JP6303046B2 - グラファイトフィルムの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、高い熱拡散率を有するグラファイトフィルムの製造方法に関する。
グラファイトフィルムは、コンピュータなどの各種電子・電気機器に搭載されている半導体素子や他の発熱部品などに対する放熱部品として用いられる。例えば、厚さ75μmの高分子フィルムを窒素ガス中で1000℃まで熱処理し、得られた炭素化フィルムをアルゴン雰囲気で3000℃まで加熱し、それにより得られたグラファイト化フィルムに圧延処理を施すことにより、機械的強度に優れ、柔軟性を有するグラファイトフィルムが得られることが知られている(特許文献1)。
また、電子機器等に使用し得るグラファイトフィルムを製造する方法として、原料高分子フィルムであるポリイミドフィルムを熱処理する方法が数多く知られている(特許文献2〜6)。
日本国公開特許公報「特開平03−075211号公報(1991年3月29日公開)」 日本国公開特許公報「特開2012−046368号公報(2012年3月8日公開)」 日本国公開特許公報「特開2003−229336号公報(2003年8月15日公開)」 日本国公開特許公報「特開2005−314168号公報(2005年11月10日公開)」 日本国公開特許公報「特開2004−017504号公報(2004年1月22日公開)」 日本国公開特許公報「特開2010−215441号公報(2010年9月30日公開)」
近年の電子機器の高機能化に伴う発熱量の飛躍的な増加にともない、より熱拡散率の高いグラファイトフィルムの開発が求められている。
上記課題を解決するために、本発明に係るグラファイトフィルムの製造方法は、厚みが34μm以上、42μm以下であり、かつ、複屈折が0.100以上、0.130以下であるポリイミドフィルム、または前記ポリイミドフィルムを炭化させた炭化フィルムを2400℃以上で熱処理する工程を含み、前記熱処理する工程は、前記ポリイミドフィルムまたは前記炭化フィルムの1層ずつを炭素質シートと交互に積層した状態にて熱処理する工程を含み、熱拡散率が9.0cm/s以上であるグラファイトフィルムを得ることを特徴としている。
上記課題を解決するために、本発明に係るグラファイトフィルムは、厚みが、14μm以上、18μm以下であり、熱拡散率が、9.0cm/s以上であり、密度が、1.8g/cm以上であることを特徴としている。
本発明の製造方法によれば、従来のものよりも高い熱拡散性を有するグラファイトフィルムを製造することができる。
本発明のグラファイトフィルムによれば、同様の厚さおよび同様の密度を備える、従来のグラファイトフィルムよりも熱拡散率が高いグラファイトフィルムを実現できる。
<グラファイトフィルム>
本発明の製造方法で作製されるグラファイトフィルムは、ポリイミドフィルムを不活性ガス雰囲気下や減圧下で熱処理する、高分子熱分解法で作製されている。また、本発明の製造方法で作製されるグラファイトフィルムは、熱伝導性が高いために、電子機器等の放熱材料、放熱部品として用いられる。
<グラファイトフィルムの厚み>
本発明のグラファイトフィルムの厚みは、34μm以上、42μm以下のポリイミドフィルムを原料に用いられて作製されるものであれば特に制限されないが、小型化部品に搭載できる薄物グラファイトフィルムであるという観点からは、14μm以上、18μm以下、好ましくは15μm以上、17μm以下、さらに好ましくは16μmである。
<グラファイトフィルムの面方向の熱拡散率>
本発明のグラファイトフィルムの熱拡散率は、小型電子機器の放熱をおこなうという観点から、9.0cm/s以上が好ましく、9.3cm/s以上がより好ましく、9.6cm/s以上が更に好ましい。
<グラファイトフィルムの面方向の熱拡散率測定>
グラファイトフィルムの面方向の熱拡散率は、光交流法による熱拡散率測定装置(アルバック理工(株)社製「LaserPit」)を用いて、グラファイトフィルムを4mm×40mmの形状に切り取ったサンプルを、23℃の雰囲気下、10Hzにて測定した。なお試験片は、シートサンプルの中央付近から抜き出した。
<グラファイトフィルムの密度>
本発明のグラファイトフィルムの密度は、熱を輸送する能力を向上させるという観点から、1.8g/cm以上が好ましく、1.9g/cm以上であることがより好ましい。また、本発明のグラファイトフィルムの密度は、曲げた際に折れが発生し難く、グラファイトフィルムのシート中央部を中心に長手方向にR=2mm、角度90度の曲率を与えた後、平らに戻す作業を10回行った後でも熱拡散率が保たれるため、2.09g/cm以下が好ましく、2.07g/cm以下が更に好ましい。
<ポリイミドフィルム>
本発明において用いられる、特定の厚みおよび特定の複屈折を備えるポリイミドフィルムは、通常、酸二無水物成分と、ジアミン成分とを原料とするポリイミドフィルムである。
<ポリイミドフィルムの原料である酸二無水物成分>
