JP2003197132A - 冷陰極電界電子放出表示装置用カソードパネル及び冷陰極電界電子放出表示装置 - Google Patents

冷陰極電界電子放出表示装置用カソードパネル及び冷陰極電界電子放出表示装置

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JP2003197132A
JP2003197132A JP2001395119A JP2001395119A JP2003197132A JP 2003197132 A JP2003197132 A JP 2003197132A JP 2001395119 A JP2001395119 A JP 2001395119A JP 2001395119 A JP2001395119 A JP 2001395119A JP 2003197132 A JP2003197132 A JP 2003197132A
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field emission
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cathode
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Norihiro Shimoi
法弘 下位
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Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】簡素な構造を有するにも拘わらず電界放出素子
に電子収束効果を確実に及ぼし得る構造を有する冷陰極
電界電子放出表示装置用カソードパネルを提供する。 【解決手段】このカソードパネルは、支持体10と、複
数のカソード電極11と、絶縁層12と、複数のゲート
電極13と、電子放出領域EAから成り、電子放出領域
EAには、第1開口部14A、第2開口部、第2開口部
の底部に位置するカソード電極上に設けられた電子放出
部が設けられており、少なくとも電子放出領域EAにお
けるゲート電極13の部分に、電子放出部から放出され
た電子の軌道を収束させるための突起部16が設けられ
ている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、冷陰極電界電子放
出表示装置用カソードパネル及び冷陰極電界電子放出表
示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】テレビジョン受像機や情報端末機器に用
いられる表示装置の分野では、従来主流の陰極線管(C
RT)から、薄型化、軽量化、大画面化、高精細化の要
求に応え得る平面型(フラットパネル型)の表示装置へ
の移行が検討されている。このような平面型の表示装置
として、液晶表示装置(LCD)、エレクトロルミネッ
センス表示装置(ELD)、プラズマ表示装置(PD
P)、冷陰極電界電子放出表示装置(FED:フィール
ドエミッションディスプレイ)を例示することができ
る。このなかでも、液晶表示装置は情報端末機器用の表
示装置として広く普及しているが、据置き型のテレビジ
ョン受像機に適用するには、高輝度化や大型化に未だ課
題を残している。これに対して、冷陰極電界電子放出表
示装置は、熱的励起によらず、量子トンネル効果に基づ
き固体から真空中に電子を放出することが可能な冷陰極
電界電子放出素子(以下、電界放出素子と呼ぶ場合があ
る)を利用しており、高輝度及び低消費電力の点から注
目を集めている。
【0003】図64に、電界放出素子を備えた従来の冷
陰極電界電子放出表示装置(以下、表示装置と呼ぶ場合
がある)の模式的な一部端面図を示す。図示した電界放
出素子は、円錐形の電子放出部を有する、所謂スピント
(Spindt)型電界放出素子と呼ばれるタイプの電
界放出素子である。この電界放出素子は、支持体10上
に形成されたカソード電極11と、支持体10及びカソ
ード電極11上に形成された絶縁層12と、絶縁層12
上に形成されたゲート電極13と、ゲート電極13に設
けられた第1開口部14A及び絶縁層12に設けられた
第2開口部14Bと、第2開口部14Bの底部に位置す
るカソード電極11上に形成された円錐形の電子放出部
15から構成されている。一般に、カソード電極11と
ゲート電極13とは、これらの両電極の射影像が互いに
直交する方向に各々ストライプ状に形成されており、こ
れらの両電極の射影像が重複する領域(1画素分の領域
に相当する。この領域を、以下、重複領域あるいは電子
放出領域EAと呼ぶ)に、通常、複数の電界放出素子が
配列されている。更に、かかる電子放出領域EAが、カ
ソードパネルCPの有効領域(実際の表示部分として機
能する領域)内に、通常、2次元マトリックス状に配列
されている。
【0004】一方、アノードパネルAPは、基板20
と、基板20上に形成され、所定のパターンを有する蛍
光体層21と、その上に形成されたアノード電極23か
ら構成されている。1画素は、カソードパネル側のカソ
ード電極11とゲート電極13との重複領域である電子
放出領域EAに配列された電界放出素子の一群と、これ
らの電界放出素子の一群に対面したアノードパネル側の
蛍光体層21とによって構成されている。有効領域に
は、かかる画素が、例えば数十万〜数百万個ものオーダ
ーにて配列されている。尚、蛍光体層21と蛍光体層2
1との間の基板20上には、ブラックマトリックス22
が形成されている。
【0005】アノードパネルAPとカソードパネルCP
とを、電界放出素子と蛍光体層21とが対向するように
配置し、周縁部において枠体(図示せず)を介して接合
することによって、表示装置を作製することができる。
有効領域を包囲し、画素を選択するための周辺回路が形
成された無効領域には真空排気用の貫通孔(図示せず)
が設けられており、この貫通孔には真空排気後に封じ切
られたチップ管(図示せず)が接続されている。即ち、
アノードパネルAPとカソードパネルCPと枠体とによ
って囲まれた空間は真空となっている。
【0006】このような表示装置においては、電子放出
部15から電子が或る程度の発散角をもって放出される
(図65参照)。従って、画素の大きさ(蛍光体層の大
きさ)によっては、電子放出部15から放出された電子
の全てが電子放出部15と対向した領域に位置する蛍光
体層21に衝突せず、表示装置全体の消費電力に対する
輝度効率が低下するといった問題や、電子放出部15か
ら放出された電子が隣接する画素を構成する蛍光体層2
1に衝突する結果、光学的クロストークが発生するとい
った問題が生じる。表示装置の精細化に伴い、画素が小
さくなるに従い、これらの問題は一層顕著になる。
【0007】これらの問題を解決するための手段とし
て、ゲート電極の上方に収束電極(フォーカス電極)を
設ける技術が、例えば、特開平9−82213号公報、
あるいは、1994年秋季応用物理学会関係連合講演会
予稿集21p−ZQ−5(以下、文献1と呼ぶ)から公
知である。
【0008】収束電極は、電子光学の見地からは、電子
収束レンズとしての役割を担う。収束電極には、ゲート
電極に印加される電圧よりも低い電圧が印加され、これ
によって生じる電位差により電子が通過する空間近傍の
等電位面を湾曲させ、電子の軌道を収束させる。
【0009】特開平9−82213号公報に開示された
収束電極は、1つあるいは複数の電界放出素子を取り囲
むように、しかも、電子放出部先端部を含む平面よりも
アノード電極側の平面上に配置されている。また、電子
放出部と収束電極との間を隔てるために絶縁膜が形成さ
れ、収束電極は、絶縁膜の頂面及び側面に形成されてい
る。
【0010】また、文献−1に開示された電界放出素子
において、1つの電子放出部を取り囲むようにリング状
のゲート電極が絶縁膜上に形成され、このゲート電極の
外側の絶縁膜上に更にリング状の収束電極が形成されて
いる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】特開平9−82213
号公報に開示された収束電極において、1つの電子放出
部の周囲に収束電極を配置した場合、表示装置に設け得
る電子放出部の数に制限を受ける。また、収束電極を形
成するための絶縁膜の膜厚を、絶縁層の膜厚よりも或る
程度厚くする必要があるため、CVD法やスパッタリン
グ法等によって絶縁膜を成膜するために長時間を要し、
表示装置の製造スループットが低下するといった問題が
ある。更には、絶縁膜を構成する材料と、絶縁層を構成
する材料とが異なる場合、表示装置製造時の加熱工程に
おいて、熱膨張係数の差異によって絶縁層や絶縁膜に応
力が発生し、最悪の場合、表示装置に損傷が発生する虞
がある。あるいは又、絶縁膜を構成する材料に依っては
(例えば、ポリイミド樹脂から絶縁膜を構成した場
合)、加熱工程における加熱温度に制限を受ける場合も
ある。また、電子放出部から放出された絶縁膜に電子が
衝突すると、絶縁膜に損傷が発生したり、絶縁膜が帯電
(チャージアップ)する結果、絶縁膜近傍の等電位面が
歪められ、電子の軌道が変化するといった問題や、絶縁
膜の帯電によって放電が生じる虞もある。しかも、収束
電極を形成するといった工程が必要とされるため、表示
装置の製造工程が増加し、表示装置の製造コスト増につ
ながる。
【0012】また、文献−1に開示された技術を応用し
た場合にも、1つの電子放出部の周囲に絶縁膜を介して
収束電極を配置する必要があり、表示装置の製造工程が
増加し、表示装置の製造コスト増につながる。
【0013】しかも、収束電極を駆動するための回路も
必要とされるため、表示装置の製造コスト増につながる
し、表示装置全体の薄型化、軽量化の観点からも不利で
ある。
【0014】従って、本発明の目的は、上述の各種の問
題を回避することができ、簡素な構造を有するにも拘わ
らず電界放出素子に電子収束効果を確実に及ぼし得る構
造を有する冷陰極電界電子放出表示装置用カソードパネ
ル、及び、かかる冷陰極電界電子放出表示装置用カソー
ドパネルを組み込んだ冷陰極電界電子放出表示装置を提
供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明の冷陰極電界電子放出表示装置用カソードパ
ネルは、(A)支持体と、(B)支持体上に形成され、
第1の方向に延びる複数のカソード電極と、(C)支持
体及びカソード電極上に形成された絶縁層と、(D)絶
縁層上に形成され、第1の方向とは異なる第2の方向に
延びる複数のゲート電極と、(E)カソード電極とゲー
ト電極とが重複する領域に設けられた電子放出領域、か
ら成る冷陰極電界電子放出表示装置用カソードパネルで
あって、電子放出領域には、(a)ゲート電極に設けら
れた複数の第1開口部と、(b)絶縁層に設けられ、第
1開口部と連通した第2開口部と、(c)第2開口部の
底部に位置するカソード電極から構成された電子放出
部、若しくは、第2開口部の底部に位置するカソード電
極上に設けられた電子放出部、が設けられており、少な
くとも電子放出領域におけるゲート電極の部分に、電子
放出部から放出された電子の軌道を収束させるための突
起部が設けられていることを特徴とする。
【0016】上記の目的を達成するための本発明の冷陰
極電界電子放出表示装置は、冷陰極電界電子放出表示装
置用カソードパネル、及び、蛍光体層とアノード電極と
を備えた冷陰極電界電子放出表示装置用アノードパネル
が、それらの周縁部で接合されて成る冷陰極電界電子放
出表示装置であって、冷陰極電界電子放出表示装置用カ
ソードパネルは、(A)支持体と、(B)支持体上に形
成され、第1の方向に延びる複数のカソード電極と、
(C)支持体及びカソード電極上に形成された絶縁層
と、(D)絶縁層上に形成され、第1の方向とは異なる
第2の方向に延びる複数のゲート電極と、(E)カソー
ド電極とゲート電極とが重複する領域に設けられた電子
放出領域、から成り、電子放出領域には、(a)ゲート
電極に設けられた複数の第1開口部と、(b)絶縁層に
設けられ、第1開口部と連通した第2開口部と、(c)
第2開口部の底部に位置するカソード電極から構成され
た電子放出部、若しくは、第2開口部の底部に位置する
カソード電極上に設けられた電子放出部、が設けられて
おり、少なくとも電子放出領域におけるゲート電極の部
分に、電子放出部から放出された電子の軌道を収束させ
るための突起部が設けられていることを特徴とする。
【0017】尚、本発明の冷陰極電界電子放出表示装置
用カソードパネルあるいは冷陰極電界電子放出表示装置
(以下、これらを総称して、単に、本発明と呼ぶ場合が
ある)においては、電子放出領域におけるゲート電極の
部分に突起部が設けられているが、場合によっては、電
子放出領域の外側のゲート電極の部分に突起部が延在し
ていてもよい。また、電子放出領域の外側に隣接しある
いは接したゲート領域の部分に突起部を設ける場合もあ
るが、このような構成も、電子放出領域におけるゲート
電極の部分に突起部が設けられている構成に包含され
る。
【0018】本発明においては、突起部は、矩形の電子
放出領域の対向する2辺に相当するゲート電極の部分若
しくはその近傍に設けられている構成とすることができ
る。尚、このような構成を、便宜上、第1Aの構成と呼
ぶ。そして、この場合、これらの2辺は、第2の方向と
略平行である構成、あるいは又、第1の方向と略平行で
ある構成とすることができる。あるいは又、突起部は、
矩形の電子放出領域の4辺の部分若しくはその近傍に設
けられている構成とすることもできる。尚、このような
構成を、便宜上、第1Bの構成と呼ぶ。そして、これら
の場合、第1開口部に面する突起部の側面は、該第1開
口部から遠ざかるように傾斜していることが、電子放出
部から放出された電子が突起部に衝突する可能性を低下
させるといった観点から好ましい。尚、ゲート電極の法
線と突起部の側面との成す角度θ 1は、0度乃至30度
であることが好ましい。
【0019】あるいは又、本発明において、突起部は、
電子放出領域におけるゲート電極に設けられた第1開口
部と第1開口部との間のゲート電極の部分であって、第
1開口部の縁部から離れた部分に設けられている構成と
することができる。尚、このような構成を、便宜上、第
2の構成と呼ぶ。そして、この場合、突起部を、第1の
方向と平行に延びるストライプ状の突起部とすることも
できるし、第2の方向と平行に延びるストライプ状の突
起部とすることもできるし、第1及び第2の方向と平行
に延びる井桁状の突起部とすることもできるが、支持体
表面と平行な仮想平面でゲート電極に設けられた第1開
口部を切断したときの第1開口部の断面形状と、支持体
表面と平行な仮想平面で突起部の開口を切断したときの
突起部の開口の断面形状とは相似形である構成とするこ
とが、電子放出部から放出された電子に電子収束効果を
均等に及ぼすといった観点から好ましい。また、第1開
口部に面する突起部の側面は、該第1開口部から遠ざか
るように傾斜していることが、電子放出部から放出され
た電子が突起部に衝突する可能性を低下させるといった
観点から好ましい。尚、ゲート電極の法線と突起部の側
面との成す角度θ1は、0度乃至30度であることが好
ましい。
【0020】本発明においては、突起部をゲート電極と
一体的に設けることができる。即ち、ゲート電極用導電
材料層を形成した後、ゲート電極用導電材料層をエッチ
ングすることによって、ゲート電極用導電材料層からゲ
ート電極及び突起部を形成することができる。尚、エッ
チングの条件を制御することによって、突起部の側面に
傾斜をつけることが可能である。ゲート電極用導電材料
層は、真空蒸着法やスパッタリング法、イオンプレーテ
ィング法といった各種の物理的気相成長法(PVD
法)、化学的気相成長法(CVD法)、電気メッキ法や
無電解メッキ法といったメッキ法、スクリーン印刷法、
レーザーアブレーション法、ゾル−ゲル法、リフトオフ
法等の公知の薄膜形成に基づき形成することができる。
スクリーン印刷法やメッキ法によれば、直接、例えばス
トライプ状のゲート電極用導電材料層を形成することが
可能である。
【0021】あるいは又、突起部とゲート電極とを別々
に形成してもよい。この場合、ゲート電極を、真空蒸着
法やスパッタリング法、イオンプレーティング法といっ
た各種のPVD法、CVD法、電気メッキ法や無電解メ
ッキ法といったメッキ法、スクリーン印刷法、レーザー
アブレーション法、ゾル−ゲル法等の公知の薄膜形成
と、必要に応じてエッチング技術との組合せによって、
形成することができる。スクリーン印刷法やメッキ法に
よれば、直接、例えばストライプ状のゲート電極を形成
することが可能である。また、突起部も、真空蒸着法や
スパッタリング法、イオンプレーティング法といった各
種のPVD法、CVD法、電気メッキ法や無電解メッキ
法といったメッキ法、スクリーン印刷法、レーザーアブ
レーション法、ゾル−ゲル法等の公知の薄膜形成と、必
要に応じてエッチング技術との組合せによって、あるい
は又、リフトオフ法によって形成することができる。ス
クリーン印刷法やメッキ法によれば、直接、突起部を形
成することが可能である。突起部を構成する材料とゲー
ト電極を構成する材料は、同じ材料であってもよいし、
異なる材料であってもよい。但し、異なる材料の場合、
突起部を構成する材料には導電性が要求される。
【0022】突起部の高さHは本質的に任意であるが、
1μm乃至40μm、好ましくは5μm乃至15μmと
することが望ましい。あるいは又、絶縁層の厚さをtと
したとき、t≦H≦40t、好ましくは5t≦H≦15
tとすることが望ましい。あるいは又、突起部に最も近
い第1開口部の縁部と、突起部の頂面と第1開口部に面
した側面との成す稜線とを結ぶ最短線分LMINが、ゲー
ト電極表面と成す角度θ2が、30度乃至90度、好ま
しくは45度乃至60度であることが望ましい。また、
この最短線分LMINをゲート電極に射影したときの射影
像の長さLIMGは、1μm以上、好ましくは5μm以上
であることが望ましい。
【0023】尚、突起部の高さHは、閾値電圧Vthの値
が高い程、高くすることが好ましい。ここで、閾値電圧
thとは、ゲート電極とアノード電極との間の電位差が
或る値以上になると電子放出部から電子が放出され始め
るが、かかる或る値の電位差を指す。
【0024】本発明における電子放出領域を構成する冷
陰極電界電子放出素子(以下、電界放出素子と略称す
る)を、カソード電極それ自体から電子を放出する形態
とすることができる。このような電界放出素子として、 平面状のカソード電極の表面から電子を放出する平面
型電界放出素子 クレータ状のカソード電極の表面から電子を放出する
クレータ型電界放出素子 第2開口部の底部(側壁を含む)に露出したカソード
電極のエッジ部が電子放出部に相当し、第2開口部の底
部(側壁を含む)に露出したカソード電極のエッジ部か
ら電子を放出する構造を有するエッジ型電界放出素子 を挙げることができる。
【0025】あるいは又、電界放出素子を、カソード電
極上に設けられた電子放出部から電子を放出する形態と
することもできる。このような電界放出素子として、 電子放出部の形状が円錐形のスピント型電界放出素子 電子放出部の形状が王冠状のクラウン型電界放出素子 電子放出部の形状が扁平状(平面状)の扁平型電界放
出素子 を挙げることができる。
【0026】スピント型電界放出素子にあっては、電子
放出部を構成する材料として、タングステン、タングス
テン合金、モリブデン、モリブデン合金、チタン、チタ
ン合金、ニオブ、ニオブ合金、タンタル、タンタル合
金、クロム、クロム合金、及び、不純物を含有するシリ
コン(ポリシリコンやアモルファスシリコン)から成る
群から選択された少なくとも1種類の材料を挙げること
ができる。スピント型電界放出素子の電子放出部は、例
えば、真空蒸着法やスパッタリング法、CVD法によっ
て形成することができる。
【0027】クラウン型電界放出素子にあっては、電子
放出部を構成する材料として、導電性粒子、あるいは、
導電性粒子とバインダから成る導電性組成物を挙げるこ
とができる。導電性粒子として、黒鉛等のカーボン系材
料;タングステン(W)、ニオブ(Nb)、タンタル
(Ta)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、クロ
ム(Cr)等の高融点金属;あるいはITO(インジウ
ム・錫酸化物)等の透明導電材料を挙げることができ
る。バインダとして、例えば水ガラスといったガラスや
汎用樹脂を使用することができる。汎用樹脂として、塩
化ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系
樹脂、セルロースエステル系樹脂、フッ素系樹脂等の熱
可塑性樹脂や、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ
エステル系樹脂等の熱硬化性樹脂を例示することができ
る。バインダを硬化させるための熱処理の温度は、バイ
ンダの種類に応じて、適宜、決定すればよい。例えば、
バインダが水ガラスのような無機材料である場合には、
無機材料を焼成し得る温度で熱処理を行えばよい。バイ
ンダが熱硬化性樹脂である場合には、熱硬化性樹脂を硬
化し得る温度で熱処理を行えばよい。但し、導電性粒子
同士の密着性を保つために、熱硬化性樹脂が過度に分解
したり炭化する虞のない温度で熱処理を行うことが好適
である。いずれのバインダを用いるにしても、熱処理温
度は、ゲート電極やカソード電極や絶縁層に損傷や欠陥
が生じない温度とする必要がある。熱処理雰囲気は、ゲ
ート電極やカソード電極の電気抵抗率が酸化によって上
昇したり、あるいはゲート電極やカソード電極に欠陥や
損傷が生ずることのないように、不活性ガス雰囲気とす
ることが好ましい。バインダとして熱可塑性樹脂を使用
した場合には、熱処理を必要としない場合がある。
【0028】導電性組成物の構成成分である分散媒は、
水ガラスのように分散媒を兼ね得るバインダであっても
よいし、水であってもよいし、あるいは、アルコール
系、エーテル系、ケトン系、エステル系、炭化水素系等
の有機溶媒であってもよい。即ち、バインダは、(1)
それ自身が導電性粒子の分散媒であってもよいし、
(2)導電性粒子を被覆していてもよいし、(3)適当
な溶媒に分散あるいは溶解させることによって、導電性
粒子の分散媒を構成してもよい。(3)のケースの典型
例は水ガラスであり、日本工業規格(JIS)K140
8に規定される1号乃至4号、又はこれらの同等品を使
用することができる。1号乃至4号は、水ガラスの構成
成分である酸化ナトリウム(Na2O)1モルに対する
酸化珪素(SiO2)のモル数(約2〜4モル)の違い
に基づく4段階の等級であり、それぞれ粘度が大きく異
なる。従って、リフトオフ・プロセスで水ガラスを使用
する際には、水ガラスに分散させる導電性粒子の種類や
含有量、剥離層との親和性、開口部のアスペクト比等の
諸条件を考慮して、最適な等級の水ガラスを選択する
か、又は、これらの等級と同等の水ガラスを調製して使
用することが好ましい。あるいは又、K2Oを主成分と
する水ガラスを用いることもできる。
【0029】電子放出効率の向上のためには、導電性粒
子の粒径が電子放出部の寸法に比べて十分に小さいこと
が好ましい。導電性粒子の形状は、球形、多面体、板
状、針状、柱状、不定形等、特に限定されないが、導電
性粒子の露出部が鋭い突起となり得るような形状である
ことが好ましい。寸法や形状の異なる導電性粒子を混合
して使用してもよい。
【0030】バインダは一般に導電性に劣るので、導電
性組成物中の導電性粒子の含有量に対してバインダの含
有量が多過ぎると、形成される電子放出部の電気抵抗値
が上昇し、電子放出が円滑に行われなくなる虞がある。
従って、例えば水ガラス中に導電性粒子として炭素系材
料粒子を分散させて成る導電性組成物を例にとると、導
電性組成物の全重量に占める炭素系材料粒子の割合は、
電子放出部の電気抵抗値、導電性組成物の粘度、導電性
粒子同士の接着性等の特性を考慮し、概ね30〜95重
量%の範囲に選択することが好ましい。炭素系材料粒子
の割合をかかる範囲内に選択することにより、形成され
る電子放出部の電気抵抗値を十分に下げると共に、炭素
系材料粒子同士の接着性を良好に保つことが可能とな
る。但し、導電性粒子として炭素系材料粒子にアルミナ
粒子を混合して用いた場合には、導電性粒子同士の接着
性が低下する傾向があるので、アルミナ粒子の含有量に
応じて炭素系材料粒子の割合を高めることが好ましく、
60重量%以上とすることが特に好ましい。尚、導電性
組成物には、導電性粒子の分散状態を安定化させるため
の分散剤や、pH調整剤、乾燥剤、硬化剤、防腐剤等の
添加剤が含まれていてもよい。尚、導電性粒子を結合剤
(バインダ)の被膜で覆った粉体を、適当な分散媒中に
分散させて成る導電性組成物を用いてもよい。また、電
子放出部の表面に露出したバインダをエッチングによっ
て除去してもよい。
【0031】クラウン型電界放出素子の電子放出部は、
例えば、リフトオフ法と組み合わせた塗布法、真空蒸着
法、スパッタリング法によって形成することができる。
あるいは又、カーボン粒子を用いた(具体的には、カー
ボン粒子を分散させたアンモニア溶液を電解液として用
いた)電気泳動法に基づき、電子放出部を形成すること
もできるし、感光性ペースト法やスクリーン印刷法、リ
フトオフ法にて電子放出部を形成することもできる。
【0032】扁平型電界放出素子にあっては、電子放出
部を、カソード電極を構成する材料よりも仕事関数Φの
小さい材料から構成することが好ましく、どのような材
料を選択するかは、カソード電極を構成する材料の仕事
関数、ゲート電極とカソード電極との間の電位差、要求
される放出電子電流密度の大きさ等に基づいて決定すれ
ばよい。電界放出素子におけるカソード電極を構成する
代表的な材料として、タングステン(Φ=4.55e
V)、ニオブ(Φ=4.02〜4.87eV)、モリブ
デン(Φ=4.53〜4.95eV)、アルミニウム
(Φ=4.28eV)、銅(Φ=4.6eV)、タンタ
ル(Φ=4.3eV)、クロム(Φ=4.5eV)、シ
リコン(Φ=4.9eV)を例示することができる。電
子放出部は、これらの材料よりも小さな仕事関数Φを有
していることが好ましく、その値は概ね3eV以下であ
ることが好ましい。かかる材料として、炭素(Φ<1e
V)、セシウム(Φ=2.14eV)、LaB6(Φ=
2.66〜2.76eV)、BaO(Φ=1.6〜2.
