JP2003086080A - 冷陰極電界電子放出素子及び冷陰極電界電子放出表示装置 - Google Patents

冷陰極電界電子放出素子及び冷陰極電界電子放出表示装置

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JP2003086080A
JP2003086080A JP2001279404A JP2001279404A JP2003086080A JP 2003086080 A JP2003086080 A JP 2003086080A JP 2001279404 A JP2001279404 A JP 2001279404A JP 2001279404 A JP2001279404 A JP 2001279404A JP 2003086080 A JP2003086080 A JP 2003086080A
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cathode
cathode electrode
electrode
gate electrode
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Takao Yagi
貴郎 八木
Makoto Noda
真 野田
Norihiro Shimoi
法弘 下位
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Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】簡素な構造であるにも拘わらず、放出される電
子の収束性に優れた冷陰極電界電子放出素子を提供す
る。 【解決手段】冷陰極電界電子放出素子は、支持体10上
に設けられたカソード電極11と、カソード電極11上
に設けられた電子放出部16と、電子放出部16の上方
に配設され、開口部14を有するゲート電極13から成
り、電界放出部16からゲート電極13までの高さを
H、開口部14の最も広い部分の長さをWとしたとき、
W/H≦2.5を満足する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、冷陰極電界電子放
出素子及び冷陰極電界電子放出表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】真空中に置かれた金属や半導体等に或る
閾値以上の強さの電界を与えると、金属や半導体の表面
近傍のエネルギー障壁を電子が量子トンネル効果によっ
て通過し、常温でも真空中に電子が放出されるようにな
る。かかる原理に基づく電子放出は、冷陰極電界電子放
出、あるいは単に電界放出(フィールド・エミッショ
ン)と呼ばれる。近年、この電界放出の原理を画像表示
に応用した平面型の冷陰極電界電子放出表示装置、所謂
フィールド・エミッション・ディスプレイ(FED)が
提案されており、高輝度、低消費電力等の長所を有する
ことから、従来の陰極線管(CRT)に代わる画像表示
装置として期待されている。
【0003】冷陰極電界電子放出表示装置(以下、単
に、表示装置と呼ぶ場合がある)は、一般に、2次元マ
トリックス状に配列され、各画素に対応した電子放出領
域を有するカソードパネルと、電子放出領域から放出さ
れた電子との衝突により励起されて発光する蛍光体層を
有するアノードパネルとが、真空層を挟んで対向配置さ
れた構成を有する。各電子放出領域には、通常、複数の
電子放出部が形成され、更に、電子放出部から電子を引
き出すためのゲート電極が形成されている。電子の放出
に関与する最小構造単位(ここでは、電子放出部とゲー
ト電極を有する部分)が冷陰極電界電子放出素子(以
下、単に、電界放出素子と呼ぶ場合がある)である。
【0004】かかる従来の電界放出素子の代表例の1つ
として、電子放出部を円錐形の導電体で構成した、所謂
スピント(Spindt)型電界放出素子が知られてい
る。スピント型電界放出素子を組み込んだ表示装置の概
念図を、図37に示す。この表示装置は、カソードパネ
ルCPとアノードパネルAPとが、0.1mm〜1mm
程度の距離を隔てて枠体24を介して対向配置された構
成を有し、両パネルの間の空間が真空とされている。ス
ピント型電界放出素子は、カソードパネルCPに形成さ
れており、支持体310上に形成されたカソード電極3
11と、カソード電極311及び支持体310上に形成
された絶縁層312と、絶縁層312上に形成されたゲ
ート電極313と、ゲート電極313及び絶縁層312
に設けられた開口部314と、開口部314の底部に位
置するカソード電極311上に形成された円錐形の電子
放出部316から構成されている。ゲート電極313と
カソード電極311とは、互いに異なる方向に各々スト
ライプ状に形成されており、これらの両電極の射影像が
重複する領域(以下、重複領域あるいは電子放出領域と
呼ぶ場合がある)に、通常、複数のスピント型電界放出
素子が形成されている。カソード電極311の射影像の
延びる方向とゲート電極313の射影像の延びる方向
は、通常、90度の角度を成す。重複領域(電子放出領
域)は、カソードパネルCPの有効領域(実際の表示画
面として機能する領域)内に、通常、2次元マトリック
ス状に配列されている。
【0005】一方、アノードパネルAPは、基板20
と、基板20上に設けられた蛍光体層21と、蛍光体層
21上に設けられたアノード電極23から構成されてい
る。図37では、カラー表示装置を想定してストライプ
状又はドット状にパターニングされた蛍光体層21を示
すが、単色表示の表示装置については、蛍光体層21は
特にパターニングされていなくともよい。尚、パターニ
ングされた蛍光体層21間の隙間は、表示画面のコント
ラスト向上を目的としたブラックマトリックス22で埋
め込まれている。単色表示装置における各画素(カラー
表示装置では各サブピクセル)は、カソードパネル側に
おいて重複領域に形成されたスピント型電界放出素子の
一群と、これらのスピント型電界放出素子の一群に対面
したアノードパネル側の蛍光体層21とによって構成さ
れている。表示装置の有効領域には、かかる画素が、例
えば数十万個ものオーダーにて配列されている。
【0006】カソード電極311とゲート電極313と
の間に或る電位差を与えると、電子放出部316の近傍
に生じた電界によって電子放出部316の先端から電子
が、量子トンネル効果に基づき放出される。スピント型
電界放出素子における電子放出部316の鋭く尖った先
端形状は、低い駆動電圧で大きな放出電子電流を得る上
で効果的な形状である。放出された電子は、アノードパ
ネル側のアノード電極23に引き付けられ、アノード電
極23と基板20との間に形成された発光体層である蛍
光体層21に衝突する。その結果、蛍光体層21が励起
されて発光し、所望の画像を得ることができる。この電
界放出素子の動作は、基本的には、ゲート電極313及
びカソード電極311に印加される電圧によって制御さ
れる。
【0007】かかるスピント型電界放出素子の製造方法
の概要を、以下、図38及び図39を参照して説明す
る。この製造方法は、基本的には、円錐形の電子放出部
316を金属材料の垂直蒸着により形成する方法であ
る。即ち、開口部314に対して蒸着粒子は垂直に入射
するが、開口部314の端部の付近に形成されるオーバ
ーハング状の堆積物による遮蔽効果を利用して、開口部
314の底部に到達する蒸着粒子の量を漸減させ、円錐
形の堆積物である電子放出部316を自己整合的に形成
する。ここでは、不要なオーバーハング状の堆積物の除
去を容易とするために、絶縁層312及びゲート電極3
13上に剥離層318を予め形成しておく方法について
説明する。
【0008】[工程−10]先ず、例えばガラス基板か
ら成る支持体310上にニオブ(Nb)から成るカソー
ド電極311を形成した後、全面にSiO2から成る絶
縁層312を形成し、更に絶縁層312上に導電材料か
ら成るストライプ状のゲート電極313を形成する。次
に、ゲート電極313及び絶縁層312に、エッチング
用マスクとして機能するレジスト層317をリソグラフ
ィ技術によって形成する(図38の(A)参照)。その
後、RIE(反応性イオン・エッチング)法にてゲート
電極313、絶縁層312に開口部314を形成する。
開口部314の底部にカソード電極311が露出してい
る。その後、レジスト層317をアッシング技術によっ
て除去する。こうして、図38の(B)に示す構造を得
ることができる。
【0009】[工程−20]次に、アルミニウムを斜め
蒸着することにより、剥離層318を形成する。このと
き、支持体310の法線に対する蒸着粒子の入射角を十
分に大きく選択することにより、開口部314の底部に
アルミニウムを殆ど堆積させることなく、ゲート電極3
13及び絶縁層312上に剥離層318を形成すること
ができる。この剥離層318は、開口部314の開口端
部から庇状に張り出しており、これにより開口部314
が実質的に縮径される(図39の(C)参照)。
【0010】[工程−30]次に、全面に例えばモリブ
デン(Mo)を垂直蒸着する。このとき、図39の
(A)に示すように、剥離層318上でオーバーハング
形状を有する導電材料層319が成長するに伴い、開口
部314の実質的な直径が次第に縮小されるので、開口
部314の底部において堆積に寄与する蒸着粒子は、次
第に開口部314の中央付近を通過するものに限られる
ようになる。その結果、開口部314の底部には円錐形
の堆積物が形成され、この円錐形の堆積物が電子放出部
316となる。
【0011】[工程−40]その後、電気化学的プロセ
ス及び湿式プロセスによって剥離層318を絶縁層31
2及びゲート電極313の表面から剥離し、絶縁層31
2及びゲート電極313の上方の導電材料層319を選
択的に除去する。その結果、図39の(B)に示すよう
に、開口部314の底部に位置するカソード電極311
上に円錐形の電子放出部316を残すことができる。次
いで、絶縁層312を等方的にエッチングし、ゲート電
極313の開口部端部を露出させることが好ましい(図
39の(C)参照)。
【0012】かかる表示装置の構成において、低い駆動
電圧で大きな放出電子電流を得るためには、電子放出部
の先端部を鋭く尖らせることが有効であり、この観点か
ら、上述のスピント型電界放出素子の電子放出部316
は優れた性能を有していると云える。しかしながら、円
錐形の電子放出部316の形成には高度な加工技術を要
する。しかも、場合によっては数千万個以上にも及ぶ電
子放出部316を有効領域の全域に亙って均一に形成す
ることは、有効領域の面積が増大するにつれて困難とな
りつつある。即ち、大面積の支持体全体に亙って均一な
膜質、膜厚を有する導電材料層319を垂直蒸着法によ
り形成したり、均一な寸法の庇形状を有する剥離層31
8を斜め蒸着法により形成することは、極めて困難であ
り、何らかの面内バラツキやロット間バラツキは避けら
れない。このバラツキにより、表示装置の画像表示特
性、例えば画像の明るさにバラツキが生じる。しかも、
大面積に亙って形成された剥離層318を除去する際
に、その残渣がカソードパネルCPを汚染する原因とな
り、表示装置の製造歩留を低下させるという問題も生じ
る。
【0013】そこで、円錐形の電子放出部316を使用
せず、開口部の底面に露出した平面状の電子放出部を使
用する、所謂平面型電界放出素子が提案されている。平
面型電界放出素子における電子放出部は、カソード電極
上に設けられており、平面状であっても高い放出電子電
流を達成し得るように、カソード電極の構成材料よりも
仕事関数が低い材料から構成されている。かかる材料と
して、近年、炭素系材料を使用することが提案されてい
る。炭素系材料は、高融点金属に比べて閾値電界が低
く、しかも、電子放出効率が高い。また、ダイヤモン
ド、グラファイト、カーボンナノチューブ等、結合形態
を変化させることが可能である。
【0014】例えば、第59回応用物理学会学術講演会
講演予稿集p.480,演題番号15p−P−13(1
998年)には、DLC(ダイヤモンドライクカーボ
ン)薄膜が提案されている。また、炭素系材料を薄膜状
に形成した場合、この薄膜の加工(パターニング)方法
が必要となる。かかるパターニング方法として、例えば
同講演予稿集p.489,演題番号16p−N−11
(1998年)には、酸素ガスをエッチングガスとして
用いたダイヤモンド薄膜のECRプラズマ加工が提案さ
れている。ダイヤモンド薄膜のプラズマ加工におけるエ
ッチング用マスクとしては、一般にSiO2系材料が用
いられている。
【0015】更には、第60回応用物理学会学術講演会
講演予稿集p.631,演題番号2p−H−6(199
9年)には、石英基板上に電子ビーム蒸着法によって形
成したチタン薄膜表面をダイヤモンドパウダーによりス
クラッチ加工を施した後、チタン薄膜をパターニングし
て中央部に数μmのギャップを設け、次いで、ノンドー
プダイヤモンド薄膜をチタン薄膜上に成膜する平面構造
型電子エミッターが開示されている。あるいは又、第6
0回応用物理学会学術講演会講演予稿集p.632,演
題番号2p−H−11(1999年)には、金属クロス
ラインを付けた石英ガラス上にカーボンナノチューブを
形成する技術が開示されている。
【0016】また、特開2000−57934号公報に
は、電界印加プラズマCVD法により、基板表面上にカ
ーボンナノチューブ又はアモルファスカーボンを直接堆
積させる炭素系超微細冷陰極及びその製造方法が開示さ
れている。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】炭素薄膜を用いた電界
放出素子(以下、平面型電界放出素子と呼ぶ場合があ
る)の模式的な一部端面図を図40に示す。この平面型
電界放出素子は、支持体10上に形成されたカソード電
極11と、カソード電極11及び支持体10上に形成さ
れた絶縁層12と、絶縁層12上に形成されたゲート電
極13と、ゲート電極13に設けられた開口部14と、
絶縁層12に設けられ、開口部14と連通した第2の開
口部15と、第2の開口部15の底部に位置するカソー
ド電極11上に形成された炭素薄膜から成る電子放出部
16から構成されている。ゲート電極13とカソード電
極11とは、互いに異なる方向に各々ストライプ状に形
成されており、これらの両電極の射影像が重複する重複
領域に、通常、複数の平面型電界放出素子が形成されて
いる。カソード電極11の射影像の延びる方向とゲート
電極13の射影像の延びる方向は、通常、90度の角度
を成す。重複領域(電子放出領域)は、カソードパネル
CPの有効領域内に、通常、2次元マトリックス状に配
列されている。
【0018】通常、電子放出部16の頂面からゲート電
極13の頂面までの高さをH、開口部14の最も広い部
分の長さをWとしたとき、W/Hの値は3以上である。
【0019】ゲート電極13及びカソード電極11に印
加される電圧の電位差によって電界が生じる。電子放出
部16の表面における、カソード電極11の法線方向
(Z方向と呼ぶ)の電界強度成分をEZ、カソード電極
11の表面と平行な方向(X方向と呼ぶ)の電界強度成
分をEXとする。図41の(A)及び(B)に、電界強
度成分EZ及び電界強度成分EXのシミュレーション結果
を模式的に示す。
【0020】平面型電界放出素子にあっては、電子放出
部16のどこからでも電子は放出され得る。従って、平
面型電界放出素子において、電子が放出される起点を厳
密に制御することは困難である。そして、電界強度成分
Zはゲート電極13に近い領域ほど急激に高い値とな
るが故に、ゲート電極13に近い電子放出部16の領域
から主に電子が放出される。
【0021】従って、かかる電子放出部16の領域から
放出された電子がゲート電極13や絶縁層12に衝突す
る確率が高くなる。この状態を図42に模式的に示す。
その結果、ゲート電極13に損傷が発生し易いし、アノ
ード電極23に到達し得る電子の量が少なくなる。
【0022】しかも、電界強度成分EXもゲート電極1
3に近い領域ほど高い値となるが故に、電子放出部16
から放出された電子は、X方向であってゲート電極13
に近づく方向に或る運動量を与えられ、更には、ゲート
電極13に引き付けられるが故に、広がりをもってアノ
ード電極23に到達し(この状態を図42に模式的に示
す)、デフォーカスや光学的クロストーク発生の原因と
なる。また、絶縁層12やスペーサ(図示せず)と電子
の衝突によって、絶縁層12やスペーサに帯電現象が発
生し易い。ここで、スペーサとは、カソードパネルCP
とアノードパネルAPとの間の距離を一定に保つための
補助的手段であり、有効領域内に等間隔にあるいは不規
則に配置されている。
【0023】このような現象を解決するために、現状で
は、ゲート電極13の上方に収束電極を設ける対策が検
討されているが、収束電極の作製のために工程数が増加
するいった問題や、表示装置の構造が複雑になるといっ
た問題がある。
【0024】従って、本発明の目的は、簡素な構造であ
るにも拘わらず、放出される電子の収束性に優れた冷陰
極電界電子放出素子、及び、かかる冷陰極電界電子放出
素子を組み込んだ冷陰極電界電子放出表示装置を提供す
ることにある。
【0025】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明の第1の態様に係る冷陰極電界電子放出素子
は、(A)支持体上に設けられたカソード電極と、
(B)カソード電極上に設けられた電子放出部と、
(C)電子放出部の上方に配設され、開口部を有するゲ
ート電極、から成り、電子放出部からゲート電極までの
高さをH、開口部の最も広い部分の長さをWとしたと
き、W/H≦2.5を満足することを特徴とする。
【0026】上記の目的を達成するための本発明の第1
の態様に係る冷陰極電界電子放出表示装置は、冷陰極電
界電子放出素子が複数設けられたカソードパネル、及
び、蛍光体層とアノード電極とを備えたアノードパネル
が、それらの周縁部で接合されて成る、所謂3電極型の
冷陰極電界電子放出表示装置であって、冷陰極電界電子
放出素子は、(A)支持体上に設けられたカソード電極
と、(B)カソード電極上に設けられた電子放出部と、
(C)電子放出部の上方に配設され、開口部を有するゲ
ート電極、から成り、電子放出部からゲート電極までの
高さをH、開口部の最も広い部分の長さをWとしたと
き、W/H≦2.5を満足することを特徴とする。
【0027】上記の目的を達成するための本発明の第2
の態様に係る冷陰極電界電子放出素子は、(A)支持体
上に設けられ、電子を放出するカソード電極と、(B)
カソード電極の上方に配設され、開口部を有するゲート
電極、から成り、カソード電極からゲート電極までの高
さをH、開口部の最も広い部分の長さをWとしたとき、
W/H≦2.5を満足することを特徴とする。
【0028】上記の目的を達成するための本発明の第2
の態様に係る冷陰極電界電子放出表示装置は、冷陰極電
界電子放出素子が複数設けられたカソードパネル、及
び、蛍光体層とアノード電極とを備えたアノードパネル
が、それらの周縁部で接合されて成る、所謂2電極型の
冷陰極電界電子放出表示装置であって、冷陰極電界電子
放出素子は、(A)支持体上に設けられ、電子を放出す
るカソード電極と、(B)カソード電極の上方に配設さ
れ、開口部を有するゲート電極、から成り、カソード電
極からゲート電極までの高さをH、開口部の最も広い部
分の長さをWとしたとき、W/H≦2.5を満足するこ
とを特徴とする。
【0029】本発明の第1の態様若しくは第2の態様に
係る冷陰極電界電子放出素子若しくは冷陰極電界電子放
出表示装置における冷陰極電界電子放出素子にあって
は、W/H≦2.0を満足することが一層好ましく、W
/H≦1.5を満足することが更に一層好ましい。尚、
冷陰極電界電子放出素子を後述する第2の構造を有する
冷陰極電界電子放出素子とする場合には、W/H≦1.
2を満足することが一層好ましい。
【0030】上記の目的を達成するための本発明の第3
の態様に係る冷陰極電界電子放出素子は、(A)支持体
上に設けられたカソード電極と、(B)カソード電極上
に設けられた電子放出部と、(C)電子放出部の上方に
配設され、開口部を有するゲート電極、から成り、ゲー
ト電極及びカソード電極に印加される電圧の電位差によ
って生じる電界において、開口部中心に位置する電子放
出部の部分の表面におけるカソード電極法線方向の電界
強度成分をEZC、開口部中心から最も遠いところに位置
する開口部の部分と開口部中心とを結んだ線分の長さを
Lとし、開口部中心から最も遠いところに位置する開口
部の該部分から開口部中心に向かって0.2Lのところ
に位置する電子放出部の部分の表面におけるカソード電
極法線方向の電界強度成分をEZEとしたとき、EZC
0.3EZEを満足することを特徴とする。
【0031】上記の目的を達成するための本発明の第3
の態様に係る冷陰極電界電子放出素子は、冷陰極電界電
子放出素子が複数設けられたカソードパネル、及び、蛍
光体層とアノード電極とを備えたアノードパネルが、そ
れらの周縁部で接合されて成る、所謂3電極型の冷陰極
電界電子放出表示装置であって、冷陰極電界電子放出素
子は、(A)支持体上に設けられたカソード電極と、
(B)カソード電極上に設けられた電子放出部と、
(C)電子放出部の上方に配設され、開口部を有するゲ
ート電極、から成り、ゲート電極及びカソード電極に印
加される電圧の電位差によって生じる電界において、開
口部中心に位置する電子放出部の部分の表面におけるカ
ソード電極法線方向の電界強度成分をEZC、開口部中心
から最も遠いところに位置する開口部の部分と開口部中
心とを結んだ線分の長さをLとし、開口部中心から最も
遠いところに位置する開口部の該部分から開口部中心に
向かって0.2Lのところに位置する電子放出部の部分
の表面におけるカソード電極法線方向の電界強度成分を
ZEとしたとき、EZC≧0.3EZEを満足することを特
徴とする。
【0032】上記の目的を達成するための本発明の第4
の態様に係る冷陰極電界電子放出素子は、(A)支持体
上に設けられ、電子を放出するカソード電極と、(B)
カソード電極の上方に配設され、開口部を有するゲート
電極、から成り、ゲート電極及びカソード電極に印加さ
れる電圧の電位差によって生じる電界において、開口部
中心に位置するカソード電極の部分の表面におけるカソ
ード電極法線方向の電界強度成分をEZC、開口部中心か
ら最も遠いところに位置する開口部の部分と開口部中心
とを結んだ線分の長さをLとし、開口部中心から最も遠
いところに位置する開口部の該部分から開口部中心に向
かって0.2Lのところに位置するカソード電極の部分
の表面におけるカソード電極法線方向の電界強度成分を
ZEとしたとき、EZC≧0.3EZEを満足することを特
徴とする。
【0033】上記の目的を達成するための本発明の第4
の態様に係る冷陰極電界電子放出表示装置は、冷陰極電
界電子放出素子が複数設けられたカソードパネル、及
び、蛍光体層とアノード電極とを備えたアノードパネル
が、それらの周縁部で接合されて成る、所謂2電極型の
冷陰極電界電子放出表示装置であって、冷陰極電界電子
放出素子は、(A)支持体上に設けられ、電子を放出す
るカソード電極と、(B)カソード電極の上方に配設さ
れ、開口部を有するゲート電極、から成り、ゲート電極
及びカソード電極に印加される電圧の電位差によって生
じる電界において、開口部中心に位置するカソード電極
の部分の表面におけるカソード電極法線方向の電界強度
成分をEZC、開口部中心から最も遠いところに位置する
開口部の部分と開口部中心とを結んだ線分の長さをLと
し、開口部中心から最も遠いところに位置する開口部の
該部分から開口部中心に向かって0.2Lのところに位
置するカソード電極の部分の表面におけるカソード電極
法線方向の電界強度成分をEZEとしたとき、EZC≧0.
3EZEを満足することを特徴とする。
【0034】本発明の第3の態様若しくは第4の態様に
係る冷陰極電界電子放出素子若しくは冷陰極電界電子放
出表示装置における冷陰極電界電子放出素子にあって
は、E ZC≧0.5EZEを満足することが一層好ましい。
【0035】本発明の第1の態様〜第4の態様に係る冷
陰極電界電子放出素子若しくは冷陰極電界電子放出表示
装置における冷陰極電界電子放出素子にあっては、支持
体及びカソード電極の上には絶縁層が形成され、該絶縁
層上にゲート電極が形成され、該絶縁層には、ゲート電
極に設けられた開口部に連通した第2の開口部が形成さ
れ、第2の開口部の底部に電子放出部あるいはカソード
電極が露出している構成とすることができる。尚、この
ような構成を、便宜上、第1の構造を有する冷陰極電界
電子放出素子と呼ぶ。
【0036】あるいは又、本発明の第1の態様〜第4の
態様に係る冷陰極電界電子放出素子若しくは冷陰極電界
電子放出表示装置における冷陰極電界電子放出素子にあ
っては、絶縁材料から成る帯状あるいは井桁状のゲート
電極支持部が支持体上に形成され、複数の開口部が形成
された帯状材料層から成るゲート電極が、ゲート電極支
持部の頂面に接するように、且つ、電子放出部の上方に
開口部が位置するように張架された構造とすることもで
きる。尚、このような構成を、便宜上、第2の構造を有
する冷陰極電界電子放出素子と呼ぶ。
【0037】本発明の第1の態様若しくは第3の態様に
係る冷陰極電界電子放出素子若しくは冷陰極電界電子放
出表示装置における冷陰極電界電子放出素子にあって
は、電子放出部を構成する材料として、カソード電極を
構成する材料よりも仕事関数Φの小さい材料から構成す
ることが好ましく、どのような材料を選択するかは、カ
ソード電極を構成する材料の仕事関数、ゲート電極とカ
ソード電極との間の電位差、要求される放出電子電流密
度の大きさ等に基づいて決定すればよい。冷陰極電界電
子放出素子におけるカソード電極を構成する代表的な材
料として、タングステン(Φ=4.55eV)、ニオブ
(Φ=4.02〜4.87eV)、モリブデン(Φ=
4.53〜4.95eV)、アルミニウム(Φ=4.2
8eV)、銅(Φ=4.6eV)、タンタル(Φ=4.