本発明においてポリイミドの合成に用いられる酸二無水物成分のうち、ピロメリット酸二無水物(以下、PMDAと記載)の割合は、70モル%以上、好ましくは80モル%以上、更に好ましくは90モル%以上がよい。また、PMDA以外の酸二無水物として、2,3,6,7,−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(以下、BPDAと記載)、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、1,1−(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、オキシジフタル酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、エチレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、ビスフェノールAビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)およびそれらの類似物を挙げる事ができる。これらを任意の割合で混合することが出来る。
<ポリイミドフィルムの原料であるジアミン成分>
本発明においてポリイミドの合成に用いられるジアミン成分のうち、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(以下、ODAと記載)の割合は、70モル%以上、好ましくは80モル%以上、更に好ましくは90モル%以上がよい。また、ODA以外のジアミンとして、p−フェニレンジアミン(以下、PDAと記載)、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ベンジジン、3,3’−ジクロロベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,5−ジアミノナフタレン、4,4’−ジアミノジフェニルジエチルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルエチルホスフィンオキシド、4,4’−ジアミノジフェニルN−メチルアミン、4,4’−ジアミノジフェニルN−フェニルアミン、1,3−ジアミノベンゼン、1,2−ジアミノベンゼンおよびそれらの類似物を挙げる事ができる。これらを任意の割合で混合することが出来る。
<ポリイミドフィルムの厚み>
本発明で用いられるポリイミドフィルムの厚みは、34μm以上、42μm以下、好ましくは38μm以上、40μm以下、より好ましくは38μmである。ポリイミドフィルムの厚みが42μm以下であれば、厚み方向に均一に熱処理されるため、熱拡散率が向上する。ポリイミドフィルムの厚みが34μm以上であれば、熱処理中に欠陥のできやすい表面の割合が抑えられ、熱拡散率が向上する。
<ポリイミドフィルムの複屈折>
本発明で用いるポリイミドフィルムの複屈折は、フィルム面内のどの方向に関しても0.100以上、0.130以下が好ましく、0.110以上、0.120以下がより好ましい。複屈折が0.100以上の場合は、ポリイミドフィルムそのものの分子面内配向性がよいため、黒鉛化した際に配向性のよいグラファイトフィルムが得られるため好ましい。また、複屈折が0.130以下の場合は、表面の結晶性と内部の結晶性との差異が小さいグラファイトフィルムを得られるため好ましい。本発明において、複屈折とは、フィルム面内の任意方向の屈折率と厚み方向の屈折率との差を意味する。
<ポリイミドフィルムの複屈折の測定方法>
ポリイミドフィルムの複屈折は、メトリコン社製の屈折率・膜厚測定システム(型番:2010 プリズムカプラ)を使用して測定した。測定は、23℃の雰囲気下、波長594nmの光源を用い、TEモードとTMモードとで、それぞれのモードにおける屈折率を測定し、「(TEモードにおける屈折率の値)−(TMモードにおける屈折率の値)」を複屈折として測定した。なお、前述の「フィルム面内のどの方向に関しても」とは、例えば、フィルム形成時における材料の流れ方向を基準として、面内の0゜方向、45゜方向、90゜方向、135゜方向のどの方向においても、との意味である。したがって、測定は、サンプルを装置に、0゜方向、45゜方向、90゜方向、135゜方向でセットし、各角度で複屈折を測定し、測定した各角度における複屈折のうちの最低値を、複屈折の値とした。
<イミド化方法>
ポリイミドのイミド化方法には、前駆体であるポリアミド酸を加熱してイミド転化する熱キュア法、または、ポリアミド酸に無水酢酸等の酸無水物に代表される脱水剤や、ピコリン、キノリン、イソキノリン、ピリジン等の第3級アミン類に代表されるイミド化促進剤を用いて前駆体であるポリアミド酸をイミド転化するケミカルキュア法、のいずれを用いてもよい。ケミカルキュア法を用いる場合のイミド化促進剤としては、上で挙げた第3級アミン類が好ましい。
特に、得られるフィルムの線膨張係数が小さく、弾性率が高く、複屈折が大きくなりやすく、また比較的低温で迅速なグラファイト化が可能で、品質のよいグラファイトフィルムを得ることができるという観点から、ケミカルキュアの方が好ましい。特に、脱水剤とイミド化促進剤とを併用することは、得られるフィルムの線膨張係数が小さく、弾性率が大きく、複屈折が大きくなり得るので好ましい。また、ケミカルキュア法は、イミド化反応がより速く進行するので、加熱処理においてイミド化反応を短時間で完結させることができ、生産性に優れた工業的に有利な方法である。
<ポリイミドフィルムの作製方法>
本発明に用いられるポリアミド酸の製造方法としては特に制限されないが、例えば、芳香族酸二無水物とジアミンとを実質的に等モル量で有機溶媒中に溶解し、この有機溶液を酸二無水物とジアミンとの重合が完了するまで制御された温度条件下で攪拌することによってポリアミド酸が製造され得る。重合方法としては特に制限されないが、例えば次のような重合方法(1)−(5)のいずれかが好ましい。
(1)芳香族ジアミンを有機極性溶媒中に溶解し、芳香族ジアミンと、これと実質的に等モルの芳香族テトラカルボン酸二無水物とを反応させて重合する方法。