7eV)、SrO(Φ=1.25〜1.6eV)、Y2
3(Φ=2.0eV)、CaO(Φ=1.6〜1.8
6eV)、BaS(Φ=2.05eV)、TiN(Φ=
2.92eV)、ZrN(Φ=2.92eV)を例示す
ることができる。仕事関数Φが2eV以下である材料か
ら電子放出部を構成することが、一層好ましい。尚、電
子放出部を構成する材料は、必ずしも導電性を備えてい
る必要はない。
【0033】あるいは又、扁平型電界放出素子における
電子放出部を構成する材料として、かかる材料の2次電
子利得δがカソード電極を構成する導電性材料の2次電
子利得δよりも大きくなるような材料から適宜選択して
もよい。即ち、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、金
(Au)、コバルト(Co)、銅(Cu)、モリブデン
(Mo)、ニオブ(Nb)、ニッケル(Ni)、白金
(Pt)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、ジ
ルコニウム(Zr)等の金属;シリコン(Si)、ゲル
マニウム(Ge)等の半導体;炭素やダイヤモンド等の
無機単体;及び酸化アルミニウム(Al23)、酸化バ
リウム(BaO)、酸化ベリリウム(BeO)、酸化カ
ルシウム(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸
化錫(SnO2)、フッ化バリウム(BaF2)、フッ化
カルシウム(CaF2)等の化合物の中から、適宜選択
することができる。尚、電子放出部を構成する材料は、
必ずしも導電性を備えている必要はない。
【0034】特に好ましい電子放出部の構成材料とし
て、炭素、より具体的にはダイヤモンドや炭素系薄膜を
挙げることができる。電子放出部をこれらから構成する
場合、5×107V/m以下の電界強度にて、冷陰極電
界電子放出表示装置に必要な放出電子電流密度を得るこ
とができる。また、ダイヤモンドは電気抵抗体であるた
め、各電子放出部から得られる放出電子電流を均一化す
ることができ、よって、冷陰極電界電子放出表示装置に
組み込まれた場合の輝度ばらつきの抑制が可能となる。
更に、これらの材料は、冷陰極電界電子放出表示装置内
の残留ガスのイオンによるスパッタ作用に対して極めて
高い耐性を有するので、電子放出部の長寿命化を図るこ
とができる。
【0035】炭素系薄膜は、結晶性を有するグラファイ
トから構成されていることが好ましい。結晶性を有する
グラファイトは、sp2結合を有するグラファイトから
構成されており、1層のカーボングラファイトシートが
巻かれた構造を有する単層カーボンナノチューブ、ある
いは、2層以上のカーボングラファイトシートが巻かれ
た構造を有する所謂カーボンナノチューブである。ある
いは又、カーボングラファイトシートが重なったカーボ
ンナノファイバーや、カーボンナノチューブあるいはカ
ーボンナノファイバーの周囲にアモルファスカーボンが
堆積(付着)したものから構成されている。sp2結合
を有する炭素原子は、通常、6個の炭素原子から六員環
を構成し、これらの六員環の集まりがカーボングラファ
イトシートを構成する。このカーボングラファイトシー
トが巻かれたチューブ構造を有するものがカーボンナノ
チューブである。一方、カーボングラファイトシートが
巻かれておらず、カーボングラファイトのフラグメント
が重なってファイバー状になったものが、カーボンナノ
ファイバーである。場合によっては、円錐状の形状をも
有し得る。
【0036】このような結晶性を有するグラファイトか
ら成る電子放出部をカソード電極上に形成する場合、結
晶性を有するグラファイトとバインダ(例えば、水ガラ
スといった無機系バインダ、エポキシ系樹脂やアクリル
系樹脂といった有機系バインダ)とを混合したものをカ
ソード電極上に塗布した後、バインダを焼成する方法、
結晶性を有するグラファイトをカソード電極上に塗布し
た後、カソード電極上に結晶性を有するグラファイトを
バインダ(例えば、ダイヤモンド・ライク・カーボン)
を用いて、例えばCVD法にて固定する方法を挙げるこ
とができる。これらの場合、結晶性を有するグラファイ
トとして、カーボンナノチューブ、あるいは、カーボン
ナノファイバー、あるいはカーボンナノチューブとカー
ボンナノファイバーの混合物を用いることが好ましい。
【0037】あるいは又、結晶性を有するグラファイト
から成る電子放出部をカソード電極上に形成する場合、
結晶性を有するグラファイトをカソード電極上にCVD
法にて形成する方法を挙げることができる。この場合、
電子放出部とカソード電極との間に炭素系薄膜選択成長
領域を形成することが好ましい。電子放出部がどのよう
な構造になるかは、CVD法における形成条件や炭素系
薄膜選択成長領域を構成する材料等に依存する。電子放
出部は、巨視的には炭素系薄膜から構成されているが、
微視的には、複数のカーボンナノチューブから構成さ
れ、複数のカーボンナノファイバーから構成され、ある
いは又、複数の円錐部から構成されている。尚、電子放
出部は、CVD条件を最適化することによって、あるい
は又、ゲート電極やカソード電極を構成する材料を適切
に選択することによって、炭素系薄膜選択成長領域上に
選択的に形成され、ゲート電極やカソード電極上に形成
されることはない。
【0038】炭素系薄膜選択成長領域を構成する材料と
して、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)、チタン
(Ti)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、タング
ステン(W)、ジルコニウム(Zr)、タンタル(T
a)、鉄(Fe)、銅(Cu)、白金(Pt)、亜鉛
(Zn)、ゲルマニウム(Ge)、錫(Sn)、鉛(P
b)、ビスマス(Bi)、銀(Ag)、金(Au)、イ
ンジウム(In)、マンガン(Mn)、パラジウム(P
d)及びタリウム(Tl)から成る群から選択された少
なくとも1種類の金属、あるいは、これらの元素を含む
金属化合物又は合金を挙げることができる。更には、上
記に挙げた金属以外でも、電子放出部を形成(合成)す
るときの雰囲気中で触媒作用を有する金属や金属化合
物、合金を用いることができる。
【0039】炭素系薄膜選択成長領域の形成方法とし
て、PVD法、CVD法、電気メッキ法や無電解メッキ
法を含むメッキ法を挙げることができる。ここで、PV
D法として、 電子ビーム加熱法、抵抗加熱法、フラッシュ蒸着等
の各種真空蒸着法、 プラズマ蒸着法、 2極スパッタ法、直流スパッタ法、直流マグネトロ
ンスパッタ法、高周波スパッタ法、マグネトロンスパッ
タ法、イオンビームスパッタ法、バイアススパッタ法等
の各種スパッタ法、 DC(direct current)法、RF法、多陰極法、活性
化反応法、電界蒸着法、高周波イオンプレーティング
法、反応性イオンプレーティング法等の各種イオンプレ
ーティング法、を挙げることができる。
【0040】あるいは又、炭素系薄膜選択成長領域を形
成する方法として、例えば、炭素系薄膜選択成長領域を
形成すべき領域以外の領域を適切な材料(例えば、マス
ク層)で被覆した状態で、溶媒と金属粒子から成る層を
炭素系薄膜選択成長領域を形成すべき領域の表面に形成
した後、溶媒を除去し、金属粒子を残す方法を挙げるこ
とができる。あるいは又、炭素系薄膜選択成長領域を形
成する方法として、例えば、炭素系薄膜選択成長領域を
形成すべき領域以外の領域を適切な材料(例えば、マス
ク層)で被覆した状態で、金属粒子を構成する金属原子
を含む金属化合物粒子を係る領域の表面に付着させた
後、金属化合物粒子を加熱することによって分解し、以
て、炭素系薄膜選択成長領域(一種の金属粒子の集まり
である)を係る領域に形成する方法を挙げることができ
る。この場合、具体的には、溶媒と金属化合物粒子から
成る層を炭素系薄膜選択成長領域を形成すべき領域の表
面に形成した後、溶媒を除去し、金属化合物粒子を残す
方法を例示することができる。金属化合物粒子は、炭素
系薄膜選択成長領域を構成する金属のハロゲン化物(例
えば、ヨウ化物、塩化物、臭化物等)、酸化物、水酸化
物及び有機金属から成る群から選択された少なくとも1
種類の材料から成ることが好ましい。尚、これらの方法
においては、適切な段階で、炭素系薄膜選択成長領域を
形成すべき領域以外の領域を被覆した材料(例えば、マ
スク層)を除去する。
【0041】あるいは又、炭素系薄膜選択成長領域を有
機金属化合物薄膜から構成することもできる。この場
合、有機金属化合物薄膜は、亜鉛(Zn)、錫(S
n)、アルミニウム(Al)、鉛(Pb)、ニッケル
(Ni)及びコバルト(Co)から成る群から選択され
た少なくとも1種の元素を含有して成る有機金属化合物
から構成されている形態とすることができ、更には、錯
化合物から構成されていることが好ましい。ここで、錯
化合物を構成する配位子として、アセチルアセトン、ヘ
キサフルオロアセチルアセトン、ジピバロイルメタネー
ト、シクロペンタジエニルを例示することができる。
尚、形成された有機金属化合物薄膜には、有機金属化合
物の分解物が一部含まれていてもよい。有機金属化合物
薄膜から成る炭素系薄膜選択成長領域を形成する工程
は、有機金属化合物溶液から成る層を炭素系薄膜選択成
長領域を形成すべき領域の上に成膜する工程から構成す
ることができ、あるいは又、有機金属化合物を昇華させ
た後、かかる有機金属化合物を炭素系薄膜選択成長領域
を形成すべき領域の上に堆積させる工程から構成するこ
とができる。
【0042】炭素系薄膜選択成長領域上に炭素系薄膜か
ら成る電子放出部をCVD法に基づき選択的に形成する
ことが好ましい。CVD法における原料ガスとして、炭
化水素系ガスと水素ガスの組合せを用いることが好まし
い。ここで、炭化水素系ガスとして、メタン(C
4)、エタン(C26)、プロパン(C38)、ブタ
ン(C410)、エチレン(C24)、アセチレン(C2
2)等の炭化水素系ガスやこれらの混合ガス、メタノ
ール、エタノール、アセトン、ベンゼン、トルエン、キ
シレン、ナフタレン等を気化したガスを挙げることがで
きる。また、放電を安定にさせるため及びプラズマ解離
を促進するために、ヘリウム(He)やアルゴン(A
r)等の希釈用ガスを混合してもよいし、窒素、アンモ
ニア等のドーピングガスを混合してもよい。また、炭化
水素系ガスと水素ガスの組合せを用いる場合、炭化水素
系ガスと水素ガスの全流量に対する炭化水素系ガスの流
量を1容積%乃至50容積%、好ましくは5容積%乃至
50容積%とすることが望ましい。ここで、水素ガス
は、形成された炭素系薄膜を構成する結晶粒子の内、結
晶性の良くない結晶粒子を除去(一種のエッチング)す
る役割を果たす。
【0043】このCVD法にあっては、支持体にバイア
ス電圧を印加した状態で、プラズマ密度が1016
-3(107mm-3)以上、好ましくは1017-3(108
mm-3)以上、一層好ましくは1019-3(1010mm
-3)以上の条件のプラズマCVD法に基づくことが、電
子放出部形成に用いる原料ガスの解離度を高くし、電子
放出部を確実に形成するといった観点から好ましい。あ
るいは又、電子放出部を形成するためのCVD法は、支
持体にバイアス電圧を印加した状態で、電子温度が1乃
至15eV、好ましくは5eV乃至15eV、イオン電
流密度が、0.1mA/cm2乃至30mA/cm2、好
ましくは5mA/cm2乃至30mA/cm2の条件のプ
ラズマCVD法に基づくことが、電子放出部形成に用い
る原料ガスの解離度を高くし、電子放出部を確実に形成
するといった観点から好ましい。そして、これらの場
合、プラズマCVD法として、マイクロ波プラズマCV
D法、トランス結合型プラズマCVD法、誘導結合型プ
ラズマCVD法、電子サイクロトロン共鳴プラズマCV
D法、ヘリコン波プラズマCVD法、容量結合型プラズ
マCVD法、平行平板型CVD装置を用いたCVD法を
挙げることができる。あるいは又、ホットフィラメント
CVD法を採用してもよい。場合によっては、熱CVD
法やプラズマCVD法を採用してもよい。尚、電子放出
部を形成する工程における支持体加熱温度を、600゜
C以下、好ましくは500゜C以下、更に好ましくは4
00゜C以下、一層好ましくは300゜C以下とするこ
とが望ましい。支持体加熱温度の下限は、電子放出部を
形成し得る温度とすればよい。
【0044】炭素系薄膜選択成長領域上における電子放
出部の選択成長を一層確実なものとするために、炭素系
薄膜選択成長領域の表面の酸化物(所謂、自然酸化膜)
を除去してもよい。酸化物の除去を、例えば、水素ガ
ス、アンモニアガス、ヘリウムガス、アルゴンガス、ネ
オンガス、メタンガス、エチレンガス、アセチレンガ
ス、窒素ガス等のガス雰囲気中でのプラズマ処理にて行
うことができる。尚、プラズマ処理として、マイクロ波
プラズマ法、トランス結合型プラズマ法、誘導結合型プ
ラズマ法、電子サイクロトロン共鳴プラズマ法、RFプ
ラズマ法等に基づくプラズマ還元処理を挙げることがで
きる。あるいは又、アルゴンガス雰囲気におけるスパッ
タ処理、若しくは、例えばフッ酸等の酸や塩基を用いた
洗浄処理によっても、酸化物の除去を行うことができ
る。
【0045】また、炭素系薄膜選択成長領域における炭
素系薄膜の選択成長を一層確実なものとするために、炭
素系薄膜選択成長領域の表面に、硫黄(S)、ホウ素
(B)又はリン(P)を付着させてもよく、これらの物
質は一種の触媒としての作用を果たすと考えられ、これ
によって、炭素系薄膜の選択成長性を一層向上させるこ
とができる。炭素系薄膜選択成長領域の表面に硫黄、ホ
ウ素又はリンを付着させる方法としては、例えば、硫
黄、ホウ素又はリンを含む化合物から成る化合物層を炭
素系薄膜選択成長領域の表面に形成し、次いで、例えば
加熱処理を化合物層に施すことによって化合物層を構成
する化合物を分解させ、炭素系薄膜選択成長領域の表面
に硫黄、ホウ素又はリンを残す方法を挙げることができ
る。硫黄を含む化合物としてチオナフテン、チオフテ
ン、チオフェンを例示することができる。ホウ素を含む
化合物として、トリフェニルボロンを例示することがで
きる。リンを含む化合物として、トリフェニルフォスフ
ィンを例示することができる。
【0046】電子放出部あるいは炭素系薄膜選択成長領
域は、第2開口部の底部に位置するカソード電極の部分
の表面に形成されていればよく、第2開口部の底部に位
置するカソード電極の部分から第2開口部の底部以外の
カソード電極の部分の表面に延在するように形成されて
いてもよい。また、電子放出部あるいは炭素系薄膜選択
成長領域は、第2開口部の底部に位置するカソード電極
の部分の表面の全面に形成されていても、部分的に形成
されていてもよい。
【0047】クレータ型電界放出素子、平面型電界放出
素子、若しくは、エッジ型電界放出素子にあっては、電
子放出部に相当するカソード電極を構成する材料とし
て、タングステン(W)やタンタル(Ta)、ニオブ
(Nb)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、クロ
ム(Cr)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、金
(Au)、銀(Ag)等の金属;これらの合金や化合物
(例えばTiN等の窒化物や、WSi2、MoSi2、T
iSi2、TaSi2等のシリサイド);シリコン(S
i)等の半導体;あるいはダイヤモンドやグラファイト
等の炭素薄膜を例示することができる。かかるカソード
電極の厚さは、おおよそ0.05〜0.5μm、好まし
くは0.1〜0.3μmの範囲とすることが望ましい
が、かかる範囲に限定するものではない。カソード電極
の形成方法として、例えば電子ビーム蒸着法や熱フィラ
メント蒸着法といった蒸着法、スパッタリング法、CV
D法やイオンプレーティング法とエッチング法との組合
せ、スクリーン印刷法、メッキ法、リフトオフ法等を挙
げることができる。スクリーン印刷法やメッキ法によれ
ば、直接、例えばストライプ状のカソード電極を形成す
ることが可能である。
【0048】あるいは又、クレータ型電界放出素子、平
面型電界放出素子、あるいは、エッジ型電界放出素子、
扁平型電界放出素子にあっては、カソード電極や電子放
出部を、導電性微粒子を分散させた導電性ペーストを用
いて形成することもできる。導電性微粒子としては、グ
ラファイト粉末;酸化バリウム粉末、酸化ストロンチウ
ム粉末、金属粉末の少なくとも一種を混合したグラファ
イト粉末;ダイヤモンドライク・カーボン粉末;窒素、
リン、ホウ素、トリアゾール等の不純物を含むダイヤモ
ンド粒子又はダイヤモンドライク・カーボン粉末;カー
ボンナノチューブ粉末、カーボンナノファイバー粉末、
カーボンナノチューブ粉末とカーボンナノファイバー粉
末の混合物;(Sr,Ba,Ca)CO3粉末;シリコ
ン・カーバイド粉末を例示することができる。特に、導
電性微粒子としてグラファイト粉末やダイヤモンドライ
ク・カーボン粉末を選択することが、閾値電界の低減や
電子放出部の耐久性の観点から好ましい。導電性微粒子
の形状を、球状、鱗片状の他、任意の定形形状や不定形
形状とすることができる。また、導電性微粒子の粒径
は、カソード電極や電子放出部の厚さやパターン幅以下
であればよい。粒径が小さい方が、単位面積当たりの放
出電子数を増大させることができるが、あまり小さ過ぎ
るとカソード電極や電子放出部の導電性が劣化する虞が
ある。よって、好ましい粒径の範囲はおおよそ0.01
〜4.0μmである。かかる導電性微粒子をガラス成分
その他の適当なバインダ(結合剤)と混合して導電性ペ
ーストを調製し、この導電性ペースを用いてスクリーン
印刷法により所望のパターンを形成した後、パターンを
焼成することによって電子放出部として機能するカソー
ド電極や電子放出部を形成することができる。あるい
は、スピンコーティング法とエッチング技術の組み合わ
せ、リフトオフ法により、電子放出部として機能するカ
ソード電極や電子放出部を形成することもできる。
【0049】スピント型電界放出素子やクラウン型電界
放出素子、扁平型電界放出素子にあっては、カソード電
極を構成する材料として、タングステン(W)、ニオブ
(Nb)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、ク
ロム(Cr)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)等の
金属;これらの金属元素を含む合金あるいは化合物(例
えばTiN等の窒化物や、WSi2、MoSi2、TiS
2、TaSi2等のシリサイド);シリコン(Si)等
の半導体;ITO(インジウム・錫酸化物)を例示する
ことができる。カソード電極の形成方法として、例えば
電子ビーム蒸着法や熱フィラメント蒸着法といった蒸着
法、スパッタリング法、CVD法やイオンプレーティン
グ法とエッチング法との組合せ、スクリーン印刷法、メ
ッキ法、リフトオフ法等を挙げることができる。スクリ
ーン印刷法やメッキ法によれば、直接、例えばストライ
プ状のカソード電極を形成することが可能である。
【0050】各種の電界放出素子におけるゲート電極及
び/又は突起部を構成する導電性材料として、タングス
テン(W)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、モリ
ブデン(Mo)、クロム(Cr)、アルミニウム(A
l)、銅(Cu)等の金属;これらの金属元素を含む合
金あるいは化合物(例えばTiN等の窒化物や、WSi
2、MoSi2、TiSi2、TaSi2等のシリサイ
ド);あるいはシリコン(Si)等の半導体やダイヤモ
ンド、カーボン、ITO(インジウム・錫酸化物)を例
示することができる。
【0051】絶縁層の構成材料として、SiO2、BP
SG、PSG、BSG、AsSG、PbSG、SiN、
SiON、SOG(スピンオングラス)、低融点ガラ
ス、ガラスペーストといったSiO2系材料、SiN、
ポリイミド等の絶縁性樹脂を、単独あるいは適宜組み合
わせて使用することができる。絶縁層の形成には、CV
D法、塗布法、スパッタリング法、スクリーン印刷法等
の公知のプロセスが利用できる。
【0052】カソード電極と電子放出部との間に抵抗体
層を設けてもよい。抵抗体層を設けることによって、冷
陰極電界電子放出素子の動作安定化、電子放出特性の均
一化を図ることができる。抵抗体層を構成する材料とし
て、シリコンカーバイド(SiC)やSiCNといった
カーボン系材料、SiN、アモルファスシリコン等の半
導体材料、酸化ルテニウム(RuO2)、酸化タンタ
ル、窒化タンタル等の高融点金属酸化物を例示すること
ができる。抵抗体層の形成方法として、スパッタリング
法や、CVD法やスクリーン印刷法を例示することがで
きる。抵抗値は、概ね1×105〜1×107Ω、好まし
くは数MΩとすればよい。
【0053】冷陰極電界電子放出表示装置用カソードパ
ネル(以下、カソードパネルと略称する)を構成する支
持体は、少なくとも表面が絶縁性部材より構成されてい
ればよく、ガラス基板、表面に絶縁膜が形成されたガラ
ス基板、石英基板、表面に絶縁膜が形成された石英基
板、表面に絶縁膜が形成された半導体基板を挙げること
ができるが、製造コスト低減の観点からは、ガラス基
板、あるいは、表面に絶縁膜が形成されたガラス基板を
用いることが好ましい。冷陰極電界電子放出表示装置用
アノードパネル(以下、アノードパネルと略称する)を
構成する基板も、支持体と同様に構成することができ
る。
【0054】各種の電界放出素子において、ゲート電極
及び絶縁層に設けられた1つの第1開口部及び第2開口
部内に1つの電子放出部が存在してもよいし、ゲート電
極及び絶縁層に設けられた1つの第1開口部及び第2開
口部内に複数の電子放出部が存在してもよい。
【0055】本発明における第1開口部あるいは第2開
口部の平面形状(支持体表面と平行な仮想平面で開口部
を切断したときの形状)は、円形、楕円形、矩形、多角
形、丸みを帯びた矩形、丸みを帯びた多角形等、任意の
形状とすることができる。第1開口部の形成は、例え
ば、等方性エッチングや異方性エッチングによって行う
ことができ、あるいは又、ゲート電極の形成方法に依っ
ては、第1開口部を直接形成することもできる。第2開
口部の形成も、例えば、等方性エッチング、異方性エッ
チング、異方性エッチングと等方性エッチングの組合せ
によって行うことができる。
【0056】アノードパネルにおいて、電界放出素子か
ら放出された電子が先ず衝突する部位は、アノードパネ
ルの構造に依るが、アノード電極であり、あるいは又、
蛍光体層である。
【0057】蛍光体層の平面形状(パターン)は、画素
に対応して、ドット状であってもよいし、ストライプ状
であってもよい。
【0058】蛍光体層は、発光性結晶粒子(例えば、粒
径5〜10nm程度の蛍光体粒子)から調製された発光
性結晶粒子組成物を使用し、例えば、赤色の感光性の発
光性結晶粒子組成物(赤色蛍光体スラリー)を全面に塗
布し、露光、現像して、赤色発光蛍光体層を形成し、次
いで、緑色の感光性の発光性結晶粒子組成物(緑色蛍光
体スラリー)を全面に塗布し、露光、現像して、緑色発
光蛍光体層を形成し、更に、青色の感光性の発光性結晶
粒子組成物(青色蛍光体スラリー)を全面に塗布し、露
光、現像して、青色発光蛍光体層を形成する方法にて形
成することができるが、このような方法に限定するもの
ではない。
【0059】発光性結晶粒子を構成する蛍光体材料とし
ては、従来公知の蛍光体材料の中から適宜選択して用い
ることができる。カラー表示の場合、色純度がNTSC
で規定される3原色に近く、3原色を混合した際の白バ
ランスがとれ、残光時間が短く、3原色の残光時間がほ
ぼ等しくなる蛍光体材料を組み合わせることが好まし
い。赤色発光蛍光体層を構成する蛍光体材料として、
(Y23:Eu)、(Y22S:Eu)、(YBO3
u)、(YVO4:Eu)、(Y0.960.600.404
Eu0.04)、[(Y,Gd)BO3:Eu]、(GdB
3:Eu)、(ScBO3:Eu)、(3.5MgO・
0.5MgF2・GeO2:Mn)を例示することができ
る。緑色発光蛍光体層を構成する蛍光体材料として、
(ZnSiO 2:Mn)、(BaAl1219:Mn)、
(BaMg2Al1627:Mn)、(MgGa24:M
n)、(YBO3:Tb)、(LuBO3:Tb)、(S
4Si38Cl4:Eu)、(ZnS:Cu,Al)を
例示することができる。青色発光蛍光体層を構成する蛍
光体材料として、(Y2SiO5:Ce)、(CaW
4:Pb)、CaWO4、YP0.850.154、(Ba
MgAl1423:Eu)、(Sr227:Eu)、
(Sr227:Sn)、(ZnS:Ag,Al)を例
示することができる。
【0060】アノード電極の構成材料は、冷陰極電界電
子放出表示装置の構成によって適宜選択すればよい。即
ち、冷陰極電界電子放出表示装置が透過型(アノードパ
ネルが表示面に相当する)であって、且つ、基板上にア
ノード電極と蛍光体層がこの順に積層されている場合に
は、基板は元より、アノード電極自身も透明である必要
があり、ITO(インジウム錫酸化物)等の透明導電材
料を用いる。一方、冷陰極電界電子放出表示装置が反射
型(カソードパネルが表示面に相当する)である場合、
及び、透過型であっても基板上に蛍光体層とアノード電
極とがこの順に積層されている場合には、ITOの他、
アルミニウム(Al)あるいはクロム(Cr)を用いる
ことができる。アルミニウム(Al)あるいはクロム
(Cr)からアノード電極を構成する場合、アノード電
極の厚さとして、具体的には、3×10-8m(30n
m)乃至1.5×10-7m(150nm)、好ましくは
5×10-8m(50nm)乃至1×10-7m(100n
m)を例示することができる。アノード電極は、蒸着法
やスパッタリング法にて形成することができる。
【0061】アノード電極と蛍光体層の構成例として、
(1)基板上に、アノード電極を形成し、アノード電極
の上に蛍光体層を形成する構成、(2)基板上に、蛍光
体層を形成し、蛍光体層上にアノード電極を形成する構
成、を挙げることができる。尚、(1)の構成におい
て、蛍光体層の上に、アノード電極と導通した所謂メタ
ルバック膜を形成してもよい。また、(2)の構成にお
