JP2002169504A - 平面型表示装置 - Google Patents

平面型表示装置

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JP2002169504A JP2000332522A JP2000332522A JP2002169504A JP 2002169504 A JP2002169504 A JP 2002169504A JP 2000332522 A JP2000332522 A JP 2000332522A JP 2000332522 A JP2000332522 A JP 2000332522A JP 2002169504 A JP2002169504 A JP 2002169504A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】画面の表示品質に劣化を生じさせるような、第
1パネルと第2パネルとの間の放電の発生を確実に抑制
することが可能な平面型表示装置を提供する。 【解決手段】本発明の平面型表示装置は、電子放出部1
6を有する第1パネル10と、電子照射面24を有する
第2パネル20と、電子放出部16を駆動するための電
子放出部駆動回路31とを具備し、電子放出部16と電
子照射面24との間の放電を防止するために、電子放出
部16と電子放出部駆動回路31との間に電子放出部遮
断回路32が設けられている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば冷陰極電界
電子放出表示装置といった平面型表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】現在主流の陰極線管(CRT)に代わる
画像表示装置として、平面型(フラットパネル形式)の
表示装置が種々検討されている。このような平面型の表
示装置として、液晶表示装置(LCD)、エレクトロル
ミネッセンス表示装置(ELD)、プラズマ表示装置
(PDP)を例示することができる。また、熱的励起に
よらず、固体から真空中に電子を放出することが可能な
冷陰極電界電子放出型の表示装置、所謂フィールドエミ
ッションディスプレイ(FED)も提案されており、画
面の明るさ及び低消費電力の観点から注目を集めてい
る。
【0003】冷陰極電界電子放出表示装置(以下、表示
装置と略称する場合がある)の代表的な構成例を図82
に示し、図83には、第1パネル10及び第2パネル2
0の一部分の模式的な分解斜視図を示す。この表示装置
においては、第1パネル(カソードパネル)10と第2
パネル(アノードパネル)20とが対向配置され、第1
パネル10と第2パネル20とは、各々の周縁部におい
て図示しない枠体を介して互いに接着され、両パネル1
0,20の間の閉鎖空間が真空空間とされている。第1
パネル10は、電子放出体として冷陰極電界電子放出素
子(以下、電界放出素子と略称する場合がある)を、複
数、備えている。図82には、電界放出素子の一例とし
て、円錐形の電子放出電極16Aから構成された電子放
出部16を有する、所謂スピント(Spindt)型電
界放出素子を示す。スピント型電界放出素子は、支持体
11上に形成されたストライプ状のカソード電極12
と、絶縁層13と、絶縁層13上に形成されたストライ
プ状のゲート電極14と、ゲート電極14及び絶縁層1
3に設けられた開口部15内に形成された円錐形の電子
放出電極16Aとから構成されている。通常、所定の配
列を有する所定数の電子放出電極16Aが、後述する蛍
光体層22の1つに対応付けられている。電子放出電極
16Aには、カソード電極駆動回路34からカソード電
極12を通じて相対的に負電圧(走査信号)が印加さ
れ、ゲート電極14にはゲート電極駆動回路31から相
対的に正電圧(ビデオ信号)が印加される。これらの電
圧印加によって生じた電界に応じて、電子放出電極16
Aの先端から電子が量子トンネル効果に基づき放出され
る。尚、電界放出素子としては、上述のようなスピント
型電界放出素子に限られず、所謂エッジ型や平面型等、
他のタイプの電界放出素子が用いられる場合もある。
【0004】一方、第2パネル20は、ガラス等から成
る基板21上にマトリクス状あるいはストライプ状に形
成された複数の蛍光体層22(蛍光体層22R,22
G,22B)と、蛍光体層22の間を埋めるブラックマ
トリクス23と、蛍光体層22及びブラックマトリクス
23上の全面に形成されたアノード電極24とから構成
されている。アノード電極24には、ゲート電極14に
印加される正電圧よりも高い正電圧がアノード電極駆動
回路37から印加され、アノード電極24は、電子放出
電極16Aから真空空間中へ放出された電子を蛍光体層
22に向かって誘導する役割を果たす。また、アノード
電極24は、蛍光体層22を構成する蛍光体粒子をイオ
ン等の粒子によるスパッタから保護すると共に、電子励
起によって生じた蛍光体層22の発光を基板21側へ反
射させ、基板21の外側から観察される表示画面の輝度
を向上させる機能も有する。アノード電極24は、例え
ば、アルミニウム薄膜から構成されている。
【0005】一般に、カソード電極12とゲート電極1
4とは、これらの両電極12,14の射影像が互いに直
交する方向に各々ストライプ状に形成されており、これ
らの両電極12,14の射影像が重複する重複領域(単
色表示装置の1画素分の領域、あるいは又、カラー表示
装置の1画素を構成する3つのサブピクセルの内の1つ
のサブピクセル分の領域に相当する)に、通常、複数の
電界放出素子が配列されている。更に、かかる重複領域
が、第1パネル10の有効領域(実際の表示画面として
機能する領域)内に2次元マトリクス状に配列されてい
る。1画素は、第1パネル10側のカソード電極12と
ゲート電極14との重複領域に所定数配列された電界放
出素子の一群と、これらの電界放出素子の一群に対面し
た第2パネル20側の蛍光体層22とによって構成され
ている。有効領域には、かかる画素が、例えば数十万〜
数百万個ものオーダーにて配列されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】第1パネル10と第2
パネル20との間のギャップは0.1mm〜1mm程度
である。第2パネル20のアノード電極24には高電圧
(例えば、5kV)が印加される。このような表示装置
においては、第1パネル10に設けられたゲート電極1
4と第2パネル20に設けられたアノード電極24との
間で放電が発生することがあり、画像表示の品質が著し
く損なわれる虞がある。真空空間中における放電の発生
機構においては、先ず、強電界下における電子放出電極
16Aからの電子やイオンの放出が放電のトリガーとな
り、アノード電極駆動回路37からアノード電極24へ
エネルギーが供給されてアノード電極24の温度が局所
的に上昇し、アノード電極24の内部の吸蔵ガスの放
出、あるいはアノード電極24を構成する材料そのもの
の蒸発が生じ、小規模な放電が大規模な放電(例えば、
火花放電)へ成長すると考えられる。
【0007】表示装置において画像を表示する場合に
は、発光すべき画素を構成するゲート電極(選択ゲート
電極と呼ぶ)に正の電圧VG-SL(例えば160ボルト)
を印加する。一方、発光させない画素を構成するゲート
電極(非選択ゲート電極と呼ぶ)には、電圧V
G-NSL(例えば0ボルト)を印加する。また、発光すべ
き画素を構成するカソード電極(選択カソード電極と呼
ぶ)に電圧VC-SL(輝度に応じて、例えば0ボルト以
上、30ボルト未満の電圧)を印加する。一方、発光さ
せない画素を構成するカソード電極(非選択カソード電
極と呼ぶ)に電圧VC-NSL(例えば30ボルト)を印加
する。従って、最も明るい画素におけるカソード電極1
2とゲート電極14との間の電位差は160ボルトであ
り、最も暗い画素におけるカソード電極12とゲート電
極14との間の電位差は130ボルトである。この状態
を、図84の(A)に模式的に示す。尚、ゲート電極1
4に印加する電圧を「Vg」で表し、カソード電極12
に印加する電圧を「Vc」で表した。アノード電極24
の電圧は5kVに保持されている。また、このような状
態における選択ゲート電極と選択カソード電極の電位を
図85の(A)に模式的に示す。尚、図85及び図86
において、白三角印はカソード電極の電位の一例を示
し、白丸印、黒丸印及び白四角印はゲート電極の電位の
一例を示し、黒三角印はアノード電極の電位の一例を示
す。
【0008】今、アノード電極24とゲート電極14と
の間で放電が生じ始めると、ゲート電極14の電位は時
間と共に上昇し、最終的には、アノード電極24の電圧
に近い電圧V”Gまで上昇する。ゲート電極14の電位
はゲート電極駆動回路31に直ちに伝わり、ゲート電極
駆動回路31が損傷する可能性が生じる。また、ゲート
電極14の電位が時間と共に上昇する結果、カソード電
極12とゲート電極14との間の電位差も増大し、電子
放出電極16Aから過剰な電子放出電流が流れ、電子放
出電極16Aとゲート電極14との間、あるいは、電子
放出電極16Aとアノード電極24との間でも放電が生
じ、ゲート電極14や電子放出電極16Aの永久的な損
傷の原因となる。更には、電位の上昇したゲート電極1
4と電子放出電極16Aとの間の放電によって、カソー
ド電極12の電位も上昇し、かかる電位V”Cがカソー
ド電極駆動回路34に直ちに伝わり、カソード電極駆動
回路34が損傷する可能性が生じる。このような状態
を、図84の(B)に模式的に示す。更には、このよう
な状態における選択ゲート電極と選択カソード電極の電
位を図85の(B)に模式的に示し、選択ゲート電極に
おける電位の変化を模式的に図86に示す。尚、図85
の(B)及び図86において、t0は放電開始からゲー
ト電極が上昇を開始するまでの経過時間(約2マイクロ
秒)を示し、t 1はゲート電極の電位が約170ボルト
となったときの放電開始からの経過時間(約3マイクロ
秒)を示し、t2はゲート電極の電位が約2kVとなっ
たときの放電開始からの経過時間(約5マイクロ秒)を
示す。
【0009】アノード電極24とゲート電極14との間
の放電を抑制するには、放電のトリガーとなる電子やイ
オンの放出を抑制することが有効であるが、そのために
は極めて厳密なパーティクル管理が必要となる。このよ
うな管理を第1パネルあるいはこれを用いた表示装置の
製造プロセスにおいて実行することには、多大な技術的
困難が伴う。
【0010】従って、本発明の目的は、画面の表示品質
に劣化を生じさせるような、第1パネルと第2パネルと
の間の放電の発生を確実に抑制することが可能な平面型
表示装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明の第1の態様に係る平面型表示装置は、電子
放出部を有する第1パネルと、電子照射面を有する第2
パネルと、電子放出部を駆動するための電子放出部駆動
回路とを具備し、電子放出部と電子照射面との間の放電
を防止するために、電子放出部と電子放出部駆動回路と
の間に電子放出部遮断回路が設けられていることを特徴
とする。尚、本発明の平面型表示装置において、第1パ
ネルと第2パネルとの間の閉鎖空間は真空空間となって
いる。第1パネルと第2パネルとは、各々の周縁部にお
いて、枠体を介して、あるいは、枠体を用いること無
く、互いに接着されている。
【0012】本発明の第1の態様に係る平面型表示装置
においては、電子放出部遮断回路には第1の所定の電位
(VPD1)が印加され、電子放出部遮断回路に接続され
た電子放出部の部分の電位が電子放出部と電子照射面と
の間に放電によって第2の所定の電位(VPD2)となっ
たとき、第1の所定の電位と第2の所定の電位の電位差
(VPD2−VPD1)に応じて電子放出部遮断回路が動作す
ることが好ましい。この場合、電子放出部駆動回路の破
壊電圧をVCOLAPSE、出力電圧の最大値をVOUT -MAXとし
たとき、|VOUT-MAX−VPD1|<VCOLAPSEを満足する
ことが、電子放出部駆動回路の破壊を防止するといった
観点から望ましい。あるいは又、電子放出部駆動回路の
破壊電流をICOLAPSE、電子放出部駆動回路と電子放出
部との間の抵抗値をREMISSIONとしたとき、|V
OUT-MAX−VPD1|<REMISSION・ICOLA PSEを満足する
ことが、電子放出部駆動回路の破壊を防止するといった
観点から望ましい。
【0013】本発明の第1の態様に係る平面型表示装置
においては、第2パネルは、基板、蛍光体層及びアノー
ド電極から成ることが好まし。そして、この場合、アノ
ード電極駆動回路を更に備え、電子放出部と電子照射面
との間の放電を防止するために、アノード電極とアノー
ド電極駆動回路との間にアノード電極遮断回路が設けら
れている構成とすることが好ましい。アノード電極遮断
回路の構成は、本発明の第2の態様に係る平面型表示装
置におけるアノード電極遮断回路の構成と同様とするこ
とができる。
【0014】上記の目的を達成するための本発明の第2
の態様に係る平面型表示装置は、電子放出部を有する第
1パネルと、蛍光体層及びアノード電極から成る電子照
射面を有する第2パネルと、アノード電極を駆動するた
めのアノード電極駆動回路とを具備する平面型表示装置
であって、電子放出部と電子照射面との間の放電を防止
するために、アノード電極とアノード電極駆動回路との
間にアノード電極遮断回路が設けられていることを特徴
とする。
【0015】本発明の第2の態様に係る平面型表示装置
においては、電子放出部と電子照射面との間に放電が生
じていない場合には、アノード電極遮断回路は不動作状
態にあり、電子放出部と電子照射面との間に放電が生じ
たとき、アノード電極遮断回路が動作することが好まし
い。また、電子放出部と電子照射面との間の放電に起因
してアノード電極とアノード電極駆動回路との間を流れ
る電流によりアノード電極遮断回路が動作することが好
ましい。
【0016】アノード電極は、有効領域を1枚のシート
状の導電材料で被覆した形式のアノード電極としてもよ
いし、1又は複数の電子放出部、あるいは、1又は複数
の画素に対応するアノード電極ユニットが集合した形式
のアノード電極としてもよい。アノード電極が前者の構
成の場合、アノード電極遮断回路を1つ設ければよい。
一方、アノード電極が後者の構成の場合、アノード電極
遮断回路をユニットの数だけ設ければよく、あるいは
又、各アノード電極ユニットを1つの配線で接続し、こ
の配線に1つのアノード電極遮断回路を接続してもよ
い。
【0017】上記の目的を達成するための本発明の第3
の態様に係る平面型表示装置は、電子放出部を有する第
1パネルと、電子照射面を有する第2パネルと、電子放
出部を駆動するための電子放出部駆動回路と、電子放出
部と電子照射面との間に配設されたシールド部材と、シ
ールド部材に電圧を印加するためのシールド部材印加手
段を具備する平面型表示装置であって、シールド部材と
電子照射面との間の放電を防止するために、シールド部
材とシールド部材印加手段との間にシールド部材遮断回
路が設けられていることを特徴とする。
【0018】本発明の第3の態様に係る平面型表示装置
においては、シールド部材に対して、所謂収束電極とし
ての機能を付与してもよい。シールド部材は、有効領域
を1枚のシート状の導電材料で被覆した形式のシールド
部材としてもよいし、1又は複数の電子放出部、あるい
は、1又は複数の画素に対応するシールド部材ユニット
が集合した形式のシールド部材としてもよい。シールド
部材が前者の構成の場合、シールド部材遮断回路を1つ
設ければよい。一方、シールド部材が後者の構成の場
合、シールド部材遮断回路をユニットの数だけ設ければ
よく、あるいは又、各ユニットを1つの配線で接続し、
この配線に1つのシールド部材遮断回路を接続してもよ
い。尚、収束電極とは、電子放出部から第2パネルの電
子照射面へと向かう放出電子の軌道を収束させ、以て、
輝度の向上や隣接画素間の光学的クロストークの防止を
可能とするための電極である。シールド部材を収束電極
として機能させるためには、シールド部材印加手段から
相対的な負電圧が印加される。シールド部材は、電子放
出部と一体に設けてもよいし、電子放出部とは別個に設
けてもよい。シールド部材には、電子放出部から放出さ
れた電子を通過させるための開口部を形成しておく必要
があるが、かかる開口部は、1つの電子放出部に対応し
て1つ設けてもよいし、複数の電子放出部に対応して1
つ設けてもよい。
【0019】本発明の第3の態様に係る平面型表示装置
においては、第2パネルは、基板、蛍光体層及びアノー
ド電極から成ることが好ましい。そして、この場合、ア
ノード電極駆動回路を更に備え、電子放出部と電子照射
面との間の放電を防止するために、アノード電極とアノ
ード電極駆動回路との間にアノード電極遮断回路が設け
られている構成とすることが好ましい。アノード電極遮
断回路の構成は、本発明の第2の態様に係る平面型表示
装置におけるアノード電極遮断回路の構成と同様とする
ことができる。あるいは又、本発明の第3の態様に係る
平面型表示装置に、本発明の第1の態様に係る平面型表
示装置における電子放出部遮断回路を組み込んでもよ
い。
【0020】本発明の第1の態様、第2の態様若しくは
第3の態様に係る平面型表示装置(以下、これらの平面
型表示装置を総称して、単に、本発明の平面型表示装置
と呼ぶ場合がある)においては、ストライプ状のゲート
電極と、ストライプ状のゲート電極の延びる方向とは異
なる方向に延びるストライプ状のカソード電極とを有
し、電子放出部は、ストライプ状のゲート電極の射影像
と、ストライプ状のカソード電極の射影像の重複する重
複領域に設けられており、電子放出部駆動回路は、ゲー
ト電極に接続された第1の駆動回路と、カソード電極に
接続された第2の駆動回路とから構成され、第1の駆動
回路は電子放出部遮断回路を介してゲート電極に接続さ
れている構成とすることができる。尚、このような構成
を、便宜上、本発明の第1の構成に係る平面型表示装置
と呼ぶ。
【0021】あるいは又、本発明の平面型表示装置にお
いては、ストライプ状のゲート電極と、ストライプ状の
ゲート電極の延びる方向とは異なる方向に延びるストラ
イプ状のカソード電極とを有し、電子放出部は、ストラ
イプ状のゲート電極の射影像と、ストライプ状のカソー
ド電極の射影像の重複する重複領域に設けられており、
電子放出部駆動回路は、ゲート電極に接続された第1の
駆動回路と、カソード電極に接続された第2の駆動回路
とから構成され、第2の駆動回路は電子放出部遮断回路
を介してカソード電極に接続されている構成とすること
ができる。尚、このような構成を、便宜上、本発明の第
2の構成に係る平面型表示装置と呼ぶ。
【0022】本発明の第1の構成若しくは第2の構成に
係る平面型表示装置にあっては、電子放出部と電子照射
面との間に放電が生じていない場合には、電子放出部遮
断回路は不動作状態にあり、電子放出部と電子照射面と
の間に放電が生じたとき、電子放出部遮断回路が動作す
る形態とすることが望ましい。
【0023】更には、本発明の平面型表示装置において
は、ストライプ状のゲート電極と、ストライプ状のゲー
ト電極の延びる方向とは異なる方向に延びるストライプ
状のカソード電極とを有し、電子放出部は、ストライプ
状のゲート電極の射影像と、ストライプ状のカソード電
極の射影像の重複する重複領域に設けられており、電子
放出部駆動回路は、ゲート電極に接続された第1の駆動
回路と、カソード電極に接続された第2の駆動回路とか
ら構成され、電子放出部遮断回路は、ゲート電極と第1
の駆動回路との間に設けられた第1の遮断回路と、カソ
ード電極と第2の駆動回路との間に設けられた第2の遮
断回路とから構成されている構成とすることができる。
尚、このような構成を、便宜上、本発明の第3の構成に
係る平面型表示装置と呼ぶ。
【0024】本発明の第3の構成に係る平面型表示装置
にあっては、電子放出部と電子照射面との間に放電が生
じていない場合には、第1及び第2の遮断回路は不動作
状態にあり、電子放出部と電子照射面との間に放電が生
じたとき、第1の遮断回路が動作し、第1の遮断回路の
動作に基づき第2の遮断回路が動作する形態とすること
が望ましい。
【0025】本発明の第1の構成、第2の構成あるいは
第3の構成に係る平面型表示装置において、第1パネル
は複数の冷陰極電界電子放出素子を備え、各冷陰極電界
電子放出素子は、(イ)支持体と、(ロ)支持体上に設
けられたカソード電極と、(ハ)支持体及びカソード電
極上に形成された絶縁層と、(ニ)絶縁層上に設けられ
たゲート電極と、(ホ)ゲート電極及び絶縁層を貫通す
る開口部と、(ヘ)開口部の底部に位置するカソード電
極の部分の上に設けられた電子放出電極、から成り、開
口部の底部に露出した電子放出電極が電子放出部に相当
する構造とすることができる。尚、このような構造を、
便宜上、第1の構造を有する冷陰極電界電子放出素子と
呼ぶ。かかる冷陰極電界電子放出素子の形式として、ス
ピント型(円錐形の電子放出電極が、開口部の底部に位
置するカソード電極の部分の上に設けられた冷陰極電界
電子放出素子)、クラウン型(王冠状の電子放出電極
が、開口部の底部に位置するカソード電極の部分の上に
設けられた冷陰極電界電子放出素子)、扁平型(略平面
の電子放出電極が、開口部の底部に位置するカソード電
極の部分の上に設けられた冷陰極電界電子放出素子)を
挙げることができる。
【0026】あるいは又、本発明の第1の構成、第2の
構成あるいは第3の構成に係る平面型表示装置におい
て、第1パネルは複数の冷陰極電界電子放出素子を備
え、各冷陰極電界電子放出素子は、(イ)支持体と、
(ロ)支持体上に設けられたカソード電極と、(ハ)支
持体及びカソード電極上に形成された絶縁層と、(ニ)
絶縁層上に設けられたゲート電極と、(ホ)ゲート電極
及び絶縁層を貫通し、底部にカソード電極が露出した開
口部、から成り、開口部の底部に露出したカソード電極
の部分が電子放出部に相当する構造とすることができ
る。尚、このような構造を、便宜上、第2の構造を有す
る冷陰極電界電子放出素子と呼ぶ。かかる冷陰極電界電
子放出素子の形式として、平坦なカソード電極の表面か
ら電子を放出する平面型冷陰極電界電子放出素子、凹凸
が形成されたカソード電極の表面の凸部から電子を放出
するクレータ型冷陰極電界電子放出素子を挙げることが
できる。
【0027】更には、本発明の第1の構成、第2の構成
あるいは第3の構成に係る平面型表示装置において、第
1パネルは複数の冷陰極電界電子放出素子を備え、各冷
陰極電界電子放出素子は、(イ)支持体と、(ロ)支持
体の上方に設けられ、エッジ部を有するカソード電極
と、(ハ)少なくともカソード電極上に形成された絶縁
層と、(ニ)絶縁層上に設けられたゲート電極と、
(ホ)少なくともゲート電極及び絶縁層を貫通する開口
部、から成り、開口部の底部若しくは側壁に露出したカ
ソード電極のエッジ部が電子放出部に相当する構造とす
ることができる。尚、このような構造を、便宜上、第3
の構造を有する冷陰極電界電子放出素子、あるいはエッ
ジ型冷陰極電界電子放出素子と呼ぶ。
【0028】更には、本発明の第1の構成、第2の構成
あるいは第3の構成に係る平面型表示装置において、第
1パネルは複数の冷陰極電界電子放出素子を備え、各冷
陰極電界電子放出素子は、(イ)支持体上に配設され
た、絶縁材料から成る帯状のスペーサ、(ロ)複数の開
口部が形成された帯状材料層から成るゲート電極、並び
に、(ハ)電子放出部、から成り、スペーサの頂面に接
するように、且つ、電子放出部の上方に開口部が位置す
るように帯状材料層が張架された構造とすることもでき
る。尚、このような構造を、便宜上、第4の構造を有す
る冷陰極電界電子放出素子と呼ぶ。第4の構造を有する
冷陰極電界電子放出素子における電子放出部として、第
1の構造〜第3の構造を有する冷陰極電界電子放出素子
における各種電子放出電極や電子放出部を適用すること
ができる。
【0029】電子放出部を駆動するための電子放出部駆
動回路、第1の駆動回路、第2の駆動回路は、周知の構
成の回路とすればよい。また、アノード電極駆動回路、
シールド部材印加回路も、周知の構成の回路とすればよ
い。
【0030】本発明の第1の態様に係る平面型表示装置
における電子放出部遮断回路、第1の遮断回路、第2の
遮断回路、本発明の第3の態様に係る平面型表示装置に
おけるシールド部材遮断回路は、これらの構成に応じ
て、例えば、MOS型FET(電界効果型トランジス
タ)、MOS型FETとダイオードとの組合せ、Nチャ
ネルMOS型とPチャネルMOS型FETとの組合せ、
NチャネルMOS型とPチャネルMOS型FETとダイ
オードとの組合せ、TFT(薄膜トランジスタ)、TF
Tとダイオードとの組合せ、Nチャネル型TFTとPチ
ャネル型TFTとの組合せ、Nチャネル型TFTとPチ
ャネル型TFTとダイオードとの組合せ、これらと抵抗
素子との組合せ等とすればよい。TFTとしては、ボト
ムゲート型、トップゲート型を挙げることができる。
【0031】あるいは又、本発明の第1の態様に係る平
面型表示装置における電子放出部遮断回路、第1の遮断
回路、第2の遮断回路、本発明の第3の態様に係る平面
型表示装置におけるシールド部材遮断回路として、放電
管やツェナーダイオードを挙げることができる。尚、放
電管やツェナーダイオードが導通状態となるための電位
差は、これらの誤動作を防止するために、放電管やツェ
ナーダイオードが接続された駆動回路の出力電圧の最大
値と第1の所定の電位(VPD1)との電位差よりも大き
く、しかも、放電管やツェナーダイオードが接続された
駆動回路の出力電圧の最小値と第1の所定の電位(V
PD1)との電位差よりも大きいことが好ましい。
【0032】本発明の第2の態様に係る平面型表示装置
におけるアノード電極遮断回路として、MOS型FET
と抵抗素子との組合せを例示することができる。
【0033】電子放出部遮断回路、第1の遮断回路、第
2の遮断回路、シールド部材遮断回路を、例えば、第1
パネル内に組み込んでもよいし、電子放出部駆動回路、
第1の駆動回路、第2の駆動回路、シールド部材印加回
路内に組み込んでもよい。電子放出部遮断回路、第1の
遮断回路、第2の遮断回路、シールド部材遮断回路を第
1パネル内に組み込む場合、電子放出部遮断回路、第1
の遮断回路、第2の遮断回路、シールド部材遮断回路
を、無効領域(実際の表示画面として機能する有効領域
の外側の領域であって、真空空間内の領域)内に配設し
てもよいし、枠体の外側に配設してもよい。
【0034】アノード電極遮断回路、シールド部材遮断
回路を、例えば、第2パネル内に組み込んでもよいし、
アノード電極遮断回路をアノード電極駆動回路内に組み
込んでもよい。アノード電極遮断回路を第2パネル内に
組み込む場合、アノード電極遮断回路を、無効領域内に
配設してもよいし、枠体の外側に配設してもよい。
【0035】本発明の平面型表示装置における電子放出
部遮断回路、第1の遮断回路、第2の遮断回路、アノー
ド電極遮断回路、あるいはシールド部材遮断回路には、
一旦、それら動作が開始したならば一定時間は動作し続
けるようにするために、一種のタイマーが備えられてい
てもよい。かかるタイマーとして、マルチバイブレータ
を例示することができる。
【0036】第1の構造、第2の構造若しくは第3の構
造を有する冷陰極電界電子放出素子におけるゲート電極
を構成する材料として、あるいは又、シールド部材を構
成する材料として、タングステン(W)、ニオブ(N
b)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、モリブデン
(Mo)、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、銅
(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、ニッケル(N
i)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、鉄
(Fe)、白金(Pt)及び亜鉛(Zn)から成る群か
ら選択された少なくとも1種類の金属;これらの金属元
素を含む合金あるいは化合物(例えばTiN等の窒化物
や、WSi2、MoSi2、TiSi2、TaSi2等のシ
リサイド);あるいはシリコン(Si)等の半導体;I
TO(インジウム錫酸化物)、酸化インジウム、酸化亜
鉛等の導電性金属酸化物を例示することができる。ゲー
ト電極を作製するには、CVD法、スパッタリング法、
蒸着法、イオンプレーティング法、電解メッキ法、無電
解メッキ法、スクリーン印刷法、レーザーアブレーショ
ン法、ゾル−ゲル法等の公知の薄膜形成技術により、上
述の構成材料から成る薄膜を絶縁層上に形成する。尚、
薄膜を絶縁層の全面に形成した場合には、公知のパター
ニング技術を用いて薄膜をパターニングし、ストライプ
状のゲート電極を形成する。ストライプ状のゲート電極
の形成後、ゲート電極に開口部を形成してもよいし、ス
トライプ状のゲート電極の形成と同時に、ゲート電極に
開口部を形成してもよい。また、ゲート電極用導電材料
層を形成する前の絶縁層上に予めレジストパターンを形
成しておけば、リフトオフ法によるゲート電極の形成が
可能である。更には、ゲート電極の形状に応じた開口部
を有するマスクを用いて蒸着を行ったり、かかる開口部
を有するスクリーンを用いてスクリーン印刷を行えば、
成膜後のパターニングは不要となる。また、開口部を有
する帯状材料層を予め作製しておき、かかる帯状材料層
をスペーサ上に固定することによって、ゲート電極を設
けることもでき、これによって第4の構造の冷陰極電界
電子放出素子を得ることができる。
【0037】スピント型冷陰極電界電子放出素子から成
る第1の構造を有する冷陰極電界電子放出素子にあって
は、電子放出電極を構成する材料として、タングステ
ン、タングステン合金、モリブデン、モリブデン合金、
チタン、チタン合金、ニオブ、ニオブ合金、タンタル、
タンタル合金、クロム及びクロム合金、不純物を含有す
るシリコン(ポリシリコンやアモルファスシリコン)か
ら成る群から選択された少なくとも1種類の材料を挙げ
ることができる。
【0038】クラウン型冷陰極電界電子放出素子から成
る第1の構造を有する冷陰極電界電子放出素子にあって
は、電子放出電極を構成する材料として、導電性粒子、
あるいは、導電性粒子とバインダの組合せを挙げること
ができる。導電性粒子として、黒鉛等のカーボン系材
料;タングステン(W)、ニオブ(Nb)、タンタル
(Ta)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、クロ
ム(Cr)等の高融点金属;あるいはITO(インジウ
ム錫酸化物)等の透明導電材料を挙げることができる。
バインダとして、例えば水ガラスといったガラスや汎用
樹脂を使用することができる。汎用樹脂として、塩化ビ
ニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹
脂、セルロースエステル系樹脂、フッ素系樹脂等の熱可
塑性系樹脂や、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ
エステル系樹脂等の熱硬化性樹脂を例示することができ
る。電子放出効率の向上のためには、導電性粒子の粒径
が電子放出電極の寸法に比べて十分に小さいことが好ま
しい。導電性粒子の形状は、球形、多面体、板状、針
状、柱状、不定形等、特に限定されないが、導電性粒子
の露出部が鋭い突起となり得るような形状であることが
好ましい。寸法や形状の異なる導電性粒子を混合して使
用してもよい。
【0039】扁平型冷陰極電界電子放出素子から成る第
1の構造を有する冷陰極電界電子放出素子にあっては、
電子放出電極を構成する材料として、カソード電極を構
成する材料よりも仕事関数Φの小さい材料から構成する
ことが好ましく、どのような材料を選択するかは、カソ
ード電極を構成する材料の仕事関数、ゲート電極とカソ
ード電極との間の電位差、要求される放出電子電流密度
の大きさ等に基づいて決定すればよい。冷陰極電界電子
放出素子におけるカソード電極を構成する代表的な材料
として、タングステン(Φ=4.55eV)、ニオブ
(Φ=4.02〜4.87eV)、モリブデン(Φ=
4.53〜4.95eV)、アルミニウム(Φ=4.2
8eV)、銅(Φ=4.6eV)、タンタル(Φ=4.
3eV)、クロム(Φ=4.5eV)、シリコン(Φ=
4.9eV)を例示することができる。電子放出電極
は、これらの材料よりも小さな仕事関数Φを有している
ことが好ましく、その値は概ね3eV以下であることが
好ましい。かかる材料として、炭素(Φ<1eV)、セ
シウム(Φ=2.14eV)、LaB6(Φ=2.66
〜2.76eV)、BaO(Φ=1.6〜2.7e
V)、SrO(Φ=1.25〜1.6eV)、Y2
3(Φ=2.0eV)、CaO(Φ=1.6〜1.86
eV)、BaS(Φ=2.05eV)、TiN(Φ=
2.92eV)、ZrN(Φ=2.92eV)を例示す
ることができる。仕事関数Φが2eV以下である材料か
ら電子放出電極を構成することが、一層好ましい。尚、
電子放出電極を構成する材料は、必ずしも導電性を備え
ている必要はない。
【0040】特に好ましい電子放出電極の構成材料とし
て、炭素、より具体的にはダイヤモンド、中でもアモル
ファスダイヤモンドを挙げることができる。電子放出電
極をアモルファスダイヤモンドから構成する場合、5×
107V/m以下の電界強度にて、平面型表示装置に必
要な放出電子電流密度を得ることができる。また、アモ
ルファスダイヤモンドは電気抵抗体であるため、各電子
放出電極から得られる放出電子電流を均一化することが
でき、よって、平面型表示装置に組み込まれた場合の輝
度ばらつきの抑制が可能となる。更に、アモルファスダ
イヤモンドは、平面型表示装置内の残留ガスのイオンに
よるスパッタ作用に対して極めて高い耐性を有するの
で、冷陰極電界電子放出素子の長寿命化を図ることがで
きる。
【0041】あるいは又、扁平型冷陰極電界電子放出素
子から成る第1の構造を有する冷陰極電界電子放出素子
にあっては、電子放出電極を構成する材料として、かか
る材料の2次電子利得δがカソード電極を構成する導電
性材料の2次電子利得δよりも大きくなるような材料か
ら適宜選択してもよい。即ち、銀(Ag)、アルミニウ
ム(Al)、金(Au)、コバルト(Co)、銅(C
u)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、ニッケル
(Ni)、白金(Pt)、タンタル(Ta)、タングス
テン(W)、ジルコニウム(Zr)等の金属;シリコン
(Si)、ゲルマニウム(Ge)等の半導体;炭素やダ
イヤモンド等の無機単体;及び酸化アルミニウム(Al
23)、酸化バリウム(BaO)、酸化ベリリウム(B
eO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化マグネシウム
(MgO)、酸化錫(SnO2)、フッ化バリウム(B
aF2)、フッ化カルシウム(CaF2)等の化合物の中
から、適宜選択することができる。尚、電子放出電極を
構成する材料は、必ずしも導電性を備えている必要はな
い。
【0042】第2の構造を有する冷陰極電界電子放出素
子(平面型冷陰極電界電子放出素子あるいはクレータ型
冷陰極電界電子放出素子)、若しくは第3の構造を有す
る冷陰極電界電子放出素子(エッジ型冷陰極電界電子放
出素子)にあっては、電子放出部に相当するカソード電
極を構成する材料として、タングステン(W)やタンタ
ル(Ta)、ニオブ(Nb)、チタン(Ti)、モリブ
デン(Mo)、クロム(Cr)、アルミニウム(A
l)、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)等の金属、
あるいはこれらの合金や化合物(例えばTiN等の窒化
物や、WSi2、MoSi2、TiSi2、TaSi2等の
シリサイド)、あるいはダイヤモンド等の半導体、炭素
薄膜を例示することができる。かかるカソード電極の厚
さは、おおよそ0.05〜0.5μm、好ましくは0.