(2)芳香族テトラカルボン酸二無水物と、これに対して過小モル量の芳香族ジアミン化合物とを有機極性溶媒中で反応させ、両末端に酸無水物基を有するプレポリマを得る。続いて、プレポリマに、芳香族テトラカルボン酸二無水物に対して実質的に等モルである芳香族ジアミン化合物を重合させる方法。
上記(2)の方法の具体例は、ジアミンと酸二無水物を用いて前記酸二無水物を両末端に有するプレポリマを合成し、前記プレポリマに、前記プレポリマの合成に使用したジアミンと同種のジアミンまたは異なる種類のジアミンを反応させてポリアミド酸を合成する方法と同様である。(2)の方法においても、プレポリマと反応させる芳香族ジアミンは、前記プレポリマの合成に使用した芳香族ジアミンと同種の芳香族ジアミンまたは異なる種類の芳香族ジアミンであってもよい。
(3)芳香族テトラカルボン酸二無水物と、これに対し過剰モル量の芳香族ジアミン化合物とを有機極性溶媒中で反応させ、両末端にアミノ基を有するプレポリマを得る。続いて、このプレポリマに芳香族ジアミン化合物を追加添加後に、芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン化合物とが実質的に等モルとなるように、プレポリマと芳香族テトラカルボン酸二無水物とを重合する方法。
(4)芳香族テトラカルボン酸二無水物を有機極性溶媒中に溶解および/または分散させた後に、その酸二無水物に対して実質的に等モルになるように芳香族ジアミン化合物を加えて、芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン化合物とを重合させる方法。
(5)実質的に等モルの芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンとの混合物を、有機極性溶媒中で反応させて重合する方法。
これらの中でも(2)、(3)に示す、プレポリマを経由するシーケンシャル制御(シーケンスコントロール)によって重合する方法が好ましい。シーケンシャル制御とは、ブロックポリマー同士の組み合わせや、ブロックポリマー分子同士の繋がりを制御することである。この方法を用いることで、複屈折が大きく、線膨張係数が小さいポリイミドフィルムが得られやすく、このポリイミドフィルムを熱処理することにより、柔軟性に優れるだけでなく、熱伝導性にも優れたグラファイトフィルムを得やすくなるからである。
<ポリイミドフィルムの延伸>
ポリイミドの製造工程中にフィルムを延伸する工程を含んでも、含まなくてもよい。延伸する場合、フィルムの平均延伸率を「(MD方向の延伸倍率+TD方向の延伸倍率)/2」と規定すると、当該フィルムの平均延伸率は、0.8以上、1.25以下であることが好ましい。なお、MD方向とはフィルムの搬送方向であり、TD方向とはフィルムの幅方向である。
<炭化工程>
炭化工程はポリイミドフィルムを室温以上、1600℃以下の温度で熱処理し、炭化フィルムを得る工程である。炭化工程の熱処理最高温度は、最低でも800℃以上が必要であり、好ましくは900℃以上、より好ましくは1000℃以上である。
<黒鉛化工程>
黒鉛化工程は、ポリイミドフィルムまたはポリイミドフィルムを炭化させて得られた炭化フィルムを2400℃以上で熱処理して、グラファイトフィルムを得る工程である。黒鉛化工程は、ポリイミドフィルムを熱処理してもかまわないし、炭化工程後の炭化フィルムを熱処理してもかまわない。黒鉛化工程は、減圧下もしくは不活性ガス中でおこなわれるが、不活性ガスとしてはアルゴン、または、ヘリウムが適当である。熱処理最高温度としては2400℃以上、好ましくは2600℃以上、更に好ましくは2800℃以上である。熱処理最高温度が2400℃以上であれば、熱拡散率の高いグラファイトフィルムが得られる。
<炭化工程、黒鉛化工程のフィルムセット方法>
本発明の炭化工程、および、黒鉛化工程のフィルムセット方法は特に限定されないが、例えば1層または複数層のポリイミドフィルムまたは炭化フィルムを炭素質シートで挟んで保持して熱処理する方法を挙げることができる。ここで炭素質シートとは、東洋炭素(株)社製等方性黒鉛シート(商品名:IG−11、ISEM−3など)、東洋炭素(株)社製C/Cコンポジット板(商品名:CX−26、CX−27など)、SECカーボン(株)社製押し出しグラファイト板(商品名:PSG−12、PSG−332など)、東洋炭素(株)社製膨張黒鉛シート(商品名:PERMA−FOIL(グレード名:PF、PF−R2、PF−UHPL))などが挙げられる。
本発明の熱拡散率の高いグラファイトフィルムの製造方法のより好ましい態様としては、炭化工程、黒鉛化工程でセットするポリイミドフィルムまたは炭化フィルムの1層ずつを炭素質シートと交互に積層する方法が挙げられる。
また、円筒状にポリイミドフィルムまたは炭化フィルムを巻いた状態で熱処理してもよい。
<本発明中の熱処理中の温度>
本発明の熱処理中(炭化工程、黒鉛化工程)の温度は、ヒーター中央の実温度とする。ヒーター温度は、1200℃以下であれば熱電対を使用して、1200℃を超えると放射温度計を使用して測定できる。
<圧縮工程>
黒鉛化後の発泡したグラファイトフィルムに圧縮工程を施してもよい。圧縮工程を施すことによって、グラファイトフィルムに柔軟性を付与することができる。圧縮工程は、面状に圧縮する方法や、金属ロールなどを用いて圧延する方法などを用いることができる。圧縮工程は室温でおこなっても、黒鉛化工程中におこなってもかまわない。