3eV)、クロム(Φ=4.5eV)、シリコン(Φ=
4.9eV)を例示することができる。電子放出部は、
これらの材料よりも小さな仕事関数Φを有していること
が好ましく、その値は概ね3eV以下であることが好ま
しい。かかる材料として、炭素(Φ<1eV)、セシウ
ム(Φ=2.14eV)、LaB6(Φ=2.66〜
2.76eV)、BaO(Φ=1.6〜2.7eV)、
SrO(Φ=1.25〜1.6eV)、Y23(Φ=
2.0eV)、CaO(Φ=1.6〜1.86eV)、
BaS(Φ=2.05eV)、TiN(Φ=2.92e
V)、ZrN(Φ=2.92eV)を例示することがで
きる。仕事関数Φが2eV以下である材料から電子放出
部を構成することが、一層好ましい。尚、電子放出部を
構成する材料は、必ずしも導電性を備えている必要はな
い。
【0038】特に好ましい電子放出部の構成材料とし
て、炭素薄膜を挙げることができる。電子放出部を炭素
薄膜から構成する場合、106V/m以下の電界強度に
て、冷陰極電界電子放出表示装置に必要な放出電子電流
密度を得ることができる。炭素薄膜として、グラファイ
ト薄膜、アモルファスカーボン薄膜、ダイヤモンドライ
クカーボン薄膜、あるいはフラーレン薄膜を挙げること
ができる。炭素薄膜の形成方法として、マイクロ波プラ
ズマ法、トランス結合型プラズマ法、誘導結合型プラズ
マ法、電子サイクロトロン共鳴プラズマ法、RFプラズ
マ法等に基づくCVD法、平行平板型CVD装置を用い
たCVD法を例示することができる。炭素系薄膜の形態
には、薄膜状や板状はもとより、炭素のウィスカー、炭
素のナノチューブ(中空及び中実を含む)が包含され、
具体的には、ナノクリスタルダイヤモンド、ナノクリス
タルグラファイト、カーボンナノチューブ、カーボンフ
ァイバー、カーボンシートを挙げることができる。
【0039】ところで、レジスト層をエッチング用マス
クとして使用し、酸素ガスを用いてダイヤモンド薄膜の
ような炭素薄膜のプラズマエッチングを行った場合、エ
ッチング反応系における反応副生成物として(CHx
系あるいは(CFx)系等の炭素系ポリマーが堆積性物
質として生成する。一般に、プラズマエッチングにおい
て堆積性物質がエッチング反応系に生成した場合、この
堆積性物質はイオン入射確率の低いレジスト層の側壁
面、あるいは被エッチング物の加工端面に堆積して所謂
側壁保護膜を形成し、被エッチング物の異方性加工によ
って得られる形状の達成に寄与する。しかしながら、酸
素ガスをエッチング用ガスとして使用した場合には、炭
素系ポリマーから成る側壁保護膜は、生成しても、直ち
に酸素ガスによって除去されてしまう。また、酸素ガス
をエッチング用ガスとして使用した場合には、レジスト
層の消耗も激しい。これらの理由により、従来のダイヤ
モンド薄膜の酸素プラズマ加工においては、ダイヤモン
ド薄膜のマスクの寸法に対する寸法変換差が大きく、異
方性加工も困難な場合が多い。
【0040】このような問題を解決するためには、例え
ば、カソード電極の表面に炭素薄膜選択成長領域を形成
し、炭素薄膜選択成長領域上に炭素薄膜から成る電子放
出部を形成する構成とすればよい。即ち、この電界放出
素子の製造においては、支持体上にカソード電極を形成
した後、カソード電極の表面に炭素薄膜選択成長領域を
形成し、その後、炭素薄膜選択成長領域上に炭素薄膜
(電子放出部に相当する)を形成する。尚、カソード電
極の表面に炭素薄膜選択成長領域を形成する工程を、炭
素薄膜選択成長領域形成工程と呼ぶ。ここで、炭素薄膜
選択成長領域は、表面に金属粒子が付着したカソード電
極の部分、若しくは、表面に金属薄膜が形成されたカソ
ード電極の部分であることが好ましい。炭素薄膜選択成
長領域は、開口部の底部に位置するカソード電極の部分
の表面に形成されていればよく、開口部の底部に位置す
るカソード電極の部分から開口部の底部以外のカソード
電極の部分の表面に延在するように形成されていてもよ
い。また、炭素薄膜選択成長領域は、開口部の底部に位
置するカソード電極の部分の表面の全面に形成されてい
ても、部分的に形成されていてもよい。
【0041】炭素薄膜選択成長領域形成工程は、炭素薄
膜選択成長領域を形成すべきカソード電極の部分の表面
(以下、単にカソード電極表面と呼ぶ場合がある)に、
金属粒子を付着させ、若しくは、金属薄膜を形成する工
程から成り、以て、表面に金属粒子が付着し、若しく
は、表面に金属薄膜が形成されたカソード電極の部分か
ら成る炭素薄膜選択成長領域を得ることが好ましい。
【0042】あるいは又、炭素薄膜選択成長領域におけ
る炭素薄膜の選択成長を一層確実なものとするために、
カソード電極表面に、金属粒子を付着させ、若しくは、
金属薄膜を形成した後、金属粒子の表面若しくは金属薄
膜の表面の金属酸化物(所謂、自然酸化膜)を除去する
ことが望ましい。金属粒子の表面若しくは金属薄膜の表
面の金属酸化物の除去を、例えば、水素ガス雰囲気にお
けるマイクロ波プラズマ法、トランス結合型プラズマ
法、誘導結合型プラズマ法、電子サイクロトロン共鳴プ
ラズマ法、RFプラズマ法等に基づくプラズマ還元処
理、アルゴンガス雰囲気におけるスパッタ処理、若しく
は、例えばフッ酸等の酸や塩基を用いた洗浄処理によっ
て行うことが望ましい。尚、金属粒子の表面若しくは金
属薄膜の表面の金属酸化物を除去する工程を含む場合、
絶縁層に第2の開口部を設けた後、炭素薄膜選択成長領
域上に炭素薄膜を形成する前にこの工程を実行すること
が好ましい。
【0043】炭素薄膜選択成長領域を得るためにカソー
ド電極表面に金属粒子を付着させる方法として、例え
ば、炭素薄膜選択成長領域を形成すべきカソード電極の
領域以外の領域を適切な材料(例えば、マスク層)で被
覆した状態で、溶媒と金属粒子から成る層を炭素薄膜選
択成長領域を形成すべきカソード電極の部分の表面に形
成した後、溶媒を除去し、金属粒子を残す方法を挙げる
ことができる。あるいは又、カソード電極表面に金属粒
子を付着させる工程として、例えば、炭素薄膜選択成長
領域を形成すべきカソード電極の領域以外の領域を適切
な材料(例えば、マスク層)で被覆した状態で、金属粒
子を構成する金属原子を含む金属化合物粒子をカソード
電極表面に付着させた後、金属化合物粒子を加熱するこ
とによって分解し、以て、表面に金属粒子が付着したカ
ソード電極の部分から成る炭素薄膜選択成長領域を得る
方法を挙げることができる。この場合、具体的には、溶
媒と金属化合物粒子から成る層を炭素薄膜選択成長領域
を形成すべきカソード電極の部分の表面に形成した後、
溶媒を除去し、金属化合物粒子を残す方法を例示するこ
とができる。金属化合物粒子は、金属粒子を構成する金
属のハロゲン化物(例えば、ヨウ化物、塩化物、臭化物
等)、酸化物、水酸化物及び有機金属から成る群から選
択された少なくとも1種類の材料から成ることが好まし
い。尚、これらの方法においては、適切な段階で、炭素
薄膜選択成長領域を形成すべきカソード電極の領域以外
の領域を被覆した材料(例えば、マスク層)を除去す
る。
【0044】炭素薄膜選択成長領域を得るためにカソー
ド電極表面に金属薄膜を形成する方法として、例えば、
炭素薄膜選択成長領域を形成すべきカソード電極の領域
以外の領域を適切な材料で被覆した状態での、電解メッ
キ法、無電解メッキ法、MOCVD法を含むCVD法
(化学的気相成長法)、物理的気相成長法(PVD法、
Physical Vapor Deposition 法)等の公知の方法を挙げ
ることができる。尚、物理的気相成長法として、(a)
電子ビーム加熱法、抵抗加熱法、フラッシュ蒸着等の各
種真空蒸着法、(b)プラズマ蒸着法、(c)2極スパ
ッタリング法、直流スパッタリング法、直流マグネトロ
ンスパッタリング法、高周波スパッタリング法、マグネ
トロンスパッタリング法、イオンビームスパッタリング
法、バイアススパッタリング法等の各種スパッタリング
法、(d)DC(direct current)法、RF法、多陰極
法、活性化反応法、電界蒸着法、高周波イオンプレーテ
ィング法、反応性イオンプレーティング法等の各種イオ
ンプレーティング法を挙げることができる。
【0045】ここで、金属粒子あるいは金属薄膜は、モ
リブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、チタン(T
i)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、タングステ
ン(W)、ジルコニウム(Zr)、タンタル(Ta)、
鉄(Fe)、銅(Cu)、白金(Pt)、亜鉛(Z
n)、カドミウム(Cd)、水銀(Hg)、ゲルマニウ
ム(Ge)、錫(Sn)、鉛(Pb)、ビスマス(B
i)、銀(Ag)、金(Au)、インジウム(In)及
びタリウム(Tl)から成る群から選択された少なくと
も1種類の金属から構成されていることが好ましい。
【0046】あるいは又、電子放出部を構成する材料と
して、かかる材料の2次電子利得δがカソード電極を構
成する導電性材料の2次電子利得δよりも大きくなるよ
うな材料から適宜選択してもよい。即ち、銀(Ag)、
アルミニウム(Al)、金(Au)、コバルト(C
o)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、ニオブ(N
b)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、タンタル(T
a)、タングステン(W)、ジルコニウム(Zr)等の
金属;シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)等の半
導体;炭素やダイヤモンド等の無機単体;及び酸化アル
ミニウム(Al23)、酸化バリウム(BaO)、酸化
ベリリウム(BeO)、酸化カルシウム(CaO)、酸
化マグネシウム(MgO)、酸化錫(SnO2)、フッ
化バリウム(BaF2)、フッ化カルシウム(CaF2
等の化合物の中から、適宜選択することができる。尚、
電子放出部を構成する材料は、必ずしも導電性を備えて
いる必要はない。
【0047】本発明の第2の態様若しくは第4の態様に
係る冷陰極電界電子放出素子若しくは冷陰極電界電子放
出表示装置における冷陰極電界電子放出素子にあって
は、電子放出部に相当するカソード電極を構成する材料
として、タングステン(W)やタンタル(Ta)、ニオ
ブ(Nb)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、ク
ロム(Cr)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、金
(Au)、銀(Ag)等の金属、あるいはこれらの合金
や化合物(例えばTiN等の窒化物や、WSi2、Mo
Si2、TiSi2、TaSi2等のシリサイド)、ある
いは半導体、炭素薄膜を例示することができる。かかる
カソード電極の厚さは、おおよそ0.05〜0.5μ
m、好ましくは0.1〜0.3μmの範囲とすることが
望ましいが、かかる範囲に限定するものではない。カソ
ード電極の形成方法として、例えば電子ビーム蒸着法や
熱フィラメント蒸着法といった蒸着法、スパッタリング
法、CVD法やイオンプレーティング法とエッチング法
との組合せ、スクリーン印刷法、メッキ法等を挙げるこ
とができる。スクリーン印刷法やメッキ法によれば、直
接、ストライプ状のカソード電極を形成することが可能
である。
【0048】あるいは又、カソード電極や電子放出部
を、導電性微粒子を分散させた導電性ペーストを用いて
形成することもできる。導電性微粒子として、グラファ
イト粉末;酸化バリウム粉末、酸化ストロンチウム粉
末、金属粉末の少なくとも一種を混合したグラファイト
粉末;窒素、リン、ホウ素、トリアゾール等の不純物を
含むダイヤモンド粒子又はダイヤモンドライク・カーボ
ン粉末;カーボン・ナノ・チューブ粉末;(Sr,B
a,Ca)CO3粉末;シリコン・カーバイド粉末を例
示することができる。特に、導電性微粒子としてグラフ
ァイト粉末を選択することが、閾値電界の低減といった
観点、あるいは、電子放出部や電子放出部に相当するカ
ソード電極の耐久性といった観点から好ましい。導電性
微粒子の形状を、球状、鱗片状の他、任意の定形形状や
不定形形状とすることができる。また、導電性微粒子の
粒径は、例えば、カソード電極の厚さやパターン幅以下
であればよい。粒径が小さい方が、単位面積当たりの放
出電子数を増大させることができるが、あまり小さ過ぎ
ると、例えば、カソード電極の導電性が劣化する虞があ
る。よって、好ましい粒径の範囲はおおよそ0.01〜
4.0μmである。かかる導電性微粒子をガラス成分そ
の他の適当なバインダと混合して導電性ペーストを調製
し、この導電性ペースを用いてスクリーン印刷法により
所望のパターンを形成した後、パターンを焼成すること
によって電子放出部として機能するカソード電極を形成
することができ、あるいは又、カソード電極上に電子放
出部を形成することができる。あるいは、スピンコーテ
ィング法とエッチング技術の組み合わせ、リフトオフ法
により、電子放出部として機能するカソード電極を形成
することもできる。
【0049】第1の構造を有する冷陰極電界電子放出素
子におけるゲート電極を構成する材料として、タングス
テン(W)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、チタ
ン(Ti)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、ア
ルミニウム(Al)、銅(Cu)、金(Au)、銀(A
g)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ジルコニ
ウム(Zr)、鉄(Fe)、白金(Pt)及び亜鉛(Z
n)から成る群から選択された少なくとも1種類の金
属;これらの金属元素を含む合金あるいは化合物(例え
ばTiN等の窒化物や、WSi2、MoSi2、TiSi
2、TaSi2等のシリサイド);あるいはシリコン(S
i)等の半導体;ITO(インジウム錫酸化物)、酸化
インジウム、酸化亜鉛等の導電性金属酸化物を例示する
ことができる。ゲート電極を作製するには、CVD法、
スパッタリング法、蒸着法、イオンプレーティング法、
電解メッキ法、無電解メッキ法、スクリーン印刷法、レ
ーザーアブレーション法、ゾル−ゲル法等の公知の薄膜
形成技術により、上述の構成材料から成る薄膜を絶縁層
上に形成する。尚、薄膜を絶縁層の全面に形成した場合
には、公知のパターニング技術を用いて薄膜をパターニ
ングし、ストライプ状のゲート電極を形成する。ストラ
イプ状のゲート電極の形成後、ゲート電極に開口部を形
成してもよいし、ストライプ状のゲート電極の形成と同
時に、ゲート電極に開口部を形成してもよい。また、ゲ
ート電極用導電材料層を形成する前の絶縁層上に予めレ
ジストパターンを形成しておけば、リフトオフ法による
ゲート電極の形成が可能である。更には、ゲート電極の
形状に応じた開口部を有するマスクを用いて蒸着を行っ
たり、かかる開口部を有するスクリーンを用いてスクリ
ーン印刷を行えば、成膜後のパターニングは不要とな
る。また、開口部を有する帯状材料層を上述した材料か
ら適宜選択して予め作製しておき、かかる帯状材料層を
ゲート電極支持部上に固定することによって、ゲート電
極を設けることもでき、これによって第2の構造を有す
る冷陰極電界電子放出素子を得ることができる。
【0050】また、第1の構造を有する冷陰極電界電子
放出素子にあっては、カソード電極を構成する材料とし
て、タングステン(W)、ニオブ(Nb)、タンタル
(Ta)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、アル
ミニウム(Al)、銅(Cu)等の金属;これらの金属
元素を含む合金あるいは化合物(例えばTiN等の窒化
物や、WSi2、MoSi2、TiSi2、TaSi2等の
シリサイド);シリコン(Si)等の半導体;あるいは
ITO(インジウム錫酸化物)を例示することができ
る。カソード電極の形成方法として、例えば電子ビーム
蒸着法や熱フィラメント蒸着法といった蒸着法、スパッ
タリング法、CVD法やイオンプレーティング法とエッ
チング法との組合せ、スクリーン印刷法、メッキ法、リ
フトオフ法等を挙げることができる。スクリーン印刷法
やメッキ法によれば、直接、ストライプ状のカソード電
極を形成することが可能である。
【0051】本発明の冷陰極電界電子放出表示装置にお
いて、アノードパネルは、基板と蛍光体層とアノード電
極とから成る。電子が照射される面は、アノードパネル
の構造に依るが、蛍光体層から構成され、あるいは又、
アノード電極から構成される。
【0052】アノード電極の構成材料は、冷陰極電界電
子放出表示装置の構成によって適宜選択すればよい。即
ち、冷陰極電界電子放出表示装置が透過型(アノードパ
ネルが表示面に相当する)であって、且つ、基板上にア
ノード電極と蛍光体層がこの順に積層されている場合に
は、基板は元より、アノード電極自身も透明である必要
があり、ITO(インジウム錫酸化物)等の透明導電材
料を用いる。一方、冷陰極電界電子放出表示装置が反射
型(カソードパネルが表示面に相当する)である場合、
及び、透過型であっても基板上に蛍光体層とアノード電
極とがこの順に積層されている場合には、ITOの他、
カソード電極やゲート電極に関連して上述した材料を適
宜選択して用いることができる。
【0053】蛍光体層を構成する蛍光体として、高速電
子励起用蛍光体や低速電子励起用蛍光体を用いることが
できる。冷陰極電界電子放出表示装置が単色表示装置で
ある場合、蛍光体層は特にパターニングされていなくと
もよい。また、冷陰極電界電子放出表示装置がカラー表
示装置である場合、ストライプ状又はドット状にパター
ニングされた赤(R)、緑(G)、青(B)の三原色に
対応する蛍光体層を交互に配置することが好ましい。
尚、パターニングされた蛍光体層間の隙間は、表示画面
のコントラスト向上を目的としたブラックマトリックス
で埋め込まれていてもよい。
【0054】アノード電極と蛍光体層の構成例として、
(1)基板上に、アノード電極を形成し、アノード電極
の上に蛍光体層を形成する構成、(2)基板上に、蛍光
体層を形成し、蛍光体層上にアノード電極を形成する構
成、を挙げることができる。尚、(1)の構成におい
て、蛍光体層の上に、アノード電極と導通した所謂メタ
ルバック膜を形成してもよい。また、(2)の構成にお
いて、アノード電極の上にメタルバック膜を形成しても
よい。
【0055】ストライプ状のゲート電極の射影像とスト
ライプ状のカソード電極の射影像とが直交する方向に延
びていることが、冷陰極電界電子放出表示装置の構造の
簡素化の観点から好ましい。尚、ストライプ状のカソー
ド電極とストライプ状のゲート電極の射影像が重複する
重複領域(1画素分の領域あるいは1サブピクセル分の
領域に相当する)に電子放出部(1又は複数の冷陰極電
界電子放出素子)が設けられており、かかる重複領域
が、カソードパネルの有効領域内に、通常、2次元マト
リクス状に配列されている。
【0056】本発明の第1の態様〜第4の態様に係る冷
陰極電界電子放出素子若しくは冷陰極電界電子放出表示
装置における冷陰極電界電子放出素子において、開口部
の平面形状(支持体表面と平行な仮想平面で開口部を切
断したときの形状)は、円形、楕円形、矩形、多角形、
丸みを帯びた矩形、丸みを帯びた多角形等、任意の形状
とすることができる。開口部の平面形状が円形の場合、
「W」は直径に該当し、「L」は半径に該当する。ま
た、開口部の平面形状が楕円の場合、「W」は長軸に該
当し、「L」は長軸の1/2に該当する。開口部の平面
形状が矩形の場合、「W」は対角線に該当し、「L」は
対角線の1/2に該当する。開口部の中心とは、開口部
の平面形状が円形や楕円形、正方形や長方形、正多角形
でない場合、開口部の平面形状の重心点を指す。開口部
の形成は、例えば、等方性エッチング、異方性エッチン
グと等方性エッチングの組合せによって行うことがで
き、あるいは又、ゲート電極の形成方法に依っては直接
形成することができる。ゲート電極に1つの開口部を設
け、かかるゲート電極に設けられた1つの開口部と連通
する1つの第2の開口部を絶縁層に設け、かかる絶縁層
に設けられた第2の開口部内に1つの電子放出部を設け
てもよいし、ゲート電極に複数の開口部を設け、かかる
ゲート電極に設けられた複数の開口部と連通する1つの
第2の開口部を絶縁層に設け、かかる絶縁層に設けられ
た1つの第2の開口部内に1つの電子放出部を設けても
よい。尚、このような場合であって、カソード電極が電
子放出部に相当する場合には、ゲート電極に設けられた
開口部をカソード電極に垂直に射影したときに形成され
る開口部の像が占める部分を、便宜上、カソード電極に
おける電子放出部とする。
【0057】絶縁層の構成材料として、SiO2、Si
N、SiON、SOG(スピンオングラス)、低融点ガ
ラス、ガラスペーストを、単独あるいは適宜組み合わせ
て使用することができる。絶縁層の形成には、CVD
法、塗布法、スパッタリング法、スクリーン印刷法等の
公知のプロセスが利用できる。第2の開口部の形成は、
例えば、等方性エッチング、異方性エッチングと等方性
エッチングの組合せによって行うことができ、
【0058】第2の構造を有する冷陰極電界電子放出素
子にあっては、絶縁材料から成るゲート電極支持部が形
成されている。この場合、ゲート電極支持部を、隣り合
うストライプ状のカソード電極の間の領域、あるいは、
複数のカソード電極を一群のカソード電極群としたと
き、隣り合うカソード電極群の間の領域に形成すればよ
い。ゲート電極支持部を構成する材料として、従来公知
の絶縁材料を使用することができ、例えば、広く用いら
れている低融点ガラスにアルミナ等の金属酸化物を混合
した材料やSiO2を用いることができる。ゲート電極
支持部の形成方法として、CVD法とエッチング法の組
合せ、スクリーン印刷法、サンドブラスト法、ドライフ
ィルム法、感光法を例示することができる。ドライフィ
ルム法とは、支持体上に感光性フィルムをラミネート
し、露光及び現像によってゲート電極支持部を形成すべ
き部位の感光性フィルムを除去し、除去によって生じた
開口部にゲート電極支持部形成用の絶縁層材料を埋め込
み、焼成する方法である。感光性フィルムは焼成によっ
て燃焼、除去され、開口部に埋め込まれたゲート電極支
持部形成用の絶縁層材料が残り、ゲート電極支持部とな
る。感光法とは、支持体上に感光性を有するゲート電極
支持部形成用の絶縁層材料を形成し、露光及び現像によ
ってこの絶縁層材料をパターニングした後、焼成を行う
方法である。
【0059】カソード電極と電子放出部との間に抵抗体
層を設けてもよい。あるいは又、カソード電極の表面が
電子放出部に相当している場合、カソード電極を導電材
料層、抵抗体層、電子放出部に相当する電子放出層の3
層構成としてもよい。抵抗体層を設けることによって、
冷陰極電界電子放出素子の動作安定化、電子放出特性の
均一化を図ることができる。抵抗体層を構成する材料と
して、シリコンカーバイド(SiC)といったカーボン
系材料、SiN、アモルファスシリコン等の半導体材
料、酸化ルテニウム(RuO2)、酸化タンタル、窒化
タンタル等の高融点金属酸化物を例示することができ
る。抵抗体層の形成方法として、スパッタリング法や、
CVD法やスクリーン印刷法を例示することができる。
抵抗値は、概ね1×105〜1×107Ω、好ましくは数
MΩとすればよい。
【0060】カソードパネルを構成する支持体あるいは
アノードパネルを構成する基板は、少なくとも表面が絶
縁性部材より構成されていればよく、ガラス基板、表面
に絶縁膜が形成されたガラス基板、石英基板、表面に絶
縁膜が形成された石英基板、表面に絶縁膜が形成された
半導体基板を挙げることができる。
