JP2007320775A - グラファイトフィルムおよびグラファイトフィルムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 高分子フィルムを2000℃以上の温度で熱処理するグラファイトフィルムの製造方法であって、熱処理前および/または熱処理中にフィルム内に不均一層・不均一相(最短径0.1〜50μmの不定形形状の模様)があるグラファイト化の製造方法、とする。
【選択図】 なし
Description
1.CPUと冷却ファンやヒートシンクの間に挟む放熱スペーサや
2.DVD光ピックアップ部分や筐体部分に貼り熱を拡散させる放熱スプレッダ
等が挙げられる。
<1>発熱部品からの熱を速やかに移動させることができる十分な熱伝導性と、
<2>グラファイトと発熱部品との接着剤や粘着剤を用いて取り付けた場合に、表面からの黒鉛剥がれが抑えられ、粘着剤、接着剤、発熱部材との密着性が高まり、はがれることのなくグラファイトが本来有する放熱特性を発揮できるほどに十分な表面の接着性と、
<3>グラファイトの取り付け時や取り扱い時に表面に傷が入らない程度に十分な表面硬度と、
<4>表面からの黒鉛はがれにより電子機器内を汚染しないほどに十分な外観と、
<5>全体の熱輸送量が増加し、放熱特性を改善できる十分な厚さと、
を有するグラファイトフィルムを提供することを課題・目的としている。
高分子フィルムおよび/または炭素化した高分子フィルムからなる原料フィルムを2000℃以上の温度で熱処理するグラファイトフィルムの製造方法であって、製造過程のフィルムを取り出しSEM断面観察をすると該フィルム内部に、当初の原料フィルムには観察されなかった最短径0.1〜50μmの不定形形状の模様が観察されることを特徴とする、グラファイトフィルムの製造方法、
である。
高分子フィルムおよび/または炭素化した高分子フィルムからなる原料フィルムを2000℃以上の温度で熱処理するグラファイトフィルムの製造方法であって、原料フィルムのSEM断面観察をすると該フィルム内部に、該フィルム断面に観察される主たる模様とは異なる、最短径0.1〜50μmの不定形形状の模様が観察される原料フィルムを使用することを特徴とする、グラファイトフィルムの製造方法、
である。
前記高分子フィルムおよび/または炭素化した高分子フィルムを金属を含有する物質と接触させることを特徴とする、(1)〜(2)のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法、
である。
金属含有物質と接触させるのは、熱処理前および/または熱処理中であることを特徴とする、(3)に記載のグラファイトフィルムの製造方法、
である。
前記金属が、IUPAC(国際純正・応用化学連合)無機化学命名法改訂版(1989年)による族番号4族、5族、6族、7族、8族、9族、10族、11族、12族、13族、リチウム、ベリリウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、バリウム、アルミニウム、ホウ素、シリコン、ゲルマニウム、セレン、錫、鉛、およびビスマスの元素から選ばれる1以上であることを特徴とする(3)〜(4)のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法、
である。
前記金属が、鉄および/またはコバルトであることを特徴とする(3)〜(4)のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法、
である。
前記原料フィルムが、カーボンブラック、黒鉛、炭素繊維、活性炭、フラーレン、カーボンナノチューブ、カーボンマイクロコイル等の炭素粒子を含む原料フィルムであることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法、
である。
前記高分子フィルムが、ポリイミド、ポリアミド、ポリオキサジアゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾビスオキサゾール、ポリチアゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリベンゾビスチアゾール、ポリパラフェニレンビニレン、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾビスイミダゾールのうちから選ばれた少なくとも一種類以上の高分子からなることを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法、