本発明は、以下のように構成することも可能である。
本発明に係るグラファイトフィルムの製造方法は、厚みが34μm以上、42μm以下で、PMDAを70モル%以上含む酸二無水物成分と、ODAを70モル%以上含むジアミン成分を用いて得られる、ケミカルキュア法で作られたポリイミドフィルム、または前記ポリイミドフィルムを炭化させた炭化フィルムを2400℃以上で熱処理することを特徴としている。
本発明の一実施形態は、以下のような構成であってもよい。
〔1〕厚みが38μmであり、かつ、複屈折が0.100以上、0.130以下であるポリイミドフィルム、または前記ポリイミドフィルムを炭化させた炭化フィルムを2400℃以上で熱処理する工程を含み、熱拡散率が9.0cm/s以上であるグラファイトフィルムを得ることを特徴とするグラファイトフィルムの製造方法。
〔2〕厚みが38μmであり、かつ、複屈折が0.100以上、0.130以下であるポリイミドフィルム、または前記ポリイミドフィルムを炭化させた炭化フィルムを2400℃以上で熱処理する工程を含み、前記熱処理する工程は、前記ポリイミドフィルムまたは前記炭化フィルムを炭素質シートと交互に積層した状態にて熱処理することを特徴とするグラファイトフィルムの製造方法。
〔3〕前記熱処理する工程は、前記ポリイミドフィルムまたは前記炭化フィルムの1層ずつを炭素質シートと交互に積層した状態にて熱処理する工程を含むことを特徴とする〔1〕または〔2〕に記載のグラファイトフィルムの製造方法。
〔4〕前記ポリイミドフィルムが、ピロメリット酸二無水物(PMDA)を70モル%以上含む酸二無水物成分と、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)を70モル%以上含むジアミン成分を用いて得られるポリイミドフィルムであることを特徴とする〔1〕〜〔3〕の何れか1つに記載のグラファイトフィルムの製造方法。
〔5〕前記ポリイミドフィルムがケミカルキュア法で作られたことを特徴とする〔1〕〜〔4〕の何れか1つに記載のグラファイトフィルムの製造方法。
〔6〕前記ポリイミドフィルムのMD方向とTD方向の平均延伸率が0.8以上、1.25以下であることを特徴とする〔1〕〜〔5〕の何れか1つに記載のグラファイトフィルムの製造方法。
〔7〕厚みが、14μm以上、18μm以下であり、熱拡散率が、9.0cm/s以上であり、密度が、1.8g/cm以上であることを特徴とする、グラファイトフィルム。
(実施例)
以下において、本発明の種々の実施例をいくつかの比較例と共に説明する。
(厚みの測定)
以下の実施例および比較例において、得られたポリイミドフィルムおよびグラファイトフィルムにおいて、その角の4箇所および中央の1箇所の厚みを(株)ミツトヨ製マイクロメーターを用いて測定した。ここで、「中央の1箇所」とは、得られたポリイミドフィルムおよびグラファイトフィルムにおいて、それぞれの角における4点の測定箇所から対角に位置する測定箇所に対角線を引いた際のその交点の位置を示す。そして、得られた厚みの測定値の平均値をポリイミドフィルムおよびグラファイトフィルムの厚さとした。
(グラファイトフィルムの密度の測定)
以下の実施例および比較例において、得られたグラファイトフィルムの中央部を5cm角に打ち抜き、サンプルを得た。ここで、「中央部」とは、得られたグラファイトフィルムにおいて、幅方向において中央であって、かつ、長手方向においても中央である部分を示す。その後、上記サンプルの重量を測定した。その重量の測定値に基づき、密度=重量/(面積×厚み)の式を用いて、グラファイトフィルムの密度を算出した。
(折り曲げ後のグラファイトフィルムの面方向の熱拡散率測定)
折り曲げ後のグラファイトフィルムの面方向の熱拡散率は、グラファイトフィルムのシート中央部を中心に長手方向にR=2mm、角度90度の曲率を与えた後、平らに戻す作業を10回行い、曲率を与えた部分を、長手方向4mm×幅方向40mmの形状に切り取り、面内の熱拡散率を測定した。
折り曲げの後の熱拡散率の低下量が1.0cm/s未満の場合は「○」、1.0cm/s以上の場合は「×」と評価した。
(キュア法)
以下の記載において、キュア剤として無水酢酸およびイソキノリンを、それぞれ、ポリアミド酸に含まれるカルボン酸基に対して1当量ずつ添加して行ったケミカルキュア法を単に「ケミカルキュア法」と称し、キュア剤として無水酢酸およびイソキノリンを、それぞれ、ポリアミド酸に含まれるカルボン酸基に対して0.7当量ずつ添加して行ったケミカルキュア法を「弱いケミカルキュア法」と称し、キュア剤として無水酢酸およびイソキノリンを、それぞれ、ポリアミド酸に含まれるカルボン酸基に対して0.5当量ずつ添加して行ったケミカルキュア法を「更に弱いケミカルキュア法」と称する。また、キュア剤を用いずに加熱するキュア法を「熱キュア法」と称する。
(実施例1)
<ポリイミドフィルムの製造方法>
100モル%のODAからなるジアミンを溶解したDMF(ジメチルホルムアミド)溶液に、100モル%のPMDAからなる酸二無水物をジアミンと当モル量となるように溶解して、ポリアミド酸を18.5wt%含む溶液を得た。この溶液を冷却しながら、ポリアミド酸に含まれるカルボン酸基に対して、1当量の無水酢酸、1当量のイソキノリン、およびDMFを含むイミド化触媒を添加し脱泡した。次にこの混合溶液が、乾燥後に厚さ34μmになるようにアルミ箔上に塗布し、混合溶液層を得た。アルミ箔上の混合溶液層は、熱風オーブン、遠赤外線ヒーターを用いて乾燥した。
