JP2003217468A - 冷陰極電界電子放出表示装置用カソードパネル、及び、冷陰極電界電子放出表示装置 - Google Patents

冷陰極電界電子放出表示装置用カソードパネル、及び、冷陰極電界電子放出表示装置

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JP2003217468A
JP2003217468A JP2002017174A JP2002017174A JP2003217468A JP 2003217468 A JP2003217468 A JP 2003217468A JP 2002017174 A JP2002017174 A JP 2002017174A JP 2002017174 A JP2002017174 A JP 2002017174A JP 2003217468 A JP2003217468 A JP 2003217468A
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cathode
insulating layer
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Kazuo Kikuchi
一夫 菊地
Shinji Kubota
紳治 久保田
Hiroshi Sata
博史 佐多
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Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】無効領域における帯電に起因した異常放電の発
生を防止し得る構造を有する冷陰極電界電子放出表示装
置用カソードパネルを提供する。 【解決手段】このカソードパネルは、支持体10と、カ
ソード電極11と、絶縁層12と、ゲート電極13と、
カソード電極12とゲート電極13の重複する領域に位
置するゲート電極13の部分に形成された第1開口部1
4Aと、絶縁層12に形成された第2開口部14Bと、
第2開口部14Bの底部に露出した電子放出部15から
成り、表示部分として機能する有効領域AEFを取り囲む
無効領域A IEの少なくとも一部に接地電極30が備えら
れている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、冷陰極電界電子放
出表示装置用カソードパネル、及び、冷陰極電界電子放
出表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】テレビジョン受像機や情報端末機器に用
いられる表示装置の分野では、従来主流の陰極線管(C
RT)から、薄型化、軽量化、大画面化、高精細化の要
求に応え得る平面型(フラットパネル型)の表示装置へ
の移行が検討されている。このような平面型の表示装置
として、液晶表示装置(LCD)、エレクトロルミネッ
センス表示装置(ELD)、プラズマ表示装置(PD
P)、冷陰極電界電子放出表示装置(FED:フィール
ドエミッションディスプレイ)を例示することができ
る。このなかでも、液晶表示装置は情報端末機器用の表
示装置として広く普及しているが、据置き型のテレビジ
ョン受像機に適用するには、高輝度化や大型化に未だ課
題を残している。これに対して、冷陰極電界電子放出表
示装置は、熱的励起によらず、量子トンネル効果に基づ
き固体から真空中に電子を放出することが可能な冷陰極
電界電子放出素子(以下、電界放出素子と呼ぶ場合があ
る)を利用しており、高輝度及び低消費電力の点から注
目を集めている。
【0003】図52に、電界放出素子を備えた従来の冷
陰極電界電子放出表示装置(以下、表示装置と呼ぶ場合
がある)の模式的な一部端面図を示す。図示した電界放
出素子は、円錐形の電子放出部を有する、所謂スピント
(Spindt)型電界放出素子と呼ばれるタイプの電
界放出素子である。この電界放出素子は、例えばガラス
基板から成る支持体10上に形成されたカソード電極1
1と、支持体10及びカソード電極11上に形成された
絶縁層12と、絶縁層12上に形成されたゲート電極1
3と、ゲート電極13に設けられた第1開口部14A及
び絶縁層12に設けられた第2開口部14Bと、第2開
口部14Bの底部に位置するカソード電極11上に形成
された円錐形の電子放出部15から構成されている。一
般に、カソード電極11とゲート電極13とは、これら
の両電極の射影像が互いに直交する方向に各々ストライ
プ状に形成されており、これらの両電極の重複する領域
(1画素分の領域に相当する。この領域を、以下、重複
領域あるいは電子放出領域EAと呼ぶ)に、通常、複数
の電界放出素子が設けられている。更に、かかる電子放
出領域EAが、カソードパネルCPの有効領域AEF(実
際の表示部分として機能する領域)内に、通常、2次元
マトリックス状に配列されている。
【0004】一方、アノードパネルAPは、例えばガラ
ス基板から成る基板20と、基板20上に形成され、所
定のパターンを有する蛍光体層22(カラー表示の場
合、赤色発光蛍光体層22R、緑色発光蛍光体層22
G、青色発光蛍光体層22B)と、その上に形成された
反射膜としても機能するアノード電極23から構成され
ている。尚、蛍光体層22と蛍光体層22との間の基板
20上には、ブラックマトリックス21が形成されてい
る。
【0005】1画素は、カソードパネル側の電子放出領
域EAと、これらの電界放出素子の一群に対面したアノ
ードパネル側の蛍光体層22とによって構成されてい
る。有効領域AEFには、かかる画素が、例えば数十万〜
数百万個ものオーダーにて配列されている。
【0006】アノードパネルAPとカソードパネルCP
とを、電界放出素子と蛍光体層22とが対向するように
配置し、周縁部において枠体25を介して接合すること
によって、表示装置を作製することができる。有効領域
EFを包囲し、画素を選択するための周辺回路が形成さ
れた無効領域AIEには真空排気用の貫通孔(図示せず)
が設けられており、この貫通孔には真空排気後に封じ切
られたチップ管(図示せず)が接続されている。即ち、
アノードパネルAPとカソードパネルCPと枠体25と
によって囲まれた空間は高真空となっている。
【0007】カソード電極11には相対的な負電圧がカ
ソード電極制御回路40から印加され、ゲート電極13
には相対的な正電圧(数十ボルト〜数百ボルト)がゲー
ト電極制御回路41から印加され、アノード電極23に
はゲート電極13よりも更に高い正電圧(数百ボルト〜
数千ボルト)がアノード電極制御回路42から印加され
る。かかる表示装置において表示を行う場合、例えば、
カソード電極11にカソード電極制御回路40から走査
信号を入力し、ゲート電極13にゲート電極制御回路4
1からビデオ信号を入力する。あるいは又、カソード電
極11にカソード電極制御回路40からビデオ信号を入
力し、ゲート電極13にゲート電極制御回路41から走
査信号を入力する。カソード電極11とゲート電極13
との間に電圧を印加した際に生ずる電界により、量子ト
ンネル効果に基づき電子放出部15から電子が放出さ
れ、この電子がアノード電極23に引き付けられ、アノ
ード電極23を透過し、蛍光体層22に衝突する。その
結果、蛍光体層22が励起されて発光し、所望の画像を
得ることができる。つまり、この表示装置の動作や明る
さは、基本的に、ゲート電極13に印加される電圧、及
び、カソード電極11を通じて電子放出部15に印加さ
れる電圧によって制御される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】通常、表示部分として
機能する有効領域AEFを取り囲む無効領域AIEにあって
は、絶縁層12が露出した状態となっている。そして、
無効領域AIEにおけるこの露出した絶縁層12の表面に
電子が衝突する結果、この露出した絶縁層12の表面が
帯電する。このような現象が発生すると、無効領域AIE
近傍のゲート電極13の部分近傍における電界に変動が
生じ、アノード電極23とゲート電極13との間、ある
いは、アノード電極23と電子放出部15との間で異常
放電が屡々発生する。ここで、異常放電とは、自然現象
における雷のような現象であり、不定期に、しかも、不
特定の部位に発生する。このような異常放電が発生する
と、大電流が流れる結果、電界放出素子に損傷が生じ、
滅点等の欠陥が発生し、表示装置の画像表示品質不良、
表示装置の短寿命化につながる。
【0009】特開2000−251797号公報や特開
2000−311642号公報には、アノード電極に改
良を加えて異常放電の発生を防止する技術が開示されて
いる。しかしながら、このようなアノード電極の改良で
は、露出した絶縁層12の帯電に起因して発生する異常
放電を防止することはできない。
【0010】従って、本発明の目的は、無効領域におけ
る帯電に起因した異常放電の発生を防止し得る構造を有
する冷陰極電界電子放出表示装置用カソードパネル、及
び、かかる冷陰極電界電子放出表示装置用カソードパネ
ルを組み込んだ冷陰極電界電子放出表示装置を提供する
ことにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明の冷陰極電界電子放出表示装置用カソードパ
ネルは、(A)支持体と、(B)支持体上に形成され、
第1の方向に延びる複数のカソード電極と、(C)支持
体及びカソード電極上に形成された絶縁層と、(D)絶
縁層上に形成され、第1の方向とは異なる第2の方向に
延びる複数のゲート電極と、(E)カソード電極とゲー
ト電極の重複する領域に位置するゲート電極の部分に形
成された第1開口部と、(F)絶縁層に形成され、第1
開口部と連通した第2開口部と、(G)第2開口部の底
部に露出した電子放出部、から成る冷陰極電界電子放出
表示装置用カソードパネルであって、表示部分として機
能する有効領域を取り囲む無効領域の少なくとも一部
に、接地電極が備えられていることを特徴とする。
【0012】上記の目的を達成するための本発明の冷陰
極電界電子放出表示装置は、カソードパネルと、アノー
ド電極及び蛍光体層が形成されたアノードパネルとがそ
れらの周辺部で接合された冷陰極電界電子放出表示装置
であって、カソードパネルは、(A)支持体と、(B)
支持体上に形成され、第1の方向に延びる複数のカソー
ド電極と、(C)支持体及びカソード電極上に形成され
た絶縁層と、(D)絶縁層上に形成され、第1の方向と
は異なる第2の方向に延びる複数のゲート電極と、
(E)カソード電極とゲート電極の重複する領域に位置
するゲート電極の部分に形成された第1開口部と、
(F)絶縁層に形成され、第1開口部と連通した第2開
口部と、(G)第2開口部の底部に露出した電子放出
部、から成り、カソードパネルには、更に、表示部分と
して機能する有効領域を取り囲む無効領域の少なくとも
一部に、接地電極が備えられていることを特徴とする。
【0013】本発明の冷陰極電界電子放出表示装置用カ
ソードパネルあるいは冷陰極電界電子放出表示装置(以
下、これらを総称して、単に、本発明と呼ぶ場合があ
る)にあっては、接地電極は絶縁層上に形成されている
構成とすることができる。そして、この場合、有効領域
の平面形状は矩形であり、接地電極は、有効領域の隣り
合う2辺に平行に延びる「L」字状の平面形状を有する
構成とすることができる。即ち、例えば、「L」字の横
棒が第1の方向(あるいは第2の方向)に延び、「L」
字の縦棒が第2の方向(あるいは第1の方向)に延びる
構成とすることができる。あるいは又、有効領域の平面
形状は矩形であり、接地電極は、有効領域の隣り合う2
辺に平行に延びる「L」字状の平面形状を有する第1の
接地電極と、該2辺によって形成されたコーナー部と対
向するコーナー部に設けられた第2の接地電極から構成
されている構成とすることができる。即ち、例えば、
「L」字の横棒が第1の方向(あるいは第2の方向)に
延び、「L」字の縦棒が第2の方向(あるいは第1の方
向)に延びる構成とすることができる。あるいは又、有
効領域の平面形状は矩形であり、接地電極は、有効領域
の1辺、及び、該1辺と隣り合う2辺に平行に延びる
「コ」の字状の平面形状を有する構成とすることができ
る。即ち、「コ」の字の縦棒が第1の方向に延び、
「コ」の字の2本の横棒が第2の方向に延びる構成とす
ることができる。
【0014】本発明において、接地電極を絶縁層上に形
成する場合、接地電極とゲート電極との間の間隔の最小
値は、接地電極とゲート電極との間に絶縁破壊が生じな
い程度の狭さとすればよく、最大値として、例えば、1
mmを例示することができる。接地電極の幅は本質的に
任意であり、冷陰極電界電子放出表示装置の仕様に基づ
き決定すればよく、例えば、数十μm乃至数百μmとす
ることができる。
【0015】尚、場合によっては、接地電極は支持体上
に形成されていてもよい。この場合、有効領域の平面形
状は矩形であり、接地電極は、例えば、有効領域の隣り
合う2辺に平行に延びる「L」字状の平面形状を有する
構成とすることができる。あるいは又、場合によって
は、接地電極は、絶縁層上及び支持体上に形成されてい
てもよく、この場合には、前述した各種の構成を適用す
ればよい。
【0016】接地電極を絶縁層上に形成する場合には、
ゲート電極の形成と同時に接地電極を形成すればよい
し、接地電極を支持体上に形成する場合には、カソード
電極の形成と同時に接地電極を形成すればよい。接地電
極からの異常放電の発生を防止するために、接地電極表
面は滑らかであることが望ましいし、端部には鋭角が存
在しないことが望ましい。
【0017】冷陰極電界電子放出素子(以下、電界放出
素子と略称する)は、電子放出部の構造により、具体的
には、以下の3つの範疇に分類することができる。即
ち、第1の構造の電界放出素子は、(イ)支持体上に設
けられたストライプ状のカソード電極と、(ロ)支持体
及びカソード電極上に形成された絶縁層と、(ハ)絶縁
層上に設けられたストライプ状のゲート電極と、(ニ)
ゲート電極に設けられた第1開口部、及び、絶縁層に設
けられた第2開口部と、(ホ)第2開口部の底部に位置
するカソード電極上に設けられた電子放出部、から成
り、第2開口部の底部に露出した電子放出部から電子が
放出される構造を有する。
【0018】このような第1の構造を有する電界放出素
子として、スピント型(円錐形の電子放出部が、第2開
口部の底部に位置するカソード電極上に設けられた電界
放出素子)、クラウン型(王冠状の電子放出部が、第2
開口部の底部に位置するカソード電極上に設けられた電
界放出素子)、扁平型(略平面状の電子放出部が、第2
開口部の底部に位置するカソード電極上に設けられた電
界放出素子)を挙げることができる。
【0019】第2の構造の電界放出素子は、(イ)支持
体上に設けられたストライプ状のカソード電極と、
(ロ)支持体及びカソード電極上に形成された絶縁層
と、(ハ)絶縁層上に設けられたストライプ状のゲート
電極と、(ニ)ゲート電極に設けられた第1開口部、及
び、絶縁層に設けられた第2開口部、から成り、第2開
口部の底部に露出したカソード電極の部分が電子放出部
に相当し、かかる第2開口部の底部に露出したカソード
電極の部分から電子を放出する構造を有する。
【0020】このような第2の構造を有する電界放出素
子として、平坦なカソード電極の表面から電子を放出す
る平面型電界放出素子、凹凸が形成されたカソード電極
の表面の凸部から電子を放出するクレータ型電界放出素
子を挙げることができる。
【0021】第3の構造の電界放出素子は、(イ)支持
体の上方に設けられ、エッジ部を有するストライプ状の
カソード電極と、(ロ)少なくともカソード電極上に形
成された絶縁層と、(ハ)絶縁層上に設けられたストラ
イプ状のゲート電極と、(ニ)少なくとも、ゲート電極
に設けられた第1開口部、及び、絶縁層に設けられた第
2開口部、から成り、第2開口部の底部(側壁を含む)
に露出したカソード電極のエッジ部が電子放出部に相当
し、第2開口部の底部(側壁を含む)に露出したカソー
ド電極のエッジ部から電子を放出する構造を有する。こ
のような構造を有する電界放出素子はエッジ型電界放出
素子とも呼ばれる。
【0022】第1の構造〜第3の構造の電界放出素子
は、その構造、製造方法に依るが、 支持体上にカソード電極を形成する工程 支持体及びカソード電極上に絶縁層を形成する工程 絶縁層上にゲート電極を形成する工程 少なくとも絶縁層に開口部を形成する工程 を経て得ることができる。
【0023】この場合、工程の後、開口部の底部に露
出したカソード電極上に電子放出部を形成してもよい
し、開口部の底部に露出したカソード電極を加工して電
子放出部としてもよい。あるいは又、工程と工程の
間で、あるいは又、工程において、カソード電極上に
電子放出部を形成してもよいし、カソード電極を加工し
て電子放出部としてもよい。
【0024】尚、「少なくとも絶縁層に開口部を形成す
る」と表現したのは、ゲート電極の形成時、ゲート電極
の形成方法に依ってはゲート電極に第1開口部を同時に
形成する場合があるからであり、ゲート電極の形成時、
ゲート電極に第1開口部を形成しない場合には、工程
において、ゲート電極にも開口部を形成する。
【0025】尚、各種の電界放出素子の構造、構成材料
等詳細については後述する。更には、アノードパネルの
構造、構成材料等の詳細についても後述する。
【0026】絶縁層の構成材料として、SiO2、BP
SG、PSG、BSG、AsSG、PbSG、SiN、
SiON、SOG(スピンオングラス)、低融点ガラ
ス、ガラスペーストといったSiO2系材料、SiN、
ポリイミド等の絶縁性樹脂を、単独あるいは適宜組み合
わせて使用することができる。絶縁層の形成には、CV
D法、塗布法、スパッタリング法、スクリーン印刷法等
の公知のプロセスが利用できる。
【0027】カソードパネルを構成する支持体は、少な
くとも表面が絶縁性部材より構成されていればよく、無
アルカリガラス基板、低アルカリガラス基板、石英ガラ
ス基板といった各種のガラス基板、表面に絶縁膜が形成
された各種のガラス基板、石英基板、表面に絶縁膜が形
成された石英基板、表面に絶縁膜が形成された半導体基
板を挙げることができるが、製造コスト低減の観点から
は、ガラス基板、あるいは、表面に絶縁膜が形成された
ガラス基板を用いることが好ましい。アノードパネルを
構成する基板も、支持体と同様に構成することができ
る。
【0028】本発明にあっては、ストライプ状のゲート
電極の射影像とストライプ状のカソード電極の射影像と
が直交する方向に延びていることが、冷陰極電界電子放
出表示装置の構造の簡素化の観点から好ましい。尚、ス
トライプ状のカソード電極とストライプ状のゲート電極
が重複する領域(電子放出領域であり、1画素分の領域
あるいは1サブピクセル分の領域に相当する)に1又は
複数の電界放出素子が設けられており、かかる重複領域
が、カソードパネルの有効領域内に、通常、2次元マト
リクス状に配列されている。1重複領域における電界放
出素子の配列は、規則的であってもランダムであっても
よい。カソード電極に相対的に負の電圧を印加し、ゲー
ト電極に相対的に正の電圧を印加し、アノード電極にゲ
ート電極より更に高い正の電圧を印加する。電子は、列
選択されたカソード電極と行選択されたゲート電極(あ
るいは、行選択されたカソード電極と列選択されたゲー
ト電極)との重複領域に位置する電子放出部から選択的
に真空空間中へ電子が放出され、この電子がアノード電
極に引き付けられてアノードパネルを構成する蛍光体層
に衝突し、蛍光体層を励起、発光させる。
【0029】本発明においては、表示部分として機能す
る有効領域を取り囲む無効領域の少なくとも一部に接地
電極が備えられているが故に、無効領域における帯電発
生を防止することができ、無効領域における帯電に起因
した異常放電の発生を効果的に抑制することができる。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、発明の実
施の形態(以下、実施の形態と略称する)に基づき本発
明を説明する。
【0031】(実施の形態1)実施の形態1は、本発明
の冷陰極電界電子放出表示装置用カソードパネル(以
下、単に、カソードパネルと略称する)、及び、冷陰極
電界電子放出表示装置(以下、単に、表示装置と略称す
る)に関する。
【0032】図1に、実施の形態1の表示装置の模式的
な一部端面図を示し、表示装置を構成するカソードパネ
ルCPにおけるカソード電極、絶縁層、ゲート電極、接
地電極の配置を模式的に示す配置図を図2〜図7に例示
し、カソードパネルCPの模式的な部分的斜視図を図8
に示す。尚、図1は、例えば、図2の矢印A−Aに沿っ
た一部分の端面図に相当する。また、図2〜図7におい
ては、接地電極を明示するために、接地電極に斜線を付
した。更には、有効領域AEFを一点鎖線で囲い、絶縁層
に下に位置するカソード電極を点線で示した。
【0033】実施の形態1の表示装置は、カソードパネ
ルCPと、アノード電極23及び蛍光体層22(カラー
表示の場合、赤色発光蛍光体層22R、緑色発光蛍光体
層22G、青色発光蛍光体層22B)が形成されたアノ
ードパネルAPとがそれらの周辺部で接合されて成る。
そして、アノードパネルAPとカソードパネルCPによ
って挟まれた空間は真空状態となっている。
【0034】カソードパネルCPは、(A)支持体10
と、(B)支持体10上に形成され、第1の方向に延び
る複数のカソード電極11と、(C)支持体10及びカ
ソード電極11上に形成された絶縁層12と、(D)絶
縁層12上に形成され、第1の方向とは異なる第2の方
向に延びる複数のゲート電極13と、(E)カソード電
極11とゲート電極13の重複する領域(電子放出領域
EA)に位置するゲート電極13の部分に形成された第
1開口部14Aと、(F)絶縁層12に形成され、第1
開口部14Aと連通した第2開口部14Bと、(G)第
2開口部14Bの底部に露出した電子放出部15、から
構成されている。
【0035】尚、第1の方向の射影像と第2の方向の射
影像とは直交している。また、カソード電極11及びゲ
ート電極13は、それぞれ、ストライプ状である。
【0036】図1に示した例において、電子放出部15
は、第2開口部14Bの底部に位置するカソード電極1
1の上に形成された円錐形のスピント型電界放出素子か
ら構成されている。1画素分の領域に相当する電子放出
領域EAが、カソードパネルCPの有効領域AEF内に、
2次元マトリクス状に配列されている。
【0037】そして、表示部分として機能する有効領域
EFを取り囲む無効領域AIEの少なくとも一部に、接地
電極30が備えられている。実施の形態1においては、
より具体的には、接地電極30は絶縁層12上に形成さ
れている。
【0038】図2及び図3に示す例においては、有効領
域AEFの平面形状は矩形であり、接地電極30は、有効
領域AEFの隣り合う2辺に平行に延びる「L」字状の平
面形状を有する。即ち、「L」字の横棒が、カソード電
極11と平行に第1の方向に延び、「L」字の縦棒が、
ゲート電極13と平行に第2の方向に延びている。ここ
で、図2に示す例においては、「L」字状の接地電極3
0は連続している。一方、図3に示す例においては、
「L」字状の接地電極30は、コーナー部において不連
続である。
【0039】図4及び図5に示す例においては、有効領
域AEFの平面形状は矩形であり、接地電極は、有効領域
EFの隣り合う2辺に平行に延びる「L」字状の平面形
状を有する第1の接地電極30Aと、この2辺によって
形成されたコーナー部と対向するコーナー部に設けられ
た第2の接地電極30Bから構成されている。即ち、
「L」字の横棒が、カソード電極11と平行に第1の方
向に延び、「L」字の縦棒が、ゲート電極13と平行に
第2の方向に延びている。ここで、図4に示す例におい
ては、「L」字状の接地電極30Aは連続している。一
方、図5に示す例においては、「L」字状の接地電極3
0Aは、コーナー部において不連続である。
【0040】図6及び図7に示す例においては、有効領
域AEFの平面形状は矩形であり、接地電極30Cは、有
効領域AEFの1辺、及び、この1辺と隣り合う2辺に平
行に延びる「コ」の字状の平面形状を有する。即ち、
「コ」の字の縦棒が、カソード電極11と平行に第1の
方向に延び、「L」字の2本の横棒が、ゲート電極13
と平行に第2の方向に延びている。ここで、図6に示す
例においては、「コ」の字状の接地電極30Cは連続し
ている。一方、図7に示す例においては、「コ」の字状
の接地電極30Cは、コーナー部において不連続であ
る。
【0041】アノードパネルAPは、より具体的には、
ガラス基板から成る基板20と、基板20上に形成さ
れ、所定のパターンを有する蛍光体層22と、その上に
形成された反射膜としても機能するアノード電極23か
ら構成されている。蛍光体層22と蛍光体層22との間
に、蛍光体層22からの光を吸収するブラックマトリッ
クス21が形成されている。
【0042】1画素は、カソードパネル側の電子放出領
域EAと、この電子放出領域EAに対面したアノードパ
ネル側の蛍光体層22とによって構成されている。有効
領域AEFには、かかる画素が、例えば数十万〜数百万個
ものオーダーにて配列されている。
【0043】この表示装置において表示を行う場合に
は、カソード電極11には相対的な負電圧がカソード電
極制御回路40から印加され、ゲート電極13には相対
的な正電圧(数十ボルト〜数百ボルト)がゲート電極制
御回路41から印加され、アノード電極23にはゲート
電極13よりも更に高い正電圧(数百ボルト〜数千ボル
ト)がアノード電極制御回路42から印加される。かか
る表示装置において表示を行う場合、例えば、カソード
電極11にカソード電極制御回路40から走査信号を入
力し、ゲート電極13にゲート電極制御回路41からビ
デオ信号を入力する。尚、これとは逆に、カソード電極
11にカソード電極制御回路40からビデオ信号を入力
し、ゲート電極13にゲート電極制御回路41から走査
信号を入力してもよい。カソード電極11とゲート電極
13との間に電圧を印加した際に生ずる電界により、量