である。
前記ポリイミドフィルムが、前駆体であるポリアミド酸を脱水剤とイミド化促進剤を用いてイミド化して作製されるポリイミドフィルムであることを特徴とする(8)に記載のグラファイトフィルムの製造方法、
である。
SEM断面観察をすると内部に、最短径0.1〜50μmの不定形形状の模様が観察されることを特徴とするグラファイトフィルム、
である。
面方向の熱拡散率が6×10-4m2/s以上であることを特徴とする、グラファイトフィルム、
である。
前記グラファイトフィルムの厚みが50μm以上であることを特徴とする(10)〜(11)のいずれかに記載のグラファイトフィルム、
である。
前記グラファイトフィルムの密度が1.5g/cm3以上であることを特徴とする(10)〜(12)のいずれかに記載のグラファイトフィルム、
である。
(1)〜(9)のいずれかに記載の製造方法で製造されうることを特徴とする、グラファイトフィルム、
である。
(1)〜(9)のいずれかに記載の製造方法で製造されうることを特徴とする、(10)〜(13)のいずれかに記載のグラファイトフィルム、
である。
(1)製造過程のフィルムを取り出しSEM断面観察をすると該フィルム内部に、当初の原料フィルムには観察されなかった最短径0.1〜50μmの不定形形状の模様を発生させる
(2)原料フィルムのSEM断面観察をすると該フィルム内部に、該フィルム断面に観察される主たる模様とは異なる、最短径0.1〜50μmの不定形形状の模様が観察される原料フィルムを使用する
ことにより、
<1>発熱部品からの熱を速やかに移動させることができる十分な熱伝導性と、
<2>グラファイトと発熱部品との接着剤や粘着剤を用いて取り付けた場合に、表面からの黒鉛剥がれが抑えられ、粘着剤、接着剤、発熱部材との密着性が高まり、はがれることのなくグラファイトが本来有する放熱特性を発揮できるほどに十分な表面の接着性と、
<3>グラファイトの取り付け時や取り扱い時に表面に傷が入らない程度に十分な表面硬度と、
<4>表面からの黒鉛はがれにより電子機器内を汚染しないほどに十分な外観と、
<5>全体の熱輸送量が増加し、放熱特性を改善できる十分な厚さと、
を有するグラファイトフィルムを得ることができる。
本発明の製造方法で作製されるグラファイトフィルムは、熱伝導性が高いために、例えば、サーバー、サーバー用コンピュータ、デスクトップパソコン、DVD、プラズマテレビ、液晶プロジェクタ、インクジェットプリンタ、電子写真装置等の電子機器や、ノートパソコン、電子辞書、PDA、携帯電話、ポータブル音楽プレイヤー等の携帯電子機器や、半導体製造装置、液晶製造装置等の産業機器の放熱材料として好適である。
本発明で用いることができる高分子フィルムは、特に限定はされないが、ポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)、ポリオキサジアゾール(POD)、ポリベンゾオキサゾール(PBO)、ポリベンゾビスオキサザール(PBBO)、ポリチアゾール(PT)、ポリベンゾチアゾール(PBT)、ポリベンゾビスチアゾール(PBBT)、ポリパラフェニレンビニレン(PPV)、ポリベンゾイミダゾール(PBI)、ポリベンゾビスイミダゾール(PBBI)が挙げられ、これらのうちから選ばれる少なくとも1種を含む耐熱芳香族性高分子フィルムであることが、最終的に得られるグラファイトの熱伝導性が大きくなることから好ましい。これらのフィルムは、公知の製造方法で製造すればよい。この中でもポリイミドは、原料モノマーを種々選択することによって様々な構造および特性を有するものを得ることができるために好ましい。また、ポリイミドフィルムは、他の有機材料を原料とする高分子フィルムよりもフィルムの炭化、黒鉛化が進行しやすいため、結晶性、熱伝導性に優れたグラファイトとなりやすい。
<高分子フィルムと複屈折>