乾燥条件は以下のとおりである。まず、アルミ箔上の混合溶液層を、熱風オーブンで120℃において110秒乾燥して、自己支持性を有するゲルフィルムにした。そのゲルフィルムをアルミ箔から引き剥がし、フレームに固定した。さらに、ゲルフィルムを、熱風オーブンにて120℃で14秒、275℃で18秒、400℃で19秒、450℃で22秒、および遠赤外線ヒーターにて460℃で10秒と段階的に加熱して乾燥した。以上のようにして、厚さ34μmのポリイミドフィルム(複屈折:0.115)を作製した。
<グラファイトフィルムの製造方法>
サイズ200mm×200mmの上記ポリイミドフィルムを、サイズ220mm×220mmの黒鉛シートで挟み(ポリイミドフィルム1枚と黒鉛シートを交互に積層)、窒素雰囲気下で、2℃/minの昇温速度で1000℃まで昇温した後、1000℃で1時間熱処理して炭化した。
その後、室温〜2200℃の温度領域では減圧下、2200℃よりも高い温度領域ではアルゴン雰囲気下で、昇温速度2.5℃/minで2900℃(黒鉛化最高温度)まで昇温した後、2900℃で30分保持してグラファイトフィルムを作製した。得られた180mm×180mmのフィルム1枚を、サイズ200mm×200mm×厚み400μmのPETフィルムで挟み、圧縮成型機を用いて圧縮処理を実施した。加えた圧力は10MPaとした。(実施例1→キュア法:ケミカルキュア法、平均延伸率:1.0)。
(実施例2)
厚み38μmのポリイミドフィルムを用いたことと、乾燥条件を以下のとおりにした以外は、実施例1と同様にしてグラファイトフィルムを作製した。乾燥条件は以下のとおりである。まず、アルミ箔上の混合溶液層を、熱風オーブンで120℃において120秒乾燥して、自己支持性を有するゲルフィルムにした。そのゲルフィルムをアルミ箔から引き剥がし、フレームに固定した。さらに、ゲルフィルムを、熱風オーブンにて120℃で15秒、275℃で20秒、400℃で22秒、450℃で25秒、および遠赤外線ヒーターにて460℃で12秒と段階的に加熱して乾燥した。以上のようにして、厚さ38μmのポリイミドフィルム(複屈折:0.115)を作製した。(実施例2→キュア法:ケミカルキュア法、平均延伸率:1.0)。
(実施例3)
厚み40μmのポリイミドフィルムを用いたことと、乾燥条件を以下のとおりにした以外は、実施例1と同様にしてグラファイトフィルムを作製した。乾燥条件は以下のとおりである。まず、アルミ箔上の混合溶液層を、熱風オーブンで120℃において126秒乾燥して、自己支持性を有するゲルフィルムにした。このゲルフィルムをアルミ箔から引き剥がし、フレームに固定した。さらに、ゲルフィルムを、熱風オーブンにて120℃で16秒、275℃で21秒、400℃で23秒、450℃で26秒、および遠赤外線ヒーターにて460℃で13秒と段階的に加熱して乾燥した。以上のようにして、厚さ40μmのポリイミドフィルム(複屈折:0.115)を作製した。(実施例3→キュア法:ケミカルキュア法、平均延伸率:1.0)。
(実施例4)
厚み42μmのポリイミドフィルムを用いたことと、乾燥条件を以下のとおりにした以外は、実施例1と同様にしてグラファイトフィルムを作製した。乾燥条件は以下のとおりである。まず、アルミ箔上の混合溶液層を、熱風オーブンで120℃において135秒乾燥して、自己支持性を有するゲルフィルムにした。そのゲルフィルムをアルミ箔から引き剥がし、フレームに固定した。さらに、ゲルフィルムを、熱風オーブンにて120℃で17秒、275℃で22秒、400℃で24秒、450℃で28秒、および遠赤外線ヒーターにて460℃で13秒と段階的に加熱して乾燥した。以上のようにして、厚さ42μmのポリイミドフィルム(複屈折:0.115)を作製した。(実施例4→キュア法:ケミカルキュア法、平均延伸率:1.0)。
(実施例5)
ポリイミドフィルムの製造における無水酢酸、イソキノリンおよびDMFを含むイミド化触媒を添加し脱泡する工程において、無水酢酸の添加量をポリアミド酸に含まれるカルボン酸基に対して0.7当量、イソキノリンの添加量をポリアミド酸に含まれるカルボン酸基に対して0.7当量としたこと以外は、実施例2と同様にしてグラファイトフィルムを作製した。実施例5において、厚さ38μmのポリイミドフィルム(複屈折:0.104)が作製された。(実施例5→キュア法:弱いケミカルキュア法、平均延伸率:1.0)。
(実施例6)
ポリイミドフィルムの製造における無水酢酸、イソキノリンおよびDMFを含むイミド化触媒を添加し脱泡する工程において、無水酢酸の添加量をポリアミド酸に含まれるカルボン酸基に対して0.5当量、イソキノリンの添加量をポリアミド酸に含まれるカルボン酸基に対して0.5当量としたこと以外は、実施例2と同様にしてグラファイトフィルムを作製した。実施例6において、厚さ38μmのポリイミドフィルム(複屈折:0.100)が作製された。(実施例6→キュア法:更に弱いケミカルキュア法、平均延伸率:1.0)。
(実施例7)
酸二無水物として、100モル%のPMDAの代わりに、90モル%のPMDAと10モル%のBPDAを用いたこと以外は、実施例2と同様にしてグラファイトフィルムを作製した。実施例7において、厚さ38μmのポリイミドフィルム(複屈折:0.113)が作製された。(実施例7→キュア法:ケミカルキュア法、平均延伸率:1.0)。
(実施例8)
酸二無水物として、100モル%のPMDAの代わりに、70モル%のPMDAと30モル%のBPDAを用いたこと以外は、実施例2と同様にしてグラファイトフィルムを作製した。実施例8において、厚さ38μmのポリイミドフィルム(複屈折:0.110)が作製された。(実施例8→キュア法:ケミカルキュア法、平均延伸率:1.0)。