子トンネル効果に基づき電子放出部15から電子が放出
され、この電子がアノード電極23に引き付けられ、蛍
光体層22に衝突する。その結果、蛍光体層22が励起
されて発光し、所望の画像を得ることができる。
【0044】アノードパネルAPにおいて、電界放出素
子から放出された電子が先ず衝突する部位は、アノード
パネルAPの構造に依るが、図1に示すようにアノード
電極23であり、あるいは又、蛍光体層22である。
【0045】蛍光体層22の平面形状(パターン)は、
画素に対応して、ドット状であってもよいし、ストライ
プ状であってもよい。
【0046】蛍光体層22は、発光性結晶粒子(例え
ば、粒径5〜10nm程度の蛍光体粒子)から調製され
た発光性結晶粒子組成物を使用し、例えば、赤色の感光
性の発光性結晶粒子組成物(赤色蛍光体スラリー)を全
面に塗布し、露光、現像して、赤色発光蛍光体層22R
を形成し、次いで、緑色の感光性の発光性結晶粒子組成
物(緑色蛍光体スラリー)を全面に塗布し、露光、現像
して、緑色発光蛍光体層22Gを形成し、更に、青色の
感光性の発光性結晶粒子組成物(青色蛍光体スラリー)
を全面に塗布し、露光、現像して、青色発光蛍光体層2
2Bを形成する方法にて形成することができる。
【0047】発光性結晶粒子を構成する蛍光体材料とし
ては、従来公知の蛍光体材料の中から適宜選択して用い
ることができる。カラー表示の場合、色純度がNTSC
で規定される3原色に近く、3原色を混合した際の白バ
ランスがとれ、残光時間が短く、3原色の残光時間がほ
ぼ等しくなる蛍光体材料を組み合わせることが好まし
い。赤色発光蛍光体層を構成する蛍光体材料として、
(Y23:Eu)、(Y22S:Eu)、(Y3Al5
12:Eu)、(YBO3:Eu)、(YVO4:Eu)、
(Y2SiO5:Eu)、(Y0.960.600.404:E
0.04)、[(Y,Gd)BO3:Eu]、(GdB
3:Eu)、(ScBO3:Eu)、(3.5MgO・
0.5MgF2・GeO2:Mn)、(Zn3(P
42:Mn)、(LuBO3:Eu)、(SnO2:E
u)を例示することができる。緑色発光蛍光体層を構成
する蛍光体材料として、(ZnSiO2:Mn)、(B
aAl1219:Mn)、(BaMg2Al1627:M
n)、(MgGa24:Mn)、(YBO3:Tb)、
(LuBO3:Tb)、(Sr4Si38Cl4:E
u)、(ZnS:Cu,Al)、(ZnS:Cu,A
u,Al)、(ZnBaO4:Mn)、(GbBO3:T
b)、(Sr6SiO3Cl3:Eu)、(BaMgAl
1423:Mn)、(ScBO3:Tb)、(Zn2SiO
4:Mn)、(ZnO:Zn)、(Gd22S:T
b)、(ZnGa24:Mn)を例示することができ
る。青色発光蛍光体層を構成する蛍光体材料として、
(Y2SiO5:Ce)、(CaWO4:Pb)、CaW
4、YP0.850.154、(BaMgAl1423:E
u)、(Sr227:Eu)、(Sr227:S
n)、(ZnS:Ag,Al)、(ZnS:Ag)、Z
nMgO、ZnGaO4を例示することができる。
【0048】アノード電極23の構成材料は、表示装置
の構成によって適宜選択すればよい。即ち、表示装置が
透過型(アノードパネルが表示面に相当する)であっ
て、且つ、アノードパネルを構成する基板上にアノード
電極と蛍光体層がこの順に積層されている場合には、基
板は元より、アノード電極自身も透明である必要があ
り、ITO(インジウム錫酸化物)等の透明導電材料を
用いる。一方、表示装置が反射型(カソードパネルが表
示面に相当する)である場合、及び、透過型であっても
基板上に蛍光体層とアノード電極とがこの順に積層され
ている場合には、ITOの他、アルミニウム(Al)あ
るいはクロム(Cr)を用いることができる。アルミニ
ウム(Al)あるいはクロム(Cr)からアノード電極
を構成する場合、アノード電極の厚さとして、具体的に
は、3×10-8m(30nm)乃至1.5×10-7
(150nm)、好ましくは5×10-8m(50nm)
乃至1×10-7m(100nm)を例示することができ
る。アノード電極23は、蒸着法やスパッタリング法に
て形成することができる。
【0049】アノード電極23と蛍光体層22の構成例
として、(1)基板20上に、アノード電極23を形成
し、アノード電極23の上に蛍光体層22を形成する構
成、(2)基板20上に、蛍光体層22を形成し、蛍光
体層22上にアノード電極23を形成する構成(図1参
照)、を挙げることができる。尚、(1)の構成におい
て、蛍光体層22の上に、アノード電極23と導通した
所謂メタルバック膜を形成してもよい。また、(2)の
構成において、アノード電極23の上にメタルバック膜
を形成してもよい。
【0050】アノードパネルAPには、更に、蛍光体層
22から反跳した電子、あるいは、蛍光体層22から放
出された二次電子が他の蛍光体層22に入射し、所謂光
学的クロストーク(色濁り)が発生することを防止する
ための、あるいは又、蛍光体層22から反跳した電子、
あるいは、蛍光体層22から放出された二次電子が隔壁
を越えて他の蛍光体層22に向かって侵入したとき、こ
れらの電子が他の蛍光体層22と衝突することを防止す
るための、隔壁(図示せず)が、複数、設けられている
ことが好ましい。
【0051】隔壁の平面形状としては、格子形状(井桁
形状)、即ち、1画素に相当する、例えば平面形状が略
矩形(ドット状)の蛍光体層の四方を取り囲む形状を挙
げることができ、あるいは、略矩形あるいはストライプ
状の蛍光体層の対向する二辺と平行に延びる帯状形状あ
るいはストライプ形状を挙げることができる。隔壁を格
子形状とする場合、1つの蛍光体層の領域の四方を連続
的に取り囲む形状としてもよいし、不連続に取り囲む形
状としてもよい。隔壁を帯状形状あるいはストライプ形
状とする場合、連続した形状としてもよいし、不連続な
形状としてもよい。隔壁を形成した後、隔壁を研磨し、
隔壁の頂面の平坦化を図ってもよい。
【0052】蛍光体層22からの光を吸収するブラック
マトリックス21が蛍光体層22と蛍光体層22との間
であって隔壁と基板20との間に形成されていること
が、表示画像のコントラスト向上といった観点から好ま
しい。ブラックマトリックス21を構成する材料とし
て、蛍光体層22からの光を99%以上吸収する材料を
選択することが好ましい。このような材料として、カー
ボン、金属薄膜(例えば、クロム、ニッケル、アルミニ
ウム、モリブデン等、あるいは、これらの合金)、金属
酸化物(例えば、酸化クロム)、金属窒化物(例えば、
窒化クロム)、耐熱性有機樹脂、ガラスペースト、黒色
顔料や銀等の導電性粒子を含有するガラスペースト等の
材料を挙げることができ、具体的には、感光性ポリイミ
ド樹脂、酸化クロムや、酸化クロム/クロム積層膜を例
示することができる。尚、酸化クロム/クロム積層膜に
おいては、クロム膜が基板20と接する。ブラックマト
リックス21は、例えば、真空蒸着法やスパッタリング
法とエッチング法との組合せ、真空蒸着法やスパッタリ
ング法、スピンコーティング法とリフトオフ法との組合
せに、スクリーン印刷法、リソグラフィ技術等、使用す
る材料に依存して適宜選択された方法にて形成すること
ができる。
【0053】以下、実施の形態1のカソードパネルCP
及び表示装置の製造方法、スピント型電界放出素子の製
造方法を、カソードパネルCPを構成する支持体10等
の模式的な一部端面図である図9の(A)、(B)及び
図10の(A)、(B)を参照して説明する。
【0054】尚、このスピント型電界放出素子は、基本
的には、円錐形の電子放出部15を金属材料の垂直蒸着
により形成する方法によって得ることができる。即ち、
ゲート電極13に設けられた第1開口部14Aに対して
蒸着粒子は垂直に入射するが、第1開口部14Aの開口
端付近に形成されるオーバーハング状の堆積物による遮
蔽効果を利用して、第2開口部14Bの底部に到達する
蒸着粒子の量を漸減させ、円錐形の堆積物である電子放
出部15を自己整合的に形成する。ここでは、不要なオ
ーバーハング状の堆積物の除去を容易とするために、ゲ
ート電極13及び絶縁層12上に剥離層50を予め形成
しておく方法について説明する。尚、図9〜図51にお
いては、1つの電子放出部のみを図示した。また、接地
電極の図示は省略した。
【0055】[工程−A0]先ず、例えばガラス基板か
ら成る支持体10の上に、例えばポリシリコンから成る
カソード電極用導電材料層をプラズマCVD法にて成膜
した後、リソグラフィ技術及びドライエッチング技術に
基づきカソード電極用導電材料層をパターニングして、
ストライプ状のカソード電極11を形成する。その後、
全面にSiO 2から成る絶縁層12をCVD法にて形成
する。
【0056】[工程−A1]次に、絶縁層12上に、ゲ
ート電極用導電材料層(例えば、TiN層)をスパッタ
法にて成膜し、次いで、ゲート電極用導電材料層をリソ
グラフィ技術及びドライエッチング技術にてパターニン
グすることによって、ストライプ状のゲート電極13を
得ることができ、併せて、接地電極30,30A,30
B,30Cを得ることができる。
【0057】尚、ゲート電極13及び接地電極30,3
0A,30B,30Cを、真空蒸着法等のPVD法、C
VD法、電気メッキ法や無電解メッキ法といったメッキ
法、スクリーン印刷法、レーザーアブレーション法、ゾ
ル−ゲル法、リフトオフ法等の公知の薄膜形成と、必要
に応じてエッチング技術との組合せによって形成しても
よい。スクリーン印刷法やメッキ法によれば、直接、例
えばストライプ状のゲート電極、及び、接地電極を形成
することが可能である。
【0058】[工程−A2]その後、再びレジスト層を
形成し、エッチングによってゲート電極13に第1開口
部14Aを形成し、更に、絶縁層に第2開口部14Bを
形成し、第2開口部14Bの底部にカソード電極11を
露出させた後、レジスト層を除去する。こうして、図9
の(A)に示す構造を得ることができる。
【0059】[工程−A3]次に、支持体10を回転さ
せながらゲート電極13、接地電極30,30A,30
B,30C上を含む絶縁層12上にニッケル(Ni)を
斜め蒸着することにより、剥離層50を形成する(図9
の(B)参照)。このとき、支持体10の法線に対する
蒸着粒子の入射角を十分に大きく選択することにより
(例えば、入射角65度〜85度)、第2開口部14B
の底部にニッケルを殆ど堆積させることなく、ゲート電
極13、接地電極30,30A,30B,30C及び絶
縁層12の上に剥離層50を形成することができる。剥
離層50は、第1開口部14Aの開口端から庇状に張り
出しており、これによって第1開口部14Aが実質的に
縮径される。
【0060】[工程−A4]次に、全面に例えば導電材
料としてモリブデン(Mo)を垂直蒸着する(入射角3
度〜10度)。このとき、図10の(A)に示すよう
に、剥離層50上でオーバーハング形状を有する導電材
料層51が成長するに伴い、第1開口部14Aの実質的
な直径が次第に縮小されるので、第2開口部14Bの底
部において堆積に寄与する蒸着粒子は、次第に第1開口
部14Aの中央付近を通過するものに限られるようにな
る。その結果、第2開口部14Bの底部には円錐形の堆
積物が形成され、この円錐形の堆積物が電子放出部15
となる。
【0061】[工程−A5]その後、図10の(B)に
示すように、リフトオフ法にて剥離層50をゲート電極
13、接地電極30,30A,30B,30C及び絶縁
層12の表面から剥離し、ゲート電極13及び絶縁層1
2の上方の導電材料層51を選択的に除去する。こうし
て、複数のスピント型電界放出素子が形成されたカソー
ドパネルCPを得ることができる。
【0062】[工程−A6]一方、蛍光体層22、ブラ
ックマトリックス21、隔壁(図示せず)、アノード電
極23が形成されたアノードパネルAPを準備する。そ
して、表示装置の組み立てを行う。具体的には、蛍光体
層22と電子放出領域EAとが対向するようにアノード
パネルAPとカソードパネルCPとを配置し、アノード
パネルAPとカソードパネルCP(より具体的には、基
板20と支持体10)とを、枠体25を介して、周縁部
において接合する。接合に際しては、枠体25とアノー
ドパネルAPとの接合部位、及び枠体25とカソードパ
ネルCPとの接合部位にフリットガラスを塗布し、アノ
ードパネルAPとカソードパネルCPと枠体25とを貼
り合わせ、予備焼成にてフリットガラスを乾燥した後、
約450゜Cで10〜30分の本焼成を行う。その後、
アノードパネルAPとカソードパネルCPと枠体25と
フリットガラスとによって囲まれた空間を、貫通孔(図
示せず)及びチップ管(図示せず)を通じて排気し、空
間の圧力が10-4Pa程度に達した時点でチップ管を加
熱溶融により封じ切る。このようにして、アノードパネ
ルAPとカソードパネルCPと枠体25とに囲まれた空
間を真空にすることができる。その後、必要な外部回路
との配線を行い、表示装置を完成させる。
【0063】尚、カソードパネルCPとアノードパネル
APとを周縁部において接合する場合、接合は接着層を
用いて行ってもよいし、あるいは、上述のように、ガラ
スやセラミックス等の絶縁剛性材料から成る枠体25と
接着層とを併用して行ってもよい。枠体と接着層とを併
用する場合には、枠体の高さを適宜選択することによ
り、接着層のみを使用する場合に比べ、カソードパネル
とアノードパネルとの間の対向距離をより長く設定する
ことが可能である。尚、接着層の構成材料としては、フ
リットガラスが一般的であるが、融点が120〜400
゜C程度の所謂低融点金属材料を用いてもよい。かかる
低融点金属材料としては、In(インジウム:融点15
7゜C);インジウム−金系の低融点合金;Sn80Ag
20(融点220〜370゜C)、Sn95Cu5(融点2
27〜370゜C)等の錫(Sn)系高温はんだ;Pb
97.5Ag2.5(融点304゜C)、Pb94.5Ag5.5(融
点304〜365゜C)、Pb97.5Ag1.5Sn1.0(融
点309゜C)等の鉛(Pb)系高温はんだ;Zn95
5(融点380゜C)等の亜鉛(Zn)系高温はん
だ;Sn5Pb95(融点300〜314゜C)、Sn2
98(融点316〜322゜C)等の錫−鉛系標準はん
だ;Au88Ga12(融点381゜C)等のろう材(以上
の添字は全て原子%を表す)を例示することができる。
【0064】カソードパネルCPとアノードパネルAP
と枠体25の三者を接合する場合、上述のように、三者
を同時に接合してもよいし、あるいは、第1段階でカソ
ードパネルCP又はアノードパネルAPのいずれか一方
と枠体25とを接合し、第2段階でカソードパネルCP
又はアノードパネルAPの他方と枠体25とを接合して
もよい。三者同時接合や第2段階における接合を高真空
雰囲気中で行えば、カソードパネルCPとアノードパネ
ルAPと枠体25と接着層とにより囲まれた空間は、接
合と同時に真空となる。あるいは、三者の接合終了後、
上述のように、カソードパネルCPとアノードパネルA
Pと枠体25と接着層とによって囲まれた空間を排気
し、真空とすることもできる。接合後に排気を行う場
合、接合時の雰囲気の圧力は常圧/減圧のいずれであっ
てもよく、また、雰囲気を構成する気体は、大気であっ
ても、あるいは窒素ガスや周期律表0族に属するガス
(例えばArガス)を含む不活性ガスであってもよい。
【0065】接合後に排気を行う場合、排気は、上述の
ように、カソードパネルCP及び/又はアノードパネル
APに予め接続されたチップ管を通じて行うことができ
る。チップ管は、典型的にはガラス管を用いて構成さ
れ、カソードパネルCP及び/又はアノードパネルAP
の無効領域に設けられた貫通部の周囲に、フリットガラ
ス又は上述の低融点金属材料を用いて接合され、空間が
所定の真空度に達した後、熱融着によって封じ切られ
る。尚、封じ切りを行う前に、表示装置全体を一旦加熱
してから降温させると、空間に残留ガスを放出させるこ
とができ、この残留ガスを排気により空間外へ除去する
ことができるので、好適である。
【0066】(実施の形態2)実施の形態2において
は、各種の電界放出素子の製造方法を説明する。尚、以
下に説明する各種の電界放出素子の製造においては、ゲ
ート電極の形成時、併せて、絶縁層上に接地電極を形成
すればよい。
【0067】上述したスピント型電界放出素子にあって
は、電子放出部を構成する材料として、タングステン、
タングステン合金、モリブデン、モリブデン合金、チタ
ン、チタン合金、ニオブ、ニオブ合金、タンタル、タン
タル合金、クロム、クロム合金、及び、不純物を含有す
るシリコン(ポリシリコンやアモルファスシリコン)か
ら成る群から選択された少なくとも1種類の材料を挙げ
ることができる。スピント型電界放出素子の電子放出部
は、例えば、真空蒸着法やスパッタリング法、CVD法
によって形成することができる。
【0068】クラウン型電界放出素子にあっては、電子
放出部を構成する材料として、導電性粒子、あるいは、
導電性粒子とバインダから成る導電性組成物を挙げるこ
とができる。導電性粒子として、黒鉛等のカーボン系材
料;タングステン(W)、ニオブ(Nb)、タンタル
(Ta)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、クロ
ム(Cr)等の高融点金属;あるいはITO(インジウ
ム・錫酸化物)等の透明導電材料を挙げることができ
る。バインダとして、例えば水ガラスといったガラスや
汎用樹脂を使用することができる。汎用樹脂として、塩
化ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系
樹脂、セルロースエステル系樹脂、フッ素系樹脂等の熱
可塑性樹脂や、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ
エステル系樹脂等の熱硬化性樹脂を例示することができ
る。バインダを硬化させるための熱処理の温度は、バイ
ンダの種類に応じて、適宜、決定すればよい。例えば、
バインダが水ガラスのような無機材料である場合には、
無機材料を焼成し得る温度で熱処理を行えばよい。バイ
ンダが熱硬化性樹脂である場合には、熱硬化性樹脂を硬
化し得る温度で熱処理を行えばよい。但し、導電性粒子
同士の密着性を保つために、熱硬化性樹脂が過度に分解
したり炭化する虞のない温度で熱処理を行うことが好適
である。いずれのバインダを用いるにしても、熱処理温
度は、ゲート電極やカソード電極や絶縁層に損傷や欠陥
が生じない温度とする必要がある。熱処理雰囲気は、ゲ
ート電極やカソード電極の電気抵抗率が酸化によって上
昇したり、あるいはゲート電極やカソード電極に欠陥や
損傷が生ずることのないように、不活性ガス雰囲気とす
ることが好ましい。バインダとして熱可塑性樹脂を使用
した場合には、熱処理を必要としない場合がある。
【0069】導電性組成物の構成成分である分散媒は、
水ガラスのように分散媒を兼ね得るバインダであっても
よいし、水であってもよいし、あるいは、アルコール
系、エーテル系、ケトン系、エステル系、炭化水素系等
の有機溶媒であってもよい。即ち、バインダは、(1)
それ自身が導電性粒子の分散媒であってもよいし、
(2)導電性粒子を被覆していてもよいし、(3)適当
な溶媒に分散あるいは溶解させることによって、導電性
粒子の分散媒を構成してもよい。(3)のケースの典型
例は水ガラスであり、日本工業規格(JIS)K140
8に規定される1号乃至4号、又はこれらの同等品を使
用することができる。1号乃至4号は、水ガラスの構成
成分である酸化ナトリウム(Na2O)1モルに対する
酸化珪素(SiO2)のモル数(約2〜4モル)の違い
に基づく4段階の等級であり、それぞれ粘度が大きく異
なる。従って、リフトオフ・プロセスで水ガラスを使用
する際には、水ガラスに分散させる導電性粒子の種類や
含有量、剥離層との親和性、開口部のアスペクト比等の
諸条件を考慮して、最適な等級の水ガラスを選択する
か、又は、これらの等級と同等の水ガラスを調製して使
用することが好ましい。あるいは又、K2Oを主成分と
する水ガラスを用いることもできる。
【0070】電子放出効率の向上のためには、導電性粒
子の粒径が電子放出部の寸法に比べて十分に小さいこと
が好ましい。導電性粒子の形状は、球形、多面体、板
状、針状、柱状、不定形等、特に限定されないが、導電
性粒子の露出部が鋭い突起となり得るような形状である
ことが好ましい。寸法や形状の異なる導電性粒子を混合
して使用してもよい。
【0071】バインダは一般に導電性に劣るので、導電
性組成物中の導電性粒子の含有量に対してバインダの含
有量が多過ぎると、形成される電子放出部の電気抵抗値
が上昇し、電子放出が円滑に行われなくなる虞がある。
従って、例えば水ガラス中に導電性粒子として炭素系材
料粒子を分散させて成る導電性組成物を例にとると、導
電性組成物の全重量に占める炭素系材料粒子の割合は、
電子放出部の電気抵抗値、導電性組成物の粘度、導電性
粒子同士の接着性等の特性を考慮し、概ね30〜95重
量%の範囲に選択することが好ましい。炭素系材料粒子
の割合をかかる範囲内に選択することにより、形成され
る電子放出部の電気抵抗値を十分に下げると共に、炭素
系材料粒子同士の接着性を良好に保つことが可能とな
る。但し、導電性粒子として炭素系材料粒子にアルミナ
粒子を混合して用いた場合には、導電性粒子同士の接着
性が低下する傾向があるので、アルミナ粒子の含有量に
応じて炭素系材料粒子の割合を高めることが好ましく、
60重量%以上とすることが特に好ましい。尚、導電性
組成物には、導電性粒子の分散状態を安定化させるため
の分散剤や、pH調整剤、乾燥剤、硬化剤、防腐剤等の
添加剤が含まれていてもよい。尚、導電性粒子を結合剤
(バインダ)の被膜で覆った粉体を、適当な分散媒中に
分散させて成る導電性組成物を用いてもよい。また、電
子放出部の表面に露出したバインダをエッチングによっ
て除去してもよい。
【0072】クラウン型電界放出素子の電子放出部は、
例えば、リフトオフ法と組み合わせた塗布法、真空蒸着
法、スパッタリング法によって形成することができる。
あるいは又、カーボン粒子を用いた(具体的には、カー
ボン粒子を分散させたアンモニア溶液を電解液として用
いた)電気泳動法に基づき、電子放出部を形成すること
もできるし、感光性ペースト法やスクリーン印刷法、リ
フトオフ法にて電子放出部を形成することもできる。
【0073】扁平型電界放出素子にあっては、電子放出
部を構成する材料として、カソード電極を構成する材料
よりも仕事関数Φの小さい材料から構成することが好ま
しく、どのような材料を選択するかは、カソード電極を
構成する材料の仕事関数、ゲート電極とカソード電極と
の間の電位差、要求される放出電子電流密度の大きさ等
に基づいて決定すればよい。電界放出素子におけるカソ
ード電極を構成する代表的な材料として、タングステン
(Φ=4.55eV)、ニオブ(Φ=4.02〜4.8
7eV)、モリブデン(Φ=4.53〜4.95e
V)、アルミニウム(Φ=4.28eV)、銅(Φ=
4.6eV)、タンタル(Φ=4.3eV)、クロム
(Φ=4.5eV)、シリコン(Φ=4.9eV)を例
示することができる。電子放出部は、これらの材料より
も小さな仕事関数Φを有していることが好ましく、その
値は概ね3eV以下であることが好ましい。かかる材料
として、炭素(Φ<1eV)、セシウム(Φ=2.14
eV)、LaB6(Φ=2.66〜2.76eV)、B
aO(Φ=1.6〜2.7eV)、SrO(Φ=1.2
5〜1.6eV)、Y23(Φ=2.0eV)、CaO
(Φ=1.6〜1.86eV)、BaS(Φ=2.05
eV)、TiN(Φ=2.92eV)、ZrN(Φ=
2.92eV)を例示することができる。仕事関数Φが
2eV以下である材料から電子放出部を構成すること
が、一層好ましい。尚、電子放出部を構成する材料は、
必ずしも導電性を備えている必要はない。
【0074】あるいは又、扁平型電界放出素子におい
て、電子放出部を構成する材料として、かかる材料の2
次電子利得δがカソード電極を構成する導電性材料の2
次電子利得δよりも大きくなるような材料から適宜選択
してもよい。即ち、銀(Ag)、アルミニウム(A
l)、金(Au)、コバルト(Co)、銅(Cu)、モ
リブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、ニッケル(N
i)、白金(Pt)、タンタル(Ta)、タングステン
(W)、ジルコニウム(Zr)等の金属;シリコン(S
i)、ゲルマニウム(Ge)等の半導体;炭素やダイヤ
モンド等の無機単体;及び酸化アルミニウム(Al
23)、酸化バリウム(BaO)、酸化ベリリウム(B
eO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化マグネシウム
(MgO)、酸化錫(SnO2)、フッ化バリウム(B
aF2)、フッ化カルシウム(CaF2)等の化合物の中
から、適宜選択することができる。尚、電子放出部を構
成する材料は、必ずしも導電性を備えている必要はな
い。
【0075】扁平型電界放出素子にあっては、特に好ま
しい電子放出部の構成材料として、炭素、より具体的に
はダイヤモンドやグラファイト、カーボン・ナノチュー
ブ構造体を挙げることができる。電子放出部をこれらか
ら構成する場合、5×107V/m以下の電界強度に
て、表示装置に必要な放出電子電流密度を得ることがで
きる。また、ダイヤモンドは電気抵抗体であるため、各
電子放出部から得られる放出電子電流を均一化すること
ができ、よって、表示装置に組み込まれた場合の輝度ば
らつきの抑制が可能となる。更に、これらの材料は、表
示装置内の残留ガスのイオンによるスパッタ作用に対し
て極めて高い耐性を有するので、電界放出素子の長寿命
化を図ることができる。
【0076】カーボン・ナノチューブ構造体として、具
体的には、カーボン・ナノチューブ及び/又はカーボン
・ナノファイバーを挙げることができる。より具体的に
は、カーボン・ナノチューブから電子放出部を構成して
もよいし、カーボン・ナノファイバーから電子放出部を
構成してもよいし、カーボン・ナノチューブとカーボン
