JP2003197087A - 冷陰極電界電子放出表示装置用カソードパネル及び冷陰極電界電子放出表示装置 - Google Patents

冷陰極電界電子放出表示装置用カソードパネル及び冷陰極電界電子放出表示装置

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JP2003197087A
JP2003197087A JP2001396298A JP2001396298A JP2003197087A JP 2003197087 A JP2003197087 A JP 2003197087A JP 2001396298 A JP2001396298 A JP 2001396298A JP 2001396298 A JP2001396298 A JP 2001396298A JP 2003197087 A JP2003197087 A JP 2003197087A
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cathode
gate electrode
field emission
opening
cathode electrode
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JP2001396298A
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English (en)
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Junichi Inoue
潤一 井上
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】カソード電極と絶縁層とゲート電極とによって
生じる容量成分に起因した駆動信号の遅延が引き起こさ
れることの少ない電子放出領域を有する冷陰極電界電子
放出表示装置用カソードパネルを提供する。 【解決手段】カソードパネルにおける電子放出領域は、
格子状ゲート電極部13Aと、格子状ゲート電極部13
Aの格子の交点に形成された第1開口部14Aと、絶縁
層12に設けられ、第1開口部14Aと連通した第2開
口部14Bと、第2開口部14Bの底部に位置するカソ
ード電極11上に設けられた電子放出部15から成る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、冷陰極電界電子放
出表示装置用カソードパネル及び冷陰極電界電子放出表
示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】テレビジョン受像機や情報端末機器に用
いられる表示装置の分野では、従来主流の陰極線管(C
RT)から、薄型化、軽量化、大画面化、高精細化の要
求に応え得る平面型(フラットパネル型)の表示装置へ
の移行が検討されている。このような平面型の表示装置
として、液晶表示装置(LCD)、エレクトロルミネッ
センス表示装置(ELD)、プラズマ表示装置(PD
P)、冷陰極電界電子放出表示装置(FED:フィール
ドエミッションディスプレイ)を例示することができ
る。このなかでも、液晶表示装置は情報端末機器用の表
示装置として広く普及しているが、据置き型のテレビジ
ョン受像機に適用するには、高輝度化や大型化に未だ課
題を残している。これに対して、冷陰極電界電子放出表
示装置は、熱的励起によらず、量子トンネル効果に基づ
き固体から真空中に電子を放出することが可能な冷陰極
電界電子放出素子(以下、電界放出素子と呼ぶ場合があ
る)を利用しており、高輝度及び低消費電力の点から注
目を集めている。
【0003】電界放出素子を利用した従来の冷陰極電界
電子放出表示装置(以下、表示装置と呼ぶ場合がある)
のゲート電極が延びる方向(第2の方向)に沿った模式
的な一部端面図を図62に示し、図63にカソードパネ
ルCPの一部分におけるストライプ状のカソード電極1
1の模式的な配置図を図63に示し、ストライプ状のカ
ソード電極とストライプ状のゲート電極の模式的な配置
図を図64に示す。尚、図64においては、絶縁層の図
示を省略した。また、図63及び図64において、電子
放出領域における電子放出部を明示するために電子放出
部に斜線を付した。更には、図64において、カソード
電極を明示するために斜線を付し、図63において、ゲ
ート電極の端部を点線で示した。
【0004】図示した電界放出素子は、円錐形の電子放
出部を有する、所謂スピント(Spindt)型電界放
出素子と呼ばれるタイプの電界放出素子である。この電
界放出素子は、支持体10上に形成されたカソード電極
11と、支持体10及びカソード電極11上に形成され
た絶縁層12と、絶縁層12上に形成されたゲート電極
13と、ゲート電極13及び絶縁層12に設けられた第
1開口部14A及び第2開口部14Bと、第2開口部1
4Bの底部に位置するカソード電極11上に形成された
円錐形の電子放出部15Aから構成されている。尚、1
つの電子放出部15Aに対応して、1つの開口部14
A,14Bが設けられている。一般に、カソード電極1
1とストライプ状のゲート電極13とは、これらの両電
極の射影像が互いに直交する方向に各々ストライプ状に
形成されており、これらのストライプ状の両電極の射影
像が重複する部分に相当する領域(1画素分の領域に相
当する。この領域を、以下、電子放出領域EAと呼ぶ)
に、通常、複数の電界放出素子が配列されている。更
に、かかる電子放出領域EAが、カソードパネルCPの
有効領域(実際の表示画面として機能する領域)内に、
通常、2次元マトリクス状に配列されている。
【0005】一方、アノードパネルAPは、透明な基板
20と、基板20上に所定のパターンに従って形成され
た蛍光体層21と、基板20及び蛍光体層21上に形成
されたアノード電極23から構成されている。
【0006】1画素は、カソードパネル側のカソード電
極11とゲート電極13と電子放出部15Aとから構成
され、電子放出領域EAに形成された電界放出素子の一
群と、これらの電界放出素子の一群に対面したアノード
パネル側の蛍光体層21によって構成されている。有効
領域には、かかる画素が、例えば数十万〜数百万個もの
オーダーにて配列されている。
【0007】アノードパネルAPとカソードパネルCP
とを、電界放出素子と蛍光体層21とが対向するように
配置し、周縁部において枠体(図示せず)を介して接合
した後、アノードパネルAPとカソードパネルCPと枠
体とによって囲まれた空間を真空にすることによって、
表示装置を作製することができる。
【0008】表示装置の作動においては、相対的な負電
圧をカソード電極制御回路(図示せず)からカソード電
極11に印加し、相対的に正電圧をゲート電極制御回路
(図示せず)からゲート電極13に印加し、ゲート電極
13よりも更に高い正電圧をアノード電極制御回路(図
示せず)からアノード電極23に印加する。かかる表示
装置において表示を行う場合、例えば、カソード電極1
1にカソード電極制御回路から走査信号を入力し、ゲー
ト電極13にゲート電極制御回路からビデオ信号を入力
する。あるいは又、カソード電極11にカソード電極制
御回路からビデオ信号を入力し、ゲート電極13にゲー
ト電極制御回路から走査信号を入力する。尚、ビデオ信
号及び走査信号を、総称して、駆動信号と呼ぶ場合があ
る。カソード電極11とゲート電極13との間に電圧を
印加した際に生ずる電界により、量子トンネル効果に基
づき電子放出部15Aから電子が放出され、この電子が
アノード電極23に引き付けられ、蛍光体層21に衝突
する。その結果、蛍光体層21が励起されて発光し、所
望の画像を得ることができる。つまり、この表示装置の
動作は、基本的に、ゲート電極13に印加される電圧、
及びカソード電極11を通じて電子放出部15Aに印加
される電圧によって制御される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】カソード電極11とゲ
ート電極13との間には、例えば、比誘電率εが約4の
SiO2から成る絶縁層12が形成されている。その結
果、カソード電極11とゲート電極13との間に大きな
容量成分(浮遊容量)が存在し、かかる容量成分が駆動
信号の遅延を引き起こす結果、駆動信号の鈍りが生じ、
画質の劣化を招くといった問題がある。特に、表示装置
が大型化する程、カソード電極11とゲート電極13と
の重複領域である電子放出領域EAの面積が大きくな
り、容量成分(浮遊容量)が増加する。また、表示装置
を高解像度にする程、電子放出領域EAの数が多くなる
結果、容量成分が増加し、カソード電極及びゲート電極
に印加される駆動信号の波形に劣化が生じる。更には、
解像度を上げようとした場合、1本のカソード電極11
あるいはゲート電極13に印加する駆動信号(供給電
位)の時間が短くなる。それ故、カソード電極端部及び
ゲート電極端部に印加される駆動信号(供給電位)に対
する電子放出領域EAの応答が遅くなり、画質劣化につ
がなる。
【0010】従って、本発明の目的は、カソード電極と
絶縁層とゲート電極とによって生じる容量成分に起因し
た駆動信号の遅延が引き起こされることの少ない電子放
出領域を有する冷陰極電界電子放出表示装置用カソード
パネル、及び、かかる冷陰極電界電子放出素子を組み込
んだ冷陰極電界電子放出表示装置を提供することにあ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明の第1の態様に係る冷陰極電界電子放出表示
装置用カソードパネルは、(A)支持体と、(B)支持
体上に形成され、第1の方向に延びる複数のカソード電
極と、(C)支持体及びカソード電極上に形成された絶
縁層と、(D)絶縁層上に形成され、第1の方向とは異
なる第2の方向に延びる複数のゲート電極と、(E)カ
ソード電極とゲート電極とが重複する領域に設けられた
電子放出領域、から成る冷陰極電界電子放出表示装置用
カソードパネルであって、電子放出領域は、(a)格子
状ゲート電極部と、(b)格子状ゲート電極部の格子の
交点に形成された第1開口部と、(c)絶縁層に設けら
れ、第1開口部と連通した第2開口部と、(d)第2開
口部の底部に位置するカソード電極から構成された電子
放出部、若しくは、第2開口部の底部に位置するカソー
ド電極上に設けられた電子放出部、から成ることを特徴
とする。
【0012】上記の目的を達成するための本発明の第2
の態様に係る冷陰極電界電子放出表示装置用カソードパ
ネルは、(A)支持体と、(B)支持体上に形成され、
第1の方向に延びる複数のカソード電極と、(C)支持
体及びカソード電極上に形成された絶縁層と、(D)絶
縁層上に形成され、第1の方向とは異なる第2の方向に
延びる複数のゲート電極と、(E)カソード電極とゲー
ト電極とが重複する領域に設けられた電子放出領域、か
ら成る冷陰極電界電子放出表示装置用カソードパネルで
あって、電子放出領域は、(a)格子状カソード電極部
と、(b)格子状カソード電極部の格子の交点の上方に
位置するゲート電極の部分に形成された第1開口部と、
(c)絶縁層に設けられ、第1開口部と連通した第2開
口部と、(d)第2開口部の底部に位置する格子状カソ
ード電極部の格子の交点から構成された電子放出部、若
しくは、第2開口部の底部に位置する格子状カソード電
極部の格子の交点上に設けられた電子放出部、から成る
ことを特徴とする。
【0013】上記の目的を達成するための本発明の第1
の態様に係る冷陰極電界電子放出表示装置は、冷陰極電
界電子放出表示装置用カソードパネル、及び、蛍光体層
とアノード電極とを備えた冷陰極電界電子放出表示装置
用アノードパネルが、それらの周縁部で接合されて成る
冷陰極電界電子放出表示装置であって、冷陰極電界電子
放出表示装置用カソードパネルは、(A)支持体と、
(B)支持体上に形成され、第1の方向に延びる複数の
カソード電極と、(C)支持体及びカソード電極上に形
成された絶縁層と、(D)絶縁層上に形成され、第1の
方向とは異なる第2の方向に延びる複数のゲート電極
と、(E)カソード電極とゲート電極とが重複する領域
に設けられた電子放出領域、から成り、電子放出領域
は、(a)格子状ゲート電極部と、(b)格子状ゲート
電極部の格子の交点に形成された第1開口部と、(c)
絶縁層に設けられ、第1開口部と連通した第2開口部
と、(d)第2開口部の底部に位置するカソード電極か
ら構成された電子放出部、若しくは、第2開口部の底部
に位置するカソード電極上に設けられた電子放出部、か
ら成ることを特徴とする。
【0014】上記の目的を達成するための本発明の第2
の態様に係る冷陰極電界電子放出表示装置は、冷陰極電
界電子放出表示装置用カソードパネル、及び、蛍光体層