【0061】カソードパネルとアノードパネルとを周縁
部において接合する場合、接合は接着層を用いて行って
もよいし、あるいはガラスやセラミックス等の絶縁剛性
材料から成る枠体と接着層とを併用して行ってもよい。
枠体と接着層とを併用する場合には、枠体の高さを適宜
選択することにより、接着層のみを使用する場合に比
べ、カソードパネルとアノードパネルとの間の対向距離
をより長く設定することが可能である。尚、接着層の構
成材料としては、フリットガラスが一般的であるが、融
点が120〜400゜C程度の所謂低融点金属材料を用
いてもよい。かかる低融点金属材料としては、In(イ
ンジウム:融点157゜C);インジウム−金系の低融
点合金;Sn80Ag20(融点220〜370゜C)、S
95Cu5(融点227〜370゜C)等の錫(Sn)
系高温はんだ;Pb97.5Ag2.5(融点304゜C)、
Pb94.5Ag5.5(融点304〜365゜C)、Pb
97.5Ag1.5Sn1.0(融点309゜C)等の鉛(Pb)
系高温はんだ;Zn95Al5(融点380゜C)等の亜
鉛(Zn)系高温はんだ;Sn5Pb95(融点300〜
314゜C)、Sn2Pb98(融点316〜322゜
C)等の錫−鉛系標準はんだ;Au88Ga12(融点38
1゜C)等のろう材(以上の添字は全て原子%を表す)
を例示することができる。
【0062】カソードパネルとアノードパネルと枠体の
三者を接合する場合、三者を同時に接合してもよいし、
あるいは、第1段階でカソードパネル又はアノードパネ
ルのいずれか一方と枠体とを接合し、第2段階でカソー
ドパネル又はアノードパネルの他方と枠体とを接合して
もよい。三者同時接合や第2段階における接合を高真空
雰囲気中で行えば、カソードパネルとアノードパネルと
枠体と接着層とにより囲まれた空間は、接合と同時に真
空となる。あるいは、三者の接合終了後、カソードパネ
ルとアノードパネルと枠体と接着層とによって囲まれた
空間を排気し、真空とすることもできる。接合後に排気
を行う場合、接合時の雰囲気の圧力は常圧/減圧のいず
れであってもよく、また、雰囲気を構成する気体は、大
気であっても、あるいは窒素ガスや周期律表0族に属す
るガス(例えばArガス)を含む不活性ガスであっても
よい。
【0063】接合後に排気を行う場合、排気は、カソー
ドパネル及び/又はアノードパネルに予め接続されたチ
ップ管を通じて行うことができる。チップ管は、典型的
にはガラス管を用いて構成され、カソードパネル及び/
又はアノードパネルの無効領域に設けられた貫通部の周
囲に、フリットガラス又は上述の低融点金属材料を用い
て接合され、空間が所定の真空度に達した後、熱融着に
よって封じ切られる。尚、封じ切りを行う前に、冷陰極
電界電子放出表示装置全体を一旦加熱してから降温させ
ると、空間に残留ガスを放出させることができ、この残
留ガスを排気により空間外へ除去することができるので
好適である。
【0064】本発明の第1の態様若しくは第2の態様に
係る冷陰極電界電子放出素子あるいは冷陰極電界電子放
出表示装置においては、電子放出部からゲート電極まで
の高さHと、開口部の最も広い部分の長さWとの関係を
規定することによって、電子を放出する電子放出部やカ
ソード電極の部分の表面における電界を適切化すること
ができ、電子放出部やカソード電極における電子の放出
起点を開口部中心及びその近傍の電子放出部やカソード
電極の部分とすることが可能となる。また、本発明の第
2の態様若しくは第4の態様に係る冷陰極電界電子放出
素子あるいは冷陰極電界電子放出表示装置においては、
開口部中心に位置する電子放出部あるいはカソード電極
の部分の表面におけるZ方向の電界強度成分EZCと、開
口部端部近傍の電子放出部あるいはカソード電極の部分
の表面におけるZ方向の電界強度成分EZEとの関係を規
定することによって、電子を放出する電子放出部やカソ
ード電極の部分の表面における電界を適切化することが
でき、電子放出部やカソード電極における電子の放出起
点を開口部中心及びその近傍の電子放出部やカソード電
極の部分とすることが可能となる。
【0065】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、発明の実
施の形態(以下、実施の形態と略称する)に基づき本発
明を説明する。尚、実施の形態1〜実施の形態11及び
実施の形態18は、本発明の第1の態様及び第3の態様
に係る冷陰極電界電子放出素子(以下、電界放出素子と
略称する)及び本発明の第1の態様及び第3の態様に係
る冷陰極電界電子放出表示装置(以下、表示装置と略称
する)に関し、実施の形態12〜実施の形態17及び実
施の形態19は、本発明の第2の態様及び第4の態様に
係る電界放出素子及び本発明の第2の態様及び第4の態
様に係る表示装置に関する。また、実施の形態1〜実施
の形態17における電界放出素子は、第1の構造を有
し、実施の形態18〜実施の形態19における電界放出
素子は、第2の構造を有する。
【0066】(実施の形態1)実施の形態1は、本発明
の第1の態様及び第3の態様に係る電界放出素子と及び
本発明の第1の態様及び第3の態様に係る表示装置に関
する。
【0067】実施の形態1における電界放出素子の模式
的な一部端面図を図1に示し、表示装置の模式的な一部
端面図を図2に示し、カソードパネル及びアノードパネ
ルの一部分の模式的な分解斜視図を図3に示す。
【0068】実施の形態1における電界放出素子は第1
の構造を有し、開口部の平面形状は円形である。具体的
には、実施の形態1における電界放出素子は、支持体1
0上に設けられたカソード電極11と、カソード電極1
1上に設けられた電子放出部16と、電子放出部16の
上方に配設され、電子放出部16から放出された電子を
通過させるための開口部14を有するゲート電極13か
ら成る。また、支持体10及びカソード電極11の上に
は絶縁層12が形成され、絶縁層12上にゲート電極1
3が形成され、絶縁層12には、ゲート電極13に設け
られた開口部14に連通した第2の開口部15が形成さ
れている。電子放出部16は炭素薄膜から成り、絶縁層
12は比誘電率κ=4.2のSiO2から成る。カソー
ド電極11とゲート電極13とは、これらの両電極の射
影像が互いに直交する方向に各々ストライプ状に形成さ
れており、これらの両電極の射影像が重複する重複領域
(1画素分の領域に相当し、電子放出領域とも呼ぶ)
に、複数の電界放出素子が配列されている。更に、かか
る重複領域が、カソードパネルCPの有効領域(実際の
表示部分として機能する領域)内に、通常、2次元マト
リクス状に配列されている。尚、図2に示す端面図に
は、カソードパネルCPにおいて、1本のカソード電極
11につき開口部14,15及び電子放出部16を、図
面の簡素化のために2つずつ示しているが、これに限定
するものではなく、また、電界放出素子の基本的な構成
は図1に示したとおりである。
【0069】一方、アノードパネルAPは、基板20
と、基板20上に形成され、所定のパターンを有する蛍
光体層21(赤色発光蛍光体層21R、緑色発光蛍光体
層21G、青色発光蛍光体層21B)と、その上に形成
されたアノード電極23から構成されている。1画素
は、カソードパネル側のカソード電極11とゲート電極
13との重複領域に配列された電界放出素子の一群と、
これらの電界放出素子の一群に対面したアノードパネル
側の蛍光体層21とによって構成されている。有効領域
には、かかる画素が、例えば数十万〜数百万個ものオー
ダーにて配列されている。尚、蛍光体層21と蛍光体層
21との間の基板20上にはブラックマトリックス22
が形成されている。
【0070】アノードパネルAPとカソードパネルCP
とを、電界放出素子と蛍光体層21とが対向するように
配置し、周縁部において枠体24を介して接合すること
によって、表示装置を作製することができる。有効領域
を包囲し、画素を選択するための周辺回路が形成された
無効領域(図示した例では、カソードパネルCPの無効
領域)には、真空排気用の貫通孔17が設けられてお
り、この貫通孔17には真空排気後に封じ切られたチッ
プ管18が接続されている。即ち、アノードパネルAP
とカソードパネルCPと枠体24とによって囲まれた空
間は真空となっている。図2は表示装置の完成状態を示
しており、図示したチップ管18は既に封じ切られてい
る。
【0071】カソード電極11には相対的な負電圧がカ
ソード電極制御回路30から印加され、ゲート電極13
には相対的な正電圧がゲート電極制御回路31から印加
され、アノード電極23にはゲート電極13よりも更に
高い正電圧がアノード電極制御回路32から印加され
る。かかる表示装置において表示を行う場合、例えば、
カソード電極11にカソード電極制御回路30から走査
信号を入力し、ゲート電極13にゲート電極制御回路3
1からビデオ信号を入力する。カソード電極11とゲー
ト電極13との間に電圧を印加した際に生ずる電界によ
り、量子トンネル効果に基づき電子放出部16から電子
が放出され、この電子がアノード電極23に引き付けら
れ、蛍光体層21に衝突する。その結果、蛍光体層21
が励起されて発光し、所望の画像を得ることができる。
つまり、この表示装置の動作は、基本的に、ゲート電極
13に印加される電圧、及びカソード電極11を通じて
電子放出部16に印加される電圧によって制御される。
【0072】実施の形態1においては、電子放出部16
からゲート電極13までの高さH(具体的には、電子放
出部16の頂面からゲート電極13の頂面までの高さ
H)を3μm、開口部の最も広い部分の長さ(具体的に
は、開口部14の直径)Wを6μmとした。即ち、W/
H=2であり、W/H≦2.5を満足する。
【0073】ゲート電極13及びカソード電極11に印
加される電圧の電位差によって電界が生じる。電子放出
部16の表面における、カソード電極11の法線方向
(Z方向)の電界強度成分をEZ、カソード電極11の
表面と平行な方向(X方向)の電界強度成分をEXとす
る。図4の(A)及び(B)に、絶縁層12としてSi
2を使用し、W/H=6μm/3μm=2の条件にお
ける電界強度成分EZ及び電界強度成分EXのシミュレー
ション結果を模式的に示す。
【0074】図4の(A)からも明らかなように、電子
放出部16の中心における電界強度成分EZが最も弱く
なり、電子放出部16の中心から離れるに従い電界強度
成分EZは高い値となる。従って、電子放出部16の中
心から離れるに従い、より一層電子が放出されるように
なる。しかも、電子放出部16の中心における電界強度
成分EXが最も低い値となる。従って、電子放出部16
の中心あるいはその近傍においては、電子はカソード電
極11の法線と平行な方向(Z方向)に放出される。そ
れ故、放出された電子の収束性に優れ、電子放出部16
から放出された電子がゲート電極13や絶縁層12に衝
突し難くなるし、デフォーカスや光学的クロストークが
発生し難くなる。
【0075】また、ゲート電極13及びカソード電極1
1に印加される電圧の電位差によって生じる電界におい
て、開口部14の中心(図1においては、点線Cで示
す)に位置する電子放出部16の部分の表面におけるカ
ソード電極法線方向(Z方向)の電界強度成分をEZC
開口部14の中心から最も遠いところに位置する開口部
14(ゲート電極開口端部)の部分と開口部14の中心
とを結んだ線分の長さをLとし、開口部14の中心から
最も遠いところに位置する開口部14(ゲート電極開口
端部)の部分から開口部14の中心に向かってL’=
0.2Lのところに位置する電子放出部16の部分(図
1においては、点線Eで示す)の表面におけるカソード
電極法線方向(Z方向)の電界強度成分をEZEとしたと
き、EZC=0.302EZEである。即ち、EZC≧0.3
ZEを満足している。尚、後述する実施の形態2〜実施
の形態11においても同様である。
【0076】尚、図4に示すような電界強度成分EZ
Xを得るためのW/Hの値と絶縁層を構成する材料の
比誘電率κとの関係を図5に示す。図5から、絶縁層と
して従来から使用されている材料を用いる場合、W/H
の値が2.5以下であれば、図4に示す電界強度成分E
Z,EXを得ることができることが判る。尚、図5におい
て、白丸は、絶縁層が設けられていないときの、あるい
は又、絶縁層やゲート電極支持部が電子放出部あるいは
電子放出部に相当するカソード電極の部分から遠く離れ
ている、即ち、第2の構造を有する電界放出素子におけ
るW/Hの値である。
【0077】ところで、W/H>3の場合、ゲート電極
近傍において電界強度成分EXは急激に高い値を示し、
また、電界強度成分EZもゲート電極近傍において高い
値を示す。このような現象は、XZ平面でゲート電極を
切断したと仮定したとき、切断されたゲート電極の片側
のそれぞれからの電界が支配的となることに起因する。
W/H≦2.5を満足する場合、XZ平面でゲート電極
を切断したと仮定したとき、切断されたゲート電極の両
側の距離が非常に近くなるので、係るゲート電極の両側
が、電界強度成分EXを打ち消す方向に、また電界強度
成分EZを強め合う方向に、相互に作用する。その結
果、電界強度成分EXが弱くなるだけでなく、開口部中
心にまで電界強度成分EZが加わる。
【0078】以下、実施の形態1における電界放出素子
及び表示装置の製造方法を、図6を参照して説明する。
【0079】[工程−100]先ず、例えばガラス基板
から成る支持体10上にカソード電極形成用の導電材料
層を形成し、次いで、周知のリソグラフィ技術及びRI
E法に基づき導電材料層をパターニングすることによっ
て、ストライプ状のカソード電極11を支持体10上に
形成する。ストライプ状のカソード電極11は、図面の
紙面左右方向に延びている。導電材料層は、例えばスパ
ッタリング法により形成された厚さ約0.2μmの銅
(Cu)層から成る。
【0080】[工程−110]次に、支持体10及びカ
ソード電極11上に絶縁層12を形成する。具体的に
は、例えばTEOS(テトラエトキシシラン)を原料ガ
スとして使用するCVD法により、全面に、厚さ3μm
の絶縁層12を形成する。絶縁層12の成膜条件の一例
を、下記の表1に示す。
【0081】[表1] [絶縁層の成膜条件] TEOS流量:800SCCM O2流量 :600SCCM 圧力 :1.1kPa RFパワー :0.7kW(13.56MHz) 成膜温度 :400゜C
【0082】[工程−120]その後、絶縁層12上に
開口部14を有するゲート電極13を形成する。具体的
には、絶縁層12上にゲート電極を構成するためのアル
ミニウム(Al)から成り、厚さ0.2μmの導電材料
層をスパッタリング法にて形成した後、導電材料層上に
パターニングされた第1のマスク材料層(図示せず)を
形成し、かかる第1のマスク材料層をエッチング用マス
クとして用いて導電材料層をエッチングして、導電材料
層をストライプ状にパターニングした後、第1のマスク
材料層を除去する。次いで、導電材料層及び絶縁層12
上にパターニングされた第2のマスク材料層(図示せ
ず)を形成し、かかる第2のマスク材料層をエッチング
用マスクとして用いて導電材料層をエッチングする。こ
れによって、絶縁層12上に開口部14を有するゲート
電極13を得ることができる。ストライプ状のゲート電
極13は、カソード電極11と異なる方向(例えば、図
面の紙面垂直方向)に延びている。引き続き、ゲート電
極13に形成された開口部14に連通する第2の開口部
15を絶縁層12に形成する。具体的には、第2のマス
ク材料層をエッチング用マスクとして用いて絶縁層12
をRIE法にてエッチングした後、第2のマスク材料層
を除去する。こうして、図6に示す構造を得ることがで
きる。絶縁層12のエッチング条件を以下の表2に例示
する。実施の形態1においては、開口部14と第2の開
口部15とは、一対一の対応関係にある。即ち、1つの
開口部14に対応して、1つの第2の開口部15が形成
される。尚、開口部14,15の平面形状は、直径6μ
mの円形である。即ち、W/Hの値は2である。これら
の開口部14,15を、例えば、1画素に1個〜300
0個程度形成すればよい。
【0083】[表2] [絶縁層のエッチング条件] エッチング装置:平行平板型RIE装置 C48流量 :30SCCM CO流量 :70SCCM Ar流量 :300SCCM 圧力 :7.3Pa RFパワー :1.3kW(13.56MHz) エッチング温度:室温
【0084】[工程−130]その後、開口部14,1
5の底部に位置し、一種の触媒としての機能を有する材
料である銅(Cu)から構成されたカソード電極11の
部分の表面に炭素薄膜40から成る電子放出部16を形
成する。具体的には、かかるカソード電極11の部分の
表面に、厚さ約0.2μmの炭素薄膜40を形成し、電
子放出部16を得る。この状態を図1に示す。マイクロ
波プラズマCVD法に基づく炭素薄膜40の成膜条件
を、以下の表3に例示する。従来の炭素薄膜の成膜条件
においては、900゜C程度の成膜温度が必要とされた
が、実施の形態1においては、成膜温度300゜Cで安
定した成膜を達成することができた。尚、ゲート電極1
3をアルミニウム(Al)から構成しているので、ゲー
ト電極13上に炭素薄膜が形成されることはない。
【0085】[表3] [炭素薄膜の成膜条件] 使用ガス :CH4/H2=100/10SCCM 圧力 :1.3×103Pa マイクロ波パワー:500W(13.56MHz) 成膜温度 :300゜C
【0086】実施の形態1においては、開口部14,1
5の底部に位置し、一種の触媒としての機能を有する材
料から構成されたカソード電極11の部分の表面に炭素
薄膜40から成る電子放出部16を形成するので、炭素
薄膜40を所望の形状にするための炭素薄膜のパターニ
ングを行う必要が無い。
【0087】[工程−140]その後、表示装置の組み
立てを行う。具体的には、蛍光体層21と電界放出素子
とが対向するようにアノードパネルAPとカソードパネ
ルCPとを配置し、アノードパネルAPとカソードパネ
ルCP(より具体的には、基板20と支持体10)と
を、枠体24を介して、周縁部において接合する。接合
に際しては、枠体24とアノードパネルAPとの接合部
位、及び枠体24とカソードパネルCPとの接合部位に
フリットガラスを塗布し、アノードパネルAPとカソー
ドパネルCPと枠体24とを貼り合わせ、予備焼成にて
フリットガラスを乾燥した後、約450゜Cで10〜3
0分の本焼成を行う。その後、アノードパネルAPとカ
ソードパネルCPと枠体24とフリットガラスとによっ
て囲まれた空間を、貫通孔17及びチップ管18を通じ
て排気し、空間の圧力が10-4Pa程度に達した時点で
チップ管18を加熱溶融により封じ切る。このようにし
て、アノードパネルAPとカソードパネルCPと枠体2
4とに囲まれた空間を真空にすることができる。その
後、必要な外部回路との配線を行い、表示装置を完成さ
せる。
【0088】尚、図2に示した表示装置におけるアノー
ドパネルAPの製造方法の一例を、以下、図7を参照し
て説明する。先ず、発光性結晶粒子組成物を調製する。
そのために、例えば、純水に分散剤を分散させ、ホモミ
キサーを用いて3000rpmにて1分間、撹拌を行
う。次に、発光性結晶粒子を分散剤が分散した純水中に
投入し、ホモミキサーを用いて5000rpmにて5分
間、撹拌を行う。その後、例えば、ポリビニルアルコー
ル及び重クロム酸アンモニウムを添加して、十分に撹拌
し、濾過する。
【0089】アノードパネルAPの製造においては、例
えばガラスから成る基板20上の全面に感光性被膜50
を形成(塗布)する。そして、露光光源(図示せず)か
ら射出され、マスク53に設けられた孔部54を通過し
た紫外線によって、基板20上に形成された感光性被膜
50を露光して感光領域51を形成する(図7の(A)
参照)。その後、感光性被膜50を現像して選択的に除
去し、感光性被膜の残部(露光、現像後の感光性被膜)
52を基板20上に残す(図7の(B)参照)。次に、
全面にカーボン剤(カーボンスラリー)を塗布し、乾
燥、焼成した後、リフトオフ法にて感光性被膜の残部5
2及びその上のカーボン剤を除去することによって、露
出した基板20上にカーボン剤から成るブラックマトリ
ックス22を形成し、併せて、感光性被膜の残部52を
除去する(図7の(C)参照)。その後、露出した基板
20上に、赤、緑、青の各蛍光体層21を形成する(図
7の(D)参照)。具体的には、各発光性結晶粒子(蛍
光体粒子)から調製された発光性結晶粒子組成物を使用
し、例えば、赤色の感光性の発光性結晶粒子組成物(蛍
光体スラリー)を全面に塗布し、露光、現像し、次い
で、緑色の感光性の発光性結晶粒子組成物(蛍光体スラ
リー)を全面に塗布し、露光、現像し、更に、青色の感
光性の発光性結晶粒子組成物(蛍光体スラリー)を全面
に塗布し、露光、現像すればよい。その後、蛍光体層2
1及びブラックマトリックス22上にスパッタリング法
にて厚さ約0.07μmのアルミニウム薄膜から成るア
ノード電極23を形成する。尚、スクリーン印刷法等に
より各蛍光体層21を形成することもできる。
【0090】尚、アノード電極は、有効領域を1枚のシ
ート状の導電材料で被覆した形式のアノード電極として
もよいし、1又は複数の電子放出部、あるいは、1又は
複数の画素に対応するアノード電極ユニットが集合した
形式のアノード電極としてもよい。
【0091】かかる構成を有する表示装置において、電
子放出部は仕事関数の低い平面状の炭素薄膜40から成
り、その加工には、従来のスピント型電界放出素子に関
して必要とされた複雑、且つ、高度な加工技術を何ら要
しない。しかも、炭素薄膜40のエッチング加工が不要
である。従って、表示装置の有効領域の面積が増大し、
これに伴って電子放出部の形成数が著しく増大した場合
にも、有効領域の全域に亙って各電子放出部の電子放出
効率を均一化し、輝度ムラが極めて少ない高画質の表示
装置を実現することができる。
【0092】(実施の形態2)実施の形態2は、実施の
形態1の変形である。実施の形態1にて説明した電界放
出素子の製造方法及び表示装置の製造方法にあっては、
カソード電極11の表面が自然酸化され、炭素薄膜40
の形成が困難となる場合がある。実施の形態2において
は、カソード電極の表面の金属酸化物(所謂、自然酸化
膜)を除去する。尚、カソード電極の表面の金属酸化物
を、プラズマ還元処理若しくは洗浄処理によって除去す
る。
【0093】実施の形態2、あるいは後述する実施の形
態3により製造される電界放出素子及び表示装置の構造
は、実施の形態1にて説明した電界放出素子及び表示装
置の構造と同じであるので、詳細な説明は省略する。以
下、実施の形態2の電界放出素子の製造方法及び表示装
置の製造方法を説明する。
【0094】[工程−200]先ず、実施の形態1の
[工程−100]〜[工程−120]と同様にして、例
えばガラス基板から成る支持体10上にカソード電極1
1を形成し、次いで、支持体10及びカソード電極11
上に絶縁層12を形成し、その後、絶縁層12上に開口
部14を有するゲート電極13を形成し、更に、ゲート
電極13に形成された開口部14に連通する第2の開口
部15を絶縁層12に形成する。
【0095】[工程−210]次に、開口部14,15
の底部に露出したカソード電極11の部分の表面の金属
酸化物(自然酸化膜)を、以下の表4に例示するプラズ
マ還元処理(マイクロ波プラズマ処理)に基づき除去す
る。あるいは又、例えば50%フッ酸水溶液と純水の
1:49(容積比)混合液を用いて、露出したカソード
電極の部分の表面の金属酸化物(自然酸化膜)を除去す
ることもできる。
【0096】[表4] 使用ガス :H2=100SCCM 圧力 :1.3×103Pa マイクロ波パワー:600W(13.56MHz) 処理温度 :400゜C
【0097】[工程−220]その後、開口部14,1
5の底部に露出したカソード電極11の部分の表面に、