・ナノファイバーの混合物から電子放出部を構成しても
よい。カーボン・ナノチューブやカーボン・ナノファイ
バーは、巨視的には、粉末状であってもよいし、薄膜状
であってもよいし、場合によっては、カーボン・ナノチ
ューブ構造体は円錐状の形状を有していてもよい。カー
ボン・ナノチューブやカーボン・ナノファイバーは、周
知のアーク放電法やレーザアブレーション法といったP
VD法、プラズマCVD法やレーザCVD法、熱CVD
法、気相合成法、気相成長法といった各種のCVD法に
よって製造、形成することができる。
【0077】カーボン・ナノチューブとカーボン・ナノ
ファイバーとの相違は、これらの結晶性にある。sp2
結合を有する炭素原子は、通常、6個の炭素原子から六
員環を構成し、これらの六員環の集まりがカーボングラ
ファイトシートを構成する。このカーボングラファイト
シートが巻かれたチューブ構造を有するものがカーボン
・ナノチューブである。尚、1層のカーボングラファイ
トシートが巻かれた構造を有する単層カーボン・ナノチ
ューブであってもよいし、2層以上のカーボングラファ
イトシートが巻かれた構造を有する多層カーボン・ナノ
チューブであってもよい。一方、カーボングラファイト
シートが巻かれておらず、カーボングラファイトのフラ
グメントが重なってファイバー状になったものが、カー
ボン・ナノファイバーである。カーボン・ナノチューブ
あるいはカーボン・ナノファイバーとカーボン・ウィス
カーとの違いは明確ではないが、一般に、カーボン・ナ
ノチューブあるいはカーボン・ナノファイバーの直径は
1μm以下、例えば、1nm〜300nm程度である。
【0078】カーボン・ナノチューブ構造体をプラズマ
CVD法やレーザCVD法、熱CVD法、気相合成法、
気相成長法といった各種のCVD法にてカソード電極の
所望の領域上に形成することができる。尚、このような
方法を、カーボン・ナノチューブ構造体の第1の形成方
法と呼ぶ。そして、この場合、カーボン・ナノチューブ
構造体を形成した後、カーボン・ナノチューブ構造体を
ダイヤモンド状アモルファスカーボンで被覆してもよ
い。
【0079】カーボン・ナノチューブ構造体の第1の形
成方法において、電子放出部がどのような構造になるか
は、CVD法における形成条件や後述する選択成長領域
を構成する材料等に依存する。電子放出部は、巨視的に
はカーボン・ナノチューブ構造体から構成されている
が、微視的には、複数のカーボン・ナノチューブから構
成され、複数のカーボン・ナノファイバーから構成さ
れ、あるいは又、複数の円錐部から構成されている。
尚、電子放出部は、CVD条件を最適化することによっ
て、あるいは又、ゲート電極やカソード電極を構成する
材料を適切に選択することによって、選択成長領域上に
選択的に形成され、ゲート電極やカソード電極上に形成
されることはない。
【0080】カーボン・ナノチューブ構造体の第1の形
成方法にあっては、プラズマCVD法における原料ガス
として、炭化水素系ガス、あるいは、炭化水素系ガスと
水素ガスの組合せを用いることが好ましい。ここで、炭
化水素系ガスとして、メタン(CH4)、エタン(C2
6)、プロパン(C38)、ブタン(C410)、エチレ
ン(C24)、アセチレン(C22)等の炭化水素系ガ
スやこれらの混合ガス、メタノール、エタノール、アセ
トン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン等を
気化したガスを挙げることができる。また、放電を安定
にさせるため及びプラズマ解離を促進するために、ヘリ
ウム(He)やアルゴン(Ar)等の希釈用ガスを混合
してもよいし、窒素、アンモニア等のドーピングガスを
混合してもよい。炭化水素系ガスと水素ガスの組合せを
用いる場合、炭化水素系ガスと水素ガスの全流量に対す
る炭化水素系ガスの流量を1容積%乃至50容積%、好
ましくは5容積%乃至50容積%とすることが望まし
い。ここで、水素ガスは、形成されたカーボン・ナノチ
ューブ構造体を構成する結晶粒子の内、結晶性の良くな
い結晶粒子を除去(一種のエッチング)する役割を果た
す。
【0081】そして、このようにプラズマCVD法によ
ってカーボン・ナノチューブを形成する場合、支持体に
バイアス電圧を印加した状態で、プラズマ密度が1016
-3(107mm-3)以上、好ましくは1017-3(1
8mm-3)以上、一層好ましくは1019-3(1010
mm-3)以上の条件のプラズマCVD法に基づくこと
が、電子放出部形成に用いる原料ガスの解離度を高く
し、電子放出部を確実に形成するといった観点から好ま
しい。あるいは又、電子放出部を形成するためのCVD
法は、支持体にバイアス電圧を印加した状態で、電子温
度が1乃至15eV、好ましくは5eV乃至15eV、
イオン電流密度が、0.1mA/cm2乃至30mA/
cm2、好ましくは5mA/cm2乃至30mA/cm2
の条件のプラズマCVD法に基づくことが、電子放出部
形成に用いる原料ガスの解離度を高くし、電子放出部を
確実に形成するといった観点から好ましい。そして、こ
れらの場合、プラズマCVD法として、マイクロ波プラ
ズマCVD法、トランス結合型プラズマCVD法、誘導
結合型プラズマCVD法、電子サイクロトロン共鳴プラ
ズマCVD法、ヘリコン波プラズマCVD法、容量結合
型プラズマCVD法、平行平板型CVD装置を用いたC
VD法を挙げることができる。あるいは又、ホットフィ
ラメントCVD法を採用してもよい。場合によっては、
熱CVD法やプラズマCVD法を採用してもよい。尚、
電子放出部を形成する工程における支持体加熱温度を、
600゜C以下、好ましくは500゜C以下、更に好ま
しくは400゜C以下、一層好ましくは300゜C以下
とすることが望ましい。支持体加熱温度の下限は、電子
放出部を形成し得る温度とすればよい。
【0082】尚、このようにプラズマCVD法にてカー
ボン・ナノチューブあるいはカーボン・ナノファイバー
を形成する場合、電界放出素子におけるカソード電極の
上に、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)、チタン
(Ti)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、タング
ステン(W)、ジルコニウム(Zr)、タンタル(T
a)、鉄(Fe)、銅(Cu)、白金(Pt)、亜鉛
(Zn)、カドミウム(Cd)、ゲルマニウム(G
e)、錫(Sn)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、銀
(Ag)、金(Au)、インジウム(In)及びタリウ
ム(Tl)から成る群から選択された少なくとも1種類
の金属、あるいは、これらの元素を含む合金、有機金属
から成る選択成長領域を形成することが好ましい。更に
は、これらの金属以外でも、電子放出部を形成(合成)
するときの雰囲気中で触媒作用を有する金属を用いるこ
とができる。場合によっては、これらの材料から適切な
材料を選択し、電界放出素子におけるカソード電極をか
かる材料から構成することもできる。
【0083】選択成長領域を金属薄膜から構成すること
ができる。金属薄膜の形成方法として、物理的気相成長
法や、メッキ法(電気メッキ法及び無電解メッキ法を含
む)、化学的気相成長法を挙げることができる。物理的
気相成長法として、電子ビーム加熱法、抵抗加熱法、
フラッシュ蒸着等の各種真空蒸着法、プラズマ蒸着
法、2極スパッタリング法、直流スパッタリング法、
直流マグネトロンスパッタリング法、高周波スパッタリ
ング法、マグネトロンスパッタリング法、イオンビーム
スパッタリング法、バイアススパッタリング法等の各種
スパッタリング法、DC(direct current)法、RF
法、多陰極法、活性化反応法、電界蒸着法、高周波イオ
ンプレーティング法、反応性イオンプレーティング法等
の各種イオンプレーティング法、を挙げることができ
る。
【0084】あるいは又、選択成長領域を形成する方法
として、例えば、選択成長領域を形成すべきカソード電
極の領域以外の領域を適切な材料(例えば、マスク)で
被覆した状態で、溶媒と金属粒子から成る層を選択成長
領域を形成すべきカソード電極の部分の表面に形成した
後、溶媒を除去し、金属粒子を残す方法を挙げることが
できる。あるいは又、選択成長領域を形成する方法とし
て、例えば、選択成長領域を形成すべきカソード電極の
領域以外の領域を適切な材料(例えば、マスク)で被覆
した状態で、金属粒子を構成する金属原子を含む金属化
合物粒子をカソード電極の表面に付着させた後、金属化
合物粒子を加熱することによって分解し、以て、選択成
長領域(一種の金属粒子の集まりである)をカソード電
極に形成する方法を挙げることができる。この場合、具
体的には、溶媒と金属化合物粒子から成る層を選択成長
領域を形成すべきカソード電極の部分の表面に形成した
後、溶媒を除去し、金属化合物粒子を残す方法を例示す
ることができる。金属化合物粒子は、選択成長領域を構
成する金属のハロゲン化物(例えば、ヨウ化物、塩化
物、臭化物等)、酸化物、水酸化物及び有機金属から成
る群から選択された少なくとも1種類の材料から成るこ
とが好ましい。尚、これらの方法においては、適切な段
階で、選択成長領域を形成すべきカソード電極の領域以
外の領域を被覆した材料(例えば、マスク)を除去す
る。
【0085】あるいは又、選択成長領域を有機金属化合
物薄膜から構成することもできる。この場合、有機金属
化合物薄膜は、亜鉛(Zn)、錫(Sn)、アルミニウ
ム(Al)、鉛(Pb)、ニッケル(Ni)及びコバル
ト(Co)から成る群から選択された少なくとも1種の
元素を含有して成る有機金属化合物から構成されている
形態とすることができ、更には、錯化合物から構成され
ていることが好ましい。ここで、錯化合物を構成する配
位子として、アセチルアセトン、ヘキサフルオロアセチ
ルアセトン、ジピバロイルメタネート、シクロペンタジ
エニルを例示することができる。尚、形成された有機金
属化合物薄膜には、有機金属化合物の分解物が一部含ま
れていてもよい。有機金属化合物薄膜から成る選択成長
領域を形成する工程は、有機金属化合物溶液から成る層
を選択成長領域を形成すべきカソード電極の部分の上に
成膜する工程から構成することができ、あるいは又、有
機金属化合物を昇華させた後、かかる有機金属化合物を
選択成長領域を形成すべきカソード電極の部分の上に堆
積させる工程から構成することができる。
【0086】選択成長領域上における電子放出部の選択
成長を一層確実なものとするために、選択成長領域の表
面の酸化物(所謂、自然酸化膜)を除去してもよい。酸
化物の除去を、例えば、水素ガス、アンモニアガス、ヘ
リウムガス、アルゴンガス、ネオンガス、メタンガス、
エチレンガス、アセチレンガス、窒素ガス等のガス雰囲
気中でのプラズマ処理にて行うことができる。尚、プラ
ズマ処理として、マイクロ波プラズマ法、トランス結合
型プラズマ法、誘導結合型プラズマ法、電子サイクロト
ロン共鳴プラズマ法、RFプラズマ法等に基づくプラズ
マ還元処理を挙げることができる。あるいは又、アルゴ
ンガス雰囲気におけるスパッタ処理、若しくは、例えば
フッ酸等の酸や塩基を用いた洗浄処理によっても、酸化
物の除去を行うことができる。
【0087】また、選択成長領域におけるカーボン・ナ
ノチューブ構造体の選択成長を一層確実なものとするた
めに、選択成長領域の表面に、硫黄(S)、ホウ素
(B)又はリン(P)を付着させてもよく、これらの物
質は一種の触媒としての作用を果たすと考えられ、これ
によって、カーボン・ナノチューブ構造体の選択成長性
を一層向上させることができる。選択成長領域の表面に
硫黄、ホウ素又はリンを付着させる方法としては、例え
ば、硫黄、ホウ素又はリンを含む化合物から成る化合物
層を選択成長領域の表面に形成し、次いで、例えば加熱
処理を化合物層に施すことによって化合物層を構成する
化合物を分解させ、選択成長領域の表面に硫黄、ホウ素
又はリンを残す方法を挙げることができる。硫黄を含む
化合物としてチオナフテン、チオフテン、チオフェンを
例示することができる。ホウ素を含む化合物として、ト
リフェニルボロンを例示することができる。リンを含む
化合物として、トリフェニルフォスフィンを例示するこ
とができる。
【0088】あるいは又、扁平型電界放出素子を、カー
ボン・ナノチューブ構造体を有機溶媒中に分散させたも
のをカソード電極の所望の領域上に塗布し、有機溶媒を
除去した後、カーボン・ナノチューブ構造体をダイヤモ
ンド状アモルファスカーボンで被覆する方法(より具体
的には、カーボン・ナノチューブ構造体をトルエンやア
ルコール等の有機溶媒中に分散させておき、かかる有機
溶媒をカソード電極の所望の領域上にスピンコーティン
グ法によって、あるいは又、ナノスプレー法やアトミッ
クスプレー法等の各種スプレー法によって塗布し、有機
溶媒を除去した後、カーボン・ナノチューブ構造体をダ
イヤモンド状アモルファスカーボン[DLC]で被覆す
る方法)によって製造することもできる。尚、このよう
な方法を、カーボン・ナノチューブ構造体の第2の形成
方法と呼ぶ。
【0089】ダイヤモンド状アモルファスカーボンの形
成方法として、CVD法だけでなく、カソディアックカ
ーボン法(例えば、文献 "Properties of filtered-ion
-beam-deposited diamondlike carbon as a function o
f ion energy", P. J. Fallon, et al., Phys. Rev. B
48 (1993), pp 4777-4782 参照)、レーザアブレーショ
ン法、スパッタリング法といった各種のPVD法を挙げ
ることができる。ダイヤモンド状アモルファスカーボン
には、水素が含有されていてもよいし、窒素やボロン、
リン等がドーピングされていてもよい。ここで、ダイヤ
モンド状アモルファスカーボンは、波長514.5nm
のレーザ光を用いたラマン・スペクトルにおいて、波数
1400乃至1630cm-1の範囲で半値幅50cm-1
以上のピークを有することが好ましい。尚、ピークが1
480cm-1より高波数側に存在する場合、波数133
0乃至1400cm-1にもう1つピークが存在する場合
もある。ダイヤモンド状アモルファスカーボンには、一
般のダイヤモンドと同じ結合であるsp3を多く有する
(具体的には、例えば20〜90%有する)非晶質炭素
だけでなく、クラスターカーボンも包含される。尚、ク
ラスターカーボンに関しては、例えば、"Generation an
d deposition of fullerene- and nanotube-rich carbo
n thin films", M. Chhowalla, et al., Phil. Mag. Le
tts, 75 (1997), pp 329-335 を参照されたい。
【0090】あるいは又、扁平型電界放出素子を、バイ
ンダー材料にカーボン・ナノチューブ構造体を分散させ
たものをカソード電極の所望の領域に例えば塗布した
後、バインダー材料の焼成あるいは硬化を行う方法(よ
り具体的には、エポキシ系樹脂やアクリル系樹脂等の有
機系バインダー材料や水ガラス等の無機系バインダー材
料にカーボン・ナノチューブ構造体を分散したものを、
カソード電極の所望の領域に例えば塗布した後、溶媒の
除去、バインダー材料の焼成・硬化を行う方法)によっ
て製造することもできる。尚、このような方法を、カー
ボン・ナノチューブ構造体の第3の形成方法と呼ぶ。塗
布方法として、スクリーン印刷法を例示することができ
る。また、有機系バインダー材料を用いる場合、場合に
よっては、電界放出素子の製造工程において、有機系バ
インダー材料からガスが発生することを防止するため、
焼成により有機系バインダー材料の一部あるいは全てを
除去してもよい。また、水ガラス等の無機系バインダー
材料を用いる場合、場合によっては、電界放出素子の製
造工程において、無機系バインダー材料からガスが発生
することを防止するため、エッチングにより無機系バイ
ンダー材料の一部あるいは全てを除去してもよい。
【0091】あるいは又、扁平型電界放出素子を、カー
ボン・ナノチューブ構造体が分散された金属化合物溶液
をカソード電極上に塗布した後、金属化合物を焼成する
方法によって製造することもでき、これによって、金属
化合物を構成する金属原子を含むマトリックスにてカー
ボン・ナノチューブ構造体がカソード電極表面に固定さ
れる。尚、このような方法を、カーボン・ナノチューブ
構造体の第4の形成方法と呼ぶ。マトリックスは、導電
性を有する金属酸化物から成ることが好ましく、より具
体的には、酸化錫、酸化インジウム、酸化インジウム−
錫、酸化亜鉛、酸化アンチモン、又は、酸化アンチモン
−錫から構成することが好ましい。焼成後、各カーボン
・ナノチューブ構造体の一部分がマトリックスに埋め込
まれている状態を得ることもできるし、各カーボン・ナ
ノチューブ構造体の全体がマトリックスに埋め込まれて
いる状態を得ることもできる。また、マトリックスの体
積抵抗率は、1×10-9Ω・m乃至5×10-6Ω・mで
あることが望ましい。
【0092】金属化合物溶液を構成する金属化合物とし
て、例えば、有機金属化合物、有機酸金属化合物、又
は、金属塩(例えば、塩化物、硝酸塩、酢酸塩)を挙げ
ることができる。有機酸金属化合物溶液として、有機錫
化合物、有機インジウム化合物、有機亜鉛化合物、有機
アンチモン化合物を酸(例えば、塩酸、硝酸、あるいは
硫酸)に溶解し、これを有機溶媒(例えば、トルエン、
酢酸ブチル、イソプロピルアルコール)で希釈したもの
を挙げることができる。また、有機金属化合物溶液とし
て、有機錫化合物、有機インジウム化合物、有機亜鉛化
合物、有機アンチモン化合物を有機溶媒(例えば、トル
エン、酢酸ブチル、イソプロピルアルコール)に溶解し
たものを例示することができる。溶液を100重量部と
したとき、カーボン・ナノチューブ構造体が0.001
〜20重量部、金属化合物が0.1〜10重量部、含ま
れた組成とすることが好ましい。溶液には、分散剤や界
面活性剤が含まれていてもよい。また、マトリックスの
厚さを増加させるといった観点から、金属化合物溶液
に、例えばカーボンブラック等の添加物を添加してもよ
い。また、場合によっては、有機溶媒の代わりに水を溶
媒として用いることもできる。
【0093】カーボン・ナノチューブ構造体が分散され
た金属化合物溶液をカソード電極上に塗布する方法とし
て、スプレー法、スピンコーティング法、ディッピング
法、ダイクォーター法、スクリーン印刷法を例示するこ
とができるが、中でもスプレー法を採用することが塗布
の容易性といった観点から好ましい。
【0094】カーボン・ナノチューブ構造体が分散され
た金属化合物溶液をカソード電極上に塗布した後、金属
化合物溶液を乾燥させて金属化合物層を形成し、次い
で、カソード電極上の金属化合物層の不要部分を除去し
た後、金属化合物を焼成してもよいし、金属化合物を焼
成した後、カソード電極上の不要部分を除去してもよい
し、カソード電極の所望の領域上にのみ金属化合物溶液
を塗布してもよい。
【0095】また、金属化合物の焼成温度は、例えば、
金属塩が酸化されて導電性を有する金属酸化物となるよ
うな温度、あるいは又、有機金属化合物や有機酸金属化
合物が分解して、有機金属化合物や有機酸金属化合物を
構成する金属原子を含むマトリックス(例えば、導電性
を有する金属酸化物)が形成できる温度であればよく、
例えば、300゜C以上とすることが好ましい。焼成温
度の上限は、電界放出素子あるいはカソードパネルの構
成要素に熱的な損傷等が発生しない温度とすればよい。
【0096】カーボン・ナノチューブ構造体が分散され
た金属化合物溶液のカソード電極上への塗布中に、若し
くは塗布した後、支持体を加熱することが好ましい。こ
のようにすることで、カソード電極の表面に対してカー
ボン・ナノチューブ構造体が水平に近づく方向にセルフ
レベリングする前に塗布溶液の乾燥が始まる結果、カー
ボン・ナノチューブ構造体が水平にはならない状態でカ
ソード電極の表面にカーボン・ナノチューブ構造体を配
置することができる。即ち、カーボン・ナノチューブ構
造体が、支持体の法線方向に近づく方向に配向する確率
が高くなる。尚、支持体の加熱温度は、40〜250゜
Cとすることが望ましく、より具体的には、金属化合物
溶液に含まれる溶媒の沸点以上の温度とすることが望ま
しい。
【0097】電子放出部をカーボン・ナノチューブ構造
体とマトリックスから構成する場合、電子放出部の厚さ
は、カーボン・ナノチューブ構造体がマトリックスによ
って埋め込まれるに充分な厚さであればよく、例えば、
マトリックスの平均厚さとして5×10-8m〜1×10
-4mを例示することができる。カーボン・ナノチューブ
構造体の先端部の突出量は、例えば、カーボン・ナノチ
ューブ構造体の直径の1.5倍以上であることが望まし
い。また、電子放出部を占めるカーボン・ナノチューブ
構造体の重量割合は、カーボン・ナノチューブ構造体と
マトリックスとの合計重量を100としたとき、0.0
01乃至40であることが好ましい。
【0098】カーボン・ナノチューブ構造体の第1の形
成方法〜第4の形成方法にあっては、電子放出部の形成
後、電子放出部の表面の一種の活性化処理(洗浄処理)
を行うことが、電子放出部からの電子の放出効率の一層
の向上といった観点から好ましい。このような処理とし
て、水素ガス、アンモニアガス、ヘリウムガス、アルゴ
ンガス、ネオンガス、メタンガス、エチレンガス、アセ
チレンガス、窒素ガス等のガス雰囲気中でのプラズマ処
理を挙げることができる。
【0099】カーボン・ナノチューブ構造体の第2の形
成方法〜第4の形成方法にあっては、場合によっては、
例えば平均粒径10nm乃至1μmのシリカ、例えば平
均粒径5nm乃至3μmのニッケル、銀に例示される粉
状物質あるいは粒状物質を、カーボン・ナノチューブ構
造体を分散させた有機溶媒、バインダー材料にカーボン
・ナノチューブ構造体を分散させたもの、金属化合物溶
液に添加してもよく、これによって、カーボン・ナノチ
ューブ構造体が粉状物質あるいは粒状物質に寄りかかる
ようにしてカソード電極に対して角度を持ってカソード
電極上に配置される。尚、シリカと銀といった異なる粉
状物質あるいは粒状物質を混合して用いてもよい。ま
た、マトリックスの厚さを増加させるといった観点か
ら、カーボン・ナノチューブ構造体を分散させた有機溶
媒、バインダー材料にカーボン・ナノチューブ構造体を
分散させたもの、金属化合物溶液に、カーボンブラック
等の添加物を添加してもよい。
【0100】カーボン・ナノチューブ構造体の第1の形
成方法〜第4の形成方法にあっては、電子放出部あるい
は選択成長領域は、第2開口部の底部に位置するカソー
ド電極の部分の表面に形成されていればよく、第2開口
部の底部に位置するカソード電極の部分から第2開口部
の底部以外のカソード電極の部分の表面に延在するよう
に形成されていてもよい。また、電子放出部あるいは選
択成長領域は、第2開口部の底部に位置するカソード電
極の部分の表面の全面に形成されていても、部分的に形
成されていてもよい。
【0101】第2の構造を有する電界放出素子(平面型
電界放出素子あるいはクレータ型電界放出素子)、若し
くは第3の構造を有する電界放出素子(エッジ型電界放
出素子)にあっては、電子放出部に相当するカソード電
極を構成する材料として、タングステン(W)やタンタ
ル(Ta)、ニオブ(Nb)、チタン(Ti)、モリブ
デン(Mo)、クロム(Cr)、アルミニウム(A
l)、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)等の金属;
これらの合金や化合物(例えばTiN等の窒化物や、W
Si2、MoSi2、TiSi2、TaSi2等のシリサイ
ド);シリコン(Si)等の半導体;あるいはダイヤモ
ンド等の炭素薄膜を例示することができる。かかるカソ
ード電極の厚さは、おおよそ0.05〜0.5μm、好
ましくは0.1〜0.3μmの範囲とすることが望まし
いが、かかる範囲に限定するものではない。カソード電
極の形成方法として、例えば電子ビーム蒸着法や熱フィ
ラメント蒸着法といった蒸着法、スパッタリング法、C
VD法やイオンプレーティング法とエッチング法との組
合せ、スクリーン印刷法、メッキ法、リフトオフ法等を
挙げることができる。スクリーン印刷法やメッキ法によ
れば、直接、例えばストライプ状のカソード電極を形成
することが可能である。
【0102】あるいは又、第2の構造(平面型電界放出
素子あるいはクレータ型電界放出素子)、第3の構造を
有する電界放出素子(エッジ型電界放出素子)、あるい
は、扁平型電界放出素子から成る第1の構造を有する電
界放出素子にあっては、カソード電極や電子放出部を、
導電性微粒子を分散させた導電性ペーストを用いて形成
することもできる。導電性微粒子としては、グラファイ
ト粉末;酸化バリウム粉末、酸化ストロンチウム粉末、
金属粉末の少なくとも一種を混合したグラファイト粉
末;ダイヤモンドライク・カーボン粉末;窒素、リン、
ホウ素、トリアゾール等の不純物を含むダイヤモンド粒
子又はダイヤモンドライク・カーボン粉末;カーボン・
ナノチューブ粉末、カーボン・ナノファイバー粉末、カ
ーボン・ナノチューブ粉末とカーボン・ナノファイバー
粉末の混合物;(Sr,Ba,Ca)CO3粉末;シリ
コン・カーバイド粉末を例示することができる。特に、
導電性微粒子としてグラファイト粉末やダイヤモンドラ
イク・カーボン粉末を選択することが、閾値電界の低減
や電子放出部の耐久性の観点から好ましい。導電性微粒
子の形状を、球状、鱗片状の他、任意の定形形状や不定
形形状とすることができる。また、導電性微粒子の粒径
は、カソード電極や電子放出部の厚さやパターン幅以下
であればよい。粒径が小さい方が、単位面積当たりの放
出電子数を増大させることができるが、あまり小さ過ぎ
るとカソード電極や電子放出部の導電性が劣化する虞が
ある。よって、好ましい粒径の範囲はおおよそ0.01
〜4.0μmである。かかる導電性微粒子をガラス成分
その他の適当なバインダ(結合剤)と混合して導電性ペ
