製造方法。
  2. 高分子フィルムおよび/または炭素化した高分子フィルムからなる原料フィルムを2000℃以上の温度で熱処理するグラファイトフィルムの製造方法であって、原料フィルムのSEM断面観察をすると該フィルム内部に、該フィルム断面に観察される主たる模様とは異なる、最短径0.1〜50μmの不定形形状の模様が観察される原料フィルムを使用することを特徴とする、グラファイトフィルムの製造方法。
  3. 前記高分子フィルムおよび/または炭素化した高分子フィルムを金属を含有する物質と接触させることを特徴とする、請求項1〜2のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法。
  4. 金属含有物質と接触させるのは、熱処理前および/または熱処理中であることを特徴とする、請求項3に記載のグラファイトフィルムの製造方法。
  5. 前記金属が、IUPAC(国際純正・応用化学連合)無機化学命名法改訂版(1989年)による族番号4族、5族、6族、7族、8族、9族、10族、11族、12族、13族、リチウム、ベリリウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、バリウム、アルミニウム、ホウ素、シリコン、ゲルマニウム、セレン、錫、鉛、およびビスマスの元素から選ばれる1以上であることを特徴とする請求項3〜4のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法。
  6. 前記金属が、鉄および/またはコバルトであることを特徴とする請求項3〜4のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法。
  7. 前記原料フィルムが、カーボンブラック、黒鉛、炭素繊維、活性炭、フラーレン、カーボンナノチューブ、カーボンマイクロコイル等の炭素粒子を含む原料フィルムであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法。
  8. 前記高分子フィルムが、ポリイミド、ポリアミド、ポリオキサジアゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾビスオキサゾール、ポリチアゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリベンゾビスチアゾール、ポリパラフェニレンビニレン、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾビスイミダゾールのうちから選ばれた少なくとも一種類以上の高分子からなることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法。
  9. 前記ポリイミドフィルムが、前駆体であるポリアミド酸を脱水剤とイミド化促進剤を用いてイミド化して作製されるポリイミドフィルムであることを特徴とする請求項8に記載のグラファイトフィルムの製造方法。
  10. SEM断面観察をすると内部に、最短径0.1〜50μmの不定形形状の模様が観察されることを特徴とするグラファイトフィルム。
  11. 面方向の熱拡散率が6×10-42/s以上であることを特徴とする、グラファイトフィルム。
  12. 前記グラファイトフィルムの厚みが50μm以上であることを特徴とする請求項10〜11のいずれかに記載のグラファイトフィルム
  13. 前記グラファイトフィルムの密度が1.5g/cm3以上であることを特徴とする請求項10〜12記載のグラファイトフィルム
  14. 請求項1〜9のいずれかに記載の製造方法で製造されうることを特徴とする、グラファイトフィルム。
  15. 請求項1〜9のいずれかに記載の製造方法で製造されうることを特徴とする、請求項10〜13のいずれかに記載のグラファイトフィルム。
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