厚さ約0.2μmの炭素薄膜40を形成し、電子放出部
16を得る。マイクロ波プラズマCVD法に基づく炭素
薄膜40の成膜条件を、以下の表5に例示する。実施の
形態2においては、成膜温度200゜Cで安定した成膜
を達成することができた。
【0098】 [表5] [炭素薄膜の成膜条件] 使用ガス :CH4/H2=100/10SCCM 圧力 :1.3×103Pa マイクロ波パワー :500W(13.56MHz) 成膜温度 :200゜C
【0099】[工程−230]その後、実施の形態1の
[工程−130]と同様にして、表示装置の組み立てを
行う。
【0100】実施の形態2においては、開口部14,1
5の底部に露出したカソード電極11の部分の表面の金
属酸化物(自然酸化膜)を除去した後、かかるカソード
電極の部分の部分の表面に炭素薄膜を形成するので、よ
り一層低い温度での炭素薄膜の形成が可能となる。
【0101】(実施の形態3)実施の形態3も、実施の
形態1の変形である。実施の形態3においては、開口部
14,15の底部に露出したカソード電極11の部分の
表面に凹凸を形成する。これによって、その上に形成さ
れる炭素薄膜には突起部が形成される結果、高い電子放
出効率を有する電界放出素子を得ることができる。以
下、実施の形態3における電界放出素子及び表示装置の
製造方法を説明する。
【0102】[工程−300]先ず、実施の形態1の
[工程−100]〜[工程−120]と同様にして、例
えばガラス基板から成る支持体10上にカソード電極1
1を形成し、次いで、支持体10及びカソード電極11
上に絶縁層12を形成し、その後、絶縁層12上に開口
部14を有するゲート電極13を形成し、更に、ゲート
電極13に形成された開口部14に連通する第2の開口
部15を絶縁層12に形成する。
【0103】[工程−310]その後、開口部14,1
5の底部に位置するカソード電極11の部分の表面をエ
ッチングして、凹凸を形成する。かかるエッチングの条
件を以下の表6に例示する。
【0104】[表6] エッチング溶液:塩酸1%水溶液 処理時間 :5分間
【0105】[工程−320]その後、実施の形態1の
[工程−130]と同様の工程を実行することによっ
て、開口部14,15の底部に位置するカソード電極1
1の部分の表面に炭素薄膜40から成る電子放出部16
を形成する。具体的には、かかるカソード電極11の部
分の表面に、厚さ約0.2μmの炭素薄膜40を形成
し、電子放出部16を得る。マイクロ波プラズマCVD
法に基づく炭素薄膜40の成膜条件を、以下の表7に例
示する。従来の炭素薄膜の成膜条件においては、900
゜C程度の成膜温度が必要とされたが、実施の形態3に
おいては、成膜温度200゜Cで安定した成膜を達成す
ることができた。
【0106】[表7] [炭素薄膜の成膜条件] 使用ガス :CH4/H2=100/10SCCM 圧力 :7×102Pa マイクロ波パワー:700W(13.56MHz) 成膜温度 :200゜C
【0107】[工程−330]その後、実施の形態1の
[工程−130]と同様にして、表示装置の組み立てを
行う。
【0108】尚、実施の形態3にて説明した開口部1
4,15の底部に露出したカソード電極11の部分の表
面に凹凸を形成する工程を、実施の形態2に適用するこ
とができる。また、実施の形態2にて説明した金属酸化
物(自然酸化膜)の除去を、実施の形態3に適用するこ
ともできる。
【0109】(実施の形態4)実施の形態4も、実施の
形態1の変形である。実施の形態4の電界放出素子の模
式的な一部端面図を図11の(B)に示し、表示装置の
模式的な一部端面図を図8に示す。この電界放出素子
は、支持体10上に形成されたカソード電極11、及
び、カソード電極11の上方に形成され、開口部14を
有するゲート電極13から成る。支持体10及びカソー
ド電極11上には絶縁層12が形成されており、ゲート
電極13に設けられた開口部14に連通した第2の開口
部15が絶縁層12に設けられている。そして、開口部
14,15の底部に位置するカソード電極11の部分の
表面に形成された炭素薄膜選択成長領域41、及び、炭
素薄膜選択成長領域41上に形成された炭素薄膜40か
ら成る電子放出部16を更に備えている。実施の形態4
において、炭素薄膜選択成長領域41は、表面にニッケ
ル(Ni)から成る金属粒子42が付着したカソード電
極11の部分である。
【0110】実施の形態4の表示装置の構成例を図8に
示す。表示装置は、上述のような電界放出素子が有効領
域に多数形成されたカソードパネルCPと、アノードパ
ネルAPから構成されており、複数の画素から構成さ
れ、各画素は、電界放出素子と、電界放出素子に対向し
て基板20上に設けられたアノード電極23及び蛍光体
層21から構成されている。カソードパネルCPとアノ
ードパネルAPとは、それらの周縁部において、枠体2
4を介して接合されている。図8に示す端面図には、カ
ソードパネルCPにおいて、1本のカソード電極11に
つき開口部14,15及び電子放出部16である炭素薄
膜40を、図面の簡素化のために2つずつ示している
が、これに限定するものではなく、また、電界放出素子
の基本的な構成は図11の(B)に示したとおりであ
る。更には、カソードパネルCPの無効領域には、真空
排気用の貫通孔17が設けられており、この貫通孔17
には、真空排気後に封じ切られるチップ管18が接続さ
れている。但し、図8は表示装置の完成状態を示してお
り、図示したチップ管18は既に封じ切られている。
【0111】アノードパネルAPの構造は、実施の形態
1にて説明したアノードパネルAPと同様の構造とする
ことができるので、詳細な説明は省略する。
【0112】この表示装置において表示を行う場合の表
示装置の動作は、実施の形態1にて説明した表示装置の
動作を同様とすることができるので、詳細な説明は省略
する。
【0113】以下、実施の形態4の電界放出素子の製造
方法及び表示装置の製造方法を、図8〜図11を参照し
て説明する。
【0114】[工程−400]先ず、例えばガラス基板
から成る支持体10上にカソード電極形成用の導電材料
層を形成し、次いで、周知のリソグラフィ技術及びRI
E法に基づき導電材料層をパターニングすることによっ
て、ストライプ状のカソード電極11を支持体10上に
形成する(図9の(A)参照)。ストライプ状のカソー
ド電極11は、図面の紙面左右方向に延びている。導電
材料層は、例えばスパッタリング法により形成された厚
さ約0.2μmのクロム(Cr)層から成る。
【0115】[工程−410]次に、支持体10及びカ
ソード電極11上に絶縁層12を形成する。具体的に
は、例えばTEOS(テトラエトキシシラン)を原料ガ
スとして使用するCVD法により、全面に、厚さ3μm
の絶縁層12を形成する。絶縁層12の成膜条件は表1
と同様とすればよい。
【0116】[工程−420]その後、絶縁層12上に
開口部14を有するゲート電極13を形成する。具体的
には、絶縁層12上にゲート電極を構成するためのアル
ミニウム(Al)から成り、厚さ0.2μmの導電材料
層をスパッタリング法にて形成した後、導電材料層上に
パターニングされた第1のマスク材料層(図示せず)を
形成し、かかる第1のマスク材料層をエッチング用マス
クとして用いて導電材料層をエッチングして、導電材料
層をストライプ状にパターニングした後、第1のマスク
材料層を除去する。次いで、導電材料層及び絶縁層12
上にパターニングされた第2のマスク材料層(図示せ
ず)を形成し、かかる第2のマスク材料層をエッチング
用マスクとして用いて導電材料層をエッチングする。こ
れによって、絶縁層12上に開口部14を有するゲート
電極13を得ることができる。ストライプ状のゲート電
極13は、カソード電極11と異なる方向(例えば、図
面の紙面垂直方向)に延びている。
【0117】[工程−430]次いで、引き続き、ゲー
ト電極13に形成された開口部14に連通する第2の開
口部15を絶縁層12に形成する。具体的には、第2の
マスク材料層をエッチング用マスクとして用いて絶縁層
12をRIE法にてエッチングした後、第2のマスク材
料層を除去する。こうして、図9の(B)に示す構造を
得ることができる。絶縁層12のエッチング条件は表2
に例示したと同様とすればよい。実施の形態4において
は、開口部14と第2の開口部15とは、一対一の対応
関係にある。即ち、1つの開口部14に対応して、1つ
の第2の開口部15が形成される。尚、開口部14,1
5の平面形状は、例えば直径6μmの円形である。即
ち、W/Hの値は2である。これらの開口部14,15
を、例えば、1画素に1個〜3000個程度形成すれば
よい。
【0118】[工程−440]その後、開口部14,1
5の底部に位置するカソード電極11の部分の表面に炭
素薄膜選択成長領域41を形成する。そのために、先
ず、第2の開口部15の底部の中央部にカソード電極1
1の表面が露出したマスク層44を形成する(図9の
(C)参照)。具体的には、レジスト材料層をスピンコ
ート法にて開口部14,15内を含む全面に成膜した
後、リソグラフィ技術に基づき、第2の開口部15の底
部の中央部に位置するレジスト材料層に孔部を形成する
ことによって、マスク層44を得ることができる。実施
の形態4においては、マスク層44は、第2の開口部1
5の底部に位置するカソード電極11の一部分、第2の
開口部15の側壁、開口部14の側壁、ゲート電極13
及び絶縁層12を被覆している。これによって、次の工
程で、第2の開口部15の底部の中央部に位置するカソ
ード電極11の部分の表面に炭素薄膜選択成長領域を形
成するが、カソード電極11とゲート電極13とが金属
粒子によって短絡することを確実に防止し得る。
【0119】次に、露出したカソード電極11の表面を
含むマスク層44上に、金属粒子を付着させる。具体的
には、ニッケル(Ni)微粒子をポリシロキサン溶液中
に分散させた溶液(溶媒としてイソプロピルアルコール
を使用)をスピンコート法にて全面に塗布し、カソード
電極部分の表面に溶媒と金属粒子から成る層を形成す
る。その後、マスク層44を除去し、400゜C程度に
加熱することによって溶媒を除去し、露出したカソード
電極11の表面に金属粒子42を残すことで、炭素薄膜
選択成長領域41を得ることができる(図10の(A)
参照)。尚、ポリシロキサンは、露出したカソード電極
11の表面に金属粒子42を固定させる機能(所謂、接
着機能)を有する。
【0120】[工程−450]その後、炭素薄膜選択成
長領域41上に、厚さ約0.2μmの炭素薄膜40を形
成し、電子放出部16を得る。この状態を図10の
(B)及び図11の(A)に示すが、図10の(B)は
ゲート電極13の延びる方向から電界放出素子を眺めた
模式的な一部端面図であり、図11の(A)はカソード
電極11の延びる方向から電界放出素子を眺めた模式的
な一部端面図である。マイクロ波プラズマCVD法に基
づく炭素薄膜40の成膜条件を、以下の表8に例示す
る。従来の炭素薄膜の成膜条件においては、900゜C
程度の成膜温度が必要とされたが、実施の形態4におい
ては、成膜温度500゜Cで安定した成膜を達成するこ
とができた。
【0121】[表8] [炭素薄膜の成膜条件] 使用ガス :CH4/H2=100/10SCCM 圧力 :1.3×103Pa マイクロ波パワー:500W(13.56MHz) 成膜温度 :500゜C
【0122】[工程−460]その後、絶縁層12に設
けられた第2の開口部15の側壁面を等方的なエッチン
グによって後退させることが、ゲート電極13の開口端
部を露出させるといった観点から、好ましい。こうし
て、図11の(B)に示す電界放出素子を完成すること
ができる。尚、等方的なエッチングは、ケミカルドライ
エッチングのようにラジカルを主エッチング種として利
用するドライエッチング、あるいはエッチング液を利用
するウェットエッチングにより行うことができる。エッ
チング液としては、例えば49%フッ酸水溶液と純水の
1:100(容積比)混合液を用いることができる。
【0123】[工程−470]その後、実施の形態1の
[工程−130]と同様にして、表示装置の組み立てを
行う。
【0124】かかる構成を有する表示装置において、電
界放出素子の電子放出部16は第2の開口部15の底部
に露出した、仕事関数の低い平面状の炭素薄膜40から
成り、その加工には、従来のスピント型電界放出素子に
関して必要とされた複雑、且つ、高度な加工技術を何ら
要しない。しかも、炭素薄膜40のエッチング加工が不
要である。従って、表示装置の有効領域の面積が増大
し、これに伴って電子放出部16の形成数が著しく増大
した場合にも、有効領域の全域に亙って各電子放出部1
6の電子放出効率を均一化し、輝度ムラが極めて少ない
高画質の表示装置を実現することができる。
【0125】(実施の形態5)実施の形態5は、実施の
形態4にて説明した電界放出素子の製造方法及び表示装
置の製造方法の変形である。実施の形態4にて説明した
電界放出素子の製造方法及び表示装置の製造方法にあっ
ては、カソード電極部分の表面に金属粒子42を付着さ
せた後、直ちに、炭素薄膜40を形成しないと、金属粒
子42の表面が自然酸化され、炭素薄膜40の形成が困
難となる場合がある。実施の形態5においては、炭素薄
膜選択成長領域41を形成すべきカソード電極11の部
分の表面に、金属粒子42を付着させた後、金属粒子4
2の表面の金属酸化物(所謂、自然酸化膜)を除去す
る。尚、金属粒子の表面の金属酸化物を、プラズマ還元
処理若しくは洗浄処理によって除去する。
【0126】実施の形態5、あるいは後述する実施の形
態6〜実施の形態7により製造される電界放出素子及び
表示装置の構造は、実施の形態4にて説明した電界放出
素子及び表示装置の構造と実質的に同じであるので、詳
細な説明は省略する。以下、実施の形態5の電界放出素
子の製造方法及び表示装置の製造方法を説明する。
【0127】[工程−500]先ず、実施の形態4の
[工程−400]〜[工程−430]と同様にして、例
えばガラス基板から成る支持体10上にカソード電極1
1を形成し、次いで、支持体10及びカソード電極11
上に絶縁層12を形成し、その後、絶縁層12上に開口
部14を有するゲート電極13を形成し、更に、ゲート
電極13に形成された開口部14に連通する第2の開口
部15を絶縁層12に形成する。
【0128】[工程−510]その後、実施の形態4の
[工程−440]と同様にして、第2の開口部15の底
部の中央部にカソード電極11の表面が露出したマスク
層44を形成する。次に、露出したカソード電極11の
表面を含むマスク層44上に、金属粒子を付着させる。
具体的には、モリブデン(Mo)微粒子をポリシロキサ
ン溶液中に分散させた溶液(溶媒としてイソプロピルア
ルコールを使用)をスピンコート法にて全面に塗布し、
カソード電極部分の表面に溶媒と金属粒子から成る層を
形成する。その後、マスク層44を除去し、400゜C
程度に加熱することによって溶媒を十分に除去し、露出
したカソード電極11の表面に金属粒子42を残すこと
で、炭素薄膜選択成長領域41を得ることができる。
【0129】[工程−520]次に、金属粒子42の表
面の金属酸化物(自然酸化膜)を、表4に例示したと同
様のプラズマ還元処理(マイクロ波プラズマ処理)に基
づき除去する。あるいは又、例えば50%フッ酸水溶液
と純水の1:49(容積比)混合液を用いて、金属粒子
42の表面の金属酸化物(自然酸化膜)を除去すること
もできる。
【0130】[工程−530]その後、炭素薄膜選択成
長領域41上に、厚さ約0.2μmの炭素薄膜40を形
成し、電子放出部16を得る。マイクロ波プラズマCV
D法に基づく炭素薄膜40の成膜条件を、以下の表9に
例示する。実施の形態5においては、成膜温度400゜
Cで安定した成膜を達成することができた。
【0131】 [表9] [炭素薄膜の成膜条件] 使用ガス :CH4/H2=100/10SCCM 圧力 :1.3×103Pa マイクロ波パワー :500W(13.56MHz) 成膜温度 :400゜C
【0132】[工程−540]その後、実施の形態4の
[工程−460]と同様にして、図11の(B)に示し
たと同様の電界放出素子を完成することができる。更
に、実施の形態1の[工程−130]と同様にして、表
示装置の組み立てを行う。
【0133】(実施の形態6)実施の形態6も、実施の
形態4にて説明した電界放出素子の製造方法及び表示装
置の製造方法の変形である。実施の形態4にて説明した
電界放出素子の製造方法及び表示装置の製造方法にあっ
ては、カソード電極部分の表面に金属粒子42を付着さ
せた。一方、実施の形態6においては、カソード電極部
分の表面に金属粒子を付着させる工程は、金属粒子を構
成する金属原子を含む金属化合物粒子をカソード電極部
分の表面に付着させた後、金属化合物粒子を加熱するこ
とによって分解させ、以て、表面に金属粒子が付着した
カソード電極の部分から成る炭素薄膜選択成長領域を得
る工程から成る。具体的には、溶媒と金属化合物粒子
(実施の形態6においてはヨウ化銅)から成る層をカソ
ード電極部分の表面に形成した後、溶媒を除去し、金属
化合物粒子を残した後、金属化合物粒子(ヨウ化銅粒
子)を加熱することによって分解させ、以て、表面に金
属粒子(銅粒子)が付着したカソード電極の部分から成
る炭素薄膜選択成長領域を得る。以下、実施の形態6の
電界放出素子の製造方法及び表示装置の製造方法を説明
する。
【0134】[工程−600]先ず、実施の形態4の
[工程−400]〜[工程−430]と同様にして、例
えばガラス基板から成る支持体10上にカソード電極1
1を形成し、次いで、支持体10及びカソード電極11
上に絶縁層12を形成し、その後、絶縁層12上に開口
部14を有するゲート電極13を形成し、更に、ゲート
電極13に形成された開口部14に連通する第2の開口
部15を絶縁層12に形成する。
【0135】[工程−610]その後、実施の形態4の
[工程−440]と同様にして、第2の開口部15の底
部の中央部にカソード電極11の表面が露出したマスク
層44を形成する。次に、露出したカソード電極11上
に、金属粒子を付着させる。具体的には、実施の形態4
と同様に、ヨウ化銅微粒子をポリシロキサン溶液中に分
散させた溶液をスピンコート法にて全面に塗布し、溶媒
と金属化合物粒子(ヨウ化銅粒子)から成る層をカソー
ド電極部分の表面に形成する。その後、マスク層44を
除去し、400゜Cの加熱処理を施すことによって溶媒
を十分に除去し、且つ、ヨウ化銅を熱分解させ、露出し
たカソード電極11の表面に金属粒子(銅粒子)42を
析出させることで、炭素薄膜選択成長領域41を得るこ
とができる。
【0136】[工程−620]その後、実施の形態5の
[工程−450]と同様にして、炭素薄膜選択成長領域
41上に、厚さ約0.2μmの炭素薄膜40を形成し、
電子放出部16を得る。その後、実施の形態4の[工程
−460]と同様にして、図11の(B)に示したと同
様の電界放出素子を完成することができる。更に、実施
の形態1の[工程−130]と同様にして、表示装置の
組み立てを行う。
【0137】尚、実施の形態6においても、実施の形態
5の[工程−520]と同様にして、金属粒子42の表
面の金属酸化物(自然酸化膜)を除去してもよい。
【0138】(実施の形態7)実施の形態7も、実施の
形態4にて説明した電界放出素子の製造方法及び表示装
置の製造方法の変形である。実施の形態4にて説明した
電界放出素子の製造方法及び表示装置の製造方法にあっ
ては、カソード電極部分の表面に金属粒子42を付着さ
せた。一方、実施の形態7においては、炭素薄膜選択成
長領域形成工程は、第2の開口部15の底部の中央部に
カソード電極の表面が露出したマスク層を形成した後、
露出したカソード電極の表面を含むマスク層上に、チタ
ン(Ti)から成る金属薄膜をスパッタリング法に基づ
き形成する工程から成る。以下、実施の形態7の電界放
出素子の製造方法及び表示装置の製造方法を、図12を
参照して説明する。
【0139】[工程−700]先ず、実施の形態4の
[工程−400]〜[工程−430]と同様にして、例
えばガラス基板から成る支持体10上にカソード電極1
1を形成し、次いで、支持体10及びカソード電極11
上に絶縁層12を形成し、その後、絶縁層12上に開口
部14を有するゲート電極13を形成し、更に、ゲート
電極13に形成された開口部14に連通する第2の開口
部15を絶縁層12に形成する。
【0140】[工程−710]その後、実施の形態4の
[工程−440]と同様にして、第2の開口部15の底
部の中央部にカソード電極11の表面が露出したマスク
層44を形成する。次に、露出したカソード電極11の
表面を含むマスク層44上に、以下の表10に例示する
条件のスパッタリング法にて金属薄膜43を形成した
後、マスク層44を除去する(図12の(A)参照)。
こうして、表面に金属薄膜43が形成されたカソード電
極11の部分である炭素薄膜選択成長領域41を得るこ
とができる。
【0141】[表10] [金属薄膜の成膜条件] ターゲット :Ti プロセスガス:Ar=100SCCM DCパワー :4kW 圧力 :0.4Pa 基板加熱温度:150゜C 膜厚 :30nm
【0142】[工程−720]その後、実施の形態4の
[工程−450]と同様にして、炭素薄膜選択成長領域
41上に、厚さ約0.2μmの炭素薄膜40を形成し、
電子放出部16を得る(図12の(B)参照)。次い
で、実施の形態4の[工程−460]と同様にして、電
界放出素子を完成することができる。更に、実施の形態
1の[工程−130]と同様にして、表示装置の組み立
てを行う。
【0143】尚、実施の形態7においても、金属薄膜4
3を形成した後、実施の形態5の[工程−520]と同
様にして、金属薄膜43の表面の金属酸化物(自然酸化
膜)を除去してもよい。また、実施の形態6と同様にし
て、金属化合物薄膜をスパッタリング法にて、第2の開
口部15の底部に位置するカソード電極11の表面に形
成した後、金属化合物薄膜を熱分解させ、カソード電極
11の部分の表面に金属薄膜が形成されて成る炭素薄膜
選択成長領域41を得てもよい。更には、金属薄膜をM
OCVD法にて形成してもよい。
【0144】(実施の形態8)実施の形態8も、実施の
形態4の電界放出素子及び表示装置の変形である。
【0145】実施の形態8の電界放出素子の模式的な一
部端面図を図14に示す。この電界放出素子も、支持体
10上に形成されたカソード電極11、及び、カソード
電極11の上方に形成され、開口部14を有するゲート
電極13から成る。そして、支持体10及びカソード電
極11上には絶縁層12が形成されており、ゲート電極
13に設けられた開口部14に連通した第2の開口部1
5が絶縁層12に設けられている。更には、電界放出素
子は、開口部14,15の底部に位置するカソード電極
11の部分の表面に形成された炭素薄膜選択成長領域4
1、及び、炭素薄膜選択成長領域41上に形成された炭
素薄膜40から成る電子放出部16を備えている。実施
の形態8において、炭素薄膜選択成長領域41は、表面
にニッケル(Ni)から成る金属粒子42が付着したカ
ソード電極11の部分である。尚、実施の形態4〜実施
の形態7にて説明した電界放出素子と異なり、炭素薄膜
選択成長領域41及びその上に形成された炭素薄膜40
は、絶縁層12内まで延びている。但し、炭素薄膜選択
成長領域41の形成状態に依っては、実施の形態4〜実
施の形態7にて説明した電界放出素子と同様に、炭素薄
膜選択成長領域41及びその上に形成された炭素薄膜4
0が、開口部14,15の底部に位置するカソード電極
11の部分の表面にのみ形成されていてもよい。
【0146】実施の形態8の表示装置は、実質的に図8
に示したと同様の表示装置であるが故に、詳細な説明は
省略する。
【0147】以下、実施の形態8の電界放出素子の製造
方法及び表示装置の製造方法を、図13及び図14を参
