JPWO2018070476A1 - グラファイトフィルムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、外観および熱拡散率に優れたグラファイトフィルムを製造する方法を提供することにある。本発明は、下記式(1)で表される加熱減量率Xが、0.13%以上10%以下であるポリイミドフィルムを用意する工程と、該ポリイミドフィルムを熱処理してグラファイト化する工程とを含むグラファイトフィルムの製造方法によって上記課題を解決しうる。加熱減量率X=(b−a)/a 式(1)(式中、aは400℃で15分加熱後のフィルム質量、bは150℃で15分加熱後のフィルム質量を表す。)。

Description

本発明は、外観に優れ、かつ、熱拡散率にも優れるグラファイトフィルムの製造方法に関する。
グラファイトフィルムは、電子機器、精密機器などの放熱フィルムやヒートスプレッダ材料として使用されている。グラファイトフィルムは、カーボンが層状構造をとっているため、グラファイトフィルムの面内の熱伝導率が非常に高く、熱拡散性に優れ、かつ、質量も軽い。また、グラファイトフィルムは、高い電気伝導性を持つ材料であり、耐屈曲性にも優れるので、上記用途で好まれて使用されている。
グラファイトフィルムを製造する方法としては種々あるが、その1種である高分子をグラファイト化する方法は、簡便である。同方法を用いると、熱伝導性や電気伝導性に優れたグラファイトフィルムが得られることから、同方法は、上記用途により適した方法である。同方法としては、特許文献1に記載されるような、ポリオキサジアゾール、ポリイミド、ポリフェニレンビニレン、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリチアゾール、またはポリアミド等の高分子フィルムを、アルゴン、ヘリウム等の不活性雰囲気下や減圧下で熱処理してグラファイトフィルムを得る方法等が知られている。
このうち、ポリイミドフィルムを高温で熱処理しグラファイト化する方法として、特許文献2には、複屈折率が0.12以上であるポリイミドフィルムを2400℃以上の温度で熱処理するステップを含むグラファイトフィルムを製造する方法が開示されている。この方法は、ポリイミドフィルムの分子配向に着目したものであり、ポリイミドの分子が面内に配向しているほど、グラファイト化するための最高温度を低く抑えることができ、熱処理時間も短くすることができるというものである。また、特許文献2には、分子配向の優れたポリイミドフィルムとして、線膨張係数の小さいポリイミドフィルムを用いることが開示され、そのようなポリイミドフィルムの好ましい組成としては、酸二無水物成分としてp−フェニレン(トリメリット酸モノエステル酸二無水物)、ピロメリット酸二無水物を、ジアミン成分として4,4’−オキシジアニリン、p−フェニレンジアミンを使用することが好ましいと記載されている。
電気伝導率や熱伝導率などの優れた品質を有するグラファイトフィルムを製造するために様々な取り組みがなされており、特許文献3に開示されるような巻き芯に長尺のポリイミドフィルムを巻き付けて炭化させる方法、特許文献4に開示されるような連続炭化装置を用いて、高分子フィルムを連続的に搬送しながら厚み方向に圧力をかけて炭素質フィルムを得て、これを高温で加熱処理してグラファイト化する方法が知られている。
一方、ポリイミドフィルムの最も典型的な使用例はフレキシブルプリント配線板(以下FPC)の基板である。FPC用としてのポリイミドフィルムの最も重要な課題は、寸法安定性である。FPCとして加工した後の寸法変化が大きくなると、設計時の部品搭載位置から回路の位置がずれてしまうなどの問題が発生し、搭載しようとする部品とFPCとの接続がとれなくなるという問題が発生するためである。
このような問題を解決するために、FPC用途として用いられるポリイミドフィルムは、その熱膨張係数や、吸湿膨張係数、加熱収縮率が小さいことがよいと考えられている。例えば、特許文献5には、200℃×1時間での加熱収縮率が0.10%以下であるポリイミドフィルムが開示されている。
また、FPCの基板として、引張強度などの機械特性を満足するポリイミドフィルムを生産性よく製造する方法として、ポリアミド酸組成物を、支持体上で少なくとも2水準以上の温度水準で連続的に加熱する方法が特許文献6に開示され、このようにして得られるポリイミドフィルムの加熱減量率は小さいものとなっている。
特開昭61−275116号公報 国際公開第2005/023713号 国際公開第2010/029761号 国際公開第2014/046187号 特開2007−196670号公報 特開2002−283369号公報
ポリイミドフィルムを高温で加熱処理する場合、ポリイミドフィルムの種類によっては、加熱処理条件を適切に選択しないと、外観に優れたグラファイトフィルムが得られないという問題が生じる場合があった。また、得られたグラファイトフィルムが、グラファイトフィルムとして求められる熱拡散率に劣ったりするという問題が生じる場合があった。特に、分子配向に優れるポリイミドフィルムを加熱処理する場合には、良質なグラファイトフィルムを得るための加熱処理条件が限定される場合があった。
また、ポリイミドフィルムを高温で加熱処理してグラファイト化する方法として、様々な取り組みがなされているが、多くは、ポリイミドフィルムを加熱処理する際の条件に着目されたものであり、原料であるポリイミドフィルムに着目した検討、例えば、ポリイミドフィルムとしてどのようなものを選択すれば、これを加熱処理してグラファイトフィルムにした場合の外観および熱拡散率が優れるか、といった検討は十分になされていない。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、特定のポリイミドフィルムを用いた新規な製造方法を採用することで、外観および熱拡散率に優れたグラファイトフィルムを得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明の一実施形態は以下の構成を包含する。
1)下記式(1)で表される加熱減量率Xが、0.13%以上10%以下であるポリイミドフィルムを用意する工程と、該ポリイミドフィルムを熱処理してグラファイト化する工程とを含むことを特徴とする、グラファイトフィルムの製造方法。
加熱減量率X=(b−a)/a 式(1)
(式中、aは400℃で15分加熱後のフィルム質量、bは150℃で15分加熱後のフィルム質量を表す。)
2)400℃で15分加熱後の加熱収縮率が0.30%以上であるポリイミドフィルムを用意する工程と、該ポリイミドフィルムを熱処理してグラファイト化する工程とを含むことを特徴とする、グラファイトフィルムの製造方法。
3)前記ポリイミドフィルムは、ピロメリット酸二無水物を含む酸二無水物と、4,4’−オキシジアニリンおよびパラフェニレンジアミンの少なくとも1種を含むジアミンとからなることを特徴とする、1)または2)記載のグラファイトフィルムの製造方法。
4)前記ポリイミドフィルムは、4,4’−オキシジアニリンおよびパラフェニレンジアミンを全ジアミン中90%以上含有し、かつ、4,4’−オキシジアニリンとパラフェニレンジアミンとの割合が100:0〜70:30であることを特徴とする、3)記載のグラファイトフィルムの製造方法。
