JP2003040928A - ビニルラクタム系重合体の製造方法 - Google Patents

ビニルラクタム系重合体の製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 残存単量体及び遊離ラクタム含有量が少な
く、保存時に着色等の問題のないビニルラクタム系重合
体の製造方法を提供する。 【解決手段】 ビニルラクタム系単量体を必須とする単
量体成分を反応液中で重合することによりビニルラクタ
ム系重合体を製造する方法であって、該ビニルラクタム
系重合体の製造方法は、水溶性アゾ系開始剤を用い、か
つビニルラクタム系単量体の重合率が98%を超えるま
では反応液のpHを5〜10に保持して重合を行う工程
を含むビニルラクタム系重合体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ビニルラクタム構
造を必須構成単位とするビニルラクタム系重合体の製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ビニルラクタム系重合体は、生体適合
性、安全性、親水性等の利点があることから、医薬品や
化粧品、食品等の添加剤、粘接着剤、塗料、分散剤、イ
ンキ、電子部品等の製造原料として有用なものであり、
その品質や安全性を向上させるための研究がなされてい
る。このようなビニルラクタム系重合体としては、例え
ば、ポリビニルピロリドンやビニルピロリドン共重合体
等が挙げられる。これらの重合体を製造する場合、ビニ
ルラクタム系単量体を必須として重合することになる
が、有機溶剤の溶媒中で重合すると、分子量が高くなり
にくく、また、重合後に有機溶剤を除去する設備にコス
トがかかる等の問題があることから、水系溶媒中で重合
することが検討されている。
【0003】しかしながら、水系溶媒中でビニルラクタ
ム系単量体を必須とする単量体成分を重合する場合で
は、例えば、ビニルラクタム系単量体としてビニルピロ
リドンを用いると、一部が重合前に加水分解を起し、副
生物としてアルデヒドと2−ピロリドンが生じ、生成物
中に不純物として混入することになる。このようにして
製造されるビニルラクタム系重合体では、アルデヒドに
起因して臭気が生じ、また、アルデヒドと2−ピロリド
ンに起因して経時的に着色したり、熱黄変したりするこ
とになる。また、このような製造方法では、ビニルラク
タム系単量体をすべて重合することはできず、生成物中
に未反応単量体として残存することになるが、ビニルラ
クタム系単量体が不純物として生成物中にあると、安全
衛生面で問題となることも考えられる。更に、有機過酸
化物開始剤を用いると、分子量が高くなり過ぎてゲル化
しやすく、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を
用いると、副生物による毒性が問題となる。従って、こ
れらの問題点を解消し、不純物の含有量を抑制し、重合
率を向上することが望まれていた。
【0004】ところで、ビニルモノマーの重合方法に関
し、開始剤の構造を特定して重合する技術が検討されて
いる。このような技術について、例えば、特公昭59−
3481号公報には、特定構造を有する水溶性アゾ開始
剤又はその塩を用いて重合させるビニルピロリドン系重
合体又は共重合体の製造方法が開示されている。また、
特開平1−247401号公報には、特定構造を有する
水溶性アゾアミド化合物を用いて酸の存在下に重合させ
るビニルモノマーの重合方法が開示されている。更に、
特開平2−115202号公報には、特定構造を有する
環状アゾアミジン化合物を用いて有機酸の存在下に重合
させるビニルモノマーの重合方法に関し、実施例でメタ
ノールを溶媒として用いることが開示されている。そし
て、特開平9−110912号公報には、ラジカル形成
化合物として、アゾ基に隣接する炭素原子上にカルボン
酸アルキルエステル基を有するアゾ化合物の存在下で、
溶液重合により塩基性反応するビニルモノマーをベース
とするポリマーを製造する方法に関し、ラジカル形成化
合物を添加する前にモノマー溶液を酸の添加により特定
のpH値に調整することが開示されている。
【0005】しかしながら、これらの技術では、ビニル
ラクタム系単量体を用いる場合に、重合率を向上させて
不純物の生成を抑制したり、重合後の残存モノマーを低
減したりするために、ビニルラクタム系単量体の重合が
行われている間、反応液中のpHを適切にする等の工夫
の余地があった。
【0006】一方、ビニルラクタム系重合体に関し、ビ
ニルピロリドン重合体溶液中の残存モノマーを低減する
技術が検討されている。このような技術について、例え
ば、特開昭63−68609号公報には、ビニルピロリ
ドン重合体の水溶液又はアルコール溶液を吸着剤で処理
する方法が開示されている。また、特開平5−2391
18号公報には、N−ビニルピロリドン重合体の製造法
に関し、限外濾過を用いて精製することが開示されてい
る。更に、特表平7−503749号公報には、非架橋
又は架橋ポリビニルピロリドン又はN−ビニルカプロラ
クタムを精製するにあたり、特定の酸により、溶液又は
スラリーのpHを5以下に調整し、加熱処理する方法が
開示されている。
【0007】しかしながら、吸着剤を用いる場合には、
吸着剤を再生処理する工程や濾過工程を要し、処理塔の
設備も必要となることから、製造工程が煩雑となり、製
造コストも上昇することになる。また、限外濾過を用い
る場合には、濾過膜の再生工程を要し、製造コストも上
昇し、しかも、粘度の高い重合体には用いることができ
ないという不具合がある。更に、これらの技術では、ビ
ニルピロリドン重合体を形成するにあたり、残存モノマ
ーを低減するために、モノマーの重合率を向上するため