とアノード電極とを備えた冷陰極電界電子放出表示装置
用アノードパネルが、それらの周縁部で接合されて成る
冷陰極電界電子放出表示装置であって、冷陰極電界電子
放出表示装置用カソードパネルは、(A)支持体と、
(B)支持体上に形成され、第1の方向に延びる複数の
カソード電極と、(C)支持体及びカソード電極上に形
成された絶縁層と、(D)絶縁層上に形成され、第1の
方向とは異なる第2の方向に延びる複数のゲート電極
と、(E)カソード電極とゲート電極とが重複する領域
に設けられた電子放出領域、から成り、電子放出領域
は、(a)格子状カソード電極部と、(b)格子状カソ
ード電極部の格子の交点の上方に位置するゲート電極の
部分に形成された第1開口部と、(c)絶縁層に設けら
れ、第1開口部と連通した第2開口部と、(d)第2開
口部の底部に位置する格子状カソード電極部の格子の交
点から構成された電子放出部、若しくは、第2開口部の
底部に位置する格子状カソード電極部の格子の交点上に
設けられた電子放出部、から成ることを特徴とする。
【0015】本発明の第1の態様に係る冷陰極電界電子
放出表示装置用カソードパネルあるいは冷陰極電界電子
放出表示装置にあっては、格子状ゲート電極部の格子の
交点の平面形状を円形とすることができ、あるいは又、
矩形とすることができる。また、電子放出領域の外周か
ら1μm以上離れた領域に格子状ゲート電極部が形成さ
れていることが好ましい。尚、この領域は、電子放出領
域の外周から内側に1μm以上入った位置に形成されて
もよいし、電子放出領域の外周から外側に1μm以上離
れた位置から電子放出領域の内部にかけて形成されても
よい。カソード電極及び支持体上に形成された絶縁層に
は、カソード電極の厚さの影響を受けて段差が生じる場
合がある。そして、ゲート電極と格子状ゲート電極部と
の境界領域が電子放出領域の外周上に形成されると、絶
縁層の段差の影響を受けて、境界領域で格子状ゲート電
極部に断線が発生する虞がある。従って、絶縁層に形成
された段差上に、ゲート電極と格子状ゲート電極部との
境界領域が形成されないことが望ましい。電子放出領域
の外周から1μm以上離れた領域に格子状ゲート電極部
を形成することによって、このような問題の発生を抑制
することができる。
【0016】本発明の第2の態様に係る冷陰極電界電子
放出表示装置用カソードパネルあるいは冷陰極電界電子
放出表示装置にあっては、格子状カソード電極部の格子
の交点の平面形状を円形とすることができ、あるいは
又、矩形(正方形を含む)とすることができる。
【0017】上記の好ましい形態を含む本発明の第2の
態様に係る冷陰極電界電子放出表示装置用カソードパネ
ルあるいは冷陰極電界電子放出表示装置においては、電
子放出領域を構成するゲート電極の部分は格子状ゲート
電極部から成り、第1開口部は、格子状ゲート電極部の
格子の交点に形成されている構成とすることもできる。
そして、この場合、格子状ゲート電極部の格子の交点の
平面形状を円形とすることができ、あるいは又、矩形
(正方形を含む)とすることができる。また、上記と同
じ理由により、電子放出領域の外周から1μm以上離れ
た領域に格子状ゲート電極部が形成されていることが好
ましい。尚、この領域は、電子放出領域の外周から内側
に1μm以上入った位置に形成されてもよいし、電子放
出領域の外周から外側に1μm以上離れた位置から電子
放出領域の内部にかけて形成されてもよい。
【0018】本発明の第1の態様に係る冷陰極電界電子
放出表示装置用カソードパネルあるいは冷陰極電界電子
放出表示装置において、電子放出領域の面積をS0、1
つの電子放出領域における格子状ゲート電極部の面積の
合計をS1としたとき、S1≦S0、好ましくは、S1
0.5S0を満足することが望ましい。また、本発明の
第2の態様に係る冷陰極電界電子放出表示装置用カソー
ドパネルあるいは冷陰極電界電子放出表示装置におい
て、電子放出領域の面積をS0、1つの電子放出領域に
おける格子状カソード電極部の面積の合計をS2とした
とき、S2≦S0、好ましくは、S2≦0.5S0を満足す
ることが望ましい。
【0019】本発明の第1の態様若しくは第2の態様に
係る冷陰極電界電子放出表示装置用カソードパネルある
いは冷陰極電界電子放出表示装置(以下、これらを総称
して、単に、本発明と呼ぶ場合がある)における電子放
出領域を構成する冷陰極電界電子放出素子(以下、電界
放出素子と略称する)を、カソード電極それ自体から電
子を放出する形態とすることができる。このような電界
放出素子として、 平面状のカソード電極の表面から電子を放出する平面
型電界放出素子 クレータ状のカソード電極の表面から電子を放出する
クレータ型電界放出素子 第2開口部の底部(側壁を含む)に露出したカソード
電極のエッジ部が電子放出部に相当し、第2開口部の底
部(側壁を含む)に露出したカソード電極のエッジ部か
ら電子を放出する構造を有するエッジ型電界放出素子を
挙げることができる。
【0020】あるいは又、電界放出素子を、カソード電
極上に設けられた電子放出部から電子を放出する形態と
することもできる。このような電界放出素子として、 電子放出部の形状が円錐形のスピント型電界放出素子 電子放出部の形状が王冠状のクラウン型電界放出素子 電子放出部の形状が扁平状(平面状)の扁平型電界放
出素子を挙げることができる。
【0021】尚、以下の説明において、単に「カソード
電極」と表現し、あるいは又、単に「ゲート電極」と表
現する場合があるが、これらの表現には、カソードパネ
ルCPの構造により、格子状カソード電極部あるいは格
子状ゲート電極部が含まれる。
【0022】スピント型電界放出素子にあっては、電子
放出部を構成する材料として、タングステン、タングス
テン合金、モリブデン、モリブデン合金、チタン、チタ
ン合金、ニオブ、ニオブ合金、タンタル、タンタル合
金、クロム、クロム合金、及び、不純物を含有するシリ
コン(ポリシリコンやアモルファスシリコン)から成る
群から選択された少なくとも1種類の材料を挙げること
ができる。スピント型電界放出素子の電子放出部は、例
えば、真空蒸着法やスパッタリング法、CVD法によっ
て形成することができる。
【0023】クラウン型電界放出素子にあっては、電子
放出部を構成する材料として、導電性粒子、あるいは、
導電性粒子とバインダから成る導電性組成物を挙げるこ
とができる。導電性粒子として、黒鉛等のカーボン系材
料;タングステン(W)、ニオブ(Nb)、タンタル
(Ta)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、クロ
ム(Cr)等の高融点金属;あるいはITO(インジウ
ム・錫酸化物)等の透明導電材料を挙げることができ
る。バインダとして、例えば水ガラスといったガラスや
汎用樹脂を使用することができる。汎用樹脂として、塩
化ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系
樹脂、セルロースエステル系樹脂、フッ素系樹脂等の熱
可塑性樹脂や、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ
エステル系樹脂等の熱硬化性樹脂を例示することができ
る。バインダを硬化させるための熱処理の温度は、バイ
ンダの種類に応じて、適宜、決定すればよい。例えば、
バインダが水ガラスのような無機材料である場合には、
無機材料を焼成し得る温度で熱処理を行えばよい。バイ
ンダが熱硬化性樹脂である場合には、熱硬化性樹脂を硬
化し得る温度で熱処理を行えばよい。但し、導電性粒子
同士の密着性を保つために、熱硬化性樹脂が過度に分解
したり炭化する虞のない温度で熱処理を行うことが好適
である。いずれのバインダを用いるにしても、熱処理温
度は、ゲート電極やカソード電極や絶縁層に損傷や欠陥
が生じない温度とする必要がある。熱処理雰囲気は、ゲ
ート電極やカソード電極の電気抵抗率が酸化によって上
昇したり、あるいはゲート電極やカソード電極に欠陥や
損傷が生ずることのないように、不活性ガス雰囲気とす
ることが好ましい。バインダとして熱可塑性樹脂を使用
した場合には、熱処理を必要としない場合がある。
【0024】導電性組成物の構成成分である分散媒は、
水ガラスのように分散媒を兼ね得るバインダであっても
よいし、水であってもよいし、あるいは、アルコール
系、エーテル系、ケトン系、エステル系、炭化水素系等
の有機溶媒であってもよい。即ち、バインダは、(1)
それ自身が導電性粒子の分散媒であってもよいし、
(2)導電性粒子を被覆していてもよいし、(3)適当
な溶媒に分散あるいは溶解させることによって、導電性
粒子の分散媒を構成してもよい。(3)のケースの典型
例は水ガラスであり、日本工業規格(JIS)K140
8に規定される1号乃至4号、又はこれらの同等品を使
用することができる。1号乃至4号は、水ガラスの構成
成分である酸化ナトリウム(Na2O)1モルに対する
酸化珪素(SiO2)のモル数(約2〜4モル)の違い
に基づく4段階の等級であり、それぞれ粘度が大きく異
なる。従って、リフトオフ・プロセスで水ガラスを使用
する際には、水ガラスに分散させる導電性粒子の種類や
含有量、剥離層との親和性、開口部のアスペクト比等の
諸条件を考慮して、最適な等級の水ガラスを選択する
か、又は、これらの等級と同等の水ガラスを調製して使
用することが好ましい。あるいは又、K2Oを主成分と
する水ガラスを用いることもできる。
【0025】電子放出効率の向上のためには、導電性粒
子の粒径が電子放出部の寸法に比べて十分に小さいこと
が好ましい。導電性粒子の形状は、球形、多面体、板
状、針状、柱状、不定形等、特に限定されないが、導電
性粒子の露出部が鋭い突起となり得るような形状である
ことが好ましい。寸法や形状の異なる導電性粒子を混合
して使用してもよい。
【0026】バインダは一般に導電性に劣るので、導電
性組成物中の導電性粒子の含有量に対してバインダの含
有量が多過ぎると、形成される電子放出部の電気抵抗値
が上昇し、電子放出が円滑に行われなくなる虞がある。
従って、例えば水ガラス中に導電性粒子として炭素系材
料粒子を分散させて成る導電性組成物を例にとると、導
電性組成物の全重量に占める炭素系材料粒子の割合は、
電子放出部の電気抵抗値、導電性組成物の粘度、導電性
粒子同士の接着性等の特性を考慮し、概ね30〜95重
量%の範囲に選択することが好ましい。炭素系材料粒子
の割合をかかる範囲内に選択することにより、形成され
る電子放出部の電気抵抗値を十分に下げると共に、炭素
系材料粒子同士の接着性を良好に保つことが可能とな
る。但し、導電性粒子として炭素系材料粒子にアルミナ
粒子を混合して用いた場合には、導電性粒子同士の接着
性が低下する傾向があるので、アルミナ粒子の含有量に
応じて炭素系材料粒子の割合を高めることが好ましく、
60重量%以上とすることが特に好ましい。尚、導電性
組成物には、導電性粒子の分散状態を安定化させるため
の分散剤や、pH調整剤、乾燥剤、硬化剤、防腐剤等の
添加剤が含まれていてもよい。尚、導電性粒子を結合剤
(バインダ)の被膜で覆った粉体を、適当な分散媒中に
分散させて成る導電性組成物を用いてもよい。また、電
子放出部の表面に露出したバインダをエッチングによっ
て除去してもよい。
【0027】クラウン型電界放出素子の電子放出部は、
例えば、リフトオフ法と組み合わせた塗布法、真空蒸着
法、スパッタリング法によって形成することができる。
あるいは又、カーボン粒子を用いた(具体的には、カー
ボン粒子を分散させたアンモニア溶液を電解液として用
いた)電気泳動法に基づき、電子放出部を形成すること
もできるし、感光性ペースト法やスクリーン印刷法、リ
フトオフ法にて電子放出部を形成することもできる。
【0028】扁平型電界放出素子にあっては、電子放出
部を、カソード電極を構成する材料よりも仕事関数Φの
小さい材料から構成することが好ましく、どのような材
料を選択するかは、カソード電極を構成する材料の仕事
関数、ゲート電極とカソード電極との間の電位差、要求
される放出電子電流密度の大きさ等に基づいて決定すれ
ばよい。電界放出素子におけるカソード電極を構成する
代表的な材料として、タングステン(Φ=4.55e
V)、ニオブ(Φ=4.02〜4.87eV)、モリブ
デン(Φ=4.53〜4.95eV)、アルミニウム
(Φ=4.28eV)、銅(Φ=4.6eV)、タンタ
ル(Φ=4.3eV)、クロム(Φ=4.5eV)、シ
リコン(Φ=4.9eV)を例示することができる。電
子放出部は、これらの材料よりも小さな仕事関数Φを有
していることが好ましく、その値は概ね3eV以下であ
ることが好ましい。かかる材料として、炭素(Φ<1e
V)、セシウム(Φ=2.14eV)、LaB6(Φ=
2.66〜2.76eV)、BaO(Φ=1.6〜2.