照して説明する。
【0148】[工程−800]先ず、実施の形態1の
[工程−100]と同様にして、例えばガラス基板から
成る支持体10上にカソード電極形成用の導電材料層を
形成し、次いで、周知のリソグラフィ技術及びRIE法
に基づき導電材料層をパターニングすることによって、
ストライプ状のカソード電極11を支持体10上に形成
する(図13の(A)参照)。ストライプ状のカソード
電極11は、図面の紙面左右方向に延びている。導電材
料層は、例えばスパッタリング法により形成された厚さ
約0.2μmのアルミニウム(Al)層から成る。
【0149】[工程−810]次に、カソード電極11
の表面に炭素薄膜選択成長領域41を形成する。具体的
には、先ず、レジスト材料層をスピンコート法にて全面
に成膜した後、リソグラフィ技術に基づき、炭素薄膜選
択成長領域41を形成すべきカソード電極11の部分
(カソード電極部分)の表面が露出したマスク層44
(マスク材料層から成る)を形成する(図13の(B)
参照)。次に、露出したカソード電極11の表面を含む
マスク層44上に、金属粒子を付着させる。具体的に
は、ニッケル(Ni)微粒子をポリシロキサン溶液中に
分散させた溶液(溶媒としてイソプロピルアルコールを
使用)をスピンコート法にて全面に塗布し、溶媒と金属
粒子から成る層をカソード電極部分の表面に形成する。
その後、マスク層44を除去し、400゜C程度に加熱
することによって溶媒を除去し、露出したカソード電極
11の表面に金属粒子42を残すことで、炭素薄膜選択
成長領域41を得ることができる(図13の(C)参
照)。尚、ポリシロキサンは、露出したカソード電極1
1の表面に金属粒子42を固定させる機能(所謂、接着
機能)を有する。
【0150】[工程−820]その後、炭素薄膜選択成
長領域41上に、厚さ約0.2μmの炭素薄膜40を形
成し、電子放出部16を得る。この状態を図13の
(D)に示す。マイクロ波プラズマCVD法に基づく炭
素薄膜40の成膜条件は、表8に例示したと同様とすれ
ばよい。
【0151】[工程−830]次に、炭素薄膜40の上
方に開口部14を有するゲート電極13を設ける。具体
的には、実施の形態4の[工程−410]と同様にし
て、全面に絶縁層12を形成し、実施の形態4の[工程
−420]と同様にして、絶縁層12上に開口部14を
有するゲート電極13を形成する。その後、実施の形態
4の[工程−430]と同様にして、ゲート電極13に
設けられた開口部14に連通する第2の開口部15を絶
縁層12に形成し、第2の開口部15の底部に炭素薄膜
40を露出させる。実施の形態8においても、開口部1
4と第2の開口部15とは、一対一の対応関係にある。
即ち、1つの開口部14に対応して、1つの第2の開口
部15が形成される。尚、開口部14,15の平面形状
は、例えば直径6μmの円形である。即ち、W/Hの値
は2である。これらの開口部14,15を、例えば、1
画素に1個〜3000個程度形成すればよい。こうし
て、図14に示す電界放出素子を得ることができる。
【0152】[工程−840]その後、実施の形態4の
[工程−460]と同様にして、絶縁層12に設けられ
た第2の開口部15の側壁面を等方的なエッチングによ
って後退させることが、ゲート電極13の開口端部を露
出させるといった観点から、好ましい。次いで、実施の
形態1の[工程−130]と同様にして、表示装置の組
み立てを行う。
【0153】(実施の形態9)実施の形態9は、実施の
形態4及び実施の形態8の電界放出素子表示装置の変形
である。実施の形態9の電界放出素子の模式的な一部端
面図を図16に示す。この電界放出素子は、実質的には
実施の形態8にて説明した電界放出素子と同様の構造を
有するので、詳細な説明は省略する。また、実施の形態
9の表示装置は、実質的に図8に示したと同様の表示装
置であるが故に、詳細な説明は省略する。
【0154】以下、実施の形態9の電界放出素子の製造
方法及び表示装置の製造方法を、図15及び図16を参
照して説明する。
【0155】[工程−900]先ず、実施の形態8の
[工程−800]と同様にして、例えばガラス基板から
成る支持体10上に、ストライプ状のカソード電極11
を形成する。その後、実施の形態8の[工程−810]
と同様にして、カソード電極11の表面に炭素薄膜選択
成長領域41を形成する(図15の(A)参照)。
【0156】[工程−910]次に、実施の形態8の
[工程−830]と同様にして、炭素薄膜選択成長領域
41の上方に開口部14を有するゲート電極13を設け
る。具体的には、実施の形態4の[工程−410]と同
様にして、全面に絶縁層12を形成し、実施の形態4の
[工程−420]と同様にして、絶縁層12上に開口部
14を有するゲート電極13を形成する。その後、実施
の形態4の[工程−430]と同様にして、ゲート電極
13に設けられた開口部14に連通する第2の開口部1
5を絶縁層12に形成し、第2の開口部15の底部に炭
素薄膜選択成長領域41を露出させる。実施の形態9に
おいても、開口部14と第2の開口部15とは、一対一
の対応にある。即ち、1つの開口部14に対応して、1
つの第2の開口部15が形成される。尚、開口部14,
15の平面形状は、例えば直径6μmの円形である。即
ち、W/Hの値は2である。これらの開口部14,15
を、例えば、1画素に1個〜3000個程度形成すれば
よい。こうして、図15の(B)に示す構造を得ること
ができる。
【0157】[工程−920]その後、実施の形態4の
[工程−450]と同様の方法で、炭素薄膜選択成長領
域41上に、厚さ約0.2μmの炭素薄膜40を形成
し、電子放出部16を得る(図16参照)。
【0158】[工程−930]その後、実施の形態4の
[工程−460]と同様にして、絶縁層12に設けられ
た第2の開口部15の側壁面を等方的なエッチングによ
って後退させることが、ゲート電極13の開口端部を露
出させるといった観点から、好ましい。次いで、実施の
形態1の[工程−130]と同様にして、表示装置の組
み立てを行う。
【0159】実施の形態8あるいは実施の形態9におい
て、開口部14,15を形成した後、実施の形態5の
[工程−520]と同様にして、露出した炭素薄膜選択
成長領域41における金属粒子や金属薄膜の表面の金属
酸化物(自然酸化膜)を除去してもよい。また、実施の
形態6と同様にして、金属化合物粒子を付着させた後、
あるいは又、金属化合物薄膜を形成した後、金属化合物
粒子や金属化合物薄膜を熱分解させ、カソード電極の表
面に金属粒子が付着して成り、あるいは又、金属薄膜が
形成されて成る炭素薄膜選択成長領域41を得てもよ
い。
【0160】また、実施の形態8あるいは実施の形態9
において、実施の形態7と同様にして、炭素薄膜選択成
長領域形成工程を、第2の開口部15の底部の中央部に
カソード電極の表面が露出したマスク層を形成した後、
露出したカソード電極の表面を含むマスク層上に金属薄
膜をスパッタリング法に基づき形成する工程から構成し
てもよい。
【0161】(実施の形態10)実施の形態10も、本
発明の第1の態様及び第3の態様に係る電界放出素子及
び本発明の第1の態様及び第3の態様に係る表示装置に
関する。実施の形態10においては、電子放出部16A
を炭素薄膜から構成する代わりに、グラファイト粉末か
ら成る薄層から構成する。また、カソード電極は、クロ
ム(Cr)から成る導電体層11A及びSiCから成る
抵抗体層11Bの2層構成である。実施の形態10にお
ける電界放出素子の模式的な一部断面図を図17の
(C)に示す。尚、図17の(C)に示した電界放出素
子においては、カソード電極を構成する導電体層11A
の表面の全域に亙って、抵抗体層11B及び電子放出部
16Aが形成されているが、このような構造に限定する
ものではなく、要は、少なくとも第2の開口部15の底
部に電子放出部16Aが設けられていればよい。
【0162】以下、支持体等の模式的な一部断面図であ
る図17を参照して、実施の形態10の電界放出素子の
製造方法を説明する。尚、開口部14の大きさ、導電体
層11Aの厚さ、抵抗体層11Bの厚さ、電子放出部1
6Aの厚さ、絶縁層12の厚さ、ゲート電極13の厚さ
を、電子放出部16Aの頂面からゲート電極13の頂面
までの高さをHとしたとき、W/H≦2.5となるよう
に設定した。
【0163】[工程−1000]先ず、支持体10上
に、クロム(Cr)から成る導電体層をスパッタリング
法にて形成した後、リソグラフィ技術及びドライエッチ
ング技術に基づき導電体層をパターニングする。これに
よって、ストライプ状のカソード電極11を構成する導
電体層11Aを支持体10上に形成することができる
(図17の(A)参照)。尚、導電体層11Aは、図1
7の紙面垂直方向に延びている。
【0164】[工程−1010]次に、全面にスパッタ
リング法にてSiCから成る抵抗体層11Bを形成し、
次いで、抵抗体層11Bの上にグラファイト粉末塗料か
ら成る電子放出部16Aをスピンコーティング法にて形
成し、電子放出部16Aを乾燥させる。その後、電子放
出部16A及び抵抗体層11Bを公知の方法に基づきパ
ターニングする(図17の(B)参照)。
【0165】[工程−1020]次に、全面に絶縁層1
2を形成する。具体的には、電子放出部16A及び支持
体10上に、例えば、スパッタリング法にてSiO2
ら成る絶縁層12を形成する。尚、絶縁層12を、ガラ
スペーストをスクリーン印刷する方法や、SiO 2層を
CVD法にて形成する方法に基づき形成することもでき
る。その後、ストライプ状のゲート電極13を絶縁層1
2上に形成する。
【0166】[工程−1030]次に、エッチング用マ
スクを設けた後、ゲート電極13及び絶縁層12に開口
部14、第2の開口部15を形成し、第2の開口部15
の底部に電子放出部16Aを露出させる。その後、エッ
チング用マスクを除去し、電子放出部16A中の有機溶
剤を除去するために、400゜C、30分の熱処理を施
す。こうして、図17の(C)に示した電界放出素子を
得ることができる。
【0167】(実施の形態11)実施の形態11の電界
放出素子は、実施の形態10の電界放出素子の変形であ
る。実施の形態11の電界放出素子の模式的な一部断面
図を、図19に示す。図19に示す電界放出素子におい
ては、電子放出部16Aの構造が、図17の(C)に示
した平面型電界放出素子と若干異なっている。以下、支
持体等の模式的な一部断面図である図18及び図19を
参照して、かかる電界放出素子の製造方法を説明する。
尚、開口部14の大きさ、導電体層11Aの厚さ、抵抗
体層11Bの厚さ、電子放出部16Aの厚さ、絶縁層1
2の厚さ、ゲート電極13の厚さを、電子放出部16A
の頂面からゲート電極13の頂面までの高さをHとした
とき、W/H≦2.5となるように設定した。
【0168】[工程−1100]先ず、支持体10上に
導電体層11A及び電子放出部16Aを形成する。具体
的には、支持体10の全面にレジスト材料層(図示せ
ず)を形成した後、カソード電極を形成すべき部分のレ
ジスト材料層を除去する。その後、全面にクロム(C
r)から成る導電体層をスパッタリング法にて形成す
る。更に、全面にスパッタリング法にてSiCから成る
抵抗体層11Bを形成し、次いで、抵抗体層11Bの上
にグラファイト粉末塗料層をスピンコーティング法にて
形成し、グラファイト粉末塗料層を乾燥させる。その
後、剥離液を用いてレジスト材料層を除去すると、レジ
スト材料層上に形成された導電体層、抵抗体層11B及
びグラファイト粉末塗料層も除去される。こうして、導
電体層11A及び抵抗体層11Bから成るカソード電極
11、並びに、電子放出部16Aが積層された構造を得
ることができる(図18の(A)参照)。
【0169】[工程−1110]次に、全面に絶縁層1
2を形成した後、絶縁層12上にストライプ状のゲート
電極13を形成する(図18の(B)参照)。その後、
ゲート電極13及び絶縁層12に開口部14、第2の開
口部15を形成することによって、第2の開口部15の
底部に電子放出部16Aを露出させる(図19参照)。
第2の開口部15の底部に露出したカソード電極11の
表面に設けられた電子放出部16Aから電子が放出され
る。
【0170】(実施の形態12)実施の形態12は、本
発明の第2の態様及び第4の態様に係る電界放出素子及
び本発明の第2の態様及び第4の態様に係る表示装置に
関する。
【0171】実施の形態12における電界放出素子の模
式的な一部端面図を図20に示す。尚、表示装置の構成
は、電界放出素子の構成が相違することを除き、実質的
に図2に示したと同様とすることができるので、図示は
省略する。
【0172】実施の形態12における電界放出素子も第
1の構造を有し、開口部の平面形状は円形である。具体
的には、実施の形態12における電界放出素子は、支持
体10上に設けられ、電子を放出するカソード電極61
と、カソード電極61の上方に配設され、電子放出部で
あるカソード電極61から放出された電子を通過させる
ための開口部14を有するゲート電極13から成る。ま
た、支持体10及びカソード電極61の上には絶縁層1
2が形成され、絶縁層12上にゲート電極13が形成さ
れ、絶縁層12には、ゲート電極13に設けられた開口
部14に連通した第2の開口部15が形成されている。
電子放出部に相当するカソード電極61はクロム(C
r)から成り、絶縁層12は比誘電率κ=4.2のSi
2から成る。カソード電極61とゲート電極13と
は、これらの両電極の射影像が互いに直交する方向に各
々ストライプ状に形成されており、これらの両電極の射
影像が重複する重複領域(1画素分の領域に相当する)
に、複数の電界放出素子が配列されている。カソード電
極61は、図20の紙面垂直方向に延び、ゲート電極1
3は、図20の紙面左右方向に延びている。ここで、開
口部14,15の底部に露出したカソード電極61の部
分が電子放出部に相当する。更に、かかる重複領域が、
カソードパネルCPの有効領域内に、通常、2次元マト
リクス状に配列されている。
【0173】実施の形態12においては、カソード電極
61からゲート電極13までの高さH(具体的には、カ
ソード電極61の頂面からゲート電極13の頂面までの
高さH)を3μm、開口部の最も広い部分の長さ(具体
的には、開口部14の直径)Wを6μmとした。即ち、
W/H=2であり、W/H≦2.5を満足する。
【0174】尚、絶縁層12としてSiO2を使用し、
W/H=6μm/3μm=2の条件における電界強度成
分EZ及び電界強度成分EXのシミュレーション結果は、
図4の(A)及び(B)に示したと同様である。即ち、
開口部14内のカソード電極61の中心における電界強
度成分EZが最も弱くなり、開口部14内のカソード電
極61の中心から離れるに従い電界強度成分EZは高い
値となる。従って、開口部14内のカソード電極61の
中心から離れるに従い、より一層電子が放出されるよう
になる。しかも、開口部14内のカソード電極61の中
心における電界強度成分EXが最も低い値となる。従っ
て、開口部14内のカソード電極61の中心あるいはそ
の近傍においては、電子はカソード電極61の法線と平
行な方向(Z方向)に放出される。それ故、カソード電
極61から放出された電子がゲート電極13や絶縁層1
2に衝突し難くなるし、デフォーカスや光学的クロスト
ークが発生し難くなる。
【0175】また、ゲート電極13及びカソード電極6
1に印加される電圧の電位差によって生じる電界におい
て、開口部14の中心(図20においては、点線Cで示
す)に位置するカソード電極61の部分の表面における
カソード電極法線方向(Z方向)の電界強度成分を
ZC、開口部14の中心から最も遠いところに位置する
開口部14(ゲート電極開口端部)の部分と開口部14
の中心とを結んだ線分の長さをLとし、開口部14の中
心から最も遠いところに位置する開口部14(ゲート電
極開口端部)の部分から開口部14の中心に向かって
L’=0.2Lのところに位置するカソード電極61の
部分(図20においては、点線Eで示す)の表面におけ
るカソード電極法線方向(Z方向)の電界強度成分をE
ZEとしたとき、EZC=0.3EZEである。即ち、EZC
0.3EZEを満足している。尚、後述する実施の形態1
3〜実施の形態17においても同様である。
【0176】以下、支持体等の模式的な一部断面図であ
る図21を参照して、実施の形態12の電界放出素子の
製造方法を説明する。尚、カソード電極61の厚さ、絶
縁層12の厚さ、ゲート電極13の厚さを、カソード電
極61の頂面からゲート電極13の頂面までの高さをH
としたとき、W/H=2となるように設定した。
【0177】[工程−1200]先ず、支持体10上に
電子放出部として機能するカソード電極61を形成す
る。具体的には、支持体10上に、クロム(Cr)から
成るカソード電極用導電材料層をスパッタリング法にて
形成した後、リソグラフィ技術及びドライエッチング技
術に基づきカソード電極用導電材料層をパターニングす
る。これによって、ストライプ状のカソード電極61を
支持体10上に形成することができる(図21の(A)
参照)。尚、カソード電極61は、図21の紙面垂直方
向に延びている。
【0178】[工程−1210]次に、例えばCVD法
にてSiO2から成る絶縁層12を、支持体10及びカ
ソード電極61の上に形成する。尚、絶縁層12を、ス
クリーン印刷法に基づきガラスペーストから形成するこ
ともできる。
【0179】[工程−1220]その後、ストライプ状
のゲート電極13を絶縁層12上に形成する。具体的に
は、先ず、全面にクロムから成る導電材料層をスパッタ
リング法にて形成した後、リソグラフィ技術及びドライ
エッチング技術に基づき導電材料層をパターニングす
る。これによって、ストライプ状のゲート電極13を形
成することができる(図21の(B)参照)。尚、ゲー
ト電極13は、図21の紙面左右方向に延びている。例
えばスクリーン印刷法にて、ストライプ状のゲート電極
13を絶縁層12上に、直接形成することもできる。
【0180】[工程−1230]次に、ゲート電極13
及び絶縁層12に開口部14,15を形成し、開口部1
4,15の底部に電子放出部として機能するカソード電
極61を露出させる(図20参照)。
【0181】(実施の形態13)実施の形態13は実施
の形態12の変形である。図22の(A)に模式的な一
部断面図を示す平面型電界放出素子が図20に示した電
界放出素子と相違する点は、開口部14,15の底部に
露出したカソード電極61の表面(電子放出部に相当す
る)に、微小凹凸部61Aが形成されている点にある。
このような電界放出素子は、以下の製造方法にて製造す
ることができる。
【0182】[工程−1300]先ず、[工程−120
0]〜[工程−1220]と略同様にして、支持体10
上にストライプ状のカソード電極61を形成し、全面に
絶縁層12を形成した後、ストライプ状のゲート電極1
3を絶縁層12上に形成する。即ち、例えばガラス基板
から成る支持体10の上に、スパッタリング法により厚
さ約0.2μmのタングステン層を成膜し、通常の手順
に従ってこのタングステン層をストライプ状にパターニ
ングし、カソード電極61を形成する。次に、支持体1
0及びカソード電極61上に絶縁層12を形成する。絶
縁層12は、TEOS(テトラエトキシシラン)を原料
ガスとして用いるCVD法により形成することができ
る。更に、この絶縁層12の上に、例えば厚さ約0.2
μmのクロムから成る導電材料層を成膜し、ストライプ
状にパターニングして、ゲート電極13を形成する。こ
こまでのプロセスが終了した状態は、実質的に、図21
の(B)に示したと同様である。
【0183】[工程−1310]次に、[工程−123
0]と同様にして、ゲート電極13及び絶縁層12に開
口部14,15を形成し、開口部14,15の底部にカ
ソード電極61を露出させる。その後、開口部14,1
5の底部に露出したカソード電極61の部分に、微小凹
凸部61Aを形成する。微小凹凸部61Aの形成に際し
ては、エッチングガスとしてSF6を用い、カソード電
極61を構成するタングステンの結晶粒のエッチング速
度よりも粒界とエッチング速度の方が早くなるようなエ
ッチング条件を設定してRIE法に基づくドライエッチ
ングを行う。その結果、タングステンの結晶粒径をほぼ
反映した寸法を有する微小凹凸部61Aを形成すること
ができる。
【0184】このような平面型電界放出素子の構成にお
いては、カソード電極61の微小凹凸部61A、より具
体的には微小凹凸部61Aの凸部に、ゲート電極13か
ら大きな電界が加わる。このとき、凸部に集中する電界
は、カソード電極61の表面が平滑である場合に比べて
大きいため、凸部からは量子トンネル効果によって電子
が効率良く放出される。従って、開口部14,15の底
部に単に平滑なカソード電極61が露出している平面型
電界放出素子に比べて、表示装置に組み込まれた場合の
輝度の向上が期待できる。それ故、図22の(A)に示
した平面型電界放出素子によれば、ゲート電極13とカ
ソード電極61との間の電位差が比較的小さくても、十
分な放出電子電流密度を得ることができ、表示装置の高
輝度化が達成される。あるいは、同じ輝度を達成するた
めに必要なゲート電圧が低くて済み、以て、低消費電力
化を達成することが可能である。
【0185】尚、絶縁層12をエッチングすることによ
って第2の開口部15を形成し、その後に異方性エッチ
ング技術に基づきカソード電極61に微小凹凸部61A
を形成したが、第2の開口部15を形成するためのエッ
チングによって、微小凹凸部61Aを同時に形成するこ
とも可能である。即ち、絶縁層12をエッチングする際
に、ある程度のイオンスパッタ作用が期待できる異方的
なエッチング条件を採用し、垂直壁を有する第2の開口
部15が形成された後もエッチングを継続することによ
り、第2の開口部15の底部に露出したカソード電極6
1の部分に微小凹凸部61Aを形成することができる。
その後、絶縁層12の等方性エッチングを行えばよい。
【0186】また、[工程−1200]と同様の工程に
おいて、支持体10上に、タングステンから成るカソー
ド電極用導電材料層をスパッタリング法にて形成した
後、リソグラフィ技術及びドライエッチング技術に基づ
きカソード電極用導電材料層をパターニングし、次い
で、カソード電極用導電材料層の表面に微小凹凸部61
Aを形成した後、[工程−1210]〜[工程−123
0]と同様の工程を実行することによって、図22の
(A)に示したと同様の電界放出素子を作製することも
できる。
【0187】あるいは又、[工程−1200]と同様の
工程において、支持体10上に、タングステンから成る
カソード電極用導電材料層をスパッタリング法にて形成
した後、カソード電極用導電材料層の表面に微小凹凸部
61Aを形成し、次いで、リソグラフィ技術及びドライ
エッチング技術に基づきカソード電極用導電材料層をパ
ターニングした後、[工程−1210]〜[工程−12
30]と同様の工程を実行することによって、図22の
(A)に示したと同様の電界放出素子を作製することも
できる。
【0188】図22の(B)には、図22の(A)に示
した電界放出素子の変形例を示す。図22の(B)に示
す電界放出素子においては、微小凹凸部61Aの先端部
の平均高さ位置が、絶縁層12の下面位置よりも支持体
10側に存在している(即ち、下がっている)。かかる
電界放出素子を形成するには、[工程−1310]にお
けるドライエッチングの継続時間を延長すればよい。こ
のような構成によれば、開口部14の中央部近傍の電界
強度を一層高めることができる。
【0189】図23には、電子放出部に相当するカソー
ド電極61の表面(より具体的には、少なくとも微小凹
凸部61A上)に被覆層61Bが形成されている電界放
出素子を示す。
【0190】この被覆層61Bは、カソード電極61を
構成する材料よりも仕事関数Φの小さい材料から構成す