ーストを調製し、この導電性ペースを用いてスクリーン
印刷法により所望のパターンを形成した後、パターンを
焼成することによって電子放出部として機能するカソー
ド電極や電子放出部を形成することができる。あるい
は、スピンコーティング法とエッチング技術の組み合わ
せ、リフトオフ法により、電子放出部として機能するカ
ソード電極や電子放出部を形成することもできる。
【0103】スピント型電界放出素子やクラウン型電界
放出素子、扁平型電界放出素子から成る第1の構造を有
する電界放出素子にあっては、カソード電極を構成する
材料として、タングステン(W)、ニオブ(Nb)、タ
ンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、クロム(C
r)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)等の金属;こ
れらの金属元素を含む合金あるいは化合物(例えばTi
N等の窒化物や、WSi2、MoSi2、TiSi2、T
aSi2等のシリサイド);シリコン(Si)等の半導
体;ITO(インジウム・錫酸化物)を例示することが
できる。カソード電極の形成方法として、例えば電子ビ
ーム蒸着法や熱フィラメント蒸着法といった蒸着法、ス
パッタリング法、CVD法やイオンプレーティング法と
エッチング法との組合せ、スクリーン印刷法、メッキ
法、リフトオフ法等を挙げることができる。スクリーン
印刷法やメッキ法によれば、直接、例えばストライプ状
のカソード電極を形成することが可能である。
【0104】第1の構造〜第3の構造を有する電界放出
素子においては、電界放出素子の構造に依存するが、ゲ
ート電極及び絶縁層に設けられた1つの第1開口部及び
第2開口部内に1つの電子放出部が存在してもよいし、
ゲート電極及び絶縁層に設けられた1つの第1開口部及
び第2開口部内に複数の電子放出部が存在してもよい
し、ゲート電極に複数の第1開口部を設け、かかる第1
開口部と連通する1つの第2開口部を絶縁層に設け、絶
縁層に設けられた1つの第2開口部内に1又は複数の電
子放出部が存在してもよい。
【0105】第1開口部あるいは第2開口部の平面形状
(支持体表面と平行な仮想平面で開口部を切断したとき
の形状)は、円形、楕円形、矩形、多角形、丸みを帯び
た矩形、丸みを帯びた多角形等、任意の形状とすること
ができる。第1開口部の形成は、例えば、等方性エッチ
ング、異方性エッチングと等方性エッチングの組合せに
よって行うことができ、あるいは又、ゲート電極の形成
方法に依っては、第1開口部を直接形成することもでき
る。第2開口部の形成も、例えば、等方性エッチング、
異方性エッチングと等方性エッチングの組合せによって
行うことができる。
【0106】第1の構造を有する電界放出素子におい
て、カソード電極と電子放出部との間に抵抗体層を設け
てもよい。あるいは又、カソード電極の表面あるいはそ
のエッジ部が電子放出部に相当している場合(即ち、第
2の構造あるいは第3の構造を有する電界放出素子にお
いては)、カソード電極を導電材料層、抵抗体層、電子
放出部に相当する電子放出層の3層構成としてもよい。
抵抗体層を設けることによって、電界放出素子の動作安
定化、電子放出特性の均一化を図ることができる。抵抗
体層を構成する材料として、シリコンカーバイド(Si
C)やSiCNといったカーボン系材料、SiN、アモ
ルファスシリコン等の半導体材料、酸化ルテニウム(R
uO2)、酸化タンタル、窒化タンタル等の高融点金属
酸化物を例示することができる。抵抗体層の形成方法と
して、スパッタリング法や、CVD法やスクリーン印刷
法を例示することができる。抵抗値は、概ね1×105
〜1×107Ω、好ましくは数MΩとすればよい。
【0107】各種の電界放出素子におけるゲート電極を
構成する導電性材料として、タングステン(W)、ニオ
ブ(Nb)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、
クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、
マンガン(Mn)等の金属;これらの金属元素を含む合
金あるいは化合物(例えばTiN等の窒化物や、WSi
2、MoSi2、TiSi2、TaSi2等のシリサイ
ド);あるいはシリコン(Si)等の半導体やダイヤモ
ンド、カーボン、ITO(インジウム・錫酸化物)を例
示することができる。
【0108】[扁平型電界放出素子]扁平型電界放出素
子は、(イ)支持体10上に設けられたカソード電極1
1と、(ロ)支持体10及びカソード電極11上に形成
された絶縁層12と、(ハ)絶縁層12上に設けられた
ゲート電極13と、(ニ)ゲート電極13に設けられた
第1開口部14A、及び、絶縁層12に設けられ、第1
開口部14Aと連通した第2開口部14Bと、(ホ)第
2開口部14Bの底部に位置するカソード電極11上に
設けられた扁平状の電子放出部15A、から成り、第2
開口部14Bの底部に露出した電子放出部15Aから電
子が放出される構造を有する。
【0109】電子放出部15Aは、複数の所謂カーボン
・ナノチューブから成るカーボン・ナノチューブ構造体
17から構成されている。また、電子放出部15Aとカ
ソード電極11との間には、ニッケル(Ni)から成る
選択成長領域16が形成されている。
【0110】以下、扁平型電界放出素子の製造方法を、
支持体等の模式的な一部端面図である図11の(A)〜
(C)を参照して説明する。
【0111】[工程−B0]先ず、支持体10上にカソ
ード電極11を形成する。具体的には、例えばガラス基
板から成る支持体10上に、例えばアルミニウム(A
l)から成るカソード電極用導電材料層をスパッタリン
グ法にて形成した後、フォトリソグラフィ技術及びドラ
イエッチング技術に基づき、ストライプ状のカソード電
極11を支持体10上に形成する。尚、ストライプ状の
カソード電極11は、図面の紙面左右方向に延びてい
る。
【0112】[工程−B1]次に、少なくとも電子放出
部を形成すべきカソード電極11の部分の上に選択成長
領域16を形成する。具体的には、例えばニッケル(N
i)層を例えば表1に例示するスパッタリング法にて全
面に形成する。その後、フォトリソグラフィ技術及びエ
ッチング技術によって、後の工程で形成される第2開口
部の底部に位置するニッケル層の部分を残す。これによ
って、ニッケルから成る選択成長領域16を得ることが
できる(図11の(A)参照)。尚、選択成長領域16
を、カソード電極11の全面に形成してもよいし、後に
形成する第2開口部の底部に露出するカソード電極11
の部分の全面に形成してもよいし、後に形成する第2開
口部の底部に露出するカソード電極11の部分の全面か
ら絶縁層で被覆されたカソード電極の一部分にまで形成
してもよい。
【0113】[表1] [ニッケル層の成膜条件] ターゲット :Ni Ar流量 :100SCCM 圧力 :0.5Pa DCパワー :2kW スパッタ温度:200゜C 膜厚 :150nm
【0114】[工程−B2]次に、支持体10及びカソ
ード電極11上に絶縁層12を形成する。具体的には、
例えばTEOS(テトラエトキシシラン)を原料ガスと
して使用するCVD法により、全面に、厚さ約1μmの
絶縁層12を形成する。但し、絶縁層12の厚さは、こ
のような値に限定するものではない。
【0115】[工程−B3]その後、絶縁層12上にゲ
ート電極13を形成する。具体的には、絶縁層12上に
ゲート電極を構成するためのアルミニウム(Al)から
成るゲート電極用導電材料層をスパッタリング法にて形
成した後、ゲート電極用導電材料層上にパターニングさ
れたエッチング用マスク(図示せず)を形成し、かかる
エッチング用マスクを用いてゲート電極用導電材料層を
エッチングして、ゲート電極用導電材料層をストライプ
状にパターニングし後、エッチング用マスクを除去す
る。これによって、絶縁層12上に、ストライプ状のゲ
ート電極13を形成することができる。併せて、絶縁層
12上に接地電極30,30A,30B,30Cを形成
することができる。次いで、ゲート電極13及び絶縁層
12、接地電極30,30A,30B,30C上にパタ
ーニングされたエッチング用マスク(図示せず)を形成
し、かかるエッチング用マスクを用いてゲート電極13
をエッチングし、更に、絶縁層12をエッチングする。
これによって、絶縁層12上に、第1開口部14Aを有
するゲート電極13を形成することができ、更には、絶
縁層12に第2開口部14Bを形成することができる
(図11の(B)参照)。第1開口部14A及び第2開
口部14Bの平面形状は円形である。
【0116】[工程−B4]その後、カーボン・ナノチ
ューブ構造体17から成る電子放出部15Aを選択成長
領域16上に形成する。具体的には、例えば、ヘリコン
波プラズマCVD装置を用いて、以下の表2に示すプラ
ズマCVD条件にて、選択成長領域16上にカーボン・
ナノチューブ構造体17から成る電子放出部15Aを選
択的に形成する(図11の(C)参照)。カソード電極
11及びゲート電極13、接地電極30,30A,30
B,30Cがアルミニウムから構成されているので、カ
ーボン・ナノチューブ構造体がカソード電極11及びゲ
ート電極13の上に形成されることはない。電子放出部
15Aを構成するカーボン・ナノチューブ構造体17の
結晶性を変化させるために、CVD条件を随時変化させ
てもよい。また、放電を安定にさせるため及びプラズマ
解離を促進するために、ヘリウム(He)やアルゴン
(Ar)等の希釈用ガスを混合してもよいし、窒素、ア
ンモニア等のドーピングガスを混合してもよい。第2開
口部14Bの底部に露出したカソード電極11上に形成
された選択成長領域16の上にカーボン・ナノチューブ
構造体17から成る電子放出部15Aを選択的に形成す
ることができるので、カーボン・ナノチューブ構造体1
7のパターニング等は一切不要である。
【0117】[表2] 使用ガス :CH4/H2=50/50sccm 電源パワー :1500W 支持体印加電力 :100V プラズマ密度 :3×1012/cm3 反応圧力 :0.1Pa 支持体温度 :300゜C 電子温度 :6.5eV イオン電流密度 :25mA/cm2
【0118】尚、電子放出部をカーボン・ナノチューブ
から構成したが、電子放出部を形成するためのCVD条
件によっては、電子放出部をカーボン・ナノファイバー
から構成でき、あるいは又、円錐状の形状を有する電子
放出部を形成することも可能である。
【0119】また、[工程−B0]、[工程−B1]、
[工程−B4]、[工程−B2]、[工程−B3]の順
に実行してもよい。即ち、(1)支持体上にカソード電
極を形成する工程と、(2)少なくとも電子放出部を形
成すべきカソード電極の上に選択成長領域を形成する工
程と、(3)カーボン・ナノチューブ構造体から成る電
子放出部を選択成長領域上に形成する工程と、(4)全
面に絶縁層を形成する工程と、(5)絶縁層上にゲート
電極、接地電極を形成する工程と、(6)電子放出部が
底部に露出した第2開口部を、少なくとも絶縁層に形成
する工程、から構成することもできる。この場合の上記
工程(5)が完了した時点における構造の模式的な一部
断面図を図12に示す。
【0120】あるいは又、[工程−B0]、[工程−B
2]、[工程−B3]、[工程−B1]、[工程−B
4]の順に実行してもよい。即ち、(1)支持体上にカ
ソード電極を形成する工程と、(2)全面に絶縁層を形
成する工程と、(3)絶縁層上にゲート電極を形成する
工程と、(4)カソード電極が底部に露出した第2開口
部を、少なくとも絶縁層に形成する工程と、(5)開口
部の底部に露出した電子放出部を形成すべきカソード電
極の上に選択成長領域を形成する工程と、(6)カーボ
ン・ナノチューブ構造体から成る電子放出部を選択成長
領域上に形成する工程、から構成することもできる。こ
の場合の上記工程(4)が完了した時点における構造の
模式的な一部端面図を図13の(A)に示す。また、上
記工程(5)を図13の(B)及び図13の(C)に示
す。尚、この工程(5)にあっては、最上層(絶縁層1
2及びゲート電極13)及び開口部14A,14Bの側
壁面、並びに、第2開口部14Bの底部の電子放出部を
形成しないカソード電極の部分を剥離層18で被覆する
(図13の(B)参照)。次いで、全面に、例えばニッ
ケル(Ni)層をスパッタリング法にて形成した後、剥
離層18を除去することによって、第2開口部14Bの
底部に選択成長領域16を形成することができる(図1
3の(C)参照)。
【0121】上記の扁平型電界放出素子の製造にあって
は、場合によっては、選択成長領域16の表面が自然酸
化され、電子放出部15Aの形成が困難となる場合があ
る。このような場合には、選択成長領域16の表面の金
属酸化物(所謂、自然酸化膜)を除去することが望まし
い。尚、選択成長領域16の表面の金属酸化物は、例え
ば、プラズマ還元処理若しくは洗浄処理によって除去す
ることができる。
【0122】具体的には、選択成長領域16を形成した
後、カーボン・ナノチューブ構造体17を形成する前
に、選択成長領域16の表面の金属酸化物(自然酸化
膜)を、以下の表3に例示するプラズマ還元処理(マイ
クロ波プラズマ処理)に基づき除去する。あるいは又、
例えば50%フッ酸水溶液と純水の1:49(容積比)
混合液を用いて、露出した選択成長領域16の表面の金
属酸化物(自然酸化膜)を除去することもできる。尚、
このようなプロセスを、上記の扁平型電界放出素子の製
造方法の各種の変形例に適用することもできる。
【0123】[表3] 使用ガス :H2=100SCCM 圧力 :1.3×103Pa マイクロ波パワー:600W(13.56MHz) 処理温度 :400゜C
【0124】また、上述の扁平型電界放出素子の製造方
法においては、選択成長領域をスパッタ法にて形成した
が、その他のPVD法やCVD法にて形成することもで
きるし、メッキ法にて形成することもできる。電気メッ
キの条件を以下の表4に例示する。尚、陽極としてニッ
ケル板を用いる。尚、このようなプロセスを、上記の扁
平型電界放出素子の製造方法の各種の変形例に適用する
こともできる。
【0125】 [表4] メッキ浴組成:塩化アンモニウム 1重量% ホウ酸 2重量% 硫酸ニッケル 4重量% ドデシル硫酸ナトリウム 0.1重量% メッキ浴温度:50゜C 印加電流 :陽極/ゲート電極間 25mA/dm2 :ゲート電極/カソード電極間 0.5mA/dm2 電位 :陽極の電位VA :10ボルト ゲート電極電位VG : 2ボルト カソード電極電位VC:−5ボルト メッキ時間 :10分
【0126】[クラウン型電界放出素子]クラウン型電
界放出素子の模式的な一部端面図を図16の(A)に示
し、一部を切り欠いた模式的な斜視図を図16の(B)
に示す。クラウン型電界放出素子は、支持体10上に形
成されたカソード電極11と、支持体10及びカソード
電極11上に形成された絶縁層12と、絶縁層12上に
形成されたゲート電極13と、ゲート電極13及び絶縁
層12を貫通する第1開口部及び第2開口部(以下、第
1開口部と第2開口部を総称して開口部14と呼ぶ場合
がある)と、開口部14の底部に位置するカソード電極
11の部分の上に設けられたクラウン(王冠)型の電子
放出部15Bから構成されている。
【0127】以下、クラウン型電界放出素子の製造方法
を、支持体等の模式的な一部端面図等である図14の
(A)、(B)、図15の(A)〜(C)、図16の
(A)、(B)を参照して説明する。
【0128】[工程−C0]先ず、例えばガラス基板か
ら成る支持体10上に、ストライプ状のカソード電極1
1を形成する。尚、カソード電極11は、図面の紙面左
右方向に延びている。ストライプ状のカソード電極11
は、例えば支持体10上にITO膜をスパッタリング法
により約0.2μmの厚さに全面に亙って成膜した後、
ITO膜をパターニングすることによって形成すること
ができる。次に、支持体10及びカソード電極11上に
絶縁層12を形成する。ここでは、一例としてガラスペ
ーストを全面に約3μmの厚さにスクリーン印刷する。
次に、絶縁層12に含まれる水分や溶剤を除去し、且
つ、絶縁層12を平坦化するために、例えば100゜
C、10分間の仮焼成、及び500゜C、20分間の本
焼成といった2段階の焼成を行う。尚、上述のようなガ
ラスペーストを用いたスクリーン印刷に替えて、例えば
プラズマCVD法によりSiO2層を形成してもよい。
【0129】次に、絶縁層12上に、ストライプ状のゲ
ート電極13を形成する(図14の(A)参照)。尚、
ゲート電極13は、図面の紙面垂直方向に延びている。
ゲート電極13は、例えば、絶縁層12上に厚さ約20
nmのクロム(Cr)膜と厚さ0.2μmの金(Au)
膜を電子ビーム蒸着法によりこの順に全面に成膜し、続
いてこの積層膜をパターニングすることにより形成する
ことができる。尚、クロム膜は、絶縁層12に対する金
膜の密着性の不足を補うために形成される。ゲート電極
13の射影像の延びる方向は、ストライプ状のカソード
電極11の射影像の延びる方向と90度を成す。併せ
て、絶縁層12上に接地電極30,30A,30B,3
0Cを形成することができる。
【0130】[工程−C1]次に、例えばフォトレジス
ト材料から成るエッチング用マスクを用いてゲート電極
13及び絶縁層12をRIE法に基づきエッチングし、
ゲート電極13及び絶縁層12に開口部14を形成し、
開口部14の底部にカソード電極11を露出させる(図
14の(B)参照)。開口部14の直径を約2〜50μ
mとする。
【0131】[工程−C2]次に、エッチング用マスク
を除去し、ゲート電極13上、接地電極30,30A,
30B,30C上、絶縁層12上、及び開口部14の側
壁面上に剥離層52を形成する(図15の(A)参
照)。かかる剥離層52を形成するには、例えば、フォ
トレジスト材料をスピンコーティング法により全面に塗
布し、開口部14の底部の一部分(中央部)のみを除去
するようなパターニングを行えばよい。この時点で、開
口部14の実質的な直径は、約1〜20μmに縮径され
る。
【0132】[工程−C3]次に、図15の(B)に示
すように、全面に組成物原料から成る導電性組成物層5
3を形成する。ここで使用する組成物原料は、例えば、
導電性粒子として平均粒径約0.1μmの黒鉛粒子を6
0重量%、バインダとして4号の水ガラスを40重量%
含む。この組成物原料を、例えば1400rpm、10
秒間の条件で全面にスピンコートする。開口部14内に
おける導電性組成物層53の表面は、組成物原料の表面
張力に起因して、開口部14の側壁面に沿って迫り上が
り、開口部14の中央部に向かって窪む。その後、導電
性組成物層53に含まれる水分を除去するための仮焼成
を、例えば大気中、400゜Cで30分間行う。
【0133】尚、王冠状の電子放出部15Bの直径を概
ね1〜20μmとし、導電性粒子としてカーボン系材料
粒子を使用した場合、カーボン系材料粒子の粒径は概ね
0.1μm〜1μmの範囲とすることが好ましい。カー
ボン系材料粒子の粒径をかかる範囲に選択することによ
り、王冠状の電子放出部15Bの縁部に十分に高い機械
的強度が備わり、且つ、カソード電極11に対する電子
放出部15Bの密着性が良好となる。
【0134】[工程−C4]次に、図15の(C)に示
すように、剥離層52を除去する。剥離は、2重量%の
水酸化ナトリウム水溶液中に、30秒間浸漬することに
より行う。このとき、超音波振動を加えながら剥離を行
ってもよい。これにより、剥離層52と共に剥離層52
上の導電性組成物層53の部分が除去され、開口部14
の底部に露出したカソード電極11上の導電性組成物層
53の部分のみが残される。この残存した部分が電子放
出部15Bとなる。電子放出部15Bの形状は、表面が
開口部14の中央部に向かって窪み、王冠状となる。
[工程−C4]が終了した時点における状態を、図16
の(A)、(B)に示す。図16の(B)は、電界放出
素子の一部を示す模式的な斜視図であり、図16の
(A)は図16の(B)の線A−Aに沿った模式的な一
部端面図である。図16の(B)では、電子放出部15
Bの全体が見えるように、絶縁層12とゲート電極13
との一部を切り欠いている。尚、1つの電子放出領域に
は、5〜100個程度の電子放出部15Bを設けること
で十分である。尚、導電性粒子が電子放出部15Bの表
面に確実に露出するように、電子放出部15Bの表面に
露出したバインダをエッチングによって除去してもよ
い。
【0135】[工程−C5]次に、電子放出部15Bの
焼成を行う。焼成は、乾燥大気中、400゜C、30分
間の条件で行う。尚、焼成温度は、組成物原料に含まれ
るバインダの種類に応じて選択すればよい。例えば、バ
インダが水ガラスのような無機材料である場合には、無
機材料を焼成し得る温度で熱処理を行えばよい。バイン
ダが熱硬化性樹脂である場合には、熱硬化性樹脂を硬化
し得る温度で熱処理を行えばよい。但し、導電性粒子同
士の密着性を保つために、熱硬化性樹脂が過度に分解し
たり炭化する虞のない温度で熱処理を行うことが好適で
ある。いずれのバインダを用いるにしても、熱処理温度
は、ゲート電極やカソード電極、接地電極、絶縁層に損
傷や欠陥が生じない温度とする必要がある。熱処理雰囲
気は、ゲート電極やカソード電極、接地電極の電気抵抗
率が酸化によって上昇したり、あるいはゲート電極やカ
ソード電極、接地電極に欠陥や損傷が生ずることがない
ように、不活性ガス雰囲気とすることが好ましい。尚、
バインダとして熱可塑性樹脂を使用した場合には、熱処
理を必要としない場合がある。
【0136】[扁平型電界放出素子(その2)]扁平型
電界放出素子の模式的な一部断面図を、図17の(C)
に示す。扁平型電界放出素子は、例えばガラスから成る
支持体10上に形成されたカソード電極11、支持体1
0及びカソード電極11上に形成された絶縁層12、絶
縁層12上に形成されたゲート電極13、ゲート電極1
3及び絶縁層12を貫通する開口部14、並びに、開口
部14の底部に位置するカソード電極11の部分の上に
設けられた扁平の電子放出部(電子放出層15C)から
成る。ここで、電子放出層15Cは、図面の紙面垂直方
向に延びたストライプ状のカソード電極11上に形成さ
れている。また、ゲート電極13は、図面の紙面左右方
向に延びている。カソード電極11及びゲート電極13
はクロムから成る。電子放出層15Cは、具体的には、
グラファイト粉末から成る薄層から構成されている。図
17の(C)に示した扁平型電界放出素子においては、
カソード電極11の表面の全域に亙って、電子放出層1
5Cが形成されているが、このような構造に限定するも
のではなく、要は、少なくとも開口部14の底部に電子
放出層15Cが設けられていればよい。
【0137】以下、支持体等の模式的な一部断面図であ
る図17の(A)〜(C)を参照して、扁平型電界放出
素子の製造方法を説明する。
【0138】[工程−D0]先ず、支持体10上に、ク
ロム(Cr)から成るカソード電極用導電材料層をスパ
ッタリング法にて形成した後、リソグラフィ技術及びド
ライエッチング技術に基づきカソード電極用導電材料層
をパターニングする。これによって、ストライプ状のカ
ソード電極11を支持体10上に形成することができる
(図17の(A)参照)。尚、カソード電極11は、図
面の紙面垂直方向に延びている。
【0139】[工程−D1]次に、カソード電極11上
に、電子放出層15Cを形成する。具体的には、カソー
ド電極11の上にグラファイト粉末塗料から成る電子放
出層15Cをスピンコーティング法にて形成し、電子放
出層15Cを乾燥させる。その後、電子放出層15Cを
公知の方法に基づきパターニングする(図17の(B)
参照)。
【0140】[工程−D2]次に、全面に絶縁層12を
形成する。具体的には、電子放出層15C及び支持体1
0上に、例えば、スパッタリング法にてSiO2から成
る絶縁層12を形成する。尚、絶縁層12を、ガラスペ
ーストをスクリーン印刷する方法や、SiO 2層をCV
D法にて形成する方法に基づき形成することもできる。
その後、ストライプ状のゲート電極13を絶縁層12上
に形成する。併せて、絶縁層12上に接地電極30,3
0A,30B,30Cを形成する。
【0141】[工程−D3]次に、エッチング用マスク
を設けた後、ゲート電極13及び絶縁層12に開口部1
4を形成し、開口部14の底部に電子放出層15Cを露
出させる。その後、エッチング用マスクを除去し、電子
放出層15C中の有機溶剤を除去するために、400゜
C、30分の熱処理を施す。こうして、図17の(C)
に示した電界放出素子を得ることができる。
【0142】[扁平型電界放出素子(その3)]この扁
平型電界放出素子の変形例の模式的な一部断面図を、図
18の(C)に示す。図18の(C)に示す扁平型電界
放出素子においては、電子放出層15Cの構造が、図1
7の(C)に示した扁平型電界放出素子と若干異なって
いる。以下、支持体等の模式的な一部断面図である図1
8の(A)〜(C)を参照して、かかる電界放出素子の
製造方法を説明する。
【0143】[工程−E0]先ず、支持体10上にカソ
ード電極用導電材料層を形成する。具体的には、支持体
10の全面にレジスト材料層(図示せず)を形成した
後、カソード電極を形成すべき部分のレジスト材料層を
除去する。その後、全面にクロム(Cr)から成るカソ
ード電極用導電材料層をスパッタリング法にて形成す
る。次いで、カソード電極用導電材料層の上にグラファ
イト粉末塗料層をスピンコーティング法にて形成し、グ
ラファイト粉末塗料層を乾燥させる。その後、剥離液を
用いてレジスト材料層を除去すると、レジスト材料層上
に形成されたカソード電極用導電材料層及びグラファイ
ト粉末塗料層も除去される。こうして、カソード電極1
1及び電子放出層15Cが積層された構造を得ることが
できる(図18の(A)参照)。
【0144】[工程−E1]次に、全面に絶縁層12を
形成した後、絶縁層12上にストライプ状のゲート電極
13を形成する(図18の(B)参照)。併せて、絶縁
層12上に接地電極30,30A,30B,30Cを形