複屈折が高くなるほど、フィルムの炭化(炭素化)、黒鉛化が進行しやすくなる。その結果、グラファイトの結晶配向性がよくなり、熱伝導性が顕著に改善される。特に、高分子フィルムの面配向性が高いと、金属との接触によることにより、高い熱伝導性を保持しながら、表面の黒鉛剥がれを抑制できた表面硬度、密度、表面の密着性に優れたグラファイトが得られる。また、炭化が進行しやすいため、炭化中の昇温速度を速く、熱処理時間を短くしても、品質の優れたグラファイトとなる。また、黒鉛化が進行しやすいため、最高温度を下げて熱処理時間を短くしても品質の優れたグラファイトとなる。
ここでいう複屈折とは、フィルム面内の任意方向の屈折率と厚み方向の屈折率との差を意味し、フィルム面内の任意方向Xの複屈折Δnxは次式(数式1)で与えられる。
また、本発明に用いられるグラファイトの原料となるポリイミドフィルムは、100〜200℃の範囲において2.5×10-5/℃未満の平均線膨張係数を有しているとよい。線膨張係数が2.5×10-5/℃未満であれば、熱処理中の伸びが小さく、スムースに黒鉛化が進行し、脆くなく、種々の特性に優れたグラファイトを得ることができる。 このようなポリイミドフィルムを原料に用いることで、グラファイトへの転化が2400℃から始まり、2700℃で十分結晶性の高いグラファイトに転化が生じ得る。なお、その線膨張係数は、2.0×10-5/℃以下であることがより好ましい。
<ポリイミドフィルムの作製方法>
本発明で用いられるポリイミドフィルムは、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸の有機溶液をイミド化促進剤と混合した後、エンドレスベルトまたはステンレスドラムなどの支持体上に流延し、それを乾燥および焼成してイミド化させることにより製造され得る。
本発明の高分子フィルムのグラファイト化は、2000℃以上の温度で熱処理し、熱処理中に金属を含む物質と接触させて行う。
本発明の熱処理では、容器に高分子フィルムを固定して行われてもよい。本発明のような2000℃の温度領域まで加熱されるような用途では、取り扱いの容易さや、工業的な入手の容易さ等を勘案すると、黒鉛製の容器が、特に好ましい。ここでいう黒鉛とは、上記の温度領域まで加熱することができる限りにおいて、黒鉛を主に含むような材料までを含む広い概念であるが、例えば、等方性黒鉛、押出製黒鉛、が挙げられ、電気伝導性、熱伝導性に優れ、均質性にも優れる等方性黒鉛が、繰り返し用いる場合には好ましい。容器の形状は、特に制約を受けず、単純な平板などの形状でよい。また容器は円筒状で、高分子フィルムを容器に巻きつける方法でも良い。容器の形状は、高分子フィルムを接触させることができる限りにおいて、特に制約を受けない。
本発明の第1のグラファイトフィルムの製造方法おける、製造過程のフィルムを取り出しSEM断面観察をすると該フィルム内部に、当初の原料フィルムには観察されなかった最短径0.1〜50μmの不定形形状の模様が観察される方法としては、熱処理中に<<1>>固体状、<<2>>液体状、<<3>>気体状の金属を含む物質と接触させることが挙げられる。
(3)高分子フィルムまたは炭素化した高分子フィルムを、金属を含む容器に入れる方法。
金属を含む物質としては、金属単体、の化合物(酸化物、窒化物、ハロゲン化物、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物等が挙げられるが、これに限定されるものではない)、金属塩等が挙げられる。原料フィルムに直接接触させる場合には、金属を含む物質が溶媒に溶けることよい。というのは、塗布という簡単な方法で、原料フィルムの表面に均一に金属を含む物質を接触させることが出来るからである。金属の種類としては、IUPAC(国際純正・応用化学連合)無機化学命名法改訂版(1989年)による族番号4族、5族、6族、7族、8族、9族、10族、11族、12族、13族、リチウム、ベリリウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、バリウム、アルミニウム、ホウ素、シリコン、ゲルマニウム、セレン、錫、鉛、ビスマス、が挙げられる。中でも、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金、水銀、リチウム、ベリリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、バリウム、アルミニウム、ホウ素、シリコン、ゲルマニウムが良く、さらに好ましくは、チタン、バナジウム、鉄、コバルト、ニッケルである。特に好ましくは、鉄、コバルトである。これらは、熱拡散率、表面硬度、表面の接着性、外観に優れるために好ましい。