ることが好ましく、どのような材料を選択するかは、カ
ソード電極61を構成する材料の仕事関数、ゲート電極
13とカソード電極61との間の電位差、要求される放
出電子電流密度の大きさ等に基づいて決定すればよい。
被覆層61Bの構成材料として、アモルファスダイヤモ
ンドを例示することができる。被覆層61Bをアモルフ
ァスダイヤモンドを用いて構成した場合には、5×10
7V/m以下の電界強度にて、表示装置に必要な放出電
子電流密度を得ることができる。
【0191】被覆層61Bの厚さは、微小凹凸部61A
を反映し得る程度に選択する。これは、被覆層61Bに
よって微小凹凸部61Aの凹部が埋め込まれ、電子放出
部の表面が平滑化されてしまっては、微小凹凸部61A
を設けた意味が無くなるからである。従って、微小凹凸
部61Aの寸法にも依るが、例えば微小凹凸部61Aが
電子放出部の結晶粒径を反映して形成されている場合に
は、被覆層61Bの厚さを概ね30〜100nm程度に
選択することが好ましい。また、微小凹凸部61Aの先
端部の平均高さ位置を絶縁層の下面位置よりも下げる場
合には、厳密には、被覆層61Bの先端部の平均高さ位
置を絶縁層の下面位置よりも下げることが、一層好まし
い。
【0192】具体的には、[工程−1310]の後、全
面に例えばCVD法によりアモルファスダイヤモンドか
ら成る被覆層61Bを形成すればよい。尚、被覆層61
Bは、ゲート電極13及び絶縁層12の上に形成された
エッチング用マスク(図示せず)の上にも堆積するが、
この堆積部分はエッチング用マスクの除去時、同時に除
去される。原料ガスとして例えばCH4/H2混合ガス
や、CO/H2混合ガスを使用したCVD法に基づき被
覆層61Bを形成することができ、それぞれ炭素を含む
化合物の熱分解によってアモルファスダイヤモンドから
成る被覆層61Bが形成される。
【0193】あるいは又、[工程−1200]と同様の
工程において、支持体10上に、タングステンから成る
カソード電極用導電材料層をスパッタリング法にて形成
した後、リソグラフィ技術及びドライエッチング技術に
基づきカソード電極用導電材料層をパターニングし、そ
の後、カソード電極用導電材料層の表面に微小凹凸部6
1Aを形成し、次いで、被覆層61Bを形成した後、
[工程−1210]〜[工程−1230]と同様の工程
を実行することによって、図23に示す電界放出素子を
作製することもできる。
【0194】あるいは又、[工程−1200]と同様の
工程において、支持体10上に、タングステンから成る
カソード電極用導電材料層をスパッタリング法にて形成
した後、カソード電極用導電材料層の表面に微小凹凸部
61Aを形成し、次いで、被覆層61Bを形成した後、
リソグラフィ技術及びドライエッチング技術に基づき被
覆層61B、カソード電極用導電材料層をパターニング
した後、[工程−1210]〜[工程−1230]と同
様の工程を実行することによって、図23に示す電界放
出素子を作製することもできる。
【0195】あるいは又、被覆層を構成する材料とし
て、かかる材料の2次電子利得δがカソード電極を構成
する導電性材料の2次電子利得δよりも大きくなるよう
な材料を適宜選択することもできる。
【0196】尚、図20に示した平面型電界放出素子の
電子放出部(カソード電極61の表面)に被覆層を形成
してもよい。この場合には、[工程−1230]の後、
第2の開口部15の底部に露出したカソード電極61の
表面に被覆層61Bを形成すればよく、あるいは又、
[工程−1200]において、例えば、支持体10上に
カソード電極用導電材料層を形成した後、カソード電極
用導電材料層上に被覆層61Bを形成し、次いで、リソ
グラフィ技術及びドライエッチング技術に基づき、これ
らの層をパターニングすればよい。
【0197】(実施の形態14)実施の形態14も、本
発明の第2の態様及び第4の態様に係る電界放出素子及
び本発明の第2の態様及び第4の態様に係る表示装置に
関する。実施の形態14の電界放出素子(以下、クレー
タ型電界放出素子と呼ぶ)の模式的な一部断面図を、図
27の(B)に示す。クレータ型電界放出素子において
は、電子を放出する複数の隆起部111Aと、各隆起部
111Aに囲まれた凹部111Bとを有するカソード電
極111が、支持体10上に備えられている。尚、絶縁
層12及びゲート電極13を取り除いた模式的な斜視図
を図26の(B)に示す。
【0198】凹部の形状は特に限定されないが、典型的
には略球面を成す。これは、かかるクレータ型電界放出
素子の製造方法において球体が使用され、凹部111B
が球体の形状の一部を反映して形成されることと関連し
ている。従って、凹部111Bが略球面を成す場合、凹
部111Bを囲む隆起部111Aは円環状となり、この
場合の凹部111Bと隆起部111Aとは、全体として
クレータあるいはカルデラのような形状を呈する。隆起
部111Aは電子を放出する部分であるため、電子放出
効率を高める観点からは、その先端部111Cが先鋭で
あることが特に好ましい。隆起部111Aの先端部11
1Cのプロファイルは、不規則な凹凸を有していても、
あるいは滑らかであってもよい。1画素内における隆起
部111Aの配置は規則的であってもランダムであって
もよい。尚、凹部111Bは、凹部111Bの周方向に
沿って連続した隆起部111Aにより囲まれていてもよ
いし、場合によっては、凹部111Bの周方向に沿って
不連続な隆起部111Aにより囲まれていてもよい。
【0199】このようなクレータ型電界放出素子の製造
方法において、支持体上にストライプ状のカソード電極
を形成する工程は、より具体的には、複数の球体を被覆
したストライプ状のカソード電極を支持体上に形成する
工程と、球体を除去することによって、球体を被覆した
カソード電極の部分を除去し、以て、電子を放出する複
数の隆起部と、各隆起部に囲まれ、且つ、球体の形状の
一部を反映した凹部とを有するカソード電極を形成する
工程、から成る。
【0200】球体の状態変化及び/又は化学変化によっ
て、球体を除去することが好ましい。ここで、球体の状
態変化及び/又は化学変化とは、膨張、昇華、発泡、ガ
ス発生、分解、燃焼、炭化等の変化若しくはこれらの組
合せを意味する。例えば、球体が有機材料から成る場
合、球体を燃焼させることによって除去することが一層
好ましい。尚、球体の除去と球体を被覆するカソード電
極の部分の除去、あるいは、球体の除去と球体を被覆す
るカソード電極、絶縁層及びゲート電極の部分の除去
は、必ずしも同時に起こらなくてもよい。例えば、球体
を被覆するカソード電極の部分、あるいはこれに加えて
絶縁層やゲート電極の部分を除去した後に球体の一部が
残存している場合、残存した球体の除去を後から行えば
よい。
【0201】特に、球体が有機材料から成る場合、球体
を例えば燃焼させると、例えば、一酸化炭素、二酸化炭
素、水蒸気が発生し、球体近傍の閉鎖空間の圧力が高ま
り、球体近傍のカソード電極は或る耐圧限界を超えた時
点で破裂する。この破裂の勢いによって、球体を被覆す
るカソード電極の部分が飛散し、隆起部及び凹部が形成
され、しかも、球体が除去される。あるいは又、球体を
例えば燃焼させると、同様の機構に基づき、カソード電
極と絶縁層とゲート電極は或る耐圧限界を超えた時点で
破裂する。この破裂の勢いによって、球体を被覆するカ
ソード電極と絶縁層とゲート電極の部分が飛散し、隆起
部及び凹部と同時に開口部が形成され、しかも、球体が
除去される。即ち、球体を除去する以前には絶縁層及び
ゲート電極には開口部が存在せず、球体の除去に伴って
開口部が形成される。このとき、球体の燃焼の初期過程
は閉鎖空間内で進行するため、球体の一部は炭化する可
能性もある。球体を被覆するカソード電極の部分の厚さ
を、破裂によって飛散し得る程度に薄くすることが好ま
しい。また、球体を被覆するカソード電極、絶縁層及び
ゲート電極の部分の厚さを、破裂によって飛散し得る程
度に薄くすることが好ましく、特に、絶縁層について
は、球体を被覆していない部分の厚さを球体の直径と同
程度にすることが好適である。
【0202】後述する実施の形態16においても、球体
の状態変化及び/又は化学変化によって球体を除去する
ことができるが、カソード電極の破裂を伴わないので、
外力によって除去を行う方が簡便な場合もある。また、
後述する実施の形態17では、球体を除去する前の時点
で既に開口部が完成されているが、開口部の大きさが球
体の直径よりも大きい場合には、球体を外力によって除
去することができる。ここで、外力とは、空気又は不活
性ガスの吹付け圧力、洗浄液の吹付け圧力、磁気吸引
力、静電気力、遠心力等の物理的な力である。尚、実施
の形態16あるいは実施の形態17においては、実施の
形態14と異なり、球体を被覆する部分のカソード電
極、あるいは、場合によっては、更に絶縁層やゲート電
極を飛散させる必要がないので、カソード電極、絶縁層
あるいはゲート電極の残渣が発生し難いという利点があ
る。
【0203】後述する実施の形態16あるいは実施の形
態17で使用される球体は、少なくとも表面が、カソー
ド電極、構成に依っては絶縁層やゲート電極を構成する
材料の各界面張力(表面張力)に比べて、大きな界面張
力を有する材料から構成されていることが好ましい。こ
れにより、実施の形態17では、カソード電極、絶縁層
及びゲート電極は球体の少なくとも頂部を被覆すること
がなく、開口部が最初から絶縁層及びゲート電極に形成
された状態が得られる。開口部の直径がどの程度になる
かは、例えば、カソード電極、絶縁層やゲート電極を構
成する材料の厚さと球体の直径との関係や、カソード電
極、絶縁層やゲート電極の形成方法、カソード電極、絶
縁層やゲート電極を構成する材料の界面張力(表面張
力)に依存する。
【0204】後述する実施の形態16あるいは実施の形
態17において、球体は、少なくとも表面が界面張力に
関する上述の条件を満たしていればよい。つまり、カソ
ード電極、絶縁層及びゲート電極の各界面張力よりも大
きな界面張力を有している部分は、球体の表面のみであ
っても全体であってもよく、また、球体の表面及び/又
は全体の構成材料は、無機材料、有機材料、あるいは無
機材料と有機材料の組合せのいずれであってもよい。実
施の形態16あるいは実施の形態17において、カソー
ド電極やゲート電極が通常の金属系材料から構成され、
絶縁層がガラス等の酸化シリコン系材料から構成される
場合、金属系材料の表面には吸着水分に由来する水酸
基、絶縁層の表面にはSi−O結合のダングリング・ボ
ンドと吸着水分とに由来する水酸基が存在し、親水性の
高い状態にあるのが普通である。従って、疎水性の表面
処理層を有する球体を用いることが、特に有効である。
疎水性の表面処理層の構成材料として、フッ素系樹脂、
例えばポリテトラフルオロエチレンを挙げることができ
る。球体が疎水性の表面処理層を有する場合、疎水性の
表面処理層の内側の部分を芯材と称することにすると、
芯材の構成材料は、ガラス、セラミックス、フッ素系樹
脂以外の高分子材料のいずれであってもよい。
【0205】球体を構成する有機材料は特に限定されな
いが、汎用の高分子材料が好適である。但し、重合度が
極端に大きかったり、多重結合含有量が極端に多い高分
子材料では、燃焼温度が高くなり過ぎ、燃焼による球体
の除去時、カソード電極や絶縁層、ゲート電極に悪影響
が及ぶ虞がある。それ故、これらに対する悪影響が生じ
る虞のない温度にて燃焼若しくは炭化させることが可能
な高分子材料を選択することが好ましい。特に、絶縁層
をガラスペーストのような、後工程において焼成を要す
る材料を用いて形成する場合には、工数をなるべく減少
させる観点から、ガラスペーストの焼成温度にて燃焼若
しくは炭化可能な高分子材料を選択することが好適であ
る。ガラスペーストの典型的な焼成温度は約530゜C
なので、かかる高分子材料の燃焼温度は350〜500
゜C程度であることが好ましい。代表的な高分子材料と
して、スチレン系、ウレタン系、アクリル系、ビニル
系、ジビニルベンゼン系、メラミン系、ホルムアルデヒ
ド系、ポリメチレン系のホモポリマー又は共重合体を挙
げることができる。あるいは又、球体として、支持体上
での確実な配置を確保するために、付着力を有する固着
タイプの球体を使用することもできる。固着タイプの球
体として、アクリル系樹脂から成る球体を例示すること
ができる。
【0206】あるいは又、例えば、塩化ビニリデン・ア
クリロニトリル共重合体を外殻とし、発泡材としてイソ
ブタンを内包し、カプセル化した加熱膨張型マイクロス
フェアを球体として使用することができる。実施の形態
14において、かかる加熱膨張型マイクロスフェアを用
い、熱膨張型マイクロスフェアを加熱すると、外殻のポ
リマーが軟化し、しかも、内包されたイソブタンがガス
化して膨張する結果、粒径が膨張前と比較して約4倍程
度の真球の中空体が形成される。その結果、実施の形態
14において、電子を放出する隆起部、及び、隆起部に
囲まれ、且つ、球体の形状の一部を反映した凹部を、カ
ソード電極に形成することができる。また、かかる凹部
や隆起部に加え、ゲート電極及び絶縁層を貫通した開口
部を形成することもできる。尚、熱膨張型マイクロスフ
ェアの加熱による膨張も、本明細書においては、球体の
除去という概念に包含する。その後、熱膨張型マイクロ
スフェアを適切な溶剤を用いて取り除けばよい。
【0207】実施の形態14においては、支持体上に複
数の球体を配置した後、球体を被覆するカソード電極を
形成すればよい。この場合においては、あるいは又、後
述する実施の形態16あるいは実施の形態17において
は、支持体上への複数の球体の配置方法として、球体を
支持体上に散布する乾式法を挙げることができる。球体
の散布には、例えば、液晶表示装置の製造分野におい
て、パネル間隔を一定に維持するためのスペーサを散布
する技術を応用することができる。具体的には、圧搾気
体で球体をノズルから噴射する、所謂スプレーガンを用
いることができる。尚、球体をノズルから噴射する際、
球体を揮発性の溶剤中に分散させた状態としてもよい。
あるいは、静電粉体塗装の分野で通常使用されている装
置や方法を利用して球体を散布することもできる。例え
ば、コロナ放電を利用して、静電粉体吹付けガンにより
負に帯電させた球体を、接地した支持体に向かって吹き
付けることができる。使用する球体は、後述するように
非常に小さいため、支持体上に散布されると支持体の表
面に例えば静電気力によって付着し、以降の工程におい
ても容易に支持体から脱落することはない。支持体上に
複数の球体の配置した後、球体を加圧すれば、支持体上
の複数の球体の重なりを解消することができ、球体を支
持体上で単層に密に配置することができる。
【0208】あるいは、後述する実施の形態15のよう
に、球体とカソード電極材料とを分散媒中に分散させて
成る組成物から成る組成物層を支持体上に形成し、以
て、支持体上に複数の球体を配置し、カソード電極材料
から成るカソード電極で球体を被覆した後、分散媒を除
去することもできる。組成物の性状としては、スラリー
やペーストが可能であり、これらの所望の性状に応じ、
分散媒の組成や粘度を適宜選択すればよい。組成物層を
支持体上に形成する方法としては、スクリーン印刷法が
好適である。カソード電極材料は、典型的には、分散媒
中における沈降速度が球体よりも遅い微粒子であること
が好適である。かかる微粒子を構成する材料として、カ
ーボン、バリウム、ストロンチウム、鉄を挙げることが
できる。分散媒を除去した後、必要に応じてカソード電
極の焼成を行う。組成物層を支持体上に形成する方法と
しては、噴霧法、滴下法、スピンコーティング法、スク
リーン印刷法を挙げることができる。尚、球体が配置さ
れると共に、カソード電極材料から成るカソード電極で
球体が被覆されるが、組成物層の形成方法に依っては、
かかるカソード電極のパターニングを行う必要がある。
【0209】あるいは、後述する実施の形態16あるい
は実施の形態17にあっては、球体を分散媒中に分散さ
せて成る組成物から成る組成物層を支持体上に形成し、
以て、支持体上に複数の球体を配置した後、分散媒を除
去することができる。組成物の性状としては、スラリー
やペーストが可能であり、これらの所望の性状に応じ、
分散媒の組成や粘度を適宜選択すればよい。典型的に
は、イソプロピルアルコール等の有機溶媒を分散媒とし
て用い、蒸発により分散媒を除去することができる。組
成物層を支持体上に形成する方法としては、噴霧法、滴
下法、スピンコーティング法、スクリーン印刷法を挙げ
ることができる。
【0210】ところで、ゲート電極とカソード電極は互
いに異なる方向(例えば、ストライプ状のゲート電極の
射影像とストライプ状のカソード電極の射影像とが成す
角度が90度)に延びており、且つ、例えばストライプ
状にパターニングされており、重複領域に位置する隆起
部から電子が放出される。従って、隆起部は、機能上、
重複領域にのみ存在すればよい。但し、たとえ重複領域
以外の領域に隆起部及び凹部が存在していたとしても、
このような隆起部及び凹部は絶縁層に被覆されたまま、
何ら電子を放出するといった機能を果たさない。従っ
て、球体を全面に配置しても何ら問題は生じない。
【0211】これに対して、球体を被覆したカソード電
極、絶縁層及びゲート電極の各部分を除去する場合、個
々の球体の配置位置と開口部の形成位置とが一対一に対
応するため、重複領域以外の領域にも開口部が形成され
る。以下、重複領域以外の領域に形成される開口部を
「無効開口部」と呼び、電子放出に寄与する本来の開口
部と区別する。ところで、重複領域以外の領域に無効開
口部が形成されたとしても、この無効開口部は電界放出
素子として何ら機能せず、重複領域に形成される電界放
出素子の動作に何ら悪影響を及ぼさない。なぜなら、無
効開口部の底部に隆起部及び凹部が露出していても、無
効開口部の上端部にゲート電極が形成されていないから
であり、あるいは又、無効開口部の上端部にゲート電極
が形成されていても底部に隆起部及び凹部が露出してい
ないか、あるいは、無効開口部の底部に隆起部及び凹部
が露出しておらず、しかも、上端部にゲート電極が形成
されておらず、単に支持体の表面が露出しているか、の
いずれかであるからである。従って、球体を全面に配置
しても何ら問題は生じない。尚、重複領域とそれ以外の
領域との境界線上に形成された孔は、開口部に含まれ
る。
【0212】球体の直径は、所望の開口部の直径、凹部
の直径、電界放出素子を用いて構成される表示装置の表
示画面寸法、画素数、重複領域の寸法、1画素を構成す
べき電界放出素子の個数に応じて選択することができる
が、0.1〜10μmの範囲で選択することが好まし
い。例えば、液晶表示装置のスペーサとして市販されて
いる球体は、粒径分布が1〜3%と良好なので、これを
利用することが好適である。球体の形状は真球であるこ
とが理想的ではあるが、必ずしも真球である必要はな
い。また、電界放出素子の製造方法に依っては、上述し
たように、球体の配置された場所に開口部か無効開口部
のいずれかが形成され得るが、支持体上には球体を10
0〜5000個/mm2程度の密度で配置することが好
適である。例えば球体を約1000個/mm2の密度で
支持体上に配置すると、例えば重複領域の寸法を仮に
0.5mm×0.2mmとした場合、この重複領域内に
約100個の球体が存在し、約100個の隆起部が形成
されることになる。1つの重複領域にこの程度の個数の
隆起部が形成されていれば、球体の粒径分布や真球度の
ばらつきに起因する凹部の直径のばらつきはほぼ平均化
され、実用上、1画素(又は1サブピクセル)当たりの
放出電子電流密度や輝度はほぼ均一となる。
【0213】実施の形態14あるいは後述する実施の形
態15〜実施の形態17においては、球体の形状の一部
が電子放出部を構成する凹部の形状に反映される。隆起
部の先端部のプロファイルは、不規則な凹凸を有してい
ても、あるいは滑らかであってもよいが、特に、実施の
形態14や実施の形態15においては、この先端部はカ
ソード電極の破断により形成されるため、隆起部の先端
部が不規則形状となり易い。破断により隆起部に先端部
が先鋭化すると、先端部が高効率の電子放出部として機
能し得るので、好都合である。実施の形態14〜実施の
形態17においては、凹部を囲む隆起部はいずれも概ね
円環状となり、この場合の凹部と隆起部とは、全体とし
てクレータあるいはカルデラのような形状を呈する。
【0214】支持体上における隆起部の配置は規則的で
あってもランダムであってもよく、球体の配置方法に依
存する。上述の乾式法あるいは湿式法を採用した場合、
支持体上における隆起部の配置はランダムとなる。
【0215】実施の形態14〜実施の形態17におい
て、絶縁層の形成後、絶縁層に開口部を形成する場合、
隆起部の先端部に損傷が生じないように、隆起部を得た
後、保護層を形成し、開口部の形成後、保護層を取り除
く構成とすることもできる。保護層を構成する材料とし
て、クロムを例示することができる。
【0216】以下、図24〜図27を参照して、実施の
形態14の電界放出素子の製造方法を説明するが、図2
4の(A)、図25の(A)、図26の(A)模式的な
一部端面図であり、図27の(A)及び(B)は模式的
な一部断面図であり、図24の(B)、図25の(B)
及び図26の(B)は、図24の(A)、図25の
(A)及び図26の(A)よりも広い範囲を模式的に示
す一部斜視図である。尚、開口部14の大きさ、カソー
ド電極111の厚さ、絶縁層12の厚さ、ゲート電極1
3の厚さを、カソード電極111に設けられた隆起部1
11Aの先端部111Cの平均的な水準(図26の
(A)において、点線PLで示す)からゲート電極13
の頂面までの高さをHとしたとき、W/H≦2.5とな
るように設定した。
【0217】[工程−1400]先ず、複数の球体70
を被覆したカソード電極111を支持体10上に形成す
る。具体的には、先ず、例えばガラス基板から成る支持
体10上の全面に、球体70を配置する。球体70は、
例えばポリメチレン系の高分子材料から成り、平均直径
約5μm、粒径分布1%未満である。球体70を、スプ
レーガンを用い、支持体10上におおよそ1000個/
mm2の密度でランダムに配置する。スプレーガンを用
いた散布は、球体を揮発性溶剤と混合して噴霧する方
式、あるいは粉末状態のままノズルから噴射する方式の
いずれでもよい。配置された球体70は、静電気力で支
持体10上に保持されている。この状態を図24の
(A)及び(B)に示す。
【0218】[工程−1410]次に、球体70及び支
持体10上にカソード電極111を形成する。カソード
電極111を形成した状態を、図25の(A)及び
(B)に示す。カソード電極111は、例えばカーボン
ペーストをストライプ状にスクリーン印刷することによ
って形成することができる。このとき、球体70は支持
体10上の全面に配置されているので、球体70の中に
は、図25の(B)に示すように、カソード電極111
で被覆されないものも当然存在する。次に、カソード電
極111に含まれる水分や溶剤を除去し、且つ、カソー
ド電極111を平坦化するために、例えば150゜Cに
てカソード電極111を乾燥する。この温度では、球体
70は何ら状態変化及び/又は化学変化を起こさない。
尚、上述のようなカーボンペーストを用いたスクリーン
印刷に替えて、カソード電極111を構成するカソード
電極用導電材料層を全面に形成し、このカソード電極用
導電材料層を通常のリソグラフィ技術とドライエッチン
グ技術を用いてパターニングし、ストライプ状のカソー
ド電極111を形成することもできる。リソグラフィ技
術を適用する場合、通常、レジスト層をスピンコーティ
ング法により形成するが、スピンコーティング時の支持
体10の回転数が500rpm程度、回転時間が数秒間
程度であれば、球体70は脱落したり変位することな
く、支持体10上に保持され得る。