7eV)、SrO(Φ=1.25〜1.6eV)、Y2
3(Φ=2.0eV)、CaO(Φ=1.6〜1.8
6eV)、BaS(Φ=2.05eV)、TiN(Φ=
2.92eV)、ZrN(Φ=2.92eV)を例示す
ることができる。仕事関数Φが2eV以下である材料か
ら電子放出部を構成することが、一層好ましい。尚、電
子放出部を構成する材料は、必ずしも導電性を備えてい
る必要はない。
【0029】あるいは又、扁平型電界放出素子における
電子放出部を構成する材料として、かかる材料の2次電
子利得δがカソード電極を構成する導電性材料の2次電
子利得δよりも大きくなるような材料から適宜選択して
もよい。即ち、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、金
(Au)、コバルト(Co)、銅(Cu)、モリブデン
(Mo)、ニオブ(Nb)、ニッケル(Ni)、白金
(Pt)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、ジ
ルコニウム(Zr)等の金属;シリコン(Si)、ゲル
マニウム(Ge)等の半導体;炭素やダイヤモンド等の
無機単体;及び酸化アルミニウム(Al23)、酸化バ
リウム(BaO)、酸化ベリリウム(BeO)、酸化カ
ルシウム(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸
化錫(SnO2)、フッ化バリウム(BaF2)、フッ化
カルシウム(CaF2)等の化合物の中から、適宜選択
することができる。尚、電子放出部を構成する材料は、
必ずしも導電性を備えている必要はない。
【0030】特に好ましい電子放出部の構成材料とし
て、炭素、より具体的にはダイヤモンドや炭素系薄膜を
挙げることができる。電子放出部をこれらから構成する
場合、5×107V/m以下の電界強度にて、冷陰極電
界電子放出表示装置に必要な放出電子電流密度を得るこ
とができる。また、ダイヤモンドは電気抵抗体であるた
め、各電子放出部から得られる放出電子電流を均一化す
ることができ、よって、冷陰極電界電子放出表示装置に
組み込まれた場合の輝度ばらつきの抑制が可能となる。
更に、これらの材料は、冷陰極電界電子放出表示装置内
の残留ガスのイオンによるスパッタ作用に対して極めて
高い耐性を有するので、電子放出部の長寿命化を図るこ
とができる。
【0031】炭素系薄膜は、結晶性を有するグラファイ
トから構成されていることが好ましい。結晶性を有する
グラファイトは、sp2結合を有するグラファイトから
構成されており、1層のカーボングラファイトシートが
巻かれた構造を有する単層カーボンナノチューブ、ある
いは、2層以上のカーボングラファイトシートが巻かれ
た構造を有する所謂カーボンナノチューブである。ある
いは又、カーボングラファイトシートが重なったカーボ
ンナノファイバーや、カーボンナノチューブあるいはカ
ーボンナノファイバーの周囲にアモルファスカーボンが
堆積(付着)したものから構成されている。sp2結合
を有する炭素原子は、通常、6個の炭素原子から六員環
を構成し、これらの六員環の集まりがカーボングラファ
イトシートを構成する。このカーボングラファイトシー
トが巻かれたチューブ構造を有するものがカーボンナノ
チューブである。一方、カーボングラファイトシートが
巻かれておらず、カーボングラファイトのフラグメント
が重なってファイバー状になったものが、カーボンナノ
ファイバーである。場合によっては、円錐状の形状をも
有し得る。
【0032】このような結晶性を有するグラファイトか
ら成る電子放出部をカソード電極上に形成する場合、結
晶性を有するグラファイトとバインダ(例えば、水ガラ
スといった無機系バインダ、エポキシ系樹脂やアクリル
系樹脂といった有機系バインダ)とを混合したものをカ
ソード電極上に塗布した後、バインダを焼成する方法、
結晶性を有するグラファイトをカソード電極上に塗布し
た後、カソード電極上に結晶性を有するグラファイトを
バインダ(例えば、ダイヤモンド・ライク・カーボン)
を用いて、例えばCVD法にて固定する方法を挙げるこ
とができる。これらの場合、結晶性を有するグラファイ
トとして、カーボンナノチューブ、あるいは、カーボン
ナノファイバー、あるいはカーボンナノチューブとカー
ボンナノファイバーの混合物を用いることが好ましい。
【0033】あるいは又、結晶性を有するグラファイト
から成る電子放出部をカソード電極上に形成する場合、
結晶性を有するグラファイトをカソード電極上にCVD
法にて形成する方法を挙げることができる。この場合、
電子放出部とカソード電極との間に炭素系薄膜選択成長
領域を形成することが好ましい。電子放出部がどのよう
な構造になるかは、化学的気相成長法(CVD法)にお
ける形成条件や炭素系薄膜選択成長領域を構成する材料
等に依存する。電子放出部は、巨視的には炭素系薄膜か
ら構成されているが、微視的には、複数のカーボンナノ
チューブから構成され、複数のカーボンナノファイバー
から構成され、あるいは又、複数の円錐部から構成され
ている。尚、電子放出部は、CVD条件を最適化するこ
とによって、あるいは又、ゲート電極やカソード電極を
構成する材料を適切に選択することによって、炭素系薄
膜選択成長領域上に選択的に形成され、ゲート電極やカ
ソード電極上に形成されることはない。
【0034】炭素系薄膜選択成長領域を構成する材料と
して、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)、チタン
(Ti)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、タング
ステン(W)、ジルコニウム(Zr)、タンタル(T
a)、鉄(Fe)、銅(Cu)、白金(Pt)、亜鉛
(Zn)、ゲルマニウム(Ge)、錫(Sn)、鉛(P
b)、ビスマス(Bi)、銀(Ag)、金(Au)、イ
ンジウム(In)、マンガン(Mn)、パラジウム(P
d)及びタリウム(Tl)から成る群から選択された少
なくとも1種類の金属、あるいは、これらの元素を含む
金属化合物又は合金を挙げることができる。更には、上
記に挙げた金属以外でも、電子放出部を形成(合成)す
るときの雰囲気中で触媒作用を有する金属や金属化合
物、合金を用いることができる。
【0035】炭素系薄膜選択成長領域の形成方法とし
て、物理的気相成長法(PVD法)、化学的気相成長法
(CVD法)、電気メッキ法や無電解メッキ法を含むメ
ッキ法を挙げることができる。ここで、PVD法とし
て、 電子ビーム加熱法、抵抗加熱法、フラッシュ蒸着等
の各種真空蒸着法、 プラズマ蒸着法、 2極スパッタ法、直流スパッタ法、直流マグネトロ
ンスパッタ法、高周波スパッタ法、マグネトロンスパッ
タ法、イオンビームスパッタ法、バイアススパッタ法等
の各種スパッタ法、 DC(direct current)法、RF法、多陰極法、活性
化反応法、電界蒸着法、高周波イオンプレーティング
法、反応性イオンプレーティング法等の各種イオンプレ
ーティング法、を挙げることができる。
【0036】あるいは又、炭素系薄膜選択成長領域を形
成する方法として、例えば、炭素系薄膜選択成長領域を
形成すべき領域以外の領域を適切な材料(例えば、マス
ク層)で被覆した状態で、溶媒と金属粒子から成る層を
炭素系薄膜選択成長領域を形成すべき領域の表面に形成
した後、溶媒を除去し、金属粒子を残す方法を挙げるこ
とができる。あるいは又、炭素系薄膜選択成長領域を形
成する方法として、例えば、炭素系薄膜選択成長領域を
形成すべき領域以外の領域を適切な材料(例えば、マス
ク層)で被覆した状態で、金属粒子を構成する金属原子
を含む金属化合物粒子を係る領域の表面に付着させた
後、金属化合物粒子を加熱することによって分解し、以
て、炭素系薄膜選択成長領域(一種の金属粒子の集まり
である)を係る領域に形成する方法を挙げることができ
る。この場合、具体的には、溶媒と金属化合物粒子から
成る層を炭素系薄膜選択成長領域を形成すべき領域の表
面に形成した後、溶媒を除去し、金属化合物粒子を残す
方法を例示することができる。金属化合物粒子は、炭素
系薄膜選択成長領域を構成する金属のハロゲン化物(例
えば、ヨウ化物、塩化物、臭化物等)、酸化物、水酸化
物及び有機金属から成る群から選択された少なくとも1
種類の材料から成ることが好ましい。尚、これらの方法
においては、適切な段階で、炭素系薄膜選択成長領域を
形成すべき領域以外の領域を被覆した材料(例えば、マ
スク層)を除去する。
【0037】あるいは又、炭素系薄膜選択成長領域を有
機金属化合物薄膜から構成することもできる。この場
合、有機金属化合物薄膜は、亜鉛(Zn)、錫(S
n)、アルミニウム(Al)、鉛(Pb)、ニッケル
(Ni)及びコバルト(Co)から成る群から選択され
た少なくとも1種の元素を含有して成る有機金属化合物
から構成されている形態とすることができ、更には、錯
化合物から構成されていることが好ましい。ここで、錯
化合物を構成する配位子として、アセチルアセトン、ヘ
キサフルオロアセチルアセトン、ジピバロイルメタネー
ト、シクロペンタジエニルを例示することができる。
尚、形成された有機金属化合物薄膜には、有機金属化合
物の分解物が一部含まれていてもよい。有機金属化合物
薄膜から成る炭素系薄膜選択成長領域を形成する工程
は、有機金属化合物溶液から成る層を炭素系薄膜選択成
長領域を形成すべき領域の上に成膜する工程から構成す
ることができ、あるいは又、有機金属化合物を昇華させ
た後、かかる有機金属化合物を炭素系薄膜選択成長領域
を形成すべき領域の上に堆積させる工程から構成するこ
とができる。
【0038】炭素系薄膜選択成長領域上に炭素系薄膜か
ら成る電子放出部を化学的気相成長法(CVD法)に基
づき選択的に形成することが好ましい。CVD法におけ
る原料ガスとして、炭化水素系ガスと水素ガスの組合せ
を用いることが好ましい。ここで、炭化水素系ガスとし
て、メタン(CH4)、エタン(C26)、プロパン
(C38)、ブタン(C410)、エチレン(C
24)、アセチレン(C22)等の炭化水素系ガスやこ
れらの混合ガス、メタノール、エタノール、アセトン、
ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン等を気化し
たガスを挙げることができる。また、放電を安定にさせ
るため及びプラズマ解離を促進するために、ヘリウム
(He)やアルゴン(Ar)等の希釈用ガスを混合して
もよいし、窒素、アンモニア等のドーピングガスを混合
してもよい。また、炭化水素系ガスと水素ガスの組合せ
を用いる場合、炭化水素系ガスと水素ガスの全流量に対
する炭化水素系ガスの流量を1容積%乃至50容積%、