1〜0.3μmの範囲とすることが望ましいが、かかる
範囲に限定するものではない。カソード電極の形成方法
として、例えば電子ビーム蒸着法や熱フィラメント蒸着
法といった蒸着法、スパッタリング法、CVD法やイオ
ンプレーティング法とエッチング法との組合せ、スクリ
ーン印刷法、メッキ法等を挙げることができる。スクリ
ーン印刷法やメッキ法によれば、直接、ストライプ状の
カソード電極を形成することが可能である。
【0043】あるいは又、第2の構造(平面型冷陰極電
界電子放出素子あるいはクレータ型冷陰極電界電子放出
素子)、第3の構造を有する冷陰極電界電子放出素子
(エッジ型冷陰極電界電子放出素子)、あるいは、扁平
型冷陰極電界電子放出素子から成る第1の構造を有する
冷陰極電界電子放出素子にあっては、カソード電極や電
子放出電極を、導電性微粒子を分散させた導電性ペース
トを用いて形成することもできる。導電性微粒子として
は、グラファイト粉末;酸化バリウム粉末、酸化ストロ
ンチウム粉末、金属粉末の少なくとも一種を混合したグ
ラファイト粉末;窒素、リン、ホウ素、トリアゾール等
の不純物を含むダイヤモンド粒子又はダイヤモンドライ
ク・カーボン粉末;カーボン・ナノ・チューブ粉末;
(Sr,Ba,Ca)CO3粉末;シリコン・カーバイ
ド粉末を例示することができる。特に、導電性微粒子と
してグラファイト粉末を選択することが、閾値電界の低
減や電子放出部の耐久性の観点から好ましい。導電性微
粒子の形状を、球状、鱗片状の他、任意の定形形状や不
定形形状とすることができる。また、導電性微粒子の粒
径は、カソード電極や電子放出電極の厚さやパターン幅
以下であればよい。粒径が小さい方が、単位面積当たり
の放出電子数を増大させることができるが、あまり小さ
過ぎるとカソード電極や電子放出電極の導電性が劣化す
る虞がある。よって、好ましい粒径の範囲はおおよそ
0.01〜4.0μmである。かかる導電性微粒子をガ
ラス成分その他の適当なバインダと混合して導電性ペー
ストを調製し、この導電性ペースを用いてスクリーン印
刷法により所望のパターンを形成した後、パターンを焼
成することによって電子放出部として機能するカソード
電極や電子放出電極を形成することができる。あるい
は、スピンコーティング法とエッチング技術の組み合わ
せ、リフトオフ法により、電子放出部として機能するカ
ソード電極や電子放出電極を形成することもできる。
【0044】また、スピント型冷陰極電界電子放出素子
やクラウン型冷陰極電界電子放出素子から成る第1の構
造を有する冷陰極電界電子放出素子にあっては、カソー
ド電極を構成する材料として、タングステン(W)、ニ
オブ(Nb)、タンタル(Ta)、モリブデン(M
o)、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、銅(C
u)等の金属;これらの金属元素を含む合金あるいは化
合物(例えばTiN等の窒化物や、WSi2、MoS
2、TiSi2、TaSi2等のシリサイド);シリコ
ン(Si)等の半導体;あるいはITO(インジウム錫
酸化物)を例示することができる。カソード電極の形成
方法として、例えば電子ビーム蒸着法や熱フィラメント
蒸着法といった蒸着法、スパッタリング法、CVD法や
イオンプレーティング法とエッチング法との組合せ、ス
クリーン印刷法、メッキ法、リフトオフ法等を挙げるこ
とができる。スクリーン印刷法やメッキ法によれば、直
接、ストライプ状のカソード電極を形成することが可能
である。
【0045】第1の構成〜第3の構成に係る平面型表示
装置、あるいは第1の構造〜第3の構造を有する冷陰極
電界電子放出素子を備えた平面型表示装置を含む本発明
の平面型表示装置において、第2パネルは、基板と蛍光
体層とアノード電極とから成ることが好ましい。電子照
射面は、第2パネルの構造に依るが、蛍光体層から構成
され、あるいは又、アノード電極から構成される。
【0046】アノード電極の構成材料は、平面型表示装
置の構成によって適宜選択すればよい。即ち、平面型表
示装置が透過型(第2パネルが表示面に相当する)であ
って、且つ、基板上にアノード電極と蛍光体層がこの順
に積層されている場合には、基板は元より、アノード電
極自身も透明である必要があり、ITO(インジウム錫
酸化物)等の透明導電材料を用いる。一方、平面型表示
装置が反射型(第1パネルが表示面に相当する)である
場合、及び、透過型であっても基板上に蛍光体層とアノ
ード電極とがこの順に積層されている場合には、ITO
の他、カソード電極やゲート電極に関連して上述した材
料を適宜選択して用いることができる。
【0047】蛍光体層を構成する蛍光体として、高速電
子励起用蛍光体や低速電子励起用蛍光体を用いることが
できる。平面型表示装置が単色表示装置である場合、蛍
光体層は特にパターニングされていなくともよい。ま
た、平面型表示装置がカラー表示装置である場合、スト
ライプ状又はドット状にパターニングされた赤(R)、
緑(G)、青(B)の三原色に対応する蛍光体層を交互
に配置することが好ましい。尚、パターニングされた蛍
光体層間の隙間は、表示画面のコントラスト向上を目的
としたブラックマトリクスで埋め込まれていてもよい。
【0048】アノード電極と蛍光体層の構成例として、
(1)基板上に、アノード電極を形成し、アノード電極
の上に蛍光体層を形成する構成、(2)基板上に、蛍光
体層を形成し、蛍光体層上にアノード電極を形成する構
成、を挙げることができる。尚、(1)の構成におい
て、蛍光体層の上に、アノード電極と導通した所謂メタ
ルバック膜を形成してもよい。また、(2)の構成にお
いて、アノード電極の上にメタルバック膜を形成しても
よい。
【0049】ストライプ状のゲート電極の射影像とスト
ライプ状のカソード電極の射影像とが直交する方向に延
びていることが、平面型表示装置の構造の簡素化の観点
から好ましい。尚、ストライプ状のカソード電極とスト
ライプ状のゲート電極の射影像が重複する重複領域(1
画素分の領域あるいは1サブピクセル分の領域に相当す
る)に電子放出部(1又は複数の冷陰極電界電子放出素
子)が設けられており、かかる重複領域が、第1パネル
の有効領域(実際の表示画面として機能する領域)内
に、通常、2次元マトリクス状に配列されている。
【0050】第1の構造〜第3の構造を有する冷陰極電
界電子放出素子において、開口部の平面形状(支持体表
面と平行な仮想平面で開口部を切断したときの形状)
は、円形、楕円形、矩形、多角形、丸みを帯びた矩形、
丸みを帯びた多角形等、任意の形状とすることができ
る。開口部の形成は、例えば、等方性エッチング、異方
性エッチングと等方性エッチングの組合せによって行う
ことができる。ゲート電極に1つの開口部を設け、かか
るゲート電極に設けられた1つの開口部と連通する1つ
の開口部を絶縁層に設け、かかる絶縁層に設けられた開
口部内に1つあるいは複数の電子放出電極を設けてもよ
いし、ゲート電極に複数の開口部を設け、かかるゲート
電極に設けられた複数の開口部と連通する1つの開口部
を絶縁層に設け、かかる絶縁層に設けられた1つの開口
部内に1つあるいは複数の電子放出電極を設けてもよ
い。
【0051】絶縁層の構成材料として、SiO2、Si
N、SiON、SOG(スピンオングラス)、低融点ガ
ラス、ガラスペーストを、単独あるいは適宜組み合わせ
て使用することができる。絶縁層の形成には、CVD
法、塗布法、スパッタリング法、スクリーン印刷法等の
公知のプロセスが利用できる。
【0052】絶縁層を隔壁状に形成してもよい。この場
合、隔壁状の絶縁層を、隣り合うストライプ状のカソー
ド電極の間の領域、あるいは、複数のカソード電極を一
群のカソード電極群としたとき、隣り合うカソード電極
群の間の領域に形成すればよい。隔壁状の絶縁層を構成
する材料として、従来公知の絶縁材料を使用することが
でき、例えば、広く用いられている低融点ガラスにアル
ミナ等の金属酸化物を混合した材料を用いることができ
る。隔壁状の絶縁層の形成方法として、スクリーン印刷
法、サンドブラスト法、ドライフィルム法、感光法を例
示することができる。ドライフィルム法とは、支持体上
に感光性フィルムをラミネートし、露光及び現像によっ
て隔壁状の絶縁層を形成すべき部位の感光性フィルムを
除去し、除去によって生じた開口部に絶縁層材料を埋め
込み、焼成する方法である。感光性フィルムは焼成によ
って燃焼、除去され、開口部に埋め込まれた隔壁形成用
の絶縁層材料が残り、隔壁状の絶縁層となる。感光法と
は、支持体上に感光性を有する隔壁形成用の絶縁層材料
を形成し、露光及び現像によってこの絶縁層材料をパタ
ーニングした後、焼成を行う方法である。第4の構造を
有する冷陰極電界電子放出素子における絶縁材料から成
る帯状のスペーサも、同様の方法で形成することができ
る。
【0053】カソード電極と電子放出電極との間に抵抗
体層を設けてもよい。あるいは又、カソード電極の表面
あるいはそのエッジ部が電子放出部に相当している場
合、カソード電極を導電材料層、抵抗体層、電子放出部
に相当する電子放出層の3層構成としてもよい。抵抗体
層を設けることによって、冷陰極電界電子放出素子の動
作安定化、電子放出特性の均一化を図ることができる。
抵抗体層を構成する材料として、シリコンカーバイド
(SiC)といったカーボン系材料、SiN、アモルフ
ァスシリコン等の半導体材料、酸化ルテニウム(RuO
2)、酸化タンタル、窒化タンタル等の高融点金属酸化
物を例示することができる。抵抗体層の形成方法とし
て、スパッタリング法や、CVD法やスクリーン印刷法
を例示することができる。抵抗値は、概ね1×105
1×107Ω、好ましくは数MΩとすればよい。
【0054】第1パネルを構成する支持体あるいは第2
パネルを構成する基板は、少なくとも表面が絶縁性部材
より構成されていればよく、ガラス基板、表面に絶縁膜
が形成されたガラス基板、石英基板、表面に絶縁膜が形
成された石英基板、表面に絶縁膜が形成された半導体基
板を挙げることができる。
【0055】第1パネルと第2パネルとを周縁部におい
て接合する場合、接合は接着層を用いて行ってもよい
し、あるいはガラスやセラミックス等の絶縁剛性材料か
ら成る枠体と接着層とを併用して行ってもよい。枠体と
接着層とを併用する場合には、枠体の高さを適宜選択す
ることにより、接着層のみを使用する場合に比べ、第1
パネルと第2パネルとの間の対向距離をより長く設定す
ることが可能である。尚、接着層の構成材料としては、
フリットガラスが一般的であるが、融点が120〜40
0゜C程度の所謂低融点金属材料を用いてもよい。かか
る低融点金属材料としては、In(インジウム:融点1
57゜C);インジウム−金系の低融点合金;Sn80
20(融点220〜370゜C)、Sn95Cu5(融点
227〜370゜C)等の錫(Sn)系高温はんだ;P
97.5Ag2.5(融点304゜C)、Pb94.5Ag
5.5(融点304〜365゜C)、Pb97.5Ag1.5Sn
1.0(融点309゜C)等の鉛(Pb)系高温はんだ;
Zn95Al5(融点380゜C)等の亜鉛(Zn)系高
温はんだ;Sn5Pb95(融点300〜314゜C)、
Sn2Pb98(融点316〜322゜C)等の錫−鉛系
標準はんだ;Au88Ga12(融点381゜C)等のろう
材(以上の添字は全て原子%を表す)を例示することが
できる。
【0056】第1パネルと第2パネルと枠体の三者を接
合する場合、三者を同時に接合してもよいし、あるい
は、第1段階で第1パネル又は第2パネルのいずれか一
方と枠体とを接合し、第2段階で第1パネル又は第2パ
ネルの他方と枠体とを接合してもよい。三者同時接合や
第2段階における接合を高真空雰囲気中で行えば、第1
パネルと第2パネルと枠体と接着層とにより囲まれた空
間は、接合と同時に真空となる。あるいは、三者の接合
終了後、第1パネルと第2パネルと枠体と接着層とによ
って囲まれた空間を排気し、真空とすることもできる。
接合後に排気を行う場合、接合時の雰囲気の圧力は常圧
/減圧のいずれであってもよく、また、雰囲気を構成す
る気体は、大気であっても、あるいは窒素ガスや周期律
表0族に属するガス(例えばArガス)を含む不活性ガ
スであってもよい。
【0057】接合後に排気を行う場合、排気は、第1パ
ネル及び/又は第2パネルに予め接続されたチップ管を
通じて行うことができる。チップ管は、典型的にはガラ
ス管を用いて構成され、第1パネル及び/又は第2パネ
ルの無効領域に設けられた貫通部の周囲に、フリットガ
ラス又は上述の低融点金属材料を用いて接合され、空間
が所定の真空度に達した後、熱融着によって封じ切られ
る。尚、封じ切りを行う前に、平面型表示装置全体を一
旦加熱してから降温させると、空間に残留ガスを放出さ
せることができ、この残留ガスを排気により空間外へ除
去することができるので好適である。
【0058】本発明の第1の態様に係る平面型表示装置
においては、電子放出部と電子照射面との間の放電を防
止するために、電子放出部と電子放出部駆動回路との間
に電子放出部遮断回路が設けられているので、放電が生
じた場合であっても、電子放出部と電子放出部駆動回路
との電気的な接続は電子放出部遮断回路によって直ちに
遮断される。また、本発明の第2の態様に係る平面型表
示装置においては、電子放出部と電子照射面との間の放
電を防止するために、アノード電極とアノード電極駆動
回路との間にアノード電極遮断回路が設けられているの
で、放電が生じた場合であっても、アノード電極とアノ
ード電極駆動回路との電気的な接続はアノード電極遮断
回路によって直ちに遮断される。更には、本発明の第3
の態様に係る平面型表示装置においては、シールド部材
と電子照射面との間の放電を防止するために、シールド
部材とシールド部材印加手段との間にシールド部材遮断
回路が設けられているので、放電が生じた場合であって
も、シールド部材とシールド部材印加回路との電気的な
接続はシールド部材遮断回路によって直ちに遮断され、
シールド部材印加回路、更には、電子放出部や電子放出
部駆動回路に悪影響が生じることがない。
【0059】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、発明の実
施の形態に基づき本発明を説明する。尚、実施の形態1
〜実施の形態6において、本発明の第1の態様に係る各
構成の平面型表示装置(具体的には、冷陰極電界電子放
出表示装置)を説明し、実施の形態7において、本発明
の第2の態様に係る平面型表示装置(具体的には、冷陰
極電界電子放出表示装置)を説明し、実施の形態8及び
実施の形態9において、本発明の第3の形態に係る平面
型表示装置(具体的には、冷陰極電界電子放出表示装
置)を説明する。更には、実施の形態10において、種
々の冷陰極電界電子放出素子(以下、電界放出素子と略
称する)の構造を説明する。
【0060】(実施の形態1)実施の形態1は、本発明
の第1の態様に係る平面型表示装置(具体的には、冷陰
極電界電子放出表示装置)に関し、更には、第1の構成
の平面型表示装置に関する。実施の形態1の平面型表示
装置の概念図を図1に示し、模式的な一部端面図を図3
に示す。この平面型表示装置は、電子放出部16を有す
る第1パネル(カソードパネル)10と、電子照射面を
有する第2パネル(アノードパネル)20と、電子放出
部16を駆動するための電子放出部駆動回路31,34
とを具備し、電子放出部16と電子照射面との間の放電
を防止するために、電子放出部16と電子放出部駆動回
路との間に電子放出部遮断回路が設けられている。より
具体的には、実施の形態1の平面型表示装置は、ストラ
イプ状のゲート電極14と、ストライプ状のゲート電極
14の延びる方向とは異なる方向に延びるストライプ状
のカソード電極12とを有し、電子放出部16は、スト
ライプ状のゲート電極14の射影像と、ストライプ状の
カソード電極12の射影像の重複する重複領域に位置し
ている。電子放出部駆動回路は、ゲート電極14に接続
された第1の駆動回路31と、カソード電極12に接続
された第2の駆動回路34とから構成されている。そし
て、第1の駆動回路31は、電子放出部遮断回路32を
介してゲート電極14に接続されている。電子放出部1
6あるいはスピント型電子放出電極16Aの構造の詳細
については後述する。
【0061】第2パネル20は、ガラス等から成る基板
21上にマトリクス状あるいはストライプ状に形成され
た複数の蛍光体層22と、蛍光体層22の間を埋めるブ
ラックマトリクス23と、蛍光体層22及びブラックマ
トリクス23上の全面に形成されたアノード電極24と
から構成されている。アノード電極24には、ゲート電
極14に印加される正電圧よりも高い正電圧がアノード
電極駆動回路37から印加され、アノード電極24は、
電子放出電極16Aから真空空間中へ放出された電子
を、蛍光体層22に向かって誘導する役割を果たす。ま
た、アノード電極24は、蛍光体層22を構成する蛍光
体粒子をイオン等の粒子によるスパッタから保護すると
共に、電子励起によって生じた蛍光体層22の発光を基
板21側へ反射させ、基板21の外側から観察される表
示画面の輝度を向上させる機能も有する。アノード電極
24は、例えば、アルミニウム薄膜から構成されてい
る。
【0062】電子放出部遮断回路32は、電子放出部1
6と電子照射面(具体的には、アノード電極24)との
間に放電が生じていない場合には不動作状態にあり、電
子放出部16と電子照射面との間に放電が生じたとき、
動作する。具体的には、電子放出部遮断回路32は、N
チャネル型のボトムゲート型TFT(TR1,TR2,T
3・・・)と、共通線33と、抵抗素子(抵抗R)か
ら構成されている。ここで、抵抗Rの一端は、共通線3
3に接続され、他端は接地されている。各電子放出部遮
断回路32を構成するTFT(TR1,TR2,TR3
・・)の一方のソース/ドレイン領域及びゲート領域
は、第1の駆動回路31とゲート電極14との間に接続
されており、他方のソース/ドレイン領域は共通線33
及び抵抗Rを介して接地されている。電子放出部遮断回
路32は、更に、ダイオード(D11,D21,D31・・
・)から構成され、かかるダイオード(D11,D21,D
31・・・)が、TFT(TR1,TR2,TR3・・・)
のゲート領域と第1の駆動回路(ゲート電極駆動回路)
31との間に配設されている。また、カソード電極12
は第2の駆動回路(カソード電極駆動回路)34に接続
されており、カソード電極12と第2の駆動回路34と
の間には、ダイオード(D12,D22,D32・・・)が配
設されている。各電子放出部遮断回路32を構成するT
FT(TR1,TR2,TR3・・・)は、それらのゲー
ト領域の電位がVGボトル以下(例えば160ボルト以
下)では完全に非導通状態であり、V’Gボトル以上
(例えば170ボルト以上)で完全に導通状態となる。
尚、VGボトルを越え、V’Gボトル未満では不完全な導
通状態となる。
【0063】平面型表示装置において画像を表示する場
合には、発光すべき画素を構成する選択ゲート電極に正
の電圧VG-SL(例えば160ボルト)を印加する。一
方、発光させない画素を構成する非選択ゲート電極に
は、電圧VG-NSL(例えば0ボルト)を印加する。ま
た、発光すべき画素を構成する選択カソード電極に電圧
C- SL(輝度に応じて、例えば0ボルト以上、30ボル
ト未満の電圧)を印加する。一方、発光させない画素を
構成する非選択カソード電極に電圧VC-NSL(例えば3
0ボルト)を印加する。この状態を模式的に図2の
(A)に示す。従って、最も明るい画素におけるカソー
ド電極12とゲート電極14との間の電位差は160ボ
ルトであり、最も暗い画素におけるカソード電極12と
ゲート電極14との間の電位差は130ボルトである。
尚、図2において、TFT(TR1,TR2,TR3・・
・)を、単に「TR」で表示し、ダイオード(D11,D
21,D31・・・)、ダイオード(D12,D22,D32・・
・)を、それぞれ、単に「D1」、「D2」で表示した。
また、ゲート電極14、カソード電極12に印加する電
圧を、それぞれ、「Vg」、「Vc」で表した。
【0064】今、アノード電極24とゲート電極14と
の間で放電が生じ始めると、ゲート電極14の電位は時
間と共に上昇する。そして、ゲート電極14の電位が
V’G以上になると、かかるゲート電極14に接続され
ている電子放出部遮断回路32を構成するTFT(TR
1,TR2,TR3・・・)が完全に導通状態となり、か
かるゲート電極14は抵抗Rを介して接地される。この
状態を模式的に図2の(B)に示す。このような動作
は、数マイクロ秒で完了する。その結果、平面型表示装
置においては部分的に画面表示がなされなくなるが、第
1の駆動回路(ゲート電極駆動回路)31が損傷するこ
とを確実に回避することができる。また、カソード電極
12とゲート電極14との間の電位差が減少し、ゲート
電極14や電子放出部16の永久的な損傷が発生するこ
ともない。ゲート電極14の電位が低下してVG以下に
なると、電子放出部遮断回路32を構成するTFT(T
1,TR2,TR3・・・)が完全に非導通状態とな
る。その結果、平面型表示装置の画面表示動作が自動的
に復旧する。アノード電極24とゲート電極14との間
での放電が無くなるまで、以上の動作が繰り返される。
尚、電子放出部遮断回路32を構成するTFT(T
1,TR2,TR3・・・)にタイマーを接続しておけ
ば、一定の時間が経過するまで、電子放出部遮断回路3
2を構成するTFT(TR 1,TR2,TR3・・・)が
完全に非導通状態となることを阻止することができ、一
層確実にアノード電極24とゲート電極14との間での
放電を無くすることができる。
【0065】図4に、実施の形態1の平面型表示装置の
変形例を示す。この平面型表示装置においては、各電子
放出部遮断回路32を構成するTFT(TR1,TR2
TR 3・・・)の他方のソース/ドレイン領域が抵抗
(R1,R2,R3・・・)のそれぞれを介して接地され
ている点が、図1に示した平面型表示装置と相違する。
その他の構成、構造は同一である。
【0066】図5に、図1に示した実施の形態1の平面
型表示装置の変形例を示す。この平面型表示装置におい
ては、電子放出部遮断回路32を構成するTFT(TR
1,TR2,TR3・・・)の他方のソース/ドレイン領
域とゲート電極14との間にダイオード(D13,D23
33・・・)が配設されている点が、図1に示した平面
型表示装置と相違する。その他の構成、構造は同一であ
る。このように、ダイオード(D13,D23,D33・・
・)を配設することによって、放電が生じていないゲー
ト電極14の電位もV’Gに上昇し、隣接するゲート電
極14の間の電位差によってゲート電極14間に放電が
発生することを防ぐことができる。
【0067】電子放出部遮断回路32を構成するTFT
(TR1,TR2,TR3・・・)やダイオード(D11
21,D31・・・)等は、無効領域に公知のTFT製造
技術及びダイオード製造技術に基づき形成することがで
きる。TFTはボトムゲート型だけでなく、トップゲー
ト型としてもよい。TFT(TR1,TR2,TR3・・
・)やダイオード(D11,D21,D31・・・)等を第1
パネル上に形成した後、後述する電界放出素子を製造す
ることが好ましい。尚、電子放出部遮断回路32を構成
するTFT(TR1,TR2,TR3・・・)やダイオー
ド(D11,D21,D31・・・)等を、第1パネル10と
第2パネル20が接合された部分よりも外側の領域(外
周部と呼ぶ)の第1パネル10上に形成してもよいし、
無効領域と外周部とに適宜形成してもよい。あるいは
又、電子放出部遮断回路32を構成するトランジスタを
MOS型FETから構成してもよい。更には、電子放出
部遮断回路32を第1の駆動回路31内に組み込んでも
よい。以下に説明する実施の形態2あるいは実施の形態
3における電子放出部遮断回路、第1の遮断回路、第2
の遮断回路についても同様とすることができる。
【0068】(実施の形態2)実施の形態2は、本発明
の第1の態様に係る平面型表示装置に関し、更には、第
2の構成の平面型表示装置に関する。実施の形態2の平
面型表示装置の概念図を図6に示し、模式的な一部端面
図を図8に示す。この平面型表示装置は、ストライプ状
のゲート電極14と、ストライプ状のゲート電極14の
延びる方向とは異なる方向に延びるストライプ状のカソ
ード電極12とを有し、電子放出部16は、ストライプ
状のゲート電極14の射影像と、ストライプ状のカソー
ド電極12の射影像の重複する重複領域に位置してい
る。電子放出部駆動回路は、ゲート電極14に接続され
た第1の駆動回路31と、カソード電極12に接続され
た第2の駆動回路34とから構成されている。そして、
第2の駆動回路34は、電子放出部遮断回路35を介し
てカソード電極12に接続されている。
【0069】第2パネル20の構造は、実施の形態1に
て説明した第2パネル20と同様とすることができるの
で、詳細な説明は省略する。
【0070】電子放出部遮断回路35は、電子放出部1
6と電子照射面(具体的には、アノード電極24)との
間に放電が生じていない場合には不動作状態にあり、電
子放出部16と電子照射面との間に放電が生じたとき、
動作する。具体的には、電子放出部遮断回路35は、N
チャネル型のボトムゲート型TFT(TR1,TR2,T
3・・・)から構成されている。各電子放出部遮断回
路35を構成するTFT(TR1,TR2,TR3・・
・)の一方のソース/ドレイン領域及びゲート領域は、
第2の駆動回路34とカソード電極12との間に接続さ
れており、他方のソース/ドレイン領域は、共通線36
を介して所定の電位を有する電源Vdに接続されてい
る。電子放出部遮断回路35は、更に、ダイオード(D
12,D22,D 32・・・)から構成され、かかるダイオー
ド(D12,D22,D32・・・)が電子放出部遮断回路3
5を構成するTFT(TR1,TR2,TR3・・・)と
第2の駆動回路(カソード電極駆動回路)34との間に
配設されている。また、ゲート電極14は第1の駆動回
路(ゲート電極駆動回路)31に接続されており、ゲー
ト電極14と第1の駆動回路31との間には、ダイオー
ド(D11,D21,D31・・・)が配設されている。各電
子放出部遮断回路35を構成するTFT(TR1,T
2,TR3・・・)は、それらのゲート領域の電位がV
Cボトル以下(但し、VC>VC-NSL)では完全に非導通
状態であり、V’Cボトル以上(但し、V’C>VC)で
完全に導通状態となる。尚、VCボトルを越え、V’C
トル未満では不完全な導通状態となる。
【0071】平面型表示装置において画像を表示する場
合には、発光すべき画素を構成する選択ゲート電極に正
の電圧VG-SL(例えば160ボルト)を印加する。一
方、発光させない画素を構成する非選択ゲート電極に
は、電圧VG-NSL(例えば0ボルト)を印加する。ま
た、発光すべき画素を構成する選択カソード電極に電圧
C- SL(輝度に応じて、例えば0ボルト以上、30ボル
ト未満の電圧)を印加する。一方、発光させない画素を
構成する非選択カソード電極に電圧VC-NSL(例えば3
0ボルト)を印加する。この状態を模式的に図7の
(A)に示す。従って、最も明るい画素におけるカソー
ド電極12とゲート電極14との間の電位差は160ボ
ルトであり、最も暗い画素におけるカソード電極12と
ゲート電極14との間の電位差は130ボルトである。
尚、図7において、TFT(TR1,TR2,TR3・・
・)を、単に「TR」で表示し、ダイオード(D11,D
21,D31・・・)、ダイオード(D12,D22,D32・・
・)を、それぞれ、単に「D1」、「D2」で表示した。
また、ゲート電極14、カソード電極12に印加する電
圧を、それぞれ、「Vg」、「Vc」で表した。
【0072】今、アノード電極24とゲート電極14と
の間で放電が生じ始めると、ゲート電極14の電位は時
間と共に上昇する。しかしながら、ゲート電極14と第
1の駆動回路(ゲート電極駆動回路)31との間にはダ
イオード(D11,D21,D31・・・)が配設されている
ので、第1の駆動回路31に損傷が発生することを防止
し得る。ゲート電極14の電位が時間と共に上昇する結
果、カソード電極12にも放電が生じ、カソード電極1
2の電位も増大する。ところで、カソード電極12の電
位がV’C以上になると、かかるカソード電極12に接
続されている電子放出部遮断回路35を構成するTFT
(TR1,TR2,TR3・・・)が完全に導通状態とな
り、カソード電極12の電位がVdボルトとなる。この
状態を模式的に図7の(B)に示す。このような動作
は、数マイクロ秒で完了する。その結果、平面型表示装
置においては部分的に画面表示がなされなくなるが、第
2の駆動回路(カソード電極駆動回路)34が損傷する
ことを確実に回避することができる。また、電子放出部
16の永久的な損傷が発生することも防止できる。そし
て、カソード電極12の電位が低下してVC以下になる
と、電子放出部遮断回路35を構成するTFT(T
1,TR2,TR3・・・)が完全に非導通状態とな
る。その結果、平面型表示装置の画面表示動作が自動的
に復旧する。アノード電極24とカソード電極12との
間での放電が無くなるまで、以上の動作が繰り返され
る。尚、電子放出部遮断回路35を構成するTFT(T
1,TR2,TR 3・・・)にタイマーを接続しておけ
ば、一定の時間が経過するまで、電子放出部遮断回路3
5を構成するTFT(TR1,TR2,TR3・・・)が
完全に非導通状態となることを阻止することができ、一
層確実にアノード電極24とカソード電極12との間で
の放電を無くすることができる。
【0073】(実施の形態3)実施の形態3は、本発明
の第1の態様に係る平面型表示装置に関し、更には、第
3の構成の平面型表示装置に関する。実施の形態3の平
面型表示装置の概念図を図9に示し、模式的な一部端面
図を図11に示す。実施の形態3の平面型表示装置は、
ストライプ状のゲート電極14と、ストライプ状のゲー
ト電極14の延びる方向とは異なる方向に延びるストラ
イプ状のカソード電極12とを有し、電子放出部16
は、ストライプ状のゲート電極14の射影像と、ストラ
イプ状のカソード電極12の射影像の重複する重複領域
に位置している。そして、電子放出部駆動回路は、ゲー
ト電極14に接続された第1の駆動回路(ゲート電極駆
動回路)31と、カソード電極12に接続された第2の
駆動回路(カソード電極駆動回路)34とから構成され
ている。また、電子放出部遮断回路は、ゲート電極14
と第1の駆動回路31との間に設けられた第1の遮断回
路32Aと、カソード電極12と第2の駆動回路34と
の間に設けられた第2の遮断回路35Aとから構成され
ている。
【0074】第2パネル20の構造は、実施の形態1に
て説明した第2パネル20と同様とすることができるの
で、詳細な説明は省略する。
【0075】電子放出部16と電子照射面との間に放電
が生じていない場合には、第1及び第2の遮断回路32
A,35Aは不動作状態にあり、電子放出部16と電子
照射面との間に放電が生じたとき、第1の遮断回路32
Aが動作し、第1の遮断回路32Aの動作に基づき第2
の遮断回路35Aが動作する。具体的には、第1の遮断
回路32Aは、Nチャネル型のボトムゲート型TFT
(TR11,TR21,TR 31・・・)から構成されてい
る。尚、かかるTFTを、第1のTFTと呼ぶ。各第1
の遮断回路32Aを構成するこれらの第1のTFT(T
11,TR21,TR 31・・・)の一方のソース/ドレイ
ン領域及びゲート領域は、第1の駆動回路31とゲート
電極14との間に接続されており、他方のソース/ドレ
イン領域は、電子放出部遮断回路を構成する共通線33
に接続されている。第1の遮断回路32Aは、更に、ダ
イオード(D11,D21,D31・・・)から構成され、か
かるダイオード(D11,D21,D31・・・)が、第1の
TFT(TR11,TR21,TR 31・・・)のゲート領域
と第1の駆動回路(ゲート電極駆動回路)31との間に
配設されている。
【0076】一方、第2の遮断回路35Aは、Pチャネ
ル型のボトムゲート型TFT(TR 12,TR22,TR32
・・・)と、Nチャネル型のボトムゲート型TFT(T
13,TR23,TR33・・・)から構成されている。
尚、Pチャネル型のボトムゲート型TFT(TR12,T
22,TR32・・・)を第2のTFTと呼び、Nチャネ
ル型のボトムゲート型TFT(TR13,TR23,TR33
・・・)を第3のTFTと呼ぶ。各第2の遮断回路35
Aを構成する第2のTFT(TR12,TR22,TR32
・・)の一方のソース/ドレイン領域は、第2の駆動回
路34とカソード電極12との間に接続されており、他
方のソース/ドレイン領域及びゲート領域は共通線33
に接続され、しかも、電子放出部遮断回路を構成する抵
抗(R1,R2,R3・・・)を介して接地されている。
また、各第2の遮断回路35Aを構成する第3のTFT
(TR13,TR23,TR33・・・)の一方のソース/ド
レイン領域は、第2のTFT(TR12,TR22,TR32
・・・)の一方のソース/ドレイン領域に接続されてお
り、他方のソース/ドレイン領域は第2の駆動回路34
に接続されており、第3のTFT(TR13,TR23,T
33・・・)のゲート領域は、第2のTFT(TR12
TR22,TR32・・・)の他方のソース/ドレイン領域
に接続されている。
【0077】第1の遮断回路32Aを構成する第1のT
FT(TR11,TR21,TR31・・・)、並びに、第2
の遮断回路35Aを構成する第2のTFT(TR12,T
22,TR32・・・)は、それらのゲート領域の電位が
Gボトル以下(例えば160ボルト以下)では完全に
非導通状態であり、V’Gボトル以上(例えば170ボ
ルト以上)で完全に導通状態となる。尚、VGボトルを
越え、V’Gボトル未満では不完全な導通状態となる。
一方、第2の遮断回路35Aを構成する第3のTFT
(TR13,TR23,TR33・・・)は、それらのゲート
領域の電位がVCボトル以下(VG≧VCであり、例えば
150ボルト以下)では完全に導通状態であり、V’C
ボトル以上(V’G≧V’Cであり、例えば160ボルト
以上)で完全に非導通状態となる。尚、VCボトルを越