成する。その後、ゲート電極13及び絶縁層12に開口
部14を形成することによって、開口部14の底部に電
子放出層15Cを露出させる(図18の(C)参照)。
【0145】[平面型電界放出素子(その1)]平面型
電界放出素子の模式的な一部断面図を、図19の(C)
に示す。この平面型電界放出素子は、例えばガラスから
成る支持体10上に形成されたストライプ状のカソード
電極11、支持体10及びカソード電極11上に形成さ
れた絶縁層12、絶縁層12上に形成されたストライプ
状のゲート電極13、並びに、ゲート電極13及び絶縁
層12を貫通する第1開口部及び第2開口部(開口部1
4)から成る。開口部14の底部にはカソード電極11
が露出している。カソード電極11は、図面の紙面垂直
方向に延び、ゲート電極13は、図面の紙面左右方向に
延びている。カソード電極11及びゲート電極13はク
ロム(Cr)から成り、絶縁層12はSiO2から成
る。ここで、開口部14の底部に露出したカソード電極
11の部分が電子放出部15Dに相当する。
【0146】以下、支持体等の模式的な一部断面図であ
る図19の(A)〜(C)を参照して、平面型電界放出
素子の製造方法を説明する。
【0147】[工程−F0]先ず、支持体10上に電子
放出部15Dとして機能するカソード電極11を形成す
る。具体的には、支持体10上に、クロム(Cr)から
成るカソード電極用導電材料層をスパッタリング法にて
形成した後、リソグラフィ技術及びドライエッチング技
術に基づきカソード電極用導電材料層をパターニングす
る。これによって、ストライプ状のカソード電極11を
支持体10上に形成することができる(図19の(A)
参照)。尚、カソード電極11は、図面の紙面垂直方向
に延びている。
【0148】[工程−F1]次に、例えばCVD法にて
SiO2から成る絶縁層12を、支持体10及びカソー
ド電極11の上に形成する。尚、絶縁層12を、スクリ
ーン印刷法に基づきガラスペーストから形成することも
できる。
【0149】[工程−F2]その後、ストライプ状のゲ
ート電極13を絶縁層12上に形成する。具体的には、
先ず、全面にクロムから成る導電材料層をスパッタリン
グ法にて形成した後、リソグラフィ技術及びドライエッ
チング技術に基づき導電材料層をパターニングする。こ
れによって、ストライプ状のゲート電極13を形成する
ことができる(図19の(B)参照)。尚、ゲート電極
13は、図面の紙面左右方向に延びている。例えばスク
リーン印刷法にて、ストライプ状のゲート電極13を絶
縁層12上に、直接形成することもできる。併せて、絶
縁層12上に接地電極30,30A,30B,30Cを
形成することができる。
【0150】[工程−F3]次に、ゲート電極13及び
絶縁層12に開口部14を形成し、開口部14の底部に
電子放出部15Dとして機能するカソード電極11を露
出させる(図19の(C)参照)。
【0151】[平面型電界放出素子(その2)]図20
の(A)に模式的な一部断面図を示す平面型電界放出素
子が図19の(C)に示した平面型電界放出素子と相違
する点は、開口部14の底部に露出したカソード電極1
1の表面(電子放出部15Dに相当する)に、微小凹凸
部11Aが形成されている点にある。このような平面型
電界放出素子は、以下の製造方法にて製造することがで
きる。
【0152】[工程−G0]先ず、[工程−F0]〜
[工程−F2]と略同様にして、支持体10上にストラ
イプ状のカソード電極11を形成し、全面に絶縁層12
を形成した後、ストライプ状のゲート電極13を絶縁層
12上に形成する。即ち、例えばガラス基板から成る支
持体10の上に、スパッタリング法により厚さ約0.2
μmのタングステン層を成膜し、通常の手順に従ってこ
のタングステン層をストライプ状にパターニングし、カ
ソード電極11を形成する。次に、支持体10及びカソ
ード電極11上に絶縁層12を形成する。絶縁層12
は、TEOS(テトラエトキシシラン)を原料ガスとし
て用いるCVD法により形成することができる。更に、
この絶縁層12の上に、例えば厚さ約0.2μmのクロ
ムから成る導電材料層を成膜し、ストライプ状にパター
ニングして、ゲート電極13を形成する。併せて、絶縁
層12上に接地電極30,30A,30B,30Cを形
成する。ここまでのプロセスが終了した状態は、実質的
に、図19の(B)に示したと同様である。
【0153】[工程−G1]次に、[工程−F3]と同
様にして、ゲート電極13及び絶縁層12に開口部14
を形成し、開口部14の底部にカソード電極11を露出
させる。その後、開口部14の底部に露出したカソード
電極11の部分に、微小凹凸部11Aを形成する。微小
凹凸部11Aの形成に際しては、エッチングガスとして
SF6を用い、カソード電極11を構成するタングステ
ンの結晶粒のエッチング速度よりも粒界のエッチング速
度の方が早くなるようなエッチング条件を設定してRI
E法に基づくドライエッチングを行う。その結果、タン
グステンの結晶粒径をほぼ反映した寸法を有する微小凹
凸部11Aを形成することができる。
【0154】このような平面型電界放出素子の構成にお
いては、カソード電極11の微小凹凸部11A、より具
体的には微小凹凸部11Aの凸部に、ゲート電極13か
ら大きな電界が加わる。このとき、凸部に集中する電界
は、カソード電極11の表面が平滑である場合に比べて
大きいため、凸部からは量子トンネル効果によって電子
が効率良く放出される。従って、開口部14の底部に単
に平滑なカソード電極11が露出している平面型電界放
出素子に比べて、表示装置に組み込まれた場合の輝度の
向上が期待できる。それ故、図20の(A)に示した平
面型電界放出素子によれば、ゲート電極13とカソード
電極11との間の電位差が比較的小さくても、十分な放
出電子電流密度を得ることができ、表示装置の高輝度化
が達成される。あるいは、同じ輝度を達成するために必
要なゲート電圧が低くて済み、以て、低消費電力化を達
成することが可能である。
【0155】尚、絶縁層12をエッチングすることによ
って開口部14を形成し、その後に異方性エッチング技
術に基づきカソード電極11に微小凹凸部11Aを形成
したが、開口部14を形成するためのエッチングによっ
て、微小凹凸部11Aを同時に形成することも可能であ
る。即ち、絶縁層12をエッチングする際に、ある程度
のイオンスパッタ作用が期待できる異方的なエッチング
条件を採用し、垂直壁を有する開口部14が形成された
後もエッチングを継続することにより、開口部14の底
部に露出したカソード電極11の部分に微小凹凸部11
Aを形成することができる。その後、絶縁層12の等方
性エッチングを行えばよい。
【0156】また、[工程−F0]と同様の工程におい
て、支持体10上に、タングステンから成るカソード電
極用導電材料層をスパッタリング法にて形成した後、リ
ソグラフィ技術及びドライエッチング技術に基づきカソ
ード電極用導電材料層をパターニングし、次いで、カソ
ード電極用導電材料層の表面に微小凹凸部11Aを形成
した後、[工程−F1]〜[工程−F3]と同様の工程
を実行することによって、図20の(A)に示したと同
様の電界放出素子を作製することもできる。
【0157】あるいは又、[工程−F0]と同様の工程
において、支持体10上に、タングステンから成るカソ
ード電極用導電材料層をスパッタリング法にて形成した
後、カソード電極用導電材料層の表面に微小凹凸部11
Aを形成し、次いで、リソグラフィ技術及びドライエッ
チング技術に基づきカソード電極用導電材料層をパター
ニングした後、[工程−F1]〜[工程−F3]と同様
の工程を実行することによって、図20の(A)に示し
たと同様の電界放出素子を作製することもできる。
【0158】図20の(B)には、図20の(A)に示
した電界放出素子の変形例を示す。図20の(B)に示
す電界放出素子においては、微小凹凸部11Aの先端部
の平均高さ位置が、絶縁層12の下面位置よりも支持体
10側に存在している(即ち、下がっている)。かかる
電界放出素子を形成するには、[工程−G1]における
ドライエッチングの継続時間を延長すればよい。このよ
うな構成によれば、開口部14の中央部近傍の電界強度
を一層高めることができる。
【0159】図21には、電子放出部15Dに相当する
カソード電極11の表面(より具体的には、少なくとも
微小凹凸部11A上)に被覆層11Bが形成されている
平面型電界放出素子を示す。
【0160】この被覆層11Bは、カソード電極11を
構成する材料よりも仕事関数Φの小さい材料から構成す
ることが好ましく、どのような材料を選択するかは、カ
ソード電極11を構成する材料の仕事関数、ゲート電極
13とカソード電極11との間の電位差、要求される放
出電子電流密度の大きさ等に基づいて決定すればよい。
被覆層11Bの構成材料として、アモルファスダイヤモ
ンドを例示することができる。被覆層11Bをアモルフ
ァスダイヤモンドを用いて構成した場合には、5×10
7V/m以下の電界強度にて、表示装置に必要な放出電
子電流密度を得ることができる。
【0161】被覆層11Bの厚さは、微小凹凸部11A
を反映し得る程度に選択する。これは、被覆層11Bに
よって微小凹凸部11Aの凹部が埋め込まれ、電子放出
部の表面が平滑化されてしまっては、微小凹凸部11A
を設けた意味が無くなるからである。従って、微小凹凸
部11Aの寸法にも依るが、例えば微小凹凸部11Aが
電子放出部の結晶粒径を反映して形成されている場合に
は、被覆層11Bの厚さを概ね30〜100nm程度に
選択することが好ましい。また、微小凹凸部11Aの先
端部の平均高さ位置を絶縁層の下面位置よりも下げる場
合には、厳密には、被覆層11Bの先端部の平均高さ位
置を絶縁層の下面位置よりも下げることが、一層好まし
い。
【0162】具体的には、[工程−G1]の後、全面に
例えばCVD法によりアモルファスダイヤモンドから成
る被覆層11Bを形成すればよい。尚、被覆層11B
は、ゲート電極13及び絶縁層12の上に形成されたエ
ッチング用マスク(図示せず)の上にも堆積するが、こ
の堆積部分はエッチング用マスクの除去時、同時に除去
される。原料ガスとして例えばCH4/H2混合ガスや、
CO/H2混合ガスを使用したCVD法に基づき被覆層
11Bを形成することができ、それぞれ炭素を含む化合
物の熱分解によってアモルファスダイヤモンドから成る
被覆層11Bが形成される。
【0163】あるいは又、[工程−F0]と同様の工程
において、支持体10上に、タングステンから成るカソ
ード電極用導電材料層をスパッタリング法にて形成した
後、リソグラフィ技術及びドライエッチング技術に基づ
きカソード電極用導電材料層をパターニングし、その
後、カソード電極用導電材料層の表面に微小凹凸部11
Aを形成し、次いで、被覆層11Bを形成した後、[工
程−F1]〜[工程−F3]と同様の工程を実行するこ
とによって、図21に示す電界放出素子を作製すること
もできる。
【0164】あるいは又、[工程−F0]と同様の工程
において、支持体10上に、タングステンから成るカソ
ード電極用導電材料層をスパッタリング法にて形成した
後、カソード電極用導電材料層の表面に微小凹凸部11
Aを形成し、次いで、被覆層11Bを形成した後、リソ
グラフィ技術及びドライエッチング技術に基づき被覆層
11B、カソード電極用導電材料層をパターニングした
後、[工程−F1]〜[工程−F3]と同様の工程を実
行することによって、図21に示す電界放出素子を作製
することもできる。
【0165】あるいは又、被覆層を構成する材料とし
て、かかる材料の2次電子利得δがカソード電極を構成
する導電性材料の2次電子利得δよりも大きくなるよう
な材料を適宜選択することもできる。
【0166】尚、図19の(C)に示した平面型電界放
出素子の電子放出部15D(カソード電極11の表面)
に被覆層を形成してもよい。この場合には、[工程−F
3]の後、開口部14の底部に露出したカソード電極1
1の表面に被覆層11Bを形成すればよく、あるいは
又、[工程−F0]において、例えば、支持体10上に
カソード電極用導電材料層を形成した後、カソード電極
用導電材料層上に被覆層11Bを形成し、次いで、リソ
グラフィ技術及びドライエッチング技術に基づき、これ
らの層をパターニングすればよい。
【0167】[クレータ型電界放出素子(その1)]ク
レータ型電界放出素子の模式的な一部断面図を、図25
の(B)に示す。クレータ型電界放出素子においては、
電子を放出する複数の隆起部111Aと、各隆起部11
1Aに囲まれた凹部111Bとを有するカソード電極1
11が、支持体10上に備えられている。尚、絶縁層1
2及びゲート電極13を取り除いた模式的な斜視図を図
24の(B)に示す。
【0168】凹部の形状は特に限定されないが、典型的
には略球面を成す。これは、かかるクレータ型電界放出
素子の製造方法において球体が使用され、凹部111B
が球体の形状の一部を反映して形成されることと関連し
ている。従って、凹部111Bが略球面を成す場合、凹
部111Bを囲む隆起部111Aは円環状となり、この
場合の凹部111Bと隆起部111Aとは、全体として
クレータあるいはカルデラのような形状を呈する。隆起
部111Aは電子を放出する部分であるため、電子放出
効率を高める観点からは、その先端部111Cが先鋭で
あることが特に好ましい。隆起部111Aの先端部11
1Cのプロファイルは、不規則な凹凸を有していても、
あるいは滑らかであってもよい。1画素内における隆起
部111Aの配置は規則的であってもランダムであって
もよい。尚、凹部111Bは、凹部111Bの周方向に
沿って連続した隆起部111Aにより囲まれていてもよ
いし、場合によっては、凹部111Bの周方向に沿って
不連続な隆起部111Aにより囲まれていてもよい。
【0169】このようなクレータ型電界放出素子の製造
方法において、支持体上にストライプ状のカソード電極
を形成する工程は、より具体的には、複数の球体を被覆
したストライプ状のカソード電極を支持体上に形成する
工程と、球体を除去することによって、球体を被覆した
カソード電極の部分を除去し、以て、電子を放出する複
数の隆起部と、各隆起部に囲まれ、且つ、球体の形状の
一部を反映した凹部とを有するカソード電極を形成する
工程、から成る。
【0170】球体の状態変化及び/又は化学変化によっ
て、球体を除去することが好ましい。ここで、球体の状
態変化及び/又は化学変化とは、膨張、昇華、発泡、ガ
ス発生、分解、燃焼、炭化等の変化若しくはこれらの組
合せを意味する。例えば、球体が有機材料から成る場
合、球体を燃焼させることによって除去することが一層
好ましい。尚、球体の除去と球体を被覆するカソード電
極の部分の除去、あるいは、球体の除去と球体を被覆す
るカソード電極、絶縁層及びゲート電極の部分の除去
は、必ずしも同時に起こらなくてもよい。例えば、球体
を被覆するカソード電極の部分、あるいはこれに加えて
絶縁層やゲート電極の部分を除去した後に球体の一部が
残存している場合、残存した球体の除去を後から行えば
よい。
【0171】特に、球体が有機材料から成る場合、球体
を例えば燃焼させると、例えば、一酸化炭素、二酸化炭
素、水蒸気が発生し、球体近傍の閉鎖空間の圧力が高ま
り、球体近傍のカソード電極は或る耐圧限界を超えた時
点で破裂する。この破裂の勢いによって、球体を被覆す
るカソード電極の部分が飛散し、隆起部及び凹部が形成
され、しかも、球体が除去される。あるいは又、球体を
例えば燃焼させると、同様の機構に基づき、カソード電
極と絶縁層とゲート電極は或る耐圧限界を超えた時点で
破裂する。この破裂の勢いによって、球体を被覆するカ
ソード電極と絶縁層とゲート電極の部分が飛散し、隆起
部及び凹部と同時に開口部が形成され、しかも、球体が
除去される。即ち、球体を除去する以前には絶縁層及び
ゲート電極には開口部が存在せず、球体の除去に伴って
開口部が形成される。このとき、球体の燃焼の初期過程
は閉鎖空間内で進行するため、球体の一部は炭化する可
能性もある。球体を被覆するカソード電極の部分の厚さ
を、破裂によって飛散し得る程度に薄くすることが好ま
しい。また、球体を被覆するカソード電極、絶縁層及び
ゲート電極の部分の厚さを、破裂によって飛散し得る程
度に薄くすることが好ましく、特に、絶縁層について
は、球体を被覆していない部分の厚さを球体の直径と同
程度にすることが好適である。
【0172】後述する[クレータ型電界放出素子(その
3)]においても、球体の状態変化及び/又は化学変化
によって球体を除去することができるが、カソード電極
の破裂を伴わないので、外力によって除去を行う方が簡
便な場合もある。また、後述する[クレータ型電界放出
素子(その4)]では、球体を除去する前の時点で既に
開口部が完成されているが、開口部の大きさが球体の直
径よりも大きい場合には、球体を外力によって除去する
ことができる。ここで、外力とは、空気又は不活性ガス
の吹付け圧力、洗浄液の吹付け圧力、磁気吸引力、静電
気力、遠心力等の物理的な力である。尚、[クレータ型
電界放出素子(その3)]あるいは[クレータ型電界放
出素子(その4)]においては、[クレータ型電界放出
素子(その1)]と異なり、球体を被覆する部分のカソ
ード電極、あるいは、場合によっては、更に絶縁層やゲ
ート電極を飛散させる必要がないので、カソード電極、
絶縁層あるいはゲート電極の残渣が発生し難いという利
点がある。
【0173】後述する[クレータ型電界放出素子(その
3)]あるいは[クレータ型電界放出素子(その4)]
で使用される球体は、少なくとも表面が、カソード電
極、構成に依っては絶縁層やゲート電極を構成する材料
の各界面張力(表面張力)に比べて、大きな界面張力を
有する材料から構成されていることが好ましい。これに
より、[クレータ型電界放出素子(その4)]では、カ
ソード電極、絶縁層及びゲート電極は球体の少なくとも
頂部を被覆することがなく、開口部が最初から絶縁層及
びゲート電極に形成された状態が得られる。開口部の直
径がどの程度になるかは、例えば、カソード電極、絶縁
層やゲート電極を構成する材料の厚さと球体の直径との
関係や、カソード電極、絶縁層やゲート電極の形成方
法、カソード電極、絶縁層やゲート電極を構成する材料
の界面張力(表面張力)に依存する。
【0174】後述する[クレータ型電界放出素子(その
3)]あるいは[クレータ型電界放出素子(その4)]
において、球体は、少なくとも表面が界面張力に関する
上述の条件を満たしていればよい。つまり、カソード電
極、絶縁層及びゲート電極の各界面張力よりも大きな界
面張力を有している部分は、球体の表面のみであっても
全体であってもよく、また、球体の表面及び/又は全体
の構成材料は、無機材料、有機材料、あるいは無機材料
と有機材料の組合せのいずれであってもよい。[クレー
タ型電界放出素子(その3)]あるいは[クレータ型電
界放出素子(その4)]において、カソード電極やゲー
ト電極が通常の金属系材料から構成され、絶縁層がガラ
ス等の酸化シリコン系材料から構成される場合、金属系
材料の表面には吸着水分に由来する水酸基、絶縁層の表
面にはSi−O結合のダングリング・ボンドと吸着水分
とに由来する水酸基が存在し、親水性の高い状態にある
のが普通である。従って、疎水性の表面処理層を有する
球体を用いることが、特に有効である。疎水性の表面処
理層の構成材料として、フッ素系樹脂、例えばポリテト
ラフルオロエチレンを挙げることができる。球体が疎水
性の表面処理層を有する場合、疎水性の表面処理層の内
側の部分を芯材と称することにすると、芯材の構成材料
は、ガラス、セラミックス、フッ素系樹脂以外の高分子
材料のいずれであってもよい。
【0175】球体を構成する有機材料は特に限定されな
いが、汎用の高分子材料が好適である。但し、重合度が
極端に大きかったり、多重結合含有量が極端に多い高分
子材料では、燃焼温度が高くなり過ぎ、燃焼による球体
の除去時、カソード電極や絶縁層、ゲート電極に悪影響
が及ぶ虞がある。それ故、これらに対する悪影響が生じ
る虞のない温度にて燃焼若しくは炭化させることが可能
な高分子材料を選択することが好ましい。特に、絶縁層
をガラスペーストのような、後工程において焼成を要す
る材料を用いて形成する場合には、工数をなるべく減少
させる観点から、ガラスペーストの焼成温度にて燃焼若
しくは炭化可能な高分子材料を選択することが好適であ
る。ガラスペーストの典型的な焼成温度は約530゜C
なので、かかる高分子材料の燃焼温度は350〜500
゜C程度であることが好ましい。代表的な高分子材料と
して、スチレン系、ウレタン系、アクリル系、ビニル
系、ジビニルベンゼン系、メラミン系、ホルムアルデヒ
ド系、ポリメチレン系のホモポリマー又は共重合体を挙
げることができる。あるいは又、球体として、支持体上
での確実な配置を確保するために、付着力を有する固着
タイプの球体を使用することもできる。固着タイプの球
体として、アクリル系樹脂から成る球体を例示すること
ができる。
【0176】あるいは又、例えば、塩化ビニリデン・ア
クリロニトリル共重合体を外殻とし、発泡材としてイソ
ブタンを内包し、カプセル化した加熱膨張型マイクロス
フェアを球体として使用することができる。[クレータ
型電界放出素子(その1)]において、かかる加熱膨張
型マイクロスフェアを用い、熱膨張型マイクロスフェア
を加熱すると、外殻のポリマーが軟化し、しかも、内包
されたイソブタンがガス化して膨張する結果、粒径が膨
張前と比較して約4倍程度の真球の中空体が形成され
る。その結果、[クレータ型電界放出素子(その1)]
において、電子を放出する隆起部、及び、隆起部に囲ま
れ、且つ、球体の形状の一部を反映した凹部を、カソー
ド電極に形成することができる。また、かかる凹部や隆
起部に加え、ゲート電極及び絶縁層を貫通した開口部を
形成することもできる。尚、熱膨張型マイクロスフェア
の加熱による膨張も、本明細書においては、球体の除去
という概念に包含する。その後、熱膨張型マイクロスフ
ェアを適切な溶剤を用いて取り除けばよい。
【0177】[クレータ型電界放出素子(その1)]に
おいては、支持体上に複数の球体を配置した後、球体を
被覆するカソード電極を形成すればよい。この場合にお
いては、あるいは又、後述する[クレータ型電界放出素
子(その3)]あるいは[クレータ型電界放出素子(そ
の4)]においては、支持体上への複数の球体の配置方
法として、球体を支持体上に散布する乾式法を挙げるこ
とができる。球体の散布には、例えば、液晶表示装置の
製造分野において、パネル間隔を一定に維持するための
スペーサを散布する技術を応用することができる。具体
的には、圧搾気体で球体をノズルから噴射する、所謂ス
プレーガンを用いることができる。尚、球体をノズルか
ら噴射する際、球体を揮発性の溶剤中に分散させた状態
としてもよい。あるいは、静電粉体塗装の分野で通常使
用されている装置や方法を利用して球体を散布すること
もできる。例えば、コロナ放電を利用して、静電粉体吹
付けガンにより負に帯電させた球体を、接地した支持体
に向かって吹き付けることができる。使用する球体は、
後述するように非常に小さいため、支持体上に散布され
ると支持体の表面に例えば静電気力によって付着し、以
降の工程においても容易に支持体から脱落することはな
い。支持体上に複数の球体の配置した後、球体を加圧す
れば、支持体上の複数の球体の重なりを解消することが
でき、球体を支持体上で単層に密に配置することができ
る。
【0178】あるいは、後述する[クレータ型電界放出
素子(その2)]のように、球体とカソード電極材料と
を分散媒中に分散させて成る組成物から成る組成物層を
支持体上に形成し、以て、支持体上に複数の球体を配置
し、カソード電極材料から成るカソード電極で球体を被
覆した後、分散媒を除去することもできる。組成物の性
状としては、スラリーやペーストが可能であり、これら
の所望の性状に応じ、分散媒の組成や粘度を適宜選択す
ればよい。組成物層を支持体上に形成する方法として
は、スクリーン印刷法が好適である。カソード電極材料
は、典型的には、分散媒中における沈降速度が球体より
も遅い微粒子であることが好適である。かかる微粒子を
構成する材料として、カーボン、バリウム、ストロンチ
ウム、鉄を挙げることができる。分散媒を除去した後、
必要に応じてカソード電極の焼成を行う。組成物層を支
持体上に形成する方法としては、噴霧法、滴下法、スピ
ンコーティング法、スクリーン印刷法を挙げることがで
きる。尚、球体が配置されると共に、カソード電極材料
から成るカソード電極で球体が被覆されるが、組成物層
の形成方法に依っては、かかるカソード電極のパターニ
ングを行う必要がある。
【0179】あるいは、後述する[クレータ型電界放出
素子(その3)]あるいは[クレータ型電界放出素子
(その4)]にあっては、球体を分散媒中に分散させて
成る組成物から成る組成物層を支持体上に形成し、以
て、支持体上に複数の球体を配置した後、分散媒を除去
することができる。組成物の性状としては、スラリーや
ペーストが可能であり、これらの所望の性状に応じ、分
散媒の組成や粘度を適宜選択すればよい。典型的には、
イソプロピルアルコール等の有機溶媒を分散媒として用
い、蒸発により分散媒を除去することができる。組成物
層を支持体上に形成する方法としては、噴霧法、滴下
法、スピンコーティング法、スクリーン印刷法を挙げる
ことができる。
【0180】ところで、ゲート電極とカソード電極は互
いに異なる方向(例えば、ストライプ状のゲート電極の
射影像とストライプ状のカソード電極の射影像とが成す
角度が90度)に延びており、且つ、例えばストライプ
状にパターニングされており、電子放出領域に位置する
隆起部から電子が放出される。従って、隆起部は、機能
上、電子放出領域にのみ存在すればよい。但し、たとえ
電子放出領域以外の領域に隆起部及び凹部が存在してい
たとしても、このような隆起部及び凹部は絶縁層に被覆
されたまま、何ら電子を放出するといった機能を果たさ
ない。従って、球体を全面に配置しても何ら問題は生じ
ない。
【0181】これに対して、球体を被覆したカソード電
極、絶縁層及びゲート電極(ゲート電極)の各部分を除
去する場合、個々の球体の配置位置と開口部の形成位置