の工夫の余地があり、着色が充分に抑制され、かつ安全
性に優れたビニルラクタム系重合体をより確実に製造す
るために、更に残存モノマー等を低減するための工夫や
残存モノマーの含有量並びに遊離した状態にある不純物
(ラクタム)の含有量を適切に設定する等の工夫の余地
があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記現状に
鑑み、残存単量体及び遊離ラクタム含有量が少なく、保
存時に着色等の問題のないビニルラクタム系重合体の製
造方法を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ビニルラ
クタム構造を必須構成単位とするビニルラクタム系重合
体の製造方法について検討するうち、ビニルラクタム系
単量体を必須とする単量体成分を反応液中で重合するに
あたり、水溶性アゾ系開始剤を用いると、ゲル化を防止
したり、毒性を低減したりすることができることにまず
着目し、ビニルラクタム系単量体の重合率が98%を超
えるまでは反応液のpHを5〜10に保持して重合を行
うと、重合率が向上すると共に不純物となる副生物の生
成が抑制されることから、上記課題をみごとに解決する
ことができることに想到した。また、ビニルラクタム系
単量体の重合率が98%を超えるまでは反応液のpHを
5〜10に保持して重合を行い、ビニルラクタム系単量
体の重合率が98%を超えた後に酸を添加し、反応液の
pHを5未満として反応液中の残存単量体を低減し、特
定の不純物の含有量を一定範囲に設定しても、上記課題
をみごとに解決することができることを見いだし、本発
明に到達したものである。
【0010】すなわち本発明は、ビニルラクタム系単量
体を必須とする単量体成分を反応液中で重合することに
よりビニルラクタム系重合体を製造する方法であって、
上記ビニルラクタム系重合体の製造方法は、水溶性アゾ
系開始剤を用い、かつビニルラクタム系単量体の重合率
が98%を超えるまでは反応液のpHを5〜10に保持
して重合を行う工程を含むビニルラクタム系重合体の製
造方法である。
【0011】本発明はまた、ビニルラクタム系単量体を
必須とする単量体成分を反応液中で重合することにより
ビニルラクタム系重合体を製造する方法であって、上記
ビニルラクタム系重合体の製造方法は、ビニルラクタム
系単量体の重合率が98%を超えるまでは反応液のpH
を5〜10に保持して重合を行う第一工程と、ビニルラ
クタム系単量体の重合率が98%を超えた後に酸を添加
し、反応液のpHを5未満として反応液中の残存単量体
を低減する第二工程を含み、上記第二工程の後に得られ
るビニルラクタム系重合体は、ラクタム含有量が1.0
0重量%以下であり、かつN−ビニルラクタム含有量が
0.01重量%以下であるビニルラクタム系重合体の製
造方法でもある。以下に本発明を詳述する。
【0012】本発明の製造方法は、ビニルラクタム系単
量体を必須とする単量体成分を反応液中で重合すること
によりビニルラクタム系重合体を製造する方法である。
上記ビニルラクタム系単量体とは、下記一般式(1);
【0013】
【化1】
【0014】(式中、Rは、水素原子又はメチル基を表
す。mは、1〜3の整数を表す。)で表される化合物で
あり、例えば、ビニルピロリドン、ビニルピペリドン、
ビニルカプロラクタム等が挙げられ、1種又は2種以上
を用いることができる。
【0015】上記ビニルラクタム系単量体を必須とする
単量体成分においては、ビニルラクタム系単量体以外の
単量体を含んでいてもいなくてもよいが、ビニルラクタ
ム系単量体の使用量としては、例えば、単量体成分全量
に対して、1.0モル%以上であることが好ましい。
1.0モル%未満であると、得られるビニルラクタム系
重合体が、ビニルラクタム構造に由来する種々の特性を
発現しないおそれがある。より好ましくは、10.0モ
ル%以上であり、更に好ましくは、20.0モル%以上
である。
【0016】上記ビニルラクタム系単量体以外の単量体
としては、ビニルラクタム系単量体と共重合可能な単量
体であれば特に限定されず、例えば、以下の(1)〜
(13)の化合物等の1種又は2種以上を用いることが
できる。 (1)(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸
エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル
酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチ
ル等の(メタ)アクリル酸エステル類;(2)(メタ)
アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、
N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル
(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド誘
導体類;(3)ジメチルアミノエチル(メタ)アクリル
酸エステル、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルア
ミド、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール等の塩基性
不飽和単量体及びその塩又は第4級化物;(4)ビニル
ホルムアミド、ビニルアセトアミド、ビニルオキサゾリ
ドン等のビニルアミド類;(5)(メタ)アクリル酸、
イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等のカルボキシル基
含有不飽和単量体及びその塩;(6)無水マレイン酸、
