JP3808731B2 - ビニルピロリドン重合体の製造方法 - Google Patents

ビニルピロリドン重合体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ビニルピロリドン重合体の製造方法およびそれにより得られるビニルピロリドン重合体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のビニルピロリドンの重合方法としては、過酸化水素水を開始剤として用いる方法がある(DE−B922378)。しかし、この方法では、重合中にpHコントロールをする必要があった。また、過酸化水素が分子量調整剤の働きをするため、低分子量のビニルピロリドン重合体の製造には効果的であるが、高分子量のビニルピロリドン重合体を製造するには不向きであった。開始剤としてジtert−ブチルパーオキサイドを単独で用いる方法(特公平8−19174号公報)もあるが、ジtert−ブチルパーオキサイドは分解温度が高いため、100℃以上の温度および加圧下で重合を行う必要があった。
【0003】
さらに開始剤としてアゾ系化合物を用いる方法も開示されている(特開昭64−38403号公報)。この方法でもK値の高いビニルピロリドン重合体を製造する場合、とくに80以上のK値を有するビニルピロリドン重合体を製造するためには、正確な温度制御と長い反応時間が必要であった。つまり、上記特許では高いK値を有するビニルピロリドン重合体を製造する場合、所定温度を正確に維持しながら重合しなければならない。そのようにしない場合、所望の高いK値のビニルピロリドン重合体を得ることができない。したがって重合中、温度を一定にするために重合熱を常に冷却によって抑えなければならない。
【0004】
実験スケールすなわち数百g〜数kgのビニルピロリドン単量体を重合する場合には冷却あるいは加熱による温度制御は可能であるかもしれないが、数tあるいは数十tスケールで重合する場合、冷却あるいは加熱による温度維持が困難である。とくに、大きいスケールでの反応熱を抑えることは不可能である。そのため、従来では反応熱を抑えるためにビニルピロリドン単量体を徐々に反応系へ添加したり、分解速度の小さい開始剤を用いて長時間かけて重合する必要があった。そのため、重合時間が短く、所望のK値を有するビニルピロリドン重合体を容易に得られる合成方法が望まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、所望のK値(たとえば、80以上のK値)を有するビニルピロリドン重合体を短時間でかつ容易に製造する方法、およびその方法により得られるビニルピロリドン重合体を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らはビニルピロリドン重合体の製造方法について検討し、70℃の半減期が100〜2000分かつ95℃の半減期が5〜50分である油溶性のラジカル重合開始剤を用い、60〜80℃で重合を開始させ、85〜100℃まで昇温させ、その後重合終了までその温度範囲を維持することによって、上記課題を見事に解決することができることに想到した。重合開始からの昇温は反応熱を利用することによって特に煩雑な温度調節は必要ではない。さらにpH調整などの操作も必要としない。また、上記重合においてビニルピロリドンの重合率が99%を超えた時点で酸を添加し反応液のpHを4以下にすることによってビニルピロリドン含有量が10重量ppm以下であり、かつ2−ピロリドン含有量が1重量%以下のビニルピロリドン重合体を短時間にかつ容易に得られることを見出した。
【0007】
したがって本発明は、
重合反応器中で、ビニルピロリドン水溶液中のビニルピロリドンを、ラジカル重合開始剤を用いて重合させてビニルピロリドン重合体を製造する方法において、該ラジカル重合開始剤が、70℃の半減期が100〜2000分かつ95℃の半減期が5〜50分である油溶性のラジカル重合開始剤であり、該重合が、60〜80℃で重合を開始させ、反応熱を利用することにより85〜100℃まで昇温させ、その後重合終了までその温度範囲を維持することを特徴とするビニルピロリドン重合体の製造方法、
得られるビニルピロリドン重合体のK値が80以上である前記製造方法、
ビニルピロリドン水溶液が10〜30重量%の水溶液である前記製造方法、