いて、アノード電極の上にメタルバック膜を形成しても
よい。
【0062】カソードパネルとアノードパネルとを周縁
部において接合する場合、接合は接着層を用いて行って
もよいし、あるいはガラスやセラミックス等の絶縁剛性
材料から成る枠体と接着層とを併用して行ってもよい。
枠体と接着層とを併用する場合には、枠体の高さを適宜
選択することにより、接着層のみを使用する場合に比
べ、カソードパネルとアノードパネルとの間の対向距離
をより長く設定することが可能である。尚、接着層の構
成材料としては、フリットガラスが一般的であるが、融
点が120〜400゜C程度の所謂低融点金属材料を用
いてもよい。かかる低融点金属材料としては、In(イ
ンジウム:融点157゜C);インジウム−金系の低融
点合金;Sn80Ag20(融点220〜370゜C)、S
95Cu5(融点227〜370゜C)等の錫(Sn)
系高温はんだ;Pb97.5Ag2.5(融点304゜C)、
Pb94.5Ag5.5(融点304〜365゜C)、Pb
97.5Ag1.5Sn1.0(融点309゜C)等の鉛(Pb)
系高温はんだ;Zn95Al5(融点380゜C)等の亜
鉛(Zn)系高温はんだ;Sn5Pb95(融点300〜
314゜C)、Sn2Pb98(融点316〜322゜
C)等の錫−鉛系標準はんだ;Au88Ga12(融点38
1゜C)等のろう材(以上の添字は全て原子%を表す)
を例示することができる。
【0063】カソードパネルとアノードパネルと枠体の
三者を接合する場合、三者を同時に接合してもよいし、
あるいは、第1段階でカソードパネル又はアノードパネ
ルのいずれか一方と枠体とを接合し、第2段階でカソー
ドパネル又はアノードパネルの他方と枠体とを接合して
もよい。三者同時接合や第2段階における接合を高真空
雰囲気中で行えば、カソードパネルとアノードパネルと
枠体と接着層とにより囲まれた空間は、接合と同時に真
空となる。あるいは、三者の接合終了後、カソードパネ
ルとアノードパネルと枠体と接着層とによって囲まれた
空間を排気し、真空とすることもできる。接合後に排気
を行う場合、接合時の雰囲気の圧力は常圧/減圧のいず
れであってもよく、また、雰囲気を構成する気体は、大
気であっても、あるいは窒素ガスや周期律表0族に属す
るガス(例えばArガス)を含む不活性ガスであっても
よい。
【0064】接合後に排気を行う場合、排気は、カソー
ドパネル及び/又はアノードパネルに予め接続されたチ
ップ管を通じて行うことができる。チップ管は、典型的
にはガラス管を用いて構成され、カソードパネル及び/
又はアノードパネルの無効領域(実際の表示画面として
は機能しない領域であり、有効領域の外側に位置する)
に設けられた貫通部の周囲に、フリットガラス又は上述
の低融点金属材料を用いて接合され、空間が所定の真空
度に達した後、熱融着によって封じ切られる。尚、封じ
切りを行う前に、冷陰極電界電子放出表示装置全体を一
旦加熱してから降温させると、空間に残留ガスを放出さ
せることができ、この残留ガスを排気により空間外へ除
去することができるので、好適である。
【0065】本発明にあっては、電子放出領域を構成す
る各種電界放出素子を、電界放出素子の構造に依るが、 支持体上にカソード電極を形成する工程、 支持体及びカソード電極上に絶縁層を形成する工程、 絶縁層上にゲート電極を形成する工程、 少なくとも絶縁層に第2開口部を形成する工程、を経
て製造することができる。
【0066】そして、工程において突起部を形成して
もよいし、工程の後に突起部を形成してもよい。場合
によっては、工程の後に突起部を形成してもよい。
【0067】また、工程と工程の間において、カソ
ード電極上に電子放出部を形成してもよいし、カソード
電極を加工して電子放出部としてもよい。あるいは又、
工程の後、第2開口部の底部に露出したカソード電極
上に電子放出部を形成してもよいし、第2開口部の底部
に露出したカソード電極を加工して電子放出部としても
よい。前者においては、場合によっては、その後、突起
部を形成してもよい。
【0068】尚、「少なくとも絶縁層に第2開口部を形
成する」と表現したのは、ゲート電極の形成時、ゲート
電極の形成方法に依ってはゲート電極に第1開口部を同
時に形成する場合があるからであり、ゲート電極の形成
時、ゲート電極に第1開口部を形成しない場合には、工
程において、ゲート電極に第1開口部を形成する。
【0069】本発明においては突起部が設けられてい
る。例えば、第2の構成の突起部を有する場合、即ち、
各第1開口部を取り囲むように突起部が設けられている
場合、図63に模式的に示すように、電子放出領域の上
方の等電位線が凹状となる。尚、図63においては、第
1開口部や絶縁層、カソード電極の図示を省略した。す
ると、突起部近傍の電子放出部から放出された電子は、
湾曲した等電位面を通過することになり、電子放出領域
の中央部の上方に向かうように電子の軌道が曲げられ
る。その結果、電子ビーム束が絞られた状態で、電子放
出領域に対向したアノード電極の部分あるいは蛍光体層
の部分に衝突する。しかも、突起部がゲート電極に形成
されているので、従来の技術のように、収束電極を制御
するための回路を必要としない。
【0070】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、発明の実
施の形態(以下、実施の形態と略称する)に基づき本発
明を説明する。
【0071】(実施の形態1)実施の形態1は、本発明
の冷陰極電界電子放出表示装置用カソードパネル(以
下、カソードパネルを略称する)、並びに、本発明の冷
陰極電界電子放出表示装置(以下、表示装置と略する)
に関し、より具体的には、第1Aの構成、第1Bの構
成、及び第2の構成の突起部を有するカソードパネル及
び表示装置に関する。
【0072】実施の形態1の表示装置を分解したときの
模式的な部分的斜視図を図1に示し、表示装置の第1の
方向に沿った模式的な一部端面図を図2に示し、カソー
ドパネルCPの一部分の第1の方向に沿った模式的な一
部端面図を図3に示し、カソードパネルCPにおけるカ
ソード電極11、ゲート電極13及び突起部16の配置
を模式的に示す配置図を図4に示す。実施の形態1にお
ける冷陰極電界電子放出素子(以下、電界放出素子と略
称する)は、スピント型電界放出素子である。
【0073】尚、図4、あるいは、後述する図7、図
9、図11〜図20においては、電子放出領域以外の部
分における絶縁層の図示を省略した。また、これらの図
において、カソード電極、突起部及び電子放出部を明示
するために、これらに斜線を付し、電子放出領域の外周
を、場合によっては、一点鎖線で示した。
【0074】実施の形態1のカソードパネルCPは、
(A)支持体10と、(B)支持体10上に形成され、
第1の方向に延びる複数のカソード電極11と、(C)
支持体10及びカソード電極11上に形成された絶縁層
12と、(D)絶縁層12上に形成され、第1の方向と
は異なる第2の方向に延びる複数のゲート電極13と、
(E)カソード電極11とゲート電極13とが重複する
領域に設けられた電子放出領域EA、から成る。尚、第
1の方向と第2の方向とは直交しており、カソード電極
11及びゲート電極13はストライプ状である。
【0075】電子放出領域EAには、(a)ゲート電極
13に設けられた複数の第1開口部14Aと、(b)絶
縁層12に設けられ、第1開口部14Aと連通した第2
開口部14Bと、(c)第2開口部14Bの底部に位置
するカソード電極11上に設けられた電子放出部15、
が設けられている。尚、図においては、16個の電子放
出部15を示したが、1つの電子放出領域EAに設ける
べき電子放出部15の数は、これに限定するものではな
く、通常、数百個〜数千個の電子放出部15が形成され
る。
【0076】そして、少なくとも電子放出領域EAにお
けるゲート電極13の部分に、電子放出部15から放出
された電子の軌道を収束させるための突起部16が設け
られている。より具体的には、突起部16は、第1Aの
構成を有し、即ち、矩形の電子放出領域EAの対向する
2辺に相当するゲート電極13の部分に設けられてお
り、これらの2辺は、第2の方向と略平行である。突起
部16は、ゲート電極13と一体的に設けられている。
【0077】電子放出領域EAには、複数の電界放出素
子が設けられている。そして、かかる電子放出領域EA
が、カソードパネルCPの有効領域(実際の表示画面と
して機能する領域)内に、通常、2次元マトリクス状に
配列されている。
【0078】ここで、スピント型電界放出素子は、
(イ)支持体10に形成されたカソード電極11と、
(ロ)絶縁層12と、(ハ)絶縁層12上に形成された
ゲート電極13と、(ニ)ゲート電極13に設けられた
第1開口部14Aと、(ホ)絶縁層12に設けられ、第
1開口部14Aと連通した第2開口部14Bと、(ヘ)
第2開口部14Bの底部に位置するカソード電極11上
に形成された円錐形の電子放出部15、から構成され、
第2開口部14Bの底部に露出した電子放出部15から
電子が放出される構造を有する。
【0079】実施の形態1の冷陰極電界電子放出表示装
置用アノードパネル(以下、アノードパネルと略称す
る)APは、例えば、ガラス基板から成る基板20と、
基板20上に形成され、所定のパターンを有する蛍光体
層21(カラー表示の場合、赤色発光蛍光体層21R、
緑色発光蛍光体層21G、青色発光蛍光体層21B)
と、その上に形成された反射膜としても機能するアルミ
ニウム薄膜から成るアノード電極23から構成されてい
る。アノード電極23は、有効領域全体に形成されてい
る。また、アノードパネルAPにあっては、蛍光体層2
1と蛍光体層21との間に、蛍光体層21からの光を吸
収するブラックマトリックス22が形成されている。ブ
ラックマトリックス22は、酸化クロム/クロム積層膜
から成る。
【0080】1画素は、カソードパネル側の電子放出領
域EAと、この電子放出領域EAに対面したアノードパ
ネル側の蛍光体層21とによって構成されている。有効
領域には、かかる画素が、例えば数十万〜数百万個もの
オーダーにて配列されている。そして、表示装置は、カ
ソードパネルCP及びアノードパネルAPが、それらの
周縁部で接合されて成る。
【0081】この表示装置において表示を行う場合に
は、カソード電極11には相対的な負電圧がカソード電
極制御回路24から印加され、ゲート電極13には相対
的な正電圧がゲート電極制御回路25から印加され、ア
ノード電極23にはゲート電極13よりも更に高い正電
圧がアノード電極制御回路26から印加される。かかる
表示装置において表示を行う場合、例えば、カソード電
極11にカソード電極制御回路24から走査信号を入力
し、ゲート電極13にゲート電極制御回路25からビデ
オ信号を入力する。尚、これとは逆に、カソード電極1
1にカソード電極制御回路24からビデオ信号を入力
し、ゲート電極13にゲート電極制御回路25から走査
信号を入力してもよい。カソード電極11とゲート電極
13との間に電圧を印加した際に生ずる電界により、量
子トンネル効果に基づき電子放出部15から電子が放出
され、この電子がアノード電極23に引き付けられ、蛍
光体層21に衝突する。その結果、蛍光体層21が励起
されて発光し、所望の画像を得ることができる。
【0082】そして、突起部16が設けられており、突
起部16の電位はゲート電極13と等電位であるが故
に、突起部16に近い電子放出領域の部分の上方の等電
位面は凹状となる。その結果、突起部近傍の電子放出部
から放出された電子は、湾曲した等電位面を通過するこ
とになり、電子放出領域の中央部の上方に向かうように
電子の軌道が曲げられる。従って、電子ビーム束が絞ら
れた状態で、電子放出領域に対向したアノード電極の部
分あるいは蛍光体層の部分に衝突する。輝度を制御する
ために、カソード電極11に印加する電圧を一定とし、
ゲート電極13に印加する電圧を変化させる態様、カソ
ード電極11に印加する電圧を変化させ、ゲート電極1
3に印加する電圧を一定とする態様、カソード電極11
及びゲート電極13に印加する電圧を変化させる態様が
あるが、いずれの場合にあっても、突起部16の電位は
ゲート電極13と等電位であり、電子放出部15から放
出された電子に電子収束効果が働く。尚、電子放出部か
ら放出された電子に電子収束効果を出来るだけ均一に及
ぼすといった観点からは、カソード電極11に印加する
電圧を変化させ、ゲート電極13に印加する電圧を一定
とする態様が最も好ましいが、これに限定するものでは
ない。
【0083】以下、実施の形態1のカソードパネルCP
及び表示装置の製造方法を、第1の方向に沿った支持体
等の模式的な一部端面図である図21〜図22を参照し
て説明する。尚、図21〜図62においては、1つの電
子放出部のみを図示し、突起部の図示は省略する。
【0084】この製造方法は、基本的には、円錐形の電
子放出部15を金属材料の垂直蒸着により形成する方法
である。即ち、第1開口部14Aに対して蒸着粒子は垂
直に入射するが、第1開口部14Aの開口端付近に形成
されるオーバーハング状の堆積物による遮蔽効果を利用
して、第2開口部14Bの底部に到達する蒸着粒子の量
を漸減させ、円錐形の堆積物である電子放出部15を自
己整合的に形成する。ここでは、不要なオーバーハング
状の堆積物の除去を容易とするために、ゲート電極13
及び絶縁層12上に剥離層40を予め形成しておく方法
について説明する。
【0085】[工程−A0]先ず、例えばガラス基板か
ら成る支持体10の上に、例えばポリシリコンから成る
カソード電極用導電材料層をプラズマCVD法にて成膜
した後、リソグラフィ技術及びドライエッチング技術に
基づきカソード電極用導電材料層をパターニングして、
ストライプ状のカソード電極11を形成する。その後、
全面にSiO 2から成る絶縁層12をCVD法にて形成
する。
【0086】[工程−A1]次に、絶縁層12上に、ゲ
ート電極用導電材料層(例えば、TiN層)をスパッタ
法にて成膜し、次いで、ゲート電極用導電材料層をリソ
グラフィ技術及びドライエッチング技術にてパターニン
グすることによってストライプ状のゲート電極用導電材
料層を形成する。その後、突起部を形成すべきゲート電
極用導電材料層の部分をレジスト層で被覆する。そし
て、ゲート電極用導電材料層をエッチングするが、レジ
スト層で被覆されていないゲート電極用導電材料層の部
分が薄く残されるようにゲート電極用導電材料層をエッ
チングした後、レジスト層を除去する。こうして、スト
ライプ状のゲート電極13及びゲート電極13から突出
した突起部16を得ることができる。
【0087】尚、ゲート電極用導電材料層を、真空蒸着
法等のPVD法、CVD法、電気メッキ法や無電解メッ
キ法といったメッキ法、スクリーン印刷法、レーザーア
ブレーション法、ゾル−ゲル法、リフトオフ法等の公知
の薄膜形成と、必要に応じてエッチング技術との組合せ
によって形成してもよい。スクリーン印刷法やメッキ法
によれば、直接、例えばストライプ状のゲート電極用導
電材料層を形成することが可能である。
【0088】また、ゲート電極13と突起部16を一体
的に形成する代わりに、絶縁層12上にストライプ状の
ゲート電極用導電材料層を形成した後、突起部を、真空
蒸着法やスパッタリング法、イオンプレーティング法と
いった各種のPVD法、CVD法、電気メッキ法や無電
解メッキ法といったメッキ法、スクリーン印刷法、レー
ザーアブレーション法、ゾル−ゲル法、リフトオフ法等
の公知の薄膜形成と、必要に応じてエッチング技術との
組合せによって形成することができる。スクリーン印刷
法やメッキ法によれば、直接、突起部を形成することが
可能である。突起部を構成する材料とゲート電極を構成
する材料は、同じ材料であってもよいし、異なる材料で
あってもよい。
【0089】[工程−A2]その後、再びレジスト層を
形成し、エッチングによってゲート電極13に第1開口
部14Aを形成し、更に、絶縁層に第2開口部14Bを
形成し、第2開口部14Bの底部にカソード電極11を
露出させた後、レジスト層を除去する。こうして、図2
1の(A)に示す構造を得ることができる。
【0090】[工程−A3]次に、支持体10を回転さ
せながらゲート電極13上を含む絶縁層12上にニッケ
ル(Ni)を斜め蒸着することにより、剥離層40を形
成する(図21の(B)参照)。このとき、支持体10
の法線に対する蒸着粒子の入射角を十分に大きく選択す
ることにより(例えば、入射角65度〜85度)、第2
開口部14Bの底部にニッケルを殆ど堆積させることな
く、ゲート電極13及び絶縁層12の上に剥離層40を
形成することができる。剥離層40は、第1開口部14
Aの開口端から庇状に張り出しており、これによって第
1開口部14Aが実質的に縮径される。
【0091】[工程−A4]次に、全面に例えば導電材
料としてモリブデン(Mo)を垂直蒸着する(入射角3
度〜10度)。このとき、図22の(A)に示すよう
に、剥離層40上でオーバーハング形状を有する導電材
料層41が成長するに伴い、第1開口部14Aの実質的
な直径が次第に縮小されるので、第2開口部14Bの底
部において堆積に寄与する蒸着粒子は、次第に第1開口
部14Aの中央付近を通過するものに限られるようにな
る。その結果、第2開口部14Bの底部には円錐形の堆
積物が形成され、この円錐形の堆積物が電子放出部15
となる。
【0092】[工程−A5]その後、図22の(B)に
示すように、リフトオフ法にて剥離層40をゲート電極
13及び絶縁層12の表面から剥離し、ゲート電極13
及び絶縁層12の上方の導電材料層41を選択的に除去
する。こうして、複数のスピント型電界放出素子が形成
されたカソードパネルCPを得ることができる。
【0093】[工程−A6]その後、表示装置の組立を
行う。具体的には、蛍光体層21と電子放出領域EAと
が対向するようにアノードパネルAPとカソードパネル
CPとを配置し、アノードパネルAPとカソードパネル
CP(より具体的には、支持体10と基板20)とを、
枠体(図示せず)を介して、周縁部において接合する。
接合に際しては、枠体とアノードパネルAPとの接合部
位、及び枠体とカソードパネルCPとの接合部位にフリ
ットガラスを塗布し、アノードパネルAPとカソードパ
ネルCPと枠体とを貼り合わせ、予備焼成にてフリット
ガラスを乾燥した後、約450゜Cで10〜30分の本
焼成を行う。その後、アノードパネルAPとカソードパ
ネルCPと枠体と接着層(図示せず)とによって囲まれ
た空間を、貫通孔(図示せず)及びチップ管(図示せ
ず)を通じて排気し、空間の圧力が10-4Pa程度に達
した時点でチップ管を加熱溶融により封じ切る。このよ
うにして、アノードパネルAPとカソードパネルCPと
枠体とに囲まれた空間を真空にすることができる。その
後、必要な外部回路との配線を行い、表示装置を完成さ
せることができる。
【0094】実施の形態1においては、図3に示すよう
に、突起部16の高さHを5μm、絶縁層の厚さtを
0.35μm、電子放出部15の高さを0.35μm、
第1開口部14Aの直径を0.6μm、突起部16に最
も近い第1開口部14Aの縁部と、突起部16の頂面と
第1開口部14Aに面した側面との成す稜線とを結ぶ最
短線分LMINが、ゲート電極13の表面と成す角度θ2
45度、この最短線分L MINをゲート電極に射影したと
きの射影像の長さLIMGを5μmとした。
【0095】[工程−A1]において、突起部16を形
成するためにゲート電極用導電材料層を部分的にエッチ
ングするときのエッチング条件を制御することによっ
て、図5に示すように、第1開口部14Aに面する突起
部16の側面17を、第1開口部14Aから遠ざかるよ
うに傾斜させることもできる。このように傾斜をつける
ことによって、電子放出部から放出された電子が突起部
に衝突する可能性を低下させることができる。尚、ゲー
ト電極13の法線と突起部16の側面17との成す角度
θ1を15度とした。尚、このような突起部の側面に傾
斜をつける態様は、以下に説明する各種の突起部に対し
ても適用することができる。
【0096】尚、場合によっては、[工程−A1]にお
いて、絶縁層12上に、ストライプ状のゲート電極用導
電材料層を形成し、[工程−A2]〜[工程−A5]を
実行した後、ゲート電極13の所望の部分に突起部16
を形成してもよい。
【0097】以下、実施の形態1のカソードパネルある
いは表示装置における突起部の変形例を説明する。
【0098】カソードパネルCPの模式的な部分的斜視
図を図6に示し、カソードパネルCPにおけるカソード
電極11、ゲート電極13及び突起部16Aの配置を模
式的に示す配置図を図7に示す例においては、突起部1
6Aは、矩形の電子放出領域EAの対向する2辺に相当
するゲート電極13の部分に設けられており、これらの
2辺は、第1の方向と略平行である。
【0099】カソードパネルCPの模式的な部分的斜視
図を図8に示し、カソードパネルCPにおけるカソード
電極11、ゲート電極13及び突起部16Bの配置を模
式的に示す配置図を図9に示す例においては、突起部1
6Bは、第1Bの構成を有する。即ち、突起部16B
は、矩形の電子放出領域EAの4辺に相当するゲート電
極の部分に設けられている。尚、突起部16Bが、電子
放出領域EA以外の領域のゲート電極13の部分に延在
している例を図示したが、突起部16Bは、電子放出領
域EA以外の領域のゲート電極13の部分に延在してい
なくともよい。
【0100】表示装置を分解したときの模式的な部分的
斜視図を図10に示し、カソードパネルCPにおけるカ
ソード電極11、ゲート電極13及び突起部16Cの配
置を模式的に示す配置図を図11〜図20に示す例にお
いては、突起部16Cは、電子放出領域EAにおけるゲ
ート電極13に設けられた第1開口部14Aと第1開口
部14Aとの間のゲート電極13の部分であって、第1
開口部14Aの縁部から離れた部分に設けられている。
【0101】ここで、図11及び図12に示す例におい
ては、支持体10の表面と平行な仮想平面でゲート電極
13に設けられた第1開口部14Aを切断したときの第
1開口部14Aの断面形状と、支持体10の表面と平行
な仮想平面で突起部16Cの開口を切断したときの突起
部16Cの開口の断面形状とは相似形であり、より具体
的には、円形である。図11と図12が相違する点は、
突起部16Cが、電子放出領域EA以外の領域のゲート
電極13の部分に延在しているか否かという点にある。
図11に示す例においては、突起部16の高さH、絶縁
層の厚さt、電子放出部15の高さ、第1開口部14A
の直径、角度θ2、射影像の長さLIMGの値を先に説明し
たと同様の値とした。そして、これらの値に基づいて電
子放出領域EAの上方の等電位線及び電子の軌道をシミ
ュレーションした結果が、図63である。
【0102】図13及び図14に示す例においては、支
持体10の表面と平行な仮想平面でゲート電極13に設
けられた第1開口部14Aを切断したときの第1開口部
14Aの断面形状(円形)と、支持体10の表面と平行
な仮想平面で突起部16Cの開口を切断したときの突起
部16Cの開口の断面形状(正方形)とは相似形ではな
い。図13と図14が相違する点は、突起部16Cが、
電子放出領域EA以外の領域のゲート電極13の部分に
延在しているか否かという点にある。
【0103】図15〜図17に示す例においては、突起
部16Cは、電子放出領域EAにおけるゲート電極13
に設けられた第1開口部14Aと第1開口部14Aとの
間のゲート電極13の部分であって、第1開口部14A
の縁部から離れた部分に設けられ、且つ、第2の方向に
延びるストライプ状である。一方、図18〜図20に示
す例においては、突起部16Cは、電子放出領域EAに
おけるゲート電極13に設けられた第1開口部14Aと
第1開口部14Aとの間のゲート電極13の部分であっ
て、第1開口部14Aの縁部から離れた部分に設けら
れ、且つ、第1の方向に延びるストライプ状である。図
15及び図18においては、突起部16Cが、電子放出
領域EA以外の領域のゲート電極13の部分に延在して
いる。図16及び図19においては、突起部16Cの外
周部が電子放出領域EAを取り囲んでおり、図17及び
図20においては、突起部16Cの外周部が電子放出領
域EAを取り囲んでいない。
【0104】(実施の形態2)以下、各種の電界放出素
子及びその製造方法について説明する。尚、以下の説明
においては、「ストライプ状のゲート電極を形成す
る」、あるいは、「ゲート電極を形成する」と表現する
が、この表現は、ストライプ状のゲート電極及び突起部
を形成することを包含する。また、各種の電界放出素子
の製造において、突起部の形成工程の説明を省略する。
場合によっては、ゲート電極、電子放出部の形成の後
に、突起部を形成してもよい。各種の電界放出素子の製
造において、突起部の存在によって、そのままでは電子
放出部の形成が困難となる場合があるが、このような場
合、絶縁層、ゲート電極及び突起部の上に一種の平坦化
膜を形成した後、電子放出部を形成し、その後、平坦化
膜を除去すればよい。尚、平坦化膜の形成は、開口部の
形成前に行うことが好ましい。
【0105】[扁平型電界放出素子]扁平型電界放出素
子は、(イ)支持体10上に設けられたカソード電極1
1と、(ロ)支持体10及びカソード電極11上に形成
された絶縁層12と、(ハ)絶縁層12上に設けられた
ゲート電極13と、(ニ)ゲート電極13に設けられた
第1開口部14A、及び、絶縁層12に設けられ、第1
開口部14Aと連通した第2開口部14Bと、(ホ)第
2開口部14Bの底部に位置するカソード電極11上に
設けられた扁平状の電子放出部15A、から成り、第2
開口部14Bの底部に露出した電子放出部15Aから電
子が放出される構造を有する。
【0106】電子放出部15Aは、結晶性を有するグラ
ファイトから構成された炭素系薄膜31から成る。ここ
で、より具体的には、炭素系薄膜31は、複数の所謂カ
ーボンナノチューブから構成されている。また、電子放
出部15Aとカソード電極11との間には、ニッケル
(Ni)から成る炭素系薄膜選択成長領域30が形成さ
れている。
【0107】以下、扁平型電界放出素子の製造方法を、
第2の方向に沿った支持体等の模式的な一部端面図であ
る図23を参照して説明する。
【0108】[工程−B0]先ず、支持体10上にカソ