5)前記ポリイミドフィルムは、4,4’−オキシジアニリンおよびパラフェニレンジアミンを全ジアミン中90%以上含有し、かつ、4,4’−オキシジアニリンとパラフェニレンジアミンとの割合が100:0〜80:20であることを特徴とする、3)記載のグラファイトフィルムの製造方法。
6)前記グラファイト化する工程は、炭素化する工程と、炭素化する工程で得られた炭素化フィルムをさらに高温で加熱する工程とを含み、炭素化の昇温速度が、5℃/分以下であることを特徴とする、1)〜5)のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法。
本発明の一態様におけるグラファイトフィルムの製造方法により、外観に優れ、かつ、熱拡散率に優れたグラファイトフィルムを得ることができる。
(1.グラファイトフィルムの製造方法)
本発明の一態様において、グラファイトフィルムの製造方法は、下記式(1)で表される加熱減量率Xが、0.13%以上10%以下であるポリイミドフィルムを用意する工程を含む。
加熱減量率X=(b−a)/a 式(1)
(式中、aは400℃で15分加熱後のフィルム質量、bは150℃で15分加熱後のフィルム質量を表す。)。
上記加熱減量率の測定は、以下のようにして行う。5cm角に切り出したポリイミドフィルムと、それが入る大きさの開口のアルミの容器を準備する。アルミ容器にポリイミドフィルムを入れたのち、アルミ容器ごと150℃のオーブンに入れ、15分後に取り出す。室温で冷却したのち電子天秤で質量を測定し、これを150℃で15分加熱後のフィルム質量とする。次に、オーブンを400℃に熱し、前述のポリイミドフィルムの入ったアルミ容器をオーブンに入れる。15分後に取り出して室温で冷却したのち、電子天秤で質量を測定し、これを400℃で15分加熱後のフィルム質量とする。
また、本発明の別の態様において、グラファイトフィルムの製造方法は、加熱収縮率が0.30%以上であるポリイミドフィルムを用意する工程を含む。
上記加熱収縮率の測定は、200mm×200mmの大きさにポリイミドフィルムを切り出し、MD方向(Machine Direction、すなわちフィルム製造時の流れ方向)とTD方向(Transverse Direction、すなわちMD方向に直交する、フィルムの幅方向)の寸法を測定する。次に、このポリイミドフィルムを400℃で15分間加熱し、室温で冷却した後のMD方向とTD方向の寸法を再度測定する。各々の変化率を求め、MD方向とTD方向の変化率の平均をフィルムの加熱収縮率とする。
ポリイミドフィルムは、グラファイトフィルムの原料として用いられている。ポリイミドフィルムの典型的な使用例はFPC用基板であり、FPC基板として用いるために求められる寸法安定性、絶縁特性、機械特性などを満足するために様々な研究がなされている。そして、優れた寸法安定性を有するFPC用のポリイミドフィルムとして、株式会社カネカ製アピカル(登録商標)、東レ・デュポン株式会社製カプトン(登録商標)、宇部興産株式会社製ユーピレックス(登録商標)等が、広くこの分野で使用されている。グラファイトフィルムの原料として用いるポリイミドフィルムも、FPC用のものを転用している場合が多く、良質なグラファイトを得るための研究としては、炭素化やその後の高温での加熱処理の条件に関する場合が多い。
一方、ポリイミドフィルムから検討したものとしては、複屈折率が0.12以上である、ポリイミドが面内に配向したポリイミドフィルムをグラファイト化すると、他の高分子フィルムを用いた場合に比べて、比較的低温・短時間でのグラファイト化が可能となることが知られている。
本発明者らは、上記優れた配向を示すポリイミドフィルムを、加熱温度や昇温プロファイル、枚葉的または連続的など、さまざまに条件を変えてグラファイトフィルムを作成したところ、配向に優れたポリイミドフィルムを熱処理すると、確かに良質なグラファイトフィルムが得られること、および配向に優れたポリイミドフィルムを熱処理する際の加熱処理条件によっては、外観不良が発生したり、熱拡散率が不十分になる場合があること、がわかった。
そこで、上記の課題を解決するために、ポリイミドフィルムとしての特性にも着目し、ポリイミドフィルム自体を製造するところから検討を行った。種々の異なるポリイミドフィルムを作成して、グラファイト化を試み、加熱処理のプロセスウインドウを広くできないかを検討した。具体的には、ポリイミドフィルムの組成に変更を加えるのみならず、フィルムを製造する中間工程で得られるゲルフィルムの調整、ゲルフィルムをさらに高温で加熱してポリイミドフィルムを製造する工程での各種条件を変更して様々なフィルムを取得し、これをグラファイト化した。
その結果、(1)最終的に得られるポリイミドフィルムにある程度の揮発成分が存在するほうが、良質のグラファイトフィルムが得られること、および(2)加熱収縮率がある程度は存在し、特定の範囲内にあるほうが、良質のグラファイトフィルムが得られることを見出した。
特に、FPC用のポリイミドフィルムであれば、寸法安定性や機械特性に優れることは必須の備えるべき特性であるところ、本発明者らは、グラファイトフィルムを製造する上では、それらは必ずしも必要ではなく、むしろ、ポリイミドフィルムに揮発成分や加熱収縮率が存在することがグラファイト化する上では望ましいことを見出したのである。
これらの知見に基づいて、本発明者らは、より良質なグラファイトフィルム得るための製造方法として、特定の加熱減量率を有するポリイミドフィルムを用意し、次いで、これをグラファイト化する方法を見出した。従って、本発明の一態様において用いられるポリイミドフィルムは、加熱減量率が0.13%以上10%以下である。
本発明者らはさらに検討を進め、配向性の優れたポリイミドフィルムが、グラファイト化の加熱処理条件によって、外観不良が発生したり、熱拡散率が不十分になる場合があるのは、グラファイト化する際の加熱により配向が進み、発生するガスが内部に閉じ込められ抜け切れないために層が破壊されて起こるのが原因ではないかと考えた。グラファイト化する際の昇温速度を早くして、加熱処理時間を短縮できる場合には、グラファイトの配向がある程度ゆっくり進行するために良質なグラファイトになるが、配向が進行するような条件で加熱すると不具合が生じる場合が発生すると推測した。そこで、ある程度揮発成分が残存した状態のポリイミドフィルムを作製してこれをグラファイト化すれば、加熱処理に際してまず残存揮発成分が蒸発することで、一種のガス成分の通り道が作られながら炭化されると考えた。すなわち、予め揮発成分が蒸発することで作り出される抜け道をガス成分が通過することで、外観不良が発生せず、良質なグラファイトが得られると考えたのである。そこで、種々製造条件を変更してポリイミドフィルムを作成し、それをグラファイト化して、外観および熱拡散率を調べたところ、加熱減量率が0.13%以上であれば、それらの特性が向上する傾向にあることが実験的に確認できた。本発明の一態様において、加熱減量率の下限値は、上記の通り、実験的に確認して設定したものである。