え、V’Cボトル未満では不完全な導通状態となる。
【0078】平面型表示装置において画像を表示する場
合には、発光すべき画素を構成する選択ゲート電極に正
の電圧VG-SL(例えば160ボルト)を印加する。一
方、発光させない画素を構成する非選択ゲート電極に
は、電圧VG-NSL(例えば0ボルト)を印加する。ま
た、発光すべき画素を構成する選択カソード電極に電圧
C- SL(輝度に応じて、例えば0ボルト以上、30ボル
ト未満の電圧)を印加する。一方、発光させない画素を
構成する非選択カソード電極に電圧VC-NSL(例えば3
0ボルト)を印加する。この状態を模式的に図10の
(A)に示す。従って、最も明るい画素におけるカソー
ド電極12とゲート電極14との間の電位差は160ボ
ルトであり、最も暗い画素におけるカソード電極12と
ゲート電極14との間の電位差は130ボルトである。
尚、図10において、第1のTFT(TR 11,TR21
TR31・・・)、第2のTFT(TR12,TR22,TR
32・・・)及び第3のTFT(TR13,TR23,TR33
・・・)のそれぞれを、単に「TR 1」、「TR2」、
「TR3」で表示し、ダイオード(D1,D2,D3・・
・)を、単に「D」で表示し、抵抗(R1,R2,R3
・・)を、単に「R」で表示した。また、ゲート電極1
4、カソード電極12に印加する電圧を、それぞれ、
「V g」、「Vc」で表した。
【0079】今、アノード電極24とゲート電極14と
の間で放電が生じ始めると、ゲート電極14の電位は時
間と共に上昇する。そして、ゲート電極14の電位が
V’G以上になると、かかるゲート電極14に接続され
ている第1の遮断回路32Aを構成する第1のTFT
(TR11,TR21,TR31・・・)が完全に導通状態と
なり、共通線33の電位もV’Gボルトとなる。その結
果、共通線33に接続されている第2の遮断回路35A
を構成する第2のTFT(TR12,TR22,TR32・・
・)の全ても完全に導通状態となる。一方、第2の遮断
回路35Aを構成する第3のTFT(TR13,TR23
TR33・・・)は、完全に非導通状態となる。この状態
を模式的に図10の(B)に示す。このような動作は、
数マイクロ秒で完了する。以上の結果として、平面型表
示装置においては画面表示がなされなくなるが、第1の
駆動回路(ゲート電極駆動回路)31及び第2の駆動回
路(カソード電極駆動回路)34が損傷することを確実
に回避することができる。また、カソード電極12とゲ
ート電極14との間の電位差が増大することもなく、ゲ
ート電極14や電子放出部16の永久的な損傷が発生す
ることもない。そして、ゲート電極14の電位が低下し
てVG以下になると、第1の遮断回路32Aを構成する
第1のTFT(TR11,TR21,TR31・・・)が完全
に非導通状態となり、その結果、第2の遮断回路35A
を構成する第2のTFT(TR12,TR22,TR32・・
・)も完全に非導通状態となり、第3のTFT(T
13,TR23,TR33・・・)が完全に導通状態とな
る。その結果、平面型表示装置の画面表示動作が自動的
に復旧する。アノード電極24とゲート電極14との間
での放電が無くなるまで、以上の動作が繰り返される。
尚、第1の遮断回路32Aを構成する第1のTFT(T
11,TR21,TR31・・・)にタイマーを接続してお
けば、一定の時間が経過するまで、第1の遮断回路32
Aを構成する第1のTFT(TR11,TR21,TR31
・・)が完全に非導通状態となることを阻止することが
でき、一層確実にアノード電極24とゲート電極14と
の間での放電を無くすることができる。
【0080】図12に、実施の形態3の平面型表示装置
の変形例を示す。この平面型表示装置においては、各第
1の遮断回路32Aを構成する第1のTFT(TR31
TR 32,TR33・・・)の他方のソース/ドレイン領域
とゲート電極14との間にダイオード(D12,D22,D
32・・・)が配設されている点が、図9に示した平面型
表示装置と相違する。その他の構成、構造は同一であ
る。このようにダイオード(D12,D22,D32・・・)
を配設することによって、放電が生じていないゲート電
極14の電位もV’Gに上昇し、隣接するゲート電極1
4の間の電位差によってゲート電極14間に放電が発生
することを防ぐことができる。
【0081】図13に、実施の形態3の平面型表示装置
の別の変形例を示す。この平面型表示装置においては、
各第2の遮断回路35Aは、第2のTFT(TR21,T
22,TR32・・・)とダイオード(D12,D22,D32
・・・)から構成されている。そして、第2のTFT
(TR21,TR22,TR32・・・)の一方のソース/ド
レイン領域はカソード電極12に接続され、他方のソー
ス/ドレイン領域はダイオード(D12,D22,D32・・
・)の一端に接続されている。また、第2のTFT(T
21,TR22,TR32・・・)のゲート領域は共通線3
3に接続されている。ダイオード(D12,D22,D32
・・)の他端は、第2の駆動回路34に接続されてい
る。
【0082】第1の遮断回路32Aを構成する第1のT
FT(TR11,TR21,TR31・・・)は、それらのゲ
ート領域の電位がVGボトル以下(例えば160ボルト
以下)では完全に非導通状態であり、V’Gボトル以上
(例えば170ボルト以上)で完全に導通状態となる。
尚、VGボトルを越え、V’Gボトル未満では不完全な導
通状態となる。一方、第2の遮断回路35Aを構成する
第2のTFT(TR12,TR22,TR32・・・)は、そ
れらのゲート領域の電位がVCボトル以下(VG≧VC
あり、例えば150ボルト以下)では完全に導通状態で
あり、V’Cボトル以上(V’G≧V’Cであり、例えば
160ボルト以上)で完全に非導通状態となる。尚、V
Cボトルを越え、V’Cボトル未満では不完全な導通状態
となる。
【0083】今、アノード電極24とゲート電極14と
の間で放電が生じ始めると、ゲート電極14の電位は時
間と共に上昇する。そして、ゲート電極14の電位が
V’G以上になると、かかるゲート電極14に接続され
ている第1の遮断回路32Aを構成する第1のTFT
(TR11,TR21,TR31・・・)が完全に導通状態と
なり、共通線33の電位もV’Gボルトとなる。その結
果、共通線33に接続されている第2の遮断回路35A
を構成する第2のTFT(TR12,TR22,TR32・・
・)の全ては完全に非導通状態となる。以上の結果とし
て、平面型表示装置においては画面表示がなされなくな
るが、第1の駆動回路(ゲート電極駆動回路)31及び
第2の駆動回路(カソード電極駆動回路)34が損傷す
ることを確実に回避することができる。また、カソード
電極12とゲート電極14との間の電位差が左程増大す
ることもなく、ゲート電極14や電子放出部16の永久
的な損傷が発生することもない。そして、ゲート電極1
4の電位が低下してVG以下になると、第1の遮断回路
32Aを構成する第1のTFT(TR11,TR21,TR
31・・・)は完全に非導通状態となり、第2の遮断回路
35Aを構成する第2のTFT(TR12,TR22,TR
32・・・)が完全に導通状態となる。その結果、平面型
表示装置の画面表示動作が自動的に復旧する。アノード
電極24とゲート電極14との間での放電が無くなるま
で、以上の動作が繰り返される。尚、第1の遮断回路3
2Aを構成する第1のTFT(TR11,TR21,TR31
・・・)にタイマーを接続しておけば、一定の時間が経
過するまで、第1の遮断回路32Aを構成する第1のT
FT(TR11,TR21,TR31・・・)が完全に非導通
状態となることを阻止することができ、一層確実にアノ
ード電極24とゲート電極14との間での放電を無くす
ることができる。
【0084】図14に、図13に示した実施の形態3の
平面型表示装置の変形例を示す。この平面型表示装置に
おいては、各第1の遮断回路32Aを構成する第1のT
FT(TR31,TR32,TR33・・・)の他方のソース
/ドレイン領域とゲート電極14との間にダイオード
(D13,D23,D33・・・)が配設されている点が、図
13に示した平面型表示装置と相違する。その他の構
成、構造は同一である。このように、ダイオード
(D13,D23,D33・・・)を配設することによって、
放電が生じていないゲート電極14の電位もV’Gに上
昇し、隣接するゲート電極14の間の電位差によってゲ
ート電極14間に放電が発生することを防ぐことができ
る。
【0085】(実施の形態4)実施の形態4は、実施の
形態1の平面型表示装置の変形に関する。
【0086】実施の形態1〜実施の形態3においては、
放電が生じ始め、電子放出部遮断回路が動作するまでの
時間を充分に短くするために、電子放出部遮断回路を構
成する各種のトランジスタの動作速度は充分に速いこと
が必要とされる。また、トランジスタを配置する位置に
依存して、充分に高い耐圧を有するトランジスタを使用
する必要がある。
【0087】実施の形態4、あるいは、後述する実施の
形態5及び実施の形態6においては、電子放出部遮断回
路を放電管あるいはツェナーダイオードから構成するこ
とによって、電子放出部遮断回路の高速応答、高耐圧を
容易に実現することができる。
【0088】図15に、実施の形態4の平面型表示装置
の概念図を示す。この平面型表示装置は、図1に示した
実施の形態1の平面型表示装置の変形である。尚、模式
的な一部端面図は図3に示したと同様である。
【0089】電子放出部遮断回路32Bは、具体的に
は、放電管DC(DC1,DC2,DC 3・・・)と、共
通線33から構成されている。各放電管DCの一端は、
第1の駆動回路31とゲート電極14との間に接続され
ており、他端は共通線33に接続されている。電子放出
部遮断回路32Bを構成する放電管DCには、共通線3
3を介して第1の所定の電位(VPD1)が印加されてい
る。そして、電子放出部遮断回路32Bに接続された電
子放出部の部分(ゲート電極14)の電位が電子放出部
と電子照射面との間に放電によって第2の所定の電位
(VPD2)となったとき、第1の所定の電位と第2の所
定の電位の電位差(VPD2−VPD1)に応じて電子放出部
遮断回路32Bを構成する放電管DCが動作する。具体
的には、共通線33には第1の所定の電位(VPD1=8
0ボルト)が印加されている。また、作動電圧が90ボ
ルトの放電管DCを使用した。従って、電子放出部遮断
回路32Bに接続された電子放出部の部分(ゲート電極
14)の電位が電子放出部と電子照射面との間に放電に
よって第2の所定の電位(VPD2,160ボルトを越
え、例えば170ボルト)となったとき、電子放出部遮
断回路32Bを構成する放電管DCが動作する。尚、放
電管DCが導通状態となるための電位差は、放電管DC
の誤動作を防止するといった観点から、放電管DCが接
続された第1の駆動回路31の出力電圧の最大値と第1
の所定の電位(VPD1)との電位差よりも大きく、しか
も、放電管DCが接続された第1の駆動回路31の出力
電圧の最小値と第1の所定の電位(VPD1)との電位差
よりも大きいことが好ましい。
【0090】尚、電子放出部駆動回路である第1の駆動
回路(ゲート電極駆動回路)31の破壊電圧をV
COLAPSE、第1の駆動回路(ゲート電極駆動回路)31
の出力電圧の最大値をVOUT-MAXとしたとき、|V
OUT-MAX−VPD1|<VCOLAPSEを満足しており、あるい
は又、電子放出部駆動回路である第1の駆動回路(ゲー
ト電極駆動回路)31の破壊電流をICOLAPSE、第1の
駆動回路(ゲート電極駆動回路)31とゲート電極14
との間の抵抗値をREMISSIONとしたとき、|VOUT-MAX
−VP D1|<REMISSION・ICOLAPSEを満足している。こ
れらを満足することによって、第1の所定の電位(V
PD1)により第1の駆動回路(ゲート電極駆動回路)3
1が破壊されることを防止し得る。
【0091】今、アノード電極24とゲート電極14と
の間で放電が生じ始めると、ゲート電極14の電位は時
間と共に上昇する。そして、ゲート電極14の電位が第
2の所定の電位(VPD2)以上になると、かかるゲート
電極14に接続されている電子放出部遮断回路32Bを
構成する放電管DC(DC1,DC2,DC3・・・)が
導通状態となり、共通線33を介してゲート電極14に
は第1の所定の電位(VPD1)が印加される。その結
果、平面型表示装置においては部分的に画面表示がなさ
れなくなるが、第1の駆動回路(ゲート電極駆動回路)
31が損傷することを確実に回避することができる。ま
た、カソード電極12とゲート電極14との間の電位差
が減少し、ゲート電極14や電子放出部16の永久的な
損傷が発生することもない。ゲート電極14の電位が低
下してVPD2未満になると、電子放出部遮断回路32B
を構成する放電管DC(DC1,DC2,DC3・・・)
が完全に非導通状態となる。その結果、平面型表示装置
の画面表示動作が自動的に復旧する。アノード電極24
とゲート電極14との間での放電が無くなるまで、以上
の動作が繰り返される。尚、電子放出部遮断回路32B
を構成する放電管DC(DC1,DC2,DC3・・・)
にタイマーを接続しておけば、一定の時間が経過するま
で、電子放出部遮断回路32Bを構成する放電管DC
(DC1,DC2,DC3・・・)が完全に非導通状態と
なることを阻止することができ、一層確実にアノード電
極24とゲート電極14との間での放電を無くすること
ができる。
【0092】図16には、放電管の代わりにツェナーダ
イオードTD(TD1,TD2,TD 3・・・)から電子
放出部遮断回路32Bが構成された例を示す。尚、ツェ
ナーダイオードTDが導通状態となるための電位差は、
ツェナーダイオードTDの誤動作を防止するといった観
点から、ツェナーダイオードTDが接続された第1の駆
動回路31の出力電圧の最大値と第1の所定の電位(V
PD1)との電位差よりも大きく、しかも、ツェナーダイ
オードTDが接続された第1の駆動回路31の出力電圧
の最小値と第1の所定の電位(VPD1)との電位差より
も大きいことが好ましい。また、図5に示した実施の形
態1の平面型表示装置の変形例と同様に、電子放出部遮
断回路32Bを構成する放電管DC(DC1,DC2,D
3・・・)の他端とゲート電極14との間にダイオー
ド(D13,D23,D33・・・)を配設してもよい(図1
7参照)。尚、図17において、放電管DCをツェナー
ダイオードTDに置き換えてもよい。このように、ダイ
オード(D13,D23,D33・・・)を配設することによ
って、放電が生じていないゲート電極14の電位もV
PD1となり、隣接するゲート電極14の間の電位差によ
ってゲート電極14間に放電が発生することを防ぐこと
ができる。
【0093】電子放出部遮断回路32Bを構成する放電
管DCやツェナーダイオードTD(TD1,TD2,TD
3・・・)を、第1パネル10と第2パネル20が接合
された部分よりも外側の領域(外周部と呼ぶ)の第1パ
ネル10上に形成してもよいし、無効領域と外周部とに
適宜形成してもよい。あるいは又、電子放出部遮断回路
32Bを第1の駆動回路31内に組み込んでもよい。以
下に説明する実施の形態5あるいは実施の形態6におけ
る電子放出部遮断回路、第1の遮断回路、第2の遮断回
路についても同様とすることができる。
【0094】(実施の形態5)実施の形態5は、実施の
形態2の平面型表示装置の変形に関する。図18に、実
施の形態5の平面型表示装置の概念図を示す。この平面
型表示装置は、図6に示した実施の形態2の平面型表示
装置の変形である。尚、模式的な一部端面図は図8に示
したと同様である。
【0095】電子放出部遮断回路35は、電子放出部1
6と電子照射面(具体的には、アノード電極24)との
間に放電が生じていない場合には不動作状態にあり、電
子放出部16と電子照射面との間に放電が生じたとき、
動作する。具体的には、電子放出部遮断回路35Bは、
放電管DC(DC1,DC2,DC3・・・)から構成さ
れている。各電子放出部遮断回路35Bを構成する放電
管DC(DC1,DC2,DC3・・・)の一端は、第2
の駆動回路34とカソード電極12との間に接続されて
おり、他端は、共通線36を介して第1の所定の電位V
PD1を有する電源に接続されている。放電管DC(D
1,DC2,DC3・・・)の一端と第2の駆動回路3
4との間には、ダイオード(D12,D22,D32・・・)
が配設されている。また、ゲート電極14は第1の駆動
回路(ゲート電極駆動回路)31に接続されており、ゲ
ート電極14と第1の駆動回路31との間には、ダイオ
ード(D11,D21,D31・・・)が配設されている。そ
して、電子放出部遮断回路35Bに接続された電子放出
部の部分(カソード電極12)の電位が電子放出部と電
子照射面との間に放電によって第2の所定の電位(V
PD2)となったとき、第1の所定の電位と第2の所定の
電位の電位差(VPD2−VPD1)に応じて電子放出部遮断
回路35Bを構成する放電管DCが動作する。具体的に
は、共通線36には第1の所定の電位(VPD1=40ボ
ルト)が印加されている。また、作動電圧が80ボルト
の放電管DCを使用した。従って、電子放出部遮断回路
35Bに接続された電子放出部の部分(カソード電極1
2)の電位が電子放出部と電子照射面との間に放電によ
って第2の所定の電位(VPD2,120ボルトを越え、
例えば130ボルト)となったとき、電子放出部遮断回
路35Bを構成する放電管DCが動作する。
【0096】尚、電子放出部駆動回路である第2の駆動
回路(カソード電極駆動回路)34の破壊電圧をV
COLAPSE、第2の駆動回路(カソード電極駆動回路)3
4の出力電圧の最大値をVOUT-MAXとしたとき、|V
OUT-MAX−VPD1|<VCOLAPSEを満足しており、あるい
は又、電子放出部駆動回路である第2の駆動回路(カソ
ード電極駆動回路)34の破壊電流をICOLAPSE、第2
の駆動回路(カソード電極駆動回路)34とカソード電
極12との間の抵抗値をREMISSIONとしたとき、|VOU
T-MAX−VPD1|<REMISSION・ICOLAPSEを満足してい
る。これらを満足することによって、第1の所定の電位
(VPD1)によって第2の駆動回路(カソード電極駆動
回路)34が破壊されることを防止し得る。
【0097】今、アノード電極24とゲート電極14と
の間で放電が生じ始めると、ゲート電極14の電位は時
間と共に上昇する。しかしながら、ゲート電極14と第
1の駆動回路(ゲート電極駆動回路)31との間にはダ
イオード(D11,D21,D31・・・)が配設されている
ので、第1の駆動回路31に損傷が発生することを防止
し得る。ゲート電極14の電位が時間と共に上昇する結
果、カソード電極12にも放電が生じ、カソード電極1
2の電位も増大する。ところで、カソード電極12の電
位が第2の所定の電位VPD2以上になると、かかるカソ
ード電極12に接続されている電子放出部遮断回路35
Bを構成する放電管DC(DC1,DC2,DC3・・
・)が導通状態となり、カソード電極12の電位がV
PD1ボルトとなる。その結果、平面型表示装置において
は部分的に画面表示がなされなくなるが、第2の駆動回
路(カソード電極駆動回路)34が損傷することを確実
に回避することができる。また、電子放出部16の永久
的な損傷が発生することも防止できる。そして、カソー
ド電極12の電位が低下してVPD2未満になると、電子
放出部遮断回路35Bを構成する放電管DC(DC1
DC2,DC3・・・)が非導通状態となる。その結果、
平面型表示装置の画面表示動作が自動的に復旧する。ア
ノード電極24とカソード電極12との間での放電が無
くなるまで、以上の動作が繰り返される。尚、電子放出
部遮断回路35Bを構成する放電管DC(DC1,D
2,DC3・・・)にタイマーを接続しておけば、一定
の時間が経過するまで、電子放出部遮断回路35Bを構
成する放電管DC(DC1,DC2,DC 3・・・)が非
導通状態となることを阻止することができ、一層確実に
アノード電極24とカソード電極12との間での放電を
無くすることができる。
【0098】図19には、放電管の代わりにツェナーダ
イオードTD(TD1,TD2,TD 3・・・)から電子
放出部遮断回路32Bが構成された例を示す。
【0099】(実施の形態6)実施の形態6は、実施の
形態3の平面型表示装置の変形に関する。
【0100】図20に、実施の形態6の平面型表示装置
の概念図を示す。この平面型表示装置は、図9に示した
実施の形態3の平面型表示装置の変形である。尚、模式
的な一部端面図は図11に示したと同様である。実施の
形態6においては、電子放出部遮断回路は、第1の遮断
回路32Cと第2の遮断回路35Cから構成されてい
る。第1の遮断回路32C、第2の遮断回路35Cのそ
れぞれは、実施例4の電子放出部遮断回路32B、電子
放出部遮断回路35Bのそれぞれと同様とすることがで
きるので、詳細な説明は省略する。ここで、第1の遮断
回路32Cを構成する放電管DCには第1の所定の電位
が印加されており、第2の遮断回路35Cを構成する放
電管DCには第1の所定の電位が印加されており、これ
らの第1の所定の電位は異なるので、第1の遮断回路3
2Cを構成する放電管DCに印加されている第1の所定
の電位をVPD1で表し、第2の遮断回路35Cを構成す
る放電管DCに印加されている第1の所定の電位をV’
PD1で表した。尚、放電が生じているときのアノード電
流、カソード電流の変化を模式的に図21に示す。ま
た、図22には、放電管の代わりにツェナーダイオード
TD(TD11,TD21,TD31・・・、TD12,T
22,TD32・・・)からそれぞれの遮断回路32B,
35Bが構成された例を示す。更には、図12に示した
実施の形態3の平面型表示装置の変形例と同様に、第1
の遮断回路32Cを構成する放電管DC(DC 31,DC
32,DC33・・・)の他端とゲート電極14との間にダ
イオード(D32,D32,D33・・・)を配設してもよい
(図23参照)。このように、ダイオード(D32
32,D33・・・)を配設することによって、放電が生
じていないゲート電極14の電位もVPD1となり、隣接
するゲート電極14の間の電位差によってゲート電極1
4間に放電が発生することを防ぐことができる。尚、図
23において、放電管DCをツェナーダイオードTDに
置き換えてもよい。
【0101】尚、第1の所定の電位VPD1による第1の
駆動回路31の損傷発生、第1の所定の電位V’PD1
よる第2の駆動回路34の損傷発生を防止するために、
|VP D1−V’PD1|の値が、選択ゲート電極に印加する
電圧をVG-SL、選択カソード電極に印加する電圧の最低
値をV’C-SLとしたとき、以下の式を満足することが好
ましい。尚、αは、一種の安全係数であり、1を超え、
例えば10以下の任意の値である。
【0102】[数1] |VPD1−V’PD1|<α|VG-SL−V’C-SL
【0103】(実施の形態7)実施の形態7は、本発明
の第2の態様に係る平面型表示装置(具体的には、冷陰
極電界電子放出表示装置)に関する。 図24に、実施
の形態7の平面型表示装置の概念図を示す。この平面型
表示装置の模式的な一部端面図は、アノード電極遮断回
路38の有無を除き、実質的に図3に示した実施の形態
1の平面型表示装置と同様であるので、詳細な説明は省
略する。また、第1パネル10の構成は、従来の第1パ
ネルの構成、あるいは、実施の形態1〜実施の形態6に
て説明した各種の第1パネルの構成と同様とすることが
できるので、詳細な説明は省略する。
【0104】実施の形態7の平面型表示装置は、電子放
出部16を有する第1パネル(カソードパネル)10
と、蛍光体層22及びアノード電極24から成る電子照
射面を有する第2パネル(アノードパネル)20と、ア
ノード電極24を駆動するためのアノード電極駆動回路
37とを具備し、電子放出部16と電子照射面との間の
放電を防止するために、アノード電極24とアノード電
極駆動回路37との間にアノード電極遮断回路38が設
けられている。
【0105】実施の形態7におけるアノード電極駆動回
路37は周知の回路構成とすることができる。平面型表
示装置の動作時、アノード電極駆動回路37からアノー
ド電極24に対して、例えば、直流5kVの電圧
(Va)が印加される。図24に示したアノード電極2
4は、有効領域を1枚のシート状の導電材料で被覆した
形式のアノード電極である。
【0106】アノード電極遮断回路38は、Nチャネル
型MOS型FET(TRA)と、第1の抵抗素子R
A1と、第2の抵抗素子RA2から構成されている。MOS
型FET(TRA)の一方のソース/ドレイン領域は、
第1の抵抗素子RA1を介してアノード電極24に接続さ
れ、他方のソース/ドレイン領域はアノード電極駆動回
路37に接続されている。第2の抵抗素子RA2は、その
一端がアノード電極24に接続され、他端は接地されて
いる。実施の形態7においては、第1の抵抗素子R A1
抵抗値を100Ω、第2の抵抗素子RA2の抵抗値を5M
Ωとした。また、MOS型FET(TRA)のゲート領
域は、MOS型FET駆動用電源V0(例えば、2ボル
ト)の一端に接続され、MOS型FET駆動用電源V0
の他端はアノード電極24に接続されている。MOS型
FET(TRA)は、ゲート領域に2ボルト以上の電圧
が印加されている場合、導通状態となり、1ボルト以下
では非導通状態になるものを使用する。尚、アノード電
極駆動回路37とアノード電極遮断回路38との間に
は、過電流が流れることを防止するための高抵抗素子
(図示せず)を配してもよい。
【0107】今、平面型表示装置が通常の動作を行って
いる場合のアノード電流を1mAとする。このとき、第
1の抵抗素子RA1の両端には0.1ボルトの電位差が生
じているに過ぎず、ゲート領域と一方のソース/ドレイ
ン領域との間の電位差も1.9ボルトであり、MOS型
FET(TRA)は導通状態にある。即ち、アノード電
極24とアノード電極駆動回路37とは、アノード電極
遮断回路38を介して電気的に接続されている。
【0108】アノード電極24からの放電が生じ、放電
電流が10mAになったとする。このとき、第1の抵抗
素子RA1の両端の電位差は1ボルトとなり、ゲート領域
と一方のソース/ドレイン領域との間の電位差は1.0
ボルトとなる。その結果、MOS型FET(TRA)は
非導通状態となる。即ち、アノード電極24とアノード
電極駆動回路37とは、アノード電極遮断回路38の動
作によって電気的に非接続状態となる。しかも、電子放
出部16と電子照射面(具体的には、アノード電極2
4)との間の放電に起因してアノード電極24とアノー
ド電極駆動回路37との間を流れる電流によりアノード
電極遮断回路38が動作する。アノード電極24は第2
の抵抗素子RA2を介して接地されているので、アノード
電極24の電位は、5kVから0ボルトに向かって、例
えば数百ボルトまで低下する。以上の結果として、アノ
ード電極24と電子放出部16との間の電位差が少なく
なり、放電が停止する。アノード電極24と電子放出部
16との間での放電が無くなるまで、以上の動作が繰り
返される。
【0109】尚、第2の抵抗素子RA2は、場合によって
は省略することもできる。MOS型FET(TRA)は
完全に非導通状態となるわけではなく、実際には、非導
通状態にあってもリーク電流が存在する。従って、MO
S型FET(TRA)が非導通状態となったとき、アノ
ード電極24の電位は、リーク電流の影響を受けて、5
kVから2〜3kVに低下する。このようなアノード電
極24の電位の低下であっても、放電が停止するには充
分な電位低下である。
【0110】また、アノード電極を、1又は複数の電子
放出部、あるいは、1又は複数の画素に対応するアノー
ド電極ユニット(241,242,243・・・)が集合
した形式のアノード電極から構成し、アノード電極ユニ
ット(241,242,243・・・)の全てを、1つの
配線を介してアノード電極遮断回路38へ接続してもよ
い。
【0111】図25には、図24に示した平面型表示装
置の変形例を示す。この平面型表示装置においては、ア
ノード電極は、1又は複数、あるいは、1又は複数の画
素の電子放出部に対応するアノード電極ユニット(24
1,242,243・・・)が集合した形式のアノード電
極である。アノード電極遮断回路38Aはアノード電極
ユニット(241,242,243・・・)の数だけ設け
られている。アノード電極遮断回路38Aの構成は、図
24に示したアノード電極遮断回路38と同様とするこ
とができるので、詳細な説明は省略する。
【0112】図26には、図25に示した平面型表示装
置の変形例を示す。この平面型表示装置においては、そ
れぞれのアノード電極遮断回路38Aを構成するMOS
型FET駆動用電源V0が共通化されている。即ち、そ
れぞれのアノード電極遮断回路38Aを構成するMOS
型FET(TRA)のゲート領域が1つの配線に接続さ
れている。このような構成にすることによって、1つの
アノード電極ユニットに放電が生じ、そのアノード電極
ユニットに接続されたアノード電極遮断回路38Aが動
作すると、他のアノード電極遮断回路38Aの全ても動
作を開始し、アノード電極全体はアノード電極駆動回路
37から電気的に切り離される。
【0113】図27には、図24に示した平面型表示装
置の変形例を示す。この平面型表示装置においては、ア
ノード電極遮断回路38Bに、ノンリトリガラブル・モ
ノステーブル・マルチバイブレータから成るタイマー3
9が接続されている。このように、タイマー39を接続
することによって、一定の時間(例えば、1〜数ミリ
秒)が経過するまで、アノード電極遮断回路38Bが導
通状態となることを阻止することができ、一層確実にア
ノード電極24と電子放出部16との間での放電を無く
することができる。尚、タイマー39を配設した場合の
放電が生じたときのアノード電極の電位及びアノード電
流の変化を図28の(A)に模式的に示し、タイマー3
9を配設していない場合の放電が生じたときのアノード
電極の電位及びアノード電流の変化を図28の(B)に
模式的に示す。
【0114】(実施の形態8)実施の形態8は、本発明
の第3の態様に係る平面型表示装置(具体的には、冷陰
極電界電子放出表示装置)に関する。図29に、実施の
形態8の平面型表示装置の概念図を示す。この平面型表
示装置の模式的な一部端面図は、シールド部材40、シ
ールド部材印加手段41及びシールド部材遮断回路42
の有無を除き、実質的に図3に示した実施の形態1の平
面型表示装置と同様であるので、詳細な説明は省略す
る。また、第1パネル10の構成は、従来の第1パネル
の構成、あるいは、実施の形態1〜実施の形態6にて説
明した各種の第1パネルの構成と同様とすることができ
るので、詳細な説明は省略する。更には、第2パネル2
0は、従来の第2パネルの構成、あるいは、実施の形態
7にて説明した各種の第2パネルの構成(シールド部材
40と電子照射面との間の放電を防止するために、アノ
ード電極24とアノード電極駆動回路37との間にアノ
ード電極遮断回路38,38A,38Bが設けられてい
る構成)と同様とすることができるので、詳細な説明は
省略する。
【0115】実施の形態8の平面型表示装置は、電子放
出部16を有する第1パネル10と、電子照射面を有す
る第2パネル20と、電子放出部16を駆動するための
電子放出部駆動回路31,34と、電子放出部16と電
子照射面(具体的には、アノード電極24)との間に配
設されたシールド部材40と、シールド部材40に電圧
を印加するためのシールド部材印加手段41(電位:V
CONV)を具備している。そして、シールド部材40と電
子照射面との間の放電を防止するために、シールド部材
40とシールド部材印加手段41との間にシールド部材
遮断回路42が設けられている。第2パネル20は、具
体的には、基板21、蛍光体層22及びアノード電極2
4から構成されている。
【0116】実施の形態8においては、シールド部材4
0は、収束電極としても機能する。シールド部材40
は、有効領域を1枚のシート状の導電材料で被覆した形
式のシールド部材としてもよいし、1又は複数の電子放
出部、あるいは、1又は複数の画素に対応するシールド
部材ユニットが集合した形式のシールド部材としてもよ
い。シールド部材が前者の構成の場合、シールド部材遮
断回路を1つ設ければよい。一方、シールド部材が後者
の構成の場合、シールド部材遮断回路をユニットの数だ
け設ければよく、あるいは又、各シールド部材を1本の
配線で接続し、かかる配線に1つのシールド部材遮断回
路を配すればよい。シールド部材印加手段41は、従来
の周知の回路から構成することができる。シールド部材
40には、電子放出部16から放出された電子を通過さ
せるための開口部を形成しておく必要があるが、かかる
開口部は、1つの電子放出部16に対応して1つ設けて
もよいし、複数の電子放出部16に対応して1つ設けて
もよい。
【0117】実施の形態8におけるシールド部材遮断回
路42は、実質的に、実施の形態4において説明した電
子放出部遮断回路32B、あるいは実施の形態1におい
て説明した電子放出部遮断回路32と同様とすることが
できる。具体的には、図29に示すように、シールド部
材遮断回路42は、例えば、放電管DCから構成されて
いる。放電管DCの一端は、シールド部材40とシール
ド部材印加手段41との間に接続されており、他端には
第1の所定の電位(VPD1)が印加されている。そし
て、シールド部材40の電位がシールド部材40と電子
照射面(具体的には、アノード電極24)との間に放電
によって第2の所定の電位(VPD2)となったとき、第
1の所定の電位と第2の所定の電位の電位差(VPD2
PD1)に応じてシールド部材遮断回路42を構成する
放電管DCが動作する。即ち、シールド部材40の電位
が電子放出部と電子照射面との間に放電によって第2の
所定の電位(VPD2)となったとき、シールド部材遮断
回路42を構成する放電管DCが動作する。
【0118】尚、シールド部材印加手段41の破壊電圧
をVCOLAPSE、シールド部材印加手段41の出力電圧の