好ましくは5容積%乃至50容積%とすることが望まし
い。ここで、水素ガスは、形成された炭素系薄膜を構成
する結晶粒子の内、結晶性の良くない結晶粒子を除去
(一種のエッチング)する役割を果たす。
【0039】このCVD法にあっては、支持体にバイア
ス電圧を印加した状態で、プラズマ密度が1016
-3(107mm-3)以上、好ましくは1017-3(108
mm-3)以上、一層好ましくは1019-3(1010mm
-3)以上の条件のプラズマCVD法に基づくことが、電
子放出部形成に用いる原料ガスの解離度を高くし、電子
放出部を確実に形成するといった観点から好ましい。あ
るいは又、電子放出部を形成するためのCVD法は、支
持体にバイアス電圧を印加した状態で、電子温度が1乃
至15eV、好ましくは5eV乃至15eV、イオン電
流密度が、0.1mA/cm2乃至30mA/cm2、好
ましくは5mA/cm2乃至30mA/cm2の条件のプ
ラズマCVD法に基づくことが、電子放出部形成に用い
る原料ガスの解離度を高くし、電子放出部を確実に形成
するといった観点から好ましい。そして、これらの場
合、プラズマCVD法として、マイクロ波プラズマCV
D法、トランス結合型プラズマCVD法、誘導結合型プ
ラズマCVD法、電子サイクロトロン共鳴プラズマCV
D法、ヘリコン波プラズマCVD法、容量結合型プラズ
マCVD法、平行平板型CVD装置を用いたCVD法を
挙げることができる。あるいは又、ホットフィラメント
CVD法を採用してもよい。場合によっては、熱CVD
法やプラズマCVD法を採用してもよい。尚、電子放出
部を形成する工程における支持体加熱温度を、600゜
C以下、好ましくは500゜C以下、更に好ましくは4
00゜C以下、一層好ましくは300゜C以下とするこ
とが望ましい。支持体加熱温度の下限は、電子放出部を
形成し得る温度とすればよい。
【0040】炭素系薄膜選択成長領域上における電子放
出部の選択成長を一層確実なものとするために、炭素系
薄膜選択成長領域の表面の酸化物(所謂、自然酸化膜)
を除去してもよい。酸化物の除去を、例えば、水素ガ
ス、アンモニアガス、ヘリウムガス、アルゴンガス、ネ
オンガス、メタンガス、エチレンガス、アセチレンガ
ス、窒素ガス等のガス雰囲気中でのプラズマ処理にて行
うことができる。尚、プラズマ処理として、マイクロ波
プラズマ法、トランス結合型プラズマ法、誘導結合型プ
ラズマ法、電子サイクロトロン共鳴プラズマ法、RFプ
ラズマ法等に基づくプラズマ還元処理を挙げることがで
きる。あるいは又、アルゴンガス雰囲気におけるスパッ
タ処理、若しくは、例えばフッ酸等の酸や塩基を用いた
洗浄処理によっても、酸化物の除去を行うことができ
る。
【0041】また、炭素系薄膜選択成長領域における炭
素系薄膜の選択成長を一層確実なものとするために、炭
素系薄膜選択成長領域の表面に、硫黄(S)、ホウ素
(B)又はリン(P)を付着させてもよく、これらの物
質は一種の触媒としての作用を果たすと考えられ、これ
によって、炭素系薄膜の選択成長性を一層向上させるこ
とができる。炭素系薄膜選択成長領域の表面に硫黄、ホ
ウ素又はリンを付着させる方法としては、例えば、硫
黄、ホウ素又はリンを含む化合物から成る化合物層を炭
素系薄膜選択成長領域の表面に形成し、次いで、例えば
加熱処理を化合物層に施すことによって化合物層を構成
する化合物を分解させ、炭素系薄膜選択成長領域の表面
に硫黄、ホウ素又はリンを残す方法を挙げることができ
る。硫黄を含む化合物としてチオナフテン、チオフテ
ン、チオフェンを例示することができる。ホウ素を含む
化合物として、トリフェニルボロンを例示することがで
きる。リンを含む化合物として、トリフェニルフォスフ
ィンを例示することができる。
【0042】炭素系薄膜選択成長領域は、第2開口部の
底部に位置するカソード電極の部分の表面に形成されて
いればよく、第2開口部の底部に位置するカソード電極
の部分から第2開口部の底部以外のカソード電極の部分
の表面に延在するように形成されていてもよい。また、
炭素系薄膜選択成長領域は、第2開口部の底部に位置す
るカソード電極の部分の表面の全面に形成されていて
も、部分的に形成されていてもよい。
【0043】クレータ型電界放出素子、平面型電界放出
素子、若しくは、エッジ型電界放出素子にあっては、電
子放出部に相当するカソード電極を構成する材料とし
て、タングステン(W)やタンタル(Ta)、ニオブ
(Nb)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、クロ
ム(Cr)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、金
(Au)、銀(Ag)等の金属;これらの合金や化合物
(例えばTiN等の窒化物や、WSi2、MoSi2、T
iSi2、TaSi2等のシリサイド);シリコン(S
i)等の半導体;あるいはダイヤモンドやグラファイト
等の炭素薄膜を例示することができる。かかるカソード
電極の厚さは、おおよそ0.05〜0.5μm、好まし
くは0.1〜0.3μmの範囲とすることが望ましい
が、かかる範囲に限定するものではない。カソード電極
や格子状カソード電極部の形成方法として、例えば電子
ビーム蒸着法や熱フィラメント蒸着法といった蒸着法、
スパッタリング法、CVD法やイオンプレーティング法
とエッチング法との組合せ、スクリーン印刷法、メッキ
法等を挙げることができる。スクリーン印刷法やメッキ
法によれば、直接、例えばストライプ状のカソード電極
を形成することが可能である。
【0044】あるいは又、クレータ型電界放出素子、平
面型電界放出素子、あるいは、エッジ型電界放出素子、
扁平型電界放出素子にあっては、カソード電極や電子放
出部を、導電性微粒子を分散させた導電性ペーストを用
いて形成することもできる。導電性微粒子としては、グ
ラファイト粉末;酸化バリウム粉末、酸化ストロンチウ
ム粉末、金属粉末の少なくとも一種を混合したグラファ
イト粉末;ダイヤモンドライク・カーボン粉末;窒素、
リン、ホウ素、トリアゾール等の不純物を含むダイヤモ
ンド粒子又はダイヤモンドライク・カーボン粉末;カー
ボンナノチューブ粉末、カーボンナノファイバー粉末、
カーボンナノチューブ粉末とカーボンナノファイバー粉
末の混合物;(Sr,Ba,Ca)CO3粉末;シリコ
ン・カーバイド粉末を例示することができる。特に、導
電性微粒子としてグラファイト粉末やダイヤモンドライ
ク・カーボン粉末を選択することが、閾値電界の低減や
電子放出部の耐久性の観点から好ましい。導電性微粒子
の形状を、球状、鱗片状の他、任意の定形形状や不定形
形状とすることができる。また、導電性微粒子の粒径
は、カソード電極や電子放出部の厚さやパターン幅以下
であればよい。粒径が小さい方が、単位面積当たりの放
出電子数を増大させることができるが、あまり小さ過ぎ
るとカソード電極や電子放出部の導電性が劣化する虞が
ある。よって、好ましい粒径の範囲はおおよそ0.01
〜4.0μmである。かかる導電性微粒子をガラス成分
その他の適当なバインダ(結合剤)と混合して導電性ペ
ーストを調製し、この導電性ペースを用いてスクリーン
印刷法により所望のパターンを形成した後、パターンを
焼成することによって電子放出部として機能するカソー
ド電極や電子放出部を形成することができる。あるい
は、スピンコーティング法とエッチング技術の組み合わ
せにより、電子放出部として機能するカソード電極や電
子放出部を形成することもできる。
【0045】スピント型電界放出素子やクラウン型電界
放出素子、扁平型電界放出素子にあっては、カソード電
極を構成する材料として、タングステン(W)、ニオブ
(Nb)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、ク
ロム(Cr)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)等の
金属;これらの金属元素を含む合金あるいは化合物(例
えばTiN等の窒化物や、WSi2、MoSi2、TiS
2、TaSi2等のシリサイド);シリコン(Si)等
の半導体;ITO(インジウム・錫酸化物)を例示する
ことができる。カソード電極や格子状カソード電極部の
形成方法として、例えば電子ビーム蒸着法や熱フィラメ
ント蒸着法といった蒸着法、スパッタリング法、CVD
法やイオンプレーティング法とエッチング法との組合
せ、スクリーン印刷法、メッキ法等を挙げることができ
る。スクリーン印刷法やメッキ法によれば、直接、例え
ばストライプ状のカソード電極や格子状カソード電極部
を形成することが可能である。
【0046】各種の電界放出素子におけるゲート電極を
構成する導電性材料として、タングステン(W)、ニオ
ブ(Nb)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、
クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)等
の金属;これらの金属元素を含む合金あるいは化合物
(例えばTiN等の窒化物や、WSi2、MoSi2、T
iSi2、TaSi2等のシリサイド);あるいはシリコ
ン(Si)等の半導体やダイヤモンド、カーボン、IT
O(インジウム・錫酸化物)を例示することができる。
ゲート電極や格子状ゲート電極部の形成方法として、例
えば電子ビーム蒸着法や熱フィラメント蒸着法といった
蒸着法、スパッタリング法、CVD法やイオンプレーテ
ィング法とエッチング法との組合せ、スクリーン印刷
法、メッキ法等を挙げることができる。スクリーン印刷
法やメッキ法によれば、直接、例えばストライプ状のゲ
ート電極や格子状ゲート電極部を形成することが可能で
ある。
【0047】絶縁層の構成材料として、SiO2、BP
SG、PSG、BSG、AsSG、PbSG、SiN、
SiON、SOG(スピンオングラス)、低融点ガラ
ス、ガラスペーストといったSiO2系材料、SiN、
ポリイミド等の絶縁性樹脂を、単独あるいは適宜組み合
わせて使用することができる。絶縁層の形成には、CV
D法、塗布法、スパッタリング法、スクリーン印刷法等
の公知のプロセスが利用できる。
【0048】カソードパネルを構成する支持体は、少な
くとも表面が絶縁性部材より構成されていればよく、ガ
ラス基板、表面に絶縁膜が形成されたガラス基板、石英
基板、表面に絶縁膜が形成された石英基板、表面に絶縁
膜が形成された半導体基板を挙げることができるが、製
造コスト低減の観点からは、ガラス基板、あるいは、表
面に絶縁膜が形成されたガラス基板を用いることが好ま
しい。アノードパネルを構成する基板も、支持体と同様
に構成することができる。
【0049】各種の電界放出素子において、ゲート電極