一方、加熱減量率の上限値は、得られるグラファイトフィルムの外観および熱拡散率の観点からは特に制限されない。しかし、ポリイミドフィルムに含まれる揮発成分があまりに多いと、揮発分による炉の汚染や、揮発分への引火などの不具合が発生する場合があるため、加熱減量率の上限値は、好ましくは、10%以下である。
上記の理由により、本発明の一態様において、ポリイミドフィルムの加熱減量率は、好ましくは0.15%以上10%以下であり、より好ましくは0.20%以上5%以下、さらに好ましくは1.5%以上5%以下である。
本発明者らは、また、より良質なグラファイトフィルム得るための別の方法として、特定の加熱収縮率を有するポリイミドフィルムを用意し、次いで、これをグラファイト化する方法を見出した。本発明者らは、種々製造条件を変更してポリイミドフィルムを作成し、それをグラファイト化して、外観および熱拡散率を調べたところ、加熱収縮率が0.30%以上であれば、それらの特性が向上する傾向にあることが実験的に確認できた。本発明の一態様において、加熱収縮率の下限値は、上記の通り、実験的に確認して設定したものである。加熱収縮率が所定の値以上であるポリイミドフィルムを使用すると、より良質なグラファイトフィルムが得られる理由は定かではない。本発明者らは、その理由として、炭化時に面方向にある程度大きく収縮することで、分子配向が乱れ、一種のガス成分の通り道が作られながら炭化されるため、と推測している。
上記の理由により、本発明の一態様において、ポリイミドフィルムの加熱収縮率は、好ましくは0.30%以上であり、より好ましくは0.50%以上であり、さらに好ましくは0.80%以上である。
一方、加熱減量率の上限値は、得られるグラファイトフィルムの外観および熱拡散率の観点からは特に制限されないが、通常のポリイミドの製造プロセスで制御できる値としては、5%が適当である。
本発明の一態様において、グラファイトフィルムの製造方法は、下記式(1)で表される加熱減量率Xが、0.13%以上10%以下であり、かつ、加熱収縮率が0.30%以上であるポリイミドフィルムを用意する工程と、該ポリイミドフィルムを熱処理してグラファイト化する工程とを含むことが好ましい。
加熱減量率X=(b−a)/a 式(1)
(式中、aは400℃で15分加熱後のフィルム質量、bは150℃で15分加熱後のフィルム質量を表す。)。
また、ポリイミドフィルムの厚みに関して、一般に、ポリイミドフィルムの厚みが小さいほど、グラファイトフィルムの外観はよいものが得られる。一方、ポリイミドフィルムの厚みが大きくなると、炭化する際に発生するガスの発生量が多くなり、このために、外観が良好で、熱拡散率に優れるグラファイトフィルムを得ることが難しくなる傾向にある。これは、炭化処理の昇温速度を適宜調整したとしても同様である。しかし、本発明の一態様では、上述のとおり、特定の加熱減量率または加熱収縮率を有するポリイミドフィルムを用いてグラファイトを製造することにより、発生するガスが抜けやすくなるので、厚みの大きいポリイミドフィルムを用いて、良質な肉厚のグラファイトフィルムを得ることができるという利点を有する。そこで、本発明の一態様において用いられるポリイミドフィルムの厚みは、好ましくは25μm以上であり、より好ましくは50μm以上であり、さらに好ましくは60μm以上である。
(2.ポリイミドフィルム)
以下、本発明の一態様において用いられるポリイミドフィルムの製造方法の一例について詳述する。
本発明の一態様において用いられるポリイミドフィルムは、ポリイミドの前駆体であるポリアミック酸(「ポリアミド酸」とも称する。)の溶液から製造される。ポリアミック酸は、通常、少なくとも1種の芳香族酸二無水物と少なくとも1種の芳香族ジアミンとを、実質的等モル量を有機溶媒中に溶解させて、得られたポリアミド酸有機溶媒溶液を、制御された温度条件下で、上記芳香族酸二無水物と芳香族ジアミンとの重合が完了するまで攪拌することによって製造される。これらのポリアミド酸溶液は通常15〜25質量%の濃度で得られる。この範囲の濃度である場合に適当な分子量と溶液粘度を得ることができる。
続いて、上記で得られたポリアミド酸をイミド化することにより、ポリイミドが得られる。本発明の一態様において、ポリアミド酸のイミド化(すなわち、ポリイミドの製造)は、熱的キュア法で行ってもよいし、化学キュア法で行ってもよい。本発明の一態様におけるイミド化には、化学キュア法が好適に用いられる。化学キュア法とは、ポリアミド酸有機溶媒溶液に、無水酢酸等の酸無水物に代表される脱水剤と、β−ピコリン、イソキノリン、ピリジン等の第三級アミン類等に代表される閉環触媒とを作用させる方法である。化学キュア法に熱キュア法を併用してもよい。イミド化の反応条件は、ポリアミド酸の種類、フィルムの厚み等により、変動し得る。
ここで、ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸に用いられる材料について説明する。
本発明の一態様において、ポリアミド酸の製造に使用される適当な酸無水物は、ピロメリット酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、オキシジフタル酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、エチレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、ビスフェノールAビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)及びそれらの類似物を含み、これらを単独、または任意の割合で用いた混合物が好ましく用いられ得る。
本発明の一態様において、ポリアミド酸の製造に使用される適当なジアミンは、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ベンジジン、3,3’−ジクロロベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−オキシジアニリン、3,3’−オキシジアニリン、3,4’−オキシジアニリン、1,5−ジアミノナフタレン、4,4’−ジアミノジフェニルジエチルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルエチルホスフィンオキシド、4,4’−ジアミノジフェニルN−メチルアミン、4,4’−ジアミノジフェニル N−フェニルアミン、1,4−ジアミノベンゼン(p−フェニレンジアミン)、1,3−ジアミノベンゼン、1,2−ジアミノベンゼン、及びそれらの類似物を含み、これらを単独、または任意の割合で含む混合物が好ましく用いられ得る。
上記の中で、フィルムに製膜した場合に配向しやすい分子を与える酸二無水物としては、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)が挙げられる。従って、これらの酸二無水物を使用したポリイミドフィルムにおいては、通常、グラファイト化する工程の加熱条件が限定される場合がある。しかし、本発明の一態様における所定の加熱減量率または加熱収縮率を有するポリイミドフィルムを用いることにより、グラファイト化する工程の加熱条件を選ばず、良質なグラファイトフィルムを得ることができる。具体的には、ポリイミドフィルムをグラファイト化する工程、特に炭化する工程の昇温速度が速い場合のみならず、遅い場合であっても、良好な物性のグラファイトフィルムを得ることができるという有利な効果を奏することができる。