最大値をVOUT-MAXとしたとき、|VOUT-MAX−VPD1
<VC OLAPSEを満足しており、あるいは又、シールド部
材印加手段41の破壊電流をI COLAPSE、シールド部材
印加手段41とシールド部材40との間の抵抗値をR
EMI SSIONとしたとき、|VOUT-MAX−VPD1|<R
EMISSION・ICOLAPSEを満足している。これらを満足す
ることによって、第1の所定の電位(VPD1)によって
シールド部材印加手段41が破壊されることを防止し得
る。
【0119】今、アノード電極24とシールド部材40
との間で放電が生じ始めると、シールド部材40の電位
は時間と共に上昇する。そして、シールド部材40の電
位が第2の所定の電位(VPD2)以上になると、シール
ド部材40に接続されているシールド部材遮断回路42
を構成する放電管DCが導通状態となり、シールド部材
40には第1の所定の電位(VPD1)が印加される。そ
の結果、シールド部材印加手段41が損傷することを確
実に回避することができる。また、ゲート電極14や電
子放出部16の永久的な損傷が発生することもない。シ
ールド部材遮断回路42の電位が低下してVPD2未満に
なると、シールド部材遮断回路42を構成する放電管D
Cが完全に非導通状態となる。アノード電極24とシー
ルド部材40との間での放電が無くなるまで、以上の動
作が繰り返される。尚、シールド部材遮断回路42を構
成する放電管DCにタイマーを接続しておけば、一定の
時間が経過するまで、シールド部材遮断回路42を構成
する放電管DCが完全に非導通状態となることを阻止す
ることができ、一層確実にアノード電極24とシールド
部材40との間での放電を無くすることができる。
【0120】図30には、放電管DCの代わりに、ツェ
ナーダイオードTDからシールド部材遮断回路42が構
成された例を示す。更には、図31には、放電管DCの
代わりに、実施の形態1にて説明したと同様に、Nチャ
ネル型のトランジスタ(TR CONV)と、抵抗素子(抵抗
CONV)から構成することもできる。尚、トランジスタ
(TRCONV)の一方のソース/ドレイン領域及びゲート
領域は、シールド部材40とシールド部材印加手段41
との間に接続されており、他方のソース/ドレイン領域
は抵抗RCONVを介して接地されている。トランジスタT
CONVの動作は、動作する電圧・電位の関係が異なる点
を除き、実質的に実施の形態1にて説明したトランジス
タと同様であるが故に、詳細な説明は省略する。
【0121】(実施の形態9)実施の形態9は、実施の
形態8にて説明したシールド部材遮断回路42の変形で
ある。図32に、実施の形態9の平面型表示装置の概念
図を示す。また、放電の発生に基づくアノード電極24
及びシールド部材40あるいはX点(図32参照)にお
ける電位の変化を、模式的に図33に示す。
【0122】この平面型表示装置の模式的な一部端面図
は、シールド部材40、シールド部材印加手段41及び
シールド部材遮断回路42の有無を除き、実質的に図3
に示した実施の形態1の平面型表示装置と同様であるの
で、詳細な説明は省略する。また、第1パネル10の構
成は、従来の第1パネルの構成、あるいは、実施の形態
1〜実施の形態6にて説明した各種の第1パネルの構成
と同様とすることができるので、詳細な説明は省略す
る。更には、第2パネル20は、従来の第2パネルの構
成、あるいは、実施の形態7にて説明した各種の第2パ
ネルの構成(シールド部材40と電子照射面との間の放
電を防止するために、アノード電極24とアノード電極
駆動回路37との間にアノード電極遮断回路38,38
A,38Bが設けられている構成)と同様とすることが
できるので、詳細な説明は省略する。
【0123】実施の形態9においても、シールド部材4
0は、収束電極としても機能する。シールド部材40
は、有効領域を1枚のシート状の導電材料で被覆した形
式のシールド部材としてもよいし、1又は複数の電子放
出部、あるいは、1又は複数の画素に対応するシールド
部材ユニットが集合した形式のシールド部材としてもよ
い。シールド部材が前者の構成の場合、シールド部材遮
断回路を1つ設ければよい。一方、シールド部材が後者
の構成の場合、シールド部材遮断回路をユニットの数だ
け設ければよく、あるいは又、各シールド部材を1本の
配線で接続し、かかる配線に1つのシールド部材遮断回
路を配すればよい。シールド部材印加手段41は、従来
の周知の回路から構成することができる。シールド部材
40には、電子放出部16から放出された電子を通過さ
せるための開口部を形成しておく必要があるが、かかる
開口部は、1つの電子放出部16に対応して1つ設けて
もよいし、複数の電子放出部16に対応して1つ設けて
もよい。
【0124】実施の形態9におけるシールド部材遮断回
路42Aは、一端がシールド部材40に接続され、他端
が第1の所定の電位(VPD1)に接続された第1の放電
管DCAと、一端がシールド部材40に接続され、他端
がアノード電極24に接続された第2の放電管DCB
ら構成されている。そして、シールド部材40の電位が
シールド部材40と電子照射面(具体的には、アノード
電極24)との間に放電によって第2の所定の電位(V
PD2)となったとき、第1の所定の電位と第2の所定の
電位の電位差(VPD2−VPD1)に応じてシールド部材遮
断回路42Aを構成する放電管DCA,DCBが動作す
る。即ち、シールド部材40の電位が電子放出部と電子
照射面との間に放電によって第2の所定の電位
(VPD2)となったとき、シールド部材遮断回路42A
を構成する第1の放電管DCA、第2の放電管DCBが動
作する。
【0125】具体的には、例えば、シールド部材印加手
段41からシールド部材40に印加される電位
(VCONV)を−5ボルト、第1の所定の電位(VPD1
を−250ボルト、第1の放電管DCAの動作電圧(放
電管が導通状態となるときの放電管両端における電位
差)を300ボルト、第2の放電管DCBの動作電圧を
5.1キロボルト、アノード電極駆動回路37からアノ
ード電極24に印加される電位を5キロボルトとする。
【0126】今、アノード電極24とシールド部材40
との間で放電が生じ始めると、シールド部材40の電位
は時間と共に上昇する。そして、シールド部材40の電
位が第2の所定の電位VPD2[ここで、VPD2は、(V
PD2−VPD1)≧第1の放電管DCAの動作電圧を満足す
る値であり、この例においては、(300−250)=
50ボルト]以上になると、シールド部材40に接続さ
れているシールド部材遮断回路42Aを構成する第1の
放電管DCAが導通状態となり、シールド部材40には
第1の所定の電位(VPD1=−250ボルト)が印加さ
れる。同時に、第2の放電管DCBの両端の電位差は
(5000+250)ボルトとなり、第2の放電管DC
Bも導通状態となり、アノード電極24の電位も−25
0ボルトとなる。その結果、シールド部材印加手段41
が損傷することを確実に回避することができる。また、
ゲート電極14や電子放出部16の永久的な損傷が発生
することもない。シールド部材遮断回路42Aの電位が
低下してVPD2未満になると、シールド部材遮断回路4
2Aを構成する第1の放電管DCAが完全に非導通状態
となり、更には、第2の放電管DCBも完全に非導通状
態となる。アノード電極24とシールド部材40との間
での放電が無くなるまで、以上の動作が繰り返される。
尚、シールド部材遮断回路42Aを構成する第1の放電
管DCAにタイマーを接続しておけば、一定の時間が経
過するまで、シールド部材遮断回路42Aを構成する第
1の放電管DCAが完全に非導通状態となることを阻止
することができ、一層確実にアノード電極24とシール
ド部材40との間での放電を無くすることができる。
【0127】図34には、図32に示したシールド部材
遮断回路42Aの変形例を備えた平面型表示装置の概念
図を示す。図32に示したシールド部材遮断回路42A
においては、シールド部材40とアノード電極24との
間に1段の放電管DCBを配設したが、図34に示すシ
ールド部材遮断回路42Bにおいては、シールド部材4
0とアノード電極24との間に2段の放電管(第2の放
電管DCB及び第3の放電管DCC)が配設されている。
【0128】即ち、このシールド部材遮断回路42B
は、一端がシールド部材40に接続され、他端が第1の
所定の電位(VPD1)に接続された第1の放電管DC
Aと、一端がシールド部材40に接続され、他端が第3
の放電管DCCの一端に接続され、更には、他端が第3
の所定の電位VPD3に接続された第2の放電管DCBと、
他端がアノード電極24に接続された第3の放電管DC
Cから構成されている。そして、シールド部材40の電
位がシールド部材40と電子照射面(具体的には、アノ
ード電極24)との間に放電によって第2の所定の電位
(VPD2)となったとき、第1の所定の電位と第2の所
定の電位の電位差(VPD2−VPD1)に応じてシールド部
材遮断回路42Bを構成する放電管DCA,DCB,DC
Cが動作する。即ち、シールド部材40の電位が電子放
出部と電子照射面との間に放電によって第2の所定の電
位(VPD2)となったとき、シールド部材遮断回路42
Aを構成する第1の放電管DCA、第2の放電管DCB
第3の放電管DCCが動作する。
【0129】具体的には、例えば、シールド部材印加手
段41からシールド部材40に印加される電位
(VCONV)を−5ボルト、第1の所定の電位(VPD1
を−250ボルト、第3の所定の電位(VPD3)を4キ
ロボルト、第1の放電管DCAの動作電圧を300ボル
ト、第2の放電管DCB、第3の放電管DCCの動作電圧
を4.1キロボルト、アノード電極駆動回路37からア
ノード電極24に印加される電位を8キロボルトとす
る。
【0130】今、アノード電極24とシールド部材40
との間で放電が生じ始めると、シールド部材40の電位
は時間と共に上昇する。そして、シールド部材40の電
位が第2の所定の電位VPD2[ここで、VPD2は、(V
PD2−VPD1)≧第1の放電管DCAの動作電圧を満足す
る値であり、この例においては、(300−250)=
50ボルト]以上になると、シールド部材40に接続さ
れているシールド部材遮断回路42Bを構成する第1の
放電管DCAが導通状態となり、シールド部材40には
第1の所定の電位(VPD1=−250ボルト)が印加さ
れる。同時に、第2の放電管DCBの両端の電位差は
(4000+250)ボルトとなり、第2の放電管DC
Bも導通状態となり、第2の放電管DCBの他端の電位も
−250ボルトとなる。更には、第3の放電管DCC
両端の電位差も動作電圧を超えるので、第3の放電管D
Cも導通状態となり、アノード電極24の電位も−2
50ボルトとなる。その結果、シールド部材印加手段4
1が損傷することを確実に回避することができる。ま
た、ゲート電極14や電子放出部16の永久的な損傷が
発生することもない。シールド部材遮断回路42Bの電
位が低下してVPD2未満になると、シールド部材遮断回
路42Bを構成する第1の放電管DCAが完全に非導通
状態となり、更には、第2の放電管DCB、第3の放電
管DCCも完全に非導通状態となる。アノード電極24
とシールド部材40との間での放電が無くなるまで、以
上の動作が繰り返される。尚、シールド部材遮断回路4
2Bを構成する第1の放電管DCAにタイマーを接続し
ておけば、一定の時間が経過するまで、シールド部材遮
断回路42Bを構成する第1の放電管DCAが完全に非
導通状態となることを阻止することができ、一層確実に
アノード電極24とシールド部材40との間での放電を
無くすることができる。
【0131】図32、図34に示したシールド部材遮断
回路42A,42Bにおいては、放電開始を電位上昇の
形態で検出したが、アノード電極24とシールド部材4
0との間を流れるリーク電流の上昇によって検出するこ
とも可能である。このような形態のシールド部材遮断回
路42Cを備えた平面型表示装置の概念図を、図35に
示す。
【0132】このシールド部材遮断回路42Cは、一端
がシールド部材40に接続され、他端が第1の所定の電
位(VPD1)に接続された第1の放電管DCDと、一端が
アノード電極24に接続され、他端が第1の放電管DC
Dの一端に接続された第2の放電管DCEとから構成され
ている。尚、シールド部材印加手段41とシールド部材
40との間には抵抗R4が配設され、アノード電極駆動
回路37とアノード電極24との間には抵抗R5が配設
されている。そして、シールド部材40の電位がシール
ド部材40と電子照射面(具体的には、アノード電極2
4)との間に放電によって第2の所定の電位(VPD2
となったとき、第1の所定の電位と第2の所定の電位の
電位差(VPD2−VPD1)に応じてシールド部材遮断回路
42Cを構成する放電管DCD,DCEが動作する。即
ち、シールド部材40の電位が電子放出部と電子照射面
との間に放電によって第2の所定の電位(VPD2)とな
ったとき、シールド部材遮断回路42Cを構成する第1
の放電管DCD、第2の放電管DCEが動作する。
【0133】具体的には、例えば、シールド部材印加手
段41からシールド部材40に印加される電位
(VCONV)を0ボルト、第1の所定の電位(VPD1)を
−100ボルト、第1の放電管DCDの動作電圧を20
0ボルト、第2の放電管DCEの動作電圧を7.1キロ
ボルト、アノード電極駆動回路37からアノード電極2
4に印加される電位を7キロボルト、抵抗R4,R5の抵
抗値を1MΩとする。
【0134】今、アノード電極24とシールド部材40
との間で放電が生じ始め、0.10mAの電流(リーク
電流)がアノード電極24とシールド部材40との間を
流れたとすると、シールド部材40の電位が第2の所定
の電位VPD2[ここで、VPD2は、(VPD2−VPD1)≧第
1の放電管DCAの動作電圧を満足する値であり、この
例においては、(200−100)=100ボルト]と
なる。その結果、第1の放電管DCDの両端の電位差が
200ボルトとなり、シールド部材40に接続されてい
るシールド部材遮断回路42Cを構成する第1の放電管
DCDが導通状態となり、シールド部材40には第1の
所定の電位(VPD1=−100ボルト)が印加される。
同時に、第2の放電管DCEの両端の電位差は7.1キ
ロボルトとなり、第2の放電管DCEも導通状態となる
結果、シールド部材印加手段41が損傷することを確実
に回避することができる。また、ゲート電極14や電子
放出部16の永久的な損傷が発生することもない。その
後、抵抗R5によって電圧降下が生じ、第2の放電管D
Eの両端の電位差が7.1キロボルト未満となると、
シールド部材遮断回路42Cを構成する第2の放電管D
Eが完全に非導通状態となり、更には、第1の放電管
DCDも完全に非導通状態となる。アノード電極24と
シールド部材40との間での放電が無くなるまで、以上
の動作が繰り返される。尚、シールド部材遮断回路42
Cを構成する第2の放電管DCEにタイマーを接続して
おけば、一定の時間が経過するまで、シールド部材遮断
回路42Cを構成する第2の放電管DCEが完全に非導
通状態となることを阻止することができ、一層確実にア
ノード電極24とシールド部材40との間での放電を無
くすることができる。
【0135】(実施の形態10)以下、各種の電界放出
素子について説明するが、これらの電界放出素子を用い
た平面型表示装置の構成は、各種の変形を含む本発明の
第1の態様〜第3の態様に係る平面型表示装置、あるい
は、各種の変形を含む第1の構成〜第3の構成とすれば
よい。
【0136】[スピント型電界放出素子]スピント型電
界放出素子から成る第1の構造を有する電界放出素子の
模式的な一部端面図を、図37の(B)に示す。スピン
ト型電界放出素子は、支持体11上に形成されたカソー
ド電極12と、支持体11及びカソード電極12上に形
成された絶縁層13と、絶縁層13上に形成されたゲー
ト電極14と、ゲート電極14及び絶縁層13を貫通す
る開口部15と、開口部15の底部に位置するカソード
電極12上に設けられた円錐形の電子放出電極16Aか
ら構成されている。開口部15の底部に露出した円錐形
の電子放出電極16Aが電子放出部16に相当する。
【0137】スピント型電界放出素子の製造方法は、基
本的には、円錐形の電子放出電極16Aを金属材料の垂
直蒸着により形成する方法である。即ち、開口部15に
対して蒸着粒子は垂直に入射するが、開口部15の付近
に形成されるオーバーハング状の堆積物による遮蔽効果
を利用して、開口部15の底部に到達する蒸着粒子の量
を漸減させ、円錐形の堆積物である電子放出電極16A
を自己整合的に形成する。ここでは、不要なオーバーハ
ング状の堆積物の除去を容易とするために、ゲート電極
14上に剥離層17を予め形成しておく方法について、
支持体等の模式的な一部端面図である図36〜図37を
参照して説明する。
【0138】[工程−100]先ず、例えばガラス基板
から成る支持体11上にニオブ(Nb)から成るストラ
イプ状のカソード電極12を形成した後、全面にSiO
2から成る絶縁層13を形成し、更に、ゲート電極14
を絶縁層13上に形成する。ゲート電極14の形成は、
例えば、スパッタリング法、リソグラフィ技術及びドラ
イエッチング技術に基づき行うことができる。次に、ゲ
ート電極14及び絶縁層13に開口部15をRIE(反
応性イオン・エッチング)法にて形成し、開口部15の
底部にカソード電極12を露出させる(図36の(A)
参照)。尚、カソード電極12は、単一の材料層であっ
てもよく、複数の材料層を積層することによって構成す
ることもできる。例えば、後の工程で形成される各電子
放出電極の電子放出特性のばらつきを少なくするため
に、カソード電極12の表層部を残部よりも電気抵抗率
の高い材料で構成することができる。
【0139】[工程−110]次に、開口部15の底部
に露出したカソード電極12上に、電子放出電極16A
を形成する。具体的には、先ず、アルミニウムを斜め蒸
着することにより、剥離層17を形成する。このとき、
支持体11の法線に対する蒸着粒子の入射角を十分に大
きく選択することにより、開口部15の底部にアルミニ
ウムを殆ど堆積させることなく、ゲート電極14及び絶
縁層13上に剥離層17を形成することができる。この
剥離層17は、開口部15の開口端部から庇状に張り出
しており、これにより開口部15が実質的に縮径される
(図36の(B)参照)。
【0140】[工程−120]次に、全面に例えばモリ
ブデン(Mo)を垂直蒸着する。このとき、図37の
(A)に示すように、剥離層17上でオーバーハング形
状を有するモリブデンから成る導電体層18が成長する
に伴い、開口部15の実質的な直径が次第に縮小される
ので、開口部15の底部において堆積に寄与する蒸着粒
子は、次第に開口部15の中央付近を通過するものに限
られるようになる。その結果、開口部15の底部には円
錐形の堆積物が形成され、この円錐形のモリブデンから
成る堆積物が電子放出電極16Aとなる。
【0141】その後、電気化学的プロセス及び湿式プロ
セスによって剥離層17を絶縁層13及びゲート電極1
4の表面から剥離し、絶縁層13及びゲート電極14の
上方の導電体層18を選択的に除去する。その結果、図
37の(B)に示すように、開口部15の底部に位置す
るカソード電極12上に円錐形の電子放出電極16Aを
残すことができる。
【0142】尚、かかる電界放出素子が多数形成された
第1パネル(カソードパネル)10と第2パネル(アノ
ードパネル)20とを組み合わせると、図3に示した平
面型表示装置を得ることができる。具体的には、例え
ば、セラミックスやガラスから作製された高さ約1mm
の枠体(図示せず)を用意し、枠体と第1パネル10と
第2パネル20とを例えばフリットガラスを用いて貼り
合わせ、フリットガラスを乾燥した後、約450゜Cで
10〜30分焼成すればよい。その後、平面型表示装置
の内部を10-4Pa程度の真空度となるまで排気し、適
当な方法で封止する。あるいは又、例えば、枠体と第1
パネル10と第2パネル20との貼り合わせを高真空雰
囲気中で行ってもよい。あるいは又、平面型表示装置の
構造に依っては、枠体無しで、第1パネル10と第2パ
ネル20とを貼り合わせてもよい。
【0143】第2パネル20の製造方法の一例を、以
下、図38を参照して説明する。先ず、発光性結晶粒子
組成物を調製する。そのために、例えば、純水に分散剤
を分散させ、ホモミキサーを用いて3000rpmにて
1分間、撹拌を行う。次に、発光性結晶粒子を分散剤が
分散した純水中に投入し、ホモミキサーを用いて500
0rpmにて5分間、撹拌を行う。その後、例えば、ポ
リビニルアルコール及び重クロム酸アンモニウムを添加
して、十分に撹拌し、濾過する。
【0144】第2パネル20の製造においては、例えば
ガラスから成る基板21上の全面に感光性被膜50を形
成(塗布)する。そして、露光光源(図示せず)から射
出され、マスク53に設けられた開口54を通過した露
光光によって、基板21上に形成された感光性被膜50
を露光して感光領域51を形成する(図38の(A)参
照)。その後、感光性被膜50を現像して選択的に除去
し、感光性被膜の残部(露光、現像後の感光性被膜)5
2を基板21上に残す(図38の(B)参照)。次に、
全面にカーボン剤(カーボンスラリー)を塗布し、乾
燥、焼成した後、リフトオフ法にて感光性被膜の残部5
2及びその上のカーボン剤を除去することによって、露
出した基板21上にカーボン剤から成るブラックマトリ
クス23とを形成し、併せて、感光性被膜の残部52を
除去する(図38の(C)参照)。その後、露出した基
板21上に、赤、緑、青の各蛍光体層22(22R,2
2G,22B)を形成する(図38の(D)参照)。具
体的には、各発光性結晶粒子(蛍光体粒子)から調製さ
れた発光性結晶粒子組成物を使用し、例えば、赤色の感
光性の発光性結晶粒子組成物(蛍光体スラリー)を全面
に塗布し、露光、現像し、次いで、緑色の感光性の発光
性結晶粒子組成物(蛍光体スラリー)を全面に塗布し、
露光、現像し、更に、青色の感光性の発光性結晶粒子組
成物(蛍光体スラリー)を全面に塗布し、露光、現像す
ればよい。その後、蛍光体層22及びブラックマトリク
ス23上にスパッタリング法にて厚さ約0.07μmの
アルミニウム薄膜から成るアノード電極24を形成す
る。尚、スクリーン印刷法等により各蛍光体層22を形
成することもできる。
【0145】尚、アノード電極は、有効領域を1枚のシ
ート状の導電材料で被覆した形式のアノード電極として
もよいし、1又は複数の電子放出部、あるいは、1又は
複数の画素に対応するアノード電極ユニットが集合した
形式のアノード電極としてもよい。本発明の第1の態様
あるいは第3の態様に係る平面型表示装置において、ア
ノード電極が前者の構成の場合、かかるアノード電極に
アノード電極駆動回路を接続すればよいし、アノード電
極が後者の構成の場合、例えば、各アノード電極ユニッ
トにアノード電極駆動回路を接続すればよい。また、本
発明の第2の態様に係る平面型表示装置において、アノ
ード電極が前者の構成の場合、アノード電極遮断回路を
1つ設ければよいし、アノード電極が後者の構成の場
合、例えば、アノード電極遮断回路をアノード電極ユニ
ットの数だけ設ければよい。
【0146】[クラウン型電界放出素子]クラウン型電
界放出素子から成る第1の構造を有する電界放出素子の
模式的な一部端面図を図41の(A)に示し、一部を切
り欠いた模式的な斜視図を図41の(B)に示す。クラ
ウン型電界放出素子は、支持体11上に形成されたカソ
ード電極12と、支持体11及びカソード電極12上に
形成された絶縁層13と、絶縁層13上に形成されたゲ
ート電極14と、ゲート電極14及び絶縁層13を貫通
する開口部15と、開口部15の底部に位置するカソー
ド電極12の部分の上に設けられたクラウン(王冠)型
の電子放出電極16Bから構成されている。開口部15
の底部に露出したクラウン(王冠)型の電子放出電極1
6Bが電子放出部16に相当する。
【0147】以下、クラウン型電界放出素子の製造方法
を、支持体等の模式的な一部端面図等である図39〜図
41を参照して説明する。
【0148】[工程−200]先ず、例えばガラス基板
から成る支持体11上に、ストライプのカソード電極1
2を形成する。尚、カソード電極12は、図面の紙面左
右方向に延びている。ストライプ状のカソード電極12
は、例えば支持体11上にITO膜をスパッタリング法
により約0.2μmの厚さに全面に亙って成膜した後、
ITO膜をパターニングすることによって形成すること
ができる。尚、カソード電極12は、単一の材料層であ
ってもよく、複数の材料層を積層することによって構成
することもできる。例えば、後の工程で形成される各電
子放出電極の電子放出特性のばらつきを少なくするため
に、カソード電極12の表層部を残部よりも電気抵抗率
の高い材料で構成することができる。次に、支持体11
及びカソード電極12上に絶縁層13を形成する。ここ
では、一例としてガラスペーストを全面に約3μmの厚
さにスクリーン印刷する。次に、絶縁層13に含まれる
水分や溶剤を除去し、且つ、絶縁層13を平坦化するた
めに、例えば100゜C、10分間の仮焼成、及び50
0゜C、20分間の本焼成といった2段階の焼成を行
う。尚、上述のようなガラスペーストを用いたスクリー
ン印刷に替えて、例えばプラズマCVD法によりSiO
2膜を形成してもよい。
【0149】次に、絶縁層13上に、ストライプ状のゲ
ート電極14を形成する(図39の(A)参照)。尚、
ゲート電極14は、図面の紙面垂直方向に延びている。
ゲート電極14は、例えば、絶縁層13上に厚さ約20
nmのクロム(Cr)膜と厚さ0.2μmの金(Au)
膜を電子ビーム蒸着法によりこの順に全面成膜し、続い
てこの積層膜をパターニングすることにより形成するこ
とができる。尚、クロム膜は、絶縁層13に対する金膜
の密着性の不足を補うために形成される。ゲート電極1
4の射影像の延びる方向は、ストライプ状のカソード電
極12の射影像の延びる方向と90度を成す。
【0150】[工程−210]次に、例えばフォトレジ
スト材料から成るエッチング用マスクを用いてゲート電
極14及び絶縁層13をRIE法に基づきエッチング
し、ゲート電極14及び絶縁層13に開口部15を形成
し、開口部15の底部にカソード電極12を露出させる
(図39の(B)参照)。開口部15の直径を約2〜5
0μmとする。
【0151】[工程−220]次に、エッチング用マス
クを除去し、ゲート電極14上、絶縁層13上、及び開
口部15の側壁面上に剥離層60を形成する(図40の
(A)参照)。かかる剥離層60を形成するには、例え
ば、フォトレジスト材料をスピンコーティング法により
全面に塗布し、開口部15の底部の一部分(中央部)の
みを除去するようなパターニングを行えばよい。この時
点で、開口部15の実質的な直径は、約1〜20μmに
縮径される。
【0152】[工程−230]次に、図40の(B)に
示すように、全面に組成物原料から成る導電性組成物層
61を形成する。ここで使用する組成物原料は、例え
ば、導電性粒子として平均粒径約0.1μmの黒鉛粒子
を60重量%、バインダとして4号の水ガラスを40重
量%含む。この組成物原料を、例えば1400rpm、
10秒間の条件で全面にスピンコートする。開口部15
内における導電性組成物層61の表面は、組成物原料の
表面張力に起因して、開口部15の側壁面に沿って迫り
上がり、開口部15の中央部に向かって窪む。その後、
導電性組成物層61に含まれる水分を除去するための仮
焼成を、例えば大気中、400゜Cで30分間行う。
【0153】組成物原料において、バインダは、(1)
それ自身が導電性粒子の分散媒であってもよいし、
(2)導電性粒子を被覆していてもよいし、(3)適当
な溶媒に分散あるいは溶解されることによって、導電性
粒子の分散媒を構成してもよい。(3)のケースの典型
例は水ガラスであり、日本工業規格(JIS)K140
8に規定される1号乃至4号、又はこれらの同等品を使
用することができる。1号乃至4号は、水ガラスの構成
成分である酸化ナトリウム(Na2O)1モルに対する
酸化珪素(SiO2)のモル数(約2〜4モル)の違い
に基づく4段階の等級であり、それぞれ粘度が大きく異
なる。従って、リフトオフ・プロセスで水ガラスを使用
する際には、水ガラスに分散させる導電性粒子の種類や
含有量、剥離層60との親和性、開口部15のアスペク
ト比等の諸条件を考慮して、最適な等級の水ガラスを選
択するか、又は、これらの等級と同等の水ガラスを調製
して使用することが好ましい。
【0154】バインダは一般に導電性に劣るので、組成
物原料中の導電性粒子の含有量に対してバインダの含有
量が多過ぎると、形成される電子放出電極16Bの電気
抵抗値が上昇し、電子放出が円滑に行われなくなる虞が
ある。従って、例えば水ガラス中に導電性粒子としてカ
ーボン系材料粒子を分散させて成る組成物原料を例にと
ると、組成物原料の全重量に占めるカーボン系材料粒子
の割合は、電子放出電極16Bの電気抵抗値、組成物原
料の粘度、導電性粒子同士の接着性等の特性を考慮し、
概ね30〜95重量%の範囲に選択することが好まし
い。カーボン系材料粒子の割合をかかる範囲内に選択す
ることにより、形成される電子放出電極16Bの電気抵
抗値を十分に下げると共に、カーボン系材料粒子同士の
接着性を良好に保つことが可能となる。但し、導電性粒
子としてカーボン系材料粒子にアルミナ粒子を混合して
用いた場合には、導電性粒子同士の接着性が低下する傾
向があるので、アルミナ粒子の含有量に応じてカーボン
系材料粒子の割合を高めることが好ましく、60重量%
以上とすることが特に好ましい。尚、組成物原料には、
導電性粒子の分散状態を安定化させるための分散剤や、
pH調整剤、乾燥剤、硬化剤、防腐剤等の添加剤が含ま
れていてもよい。また、導電性粒子を結合剤(バイン
ダ)の被膜で覆った粉体を、適当な分散媒中に分散させ
て成る組成物原料を用いてもよい。
【0155】一例として、王冠状の電子放出電極16B
の直径を概ね1〜20μmとし、導電性粒子としてカー
ボン系材料粒子を使用した場合、カーボン系材料粒子の
粒径は概ね0.1μm〜1μmの範囲とすることが好ま
しい。カーボン系材料粒子の粒径をかかる範囲に選択す
ることにより、王冠状の電子放出電極16Bの縁部に十
分に高い機械的強度が備わり、且つ、カソード電極12
に対する電子放出電極16Bの密着性が良好となる。
【0156】[工程−240]次に、図40の(C)に
示すように、剥離層60を除去する。剥離は、2重量%
の水酸化ナトリウム水溶液中に、30秒間浸漬すること
により行う。このとき、超音波振動を加えながら剥離を
行ってもよい。これにより、剥離層60と共に剥離層6
0上の導電性組成物層61の部分が除去され、開口部1
5の底部に露出したカソード電極12上の導電性組成物
層61の部分のみが残される。この残存した部分が電子
放出電極16Bとなる。電子放出電極16Bの形状は、
表面が開口部15の中央部に向かって窪み、王冠状とな
る。[工程−240]が終了した時点における状態を、
図41に示す。図41の(B)は、電界放出素子の一部
を示す模式的な斜視図であり、図41の(A)は図41
の(B)の線A−Aに沿った模式的な一部端面図であ
る。図41の(B)では、電子放出電極16Bの全体が
見えるように、絶縁層13とゲート電極14との一部を
切り欠いている。尚、1つの重複領域には、5〜100
個程度の電子放出電極16Bを設けることで十分であ
る。尚、導電性粒子が電子放出電極16Bの表面に確実
に露出するように、電子放出電極16Bの表面に露出し
たバインダをエッチングによって除去してもよい。
【0157】[工程−250]次に、電子放出電極16
Bの焼成を行う。焼成は、乾燥大気中、400゜C、3
0分間の条件で行う。尚、焼成温度は、組成物原料に含
まれるバインダの種類に応じて選択すればよい。例え
ば、バインダが水ガラスのような無機材料である場合に
は、無機材料を焼成し得る温度で熱処理を行えばよい。
バインダが熱硬化性樹脂である場合には、熱硬化性樹脂
を硬化し得る温度で熱処理を行えばよい。但し、導電性
粒子同士の密着性を保つために、熱硬化性樹脂が過度に
分解したり炭化する虞のない温度で熱処理を行うことが
好適である。いずれのバインダを用いるにしても、熱処
理温度は、ゲート電極やカソード電極、絶縁層に損傷や
欠陥が生じない温度とする必要がある。熱処理雰囲気
は、ゲート電極やカソード電極の電気抵抗率が酸化によ
って上昇したり、あるいはゲート電極やカソード電極に
欠陥や損傷が生ずることがないように、不活性ガス雰囲
気とすることが好ましい。尚、バインダとして熱可塑性
樹脂を使用した場合には、熱処理を必要としない場合が
ある。
【0158】[扁平型電界放出素子(その1)]扁平型
電界放出素子から成る第1の構造を有する電界放出素子
の模式的な一部断面図を、図42の(C)に示す。扁平
型電界放出素子は、例えばガラスから成る支持体11上
に形成されたカソード電極12、支持体11及びカソー
ド電極12上に形成された絶縁層13、絶縁層13上に
形成されたゲート電極14、ゲート電極14及び絶縁層
13を貫通する開口部15、並びに、開口部15の底部
に位置するカソード電極12の部分の上に設けられた扁
平の電子放出電極16Cから成る。ここで、電子放出電
極16Cは、図42の(C)の紙面垂直方向に延びたス
トライプ状のカソード電極12上に形成されている。ま
た、ゲート電極14は、図42の(C)の紙面左右方向
に延びている。カソード電極12及びゲート電極14は
クロムから成る。電子放出電極16Cは、具体的には、
グラファイト粉末から成る薄層から構成されている。ま
た、電界放出素子の動作安定化、電子放出特性の均一化
のために、カソード電極12と電子放出電極16Cとの
間にSiCから成る抵抗体層62が設けられている。図
42の(C)に示した扁平型電界放出素子においては、
カソード電極12の表面の全域に亙って、抵抗体層62
及び電子放出電極16Cが形成されているが、このよう
な構造に限定するものではなく、要は、少なくとも開口
部15の底部に電子放出電極16Cが設けられていれば
よい。