ード電極11を形成する。具体的には、例えばガラス基
板から成る支持体10上に、例えばアルミニウム(A
l)から成るカソード電極用導電材料層をスパッタリン
グ法にて形成した後、フォトリソグラフィ技術及びドラ
イエッチング技術に基づき、ストライプ状のカソード電
極11を支持体10上に形成する。尚、ストライプ状の
カソード電極11は、図面の紙面左右方向(第1の方
向)に延びている。
【0109】[工程−B1]次に、少なくとも電子放出
部を形成すべきカソード電極11の部分の上に炭素系薄
膜選択成長領域30を形成する。具体的には、例えばニ
ッケル(Ni)層を例えば表1に例示するスパッタリン
グ法にて全面に形成する。その後、フォトリソグラフィ
技術及びエッチング技術によって、後の工程で形成され
る第2開口部の底部に位置するニッケル層の部分を残
す。これによって、ニッケルから成る炭素系薄膜選択成
長領域30を得ることができる(図23の(A)参
照)。尚、炭素系薄膜選択成長領域30を、カソード電
極11の全面に形成してもよいし、後に形成する第2開
口部の底部に露出するカソード電極11の部分の全面に
形成してもよいし、後に形成する第2開口部の底部に露
出するカソード電極11の部分の全面から絶縁層で被覆
されたカソード電極の一部分にまで形成してもよい。
【0110】[表1] [ニッケル層の成膜条件] ターゲット :Ni Ar流量 :100SCCM 圧力 :0.5Pa DCパワー :2kW スパッタ温度:200゜C 膜厚 :150nm
【0111】[工程−B2]次に、支持体10及びカソ
ード電極11上に絶縁層12を形成する。具体的には、
例えばTEOS(テトラエトキシシラン)を原料ガスと
して使用するCVD法により、全面に、厚さ約1μmの
絶縁層12を形成する。但し、絶縁層12の厚さは、こ
のような値に限定するものではない。
【0112】[工程−B3]その後、絶縁層12上にゲ
ート電極13を形成する。具体的には、絶縁層12上に
ゲート電極を構成するためのアルミニウム(Al)から
成るゲート電極用導電材料層をスパッタリング法にて形
成した後、ゲート電極用導電材料層上にパターニングさ
れたエッチング用マスク(図示せず)を形成し、かかる
エッチング用マスクを用いてゲート電極用導電材料層を
エッチングして、ゲート電極用導電材料層をストライプ
状にパターニングし後、エッチング用マスクを除去す
る。これによって、絶縁層12上に、ストライプ状のゲ
ート電極13を形成することができる。次いで、突起部
を形成し、更には、ゲート電極用導電材料層及び絶縁層
12上にパターニングされたエッチング用マスク(図示
せず)を形成し、かかるエッチング用マスクを用いてゲ
ート電極用導電材料層をエッチングし、更に、絶縁層1
2をエッチングする。これによって、絶縁層12上に、
第1開口部14Aを有するゲート電極13を形成するこ
とができ、更には、絶縁層12に第2開口部14Bを形
成することができる(図23の(B)参照)。第1開口
部14A及び第2開口部14Bの平面形状は円形であ
る。
【0113】[工程−B4]その後、炭素系薄膜31か
ら成る電子放出部15Aを炭素系薄膜選択成長領域30
上に形成する。具体的には、例えば、ヘリコン波プラズ
マCVD装置を用いて、以下の表2に示すプラズマCV
D条件にて、炭素系薄膜選択成長領域30上に炭素系薄
膜31から成る電子放出部15Aを選択的に形成する
(図23の(C)参照)。カソード電極11及びゲート
電極13がアルミニウムから構成されているので、炭素
系薄膜がカソード電極11及びゲート電極13の上に形
成されることはない。尚、電子放出部15Aは、炭素系
薄膜選択成長領域30上に形成された結晶性を有するグ
ラファイト(より具体的には、sp2結合を有するグラ
ファイトから構成されたカーボンナノチューブ)の集合
した炭素系薄膜31から構成されている。電子放出部1
5Aを構成する炭素系薄膜31の結晶性を変化させるた
めに、CVD条件を随時変化させてもよい。また、放電
を安定にさせるため及びプラズマ解離を促進するため
に、ヘリウム(He)やアルゴン(Ar)等の希釈用ガ
スを混合してもよいし、窒素、アンモニア等のドーピン
グガスを混合してもよい。第2開口部14Bの底部に露
出したカソード電極11上に形成された炭素系薄膜選択
成長領域30の上に炭素系薄膜31から成る電子放出部
15Aを選択的に形成することができるので、炭素系薄
膜31のパターニング等は一切不要である。
【0114】[表2] 使用ガス :CH4/H2=50/50sccm 電源パワー :1500W 支持体印加電力 :100V プラズマ密度 :3×1012/cm3 反応圧力 :0.1Pa 支持体温度 :300゜C 電子温度 :6.5eV イオン電流密度 :25mA/cm2
【0115】尚、電子放出部をカーボンナノチューブか
ら構成したが、電子放出部を形成するためのCVD条件
によっては、電子放出部をカーボンナノファイバーから
構成でき、あるいは又、円錐状の形状を有する電子放出
部を形成することも可能である。
【0116】また、工程−B0]、[工程−B1]、
[工程−B4]、[工程−B2]、[工程−B3]の順
に実行してもよい。即ち、(1)支持体上にカソード電
極を形成する工程と、(2)少なくとも電子放出部を形
成すべきカソード電極の上に炭素系薄膜選択成長領域を
形成する工程と、(3)炭素系薄膜から成る電子放出部
を炭素系薄膜選択成長領域上に形成する工程と、(4)
全面に絶縁層を形成する工程と、(5)絶縁層上にゲー
ト電極を形成する工程と、(6)電子放出部が底部に露
出した第2開口部を、少なくとも絶縁層に形成する工
程、から構成することもできる。この場合の上記工程
(5)が完了した時点における構造の模式的な一部断面
図を図24に示す。
【0117】あるいは又、[工程−B0]、[工程−B
2]、[工程−B3]、[工程−B1]、[工程−B
4]の順に実行してもよい。即ち、(1)支持体上にカ
ソード電極を形成する工程と、(2)全面に絶縁層を形
成する工程と、(3)絶縁層上にゲート電極を形成する
工程と、(4)カソード電極が底部に露出した第2開口
部を、少なくとも絶縁層に形成する工程と、(5)開口
部の底部に露出した電子放出部を形成すべきカソード電
極の上に炭素系薄膜選択成長領域を形成する工程と、
(6)炭素系薄膜から成る電子放出部を炭素系薄膜選択
成長領域上に形成する工程、から構成することもでき
る。この場合の上記工程(4)が完了した時点における
構造の模式的な一部端面図を図25の(A)に示す。ま
た、上記工程(5)を図25の(B)及び図25の
(C)に示す。尚、この工程(5)にあっては、最上層
(絶縁層12及びゲート電極13)及び開口部14A,
14Bの側壁面、並びに、第2開口部14Bの底部の電
子放出部を形成しないカソード電極の部分を剥離層32
で被覆する(図25の(B)参照)。次いで、全面に、
例えばニッケル(Ni)層をスパッタリング法にて形成
した後、剥離層32を除去することによって、第2開口
部14Bの底部に炭素系薄膜選択成長領域30を形成す
ることができる(図25の(C)参照)。
【0118】上記の扁平型電界放出素子の製造にあって
は、場合によっては、炭素系薄膜選択成長領域30の表
面が自然酸化され、電子放出部15Aの形成が困難とな
る場合がある。このような場合には、炭素系薄膜選択成
長領域30の表面の金属酸化物(所謂、自然酸化膜)を
除去することが望ましい。尚、炭素系薄膜選択成長領域
30の表面の金属酸化物は、例えば、プラズマ還元処理
若しくは洗浄処理によって除去することができる。
【0119】具体的には、炭素系薄膜選択成長領域30
を形成した後、炭素系薄膜31を形成する前に、炭素系
薄膜選択成長領域30の表面の金属酸化物(自然酸化
膜)を、以下の表3に例示するプラズマ還元処理(マイ
クロ波プラズマ処理)に基づき除去する。あるいは又、
例えば50%フッ酸水溶液と純水の1:49(容積比)
混合液を用いて、露出した炭素系薄膜選択成長領域30
の表面の金属酸化物(自然酸化膜)を除去することもで
きる。尚、このようなプロセスを、上記の扁平型電界放
出素子の製造方法の各種の変形例とすることもできる。
【0120】[表3] 使用ガス :H2=100SCCM 圧力 :1.3×103Pa マイクロ波パワー:600W(13.56MHz) 処理温度 :400゜C
【0121】また、上述の扁平型電界放出素子の製造方
法においては、炭素系薄膜選択成長領域をスパッタ法に
て形成したが、その他のPVD法やCVD法にて形成す
ることもできるし、メッキ法にて形成することもでき
る。電気メッキの条件を以下の表4に例示する。尚、陽
極としてニッケル板を用いる。尚、このようなプロセス
を、上記の扁平型電界放出素子の製造方法の各種の変形
例とすることもできる。
【0122】 [表4] メッキ浴組成:塩化アンモニウム 1重量% ホウ酸 2重量% 硫酸ニッケル 4重量% ドデシル硫酸ナトリウム 0.1重量% メッキ浴温度:50゜C 印加電流 :陽極/ゲート電極間 25mA/dm2 :ゲート電極/カソード電極間 0.5mA/dm2 電位 :陽極の電位VA :10ボルト ゲート電極電位VG : 2ボルト カソード電極電位VC:−5ボルト メッキ時間 :10分
【0123】[クラウン型電界放出素子]クラウン型電
界放出素子の模式的な一部端面図を図28の(A)に示
し、一部を切り欠いた模式的な斜視図を図28の(B)
に示す。クラウン型電界放出素子は、支持体10上に形
成されたカソード電極11と、支持体10及びカソード
電極11上に形成された絶縁層12と、絶縁層12上に
形成されたゲート電極13と、ゲート電極13及び絶縁
層12を貫通する第1開口部及び第2開口部(以下、第
1開口部と第2開口部を総称して開口部14と呼ぶ場合
がある)と、開口部14の底部に位置するカソード電極
11の部分の上に設けられたクラウン(王冠)型の電子
放出部15Bから構成されている。
【0124】以下、クラウン型電界放出素子の製造方法
を、支持体等の模式的な一部端面図等である図26〜図
28を参照して説明する。
【0125】[工程−C0]先ず、例えばガラス基板か
ら成る支持体10上に、ストライプ状のカソード電極1
1を形成する。尚、カソード電極11は、図面の紙面左
右方向(第1の方向)に延びている。ストライプ状のカ
ソード電極11は、例えば支持体10上にITO膜をス
パッタリング法により約0.2μmの厚さに全面に亙っ
て成膜した後、ITO膜をパターニングすることによっ
て形成することができる。次に、支持体10及びカソー
ド電極11上に絶縁層12を形成する。ここでは、一例
としてガラスペーストを全面に約3μmの厚さにスクリ
ーン印刷する。次に、絶縁層12に含まれる水分や溶剤
を除去し、且つ、絶縁層12を平坦化するために、例え
ば100゜C、10分間の仮焼成、及び500゜C、2
0分間の本焼成といった2段階の焼成を行う。尚、上述
のようなガラスペーストを用いたスクリーン印刷に替え
て、例えばプラズマCVD法によりSiO2層を形成し
てもよい。
【0126】次に、絶縁層12上に、ストライプ状のゲ
ート電極13を形成する(図26の(A)参照)。尚、
ゲート電極13は、図面の紙面垂直方向(第2の方向)
に延びている。ゲート電極13は、例えば、絶縁層12
上に厚さ約20nmのクロム(Cr)膜と厚さ0.2μ
mの金(Au)膜を電子ビーム蒸着法によりこの順に全
面に成膜し、続いてこの積層膜をパターニングすること
により形成することができる。尚、クロム膜は、絶縁層
12に対する金膜の密着性の不足を補うために形成され
る。ゲート電極13の射影像の延びる方向は、ストライ
プ状のカソード電極11の射影像の延びる方向と90度
を成す。
【0127】[工程−C1]次に、例えばフォトレジス
ト材料から成るエッチング用マスクを用いてゲート電極
13及び絶縁層12をRIE法に基づきエッチングし、
ゲート電極13及び絶縁層12に開口部14を形成し、
開口部14の底部にカソード電極11を露出させる(図
26の(B)参照)。開口部14の直径を約2〜50μ
mとする。
【0128】[工程−C2]次に、エッチング用マスク
を除去し、ゲート電極13上、絶縁層12上、及び開口
部14の側壁面上に剥離層50を形成する(図27の
(A)参照)。かかる剥離層50を形成するには、例え
ば、フォトレジスト材料をスピンコーティング法により
全面に塗布し、開口部14の底部の一部分(中央部)の
みを除去するようなパターニングを行えばよい。この時
点で、開口部14の実質的な直径は、約1〜20μmに
縮径される。
【0129】[工程−C3]次に、図27の(B)に示
すように、全面に組成物原料から成る導電性組成物層5
1を形成する。ここで使用する組成物原料は、例えば、
導電性粒子として平均粒径約0.1μmの黒鉛粒子を6
0重量%、バインダとして4号の水ガラスを40重量%
含む。この組成物原料を、例えば1400rpm、10
秒間の条件で全面にスピンコートする。開口部14内に
おける導電性組成物層51の表面は、組成物原料の表面
張力に起因して、開口部14の側壁面に沿って迫り上が
り、開口部14の中央部に向かって窪む。その後、導電
性組成物層51に含まれる水分を除去するための仮焼成
を、例えば大気中、400゜Cで30分間行う。
【0130】尚、王冠状の電子放出部15Bの直径を概
ね1〜20μmとし、導電性粒子としてカーボン系材料
粒子を使用した場合、カーボン系材料粒子の粒径は概ね
0.1μm〜1μmの範囲とすることが好ましい。カー
ボン系材料粒子の粒径をかかる範囲に選択することによ
り、王冠状の電子放出部15Bの縁部に十分に高い機械
的強度が備わり、且つ、カソード電極11に対する電子
放出部15Bの密着性が良好となる。
【0131】[工程−C4]次に、図27の(C)に示
すように、剥離層50を除去する。剥離は、2重量%の
水酸化ナトリウム水溶液中に、30秒間浸漬することに
より行う。このとき、超音波振動を加えながら剥離を行
ってもよい。これにより、剥離層50と共に剥離層50
上の導電性組成物層51の部分が除去され、開口部14
の底部に露出したカソード電極11上の導電性組成物層
51の部分のみが残される。この残存した部分が電子放
出部15Bとなる。電子放出部15Bの形状は、表面が
開口部14の中央部に向かって窪み、王冠状となる。
[工程−C4]が終了した時点における状態を、図28
に示す。図28の(B)は、電界放出素子の一部を示す
模式的な斜視図であり、図28の(A)は図28の
(B)の線A−Aに沿った模式的な一部端面図である。
図28の(B)では、電子放出部15Bの全体が見える
ように、絶縁層12とゲート電極13との一部を切り欠
いている。尚、1つの電子放出領域には、5〜100個
程度の電子放出部15Bを設けることで十分である。
尚、導電性粒子が電子放出部15Bの表面に確実に露出
するように、電子放出部15Bの表面に露出したバイン
ダをエッチングによって除去してもよい。
【0132】[工程−C5]次に、電子放出部15Bの
焼成を行う。焼成は、乾燥大気中、400゜C、30分
間の条件で行う。尚、焼成温度は、組成物原料に含まれ
るバインダの種類に応じて選択すればよい。例えば、バ
インダが水ガラスのような無機材料である場合には、無
機材料を焼成し得る温度で熱処理を行えばよい。バイン
ダが熱硬化性樹脂である場合には、熱硬化性樹脂を硬化
し得る温度で熱処理を行えばよい。但し、導電性粒子同
士の密着性を保つために、熱硬化性樹脂が過度に分解し
たり炭化する虞のない温度で熱処理を行うことが好適で
ある。いずれのバインダを用いるにしても、熱処理温度
は、ゲート電極やカソード電極、絶縁層に損傷や欠陥が
生じない温度とする必要がある。熱処理雰囲気は、ゲー
ト電極やカソード電極の電気抵抗率が酸化によって上昇
したり、あるいはゲート電極やカソード電極に欠陥や損
傷が生ずることがないように、不活性ガス雰囲気とする
ことが好ましい。尚、バインダとして熱可塑性樹脂を使
用した場合には、熱処理を必要としない場合がある。
【0133】[扁平型電界放出素子(その2)]扁平型
電界放出素子の模式的な一部断面図を、図29の(C)
に示す。扁平型電界放出素子は、例えばガラスから成る
支持体10上に形成されたカソード電極11、支持体1
0及びカソード電極11上に形成された絶縁層12、絶
縁層12上に形成されたゲート電極13、ゲート電極1
3及び絶縁層12を貫通する開口部14、並びに、開口
部14の底部に位置するカソード電極11の部分の上に
設けられた扁平の電子放出部(電子放出層15C)から
成る。ここで、電子放出層15Cは、図29の(C)の
紙面垂直方向(第1の方向)に延びたストライプ状のカ
ソード電極11上に形成されている。また、ゲート電極
13は、図29の(C)の紙面左右方向(第2の方向)
に延びている。カソード電極11及びゲート電極13は
クロムから成る。電子放出層15Cは、具体的には、グ
ラファイト粉末から成る薄層から構成されている。図2
9の(C)に示した扁平型電界放出素子においては、カ
ソード電極11の表面の全域に亙って、電子放出層15
Cが形成されているが、このような構造に限定するもの
ではなく、要は、少なくとも開口部14の底部に電子放
出層15Cが設けられていればよい。
【0134】以下、支持体等の模式的な一部断面図であ
る図29を参照して、扁平型電界放出素子の製造方法を
説明する。
【0135】[工程−D0]先ず、支持体10上に、ク
ロム(Cr)から成るカソード電極用導電材料層をスパ
ッタリング法にて形成した後、リソグラフィ技術及びド
ライエッチング技術に基づきカソード電極用導電材料層
をパターニングする。これによって、ストライプ状のカ
ソード電極11を支持体10上に形成することができる
(図29の(A)参照)。尚、カソード電極11は、図
29の紙面垂直方向(第1の方向)に延びている。
【0136】[工程−D1]次に、カソード電極11上
に、電子放出層15Cを形成する。具体的には、カソー
ド電極11の上にグラファイト粉末塗料から成る電子放
出層15Cをスピンコーティング法にて形成し、電子放
出層15Cを乾燥させる。その後、電子放出層15Cを
公知の方法に基づきパターニングする(図29の(B)
参照)。
【0137】[工程−D2]次に、全面に絶縁層12を
形成する。具体的には、電子放出層15C及び支持体1
0上に、例えば、スパッタリング法にてSiO2から成
る絶縁層12を形成する。尚、絶縁層12を、ガラスペ
ーストをスクリーン印刷する方法や、SiO 2層をCV
D法にて形成する方法に基づき形成することもできる。
その後、ストライプ状のゲート電極13を絶縁層12上
に形成する。
【0138】[工程−D3]次に、エッチング用マスク
を設けた後、ゲート電極13及び絶縁層12に開口部1
4を形成し、開口部14の底部に電子放出層15Cを露
出させる。その後、エッチング用マスクを除去し、電子
放出層15C中の有機溶剤を除去するために、400゜
C、30分の熱処理を施す。こうして、図29の(C)
に示した電界放出素子を得ることができる。
【0139】[扁平型電界放出素子(その3)]この扁
平型電界放出素子の変形例の模式的な一部断面図を、図
30の(C)に示す。図30の(C)に示す扁平型電界
放出素子においては、電子放出層15Cの構造が、図2
9の(C)に示した扁平型電界放出素子と若干異なって
いる。以下、支持体等の模式的な一部断面図である図3
0を参照して、かかる電界放出素子の製造方法を説明す
る。
【0140】[工程−E0]先ず、支持体10上にカソ
ード電極用導電材料層を形成する。具体的には、支持体
10の全面にレジスト材料層(図示せず)を形成した
後、カソード電極を形成すべき部分のレジスト材料層を
除去する。その後、全面にクロム(Cr)から成るカソ
ード電極用導電材料層をスパッタリング法にて形成す
る。次いで、カソード電極用導電材料層の上にグラファ
イト粉末塗料層をスピンコーティング法にて形成し、グ
ラファイト粉末塗料層を乾燥させる。その後、剥離液を
用いてレジスト材料層を除去すると、レジスト材料層上
に形成されたカソード電極用導電材料層及びグラファイ
ト粉末塗料層も除去される。こうして、カソード電極1
1及び電子放出層15Cが積層された構造を得ることが
できる(図30の(A)参照)。
【0141】[工程−E1]次に、全面に絶縁層12を
形成した後、絶縁層12上にストライプ状のゲート電極
13を形成する(図30の(B)参照)。その後、ゲー
ト電極13及び絶縁層12に開口部14を形成すること
によって、開口部14の底部に電子放出層15Cを露出
させる(図30の(C)参照)。
【0142】[平面型電界放出素子(その1)]平面型
電界放出素子の模式的な一部断面図を、図31の(C)
に示す。この平面型電界放出素子は、例えばガラスから
成る支持体10上に形成されたストライプ状のカソード
電極11、支持体10及びカソード電極11上に形成さ
れた絶縁層12、絶縁層12上に形成されたストライプ
状のゲート電極13、並びに、ゲート電極13及び絶縁
層12を貫通する第1開口部及び第2開口部(開口部1
4)から成る。開口部14の底部にはカソード電極11
が露出している。カソード電極11は、図31の(C)
の紙面垂直方向(第1の方向)に延び、ゲート電極13
は、図31の(C)の紙面左右方向(第2の方向)に延
びている。カソード電極11及びゲート電極13はクロ
ム(Cr)から成り、絶縁層12はSiO2から成る。
ここで、開口部14の底部に露出したカソード電極11
の部分が電子放出部15Dに相当する。
【0143】以下、支持体等の模式的な一部断面図であ
る図31を参照して、平面型電界放出素子の製造方法を
説明する。
【0144】[工程−F0]先ず、支持体10上に電子
放出部15Dとして機能するカソード電極11を形成す
る。具体的には、支持体10上に、クロム(Cr)から
成るカソード電極用導電材料層をスパッタリング法にて
形成した後、リソグラフィ技術及びドライエッチング技
術に基づきカソード電極用導電材料層をパターニングす
る。これによって、ストライプ状のカソード電極11を
支持体10上に形成することができる(図31の(A)
参照)。尚、カソード電極11は、図31の紙面垂直方
向(第1の方向)に延びている。
【0145】[工程−F1]次に、例えばCVD法にて
SiO2から成る絶縁層12を、支持体10及びカソー
ド電極11の上に形成する。尚、絶縁層12を、スクリ
ーン印刷法に基づきガラスペーストから形成することも
できる。
【0146】[工程−F2]その後、ストライプ状のゲ
ート電極13を絶縁層12上に形成する。具体的には、
先ず、全面にクロムから成る導電材料層をスパッタリン
グ法にて形成した後、リソグラフィ技術及びドライエッ
チング技術に基づき導電材料層をパターニングする。こ
れによって、ストライプ状のゲート電極13を形成する
ことができる(図31の(B)参照)。尚、ゲート電極
13は、図31の紙面左右方向(第2の方向)に延びて
いる。例えばスクリーン印刷法にて、ストライプ状のゲ
ート電極13を絶縁層12上に、直接形成することもで
きる。
【0147】[工程−F3]次に、ゲート電極13及び
絶縁層12に開口部14を形成し、開口部14の底部に
電子放出部15Dとして機能するカソード電極11を露
出させる(図31の(C)参照)。
【0148】[平面型電界放出素子(その2)]図32
の(A)に模式的な一部断面図を示す平面型電界放出素
子が図31の(C)に示した平面型電界放出素子と相違
する点は、開口部14の底部に露出したカソード電極1
1の表面(電子放出部15Dに相当する)に、微小凹凸
部11Aが形成されている点にある。このような平面型
電界放出素子は、以下の製造方法にて製造することがで
きる。
【0149】[工程−G0]先ず、[工程−F0]〜
[工程−F2]と略同様にして、支持体10上にストラ
イプ状のカソード電極11を形成し、全面に絶縁層12
を形成した後、ストライプ状のゲート電極13を絶縁層
12上に形成する。即ち、例えばガラス基板から成る支
持体10の上に、スパッタリング法により厚さ約0.2
μmのタングステン層を成膜し、通常の手順に従ってこ
のタングステン層をストライプ状にパターニングし、カ
ソード電極11を形成する。次に、支持体10及びカソ
ード電極11上に絶縁層12を形成する。絶縁層12
は、TEOS(テトラエトキシシラン)を原料ガスとし
て用いるCVD法により形成することができる。更に、
この絶縁層12の上に、例えば厚さ約0.2μmのクロ
ムから成る導電材料層を成膜し、ストライプ状にパター
ニングして、ゲート電極13を形成する。ここまでのプ
ロセスが終了した状態は、実質的に、図31の(B)に
示したと同様である。
【0150】[工程−G1]次に、[工程−F3]と同
様にして、ゲート電極13及び絶縁層12に開口部14
を形成し、開口部14の底部にカソード電極11を露出
させる。その後、開口部14の底部に露出したカソード
電極11の部分に、微小凹凸部11Aを形成する。微小
凹凸部11Aの形成に際しては、エッチングガスとして
SF6を用い、カソード電極11を構成するタングステ
ンの結晶粒のエッチング速度よりも粒界とエッチング速
度の方が早くなるようなエッチング条件を設定してRI
E法に基づくドライエッチングを行う。その結果、タン
グステンの結晶粒径をほぼ反映した寸法を有する微小凹
凸部11Aを形成することができる。
【0151】このような平面型電界放出素子の構成にお
いては、カソード電極11の微小凹凸部11A、より具
体的には微小凹凸部11Aの凸部に、ゲート電極13か
ら大きな電界が加わる。このとき、凸部に集中する電界
は、カソード電極11の表面が平滑である場合に比べて
大きいため、凸部からは量子トンネル効果によって電子
が効率良く放出される。従って、開口部14の底部に単
に平滑なカソード電極11が露出している平面型電界放
出素子に比べて、表示装置に組み込まれた場合の輝度の
向上が期待できる。それ故、図32の(A)に示した平
面型電界放出素子によれば、ゲート電極13とカソード
電極11との間の電位差が比較的小さくても、十分な放
出電子電流密度を得ることができ、表示装置の高輝度化
が達成される。あるいは、同じ輝度を達成するために必
要なゲート電圧が低くて済み、以て、低消費電力化を達
成することが可能である。
【0152】尚、絶縁層12をエッチングすることによ
って開口部14を形成し、その後に異方性エッチング技