またジアミン成分では、4,4’−オキシジアニリン(ODA)およびp−フェニレンジアミン(PDA)の少なくとも1種を用いる場合に、より良質なグラファイトを得ることができるという効果を奏する。またこれらのジアミン成分を併用すると、フィルムに製膜した際に配向しやすい分子を与える傾向にあるので、通常、グラファイト化する工程の加熱条件が限定される場合がある。しかし、本発明の一態様における所定の加熱減量率または加熱収縮率を有するポリイミドフィルムを用いることにより、グラファイト化する工程の加熱条件を選ばず、良質なグラファイトフィルムを得ることができる。具体的には、ポリイミドフィルムをグラファイト化する工程、特に炭化する工程の昇温速度が速い場合のみならず、遅い場合であっても、良好な物性のグラファイトフィルムを得ることができるという有利な効果を奏することができる。ジアミン成分の併用に関して、特には、4,4’−オキシジアニリンおよびパラフェニレンジアミンを全ジアミン中90%以上含有し、かつ、4,4’−オキシジアニリンとパラフェニレンジアミンとの割合が、100:0〜70:30が好ましく、100:0〜80:20であることがより好ましい。
ポリアミド酸を合成するための好ましい溶媒はアミド系溶媒であり、とりわけ、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルフォルムアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどが好ましく用いられ得る。
本発明の一態様において、化学キュア法によりポリアミド酸のイミド化を行う際に用いられる脱水剤は、例えば、脂肪族酸無水物、芳香族酸無水物、N,N−ジアルキルカルボジイミド、低級脂肪族ハロゲン化物、ハロゲン化低級脂肪族ハロゲン化物、ハロゲン化低級脂肪酸無水物、アリールホスホン酸ジハロゲン化物、チオニルハロゲン化物またはそれら2種以上の混合物が挙げられる。それらのうち、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸等の脂肪族無水物またはそれらの2種以上の混合物が、好ましく用い得る。脱水剤の量としては、ポリアミド酸有機溶媒溶液100質量部に対して1〜80質量部、好ましくは5〜70質量部、より好ましくは10〜50質量部の割合で用いられ得る。
また、ポリアミド酸のイミド化を効果的に行うためには、脱水剤と閉環触媒とを同時に用いることが好ましい。閉環触媒としては脂肪族第三級アミン、芳香族第三級アミン、複素環式第三級アミン等が用いられる。それらのうち複素環式第三級アミンから選択されるものが特に好ましく用い得る。具体的にはキノリン、イソキノリン、β−ピコリン、ピリジン等、およびこれらの混合物が好ましく用いられる。触媒の量としてはポリアミド酸有機溶液100質量部に対して0.1〜30質量部、好ましくは0.5〜20質量部、より好ましくは1〜15質量部の割合で用いられ得る。触媒の量が少なすぎるとイミド化率が好適な範囲よりも小さくなる傾向があり、多すぎると硬化が速くなり、支持体上に流延するのが困難となる。
ポリアミド酸のイミド化を脱水剤と閉環触媒とを用いて行うことは、上述のようにポリイミドフィルムを製造する上では好ましい。ここで、脱水剤と閉環触媒とを用いた化学的なイミド化は、最終的に得られるポリイミドフィルムの配向が進行しやすくなる傾向にあるので、化学的にイミド化して得られるフィルムを用いた場合に、より本発明の効果を顕著に奏することができる。
以下、ポリイミドの製造方法の一例を具体的に説明する。但し、本発明におけるポリイミドの製造方法が以下の方法に限定されないことは言うまでもない。
脱水剤及び閉環触媒を低温でポリアミド酸の有機溶媒溶液中に混合し、続いてこのポリアミド酸有機溶媒溶液を、ガラス板、アルミ箔、金属製エンドレスベルト、金属製ドラムなどの支持体上にキャストして樹脂膜とする。支持体上で加熱することにより、ポリアミド酸有機溶媒溶液を部分的に硬化及び/または乾燥させる。このとき、ポリアミド酸有機溶媒溶液を部分的に硬化及び/または乾燥させるために、熱風、遠赤外線輻射熱等を与えてもよいし、支持体そのものを加熱してもよい。また、熱風、遠赤外線放射熱等を与える手法と、支持体そのものを加熱する手法とを組み合わせることができる。加熱によりキャストされた樹脂膜は、自己支持性のある半硬化フィルム(いわゆる、ゲルフィルム)となり、支持体より剥離される。このゲルフィルムは、ポリアミド酸からポリイミドへの硬化の中間段階にあり(すなわち、部分的にイミド化されて自己支持性を有し)、溶媒等の残揮発成分を含む。ゲルフィルムのイミド化率は、赤外線吸光分析法を用いて、下記式
イミド化率(%)=(A/B)×100/(C/D)
(式中、A、B、C、Dは以下のものを表す。)
A:ゲルフィルムの1370cm−1の吸収ピークの高さ
B:ゲルフィルムの1500cm−1の吸収ピークの高さ
C:ポリイミドフィルムの1370cm−1の吸収ピークの高さ
D:ポリイミドフィルムの1500cm−1の吸収ピークの高さ
で算出され、この値が50%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上の範囲にある。上述の「ポリアミド酸有機溶媒溶液を部分的に硬化及び/または乾燥(すなわち、部分的なイミド化)」とは、この範囲にあることが好ましい。この範囲を下回ることにより、支持体よりゲルフィルムがはがれにくくなる、などの問題が生じる場合がある。
また、ゲルフィルムの残揮発成分率は、下記式
(E−F)×100/F(%)
(式中E、Fは以下のものを表す。)
E:ゲルフィルムの質量
F:ゲルフィルムを450℃で20分間加熱した後の質量
で算出され、この値が50〜300%の範囲、好ましくは80〜250%、より好ましくは100〜200%の範囲にある。この範囲のフィルムを用いることが好適であり、これより高い残揮発成分率であるゲルフィルムを用いると、自己支持性に乏しく、ゲルフィルムを加熱炉へ搬送する際に伸びたり破断するおそれがあり、安定的に生産することができない。
なお、ポリイミドフィルムの加熱収縮率は、ゲルフィルムの残揮発成分率を高めに設定すると大きくなる傾向にある。
脱水剤及び閉環触媒の量、並びに支持体上での乾燥温度を変えることで、加熱減量率および加熱収縮率をコントロールすることができる。支持体上での乾燥温度を低くすると、その後の加熱炉での温度条件にもよるが、加熱減量率あるいは加熱収縮率を大きくすることができる。
さらに前記ゲルフィルムを加熱して残存する溶媒を除去(乾燥)させるとともに硬化(イミド化)を完了させる。このとき、乾燥および硬化時のゲルフィルムの収縮を回避するために、ゲルフィルムの端部をピンまたはテンタークリップ等でテンターフレームに把持しつつ、加熱炉へと搬送する。