【0159】以下、支持体等の模式的な一部断面図であ
る図42を参照して、扁平型電界放出素子の製造方法を
説明する。
【0160】[工程−300]先ず、支持体11上に、
クロム(Cr)から成るカソード電極用導電材料層をス
パッタリング法にて形成した後、リソグラフィ技術及び
ドライエッチング技術に基づきカソード電極用導電材料
層をパターニングする。これによって、ストライプ状の
カソード電極12を支持体11上に形成することができ
る(図42の(A)参照)。尚、カソード電極12は、
図42の紙面垂直方向に延びている。
【0161】[工程−310]次に、カソード電極12
上に、電子放出電極16Cを形成する。具体的には、先
ず、全面にスパッタリング法にてSiCから成る抵抗体
層62を形成し、次いで、抵抗体層62の上にグラファ
イト粉末塗料から成る電子放出電極16Cをスピンコー
ティング法にて形成し、電子放出電極16Cを乾燥させ
る。その後、電子放出電極16C及び抵抗体層62を公
知の方法に基づきパターニングする(図42の(B)参
照)。電子放出部は電子放出電極16Cから構成され
る。
【0162】[工程−320]次に、全面に絶縁層13
を形成する。具体的には、電子放出電極16C及び支持
体11上に、例えば、スパッタリング法にてSiO2
ら成る絶縁層13を形成する。尚、絶縁層13を、ガラ
スペーストをスクリーン印刷する方法や、SiO2層を
CVD法にて形成する方法に基づき形成することもでき
る。その後、ストライプ状のゲート電極14を絶縁層1
3上に形成する。
【0163】[工程−330]次に、エッチング用マス
クを設けた後、ゲート電極14及び絶縁層13に開口部
15を形成し、開口部15の底部に電子放出電極16C
を露出させる。その後、エッチング用マスクを除去し、
電子放出電極16C中の有機溶剤を除去するために、4
00゜C、30分の熱処理を施す。こうして、図42の
(C)に示した電界放出素子を得ることができる。
【0164】[扁平型電界放出素子(その2)]扁平型
電界放出素子から成る第1の構造を有する電界放出素子
の変形例の模式的な一部断面図を、図43の(C)に示
す。図43の(C)に示す扁平型電界放出素子において
は、電子放出電極16Cの構造が、図42の(C)に示
した扁平型電界放出素子と若干異なっている。以下、支
持体等の模式的な一部断面図である図43を参照して、
かかる電界放出素子の製造方法を説明する。
【0165】[工程−400]先ず、支持体11上にカ
ソード電極用導電材料層を形成する。具体的には、支持
体11の全面にレジスト材料層(図示せず)を形成した
後、カソード電極を形成すべき部分のレジスト材料層を
除去する。その後、全面にクロム(Cr)から成るカソ
ード電極用導電材料層をスパッタリング法にて形成す
る。更に、全面にスパッタリング法にてSiCから成る
抵抗体層62を形成し、次いで、抵抗体層62の上にグ
ラファイト粉末塗料層をスピンコーティング法にて形成
し、グラファイト粉末塗料層を乾燥させる。その後、剥
離液を用いてレジスト材料層を除去すると、レジスト材
料層上に形成されたカソード電極用導電材料層、抵抗体
層62及びグラファイト粉末塗料層も除去される。こう
して、カソード電極12、抵抗体層62及び電子放出電
極16Cが積層された構造を得ることができる(図43
の(A)参照)。
【0166】[工程−410]次に、全面に絶縁層13
を形成した後、絶縁層13上にストライプ状のゲート電
極14を形成する(図43の(B)参照)。その後、ゲ
ート電極14及び絶縁層13に開口部15を形成するこ
とによって、開口部15の底部に電子放出電極16Cを
露出させる(図43の(C)参照)。開口部15の底部
に露出したカソード電極12の表面に設けられた電子放
出電極16Cが電子放出部に相当する。
【0167】[扁平型電界放出素子(その3)]扁平型
電界放出素子から成る第1の構造を有する電界放出素子
の別の変形例の模式的な一部端面図を、図45の(B)
に示す。この扁平型電界放出素子においては、電子放出
電極16Dは、CVD法に基づき形成された炭素薄膜か
ら構成されている。
【0168】電子放出部を炭素薄膜から構成すること
は、炭素(C)の仕事関数が低く、高い放出電子電流を
達成することができるので、好ましい。炭素薄膜から電
子を放出させるためには、炭素薄膜が適切な電界(例え
ば、106ボルト/cm程度の強度を有する電界)中に
置かれた状態とすればよい。
【0169】ところで、レジスト層をエッチング用マス
クとして使用し、酸素ガスを用いてダイヤモンド薄膜の
ような炭素薄膜のプラズマエッチングを行った場合、エ
ッチング反応系における反応副生成物として(CHx
系あるいは(CFx)系等の炭素系ポリマーが堆積性物
質として生成する。一般に、プラズマエッチングにおい
て堆積性物質がエッチング反応系に生成した場合、この
堆積性物質はイオン入射確率の低いレジスト層の側壁
面、あるいは被エッチング物の加工端面に堆積して所謂
側壁保護膜を形成し、被エッチング物の異方性加工によ
って得られる形状の達成に寄与する。しかしながら、酸
素ガスをエッチング用ガスとして使用した場合には、炭
素系ポリマーから成る側壁保護膜は、生成しても、直ち
に酸素ガスによって除去されてしまう。また、酸素ガス
をエッチング用ガスとして使用した場合には、レジスト
層の消耗も激しい。これらの理由により、従来のダイヤ
モンド薄膜の酸素プラズマ加工においては、ダイヤモン
ド薄膜のマスクの寸法に対する寸法変換差が大きく、異
方性加工も困難な場合が多い。
【0170】このような問題を解決するためには、例え
ば、カソード電極の表面に炭素薄膜選択成長領域を形成
し、炭素薄膜選択成長領域上に炭素薄膜から成る電子放
出部を形成する構成とすればよい。即ち、この電界放出
素子の製造においては、支持体上にカソード電極を形成
した後、カソード電極の表面に炭素薄膜選択成長領域を
形成し、その後、炭素薄膜選択成長領域上に炭素薄膜
(電子放出部に相当する)を形成する。尚、カソード電
極の表面に炭素薄膜選択成長領域を形成する工程を、炭
素薄膜選択成長領域形成工程と呼ぶ。
【0171】ここで、炭素薄膜選択成長領域は、表面に
金属粒子が付着したカソード電極の部分、若しくは、表
面に金属薄膜が形成されたカソード電極の部分であるこ
とが好ましい。尚、炭素薄膜選択成長領域における炭素
薄膜の選択成長を一層確実なものとするために、炭素薄
膜選択成長領域の表面には、硫黄(S)、ホウ素(B)
又はリン(P)が付着していることが望ましく、これら
の物質は一種の触媒としての作用を果たすと考えられ、
これによって、炭素薄膜の選択成長性を一層向上させる
ことができる。尚、炭素薄膜選択成長領域は、開口部の
底部に位置するカソード電極の部分の表面に形成されて
いればよく、開口部の底部に位置するカソード電極の部
分から開口部の底部以外のカソード電極の部分の表面に
延在するように形成されていてもよい。また、炭素薄膜
選択成長領域は、開口部の底部に位置するカソード電極
の部分の表面の全面に形成されていても、部分的に形成
されていてもよい。
【0172】炭素薄膜選択成長領域形成工程は、炭素薄
膜選択成長領域を形成すべきカソード電極の部分の表面
(以下、単にカソード電極の表面と呼ぶ場合がある)
に、金属粒子を付着させ、若しくは、金属薄膜を形成す
る工程から成り、以て、表面に金属粒子が付着し、若し
くは、表面に金属薄膜が形成されたカソード電極の部分
から成る炭素薄膜選択成長領域を得ることが好ましい。
また、この場合、炭素薄膜選択成長領域における炭素薄
膜の選択成長を一層確実なものとするために、炭素薄膜
選択成長領域の表面に、硫黄(S)、ホウ素(B)又は
リン(P)を付着させることが望ましく、これによっ
て、炭素薄膜の選択成長性を一層向上させることができ
る。炭素薄膜選択成長領域の表面に硫黄、ホウ素又はリ
ンを付着させる方法としては、例えば、硫黄、ホウ素又
はリンを含む化合物から成る化合物層を炭素薄膜選択成
長領域の表面に形成し、次いで、例えば加熱処理を化合
物層に施すことによって化合物層を構成する化合物を分
解させ、炭素薄膜選択成長領域の表面に硫黄、ホウ素又
はリンを残す方法を挙げることができる。硫黄を含む化
合物としてチオナフテン、チオフテン、チオフェンを例
示することができる。ホウ素を含む化合物として、トリ
フェニルボランを例示することができる。リンを含む化
合物として、トリフェニルフォスフィンを例示すること
ができる。
【0173】あるいは又、炭素薄膜選択成長領域におけ
る炭素薄膜の選択成長を一層確実なものとするために、
カソード電極の表面に、金属粒子を付着させ、若しく
は、金属薄膜を形成した後、金属粒子の表面若しくは金
属薄膜の表面の金属酸化物(所謂、自然酸化膜)を除去
することが望ましい。金属粒子の表面若しくは金属薄膜
の表面の金属酸化物の除去を、例えば、水素ガス雰囲気
におけるマイクロ波プラズマ法、トランス結合型プラズ
マ法、誘導結合型プラズマ法、電子サイクロトロン共鳴
プラズマ法、RFプラズマ法等に基づくプラズマ還元処
理、アルゴンガス雰囲気におけるスパッタ処理、若しく
は、例えばフッ酸等の酸や塩基を用いた洗浄処理によっ
て行うことが望ましい。尚、炭素薄膜選択成長領域の表
面に硫黄、ホウ素又はリンを付着させる工程、あるいは
又、金属粒子の表面若しくは金属薄膜の表面の金属酸化
物を除去する工程を含む場合、絶縁層に開口部を設けた
後、炭素薄膜選択成長領域上に炭素薄膜を形成する前に
これらの工程を実行することが好ましい。
【0174】炭素薄膜選択成長領域を得るためにカソー
ド電極の表面に金属粒子を付着させる方法として、例え
ば、炭素薄膜選択成長領域を形成すべきカソード電極の
領域以外の領域を適切な材料(例えば、マスク層)で被
覆した状態で、溶媒と金属粒子から成る層を炭素薄膜選
択成長領域を形成すべきカソード電極の部分の表面に形
成した後、溶媒を除去し、金属粒子を残す方法を挙げる
ことができる。あるいは又、カソード電極の表面に金属
粒子を付着させる工程として、例えば、炭素薄膜選択成
長領域を形成すべきカソード電極の領域以外の領域を適
切な材料(例えば、マスク層)で被覆した状態で、金属
粒子を構成する金属原子を含む金属化合物粒子をカソー
ド電極の表面に付着させた後、金属化合物粒子を加熱す
ることによって分解し、以て、表面に金属粒子が付着し
たカソード電極の部分から成る炭素薄膜選択成長領域を
得る方法を挙げることができる。この場合、具体的に
は、溶媒と金属化合物粒子から成る層を炭素薄膜選択成
長領域を形成すべきカソード電極の部分の表面に形成し
た後、溶媒を除去し、金属化合物粒子を残す方法を例示
することができる。金属化合物粒子は、金属粒子を構成
する金属のハロゲン化物(例えば、ヨウ化物、塩化物、
臭化物等)、酸化物、水酸化物及び有機金属から成る群
から選択された少なくとも1種類の材料から成ることが
好ましい。尚、これらの方法においては、適切な段階
で、炭素薄膜選択成長領域を形成すべきカソード電極の
領域以外の領域を被覆した材料(例えば、マスク層)を
除去する。
【0175】炭素薄膜選択成長領域を得るためにカソー
ド電極の表面に金属薄膜を形成する方法として、例え
ば、炭素薄膜選択成長領域を形成すべきカソード電極の
領域以外の領域を適切な材料で被覆した状態での、電解
メッキ法、無電解メッキ法、MOCVD法を含むCVD
法(化学的気相成長法)、物理的気相成長法(PVD
法、Physical Vapor Deposition 法)等の公知の方法を
挙げることができる。尚、物理的気相成長法として、
(a)電子ビーム加熱法、抵抗加熱法、フラッシュ蒸着
等の各種真空蒸着法、(b)プラズマ蒸着法、(c)2
極スパッタリング法、直流スパッタリング法、直流マグ
ネトロンスパッタリング法、高周波スパッタリング法、
マグネトロンスパッタリング法、イオンビームスパッタ
リング法、バイアススパッタリング法等の各種スパッタ
リング法、(d)DC(direct current)法、RF法、多
陰極法、活性化反応法、電界蒸着法、高周波イオンプレ
ーティング法、反応性イオンプレーティング法等の各種
イオンプレーティング法を挙げることができる。
【0176】ここで、金属粒子あるいは金属薄膜は、モ
リブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、チタン(T
i)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、タングステ
ン(W)、ジルコニウム(Zr)、タンタル(Ta)、
鉄(Fe)、銅(Cu)、白金(Pt)及び亜鉛(Z
n)から成る群から選択された少なくとも1種類の金属
から構成されていることが好ましい。
【0177】炭素薄膜として、グラファイト薄膜、アモ
ルファスカーボン薄膜、ダイヤモンドライクカーボン薄
膜、あるいはフラーレン薄膜を挙げることができる。炭
素薄膜の形成方法として、マイクロ波プラズマ法、トラ
ンス結合型プラズマ法、誘導結合型プラズマ法、電子サ
イクロトロン共鳴プラズマ法、RFプラズマ法等に基づ
くCVD法、平行平板型CVD装置を用いたCVD法を
例示することができる。炭素薄膜の形態には、薄膜状は
もとより、炭素のウィスカー、炭素のナノチューブ(中
空及び中実を含む)が包含される。
【0178】尚、カソード電極の構造としては、導電材
料層の1層構成とすることもできるし、下層導電材料
層、下層導電材料層上に形成された抵抗体層、抵抗体層
上に形成された上層導電材料層の3層構成とすることも
できる。後者の場合、上層導電材料層の表面に炭素薄膜
選択成長領域を形成する。このように、抵抗体層を設け
ることによって、電子放出電極における電子放出特性の
均一化を図ることができる。
【0179】以下、支持体等の模式的な一部端面図であ
る図44及び図45を参照して、扁平型電界放出素子の
製造方法の一例を説明する。
【0180】[工程−500]先ず、例えばガラス基板
から成る支持体11上にカソード電極用導電材料層を形
成し、次いで、周知のリソグラフィ技術及びRIE法に
基づきカソード電極用導電材料層をパターニングするこ
とによって、ストライプ状のカソード電極12を支持体
11上に形成する。ストライプ状のカソード電極12
は、図面の紙面左右方向に延びている。カソード電極1
2は、例えばスパッタリング法により形成された厚さ約
0.2μmのクロム(Cr)層から成る。
【0181】[工程−510]その後、全面に、具体的
には、支持体11上及びカソード電極12上に絶縁層1
3を形成する。
【0182】[工程−520]次いで、ストライプ状の
ゲート電極14を絶縁層13上に形成した後、ゲート電
極14及び絶縁層13に開口部15を形成し、開口部1
5の底部にカソード電極12を露出させる(図44の
(A)参照)。ストライプ状のゲート電極14は図面の
紙面垂直方向に延びている。開口部15の平面形状は、
例えば直径1μm〜30μmの円形である。開口部15
を、例えば、1画素分の領域(重複領域)に1個〜30
00個程度形成すればよい。
【0183】[工程−530]次に、開口部15の底部
に露出したカソード電極12上に、電子放出電極16D
を形成する。具体的には、先ず、開口部15の底部に位
置するカソード電極12の表面に炭素薄膜選択成長領域
63を形成する。そのために、先ず、開口部15の底部
の中央部にカソード電極12の表面が露出したマスク層
64を形成する(図44の(B)参照)。具体的には、
レジスト材料層をスピンコーティング法にて開口部15
内を含む全面に成膜した後、リソグラフィ技術に基づ
き、開口部15の底部の中央部に位置するレジスト材料
層に孔部を形成することによって、マスク層64を得る
ことができる。マスク層64は、開口部15の底部に位
置するカソード電極12の一部分、開口部15の側壁、
ゲート電極14及び絶縁層13を被覆している。これに
よって、次の工程で、開口部15の底部の中央部に位置
するカソード電極12の表面に炭素薄膜選択成長領域を
形成するが、カソード電極12とゲート電極14とが金
属粒子によって短絡することを確実に防止し得る。
【0184】次に、露出したカソード電極12の表面を
含むマスク層64上に、金属粒子を付着させる。具体的
には、ニッケル(Ni)微粒子をポリシロキサン溶液中
に分散させた溶液(溶媒としてイソプロピルアルコール
を使用)をスピンコーティング法にて全面に塗布し、炭
素薄膜選択成長領域63を形成すべきカソード電極12
の部分の表面に溶媒と金属粒子から成る層を形成する。
その後、マスク層64を除去し、400゜C程度に加熱
することによって溶媒を除去し、露出したカソード電極
12の表面に金属粒子65を残すことで、炭素薄膜選択
成長領域63を得ることができる(図45の(A)参
照)。尚、ポリシロキサンは、露出したカソード電極1
2の表面に金属粒子65を固定させる機能(所謂、接着
機能)を有する。
【0185】[工程−540]その後、炭素薄膜選択成
長領域63上に、厚さ約0.2μmの炭素薄膜66を形
成し、電子放出電極16Dを得る。この状態を図45の
(B)に示す。マイクロ波プラズマCVD法に基づく炭
素薄膜66の成膜条件を、以下の表1に例示する。
【0186】[表1] [炭素薄膜の成膜条件] 使用ガス :CH4/H2=100/10SCCM 圧力 :1.3×103Pa マイクロ波パワー:500W(13.56MHz) 成膜温度 :500゜C
【0187】[平面型電界放出素子(その1)]平面型
電界放出素子から成る第2の構造を有する電界放出素子
の模式的な一部断面図を、図46の(C)に示す。この
平面型電界放出素子は、例えばガラスから成る支持体1
1上に形成されたストライプ状のカソード電極12、支
持体11及びカソード電極12上に形成された絶縁層1
3、絶縁層13上に形成されたストライプ状のゲート電
極14、並びに、ゲート電極14及び絶縁層13を貫通
し、底部にカソード電極12が露出した開口部15から
成る。カソード電極12は、図46の(C)の紙面垂直
方向に延び、ゲート電極14は、図46の(C)の紙面
左右方向に延びている。カソード電極12及びゲート電
極14はクロム(Cr)から成り、絶縁層13はSiO
2から成る。ここで、開口部15の底部に露出したカソ
ード電極12の部分が電子放出部16に相当する。
【0188】以下、支持体等の模式的な一部断面図であ
る図46を参照して、平面型電界放出素子の製造方法を
説明する。
【0189】[工程−600]先ず、支持体11上に電
子放出部16として機能するカソード電極12を形成す
る。具体的には、支持体11上に、クロム(Cr)から
成るカソード電極用導電材料層をスパッタリング法にて
形成した後、リソグラフィ技術及びドライエッチング技
術に基づきカソード電極用導電材料層をパターニングす
る。これによって、ストライプ状のカソード電極12を
支持体11上に形成することができる(図46の(A)
参照)。尚、カソード電極12は、図46の紙面垂直方
向に延びている。
【0190】[工程−610]次に、例えばCVD法に
てSiO2から成る絶縁層13を、支持体11及びカソ
ード電極12の上に形成する。尚、絶縁層13を、スク
リーン印刷法に基づきガラスペーストから形成すること
もできる。
【0191】[工程−620]その後、ストライプ状の
ゲート電極14を絶縁層13上に形成する。具体的に
は、先ず、全面にクロムから成る導電材料層をスパッタ
リング法にて形成した後、リソグラフィ技術及びドライ
エッチング技術に基づき導電材料層をパターニングす
る。これによって、ストライプ状のゲート電極14を形
成することができる(図46の(B)参照)。尚、ゲー
ト電極14は、図46の紙面左右方向に延びている。例
えばスクリーン印刷法にて、ストライプ状のゲート電極
14を絶縁層13上に、直接形成することもできる。
【0192】[工程−630]次に、ゲート電極14及
び絶縁層13に開口部15を形成し、開口部15の底部
に電子放出部16として機能するカソード電極12を露
出させる(図46の(C)参照)。
【0193】[平面型電界放出素子(その2)]図47
の(A)に模式的な一部断面図を示す平面型電界放出素
子が図46の(C)に示した平面型電界放出素子と相違
する点は、開口部15の底部に露出したカソード電極1
2の表面(電子放出部16に相当する)に、微小凹凸部
12Aが形成されている点にある。このような平面型電
界放出素子は、以下の製造方法にて製造することができ
る。
【0194】[工程−700]先ず、実施の形態1の
[工程−600]〜[工程−620]と略同様にして、
支持体11上にストライプ状のカソード電極12を形成
し、全面に絶縁層13を形成した後、ストライプ状のゲ
ート電極14を絶縁層13上に形成する。即ち、例えば
ガラス基板から成る支持体11の上に、スパッタリング
法により厚さ約0.2μmのタングステン層を成膜し、
通常の手順に従ってこのタングステン層をストライプ状
にパターニングし、カソード電極12を形成する。次
に、支持体11及びカソード電極12上に絶縁層13を
形成する。絶縁層13は、TEOS(テトラエトキシシ
ラン)を原料ガスとして用いるCVD法により形成する
ことができる。更に、この絶縁層13の上に、例えば厚
さ約0.2μmのクロムから成る導電材料層を成膜し、
ストライプ状にパターニングして、ゲート電極14を形
成する。ここまでのプロセスが終了した状態は、実質的
に、図46の(B)に示したと同様である。
【0195】[工程−710]次に、[工程−630]
と同様にして、ゲート電極14及び絶縁層13に開口部
15を形成し、開口部15の底部にカソード電極12を
露出させる。その後、開口部15の底部に露出したカソ
ード電極12の部分に、微小凹凸部12Aを形成する。
微小凹凸部12Aの形成に際しては、エッチングガスと
してSF6を用い、カソード電極12を構成するタング
ステンの結晶粒のエッチング速度よりも粒界とエッチン
グ速度の方が早くなるようなエッチング条件を設定して
RIE法に基づくドライエッチングを行う。その結果、
タングステンの結晶粒径をほぼ反映した寸法を有する微
小凹凸部12Aを形成することができる。
【0196】このような平面型電界放出素子の構成にお
いては、カソード電極12の微小凹凸部12A、より具
体的には微小凹凸部12Aの凸部に、ゲート電極14か
ら大きな電界が加わる。このとき、凸部に集中する電界
は、カソード電極12の表面が平滑である場合に比べて
大きいため、凸部からは量子トンネル効果によって電子
が効率良く放出される。従って、開口部15の底部に単
に平滑なカソード電極12が露出している平面型電界放
出素子に比べて、平面型表示装置に組み込まれた場合の
輝度の向上が期待できる。それ故、図47の(A)に示
した平面型電界放出素子によれば、ゲート電極14とカ
ソード電極12との間の電位差が比較的小さくても、十
分な放出電子電流密度を得ることができ、平面型表示装
置の高輝度化が達成される。あるいは、同じ輝度を達成
するために必要なゲート電圧が低くて済み、以て、低消
費電力化を達成することが可能である。
【0197】尚、絶縁層13をエッチングすることによ
って開口部15を形成し、しかる後に異方性エッチング
技術に基づきカソード電極12に微小凹凸部12Aを形
成したが、開口部15を形成するためのエッチングによ
って、微小凹凸部12Aを同時に形成することも可能で
ある。即ち、絶縁層13をエッチングする際に、ある程
度のイオンスパッタ作用が期待できる異方的なエッチン
グ条件を採用し、垂直壁を有する開口部15が形成され
た後もエッチングを継続することにより、開口部15の
底部に露出したカソード電極12の部分に微小凹凸部1
2Aを形成することができる。その後、絶縁層13の等
方性エッチングを行えばよい。
【0198】また、[工程−600]と同様の工程にお
いて、支持体11上に、タングステンから成るカソード
電極用導電材料層をスパッタリング法にて形成した後、
リソグラフィ技術及びドライエッチング技術に基づきカ
ソード電極用導電材料層をパターニングし、次いで、カ
ソード電極用導電材料層の表面に微小凹凸部12Aを形
成した後、[工程−610]〜[工程−630]と同様
の工程を実行することによって、図47の(A)に示し
たと同様の電界放出素子を作製することもできる。
【0199】あるいは又、[工程−600]と同様の工
程において、支持体11上に、タングステンから成るカ
ソード電極用導電材料層をスパッタリング法にて形成し
た後、カソード電極用導電材料層の表面に微小凹凸部1
2Aを形成し、次いで、リソグラフィ技術及びドライエ
ッチング技術に基づきカソード電極用導電材料層をパタ
ーニングした後、[工程−610]〜[工程−630]
と同様の工程を実行することによって、図47の(A)
に示したと同様の電界放出素子を作製することもでき
る。
【0200】図47の(B)には、図47の(A)に示
した電界放出素子の変形例を示す。図47の(B)に示
す電界放出素子においては、微小凹凸部12Aの先端部
の平均高さ位置が、絶縁層13の下面位置よりも支持体
11側に存在している(即ち、下がっている)。かかる
電界放出素子を形成するには、[工程−710]におけ
るドライエッチングの継続時間を延長すればよい。この
ような構成によれば、開口部15の中央部近傍の電界強
度を一層高めることができる。
【0201】図48には、電子放出部16に相当するカ
ソード電極12の表面(より具体的には、少なくとも微
小凹凸部12A上)に被覆層12Bが形成されている平
面型電界放出素子を示す。
【0202】この被覆層12Bは、カソード電極12を
構成する材料よりも仕事関数Φの小さい材料から構成す
ることが好ましく、どのような材料を選択するかは、カ
ソード電極12を構成する材料の仕事関数、ゲート電極
14とカソード電極12との間の電位差、要求される放
出電子電流密度の大きさ等に基づいて決定すればよい。
被覆層12Bの構成材料として、アモルファスダイヤモ
ンドを例示することができる。被覆層12Bをアモルフ
ァスダイヤモンドを用いて構成した場合には、5×10
7V/m以下の電界強度にて、平面型表示装置に必要な
放出電子電流密度を得ることができる。
【0203】被覆層12Bの厚さは、微小凹凸部12A
を反映し得る程度に選択する。これは、被覆層12Bに
よって微小凹凸部12Aの凹部が埋め込まれ、電子放出
部の表面が平滑化されてしまっては、微小凹凸部12A
を設けた意味が無くなるからである。従って、微小凹凸
部12Aの寸法にも依るが、例えば微小凹凸部12Aが
電子放出部の結晶粒径を反映して形成されている場合に
は、被覆層12Bの厚さを概ね30〜100nm程度に
選択することが好ましい。また、微小凹凸部12Aの先
端部の平均高さ位置を絶縁層の下面位置よりも下げる場
合には、厳密には、被覆層12Bの先端部の平均高さ位
置を絶縁層の下面位置よりも下げることが、一層好まし
い。
【0204】具体的には、[工程−710]の後、全面
に例えばCVD法によりアモルファスダイヤモンドから
成る被覆層12Bを形成すればよい。尚、被覆層12B
は、ゲート電極14及び絶縁層13の上に形成されたエ
ッチング用マスク(図示せず)の上にも堆積するが、こ
の堆積部分はエッチング用マスクの除去時、同時に除去
される。原料ガスとして例えばCH4/H2混合ガスや、
CO/H2混合ガスを使用したCVD法に基づき被覆層
12Bを形成することができ、それぞれ炭素を含む化合
物の熱分解によってアモルファスダイヤモンドから成る
被覆層12Bが形成される。
【0205】あるいは又、[工程−600]と同様の工
程において、支持体11上に、タングステンから成るカ
ソード電極用導電材料層をスパッタリング法にて形成し
た後、リソグラフィ技術及びドライエッチング技術に基
づきカソード電極用導電材料層をパターニングし、その
後、カソード電極用導電材料層の表面に微小凹凸部12
Aを形成し、次いで、被覆層12Bを形成した後、[工
程−610]〜[工程−630]と同様の工程を実行す
ることによって、図48に示す電界放出素子を作製する
こともできる。
【0206】あるいは又、[工程−600]と同様の工
程において、支持体11上に、タングステンから成るカ
ソード電極用導電材料層をスパッタリング法にて形成し
た後、カソード電極用導電材料層の表面に微小凹凸部1
2Aを形成し、次いで、被覆層12Bを形成した後、リ
ソグラフィ技術及びドライエッチング技術に基づき被覆
層12B、カソード電極用導電材料層をパターニングし
た後、[工程−610]〜[工程−630]と同様の工
程を実行することによって、図48に示す電界放出素子
を作製することもできる。
【0207】あるいは又、被覆層を構成する材料とし
て、かかる材料の2次電子利得δがカソード電極を構成
する導電性材料の2次電子利得δよりも大きくなるよう
な材料を適宜選択することもできる。
【0208】尚、図46の(C)に示した平面型電界放
出素子の電子放出部16(カソード電極12の表面)に
被覆層を形成してもよい。この場合には、[工程−63
0]の後、開口部15の底部に露出したカソード電極1
2の表面に被覆層12Bを形成すればよく、あるいは
又、[工程−600]において、例えば、支持体11上
にカソード電極用導電材料層を形成した後、カソード電
極用導電材料層上に被覆層12Bを形成し、次いで、リ
ソグラフィ技術及びドライエッチング技術に基づき、こ
れらの層をパターニングすればよい。
【0209】[クレータ型電界放出素子(その1)]ク
レータ型電界放出素子の模式的な一部断面図を、図52
の(B)に示す。クレータ型電界放出素子においては、
電子を放出する複数の隆起部112Aと、各隆起部11
2Aに囲まれた凹部112Bとを有するカソード電極1
12が、支持体11上に備えられている。尚、絶縁層1
3及びゲート電極14を取り除いた模式的な斜視図を図
51の(B)に示す。
【0210】凹部の形状は特に限定されないが、典型的
には略球面を成す。これは、かかるクレータ型電界放出
素子の製造方法において球体が使用され、凹部112B
が球体の形状の一部を反映して形成されることと関連し
ている。従って、凹部112Bが略球面を成す場合、凹
部112Bを囲む隆起部112Aは円環状となり、この
場合の凹部112Bと隆起部112Aとは、全体として
クレータあるいはカルデラのような形状を呈する。隆起
部112Aは電子を放出する部分であるため、電子放出
効率を高める観点からは、その先端部112Cが先鋭で
あることが特に好ましい。隆起部112Aの先端部11
2Cのプロファイルは、不規則な凹凸を有していても、
あるいは滑らかであってもよい。1画素内における隆起
部112Aの配置は規則的であってもランダムであって
もよい。尚、凹部112Bは、凹部112Bの周方向に
沿って連続した隆起部112Aにより囲まれていてもよ
いし、場合によっては、凹部112Bの周方向に沿って
不連続な隆起部112Aにより囲まれていてもよい。
【0211】このようなクレータ型電界放出素子の製造
方法において、支持体上にストライプ状のカソード電極
を形成する工程は、より具体的には、複数の球体を被覆
したストライプ状のカソード電極を支持体上に形成する
工程と、球体を除去することによって、球体を被覆した
カソード電極の部分を除去し、以て、電子を放出する複
数の隆起部と、各隆起部に囲まれ、且つ、球体の形状の
一部を反映した凹部とを有するカソード電極を形成する
工程、から成る。
【0212】球体の状態変化及び/又は化学変化によっ
て、球体を除去することが好ましい。ここで、球体の状
態変化及び/又は化学変化とは、膨張、昇華、発泡、ガ
ス発生、分解、燃焼、炭化等の変化若しくはこれらの組
合せを意味する。例えば、球体が有機材料から成る場
合、球体を燃焼させることによって除去することが一層
好ましい。尚、球体の除去と球体を被覆するカソード電
極の部分の除去、あるいは、球体の除去と球体を被覆す
るカソード電極、絶縁層及びゲート電極の部分の除去
は、必ずしも同時に起こらなくてもよい。例えば、球体
を被覆するカソード電極の部分、あるいはこれに加えて
絶縁層やゲート電極の部分を除去した後に球体の一部が
残存している場合、残存した球体の除去を後から行えば
よい。
【0213】特に、球体が有機材料から成る場合、球体
を例えば燃焼させると、例えば、一酸化炭素、二酸化炭
素、水蒸気が発生し、球体近傍の閉鎖空間の圧力が高ま
り、球体近傍のカソード電極は或る耐圧限界を超えた時
点で破裂する。この破裂の勢いによって、球体を被覆す
るカソード電極の部分が飛散し、隆起部及び凹部が形成
され、しかも、球体が除去される。あるいは又、球体を
例えば燃焼させると、同様の機構に基づき、カソード電
極と絶縁層とゲート電極は或る耐圧限界を超えた時点で
破裂する。この破裂の勢いによって、球体を被覆するカ
ソード電極と絶縁層とゲート電極の部分が飛散し、隆起
部及び凹部と同時に開口部が形成され、しかも、球体が
除去される。即ち、球体を除去する以前には絶縁層及び
ゲート電極には開口部が存在せず、球体の除去に伴って
開口部が形成される。このとき、球体の燃焼の初期過程
は閉鎖空間内で進行するため、球体の一部は炭化する可
能性もある。球体を被覆するカソード電極の部分の厚さ
を、破裂によって飛散し得る程度に薄くすることが好ま
しい。また、球体を被覆するカソード電極、絶縁層及び
ゲート電極の部分の厚さを、破裂によって飛散し得る程
度に薄くすることが好ましく、特に、絶縁層について
は、球体を被覆していない部分の厚さを球体の直径と同
程度にすることが好適である。
【0214】後述する[クレータ型電界放出素子(その
3)]においても、球体の状態変化及び/又は化学変化
によって球体を除去することができるが、カソード電極
の破裂を伴わないので、外力によって除去を行う方が簡
便な場合もある。また、後述する[クレータ型電界放出
素子(その4)]では、球体を除去する前の時点で既に
開口部が完成されているが、開口部の大きさが球体の直
径よりも大きい場合には、球体を外力によって除去する
ことができる。ここで、外力とは、空気又は不活性ガス
の吹付け圧力、洗浄液の吹付け圧力、磁気吸引力、静電
気力、遠心力等の物理的な力である。尚、[クレータ型
電界放出素子(その3)]あるいは[クレータ型電界放
出素子(その4)]においては、[クレータ型電界放出