無水イタコン酸等の不飽和酸無水物類;(7)酢酸ビニ
ル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;(8)
ビニルエチレンカーボネート及びその誘導体;(9)ス
チレン及びその誘導体;(10)(メタ)アクリル酸−
2−スルホン酸エチルエステル及びその誘導体;(1
1)ビニルスルホン酸及びその誘導体;(12)メチル
ビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニル
エーテル等のビニルエーテル類;(13)エチレン、プ
ロピレン、オクテン、ブタジエン等のオレフイン類等が
挙げられる。これらの中でも、一般式(1)で表される
ビニルピロリドンやビニルカプロラクタム等のビニルラ
クタム系単量体との共重合性等の点からは、上記(1)
〜(8)が好適である。
【0017】本発明における反応液は、重合の初期では
ビニルラクタム系単量体を必須とする単量体成分を含
み、重合の終期では生成したビニルラクタム系重合体等
を含むことになるが、通常では媒体を含んでいる。この
ような反応液を構成する媒体としては特に限定されるも
のではないが、化学工業で広く適用することができて安
全性が高くなることから、水又は水系溶媒を用いること
が好ましい。水系溶媒とは、水と混じり合うことができ
る化合物の1種又は2種以上の混合溶媒や、このような
化合物に水が主成分となるように混合した混合溶媒を意
味する。水と混じり合うことができる化合物としては、
例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール等
のアルコール;エチレングリコール等のジオール;グリ
セリン等のトリオール類等の多価アルコール等が挙げら
れる。なお、これらの化合物に混じり合う反応物を混合
した溶液を水系溶媒としてもよい。これらの中でも、
水、又は、水とアルコールとの混合溶媒を用いることが
好ましい。すなわち本発明の好ましい実施形態の1つ
は、ビニルラクタム系単量体を必須とする単量体成分を
水又は水系溶媒中で重合することである。より好ましく
は、水中で重合することである。
【0018】上記反応液中の単量体成分の濃度としては
特に限定されず、例えば、反応液100重量%に対し
て、単量体成分を1〜99重量%とすることが好まし
い。より好ましくは、5〜80重量%であり、更に好ま
しくは、10〜60重量%である。
【0019】本発明では、水溶性アゾ系開始剤を用い、
かつビニルラクタム系単量体の重合率が98%を超える
までは反応液のpHを5〜10に保持して重合を行う工
程を含むことになる。すなわち本発明では、ビニルラク
タム系単量体を必須とする単量体成分の反応液中での重
合が上記工程により行われることになる。
【0020】上記水溶性アゾ系開始剤としては、そのま
まで水溶性を示すアゾ系化合物や、中和されて塩になる
と水溶性を示すアゾ系化合物であれば特に限定されず、
1種又は2種以上を用いることができる。このような水
溶性アゾ系開始剤としては、酸性基及び/又は塩基性基
を有するアゾ系化合物が好ましく、例えば、下記一般式
(2)〜(5)で表される水溶性アゾ化合物からなる群
より選択される少なくとも一種を用いることが好適であ
り、中でも、一般式(3)で表される水溶性アゾ化合物
を用いることが最も好ましい。
【0021】
【化2】
【0022】(式中、R1、R3及びR6は、同一若しく
は異なって、炭素数1〜6のアルキル基又はシクロアル
キル基を表す。R2は、水素原子、アルキル基、シクロ
アルキル基、アラルキル基又はアリール基を表す。R4
は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は置換基を
有する炭素数1〜6のアルキル基を表す。R5及びR
は、同一若しくは異なって、炭素数1〜6のアルキレン
基又は置換基を有する炭素数1〜6のアルキレン基を表
す。)
【0023】上記水溶性アゾ系開始剤の具体的な化合物
名としては、2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオ
ンアミジン)、2,2′−アゾビス[N−(2−カルボ
キシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]、2,
2′−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)
プロパン]、2,2′−アゾビス[2−(5−メチル−
2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2′−
アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−
イミダゾリン−2−イル]プロパン}、2,2′−アゾ
ビス[2−(3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン
−2−イル)プロパン]、2,2′−アゾビス(2−メ
チルプロピオンアミドキシム)、4,4′−アゾビス
(4−シアノ吉草酸)等が挙げられる。
【0024】上記水溶性アゾ系開始剤の使用量としては
特に限定されず、例えば、単量体成分100重量%に対
して、0.001〜10重量%とすることが好ましい。
より好ましくは、0.005〜5重量%であり、更に好
ましくは、0.01〜3重量%である。また、重合を行
う際には、必要に応じて連鎖移動剤等を用いることもで
きる。
【0025】上記工程における重合形態としては特に限
定されず、従来公知の重合方法、例えば、バルク重合、
溶液重合、乳化重合、懸濁重合、沈殿重合等によって行
うことができる。また、重合条件としては特に限定され