術に基づきカソード電極11に微小凹凸部11Aを形成
したが、開口部14を形成するためのエッチングによっ
て、微小凹凸部11Aを同時に形成することも可能であ
る。即ち、絶縁層12をエッチングする際に、ある程度
のイオンスパッタ作用が期待できる異方的なエッチング
条件を採用し、垂直壁を有する開口部14が形成された
後もエッチングを継続することにより、開口部14の底
部に露出したカソード電極11の部分に微小凹凸部11
Aを形成することができる。その後、絶縁層12の等方
性エッチングを行えばよい。
【0153】また、[工程−F0]と同様の工程におい
て、支持体10上に、タングステンから成るカソード電
極用導電材料層をスパッタリング法にて形成した後、リ
ソグラフィ技術及びドライエッチング技術に基づきカソ
ード電極用導電材料層をパターニングし、次いで、カソ
ード電極用導電材料層の表面に微小凹凸部11Aを形成
した後、[工程−F1]〜[工程−F3]と同様の工程
を実行することによって、図32の(A)に示したと同
様の電界放出素子を作製することもできる。
【0154】あるいは又、[工程−F0]と同様の工程
において、支持体10上に、タングステンから成るカソ
ード電極用導電材料層をスパッタリング法にて形成した
後、カソード電極用導電材料層の表面に微小凹凸部11
Aを形成し、次いで、リソグラフィ技術及びドライエッ
チング技術に基づきカソード電極用導電材料層をパター
ニングした後、[工程−F1]〜[工程−F3]と同様
の工程を実行することによって、図32の(A)に示し
たと同様の電界放出素子を作製することもできる。
【0155】図32の(B)には、図32の(A)に示
した電界放出素子の変形例を示す。図32の(B)に示
す電界放出素子においては、微小凹凸部11Aの先端部
の平均高さ位置が、絶縁層12の下面位置よりも支持体
10側に存在している(即ち、下がっている)。かかる
電界放出素子を形成するには、[工程−G1]における
ドライエッチングの継続時間を延長すればよい。このよ
うな構成によれば、開口部14の中央部近傍の電界強度
を一層高めることができる。
【0156】図33には、電子放出部15Dに相当する
カソード電極11の表面(より具体的には、少なくとも
微小凹凸部11A上)に被覆層11Bが形成されている
平面型電界放出素子を示す。
【0157】この被覆層11Bは、カソード電極11を
構成する材料よりも仕事関数Φの小さい材料から構成す
ることが好ましく、どのような材料を選択するかは、カ
ソード電極11を構成する材料の仕事関数、ゲート電極
13とカソード電極11との間の電位差、要求される放
出電子電流密度の大きさ等に基づいて決定すればよい。
被覆層11Bの構成材料として、アモルファスダイヤモ
ンドを例示することができる。被覆層11Bをアモルフ
ァスダイヤモンドを用いて構成した場合には、5×10
7V/m以下の電界強度にて、表示装置に必要な放出電
子電流密度を得ることができる。
【0158】被覆層11Bの厚さは、微小凹凸部11A
を反映し得る程度に選択する。これは、被覆層11Bに
よって微小凹凸部11Aの凹部が埋め込まれ、電子放出
部の表面が平滑化されてしまっては、微小凹凸部11A
を設けた意味が無くなるからである。従って、微小凹凸
部11Aの寸法にも依るが、例えば微小凹凸部11Aが
電子放出部の結晶粒径を反映して形成されている場合に
は、被覆層11Bの厚さを概ね30〜100nm程度に
選択することが好ましい。また、微小凹凸部11Aの先
端部の平均高さ位置を絶縁層の下面位置よりも下げる場
合には、厳密には、被覆層11Bの先端部の平均高さ位
置を絶縁層の下面位置よりも下げることが、一層好まし
い。
【0159】具体的には、[工程−G1]の後、全面に
例えばCVD法によりアモルファスダイヤモンドから成
る被覆層11Bを形成すればよい。尚、被覆層11B
は、ゲート電極13及び絶縁層12の上に形成されたエ
ッチング用マスク(図示せず)の上にも堆積するが、こ
の堆積部分はエッチング用マスクの除去時、同時に除去
される。原料ガスとして例えばCH4/H2混合ガスや、
CO/H2混合ガスを使用したCVD法に基づき被覆層
11Bを形成することができ、それぞれ炭素を含む化合
物の熱分解によってアモルファスダイヤモンドから成る
被覆層11Bが形成される。
【0160】あるいは又、[工程−F0]と同様の工程
において、支持体10上に、タングステンから成るカソ
ード電極用導電材料層をスパッタリング法にて形成した
後、リソグラフィ技術及びドライエッチング技術に基づ
きカソード電極用導電材料層をパターニングし、その
後、カソード電極用導電材料層の表面に微小凹凸部11
Aを形成し、次いで、被覆層11Bを形成した後、[工
程−F1]〜[工程−F3]と同様の工程を実行するこ
とによって、図33に示す電界放出素子を作製すること
もできる。
【0161】あるいは又、[工程−F0]と同様の工程
において、支持体10上に、タングステンから成るカソ
ード電極用導電材料層をスパッタリング法にて形成した
後、カソード電極用導電材料層の表面に微小凹凸部11
Aを形成し、次いで、被覆層11Bを形成した後、リソ
グラフィ技術及びドライエッチング技術に基づき被覆層
11B、カソード電極用導電材料層をパターニングした
後、[工程−F1]〜[工程−F3]と同様の工程を実
行することによって、図33に示す電界放出素子を作製
することもできる。
【0162】あるいは又、被覆層を構成する材料とし
て、かかる材料の2次電子利得δがカソード電極を構成
する導電性材料の2次電子利得δよりも大きくなるよう
な材料を適宜選択することもできる。
【0163】尚、図31の(C)に示した平面型電界放
出素子の電子放出部15D(カソード電極11の表面)
に被覆層を形成してもよい。この場合には、[工程−F
3]の後、開口部14の底部に露出したカソード電極1
1の表面に被覆層11Bを形成すればよく、あるいは
又、[工程−F0]において、例えば、支持体10上に
カソード電極用導電材料層を形成した後、カソード電極
用導電材料層上に被覆層11Bを形成し、次いで、リソ
グラフィ技術及びドライエッチング技術に基づき、これ
らの層をパターニングすればよい。
【0164】[クレータ型電界放出素子(その1)]ク
レータ型電界放出素子の模式的な一部断面図を、図37
の(B)に示す。クレータ型電界放出素子においては、
電子を放出する複数の隆起部111Aと、各隆起部11
1Aに囲まれた凹部111Bとを有するカソード電極1
11が、支持体10上に備えられている。尚、絶縁層1
2及びゲート電極13を取り除いた模式的な斜視図を図
36の(B)に示す。
【0165】凹部の形状は特に限定されないが、典型的
には略球面を成す。これは、かかるクレータ型電界放出
素子の製造方法において球体が使用され、凹部111B
が球体の形状の一部を反映して形成されることと関連し
ている。従って、凹部111Bが略球面を成す場合、凹
部111Bを囲む隆起部111Aは円環状となり、この
場合の凹部111Bと隆起部111Aとは、全体として
クレータあるいはカルデラのような形状を呈する。隆起
部111Aは電子を放出する部分であるため、電子放出
効率を高める観点からは、その先端部111Cが先鋭で
あることが特に好ましい。隆起部111Aの先端部11
1Cのプロファイルは、不規則な凹凸を有していても、
あるいは滑らかであってもよい。1画素内における隆起
部111Aの配置は規則的であってもランダムであって
もよい。尚、凹部111Bは、凹部111Bの周方向に
沿って連続した隆起部111Aにより囲まれていてもよ
いし、場合によっては、凹部111Bの周方向に沿って
不連続な隆起部111Aにより囲まれていてもよい。
【0166】このようなクレータ型電界放出素子の製造
方法において、支持体上にストライプ状のカソード電極
を形成する工程は、より具体的には、複数の球体を被覆
したストライプ状のカソード電極を支持体上に形成する
工程と、球体を除去することによって、球体を被覆した
カソード電極の部分を除去し、以て、電子を放出する複
数の隆起部と、各隆起部に囲まれ、且つ、球体の形状の
一部を反映した凹部とを有するカソード電極を形成する
工程、から成る。
【0167】球体の状態変化及び/又は化学変化によっ
て、球体を除去することが好ましい。ここで、球体の状
態変化及び/又は化学変化とは、膨張、昇華、発泡、ガ
ス発生、分解、燃焼、炭化等の変化若しくはこれらの組
合せを意味する。例えば、球体が有機材料から成る場
合、球体を燃焼させることによって除去することが一層
好ましい。尚、球体の除去と球体を被覆するカソード電
極の部分の除去、あるいは、球体の除去と球体を被覆す
るカソード電極、絶縁層及びゲート電極の部分の除去
は、必ずしも同時に起こらなくてもよい。例えば、球体
を被覆するカソード電極の部分、あるいはこれに加えて
絶縁層やゲート電極の部分を除去した後に球体の一部が
残存している場合、残存した球体の除去を後から行えば
よい。
【0168】特に、球体が有機材料から成る場合、球体
を例えば燃焼させると、例えば、一酸化炭素、二酸化炭
素、水蒸気が発生し、球体近傍の閉鎖空間の圧力が高ま
り、球体近傍のカソード電極は或る耐圧限界を超えた時
点で破裂する。この破裂の勢いによって、球体を被覆す
るカソード電極の部分が飛散し、隆起部及び凹部が形成
され、しかも、球体が除去される。あるいは又、球体を
例えば燃焼させると、同様の機構に基づき、カソード電
極と絶縁層とゲート電極は或る耐圧限界を超えた時点で
破裂する。この破裂の勢いによって、球体を被覆するカ
ソード電極と絶縁層とゲート電極の部分が飛散し、隆起
部及び凹部と同時に開口部が形成され、しかも、球体が
除去される。即ち、球体を除去する以前には絶縁層及び
ゲート電極には開口部が存在せず、球体の除去に伴って
開口部が形成される。このとき、球体の燃焼の初期過程
は閉鎖空間内で進行するため、球体の一部は炭化する可
能性もある。球体を被覆するカソード電極の部分の厚さ
を、破裂によって飛散し得る程度に薄くすることが好ま
しい。また、球体を被覆するカソード電極、絶縁層及び
ゲート電極の部分の厚さを、破裂によって飛散し得る程
度に薄くすることが好ましく、特に、絶縁層について
は、球体を被覆していない部分の厚さを球体の直径と同
程度にすることが好適である。
【0169】後述する[クレータ型電界放出素子(その
3)]においても、球体の状態変化及び/又は化学変化
によって球体を除去することができるが、カソード電極
の破裂を伴わないので、外力によって除去を行う方が簡
便な場合もある。また、後述する[クレータ型電界放出
素子(その4)]では、球体を除去する前の時点で既に
開口部が完成されているが、開口部の大きさが球体の直
径よりも大きい場合には、球体を外力によって除去する
ことができる。ここで、外力とは、空気又は不活性ガス
の吹付け圧力、洗浄液の吹付け圧力、磁気吸引力、静電
気力、遠心力等の物理的な力である。尚、[クレータ型
電界放出素子(その3)]あるいは[クレータ型電界放
出素子(その4)]においては、[クレータ型電界放出
素子(その1)]と異なり、球体を被覆する部分のカソ
ード電極、あるいは、場合によっては、更に絶縁層やゲ
ート電極を飛散させる必要がないので、カソード電極、
絶縁層あるいはゲート電極の残渣が発生し難いという利
点がある。
【0170】後述する[クレータ型電界放出素子(その
3)]あるいは[クレータ型電界放出素子(その4)]
で使用される球体は、少なくとも表面が、カソード電
極、構成に依っては絶縁層やゲート電極を構成する材料
の各界面張力(表面張力)に比べて、大きな界面張力を
有する材料から構成されていることが好ましい。これに
より、[クレータ型電界放出素子(その4)]では、カ
ソード電極、絶縁層及びゲート電極は球体の少なくとも
頂部を被覆することがなく、開口部が最初から絶縁層及
びゲート電極に形成された状態が得られる。開口部の直
径がどの程度になるかは、例えば、カソード電極、絶縁
層やゲート電極を構成する材料の厚さと球体の直径との
関係や、カソード電極、絶縁層やゲート電極の形成方
法、カソード電極、絶縁層やゲート電極を構成する材料
の界面張力(表面張力)に依存する。
【0171】後述する[クレータ型電界放出素子(その
3)]あるいは[クレータ型電界放出素子(その4)]
において、球体は、少なくとも表面が界面張力に関する
上述の条件を満たしていればよい。つまり、カソード電
極、絶縁層及びゲート電極の各界面張力よりも大きな界
面張力を有している部分は、球体の表面のみであっても
全体であってもよく、また、球体の表面及び/又は全体
の構成材料は、無機材料、有機材料、あるいは無機材料
と有機材料の組合せのいずれであってもよい。[クレー
タ型電界放出素子(その3)]あるいは[クレータ型電
界放出素子(その4)]において、カソード電極やゲー
ト電極が通常の金属系材料から構成され、絶縁層がガラ
ス等の酸化シリコン系材料から構成される場合、金属系
材料の表面には吸着水分に由来する水酸基、絶縁層の表
面にはSi−O結合のダングリング・ボンドと吸着水分
とに由来する水酸基が存在し、親水性の高い状態にある
のが普通である。従って、疎水性の表面処理層を有する
球体を用いることが、特に有効である。疎水性の表面処
理層の構成材料として、フッ素系樹脂、例えばポリテト
ラフルオロエチレンを挙げることができる。球体が疎水
性の表面処理層を有する場合、疎水性の表面処理層の内
側の部分を芯材と称することにすると、芯材の構成材料
は、ガラス、セラミックス、フッ素系樹脂以外の高分子
材料のいずれであってもよい。
【0172】球体を構成する有機材料は特に限定されな
いが、汎用の高分子材料が好適である。但し、重合度が
極端に大きかったり、多重結合含有量が極端に多い高分
子材料では、燃焼温度が高くなり過ぎ、燃焼による球体
の除去時、カソード電極や絶縁層、ゲート電極に悪影響
が及ぶ虞がある。それ故、これらに対する悪影響が生じ
る虞のない温度にて燃焼若しくは炭化させることが可能
な高分子材料を選択することが好ましい。特に、絶縁層
をガラスペーストのような、後工程において焼成を要す
る材料を用いて形成する場合には、工数をなるべく減少
させる観点から、ガラスペーストの焼成温度にて燃焼若
しくは炭化可能な高分子材料を選択することが好適であ
る。ガラスペーストの典型的な焼成温度は約530゜C
なので、かかる高分子材料の燃焼温度は350〜500
゜C程度であることが好ましい。代表的な高分子材料と
して、スチレン系、ウレタン系、アクリル系、ビニル
系、ジビニルベンゼン系、メラミン系、ホルムアルデヒ
ド系、ポリメチレン系のホモポリマー又は共重合体を挙
げることができる。あるいは又、球体として、支持体上
での確実な配置を確保するために、付着力を有する固着
タイプの球体を使用することもできる。固着タイプの球
体として、アクリル系樹脂から成る球体を例示すること
ができる。
【0173】あるいは又、例えば、塩化ビニリデン・ア
クリロニトリル共重合体を外殻とし、発泡材としてイソ
ブタンを内包し、カプセル化した加熱膨張型マイクロス
フェアを球体として使用することができる。[クレータ
型電界放出素子(その1)]において、かかる加熱膨張
型マイクロスフェアを用い、熱膨張型マイクロスフェア
を加熱すると、外殻のポリマーが軟化し、しかも、内包
されたイソブタンがガス化して膨張する結果、粒径が膨
張前と比較して約4倍程度の真球の中空体が形成され
る。その結果、[クレータ型電界放出素子(その1)]
において、電子を放出する隆起部、及び、隆起部に囲ま
れ、且つ、球体の形状の一部を反映した凹部を、カソー
ド電極に形成することができる。また、かかる凹部や隆
起部に加え、ゲート電極及び絶縁層を貫通した開口部を
形成することもできる。尚、熱膨張型マイクロスフェア
の加熱による膨張も、本明細書においては、球体の除去
という概念に包含する。その後、熱膨張型マイクロスフ
ェアを適切な溶剤を用いて取り除けばよい。
【0174】[クレータ型電界放出素子(その1)]に
おいては、支持体上に複数の球体を配置した後、球体を
被覆するカソード電極を形成すればよい。この場合にお
いては、あるいは又、後述する[クレータ型電界放出素
子(その3)]あるいは[クレータ型電界放出素子(そ
の4)]においては、支持体上への複数の球体の配置方
法として、球体を支持体上に散布する乾式法を挙げるこ
とができる。球体の散布には、例えば、液晶表示装置の
製造分野において、パネル間隔を一定に維持するための
スペーサを散布する技術を応用することができる。具体
的には、圧搾気体で球体をノズルから噴射する、所謂ス
プレーガンを用いることができる。尚、球体をノズルか
ら噴射する際、球体を揮発性の溶剤中に分散させた状態
としてもよい。あるいは、静電粉体塗装の分野で通常使
用されている装置や方法を利用して球体を散布すること
もできる。例えば、コロナ放電を利用して、静電粉体吹
付けガンにより負に帯電させた球体を、接地した支持体
に向かって吹き付けることができる。使用する球体は、
後述するように非常に小さいため、支持体上に散布され
ると支持体の表面に例えば静電気力によって付着し、以
降の工程においても容易に支持体から脱落することはな
い。支持体上に複数の球体の配置した後、球体を加圧す
れば、支持体上の複数の球体の重なりを解消することが
でき、球体を支持体上で単層に密に配置することができ
る。
【0175】あるいは、後述する[クレータ型電界放出
素子(その2)]のように、球体とカソード電極材料と
を分散媒中に分散させて成る組成物から成る組成物層を
支持体上に形成し、以て、支持体上に複数の球体を配置
し、カソード電極材料から成るカソード電極で球体を被
覆した後、分散媒を除去することもできる。組成物の性
状としては、スラリーやペーストが可能であり、これら
の所望の性状に応じ、分散媒の組成や粘度を適宜選択す
ればよい。組成物層を支持体上に形成する方法として
は、スクリーン印刷法が好適である。カソード電極材料
は、典型的には、分散媒中における沈降速度が球体より
も遅い微粒子であることが好適である。かかる微粒子を
構成する材料として、カーボン、バリウム、ストロンチ
ウム、鉄を挙げることができる。分散媒を除去した後、
必要に応じてカソード電極の焼成を行う。組成物層を支
持体上に形成する方法としては、噴霧法、滴下法、スピ
ンコーティング法、スクリーン印刷法を挙げることがで
きる。尚、球体が配置されると共に、カソード電極材料
から成るカソード電極で球体が被覆されるが、組成物層
の形成方法に依っては、かかるカソード電極のパターニ
ングを行う必要がある。
【0176】あるいは、後述する[クレータ型電界放出
素子(その3)]あるいは[クレータ型電界放出素子
(その4)]にあっては、球体を分散媒中に分散させて
成る組成物から成る組成物層を支持体上に形成し、以
て、支持体上に複数の球体を配置した後、分散媒を除去
することができる。組成物の性状としては、スラリーや
ペーストが可能であり、これらの所望の性状に応じ、分
散媒の組成や粘度を適宜選択すればよい。典型的には、
イソプロピルアルコール等の有機溶媒を分散媒として用
い、蒸発により分散媒を除去することができる。組成物
層を支持体上に形成する方法としては、噴霧法、滴下
法、スピンコーティング法、スクリーン印刷法を挙げる
ことができる。
【0177】ところで、ゲート電極とカソード電極は互
いに異なる方向(例えば、ストライプ状のゲート電極の
射影像とストライプ状のカソード電極の射影像とが成す
角度が90度)に延びており、且つ、例えばストライプ
状にパターニングされており、電子放出領域に位置する
隆起部から電子が放出される。従って、隆起部は、機能
上、電子放出領域にのみ存在すればよい。但し、たとえ
電子放出領域以外の領域に隆起部及び凹部が存在してい
たとしても、このような隆起部及び凹部は絶縁層に被覆
されたまま、何ら電子を放出するといった機能を果たさ
ない。従って、球体を全面に配置しても何ら問題は生じ
ない。
【0178】これに対して、球体を被覆したカソード電
極、絶縁層及びゲート電極(ゲート電極)の各部分を除
去する場合、個々の球体の配置位置と開口部の形成位置
とが一対一に対応するため、電子放出領域以外の領域に
も開口部が形成される。以下、電子放出領域以外の領域
に形成される開口部を「無効開口部」と呼び、電子放出
に寄与する本来の開口部と区別する。ところで、電子放
出領域以外の領域に無効開口部が形成されたとしても、
この無効開口部は電界放出素子として何ら機能せず、電
子放出領域に形成される電界放出素子の動作に何ら悪影
響を及ぼさない。なぜなら、無効開口部の底部に隆起部
及び凹部が露出していても、無効開口部の上端部にゲー
ト電極が形成されていないからであり、あるいは又、無
効開口部の上端部にゲート電極が形成されていても底部
に隆起部及び凹部が露出していないか、あるいは、無効
開口部の底部に隆起部及び凹部が露出しておらず、しか
も、上端部にゲート電極が形成されておらず、単に支持
体の表面が露出しているか、のいずれかであるからであ
る。従って、球体を全面に配置しても何ら問題は生じな
い。尚、電子放出領域とそれ以外の領域との境界線上に
形成された孔は、開口部に含まれる。
【0179】球体の直径は、所望の開口部の直径、凹部
の直径、電界放出素子を用いて構成される表示装置の表
示画面寸法、画素数、電子放出領域の寸法、1画素を構
成すべき電界放出素子の個数に応じて選択することがで
きるが、0.1〜10μmの範囲で選択することが好ま
しい。例えば、液晶表示装置のスペーサとして市販され
ている球体は、粒径分布が1〜3%と良好なので、これ
を利用することが好適である。球体の形状は真球である
ことが理想的ではあるが、必ずしも真球である必要はな
い。また、電界放出素子の製造方法に依っては、上述し
たように、球体の配置された場所に開口部か無効開口部
のいずれかが形成され得るが、支持体上には球体を10
0〜5000個/mm2程度の密度で配置することが好
適である。例えば球体を約1000個/mm2の密度で
支持体上に配置すると、例えば電子放出領域の寸法を仮
に0.5mm×0.2mmとした場合、この電子放出領
域内に約100個の球体が存在し、約100個の隆起部
が形成されることになる。1つの電子放出領域にこの程
度の個数の隆起部が形成されていれば、球体の粒径分布
や真球度のばらつきに起因する凹部の直径のばらつきは
ほぼ平均化され、実用上、1画素(又は1サブピクセ
ル)当たりの放出電子電流密度や輝度はほぼ均一とな
る。
【0180】[クレータ型電界放出素子(その1)]あ
るいは後述する[クレータ型電界放出素子(その2)]
〜[クレータ型電界放出素子(その4)]においては、
球体の形状の一部が電子放出部を構成する凹部の形状に
反映される。隆起部の先端部のプロファイルは、不規則
な凹凸を有していても、あるいは滑らかであってもよい
が、特に、[クレータ型電界放出素子(その1)]や
[クレータ型電界放出素子(その2)]においては、こ
の先端部はカソード電極の破断により形成されるため、
隆起部の先端部が不規則形状となり易い。破断により隆
起部に先端部が先鋭化すると、先端部が高効率の電子放
出部として機能し得るので、好都合である。[クレータ
型電界放出素子(その1)]〜[クレータ型電界放出素
子(その4)]においては、凹部を囲む隆起部はいずれ
も概ね円環状となり、この場合の凹部と隆起部とは、全
体としてクレータあるいはカルデラのような形状を呈す
る。
【0181】支持体上における隆起部の配置は規則的で
あってもランダムであってもよく、球体の配置方法に依
存する。上述の乾式法あるいは湿式法を採用した場合、
支持体上における隆起部の配置はランダムとなる。
【0182】[クレータ型電界放出素子(その1)]〜
[クレータ型電界放出素子(その4)]において、絶縁
層の形成後、絶縁層に開口部を形成する場合、隆起部の
先端部に損傷が生じないように、隆起部を得た後、保護
層を形成し、開口部の形成後、保護層を取り除く構成と
することもできる。保護層を構成する材料として、クロ
ムを例示することができる。
【0183】以下、図34〜図37を参照して、[クレ
ータ型電界放出素子(その1)]の電界放出素子の製造
方法を説明するが、図34の(A)、図35の(A)、
図36の(A)模式的な一部端面図であり、図37の
(A)及び(B)は模式的な一部断面図であり、図34
の(B)、図35の(B)及び図36の(B)は、図3
4の(A)、図35の(A)及び図36の(A)よりも
広い範囲を模式的に示す一部斜視図である。
【0184】[工程−H0]先ず、複数の球体60を被
覆したカソード電極111を支持体10上に形成する。
具体的には、先ず、例えばガラス基板から成る支持体1
0上の全面に、球体60を配置する。球体60は、例え
ばポリメチレン系の高分子材料から成り、平均直径約5
μm、粒径分布1%未満である。球体60を、スプレー
ガンを用い、支持体10上におおよそ1000個/mm
2の密度でランダムに配置する。スプレーガンを用いた
散布は、球体を揮発性溶剤と混合して噴霧する方式、あ
るいは粉末状態のままノズルから噴射する方式のいずれ
でもよい。配置された球体60は、静電気力で支持体1
0上に保持されている。この状態を図34の(A)及び
(B)に示す。
【0185】[工程−H1]次に、球体60及び支持体
10上にカソード電極111を形成する。カソード電極
111を形成した状態を、図35の(A)及び(B)に
示す。カソード電極111は、例えばカーボンペースト
をストライプ状にスクリーン印刷することによって形成
することができる。このとき、球体60は支持体10上
の全面に配置されているので、球体60の中には、図3
5の(B)に示すように、カソード電極111で被覆さ
れないものも当然存在する。次に、カソード電極111
に含まれる水分や溶剤を除去し、且つ、カソード電極1
11を平坦化するために、例えば150゜Cにてカソー
ド電極111を乾燥する。この温度では、球体60は何
ら状態変化及び/又は化学変化を起こさない。尚、上述
のようなカーボンペーストを用いたスクリーン印刷に替
えて、カソード電極111を構成するカソード電極用導
電材料層を全面に形成し、このカソード電極用導電材料
層を通常のリソグラフィ技術とドライエッチング技術を
用いてパターニングし、ストライプ状のカソード電極1
11を形成することもできる。リソグラフィ技術を適用
する場合、通常、レジスト層をスピンコーティング法に