本発明の第2のグラファイトフィルムの製造方法おける、原料フィルムのSEM断面観察をすると該フィルム内部に、該フィルム断面に観察される主たる模様とは異なる、最短径0.1〜50μmの不定形形状の模様が観察される原料フィルムを使用する方法としては、原料フィルムに、カーボンブラック、黒鉛、炭素繊維、活性炭、フラーレン、カーボンナノチューブ、カーボンマイクロコイル等の炭素粒子含む原料フィルムを使用すると良い。
高分子フィルムのグラファイト化機構について説明する。
高分子フィルムのグラファイト化は上述の通り、炭素化と黒鉛化の2段階を経由しておこり、熱処理により炭素化した後、さらに高温で熱処理することでグラファイト構造に転化させられる。この過程では炭素−炭素結合の開裂と再結合が起きなければならない。グラファイト化をできる限り起こしやすくするためには、その開裂と再結合が最小のエネルギーで起こるようにする必要がある。出発高分子フィルム(例えば、上記に列記した高分子フィルム、特にポリイミドフィルム)の分子配向は炭素化フィルム中の炭素原子の配列に影響を与え、その分子配向はグラファイト化の際に結合の開裂と再結合化のエネルギーを少なくする効果を生じ得る。したがって、高度な分子配向が生じやすくなるように分子設計を行うことによって、グラファイト化の促進が可能になる。この分子配向の効果は、フィルム面に平行な二次元的分子配向とすることによって一層顕著になる。但し、出発原料である高分子フィルムに金属を含む物質を接触させると、熱処理中に相互作用を起し、従来の炭素−炭素結合の開裂と再結合や炭素化中の炭素原子の配列に悪影響を与える場合もある。従って、炭化したフィルムを出発原料とすることが好ましい。
従来の原料フィルムの熱処理によるグラファイト化では、熱処理により熱伝導性に優れたグラファイトを得ることは可能であるものの、表面硬度、表面の接着性、外観においてはまだ改善の余地が有る、グラファイトフィルムになる。特に原料フィルムの厚みが厚くなるほど、この傾向は顕著になると考えられる。この理由について説明する。
しかし、本発明の熱処理前および/または熱処理中に、原料フィルムのSEM断面観察をすると該フィルム内部に、該フィルム断面に観察される主たる模様とは異なる、最短径0.1〜50μmの不定形形状の模様が観察される場合のグラファイト化では、従来困難であった表面硬度、表面の密着性、外観を兼ね備えた熱伝導性の高いグラファイトを得ることができた。
(2)また別の効果として、金属を含む物質と接触されることにより、表面部分のグラファイト化の進行を抑えることなり、黒鉛化が進行しすぎることを防ぎ、フィルム全体が均一に黒鉛化することとなると推定される。表面の黒鉛化が進行しすぎることにより、表面部分が一部はがれかけたとしても、はがれ端部は反応性が高いため、金属を含む物質が接触することにより、端部と端部が金属を介してゆるい結合状態をもち、剥がれることを抑制するものと推定する。但し、このような金属によって表面の黒鉛層が保持・維持された状態では、金属が不純物となり、熱伝導性を悪化させることも考えられる。しかし、内部のガス発生が終了、表面と内部の黒鉛化の均一化がはかられる後では、熱力学的に安定な、金属を含まない黒鉛の状態となるために、端部と端部をつなぎとめていた金属がはずれ、端部の再結合が起こり、金属は炭素の結合から外れることになると推定する。さらに、2000℃以上という黒鉛化温度は、金属を含む化合物の沸点を超えるものであり、黒鉛化過程で、金属を含む物質が気化し、最終的には不純物を含まない炭素のみからなる物質となり、熱伝導性の優れたグラファイトとなると考えられる。
<フィルム内における最短径0.1〜50μmの不定形形状の模様>
熱処理前および/または熱処理中にフィルム内に存在する不定形形状の模様の大きさは、最短径が0.1〜50μmの範囲であることが好ましい。0.1μm以上であると、フィルムに内部からの発生するガスをうまく逃がすことが出来、またフィルム内の応力を緩和し、グラファイトの層間の相互作用を高め、フィルムが熱処理中に剥離するのを抑制することが可能となるために好ましい。また、内部の不均一層・不均一相は硬度が高く、0.1μm以上であると、表面硬度を高める働きをするために好ましい。また50μm以下であると、フィルムの熱伝導性を悪化させないために好ましい。