開始剤が式(I)で表されるアゾニトリル化合物である前記製造方法;
【0008】
【化2】
Figure 0003808731
【0009】
(式中、R1、R2は炭素数1または2のアルキル基を示す。)、
前記重合反応器が、反応釜伝熱面積Am2と反応液体積Bm3のあいだにA/B<6が成立する反応釜である前記製造方法、
ビニルピロリドンの重合率が99%を超えた後に酸を添加し反応液のpHを4以下にする前記製造方法
かかわる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明のビニルピロリドン重合体の製造方法では、ビニルピロリドン(以下VPという)水溶液を調製し、油溶性のラジカル重合開始剤を用いて、前記VP水溶液中のVPの重合を60〜80℃の温度条件下にて開始させ、反応熱を利用することにより反応液が85〜100℃まで昇温したのち重合終了までその温度範囲を維持することによってビニルピロリドン重合体を製造する。
【0011】
ビニルピロリドン(VP)とは、通常、N−ビニル−2−ピロリドンをいう。ビニルピロリドン重合体には、VPの単独重合体およびVPと他の単量体との共重合体(好ましくはVP単位を20重量%以上、より好ましくは30重量%以上含有する共重合体)が包含される。
【0012】
他の単量体としては、たとえば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸のアルキルエステル(メチルアクリレート、エチルアクリレートなど)、メタクリル酸のアルキルエステル(メチルメタクリレート、エチルメタクリレートなど)、アクリル酸のアミノアルキルエステル(ジエチルアミノエチルアクリレートなど)、メタクリル酸のアミノアルキルエステル、アクリル酸とグリコールとのモノエステル、メタクリル酸とグリコールとのモノエステル(ヒドロキシエチルメタクリレートなど)、アクリル酸のアルカリ金属塩、メタクリル酸のアルカリ金属塩、アクリル酸のアンモニウム塩、メタクリル酸のアンモニウム塩、アクリル酸のアミノアルキルエステルの第4級アンモニウム誘導体、メタクリル酸のアミノアルキルエステルの第4級アンモニウム誘導体、ジエチルアミノエチルアクリレートとメチルサルフェートとの第4級アンモニウム化合物、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルスルホン酸のアルカリ金属塩、ビニルスルホン酸のアンモニウム塩、スチレンスルホン酸、スチレンスルホン酸塩、アリルスルホン酸、アリルスルホン酸塩、メタリルスルホン酸、メタリルスルホン酸塩、酢酸ビニル、ビニルステアレート、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルカルバゾール、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−メチレンビスアクリルアミド、グリコールジアクリレート、グリコールジメタクリレート、ジビニルベンゼン、グリコールジアリルエーテルなどがある。
【0013】
VPの重合またはVPと他の単量体との共重合は、水媒体中での溶液重合によって行なうことができる。たとえば、VP水溶液に油溶性ラジカル重合開始剤を添加して重合することができる。
【0014】
VP水溶液としては、VPの濃度が10〜30重量%の水溶液、好ましくは15〜30重量%の水溶液を用いる。VP水溶液の濃度が低くなると生産性が悪くコスト高を招く傾向があり、濃度が高くなると、重合中、経時的に粘度が高くなり攪拌が困難となって反応に支障をきたしやすくなる。
【0015】
重合開始剤としては、70℃の半減期が100〜2000分、好ましくは100〜1000分、より好ましくは300〜700分であり、かつ95℃の半減期が5〜50分、好ましくは5〜40分、より好ましくは5〜30分である油溶性のラジカル重合開始剤が用いられる。油溶性のラジカル重合開始剤の分解速度は水溶性のラジカル重合開始剤に比べて反応中のpHの影響を受け難い点で好ましく、70℃の半減期が100分未満の場合は、高分子量のビニルピロリドン重合体が得られ難くかつ反応系中のラジカル濃度が高くなり停止反応が促進されて開始剤が効率よく使われなくなる傾向があり、2000分を超える場合は重合時間が長くなる傾向がある。
【0016】