より形成するが、スピンコーティング時の支持体10の
回転数が500rpm程度、回転時間が数秒間程度であ
れば、球体60は脱落したり変位することなく、支持体
10上に保持され得る。
【0186】[工程−H2]次に、球体60を除去する
ことによって、球体60を被覆したカソード電極111
の部分を除去し、以て、電子を放出する複数の隆起部1
11Aと、各隆起部111Aに囲まれ、且つ、球体60
の形状の一部を反映した凹部111Bとを有するカソー
ド電極111を形成する。この状態を、図36の(A)
及び(B)に示す。具体的には、カソード電極111の
焼成を兼ね、約530゜Cにて加熱を行うことにより球
体60を燃焼させる。球体60の燃焼に伴って球体60
が閉じ込められていた閉鎖空間の圧力が上昇し、球体6
0を被覆するカソード電極111の部分が或る耐圧限界
を超えた時点で破裂して除去される。その結果、支持体
10上に形成されたカソード電極111の一部分に、隆
起部111A及び凹部111Bが形成される。尚、球体
を除去した後に、球体の一部分が残渣として残る場合に
は、使用する球体を構成する材料にも依るが、適切な洗
浄液を用いて残渣を除去すればよい。
【0187】[工程−H3]その後、カソード電極11
1及び支持体10上に絶縁層12を形成する。具体的に
は、例えば、ガラスペーストを全面に約5μmの厚さに
スクリーン印刷する。次に、絶縁層12に含まれる水分
や溶剤を除去し、且つ、絶縁層12を平坦化するため
に、例えば150゜Cにて絶縁層12を乾燥する。上述
のようなガラスペーストを用いたスクリーン印刷に替え
て、例えばプラズマCVD法によりSiO2層を形成し
てもよい。
【0188】[工程−H4]次に、絶縁層12上に、ス
トライプ状のゲート電極13を形成する(図37の
(A)参照)。ゲート電極13は、例えばカーボンペー
ストをストライプ状にスクリーン印刷することによって
形成することができる。このときのストライプ状のゲー
ト電極13の射影像の延びる方向は、ストライプ状のカ
ソード電極111の射影像の延びる方向と90度の角度
を成している。次に、ゲート電極13に含まれる水分や
溶剤を除去し、且つ、ゲート電極13を平坦化するため
に、例えば150゜Cにてゲート電極13を乾燥した
後、ゲート電極13及び絶縁層12を構成する材料を焼
成する。尚、カーボンペーストを用いたスクリーン印刷
に替えて、ゲート電極13を構成するゲート電極を絶縁
層12の全面に形成し、次いで、ゲート電極を通常のリ
ソグラフィ技術とドライエッチング技術を用いてパター
ニングしてもよい。
【0189】[工程−H5]その後、ゲート電極13の
射影像とカソード電極111の射影像とが重複する領域
において、ゲート電極13及び絶縁層12に開口部14
を形成し、以て、開口部14の底部に複数の複数の隆起
部111A及び凹部111Bを露出させる。開口部14
の形成は、通常のリソグラフィ技術によるレジストマス
クの形成と、レジストマスクを用いたエッチングにより
行うことができる。但し、カソード電極111に対して
十分に高いエッチング選択比が確保できる条件でエッチ
ングを行うことが好ましい。あるいは又、隆起部111
Aを形成した後、例えば、クロムから成る保護層を形成
しておき、開口部14を形成した後、保護層を取り除く
ことが好ましい。その後、レジストマスクを除去する。
こうして、図37の(B)に示した電界放出素子を得る
ことができる。
【0190】尚、[クレータ型電界放出素子(その
1)]の製造方法の変形例として、[工程−H1]の
後、[工程−H3]〜[工程−H5]を実行し、次い
で、[工程−H2]を実行してもよい。この場合、球体
の燃焼とゲート電極13及び絶縁層12を構成する材料
の焼成を同時に行えばよい。
【0191】あるいは又、[工程−H1]の後、[工程
−H3]を実行し、更に、[工程−H4]と同様の工程
において、開口部を有していないストライプ状のゲート
電極を絶縁層上に形成した後、[工程−H2]を実行す
る。これによって、球体60を被覆したカソード電極1
11、絶縁層12及びゲート電極13の各部分が除去さ
れ、以て、ゲート電極13及び絶縁層12を貫通した開
口部が形成されると共に、電子を放出する隆起部111
Aと、隆起部111Aに囲まれ、且つ、球体60の形状
の一部を反映した凹部111Bとから成る電子放出部
を、開口部の底部に位置するカソード電極111に形成
することができる。即ち、球体60の燃焼に伴って球体
60が閉じ込められている閉鎖空間の圧力が上昇し、球
体を被覆する部分のカソード電極111と絶縁層12と
ゲート電極13とが或る耐圧限界を超えた時点で破裂
し、隆起部111A及び凹部111Bと同時に開口部が
形成され、しかも、球体60が除去される。開口部は、
ゲート電極13及び絶縁層12を貫通し、且つ、球体6
0の形状の一部を反映している。また、開口部の底部に
は、電子を放出する隆起部111A、及び、隆起部11
1Aに囲まれ、且つ、球体60の形状の一部を反映した
凹部111Bが残る。
【0192】[クレータ型電界放出素子(その2)]
[クレータ型電界放出素子(その2)]の製造方法を図
38を参照して説明するが、支持体10上に複数の球体
60を配置する工程が、球体60とカソード電極材料と
を分散媒中に分散させて成る組成物から成る組成物層6
1を支持体10上に形成し、以て、支持体10上に複数
の球体60を配置し、カソード電極材料から成るカソー
ド電極111で球体を被覆した後、分散媒を除去する工
程から成る、即ち、湿式法から成る点が、[クレータ型
電界放出素子(その1)]の製造方法と相違する。
【0193】[工程−I0]先ず、支持体10上に複数
の球体60を配置する。具体的には、球体60とカソー
ド電極材料61Bとを分散媒61A中に分散させて成る
組成物から成る組成物層61を支持体10上に形成す
る。即ち、例えば、イソプロピルアルコールを分散媒6
1Aとして使用し、平均直径約5μmのポリメチレン系
の高分子材料から成る球体60と、平均直径約0.05
μmのカーボン粒子をカソード電極材料61Bとして分
散媒61A中に分散させて成る組成物を支持体10上に
ストライプ状にスクリーン印刷し、組成物層61を形成
する。図38の(A)には、組成物層61の形成直後の
状態を示す。
【0194】[工程−I1]支持体10に保持された組
成物層61中では、間もなく球体60が沈降して支持体
10上に配置されると共に、球体60から支持体10上
に亙ってカソード電極材料61Bが沈降し、カソード電
極材料61Bから成るカソード電極111が形成され
る。これによって、支持体10上に複数の球体60を配
置し、カソード電極材料から成るカソード電極111で
球体60を被覆することができる。この状態を、図38
の(B)に示す。
【0195】[工程−I2]その後、分散媒61Aを例
えば蒸発させることによって除去する。この状態を、図
38の(C)に示す。
【0196】[工程−I3]次いで、[クレータ型電界
放出素子(その1)]の[工程−H2]〜[工程−H
5]と同様の工程、あるいは、[クレータ型電界放出素
子(その1)]の製造方法の変形例を実行することによ
って、図37の(B)に示したと同様の電界放出素子を
完成することができる。
【0197】[クレータ型電界放出素子(その3)] [クレータ型電界放出素子(その3)]の製造方法を説
明するが、支持体上にストライプ状のカソード電極を形
成する工程は、より具体的には、支持体上に複数の球体
を配置する工程と、電子を放出する複数の隆起部と、各
隆起部に囲まれ、且つ、球体の形状の一部を反映した凹
部とを有し、各隆起部が球体の周囲に形成されたカソー
ド電極を、支持体上に設ける工程と、球体を除去する工
程、から成る。支持体上への複数の球体の配置は、球体
の散布によって行う。また、球体は疎水性の表面処理層
を有する。以下、[クレータ型電界放出素子(その
3)]を、図39を参照して説明する。
【0198】[工程−J0]先ず、支持体10上に複数
の球体160を配置する。具体的には、ガラス基板から
成る支持体10上の全面に、複数の球体160を配置す
る。この球体160は、例えばジビニルベンゼン系の高
分子材料から成る芯材160Aをポリテトラフルオロエ
チレン系樹脂から成る表面処理層160Bで被覆して成
り、平均直径約5μm、粒径分布1%未満である。球体
160を、スプレーガンを用い、支持体10上におおよ
そ1000個/mm2の密度でランダムに配置する。配
置された球体160は、静電気力で支持体10上に吸着
されている。ここまでのプロセスが終了した状態を、図
39の(A)に示す。
【0199】[工程−J1]次に、電子を放出する複数
の隆起部111Aと、各隆起部111Aに囲まれ、且
つ、球体160の形状の一部を反映した凹部111Bと
を有し、各隆起部111Aが球体160の周囲に形成さ
れたカソード電極111を、支持体10上に設ける。具
体的には、[クレータ型電界放出素子(その1)]で述
べたと同様に、例えばカーボンペーストをストライプ状
にスクリーン印刷するが、[クレータ型電界放出素子
(その3)]では、球体160の表面が表面処理層16
0Bにより疎水性を帯びているために、球体160の上
にスクリーン印刷されたカーボンペーストは直ちに弾か
れて落下し、球体160の周囲に堆積して隆起部111
Aが形成される。隆起部111Aの先端部111Cは、
[クレータ型電界放出素子(その1)]の場合ほど先鋭
とはならない。球体160と支持体10との間に入り込
んだカソード電極111の部分が、凹部111Bとな
る。図39の(B)では、カソード電極111と球体1
60との間に隙間が存在するように図示されているが、
カソード電極111と球体160とは接触している場合
もある。その後、カソード電極111を例えば150゜
Cにて乾燥させる。ここまでのプロセスが終了した状態
を、図39の(B)に示す。
【0200】[工程−J2]次に、球体160に外力を
与えることによって、支持体10上から球体160を除
去する。具体的な除去方法としては、洗浄や圧搾気体の
吹付けを挙げることができる。ここまでのプロセスが終
了した状態を、図39の(C)に示す。尚、球体の除去
は、球体の状態変化及び/又は化学変化に基づいて、よ
り具体的には、例えば、燃焼によって球体を除去するこ
とも可能である。以下に説明する[クレータ型電界放出
素子(その4)]においても同様である。
【0201】[工程−J3]その後、[クレータ型電界
放出素子(その1)]の[工程−H3]〜[工程−H
5]を実行することによって、図37の(B)に示した
と略同様の電界放出素子を得ることができる。
【0202】尚、[クレータ型電界放出素子(その
3)]の製造方法の変形例として、[工程−J1]の
後、[クレータ型電界放出素子(その1)]の[工程−
H3]〜[工程−H5]を実行し、次いで、[工程−J
2]を実行してもよい。
【0203】[クレータ型電界放出素子(その4)] [クレータ型電界放出素子(その4)]の製造方法を説
明するが、この電界放出素子の製造方法において、支持
体上にストライプ状のカソード電極を形成する工程は、
より具体的には、支持体上に複数の球体を配置する工程
と、電子を放出する複数の隆起部と、各隆起部に囲ま
れ、且つ、球体の形状の一部を反映した凹部とを有し、
各隆起部が球体の周囲に形成されたカソード電極を支持
体上に設ける工程、から成る。尚、全面に絶縁層を設け
る際、球体の上方に開口部が形成された絶縁層を、カソ
ード電極及び支持体上に設ける。球体の除去は、開口部
の形成後に行う。[クレータ型電界放出素子(その
4)]の電界放出素子の製造方法においては、支持体上
への複数の球体の配置は、球体の散布によって行う。ま
た、球体は疎水性の表面処理層を有する。以下、[クレ
ータ型電界放出素子(その4)]を、図40及び図41
を参照して説明する。
【0204】[工程−K0]先ず、支持体10上に複数
の球体160を配置する。具体的には、[クレータ型電
界放出素子(その3)]の[工程−J0]と同様の工程
を実行する。
【0205】[工程−K1]その後、電子を放出する複
数の隆起部111Aと、各隆起部111Aに囲まれ、且
つ、球体160の形状の一部を反映した凹部111Bと
を有し、各隆起部111Aが球体160の周囲に形成さ
れたカソード電極111を、支持体10上に設ける。具
体的には、[クレータ型電界放出素子(その3)]の
[工程−J1]と同様の工程を実行する。
【0206】[工程−K2]次に、球体の上方に第2開
口部14Bが形成された絶縁層112を、カソード電極
111及び支持体10上に設ける。具体的には、例え
ば、ガラスペーストを全面に約5μmの厚さにスクリー
ン印刷する。ガラスペーストを用いたスクリーン印刷
は、[クレータ型電界放出素子(その1)]と同様に行
うことができるが、球体160の表面が表面処理層16
0Bにより疎水性を帯びているために、球体160の上
にスクリーン印刷されたガラスペーストは直ちに弾かれ
て落下し、自らの表面張力により絶縁層112の球体1
60の上の部分は収縮する。その結果、球体160の頂
部は絶縁層112に覆われることなく、第2開口部14
B内に露出する。この状態を図40の(A)に示す。図
示した例では、第2開口部14Bの上端部の直径は球体
160の直径よりも大きいが、表面処理層160Bの界
面張力が、ガラスペーストの界面張力よりも小さい場合
には、第2開口部14Bの直径が小さくなる傾向にあ
る。逆に、表面処理層160Bの界面張力が、ガラスペ
ーストの界面張力よりも著しく大きい場合には、第2開
口部14Bの直径は大きくなり易い。その後、絶縁層1
12を例えば150゜Cにて乾燥させる。
【0207】[工程−K3]次に、第2開口部14Bと
連通する第1開口部14Aを有するゲート電極113を
絶縁層112上に形成する。具体的には、例えば、カー
ボンペーストをストライプ状にスクリーン印刷する。カ
ーボンペーストを用いたスクリーン印刷は、[クレータ
型電界放出素子(その1)]と同様に行えばよいが、球
体160の表面が表面処理層160Bにより疎水性を帯
びているために、球体160の上にスクリーン印刷され
たカーボンペーストは直ちに弾かれて、自らの表面張力
により収縮し、絶縁層112の表面のみに付着した状態
となる。このとき、ゲート電極113は、図示するよう
に、絶縁層112の開口端部から第2開口部14B内へ
若干回り込むように形成されることもある。その後、ゲ
ート電極113を例えば150゜Cにて乾燥させる。こ
こまでのプロセスが終了した状態を、図40の(B)に
示す。尚、表面処理層160Bの界面張力が、カーボン
ペーストの界面張力よりも小さい場合には、第1開口部
14Aの直径が小さくなる傾向にある。逆に、表面処理
層160Bの界面張力が、カーボンペーストの界面張力
よりも著しく大きい場合には、第1開口部14Aの直径
は大きくなり易い。
【0208】[工程−K4]次に、開口部14A,14
Bの底部に露出した球体160を除去する。具体的に
は、カソード電極111と絶縁層112とゲート電極1
13の焼成を兼ね、ガラスペーストの典型的な焼成温度
である約530゜Cにて加熱を行うことにより、球体1
60を燃焼させる。このとき、[クレータ型電界放出素
子(その1)]と異なり、絶縁層112及びゲート電極
113には開口部14A,14Bが最初から形成されて
いるので、カソード電極111や絶縁層112、ゲート
電極113の一部が飛散することはなく、球体160は
速やかに除去される。尚、開口部14A,14Bの上端
部の直径が球体160の直径よりも大きい場合、球体1
60を燃焼させなくとも、例えば、洗浄や圧搾気体の吹
付け等の外力によって球体160を除去することが可能
である。ここまでのプロセスが終了した状態を、図41
の(A)に示す。
【0209】[工程−K5]その後、第2開口部14B
の側壁面に相当する絶縁層112の一部を等方的にエッ
チングすると、図41の(B)に示す電界放出素子を完
成することができる。ここでは、ゲート電極113の端
部が下方を向いているが、このことは、開口部14内の
電界強度を高める上で好ましい。
【0210】[エッジ型電界放出素子]エッジ型電界放
出素子の模式的な一部断面図を図42の(A)に示す。
このエッジ型電界放出素子は、支持体10上に形成され
たストライプ状のカソード電極211と、支持体10及
びカソード電極211上に形成された絶縁層12と、絶
縁層12上に形成されたストライプ状のゲート電極13
から構成されており、開口部14がゲート電極13及び
絶縁層12に設けられている。開口部14の底部にはカ
ソード電極211のエッジ部211Aが露出している。
カソード電極211及びゲート電極13に電圧を印加す
ることによって、カソード電極211のエッジ部211
Aから電子が放出される。
【0211】尚、図42の(B)に示すように、開口部
14内のカソード電極211の下の支持体10に凹部1
0Aが形成されていてもよい。あるいは又、模式的な一
部断面図を図42の(C)に示すように、支持体10上
に形成された第1のゲート電極213Aと、支持体10
及び第1のゲート電極213A上に形成された第1の絶
縁層12Aと、第1の絶縁層12A上に形成されたカソ
ード電極211と、第1の絶縁層12A及びカソード電
極211に形成された第2の絶縁層12Bと、第2の絶
縁層12B上に形成された第2のゲート電極213Bか
ら構成することもできる。そして、開口部14が、第2
のゲート電極213B、第2の絶縁層12B、カソード
電極211及び第1の絶縁層12Aに設けられており、
開口部14の側壁にはカソード電極211のエッジ部2
11Aが露出している。カソード電極211並びに第1
のゲート電極213A、第2のゲート電極213Bに電
圧を印加することによって、カソード電極211のエッ
ジ部211Aから電子が放出される。
【0212】例えば、図42の(C)に示したエッジ型
電界放出素子の製造方法を、支持体等の模式的な一部端
面図である図43を参照して、以下、説明する。
【0213】[工程−L0]先ず、例えばガラス基板か
ら成る支持体10の上に、スパッタリング法により厚さ
約0.2μmのタングステン膜を成膜し、通常の手順に
従ってフォトリソグラフィ技術及びドライエッチング技
術によりこのタングステン膜をパターニングし、第1の
ゲート電極213Aを形成する。次に、全面に、SiO
2から成る厚さ0.3μmの第1の絶縁層12Aを形成
した後、第1の絶縁層12Aの上にタングステンから成
るストライプ状のカソード電極211を形成する(図4
3の(A)参照)。
【0214】[工程−L1]その後、全面に、例えばS
iO2から成る厚さ0.7μmの第2の絶縁層12Bを
形成し、次いで、第2の絶縁層12B上にストライプ状
の第2のゲート電極213Bを形成する(図43の
(B)参照)。第2のゲート電極213Bの構成材料や
厚さについては、第1のゲート電極213Aと同じであ
ってもよいし、異なっていてもよい。
【0215】[工程−L2]次に、全面にレジスト層7
0を形成した後、レジスト層70に第2のゲート電極2
13Bの表面を一部露出させるようにレジスト層開口7
1を形成する。レジスト層開口71の平面形状は矩形で
ある。続いて、レジスト層開口71の底面に露出した第
2のゲート電極213Bを例えばRIE法により異方的
にエッチングし、開口部を形成する。次に、開口部の底
面に露出した第2の絶縁層12Bを等方的にエッチング
し、開口部を形成する(図43の(C)参照)。第2の
絶縁層12BをSiO2を用いて形成しているので、緩
衝化フッ酸水溶液を用いたウェットエッチングを行う。
第2の絶縁層12Bに形成された開口部の壁面は、第2
のゲート電極213Bに形成された開口部の開口端面よ
りも後退するが、このときの後退量はエッチング時間の
長短により制御することができる。ここでは、第2の絶
縁層12Bに形成された開口部の下端が、第2のゲート
電極213Bに形成された開口部の開口端面よりも後退
するまで、ウェットエッチングを行う。
【0216】次に、開口部の底面に露出したカソード電
極211を、イオンを主エッチング種とする条件により
ドライエッチングする。イオンを主エッチング種とする
ドライエッチングでは、被エッチング物へのバイアス電
圧の印加やプラズマと磁界との相互作用を利用して荷電
粒子であるイオンを加速することができるため、一般に
は異方性エッチングが進行し、被エッチング物の加工面
は垂直壁となる。しかし、この工程では、プラズマ中の
主エッチング種の中にも垂直以外の角度を有する入射成
分が若干存在すること、及び開口部の端部における散乱
によってもこの斜め入射成分が生ずることにより、カソ
ード電極211の露出面の中で、本来であれば開口部に
よって遮蔽されてイオンが到達しないはずの領域にも、
ある程度の確率で主エッチング種が入射する。このと
き、支持体10の法線に対する入射角の小さい主エッチ
ング種ほど入射確率は高く、入射角の大きい主エッチン
グ種ほど入射確率は低い。
【0217】従って、カソード電極211に形成された
開口部の上端部の位置は、第2の絶縁層12Bに形成さ
れた開口部の下端部とほぼ揃っているものの、カソード
電極211に形成された開口部の下端部の位置はその上
端部よりも突出した状態となる。つまり、カソード電極
211のエッジ部211Aの厚さが、突出方向の先端部
に向けて薄くなり、エッジ部211Aが先鋭化される。
例えば、エッチングガスとしてSF6を用いることによ
り、カソード電極211の良好な加工を行うことができ
る。
【0218】次に、カソード電極211に形成された開
口部の底面に露出した第1の絶縁層12Aを等方的にエ
ッチングし、第1の絶縁層12Aに開口部を形成し、開
口部14を完成させる。ここでは、緩衝化フッ酸水溶液
を用いたウェットエッチングを行う。第1の絶縁層12
Aに形成された開口部の壁面は、カソード電極211に
形成された開口部の下端部よりも後退する。このときの
後退量はエッチング時間の長短により制御可能である。
開口部14の完成後にレジスト層70を除去すると、図
42の(C)に示した構成を得ることができる。
【0219】[スピント型電界放出素子:製造方法の変
形−1]先に、[スピント型電界放出素子]にて説明し
たスピント型電界放出素子の製造方法の変形例を、以
下、支持体等の模式的な一部端面図である図44〜図4
6を参照して説明するが、このスピント型電界放出素子
(図47参照)は、基本的には、以下の工程に基づき作
製される。即ち、 (a)支持体10上にカソード電極11を形成する工程 (b)カソード電極11上を含む支持体10上に絶縁層
12を形成する工程 (c)絶縁層12上にゲート電極13を形成する工程 (d)底部にカソード電極11が露出した第2開口部1
4Bを、少なくとも絶縁層12に形成する工程 (e)開口部14A,14B内を含む全面に電子放出部
形成用の導電材料層81を形成する工程 (f)第2開口部14Bの中央部に位置する導電材料層
81の領域を遮蔽するように、マスク材料層82を導電
材料層81上に形成する工程 (g)導電材料層81の支持体10に対して垂直な方向
におけるエッチング速度がマスク材料層82の支持体1
0に対して垂直な方向におけるエッチング速度よりも速
くなる異方性エッチング条件下で導電材料層81とマス
ク材料層82とをエッチングすることにより、導電材料
層81から成り、先端部が錐状形状を有する電子放出部
15Eを第2開口部14B内に露出したカソード電極1
1上に形成する工程
【0220】[工程−M0]先ず、例えばガラス基板上
に厚さ約0.6μmのSiO2層を形成して成る支持体
10上に、クロム(Cr)から成るカソード電極11を
設ける。具体的には、支持体10上に、例えばスパッタ
リング法やCVD法にてクロムから成るカソード電極用
導電材料層を堆積させ、かかるカソード電極用導電材料
層をパターニングすることによって、複数のカソード電
極11を形成することができる。カソード電極11の幅
を例えば50μm、カソード電極11の間のスペースを
例えば30μmとする。その後、全面に、具体的には、
カソード電極11及び支持体10上に、原料ガスとして
TEOS(テトラエトキシシラン)を使用するプラズマ
CVD法にてSiO2から成る絶縁層12を形成する。
絶縁層12の厚さを約1μmとする。次に、絶縁層12
上の全面に、カソード電極11と直交する方向に平行に
延びるストライプ状のゲート電極13を形成する。
【0221】次に、ストライプ状のカソード電極11と
ストライプ状のゲート電極13とが重複する領域、即
ち、1画素領域において、ゲート電極13と絶縁層12
とを貫通する第1開口部14A、第2開口部14Bを形
成する。開口部14A,14Bの平面形状は、例えば、
直径0.3μmの円形である。開口部14A,14B
は、通常、1画素領域(1電子放出領域)に数百乃至千
個程度形成される。開口部14A,14Bを形成するに
は、通常のフォトリソグラフィ技術により形成されたレ
ジスト層をマスクとして、先ず、ゲート電極13に第1
開口部14Aを形成し、続いて、絶縁層12に第2開口
部14Bを形成する。RIE終了後、レジスト層をアッ
シング処理により除去する(図44の(A)参照)。
尚、以下の説明においては、第1開口部14A及び第2
開口部14Bを纏めて開口部14と表現する場合があ
る。
【0222】[工程−M1]次に、全面に密着層80を
スパッタリング法にて形成する(図44の(B)参
照)。この密着層80は、ゲート電極が形成されていな
い領域や開口部14の側壁面に露出している絶縁層12
と、次の工程で全面的に成膜される導電材料層81との
間の密着性を高めるために設けられる層である。導電材
料層81をタングステンで形成することを前提とし、タ
ングステンから成る密着層80を、DCスパッタリング
法により0.07μmの厚さに形成する。
【0223】[工程−M2]次に、開口部14内を含む
全面に、厚さ約0.6μmのタングステンから成る電子
放出部形成用の導電材料層81を水素還元減圧CVD法
により形成する(図45の(A)参照)。成膜された導
電材料層81の表面には、開口部14の上端面と底面と
の間の段差を反映した凹部81Aが形成される。
【0224】[工程−M3]次に、開口部14の中央部
に位置する導電材料層81の領域(具体的には凹部81
A)を遮蔽するようにマスク材料層82を形成する。具
体的には、先ず、スピンコーティング法により厚さ0.