及び絶縁層に設けられた1つの第1開口部及び第2開口
部内に1つの電子放出部が存在してもよいし、ゲート電
極及び絶縁層に設けられた1つの第1開口部及び第2開
口部内に複数の電子放出部が存在してもよい。
【0050】本発明における第1開口部あるいは第2開
口部の平面形状(支持体表面と平行な仮想平面で開口部
を切断したときの形状)は、円形、楕円形、矩形、多角
形、丸みを帯びた矩形、丸みを帯びた多角形等、任意の
形状とすることができる。第1開口部の形成は、例え
ば、等方性エッチングや異方性エッチングによって行う
ことができ、あるいは又、ゲート電極の形成方法に依っ
ては、第1開口部を直接形成することもできる。第2開
口部の形成も、例えば、等方性エッチング、異方性エッ
チング、異方性エッチングと等方性エッチングの組合せ
によって行うことができる。
【0051】冷陰極電界電子放出表示装置用アノードパ
ネル(以下、アノードパネルと略称する)において、電
界放出素子から放出された電子が先ず衝突する部位は、
アノードパネルの構造に依るが、アノード電極であり、
あるいは又、蛍光体層である。
【0052】蛍光体層の平面形状(パターン)は、画素
に対応して、ドット状であってもよいし、ストライプ状
であってもよい。
【0053】蛍光体層は、発光性結晶粒子(例えば、粒
径5〜10nm程度の蛍光体粒子)から調製された発光
性結晶粒子組成物を使用し、例えば、赤色の感光性の発
光性結晶粒子組成物(赤色蛍光体スラリー)を全面に塗
布し、露光、現像して、赤色発光蛍光体層を形成し、次
いで、緑色の感光性の発光性結晶粒子組成物(緑色蛍光
体スラリー)を全面に塗布し、露光、現像して、緑色発
光蛍光体層を形成し、更に、青色の感光性の発光性結晶
粒子組成物(青色蛍光体スラリー)を全面に塗布し、露
光、現像して、青色発光蛍光体層を形成する方法にて形
成することができるが、このような方法に限定するもの
ではない。
【0054】発光性結晶粒子を構成する蛍光体材料とし
ては、従来公知の蛍光体材料の中から適宜選択して用い
ることができる。カラー表示の場合、色純度がNTSC
で規定される3原色に近く、3原色を混合した際の白バ
ランスがとれ、残光時間が短く、3原色の残光時間がほ
ぼ等しくなる蛍光体材料を組み合わせることが好まし
い。赤色発光蛍光体層を構成する蛍光体材料として、
(Y23:Eu)、(Y22S:Eu)、(YBO3
u)、(YVO4:Eu)、(Y0.960.600.404
Eu0.04)、[(Y,Gd)BO3:Eu]、(GdB
3:Eu)、(ScBO3:Eu)、(3.5MgO・
0.5MgF2・GeO2:Mn)を例示することができ
る。緑色発光蛍光体層を構成する蛍光体材料として、
(ZnSiO 2:Mn)、(BaAl1219:Mn)、
(BaMg2Al1627:Mn)、(MgGa24:M
n)、(YBO3:Tb)、(LuBO3:Tb)、(S
4Si38Cl4:Eu)、(ZnS:Cu,Al)を
例示することができる。青色発光蛍光体層を構成する蛍
光体材料として、(Y2SiO5:Ce)、(CaW
4:Pb)、CaWO4、YP0.850.154、(Ba
MgAl1423:Eu)、(Sr227:Eu)、
(Sr227:Sn)、(ZnS:Ag,Al)を例
示することができる。
【0055】アノード電極の構成材料は、冷陰極電界電
子放出表示装置の構成によって適宜選択すればよい。即
ち、冷陰極電界電子放出表示装置が透過型(アノードパ
ネルが表示面に相当する)であって、且つ、基板上にア
ノード電極と蛍光体層がこの順に積層されている場合に
は、基板は元より、アノード電極自身も透明である必要
があり、ITO(インジウム錫酸化物)等の透明導電材
料を用いる。一方、冷陰極電界電子放出表示装置が反射
型(カソードパネルが表示面に相当する)である場合、
及び、透過型であっても基板上に蛍光体層とアノード電
極とがこの順に積層されている場合には、ITOの他、
アルミニウム(Al)あるいはクロム(Cr)を用いる
ことができる。アルミニウム(Al)あるいはクロム
(Cr)からアノード電極を構成する場合、アノード電
極の厚さとして、具体的には、3×10-8m(30n
m)乃至1.5×10-7m(150nm)、好ましくは
5×10-8m(50nm)乃至1×10-7m(100n
m)を例示することができる。アノード電極は、蒸着法
やスパッタリング法にて形成することができる。
【0056】アノード電極と蛍光体層の構成例として、
(1)基板上に、アノード電極を形成し、アノード電極
の上に蛍光体層を形成する構成、(2)基板上に、蛍光
体層を形成し、蛍光体層上にアノード電極を形成する構
成、を挙げることができる。尚、(1)の構成におい
て、蛍光体層の上に、アノード電極と導通した所謂メタ
ルバック膜を形成してもよい。また、(2)の構成にお
いて、アノード電極の上にメタルバック膜を形成しても
よい。
【0057】カソードパネルとアノードパネルとを周縁
部において接合する場合、接合は接着層を用いて行って
もよいし、あるいはガラスやセラミックス等の絶縁剛性
材料から成る枠体と接着層とを併用して行ってもよい。
枠体と接着層とを併用する場合には、枠体の高さを適宜
選択することにより、接着層のみを使用する場合に比
べ、カソードパネルとアノードパネルとの間の対向距離
をより長く設定することが可能である。尚、接着層の構
成材料としては、フリットガラスが一般的であるが、融
点が120〜400゜C程度の所謂低融点金属材料を用
いてもよい。かかる低融点金属材料としては、In(イ
ンジウム:融点157゜C);インジウム−金系の低融
点合金;Sn80Ag20(融点220〜370゜C)、S
95Cu5(融点227〜370゜C)等の錫(Sn)
系高温はんだ;Pb97.5Ag2.5(融点304゜C)、
Pb94.5Ag5.5(融点304〜365゜C)、Pb
97.5Ag1.5Sn1.0(融点309゜C)等の鉛(Pb)
系高温はんだ;Zn95Al5(融点380゜C)等の亜
鉛(Zn)系高温はんだ;Sn5Pb95(融点300〜
314゜C)、Sn2Pb98(融点316〜322゜
C)等の錫−鉛系標準はんだ;Au88Ga12(融点38
1゜C)等のろう材(以上の添字は全て原子%を表す)
を例示することができる。
【0058】カソードパネルとアノードパネルと枠体の
三者を接合する場合、三者を同時に接合してもよいし、
あるいは、第1段階でカソードパネル又はアノードパネ
ルのいずれか一方と枠体とを接合し、第2段階でカソー
ドパネル又はアノードパネルの他方と枠体とを接合して
もよい。三者同時接合や第2段階における接合を高真空
雰囲気中で行えば、カソードパネルとアノードパネルと
枠体と接着層とにより囲まれた空間は、接合と同時に真
空となる。あるいは、三者の接合終了後、カソードパネ
ルとアノードパネルと枠体と接着層とによって囲まれた
空間を排気し、真空とすることもできる。接合後に排気
を行う場合、接合時の雰囲気の圧力は常圧/減圧のいず
れであってもよく、また、雰囲気を構成する気体は、大
気であっても、あるいは窒素ガスや周期律表0族に属す
るガス(例えばArガス)を含む不活性ガスであっても
よい。
【0059】接合後に排気を行う場合、排気は、カソー
ドパネル及び/又はアノードパネルに予め接続されたチ
ップ管を通じて行うことができる。チップ管は、典型的
にはガラス管を用いて構成され、カソードパネル及び/
又はアノードパネルの無効領域(実際の表示画面として
は機能しない領域であり、有効領域の外側に位置する)
に設けられた貫通部の周囲に、フリットガラス又は上述
の低融点金属材料を用いて接合され、空間が所定の真空
度に達した後、熱融着によって封じ切られる。尚、封じ
切りを行う前に、冷陰極電界電子放出表示装置全体を一
旦加熱してから降温させると、空間に残留ガスを放出さ
せることができ、この残留ガスを排気により空間外へ除
去することができるので、好適である。
【0060】本発明にあっては、電子放出領域を構成す
る各種電界放出素子を、電界放出素子の構造に依るが、 支持体上にカソード電極を形成する工程、 支持体及びカソード電極上に絶縁層を形成する工程、 絶縁層上にゲート電極を形成する工程、 少なくとも絶縁層に第2開口部を形成する工程、 を経て製造することができる。
【0061】そして、工程の後、第2開口部の底部に
露出したカソード電極上に電子放出部を形成してもよい
し、第2開口部の底部に露出したカソード電極を加工し
て電子放出部としてもよい。あるいは又、工程と工程
の間において、カソード電極上に電子放出部を形成し
てもよいし、カソード電極を加工して電子放出部として
もよい。
【0062】尚、「少なくとも絶縁層に第2開口部を形
成する」と表現したのは、ゲート電極の形成時、ゲート
電極の形成方法に依ってはゲート電極に第1開口部を同
時に形成する場合があるからであり、ゲート電極あるい
は格子状ゲート電極部の形成時、ゲート電極あるいは格
子状ゲート電極部に第1開口部を形成しない場合には、
工程において、ゲート電極あるいは格子状ゲート電極
部に第1開口部を形成する。
【0063】本発明においては、ゲート電極及び絶縁層
上に更に第2の絶縁層を形成し、第2の絶縁層上に収束
電極を形成してもよい。収束電極は、アノード電極とカ
ソード電極との間の電位差が数キロボルトのオーダーで
あって両電極間の距離が比較的長い、所謂高電圧タイプ
の表示装置において、電子放出部から放出された電子の
軌道の発散を防止するために設けられる部材である。放
出電子軌道の収束性を高めることによって、画素間の光
学的クロストークが低減され、画素を微細化して表示画
面の高精細度化を図ることが可能となる。第2の絶縁層
の構成材料及び成膜方法は、絶縁層と同様とすることが
できる。また、収束電極の構成材料は、ゲート電極やカ
ソード電極と同様とすることができる。
【0064】本発明においては、電子放出領域には、格
子状ゲート電極部が形成され、あるいは又、格子状カソ
ード電極部が形成されているが故に、カソード電極と格
子状ゲート電極部との間の容量成分(浮遊容量)、ある
いは、格子状カソード電極部とゲート電極との間の容量
成分(浮遊容量)、あるいは、格子状カソード電極部と
格子状ゲート電極部との間の容量成分(浮遊容量)の低
減を図ることができる。
【0065】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、発明の実
施の形態(以下、実施の形態と略称する)に基づき本発
明を説明する。
【0066】(実施の形態1)実施の形態1は、本発明
の第1の態様に係る冷陰極電界電子放出表示装置用カソ
ードパネル(以下、カソードパネルと略称する)、及
び、本発明の第1の態様に係る冷陰極電界電子放出表示