前記ラジカル重合開始剤としては、油溶性アゾ化合物、たとえば式(I)で表されるアゾニトリル化合物、および油溶性過酸化物があげられ、とくにアゾニトリル化合物が好ましい。
【0017】
【化3】
Figure 0003808731
【0018】
式中、R1、R2は炭素数1または2のアルキル基を示す。
【0019】
炭素数1または2のアルキル基としては、メチル基およびエチル基をあげることができる。R1とR2は同じであっても異なっていてもよい。
【0020】
前記油溶性アゾ化合物の具体例としては、V−59(化合物名:2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、和光純薬工業株式会社製)、V−60(化合物名:2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)、和光純薬工業株式会社製)などのアゾニトリル化合物、V−601(化合物名:ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、和光純薬工業株式会社製)などのアゾエステル化合物などをあげることができる。また、前記油溶性過酸化物としては、オクタノイルパーオキシド(日本油脂株式会社製)、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本油脂株式会社製)、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本油脂株式会社製)をあげることができる。なお、油溶性のラジカル重合開始剤は、水に対して実質的に溶解しないか、または、難溶解性である。
【0021】
前記ラジカル重合開始剤の添加量は、VPに対して0.001〜1重量%、好ましくは0.01〜1重量%、さらに好ましくは0.05〜1重量%である。ラジカル重合開始剤の添加量が少なくなると重合速度が低下し、生産性が悪くなる傾向がある。また、添加量が多くなると、重合後、添加した開始剤が不純物となって品質上好ましくなく、比較的分子量の高いものを製造することが困難になる傾向がある。
【0022】
ラジカル重合開始剤は固体のまま添加してもよいし、メタノール、エタノールおよびイソプロパノールなどの有機溶剤に溶かして添加してもよい。また、ラジカル重合開始剤は、反応液中に、一括して、または、分割して添加することができる。たとえば、開始剤を反応液中に分割して添加することによって、得られるビニルピロリドン重合体中に残存するモノマー(VP)を極力少なくすることができる。
【0023】
重合開始温度は、60〜80℃、好ましくは65〜75℃とする。本発明における重合開始とは、VP水溶液に前記のラジカル重合開始剤が添加混合されることを意味する。重合開始温度が低いと、重合速度が遅く、生産性が悪くなる傾向があり、重合開始温度が高いと、反応系中のラジカル濃度が高くなり、停止反応が促進されて開始剤が効率よく使われなくなり、開始剤添加量を増加する必要性が生じ好ましくない。
【0024】
本発明のビニルピロリドン重合体の製造方法において、反応液の攪拌速度はとくに制限されず、従来公知の速度でよい。
【0025】
重合開始後、本発明の特定のラジカル重合開始剤を用いることにより、反応温度は85〜100℃に上昇する。通常反応熱により温度が上昇するため何も操作する必要はないが、放熱が激しく85℃まで温度が上昇しない場合は加熱操作により85〜100℃に調節してもよい。また突沸などの恐れがある場合は冷却しても構わない。その後反応終了までその温度を維持して重合反応を行うことにより、ビニルピロリドン重合体を製造する。この時放熱により温度が低下する場合は、温水、蒸気などにより温度を維持することもできる。85〜100℃とする理由としては、開始剤効率が最もよい範囲であり、また後に行う酸処理における残留モノマー(VP)を低減させるのに効率がよいことが挙げられる。85℃未満にすると製造時間が長くなり、100℃を超えると高分子量のものが得られ難くかつ反応系中のラジカル濃度が高くなり停止反応が促進されて開始剤が効率よく使われなくなる。
【0026】
ビニルピロリドンは酸性水溶液中で加水分解をおこしやすいことから、重合反応液中の残留ビニルピロリドンを低減することができるため、重合反応終了前に酸を添加するのが好ましい。酸を添加する時の温度は、前記のとおり85〜100℃の温度とすることが好ましい。