ず、単量体成分や反応液の組成等に応じて適宜設定すれ
ばよい。例えば、重合温度としては、0〜250℃とす
ることが好ましい。より好ましくは、20〜150℃で
あり、更に好ましくは、40〜100℃である。また、
反応圧力としては、高温反応の場合には常圧としてもよ
く、加圧してもよいが、厳密な温度制御を必要とする場
合には常圧とすることが好ましい。
【0026】上記工程では、ビニルラクタム系単量体の
重合率が98%を超えるまでは反応液のpHを5〜10
に保持することになるが、反応液のpHが5未満である
と、重合中にビニルラクタム系単量体の加水分解が進む
ため、不純物となるラクタムが多くなり、pHが10を
超えると、水溶性アゾ系開始剤の作用が低下して重合効
率が低下することになる。本発明では、上記反応液のp
Hを6〜9.5に保持することが好ましい。より好まし
くは、上記反応液のpHを6.5〜9に保持することで
ある。また、ビニルラクタム系単量体の重合率が99%
を超えるまでは反応液のpHを上記のように保持するこ
とが好ましい。より好ましくは、99.5%を超えるま
で、更に好ましくは、99.8%を超えるまでである。
なお、本明細書中、重合率とは、最初に仕込んだ単量体
成分に含まれるビニルラクタム系単量体の総重量に対す
る、反応したビニルラクタム系単量体の重量割合を意味
する。また、pHの値は、反応液を原液濃度のまま25
℃で測定した値である。
【0027】上記工程において、反応液のpHを上記の
範囲内とする方法としては特に限定されず、調整前の反
応液のpHに応じて、適宜、酸及び/又は塩基を反応液
中に存在させることにより行えばよい。また、酸及び/
又は塩基を反応液中に存在させる方法としては特に限定
されず、酸及び/又は塩基をそのまま添加してもよく、
水や有機溶媒に溶解させて添加してもよいし、開始剤を
含有する溶液に混合溶解させて添加してもよい。
【0028】上記酸としては特に限定されず、例えば、
塩酸、硝酸、硫酸等の無機酸;ギ酸、酢酸、プロピオン
酸、ヘプタン酸、オクタン酸、グリコール酸、サリチル
酸、乳酸、L−アスコルビン酸、安息香酸等の1分子内
に1つカルボキシル基を有する有機酸;しゅう酸、コハ
ク酸、アスパラギン酸、クエン酸、グルタミン酸、フマ
ル酸、リンゴ酸等の1分子内に2つ以上のカルボキシル
基を有する有機酸;これらの有機酸の水和物等が挙げら
れ、1種又は2種以上を用いることができる。これらの
中でも、有機酸やその水和物を用いることが好ましく、
また、着色が少なくてpH調節が容易である等の点か
ら、しゅう酸、コハク酸やこれらの水和物を用いること
がより好ましい。
【0029】上記塩基としては特に限定されず、例え
ば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩基;
モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタ
ノールアミン、炭酸グアニジン、アリルアミン、ジアリ
ルアミン、トリアリルアミン、イソプロピルアミン、ジ
イソプロピルアミン、ジアミノプロピルアミン、エチル
アミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、2−エチ
ルヘキシルアミン、3−(2−エチルヘキシルオキシ)
プロピルアミン、3−エトキシプロピルアミン、ジイソ
ブチルアミン、3−(ジエチルアミノ)プロピルアミ
ン、ジ−2−エチルヘキシルアミン、3−(ジブチルア
ミノ)プロピルアミン、テトラメチルエチレンジアミ
ン、トリ−n−オクチルアミン、t−ブチルアミン、s
ec−ブチルアミン、プロピルアミン、3−(メチルア
ミノ)プロピルアミン、3−(ジメチルアミノ)プロピ
ルアミン、N−メチル−3,3′−イミノビス(プロピ
ルアミン)、3−メトキシプロピルアミン等の有機塩基
等が挙げられ、1種又は2種以上を用いることができ
る。これらの中でも、有機塩基を用いることが好まし
く、また、着色が少なくてpH調節が容易であり、沸点
が高く乾燥時にpHの低下がない等の点から、トリエタ
ノールアミン、炭酸グアニジンがより好ましい。また、
本発明においては、上記の酸や塩基以外に任意の緩衝剤
を用いてもよい。
【0030】本発明の製造方法は、上記工程以外の工程
を含んでもよい。例えば、上記工程の後に、すなわちビ
ニルラクタム系単量体の重合率が98%を超えた後に、
酸を添加し、反応液中に含まれる残存単量体を低減する
工程を含むことが好ましい。また、ビニルラクタム系重
合体の精製工程等を含んでもよい。更に、本発明により
ビニルラクタム系重合体を含む溶液を製造する場合、該
溶液のpHを、5〜10とすることが好ましく、6〜9
とすることがより好ましい。これにより、ビニルラクタ
ム系重合体の保存安定性が向上することになる。pHを
調整する方法としては特に限定されず、上述したのと同
様の方法等が挙げられる。
【0031】本発明の製造方法において、残存単量体を
低減させるために酸を添加する場合、酸としては有機酸
を用いることが好ましい。更に、有機の二塩基酸を用い
ると、高温でも酸が揮発することなく、また、反応液中
のpHが一定となるため、残留単量体を速やかに低減さ
せることが可能となり、より好ましい。また、酸を添加
した後、反応系を静置しておいても構わないが、効果的
に残存単量体を除去するためには、反応系を攪拌するこ
とが好ましく、パドル翼、アンカー翼、タービン翼、ス
パイラル翼等の任意の攪拌翼を用いることができる。こ
の場合、反応液の粘度を100Pa・s以下とすること
が好ましい。100Pa・sを超えると、通常の方法で
は攪拌が困難となり、残留単量体を低減する効果が充分
とはならないおそれがある。一方、反応液の粘度が0.