この加熱炉での搬送条件を種々変更することにより、加熱減量率を調整することができる。ポリイミドフィルムの製造に好適に用いられる加熱炉は、フィルム上面もしくは下面、或いは、両面から熱風をフィルム全体に噴射して加熱する方式の熱風炉、もしくは、遠赤外線を照射してフィルムを焼成する遠赤外線発生装置を備えた遠赤外線炉が用いられる。加熱工程においては、段階的に温度を上げて焼成することが好ましく、その為に、熱風炉、遠赤外線炉、または熱風炉と遠赤外線炉とを混在させながら数台連結して焼成する段階式の加熱炉を用いることがポリイミドフィルムの製造においては好ましい。
炉内に搬送した際の最初に与えられる加熱温度は、ポリイミドフィルムの種類及び溶剤の揮発温度を考慮して決定することが好ましいが、通常、FPC基板用に用いるポリイミドフィルムを製造する場合には、60℃以上300℃以下であることが好ましい。本発明の一態様で用いるポリイミドフィルムの製造においては、通常、設定される温度よりも低めの温度で加熱することで、加熱減量率および加熱収縮率をコントロールすることができる。
初期温度は、270℃以下であることが好ましいが、次炉以降の温度も低めの温度を設定することによって、加熱減量率および加熱収縮率をコントロールすることができる。
最終的にポリイミドフィルムの加熱減量率を小さくするという観点からは、熱風炉と遠赤外線炉とを混在させながら数台連結して焼成するやり方が一般的であり、特に、遠赤外線炉は、熱運動により分子に入り込んだ溶媒類も揮発させることができるので、通常のポリイミドフィルムの製造においては好んで使用される。ポリイミドフィルム中に溶媒類が残存すると、これと銅箔とを接着剤を介して積層しようとしても、剥離がおきるなどの弊害が生じる場合があるからである。従って、FPC用のポリイミドフィルムを製造する場合には、熱風炉と遠赤外線炉とを混在させながら数台連結して焼成する。
このように、遠赤外線炉の使用は加熱減量率を小さくする上で最も簡便な方法である。FPC用のポリイミドフィルムを製造する場合の典型的な遠赤ヒーターの設定温度は、500℃以上、好ましくは600℃以上である。しかし、本発明で用いるポリイミドフィルムは、加熱減量率のある程度大きいものを用いるため、遠赤外線炉を使用しないか、低めに設定して製造されることが好ましい。遠赤外線炉を使用する場合のヒータ設定温度は、好ましくは400℃以下、より好ましくは350℃以下である。
また、加熱減量率はラインスピードを変更することによってもコントロール可能である。ラインスピードが速くなると加熱減量率が大きくなり、遅くなると小さくなる傾向にある。したがって、連結される各炉の温度は、ラインスピードとの関係を考慮しながら、目的とする加熱減量率のポリイミドフィルムが得られるように設定する。
炉内に搬送される際のゲルフィルムに与えるMD方向に与えられる張力はフィルム1mあたりにかけられる張力(荷重)を算出することで計算され、1〜50kgf/mであることが好ましく、1〜30kgf/mであることがより好ましい。張力が1kgf/m以下の場合にはフィルムを安定して搬送することが難しく、フィルムを把持して安定したフィルムが製造しにくくなる傾向にある。
炉内に搬送されるゲルフィルムに与える張力発生装置としては、ゲルフィルムに張力をかける荷重ロールを用いる方式、ロールの回転速度を調整して張力を変化させる方式、ゲルフィルムを2つのロールで挟み込み張力の制御を行うニップロールを用いる方式等の種々の方法を用いてゲルフィルへの張力を調整することができる。
また、加熱収縮率も上記の加熱炉の条件を調整することにより、大きくできる。例えば、搬送される際のゲルフィルムに与えるMD方向に与えられる張力が大きいほうが加熱収縮率は大きくなる。例えば、上記張力は、5kgf/m以上であることが好ましい。
ポリイミドフィルムの加熱減量率および加熱収縮率は、上述したような方法で簡便に測定することが可能である。それ故、ポリイミドフィルムの製造条件、特に、支持体上での乾燥温度、ゲルフィルムの残揮発成分量、加熱炉の温度、フィルム搬送張力やラインスピードを種々変更して、目的とする加熱減量率または加熱収縮率を持つフィルムとなっているか確認して、最終的なフィルム製造条件を適宜設定すればよい。このようにして、本発明の一態様では、加熱減量率が0.13%以上10%以下であるポリイミドフィルムを用意し、これをグラファイト化することにより、外観に優れ、かつ、熱拡散率に優れたグラファイトフィルムを提供することができる。また本発明の別の態様では、加熱収縮率が0.30%以上であるポリイミドフィルムを用意し、これをグラファイト化することにより、外観に優れ、かつ、熱拡散率に優れたグラファイトフィルムを提供することができる。
(3.グラファイト化工程)
本発明の一態様において、グラファイト化の工程は、炭素化する工程と、炭素化する工程で得られた炭素化フィルムをさらに高温で加熱する工程とを含むことが好ましい。また、本発明の一態様において、グラファイト化の工程における炭素化する工程が、5℃/分以下の炭素化の昇温速度で行われることが好ましい。
本発明の一態様において、炭素化する工程は、上記のようにして得られたポリイミドフィルムを減圧下または窒素ガス中で予備加熱処理して炭素化を行う。予備加熱の温度としては、ポリイミドフィルムの炭素化が適当に行われ得る温度であれば特に限定されないが、最高温度が700〜1600℃の温度範囲で行うことが好ましい。
また、炭素化する工程における昇温速度としては、例えば、0.1〜100℃/分の速度で昇温することができる。良質のグラファイトを得るという観点では、面内配向の大きいポリイミドフィルムを用いて、早い昇温速度、15℃/分以上、さらには20℃/分以上の速度で炭化することが望ましい。しかし本発明においては、上述したようなポリイミドが配向しやすい組成、イミド化方法等を選択して製造されたポリイミドフィルムを用いた場合に、ポリイミドフィルムの加熱処理により配向化が進んだとしても、上述のとおりガスの通り道が生成されるため、良質なグラファイトフィルムを得ることができると推察している。したがって、昇温速度は、10℃/分以下の比較的遅い速度であってもよく、5℃/分以下の遅い昇温速度であってもよい。本発明の一態様においては、上記のような遅い速度であっても、良質なグラファイトフィルムを得ることができる。従って、本発明の一態様におけるグラファイトフィルムの製造方法は、ポリイミドフィルムを連続的に炭化する方法に適しているのみならず、昇温速度などの加熱条件を厳密に設定することが難しい枚葉での生産にも適している方法と言える。
本発明の一態様において、炭素化する工程で得られた炭素化フィルムをさらに高温で加熱する工程は、炭素化フィルムを超高温炉内にセットし、グラファイト化することで実現できる。炭素化フィルムをさらに高温で加熱する工程は、減圧下または不活性ガス中で行なわれ、好ましくは、不活性ガス中で行われる。不活性ガスとしては、特に限定されないが、アルゴンが好ましく、アルゴンに少量のヘリウムを加えたガスがより好ましい。熱処理温度としては、最高温度が2000℃以上の温度で熱処理することが好ましく、2400℃以上の温度で熱処理することがより好ましく、2600℃以上で熱処理することがさらに好ましい。