本発明の製造方法で作製されるグラファイトフィルムの熱拡散率は、7.0×10-4m2/s以上、好ましくは8.0×10-4m2/s以上、さらに好ましくは8.5×10-4m2/s以上であると良い。7.0×10-4m2/s以上になると、熱伝導性が高いために、発熱機器から熱を逃がしやすくなり、発熱機器の温度上昇を抑えることが可能となる。一方、7.0×10-4m2/s未満になると、熱伝導性が悪いために、発熱機器から熱を逃がすことができなくなり、発熱機器の温度上昇を抑えることができなくなる。
本発明の製造方法で作製されるグラファイトフィルムは、熱伝導性、電気伝導性が高いために、例えば、サーバー、サーバー用パソコン、デスクトップパソコン等の電子機器、ノートパソコン、電子辞書、PDA、携帯電話、ポータブル音楽プレイヤー等の携帯電子機器、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、LED、有機EL、無機EL、液晶プロジェクタ、時計等の表示機器、インクジェットプリンタ(インクヘッド)、電子写真装置(現像装置、定着装置、ヒートローラ、ヒートベルト)等の画像形成装置、半導体素子、半導体パッケージ、半導体封止ケース、半導体ダイボンディング、CPU、メモリ、パワートランジスタ、パワートランジスタケース等の半導体関連部品、リジッド配線板、フレキシブル配線板、セラミック配線板、ビルドアップ配線板、多層基板等の配線基板(以上左記の配線板とは、プリント配線板なども含む)、真空処理装置、半導体製造装置、表示機器製造装置等の製造装置、断熱材、真空断熱材、輻射断熱材等の断熱装置、DVD(光ピックアップ、レーザー発生装置、レーザー受光装置)、ハードディスクドライブ等のデータ記録機器、カメラ、ビデオカメラ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、顕微鏡、CCD等の画像記録装置、充電装置、リチウムイオン電池、燃料電池等のバッテリー機器等の放熱材料、放熱部品、冷却部品、温度調節部品、電磁シールド部品として好適である。
また、使用において、発熱体、ヒートシンク、ヒートパイプ、水冷冷却装置、ペルチェ素子、筐体、ヒンジとの固定、熱拡散性、放熱性、取り扱い性を改善するために、片面および/または両面に樹脂層、セラミック層、金属層、絶縁層、導電層を形成しても良い。
4,4’−オキシジアニリンの1当量を溶解したDMF(ジメチルフォルムアミド)溶液に、ビロメリット酸二無水物の1当量を溶解してポリアミド酸溶液(18.5wt%)を得た。
ポリアミド酸に4,4’−オキシジアニリンの3当量を溶解したDMF溶液にピロメリット酸二無水物の4当量を溶解して、両末端に酸無水物を有するプレポリマが合成された後、そのプレポリマを含む溶液にp−フェニレンジアミンの1当量を溶解することによって得られたポリアミド酸を用いた以外は実施例1と同様にして厚さ75μm、125μm、225μmのポリイミドフィルム(ポリイミドフィルムB:弾性率4.1GPa、吸水率2.1%、複屈折0.14、線膨張係数1.6×10-5/℃)が製造された。
ポリアミド酸に4,4’−オキシジアニリンの1当量,p−フェニレンジアミンの1当量を溶解したDMF(ジメチルフォルムアミド)溶液に、ピロメリット酸二無水物の2当量を溶解して得られたポリアミド酸を用いた以外は実施例1と同様にして厚さ75μm、125μm、225μmのポリイミドフィルム(ポリイミドフィルムC:弾性率4.9GPa、吸水率3.0%.複屈折0.14.線膨張係数1.5×10-5/℃)が製造された。
カーボンブラック/DMF分散溶液を作製し、この分散溶液にポリイミドフィルムAを作製する際に用いたポリアミド酸溶液を、出来上がりポリイミドフィルムに対してカーボンブラックの配合量が10重量%になるように混合し、ポリアミド酸/カーボンブラック混合溶液を調整した。この溶液を用いてポリイミドフィルムAと同様にしてカーボンブラック含有ポリイミドフィルムAを作製した。
ポリイミドフィルムA、B、C、カーボンブラック含有ポリイミドフィルムAを黒鉛板に挟み、電気炉を用いて窒素雰囲気下で、1000℃まて昇温された後、1000℃で1時間熱処理して炭化処理(炭素化処理)が行われた。この炭素化フィルムを炭素化フィルムA’、B’、C’、カーボンブラック含有炭素化フィルムA’とする。