(実施例9)
酸二無水物として、100モル%のPMDAの代わりに、70モル%のPMDAと30モル%のBPDAを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてグラファイトフィルムを作製した。実施例9において、厚さ34μmのポリイミドフィルム(複屈折:0.110)が作製された。(実施例9→キュア法:ケミカルキュア法、平均延伸率:1.0)。
(実施例10)
酸二無水物として、100モル%のPMDAの代わりに、70モル%のPMDAと30モル%のBPDAを用いたこと以外は、実施例3と同様にしてグラファイトフィルムを作製した。実施例10において、厚さ40μmのポリイミドフィルム(複屈折:0.110)が作製された。(実施例10→キュア法:ケミカルキュア法、平均延伸率:1.0)。
(実施例11)
ジアミンとして、100モル%のODAの代わりに、85モル%のODAと15モル%のPDAを用いたこと以外は、実施例2と同様にしてグラファイトフィルムを作製した。実施例11において、厚さ38μmのポリイミドフィルム(複屈折:0.130)が作製された。(実施例11→キュア法:ケミカルキュア法、平均延伸率:1.0)。
(実施例12)
ジアミンとして、100モル%のODAの代わりに、70モル%のODAと30モル%のPDAを用いたこと以外は、実施例5と同様にしてグラファイトフィルムを作製した。実施例12において、厚さ38μmのポリイミドフィルム(複屈折:0.130)が作製された。(実施例12→キュア法:弱いケミカルキュア法、平均延伸率:1.0)。
(実施例13)
ジアミンとして、100モル%のODAの代わりに、70モル%のODAと30モル%のPDAを用いたこと、および、ポリイミドフィルムの製造における無水酢酸、イソキノリンおよびDMFを含むイミド化触媒を添加し脱泡する工程において、無水酢酸の添加量をポリアミド酸に含まれるカルボン酸基に対して0.7当量、イソキノリンの添加量をポリアミド酸に含まれるカルボン酸基に対して0.7当量としたこと以外は、実施例1と同様にしてグラファイトフィルムを作製した。乾燥条件は以下のとおりである。実施例13において、厚さ34μmのポリイミドフィルム(複屈折:0.130)が作製された。(実施例13→キュア法:弱いケミカルキュア法、平均延伸率:1.0)。
(実施例14)
ジアミンとして、100モル%のODAの代わりに、70モル%のODAと30モル%のPDAを用いたこと、および、ポリイミドフィルムの製造における無水酢酸、イソキノリンおよびDMFを含むイミド化触媒を添加し脱泡する工程において、無水酢酸の添加量をポリアミド酸に含まれるカルボン酸基に対して0.7当量、イソキノリンの添加量をポリアミド酸に含まれるカルボン酸基に対して0.7当量としたこと以外は、実施例3と同様にしてグラファイトフィルムを作製した。実施例14において、厚さ40μmのポリイミドフィルム(複屈折:0.130)が作製された。(実施例14→キュア法:弱いケミカルキュア法、平均延伸率:1.0)。
(実施例15)
酸二無水物として、100モル%のPMDAの代わりに、70モル%のPMDAと30モル%のBPDAを用い、ジアミンとして、100モル%のODAの代わりに、70モル%のODAと30モル%のPDAを用いたこと以外は、実施例5と同様にしてグラファイトフィルムを作製した。実施例15において、厚さ38μmのポリイミドフィルム(複屈折:0.130)が作製された。(実施例15→キュア法:弱いケミカルキュア法、平均延伸率:1.0)。
(実施例16)
酸二無水物として、100モル%のPMDAの代わりに、90モル%のPMDAと10モル%のBPDAを用い、ジアミンとして、100モル%のODAの代わりに、90モル%のODAと10モル%のPDAを用いたこと以外は、実施例2と同様にしてグラファイトフィルムを作製した。実施例16において、厚さ38μmのポリイミドフィルム(複屈折:0.130)が作製された。(実施例16→キュア法:ケミカルキュア法、平均延伸率:1.0)。
(実施例17)
乾燥させる前のゲルフィルムをフレームに固定する工程において、ゲルフィルムをTD方向に0.8倍、MD方向に0.8倍となるように延伸し、フレームに固定した以外は、実施例2と同様にしてグラファイトフィルムを作製した。実施例17において、厚さ38μmのポリイミドフィルム(複屈折:0.108)が作製された。(実施例17→キュア法:ケミカルキュア法、平均延伸率:0.8)。
(実施例18)
乾燥させる前のゲルフィルムをフレームに固定する工程において、ゲルフィルムをTD方向に1.25倍、MD方向に1.25倍となるように延伸し、フレームに固定した以外は、実施例2と同様にしてグラファイトフィルムを作製した。実施例18において、厚さ38μmのポリイミドフィルム(複屈折:0.124)が作製された。(実施例18→キュア法:ケミカルキュア法、平均延伸率:1.25)。
(実施例19)
圧縮処理を3回実施した以外は実施例2と同様にしてグラファイトフィルムを作製した。(実施例19→キュア法:ケミカルキュア法、平均延伸率:1.0)。
(比較例1)