装置(以下、表示装置と略称する)に関する。実施の形
態1における冷陰極電界電子放出素子(以下、電界放出
素子と略称する)は、扁平型電界放出素子である。
【0067】実施の形態1のカソードパネルCPの一部
分のカソード電極とゲート電極の模式的な配置図を図1
に示し、実施の形態1のカソードパネルCPの一部分の
第2の方向に沿った模式的な一部端面図を図2の(A)
及び(B)に示し、第1の方向に沿った模式的な一部端
面図を図2の(C)及び(D)に示し、第2の方向に沿
った表示装置の模式的な一部端面図を図3に示し、表示
装置の模式的な部分的分解斜視図を図4に示す。尚、図
1、あるいは、後述する図5〜図11、図14〜図18
においては、電子放出領域以外の部分における絶縁層の
図示を省略した。また、これらの図において、電子放出
領域における絶縁層あるいは支持体及び電子放出部を明
示するために、これらに斜線を付し、電子放出領域の外
周を一点鎖線で示した。更には、図1、図5、図6、図
7、図8、図9、図11、図18において、カソード電
極を明示するために斜線を付し、図10、図14、図1
5、図16、図17において、ゲート電極の端部を点線
で示した。ここで、図2の(A)及び(C)は、第1開
口部及び第2開口部を含む仮想垂直面でカソードパネル
CPを切断したときの模式的な一部端面図であり、図2
の(B)及び(D)は、第1開口部及び第2開口部を含
まない仮想垂直面でカソードパネルCPを切断したとき
の模式的な一部端面図である。
【0068】実施の形態1のカソードパネルCPは、
(A)例えば、ガラス基板から成る支持体10と、
(B)支持体10上に形成され、第1の方向に延びる複
数のカソード電極11と、(C)支持体10及びカソー
ド電極11上に形成された絶縁層12と、(D)絶縁層
12上に形成され、第1の方向とは異なる第2の方向に
延びる複数のゲート電極13と、(E)カソード電極1
1とゲート電極13とが重複する領域に設けられた電子
放出領域EA、から成る。尚、第1の方向と第2の方向
とは直交している。また、カソード電極11及びゲート
電極13はストライプ状である。
【0069】そして、電子放出領域EAは、(a)格子
状ゲート電極部13Aと、(b)格子状ゲート電極部1
3Aの格子の交点に形成された第1開口部14Aと、
(c)絶縁層12に設けられ、第1開口部14Aと連通
した第2開口部14Bと、(d)第2開口部14Bの底
部に位置するカソード電極11上に設けられた電子放出
部15、から成る。尚、図においては、16個の電子放
出部15を示したが、1つの電子放出領域EAに設ける
べき電子放出部15の数は、これに限定するものではな
く、通常、数百個〜数千個の電子放出部15が形成され
る。
【0070】格子状ゲート電極部13Aの格子の交点の
平面形状は円形である。格子状ゲート電極部13Aの格
子の交点と格子の交点を結ぶ部分は直線状である。ま
た、電子放出領域の外周(一点鎖線で示す)から1μm
以上離れた領域に格子状ゲート電極部13Aが形成され
ている。より具体的には、電子放出領域の外周から内側
に1μm以上入った領域に格子状ゲート電極部13Aが
形成されている。
【0071】実施の形態1における電界放出素子は、扁
平型電界放出素子であり、電子放出部15は、結晶性を
有するグラファイトから構成された炭素系薄膜31から
成る。ここで、より具体的には、炭素系薄膜31は、複
数の所謂カーボンナノチューブから構成されている。ま
た、電子放出部15とカソード電極11との間には、ニ
ッケル(Ni)から成る炭素系薄膜選択成長領域30が
形成されている。
【0072】電子放出領域EAには、複数の電界放出素
子が設けられている。そして、かかる電子放出領域EA
が、カソードパネルCPの有効領域(実際の表示画面と
して機能する領域)内に、通常、2次元マトリクス状に
配列されている。
【0073】ここで、扁平型電界放出素子は、(イ)支
持体10上に設けられたカソード電極11と、(ロ)支
持体10及びカソード電極11上に形成された絶縁層1
2と、(ハ)絶縁層12上に設けられた格子状ゲート電
極部13Aと、(ニ)格子状ゲート電極部13Aに設け
られた第1開口部14A、及び、絶縁層12に設けられ
た第2開口部14Bと、(ホ)第2開口部14Bの底部
に位置するカソード電極11上に設けられた扁平状の電
子放出部15、から成り、第2開口部14Bの底部に露
出した電子放出部15から電子が放出される構造を有す
る。
【0074】尚、少なくとも電子放出部を形成すべきカ
ソード電極11の上には炭素系薄膜選択成長領域30が
形成され、この炭素系薄膜選択成長領域30の上に炭素
系薄膜31から成る電子放出部15が形成されている。
【0075】実施の形態1の冷陰極電界電子放出表示装
置用アノードパネル(以下、アノードパネルと略称す
る)APは、例えば、ガラス基板から成る基板20と、
基板20上に形成され、所定のパターンを有する蛍光体
層21(カラー表示の場合、赤色発光蛍光体層21R、
緑色発光蛍光体層21G、青色発光蛍光体層21B)
と、その上に形成された反射膜としても機能するアルミ
ニウム薄膜から成るアノード電極23から構成されてい
る。アノード電極23は、有効領域全体に形成されてい
る。また、アノードパネルAPにあっては、蛍光体層2
1と蛍光体層21との間に、蛍光体層21からの光を吸
収するブラックマトリックス22が形成されている。ブ
ラックマトリックス22は、酸化クロム/クロム積層膜
から成る。
【0076】1画素は、カソードパネル側の電子放出領
域EAと、この電子放出領域EAに対面したアノードパ
ネル側の蛍光体層21とによって構成されている。有効
領域には、かかる画素が、例えば数十万〜数百万個もの
オーダーにて配列されている。そして、表示装置は、カ
ソードパネルCP及びアノードパネルAPが、それらの
周縁部で接合されて成る。
【0077】この表示装置において表示を行う場合に
は、カソード電極11には相対的な負電圧がカソード電
極制御回路(図示せず)から印加され、ゲート電極13
には相対的な正電圧がゲート電極制御回路(図示せず)
から印加され、アノード電極23にはゲート電極13よ
りも更に高い正電圧がアノード電極制御回路(図示せ
ず)から印加される。かかる表示装置において表示を行
う場合、例えば、カソード電極11にカソード電極制御
回路から走査信号を入力し、ゲート電極13にゲート電
極制御回路からビデオ信号を入力する。尚、これとは逆
に、カソード電極11にカソード電極制御回路からビデ
オ信号を入力し、ゲート電極13にゲート電極制御回路
から走査信号を入力してもよい。カソード電極11とゲ
ート電極13との間に電圧を印加した際に生ずる電界に
より、量子トンネル効果に基づき電子放出部15から電
子が放出され、この電子がアノード電極23に引き付け
られ、蛍光体層21に衝突する。その結果、蛍光体層2
1が励起されて発光し、所望の画像を得ることができ
る。
【0078】以下、実施の形態1のカソードパネルCP
及び表示装置の製造方法を、第1の方向に沿った支持体
等の模式的な一部端面図である図19を参照して説明す
る。
【0079】[工程−A0]先ず、支持体10上にカソ
ード電極11を形成する。具体的には、例えばガラス基
板から成る支持体10上に、例えばアルミニウム(A
l)から成るカソード電極用導電材料層をスパッタリン
グ法にて形成した後、フォトリソグラフィ技術及びドラ
イエッチング技術に基づき、ストライプ状のカソード電
極11を支持体10上に形成する。尚、ストライプ状の
カソード電極11は、図面の紙面左右方向(第1の方
向)に延びている。
【0080】[工程−A1]次に、少なくとも電子放出
部を形成すべきカソード電極11の部分の上に炭素系薄
膜選択成長領域30を形成する。具体的には、例えばニ
ッケル(Ni)層を例えば表1に例示するスパッタリン
グ法にて全面に形成する。その後、フォトリソグラフィ
技術及びエッチング技術によって、後の工程で形成され
る第2開口部の底部に位置するニッケル層の部分を残
す。これによって、ニッケルから成る炭素系薄膜選択成
長領域30を得ることができる(図19の(A)参
照)。尚、炭素系薄膜選択成長領域30を、カソード電
極11の全面に形成してもよいし、後に形成する第2開
口部の底部に露出するカソード電極11の部分の全面に
形成してもよいし、後に形成する第2開口部の底部に露
出するカソード電極11の部分の全面から絶縁層で被覆
されたカソード電極の一部分にまで形成してもよい。
【0081】[表1] [ニッケル層の成膜条件] ターゲット :Ni Ar流量 :100SCCM 圧力 :0.5Pa DCパワー :2kW スパッタ温度:200゜C 膜厚 :150nm
【0082】[工程−A2]次に、支持体10及びカソ
ード電極11上に絶縁層12を形成する。具体的には、
例えばTEOS(テトラエトキシシラン)を原料ガスと
して使用するCVD法により、全面に、厚さ約1μmの
絶縁層12を形成する。但し、絶縁層12の厚さは、こ
のような値に限定するものではない。
【0083】[工程−A3]その後、絶縁層12上にゲ
ート電極13及び格子状ゲート電極部13Aを形成す
る。具体的には、絶縁層12上にゲート電極を構成する
ためのアルミニウム(Al)から成るゲート電極用導電
材料層をスパッタリング法にて形成した後、ゲート電極
用導電材料層上にパターニングされたエッチング用マス
ク(図示せず)を形成し、かかるエッチング用マスクを
用いてゲート電極用導電材料層をエッチングして、ゲー
ト電極用導電材料層をストライプ状にパターニングし、
更には、カソード電極11と重複する領域に格子状のパ
ターンを形成した後、エッチング用マスクを除去する。
これによって、絶縁層12上に、ストライプ状のゲート
電極13を形成することができる。次いで、ゲート電極
用導電材料層及び絶縁層12上にパターニングされたエ
ッチング用マスク(図示せず)を形成し、かかるエッチ
ング用マスクを用いてゲート電極用導電材料層をエッチ
ングし、更に、絶縁層12をエッチングする。これによ
って、絶縁層12上に、第1開口部14Aを有する格子
状ゲート電極部13Aを形成することができ、更には、
絶縁層12に第2開口部14Bを形成することができる
(図19の(B)参照)。第1開口部14A及び第2開
口部14Bの平面形状は円形である。
【0084】[工程−A4]その後、炭素系薄膜31か
ら成る電子放出部15を炭素系薄膜選択成長領域30上
に形成する。具体的には、例えば、ヘリコン波プラズマ
CVD装置を用いて、以下の表2に示すプラズマCVD
条件にて、炭素系薄膜選択成長領域30上に炭素系薄膜
31から成る電子放出部15を選択的に形成する(図1
9の(C)参照)。カソード電極11及びゲート電極1