熱処理温度が高いほど良質のグラファイトへの転化が可能であるが、経済性の観点からはできるだけ低温で良質のグラファイトに転化できることが好ましい。2500℃以上の超高温を得るには、通常はグラファイトヒータに直接電流を流して、そのジュ−ル熱を利用した加熱が行なわれる。
以上のように、本発明の一態様におけるグラファイトフィルムの製造方法を用いれば、出発物質となるポリイミドフィルムの組成を選択することなく、良質なグラファイトフィルムを得ることができる。したがって、本発明の一態様では、グラファイト化する際の加熱条件が限定されない、枚葉生産にも適したグラファイトフィルムの製造方法が提供される。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(ポリイミドフィルムの加熱減量率の測定方法)
加熱減量率の測定は、以下のようにして行う。5cm角に切り出したポリイミドフィルムと、それが入る大きさの開口のアルミの容器を準備する。アルミ容器にポリイミドフィルムを入れたのち、アルミ容器ごと150℃のオーブンに入れ、15分後に取り出す。室温で冷却したのち電子天秤で質量を測定し、これを150℃で15分加熱後のフィルム質量とする。次に、オーブンを400℃に熱し、前述のポリイミドフィルムの入ったアルミ容器をオーブンに入れる。15分後に取り出して室温で冷却したのち、電子天秤で質量を測定し、これを400℃で15分加熱後のフィルム質量とする。
加熱減量率Xは、下記式(1)で表される。
加熱減量率X=(b−a)/a 式(1)
(式中、aは400℃で15分加熱後のフィルム質量、bは150℃で15分加熱後のフィルム質量を表す。)。
(ポリイミドフィルムの加熱収縮率の測定方法)
加熱収縮率の測定は、200mm×200mmの大きさにポリイミドフィルムを切り出し、MD方向とTD方向の寸法を測定する。次に、このポリイミドフィルムを400℃で15分間加熱し、室温で冷却した後のMD方向とTD方向の寸法を再度測定する。各々の変化率を求め、MD方向とTD方向の変化率の平均をフィルムの加熱収縮率とする。
(グラファイトフィルムの外観)
グラファイトフィルムの外観は、5cm角内にある目視できるブツと表面剥がれの個数を計測し、0個なら◎、1〜5個なら○、6〜20個なら△、21個以上なら×とした。
(グラファイトフィルムの熱拡散率)
グラファイトフィルムの熱拡散率は、光交流法による熱拡散率測定装置(アルバック理工(株)社製「LaserPit」)を用いて、グラファイトフィルム中央部を4×40mmの形状に切り取ったサンプルを、23℃の雰囲気下、10Hzにて測定した。
(実施例1)
<ポリイミドフィルムの製造>
重合用の有機溶媒であるN,N−ジメチルフォルムアミド(DMF)に対して、4,4’−オキシジアニリン(ODA)75モル%、パラフェニレンジアミン(PDA)25モル%、およびピロメリット酸二無水物(PMDA)100モル%をこれら比率で添加して攪拌、重合することによりポリアミド酸溶液を合成した。このとき、得られるポリアミド酸溶液の固形分濃度は18.5質量%となるように合成を行った。
このポリアミド酸溶液に、アミド酸当量に対して2.0倍当量の無水酢酸と1.0倍当量のイソキノリンを添加し、エンドレスベルト上にキャストした。その後、120±10℃の範囲内で4分間熱風乾燥し、自己支持性を有するゲルフィルム(ポリイミド前駆体フィルム)を得た。このゲルフィルムを、エンドレスベルト上から引き剥がし、連続的にフィルムを搬送するピンシートに幅方向両端を固定した。
このゲルフィルムを、第一の加熱炉(熱風)250℃、第二の加熱炉(熱風)300℃、第三の加熱炉(熱風)340℃、第四の加熱炉(遠赤外線)400℃で段階的に焼成してイミド化を進め、厚み50μmのポリイミドフィルムを得た。このとき、加熱減量率は0.24%、加熱収縮率は0.58%であった。
<グラファイトフィルムの製造>
このように作製されたポリイミドフィルムを5cm角に切り、黒鉛板に挟み、電気炉を用いて、窒素中で25℃/分で1400℃まで昇温して炭素化処理を行った。炭素化処理により得られた炭素化フィルムを黒鉛板に挟み、黒鉛化炉を用いて、アルゴン中で昇温速度1℃/分で2800℃まで昇温して黒鉛化処理を行った後、単板プレスにて20MPaの圧力で圧縮処理を行い、グラファイトフィルム(厚み25μm)を得た。
(実施例2)
ポリイミドフィルムの乾燥条件を以下のように変更した以外は、実施例1と同様に、ポリイミドフィルムおよびグラファイトフィルムの製造をおこなった。
ポリアミド酸溶液に、アミド酸当量に対して2.0倍当量の無水酢酸と1.0倍当量のイソキノリンを添加し、エンドレスベルト上にキャストした。その後、120±10℃の範囲内で4分間熱風乾燥し、自己支持性を有するゲルフィルム(ポリイミド前駆体フィルム)を得た。このゲルフィルムを、エンドレスベルト上から引き剥がし、連続的にフィルムを搬送するピンシートに幅方向両端を固定した。
このゲルフィルムを、第一の加熱炉250℃、第二の加熱炉300℃、第三の加熱炉450℃、で段階的に焼成してイミド化を進め、厚み50μmのポリイミドフィルムを得た。このとき、加熱減量率は1.48%、加熱収縮率は0.75%であった。実施例1と同様にして、グラファイトフィルム(厚み25μm)を得た。
(実施例3)
ポリイミドフィルムの乾燥条件を以下のように変更した以外は、実施例1と同様に、ポリイミドフィルムおよびグラファイトフィルムの製造をおこなった。
ポリアミド酸溶液に、アミド酸当量に対して2.0倍当量の無水酢酸と1.0倍当量のイソキノリンを添加し、エンドレスベルト上にキャストした。その後、120±10℃の範囲内で4分間熱風乾燥し、自己支持性を有するゲルフィルム(ポリイミド前駆体フィルム)を得た。このゲルフィルムを、エンドレスベルト上から引き剥がし、連続的にフィルムを搬送するピンシートに幅方向両端を固定した。
このゲルフィルムを、第一の加熱炉250℃、第二の加熱炉300℃、第三の加熱炉340℃、第四の加熱炉350℃と段階的に焼成してイミド化を進め、厚み50μmのポリイミドフィルムを得た。このとき、加熱減量率は3.09%、加熱収縮率は0.90%であった。実施例1と同様にして、グラファイトフィルム(厚み25μm)を得た。
(実施例4)
ポリイミドフィルムの乾燥条件を以下のように変更した以外は、実施例1と同様に、ポリイミドフィルムおよびグラファイトフィルムの製造をおこなった。
ポリアミド酸溶液に、アミド酸当量に対して2.0倍当量の無水酢酸と1.0倍当量のイソキノリンを添加し、エンドレスベルト上にキャストした。その後、120±10℃の範囲内で4分間熱風乾燥し、自己支持性を有するゲルフィルム(ポリイミド前駆体フィルム)を得た。このゲルフィルムを、エンドレスベルト上から引き剥がし、連続的にフィルムを搬送するピンシートに幅方向両端を固定した。
このゲルフィルムを、第一の加熱炉270℃、第二の加熱炉340℃、第三の加熱炉370℃、第四の加熱炉400℃と段階的に焼成してイミド化を進め、厚み50μmのポリイミドフィルムを得た。このとき、加熱減量率は0.15%、加熱収縮率は0.50%であった。実施例1と同様にして、グラファイトフィルム(厚み25μm)を得た。
(比較例1)
