JP4458892B2 - N−ビニルアミド重合体及びn−ビニルアミド重合体の製造方法 - Google Patents
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従来では、例えばポリビニルビロリドンを製造する場合、残存N−ビニルピロリドン(NVP)を低減するために、重合後にNVPを加水分解処理する方法が知られている。この方法においては、2−ピロリドン(2−py)、アセトアルデヒド等の加水分解物を発生し、臭気や着色の原因となる場合がある。また、重合中に開始剤を後添加してNVPを減少させる方法も知られているが、重合中に加水分解が進行し、2−py等が発生する場合がある。
このような吸着剤処理や限外濾過等のような精製法では、溶液の形態で行われることから、時間あたりに処理できる重合体が少なくなる。また、処理できる溶液の粘度に制限があるため、特に高いK値のN−ビニルアミド重合体は低濃度の溶液で処理する必要があり、更に生産性が低くなるため実用的ではない。したがって、これらの不具合を解消し、生産性を充分に向上して、化粧品や医薬品等の用途に好適に用いることができるN−ビニルアミド重合体を製造するための工夫の余地があった。
これらの方法においては、化粧品や医薬品等の用途に用いられるN−ビニルアミド重合体の製造に関する記載はなく、このような重合体の製造に好適に適用するための工夫の余地があった。
本発明のように、固体状態のN−ビニルアミド重合体を処理して精製することは新規であり、また、N−ビニルピロリドン等の残存単量体及び2−ピロリドン等の単量体の加水分解物を同時に100ppm以下のレベルにまで精製できる手法も新規である。従来では、溶液の形態で精製を行っていたことから、溶液の粘度に制約があり生産性が充分ではなく、特に高K値品は希釈度を挙げる必要があったが、本発明においては、K値や粘度について制限されることなく充分に不純物を除去することができることから、生産性についても充分に向上されることになる。
本発明はまた、N−ビニルアミド単量体単位を必須とするN−ビニルアミド重合体を製造する方法であって、上記製造方法は、粒径500μm以下の粉体状又は厚さ10mm以下のフィルム状のN−ビニルアミド重合体を、相対湿度50%以上の条件で処理する工程を含んでなるN−ビニルアミド重合体の製造方法でもある。
以下に本発明を詳述する。
上記N−ビニルアミド単量体の含有率としては、液体クロマトグラフィー法により定量して求めることができる。
上記N−ビニルアミド単量体が加水分解することにより生成する化合物であり、例えば、単量体としてN−ビニルピロリドンを用いる場合においては、2−ピロリドン、アセトアルデヒド等を挙げることができる。
上記N−ビニルアミド単量体の加水分解物の含有率としては、上述したN−ビニルアミド単量体の含有率と同様に求めることができる。
上記灰分とは、N−ビニルアミド重合体を燃焼させた後に残留する不燃性残渣であり、無機物質及びその酸化物を主成分として含有するものである。無機物質としては、例えば、ナトリウム原子、カリウム原子、マグネシウム原子、カルシウム原子等を含有する物質を挙げることができる。
上記灰分の含有率としては、日本薬局方の強熱残分の測定法に準拠して測定することができる。
上記APHAとしては、JIS K0071に準拠して測定することができる。
従来N−ビニルアミド重合体は、その他の重合体、例えばアクリル酸塩やアクリルアミドを単量体成分の主成分とするような重合体と比較して、不純物等が起因する着色が生じやすい重合体であるが、本発明はこのような着色が充分に低減されたものである。
上記K値は、重合体の分子量と相関性を有するものであると考えられている。N−ビニルアミド重合体の場合、アミド結合を有し、これがゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)のカラムに吸着して分子量を的確に示すことができないことから、K値を用いる。
logηrel/C=[(75K0 2)/(1+1.5K0C)]+K0
K=1000K0
C:溶液100ml中のN−ビニルアミド重合体のg数
ηrel:相対粘度
上記N−ビニルアミド単量体としては、N−ビニルアミド構造を有する重合性化合物であればよく、下記一般式(2);
(1)(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル等の(メタ)アクリル酸エステル類。
(2)(メタ)アクリルアミド、N−モノメチル(メタ)アクリルアミド、N−モノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド誘導体類。
(3)(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール等の塩基性不飽和単量体及びその塩又は第4級化物。
(4)ビニルオキサゾリン、イソプロペニルオキサゾリン等のイミノエーテル類。
(5)(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等のカルボキシル基含有不飽和単量体及びその塩。
(6)2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、メチル2−(ヒドロキシメチル)アクリレート、エチル2−(ヒドロキシメチル)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸モノ(メタ)アクリレート、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の水酸基を有する不飽和単量体。
(7)無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和無水物類。
(8)酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類。
(9)ビニルエチレンカーボネート及びその誘導体。
(10)スチレン及びその誘導体。
(11)(メタ)アクリル酸−2−スルホン酸エチル及びその誘導体。
(12)ビニルスルホン酸及びその誘導体;(メタ)アクリルアミドメチルスルホン酸、(メタ)アクリルアミドエチルスルホン酸、(メタ)アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸等の不飽和スルホン酸類及びその塩。