素子(その1)]と異なり、球体を被覆する部分のカソ
ード電極、あるいは、場合によっては、更に絶縁層やゲ
ート電極を飛散させる必要がないので、カソード電極、
絶縁層あるいはゲート電極の残渣が発生し難いという利
点がある。
【0215】後述する[クレータ型電界放出素子(その
3)]あるいは[クレータ型電界放出素子(その4)]
で使用される球体は、少なくとも表面が、カソード電
極、構成に依っては絶縁層やゲート電極を構成する材料
の各界面張力(表面張力)に比べて、大きな界面張力を
有する材料から構成されていることが好ましい。これに
より、[クレータ型電界放出素子(その4)]では、カ
ソード電極、絶縁層及びゲート電極は球体の少なくとも
頂部を被覆することがなく、開口部が最初から絶縁層及
びゲート電極に形成された状態が得られる。開口部の直
径がどの程度になるかは、例えば、カソード電極、絶縁
層やゲート電極を構成する材料の厚さと球体の直径との
関係や、カソード電極、絶縁層やゲート電極の形成方
法、カソード電極、絶縁層やゲート電極を構成する材料
の界面張力(表面張力)に依存する。
【0216】後述する[クレータ型電界放出素子(その
3)]あるいは[クレータ型電界放出素子(その4)]
において、球体は、少なくとも表面が界面張力に関する
上述の条件を満たしていればよい。つまり、カソード電
極、絶縁層及びゲート電極の各界面張力よりも大きな界
面張力を有している部分は、球体の表面のみであっても
全体であってもよく、また、球体の表面及び/又は全体
の構成材料は、無機材料、有機材料、あるいは無機材料
と有機材料の組合せのいずれであってもよい。[クレー
タ型電界放出素子(その3)]あるいは[クレータ型電
界放出素子(その4)]において、カソード電極やゲー
ト電極が通常の金属系材料から構成され、絶縁層がガラ
ス等の酸化シリコン系材料から構成される場合、金属系
材料の表面には吸着水分に由来する水酸基、絶縁層の表
面にはSi−O結合のダングリング・ボンドと吸着水分
とに由来する水酸基が存在し、親水性の高い状態にある
のが普通である。従って、疎水性の表面処理層を有する
球体を用いることが、特に有効である。疎水性の表面処
理層の構成材料として、フッ素系樹脂、例えばポリテト
ラフルオロエチレンを挙げることができる。球体が疎水
性の表面処理層を有する場合、疎水性の表面処理層の内
側の部分を芯材と称することにすると、芯材の構成材料
は、ガラス、セラミックス、フッ素系樹脂以外の高分子
材料のいずれであってもよい。
【0217】球体を構成する有機材料は特に限定されな
いが、汎用の高分子材料が好適である。但し、重合度が
極端に大きかったり、多重結合含有量が極端に多い高分
子材料では、燃焼温度が高くなり過ぎ、燃焼による球体
の除去時、カソード電極や絶縁層、ゲート電極に悪影響
が及ぶ虞がある。それ故、これらに対する悪影響が生じ
る虞のない温度にて燃焼若しくは炭化させることが可能
な高分子材料を選択することが好ましい。特に、絶縁層
をガラスペーストのような、後工程において焼成を要す
る材料を用いて形成する場合には、工数をなるべく減少
させる観点から、ガラスペーストの焼成温度にて燃焼若
しくは炭化可能な高分子材料を選択することが好適であ
る。ガラスペーストの典型的な焼成温度は約530゜C
なので、かかる高分子材料の燃焼温度は350〜500
゜C程度であることが好ましい。代表的な高分子材料と
して、スチレン系、ウレタン系、アクリル系、ビニル
系、ジビニルベンゼン系、メラミン系、ホルムアルデヒ
ド系、ポリメチレン系のホモポリマー又は共重合体を挙
げることができる。あるいは又、球体として、支持体上
での確実な配置を確保するために、付着力を有する固着
タイプの球体を使用することもできる。固着タイプの球
体として、アクリル系樹脂から成る球体を例示すること
ができる。
【0218】あるいは又、例えば、塩化ビニリデン・ア
クリロニトリル共重合体を外殻とし、発泡材としてイソ
ブタンを内包し、カプセル化した加熱膨張型マイクロス
フェアを球体として使用することができる。[クレータ
型電界放出素子(その1)]において、かかる加熱膨張
型マイクロスフェアを用い、熱膨張型マイクロスフェア
を加熱すると、外殻のポリマーが軟化し、しかも、内包
されたイソブタンがガス化して膨張する結果、粒径が膨
張前と比較して約4倍程度の真球の中空体が形成され
る。その結果、[クレータ型電界放出素子(その1)]
において、電子を放出する隆起部、及び、隆起部に囲ま
れ、且つ、球体の形状の一部を反映した凹部を、カソー
ド電極に形成することができる。また、かかる凹部や隆
起部に加え、ゲート電極及び絶縁層を貫通した開口部を
形成することもできる。尚、熱膨張型マイクロスフェア
の加熱による膨張も、本明細書においては、球体の除去
という概念に包含する。その後、熱膨張型マイクロスフ
ェアを適切な溶剤を用いて取り除けばよい。
【0219】[クレータ型電界放出素子(その1)]に
おいては、支持体上に複数の球体を配置した後、球体を
被覆するカソード電極を形成すればよい。この場合にお
いては、あるいは又、後述する[クレータ型電界放出素
子(その3)]あるいは[クレータ型電界放出素子(そ
の4)]においては、支持体上への複数の球体の配置方
法として、球体を支持体上に散布する乾式法を挙げるこ
とができる。球体の散布には、例えば、液晶表示装置の
製造分野において、パネル間隔を一定に維持するための
スペーサを散布する技術を応用することができる。具体
的には、圧搾気体で球体をノズルから噴射する、所謂ス
プレーガンを用いることができる。尚、球体をノズルか
ら噴射する際、球体を揮発性の溶剤中に分散させた状態
としてもよい。あるいは、静電粉体塗装の分野で通常使
用されている装置や方法を利用して球体を散布すること
もできる。例えば、コロナ放電を利用して、静電粉体吹
付けガンにより負に帯電させた球体を、接地した支持体
に向かって吹き付けることができる。使用する球体は、
後述するように非常に小さいため、支持体上に散布され
ると支持体の表面に例えば静電気力によって付着し、以
降の工程においても容易に支持体から脱落することはな
い。支持体上に複数の球体の配置した後、球体を加圧す
れば、支持体上の複数の球体の重なりを解消することが
でき、球体を支持体上で単層に密に配置することができ
る。
【0220】あるいは、後述する[クレータ型電界放出
素子(その2)]のように、球体とカソード電極材料と
を分散媒中に分散させて成る組成物から成る組成物層を
支持体上に形成し、以て、支持体上に複数の球体を配置
し、カソード電極材料から成るカソード電極で球体を被
覆した後、分散媒を除去することもできる。組成物の性
状としては、スラリーやペーストが可能であり、これら
の所望の性状に応じ、分散媒の組成や粘度を適宜選択す
ればよい。組成物層を支持体上に形成する方法として
は、スクリーン印刷法が好適である。カソード電極材料
は、典型的には、分散媒中における沈降速度が球体より
も遅い微粒子であることが好適である。かかる微粒子を
構成する材料として、カーボン、バリウム、ストロンチ
ウム、鉄を挙げることができる。分散媒を除去した後、
必要に応じてカソード電極の焼成を行う。組成物層を支
持体上に形成する方法としては、噴霧法、滴下法、スピ
ンコーティング法、スクリーン印刷法を挙げることがで
きる。尚、球体が配置されると共に、カソード電極材料
から成るカソード電極で球体が被覆されるが、組成物層
の形成方法に依っては、かかるカソード電極のパターニ
ングを行う必要がある。
【0221】あるいは、後述する[クレータ型電界放出
素子(その3)]あるいは[クレータ型電界放出素子
(その4)]にあっては、球体を分散媒中に分散させて
成る組成物から成る組成物層を支持体上に形成し、以
て、支持体上に複数の球体を配置した後、分散媒を除去
することができる。組成物の性状としては、スラリーや
ペーストが可能であり、これらの所望の性状に応じ、分
散媒の組成や粘度を適宜選択すればよい。典型的には、
イソプロピルアルコール等の有機溶媒を分散媒として用
い、蒸発により分散媒を除去することができる。組成物
層を支持体上に形成する方法としては、噴霧法、滴下
法、スピンコーティング法、スクリーン印刷法を挙げる
ことができる。
【0222】ところで、ゲート電極とカソード電極は互
いに異なる方向(例えば、ストライプ状のゲート電極の
射影像とストライプ状のカソード電極の射影像とが成す
角度が90度)に延びており、且つ、例えばストライプ
状にパターニングされており、重複領域に位置する隆起
部から電子が放出される。従って、隆起部は、機能上、
重複領域にのみ存在すればよい。但し、たとえ重複領域
以外の領域に隆起部及び凹部が存在していたとしても、
このような隆起部及び凹部は絶縁層に被覆されたまま、
何ら電子を放出するといった機能を果たさない。従っ
て、球体を全面に配置しても何ら問題は生じない。
【0223】これに対して、球体を被覆したカソード電
極、絶縁層及びゲート電極(ゲート電極)の各部分を除
去する場合、個々の球体の配置位置と開口部の形成位置
とが一対一に対応するため、重複領域以外の領域にも開
口部が形成される。以下、重複領域以外の領域に形成さ
れる開口部を「無効開口部」と呼び、電子放出に寄与す
る本来の開口部と区別する。ところで、重複領域以外の
領域に無効開口部が形成されたとしても、この無効開口
部は電界放出素子として何ら機能せず、重複領域に形成
される電界放出素子の動作に何ら悪影響を及ぼさない。
なぜなら、無効開口部の底部に隆起部及び凹部が露出し
ていても、無効開口部の上端部にゲート電極が形成され
ていないからであり、あるいは又、無効開口部の上端部
にゲート電極が形成されていても底部に隆起部及び凹部
が露出していないか、あるいは、無効開口部の底部に隆
起部及び凹部が露出しておらず、しかも、上端部にゲー
ト電極が形成されておらず、単に支持体の表面が露出し
ているか、のいずれかであるからである。従って、球体
を全面に配置しても何ら問題は生じない。尚、重複領域
とそれ以外の領域との境界線上に形成された孔は、開口
部に含まれる。
【0224】球体の直径は、所望の開口部の直径、凹部
の直径、電界放出素子を用いて構成される平面型表示装
置の表示画面寸法、画素数、重複領域の寸法、1画素を
構成すべき電界放出素子の個数に応じて選択することが
できるが、0.1〜10μmの範囲で選択することが好
ましい。例えば、液晶表示装置のスペーサとして市販さ
れている球体は、粒径分布が1〜3%と良好なので、こ
れを利用することが好適である。球体の形状は真球であ
ることが理想的ではあるが、必ずしも真球である必要は
ない。また、電界放出素子の製造方法に依っては、上述
したように、球体の配置された場所に開口部か無効開口
部のいずれかが形成され得るが、支持体上には球体を1
00〜5000個/mm2程度の密度で配置することが
好適である。例えば球体を約1000個/mm2の密度
で支持体上に配置すると、例えば重複領域の寸法を仮に
0.5mm×0.2mmとした場合、この重複領域内に
約100個の球体が存在し、約100個の隆起部が形成
されることになる。1つの重複領域にこの程度の個数の
隆起部が形成されていれば、球体の粒径分布や真球度の
ばらつきに起因する凹部の直径のばらつきはほぼ平均化
され、実用上、1画素(又は1サブピクセル)当たりの
放出電子電流密度や輝度はほぼ均一となる。
【0225】[クレータ型電界放出素子(その1)]あ
るいは後述する[クレータ型電界放出素子(その2)]
〜[クレータ型電界放出素子(その4)]においては、
球体の形状の一部が電子放出部を構成する凹部の形状に
反映される。隆起部の先端部のプロファイルは、不規則
な凹凸を有していても、あるいは滑らかであってもよい
が、特に、[クレータ型電界放出素子(その1)]や
[クレータ型電界放出素子(その2)]においては、こ
の先端部はカソード電極の破断により形成されるため、
隆起部の先端部が不規則形状となり易い。破断により隆
起部に先端部が先鋭化すると、先端部が高効率の電子放
出部として機能し得るので、好都合である。[クレータ
型電界放出素子(その1)]〜[クレータ型電界放出素
子(その4)]においては、凹部を囲む隆起部はいずれ
も概ね円環状となり、この場合の凹部と隆起部とは、全
体としてクレータあるいはカルデラのような形状を呈す
る。
【0226】支持体上における隆起部の配置は規則的で
あってもランダムであってもよく、球体の配置方法に依
存する。上述の乾式法あるいは湿式法を採用した場合、
支持体上における隆起部の配置はランダムとなる。
【0227】[クレータ型電界放出素子(その1)]〜
[クレータ型電界放出素子(その4)]において、絶縁
層の形成後、絶縁層に開口部を形成する場合、隆起部の
先端部に損傷が生じないように、隆起部を得た後、保護
層を形成し、開口部の形成後、保護層を取り除く構成と
することもできる。保護層を構成する材料として、クロ
ムを例示することができる。
【0228】以下、図49〜図52を参照して、[クレ
ータ型電界放出素子(その1)]の電界放出素子の製造
方法を説明するが、図49の(A)、図50の(A)、
図51の(A)模式的な一部端面図であり、図52の
(A)及び(B)は模式的な一部断面図であり、図49
の(B)、図50の(B)及び図51の(B)は、図4
9の(A)、図50の(A)及び図51の(A)よりも
広い範囲を模式的に示す一部斜視図である。
【0229】[工程−800]先ず、複数の球体70を
被覆したカソード電極112を支持体11上に形成す
る。具体的には、先ず、例えばガラス基板から成る支持
体11上の全面に、球体70を配置する。球体70は、
例えばポリメチレン系の高分子材料から成り、平均直径
約5μm、粒径分布1%未満である。球体70を、スプ
レーガンを用い、支持体11上におおよそ1000個/
mm2の密度でランダムに配置する。スプレーガンを用
いた散布は、球体を揮発性溶剤と混合して噴霧する方
式、あるいは粉末状態のままノズルから噴射する方式の
いずれでもよい。配置された球体70は、静電気力で支
持体11上に保持されている。この状態を図49の
(A)及び(B)に示す。
【0230】[工程−810]次に、球体70及び支持
体11上にカソード電極112を形成する。カソード電
極112を形成した状態を、図50の(A)及び(B)
に示す。カソード電極112は、例えばカーボンペース
トをストライプ状にスクリーン印刷することによって形
成することができる。このとき、球体70は支持体11
上の全面に配置されているので、球体70の中には、図
50の(B)に示すように、カソード電極112で被覆
されないものも当然存在する。次に、カソード電極11
2に含まれる水分や溶剤を除去し、且つ、カソード電極
112を平坦化するために、例えば150゜Cにてカソ
ード電極112を乾燥する。この温度では、球体70は
何ら状態変化及び/又は化学変化を起こさない。尚、上
述のようなカーボンペーストを用いたスクリーン印刷に
替えて、カソード電極112を構成するカソード電極用
導電材料層を全面に形成し、このカソード電極用導電材
料層を通常のリソグラフィ技術とドライエッチング技術
を用いてパターニングし、ストライプ状のカソード電極
112を形成することもできる。リソグラフィ技術を適
用する場合、通常、レジスト層をスピンコーティング法
により形成するが、スピンコーティング時の支持体11
の回転数が500rpm程度、回転時間が数秒間程度で
あれば、球体70は脱落したり変位することなく、支持
体11上に保持され得る。
【0231】[工程−820]次に、球体70を除去す
ることによって、球体70を被覆したカソード電極11
2の部分を除去し、以て、電子を放出する複数の隆起部
112Aと、各隆起部112Aに囲まれ、且つ、球体7
0の形状の一部を反映した凹部112Bとを有するカソ
ード電極112を形成する。この状態を、図51の
(A)及び(B)に示す。具体的には、カソード電極1
12の焼成を兼ね、約530゜Cにて加熱を行うことに
より球体70を燃焼させる。球体70の燃焼に伴って球
体70が閉じ込められていた閉鎖空間の圧力が上昇し、
球体70を被覆するカソード電極112の部分が或る耐
圧限界を超えた時点で破裂して除去される。その結果、
支持体11上に形成されたカソード電極112の一部分
に、隆起部112A及び凹部112Bが形成される。
尚、球体を除去した後に、球体の一部分が残渣として残
る場合には、使用する球体を構成する材料にも依るが、
適切な洗浄液を用いて残渣を除去すればよい。
【0232】[工程−830]その後、カソード電極1
12及び支持体11上に絶縁層13を形成する。具体的
には、例えば、ガラスペーストを全面に約5μmの厚さ
にスクリーン印刷する。次に、絶縁層13に含まれる水
分や溶剤を除去し、且つ、絶縁層13を平坦化するため
に、例えば150゜Cにて絶縁層13を乾燥する。上述
のようなガラスペーストを用いたスクリーン印刷に替え
て、例えばプラズマCVD法によりSiO2膜を形成し
てもよい。
【0233】[工程−840]次に、絶縁層13上に、
ストライプ状のゲート電極14を形成する(図52の
(A)参照)。ゲート電極14は、例えばカーボンペー
ストをストライプ状にスクリーン印刷することによって
形成することができる。このときのストライプ状のゲー
ト電極14の射影像の延びる方向は、ストライプ状のカ
ソード電極112の射影像の延びる方向と90度の角度
を成している。次に、ゲート電極14に含まれる水分や
溶剤を除去し、且つ、ゲート電極14を平坦化するため
に、例えば150゜Cにてゲート電極14を乾燥した
後、ゲート電極14及び絶縁層13を構成する材料を焼
成する。尚、カーボンペーストを用いたスクリーン印刷
に替えて、ゲート電極14を構成するゲート電極を絶縁
層13の全面に形成し、次いで、ゲート電極を通常のリ
ソグラフィ技術とドライエッチング技術を用いてパター
ニングしてもよい。
【0234】[工程−850]その後、ゲート電極14
の射影像とカソード電極112の射影像とが重複する重
複領域において、ゲート電極14及び絶縁層13に開口
部15を形成し、以て、開口部15の底部に複数の複数
の隆起部112A及び凹部112Bを露出させる。開口
部15の形成は、通常のリソグラフィ技術によるレジス
トマスクの形成と、レジストマスクを用いたエッチング
により行うことができる。但し、カソード電極112に
対して十分に高いエッチング選択比が確保できる条件で
エッチングを行うことが好ましい。あるいは又、隆起部
112Aを形成した後、例えば、クロムから成る保護層
を形成しておき、開口部15を形成した後、保護層を取
り除くことが好ましい。その後、レジストマスクを除去
する。こうして、図52の(B)に示した電界放出素子
を得ることができる。
【0235】尚、[クレータ型電界放出素子(その
1)]の製造方法の変形例として、[工程−810]の
後、[工程−830]〜[工程−850]を実行し、次
いで、[工程−820]を実行してもよい。この場合、
球体の燃焼とゲート電極14及び絶縁層13を構成する
材料の焼成を同時に行えばよい。
【0236】あるいは又、[工程−810]の後、[工
程−830]を実行し、更に、[工程−840]と同様
の工程において、開口部を有していないストライプ状の
ゲート電極を絶縁層上に形成した後、[工程−820]
を実行する。これによって、球体70を被覆したカソー
ド電極112、絶縁層13及びゲート電極14の各部分
が除去され、以て、ゲート電極14及び絶縁層13を貫
通した開口部が形成されると共に、電子を放出する隆起
部112Aと、隆起部112Aに囲まれ、且つ、球体7
0の形状の一部を反映した凹部112Bとから成る電子
放出部を、開口部の底部に位置するカソード電極112
に形成することができる。即ち、球体70の燃焼に伴っ
て球体70が閉じ込められている閉鎖空間の圧力が上昇
し、球体を被覆する部分のカソード電極112と絶縁層
13とゲート電極14とが或る耐圧限界を超えた時点で
破裂し、隆起部112A及び凹部112Bと同時に開口
部が形成され、しかも、球体70が除去される。開口部
は、ゲート電極14及び絶縁層13を貫通し、且つ、球
体70の形状の一部を反映している。また、開口部の底
部には、電子を放出する隆起部112A、及び、隆起部
112Aに囲まれ、且つ、球体70の形状の一部を反映
した凹部112Bが残る。
【0237】[クレータ型電界放出素子(その2)]次
に、[クレータ型電界放出素子(その2)]の製造方法
を図53を参照して説明するが、支持体11上に複数の
球体70を配置する工程が、球体70とカソード電極材
料とを分散媒中に分散させて成る組成物から成る組成物
層71を支持体11上に形成し、以て、支持体11上に
複数の球体70を配置し、カソード電極材料から成るカ
ソード電極112で球体を被覆した後、分散媒を除去す
る工程から成る、即ち、湿式法から成る点が、[クレー
タ型電界放出素子(その1)]の製造方法と相違する。
【0238】[工程−900]先ず、支持体11上に複
数の球体70を配置する。具体的には、球体70とカソ
ード電極材料71Bとを分散媒71A中に分散させて成
る組成物から成る組成物層71を支持体11上に形成す
る。即ち、例えば、イソプロピルアルコールを分散媒7
1Aとして使用し、平均直径約5μmのポリメチレン系
の高分子材料から成る球体70と、平均直径約0.05
μmのカーボン粒子をカソード電極材料71Bとして分
散媒71A中に分散させて成る組成物を支持体11上に
ストライプ状にスクリーン印刷し、組成物層71を形成
する。図53の(A)には、組成物層71の形成直後の
状態を示す。
【0239】[工程−910]支持体11に保持された
組成物層71中では、間もなく球体70が沈降して支持
体11上に配置されると共に、球体70から支持体11
上に亙ってカソード電極材料71Bが沈降し、カソード
電極材料71Bから成るカソード電極112が形成され
る。これによって、支持体11上に複数の球体70を配
置し、カソード電極材料から成るカソード電極112で
球体70を被覆することができる。この状態を、図53
の(B)に示す。
【0240】[工程−920]その後、分散媒71Aを
例えば蒸発させることによって除去する。この状態を、
図53の(C)に示す。
【0241】[工程−930]次いで、[クレータ型電
界放出素子(その1)]の[工程−820]〜[工程−
850]と同様の工程、あるいは、[クレータ型電界放
出素子(その1)]の製造方法の変形例を実行すること
によって、図52の(B)に示したと同様の電界放出素
子を完成することができる。
【0242】[クレータ型電界放出素子(その3)]次
に、[クレータ型電界放出素子(その3)]の製造方法
を説明するが、支持体上にストライプ状のカソード電極
を形成する工程は、より具体的には、支持体上に複数の
球体を配置する工程と、電子を放出する複数の隆起部
と、各隆起部に囲まれ、且つ、球体の形状の一部を反映
した凹部とを有し、各隆起部が球体の周囲に形成された
カソード電極を、支持体上に設ける工程と、球体を除去
する工程、から成る。支持体上への複数の球体の配置
は、球体の散布によって行う。また、球体は疎水性の表
面処理層を有する。以下、[クレータ型電界放出素子
(その3)]を、図54を参照して説明する。
【0243】[工程−1000]先ず、支持体11上に
複数の球体170を配置する。具体的には、ガラス基板
から成る支持体11上の全面に、複数の球体170を配
置する。この球体170は、例えばジビニルベンゼン系
の高分子材料から成る芯材170Aをポリテトラフルオ
ロエチレン系樹脂から成る表面処理層170Bで被覆し
て成り、平均直径約5μm、粒径分布1%未満である。
球体170を、スプレーガンを用い、支持体11上にお
およそ1000個/mm2の密度でランダムに配置す
る。配置された球体170は、静電気力で支持体11上
に吸着されている。ここまでのプロセスが終了した状態
を、図54の(A)に示す。
【0244】[工程−1010]次に、電子を放出する
複数の隆起部112Aと、各隆起部112Aに囲まれ、
且つ、球体170の形状の一部を反映した凹部112B
とを有し、各隆起部112Aが球体170の周囲に形成
されたカソード電極112を、支持体11上に設ける。
具体的には、[クレータ型電界放出素子(その1)]で
述べたと同様に、例えばカーボンペーストをストライプ
状にスクリーン印刷するが、[クレータ型電界放出素子
(その3)]では、球体170の表面が表面処理層17
0Bにより疎水性を帯びているために、球体170の上
にスクリーン印刷されたカーボンペーストは直ちに弾か
れて落下し、球体170の周囲に堆積して隆起部112
Aが形成される。隆起部112Aの先端部112Cは、
[クレータ型電界放出素子(その1)]の場合ほど先鋭
とはならない。球体170と支持体11との間に入り込
んだカソード電極112の部分が、凹部112Bとな
る。図54の(B)では、カソード電極112と球体1
70との間に隙間が存在するように図示されているが、
カソード電極112と球体170とは接触している場合
もある。その後、カソード電極112を例えば150゜
Cにて乾燥させる。ここまでのプロセスが終了した状態
を、図54の(B)に示す。
【0245】[工程−1020]次に、球体170に外
力を与えることによって、支持体11上から球体170
を除去する。具体的な除去方法としては、洗浄や圧搾気
体の吹付けを挙げることができる。ここまでのプロセス
が終了した状態を、図54の(C)に示す。尚、球体の
除去は、球体の状態変化及び/又は化学変化に基づい
て、より具体的には、例えば、燃焼によって球体を除去
することも可能である。以下に説明する[クレータ型電
界放出素子(その4)]においても同様である。
【0246】[工程−1030]その後、[クレータ型
電界放出素子(その1)]の[工程−830]〜[工程
−850]を実行することによって、図52の(B)に
示したと略同様の電界放出素子を得ることができる。
【0247】尚、[クレータ型電界放出素子(その
3)]の製造方法の変形例として、[工程−1010]
の後、[クレータ型電界放出素子(その1)]の[工程
−830]〜[工程−850]を実行し、次いで、[工
程−1020]を実行してもよい。
【0248】[クレータ型電界放出素子(その4)]次
に、[クレータ型電界放出素子(その4)]の製造方法
を説明するが、この電界放出素子の製造方法において、
支持体上にストライプ状のカソード電極を形成する工程
は、より具体的には、支持体上に複数の球体を配置する
工程と、電子を放出する複数の隆起部と、各隆起部に囲
まれ、且つ、球体の形状の一部を反映した凹部とを有
し、各隆起部が球体の周囲に形成されたカソード電極を
支持体上に設ける工程、から成る。尚、全面に絶縁層を
設ける際、球体の上方に開口部が形成された絶縁層を、
カソード電極及び支持体上に設ける。球体の除去は、開
口部の形成後に行う。[クレータ型電界放出素子(その
4)]の電界放出素子の製造方法においては、支持体上
への複数の球体の配置は、球体の散布によって行う。ま
た、球体は疎水性の表面処理層を有する。以下、[クレ
ータ型電界放出素子(その4)]を、図55及び図56
を参照して説明する。
【0249】[工程−1100]先ず、支持体11上に
複数の球体170を配置する。具体的には、[クレータ
型電界放出素子(その3)]の[工程−1000]と同
様の工程を実行する。
【0250】[工程−1110]その後、電子を放出す
る複数の隆起部112Aと、各隆起部112Aに囲ま
れ、且つ、球体170の形状の一部を反映した凹部11
2Bとを有し、各隆起部112Aが球体170の周囲に
形成されたカソード電極112を、支持体11上に設け
る。具体的には、[クレータ型電界放出素子(その
3)]の[工程−1010]と同様の工程を実行する。
【0251】[工程−1120]次に、球体の上方に開
口部15Aが形成された絶縁層113を、カソード電極
112及び支持体11上に設ける。具体的には、例え
ば、ガラスペーストを全面に約5μmの厚さにスクリー
ン印刷する。ガラスペーストを用いたスクリーン印刷
は、[クレータ型電界放出素子(その1)]と同様に行
うことができるが、球体170の表面が表面処理層17
0Bにより疎水性を帯びているために、球体170の上
にスクリーン印刷されたガラスペーストは直ちに弾かれ
て落下し、自らの表面張力により絶縁層113の球体1
70の上の部分は収縮する。その結果、球体170の頂
部は絶縁層113に覆われることなく、開口部15A内
に露出する。この状態を図55の(A)に示す。図示し
た例では、開口部15Aの上端部の直径は球体170の
直径よりも大きいが、表面処理層170Bの界面張力
が、ガラスペーストの界面張力よりも小さい場合には、
開口部15Aの直径が小さくなる傾向にある。逆に、表
面処理層170Bの界面張力が、ガラスペーストの界面
張力よりも著しく大きい場合には、開口部15Aの直径
は大きくなり易い。その後、絶縁層113を例えば15
0゜Cにて乾燥させる。
【0252】[工程−1130]次に、開口部15Aと
連通する開口部15Bを有するゲート電極114を絶縁
層113上に形成する。具体的には、例えば、カーボン
ペーストをストライプ状にスクリーン印刷する。カーボ
ンペーストを用いたスクリーン印刷は、[クレータ型電
界放出素子(その1)]と同様に行えばよいが、球体1
70の表面が表面処理層170Bにより疎水性を帯びて
いるために、球体170の上にスクリーン印刷されたカ
ーボンペーストは直ちに弾かれて、自らの表面張力によ
り収縮し、絶縁層113の表面のみに付着した状態とな
る。このとき、ゲート電極114は、図示するように、
絶縁層113の開口端部から開口部15A内へ若干回り
込むように形成されることもある。その後、ゲート電極
114を例えば150゜Cにて乾燥させる。ここまでの
プロセスが終了した状態を、図55の(B)に示す。
尚、表面処理層170Bの界面張力が、カーボンペース
トの界面張力よりも小さい場合には、開口部15Aの直
径が小さくなる傾向にある。逆に、表面処理層170B
の界面張力が、カーボンペーストの界面張力よりも著し
く大きい場合には、開口部15Aの直径は大きくなり易
い。
【0253】[工程−1140]次に、開口部15B,
15Aの底部に露出した球体170を除去する。具体的
には、カソード電極112と絶縁層113とゲート電極
114の焼成を兼ね、ガラスペーストの典型的な焼成温
度である約530゜Cにて加熱を行うことにより、球体
170を燃焼させる。このとき、[クレータ型電界放出
素子(その1)]と異なり、絶縁層113及びゲート電
極114には開口部15A,15Bが最初から形成され
ているので、カソード電極112や絶縁層113、ゲー
ト電極114の一部が飛散することはなく、球体170
は速やかに除去される。尚、開口部15A,15Bの上
端部の直径が球体170の直径よりも大きい場合、球体
170を燃焼させなくとも、例えば、洗浄や圧搾気体の
吹付け等の外力によって球体170を除去することが可
能である。ここまでのプロセスが終了した状態を、図5
6の(A)に示す。
【0254】[工程−1150]その後、開口部15A
の側壁面に相当する絶縁層113の一部を等方的にエッ
チングすると、図56の(B)に示す電界放出素子を完
成することができる。ここでは、ゲート電極114の端
部が下方を向いているが、このことは、開口部15内の
電界強度を高める上で好ましい。
【0255】[エッジ型電界放出素子]エッジ型電界放
出素子の模式的な一部断面図を図57の(A)に示す。
このエッジ型電界放出素子は、支持体11上に形成され
たストライプ状のカソード電極212と、支持体11及
びカソード電極212上に形成された絶縁層13と、絶
縁層13上に形成されたストライプ状のゲート電極14
から構成されており、開口部15がゲート電極14及び
絶縁層13に設けられている。開口部15の底部にはカ
ソード電極212のエッジ部212Aが露出している。
カソード電極212及びゲート電極14に電圧を印加す
ることによって、カソード電極212のエッジ部212
Aから電子が放出される。
【0256】尚、図57の(B)に示すように、開口部
15内のカソード電極212の下の支持体11に凹部1
1Aが形成されていてもよい。あるいは又、模式的な一
部断面図を図57の(C)に示すように、支持体11上
に形成された第1のゲート電極14Aと、支持体11及
び第1のゲート電極14A上に形成された第1の絶縁層
13Aと、第1の絶縁層13A上に形成されたカソード
電極212と、第1の絶縁層13A及びカソード電極2
12に形成された第2の絶縁層13Bと、第2の絶縁層
13B上に形成された第2のゲート電極14Bから構成
することもできる。そして、開口部15が、第2のゲー
ト電極14B、第2の絶縁層13B、カソード電極21
2及び第1の絶縁層13Aに設けられており、開口部1
5の側壁にはカソード電極212のエッジ部212Aが
露出している。カソード電極212並びに第1のゲート
電極14A、第2のゲート電極14Bに電圧を印加する
ことによって、カソード電極212のエッジ部212A
から電子が放出される。
【0257】例えば、図57の(C)に示したエッジ型
電界放出素子の製造方法を、支持体等の模式的な一部端
面図である図58を参照して、以下、説明する。
【0258】[工程−1200]先ず、例えばガラス基
板から成る支持体11の上に、スパッタリング法により
厚さ約0.2μmのタングステン膜を成膜し、通常の手
順に従ってフォトリソグラフィ技術及びドライエッチン
グ技術によりこのタングステン膜をパターニングし、第
1のゲート電極14Aを形成する。次に、全面に、Si
2から成る厚さ0.3μmの第1の絶縁層13Aを形
成した後、第1の絶縁層13Aの上にタングステンから
成るストライプ状のカソード電極212を形成する(図
58の(A)参照)。
【0259】[工程−1210]その後、全面に、例え
ばSiO2から成る厚さ0.7μmの第2の絶縁層13
Bを形成し、次いで、第2の絶縁層13B上にストライ
プ状の第2のゲート電極14Bを形成する(図58の
(B)参照)。第2のゲート電極14Bの構成材料や厚
さについては、第1のゲート電極14Aと同じであって
もよいし、異なっていてもよい。