とが一対一に対応するため、電子放出領域以外の領域に
も開口部が形成される。以下、電子放出領域以外の領域
に形成される開口部を「無効開口部」と呼び、電子放出
に寄与する本来の開口部と区別する。ところで、電子放
出領域以外の領域に無効開口部が形成されたとしても、
この無効開口部は電界放出素子として何ら機能せず、電
子放出領域に形成される電界放出素子の動作に何ら悪影
響を及ぼさない。なぜなら、無効開口部の底部に隆起部
及び凹部が露出していても、無効開口部の上端部にゲー
ト電極が形成されていないからであり、あるいは又、無
効開口部の上端部にゲート電極が形成されていても底部
に隆起部及び凹部が露出していないか、あるいは、無効
開口部の底部に隆起部及び凹部が露出しておらず、しか
も、上端部にゲート電極が形成されておらず、単に支持
体の表面が露出しているか、のいずれかであるからであ
る。従って、球体を全面に配置しても何ら問題は生じな
い。尚、電子放出領域とそれ以外の領域との境界線上に
形成された孔は、開口部に含まれる。
【0182】球体の直径は、所望の開口部の直径、凹部
の直径、電界放出素子を用いて構成される表示装置の表
示画面寸法、画素数、電子放出領域の寸法、1画素を構
成すべき電界放出素子の個数に応じて選択することがで
きるが、0.1〜10μmの範囲で選択することが好ま
しい。例えば、液晶表示装置のスペーサとして市販され
ている球体は、粒径分布が1〜3%と良好なので、これ
を利用することが好適である。球体の形状は真球である
ことが理想的ではあるが、必ずしも真球である必要はな
い。また、電界放出素子の製造方法に依っては、上述し
たように、球体の配置された場所に開口部か無効開口部
のいずれかが形成され得るが、支持体上には球体を10
0〜5000個/mm2程度の密度で配置することが好
適である。例えば球体を約1000個/mm2の密度で
支持体上に配置すると、例えば電子放出領域の寸法を仮
に0.5mm×0.2mmとした場合、この電子放出領
域内に約100個の球体が存在し、約100個の隆起部
が形成されることになる。1つの電子放出領域にこの程
度の個数の隆起部が形成されていれば、球体の粒径分布
や真球度のばらつきに起因する凹部の直径のばらつきは
ほぼ平均化され、実用上、1画素(又は1サブピクセ
ル)当たりの放出電子電流密度や輝度はほぼ均一とな
る。
【0183】[クレータ型電界放出素子(その1)]あ
るいは後述する[クレータ型電界放出素子(その2)]
〜[クレータ型電界放出素子(その4)]においては、
球体の形状の一部が電子放出部を構成する凹部の形状に
反映される。隆起部の先端部のプロファイルは、不規則
な凹凸を有していても、あるいは滑らかであってもよい
が、特に、[クレータ型電界放出素子(その1)]や
[クレータ型電界放出素子(その2)]においては、こ
の先端部はカソード電極の破断により形成されるため、
隆起部の先端部が不規則形状となり易い。破断により隆
起部に先端部が先鋭化すると、先端部が高効率の電子放
出部として機能し得るので、好都合である。[クレータ
型電界放出素子(その1)]〜[クレータ型電界放出素
子(その4)]においては、凹部を囲む隆起部はいずれ
も概ね円環状となり、この場合の凹部と隆起部とは、全
体としてクレータあるいはカルデラのような形状を呈す
る。
【0184】支持体上における隆起部の配置は規則的で
あってもランダムであってもよく、球体の配置方法に依
存する。上述の乾式法あるいは湿式法を採用した場合、
支持体上における隆起部の配置はランダムとなる。
【0185】[クレータ型電界放出素子(その1)]〜
[クレータ型電界放出素子(その4)]において、絶縁
層の形成後、絶縁層に開口部を形成する場合、隆起部の
先端部に損傷が生じないように、隆起部を得た後、保護
層を形成し、開口部の形成後、保護層を取り除く構成と
することもできる。保護層を構成する材料として、クロ
ムを例示することができる。
【0186】以下、図22の(A)、(B)、図23の
(A)、(B)、図24の(A)、(B)、図25の
(A)、(B)を参照して、[クレータ型電界放出素子
(その1)]の電界放出素子の製造方法を説明するが、
図22の(A)、図23の(A)、図24の(A)は模
式的な一部端面図であり、図25の(A)及び(B)は
模式的な一部断面図であり、図22の(B)、図23の
(B)及び図24の(B)は、図22の(A)、図23
の(A)及び図24の(A)よりも広い範囲を模式的に
示す一部斜視図である。
【0187】[工程−H0]先ず、複数の球体60を被
覆したカソード電極111を支持体10上に形成する。
具体的には、先ず、例えばガラス基板から成る支持体1
0上の全面に、球体60を配置する。球体60は、例え
ばポリメチレン系の高分子材料から成り、平均直径約5
μm、粒径分布1%未満である。球体60を、スプレー
ガンを用い、支持体10上におおよそ1000個/mm
2の密度でランダムに配置する。スプレーガンを用いた
散布は、球体を揮発性溶剤と混合して噴霧する方式、あ
るいは粉末状態のままノズルから噴射する方式のいずれ
でもよい。配置された球体60は、静電気力で支持体1
0上に保持されている。この状態を図22の(A)及び
(B)に示す。
【0188】[工程−H1]次に、球体60及び支持体
10上にカソード電極111を形成する。カソード電極
111を形成した状態を、図23の(A)及び(B)に
示す。カソード電極111は、例えばカーボンペースト
をストライプ状にスクリーン印刷することによって形成
することができる。このとき、球体60は支持体10上
の全面に配置されているので、球体60の中には、図2
3の(B)に示すように、カソード電極111で被覆さ
れないものも当然存在する。次に、カソード電極111
に含まれる水分や溶剤を除去し、且つ、カソード電極1
11を平坦化するために、例えば150゜Cにてカソー
ド電極111を乾燥する。この温度では、球体60は何
ら状態変化及び/又は化学変化を起こさない。尚、上述
のようなカーボンペーストを用いたスクリーン印刷に替
えて、カソード電極111を構成するカソード電極用導
電材料層を全面に形成し、このカソード電極用導電材料
層を通常のリソグラフィ技術とドライエッチング技術を
用いてパターニングし、ストライプ状のカソード電極1
11を形成することもできる。リソグラフィ技術を適用
する場合、通常、レジスト層をスピンコーティング法に
より形成するが、スピンコーティング時の支持体10の
回転数が500rpm程度、回転時間が数秒間程度であ
れば、球体60は脱落したり変位することなく、支持体
10上に保持され得る。
【0189】[工程−H2]次に、球体60を除去する
ことによって、球体60を被覆したカソード電極111
の部分を除去し、以て、電子を放出する複数の隆起部1
11Aと、各隆起部111Aに囲まれ、且つ、球体60
の形状の一部を反映した凹部111Bとを有するカソー
ド電極111を形成する。この状態を、図24の(A)
及び(B)に示す。具体的には、カソード電極111の
焼成を兼ね、約530゜Cにて加熱を行うことにより球
体60を燃焼させる。球体60の燃焼に伴って球体60
が閉じ込められていた閉鎖空間の圧力が上昇し、球体6
0を被覆するカソード電極111の部分が或る耐圧限界
を超えた時点で破裂して除去される。その結果、支持体
10上に形成されたカソード電極111の一部分に、隆
起部111A及び凹部111Bが形成される。尚、球体
を除去した後に、球体の一部分が残渣として残る場合に
は、使用する球体を構成する材料にも依るが、適切な洗
浄液を用いて残渣を除去すればよい。
【0190】[工程−H3]その後、カソード電極11
1及び支持体10上に絶縁層12を形成する。具体的に
は、例えば、ガラスペーストを全面に約5μmの厚さに
スクリーン印刷する。次に、絶縁層12に含まれる水分
や溶剤を除去し、且つ、絶縁層12を平坦化するため
に、例えば150゜Cにて絶縁層12を乾燥する。上述
のようなガラスペーストを用いたスクリーン印刷に替え
て、例えばプラズマCVD法によりSiO2層を形成し
てもよい。
【0191】[工程−H4]次に、絶縁層12上に、ス
トライプ状のゲート電極13を形成する(図25の
(A)参照)。ゲート電極13は、例えばカーボンペー
ストをストライプ状にスクリーン印刷することによって
形成することができる。このときのストライプ状のゲー
ト電極13の射影像の延びる方向は、ストライプ状のカ
ソード電極111の射影像の延びる方向と90度の角度
を成している。次に、ゲート電極13に含まれる水分や
溶剤を除去し、且つ、ゲート電極13を平坦化するため
に、例えば150゜Cにてゲート電極13を乾燥した
後、ゲート電極13及び絶縁層12を構成する材料を焼
成する。尚、カーボンペーストを用いたスクリーン印刷
に替えて、ゲート電極13を構成するゲート電極を絶縁
層12の全面に形成し、次いで、ゲート電極を通常のリ
ソグラフィ技術とドライエッチング技術を用いてパター
ニングしてもよい。ゲート電極13の形成と併せて、絶
縁層12上に接地電極30,30A,30B,30Cを
形成する。
【0192】[工程−H5]その後、ゲート電極13の
射影像とカソード電極111の射影像とが重複する領域
において、ゲート電極13及び絶縁層12に開口部14
を形成し、以て、開口部14の底部に複数の複数の隆起
部111A及び凹部111Bを露出させる。開口部14
の形成は、通常のリソグラフィ技術によるレジストマス
クの形成と、レジストマスクを用いたエッチングにより
行うことができる。但し、カソード電極111に対して
十分に高いエッチング選択比が確保できる条件でエッチ
ングを行うことが好ましい。あるいは又、隆起部111
Aを形成した後、例えば、クロムから成る保護層を形成
しておき、開口部14を形成した後、保護層を取り除く
ことが好ましい。その後、レジストマスクを除去する。
こうして、図25の(B)に示した電界放出素子を得る
ことができる。
【0193】尚、[クレータ型電界放出素子(その
1)]の製造方法の変形例として、[工程−H1]の
後、[工程−H3]〜[工程−H5]を実行し、次い
で、[工程−H2]を実行してもよい。この場合、球体
の燃焼とゲート電極13及び絶縁層12を構成する材料
の焼成を同時に行えばよい。
【0194】あるいは又、[工程−H1]の後、[工程
−H3]を実行し、更に、[工程−H4]と同様の工程
において、開口部を有していないストライプ状のゲート
電極を絶縁層上に形成した後、[工程−H2]を実行す
る。これによって、球体60を被覆したカソード電極1
11、絶縁層12及びゲート電極13の各部分が除去さ
れ、以て、ゲート電極13及び絶縁層12を貫通した開
口部が形成されると共に、電子を放出する隆起部111
Aと、隆起部111Aに囲まれ、且つ、球体60の形状
の一部を反映した凹部111Bとから成る電子放出部
を、開口部の底部に位置するカソード電極111に形成
することができる。即ち、球体60の燃焼に伴って球体
60が閉じ込められている閉鎖空間の圧力が上昇し、球
体を被覆する部分のカソード電極111と絶縁層12と
ゲート電極13とが或る耐圧限界を超えた時点で破裂
し、隆起部111A及び凹部111Bと同時に開口部が
形成され、しかも、球体60が除去される。開口部は、
ゲート電極13及び絶縁層12を貫通し、且つ、球体6
0の形状の一部を反映している。また、開口部の底部に
は、電子を放出する隆起部111A、及び、隆起部11
1Aに囲まれ、且つ、球体60の形状の一部を反映した
凹部111Bが残る。
【0195】[クレータ型電界放出素子(その2)] [クレータ型電界放出素子(その2)]の製造方法を図
26の(A)〜(C)を参照して説明するが、支持体1
0上に複数の球体60を配置する工程が、球体60とカ
ソード電極材料とを分散媒中に分散させて成る組成物か
ら成る組成物層61を支持体10上に形成し、以て、支
持体10上に複数の球体60を配置し、カソード電極材
料から成るカソード電極111で球体を被覆した後、分
散媒を除去する工程から成る、即ち、湿式法から成る点
が、[クレータ型電界放出素子(その1)]の製造方法
と相違する。
【0196】[工程−I0]先ず、支持体10上に複数
の球体60を配置する。具体的には、球体60とカソー
ド電極材料61Bとを分散媒61A中に分散させて成る
組成物から成る組成物層61を支持体10上に形成す
る。即ち、例えば、イソプロピルアルコールを分散媒6
1Aとして使用し、平均直径約5μmのポリメチレン系
の高分子材料から成る球体60と、平均直径約0.05
μmのカーボン粒子をカソード電極材料61Bとして分
散媒61A中に分散させて成る組成物を支持体10上に
ストライプ状にスクリーン印刷し、組成物層61を形成
する。図26の(A)には、組成物層61の形成直後の
状態を示す。
【0197】[工程−I1]支持体10に保持された組
成物層61中では、間もなく球体60が沈降して支持体
10上に配置されると共に、球体60から支持体10上
に亙ってカソード電極材料61Bが沈降し、カソード電
極材料61Bから成るカソード電極111が形成され
る。これによって、支持体10上に複数の球体60を配
置し、カソード電極材料から成るカソード電極111で
球体60を被覆することができる。この状態を、図26
の(B)に示す。
【0198】[工程−I2]その後、分散媒61Aを例
えば蒸発させることによって除去する。この状態を、図
26の(C)に示す。
【0199】[工程−I3]次いで、[クレータ型電界
放出素子(その1)]の[工程−H2]〜[工程−H
5]と同様の工程、あるいは、[クレータ型電界放出素
子(その1)]の製造方法の変形例を実行することによ
って、図25の(B)に示したと同様の電界放出素子を
完成することができる。
【0200】[クレータ型電界放出素子(その3)] [クレータ型電界放出素子(その3)]の製造方法を説
明するが、支持体上にストライプ状のカソード電極を形
成する工程は、より具体的には、支持体上に複数の球体
を配置する工程と、電子を放出する複数の隆起部と、各
隆起部に囲まれ、且つ、球体の形状の一部を反映した凹
部とを有し、各隆起部が球体の周囲に形成されたカソー
ド電極を、支持体上に設ける工程と、球体を除去する工
程、から成る。支持体上への複数の球体の配置は、球体
の散布によって行う。また、球体は疎水性の表面処理層
を有する。以下、[クレータ型電界放出素子(その
3)]を、図27の(A)〜(C)を参照して説明す
る。
【0201】[工程−J0]先ず、支持体10上に複数
の球体160を配置する。具体的には、ガラス基板から
成る支持体10上の全面に、複数の球体160を配置す
る。この球体160は、例えばジビニルベンゼン系の高
分子材料から成る芯材160Aをポリテトラフルオロエ
チレン系樹脂から成る表面処理層160Bで被覆して成
り、平均直径約5μm、粒径分布1%未満である。球体
160を、スプレーガンを用い、支持体10上におおよ
そ1000個/mm2の密度でランダムに配置する。配
置された球体160は、静電気力で支持体10上に吸着
されている。ここまでのプロセスが終了した状態を、図
27の(A)に示す。
【0202】[工程−J1]次に、電子を放出する複数
の隆起部111Aと、各隆起部111Aに囲まれ、且
つ、球体160の形状の一部を反映した凹部111Bと
を有し、各隆起部111Aが球体160の周囲に形成さ
れたカソード電極111を、支持体10上に設ける。具
体的には、[クレータ型電界放出素子(その1)]で述
べたと同様に、例えばカーボンペーストをストライプ状
にスクリーン印刷するが、[クレータ型電界放出素子
(その3)]では、球体160の表面が表面処理層16
0Bにより疎水性を帯びているために、球体160の上
にスクリーン印刷されたカーボンペーストは直ちに弾か
れて落下し、球体160の周囲に堆積して隆起部111
Aが形成される。隆起部111Aの先端部111Cは、
[クレータ型電界放出素子(その1)]の場合ほど先鋭
とはならない。球体160と支持体10との間に入り込
んだカソード電極111の部分が、凹部111Bとな
る。図27の(B)では、カソード電極111と球体1
60との間に隙間が存在するように図示されているが、
カソード電極111と球体160とは接触している場合
もある。その後、カソード電極111を例えば150゜
Cにて乾燥させる。ここまでのプロセスが終了した状態
を、図27の(B)に示す。
【0203】[工程−J2]次に、球体160に外力を
与えることによって、支持体10上から球体160を除
去する。具体的な除去方法としては、洗浄や圧搾気体の
吹付けを挙げることができる。ここまでのプロセスが終
了した状態を、図27の(C)に示す。尚、球体の除去
は、球体の状態変化及び/又は化学変化に基づいて、よ
り具体的には、例えば、燃焼によって球体を除去するこ
とも可能である。以下に説明する[クレータ型電界放出
素子(その4)]においても同様である。
【0204】[工程−J3]その後、[クレータ型電界
放出素子(その1)]の[工程−H3]〜[工程−H
5]を実行することによって、図25の(B)に示した
と略同様の電界放出素子を得ることができる。
【0205】尚、[クレータ型電界放出素子(その
3)]の製造方法の変形例として、[工程−J1]の
後、[クレータ型電界放出素子(その1)]の[工程−
H3]〜[工程−H5]を実行し、次いで、[工程−J
2]を実行してもよい。
【0206】[クレータ型電界放出素子(その4)] [クレータ型電界放出素子(その4)]の製造方法を説
明するが、この電界放出素子の製造方法において、支持
体上にストライプ状のカソード電極を形成する工程は、
より具体的には、支持体上に複数の球体を配置する工程
と、電子を放出する複数の隆起部と、各隆起部に囲ま
れ、且つ、球体の形状の一部を反映した凹部とを有し、
各隆起部が球体の周囲に形成されたカソード電極を支持
体上に設ける工程、から成る。尚、全面に絶縁層を設け
る際、球体の上方に開口部が形成された絶縁層を、カソ
ード電極及び支持体上に設ける。球体の除去は、開口部
の形成後に行う。[クレータ型電界放出素子(その
4)]の電界放出素子の製造方法においては、支持体上
への複数の球体の配置は、球体の散布によって行う。ま
た、球体は疎水性の表面処理層を有する。以下、[クレ
ータ型電界放出素子(その4)]を、図28の(A)、
(B)及び図29の(A)、(B)を参照して説明す
る。
【0207】[工程−K0]先ず、支持体10上に複数
の球体160を配置する。具体的には、[クレータ型電
界放出素子(その3)]の[工程−J0]と同様の工程
を実行する。
【0208】[工程−K1]その後、電子を放出する複
数の隆起部111Aと、各隆起部111Aに囲まれ、且
つ、球体160の形状の一部を反映した凹部111Bと
を有し、各隆起部111Aが球体160の周囲に形成さ
れたカソード電極111を、支持体10上に設ける。具
体的には、[クレータ型電界放出素子(その3)]の
[工程−J1]と同様の工程を実行する。
【0209】[工程−K2]次に、球体の上方に第2開
口部14Bが形成された絶縁層112を、カソード電極
111及び支持体10上に設ける。具体的には、例え
ば、ガラスペーストを全面に約5μmの厚さにスクリー
ン印刷する。ガラスペーストを用いたスクリーン印刷
は、[クレータ型電界放出素子(その1)]と同様に行
うことができるが、球体160の表面が表面処理層16
0Bにより疎水性を帯びているために、球体160の上
にスクリーン印刷されたガラスペーストは直ちに弾かれ
て落下し、自らの表面張力により絶縁層112の球体1
60の上の部分は収縮する。その結果、球体160の頂
部は絶縁層112に覆われることなく、第2開口部14
B内に露出する。この状態を図28の(A)に示す。図
示した例では、第2開口部14Bの上端部の直径は球体
160の直径よりも大きいが、表面処理層160Bの界
面張力が、ガラスペーストの界面張力よりも小さい場合
には、第2開口部14Bの直径が小さくなる傾向にあ
る。逆に、表面処理層160Bの界面張力が、ガラスペ
ーストの界面張力よりも著しく大きい場合には、第2開
口部14Bの直径は大きくなり易い。その後、絶縁層1
12を例えば150゜Cにて乾燥させる。
【0210】[工程−K3]次に、第2開口部14Bと
連通する第1開口部14Aを有するゲート電極113を
絶縁層112上に形成する。具体的には、例えば、カー
ボンペーストをストライプ状にスクリーン印刷する。カ
ーボンペーストを用いたスクリーン印刷は、[クレータ
型電界放出素子(その1)]と同様に行えばよいが、球
体160の表面が表面処理層160Bにより疎水性を帯
びているために、球体160の上にスクリーン印刷され
たカーボンペーストは直ちに弾かれて、自らの表面張力
により収縮し、絶縁層112の表面のみに付着した状態
となる。このとき、ゲート電極113は、図示するよう
に、絶縁層112の開口端部から第2開口部14B内へ
若干回り込むように形成されることもある。その後、ゲ
ート電極113を例えば150゜Cにて乾燥させる。こ
こまでのプロセスが終了した状態を、図28の(B)に
示す。尚、表面処理層160Bの界面張力が、カーボン
ペーストの界面張力よりも小さい場合には、第1開口部
14Aの直径が小さくなる傾向にある。逆に、表面処理
層160Bの界面張力が、カーボンペーストの界面張力
よりも著しく大きい場合には、第1開口部14Aの直径
は大きくなり易い。尚、ゲート電極113の形成と併せ
て、絶縁層12上に接地電極30,30A,30Bを形
成する。
【0211】[工程−K4]次に、開口部14A,14
Bの底部に露出した球体160を除去する。具体的に
は、カソード電極111と絶縁層112とゲート電極1
13、接地電極30,30A,30Bの焼成を兼ね、ガ
ラスペーストの典型的な焼成温度である約530゜Cに
て加熱を行うことにより、球体160を燃焼させる。こ
のとき、[クレータ型電界放出素子(その1)]と異な
り、絶縁層112及びゲート電極113には開口部14
A,14Bが最初から形成されているので、カソード電
極111や絶縁層112、ゲート電極113の一部が飛
散することはなく、球体160は速やかに除去される。
尚、開口部14A,14Bの上端部の直径が球体160
の直径よりも大きい場合、球体160を燃焼させなくと
も、例えば、洗浄や圧搾気体の吹付け等の外力によって
球体160を除去することが可能である。ここまでのプ
ロセスが終了した状態を、図29の(A)に示す。
【0212】[工程−K5]その後、第2開口部14B
の側壁面に相当する絶縁層112の一部を等方的にエッ
チングすると、図29の(B)に示す電界放出素子を完
成することができる。ここでは、ゲート電極113の端
部が下方を向いているが、このことは、開口部14内の
電界強度を高める上で好ましい。
【0213】[エッジ型電界放出素子]エッジ型電界放
出素子の模式的な一部断面図を図30の(A)に示す。
このエッジ型電界放出素子は、支持体10上に形成され
たストライプ状のカソード電極211と、支持体10及
びカソード電極211上に形成された絶縁層12と、絶
縁層12上に形成されたストライプ状のゲート電極13
から構成されており、開口部14がゲート電極13及び
絶縁層12に設けられている。開口部14の底部にはカ
ソード電極211のエッジ部211Aが露出している。
カソード電極211及びゲート電極13に電圧を印加す
ることによって、カソード電極211のエッジ部211
Aから電子が放出される。
【0214】尚、図30の(B)に示すように、開口部
14内のカソード電極211の下の支持体10に凹部1
0Aが形成されていてもよい。あるいは又、模式的な一
部断面図を図30の(C)に示すように、支持体10上
に形成された第1のゲート電極213Aと、支持体10
及び第1のゲート電極213A上に形成された第1の絶
縁層12Aと、第1の絶縁層12A上に形成されたカソ
ード電極211と、第1の絶縁層12A及びカソード電
極211に形成された第2の絶縁層12Bと、第2の絶
縁層12B上に形成された第2のゲート電極213Bか
ら構成することもできる。そして、開口部14が、第2
のゲート電極213B、第2の絶縁層12B、カソード
電極211及び第1の絶縁層12Aに設けられており、
開口部14の側壁にはカソード電極211のエッジ部2
11Aが露出している。カソード電極211並びに第1
のゲート電極213A、第2のゲート電極213Bに電
圧を印加することによって、カソード電極211のエッ
ジ部211Aから電子が放出される。
【0215】例えば、図30の(C)に示したエッジ型
電界放出素子の製造方法を、支持体等の模式的な一部端
面図である図31の(A)〜(C)を参照して、以下、
説明する。
【0216】[工程−L0]先ず、例えばガラス基板か
ら成る支持体10の上に、スパッタリング法により厚さ
約0.2μmのタングステン膜を成膜し、通常の手順に
従ってフォトリソグラフィ技術及びドライエッチング技
術によりこのタングステン膜をパターニングし、第1の
ゲート電極213Aを形成する。次に、全面に、SiO
2から成る厚さ0.3μmの第1の絶縁層12Aを形成
した後、第1の絶縁層12Aの上にタングステンから成
るストライプ状のカソード電極211を形成する(図3
1の(A)参照)。
【0217】[工程−L1]その後、全面に、例えばS
iO2から成る厚さ0.7μmの第2の絶縁層12Bを
形成し、次いで、第2の絶縁層12B上にストライプ状
の第2のゲート電極213Bを形成する(図31の
(B)参照)。第2のゲート電極213Bの構成材料や
厚さについては、第1のゲート電極213Aと同じであ
ってもよいし、異なっていてもよい。尚、第2のゲート
電極213Bの形成と併せて、絶縁層12上に接地電極
30,30A,30B,30Cを形成する。
【0218】[工程−L2]次に、全面にレジスト層7
0を形成した後、レジスト層70に第2のゲート電極2
13Bの表面を一部露出させるようにレジスト層開口7
1を形成する。レジスト層開口71の平面形状は矩形で
ある。続いて、レジスト層開口71の底面に露出した第
2のゲート電極213Bを例えばRIE法により異方的
にエッチングし、開口部を形成する。次に、開口部の底