厚み25μmのポリイミドフィルムを用いたことと、乾燥条件を以下のとおりにした以外は、実施例1と同様にしてグラファイトフィルムを作製した。乾燥条件は以下のとおりである。まず、アルミ箔上の混合溶液層を、熱風オーブンで120℃において80秒乾燥して、自己支持性を有するゲルフィルムにした。そのゲルフィルムをアルミ箔から引き剥がし、フレームに固定した。さらに、ゲルフィルムを、熱風オーブンにて120℃で10秒、275℃で13秒、400℃で14秒、450℃で17秒、および遠赤外線ヒーターにて460℃で8秒と段階的に加熱して乾燥した。以上のようにして、厚さ25μmのポリイミドフィルム(複屈折:0.115)を作製した。(比較例1→キュア法:ケミカルキュア法、平均延伸率:1.0)。
(比較例2)
厚み46μmのポリイミドフィルムを用いたことと、乾燥条件を以下のとおりにした以外は、実施例1と同様にしてグラファイトフィルムを作製した。乾燥条件は以下のとおりである。まず、アルミ箔上の混合溶液層を、熱風オーブンで120℃において148秒乾燥して、自己支持性を有するゲルフィルムにした。そのゲルフィルムをアルミ箔から引き剥がし、フレームに固定した。さらに、ゲルフィルムを、熱風オーブンにて120℃で18秒、275℃で25秒、400℃で26秒、450℃で30秒、および遠赤外線ヒーターにて460℃で14秒と段階的に加熱して乾燥した。以上のようにして、厚さ46μmのポリイミドフィルム(複屈折:0.115)を作製した。(比較例2→キュア法:ケミカルキュア法、平均延伸率:1.0)。
(比較例3)
厚み50μmのポリイミドフィルムを用いたことと、乾燥条件を以下のとおりにした以外は、実施例1と同様にしてグラファイトフィルムを作製した。乾燥条件は以下のとおりである。まず、アルミ箔上の混合溶液層を、熱風オーブンで120℃において160秒乾燥して、自己支持性を有するゲルフィルムにした。そのゲルフィルムをアルミ箔から引き剥がし、フレームに固定した。さらに、ゲルフィルムを、熱風オーブンにて120℃で20秒、275℃で27秒、400℃で29秒、450℃で33秒、および遠赤外線ヒーターにて460℃で15秒と段階的に加熱して乾燥した。以上のようにして、厚さ50μmのポリイミドフィルム(複屈折:0.115)を作製した。(比較例3→キュア法:ケミカルキュア法、平均延伸率:1.0)。
(比較例4)
厚み37μm、酸二無水物成分としてPMDAを65モル%、BPDAを35モル%用い、ジアミン成分としてODAを85モル%、PDAを15モル%用いてポリイミドフィルム(複屈折:0.149)を作成した以外は、実施例2と同様にしてグラファイトフィルムを作製した。(比較例4→キュア法:ケミカルキュア法、平均延伸率:1.0)。
(比較例5)
ジアミンとして、100モル%のODAの代わりに、65モル%のODAと35モル%のBPDAを用いたこと以外は、実施例2と同様にしてグラファイトフィルムを作製した。比較例5において、厚さ38μmのポリイミドフィルム(複屈折:0.150)が作製された。(比較例5→キュア法:ケミカルキュア法、平均延伸率:1.0)。
(比較例6)
乾燥させる前のゲルフィルムをフレームに固定する工程において、ゲルフィルムをTD方向に0.7倍、MD方向に0.7倍となるように延伸し、フレームに固定したこと以外は実施例2と同様にしてグラファイトフィルムを作製した。比較例6において、厚さ38μmのポリイミドフィルム(複屈折:0.085)が作製された。(比較例6→キュア法:ケミカルキュア法、平均延伸率:0.7)。
(比較例7)
以下のようにして得られるポリイミドフィルムを用いた以外は、実施例1と同様にしてグラファイトフィルムを作製した。100モル%のODAからなるジアミンを溶解したDMF(ジメチルホルムアミド)溶液に、100モル%のPMDAからなる酸二無水物をジアミンと当モル量となるように溶解して、ポリアミド酸を18.5wt%含む溶液を得た。この溶液を脱泡し、乾燥後に厚さ40μmになるようにアルミ箔上に塗布した。アルミ箔上の混合溶液層は、熱風オーブンを用いて乾燥した。
乾燥条件は以下のとおりである。まず、アルミ箔上の混合溶液層を、熱風オーブンで120℃において5分乾燥して、自己支持性を有するゲルフィルムにした。このゲルフィルムをTD方向に1.5倍、MD方向に1.3倍となるように二軸延伸した後、フレームに固定した。その後、熱風オーブンにて120℃から400℃まで30分かけて昇温して乾燥した。以上のようにして、厚さ40μmのポリイミドフィルム(複屈折:0.090)を作製した。(比較例7→キュア法:熱キュア法、平均延伸率:1.4)。
(比較例8)
乾燥させる前のゲルフィルムをフレームに固定する工程において、ゲルフィルムをTD方向に1.1倍、MD方向に1.1倍となるように延伸した後、フレームに固定した以外は比較例7と同様にしてグラファイトフィルムを作製した。比較例8において、厚さ40μmのポリイミドフィルム(複屈折:0.080)が作製された。(比較例8→キュア法:熱キュア法、平均延伸率:1.1)。
(比較例9)
乾燥後に厚み38μmになるようにポリアミド酸を塗布したことと、延伸をしないことと、乾燥条件を以下の通りにした以外は、比較例7と同様にしてグラファイトフィルムを作製した。乾燥条件は以下のとおりである。まず、アルミ箔上の混合溶液層を、熱風オーブンで120℃において4分45秒乾燥して、自己支持性を有するゲルフィルムにした。このゲルフィルムをフレームに固定した。その後、熱風オーブンにて120℃から400℃まで28分30秒かけて昇温して乾燥した。以上のようにして、厚さ38μmのポリイミドフィルム(複屈折:0.078)を作製した。(比較例9→キュア法:熱キュア法、平均延伸率:1.0)。
(比較例10)