【0260】[工程−1220]次に、全面にレジスト
層67を形成した後、レジスト層67に第2のゲート電
極14Bの表面を一部露出させるようにレジスト開口部
67Aを形成する。レジスト開口部67Aの平面形状は
矩形である。矩形の長辺はおおよそ100μm、短辺は
数μm〜10μmである。続いて、レジスト開口部67
Aの底面に露出した第2のゲート電極14Bを例えばR
IE法により異方的にエッチングし、開口部を形成す
る。次に、開口部の底面に露出した第2の絶縁層13B
を等方的にエッチングし、開口部を形成する(図58の
(C)参照)。第2の絶縁層13BをSiO2を用いて
形成しているので、緩衝化フッ酸水溶液を用いたウェッ
トエッチングを行う。第2の絶縁層13Bに形成された
開口部の壁面は、第2のゲート電極14Bに形成された
開口部の開口端面よりも後退するが、このときの後退量
はエッチング時間の長短により制御することができる。
ここでは、第2の絶縁層13Bに形成された開口部の下
端が、第2のゲート電極14Bに形成された開口部の開
口端面よりも後退するまで、ウェットエッチングを行
う。
【0261】次に、開口部の底面に露出したカソード電
極212を、イオンを主エッチング種とする条件により
ドライエッチングする。イオンを主エッチング種とする
ドライエッチングでは、被エッチング物へのバイアス電
圧の印加やプラズマと磁界との相互作用を利用して荷電
粒子であるイオンを加速することができるため、一般に
は異方性エッチングが進行し、被エッチング物の加工面
は垂直壁となる。しかし、この工程では、プラズマ中の
主エッチング種の中にも垂直以外の角度を有する入射成
分が若干存在すること、及び開口部の端部における散乱
によってもこの斜め入射成分が生ずることにより、カソ
ード電極212の露出面の中で、本来であれば開口部に
よって遮蔽されてイオンが到達しないはずの領域にも、
ある程度の確率で主エッチング種が入射する。このと
き、支持体11の法線に対する入射角の小さい主エッチ
ング種ほど入射確率は高く、入射角の大きい主エッチン
グ種ほど入射確率は低い。
【0262】従って、カソード電極212に形成された
開口部の上端部の位置は、第2の絶縁層13Bに形成さ
れた開口部の下端部とほぼ揃っているものの、カソード
電極212に形成された開口部の下端部の位置はその上
端部よりも突出した状態となる。つまり、カソード電極
212のエッジ部212Aの厚さが、突出方向の先端部
に向けて薄くなり、エッジ部212Aが先鋭化される。
例えば、エッチング・ガスとしてSF6を用いることに
より、カソード電極212の良好な加工を行うことがで
きる。
【0263】次に、カソード電極212に形成された開
口部の底面に露出した第1の絶縁層13Aを等方的にエ
ッチングし、第1の絶縁層13Aに開口部を形成し、開
口部15を完成させる。ここでは、緩衝化フッ酸水溶液
を用いたウェットエッチングを行う。第1の絶縁層13
Aに形成された開口部の壁面は、カソード電極212に
形成された開口部の下端部よりも後退する。このときの
後退量はエッチング時間の長短により制御可能である。
開口部15の完成後にレジスト層67を除去すると、図
57の(C)に示した構成を得ることができる。
【0264】[スピント型電界放出素子:製造方法の変
形−1]先に、[スピント型電界放出素子]にて説明し
たスピント型電界放出素子の製造方法の変形例を、以
下、支持体等の模式的な一部端面図である図59〜図6
1を参照して説明するが、このスピント型電界放出素子
(図62参照)は、基本的には、以下の工程に基づき作
製される。即ち、 (a)支持体11上にカソード電極12を形成する工程 (b)カソード電極12上を含む支持体11上に絶縁層
13を形成する工程 (c)絶縁層13上にゲート電極14を形成する工程 (d)底部にカソード電極12が露出した開口部15
を、少なくとも絶縁層13に形成する工程 (e)開口部15内を含む全面に電子放出部形成用の導
電材料層81を形成する工程 (f)開口部15の中央部に位置する導電材料層81の
領域を遮蔽するように、マスク材料層82を導電材料層
81上に形成する工程 (g)導電材料層81の支持体11に対して垂直な方向
におけるエッチング速度がマスク材料層82の支持体1
1に対して垂直な方向におけるエッチング速度よりも速
くなる異方性エッチング条件下で導電材料層81とマス
ク材料層82とをエッチングすることにより、導電材料
層81から成り、先端部が錐状形状を有する電子放出電
極16Eを開口部15内に露出したカソード電極12上
に形成する工程
【0265】[工程−1300]先ず、例えばガラス基
板上に厚さ約0.6μmのSiO2層を形成して成る支
持体11上に、クロム(Cr)から成るカソード電極1
2を設ける。具体的には、支持体11上に、例えばスパ
ッタリング法やCVD法にてクロムから成るカソード電
極用導電材料層を堆積させ、かかるカソード電極用導電
材料層をパターニングすることによって、複数のカソー
ド電極12を形成することができる。カソード電極12
の幅を例えば50μm、カソード電極12の間のスペー
スを例えば30μmとする。その後、全面に、具体的に
は、カソード電極12及び支持体11上に、原料ガスと
してTEOS(テトラエトキシシラン)を使用するプラ
ズマCVD法にてSiO2から成る絶縁層13を形成す
る。絶縁層13の厚さを約1μmとする。次に、絶縁層
13上の全面に、カソード電極12と直交する方向に平
行に延びるストライプ状のゲート電極14を形成する。
【0266】次に、ストライプ状のカソード電極12と
ストライプ状のゲート電極14との重複領域、即ち、1
画素領域において、ゲート電極14と絶縁層13とを貫
通する開口部15を形成する。開口部15の平面形状
は、例えば、直径0.3μmの円形である。開口部15
は、通常、1画素領域(1重複領域)に数百乃至千個程
度形成される。開口部15を形成するには、通常のフォ
トリソグラフィ技術により形成されたレジスト層をマス
クとして、先ず、ゲート電極14に開口部15を形成
し、続いて、絶縁層13に開口部15を形成する。RI
E終了後、レジスト層をアッシングにより除去する(図
59の(A)参照)。
【0267】[工程−1310]次に、全面に密着層8
0をスパッタリング法にて形成する(図59の(B)参
照)。この密着層80は、ゲート電極が形成されていな
い領域や開口部15の側壁面に露出している絶縁層13
と、次の工程で全面的に成膜される導電材料層81との
間の密着性を高めるために設けられる層である。導電材
料層81をタングステンで形成することを前提とし、タ
ングステンから成る密着層80を、DCスパッタリング
法により0.07μmの厚さに形成する。
【0268】[工程−1320]次に、開口部15内を
含む全面に、厚さ約0.6μmのタングステンから成る
電子放出部形成用の導電材料層81を水素還元減圧CV
D法により形成する(図60の(A)参照)。成膜され
た導電材料層81の表面には、開口部15の上端面と底
面との間の段差を反映した凹部81Aが形成される。
【0269】[工程−1330]次に、開口部15の中
央部に位置する導電材料層81の領域(具体的には凹部
81A)を遮蔽するようにマスク材料層82を形成す
る。具体的には、先ず、ピンコート法により厚さ0.3
5μmのレジスト層をマスク材料層82として導電材料
層81の上に形成する(図60の(B)参照)。マスク
材料層82は、導電材料層81の凹部81Aを吸収し、
ほぼ平坦な表面となる。次に、マスク材料層82を酸素
系ガスを用いたRIE法によりエッチングする。このエ
ッチングを、導電材料層81の平坦面が露出した時点で
終了する。これにより、導電材料層81の凹部81Aを
平坦に埋め込むようにマスク材料層82が残る(図61
の(A)参照)。
【0270】[工程−1340]次に、導電材料層81
とマスク材料層82と密着層80とをエッチングし、円
錐形状の電子放出電極16Eを形成する(図61の
(B)参照)。これらの層のエッチングは、導電材料層
81のエッチング速度がマスク材料層82のエッチング
速度よりも速くなる異方性エッチング条件下で行う。エ
ッチング条件を以下の表2に例示する。
【0271】[表2] [導電材料層81等のエッチング条件] SF6流量 :150SCCM O2流量 :30SCCM Ar流量 :90SCCM 圧力 :35Pa RFパワー:0.7kW(13.56MHz)
【0272】[工程−1350]その後、等方的なエッ
チング条件にて開口部15の内部において絶縁層13に
設けられた開口部15の側壁面を後退させると、図62
に示す電界放出素子が完成される。等方的なエッチング
は、ケミカルドライエッチングのようにラジカルを主エ
ッチング種として利用するドライエッチング、あるい
は、エッチング液を利用するウェットエッチングにより
行うことができる。エッチング液として、例えば49%
フッ酸水溶液と純水の1:100(容積比)混合液を用
いることができる。
【0273】ここで、[工程−1340]において、電
子放出電極16Eが形成される機構について、図63を
参照して説明する。図63の(A)は、エッチングの進
行に伴って、被エッチング物の表面プロファイルが一定
時間毎にどのように変化するかを示す模式図であり、図
63の(B)は、エッチング時間と開口部15の中心に
おける被エッチング物の厚さとの関係を示すグラフであ
る。開口部15の中心におけるマスク材料層の厚さをh
p、開口部15の中心における電子放出電極16Eの高
さをheとする。
【0274】表2に示したエッチング条件では、レジス
ト材料から成るマスク材料層82のエッチング速度より
も、導電材料層81のエッチング速度の方が当然速い。
マスク材料層82が存在しない領域では、導電材料層8
1が直ぐにエッチングされ始め、被エッチング物の表面
が速やかに下降してゆく。これに対して、マスク材料層
82が存在する領域では、最初にマスク材料層82が除
去されないとその下の導電材料層81のエッチングが始
まらないので、マスク材料層82がエッチングされてい
る間は被エッチング物の厚さの減少速度は遅く(hp
少区間)、マスク材料層82が消失した時点で初めて、
被エッチング物の厚さの減少速度がマスク材料層82の
存在しない領域と同様に速くなる(he減少区間)。he
減少区間の開始時期は、マスク材料層82が厚さが最大
となる開口部15の中心で最も遅く、マスク材料層82
の薄い開口部15の周辺に向かって早くなる。このよう
にして、円錐形状の電子放出電極16Eが形成される。
【0275】レジスト材料から成るマスク材料層82の
エッチング速度に対する導電材料層81のエッチング速
度の比を、「対レジスト選択比」と称することにする。
この対レジスト選択比が、電子放出電極16Eの高さと
形状を決定する重要な因子であることを、図64を参照
して説明する。図64の(A)は、対レジスト選択比が
相対的に小さい場合、図64の(C)は、対レジスト選
択比が相対的に大きい場合、図64の(B)はこれらの
中間である場合の、電子放出電極16Eの形状を示して
いる。対レジスト選択比が大きいほど、マスク材料層8
2の膜減りに比べて導電材料層81の膜減りが激しくな
るので、電子放出電極16Eはより高く、且つ鋭くなる
ことが判る。対レジスト選択比は、SF6流量に対する
2流量の割合を高めると低下する。また、基板バイア
スを併用してイオンの入射エネルギーを変化させること
が可能なエッチング装置を用いる場合には、RFバイア
スパワーを高めたり、バイアス印加用の交流電源の周波
数を下げることで、対レジスト選択比を下げることがで
きる。対レジスト選択比の値は1.5以上、好ましくは
2以上、より好ましくは3以上に選択される。
【0276】尚、上記のエッチングにおいては当然、ゲ
ート電極14やカソード電極12に対して高い選択比を
確保する必要があるが、表2に示した条件で全く問題は
ない。なぜなら、ゲート電極14やカソード電極12を
構成する材料は、フッ素系のエッチング種では殆どエッ
チングされず、上記の条件であれば、概ね10以上のエ
ッチング選択比が得られるからである。
【0277】[スピント型電界放出素子:製造方法の変
形−2]スピント型電界放出素子の製造方法の変形−2
は、スピント型電界放出素子の製造方法の変形−1の変
形である。製造方法の変形−2においては、マスク材料
層により遮蔽される導電材料層の領域を、製造方法の変
形−1におけるよりも狭くすることが可能である。即
ち、製造方法の変形−2においては、開口部の上端面と
底面との間の段差を反映して、柱状部とこの柱状部の上
端に連通する拡大部とから成る略漏斗状の凹部を導電材
料層の表面に生成させ、工程(f)において、導電材料
層の全面にマスク材料層を形成した後、マスク材料層と
導電材料層とを支持体の表面に対して平行な面内で除去
することにより、柱状部にマスク材料層を残す。
【0278】以下、スピント型電界放出素子の製造方法
の変形−2を、支持体等の模式的な一部端面図である図
65〜図67を参照して説明する。
【0279】[工程−1400]先ず、支持体11上に
カソード電極12を形成する。カソード電極12を含む
カソード電極用導電材料層は、例えばDCスパッタリン
グ法により、TiN層(厚さ0.1μm)、Ti層(厚
さ5nm)、Al−Cu層(厚さ0.4μm)、Ti層
(厚さ5nm)、TiN層(厚さ0.02μm)及びT
i層(0.02μm)をこの順に積層して積層膜を形成
し、続いてこの積層膜をストライプ状にパターニングし
て形成する。尚、図ではカソード電極12を単層で表し
た。次に、全面に、具体的には、支持体11とカソード
電極12の上に、厚さ0.7μmの絶縁層13を、TE
OS(テトラエトキシシラン)を原料ガスとするプラズ
マCVD法に基づき形成する。次いで、絶縁層13の上
にストライプ状のゲート電極14を形成する。
【0280】更に、全面に例えば SiO2から成る厚さ
0.2μmのエッチング停止層83を形成する。エッチ
ング停止層83は、電界放出素子の機能上不可欠な部材
ではなく、後工程で行われる導電材料層81のエッチン
グ時に、ゲート電極14を保護する役割を果たす。尚、
導電材料層81のエッチング条件に対してゲート電極1
4が十分に高いエッチング耐性を持ち得る場合には、エ
ッチング停止層83を省略しても構わない。その後、R
IE法により、エッチング停止層83、ゲート電極1
4、絶縁層13を貫通し、底部にカソード電極12が露
出した開口部15を形成する。このようにして、図65
の(A)に示す状態が得られる。
【0281】[工程−1410]次に、開口部15内を
含む全面に、例えば厚さ0.03μmのタングステンか
ら成る密着層80を形成する(図65の(B)参照)。
次いで、開口部15内を含む全面に電子放出部形成用の
導電材料層81を形成する。但し、製造方法の変形−2
における導電材料層81は、製造方法の変形−1で述べ
た凹部81Aよりも深い凹部81Aが表面に生成される
ように、導電材料層81の厚さを選択する。即ち、導電
材料層81の厚さを適切に設定することによって、開口
部15の上端面と底面との間の段差を反映して、柱状部
81Bとこの柱状部81Bの上端に連通する拡大部81
Cとから成る略漏斗状の凹部81Aを導電材料層81の
表面に生成させることができる。
【0282】[工程−1420]次に、導電材料層81
の全面に、例えば無電解メッキ法により、厚さ約0.5
μmの銅(Cu)から成るマスク材料層82を形成する
(図66の(A)参照)。無電解メッキ条件を以下の表
3に例示する。
【0283】 [表3] メッキ液 :硫酸銅(CuSO4・5H2O) 7g/リットル ホルマリン(37%HCHO) 20ml/リットル 水酸化ナトリウム(NaOH) 10g/リットル 酒石酸ナトリウムカリウム 20g/リットル メッキ浴温度:50゜C
【0284】[工程−1430]その後、マスク材料層
82と導電材料層81とを支持体11の表面に対して平
行な面内で除去することにより、柱状部81Bにマスク
材料層82を残す(図66の(B)参照)。この除去
は、例えば化学的機械的研磨法(CMP法)により行う
ことができる。
【0285】[工程−1440]次に、導電材料層81
と密着層80のエッチング速度がマスク材料層82のエ
ッチング速度よりも速くなる異方性エッチング条件下
で、導電材料層81とマスク材料層82と密着層80と
をエッチングする。その結果、開口部15内に錐状形状
を有する電子放出電極16Eが形成される(図67の
(A)参照)。尚、電子放出電極16Eの先端部にマス
ク材料層82が残存する場合には、希フッ酸水溶液を用
いたウェットエッチングによりマスク材料層82を除去
することができる。
【0286】[工程−1450]次に、等方的なエッチ
ング条件で開口部15の内部において絶縁層13に設け
られた開口部15の側壁面を後退させると、図67の
(B)に示す電界放出素子が完成される。このとき、エ
ッチング停止層83も除去される。等方的なエッチング
については、製造方法の変形−1で説明したと同様とす
ればよい。
【0287】ところで、製造方法の変形−2で形成され
た電子放出電極16Eにおいては、製造方法の変形−1
で形成された電子放出電極16Eに比べ、より鋭い錐状
形状が達成されている。これは、マスク材料層82の形
状と、マスク材料層82のエッチング速度に対する導電
材料層81のエッチング速度の比の違いに起因する。こ
の違いについて、図68を参照しながら説明する。図6
8は、被エッチング物の表面プロファイルが一定時間毎
にどのように変化するかを示す図であり、図68の
(A)は銅から成るマスク材料層82を用いた場合、図
68の(B)はレジスト材料から成るマスク材料層82
を用いた場合をそれぞれ示す。尚、簡略化のために導電
材料層81のエッチング速度と密着層80のエッチング
速度とをそれぞれ等しいものと仮定し、図68において
は密着層80の図示を省略する。
【0288】銅から成るマスク材料層82を用いた場合
(図68の(A)参照)は、マスク材料層82のエッチ
ング速度が導電材料層81のエッチング速度に比べて十
分に遅いために、エッチング中にマスク材料層82が消
失することがなく、従って、先端部の鋭い電子放出電極
16Eを形成することができる。これに対して、レジス
ト材料から成るマスク材料層82を用いた場合(図68
の(B)参照)は、マスク材料層82のエッチング速度
が導電材料層81のエッチング速度に比べてそれ程遅く
ないために、エッチング中にマスク材料層82が消失し
易く、従って、マスク材料層消失後の電子放出電極16
Eの錐状形状が鈍化する傾向がある。
【0289】また、柱状部81Bに残るマスク材料層8
2には、柱状部81Bの深さが多少変化しても、電子放
出電極16Eの形状は変化し難いというメリットもあ
る。即ち、柱状部81Bの深さは、導電材料層81の厚
さやステップカバレージのばらつきによって変化し得る
が、柱状部81Bの幅は深さによらずほぼ一定なので、
マスク材料層82の幅もほぼ一定となり、最終的に形成
される電子放出電極16Eの形状には大差が生じない。
これに対して、凹部81Aに残るマスク材料層82にお
いては、凹部81Aが浅い場合と深い場合とでマスク材
料層の幅も変化してしまうため、凹部81Aが浅くマス
ク材料層82の厚さが薄い場合ほど、より早期に電子放
出電極16Eの錐状形状の鈍化が始まる。電界放出素子
の電子放出効率は、ゲート電極とカソード電極との間の
電位差、ゲート電極とカソード電極との間の距離、電子
放出部の構成材料の仕事関数の他、電子放出部の先端部
の形状によっても変化する。このため、必要に応じて上
述のようにマスク材料層の形状やエッチング速度を選択
することが好ましい。
【0290】[スピント型電界放出素子:製造方法の変
形−3]製造方法の変形−3は、製造方法の変形−2の
変形である。製造方法の変形−3においては、工程
(e)において、開口部の上端面と底面との間の段差を
反映して、柱状部とこの柱状部の上端に連通する拡大部
とから成る略漏斗状の凹部を導電材料層の表面に生成さ
せ、工程(f)において、導電材料層の全面にマスク材
料層を形成した後、導電材料層上と拡大部内のマスク材
料層を除去することにより、柱状部にマスク材料層を残
す。以下、スピント型電界放出素子の製造方法の変形−
3を、支持体等の模式的な一部端面図である図69及び
図70を参照して説明する。
【0291】[工程−1500]先ず、図66の(A)
に示したマスク材料層82の形成までを製造方法の変形
−2の[工程−1400]〜[工程−1420]と同様
に行った後、導電材料層81上と拡大部81C内のマス
ク材料層82のみを除去することにより、柱状部81B
にマスク材料層82を残す(図69の(A)参照)。こ
のとき、例えば希フッ酸水溶液を用いたウェットエッチ
ングを行うことにより、タングステンから成る導電材料
層81を除去することなく、銅から成るマスク材料層8
2のみを選択的に除去することができる。柱状部81B
内に残るマスク材料層82の高さは、エッチング時間に
依存するが、このエッチング時間は、拡大部81Cに埋
め込まれたマスク材料層82の部分が十分に除去される
限りにおいて、それ程の厳密さを要しない。なぜなら、
マスク材料層82の高低に関する議論は、図68の
(A)を参照しながら前述した柱状部81Bの浅深に関
する議論と実質的に同じであり、マスク材料層82の高
低は最終的に形成される電子放出電極16Eの形状に大
きな影響を及ぼさないからである。
【0292】[工程−1510]次に、導電材料層81
とマスク材料層82と密着層80のエッチングを、製造
方法の変形−2と同様に行い、図69の(B)に示すよ
うな電子放出電極16Eを形成する。この電子放出電極
16Eは、図67の(A)に示したように全体が錐状形
状を有していても勿論構わないが、図69の(B)には
先端部のみが錐状形状を有する変形例を示した。かかる
形状は、柱状部81Bに埋め込まれたマスク材料層82
の高さが低いか、若しくは、マスク材料層82のエッチ
ング速度が比較的速い場合に生じ得るが、電子放出電極
16Eとしての機能に何ら支障はない。
【0293】[工程−1520]その後、等方的なエッ
チング条件で開口部15の内部において絶縁層13に設
けられた開口部15の側壁面を後退させると、図70に
示す電界放出素子が完成される。等方的なエッチングに
ついては、製造方法の変形−1で説明したと同様とすれ
ばよい。
【0294】[スピント型電界放出素子:製造方法の変
形−4]製造方法の変形−4は、製造方法の変形−1の
変形である。製造方法の変形−4にて製造されたスピン
ト型電界放出素子の模式的な一部端面図を図71に示
す。製造方法の変形−4が製造方法の変形−1と異なる
点は、電子放出部が、基部84と、基部84上に積層さ
れた錐状の電子放出電極16Eとから構成されている点
にある。ここで、基部84と電子放出電極16Eとは異
なる導電材料から構成されている。具体的には、基部8
4は、電子放出電極16Eとゲート電極14の開口端部
との間の距離を調節するための部材であり、且つ、抵抗
体層としての機能を有し、不純物を含有するポリシリコ
ン層から構成されている。電子放出電極16Eはタング
ステンから構成されており、錐状形状、より具体的には
円錐形状を有する。尚、基部84と電子放出電極16E
との間には、TiNから成る密着層80が形成されてい
る。尚、密着層80は、電子放出部の機能上不可欠な構
成要素ではなく、製造上の理由で形成されている。絶縁
層13がゲート電極14の直下から基部84の上端部に
かけてえぐられることにより、開口部15が形成されて
いる。
【0295】以下、製造方法の変形−4を、支持体等の
模式的な一部端面図である図72〜図74を参照して説
明する。
【0296】[工程−1600]先ず、開口部15の形
成までを、製造方法の変形−1の[工程−1300]と
同様に行う。続いて、開口部15内を含む全面に基部形
成用の導電材料層84Aを形成する。導電材料層84A
は、抵抗体層としても機能し、ポリシリコン層から構成
され、プラズマCVD法により形成することができる。
次いで、全面に、スピンコート法にてレジスト層から成
る平坦化層85を表面が略平坦となるように形成する
(図72の(A)参照)。次に、平坦化層85と導電材
料層84Aのエッチング速度が共に略等しくなる条件で
両層をエッチングし、開口部15の底部を上面が平坦な
基部84で埋め込む(図72の(B)参照)。エッチン
グは、塩素系ガスと酸素系ガスとを含むエッチングガス
を用いたRIE法により行うことができる。導電材料層
84Aの表面を平坦化層85で一旦平坦化してからエッ
チングを行っているので、基部84の上面が平坦とな
る。
【0297】[工程−1610]次に、開口部15の残
部を含む全面に密着層80を成膜し、更に、開口部15
の残部を含む全面に電子放出部形成用の導電材料層81
を成膜し、開口部15の残部を導電材料層81で埋め込
む(図73の(A)参照)。密着層80は、スパッタリ
ング法により形成される厚さ0.07μmのTiN層で
あり、導電材料層81は減圧CVD法により形成される
厚さ0.6μmのタングステン層である。導電材料層8
1の表面には、開口部15の上端面と底面との間の段差
を反映して凹部81Aが形成されている。
【0298】[工程−1620]次に、導電材料層81
の全面に、スピンコート法によりレジスト層から成るマ
スク材料層82を表面が略平坦となるように形成する
(図73の(B)参照)。マスク材料層82は、導電材
料層81の表面の凹部81Aを吸収して平坦な表面とな
っている。次に、マスク材料層82を酸素系ガスを用い
たRIE法によりエッチングする(図74の(A)参
照)。このエッチングは、導電材料層81の平坦面が露
出した時点で終了する。これにより、導電材料層81の
凹部81Aにマスク材料層82が平坦に残され、マスク
材料層82は、開口部15の中央部に位置する導電材料
層81の領域を遮蔽するように形成されている。
【0299】[工程−1630]次に、製造方法の変形
−1の[工程−1340]と同様にして、導電材料層8
1、マスク材料層82及び密着層80を共にエッチング
すると、前述の機構に基づき対レジスト選択比の大きさ
に応じた円錐形状を有する電子放出電極16Eと密着層
80とが形成され、電子放出部が完成される(図74の
(B)参照)。その後、開口部15の内部において絶縁
層13に設けられた開口部15の側壁面を後退させる
と、図71に示した電界放出素子を得ることができる。
【0300】[スピント型電界放出素子:製造方法の変
形−5]製造方法の変形−5は、製造方法の変形−2の
変形である。製造方法の変形−5にて製造されるスピン
ト型電界放出素子の模式的な一部端面図を図76の
(B)に示す。製造方法の変形−5が製造方法の変形−
2と異なる点は、電子放出部が、製造方法の変形−4と
同様に、基部84と、基部84上に積層された錐状の電
子放出電極16Eとから構成されている点にある。ここ
で、基部84と電子放出電極16Eとは異なる導電材料
から構成されている。具体的には、基部84は、電子放
出電極16Eとゲート電極14の開口端部との間の距離
を調節するための部材であり、且つ、抵抗体層としての
機能を有し、不純物を含有するポリシリコン層から構成
されている。電子放出電極16Eはタングステンから構
成されており、錐状形状、より具体的には円錐形状を有
する。尚、基部84と電子放出電極16Eとの間には、
TiNから成る密着層80が形成されている。尚、密着
層80は、電子放出部の機能上不可欠な構成要素ではな
く、製造上の理由で形成されている。絶縁層13がゲー
ト電極14の直下から基部84の上端部にかけてえぐら
れることにより、開口部15が形成されている。
【0301】以下、製造方法の変形−5を、支持体等の
模式的な一部端面図である図75及び図76を参照して
説明する。
【0302】[工程−1700]先ず、開口部15の形
成までを、製造方法の変形−1の[工程−1300]と
同様に行う。次に、開口部15内を含む全面に基部形成
用の導電材料層を形成し、導電材料層をエッチングする
ことによって、開口部15の底部を埋め込む基部84を
形成することができる。尚、図示される基部84は平坦
化された表面を有しているが、表面が窪んでいてもよ
い。尚、平坦化された表面を有する基部84は、製造方
法の変形−4の[工程−1600]と同様のプロセスに
よって形成可能である。更に、開口部15の残部を含む
全面に、密着層80、及び電子放出部形成用の導電材料
層81を順次形成する。このとき、開口部15の残部の
上端面と底面との間の段差を反映した柱状部81Bとこ
の柱状部81Bの上端に連通する拡大部81Cとから成
る略漏斗状の凹部81Aが導電材料層81の表面に生成
されるように、導電材料層81の厚さを選択する。次
に、導電材料層81上にマスク材料層82を形成する。
このマスク材料層82は、例えば銅を用いて形成する。
図75の(A)は、ここまでのプロセスが終了した状態
を示している。
【0303】[工程−1710]次に、マスク材料層8
2と導電材料層81とを支持体11の表面に対して平行
な面内で除去することにより、柱状部81Bにマスク材
料層82を残す(図75の(B)参照)。この除去は、
製造方法の変形−2の[工程−1430]と同様に、化
学的機械的研磨法(CMP法)により行うことができ
る。
【0304】[工程−1720]次に、導電材料層81
とマスク材料層82と密着層80とをエッチングする
と、前述の機構に基づき対レジスト選択比の大きさに応
じた円錐形状を有する電子放出電極16Eが形成され
る。これらの層のエッチングは、製造方法の変形−2の
[工程−1440]と同様に行うことができる。電子放
出電極16Eと基部84、及び、電子放出電極16Eと
基部84の間に残存する密着層80とによって、電子放
出部が形成される。電子放出部は、全体が錐状形状を有
していても勿論構わないが、図76の(A)には基部8
4の一部が開口部15の底部を埋め込むように残存した
状態を示した。かかる形状は、柱状部81Bに埋め込ま
れたマスク材料層82の高さが低いか、若しくは、マス
ク材料層82のエッチング速度が比較的速い場合に生じ
得るが、電子放出部としての機能に何ら支障はない。
【0305】[工程−1730]その後、等方的なエッ
チング条件で開口部15の内部において絶縁層13の側
壁面を後退させると、図76の(B)に示した電界放出
素子が完成される。等方的なエッチング条件は、製造方
法の変形−1で説明したと同様とすればよい。
【0306】[スピント型電界放出素子:製造方法の変
形−6]製造方法の変形−6は、製造方法の変形−3の
変形である。製造方法の変形−6が製造方法の変形−3
と異なる点は、電子放出部が、製造方法の変形−4と同
様に、基部84と、基部84上に積層された錐状の電子
放出電極16Eとから構成されている点にある。以下、
製造方法の変形−6を、支持体等の模式的な一部端面図
である図77を参照して説明する。
【0307】[工程−1800]マスク材料層82の形
成までを製造方法の変形−5の[工程−1700]と同
様に行う。その後、導電材料層81上と拡大部81C内
のマスク材料層82のみを除去することにより、柱状部
81Bにマスク材料層82を残す(図77参照)。例え
ば希フッ酸水溶液を用いたウェットエッチングを行い、
タングステンから成る導電材料層81を除去することな
く、銅から成るマスク材料層82のみを選択的に除去す
ることができる。この後の導電材料層81とマスク材料
層82のエッチング、絶縁層13の等方的なエッチング
等のプロセスは、全て、製造方法の変形−5と同様に行
うことができる。
【0308】[平面型電界放出素子(その3)]平面型
電界放出素子(その3)は、先に説明した平面型電界放
出素子(その1)の変形である。平面型電界放出素子
(その3)が平面型電界放出素子(その1)と相違する
点は、第4の構造を有している点にある。即ち、平面型
電界放出素子(その3)は、(A)支持体11上に配設
された、絶縁材料から成る帯状のスペーサ、(B)複数
の開口部315が形成された帯状材料層314Aから成
るゲート電極314、並びに、(C)電子放出部、から
成り、スペーサの頂面に接するように、且つ、電子放出
部の上方に開口部315が位置するように帯状材料層3
14Aが張架されている。帯状材料層314Aは、スペ
ーサの頂面に、熱硬化性接着剤(例えばエポキシ系接着
剤)にて固定されている。あるいは又、図78に、支持
体11の端部近傍の模式的な一部断面図を示すように、
ストライプ状の帯状材料層314Aの両端部は、支持体
11の周辺部に固定されている構造とすることもでき
る。より具体的には、例えば、支持体11の周辺部に突
起部316を予め形成しておき、この突起部316の頂
面に帯状材料層314Aを構成する材料と同じ材料の薄
膜317を形成しておく。そして、ストライプ状の帯状
材料層314Aを張架した状態で、かかる薄膜317
に、例えばレーザを用いて溶接する。尚、突起部316
は、例えば、スペーサの形成と同時に形成することがで
きる。
【0309】以下、平面型電界放出素子(その3)の製
造方法の一例を説明する。
【0310】[工程−1900]先ず、平面型電界放出
素子(その1)の[工程−600]と同様にして、支持
体11上に、第1の方向に延びるストライプ状のカソー
ド電極用導電材料層から構成されたカソード電極12
(Crから成る)を形成する。
【0311】[工程−1910]次いで、平面型電界放
出素子(その1)の[工程−610]と同様にして、全
面に絶縁層13を形成する。その後、リソグラフィ技術
及びエッチング技術を用いて絶縁層13に開口部15を
形成する。あるいは、例えば、スクリーン印刷法にて、
絶縁層13を形成する際、併せて、開口部15を形成し
てもよい。こうして、開口部15の底部に電子放出部に
相当するカソード電極12の表面を露出させることがで
きる。ここで、絶縁層13がスペーサに相当する。
【0312】[工程−1320]その後、複数の開口部
315が形成されたストライプ状の帯状材料層314A
を、開口部315が電子放出部の上方に位置するよう
に、ゲート電極支持部あるいはスペーサである絶縁層1
3によって支持された状態に配設し、しかも、第1の方
向とは異なる第2の方向にストライプ状の帯状材料層3