【0219】[工程−1420]次に、球体70を除去
することによって、球体70を被覆したカソード電極1
11の部分を除去し、以て、電子を放出する複数の隆起
部111Aと、各隆起部111Aに囲まれ、且つ、球体
70の形状の一部を反映した凹部111Bとを有するカ
ソード電極111を形成する。この状態を、図26の
(A)及び(B)に示す。具体的には、カソード電極1
11の焼成を兼ね、約530゜Cにて加熱を行うことに
より球体70を燃焼させる。球体70の燃焼に伴って球
体70が閉じ込められていた閉鎖空間の圧力が上昇し、
球体70を被覆するカソード電極111の部分が或る耐
圧限界を超えた時点で破裂して除去される。その結果、
支持体10上に形成されたカソード電極111の一部分
に、隆起部111A及び凹部111Bが形成される。
尚、球体を除去した後に、球体の一部分が残渣として残
る場合には、使用する球体を構成する材料にも依るが、
適切な洗浄液を用いて残渣を除去すればよい。
【0220】[工程−1430]その後、カソード電極
111及び支持体10上に絶縁層12を形成する。具体
的には、例えば、ガラスペーストを全面に約5μmの厚
さにスクリーン印刷する。次に、絶縁層12に含まれる
水分や溶剤を除去し、且つ、絶縁層12を平坦化するた
めに、例えば150゜Cにて絶縁層12を乾燥する。上
述のようなガラスペーストを用いたスクリーン印刷に替
えて、例えばプラズマCVD法によりSiO2膜を形成
してもよい。
【0221】[工程−1440]次に、絶縁層12上
に、ストライプ状のゲート電極13を形成する(図27
の(A)参照)。ゲート電極13は、例えばカーボンペ
ーストをストライプ状にスクリーン印刷することによっ
て形成することができる。このときのストライプ状のゲ
ート電極13の射影像の延びる方向は、ストライプ状の
カソード電極111の射影像の延びる方向と90度の角
度を成している。次に、ゲート電極13に含まれる水分
や溶剤を除去し、且つ、ゲート電極13を平坦化するた
めに、例えば150゜Cにてゲート電極13を乾燥した
後、ゲート電極13及び絶縁層12を構成する材料を焼
成する。尚、カーボンペーストを用いたスクリーン印刷
に替えて、ゲート電極13を構成するゲート電極を絶縁
層12の全面に形成し、次いで、ゲート電極を通常のリ
ソグラフィ技術とドライエッチング技術を用いてパター
ニングしてもよい。
【0222】[工程−1450]その後、ゲート電極1
3の射影像とカソード電極111の射影像とが重複する
重複領域において、ゲート電極13及び絶縁層12に開
口部14,15を形成し、以て、開口部14,15の底
部に複数の複数の隆起部111A及び凹部111Bを露
出させる。開口部14,15の形成は、通常のリソグラ
フィ技術によるレジストマスクの形成と、レジストマス
クを用いたエッチングにより行うことができる。但し、
カソード電極111に対して十分に高いエッチング選択
比が確保できる条件でエッチングを行うことが好まし
い。あるいは又、隆起部111Aを形成した後、例え
ば、クロムから成る保護層を形成しておき、第2の開口
部15を形成した後、保護層を取り除くことが好まし
い。その後、レジストマスクを除去する。こうして、図
27の(B)に示した電界放出素子を得ることができ
る。
【0223】尚、実施の形態14の製造方法の変形例と
して、[工程−1410]の後、[工程−1430]〜
[工程−1450]を実行し、次いで、[工程−142
0]を実行してもよい。この場合、球体の燃焼とゲート
電極13及び絶縁層12を構成する材料の焼成を同時に
行えばよい。
【0224】あるいは又、[工程−1410]の後、
[工程−1430]を実行し、更に、[工程−144
0]と同様の工程において、開口部を有していないスト
ライプ状のゲート電極を絶縁層上に形成した後、[工程
−1420]を実行する。これによって、球体70を被
覆したカソード電極111、絶縁層12及びゲート電極
13の各部分が除去され、以て、ゲート電極13及び絶
縁層12を貫通した開口部が形成されると共に、電子を
放出する隆起部111Aと、隆起部111Aに囲まれ、
且つ、球体70の形状の一部を反映した凹部111Bと
から成る電子放出部を、開口部の底部に位置するカソー
ド電極111に形成することができる。即ち、球体70
の燃焼に伴って球体70が閉じ込められている閉鎖空間
の圧力が上昇し、球体を被覆する部分のカソード電極1
11と絶縁層12とゲート電極13とが或る耐圧限界を
超えた時点で破裂し、隆起部111A及び凹部111B
と同時に開口部が形成され、しかも、球体70が除去さ
れる。開口部は、ゲート電極13及び絶縁層12を貫通
し、且つ、球体70の形状の一部を反映している。ま
た、開口部の底部には、電子を放出する隆起部111
A、及び、隆起部111Aに囲まれ、且つ、球体70の
形状の一部を反映した凹部111Bが残る。
【0225】(実施の形態15)実施の形態15は、実
施の形態14の変形である。実施の形態15の製造方法
を図28を参照して説明するが、支持体10上に複数の
球体70を配置する工程が、球体70とカソード電極材
料とを分散媒中に分散させて成る組成物から成る組成物
層71を支持体10上に形成し、以て、支持体10上に
複数の球体70を配置し、カソード電極材料から成るカ
ソード電極111で球体を被覆した後、分散媒を除去す
る工程から成る、即ち、湿式法から成る点が、実施の形
態14の製造方法と相違する。尚、開口部14の大き
さ、カソード電極111の厚さ、絶縁層12の厚さ、ゲ
ート電極13の厚さを、カソード電極111に設けられ
た隆起部111Aの先端部111Cの平均的な水準から
ゲート電極13の頂面までの高さをHとしたとき、W/
H≦2.5となるように設定した。
【0226】[工程−1500]先ず、支持体10上に
複数の球体70を配置する。具体的には、球体70とカ
ソード電極材料71Bとを分散媒71A中に分散させて
成る組成物から成る組成物層71を支持体10上に形成
する。即ち、例えば、イソプロピルアルコールを分散媒
71Aとして使用し、平均直径約5μmのポリメチレン
系の高分子材料から成る球体70と、平均直径約0.0
5μmのカーボン粒子をカソード電極材料71Bとして
分散媒71A中に分散させて成る組成物を支持体10上
にストライプ状にスクリーン印刷し、組成物層71を形
成する。図28の(A)には、組成物層71の形成直後
の状態を示す。
【0227】[工程−1510]支持体10に保持され
た組成物層71中では、間もなく球体70が沈降して支
持体10上に配置されると共に、球体70から支持体1
0上に亙ってカソード電極材料71Bが沈降し、カソー
ド電極材料71Bから成るカソード電極111が形成さ
れる。これによって、支持体10上に複数の球体70を
配置し、カソード電極材料から成るカソード電極111
で球体70を被覆することができる。この状態を、図2
8の(B)に示す。
【0228】[工程−1520]その後、分散媒71A
を例えば蒸発させることによって除去する。この状態
を、図28の(C)に示す。
【0229】[工程−1530]次いで、実施の形態1
4の[工程−1420]〜[工程−1450]と同様の
工程、あるいは、実施の形態14の製造方法の変形例を
実行することによって、図27の(B)に示したと同様
の電界放出素子を完成することができる。
【0230】(実施の形態16)実施の形態16も、実
施の形態14の変形である。実施の形態16の製造方法
を説明するが、支持体上にストライプ状のカソード電極
を形成する工程は、より具体的には、支持体上に複数の
球体を配置する工程と、電子を放出する複数の隆起部
と、各隆起部に囲まれ、且つ、球体の形状の一部を反映
した凹部とを有し、各隆起部が球体の周囲に形成された
カソード電極を、支持体上に設ける工程と、球体を除去
する工程、から成る。支持体上への複数の球体の配置
は、球体の散布によって行う。また、球体は疎水性の表
面処理層を有する。以下、実施の形態16を、図29を
参照して説明する。尚、開口部14の大きさ、カソード
電極111の厚さ、絶縁層12の厚さ、ゲート電極13
の厚さを、カソード電極111に設けられた隆起部11
1Aの先端部111Cの平均的な水準(図29の(C)
において、点線PLで示す)からゲート電極13の頂面
までの高さをHとしたとき、W/H≦2.5となるよう
に設定した。
【0231】[工程−1600]先ず、支持体10上に
複数の球体170を配置する。具体的には、ガラス基板
から成る支持体10上の全面に、複数の球体170を配
置する。この球体170は、例えばジビニルベンゼン系
の高分子材料から成る芯材170Aをポリテトラフルオ
ロエチレン系樹脂から成る表面処理層170Bで被覆し
て成り、平均直径約5μm、粒径分布1%未満である。
球体170を、スプレーガンを用い、支持体10上にお
およそ1000個/mm2の密度でランダムに配置す
る。配置された球体170は、静電気力で支持体10上
に吸着されている。ここまでのプロセスが終了した状態
を、図29の(A)に示す。
【0232】[工程−1610]次に、電子を放出する
複数の隆起部111Aと、各隆起部111Aに囲まれ、
且つ、球体170の形状の一部を反映した凹部111B
とを有し、各隆起部111Aが球体170の周囲に形成
されたカソード電極111を、支持体10上に設ける。
具体的には、実施の形態14で述べたと同様に、例えば
カーボンペーストをストライプ状にスクリーン印刷する
が、実施の形態16では、球体170の表面が表面処理
層170Bにより疎水性を帯びているために、球体17
0の上にスクリーン印刷されたカーボンペーストは直ち
に弾かれて落下し、球体170の周囲に堆積して隆起部
111Aが形成される。隆起部111Aの先端部111
Cは、実施の形態14の場合ほど先鋭とはならない。球
体170と支持体10との間に入り込んだカソード電極
111の部分が、凹部111Bとなる。図29の(B)
では、カソード電極111と球体170との間に隙間が
存在するように図示されているが、カソード電極111
と球体170とは接触している場合もある。その後、カ
ソード電極111を例えば150゜Cにて乾燥させる。
ここまでのプロセスが終了した状態を、図29の(B)
に示す。
【0233】[工程−1620]次に、球体170に外
力を与えることによって、支持体10上から球体170
を除去する。具体的な除去方法としては、洗浄や圧搾気
体の吹付けを挙げることができる。ここまでのプロセス
が終了した状態を、図29の(C)に示す。尚、球体の
除去は、球体の状態変化及び/又は化学変化に基づい
て、より具体的には、例えば、燃焼によって球体を除去
することも可能である。以下に説明する実施の形態17
においても同様である。
【0234】[工程−1630]その後、実施の形態1
4の[工程−1430]〜[工程−1450]を実行す
ることによって、図27の(B)に示したと略同様の電
界放出素子を得ることができる。
【0235】尚、実施の形態16の製造方法の変形例と
して、[工程−1610]の後、実施の形態14の[工
程−1430]〜[工程−1450]を実行し、次い
で、[工程−1620]を実行してもよい。
【0236】(実施の形態17)実施の形態17も、実
施の形態14の変形である。実施の形態17の製造方法
を説明するが、この電界放出素子の製造方法において、
支持体上にストライプ状のカソード電極を形成する工程
は、より具体的には、支持体上に複数の球体を配置する
工程と、電子を放出する複数の隆起部と、各隆起部に囲
まれ、且つ、球体の形状の一部を反映した凹部とを有
し、各隆起部が球体の周囲に形成されたカソード電極を
支持体上に設ける工程、から成る。
【0237】全面に絶縁層を設ける際、球体の上方に開
口部が形成された絶縁層を、カソード電極及び支持体上
に設ける。球体の除去は、開口部の形成後に行う。実施
の形態17の電界放出素子の製造方法においては、支持
体上への複数の球体の配置は、球体の散布によって行
う。また、球体は疎水性の表面処理層を有する。以下、
実施の形態17を、図30及び図31を参照して説明す
る。尚、開口部14の大きさ、カソード電極111の厚
さ、絶縁層12の厚さ、ゲート電極113の厚さを、カ
ソード電極111に設けられた隆起部111Aの先端部
111Cの平均的な水準(図29の(C)において、点
線PLで示す)からゲート電極113の頂面までの高さ
をHとしたとき、W/H≦2.5となるように設定し
た。
【0238】[工程−1700]先ず、支持体10上に
複数の球体170を配置する。具体的には、実施の形態
16の[工程−1600]と同様の工程を実行する。
【0239】[工程−1710]その後、電子を放出す
る複数の隆起部111Aと、各隆起部111Aに囲ま
れ、且つ、球体170の形状の一部を反映した凹部11
1Bとを有し、各隆起部111Aが球体170の周囲に
形成されたカソード電極111を、支持体10上に設け
る。具体的には、実施の形態16の[工程−1610]
と同様の工程を実行する。
【0240】[工程−1720]次に、球体の上方に開
口部15Aが形成された絶縁層112を、カソード電極
111及び支持体10上に設ける。具体的には、例え
ば、ガラスペーストを全面に約5μmの厚さにスクリー
ン印刷する。ガラスペーストを用いたスクリーン印刷
は、実施の形態14と同様に行うことができるが、球体
170の表面が表面処理層170Bにより疎水性を帯び
ているために、球体170の上にスクリーン印刷された
ガラスペーストは直ちに弾かれて落下し、自らの表面張
力により絶縁層112の球体170の上の部分は収縮す
る。その結果、球体170の頂部は絶縁層112に覆わ
れることなく、開口部15A内に露出する。この状態を
図30の(A)に示す。図示した例では、開口部15A
の上端部の直径は球体170の直径よりも大きいが、表
面処理層170Bの界面張力が、ガラスペーストの界面
張力よりも小さい場合には、開口部15Aの直径が小さ
くなる傾向にある。逆に、表面処理層170Bの界面張
力が、ガラスペーストの界面張力よりも著しく大きい場
合には、開口部15Aの直径は大きくなり易い。その
後、絶縁層112を例えば150゜Cにて乾燥させる。
【0241】[工程−1730]次に、開口部15Aと
連通する開口部14Aを有するゲート電極113を絶縁
層112上に形成する。具体的には、例えば、カーボン
ペーストをストライプ状にスクリーン印刷する。カーボ
ンペーストを用いたスクリーン印刷は、実施の形態14
と同様に行えばよいが、球体170の表面が表面処理層
170Bにより疎水性を帯びているために、球体170
の上にスクリーン印刷されたカーボンペーストは直ちに
弾かれて、自らの表面張力により収縮し、絶縁層112
の表面のみに付着した状態となる。このとき、ゲート電
極113は、図示するように、絶縁層112の開口端部
から開口部15A内へ若干回り込むように形成されるこ
ともある。その後、ゲート電極113を例えば150゜
Cにて乾燥させる。ここまでのプロセスが終了した状態
を、図30の(B)に示す。尚、表面処理層170Bの
界面張力が、カーボンペーストの界面張力よりも小さい
場合には、開口部15Aの直径が小さくなる傾向にあ
る。逆に、表面処理層170Bの界面張力が、カーボン
ペーストの界面張力よりも著しく大きい場合には、開口
部15Aの直径は大きくなり易い。
【0242】[工程−1740]次に、開口部14A,
15Aの底部に露出した球体170を除去する。具体的
には、カソード電極111と絶縁層112とゲート電極
113の焼成を兼ね、ガラスペーストの典型的な焼成温
度である約530゜Cにて加熱を行うことにより、球体
170を燃焼させる。このとき、実施の形態14と異な
り、絶縁層112及びゲート電極113には開口部14
A,15Aが最初から形成されているので、カソード電
極111や絶縁層112、ゲート電極113の一部が飛
散することはなく、球体170は速やかに除去される。
尚、開口部14A,15Aの上端部の直径が球体170
の直径よりも大きい場合、球体170を燃焼させなくと
も、例えば、洗浄や圧搾気体の吹付け等の外力によって
球体170を除去することが可能である。ここまでのプ
ロセスが終了した状態を、図31の(A)に示す。
【0243】[工程−1750]その後、開口部15A
の側壁面に相当する絶縁層112の一部を等方的にエッ
チングすると、図31の(B)に示す電界放出素子を完
成することができる。ここでは、ゲート電極113の端
部が下方を向いているが、このことは、開口部14内の
電界強度を高める上で好ましい。
【0244】(実施の形態18)実施の形態18は、本
発明の第1の態様及び第3の態様に係る電界放出素子及
び本発明の第1の態様及び第3の態様に係る表示装置に
関する。実施の形態18における電界放出素子は、第2
の構造を有する。この実施の形態18の電界放出素子
は、先に説明した実施の形態8の電界放出素子の変形で
ある。実施の形態18の電界放出素子が実施の形態8の
電界放出素子と相違する点は、第2の構造を有している
点にある。即ち、実施の形態18の電界放出素子は、
(A)支持体10上に配設された、絶縁材料から成る帯
状のゲート電極支持部212、(B)複数の開口部21
4が形成された帯状材料層213Aから成るゲート電極
213、並びに、(C)電子放出部16Bから成り、ゲ
ート電極支持部212の頂面に接するように、且つ、電
子放出部の上方に開口部214が位置するように帯状材
料層213Aが張架されている。電子放出部16Bは、
開口部214の底部に位置するカソード電極11の部分
の表面に形成された炭素薄膜選択成長領域41、及び、
炭素薄膜選択成長領域41上に形成された炭素薄膜40
から成る。
【0245】帯状材料層213Aは、ゲート電極支持部
212の頂面に、熱硬化性接着剤(例えばエポキシ系接
着剤)にて固定されている。実施の形態18の電界放出
素子の模式的な一部断面図を図32の(A)に示し、カ
ソード電極11、帯状材料層213A及びゲート電極2
13、並びに、ゲート電極支持部212の模式的な配置
図を図32の(B)に示す。また、電界放出素子の一部
を拡大した模式図を図33に示す。
【0246】実施の形態18においては、電子放出部1
6Bからゲート電極213までの高さ(より具体的に
は、電子放出部16Bの頂面からゲート電極213の頂
面までの高さ)をH、開口部214の最も広い部分の長
さをWとしたとき、W/H≦2.5、好ましくは1.2
以下を満足している。尚、図は模式図であり、この関係
を示すものではない。
【0247】また、ゲート電極213及びカソード電極
11に印加される電圧の電位差によって生じる電界にお
いて、開口部214の中心(図33においては、点線C
で示す)に位置する電子放出部16Bの部分の表面にお
けるカソード電極法線方向(Z方向)の電界強度成分を
ZC、開口部214の中心から最も遠いところに位置す
る開口部214(ゲート電極開口端部)の部分と開口部
214の中心とを結んだ線分の長さをLとし、開口部2
14の中心から最も遠いところに位置する開口部214
(ゲート電極開口端部)の部分から開口部214の中心
に向かってL’=0.2Lのところに位置する電子放出
部16Bの部分(図33においては、点線Eで示す)の
表面におけるカソード電極法線方向(Z方向)の電界強
度成分をEZEとしたとき、EZC=0.3EZEである。即
ち、EZC≧0.3EZEを満足している。
【0248】以下、実施の形態18の電界放出素子の製
造方法の一例を説明する。
【0249】[工程−1800]先ず、支持体10上に
ゲート電極支持部212を、例えば、サンドブラスト法
に基づき形成する。
【0250】[工程−1810]その後、支持体10上
に電子放出部を形成する。具体的には、実施の形態8の
電界放出素子の[工程−800]〜[工程−820]と
同様にして、カソード電極11の表面に炭素薄膜選択成
長領域41を形成し、炭素薄膜選択成長領域41上に炭
素薄膜40を形成する。尚、カソード電極11はストラ
イプ状であり、ゲート電極支持部212とゲート電極支
持部212との間に位置する支持体10の部分に形成さ
れる。
【0251】[工程−1820]その後、複数の開口部
214が形成されたストライプ状の帯状材料層213A
を、複数の開口部214が電子放出部16Bに相当する
炭素薄膜40の上方に位置するように、ゲート電極支持
部212によって支持された状態に配設し、以て、スト
ライプ状の帯状材料層213Aから構成され、複数の開
口部214を有するゲート電極213を電子放出部の上
方に位置させる。ストライプ状の帯状材料層213Aの
配設方法は、上述のとおりとすればよい。
【0252】尚、電界放出素子の構造は、実施の形態8
にて説明した電界放出素子に限定されず、実施の形態1
〜実施の形態11にて説明した各種の電界放出素子を適
宜選択することができる。
【0253】(実施の形態19)実施の形態19は、本
発明の第2の態様及び第4の態様に係る電界放出素子及
び本発明の第2の態様及び第4の態様に係る表示装置に
関する。実施の形態19における電界放出素子は、第2
の構造を有する。この実施の形態19の電界放出素子
は、先に説明した実施の形態12の電界放出素子の変形
である。実施の形態19の電界放出素子が実施の形態1
2の電界放出素子と相違する点は、第2の構造を有して
いる点にある。即ち、実施の形態19の電界放出素子
は、(A)支持体10上に配設された、絶縁材料から成
る帯状のゲート電極支持部212、(B)複数の開口部
214が形成された帯状材料層213Aから成るゲート
電極213、並びに、(C)電子放出部16Cに相当す
るカソード電極61から成り、ゲート電極支持部212
の頂面に接するように、且つ、電子放出部16Cの上方
に開口部214が位置するように帯状材料層213Aが
張架されている。
【0254】帯状材料層213Aは、ゲート電極支持部
212の頂面に、熱硬化性接着剤(例えばエポキシ系接
着剤)にて固定されている。実施の形態19の電界放出
素子の模式的な一部断面図を図34の(A)に示し、電
界放出素子の一部を拡大した模式図を図34の(B)に
示す。
【0255】実施の形態19においては、電子放出部1
6Cに相当するカソード電極61からゲート電極213
までの高さ(より具体的には、カソード電極61の頂面
からゲート電極213の頂面までの高さ)をH、開口部
214の最も広い部分の長さをWとしたとき、W/H≦
2.5、好ましくは1.2以下を満足している。尚、図
は模式図であり、この関係を示すものではない。
【0256】また、ゲート電極213及びカソード電極
11に印加される電圧の電位差によって生じる電界にお
いて、開口部214の中心(図34の(B)において
は、点線Cで示す)に位置するカソード電極61の部分
の表面におけるカソード電極法線方向(Z方向)の電界
強度成分をEZC、開口部214の中心から最も遠いとこ
ろに位置する開口部214(ゲート電極開口端部)の部
分と開口部214の中心とを結んだ線分の長さをLと
し、開口部214の中心から最も遠いところに位置する
開口部214(ゲート電極開口端部)の部分から開口部
214の中心に向かってL’=0.2Lのところに位置
するカソード電極61の部分(図34の(B)において
は、点線Eで示す)の表面におけるカソード電極法線方
向(Z方向)の電界強度成分をEZEとしたとき、EZC
0.3EZEである。即ち、EZC≧0.3EZEを満足して
いる。
【0257】以下、実施の形態19の電界放出素子の製
造方法の一例を説明する。
【0258】[工程−1900]先ず、実施の形態12
と同様にして、支持体10上にカソード電極61を形成
する。
【0259】[工程−1910]その後、支持体10上
にゲート電極支持部212を、例えば、サンドブラスト
法に基づき形成する。
【0260】[工程−1920]その後、複数の開口部
214が形成されたストライプ状の帯状材料層213A
を、複数の開口部214が電子放出部である炭素薄膜4