35μmのレジスト層をマスク材料層82として導電材
料層81の上に形成する(図45の(B)参照)。マス
ク材料層82は、導電材料層81の凹部81Aを吸収
し、ほぼ平坦な表面となる。次に、マスク材料層82を
酸素系ガスを用いたRIE法によりエッチングする。こ
のエッチングを、導電材料層81の平坦面が露出した時
点で終了する。これにより、導電材料層81の凹部81
Aを平坦に埋め込むようにマスク材料層82が残る(図
46の(A)参照)。
【0225】[工程−M4]次に、導電材料層81とマ
スク材料層82と密着層80とをエッチングし、円錐形
状の電子放出部15Eを形成する(図46の(B)参
照)。これらの層のエッチングは、導電材料層81のエ
ッチング速度がマスク材料層82のエッチング速度より
も速くなる異方性エッチング条件下で行う。エッチング
条件を以下の表5に例示する。
【0226】[表5] [導電材料層81等のエッチング条件] SF6流量 :150SCCM O2流量 :30SCCM Ar流量 :90SCCM 圧力 :35Pa RFパワー:0.7kW(13.56MHz)
【0227】[工程−M5]その後、等方的なエッチン
グ条件にて開口部14の内部において絶縁層12に設け
られた開口部14の側壁面を後退させると、図47に示
す電界放出素子が完成される。等方的なエッチングは、
ケミカルドライエッチングのようにラジカルを主エッチ
ング種として利用するドライエッチング、あるいは、エ
ッチング液を利用するウェットエッチングにより行うこ
とができる。エッチング液として、例えば49%フッ酸
水溶液と純水の1:100(容積比)混合液を用いるこ
とができる。
【0228】ここで、[工程−M4]において、電子放
出部15Eが形成される機構について、図48を参照し
て説明する。図48の(A)は、エッチングの進行に伴
って、被エッチング物の表面プロファイルが一定時間毎
にどのように変化するかを示す模式図であり、図48の
(B)は、エッチング時間と開口部14の中心における
被エッチング物の厚さとの関係を示すグラフである。開
口部14の中心におけるマスク材料層の厚さをhp、開
口部14の中心における電子放出部15Eの高さをhe
とする。
【0229】表5に示したエッチング条件では、レジス
ト材料から成るマスク材料層82のエッチング速度より
も、導電材料層81のエッチング速度の方が当然速い。
マスク材料層82が存在しない領域では、導電材料層8
1が直ぐにエッチングされ始め、被エッチング物の表面
が速やかに下降してゆく。これに対して、マスク材料層
82が存在する領域では、最初にマスク材料層82が除
去されないとその下の導電材料層81のエッチングが始
まらないので、マスク材料層82がエッチングされてい
る間は被エッチング物の厚さの減少速度は遅く(hp
少区間)、マスク材料層82が消失した時点で初めて、
被エッチング物の厚さの減少速度がマスク材料層82の
存在しない領域と同様に速くなる(he減少区間)。he
減少区間の開始時期は、マスク材料層82が厚さが最大
となる開口部14の中心で最も遅く、マスク材料層82
の薄い開口部14の周辺に向かって早くなる。このよう
にして、円錐形状の電子放出部15Eが形成される。
【0230】レジスト材料から成るマスク材料層82の
エッチング速度に対する導電材料層81のエッチング速
度の比を、「対レジスト選択比」と称することにする。
この対レジスト選択比が、電子放出部15Eの高さと形
状を決定する重要な因子であることを、図49を参照し
て説明する。図49の(A)は、対レジスト選択比が相
対的に小さい場合、図49の(C)は、対レジスト選択
比が相対的に大きい場合、図49の(B)はこれらの中
間である場合の、電子放出部15Eの形状を示してい
る。対レジスト選択比が大きいほど、マスク材料層82
の膜減りに比べて導電材料層81の膜減りが激しくなる
ので、電子放出部15Eはより高く、且つ鋭くなること
が判る。対レジスト選択比は、SF6流量に対するO2
量の割合を高めると低下する。また、基板バイアスを併
用してイオンの入射エネルギーを変化させることが可能
なエッチング装置を用いる場合には、RFバイアスパワ
ーを高めたり、バイアス印加用の交流電源の周波数を下
げることで、対レジスト選択比を下げることができる。
対レジスト選択比の値は1.5以上、好ましくは2以
上、より好ましくは3以上に選択される。
【0231】尚、上記のエッチングにおいては当然、ゲ
ート電極13やカソード電極11に対して高い選択比を
確保する必要があるが、表5に示した条件で全く問題は
ない。なぜなら、ゲート電極13やカソード電極11を
構成する材料は、フッ素系のエッチング種では殆どエッ
チングされず、上記の条件であれば、概ね10以上のエ
ッチング選択比が得られるからである。
【0232】[スピント型電界放出素子:製造方法の変
形−2]スピント型電界放出素子の製造方法の変形−2
は、スピント型電界放出素子の製造方法の変形−1の変
形である。製造方法の変形−2においては、マスク材料
層により遮蔽される導電材料層の領域を、製造方法の変
形−1におけるよりも狭くすることが可能である。即
ち、製造方法の変形−2においては、開口部の上端面と
底面との間の段差を反映して、柱状部とこの柱状部の上
端に連通する拡大部とから成る略漏斗状の凹部を導電材
料層の表面に生成させ、工程(f)において、導電材料
層の全面にマスク材料層を形成した後、マスク材料層と
導電材料層とを支持体の表面に対して平行な面内で除去
することにより、柱状部にマスク材料層を残す。
【0233】以下、スピント型電界放出素子の製造方法
の変形−2を、支持体等の模式的な一部端面図である図
50〜図52を参照して説明する。
【0234】[工程−N0]先ず、支持体10上にカソ
ード電極11を形成する。カソード電極11を含むカソ
ード電極用導電材料層は、例えばDCスパッタリング法
により、TiN層(厚さ0.1μm)、Ti層(厚さ5
nm)、Al−Cu層(厚さ0.4μm)、Ti層(厚
さ5nm)、TiN層(厚さ0.02μm)及びTi層
(0.02μm)をこの順に積層して積層膜を形成し、
続いてこの積層膜をストライプ状にパターニングして形
成する。尚、図ではカソード電極11を単層で表した。
次に、全面に、具体的には、支持体10とカソード電極
11の上に、厚さ0.7μmの絶縁層12を、TEOS
(テトラエトキシシラン)を原料ガスとするプラズマC
VD法に基づき形成する。次いで、絶縁層12の上にス
トライプ状のゲート電極13を形成する。
【0235】更に、全面に例えば SiO2から成る厚さ
0.2μmのエッチング停止層83を形成する。エッチ
ング停止層83は、電界放出素子の機能上不可欠な部材
ではなく、後工程で行われる導電材料層81のエッチン
グ時に、ゲート電極13を保護する役割を果たす。尚、
導電材料層81のエッチング条件に対してゲート電極1
3が十分に高いエッチング耐性を持ち得る場合には、エ
ッチング停止層83を省略しても構わない。その後、R
IE法により、エッチング停止層83、ゲート電極1
3、絶縁層12を貫通し、底部にカソード電極11が露
出した開口部14を形成する。このようにして、図50
の(A)に示す状態が得られる。
【0236】[工程−N1]次に、開口部14内を含む
全面に、例えば厚さ0.03μmのタングステンから成
る密着層80を形成する(図50の(B)参照)。次い
で、開口部14内を含む全面に電子放出部形成用の導電
材料層81を形成する。但し、製造方法の変形−2にお
ける導電材料層81は、製造方法の変形−1で述べた凹
部81Aよりも深い凹部81Aが表面に生成されるよう
に、導電材料層81の厚さを選択する。即ち、導電材料
層81の厚さを適切に設定することによって、開口部1
4の上端面と底面との間の段差を反映して、柱状部81
Bとこの柱状部81Bの上端に連通する拡大部81Cと
から成る略漏斗状の凹部81Aを導電材料層81の表面
に生成させることができる。
【0237】[工程−N2]次に、導電材料層81の全
面に、例えば無電解メッキ法により、厚さ約0.5μm
の銅(Cu)から成るマスク材料層82を形成する(図
51の(A)参照)。無電解メッキ条件を以下の表6に
例示する。
【0238】 [表6] メッキ液 :硫酸銅(CuSO4・5H2O) 7g/リットル ホルマリン(37%HCHO) 20ml/リットル 水酸化ナトリウム(NaOH) 10g/リットル 酒石酸ナトリウムカリウム 20g/リットル メッキ浴温度:50゜C
【0239】[工程−N3]その後、マスク材料層82
と導電材料層81とを支持体10の表面に対して平行な
面内で除去することにより、柱状部81Bにマスク材料
層82を残す(図51の(B)参照)。この除去は、例
えば化学的機械的研磨法(CMP法)により行うことが
できる。
【0240】[工程−N4]次に、導電材料層81と密
着層80のエッチング速度がマスク材料層82のエッチ
ング速度よりも速くなる異方性エッチング条件下で、導
電材料層81とマスク材料層82と密着層80とをエッ
チングする。その結果、開口部14内に錐状形状を有す
る電子放出部15Eが形成される(図52の(A)参
照)。尚、電子放出部15Eの先端部にマスク材料層8
2が残存する場合には、希フッ酸水溶液を用いたウェッ
トエッチングによりマスク材料層82を除去することが
できる。
【0241】[工程−N5]次に、等方的なエッチング
条件で開口部14の内部において絶縁層12に設けられ
た開口部14の側壁面を後退させると、図52の(B)
に示す電界放出素子が完成される。このとき、エッチン
グ停止層83も除去される。等方的なエッチングについ
ては、製造方法の変形−1で説明したと同様とすればよ
い。
【0242】ところで、製造方法の変形−2で形成され
た電子放出部15Eにおいては、製造方法の変形−1で
形成された電子放出部15Eに比べ、より鋭い錐状形状
が達成されている。これは、マスク材料層82の形状
と、マスク材料層82のエッチング速度に対する導電材
料層81のエッチング速度の比の違いに起因する。この
違いについて、図53を参照しながら説明する。図53
は、被エッチング物の表面プロファイルが一定時間毎に
どのように変化するかを示す図であり、図53の(A)
は銅から成るマスク材料層82を用いた場合、図53の
(B)はレジスト材料から成るマスク材料層82を用い
た場合をそれぞれ示す。尚、簡略化のために導電材料層
81のエッチング速度と密着層80のエッチング速度と
をそれぞれ等しいものと仮定し、図53においては密着
層80の図示を省略する。
【0243】銅から成るマスク材料層82を用いた場合
(図53の(A)参照)は、マスク材料層82のエッチ
ング速度が導電材料層81のエッチング速度に比べて十
分に遅いために、エッチング中にマスク材料層82が消
失することがなく、従って、先端部の鋭い電子放出部1
5Eを形成することができる。これに対して、レジスト
材料から成るマスク材料層82を用いた場合(図53の
(B)参照)は、マスク材料層82のエッチング速度が
導電材料層81のエッチング速度に比べてそれ程遅くな
いために、エッチング中にマスク材料層82が消失し易
く、従って、マスク材料層消失後の電子放出部15Eの
錐状形状が鈍化する傾向がある。
【0244】また、柱状部81Bに残るマスク材料層8
2には、柱状部81Bの深さが多少変化しても、電子放
出部15Eの形状は変化し難いというメリットもある。
即ち、柱状部81Bの深さは、導電材料層81の厚さや
ステップカバレージのばらつきによって変化し得るが、
柱状部81Bの幅は深さによらずほぼ一定なので、マス
ク材料層82の幅もほぼ一定となり、最終的に形成され
る電子放出部15Eの形状には大差が生じない。これに
対して、凹部81Aに残るマスク材料層82において
は、凹部81Aが浅い場合と深い場合とでマスク材料層
の幅も変化してしまうため、凹部81Aが浅くマスク材
料層82の厚さが薄い場合ほど、より早期に電子放出部
15Eの錐状形状の鈍化が始まる。電界放出素子の電子
放出効率は、ゲート電極とカソード電極との間の電位
差、ゲート電極とカソード電極との間の距離、電子放出
部の構成材料の仕事関数の他、電子放出部の先端部の形
状によっても変化する。このため、必要に応じて上述の
ようにマスク材料層の形状やエッチング速度を選択する
ことが好ましい。
【0245】[スピント型電界放出素子:製造方法の変
形−3]製造方法の変形−3は、製造方法の変形−2の
変形である。製造方法の変形−3においては、工程
(e)において、開口部の上端面と底面との間の段差を
反映して、柱状部とこの柱状部の上端に連通する拡大部
とから成る略漏斗状の凹部を導電材料層の表面に生成さ
せ、工程(f)において、導電材料層の全面にマスク材
料層を形成した後、導電材料層上と拡大部内のマスク材
料層を除去することにより、柱状部にマスク材料層を残
す。以下、スピント型電界放出素子の製造方法の変形−
3を、支持体等の模式的な一部端面図である図54及び
図55を参照して説明する。
【0246】[工程−P0]先ず、図51の(A)に示
したマスク材料層82の形成までを製造方法の変形−2
の[工程−N0]〜[工程−N2]と同様に行った後、
導電材料層81上と拡大部81C内のマスク材料層82
のみを除去することにより、柱状部81Bにマスク材料
層82を残す(図54の(A)参照)。このとき、例え
ば希フッ酸水溶液を用いたウェットエッチングを行うこ
とにより、タングステンから成る導電材料層81を除去
することなく、銅から成るマスク材料層82のみを選択
的に除去することができる。柱状部81B内に残るマス
ク材料層82の高さは、エッチング時間に依存するが、
このエッチング時間は、拡大部81Cに埋め込まれたマ
スク材料層82の部分が十分に除去される限りにおい
て、それ程の厳密さを要しない。なぜなら、マスク材料
層82の高低に関する議論は、図53の(A)を参照し
ながら前述した柱状部81Bの浅深に関する議論と実質
的に同じであり、マスク材料層82の高低は最終的に形
成される電子放出部15Eの形状に大きな影響を及ぼさ
ないからである。
【0247】[工程−P1]次に、導電材料層81とマ
スク材料層82と密着層80のエッチングを、製造方法
の変形−2と同様に行い、図54の(B)に示すような
電子放出部15Eを形成する。この電子放出部15E
は、図52の(A)に示したように全体が錐状形状を有
していても勿論構わないが、図54の(B)には先端部
のみが錐状形状を有する変形例を示した。かかる形状
は、柱状部81Bに埋め込まれたマスク材料層82の高
さが低いか、若しくは、マスク材料層82のエッチング
速度が比較的速い場合に生じ得るが、電子放出部15E
としての機能に何ら支障はない。
【0248】[工程−P2]その後、等方的なエッチン
グ条件で開口部14の内部において絶縁層12に設けら
れた開口部14の側壁面を後退させると、図55に示す
電界放出素子が完成される。等方的なエッチングについ
ては、製造方法の変形−1で説明したと同様とすればよ
い。
【0249】[スピント型電界放出素子:製造方法の変
形−4]製造方法の変形−4は、製造方法の変形−1の
変形である。製造方法の変形−4にて製造されたスピン
ト型電界放出素子の模式的な一部端面図を図56に示
す。製造方法の変形−4が製造方法の変形−1と異なる
点は、電子放出部が、基部84と、基部84上に積層さ
れた錐状の電子放出部15Eとから構成されている点に
ある。ここで、基部84と電子放出部15Eとは異なる
導電材料から構成されている。具体的には、基部84
は、電子放出部15Eとゲート電極13の開口端部との
間の距離を調節するための部材であり、且つ、抵抗体層
としての機能を有し、不純物を含有するポリシリコン層
から構成されている。電子放出部15Eはタングステン
から構成されており、錐状形状、より具体的には円錐形
状を有する。尚、基部84と電子放出部15Eとの間に
は、TiNから成る密着層80が形成されている。尚、
密着層80は、電子放出部の機能上不可欠な構成要素で
はなく、製造上の理由で形成されている。絶縁層12が
ゲート電極13の直下から基部84の上端部にかけてえ
ぐられることにより、開口部14が形成されている。
【0250】以下、製造方法の変形−4を、支持体等の
模式的な一部端面図である図57〜図59を参照して説
明する。
【0251】[工程−Q0]先ず、開口部14の形成ま
でを、製造方法の変形−1の[工程−M0]と同様に行
う。続いて、開口部14内を含む全面に基部形成用の導
電材料層84Aを形成する。導電材料層84Aは、抵抗
体層としても機能し、ポリシリコン層から構成され、プ
ラズマCVD法により形成することができる。次いで、
全面に、スピンコーティング法にてレジスト層から成る
平坦化層85を表面が略平坦となるように形成する(図
57の(A)参照)。次に、平坦化層85と導電材料層
84Aのエッチング速度が共に略等しくなる条件で両層
をエッチングし、開口部14の底部を上面が平坦な基部
84で埋め込む(図57の(B)参照)。エッチング
は、塩素系ガスと酸素系ガスとを含むエッチングガスを
用いたRIE法により行うことができる。導電材料層8
4Aの表面を平坦化層85で一旦平坦化してからエッチ
ングを行っているので、基部84の上面が平坦となる。
【0252】[工程−Q1]次に、開口部14の残部を
含む全面に密着層80を成膜し、更に、開口部14の残
部を含む全面に電子放出部形成用の導電材料層81を成
膜し、開口部14の残部を導電材料層81で埋め込む
(図58の(A)参照)。密着層80は、スパッタリン
グ法により形成される厚さ0.07μmのTiN層であ
り、導電材料層81は減圧CVD法により形成される厚
さ0.6μmのタングステン層である。導電材料層81
の表面には、開口部14の上端面と底面との間の段差を
反映して凹部81Aが形成されている。
【0253】[工程−Q2]次に、導電材料層81の全
面に、スピンコーティング法によりレジスト層から成る
マスク材料層82を表面が略平坦となるように形成する
(図58の(B)参照)。マスク材料層82は、導電材
料層81の表面の凹部81Aを吸収して平坦な表面とな
っている。次に、マスク材料層82を酸素系ガスを用い
たRIE法によりエッチングする(図59の(A)参
照)。このエッチングは、導電材料層81の平坦面が露
出した時点で終了する。これにより、導電材料層81の
凹部81Aにマスク材料層82が平坦に残され、マスク
材料層82は、開口部14の中央部に位置する導電材料
層81の領域を遮蔽するように形成されている。
【0254】[工程−Q3]次に、製造方法の変形−1
の[工程−M4]と同様にして、導電材料層81、マス
ク材料層82及び密着層80を共にエッチングすると、
前述の機構に基づき対レジスト選択比の大きさに応じた
円錐形状を有する電子放出部15Eと密着層80とが形
成され、電子放出部が完成される(図59の(B)参
照)。その後、開口部14の内部において絶縁層12に
設けられた開口部14の側壁面を後退させると、図56
に示した電界放出素子を得ることができる。
【0255】[スピント型電界放出素子:製造方法の変
形−5]製造方法の変形−5は、製造方法の変形−2の
変形である。製造方法の変形−5にて製造されるスピン
ト型電界放出素子の模式的な一部端面図を図61の
(B)に示す。製造方法の変形−5が製造方法の変形−
2と異なる点は、電子放出部が、製造方法の変形−4と
同様に、基部84と、基部84上に積層された錐状の電
子放出部15Eとから構成されている点にある。ここ
で、基部84と電子放出部15Eとは異なる導電材料か
ら構成されている。具体的には、基部84は、電子放出
部15Eとゲート電極13の開口端部との間の距離を調
節するための部材であり、且つ、抵抗体層としての機能
を有し、不純物を含有するポリシリコン層から構成され
ている。電子放出部15Eはタングステンから構成され
ており、錐状形状、より具体的には円錐形状を有する。
尚、基部84と電子放出部15Eとの間には、TiNか
ら成る密着層80が形成されている。尚、密着層80
は、電子放出部の機能上不可欠な構成要素ではなく、製
造上の理由で形成されている。絶縁層12がゲート電極
13の直下から基部84の上端部にかけてえぐられるこ
とにより、開口部14が形成されている。
【0256】以下、製造方法の変形−5を、支持体等の
模式的な一部端面図である図60及び図61を参照して
説明する。
【0257】[工程−R0]先ず、開口部14の形成ま
でを、製造方法の変形−1の[工程−M0]と同様に行
う。次に、開口部14内を含む全面に基部形成用の導電
材料層を形成し、導電材料層をエッチングすることによ
って、開口部14の底部を埋め込む基部84を形成する
ことができる。尚、図示される基部84は平坦化された
表面を有しているが、表面が窪んでいてもよい。尚、平
坦化された表面を有する基部84は、製造方法の変形−
4の[工程−Q0]と同様のプロセスによって形成可能
である。更に、開口部14の残部を含む全面に、密着層
80、及び電子放出部形成用の導電材料層81を順次形
成する。このとき、開口部14の残部の上端面と底面と
の間の段差を反映した柱状部81Bとこの柱状部81B
の上端に連通する拡大部81Cとから成る略漏斗状の凹
部81Aが導電材料層81の表面に生成されるように、
導電材料層81の厚さを選択する。次に、導電材料層8
1上にマスク材料層82を形成する。このマスク材料層
82は、例えば銅を用いて形成する。図60の(A)
は、ここまでのプロセスが終了した状態を示している。
【0258】[工程−R1]次に、マスク材料層82と
導電材料層81とを支持体10の表面に対して平行な面
内で除去することにより、柱状部81Bにマスク材料層
82を残す(図60の(B)参照)。この除去は、製造
方法の変形−2の[工程−N3]と同様に、化学的機械
的研磨法(CMP法)により行うことができる。
【0259】[工程−R2]次に、導電材料層81とマ
スク材料層82と密着層80とをエッチングすると、前
述の機構に基づき対レジスト選択比の大きさに応じた円
錐形状を有する電子放出部15Eが形成される。これら
の層のエッチングは、製造方法の変形−2の[工程−N
4]と同様に行うことができる。電子放出部15Eと基
部84、及び、電子放出部15Eと基部84の間に残存
する密着層80とによって、電子放出部が形成される。
電子放出部は、全体が錐状形状を有していても勿論構わ
ないが、図61の(A)には基部84の一部が開口部1
4の底部を埋め込むように残存した状態を示した。かか
る形状は、柱状部81Bに埋め込まれたマスク材料層8
2の高さが低いか、若しくは、マスク材料層82のエッ
チング速度が比較的速い場合に生じ得るが、電子放出部
としての機能に何ら支障はない。
【0260】[工程−R3]その後、等方的なエッチン
グ条件で開口部14の内部において絶縁層12の側壁面
を後退させると、図61の(B)に示した電界放出素子
が完成される。等方的なエッチング条件は、製造方法の
変形−1で説明したと同様とすればよい。
【0261】[スピント型電界放出素子:製造方法の変
形−6]製造方法の変形−6は、製造方法の変形−3の
変形である。製造方法の変形−6が製造方法の変形−3
と異なる点は、電子放出部が、製造方法の変形−4と同
様に、基部84と、基部84上に積層された錐状の電子
放出部15Eとから構成されている点にある。以下、製
造方法の変形−6を、支持体等の模式的な一部端面図で
ある図62を参照して説明する。
【0262】[工程−S0]マスク材料層82の形成ま
でを製造方法の変形−5の[工程−R0]と同様に行
う。その後、導電材料層81上と拡大部81C内のマス
ク材料層82のみを除去することにより、柱状部81B
にマスク材料層82を残す(図62参照)。例えば希フ
ッ酸水溶液を用いたウェットエッチングを行い、タング
ステンから成る導電材料層81を除去することなく、銅
から成るマスク材料層82のみを選択的に除去すること
ができる。この後の導電材料層81とマスク材料層82
のエッチング、絶縁層12の等方的なエッチング等のプ
ロセスは、全て、製造方法の変形−5と同様に行うこと
ができる。
【0263】以上、本発明を、発明の実施の形態に基づ
き説明したが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。発明の実施の形態にて説明したアノードパネルやカ
ソードパネル、表示装置や電界放出素子の構成、構造は
例示であり、適宜変更することができるし、アノードパ