(13)メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類。
(14)エチレン、プロピレン、オクテン、ブタジエン等のオレフィン類。
(15)グリシジル(メタ)アクリレート等のグリシジル基を有する不飽和単量体。
また重合の形態としては、撹拌重合形態、静置重合形態、ベルト重合形態等が好適であり、これらの中でも、ベルト重合形態が好ましい。ベルト重合することにより、連続的に重合を行うことができ、また、撹拌する必要がないことから、反応液の粘度や単量体濃度を高く設定することが可能となり、溶媒の除去も容易に行うことができることになる。
上記重合開始剤の使用量としては、単量体成分100質量%に対して、0.001〜10質量%とすることが好ましい。より好ましくは、0.005質量%〜5質量%であり、更に好ましくは、0.01〜1質量%である。また、重合を行う際には、必要に応じて連鎖移動剤等を用いることもできる。
また紫外線の照射強度としては、単量体濃度等により適宜設定すればよく、好ましくは、10〜100W/m2であり、より好ましくは、20〜50W/m2である。照射時間としては、好ましくは、1〜60分であり、より好ましくは、5〜30分である。
本発明の製造方法は、あらゆるK値を有するN−ビニルアミド重合体の製造に好適な方法であり、得られるN−ビニルアミド重合体における不純物の含有率においても、特に制限はなく、生産性の点からも有利な製造方法である。このような方法でN−ビニルアミド重合体を精製することにより、N−ビニルアミド重合体に含有される不純物を充分に除去し、医薬品、化粧品等の各種用途することができるN−ビニルアミド重合体を得ることができることになる。また、N−ビニルアミド重合体としては、N−ビニルアミド単量体単位を必須とするものであればよく、上述したような重合方法により得られるものであることが好ましい。
本発明の製造方法はまた、上述した本発明のN−ビニルアミド重合体を得るのに好適な方法でもあり、上記製造方法により得られるN−ビニルアミド重合体が、N−ビニルアミド単量体の含有率が10ppm以下であり、かつN−ビニルアミド単量体の加水分解物の含有率が100ppm以下であるN−ビニルアミド重合体であることは、本発明の好ましい実施形態の一つである。
上記N−ビニルアミド重合体を粉体状とする場合にはその粒径が500μm以下であり、500μmを超えると、充分には不純物等を除去することができないこととなる。好ましくは、400μmm以下であり、より好ましくは、300μm以下であり、更に好ましくは、200μm以下である。また、N−ビニルアミド重合体をフィルム状とする場合にはその厚さが10mm以下であり、10mmを超えると、充分には不純物等を除去することができないこととなる。好ましくは、5mm以下であり、より好ましくは、1mm以下であり、更に好ましくは、0.1mm以下である。
上記粒径は、平均粒径であり、その測定としては、JIS K0069「化学製品の篩い分け試験法」の乾式篩い分け試験法に準じて行うことができる。
上記処理時間としては、処理条件、不純物の含有率等により適宜設定すればよく、例えば、15分〜5時間であることが好ましい。より好ましくは、30分〜4時間、更に好ましくは、45分〜3時間である。
上記(1)の方法としては、N−ビニルアミド重合体が粉体状である場合には、例えば処理容器や処理装置の中にN−ビニルアミド重合体を広げて静置する形態等が好適である。また、フィルム状である場合には、フィルム同士が重ならないように静置する形態、処理容器等の壁面等に接触しないように静置する形態、これらを組み合わせた形態等が好適である。
本発明においては、N−ビニルアミド重合体が粉体状である場合には、処理工程において、粉体状のN−ビニルアミド重合体を撹拌する及び/又は気流下に流動させることが好ましい。このように撹拌や流動させながら処理することにより、N−ビニルアミド重合体の融着(ブロッキング)を防止することができることになり、また、充分に残存単量体等を除去することができることになる。
上記処理方法に用いることができる装置としては、例えば、箱型乾燥機、流動槽乾燥機、コニカルドライヤー等が好適である。
図1に示す重合反応装置を用いて実施した。N−ビニルピロリドン60部とイオン交換水40部からなる単量体水溶液を調製し、窒素バブリングすることで充分に溶存酸素を除去した。予め内部を窒素置換し、表面が100℃となるように加熱しておいた反応容器に供給口1から単量体水溶液を投入し、続いてアゾ系開始剤(V−59)0.06部をエタノール1部に溶解した開始剤溶液を供給口2から投入した。反応液の反応容器内での液深は10mmであった。窒素気流下に重合を行い、約5分で反応液の温度は100℃に達した。その後、15分間、100℃以上の温度を維持し、無色透明でシート状のポリビニルピロリドンが得られた。
得られたポリビニルピロリドンを粉砕機で粉砕し、振動ふるいにより分級した。平均粒径150μmの粉体を粉体1、平均粒径700μmの粉体を粉体2として後の評価に用いた。
所定の条件に調整した恒温恒湿機の中に粉体1又は粉体2の少量を薄くバットに広げて静置した。3時間後に取り出して分析を行った。条件と結果を表1にまとめた。なお、初期(恒温恒湿機で処理する前)において、残存N−ビニルピロリドン(NVP)量は5000ppm、2−ピロリドン(2−py)量は0.2ppm、色相(APHA)は5であった。
Claims (5)
- 前記処理工程は、粒径200μm以下の粉体状のN−ビニルアミド重合体を、相対湿度50%以上の条件で処理する
ことを特徴とする請求項1記載のN−ビニルアミド重合体の製造方法。 - 前記処理工程は、粒径150μm以下の粉体状のN−ビニルアミド重合体を、相対湿度60%以上の条件で処理する
ことを特徴とする請求項1又は2記載のN−ビニルアミド重合体の製造方法。 - 前記処理工程は、50〜150℃の条件で処理する
ことを特徴とする請求項1、2又は3記載のN−ビニルアミド重合体の製造方法。 - 前記製造方法により得られるN−ビニルアミド重合体は、N−ビニルアミド単量体の含有率が10ppm以下であり、かつN−ビニルアミド単量体の加水分解物の含有率が100ppm以下である
ことを特徴とする請求項1、2、3又は4記載のN−ビニルアミド重合体の製造方法。
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