【0027】
添加する酸としては、ギ酸、酢酸、塩酸、硫酸などを例示することができる。酸の添加はVPの重合率が99%を超えた後に行い、反応液のpHを4以下、好ましくは3.5以下、さらに好ましくは3以下にする。VPの重合率が99%以下の時点で酸を添加した場合、ビニルピロリドン重合体中の2−ピロリドンおよびアセトアルデヒド含有量が増加する傾向がある。また、反応液のpHを4以下としない場合は、残留ビニルピロリドンの加水分解速度が遅くなり、生産性が落ちる傾向がある。
【0028】
前記の酸処理の後、任意の塩基性化合物により反応液を中和したり、pHを調節してもよい。
【0029】
前記ビニルピロリドン重合体の製造方法には、反応熱によって上昇する反応液の温度維持が反応釜の保温性によりさらに容易にかつ効率的に実施できるということから、反応釜伝熱面積Am2と反応液体積Bm3のあいだにA/B<6の関係が成立する反応釜を用いて行うのが好ましい。反応釜伝熱面積とは、反応液が反応釜に接触している部分の面積である。
【0030】
前記ビニルピロリドン重合体の製造方法により、ポリマー中のモノマー(VP)含有量が微量、たとえば仕込んだ全モノマーに対し10重量ppm以下であり、かつ2−ピロリドン含有量が1重量%以下であり、かつK値が高い、たとえば80以上のビニルピロリドン重合体を、容易に短時間で得ることができる。
【0031】
前記重合反応は、通常合計0.5〜10時間でほぼ完了する。
【0032】
本発明におけるK値とは、分子量の大きさをフィケンチャー(Fikentscher)法により表した値であり、以下の測定方法によって求めることができる。K値が20未満である場合には5%(g/100ml)溶液の粘度を測定し、K値が20以上の場合は1%(g/100ml)溶液の粘度を測定する。試料濃度は乾燥物換算する。K値が20以上の場合、1.0gの試料を精密に測りとり、100mlのメスフラスコに入れ、室温で蒸留水を加え、振とうしながら完全に溶かして蒸留水を加えて正確に100mlとする。この試料溶液を恒温槽(25±0.2℃)で30分間放置後、ウベローデ型粘度計を用いて試料溶液が2つの印線の間を流れる時間(流動時間)を測定する。数回測定し、平均値をとる。相対粘度を規定するために、蒸留水についても同様に測定する。2つの得られた流動時間をハーゲンバッハ−キュッテ(Hagenbach-Couette)の補正値に基づいて補正する。
【0033】
【数1】
Figure 0003808731
【0034】
上記式中、Cは試料の濃度(%:g/100ml)、Zは濃度Cの溶液の相対粘度(ηrel)を示す。
【0035】
相対粘度ηrelは次式より得られる。
ηrel=(溶液の流動時間)÷(水の流動時間)
【0036】
所望の場合は、一般的な方法により、たとえば、噴霧乾燥、凍結乾燥、流動床乾燥、ドラム乾燥またはベルト式乾燥により、得られるビニルピロリドン重合体溶液を粉末に移行することができる。
【0037】
【実施例】
以下に、実施例にもとづいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
【0038】
(製造方法)
実施例1
VP600kg、水1400kgを容量約2.5m3のジャケット付き釜に仕込んだ。この際の反応液体積(B)は2.0m3であり、また反応釜伝熱面積(A)は10m2であり、A/Bは5.0であった。チッ素パージしながら70℃に加熱し、ついでV−59をVPに対して0.08重量%(480g)添加し、重合反応を開始した。70分後反応液の温度は、反応熱により99℃となった。以後、重合終了まで反応液が90〜99℃となるようにジャケットに温水を流した。反応開始から2時間後、さらにV−59をVPに対して0.1重量%(600g)添加した。反応開始から3時間後、重合率が99%をこえたことを確認し、ギ酸をVPに対して1000重量ppm(600g)添加して、反応液のpHを4以下にさせ、1時間加熱保持した。その結果、重合時間3時間および酸処理時間1時間で、残存VP含有量が1重量ppmであり、2−ピロリドンの含有量が0.8重量%であり、K値が101であるビニルピロリドン重合体が得られた。
【0039】
実施例2