ポリイミドフィルムの乾燥条件を以下のように変更した以外は、実施例1と同様に、ポリイミドフィルムおよびグラファイトフィルムの製造をおこなった。
ポリアミド酸溶液に、アミド酸当量に対して2.0倍当量の無水酢酸と1.0倍当量のイソキノリンを添加し、エンドレスベルト上にキャストした。その後、120±10℃の範囲内で4分間熱風乾燥し、自己支持性を有するゲルフィルム(ポリイミド前駆体フィルム)を得た。このゲルフィルムを、エンドレスベルト上から引き剥がし、連続的にフィルムを搬送するピンシートに幅方向両端を固定した。
このゲルフィルムを、第一の加熱炉250℃、第二の加熱炉300℃、第三の加熱炉340℃、第四の加熱炉480℃と段階的に焼成してイミド化を進め、厚み50μmのポリイミドフィルムを得た。このとき、加熱減量率は0.05%、加熱収縮率は0.10%であった。実施例1と同様にして、グラファイトフィルム(厚み25μm)を得た。
(比較例2)
ポリイミドフィルムの乾燥条件を以下のように変更した以外は、実施例1と同様に、ポリイミドフィルムおよびグラファイトフィルムの製造をおこなった。
ポリアミド酸溶液に、アミド酸当量に対して2.0倍当量の無水酢酸と1.0倍当量のイソキノリンを添加し、エンドレスベルト上にキャストした。その後、120±10℃の範囲内で4分間熱風乾燥し、自己支持性を有するゲルフィルム(ポリイミド前駆体フィルム)を得た。このゲルフィルムを、エンドレスベルト上から引き剥がし、連続的にフィルムを搬送するピンシートに幅方向両端を固定した。
このゲルフィルムを、第一の加熱炉250℃、第二の加熱炉300℃、第三の加熱炉340℃、第四の加熱炉450℃と段階的に焼成してイミド化を進め、厚み50μmのポリイミドフィルムを得た。このとき、加熱減量率は0.12%、加熱収縮率は0.28%であった。実施例1と同様にして、グラファイトフィルム(厚み25μm)を得た。
(実施例5)
実施例3と同様にして、厚み38μmのポリイミドフィルムを得た。このとき、加熱減量率は2.42%、加熱収縮率は0.83%であった。実施例1と同様にして、グラファイトフィルム(厚み18μm)を得た。
(実施例6)
実施例3と同様にして、厚み62μmのポリイミドフィルムを得た。このとき、加熱減量率は3.76%、加熱収縮率は0.95%であった。実施例1と同様にして、グラファイトフィルム(厚み32μm)を得た。
(実施例7)
モノマーとして、4,4’−オキシジアニリン(ODA)100モル%、およびピロメリット酸二無水物(PMDA)100モル%を用い、ポリイミドフィルムの乾燥条件を以下のように変更した以外は、実施例1と同様に、ポリイミドフィルムの製造をおこなった。
ポリアミド酸溶液に、アミド酸当量に対して2.0倍当量の無水酢酸と1.0倍当量のイソキノリンを添加し、エンドレスベルト上にキャストした。その後、120±10℃の範囲内で4分間熱風乾燥し、自己支持性を有するゲルフィルム(ポリイミド前駆体フィルム)を得た。このゲルフィルムを、エンドレスベルト上から引き剥がし、連続的にフィルムを搬送するピンシートに幅方向両端を固定した。
このゲルフィルムを、第一の加熱炉250℃、第二の加熱炉300℃、第三の加熱炉340℃、第四の加熱炉350℃と段階的に焼成してイミド化を進め、厚み50μmのポリイミドフィルムを得た。このとき、加熱減量率は2.66%、加熱収縮率は1.05%であった。
また、グラファイトフィルムの製造は以下のようにおこなった。ポリイミドフィルムを5cm角に切り、黒鉛板に挟み、電気炉を用いて、窒素中で5℃/分で1400℃まで昇温して炭素化処理を行った。炭素化処理により得られた炭素化フィルムを黒鉛板に挟み、黒鉛化炉を用いて、アルゴン中で昇温速度1℃/分で2800℃まで昇温して黒鉛化処理を行った後、単板プレスにて20MPaの圧力で圧縮処理を行い、グラファイトフィルム(厚み25μm)を得た。
(比較例3)
ポリイミドフィルムの乾燥条件を以下のように変更した以外は、実施例7と同様に、ポリイミドフィルムの製造をおこなった。
ポリアミド酸溶液に、アミド酸当量に対して2.0倍当量の無水酢酸と1.0倍当量のイソキノリンを添加し、エンドレスベルト上にキャストした。その後、120±10℃の範囲内で4分間熱風乾燥し、自己支持性を有するゲルフィルム(ポリイミド前駆体フィルム)を得た。このゲルフィルムを、エンドレスベルト上から引き剥がし、連続的にフィルムを搬送するピンシートに幅方向両端を固定した。
このゲルフィルムを、第一の加熱炉250℃、第二の加熱炉300℃、第三の加熱炉340℃、第四の加熱炉480℃と段階的に焼成してイミド化を進め、厚み50μmのポリイミドフィルムを得た。このとき、加熱減量率は0.05%、加熱収縮率は0.20%であった。
また、グラファイトフィルムの製造は以下のようにおこなった。ポリイミドフィルムを5cm角に切り、黒鉛板に挟み、電気炉を用いて、窒素中で5℃/分で1400℃まで昇温して炭素化処理を行った。炭素化処理により得られた炭素化フィルムを黒鉛板に挟み、黒鉛化炉を用いて、アルゴン中で昇温速度1℃/分で2800℃まで昇温して黒鉛化処理を行った後、単板プレスにて20MPaの圧力で圧縮処理を行い、グラファイトフィルム(厚み25μm)を得た。
(実施例8)
グラファイトフィルムの炭素化条件を以下のように変更した以外は、実施例1と同様に、ポリイミドフィルムおよびグラファイトフィルムの製造をおこなった。
ポリイミドフィルムを5cm角に切り、黒鉛板に挟み、電気炉を用いて、窒素中で5℃/分で1400℃まで昇温して炭素化処理を行った。炭素化処理により得られた炭素化フィルムを黒鉛板に挟み、黒鉛化炉を用いて、アルゴン中で昇温速度1℃/分で2800℃まで昇温して黒鉛化処理を行った後、単板プレスにて20MPaの圧力で圧縮処理を行い、グラファイトフィルム(厚み25μm)を得た。
(実施例9)
グラファイトフィルムの炭素化条件を以下のように変更した以外は、実施例2と同様に、ポリイミドフィルムおよびグラファイトフィルムの製造をおこなった。
ポリイミドフィルムを5cm角に切り、黒鉛板に挟み、電気炉を用いて、窒素中で5℃/分で1400℃まで昇温して炭素化処理を行った。炭素化処理により得られた炭素化フィルムを黒鉛板に挟み、黒鉛化炉を用いて、アルゴン中で昇温速度1℃/分で2800℃まで昇温して黒鉛化処理を行った後、単板プレスにて20MPaの圧力で圧縮処理を行い、グラファイトフィルム(厚み25μm)を得た。
(実施例10)
グラファイトフィルムの炭素化条件を以下のように変更した以外は、実施例3と同様に、ポリイミドフィルムおよびグラファイトフィルムの製造をおこなった。
ポリイミドフィルムを5cm角に切り、黒鉛板に挟み、電気炉を用いて、窒素中で5℃/分で1400℃まで昇温して炭素化処理を行った。炭素化処理により得られた炭素化フィルムを黒鉛板に挟み、黒鉛化炉を用いて、アルゴン中で昇温速度1℃/分で2800℃まで昇温して黒鉛化処理を行った後、単板プレスにて20MPaの圧力で圧縮処理を行い、グラファイトフィルム(厚み25μm)を得た。
(実施例11)
グラファイトフィルムの炭素化条件を以下のように変更した以外は、実施例4と同様に、ポリイミドフィルムおよびグラファイトフィルムの製造をおこなった。