1Pa・s以上の場合には、高粘度攪拌用の攪拌翼で攪
拌することが好ましい。高粘度攪拌用の攪拌翼として
は、例えば、住友重機械工業社製のマックスブレンド翼
やスーパーブレンド翼(いずれも商品名)等を用いるこ
とができる。更に、反応液の温度を25〜150℃とす
ることが好ましく、50〜100℃が更に好ましい。残
存単量体を除去する時間は5分〜24時間とすることが
好ましく、10分〜6時間が更に好ましい。上記温度や
時間の範囲未満であると、残存単量体を低減する効果が
充分でなくなるおそれがあり、上記温度や時間の範囲を
超えると、ビニルラクタム系重合体の分子量を低下させ
たり、着色を引き起こしたりするおそれがある。
【0032】上記の酸添加による残存単量体の低減工程
の後に、上述の塩基を添加して、反応液のpHを好まし
くは5〜10、より好ましくは6〜9とすることができ
る。この中和工程でのpH調整により、ビニルラクタム
系重合体の分子量や着色等の経時変化を抑制することが
できる。
【0033】本発明の製造方法において、特に残存単量
体の低減工程及び上記中和工程においては、反応系中の
気相部の酸素濃度を5重量%以下とするのが好ましく、
1重量%以下とするのがより好ましく、0.1重量%以
下とするのが最も好ましい。反応液のpHが7未満、特
に5以下である場合には、ビニルラクタム系重合体の分
子量が、加熱により低下しやすくなるが、反応系中の酸
素濃度を上記の量に制限することで、分子量の低下を抑
制することができる。具体的には、ヘリウム、窒素、ア
ルゴン等の不活性ガス、好ましくは窒素ガスを反応系内
に導入することで実施でき、上記ガスを気相部に流通さ
せてもよいし、反応液中にバブリングしてもよく、ガス
の流量については特に制限はない。
【0034】本発明では、上記工程の後に得られるビニ
ルラクタム系重合体が、ラクタム含有量が1.00重量
%以下であり、かつN−ビニルラクタム含有量が0.0
1重量%以下であることが好ましく、ラクタム含有量が
0.50重量%以下であり、かつN−ビニルラクタム含
有量が0.005重量%以下であることが更に好まし
い。ラクタム含有量とは、重合体から遊離した状態にあ
る不純物であるラクタム含有量、すなわちビニルラクタ
ム系単量体の加水分解等により生じたラクタムの含有量
を意味する。これは副生物の含有量の指標となる。ま
た、N−ビニルラクタム含有量とは、重合後に残存して
いるビニルラクタム系単量体の含有量を意味する。ラク
タム含有量やN−ビニルラクタム含有量の測定方法とし
ては、液体クロマトグラフィーを用いることが好適であ
る。このようにビニルラクタム系重合体中の不純物、す
なわちビニルラクタム系単量体が加水分解して生じるラ
クタム及び残存単量体であるビニルラクタム系単量体の
含有量を一定範囲に設定することにより、本発明の作用
効果をより確実に発揮することが可能となる。なお、上
記工程の後に得られるビニルラクタム系重合体は、ビニ
ルラクタム系重合体が媒体中に存在する溶液の形態であ
ってもよく、乾燥した固形物の形態であってもよい。固
形物の形態の場合には、適当な媒体中に溶解して液体ク
ロマトグラフィーにより上記の含有量を測定することが
できる。
【0035】また、本発明におけるもう1つの製造方法
は、ビニルラクタム系単量体を必須とする単量体成分を
反応液中で重合することによりビニルラクタム系重合体
を製造する方法であって、ビニルラクタム系単量体の重
合率が98%を超えるまでは反応液のpHを5〜10に
保持して重合を行う第一工程と、ビニルラクタム系単量
体の重合率が98%を超えた後に酸を添加し、反応液の
pHを5未満として反応液中の残存単量体を低減する第
二工程を含み、上記第二工程の後に得られるビニルラク
タム系重合体は、ラクタム含有量が1.00重量%以下
であり、かつN−ビニルラクタム含有量が0.01重量
%以下であり、該製造方法によっても、残存モノマー及
び遊離ラクタム含有量が少なく、保存時や使用時に着色
等の問題のないビニルラクタム系重合体を製造すること
が可能となる。
【0036】上記製造方法では、第一工程と第二工程と
をこの順に行うが、第一工程により重合率が向上すると
共に副生物の生成が抑制されることになり、第二工程に
より反応液中の残存単量体であるN−ビニルラクタムを
低減することができることになる。また、ラクタム含有
量とN−ビニルラクタム含有量を上記のように設定する
と、本発明の作用効果を発揮することが可能となる。
【0037】上記製造方法において、第一工程における
ビニルラクタム系単量体の重合率が98%を超えるまで
は反応液のpHを5〜10に保持して重合を行う方法や
第二工程におけるビニルラクタム系単量体の重合率が9
8%を超えた後に酸を添加して反応液中の残存単量体を
低減する方法、また、これらの好ましい形態は、上述し
たのと同様である。例えば、第一工程では、上述したよ
うに水溶性アゾ系開始剤を用いることが好ましく、第二
工程では、酸としては有機酸を用いることが好ましく、
また、酸を添加した後、反応系を静置しておいても構わ
ないが、効果的に残存単量体を除去するためには、上述
したように反応系を攪拌することや、反応液の温度や残
存単量体を除去する時間を適切に設定することが好まし
い。また、上記工程以外の工程を含んでもよいことも同
様であり、本発明によりビニルラクタム系重合体を含む
溶液を製造する場合、該溶液のpHを、5〜10とする
ことが好ましく、6〜9とすることがより好ましい。
【0038】上記第二工程において、反応液のpHを5
未満とすることにより、残存単量体すなわち未反応物と