0の上方に位置するように、ゲート電極支持部212に
よって支持された状態に配設し、以て、ストライプ状の
帯状材料層213Aから構成され、複数の開口部214
を有するゲート電極213を電子放出部の上方に位置さ
せる。ストライプ状の帯状材料層213Aの配設方法
は、上述のとおりとすればよい。
【0261】尚、電界放出素子の構造は、実施の形態1
2にて説明した電界放出素子に限定されず、実施の形態
13〜実施の形態17にて説明した各種の電界放出素子
を適宜選択することができる。
【0262】実施の形態18あるいは実施の形態19の
電界放出素子において、図35に、支持体10の端部近
傍の模式的な一部断面図を示すように、ストライプ状の
帯状材料層213Aの両端部が、支持体10の周辺部に
固定されている構造とすることもできる。より具体的に
は、例えば、支持体10の周辺部に突起部217を予め
形成しておき、この突起部217の頂面に帯状材料層2
13Aを構成する材料と同じ材料の薄膜218を形成し
ておく。そして、ストライプ状の帯状材料層213Aを
張架した状態で、かかる薄膜218に、例えばレーザを
用いて溶接する。尚、突起部217は、例えば、ゲート
電極支持部の形成と同時に形成することができる。
【0263】また、実施の形態18あるいは実施の形態
19の電界放出素子における開口部214の平面形状は
円形に限定されない。帯状材料層213Aに設けられた
開口部214の形状の変形例を図36の(A)、
(B)、(C)及び(D)に例示する。
【0264】以上、本発明を、実施の形態に基づき説明
したが、本発明はこれらに限定されるものではない。実
施の形態において説明した各種の条件、使用材料、電界
放出素子や表示装置の構造は例示であり、適宜変更する
ことができる。
【0265】更には、冷陰極電界電子放出素子の製造に
おいて使用した各種材料も例示であり、適宜変更するこ
とができる。冷陰極電界電子放出素子においては、1つ
の開口部に1つの電子放出部が対応する形態であっても
よいし、冷陰極電界電子放出素子の構造に依っては、1
つの開口部に複数の電子放出部が対応した形態、あるい
は、複数の開口部に1つの電子放出部が対応する形態と
することもできる。
【0266】電子放出部あるいは電子放出部に相当する
カソード電極の表面におけるZ方向の電界強度成分EZ
が例えば図4の(A)に示したような分布を示す場合、
カソード電極及びゲート電極に印加する電圧及びW/H
の値を最適化することによって、電子放出部あるいは電
子放出部に相当するカソード電極から電子が放出される
ときの電界強度成分EZの閾値EZ-THを開口部の中心か
ら所望のところに位置する電子放出部の部分あるいは電
子放出部に相当するカソード電極の部分に設定すること
ができる。これによって、かかる部分に囲まれた電子放
出部の領域あるいは電子放出部に相当するカソード電極
の領域からのみ電子が放出され、ゲート電極や絶縁層、
スペーサに衝突する電子を一層少なくすることができ
る。
【0267】ゲート電極を、有効領域を1枚のシート状
の導電材料(開口部を有する)で被覆した形式のゲート
電極とすることもできる。この場合には、かかるゲート
電極に正の電圧(例えば160ボルト)を印加する。そ
して、各画素を構成する矩形形状のカソード電極とカソ
ード電極制御回路との間に、例えば、TFTから成るス
イッチング素子を設け、かかるスイッチング素子の作動
によって、各画素を構成するかでへの印加状態を制御
し、画素の発光状態を制御する。
【0268】あるいは又、カソード電極を、有効領域を
1枚のシート状の導電材料で被覆した形式のカソード電
極とすることもできる。この場合には、かかるカソード
電極に電圧(例えば0ボルト)を印加する。そして、各
画素を構成する矩形のゲート電極とゲート電極制御回路
との間に、例えば、TFTから成るスイッチング素子を
設け、かかるスイッチング素子の作動によって、各画素
を構成するゲート電極への印加状態を制御し、画素の発
光状態を制御する。
【0269】
【発明の効果】本発明においては、「H」と「W」との
関係を規定することによって、あるいは又、電界強度成
分EZC,EZEの関係を規定することによって、電子を放
出する電子放出部やカソード電極の部分の表面における
電界を適切化することができ、電子放出部やカソード電
極における電子の放出起点を開口部中心及びその近傍の
電子放出部やカソード電極の部分とすることが可能とな
る。その結果、ゲート電極や絶縁層、スペーサに衝突す
る電子を少なくすることができ、ゲート電極に損傷が発
生したり、アノード電極に到達し得る電子の量が少なく
なるといった問題の発生を回避することができるし、絶
縁層12やスペーサに帯電現象が発生するといった問題
を解決することができる。また、電子放出部から放出さ
れた電子の収束性が向上し、簡素な構造にて、収束電極
を設けなくとも、デフォーカスや光学的クロストーク発
生といった問題を回避することができる。
【0270】本発明において、電子放出部を炭素薄膜か
ら構成する場合、導電体層やカソード電極の所望の部位
に炭素薄膜から成る電子放出部を設けることができ、し
かも、炭素薄膜を所望の形状にするための炭素薄膜のパ
ターニングを行う必要が無い。また、電子放出部を炭素
薄膜から構成すれば、低閾値電圧を有し、高い電子放出
効率を有する冷陰極電界電子放出素子を得ることがで
き、低消費電力、高画質の冷陰極電界電子放出表示装置
を得ることができる。更には、有効領域の面積が増大
し、これに伴って冷陰極電界電子放出素子の形成数が著
しく増大した場合にも、各冷陰極電界電子放出素子の電
子放出部を精度良く形成することができるため、有効領
域の全域に亙って各電子放出部の電子放出効率が均一化
され、輝度ムラが極めて少ない高画質の冷陰極電界電子
放出表示装置を製造することができる。また、炭素薄膜
の成膜を比較的低温で行うことができるが故に、支持体
としてガラス板を用いることができ、製造コストの低減
を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明の実施の形態1における冷陰極電界電子放
出素子の模式的な一部端面図である。
【図2】発明の実施の形態1における冷陰極電界電子放
出表示装置の模式的な一部端面図である。
【図3】カソードパネル及びアノードパネルの一部分の
模式的な分解斜視図である。
【図4】発明の実施の形態1における冷陰極電界電子放
出素子における電界強度成分E Z及び電界強度成分EX
シミュレーション結果を模式的に示す図である。
【図5】図4に示すような電界強度成分EZ,EXを得る
ためのW/Hの値と絶縁層を構成する材料の比誘電率κ
との関係を示すグラフである。
【図6】発明の実施の形態1における冷陰極電界電子放
出素子の製造方法を説明するための支持体等の模式的な
一部端面図である。
【図7】発明の実施の形態1の冷陰極電界電子放出表示
装置におけるアノードパネルの製造方法を説明するため
の基板等の模式的な一部断面図である。
【図8】発明の実施の形態4の冷陰極電界電子放出表示
装置の模式的な一部端面図である。
【図9】発明の実施の形態4の冷陰極電界電子放出素子
の製造方法を説明するための支持体等の模式的な一部端
面図である。
【図10】図9に引き続き、発明の実施の形態4の冷陰
極電界電子放出素子の製造方法を説明するための支持体
等の模式的な一部端面図である。
【図11】図10に引き続き、発明の実施の形態4の冷
陰極電界電子放出素子の製造方法を説明するための支持
体等の模式的な一部端面図である。
【図12】発明の実施の形態7の冷陰極電界電子放出素
子の製造方法を説明するための支持体等の模式的な一部
端面図である。
【図13】発明の実施の形態8の冷陰極電界電子放出素
子の製造方法を説明するための支持体等の模式的な一部
端面図である。
【図14】図13に引き続き、発明の実施の形態8の冷
陰極電界電子放出素子の製造方法を説明するための支持
体等の模式的な一部端面図である。
【図15】発明の実施の形態9の冷陰極電界電子放出素
子の製造方法を説明するための支持体等の模式的な一部
端面図である。
【図16】図15に引き続き、発明の実施の形態9の冷
陰極電界電子放出素子の製造方法を説明するための支持
体等の模式的な一部端面図である。
【図17】発明の実施の形態9の冷陰極電界電子放出素
子の製造方法を説明するための支持体等の模式的な一部
端面図である。
【図18】発明の実施の形態11の冷陰極電界電子放出
素子の製造方法を説明するための支持体等の模式的な一
部端面図である。
【図19】図18に引き続き、発明の実施の形態11の
冷陰極電界電子放出素子の製造方法を説明するための支
持体等の模式的な一部端面図である。
【図20】発明の実施の形態12の冷陰極電界電子放出
素子の模式的な一部断面図である。
【図21】発明の実施の形態12の冷陰極電界電子放出
素子の製造方法を説明するための支持体等の模式的な一
部断面図である。
【図22】発明の実施の形態13の冷陰極電界電子放出
素子の模式的な一部断面図である。
【図23】発明の実施の形態13の冷陰極電界電子放出
素子の変形例の模式的な一部断面図である。
【図24】発明の実施の形態14の冷陰極電界電子放出
素子の製造方法を説明するための支持体等の模式的な一
部端面図、及び、部分的な斜視図である。
【図25】図24に引き続き、発明の実施の形態14の
冷陰極電界電子放出素子の製造方法を説明するための支
持体等の模式的な一部端面図、及び、部分的な斜視図で
ある。
【図26】図25に引き続き、発明の実施の形態14の
冷陰極電界電子放出素子の製造方法を説明するための支
持体等の模式的な一部端面図、及び、部分的な斜視図で
ある。
【図27】図26に引き続き、発明の実施の形態14の
冷陰極電界電子放出素子の製造方法を説明するための支
持体等の模式的な一部断面図である。
【図28】発明の実施の形態15の冷陰極電界電子放出
素子の製造方法を説明するための支持体等の模式的な一
部断面図である。
【図29】発明の実施の形態16の冷陰極電界電子放出
素子の製造方法を説明するための支持体等の模式的な一
部断面図である。
【図30】発明の実施の形態17の冷陰極電界電子放出
素子の製造方法を説明するための支持体等の模式的な一
部断面図である。
【図31】図30に引き続き、発明の実施の形態17の
冷陰極電界電子放出素子の製造方法を説明するための支
持体等の模式的な一部断面図である。
【図32】発明の実施の形態18における冷陰極電界電
子放出素子の模式的な一部断面図、及び、ゲート電極等
の模式的な配置図である。
【図33】発明の実施の形態18における冷陰極電界電
子放出素子の一部分を拡大した模式的な一部断面図であ
る、
【図34】発明の実施の形態19における冷陰極電界電
子放出素子の模式的な一部断面図、及び、冷陰極電界電
子放出素子の一部分を拡大した模式的な一部断面図であ
る、
【図35】発明の実施の形態18の変形例における冷陰
極電界電子放出素子の模式的な一部断面図である。
【図36】発明の実施の形態18若しくは実施の形態1
9におけるゲート電極の有する複数の開口部を示す模式
的な平面図である。
【図37】スピント型冷陰極電界電子放出素子を組み込
んだ冷陰極電界電子放出表示装置の概念図である。
【図38】スピント型冷陰極電界電子放出素子の製造方
法を説明するための、支持体等の模式的な一部端面図で
ある。
【図39】図38に引き続き、スピント型冷陰極電界電
子放出素子の製造方法を説明するための、支持体等の模
式的な一部端面図である。
【図40】炭素薄膜を用いた平面型冷陰極電界電子放出
素子の模式的な一部端面図である。
【図41】従来の炭素薄膜を用いた平面型冷陰極電界電
子放出素子における電界強度成分EZ及び電界強度成分
Xのシミュレーション結果を模式的に示す図である。
【図42】従来の炭素薄膜を用いた平面型冷陰極電界電
子放出素子において電子が電子放出部から放出された状
態を模式的に示す図である。
【符号の説明】
CP・・・カソードパネル、AP・・・アノードパネ
ル、10・・・支持体、11,61,111・・・カソ
ード電極、11A・・・導電体層、11B・・・抵抗体
層、111A・・・隆起部、111B・・・凹部、11
1C・・・先端部、12,112・・・絶縁層、13,
113,213・・・ゲート電極、14,14A,21
4・・・開口部、15,15A・・・第2の開口部、1
6,16A,16B,16C・・・電子放出部、17・
・・貫通孔、18・・・チップ管、20・・・基板、2
1,21R,21G,21B・・・蛍光体層、22・・
・ブラックマトリックス、23・・・アノード電極、2
4・・・枠体、30・・・カソード電極制御回路、31
・・・ゲート電極制御回路、32・・・アノード電極制
御回路、40・・・炭素薄膜、41・・・炭素薄膜選択
成長領域、42・・・金属粒子、43・・・金属薄膜、
44・・・マスク層、61A・・・微小凹凸部、61B
・・・被覆層、70,170・・・球体、71・・・組
成物層、71A・・・分散媒、71B・・・カソード電
極材料、170A・・・芯材、170B・・・表面処理
層、212・・・ゲート電極支持部、213A・・・帯
状材料層、217・・・突起部、218・・・薄膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 下位 法弘 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 Fターム(参考) 5C036 EE03 EE04 EE14 EE19 EF01 EF06 EF09 EG02 EG12 EH23

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)支持体上に設けられたカソード電極
    と、 (B)カソード電極上に設けられた電子放出部と、 (C)電子放出部の上方に配設され、開口部を有するゲ
    ート電極、から成り、 電子放出部からゲート電極までの高さをH、開口部の最
    も広い部分の長さをWとしたとき、W/H≦2.5を満
    足することを特徴とする冷陰極電界電子放出素子。
  2. 【請求項2】電子放出部は炭素薄膜から成ることを特徴
    とする請求項1に記載の冷陰極電界電子放出素子。
  3. 【請求項3】支持体及びカソード電極の上には絶縁層が
    形成され、該絶縁層上にゲート電極が形成され、該絶縁
    層には、ゲート電極に設けられた開口部に連通した第2
    の開口部が形成され、第2の開口部の底部に電子放出部
    が露出していることを特徴とする請求項1に記載の冷陰
    極電界電子放出素子。
  4. 【請求項4】(A)支持体上に設けられ、電子を放出す
    るカソード電極と、 (B)カソード電極の上方に配設され、開口部を有する
    ゲート電極、から成り、 カソード電極からゲート電極までの高さをH、開口部の
    最も広い部分の長さをWとしたとき、W/H≦2.5を
    満足することを特徴とする冷陰極電界電子放出素子。
  5. 【請求項5】支持体及びカソード電極の上には絶縁層が
    形成され、該絶縁層上にゲート電極が形成され、該絶縁
    層には、ゲート電極に設けられた開口部に連通した第2
    の開口部が形成され、第2の開口部の底部にカソード電
    極が露出していることを特徴とする請求項4に記載の冷
    陰極電界電子放出素子。
  6. 【請求項6】冷陰極電界電子放出素子が複数設けられた
    カソードパネル、及び、蛍光体層とアノード電極とを備
    えたアノードパネルが、それらの周縁部で接合されて成
    る冷陰極電界電子放出表示装置であって、 冷陰極電界電子放出素子は、 (A)支持体上に設けられたカソード電極と、 (B)カソード電極上に設けられた電子放出部と、 (C)電子放出部の上方に配設され、開口部を有するゲ
    ート電極、から成り、 電子放出部からゲート電極までの高さをH、開口部の最
    も広い部分の長さをWとしたとき、W/H≦2.5を満
    足することを特徴とする冷陰極電界電子放出表示装置。
  7. 【請求項7】電子放出部は炭素薄膜から成ることを特徴
    とする請求項6に記載の冷陰極電界電子放出表示装置。
  8. 【請求項8】支持体及びカソード電極の上には絶縁層が
    形成され、該絶縁層上にゲート電極が形成され、該絶縁
    層には、ゲート電極に設けられた開口部に連通した第2
    の開口部が形成され、第2の開口部の底部に電子放出部
    が露出していることを特徴とする請求項6に記載の冷陰
    極電界電子放出表示装置。
  9. 【請求項9】冷陰極電界電子放出素子が複数設けられた
    カソードパネル、及び、蛍光体層とアノード電極とを備
    えたアノードパネルが、それらの周縁部で接合されて成
    る冷陰極電界電子放出表示装置であって、 冷陰極電界電子放出素子は、 (A)支持体上に設けられ、電子を放出するカソード電
    極と、 (B)カソード電極の上方に配設され、開口部を有する
    ゲート電極、から成り、 カソード電極からゲート電極までの高さをH、開口部の
    最も広い部分の長さをWとしたとき、W/H≦2.5を
    満足することを特徴とする冷陰極電界電子放出表示装
    置。
  10. 【請求項10】支持体及びカソード電極の上には絶縁層
    が形成され、該絶縁層上にゲート電極が形成され、該絶
    縁層には、ゲート電極に設けられた開口部に連通した第
    2の開口部が形成され、第2の開口部の底部にカソード
    電極が露出していることを特徴とする請求項9に記載の
    冷陰極電界電子放出表示装置。
  11. 【請求項11】(A)支持体上に設けられたカソード電
    極と、 (B)カソード電極上に設けられた電子放出部と、 (C)電子放出部の上方に配設され、開口部を有するゲ
    ート電極、から成り、 ゲート電極及びカソード電極に印加される電圧の電位差
    によって生じる電界において、開口部中心に位置する電
    子放出部の部分の表面におけるカソード電極法線方向の
    電界強度成分をEZC、開口部中心から最も遠いところに
    位置する開口部の部分と開口部中心とを結んだ線分の長
    さをLとし、開口部中心から最も遠いところに位置する
    開口部の該部分から開口部中心に向かって0.2Lのと
    ころに位置する電子放出部の部分の表面におけるカソー
    ド電極法線方向の電界強度成分をEZEとしたとき、EZC
    ≧0.3EZEを満足することを特徴とする冷陰極電界電
    子放出素子。
  12. 【請求項12】電子放出部は炭素薄膜から成ることを特
    徴とする請求項11に記載の冷陰極電界電子放出素子。
  13. 【請求項13】支持体及びカソード電極の上には絶縁層
    が形成され、該絶縁層上にゲート電極が形成され、該絶
    縁層には、ゲート電極に設けられた開口部に連通した第
    2の開口部が形成され、第2の開口部の底部に電子放出
    部が露出していることを特徴とする請求項11に記載の
    冷陰極電界電子放出素子。
  14. 【請求項14】(A)支持体上に設けられ、電子を放出
    するカソード電極と、 (B)カソード電極の上方に配設され、開口部を有する
    ゲート電極、から成り、 ゲート電極及びカソード電極に印加される電圧の電位差
    によって生じる電界において、開口部中心に位置するカ
    ソード電極の部分の表面におけるカソード電極法線方向
    の電界強度成分をEZC、開口部中心から最も遠いところ
    に位置する開口部の部分と開口部中心とを結んだ線分の
    長さをLとし、開口部中心から最も遠いところに位置す
    る開口部の該部分から開口部中心に向かって0.2Lの
    ところに位置するカソード電極の部分の表面におけるカ
    ソード電極法線方向の電界強度成分をEZEとしたとき、
    ZC≧0.3EZEを満足することを特徴とする冷陰極電
    界電子放出素子。
  15. 【請求項15】支持体及びカソード電極の上には絶縁層
    が形成され、該絶縁層上にゲート電極が形成され、該絶
    縁層には、ゲート電極に設けられた開口部に連通した第
    2の開口部が形成され、第2の開口部の底部にカソード
    電極が露出していることを特徴とする請求項14に記載
    の冷陰極電界電子放出素子。
  16. 【請求項16】冷陰極電界電子放出素子が複数設けられ
    たカソードパネル、及び、蛍光体層とアノード電極とを
    備えたアノードパネルが、それらの周縁部で接合されて
    成る冷陰極電界電子放出表示装置であって、 冷陰極電界電子放出素子は、 (A)支持体上に設けられたカソード電極と、 (B)カソード電極上に設けられた電子放出部と、 (C)電子放出部の上方に配設され、開口部を有するゲ
    ート電極、から成り、 ゲート電極及びカソード電極に印加される電圧の電位差
    によって生じる電界において、開口部中心に位置する電
    子放出部の部分の表面におけるカソード電極法線方向の
    電界強度成分をEZC、開口部中心から最も遠いところに
    位置する開口部の部分と開口部中心とを結んだ線分の長
    さをLとし、開口部中心から最も遠いところに位置する
    開口部の該部分から開口部中心に向かって0.2Lのと
    ころに位置する電子放出部の部分の表面におけるカソー
    ド電極法線方向の電界強度成分をEZEとしたとき、EZC
    ≧0.3EZEを満足することを特徴とする冷陰極電界電
    子放出表示装置。
  17. 【請求項17】電子放出部は炭素薄膜から成ることを特
    徴とする請求項16に記載の冷陰極電界電子放出表示装
    置。
  18. 【請求項18】支持体及びカソード電極の上には絶縁層
    が形成され、該絶縁層上にゲート電極が形成され、該絶
    縁層には、ゲート電極に設けられた開口部に連通した第
    2の開口部が形成され、第2の開口部の底部に電子放出
    部が露出していることを特徴とする請求項16に記載の
    冷陰極電界電子放出表示装置。
  19. 【請求項19】冷陰極電界電子放出素子が複数設けられ
    たカソードパネル、及び、蛍光体層とアノード電極とを
    備えたアノードパネルが、それらの周縁部で接合されて
    成る冷陰極電界電子放出表示装置であって、 冷陰極電界電子放出素子は、 (A)支持体上に設けられ、電子を放出するカソード電
    極と、 (B)カソード電極の上方に配設され、開口部を有する
    ゲート電極、から成り、 ゲート電極及びカソード電極に印加される電圧の電位差
    によって生じる電界において、開口部中心に位置するカ
    ソード電極の部分の表面におけるカソード電極法線方向
    の電界強度成分をEZC、開口部中心から最も遠いところ
    に位置する開口部の部分と開口部中心とを結んだ線分の
    長さをLとし、開口部中心から最も遠いところに位置す
    る開口部の該部分から開口部中心に向かって0.2Lの
    ところに位置するカソード電極の部分の表面におけるカ
    ソード電極法線方向の電界強度成分をEZEとしたとき、
    ZC≧0.3EZEを満足することを特徴とする冷陰極電
    界電子放出表示装置。
  20. 【請求項20】支持体及びカソード電極の上には絶縁層
    が形成され、該絶縁層上にゲート電極が形成され、該絶
    縁層には、ゲート電極に設けられた開口部に連通した第
    2の開口部が形成され、第2の開口部の底部にカソード
    電極が露出していることを特徴とする請求項19に記載
    の冷陰極電界電子放出表示装置。
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