VP400kg、水1600kgを容量約2.5m3のジャケット付き釜に仕込んだ。この際の反応液体積(B)は2.0m3であり、また反応釜伝熱面積(A)は9.0m2であり、A/Bは4.5であった。チッ素パージしながら70℃に加熱し、ついでVPに対して0.1重量%(400g)のV−59をイソプロピルアルコール(IPA)3600gに溶解させたのち添加し、重合反応を開始した。1時間後反応液の温度は、反応熱により90℃となった。以後、重合終了まで反応液が85〜90℃となるようにジャケットに温水を流した。反応開始から2時間後、さらにVPに対して0.1重量%(400g)のV−59をIPA3600gに溶解させたのち添加した。反応開始から3時間後、重合率が99%をこえたことを確認し、ギ酸をVPに対して700重量ppm(280g)添加して、反応液のpHを4以下にさせ、2時間加熱保持した。その結果、重合時間3時間および酸処理時間2時間で、残存VP含有量が5重量ppmであり、2−ピロリドンの含有量が0.2重量%であり、K値が93であるビニルピロリドン重合体が得られた。
【0040】
実施例3
VP400kg、水1600kgを容量約2.5m3のジャケット付き釜に仕込んだ。この際の反応液体積(B)は2.0m3であり、また反応釜伝熱面積(A)は9.0m2であり、A/Bは4.5であった。チッ素パージしながら65℃に加熱し、ついでV−59をVPに対して0.15重量%(600g)添加し、重合反応を開始した。60分後反応液の温度は、反応熱により85℃となった。以後、重合終了まで反応液が85〜90℃となるようにジャケットに温水を流した。反応開始から2時間後、さらにV−59をVPに対して0.15重量%(600g)添加した。反応開始から3時間後、重合率が99%をこえたことを確認し、酢酸をVPに対して1600重量ppm(640g)添加して、反応液のpHを4以下にさせ、3時間加熱保持した。その結果、重合時間3時間および酸処理時間3時間で、残存VP含有量が2重量ppmであり、2−ピロリドンの含有量が0.1重量%であり、K値が84であるビニルピロリドン重合体が得られた。
【0041】
実施例4
VP2t、水8tを容量12m3のジャケット付き釜に仕込んだ。この際の反応液体積(B)は10m3であり、また反応釜伝熱面積(A)は45m2であり、A/Bは4.5であった。チッ素パージしながら70℃に加熱し、ついでV−59をVPに対して0.1重量%(2kg)添加し、重合反応を開始した。80分後反応液の温度は、反応熱により99℃となった。以後、釜に熱を一切加えなかった。反応開始から2時間後、さらにV−59をVPに対して0.1重量%(2kg)添加した。反応開始から3時間後、重合率が99%をこえたことを確認し、ギ酸をVPに対して700重量ppm(1.4kg)添加して、反応液のpHを4以下にさせ、2時間加熱保持した。反応液温度は88℃であった。その結果、重合時間3時間および酸処理時間2時間で、残存VP含有量が3重量ppmであり、2−ピロリドンの含有量が0.2重量%であり、K値が91であるビニルピロリドン重合体が得られた。
【0042】
比較例1
VP400kg、水1600kgを容量約2.5m3のジャケット付き釜に仕込んだ。この際の反応液体積(B)は2.0m3であり、また反応釜伝熱面積(A)は9.0m2であり、A/Bは4.5であった。チッ素パージしながら40℃に加熱し、ついで2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)をVPに対して0.1重量%(400g)添加し、重合反応を開始した。反応液は、反応熱により60℃となった。反応開始から2時間後、さらに2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)をVPに対して0.1重量%(400g)添加した。反応開始から3時間後、さらに2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)をVPに対して0.1重量%(400g)添加した。4時間後、重合率が97%をこえたことを確認し、ギ酸をVPに対して700重量ppm(280g)添加して、反応液のpHを4以下にさせ、8時間加熱保持した。その結果、重合時間4時間および酸処理時間8時間で、残存VP含有量が20重量ppmであり、2−ピロリドンの含有量が2.3重量%であり、K値が76であるビニルピロリドン重合体が得られた。
【0043】
比較例2