ポリイミドフィルムを5cm角に切り、黒鉛板に挟み、電気炉を用いて、窒素中で5℃/分で1400℃まで昇温して炭素化処理を行った。炭素化処理により得られた炭素化フィルムを黒鉛板に挟み、黒鉛化炉を用いて、アルゴン中で昇温速度1℃/分で2800℃まで昇温して黒鉛化処理を行った後、単板プレスにて20MPaの圧力で圧縮処理を行い、グラファイトフィルム(厚み25μm)を得た。
(比較例4)
グラファイトフィルムの炭素化条件を以下のように変更した以外は、比較例1と同様に、ポリイミドフィルムおよびグラファイトフィルムの製造をおこなった。
ポリイミドフィルムを5cm角に切り、黒鉛板に挟み、電気炉を用いて、窒素中で5℃/分で1400℃まで昇温して炭素化処理を行った。炭素化処理により得られた炭素化フィルムを黒鉛板に挟み、黒鉛化炉を用いて、アルゴン中で昇温速度1℃/分で2800℃まで昇温して黒鉛化処理を行った後、単板プレスにて20MPaの圧力で圧縮処理を行い、グラファイトフィルム(厚み25μm)を得た。
(比較例5)
グラファイトフィルムの炭素化条件を以下のように変更した以外は、比較例2と同様に、ポリイミドフィルムおよびグラファイトフィルムの製造をおこなった。
ポリイミドフィルムを5cm角に切り、黒鉛板に挟み、電気炉を用いて、窒素中で5℃/分で1400℃まで昇温して炭素化処理を行った。炭素化処理により得られた炭素化フィルムを黒鉛板に挟み、黒鉛化炉を用いて、アルゴン中で昇温速度1℃/分で2800℃まで昇温して黒鉛化処理を行った後、単板プレスにて20MPaの圧力で圧縮処理を行い、グラファイトフィルム(厚み25μm)を得た。
(実施例12)
グラファイトフィルムの炭素化条件を以下のように変更した以外は、実施例5と同様に、ポリイミドフィルムおよびグラファイトフィルムの製造をおこなった。
ポリイミドフィルムを5cm角に切り、黒鉛板に挟み、電気炉を用いて、窒素中で5℃/分で1400℃まで昇温して炭素化処理を行った。炭素化処理により得られた炭素化フィルムを黒鉛板に挟み、黒鉛化炉を用いて、アルゴン中で昇温速度1℃/分で2800℃まで昇温して黒鉛化処理を行った後、単板プレスにて20MPaの圧力で圧縮処理を行い、グラファイトフィルム(厚み18μm)を得た。
(実施例13)
グラファイトフィルムの炭素化条件を以下のように変更した以外は、実施例6と同様に、ポリイミドフィルムおよびグラファイトフィルムの製造をおこなった。
ポリイミドフィルムを5cm角に切り、黒鉛板に挟み、電気炉を用いて、窒素中で5℃/分で1400℃まで昇温して炭素化処理を行った。炭素化処理により得られた炭素化フィルムを黒鉛板に挟み、黒鉛化炉を用いて、アルゴン中で昇温速度1℃/分で2800℃まで昇温して黒鉛化処理を行った後、単板プレスにて20MPaの圧力で圧縮処理を行い、グラファイトフィルム(厚み32μm)を得た。
(参考例1)
重合用の有機溶媒であるN,N−ジメチルフォルムアミド(DMF)に対して、4,4’−オキシジアニリン(ODA)75モル%、パラフェニレンジアミン(PDA)25モル%、およびピロメリット酸二無水物(PMDA)100モル%をこれら比率で添加して攪拌、重合することによりポリアミド酸溶液を合成した。このとき、得られるポリアミド酸溶液の固形分濃度は18.5質量%となるように合成を行った。
このポリアミド酸溶液に、アミド酸当量に対して1.0倍当量の無水酢酸と1.0倍当量のイソキノリンを添加し、アルミ箔上にキャストした。その後、120±10℃の範囲内で4分間熱風乾燥し、自己支持性を有するゲルフィルム(ポリイミド前駆体フィルム)を得た。このゲルフィルムを、アルミ箔上から引き剥がし、フレームに4辺を固定した。
このゲルフィルムを、第一の加熱炉275℃、第二の加熱炉400℃、第三の加熱炉450℃、遠赤外線加熱炉460℃と段階的に焼成してイミド化を進め、厚み50μmのポリイミドフィルムを得た。このとき、加熱減量率は0.07%、加熱収縮率は0.06%であった。
このように作製されたポリイミドフィルムを5cm角に切り、黒鉛板に挟み、電気炉を用いて、窒素中で16.7℃/分で1000℃まで昇温して炭素化処理を行った。炭素化処理により得られた炭素化フィルムを黒鉛板に挟み、黒鉛化炉を用いて、アルゴン中で昇温速度1℃/分で2800℃まで昇温して黒鉛化処理を行った後、単板プレスにて20MPaの圧力で圧縮処理を行い、グラファイトフィルム(厚み25μm)を得た。
(参考例2)
グラファイトフィルムの炭素化条件を以下のように変更した以外は、参考例1と同様に、ポリイミドフィルムおよびグラファイトフィルムの製造をおこなった。
ポリイミドフィルムを5cm角に切り、黒鉛板に挟み、電気炉を用いて、窒素中で5℃/分で1400℃まで昇温して炭素化処理を行った。炭素化処理により得られた炭素化フィルムを黒鉛板に挟み、黒鉛化炉を用いて、アルゴン中で昇温速度1℃/分で2800℃まで昇温して黒鉛化処理を行った後、単板プレスにて20MPaの圧力で圧縮処理を行い、グラファイトフィルム(厚み25μm)を得た。
実施例1〜9、比較例1〜3および参考例1、2の結果を表1に示す。
Figure 2018070476

Claims (6)

  1. 下記式(1)で表される加熱減量率Xが、0.13%以上10%以下であるポリイミドフィルムを用意する工程と、該ポリイミドフィルムを熱処理してグラファイト化する工程とを含むことを特徴とする、グラファイトフィルムの製造方法。
    加熱減量率X=(b−a)/a 式(1)
    (式中、aは400℃で15分加熱後のフィルム質量、bは150℃で15分加熱後のフィルム質量を表す。)
  2. 400℃で15分加熱後の加熱収縮率が0.30%以上であるポリイミドフィルムを用意する工程と、該ポリイミドフィルムを熱処理してグラファイト化する工程とを含むことを特徴とする、グラファイトフィルムの製造方法。
  3. 前記ポリイミドフィルムは、ピロメリット酸二無水物を含む酸二無水物と、4,4’−オキシジアニリンおよびパラフェニレンジアミンの少なくとも1種を含むジアミンとからなることを特徴とする、請求項1または2記載のグラファイトフィルムの製造方法。
  4. 前記ポリイミドフィルムは、4,4’−オキシジアニリンおよびパラフェニレンジアミンを全ジアミン中90%以上含有し、かつ、4,4’−オキシジアニリンとパラフェニレンジアミンとの割合が100:0〜70:30であることを特徴とする、請求項3記載のグラファイトフィルムの製造方法。
  5. 前記ポリイミドフィルムは、4,4’−オキシジアニリンおよびパラフェニレンジアミンを全ジアミン中90%以上含有し、かつ、4,4’−オキシジアニリンとパラフェニレンジアミンとの割合が100:0〜80:20であることを特徴とする、請求項3記載のグラファイトフィルムの製造方法。
  6. 前記グラファイト化する工程は、炭素化する工程と、炭素化する工程で得られた炭素化フィルムをさらに高温で加熱する工程とを含み、炭素化の昇温速度が、5℃/分以下であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のグラファイトフィルムの製造方法。
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