乾燥させる前のゲルフィルムをフレームに固定する工程において、ゲルフィルムをTD方向に1.7倍、MD方向に1.7倍となるように延伸した後、フレームに固定した以外は、比較例9と同様にしてグラファイトフィルムを作製した。比較例10において、厚さ38μmのポリイミドフィルム(複屈折:0.095)が作製された。(比較例10→キュア法:熱キュア法、平均延伸率:1.7)。
以下、実施例、比較例にて得られたグラファイトフィルムの製造条件や物性を表1に示す。
Figure 0006303046
<ポリイミドフィルムの厚み>
実施例1〜4、比較例1〜3を比較する。厚みが34μm以上、42μm以下のポリイミドフィルムを原料に用いた場合、グラファイトフィルムの熱拡散率が9.3cm2/s以上の高い値となった。また、実施例2のように厚み38μmのフィルムを用いた場合に、グラファイトフィルムの熱拡散率は、9.6cm2/sと、特に高い値となった。
一方、比較例1のように厚みが25μmのポリイミドフィルムを用いた場合や、比較例2〜3のようにポリイミドフィルムの厚みが46μm以上の場合は、グラファイトフィルムの熱拡散率が8.9cm2/s以下と低い値となった。
実施例1〜4、実施例8〜10、実施例12〜14より、所望のグラファイトフィルムを得るという観点において、ポリイミドフィルムの厚みの好ましい範囲は同じ傾向を示し、38μmが最も好ましい厚みであることが明らかになった。
<複屈折>
実施例1〜19では、ポリイミドフィルムの複屈折の値が、0.100以上、0.130以下の値となった。そして、実施例1〜19のポリイミドフィルムを用いた場合、熱拡散率が高い(具体的には、熱拡散率の値が、9.0以上)グラファイトフィルムを得ることができた。
比較例4および5では、ポリイミドフィルムの複屈折の値が、0.100以上、0.130以下の値にならなかった(具体的には、0.149以上)。そして、比較例4および5のポリイミドフィルムを用いた場合、熱拡散率が低い(具体的には、熱拡散率の値が、8.6以下)グラファイトフィルムしか得られなかった。
比較例6〜10では、ポリイミドフィルムの複屈折の値が、0.100以上、0.130以下の値にならなかった(具体的には、0.095以下)。そして、比較例6および10のポリイミドフィルムを用いた場合、熱拡散率が低い(具体的には、熱拡散率の値が、8.0以下)グラファイトフィルムしか得られなかった。
<グラファイトフィルムの圧縮処理>
実施例19と他の実施例(特に実施例2)を比較する。実施例19においては、ポリイミドフィルムを熱処理して得られたグラファイトフィルムに対し、圧縮処理を3回(実施例2においては1回)実施している。表1の記載から、最終的に得られたグラファイトフィルムの密度が、2.07g/cmまで上昇していること、および、最終的に得られたグラファイトフィルムの熱拡散率が実施例2にて得られたグラファイトフィルムの熱拡散率と同じ値(9.6cm2/s)を示すことが分かった。すなわち、圧縮処理を複数回実施することによって最終的に得られたグラファイトフィルムの密度を高くした場合であっても、熱拡散率が高い値のグラファイトフィルムが得られることが分かった。また、いずれのグラファイトフィルムにR=2mmの曲率を与えた場合でも、熱拡散率は変化しなかった。
本発明における方法にて製造されるグラファイトフィルムは、小型の電子機器等に搭載され得る放熱部品として一般に用いられる従来のグラファイトフィルムよりも、高い熱拡散性を有し、熱伝導性に優れている。
それゆえに、本発明における方法にて製造されるグラファイトフィルムは、電子機器等の放熱材料、放熱部品として用いられる。

Claims (6)

  1. 厚みが34μm以上、42μm以下であり、かつ、複屈折が0.100以上、0.130以下であるポリイミドフィルム、または前記ポリイミドフィルムを炭化させた炭化フィルムを2400℃以上で熱処理する工程を含み、
    前記熱処理する工程は、前記ポリイミドフィルムまたは前記炭化フィルムの1層ずつを炭素質シートと交互に積層した状態にて熱処理する工程を含み、
    熱拡散率が9.0cm/s以上であるグラファイトフィルムを得ることを特徴とするグラファイトフィルムの製造方法。
  2. 前記ポリイミドフィルムの厚みが38μmであることを特徴とする、請求項1に記載のグラファイトフィルムの製造方法。
  3. 前記ポリイミドフィルムが、ピロメリット酸二無水物(PMDA)を70モル%以上含む酸二無水物成分と、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)を70モル%以上含むジアミン成分を用いて得られるポリイミドフィルムであることを特徴とする請求項1または2に記載のグラファイトフィルムの製造方法。
  4. 前記ポリイミドフィルムがケミカルキュア法で作られたことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のグラファイトフィルムの製造方法。
  5. 前記ポリイミドフィルムのMD方向とTD方向の平均延伸率が0.8以上、1.25以下であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のグラファイトフィルムの製造方法。
  6. 厚みが、14μm以上、18μm以下であり、
    熱拡散率が、9.0cm/s以上であり、
    密度が、1.8g/cm以上であることを特徴とする、グラファイトフィルム。
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