面に露出した第2の絶縁層12Bを等方的にエッチング
し、開口部を形成する(図31の(C)参照)。第2の
絶縁層12BをSiO2を用いて形成しているので、緩
衝化フッ酸水溶液を用いたウェットエッチングを行う。
第2の絶縁層12Bに形成された開口部の壁面は、第2
のゲート電極213Bに形成された開口部の開口端面よ
りも後退するが、このときの後退量はエッチング時間の
長短により制御することができる。ここでは、第2の絶
縁層12Bに形成された開口部の下端が、第2のゲート
電極213Bに形成された開口部の開口端面よりも後退
するまで、ウェットエッチングを行う。
【0219】次に、開口部の底面に露出したカソード電
極211を、イオンを主エッチング種とする条件により
ドライエッチングする。イオンを主エッチング種とする
ドライエッチングでは、被エッチング物へのバイアス電
圧の印加やプラズマと磁界との相互作用を利用して荷電
粒子であるイオンを加速することができるため、一般に
は異方性エッチングが進行し、被エッチング物の加工面
は垂直壁となる。しかし、この工程では、プラズマ中の
主エッチング種の中にも垂直以外の角度を有する入射成
分が若干存在すること、及び開口部の端部における散乱
によってもこの斜め入射成分が生ずることにより、カソ
ード電極211の露出面の中で、本来であれば開口部に
よって遮蔽されてイオンが到達しないはずの領域にも、
ある程度の確率で主エッチング種が入射する。このと
き、支持体10の法線に対する入射角の小さい主エッチ
ング種ほど入射確率は高く、入射角の大きい主エッチン
グ種ほど入射確率は低い。
【0220】従って、カソード電極211に形成された
開口部の上端部の位置は、第2の絶縁層12Bに形成さ
れた開口部の下端部とほぼ揃っているものの、カソード
電極211に形成された開口部の下端部の位置はその上
端部よりも突出した状態となる。つまり、カソード電極
211のエッジ部211Aの厚さが、突出方向の先端部
に向けて薄くなり、エッジ部211Aが先鋭化される。
例えば、エッチングガスとしてSF6を用いることによ
り、カソード電極211の良好な加工を行うことができ
る。
【0221】次に、カソード電極211に形成された開
口部の底面に露出した第1の絶縁層12Aを等方的にエ
ッチングし、第1の絶縁層12Aに開口部を形成し、開
口部14を完成させる。ここでは、緩衝化フッ酸水溶液
を用いたウェットエッチングを行う。第1の絶縁層12
Aに形成された開口部の壁面は、カソード電極211に
形成された開口部の下端部よりも後退する。このときの
後退量はエッチング時間の長短により制御可能である。
開口部14の完成後にレジスト層70を除去すると、図
30の(C)に示した構成を得ることができる。
【0222】[スピント型電界放出素子:製造方法の変
形−1]先に、実施の形態1にて説明したスピント型電
界放出素子の製造方法の変形例を、以下、支持体等の模
式的な一部端面図である図32の(A)、(B)、図3
3の(A)、(B)、図34の(A)、(B)及び図3
5を参照して説明するが、このスピント型電界放出素子
(図35参照)は、基本的には、以下の工程に基づき作
製される。即ち、 (a)支持体10上にカソード電極11を形成する工程 (b)カソード電極11上を含む支持体10上に絶縁層
12を形成する工程 (c)絶縁層12上にゲート電極13を形成する工程 (d)底部にカソード電極11が露出した第2開口部1
4Bを、少なくとも絶縁層12に形成する工程 (e)開口部14A,14B内を含む全面に電子放出部
形成用の導電材料層81を形成する工程 (f)第2開口部14Bの中央部に位置する導電材料層
81の領域を遮蔽するように、マスク材料層82を導電
材料層81上に形成する工程 (g)導電材料層81の支持体10に対して垂直な方向
におけるエッチング速度がマスク材料層82の支持体1
0に対して垂直な方向におけるエッチング速度よりも速
くなる異方性エッチング条件下で導電材料層81とマス
ク材料層82とをエッチングすることにより、導電材料
層81から成り、先端部が錐状形状を有する電子放出部
15Eを第2開口部14B内に露出したカソード電極1
1上に形成する工程
【0223】[工程−M0]先ず、例えばガラス基板上
に厚さ約0.6μmのSiO2層を形成して成る支持体
10上に、クロム(Cr)から成るカソード電極11を
設ける。具体的には、支持体10上に、例えばスパッタ
リング法やCVD法にてクロムから成るカソード電極用
導電材料層を堆積させ、かかるカソード電極用導電材料
層をパターニングすることによって、複数のカソード電
極11を形成することができる。カソード電極11の幅
を例えば50μm、カソード電極11の間のスペースを
例えば30μmとする。その後、全面に、具体的には、
カソード電極11及び支持体10上に、原料ガスとして
TEOS(テトラエトキシシラン)を使用するプラズマ
CVD法にてSiO2から成る絶縁層12を形成する。
絶縁層12の厚さを約1μmとする。次に、絶縁層12
上の全面に、カソード電極11と直交する方向に平行に
延びるストライプ状のゲート電極13を形成する。併せ
て、絶縁層12上に接地電極30,30A,30B,3
0Cを形成する。
【0224】次に、ストライプ状のカソード電極11と
ストライプ状のゲート電極13とが重複する領域、即
ち、1画素領域において、ゲート電極13と絶縁層12
とを貫通する第1開口部14A、第2開口部14Bを形
成する。開口部14A,14Bの平面形状は、例えば、
直径0.3μmの円形である。開口部14A,14B
は、通常、1画素領域(1電子放出領域)に数百乃至千
個程度形成される。開口部14A,14Bを形成するに
は、通常のフォトリソグラフィ技術により形成されたレ
ジスト層をマスクとして、先ず、ゲート電極13に第1
開口部14Aを形成し、続いて、絶縁層12に第2開口
部14Bを形成する。RIE終了後、レジスト層をアッ
シング処理により除去する(図32の(A)参照)。
尚、以下の説明においては、第1開口部14A及び第2
開口部14Bを纏めて開口部14と表現する。
【0225】[工程−M1]次に、全面に密着層80を
スパッタリング法にて形成する(図32の(B)参
照)。この密着層80は、ゲート電極が形成されていな
い領域や開口部14の側壁面に露出している絶縁層12
と、次の工程で全面的に成膜される導電材料層81との
間の密着性を高めるために設けられる層である。導電材
料層81をタングステンで形成することを前提とし、タ
ングステンから成る密着層80を、DCスパッタリング
法により0.07μmの厚さに形成する。
【0226】[工程−M2]次に、開口部14内を含む
全面に、厚さ約0.6μmのタングステンから成る電子
放出部形成用の導電材料層81を水素還元減圧CVD法
により形成する(図33の(A)参照)。成膜された導
電材料層81の表面には、開口部14の上端面と底面と
の間の段差を反映した凹部81Aが形成される。
【0227】[工程−M3]次に、開口部14の中央部
に位置する導電材料層81の領域(具体的には凹部81
A)を遮蔽するようにマスク材料層82を形成する。具
体的には、先ず、スピンコーティング法により厚さ0.
35μmのレジスト層をマスク材料層82として導電材
料層81の上に形成する(図33の(B)参照)。マス
ク材料層82は、導電材料層81の凹部81Aを吸収
し、ほぼ平坦な表面となる。次に、マスク材料層82を
酸素系ガスを用いたRIE法によりエッチングする。こ
のエッチングを、導電材料層81の平坦面が露出した時
点で終了する。これにより、導電材料層81の凹部81
Aを平坦に埋め込むようにマスク材料層82が残る(図
34の(A)参照)。
【0228】[工程−M4]次に、導電材料層81とマ
スク材料層82と密着層80とをエッチングし、円錐形
状の電子放出部15Eを形成する(図34の(B)参
照)。これらの層のエッチングは、導電材料層81のエ
ッチング速度がマスク材料層82のエッチング速度より
も速くなる異方性エッチング条件下で行う。エッチング
条件を以下の表5に例示する。
【0229】[表5] [導電材料層81等のエッチング条件] SF6流量 :150SCCM O2流量 :30SCCM Ar流量 :90SCCM 圧力 :35Pa RFパワー:0.7kW(13.56MHz)
【0230】[工程−M5]その後、等方的なエッチン
グ条件にて開口部14の内部において絶縁層12に設け
られた開口部14の側壁面を後退させると、図35に示
す電界放出素子が完成される。等方的なエッチングは、
ケミカルドライエッチングのようにラジカルを主エッチ
ング種として利用するドライエッチング、あるいは、エ
ッチング液を利用するウェットエッチングにより行うこ
とができる。エッチング液として、例えば49%フッ酸
水溶液と純水の1:100(容積比)混合液を用いるこ
とができる。
【0231】ここで、[工程−M4]において、電子放
出部15Eが形成される機構について、図36の
(A)、(B)を参照して説明する。図36の(A)
は、エッチングの進行に伴って、被エッチング物の表面
プロファイルが一定時間毎にどのように変化するかを示
す模式図であり、図36の(B)は、エッチング時間と
開口部14の中心における被エッチング物の厚さとの関
係を示すグラフである。開口部14の中心におけるマス
ク材料層の厚さをhp、開口部14の中心における電子
放出部15Eの高さをheとする。
【0232】表5に示したエッチング条件では、レジス
ト材料から成るマスク材料層82のエッチング速度より
も、導電材料層81のエッチング速度の方が当然速い。
マスク材料層82が存在しない領域では、導電材料層8
1が直ぐにエッチングされ始め、被エッチング物の表面
が速やかに下降してゆく。これに対して、マスク材料層
82が存在する領域では、最初にマスク材料層82が除
去されないとその下の導電材料層81のエッチングが始
まらないので、マスク材料層82がエッチングされてい
る間は被エッチング物の厚さの減少速度は遅く(hp
少区間)、マスク材料層82が消失した時点で初めて、
被エッチング物の厚さの減少速度がマスク材料層82の
存在しない領域と同様に速くなる(he減少区間)。he
減少区間の開始時期は、マスク材料層82が厚さが最大
となる開口部14の中心で最も遅く、マスク材料層82
の薄い開口部14の周辺に向かって早くなる。このよう
にして、円錐形状の電子放出部15Eが形成される。
【0233】レジスト材料から成るマスク材料層82の
エッチング速度に対する導電材料層81のエッチング速
度の比を、「対レジスト選択比」と称することにする。
この対レジスト選択比が、電子放出部15Eの高さと形
状を決定する重要な因子であることを、図37の(A)
〜(C)を参照して説明する。図37の(A)は、対レ
ジスト選択比が相対的に小さい場合、図37の(C)
は、対レジスト選択比が相対的に大きい場合、図37の
(B)はこれらの中間である場合の、電子放出部15E
の形状を示している。対レジスト選択比が大きいほど、
マスク材料層82の膜減りに比べて導電材料層81の膜
減りが激しくなるので、電子放出部15Eはより高く、
且つ鋭くなることが判る。対レジスト選択比は、SF6
流量に対するO2流量の割合を高めると低下する。ま
た、基板バイアスを併用してイオンの入射エネルギーを
変化させることが可能なエッチング装置を用いる場合に
は、RFバイアスパワーを高めたり、バイアス印加用の
交流電源の周波数を下げることで、対レジスト選択比を
下げることができる。対レジスト選択比の値は1.5以
上、好ましくは2以上、より好ましくは3以上に選択さ
れる。
【0234】尚、上記のエッチングにおいては当然、ゲ
ート電極13やカソード電極11に対して高い選択比を
確保する必要があるが、表5に示した条件で全く問題は
ない。なぜなら、ゲート電極13やカソード電極11を
構成する材料は、フッ素系のエッチング種では殆どエッ
チングされず、上記の条件であれば、概ね10以上のエ
ッチング選択比が得られるからである。
【0235】[スピント型電界放出素子:製造方法の変
形−2]スピント型電界放出素子の製造方法の変形−2
は、スピント型電界放出素子の製造方法の変形−1の変
形である。製造方法の変形−2においては、マスク材料
層により遮蔽される導電材料層の領域を、製造方法の変
形−1におけるよりも狭くすることが可能である。即
ち、製造方法の変形−2においては、開口部の上端面と
底面との間の段差を反映して、柱状部とこの柱状部の上
端に連通する拡大部とから成る略漏斗状の凹部を導電材
料層の表面に生成させ、工程(f)において、導電材料
層の全面にマスク材料層を形成した後、マスク材料層と
導電材料層とを支持体の表面に対して平行な面内で除去
することにより、柱状部にマスク材料層を残す。
【0236】以下、スピント型電界放出素子の製造方法
の変形−2を、支持体等の模式的な一部端面図である図
38の(A)、(B)、図39の(A)、(B)、図4
0の(A)、(B)を参照して説明する。
【0237】[工程−N0]先ず、支持体10上にカソ
ード電極11を形成する。カソード電極11を含むカソ
ード電極用導電材料層は、例えばDCスパッタリング法
により、TiN層(厚さ0.1μm)、Ti層(厚さ5
nm)、Al−Cu層(厚さ0.4μm)、Ti層(厚
さ5nm)、TiN層(厚さ0.02μm)及びTi層
(0.02μm)をこの順に積層して積層膜を形成し、
続いてこの積層膜をストライプ状にパターニングして形
成する。尚、図ではカソード電極11を単層で表した。
次に、全面に、具体的には、支持体10とカソード電極
11の上に、厚さ0.7μmの絶縁層12を、TEOS
(テトラエトキシシラン)を原料ガスとするプラズマC
VD法に基づき形成する。次いで、絶縁層12の上にス
トライプ状のゲート電極13を形成する。併せて、絶縁
層12上に接地電極30,30A,30B,30Cを形
成する。
【0238】更に、全面に例えば SiO2から成る厚さ
0.2μmのエッチング停止層83を形成する。エッチ
ング停止層83は、電界放出素子の機能上不可欠な部材
ではなく、後工程で行われる導電材料層81のエッチン
グ時に、ゲート電極13を保護する役割を果たす。尚、
導電材料層81のエッチング条件に対してゲート電極1
3が十分に高いエッチング耐性を持ち得る場合には、エ
ッチング停止層83を省略しても構わない。その後、R
IE法により、エッチング停止層83、ゲート電極1
3、絶縁層12を貫通し、底部にカソード電極11が露
出した開口部14を形成する。このようにして、図38
の(A)に示す状態が得られる。
【0239】[工程−N1]次に、開口部14内を含む
全面に、例えば厚さ0.03μmのタングステンから成
る密着層80を形成する(図38の(B)参照)。次い
で、開口部14内を含む全面に電子放出部形成用の導電
材料層81を形成する。但し、製造方法の変形−2にお
ける導電材料層81は、製造方法の変形−1で述べた凹
部81Aよりも深い凹部81Aが表面に生成されるよう
に、導電材料層81の厚さを選択する。即ち、導電材料
層81の厚さを適切に設定することによって、開口部1
4の上端面と底面との間の段差を反映して、柱状部81
Bとこの柱状部81Bの上端に連通する拡大部81Cと
から成る略漏斗状の凹部81Aを導電材料層81の表面
に生成させることができる。
【0240】[工程−N2]次に、導電材料層81の全
面に、例えば無電解メッキ法により、厚さ約0.5μm
の銅(Cu)から成るマスク材料層82を形成する(図
39の(A)参照)。無電解メッキ条件を以下の表6に
例示する。
【0241】 [表6] メッキ液 :硫酸銅(CuSO4・5H2O) 7g/リットル ホルマリン(37%HCHO) 20ml/リットル 水酸化ナトリウム(NaOH) 10g/リットル 酒石酸ナトリウムカリウム 20g/リットル メッキ浴温度:50゜C
【0242】[工程−N3]その後、マスク材料層82
と導電材料層81とを支持体10の表面に対して平行な
面内で除去することにより、柱状部81Bにマスク材料
層82を残す(図39の(B)参照)。この除去は、例
えば化学的機械的研磨法(CMP法)により行うことが
できる。
【0243】[工程−N4]次に、導電材料層81と密
着層80のエッチング速度がマスク材料層82のエッチ
ング速度よりも速くなる異方性エッチング条件下で、導
電材料層81とマスク材料層82と密着層80とをエッ
チングする。その結果、開口部14内に錐状形状を有す
る電子放出部15Eが形成される(図40の(A)参
照)。尚、電子放出部15Eの先端部にマスク材料層8
2が残存する場合には、希フッ酸水溶液を用いたウェッ
トエッチングによりマスク材料層82を除去することが
できる。
【0244】[工程−N5]次に、等方的なエッチング
条件で開口部14の内部において絶縁層12に設けられ
た開口部14の側壁面を後退させると、図40の(B)
に示す電界放出素子が完成される。このとき、エッチン
グ停止層83も除去される。等方的なエッチングについ
ては、製造方法の変形−1で説明したと同様とすればよ
い。
【0245】ところで、製造方法の変形−2で形成され
た電子放出部15Eにおいては、製造方法の変形−1で
形成された電子放出部15Eに比べ、より鋭い錐状形状
が達成されている。これは、マスク材料層82の形状
と、マスク材料層82のエッチング速度に対する導電材
料層81のエッチング速度の比の違いに起因する。この
違いについて、図41の(A)、(B)を参照しながら
説明する。図41の(A)、(B)は、被エッチング物
の表面プロファイルが一定時間毎にどのように変化する
かを示す図であり、図41の(A)は銅から成るマスク
材料層82を用いた場合、図41の(B)はレジスト材
料から成るマスク材料層82を用いた場合をそれぞれ示
す。尚、簡略化のために導電材料層81のエッチング速
度と密着層80のエッチング速度とをそれぞれ等しいも
のと仮定し、図41の(A)、(B)においては密着層
80の図示を省略する。
【0246】銅から成るマスク材料層82を用いた場合
(図41の(A)参照)は、マスク材料層82のエッチ
ング速度が導電材料層81のエッチング速度に比べて十
分に遅いために、エッチング中にマスク材料層82が消
失することがなく、従って、先端部の鋭い電子放出部1
5Eを形成することができる。これに対して、レジスト
材料から成るマスク材料層82を用いた場合(図41の
(B)参照)は、マスク材料層82のエッチング速度が
導電材料層81のエッチング速度に比べてそれ程遅くな
いために、エッチング中にマスク材料層82が消失し易
く、従って、マスク材料層消失後の電子放出部15Eの
錐状形状が鈍化する傾向がある。
【0247】また、柱状部81Bに残るマスク材料層8
2には、柱状部81Bの深さが多少変化しても、電子放
出部15Eの形状は変化し難いというメリットもある。
即ち、柱状部81Bの深さは、導電材料層81の厚さや
ステップカバレージのばらつきによって変化し得るが、
柱状部81Bの幅は深さによらずほぼ一定なので、マス
ク材料層82の幅もほぼ一定となり、最終的に形成され
る電子放出部15Eの形状には大差が生じない。これに
対して、凹部81Aに残るマスク材料層82において
は、凹部81Aが浅い場合と深い場合とでマスク材料層
の幅も変化してしまうため、凹部81Aが浅くマスク材
料層82の厚さが薄い場合ほど、より早期に電子放出部
15Eの錐状形状の鈍化が始まる。電界放出素子の電子
放出効率は、ゲート電極とカソード電極との間の電位
差、ゲート電極とカソード電極との間の距離、電子放出
部の構成材料の仕事関数の他、電子放出部の先端部の形
状によっても変化する。このため、必要に応じて上述の
ようにマスク材料層の形状やエッチング速度を選択する
ことが好ましい。
【0248】[スピント型電界放出素子:製造方法の変
形−3]製造方法の変形−3は、製造方法の変形−2の
変形である。製造方法の変形−3においては、工程
(e)において、開口部の上端面と底面との間の段差を
反映して、柱状部とこの柱状部の上端に連通する拡大部
とから成る略漏斗状の凹部を導電材料層の表面に生成さ
せ、工程(f)において、導電材料層の全面にマスク材
料層を形成した後、導電材料層上と拡大部内のマスク材
料層を除去することにより、柱状部にマスク材料層を残
す。以下、スピント型電界放出素子の製造方法の変形−
3を、支持体等の模式的な一部端面図である図42の
(A)、(B)及び図43を参照して説明する。
【0249】[工程−P0]先ず、マスク材料層82の
形成までを製造方法の変形−2の[工程−N0]〜[工
程−N2]と同様に行った後(図38の(A)〜図39
の(A)参照)、導電材料層81上と拡大部81C内の
マスク材料層82のみを除去することにより、柱状部8
1Bにマスク材料層82を残す(図42の(A)参
照)。このとき、例えば希フッ酸水溶液を用いたウェッ
トエッチングを行うことにより、タングステンから成る
導電材料層81を除去することなく、銅から成るマスク
材料層82のみを選択的に除去することができる。柱状
部81B内に残るマスク材料層82の高さは、エッチン
グ時間に依存するが、このエッチング時間は、拡大部8
1Cに埋め込まれたマスク材料層82の部分が十分に除
去される限りにおいて、それ程の厳密さを要しない。な
ぜなら、マスク材料層82の高低に関する議論は、図4
1の(A)を参照しながら前述した柱状部81Bの浅深
に関する議論と実質的に同じであり、マスク材料層82
の高低は最終的に形成される電子放出部15Eの形状に
大きな影響を及ぼさないからである。
【0250】[工程−P1]次に、導電材料層81とマ
スク材料層82と密着層80のエッチングを、製造方法
の変形−2と同様に行い、図42の(B)に示すような
電子放出部15Eを形成する。この電子放出部15E
は、図40の(A)に示したように全体が錐状形状を有
していても勿論構わないが、図42の(B)には先端部
のみが錐状形状を有する変形例を示した。かかる形状
は、柱状部81Bに埋め込まれたマスク材料層82の高
さが低いか、若しくは、マスク材料層82のエッチング
速度が比較的速い場合に生じ得るが、電子放出部15E
としての機能に何ら支障はない。
【0251】[工程−P2]その後、等方的なエッチン
グ条件で開口部14の内部において絶縁層12に設けら
れた開口部14の側壁面を後退させると、図43に示す
電界放出素子が完成される。等方的なエッチングについ
ては、製造方法の変形−1で説明したと同様とすればよ
い。
【0252】[スピント型電界放出素子:製造方法の変
形−4]製造方法の変形−4は、製造方法の変形−1の
変形である。製造方法の変形−4にて製造されたスピン
ト型電界放出素子の模式的な一部端面図を図44に示
す。製造方法の変形−4が製造方法の変形−1と異なる
点は、電子放出部が、基部84と、基部84上に積層さ
れた錐状の電子放出部15Eとから構成されている点に
ある。ここで、基部84と電子放出部15Eとは異なる
導電材料から構成されている。具体的には、基部84
は、電子放出部15Eとゲート電極13の開口端部との
間の距離を調節するための部材であり、且つ、抵抗体層
としての機能を有し、不純物を含有するポリシリコン層
から構成されている。電子放出部15Eはタングステン
から構成されており、錐状形状、より具体的には円錐形
状を有する。尚、基部84と電子放出部15Eとの間に
は、TiNから成る密着層80が形成されている。尚、
密着層80は、電子放出部の機能上不可欠な構成要素で
はなく、製造上の理由で形成されている。絶縁層12が
ゲート電極13の直下から基部84の上端部にかけてえ
ぐられることにより、開口部14が形成されている。
【0253】以下、製造方法の変形−4を、支持体等の
模式的な一部端面図である図45の(A)、(B)、図
46の(A)、(B)、図47の(A)、(B)を参照
して説明する。
【0254】[工程−Q0]先ず、開口部14の形成ま
でを、製造方法の変形−1の[工程−M0]と同様に行
う。続いて、開口部14内を含む全面に基部形成用の導
電材料層84Aを形成する。導電材料層84Aは、抵抗
体層としても機能し、ポリシリコン層から構成され、プ
ラズマCVD法により形成することができる。次いで、
全面に、スピンコーティング法にてレジスト層から成る
平坦化層85を表面が略平坦となるように形成する(図
45の(A)参照)。次に、平坦化層85と導電材料層
84Aのエッチング速度が共に略等しくなる条件で両層
をエッチングし、開口部14の底部を上面が平坦な基部
84で埋め込む(図45の(B)参照)。エッチング
は、塩素系ガスと酸素系ガスとを含むエッチングガスを
用いたRIE法により行うことができる。導電材料層8
4Aの表面を平坦化層85で一旦平坦化してからエッチ
ングを行っているので、基部84の上面が平坦となる。
【0255】[工程−Q1]次に、開口部14の残部を
含む全面に密着層80を成膜し、更に、開口部14の残
部を含む全面に電子放出部形成用の導電材料層81を成
膜し、開口部14の残部を導電材料層81で埋め込む
(図46の(A)参照)。密着層80は、スパッタリン
グ法により形成される厚さ0.07μmのTiN層であ
り、導電材料層81は減圧CVD法により形成される厚
さ0.6μmのタングステン層である。導電材料層81
の表面には、開口部14の上端面と底面との間の段差を
反映して凹部81Aが形成されている。
【0256】[工程−Q2]次に、導電材料層81の全
面に、スピンコーティング法によりレジスト層から成る
マスク材料層82を表面が略平坦となるように形成する
(図46の(B)参照)。マスク材料層82は、導電材
料層81の表面の凹部81Aを吸収して平坦な表面とな
っている。次に、マスク材料層82を酸素系ガスを用い
たRIE法によりエッチングする(図47の(A)参
照)。このエッチングは、導電材料層81の平坦面が露
出した時点で終了する。これにより、導電材料層81の
凹部81Aにマスク材料層82が平坦に残され、マスク
材料層82は、開口部14の中央部に位置する導電材料
層81の領域を遮蔽するように形成されている。
【0257】[工程−Q3]次に、製造方法の変形−1
の[工程−M4]と同様にして、導電材料層81、マス