VP400kg、水1600kgを容量約2.5m3のジャケット付き釜に仕込んだ。この際の反応液体積(B)は2.0m3であり、また反応釜伝熱面積(A)は9.0m2であり、A/Bは4.5であった。チッ素パージしながら55℃に加熱し、ついでt−ブチルペルオキシピバレートをVPに対して0.09重量%(370g)添加し、重合反応を開始した。重合反応は、温度56〜59℃で、5時間にわたって行った。ついで、t−ブチルペルオキシピバレートをVPに対して0.09重量%(370g)添加し、さらに2時間反応を継続させた。重合時間7時間で、残存VP含有量400重量ppmであり、2−ピロリドンの含有量が0.05重量%であり、K値が121であるビニルピロリドン重合体が得られた。
【0044】
(評価方法)
V−59:70℃半減期は400〜500分。95℃半減期は10〜20分。2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル):70℃半減期は5分未満。
t−ブチルペルオキシピバレート:70℃半減期は30〜40分、95℃半減期は4〜6分。
K値:前記の方法により測定した。
残存VP(残存単量体)含有量(対固形分ppm):液体クロマトグラフィーを用いて235nmの吸収強度により、得られたビニルピロリドン重合体中に残存するVPの含有量を測定した。
重合率:100−残存VP(残存単量体)含有量(対固形分%)
2−ピロリドン含有量:HPLC(高速液体クロマトグラフィー)により分離し、UV検出器を用いて235nmにおける吸収強度を測定することにより定量した。
固形分:重合により得られたポリマー水溶液約5gを精秤し、105℃で12時間乾燥させ、蒸発残分を固形分として算出した。
【0045】
(結果)
70℃の半減期が400〜500分であり、かつ95℃の半減期が10〜20分である2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)を開始剤として用いた実施例1〜4では、比較例1および比較例2に比べ、残存VP含有量および2−ピロリドン含有量の少ないビニルピロリドン重合体を得ることができた。また、重合反応開始から終了までの温度が高い実施例1〜4では、反応温度の低い比較例1および比較例2に比べ、重合時間を短縮することができた。さらに、重合反応終了前に酸を添加した実施例1〜4および比較例1では、酸を添加しない比較例2に比べ、残存VP含有量の少ないビニルピロリドン重合体を得ることができた。
【0046】
【発明の効果】
本発明のビニルピロリドン重合体の製造方法によれば、残存VP含有量および2−ピロリドン含有量が少なく、高いK値、たとえば80以上のK値を有するビニルピロリドン重合体を短時間でかつ容易に製造することができる。また、本発明の製造方法により得られたビニルピロリドン重合体は、不純物が少ない優れた重合体である。

Claims (6)

  1. 重合反応器中で、ビニルピロリドン水溶液中のビニルピロリドンを、ラジカル重合開始剤を用いて重合させてビニルピロリドン重合体を製造する方法において、該ラジカル重合開始剤が、70℃の半減期が100〜2000分かつ95℃の半減期が5〜50分である油溶性のラジカル重合開始剤であり、該重合が、60〜80℃で重合を開始させ、反応熱を利用することにより85〜100℃まで昇温させ、その後重合終了までその温度範囲を維持することを特徴とするビニルピロリドン重合体の製造方法。
  2. 得られるビニルピロリドン重合体のK値が80以上である請求項1記載の製造方法。
  3. ビニルピロリドン水溶液が10〜30重量%の水溶液である請求項1または2記載の製造方法。
  4. 開始剤が式(I)で表されるアゾニトリル化合物である請求項1、2または3記載の製造方法。
    Figure 0003808731
    (式中、R1、R2は炭素数1または2のアルキル基を示す。)
  5. 前記重合反応器が、反応釜伝熱面積Am2と反応液体積Bm3のあいだにA/B<6が成立する反応釜である請求項1、2、3または4記載の製造方法。
  6. ビニルピロリドンの重合率が99%を超えた後に酸を添加し反応液のpHを4以下にする請求項1、2、3、4または5記載の製造方法。
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