ネルやカソードパネル、表示装置や電界放出素子の製造
方法も例示であり、適宜変更することができる。更に
は、アノードパネルやカソードパネルの製造において使
用した各種材料も例示であり、適宜変更することができ
る。
【0264】更には、電界放出素子においては、専ら1
つの開口部に1つの電子放出部が対応する形態を説明し
たが、電界放出素子の構造に依っては、1つの開口部に
複数の電子放出部が対応した形態、あるいは、複数の開
口部に1つの電子放出部が対応する形態とすることもで
きる。あるいは又、ゲート電極に複数の第1の開口部を
設け、絶縁層にかかる複数の第1の開口部に連通した複
数の第2の開口部を設け、1又は複数の電子放出部を設
ける形態とすることもできる。
【0265】ゲート電極を、有効領域を1枚のシート状
の導電材料(第1開口部を有する)で被覆した形式のゲ
ート電極とすることもできる。この場合には、かかるゲ
ート電極に正の電圧(例えば160ボルト)を印加す
る。そして、各画素を構成する電子放出部とカソード電
極制御回路との間に、例えば、TFTから成るスイッチ
ング素子を設け、かかるスイッチング素子の作動によっ
て、各画素を構成する電子放出部への印加状態を制御
し、画素の発光状態を制御する。
【0266】あるいは又、カソード電極を、有効領域を
1枚のシート状の導電材料で被覆した形式のカソード電
極とすることもできる。この場合には、かかるカソード
電極に電圧(例えば0ボルト)を印加する。そして、各
画素を構成する電子放出部とゲート電極制御回路との間
に、例えば、TFTから成るスイッチング素子を設け、
かかるスイッチング素子の作動によって、各画素を構成
する電子放出部への印加状態を制御し、画素の発光状態
を制御する。
【0267】表面伝導型電界放出素子と通称される電界
放出素子から電子放出領域を構成することもできる。こ
の表面伝導型電界放出素子は、例えばガラスから成る支
持体上に酸化錫(SnO2)、金(Au)、酸化インジ
ウム(In23)/酸化錫(SnO2)、カーボン、酸
化パラジウム(PdO)等の導電材料から成り、微小面
積を有し、所定の間隔(ギャップ)を開けて配された一
対の電極がマトリックス状に形成されて成る。それぞれ
の電極の上には炭素薄膜が形成されている。そして、一
対の電極の内の一方の電極に行方向配線が接続され、一
対の電極の内の他方の電極に列方向配線が接続された構
成を有する。一対の電極に電圧を印加することによっ
て、ギャップを挟んで向かい合った炭素薄膜に電界が加
わり、炭素薄膜から電子が放出される。かかる電子をア
ノードパネル上の蛍光体層に衝突させることによって、
蛍光体層が励起されて発光し、所望の画像を得ることが
できる。
【0268】
【発明の効果】本発明においては、電子放出部から放出
された電子の軌道を収束させるための突起部が設けられ
ているので、電子ビーム束が絞られた状態で、電子放出
領域に対向したアノード電極の部分あるいは蛍光体層の
部分に衝突する。従って、光学的クロストークが発生す
るといった問題の発生を確実に回避することができる
し、表示装置の製造工程が増加し、表示装置の製造コス
ト増となることもない。光学的クロストークが無くなる
結果、表示装置の色再現性が高まり、しかも、表示装置
全体の消費電力に対する輝度効率が向上する。
【0269】また、ゲート電極に突起部が設けられてい
るので、ゲート電極と突起部とは等電位であり、従来の
表示装置のように、ゲート電極と収束電極との間の異常
放電の発生、絶縁膜を成膜するために長時間を要するが
故の表示装置の製造スループットの低下、絶縁膜のチャ
ージアップの発生といった問題は生じない。絶縁膜のチ
ャージアップが無いが故に、放出された電子の軌道の歪
みの発生、他の画素を構成する蛍光体層への誤照射、絶
縁膜と電極との間の異常放電の発生、絶縁膜の電子線焼
けによる劣化といった問題も生じない。また、製造プロ
セスにおける加熱温度の制限や熱膨張率に起因した問題
の発生もない。
【0270】更には、表示装置内部の露出総面積を低減
できる結果、露出部分に吸着するガス量を減らすことが
できる。従って、電子放出部に吸着するガス量が減り、
電界放出素子の劣化を抑制することが可能となり、表示
装置の寿命が延びるし、閾値電圧Vthが下がり、表示装
置や駆動回路の消費電力の低減を図ることができる。ま
た、電界放出素子の閾値電圧Vthのばらつきが少なくな
り、電子放出特性が均一化する。加えて、ゲート電極と
アノード電極との間の耐圧が向上し、アノード電極に印
加する電圧を高くすることができる結果、蛍光体層の特
性劣化を抑制することができるし、蛍光体層の寿命が延
び、蛍光体層からのガス放出を低減でき、輝度それ自体
も向上する。
【0271】しかも、収束電極を駆動するための回路が
不要であり、表示装置の製造コスト増を避けることがで
きるし、表示装置全体の薄型化、軽量化が可能となる。
【0272】また、以上の結果として、高い信頼性を有
する表示装置を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、発明の実施の形態1の冷陰極電界電子
放出表示装置を分解したときの模式的な部分的斜視図で
ある。
【図2】図2は、発明の実施の形態1の冷陰極電界電子
放出表示装置の第1の方向に沿った模式的な一部端面図
である。
【図3】図3は、発明の実施の形態1のカソードパネル
の一部分の第1の方向に沿った模式的な一部端面図であ
る。
【図4】図4は、発明の実施の形態1のカソードパネル
におけるカソード電極、ゲート電極及び突起部の配置を
模式的に示す配置図である。
【図5】図5は、発明の実施の形態1における突起部の
変形例(側面に傾斜がつけられた例)を説明するため
の、カソードパネルの一部分の第1の方向に沿った模式
的な一部端面図である。
【図6】図6は、発明の実施の形態1の変形例のカソー
ドパネルの模式的な部分的斜視図である。
【図7】図7は、図6に示したカソードパネルにおける
カソード電極、ゲート電極及び突起部の配置を模式的に
示す配置図である。
【図8】図8は、発明の実施の形態1の別の変形例のカ
ソードパネルの模式的な部分的斜視図である。
【図9】図9は、図8に示したカソードパネルにおける
カソード電極、ゲート電極及び突起部の配置を模式的に
示す配置図である。
【図10】図10は、発明の実施の形態1の冷陰極電界
電子放出表示装置の変形例の第1の方向に沿った模式的
な一部端面図である。
【図11】図11は、発明の実施の形態1のカソードパ
ネルの更に別の変形例におけるカソード電極、ゲート電
極及び突起部の配置を模式的に示す配置図である。
【図12】図12は、発明の実施の形態1のカソードパ
ネルの更に別の変形例におけるカソード電極、ゲート電
極及び突起部の配置を模式的に示す配置図である。
【図13】図13は、発明の実施の形態1のカソードパ
ネルの更に別の変形例におけるカソード電極、ゲート電
極及び突起部の配置を模式的に示す配置図である。
【図14】図14は、発明の実施の形態1のカソードパ
ネルの更に別の変形例におけるカソード電極、ゲート電
極及び突起部の配置を模式的に示す配置図である。
【図15】図15は、発明の実施の形態1のカソードパ
ネルの更に別の変形例におけるカソード電極、ゲート電
極及び突起部の配置を模式的に示す配置図である。
【図16】図16は、発明の実施の形態1のカソードパ
ネルの更に別の変形例におけるカソード電極、ゲート電
極及び突起部の配置を模式的に示す配置図である。
【図17】図17は、発明の実施の形態1のカソードパ
ネルの更に別の変形例におけるカソード電極、ゲート電
極及び突起部の配置を模式的に示す配置図である。
【図18】図18は、発明の実施の形態1のカソードパ
ネルの更に別の変形例におけるカソード電極、ゲート電
極及び突起部の配置を模式的に示す配置図である。
【図19】図19は、発明の実施の形態1のカソードパ
ネルの更に別の変形例におけるカソード電極、ゲート電
極及び突起部の配置を模式的に示す配置図である。
【図20】図20は、発明の実施の形態1のカソードパ
ネルの更に別の変形例におけるカソード電極、ゲート電
極及び突起部の配置を模式的に示す配置図である。
【図21】図21の(A)及び(B)は、スピント型冷
陰極電界電子放出素子の製造方法を説明するための支持
体等の模式的な一部端面図である。
【図22】図22の(A)及び(B)は、図21の
(B)に引き続き、スピント型冷陰極電界電子放出素子
の製造方法を説明するための支持体等の模式的な一部端
面図である。
【図23】図23の(A)、(B)及び(C)は、[扁
平型電界放出素子]の製造工程を説明するための、第1
の方向に沿った支持体等の模式的な一部端面図である。
【図24】図24は、[扁平型電界放出素子]の製造工
程の変形例を説明するための、第1の方向に沿った支持
体等の模式的な一部端面図である。
【図25】図25の(A)、(B)及び(C)は、[扁
平型電界放出素子]の製造工程の別の変形例を説明する
ための、第1の方向に沿った支持体等の模式的な一部端
面図である。
【図26】図26の(A)及び(B)は、クラウン型冷
陰極電界電子放出素子の製造方法を説明するための支持
体等の模式的な一部端面図である。
【図27】図27の(A)、(B)及び(C)は、図2
6の(B)に引き続き、クラウン型冷陰極電界電子放出
素子の製造方法を説明するための支持体等の模式的な一
部端面図である。
【図28】図28の(A)及び(B)は、図27の
(C)に引き続き、クラウン型冷陰極電界電子放出素子
の製造方法を説明するための支持体等の模式的な一部端
面図、及び、部分的な斜視図である。
【図29】図29の(A)、(B)及び(C)は、扁平
型冷陰極電界電子放出素子の製造方法を説明するための
支持体等の模式的な一部断面図である。
【図30】図30の(A)、(B)及び(C)は、扁平
型冷陰極電界電子放出素子の変形例の製造方法を説明す
るための支持体等の模式的な一部断面図である。
【図31】図31の(A)、(B)及び(C)は、平面
型冷陰極電界電子放出素子の製造方法を説明するための
支持体等の模式的な一部断面図である。
【図32】図32の(A)及び(B)は、平面型冷陰極
電界電子放出素子の変形例の模式的な一部断面図であ
る。
【図33】図33は、平面型冷陰極電界電子放出素子の
別の変形例の模式的な一部断面図である。
【図34】図34の(A)及び(B)は、クレータ型冷
陰極電界電子放出素子の製造方法を説明するための支持
体等の模式的な一部端面図、及び、部分的な斜視図であ
る。
【図35】図35の(A)及び(B)は、図34の
(A)及び(B)に引き続き、クレータ型冷陰極電界電
子放出素子の製造方法を説明するための支持体等の模式
的な一部端面図、及び、部分的な斜視図である。
【図36】図36の(A)及び(B)は、図35の
(A)及び(B)に引き続き、クレータ型冷陰極電界電
子放出素子の製造方法を説明するための支持体等の模式
的な一部端面図、及び、部分的な斜視図である。
【図37】図37の(A)及び(B)は、図36の
(A)及び(B)に引き続き、クレータ型冷陰極電界電
子放出素子の製造方法を説明するための支持体等の模式
的な一部断面図である。
【図38】図38の(A)、(B)及び(C)は、クレ
ータ型冷陰極電界電子放出素子の変形例の製造方法を説
明するための支持体等の模式的な一部断面図である。
【図39】図39の(A)、(B)及び(C)は、クレ
ータ型冷陰極電界電子放出素子の別の変形例の製造方法
を説明するための支持体等の模式的な一部端面図であ
る。
【図40】図40の(A)及び(B)は、クレータ型冷
陰極電界電子放出素子の更に別の変形例の製造方法を説
明するための支持体等の模式的な一部端面図である。
【図41】図41の(A)、(B)及び(C)は、図4
0の(B)に引き続き、クレータ型冷陰極電界電子放出
素子の更に別の変形例の製造方法を説明するための支持
体等の模式的な一部端面図である。
【図42】図42の(A)、(B)及び(C)は、エッ
ジ型冷陰極電界電子放出素子の模式的な一部断面図であ
る。
【図43】図43の(A)、(B)及び(C)は、エッ
ジ型冷陰極電界電子放出素子の一例の製造方法を説明す
るための支持体等の模式的な一部端面図である。
【図44】図44の(A)及び(B)は、図47に示す
スピント型冷陰極電界電子放出素子を製造するための、
[スピント型冷陰極電界電子放出素子:製造方法の変形
−1]を説明するための支持体等の模式的な一部端面図
である。
【図45】図45の(A)及び(B)は、図44の
(B)に引き続き、図47に示すスピント型冷陰極電界
電子放出素子を製造するための、[スピント型冷陰極電
界電子放出素子:製造方法の変形−1]を説明するため
の支持体等の模式的な一部端面図である。
【図46】図46の(A)及び(B)は、図45の
(B)に引き続き、図47に示すスピント型冷陰極電界
電子放出素子を製造するための、[スピント型冷陰極電
界電子放出素子:製造方法の変形−1]を説明するため
の支持体等の模式的な一部端面図である。
【図47】図47は、[スピント型冷陰極電界電子放出
素子:製造方法の変形−1]にて得られるスピント型冷
陰極電界電子放出素子の模式的な一部端面図である。
【図48】図48の(A)及び(B)は、円錐形状の電
子放出部が形成される機構を説明するための図である。
【図49】図49の(A)、(B)及び(C)は、対レ
ジスト選択比と、電子放出部の高さと形状の関係を模式
的に示す図である。
【図50】図50の(A)及び(B)は、[スピント型
冷陰極電界電子放出素子:製造方法の変形−2]を説明
するための支持体等の模式的な一部端面図である。
【図51】図51の(A)及び(B)は、図50の
(B)に引き続き、[スピント型冷陰極電界電子放出素
子:製造方法の変形−2]を説明するための支持体等の
模式的な一部端面図である。
【図52】図52の(A)及び(B)は、図51の
(B)に引き続き、[スピント型冷陰極電界電子放出素
子:製造方法の変形−2]を説明するための支持体等の
模式的な一部端面図である。
【図53】図53の(A)及び(B)は、被エッチング
物の表面プロファイルが一定時間毎にどのように変化す
るかを示す図である。
【図54】図54の(A)及び(B)は、[スピント型
冷陰極電界電子放出素子:製造方法の変形−3]を説明
するための支持体等の模式的な一部端面図である。
【図55】図55は、図54の(B)に引き続き、[ス
ピント型冷陰極電界電子放出素子:製造方法の変形−
3]を説明するための支持体等の模式的な一部端面図で
ある。
【図56】図56は、[スピント型冷陰極電界電子放出
素子:製造方法の変形−4]にて製造されるスピント型
冷陰極電界電子放出素子の模式的な一部端面図である。
【図57】図57の(A)及び(B)は、[スピント型
冷陰極電界電子放出素子:製造方法の変形−4]を説明
するための支持体等の模式的な一部端面図である。
【図58】図58の(A)及び(B)は、図57の
(B)に引き続き、[スピント型冷陰極電界電子放出素
子:製造方法の変形−4]を説明するための支持体等の
模式的な一部端面図である。
【図59】図59の(A)及び(B)は、図58の
(B)に引き続き、[スピント型冷陰極電界電子放出素
子:製造方法の変形−4]を説明するための支持体等の
模式的な一部端面図である。
【図60】図60の(A)及び(B)は、[スピント型
冷陰極電界電子放出素子:製造方法の変形−5]を説明
するための支持体等の模式的な一部端面図である。
【図61】図61の(A)及び(B)は、図60の
(B)に引き続き、[スピント型冷陰極電界電子放出素
子:製造方法の変形−5]を説明するための支持体等の
模式的な一部端面図である。
【図62】図62は、[スピント型冷陰極電界電子放出
素子:製造方法の変形−6]を説明するための支持体等
の模式的な一部端面図である。
【図63】図63は、電子放出領域の上方の等電位線を
模式的に示す図である。
【図64】図64は、従来の冷陰極電界電子放出表示装
置の模式的な一部端面図である。
【図65】図65は、従来の冷陰極電界電子放出素子を
構成する電子放出部から電子が或る程度の発散角をもっ
て放出される状態を模式的に示す図である。
【符号の説明】
CP・・・カソードパネル、AP・・・アノードパネ
ル、EA・・・電子放出領域、10・・・支持体、10
A・・・凹部、11,111,211・・・カソード電
極、11A・・・微小凹凸部、11B・・・被覆層、1
11A・・・隆起部、111B・・・凹部、111C・
・・先端部、211A・・・エッジ部、12,12A,
12B,112・・・絶縁層、13,113,213
A,213B・・・ゲート電極、14・・・開口部、1
4A・・・第1開口部、14B・・・第2開口部、1
5,15A,15B,15C,15D,15E・・・電
子放出部、16,16A,16B,16C・・・突起
部、17・・・突起部の側面、20・・・基板、21,
21R,21G,21B・・・蛍光体層、22・・・ブ
ラックマトリックス、23・・・アノード電極、30・
・・炭素系薄膜選択成長領域、31・・・炭素系薄膜、
40・・・剥離層、41・・・導電材料層、50・・・
剥離層、51・・・導電性組成物層、60,160・・
・球体、160A・・・芯材、160B・・・表面処理
層、61・・・組成物層、61A・・・分散媒、61B
・・・カソード電極材料、70・・・レジスト層、71
・・・レジスト層開口、80・・・密着層、81・・・
導電材料層、81A・・・凹部、81B・・・柱状部、
81C・・・拡大部、82・・・マスク材料層、83・
・・エッチング停止層、84・・・基部、84A・・・
導電材料層、85・・・平坦化層

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)支持体と、 (B)支持体上に形成され、第1の方向に延びる複数の
    カソード電極と、 (C)支持体及びカソード電極上に形成された絶縁層
    と、 (D)絶縁層上に形成され、第1の方向とは異なる第2
    の方向に延びる複数のゲート電極と、 (E)カソード電極とゲート電極とが重複する領域に設
    けられた電子放出領域、から成る冷陰極電界電子放出表
    示装置用カソードパネルであって、 電子放出領域には、 (a)ゲート電極に設けられた複数の第1開口部と、 (b)絶縁層に設けられ、第1開口部と連通した第2開
    口部と、 (c)第2開口部の底部に位置するカソード電極から構
    成された電子放出部、若しくは、第2開口部の底部に位
    置するカソード電極上に設けられた電子放出部、が設け
    られており、 少なくとも電子放出領域におけるゲート電極の部分に、
    電子放出部から放出された電子の軌道を収束させるため
    の突起部が設けられていることを特徴とする冷陰極電界
    電子放出表示装置用カソードパネル。
  2. 【請求項2】突起部は、矩形の電子放出領域の対向する
    2辺に相当するゲート電極の部分若しくはその近傍に設
    けられていることを特徴とする請求項1に記載の冷陰極
    電界電子放出表示装置用カソードパネル。
  3. 【請求項3】前記2辺は、第2の方向と略平行であるこ
    とを特徴とする請求項2に記載の冷陰極電界電子放出表
    示装置用カソードパネル。
  4. 【請求項4】前記2辺は、第1の方向と略平行であるこ
    とを特徴とする請求項2に記載の冷陰極電界電子放出表
    示装置用カソードパネル。
  5. 【請求項5】突起部は、矩形の電子放出領域の4辺に相
    当するゲート電極の部分若しくはその近傍に設けられて
    いることを特徴とする請求項1に記載の冷陰極電界電子
    放出表示装置用カソードパネル。
  6. 【請求項6】第1開口部に面する突起部の側面は、該第
    1開口部から遠ざかるように傾斜していることを特徴と
    する請求項2乃至請求項5のいずれか1項に記載の冷陰
    極電界電子放出表示装置用カソードパネル。
  7. 【請求項7】突起部は、電子放出領域におけるゲート電
    極に設けられた第1開口部と第1開口部との間のゲート
    電極の部分であって、第1開口部の縁部から離れた部分
    に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の冷
    陰極電界電子放出表示装置用カソードパネル。
  8. 【請求項8】支持体表面と平行な仮想平面でゲート電極
    に設けられた第1開口部を切断したときの第1開口部の
    断面形状と、支持体表面と平行な仮想平面で突起部の開
    口を切断したときの突起部の開口の断面形状とは相似形
    であることを特徴とする請求項7に記載の冷陰極電界電
    子放出表示装置用カソードパネル。
  9. 【請求項9】冷陰極電界電子放出表示装置用カソードパ
    ネル、及び、蛍光体層とアノード電極とを備えた冷陰極
    電界電子放出表示装置用アノードパネルが、それらの周
    縁部で接合されて成る冷陰極電界電子放出表示装置であ
    って、 冷陰極電界電子放出表示装置用カソードパネルは、 (A)支持体と、 (B)支持体上に形成され、第1の方向に延びる複数の
    カソード電極と、 (C)支持体及びカソード電極上に形成された絶縁層
    と、 (D)絶縁層上に形成され、第1の方向とは異なる第2
    の方向に延びる複数のゲート電極と、 (E)カソード電極とゲート電極とが重複する領域に設
    けられた電子放出領域、から成り、 電子放出領域には、 (a)ゲート電極に設けられた複数の第1開口部と、 (b)絶縁層に設けられ、第1開口部と連通した第2開
    口部と、 (c)第2開口部の底部に位置するカソード電極から構
    成された電子放出部、若しくは、第2開口部の底部に位
    置するカソード電極上に設けられた電子放出部、が設け
    られており、 少なくとも電子放出領域におけるゲート電極の部分に、
    電子放出部から放出された電子の軌道を収束させるため
    の突起部が設けられていることを特徴とする冷陰極電界
    電子放出表示装置。
  10. 【請求項10】突起部は、矩形の電子放出領域の対向す
    る2辺に相当するゲート電極の部分若しくはその近傍に
    設けられていることを特徴とする請求項9に記載の冷陰
    極電界電子放出表示装置。
  11. 【請求項11】前記2辺は、第2の方向と略平行である
    ことを特徴とする請求項10に記載の冷陰極電界電子放
    出表示装置。
  12. 【請求項12】前記2辺は、第1の方向と略平行である
    ことを特徴とする請求項10に記載の冷陰極電界電子放
    出表示装置。
  13. 【請求項13】突起部は、矩形の電子放出領域の4辺に
    相当するゲート電極の部分若しくはその近傍に設けられ
    ていることを特徴とする請求項9に記載の冷陰極電界電
    子放出表示装置。
  14. 【請求項14】第1開口部に面する突起部の側面は、該
    第1開口部から遠ざかるように傾斜していることを特徴
    とする請求項10乃至請求項13のいずれか1項に記載
    の冷陰極電界電子放出表示装置。
  15. 【請求項15】突起部は、電子放出領域におけるゲート
    電極に設けられた第1開口部と第1開口部との間のゲー
    ト電極の部分であって、第1開口部の縁部から離れた部
    分に設けられていることを特徴とする請求項9に記載の
    冷陰極電界電子放出表示装置。
  16. 【請求項16】支持体表面と平行な仮想平面でゲート電
    極に設けられた第1開口部を切断したときの第1開口部
    の断面形状と、支持体表面と平行な仮想平面で突起部の
    開口を切断したときの突起部の開口の断面形状とは相似
    形であることを特徴とする請求項15に記載の冷陰極電
    界電子放出表示装置。
JP2001395119A 2001-12-26 2001-12-26 冷陰極電界電子放出表示装置用カソードパネル及び冷陰極電界電子放出表示装置 Pending JP2003197132A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005243609A (ja) * 2004-02-25 2005-09-08 Samsung Sdi Co Ltd 電子放出素子

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