ク材料層82及び密着層80を共にエッチングすると、
前述の機構に基づき対レジスト選択比の大きさに応じた
円錐形状を有する電子放出部15Eと密着層80とが形
成され、電子放出部が完成される(図47の(B)参
照)。その後、開口部14の内部において絶縁層12に
設けられた開口部14の側壁面を後退させると、図44
に示した電界放出素子を得ることができる。
【0258】[スピント型電界放出素子:製造方法の変
形−5]製造方法の変形−5は、製造方法の変形−2の
変形である。製造方法の変形−5にて製造されるスピン
ト型電界放出素子の模式的な一部端面図を図49の
(B)に示す。製造方法の変形−5が製造方法の変形−
2と異なる点は、電子放出部が、製造方法の変形−4と
同様に、基部84と、基部84上に積層された錐状の電
子放出部15Eとから構成されている点にある。ここ
で、基部84と電子放出部15Eとは異なる導電材料か
ら構成されている。具体的には、基部84は、電子放出
部15Eとゲート電極13の開口端部との間の距離を調
節するための部材であり、且つ、抵抗体層としての機能
を有し、不純物を含有するポリシリコン層から構成され
ている。電子放出部15Eはタングステンから構成され
ており、錐状形状、より具体的には円錐形状を有する。
尚、基部84と電子放出部15Eとの間には、TiNか
ら成る密着層80が形成されている。尚、密着層80
は、電子放出部の機能上不可欠な構成要素ではなく、製
造上の理由で形成されている。絶縁層12がゲート電極
13の直下から基部84の上端部にかけてえぐられるこ
とにより、開口部14が形成されている。
【0259】以下、製造方法の変形−5を、支持体等の
模式的な一部端面図である図48の(A)、(B)及び
図49の(A)、(B)を参照して説明する。
【0260】[工程−R0]先ず、開口部14の形成ま
でを、製造方法の変形−1の[工程−M0]と同様に行
う。次に、開口部14内を含む全面に基部形成用の導電
材料層を形成し、導電材料層をエッチングすることによ
って、開口部14の底部を埋め込む基部84を形成する
ことができる。尚、図示される基部84は平坦化された
表面を有しているが、表面が窪んでいてもよい。尚、平
坦化された表面を有する基部84は、製造方法の変形−
4の[工程−Q0]と同様のプロセスによって形成可能
である。更に、開口部14の残部を含む全面に、密着層
80、及び電子放出部形成用の導電材料層81を順次形
成する。このとき、開口部14の残部の上端面と底面と
の間の段差を反映した柱状部81Bとこの柱状部81B
の上端に連通する拡大部81Cとから成る略漏斗状の凹
部81Aが導電材料層81の表面に生成されるように、
導電材料層81の厚さを選択する。次に、導電材料層8
1上にマスク材料層82を形成する。このマスク材料層
82は、例えば銅を用いて形成する。図48の(A)
は、ここまでのプロセスが終了した状態を示している。
【0261】[工程−R1]次に、マスク材料層82と
導電材料層81とを支持体10の表面に対して平行な面
内で除去することにより、柱状部81Bにマスク材料層
82を残す(図48の(B)参照)。この除去は、製造
方法の変形−2の[工程−N3]と同様に、化学的機械
的研磨法(CMP法)により行うことができる。
【0262】[工程−R2]次に、導電材料層81とマ
スク材料層82と密着層80とをエッチングすると、前
述の機構に基づき対レジスト選択比の大きさに応じた円
錐形状を有する電子放出部15Eが形成される。これら
の層のエッチングは、製造方法の変形−2の[工程−N
4]と同様に行うことができる。電子放出部15Eと基
部84、及び、電子放出部15Eと基部84の間に残存
する密着層80とによって、電子放出部が形成される。
電子放出部は、全体が錐状形状を有していても勿論構わ
ないが、図49の(A)には基部84の一部が開口部1
4の底部を埋め込むように残存した状態を示した。かか
る形状は、柱状部81Bに埋め込まれたマスク材料層8
2の高さが低いか、若しくは、マスク材料層82のエッ
チング速度が比較的速い場合に生じ得るが、電子放出部
としての機能に何ら支障はない。
【0263】[工程−R3]その後、等方的なエッチン
グ条件で開口部14の内部において絶縁層12の側壁面
を後退させると、図49の(B)に示した電界放出素子
が完成される。等方的なエッチング条件は、製造方法の
変形−1で説明したと同様とすればよい。
【0264】[スピント型電界放出素子:製造方法の変
形−6]製造方法の変形−6は、製造方法の変形−3の
変形である。製造方法の変形−6が製造方法の変形−3
と異なる点は、電子放出部が、製造方法の変形−4と同
様に、基部84と、基部84上に積層された錐状の電子
放出部15Eとから構成されている点にある。以下、製
造方法の変形−6を、支持体等の模式的な一部端面図で
ある図50を参照して説明する。
【0265】[工程−S0]マスク材料層82の形成ま
でを製造方法の変形−5の[工程−R0]と同様に行
う。その後、導電材料層81上と拡大部81C内のマス
ク材料層82のみを除去することにより、柱状部81B
にマスク材料層82を残す(図50参照)。例えば希フ
ッ酸水溶液を用いたウェットエッチングを行い、タング
ステンから成る導電材料層81を除去することなく、銅
から成るマスク材料層82のみを選択的に除去すること
ができる。この後の導電材料層81とマスク材料層82
のエッチング、絶縁層12の等方的なエッチング等のプ
ロセスは、全て、製造方法の変形−5と同様に行うこと
ができる。
【0266】以上、本発明を、発明の実施の形態に基づ
き説明したが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。発明の実施の形態にて説明したアノードパネルやカ
ソードパネル、表示装置や電界放出素子の構成、構造は
例示であり、適宜変更することができるし、アノードパ
ネルやカソードパネル、表示装置や電界放出素子の製造
方法も例示であり、適宜変更することができる。更に
は、アノードパネルやカソードパネルの製造において使
用した各種材料も例示であり、適宜変更することができ
る。
【0267】実施の形態においては、専ら、絶縁層12
上に接地電極30,30A,30B,30Cを形成した
が、これらを支持体10上に、カソード電極11の形成
と同時に形成してもよいし、これらを絶縁層12及び支
持体10上に形成してもよい。
【0268】場合によっては、絶縁層12上であって、
ゲート電極13とゲート電極13との間に、第2の方向
に延びる接地電極(有効領域AEF内に形成された一種の
櫛型の接地電極である)を更に設けてもよい。この場
合、この櫛型の接地電極は、構成の簡素化の観点から、
無効領域AIEの少なくとも一部に備えられた接地電極か
ら延在する構造とすることが好ましい。
【0269】また、絶縁層12上に接地電極を設ける場
合、ゲート電極13と接地電極とは同一平面内に存在し
ていなくともよい。即ち、無効領域AIEにおける絶縁層
12の高さが有効領域AEFにおける絶縁層12の高さよ
りも高い構造とし、かかる無効領域AIEにおける絶縁層
12上に接地電極を形成してもよい。
【0270】また、電界放出素子においては、専ら1つ
の開口部に1つの電子放出部が対応する形態を説明した
が、電界放出素子の構造に依っては、1つの開口部に複
数の電子放出部が対応した形態、あるいは、複数の開口
部に1つの電子放出部が対応する形態とすることもでき
る。あるいは又、ゲート電極に複数の第1開口部を設
け、絶縁層にかかる複数の第1開口部に連通した複数の
第2開口部を設け、1又は複数の電子放出部を設ける形
態とすることもできる。
【0271】電界放出素子において、ゲート電極13及
び絶縁層12の上に更に第2の絶縁層92を設け、第2
の絶縁層92上に収束電極93を設けてもよい。このよ
うな構造を有する電界放出素子の模式的な一部端面図を
図51に示す。第2の絶縁層92には、第1開口部14
Aに連通した第3開口部94が設けられている。収束電
極93の形成は、例えば、[工程−A2]において、絶
縁層12上にストライプ状のゲート電極13を形成した
後、第2の絶縁層92を形成し、次いで、第2の絶縁層
92上にパターニングされた収束電極93を形成した
後、収束電極93、第2の絶縁層92に第3開口部94
を設け、更に、ゲート電極13に第1開口部14Aを設
ければよい。尚、収束電極のパターニングに依存して、
1又は複数の電子放出部、あるいは、1又は複数の画素
に対応する収束電極ユニットが集合した形式の収束電極
とすることもでき、あるいは又、有効領域を1枚のシー
ト状の導電材料で被覆した形式の収束電極とすることも
できる。このような構成にあっては、接地電極を第2の
絶縁層92上に形成すればよい。尚、図51において
は、スピント型電界放出素子を図示したが、その他の電
界放出素子とすることもできることは云うまでもない。
即ち、電子放出部として、実施の形態2にて説明した各
種の電子放出部とすることができる。
【0272】
【発明の効果】本発明においては、表示部分として機能
する有効領域を取り囲む無効領域の少なくとも一部に接
地電極が備えられているが故に、無効領域における帯電
発生を防止することができ、無効領域における帯電に起
因した異常放電の発生を効果的に抑制することができ
る。その結果、電界放出素子に損傷が生じたり、滅点等
の欠陥が発生することを確実に防止できるし、表示装置
の画像表示品質不良、表示装置の短寿命化といった問題
の発生を確実に抑制することができる。しかも、接地電
極の形成のために特別の工程やマスク作製が必要なく、
異常放電対策回路を設ける必要もなく、冷陰極電界電子
放出表示装置の製造工程の増加や製造コストの上昇を招
くことがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、発明の実施の形態1における冷陰極電
界電子放出表示装置の模式的な一部端面図である。
【図2】図2は、発明の実施の形態1における冷陰極電
界電子放出表示装置を構成するカソードパネルの構成要
素の配置を模式的に示す配置図である。
【図3】図3は、発明の実施の形態1における冷陰極電
界電子放出表示装置を構成するカソードパネルの構成要
素の別の配置例を模式的に示す配置図である。
【図4】図4は、発明の実施の形態1における冷陰極電
界電子放出表示装置を構成するカソードパネルの構成要
素の更に別の配置例を模式的に示す配置図である。
【図5】図5は、発明の実施の形態1における冷陰極電
界電子放出表示装置を構成するカソードパネルの構成要
素の更に別の配置例を模式的に示す配置図である。
【図6】図6は、発明の実施の形態1における冷陰極電
界電子放出表示装置を構成するカソードパネルの構成要
素の更に別の配置例を模式的に示す配置図である。
【図7】図7は、発明の実施の形態1における冷陰極電
界電子放出表示装置を構成するカソードパネルの構成要
素の更に別の配置例を模式的に示す配置図である。
【図8】図8は、発明の実施の形態1における冷陰極電
界電子放出表示装置を構成するカソードパネルの模式的
な部分的斜視図である。
【図9】図9の(A)及び(B)は、スピント型冷陰極
電界電子放出素子の製造方法を説明するための支持体等
の模式的な一部端面図である。
【図10】図10の(A)及び(B)は、図9の(B)
に引き続き、スピント型冷陰極電界電子放出素子の製造
方法を説明するための支持体等の模式的な一部端面図で
ある。
【図11】図11の(A)、(B)及び(C)は、[扁
平型電界放出素子]の製造工程を説明するための支持体
等の模式的な一部端面図である。
【図12】図12は、[扁平型電界放出素子]の製造工
程の変形例を説明するための支持体等の模式的な一部端
面図である。
【図13】図13の(A)、(B)及び(C)は、[扁
平型電界放出素子]の製造工程の別の変形例を説明する
ための支持体等の模式的な一部端面図である。
【図14】図14の(A)及び(B)は、クラウン型冷
陰極電界電子放出素子の製造方法を説明するための支持
体等の模式的な一部端面図である。
【図15】図15の(A)、(B)及び(C)は、図1
4の(B)に引き続き、クラウン型冷陰極電界電子放出
素子の製造方法を説明するための支持体等の模式的な一
部端面図である。
【図16】図16の(A)及び(B)は、図15の
(C)に引き続き、クラウン型冷陰極電界電子放出素子
の製造方法を説明するための支持体等の模式的な一部端
面図、及び、部分的な斜視図である。
【図17】図17の(A)、(B)及び(C)は、扁平
型冷陰極電界電子放出素子の製造方法を説明するための
支持体等の模式的な一部断面図である。
【図18】図18の(A)、(B)及び(C)は、扁平
型冷陰極電界電子放出素子の変形例の製造方法を説明す
るための支持体等の模式的な一部断面図である。
【図19】図19の(A)、(B)及び(C)は、平面
型冷陰極電界電子放出素子の製造方法を説明するための
支持体等の模式的な一部断面図である。
【図20】図20の(A)及び(B)は、平面型冷陰極
電界電子放出素子の変形例の模式的な一部断面図であ
る。
【図21】図21は、平面型冷陰極電界電子放出素子の
別の変形例の模式的な一部断面図である。
【図22】図22の(A)及び(B)は、クレータ型冷
陰極電界電子放出素子の製造方法を説明するための支持
体等の模式的な一部端面図、及び、部分的な斜視図であ
る。
【図23】図23の(A)及び(B)は、図22の
(A)及び(B)に引き続き、クレータ型冷陰極電界電
子放出素子の製造方法を説明するための支持体等の模式
的な一部端面図、及び、部分的な斜視図である。
【図24】図24の(A)及び(B)は、図23の
(A)及び(B)に引き続き、クレータ型冷陰極電界電
子放出素子の製造方法を説明するための支持体等の模式
的な一部端面図、及び、部分的な斜視図である。
【図25】図25の(A)及び(B)は、図24の
(A)及び(B)に引き続き、クレータ型冷陰極電界電
子放出素子の製造方法を説明するための支持体等の模式
的な一部断面図である。
【図26】図26の(A)、(B)及び(C)は、クレ
ータ型冷陰極電界電子放出素子の変形例の製造方法を説
明するための支持体等の模式的な一部断面図である。
【図27】図27の(A)、(B)及び(C)は、クレ
ータ型冷陰極電界電子放出素子の別の変形例の製造方法
を説明するための支持体等の模式的な一部端面図であ
る。
【図28】図28の(A)及び(B)は、クレータ型冷
陰極電界電子放出素子の更に別の変形例の製造方法を説
明するための支持体等の模式的な一部端面図である。
【図29】図29の(A)及び(B)は、図28の
(B)に引き続き、クレータ型冷陰極電界電子放出素子
の更に別の変形例の製造方法を説明するための支持体等
の模式的な一部端面図である。
【図30】図30の(A)、(B)及び(C)は、エッ
ジ型冷陰極電界電子放出素子の模式的な一部断面図であ
る。
【図31】図31の(A)、(B)及び(C)は、エッ
ジ型冷陰極電界電子放出素子の一例の製造方法を説明す
るための支持体等の模式的な一部端面図である。
【図32】図32の(A)及び(B)は、図35に示す
スピント型冷陰極電界電子放出素子を製造するための、
[スピント型冷陰極電界電子放出素子:製造方法の変形
−1]を説明するための支持体等の模式的な一部端面図
である。
【図33】図33の(A)及び(B)は、図32の
(B)に引き続き、図35に示すスピント型冷陰極電界
電子放出素子を製造するための、[スピント型冷陰極電
界電子放出素子:製造方法の変形−1]を説明するため
の支持体等の模式的な一部端面図である。
【図34】図34の(A)及び(B)は、図33の
(B)に引き続き、図35に示すスピント型冷陰極電界
電子放出素子を製造するための、[スピント型冷陰極電
界電子放出素子:製造方法の変形−1]を説明するため
の支持体等の模式的な一部端面図である。
【図35】図35は、[スピント型冷陰極電界電子放出
素子:製造方法の変形−1]にて得られるスピント型冷
陰極電界電子放出素子の模式的な一部端面図である。
【図36】図36の(A)及び(B)は、円錐形状の電
子放出部が形成される機構を説明するための図である。
【図37】図37の(A)、(B)及び(C)は、対レ
ジスト選択比と、電子放出部の高さと形状の関係を模式
的に示す図である。
【図38】図38の(A)及び(B)は、[スピント型
冷陰極電界電子放出素子:製造方法の変形−2]を説明
するための支持体等の模式的な一部端面図である。
【図39】図39の(A)及び(B)は、図38の
(B)に引き続き、[スピント型冷陰極電界電子放出素
子:製造方法の変形−2]を説明するための支持体等の
模式的な一部端面図である。
【図40】図40の(A)及び(B)は、図39の
(B)に引き続き、[スピント型冷陰極電界電子放出素
子:製造方法の変形−2]を説明するための支持体等の
模式的な一部端面図である。
【図41】図41の(A)及び(B)は、被エッチング
物の表面プロファイルが一定時間毎にどのように変化す
るかを示す図である。
【図42】図42の(A)及び(B)は、[スピント型
冷陰極電界電子放出素子:製造方法の変形−3]を説明
するための支持体等の模式的な一部端面図である。
【図43】図43は、図42の(B)に引き続き、[ス
ピント型冷陰極電界電子放出素子:製造方法の変形−
3]を説明するための支持体等の模式的な一部端面図で
ある。
【図44】図44は、[スピント型冷陰極電界電子放出
素子:製造方法の変形−4]にて製造されるスピント型
冷陰極電界電子放出素子の模式的な一部端面図である。
【図45】図45の(A)及び(B)は、[スピント型
冷陰極電界電子放出素子:製造方法の変形−4]を説明
するための支持体等の模式的な一部端面図である。
【図46】図46の(A)及び(B)は、図45の
(B)に引き続き、[スピント型冷陰極電界電子放出素
子:製造方法の変形−4]を説明するための支持体等の
模式的な一部端面図である。
【図47】図47の(A)及び(B)は、図46の
(B)に引き続き、[スピント型冷陰極電界電子放出素
子:製造方法の変形−4]を説明するための支持体等の
模式的な一部端面図である。
【図48】図48の(A)及び(B)は、[スピント型
冷陰極電界電子放出素子:製造方法の変形−5]を説明
するための支持体等の模式的な一部端面図である。
【図49】図49の(A)及び(B)は、図48の
(B)に引き続き、[スピント型冷陰極電界電子放出素
子:製造方法の変形−5]を説明するための支持体等の
模式的な一部端面図である。
【図50】図50は、[スピント型冷陰極電界電子放出
素子:製造方法の変形−6]を説明するための支持体等
の模式的な一部端面図である。
【図51】図51は、収束電極を有するスピント型冷陰
極電界電子放出素子の模式的な一部端面図である。
【図52】図52は、従来の冷陰極電界電子放出表示装
置の模式的な一部端面図である。
【符号の説明】
CP・・・カソードパネル、AP・・・アノードパネ
ル、EA・・・電子放出領域、AEF・・・有効領域、A
IE・・・無効領域、10・・・支持体、10A・・・凹
部、11,111,211・・・カソード電極、11A
・・・微小凹凸部、11B・・・被覆層、111A・・
・隆起部、111B・・・凹部、111C・・・先端
部、211A・・・エッジ部、12,12A,12B,
112・・・絶縁層、13,113,213A,213
B,313・・・ゲート電極、14・・・開口部、14
A・・・第1開口部、14B・・・第2開口部、15,
15A,15B,15C,15D,15E・・・電子放
出部、16・・・選択成長領域、17・・・カーボン・
ナノチューブ構造体、18・・・剥離層、20・・・基
板、21・・・ブラックマトリックス、22,22R,
22G,22B・・・蛍光体層、24・・・アノード電
極、30,30A,30B,30C・・・接地電極、4
0・・・カソード電極制御回路、41・・・ゲート電極
制御回路、42・・・アノード電極制御回路、50・・
・剥離層、51・・・導電材料層、52・・・剥離層、
53・・・導電性組成物層、60,160・・・球体、
160A・・・芯材、160B・・・表面処理層、61
・・・組成物層、61A・・・分散媒、61B・・・カ
ソード電極材料、70・・・レジスト層、71・・・レ
ジスト層開口、80・・・密着層、81・・・導電材料
層、81A・・・凹部、81B・・・柱状部、81C・
・・拡大部、82・・・マスク材料層、83・・・エッ
チング停止層、84・・・基部、84A・・・導電材料
層、85・・・平坦化層、92・・・第2の絶縁層、9
3・・・収束電極、94・・・第3開口部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐多 博史 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 Fターム(参考) 5C031 DD17 5C036 EE19 EF01 EF06 EF09 EG12 EH04

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)支持体と、 (B)支持体上に形成され、第1の方向に延びる複数の
    カソード電極と、 (C)支持体及びカソード電極上に形成された絶縁層
    と、 (D)絶縁層上に形成され、第1の方向とは異なる第2
    の方向に延びる複数のゲート電極と、 (E)カソード電極とゲート電極の重複する領域に位置
    するゲート電極の部分に形成された第1開口部と、 (F)絶縁層に形成され、第1開口部と連通した第2開
    口部と、 (G)第2開口部の底部に露出した電子放出部、から成
    る冷陰極電界電子放出表示装置用カソードパネルであっ
    て、 表示部分として機能する有効領域を取り囲む無効領域の
    少なくとも一部に、接地電極が備えられていることを特
    徴とする冷陰極電界電子放出表示装置用カソードパネ
    ル。
  2. 【請求項2】接地電極は絶縁層上に形成されていること
    を特徴とする請求項1に記載の冷陰極電界電子放出表示
    装置用カソードパネル。
  3. 【請求項3】有効領域の平面形状は矩形であり、 接地電極は、有効領域の隣り合う2辺に平行に延びる
    「L」字状の平面形状を有することを特徴とする請求項
    2に記載の冷陰極電界電子放出表示装置用カソードパネ
    ル。
  4. 【請求項4】有効領域の平面形状は矩形であり、 接地電極は、有効領域の隣り合う2辺に平行に延びる
    「L」字状の平面形状を有する第1の接地電極と、該2
    辺によって形成されたコーナー部と対向するコーナー部
    に設けられた第2の接地電極から構成されていることを
    特徴とする請求項2に記載の冷陰極電界電子放出表示装
    置用カソードパネル。
  5. 【請求項5】有効領域の平面形状は矩形であり、 接地電極は、有効領域の1辺、及び、該1辺と隣り合う
    2辺に平行に延びる「コ」の字状の平面形状を有するこ
    とを特徴とする請求項2に記載の冷陰極電界電子放出表
    示装置用カソードパネル。
  6. 【請求項6】カソードパネルと、アノード電極及び蛍光
    体層が形成されたアノードパネルとがそれらの周辺部で
    接合された冷陰極電界電子放出表示装置であって、 カソードパネルは、 (A)支持体と、 (B)支持体上に形成され、第1の方向に延びる複数の
    カソード電極と、 (C)支持体及びカソード電極上に形成された絶縁層
    と、 (D)絶縁層上に形成され、第1の方向とは異なる第2
    の方向に延びる複数のゲート電極と、 (E)カソード電極とゲート電極の重複する領域に位置
    するゲート電極の部分に形成された第1開口部と、 (F)絶縁層に形成され、第1開口部と連通した第2開
    口部と、 (G)第2開口部の底部に露出した電子放出部、から成
    り、 カソードパネルには、更に、表示部分として機能する有
    効領域を取り囲む無効領域の少なくとも一部に、接地電
    極が備えられていることを特徴とする冷陰極電界電子放
    出表示装置。
  7. 【請求項7】接地電極は絶縁層上に形成されていること
    を特徴とする請求項6に記載の冷陰極電界電子放出表示
    装置。
  8. 【請求項8】有効領域の平面形状は矩形であり、 接地電極は、有効領域の隣り合う2辺に平行に延びる
    「L」字状の平面形状を有することを特徴とする請求項
    7に記載の冷陰極電界電子放出表示装置。
  9. 【請求項9】有効領域の平面形状は矩形であり、 接地電極は、有効領域の隣り合う2辺に平行に延びる
    「L」字状の平面形状を有する第1の接地電極と、該2
    辺によって形成されたコーナー部と対向するコーナー部
    に設けられた第2の接地電極から構成されていることを
    特徴とする請求項7に記載の冷陰極電界電子放出表示装
    置。
  10. 【請求項10】有効領域の平面形状は矩形であり、 接地電極は、有効領域の1辺、及び、該1辺と隣り合う
    2辺に平行に延びる「コ」の字状の平面形状を有するこ
    とを特徴とする請求項7に記載の冷陰極電界電子放出表
    示装置。
JP2002017174A 2002-01-25 2002-01-25 冷陰極電界電子放出表示装置用カソードパネル、及び、冷陰極電界電子放出表示装置 Pending JP2003217468A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005347232A (ja) * 2004-05-31 2005-12-15 Samsung Sdi Co Ltd 電子放出素子
JP2007311355A (ja) * 2006-05-19 2007-11-29 Samsung Sdi Co Ltd 発光装置及び表示装置
US7545091B2 (en) 2004-11-30 2009-06-09 Samsung Sdi Co., Ltd. Electron emission device

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