して反応液中に残存するビニルラクタム系単量体の含有
量をより確実に低減することが可能となる。本発明で
は、第二工程における反応液のpHを1〜4.8とする
ことが好ましく、2〜4.5とすることがより好まし
い。
【0039】本発明により製造されるビニルラクタム系
重合体は、下記一般式(6);
【0040】
【化3】
【0041】(式中、R及びmは、上記と同じ。)で表
されるN−ビニルラクタム構造の1種又は2種以上を必
須の構成単位(繰り返し単位)として有する重合体であ
る。このようなビニルラクタム系重合体としては、例え
ば、ポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)、ポリ(N−
ビニル−5−メチル−2−ピロリドン)、ポリ(N−ビ
ニル−2−ピペリドン)、ポリ(N−ビニル−6−メチ
ル−2−ピペリドン)、ポリ(N−ビニル−ε−カプロ
ラクタム)、ポリ(N−ビニル−7−メチル−ε−カプ
ロラクタム)等のビニルラクタム系単量体の1種を重合
して得られるホモポリマーや、ビニルラクタム系単量体
の2種以上を共重合して得られるコポリマー、ビニルラ
クタム系単量体の1種又は2種以上とその他の単量体を
共重合して得られるコポリマーが挙げられる。
【0042】本発明により製造されるビニルラクタム系
重合体は、溶液の形態や乾燥した固形物の形態とするこ
とができる。溶液の形態とする場合には、灰分を含まな
い水系溶液の形態とすることが好ましい。このようなビ
ニルラクタム系重合体のフィッケンチャー法によるK値
としては、例えば、10〜150となるように設定する
ことが好ましく、20〜100とすることがより好まし
い。
【0043】上記ビニルラクタム系重合体は、残存単量
体及び遊離ラクタム含有量が少なく、保存時に着色等の
問題のないものであることから、生体適合性、安全性、
親水性等の特性が向上されて、医薬品や化粧品、食品等
の添加剤、粘接着剤、塗料、分散剤、インキ、電子部品
等の製造原料として好適に用いることができるものであ
る。
【0044】
【実施例】以下に実施例を揚げて本発明を更に詳細に説
明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるも
のではない。
【0045】実施例及び比較例で得られたビニルラクタ
ム系重合体は、以下の方法で分析した。 (ビニルラクタム系重合体のK値)ビニルラクタム系重
合体の1重量%水溶液を25℃で、毛細管粘度計により
相対粘度を測定した結果を、次のフィッケンチャーの式
に当てはめて計算した。 (logηrel)/C=[(75KO 2)/(1+1.5
OC)]+KO K=1000KO ここで、Cは、溶液100mL中のビニルラクタム系重
合体のg数を示し、ηre lは、溶媒に対する溶液の相対
粘度を示す。
【0046】(ビニルラクタム系重合体中の未反応ビニ
ルラクタム系単量体濃度及びラクタム濃度)以下の条件
の液体クロマトグラフィーにて未反応ビニルラクタム系
単量体(N−ビニルラクタム)濃度を測定し、ビニルラ
クタム系重合体に対する濃度で表した。 カラム:資生堂社製「CAPCELL PAC C18
UG12(商品名)」 溶媒:20mmol 1−ヘプタンスルホン酸ナトリウ
ム水溶液/メタノール(体積比95/5)溶液 温度:20℃ 流量:0.1mL/分
【0047】実施例1 攪拌機、2つの原料供給機(A及びB)、温度計、冷却
管及び窒素ガス導入管を備えた5Lのフラスコに、水2
761gを入れ、窒素ガスを導入し、攪拌しながらフラ
スコ内温が75℃になるように加熱した。N−ビニルピ
ロリドン800gを原料供給機Aに、水16gに2,
2′−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)
プロパン]0.16g、しゅう酸2水和物0.04gを
溶解させた水溶液を原料供給機Bに仕込んだ。これらの
原料をそれぞれの供給機から同時に、120分かけて上
記のフラスコ内に連続供給し、重合させた。上記N−ビ
ニルピロリドン及び水溶液を供給中の反応液のpHは8
〜9であった。上記原料供給終了1時間後より、水80
gに2,2′−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2
−イル)プロパン]0.8g、しゅう酸2水和物0.2
gを溶解させた水溶液を原料供給機Bに仕込み、60分
かけてフラスコ内に供給した。供給終了1時間後、未反
応のN−ビニルピロリドン残存量が供給した全N−ビニ
ルピロリドン量に対して2重量%以下になったことを確
認した後、水198gにしゅう酸2水和物2.0gを溶
解した水溶液を加え60分間攪拌した。この間の反応液
のpHは4.2であった。更に、水145gに炭酸グア
ニジン2.9gを溶解した水溶液を加え30分間攪拌
後、冷却した。得られたポリビニルピロリドンのpHは
7.0、含まれる未反応のN−ビニルピロリドン残存量
は2ppm(0.0002重量%)、2−ピロリドン含
有量は2000ppm(0.2重量%)であった。ま
た、K値は90であった。
【0048】実施例2 攪拌機、2つの原料供給機(A及びB)、温度計、冷却
管及び窒素ガス導入管を備えた5Lのフラスコに、水2
761gを入れ、窒素ガスを導入し、攪拌しながらフラ
スコ内温が75℃になるように加熱した。N−ビニルピ
ロリドン800gを原料供給機Aに、水16gに2,
2′−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)
プロパン]0.16g、しゅう酸2水和物0.08gを
溶解させた水溶液を原料供給機Bに仕込んだ。これらの