14Aを配置し、以て、ストライプ状の帯状材料層31
4Aから構成され、複数の開口部315を有するゲート
電極314を電子放出部の上方に位置させる。
【0313】尚、このようなゲート電極の形成方法は、
上述した各種の電界放出素子の製造に対して適用するこ
とができる。
【0314】[平面型電界放出素子(その4)]平面型
電界放出素子(その4)は、平面型電界放出素子(その
3)の変形である。平面型電界放出素子(その4)は、
図79の(A)に模式的な一部断面図を示すように、平
面型電界放出素子(その3)と異なり、カソード電極1
2とカソード電極12との間に隔壁313(スペーサに
相当する)が設けられている。カソード電極12、帯状
材料層314A及びゲート電極314、並びに、隔壁3
13の模式的な配置図を、図79の(B)に示す。
【0315】そして、帯状材料層314Aは、隔壁31
3の頂面に、熱硬化性接着剤(例えばエポキシ系接着
剤)にて固定されている。あるいは又、図78に模式的
な一部断面図を示したと同様に、ストライプ状の帯状材
料層314Aの両端部は、支持体11の周辺部に固定さ
れている構造とすることもできる。より具体的には、例
えば、支持体11の周辺部に突起部316を予め形成し
ておき、この突起部316の頂面に帯状材料層314A
を構成する材料と同じ材料の薄膜317を形成してお
く。そして、ストライプ状の帯状材料層314Aを張架
した状態で、かかる薄膜317に、例えばレーザを用い
て溶接する。
【0316】平面型電界放出素子(その4)は、例え
ば、以下に説明する製造方法にて製造することができ
る。
【0317】[工程−2000]先ず、支持体11上に
スペーサ(ゲート電極支持部)を構成する隔壁313
を、例えば、サンドブラスト法に基づき形成する。
【0318】[工程−2010]その後、支持体11上
に電子放出部を形成する。具体的には、全面に、スピン
コーティング法にてレジスト材料から成るマスク層を形
成し、隔壁313と隔壁313との間のカソード電極を
形成すべき領域の部分のマスク層を除去する。その後、
平面型電界放出素子(その1)の[工程−600]と同
様にして、クロム(Cr)から成るカソード電極用導電
材料層をスパッタリング法にて全面に形成した後、マス
ク層を除去する。これによって、マスク層上に形成され
たカソード電極用導電材料層も除去され、隔壁313と
隔壁313との間に、電子放出部として機能するカソー
ド電極12が残される。
【0319】[工程−2020]その後、複数の開口部
315が形成されたストライプ状の帯状材料層314A
を、複数の開口部315が電子放出部の上方に位置する
ように、スペーサである隔壁313によって支持された
状態に配設し、以て、ストライプ状の帯状材料層314
Aから構成され、複数の開口部315を有するゲート電
極314を電子放出部の上方に位置させる。ストライプ
状の帯状材料層314Aの配設方法は、上述のとおりと
すればよい。
【0320】尚、このようなゲート電極の形成方法は、
上述した各種の電界放出素子の製造に対して適用するこ
とができる。
【0321】平面型電界放出素子(その3)あるいは平
面型電界放出素子(その4)における開口部315の平
面形状は円形に限定されない。帯状材料層314Aに設
けられた開口部315の形状の変形例を図80の
(A)、(B)、(C)及び(D)に例示する。
【0322】[電界放出素子とシールド部材との組合
せ]本発明の第3の態様に係る平面型表示装置における
電子放出部16及びシールド部材40の模式的な一部端
面図を図81に例示する。図81に示した例において
は、ゲート電極14及び絶縁層13の上に第2の絶縁層
43が形成され、第2の絶縁層43の上にシールド部材
40が形成されている。シールド部材40は、収束電極
としての機能も有する。シールド部材40及び第2の絶
縁層43には、開口部15と連通した開口部44が設け
られている。尚、スピント型電界放出素子を例示した
が、電界放出素子はこれに限定するものではなく、上述
した各種の電界放出素子を用いることができる。
【0323】このようなシールド部材40が組み合わさ
れた電界放出素子は、実質的に、ゲート電極14及び絶
縁層13の上に第2の絶縁層43を形成した後、第2の
絶縁層43の上にシールド部材40を形成し、次いで、
シールド部材40及び第2の絶縁層43に開口部44を
形成する工程を、上述の各種の電界放出素子の製造方法
の工程に含ませることによって製造することができるの
で、詳細な説明は省略する。尚、シールド部材のパター
ニングに依存して、1又は複数の電子放出部、あるい
は、1又は複数の画素に対応するシールド部材ユニット
が集合した形式のシールド部材とすることもでき、ある
いは又、有効領域を1枚のシート状の導電材料で被覆し
た形式のシールド部材とすることもできる。
【0324】尚、シールド部材は、このような方法にて
形成するだけでなく、例えば、厚さ数十μmの42%N
i−Feアロイから成る金属板の両面に、例えばSiO
2から成る絶縁膜を形成した後、各画素に対応した領域
にパンチングやエッチングすることによって開口部44
を形成することによってシールド部材を作製することも
できる。そして、第1パネル、金属板、第2パネルを積
み重ね、両パネルの外周部に枠体を配置し、加熱処理を
施すことによって、金属板の一方の面形成された絶縁膜
と絶縁層13とを接着させ、金属板の他方の面に形成さ
れた絶縁膜と第2パネルとを接着し、これらの部材を一
体化させ、その後、真空封入することで、平面型表示装
置を完成させることもできる。
【0325】以上、本発明を、発明の実施の形態に基づ
き説明したが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。発明の実施の形態にて説明した各種電子放出部遮断
回路やアノード電極遮断回路、シールド部材遮断回路の
回路構成、平面型表示装置や冷陰極電界電子放出素子の
構造、構成は例示であり、適宜変更することができる
し、平面型表示装置や冷陰極電界電子放出素子の製造方
法も例示であり、適宜変更することができる。平面型表
示装置として、本発明の第1の態様に係る平面型表示装
置、本発明の第2の態様に係る平面型表示装置、本発明
の第3の態様に係る平面型表示装置のみならず、本発明
の第1の態様に係る平面型表示装置と本発明の第2の態
様に係る平面型表示装置の組合せ、本発明の第1の態様
に係る平面型表示装置と本発明の第3の態様に係る平面
型表示装置の組合せ、本発明の第2の態様に係る平面型
表示装置と本発明の第3の態様に係る平面型表示装置の
組合せ、本発明の第1の態様に係る平面型表示装置と本
発明の第2の態様に係る平面型表示装置と本発明の第3
の態様に係る平面型表示装置の組合せを挙げることがで
きる。
【0326】例えば、図1や図4に示した第1の構成の
平面型表示装置における電子放出部遮断回路に、図5に
示したダイオード(D13,D23,D33)を組み込んでも
よい。また、図1や図4に示した第1の構成の平面型表
示装置における電子放出部遮断回路と、図6に示した第
2の構成の平面型表示装置における電子放出部遮断回路
を組み合わせることによって、第3の構成の平面型表示
装置における電子放出部遮断回路を得ることもできる。
【0327】更には、冷陰極電界電子放出素子の製造に
おいて使用した各種材料も例示であり、適宜変更するこ
とができる。冷陰極電界電子放出素子においては、専ら
1つの開口部に1つの電子放出部(電子放出電極)が対
応する形態を説明したが、冷陰極電界電子放出素子の構
造に依っては、1つの開口部に複数の電子放出部(電子
放出電極)が対応した形態、あるいは、複数の開口部に
1つの電子放出部(電子放出電極)が対応する形態とす
ることもできる。あるいは又、ゲート電極に複数の開口
部を設け、絶縁層にかかる複数の開口部に連通した1つ
の開口部を設け、1又は複数の電子放出部を設ける形態
とすることもできる。
【0328】ゲート電極を、有効領域を1枚のシート状
の導電材料(開口部を有する)で被覆した形式のゲート
電極とすることもできる。この場合には、かかるゲート
電極に正の電圧VG-SL(例えば160ボルト)を印加す
る。そして、各画素を構成する電子放出部と第2の駆動
回路(カソード電極駆動回路)との間に、例えば、TF
Tから成るスイッチング素子を設け、かかるスイッチン
グ素子の作動によって、各画素を構成する電子放出部へ
の印加状態を制御し、画素の発光状態を制御する。尚、
複数の画素を1単位とし(例えば、1列の画素)、かか
る1単位の画素を構成する電子放出部と第2の駆動回路
(カソード電極駆動回路)との間に電子放出部遮断回路
を設ける構成とすることもできる。
【0329】あるいは又、カソード電極を、有効領域を
1枚のシート状の導電材料で被覆した形式のカソード電
極とすることもできる。この場合には、かかるカソード
電極に電圧VC-SL(例えば0ボルト)を印加する。そし
て、各画素を構成する電子放出部と第1の駆動回路(ゲ
ート電極駆動回路)との間に、例えば、TFTから成る
スイッチング素子を設け、かかるスイッチング素子の作
動によって、各画素を構成する電子放出部への印加状態
を制御し、画素の発光状態を制御する。尚、複数の画素
を1単位とし(例えば、1列の画素)、かかる1単位の
画素を構成する電子放出部と第2の駆動回路(ゲート電
極駆動回路)との間に電子放出部遮断回路を設ける構成
とすることもできる。
【0330】表面伝導型電子放出素子と通称される素子
から電子放出部を構成することもできる。この表面伝導
型電子放出素子は、例えばガラスから成る支持体上に酸
化錫(SnO2)、金(Au)、酸化インジウム(In2
3)/酸化錫(SnO2)、カーボン、酸化パラジウム
(PdO)等の導電材料から成り、微小面積を有し、所
定の間隔(ギャップ)を開けて配された一対の電極がマ
トリクス状に形成されて成る。それぞれの電極の上には
炭素薄膜が形成されている。そして、一対の電極の内の
一方の電極に行方向配線が接続され、一対の電極の内の
他方の電極に列方向配線が接続された構成を有する。一
対の電極に電圧を印加することによって、ギャップを挟
んで向かい合った炭素薄膜に電界が加わり、炭素薄膜か
ら電子が放出される。かかる電子をアノードパネル上の
蛍光体層に衝突させることによって、蛍光体層が励起さ
れて発光し、所望の画像を得ることができる。尚、行方
向配線及び/又は列方向配線と、電子放出部駆動回路の
間に電子放出部遮断回路を設ければよい。あるいは又、
一対の電極の上方に設けられたゲート電極と電子放出部
駆動回路の間に電子放出部遮断回路を設ければよい。
【0331】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明においては、電子放出部駆動回路と電子放出部との間
に電子放出部遮断回路を設けることによって、あるいは
又、アノード電極駆動回路とアノード電極との間にアノ
ード電極遮断回路を設けることによって、あるいは又、
シールド部材印加回路とシールド部材との間にシールド
部材遮断回路を設けることによって、大規模な放電のト
リガーとなる放電現象そのものを防止するのではなく、
小規模な放電が発生しても大規模な放電へと成長するこ
とを効果的に防止することができる。その結果、カソー
ド電極やアノード電極、ゲート電極、電子放出部の損傷
発生、あるいは又、電子放出部駆動回路やアノード電極
駆動回路、シールド部材印加手段の損傷発生を効果的に
抑制することが可能となり、平面型表示装置の長寿命化
を達成することができる。しかも、平面型表示装置の初
期動作段階で多発する放電による損傷発生を抑制するこ
とができる結果、平面型表示装置のエージング処理を行
い易くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明の実施の形態1における第1の構造の平面
型表示装置の概念図である。
【図2】発明の実施の形態1におけるゲート電極及びカ
ソード電極の電位の変化、電子放出部遮断回路の動作状
態を模式的に示す図である。
【図3】発明の実施の形態1における第1の構造の平面
型表示装置の模式的な一部端面図である。
【図4】発明の実施の形態1における第1の構造の平面
型表示装置の変形例の概念図である。
【図5】発明の実施の形態1における第1の構造の平面
型表示装置の別の変形例の概念図である。
【図6】発明の実施の形態2における第2の構造の平面
型表示装置の概念図である。
【図7】発明の実施の形態2におけるゲート電極及びカ
ソード電極の電位の変化、電子放出部遮断回路の動作状
態を模式的に示す図である。
【図8】発明の実施の形態2における第2の構造の平面
型表示装置の模式的な一部端面図である。
【図9】発明の実施の形態3における第3の構造の平面
型表示装置の概念図である。
【図10】発明の実施の形態3におけるゲート電極及び
カソード電極の電位の変化、電子放出部遮断回路の動作
状態を模式的に示す図である。
【図11】発明の実施の形態3における第3の構造の平
面型表示装置の模式的な一部端面図である。
【図12】発明の実施の形態3における第3の構造の平
面型表示装置の変形例の概念図である。
【図13】発明の実施の形態3における第3の構造の平
面型表示装置の別の変形例の概念図である。
【図14】発明の実施の形態3における第3の構造の平
面型表示装置の更に別の変形例の概念図である。
【図15】発明の実施の形態4における第1の構造の平
面型表示装置の概念図である。
【図16】発明の実施の形態4における第1の構造の平
面型表示装置の変形例の概念図である。
【図17】発明の実施の形態4における第1の構造の平
面型表示装置の別の変形例の概念図である。
【図18】発明の実施の形態5における第2の構造の平
面型表示装置の変形例の概念図である。
【図19】発明の実施の形態5における第2の構造の平
面型表示装置の別の変形例の概念図である。
【図20】発明の実施の形態6における第3の構造の平
面型表示装置の概念図である。
【図21】放電が生じているときのアノード電流、カソ
ード電流の変化を模式的に示す図である。
【図22】発明の実施の形態6における第3の構造の平
面型表示装置の変形例の概念図である。
【図23】発明の実施の形態6における第3の構造の平
面型表示装置の別の変形例の概念図である。
【図24】発明の実施の形態7の平面型表示装置の概念
図である。
【図25】発明の実施の形態7の平面型表示装置の変形
例の概念図である。
【図26】発明の実施の形態7の平面型表示装置の別の
変形例の概念図である。
【図27】発明の実施の形態7の平面型表示装置の更に
別の変形例の概念図である。
【図28】発明の実施の形態7の平面型表示装置におい
て、タイマーの有無によるアノード電極の電位及びアノ
ード電流の変化を模式的に示す図である。
【図29】発明の実施の形態8の平面型表示装置の概念
図である。
【図30】発明の実施の形態8の平面型表示装置の変形
例の概念図である。
【図31】発明の実施の形態8の平面型表示装置の別の
変形例の概念図である。
【図32】発明の実施の形態9の平面型表示装置の概念
図である。
【図33】発明の実施の形態9の平面型表示装置におい
て、放電の発生に基づく各部位における電位の変化を模
式的に示す図である。
【図34】発明の実施の形態9の平面型表示装置の変形
例の概念図である。
【図35】発明の実施の形態9の平面型表示装置の別の
変形例の概念図である。
【図36】スピント型電界放出素子から成る第1の構造
を有する電界放出素子の製造方法を説明するための支持
体等の模式的な一部端面図である。
【図37】図36に引き続き、スピント型電界放出素子
から成る第1の構造を有する電界放出素子の製造方法を
説明するための支持体等の模式的な一部端面図である。
【図38】第2パネル(アノードパネル)の製造方法の
一例を説明するための基板等の模式的な一部端面図であ
る。
【図39】クラウン型電界放出素子から成る第1の構造
を有する電界放出素子の製造方法を説明するための支持
体等の模式的な一部端面図である。
【図40】図39に引き続き、クラウン型電界放出素子
から成る第1の構造を有する電界放出素子の製造方法を
説明するための支持体等の模式的な一部端面図である。
【図41】図40に引き続き、クラウン型電界放出素子
から成る第1の構造を有する電界放出素子の製造方法を
説明するための支持体等の模式的なな一部端面図、及
び、部分的な斜視図である。
【図42】扁平型電界放出素子から成る第1の構造を有
する電界放出素子の製造方法を説明するための支持体等
の模式的な一部断面図である。
【図43】扁平型電界放出素子から成る第1の構造を有
する電界放出素子の変形例の製造方法を説明するための
支持体等の模式的な一部断面図である。
【図44】扁平型電界放出素子から成る第1の構造を有
する電界放出素子の別の変形例の製造方法を説明するた
めの支持体等の模式的な一部端面図である。
【図45】図44に引き続き、扁平型電界放出素子から
成る第1の構造を有する電界放出素子の別の変形例の製
造方法を説明するための支持体等の模式的な一部端面図
である。
【図46】平面型電界放出素子から成る第2の構造を有
する電界放出素子の製造方法を説明するための支持体等
の模式的な一部断面図である。
【図47】平面型電界放出素子から成る第2の構造を有
する電界放出素子の変形例の模式的な一部断面図であ
る。
【図48】平面型電界放出素子から成る第2の構造を有
する電界放出素子の別の変形例の模式的な一部断面図で
ある。
【図49】平面型電界放出素子から成る第2の構造を有
する電界放出素子の更に別の変形例の製造方法を説明す
るための支持体等の模式的な一部端面図、及び、部分的
な斜視図である。
【図50】図49に引き続き、平面型電界放出素子から
成る第2の構造を有する電界放出素子の更に別の変形例
の製造方法を説明するための支持体等の模式的な一部端
面図、及び、部分的な斜視図である。
【図51】図50に引き続き、平面型電界放出素子から
成る第2の構造を有する電界放出素子の更に別の変形例
の製造方法を説明するための支持体等の模式的な一部端
面図、及び、部分的な斜視図である。
【図52】図51に引き続き、平面型電界放出素子から
成る第2の構造を有する電界放出素子の更に別の変形例
の製造方法を説明するための支持体等の模式的な一部断
面図である。
【図53】平面型電界放出素子から成る第2の構造を有
する電界放出素子の更に別の変形例の製造方法を説明す
るための支持体等の模式的な一部断面図である。
【図54】平面型電界放出素子から成る第2の構造を有
する電界放出素子の更に別の変形例の製造方法を説明す
るための支持体等の模式的な一部端面図である。
【図55】平面型電界放出素子から成る第2の構造を有
する電界放出素子の更に別の変形例の製造方法を説明す
るための支持体等の模式的な一部端面図である。
【図56】図55に引き続き、平面型電界放出素子から
成る第2の構造を有する電界放出素子の更に別の変形例
の製造方法を説明するための支持体等の模式的な一部端
面図である。
【図57】エッジ型電界放出素子から成る第3の構造を
有する電界放出素子の模式的な一部断面図である。
【図58】エッジ型電界放出素子から成る第3の構造を
有する電界放出素子の一例の製造方法を説明するための
支持体等の模式的な一部端面図である。
【図59】図62に示すスピント型電界放出素子を製造
するための、[スピント型電界放出素子:製造方法の変
形−1]を説明するための支持体等の模式的な一部端面
図である。
【図60】図59に引き続き、図62に示すスピント型
電界放出素子を製造するための、[スピント型電界放出
素子:製造方法の変形−1]を説明するための支持体等
の模式的な一部端面図である。
【図61】図60に引き続き、図62に示すスピント型
電界放出素子を製造するための、[スピント型電界放出
素子:製造方法の変形−1]を説明するための支持体等
の模式的な一部端面図である。
【図62】[スピント型電界放出素子:製造方法の変形
−1]にて得られるスピント型電界放出素子の模式的な
一部端面図である。
【図63】円錐形状の電子放出部が形成される機構を説
明するための図である。
【図64】対レジスト選択比と、電子放出部の高さと形
状の関係を模式的に示す図である。
【図65】[スピント型電界放出素子:製造方法の変形
−2]を説明するための支持体等の模式的な一部端面図
である。
【図66】図65に引き続き、[スピント型電界放出素
子:製造方法の変形−2]を説明するための支持体等の
模式的な一部端面図である。
【図67】図66に引き続き、[スピント型電界放出素
子:製造方法の変形−2]を説明するための支持体等の
模式的な一部端面図である。
【図68】被エッチング物の表面プロファイルが一定時
間毎にどのように変化するかを示す図である。
【図69】[スピント型電界放出素子:製造方法の変形
−3]を説明するための支持体等の模式的な一部端面図
である。
【図70】図69に引き続き、[スピント型電界放出素
子:製造方法の変形−3]を説明するための支持体等の
模式的な一部端面図である。
【図71】[スピント型電界放出素子:製造方法の変形
−4]にて製造されるスピント型電界放出素子の模式的
な一部端面図である。
【図72】[スピント型電界放出素子:製造方法の変形
−4]を説明するための支持体等の模式的な一部端面図
である。
【図73】図72に引き続き、[スピント型電界放出素
子:製造方法の変形−4]を説明するための支持体等の
模式的な一部端面図である。
【図74】図73に引き続き、[スピント型電界放出素
子:製造方法の変形−4]を説明するための支持体等の
模式的な一部端面図である。
【図75】[スピント型電界放出素子:製造方法の変形
−5]を説明するための支持体等の模式的な一部端面図
である。
【図76】図75に引き続き、[スピント型電界放出素
子:製造方法の変形−5]を説明するための支持体等の
模式的な一部端面図である。
【図77】[スピント型電界放出素子:製造方法の変形
−6]を説明するための支持体等の模式的な一部端面図
である。
【図78】[平面型電界放出素子(その3)]の模式的
な一部端面図である。
【図79】[平面型電界放出素子(その4)]の模式的
な一部端面図である。
【図80】ゲート電極の有する複数の開口部を示す模式
的な平面図である。
【図81】本発明の第3の態様に係る平面型表示装置に
おける電子放出部及びシールド部材の模式的な一部端面
図である。
【図82】従来の冷陰極電界電子放出表示装置の代表的
な構成例を示す図である。
【図83】第1パネル及び第2パネルの一部分の模式的
な分解斜視図である。
【図84】従来の冷陰極電界電子放出表示装置における
問題点を説明するための図である。
【図85】選択ゲート電極と選択カソード電極の電位を
模式的に示す図である。
【図86】放電が生じたときの、選択ゲート電極におけ
る電位の変化を模式的に示す図である。
【符号の説明】
10・・・第1パネル(カソードパネル)、11・・・
支持体、11A・・・凹部、12,112,212・・
・カソード電極、112A・・・隆起部、112B・・
・凹部、112C・・・先端部、212A・・・エッジ
部、13,13A,13B,113,313・・・絶縁
層、14,14A,14B,114,314・・・ゲー
ト電極、15,15A,15B,44,315・・・開
口部、16・・・電子放出部、16A,16B,16
C,16D,16E・・・電子放出電極、17・・・剥
離層、18・・・導電体層、20・・・第2パネル(ア
ノードパネル)、21・・・基板、22,22R,22
G,22B・・・蛍光体層、23・・・ブラックマトリ
クス、24・・・アノード電極、31・・・第1の駆動
回路(ゲート電極駆動回路)、32,32A,32B,
32C,35,35A,35B,35C・・・電子放出
部遮断回路、33,36・・・共通線、34・・・第2
の駆動回路(カソード電極駆動回路)、37・・・アノ
ード電極駆動回路、38,38A,38B・・・アノー
ド電極遮断回路、40・・・シールド部材、41・・・
シールド部材印加手段、42,42A,42B,42C
・・・シールド部材遮断回路、43・・・第2の絶縁
層、60・・・剥離層、61・・・導電性組成物層、6
2・・・抵抗体層、63・・・炭素薄膜選択成長領域、
64・・・マスク層、65・・・金属粒子、66・・・
炭素薄膜、67・・・レジスト層、67A・・・レジス
ト開口部、70,170・・・球体、170A・・・芯
材、170B・・・表面処理層、71・・・組成物層、
71A・・・分散媒、71B・・・カソード電極材料、
80・・・密着層、81・・・導電材料層、81A・・
・凹部、81B・・・柱状部、81C・・・拡大部、8
2・・・マスク材料層、83・・・エッチング停止層、
84・・・基部、84A・・・導電材料層、85・・・
平坦化層、314A・・・帯状材料層、316・・・突
起部、317・・・薄膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01J 29/04 H01J 31/12 C 31/12 1/30 F Fターム(参考) 5C031 DD17 5C036 EF01 EF06 EF08 EG02 EG12 EG46 EH04 5C080 AA18 BB05 DD18 DD29 JJ02 JJ03 JJ04 JJ05 JJ06

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電子放出部を有する第1パネルと、電子照
    射面を有する第2パネルと、電子放出部を駆動するため
    の電子放出部駆動回路とを具備する平面型表示装置であ
    って、 電子放出部と電子照射面との間の放電を防止するため
    に、電子放出部と電子放出部駆動回路との間に電子放出
    部遮断回路が設けられていることを特徴とする平面型表
    示装置。
  2. 【請求項2】電子放出部遮断回路には第1の所定の電位
    (VPD1)が印加され、電子放出部遮断回路に接続され
    た電子放出部の部分の電位が電子放出部と電子照射面と
    の間に放電によって第2の所定の電位(VPD2)となっ
    たとき、第1の所定の電位と第2の所定の電位の電位差
    (VPD2−VPD1)に応じて電子放出部遮断回路が動作す
    ることを特徴とする請求項1に記載の平面型表示装置。
  3. 【請求項3】電子放出部駆動回路の破壊電圧をV
    COLAPSE、出力電圧の最大値をVOUT-MAXとしたとき、|
    OUT-MAX−VPD1|<VCOLAPSEを満足することを特徴
    とする請求項2に記載の平面型表示装置。
  4. 【請求項4】ストライプ状のゲート電極と、 ストライプ状のゲート電極の延びる方向とは異なる方向
    に延びるストライプ状のカソード電極、とを有し、 電子放出部は、ストライプ状のゲート電極の射影像と、
    ストライプ状のカソード電極の射影像の重複する重複領
    域に位置しており、 電子放出部駆動回路は、ゲート電極に接続された第1の
    駆動回路と、カソード電極に接続された第2の駆動回路
    とから構成され、 第1の駆動回路は、電子放出部遮断回路を介してゲート
    電極に接続されていることを特徴とする請求項1に記載
    の平面型表示装置。
  5. 【請求項5】ストライプ状のゲート電極と、 ストライプ状のゲート電極の延びる方向とは異なる方向
    に延びるストライプ状のカソード電極、とを有し、 電子放出部は、ストライプ状のゲート電極の射影像と、
    ストライプ状のカソード電極の射影像の重複する重複領
    域に位置しており、 電子放出部駆動回路は、ゲート電極に接続された第1の
    駆動回路と、カソード電極に接続された第2の駆動回路
    とから構成され、 第2の駆動回路は、電子放出部遮断回路を介してカソー
    ド電極に接続されていることを特徴とする請求項1に記
    載の平面型表示装置。
  6. 【請求項6】電子放出部と電子照射面との間に放電が生
    じていない場合には、電子放出部遮断回路は不動作状態
    にあり、電子放出部と電子照射面との間に放電が生じた
    とき、電子放出部遮断回路が動作することを特徴とする
    請求項4又は請求項5に記載の平面型表示装置。
  7. 【請求項7】ストライプ状のゲート電極と、 ストライプ状のゲート電極の延びる方向とは異なる方向
    に延びるストライプ状のカソード電極、とを有し、 電子放出部は、ストライプ状のゲート電極の射影像と、
    ストライプ状のカソード電極の射影像の重複する重複領
    域に位置しており、 電子放出部駆動回路は、ゲート電極に接続された第1の
    駆動回路と、カソード電極に接続された第2の駆動回路
    とから構成され、 電子放出部遮断回路は、ゲート電極と第1の駆動回路と
    の間に設けられた第1の遮断回路と、カソード電極と第
    2の駆動回路との間に設けられた第2の遮断回路とから
    構成されていることを特徴とする請求項1に記載の平面
    型表示装置。
  8. 【請求項8】電子放出部と電子照射面との間に放電が生
    じていない場合には、第1及び第2の遮断回路は不動作
    状態にあり、電子放出部と電子照射面との間に放電が生
    じたとき、第1の遮断回路が動作し、第1の遮断回路の
    動作に基づき第2の遮断回路が動作することを特徴とす
    る請求項7に記載の平面型表示装置。
  9. 【請求項9】第1パネルは複数の冷陰極電界電子放出素
    子を備え、 各冷陰極電界電子放出素子は、 (イ)支持体と、 (ロ)支持体上に設けられたカソード電極と、 (ハ)支持体及びカソード電極上に形成された絶縁層
    と、 (ニ)絶縁層上に設けられたゲート電極と、 (ホ)ゲート電極及び絶縁層を貫通する開口部と、 (ヘ)開口部の底部に位置するカソード電極の部分の上
    に設けられた電子放出電極、 から成り、 開口部の底部に露出した電子放出電極が電子放出部に相
    当することを特徴とする請求項4、請求項5及び請求項
    7のいずれか1項に記載の平面型表示装置。
  10. 【請求項10】第1パネルは複数の冷陰極電界電子放出
    素子を備え、 各冷陰極電界電子放出素子は、 (イ)支持体と、 (ロ)支持体上に設けられたカソード電極と、 (ハ)支持体及びカソード電極上に形成された絶縁層
    と、 (ニ)絶縁層上に設けられたゲート電極と、 (ホ)ゲート電極及び絶縁層を貫通し、底部にカソード
    電極が露出した開口部、 から成り、 開口部の底部に露出したカソード電極の部分が電子放出
    部に相当することを特徴とする請求項4、請求項5及び
    請求項7のいずれか1項に記載の平面型表示装置。
  11. 【請求項11】第1パネルは複数の冷陰極電界電子放出
    素子を備え、 各冷陰極電界電子放出素子は、 (イ)支持体と、 (ロ)支持体の上方に設けられ、エッジ部を有するカソ
    ード電極と、 (ハ)少なくともカソード電極上に形成された絶縁層
    と、 (ニ)絶縁層上に設けられたゲート電極と、 (ホ)少なくともゲート電極及び絶縁層を貫通する開口
    部、 から成り、 開口部の底部若しくは側壁に露出したカソード電極のエ
    ッジ部が電子放出部に相当することを特徴とする請求項
    4、請求項5及び請求項7のいずれか1項に記載の平面
    型表示装置。
  12. 【請求項12】第2パネルは、基板、蛍光体層及びアノ
    ード電極から成ることを特徴とする請求項1に記載の平
    面型表示装置。
  13. 【請求項13】アノード電極駆動回路を更に備え、 電子放出部と電子照射面との間の放電を防止するため
    に、アノード電極とアノード電極駆動回路との間にアノ
    ード電極遮断回路が設けられていることを特徴とする請
    求項12に記載の平面型表示装置。
  14. 【請求項14】電子放出部を有する第1パネルと、蛍光
    体層及びアノード電極から成る電子照射面を有する第2
    パネルと、アノード電極を駆動するためのアノード電極
    駆動回路とを具備する平面型表示装置であって、 電子放出部と電子照射面との間の放電を防止するため
    に、アノード電極とアノード電極駆動回路との間にアノ
    ード電極遮断回路が設けられていることを特徴とする平
    面型表示装置。
  15. 【請求項15】電子放出部と電子照射面との間に放電が
    生じていない場合には、アノード電極遮断回路は不動作
    状態にあり、電子放出部と電子照射面との間に放電が生
    じたとき、アノード電極遮断回路が動作することを特徴
    とする請求項14に記載の平面型表示装置。
  16. 【請求項16】電子放出部と電子照射面との間の放電に
    起因してアノード電極とアノード電極駆動回路との間を
    流れる電流によりアノード電極遮断回路が動作すること
    を特徴とする請求項14又は請求項15に記載の平面型
    表示装置。
  17. 【請求項17】電子放出部を有する第1パネルと、電子
    照射面を有する第2パネルと、電子放出部を駆動するた
    めの電子放出部駆動回路と、電子放出部と電子照射面と
    の間に配設されたシールド部材と、シールド部材に電圧
    を印加するためのシールド部材印加手段を具備する平面
    型表示装置であって、 シールド部材と電子照射面との間の放電を防止するため
    に、シールド部材とシールド部材印加手段との間にシー
    ルド部材遮断回路が設けられていることを特徴とする平
    面型表示装置。
  18. 【請求項18】第2パネルは、基板、蛍光体層及びアノ
    ード電極から成ることを特徴とする請求項17に記載の
    平面型表示装置。
  19. 【請求項19】アノード電極駆動回路を更に備え、 シールド部材と電子照射面との間の放電を防止するため
    に、アノード電極とアノード電極駆動回路との間にアノ
    ード電極遮断回路が設けられていることを特徴とする請
    求項17に記載の平面型表示装置。
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