原料フィルムに厚み75μm、125μmのポリイミドフィルムAから得られた炭素化フィルムA’に硝酸鉄の2wt%メタノール溶液、225μmのポリイミドフィルムAから得られた炭素化フィルムA’に硝酸鉄の10wt%メタノール溶液を塗布した後、黒鉛板に挟み、黒鉛化炉を用いて1600℃まで減圧下で昇温された後、1600℃で1時間熱処理して、原料フィルムにフィルム内部に図3に示す不均一層・不均一相を有する炭素化フィルム(A2フィルム)が得られた。
このA2フィルムを黒鉛板に挟み、黒鉛化炉を用いて2100℃以下では減圧下、2100℃以上ではアルゴン雰囲気下で3000℃まで昇温された後、3000℃で1時間熱処理して黒鉛化処理がおこなわれ、グラファイトフィルムが作製された。
厚み75μm、125μmのポリイミドフィルムAから得られた炭素化フィルムA’に硝酸鉄の2wt%メタノール溶液、厚み225μmのポリイミドフィルムAから得られた炭素化フィルムA’に硝酸鉄の10wt%メタノール溶液を塗布した後、黒鉛板に挟み、黒鉛化炉を用いて2100℃以下では減圧下、2100℃以上ではアルゴン雰囲気下で3000℃まで昇温された後、3000℃で1時間熱処理して黒鉛化処理がおこなわれ、グラファイトフィルムが作製された。 (実施例3)
厚み75μm、125μm、225μmのポリイミドフィルムに硝酸鉄の2wt%メタノール溶液、225μmのポリイミドフィルムに硝酸鉄の10wt%メタノール溶液を塗布した後、黒鉛板に挟み、黒鉛化炉を用いて2100℃以下では減圧下、2100℃以上ではアルゴン雰囲気下で3000℃まで昇温された後、3000℃で1時間熱処理して黒鉛化処理がおこなわれ、グラファイトフィルムが作製された。
原料フィルムに厚み75μm、125μm、225μmのポリイミドフィルムBから得られた炭素化フィルムB’、厚み75μm、125μm、225μmのポリイミドフィルムCから得られた炭素化フィルムC’を用いた以外は、実施例2と同様にしてグラファイトフィルムが作製された。
硝酸鉄を塩化コバルトに代える以外は実施例2と同様にして、グラファイトフィルムが作製された。
最高焼成温度が2800℃であること以外は、実施例2と同様にしてグラファイトフィルムが作製された。 (実施例8)
厚み75μm、125μm、225μmのポリイミドフィルムBからなる炭素化フィルムB’に硝酸鉄の2wt%メタノール溶液、225μmのポリイミドフィルムにの10wt%メタノール溶液を塗布した後、黒鉛板に挟み、黒鉛化炉を用いて2100℃以下では減圧下、2100℃以上ではアルゴン雰囲気下で3000℃まで昇温された後、3000℃で1時間熱処理して黒鉛化処理がおこなわれ、グラファイトフィルムが作製された。
厚み75μm、125μm、225μmのカーボンブラック含有炭素化フィルムA’を黒鉛板に挟み、黒鉛化炉を用いて2100℃以下では減圧下、2100℃以上ではアルゴン雰囲気下で3000℃まで昇温された後、3000℃で1時間熱処理して黒鉛化処理がおこなわれ、グラファイトフィルムが作製された。
厚み75μm、125μm、225μmのポリイミドフィルムから得られた炭素化フィルムA’、B’を黒鉛板に挟み、黒鉛化炉を用いて2100℃以下では減圧下、2100℃以上ではアルゴン雰囲気下で3000℃まで昇温された後、3000℃で1時間熱処理して黒鉛化処理がおこなわれ、グラファイトフィルムが作製された。
最高焼成温度が2800℃であること以外は、比較例1、2と同様にしてグラファイトフィルムが作製された。
実施例2と実施例3を比較すると、実施例2の方が各特性に優れるものであった。実施例2では炭素化したフィルムに金属を含む物質を塗布しているのに対し、実施例3ではポリイミドフィルムに塗布しているという違いが有る。この結果から、金属を含む物質を塗布する場合、高分子フィルムよりも炭素化したフィルムに塗布する方が特性に優れたグラファイトフィルムを得られることが分かる。金属を含む物質を直接接触させる方法としては、容器に金属が含む方法でも実施例3より各特性に品質の優れたグラファイトフィルムが得られる。
2 くさび形シート
3 くさび形シートの塙
4 ナトリウム光
5 干渉縞
Claims (15)