原料をそれぞれの供給機から同時に、120分かけて上
記のフラスコ内に連続供給し、重合させた。上記N−ビ
ニルピロリドン及び水溶液を供給中の反応液のpHは7
〜8であった。上記原料供給終了1時間後より、水80
gに2,2′−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2
−イル)プロパン]0.8g、しゅう酸2水和物0.2
gを溶解させた水溶液を原料供給機Bに仕込み、60分
かけてフラスコ内に供給した。供給終了1時間後、未反
応のN−ビニルピロリドン残存量が供給した全N−ビニ
ルピロリドン量に対して2重量%以下になったことを確
認した後、水198gにしゅう酸2水和物2.0gを溶
解した水溶液を加え60分間攪拌した。この間の反応液
のpHは4.0であった。更に、水145gに炭酸グア
ニジン2.9gを溶解した水溶液を加え30分間攪拌
後、冷却した。得られたポリビニルピロリドンのpHは
6.9、含まれる未反応のN−ビニルピロリドン残存量
は1ppm、2−ピロリドン含有量は2500ppmで
あった。また、K値は91であった。
【0049】実施例3 攪拌機、2つの原料供給機(A及びB)、温度計、冷却
管及び窒素ガス導入管を備えた5Lのフラスコに、水2
761gを入れ、窒素ガスを導入し、攪拌しながらフラ
スコ内温が75℃になるように加熱した。N−ビニルピ
ロリドン800gを原料供給機Aに、水16gに2,
2′−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−
メチルプロピオンアミジン]水和物0.16g、しゅう
酸2水和物0.04gを溶解させた水溶液を原料供給機
Bに仕込んだ。これらの原料をそれぞれの供給機から同
時に、120分かけて上記のフラスコ内に連続供給し、
重合させた。上記N−ビニルピロリドン及び水溶液を供
給中の反応液のpHは7〜8であった。上記原料供給終
了1時間後より、水80gに2,2′−アゾビス[N−
(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミ
ジン]水和物0.8g、しゅう酸2水和物0.2gを溶
解させた水溶液を原料供給機Bに仕込み、60分かけて
フラスコ内に供給した。供給終了1時間後、未反応のN
−ビニルピロリドン残存量が供給した全N−ビニルピロ
リドン量に対して2重量%以下になったことを確認した
後、水198gにしゅう酸2水和物2.0gを溶解した
水溶液を加え60分間攪拌した。この間の反応液のpH
は4.1であった。更に、水145gに炭酸グアニジン
2.9gを溶解した水溶液を加え30分間攪拌後、冷却
した。得られたポリビニルピロリドンのpHは7.0、
含まれる未反応のN−ビニルピロリドン残存量は1pp
m、2−ピロリドン含有量は2500ppmであった。
また、K値は90であった。
【0050】実施例4 攪拌機、2つの原料供給機(A及びB)、温度計、冷却
管及び窒素ガス導入管を備えた5Lのフラスコに、水2
761gを入れ、窒素ガスを導入し、攪拌しながらフラ
スコ内温が75℃になるように加熱した。N−ビニルピ
ロリドン800gを原料供給機Aに、水16gに2,
2′−アゾビス(2−メチルプロピオンアミドキシム)
0.16g、コハク酸0.10gを溶解させた水溶液を
原料供給機Bに仕込んだ。これらの原料をそれぞれの供
給機から同時に、120分かけて上記のフラスコ内に連
続供給し、重合させた。上記N−ビニルピロリドン及び
水溶液を供給中の反応液のpHは8〜9であった。上記
原料供給終了1時間後より、水80gに2,2′−アゾ
ビス(2−メチルプロピオンアミドキシム)0.8g、
コハク酸0.2gを溶解させた水溶液を原料供給機Bに
仕込み、60分かけてフラスコ内に供給した。供給終了
1時間後、未反応のN−ビニルピロリドン残存量が供給
した全N−ビニルピロリドン量に対して2重量%以下に
なったことを確認した後、水198gにコハク酸2.0
gを溶解した水溶液を加え60分間攪拌した。この間の
反応液のpHは4.5であった。更に、水145gにト
リエタノールアミン2.9gを溶解した水溶液を加え3
0分間攪拌後、冷却した。得られたポリビニルピロリド
ンのpHは7.4、含まれる未反応のN−ビニルピロリ
ドン残存量は6ppm、2−ピロリドン含有量は300
0ppmであった。また、K値は92であった。
【0051】比較例1 実施例1において、初期に原料供給機Bに仕込む水溶液
中のしゅう酸2水和物量を0.48gとしたこと以外
は、実施例1と同様にしてN−ビニルピロリドンの重合
を行った。重合中の反応液のpHは3〜4であった。最
終的に得られたポリビニルピロリドンのpHは6.3、
未反応のN−ビニルピロリドン残存量は1ppm、K値
は83であったが、2−ピロリドン含有量は16000
ppm(1.6重量%)と多かった。
【0052】比較例2 実施例1において、しゅう酸2水和物を用いずに重合を
行ったこと以外は、実施例1と同様にして重合を行っ
た。重合中の反応液のpHは10.2であった。供給終
了1時間後の時点で、未反応のN−ビニルピロリドン残
存量は、供給した全N−ビニルピロリドン量に対して6
重量%と多かった。更に3時間加熱を続け、N−ビニル
ピロリドン残存量が2重量%以下になったことを確認し
た後、水198gにしゅう酸2水和物2.0gを溶解し
た水溶液を加え60分間攪拌した。この間の反応液のp
Hは4.9であった。更に、水145gに炭酸グアニジ
ン2.9gを溶解した水溶液を加え30分間攪拌後、冷
却した。得られたポリビニルピロリドンのpHは7.