3、格子状ゲート電極部13Aがアルミニウムから構成
されているので、炭素系薄膜がカソード電極11及びゲ
ート電極13、格子状ゲート電極部13Aの上に形成さ
れることはない。尚、電子放出部15は、炭素系薄膜選
択成長領域30上に形成された結晶性を有するグラファ
イト(より具体的には、sp2結合を有するグラファイ
トから構成されたカーボンナノチューブ)の集合した炭
素系薄膜31から構成されている。電子放出部15を構
成する炭素系薄膜31の結晶性を変化させるために、C
VD条件を随時変化させてもよい。また、放電を安定に
させるため及びプラズマ解離を促進するために、ヘリウ
ム(He)やアルゴン(Ar)等の希釈用ガスを混合し
てもよいし、窒素、アンモニア等のドーピングガスを混
合してもよい。第2開口部14Bの底部に露出したカソ
ード電極11上に形成された炭素系薄膜選択成長領域3
0の上に炭素系薄膜31から成る電子放出部15を選択
的に形成することができるので、炭素系薄膜31のパタ
ーニング等は一切不要である。
【0085】[表2] 使用ガス :CH4/H2=50/50sccm 電源パワー :1500W 支持体印加電力 :100V プラズマ密度 :3×1012/cm3 反応圧力 :0.1Pa 支持体温度 :300゜C 電子温度 :6.5eV イオン電流密度 :25mA/cm2
【0086】[工程−A5]その後、表示装置の組立を
行う。具体的には、蛍光体層21と電子放出領域EAと
が対向するようにアノードパネルAPとカソードパネル
CPとを配置し、アノードパネルAPとカソードパネル
CP(より具体的には、支持体10と基板20)とを、
枠体(図示せず)を介して、周縁部において接合する。
接合に際しては、枠体とアノードパネルAPとの接合部
位、及び枠体とカソードパネルCPとの接合部位にフリ
ットガラスを塗布し、アノードパネルAPとカソードパ
ネルCPと枠体とを貼り合わせ、予備焼成にてフリット
ガラスを乾燥した後、約450゜Cで10〜30分の本
焼成を行う。その後、アノードパネルAPとカソードパ
ネルCPと枠体と接着層(図示せず)とによって囲まれ
た空間を、貫通孔(図示せず)及びチップ管(図示せ
ず)を通じて排気し、空間の圧力が10-4Pa程度に達
した時点でチップ管を加熱溶融により封じ切る。このよ
うにして、アノードパネルAPとカソードパネルCPと
枠体とに囲まれた空間を真空にすることができる。その
後、必要な外部回路との配線を行い、表示装置を完成さ
せることができる。
【0087】実施の形態1においては、電子放出部をカ
ーボンナノチューブから構成したが、電子放出部を形成
するためのCVD条件によっては、電子放出部をカーボ
ンナノファイバーから構成でき、あるいは又、円錐状の
形状を有する電子放出部を形成することも可能である。
【0088】また、実施の形態1においては、[工程−
A0]、[工程−A1]、[工程−A4]、[工程−A
2]、[工程−A3]の順に実行してもよい。即ち、
(1)支持体上にカソード電極を形成する工程と、
(2)少なくとも電子放出部を形成すべきカソード電極
の上に炭素系薄膜選択成長領域を形成する工程と、
(3)炭素系薄膜から成る電子放出部を炭素系薄膜選択
成長領域上に形成する工程と、(4)全面に絶縁層を形
成する工程と、(5)絶縁層上にゲート電極及び格子状
ゲート電極部を形成する工程と、(6)電子放出部が底
部に露出した第2開口部を、少なくとも絶縁層に形成す
る工程、から構成することもできる。この場合の上記工
程(5)が完了した時点における構造の模式的な一部断
面図を図20に示す。
【0089】あるいは又、[工程−A0]、[工程−A
2]、[工程−A3]、[工程−A1]、[工程−A
4]の順に実行してもよい。即ち、(1)支持体上にカ
ソード電極を形成する工程と、(2)全面に絶縁層を形
成する工程と、(3)絶縁層上にゲート電極及び格子状
ゲート電極部を形成する工程と、(4)カソード電極が
底部に露出した第2開口部を、少なくとも絶縁層に形成
する工程と、(5)開口部の底部に露出した電子放出部
を形成すべきカソード電極の上に炭素系薄膜選択成長領
域を形成する工程と、(6)炭素系薄膜から成る電子放
出部を炭素系薄膜選択成長領域上に形成する工程、から
構成することもできる。この場合の上記工程(4)が完
了した時点における構造の模式的な一部端面図を図21
の(A)に示す。また、上記工程(5)を図21の
(B)及び図21の(C)に示す。尚、この工程(5)
にあっては、最上層(絶縁層12及びゲート電極13)
及び開口部14A,14Bの側壁面、並びに、第2開口
部14Bの底部の電子放出部を形成しないカソード電極
の部分を剥離層32で被覆する(図21の(B)参
照)。次いで、全面に、例えばニッケル(Ni)層をス
パッタリング法にて形成した後、剥離層32を除去する
ことによって、第2開口部14Bの底部に炭素系薄膜選
択成長領域30を形成することができる(図21の
(C)参照)。
【0090】格子状ゲート電極部13Aの変形例を図
5、図6〜図9に示す。図5及び図6に示す例において
は、格子状ゲート電極部13Aの格子の交点の平面形状
は矩形(より具体的には、正方形)である。図5に示す
例と図6に示す例が相違する点は、格子状ゲート電極部
13Aの交点と交点を結ぶ直線状の部分の太さにある。
尚、格子状ゲート電極部13Aの格子の交点の平面形状
を、コーナー部が丸みを帯びた矩形とすることもでき
る。格子状ゲート電極部13Aの交点と交点を結ぶ直線
状の部分は、第1の方向及び第2の方向に延びている
が、これに限定するものではないし、格子状ゲート電極
部13Aの交点と交点を結ぶ部分は、直線状でなくとも
よい。格子状ゲート電極部13Aの格子の交点の平面形
状が矩形である場合、矩形の各辺が第1の方向及び第2
の方向に延びているが、これに限定するものではない。
図7に示す例においては、格子状ゲート電極部13Aの
交点と交点を結ぶ直線状の部分は、第1の方向に対して
45度、傾いている。図8に示す例においては、格子状
ゲート電極部13Aの交点と交点を結ぶ部分は弧を描い
ており、電子放出領域EAにおいて露出した絶縁層12
の形状は円形である。
【0091】図9に示す例においては、格子状ゲート電
極部13Aが、電子放出領域の外周(一点鎖線で示す)
から外側に1μm以上離れた領域にまで形成されてい
る。尚、図9に示した例において、格子状ゲート電極部
13Aの格子の交点の平面形状を、図5〜図8に示した
と同様に、矩形とすることもできる。
【0092】(実施の形態2)実施の形態2は、本発明
の第2の態様に係るカソードパネル、及び、本発明の第
2の態様に係る表示装置に関する。実施の形態2におけ
る電界放出素子も扁平型電界放出素子である。
【0093】実施の形態2のカソードパネルCPの一部
分のカソード電極の模式的な配置図を図10に示し、カ
ソード電極とゲート電極の模式的な配置図を図11に示
し、実施の形態2のカソードパネルCPの一部分の第2
の方向に沿った模式的な一部端面図を図12の(A)及
び(B)に示し、第1の方向に沿った模式的な一部端面
図を図12の(C)及び(D)に示す。尚、第2の方向
に沿った表示装置の模式的な一部端面図は、実質的に、
図3に示したと同様である。また、表示装置の模式的な
部分的分解斜視図を図13に示す。ここで、図12の
(A)及び(C)は、第1開口部及び第2開口部を含む
仮想垂直面でカソードパネルCPを切断したときの模式
的な一部端面図であり、図12の(B)及び(D)は、
第1開口部及び第2開口部を含まない仮想垂直面でカソ
ードパネルCPを切断したときの模式的な一部端面図で
ある。
【0094】実施の形態2のカソードパネルCPも、
(A)例えば、ガラス基板から成る支持体10と、
(B)支持体10上に形成され、第1の方向に延びる複
数のカソード電極11と、(C)支持体10及びカソー
ド電極11上に形成された絶縁層12と、(D)絶縁層
12上に形成され、第1の方向とは異なる第2の方向に
延びる複数のゲート電極13と、(E)カソード電極1
1とゲート電極13とが重複する領域に設けられた電子
放出領域EA、から成る。尚、第1の方向と第2の方向
とは直交している。また、カソード電極11及びゲート
電極13はストライプ状である。
【0095】そして、電子放出領域EAは、(a)格子
状カソード電極部11Aと、(b)格子状カソード電極
部11Aの格子の交点の上方に位置するゲート電極13
の部分に形成された第1開口部14Aと、(c)絶縁層
12に設けられ、第1開口部14Aと連通した第2開口
部14Bと、(d)第2開口部14Bの底部に位置する
格子状カソード電極部11Aの格子の交点上に設けられ
た電子放出部15、から成る。
【0096】格子状カソード電極部11Aの格子の交点
の平面形状は円形である。格子状カソード電極部11A
の格子の交点と格子の交点を結ぶ部分は直線状である。
【0097】実施の形態2における電界放出素子は、実
施の形態1における電界放出素子と同様の構造を有する
扁平型電界放出素子であり、電子放出部15は、結晶性
を有するグラファイトから構成された炭素系薄膜31か
ら成る。ここで、より具体的には、炭素系薄膜31は、
複数の所謂カーボンナノチューブから構成されている。
また、電子放出部15とカソード電極11との間には、
ニッケル(Ni)から成る炭素系薄膜選択成長領域30
が形成されている。
【0098】即ち、扁平型電界放出素子は、(イ)支持
体10上に設けられた格子状カソード電極部11Aと、
(ロ)支持体10及び格子状カソード電極部11A上に
形成された絶縁層12と、(ハ)絶縁層12上に設けら
れたゲート電極13と、(ニ)ゲート電極13に設けら
れた第1開口部14A、及び、絶縁層12に設けられた
第2開口部14Bと、(ホ)第2開口部14Bの底部に
位置する格子状カソード電極部11A上に設けられた扁
平状の電子放出部15、から成り、第2開口部14Bの
底部に露出した電子放出部15から電子が放出される構
造を有する。
【0099】実施の形態2のアノードパネルAP、実施
の形態2の表示装置の動作は、実施の形態1にて説明し
たアノードパネルAPと同様の構造を有し、同じ動作と
することができるので、詳細な説明は省略する。
【0100】また、実施の形態2のカソードパネルCP
及び表示装置の製造方法は、実施の形態1の[工程−A
0]において、支持体10上にカソード電極11及び格
子状カソード電極部11Aを形成する点、及び、[工程
−A3]において、ストライプ状のゲート電極13を形
成する点を除き、実施の形態1と同様とすることができ
るので、詳細な説明は省略する。
【0101】格子状カソード電極部11Aの変形例を図
14〜図17に示す。尚、図14〜図17に示したカソ
ード電極の模式的な配置図に対応するカソード電極とゲ