- 高分子フィルムおよび/または炭素化した高分子フィルムからなる原料フィルムを2000℃以上の温度で熱処理するグラファイトフィルムの製造方法であって、製造過程のフィルムを取り出しSEM断面観察をすると該フィルム内部に、当初の原料フィルムには観察されなかった最短径0.1〜50μmの不定形形状の模様が観察されることを特徴とする、グラファイトフィルムの製造方法。
- 高分子フィルムおよび/または炭素化した高分子フィルムからなる原料フィルムを2000℃以上の温度で熱処理するグラファイトフィルムの製造方法であって、原料フィルムのSEM断面観察をすると該フィルム内部に、該フィルム断面に観察される主たる模様とは異なる、最短径0.1〜50μmの不定形形状の模様が観察される原料フィルムを使用することを特徴とする、グラファイトフィルムの製造方法。
- 前記高分子フィルムおよび/または炭素化した高分子フィルムを金属を含有する物質と接触させることを特徴とする、請求項1〜2のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法。
- 金属含有物質と接触させるのは、熱処理前および/または熱処理中であることを特徴とする、請求項3に記載のグラファイトフィルムの製造方法。
- 前記金属が、IUPAC(国際純正・応用化学連合)無機化学命名法改訂版(1989年)による族番号4族、5族、6族、7族、8族、9族、10族、11族、12族、13族、リチウム、ベリリウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、バリウム、アルミニウム、ホウ素、シリコン、ゲルマニウム、セレン、錫、鉛、およびビスマスの元素から選ばれる1以上であることを特徴とする請求項3〜4のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法。
- 前記金属が、鉄および/またはコバルトであることを特徴とする請求項3〜4のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法。
- 前記原料フィルムが、カーボンブラック、黒鉛、炭素繊維、活性炭、フラーレン、カーボンナノチューブ、カーボンマイクロコイル等の炭素粒子を含む原料フィルムであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法。
- 前記高分子フィルムが、ポリイミド、ポリアミド、ポリオキサジアゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾビスオキサゾール、ポリチアゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリベンゾビスチアゾール、ポリパラフェニレンビニレン、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾビスイミダゾールのうちから選ばれた少なくとも一種類以上の高分子からなることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法。
- 前記ポリイミドフィルムが、前駆体であるポリアミド酸を脱水剤とイミド化促進剤を用いてイミド化して作製されるポリイミドフィルムであることを特徴とする請求項8に記載のグラファイトフィルムの製造方法。
- SEM断面観察をすると内部に、最短径0.1〜50μmの不定形形状の模様が観察されることを特徴とするグラファイトフィルム。
- 面方向の熱拡散率が6×10-4m2/s以上であることを特徴とする、グラファイトフィルム。
- 前記グラファイトフィルムの厚みが50μm以上であることを特徴とする請求項10〜11のいずれかに記載のグラファイトフィルム
- 前記グラファイトフィルムの密度が1.5g/cm3以上であることを特徴とする請求項10〜12記載のグラファイトフィルム
- 請求項1〜9のいずれかに記載の製造方法で製造されうることを特徴とする、グラファイトフィルム。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の製造方法で製造されうることを特徴とする、請求項10〜13のいずれかに記載のグラファイトフィルム。
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