8、K値は95であったが、未反応のN−ビニルピロリ
ドン残存量は80ppm、2−ピロリドン含有量は12
000ppmと多かった。
【0053】比較例3 攪拌機、2つの原料供給機(A及びB)、温度計、冷却
管及び窒素ガス導入管を備えた5Lのフラスコに、水2
761gを入れ、窒素ガスを導入し、攪拌しながらフラ
スコ内温が75℃になるように加熱した。N−ビニルピ
ロリドン800gを原料供給機Aに、水16gに2,
2′−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)
プロパン]0.16g、しゅう酸2水和物0.04gを
溶解させた水溶液を原料供給機Bに仕込んだ。これらの
原料をそれぞれの供給機から同時に、60分かけて上記
のフラスコ内に連続供給し、重合させた。上記N−ビニ
ルピロリドン及び水溶液を供給中の反応液のpHは8〜
9であった。上記原料供給終了30分後より、水80g
に2,2′−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−
イル)プロパン]0.8g、しゅう酸2水和物0.2g
を溶解させた水溶液を原料供給機Bに仕込み、60分か
けてフラスコ内に供給した。供給終了30分後、未反応
のN−ビニルピロリドン残存量が供給した全N−ビニル
ピロリドン量に対して5重量%となった時点で、水19
8gにしゅう酸2水和物2.0gを溶解した水溶液を加
え60分間攪拌した。この間の反応液のpHは4.3で
あった。更に、水145gに炭酸グアニジン2.9gを
溶解した水溶液を加え30分間攪拌後、冷却した。得ら
れたポリビニルピロリドンのpHは7.0、未反応のN
−ビニルピロリドン残存量は3ppm、K値は89であ
ったが、2−ピロリドン含有量は28000ppmと多
かった。
【0054】
【発明の効果】本発明のビニルラクタム系重合体の製造
方法は、上述の構成よりなるので、これにより、残存単
量体及び遊離ラクタム含有量が少なく、保存時に着色等
の問題がなく、医薬品や化粧品、食品等の添加剤、粘接
着剤、塗料、分散剤、インキ、電子部品等の製造原料と
して好適に用いることができるビニルラクタム系重合体
を製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤瀬 圭一 滋賀県草津市大路3丁目5番4−908号 (72)発明者 富久 大成 大阪府吹田市西御旅町5番8号 株式会社 日本触媒内 (72)発明者 栗山 敏明 大阪府吹田市西御旅町5番8号 株式会社 日本触媒内 (72)発明者 乾 泰子 大阪府吹田市西御旅町5番8号 株式会社 日本触媒内 Fターム(参考) 4J011 AA05 AB11 HA02 HB01 HB22 4J015 AA02 4J100 AQ06P AQ08P CA01 FA03 FA27 FA39

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ビニルラクタム系単量体を必須とする単
    量体成分を反応液中で重合することによりビニルラクタ
    ム系重合体を製造する方法であって、該ビニルラクタム
    系重合体の製造方法は、水溶性アゾ系開始剤を用い、か
    つビニルラクタム系単量体の重合率が98%を超えるま
    では反応液のpHを5〜10に保持して重合を行う工程
    を含むことを特徴とするビニルラクタム系重合体の製造
    方法。
  2. 【請求項2】 ビニルラクタム系単量体を必須とする単
    量体成分を反応液中で重合することによりビニルラクタ
    ム系重合体を製造する方法であって、該ビニルラクタム
    系重合体の製造方法は、ビニルラクタム系単量体の重合
    率が98%を超えるまでは反応液のpHを5〜10に保
    持して重合を行う第一工程と、ビニルラクタム系単量体
    の重合率が98%を超えた後に酸を添加し、反応液のp
    Hを5未満として反応液中の残存単量体を低減する第二
    工程を含み、該第二工程の後に得られるビニルラクタム
    系重合体は、ラクタム含有量が1.00重量%以下であ
    り、かつN−ビニルラクタム含有量が0.01重量%以
    下であることを特徴とするビニルラクタム系重合体の製
    造方法。
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