ート電極の模式的な配置図を図18に示す。図14及び
図15に示す例においては、格子状カソード電極部11
Aの格子の交点の平面形状は矩形(より具体的には、正
方形)である。図14に示す例と図15に示す例が相違
する点は、格子状カソード電極部11Aの交点と交点を
結ぶ直線状の部分の太さにある。尚、格子状カソード電
極部11Aの格子の交点の平面形状を、コーナー部が丸
みを帯びた矩形とすることもできる。格子状カソード電
極部11Aの格子の交点の平面形状が矩形である場合、
矩形の各辺が第1の方向及び第2の方向に延びている
が、これに限定するものではない。格子状カソード電極
部11Aの交点と交点を結ぶ直線状の部分は、第1の方
向及び第2の方向に延びているが、これに限定するもの
ではないし、格子状カソード電極部11Aの交点と交点
を結ぶ部分は、直線状でなくともよい。図16に示す例
においては、格子状カソード電極部11Aの交点と交点
を結ぶ直線状の部分は、第1の方向に対して45度、傾
いている。図17に示す例においては、格子状カソード
電極部11Aの交点と交点を結ぶ部分は弧を描いてお
り、電子放出領域EAにおいて露出した支持体10の形
状は円形である。
【0102】また、例えば、図1に示した格子状ゲート
電極部13Aと図10に示した格子状カソード電極部1
1Aとを組み合せ、図5に示した格子状ゲート電極部1
3Aと図14に示した格子状カソード電極部11Aとを
組み合せ、図6に示した格子状ゲート電極部13Aと図
15に示した格子状カソード電極部11Aとを組み合
せ、図7に示した格子状ゲート電極部13Aと図16に
示した格子状カソード電極部11Aとを組み合せ、図8
に示した格子状ゲート電極部13Aと図17に示した格
子状カソード電極部11Aとを組み合せることもでき
る。あるいは又、図1、図5〜図8に示した格子状ゲー
ト電極部13Aと、図10、図14〜図17に示した格
子状カソード電極部11Aとの任意の組合せとすること
もできる。この場合、電子放出領域の外周(一点鎖線で
示す)から1μm以上離れた領域に格子状ゲート電極部
が形成されていることが好ましい。
【0103】(実施の形態3)実施の形態1あるいは実
施の形態2にて説明した電界放出素子の製造にあって
は、場合によっては、炭素系薄膜選択成長領域30の表
面が自然酸化され、電子放出部15の形成が困難となる
場合がある。このような場合には、炭素系薄膜選択成長
領域30の表面の金属酸化物(所謂、自然酸化膜)を除
去することが望ましい。尚、炭素系薄膜選択成長領域3
0の表面の金属酸化物は、例えば、プラズマ還元処理若
しくは洗浄処理によって除去することができる。
【0104】具体的には、炭素系薄膜選択成長領域30
を形成した後、炭素系薄膜31を形成する前に、炭素系
薄膜選択成長領域30の表面の金属酸化物(自然酸化
膜)を、以下の表3に例示するプラズマ還元処理(マイ
クロ波プラズマ処理)に基づき除去する。あるいは又、
例えば50%フッ酸水溶液と純水の1:49(容積比)
混合液を用いて、露出した炭素系薄膜選択成長領域30
の表面の金属酸化物(自然酸化膜)を除去することもで
きる。尚、実施の形態3においては、電界放出素子の製
造工程を、実施の形態1の各種の変形例とすることもで
きる。
【0105】[表3] 使用ガス :H2=100SCCM 圧力 :1.3×103Pa マイクロ波パワー:600W(13.56MHz) 処理温度 :400゜C
【0106】(実施の形態4)実施の形態1あるいは実
施の形態2においては、炭素系薄膜選択成長領域をスパ
ッタ法にて形成したが、その他のPVD法やCVD法に
て形成することもできるし、メッキ法にて形成すること
もできる。電気メッキの条件を以下の表4に例示する。
尚、陽極としてニッケル板を用いる。尚、実施の形態4
においても、電界放出素子の製造工程を、実施の形態1
の各種の変形例とすることもできる。
【0107】 [表4] メッキ浴組成:塩化アンモニウム 1重量% ホウ酸 2重量% 硫酸ニッケル 4重量% ドデシル硫酸ナトリウム 0.1重量% メッキ浴温度:50゜C 印加電流 :陽極/ゲート電極間 25mA/dm2 :ゲート電極/カソード電極間 0.5mA/dm2 電位 :陽極の電位VA :10ボルト ゲート電極電位VG : 2ボルト カソード電極電位VC:−5ボルト メッキ時間 :10分
【0108】(実施の形態5)以下、各種の電界放出素
子及びその製造方法について説明する。尚、以下の説明
においては、「ストライプ状のカソード電極を形成す
る」と表現し、「ストライプ状のゲート電極を形成す
る」と表現するが、これらの表現は、カソードパネルC
Pの構造により、ストライプ状のカソード電極及び格子
状カソード電極部を形成し、あるいは又、ストライプ状
のゲート電極及び格子状ゲート電極部を形成し、あるい
は又、ストライプ状のカソード電極及び格子状カソード
電極部を形成し、且つ、ストライプ状のゲート電極及び
格子状ゲート電極部を形成することを包含する。また、
図面においても、「カソード電極」と表現するが、この
表現も、カソードパネルCPの構造により、ストライプ
状のカソード電極あるいは格子状カソード電極部を意味
し、また、「ゲート電極」と表現するが、この表現も、
カソードパネルCPの構造により、ストライプ状のゲー
ト電極あるいは格子状ゲート電極部を意味する。
【0109】[スピント型電界放出素子]スピント型電
界放出素子は、支持体10に形成されたカソード電極1
1と、絶縁層12と、絶縁層12上に形成されたゲート
電極13と、ゲート電極13に設けられた第1開口部1
4Aと、絶縁層12に設けられた第2開口部14Bと、
第2開口部14Bの底部に位置するカソード電極11上
に形成された円錐形の電子放出部15Aから構成されて
いる。
【0110】スピント型電界放出素子の製造方法の概要
を、以下、図22及び図23を参照しながら説明する。
この製造方法は、基本的には、円錐形の電子放出部15
Aを金属材料の垂直蒸着により形成する方法である。即
ち、第1開口部14Aに対して蒸着粒子は垂直に入射す
るが、第1開口部14Aの開口端付近に形成されるオー
バーハング状の堆積物による遮蔽効果を利用して、第2
開口部14Bの底部に到達する蒸着粒子の量を漸減さ
せ、円錐形の堆積物である電子放出部15Aを自己整合
的に形成する。ここでは、不要なオーバーハング状の堆
積物の除去を容易とするために、ゲート電極13及び絶
縁層12上に剥離層40を予め形成しておく方法につい
て、図22及び図23を参照して説明する。
【0111】[工程−B0]先ず、例えばガラス基板か
ら成る支持体10の上に、例えばポリシリコンから成る
カソード電極用導電材料層をプラズマCVD法にて成膜
した後、リソグラフィ技術及びドライエッチング技術に
基づきカソード電極用導電材料層をパターニングして、
ストライプ状のカソード電極11を形成する。その後、
全面にSiO 2から成る絶縁層12をCVD法にて、ゲ
ート電極用導電材料層(例えば、TiN層)をスパッタ
法にて、順次成膜し、次いで、ゲート電極用導電材料層
をリソグラフィ技術及びドライエッチング技術にてパタ
ーニングすることによってゲート電極用導電材料層から
成り、第1開口部14Aを有するストライプ状のゲート
電極13を形成する。その後、絶縁層12に、例えば直
径1μm程度の第2開口部14Bを形成する(図22の
(A)参照)。
【0112】[工程−B1]次に、支持体10を回転さ
せながらゲート電極13上を含む絶縁層12上にニッケ
ル(Ni)を斜め蒸着することにより、剥離層40を形
成する(図22の(B)参照)。このとき、支持体10
の法線に対する蒸着粒子の入射角を十分に大きく選択す
ることにより(例えば、入射角65度〜85度)、第2
開口部14Bの底部にニッケルを殆ど堆積させることな
く、ゲート電極13及び絶縁層12の上に剥離層40を
形成することができる。剥離層40は、第1開口部14
Aの開口端から庇状に張り出しており、これによって第
1開口部14Aが実質的に縮径される。
【0113】[工程−B2]次に、全面に例えば導電材
料としてモリブデン(Mo)を垂直蒸着する(入射角3
度〜10度)。このとき、図23の(A)に示すよう
に、剥離層40上でオーバーハング形状を有する導電材
料層41が成長するに伴い、第1開口部14Aの実質的
な直径が次第に縮小されるので、第2開口部14Bの底
部において堆積に寄与する蒸着粒子は、次第に第1開口
部14Aの中央付近を通過するものに限られるようにな
る。その結果、第2開口部14Bの底部には円錐形の堆
積物が形成され、この円錐形の堆積物が電子放出部15
Aとなる。
【0114】[工程−B3]その後、図23の(B)に
示すように、リフトオフ法にて剥離層40をゲート電極
13及び絶縁層12の表面から剥離し、ゲート電極13
及び絶縁層12の上方の導電材料層41を選択的に除去
する。こうして、複数のスピント型電界放出素子が形成
されたカソードパネルCPを得ることができる。
【0115】[クラウン型電界放出素子]クラウン型電
界放出素子の模式的な一部端面図を図26の(A)に示
し、一部を切り欠いた模式的な斜視図を図26の(B)
に示す。クラウン型電界放出素子は、支持体10上に形
成されたカソード電極11と、支持体10及びカソード
電極11上に形成された絶縁層12と、絶縁層12上に
形成されたゲート電極13と、ゲート電極13及び絶縁
層12を貫通する第1開口部及び第2開口部(以下、第
1開口部と第2開口部を総称して開口部14と呼ぶ場合
がある)と、開口部14の底部に位置するカソード電極
11の部分の上に設けられたクラウン(王冠)型の電子
放出部15Bから構成されている。
【0116】以下、クラウン型電界放出素子の製造方法
を、支持体等の模式的な一部端面図等である図24〜図
26を参照して説明する。
【0117】[工程−C0]先ず、例えばガラス基板か
ら成る支持体10上に、ストライプ状のカソード電極1
1を形成する。尚、カソード電極11は、図面の紙面左
右方向(第1の方向)に延びている。ストライプ状のカ
ソード電極11は、例えば支持体10上にITO膜をス
パッタリング法により約0.2μmの厚さに全面に亙っ
て成膜した後、ITO膜をパターニングすることによっ
て形成することができる。次に、支持体10及びカソー
ド電極11上に絶縁層12を形成する。ここでは、一例
としてガラスペーストを全面に約3μmの厚さにスクリ
ーン印刷する。次に、絶縁層12に含まれる水分や溶剤
を除去し、且つ、絶縁層12を平坦化するために、例え
ば100゜C、10分間の仮焼成、及び500゜C、2
0分間の本焼成といった2段階の焼成を行う。尚、上述
のようなガラスペーストを用いたスクリーン印刷に替え
て、例えばプラズマCVD法によりSiO2層を形成し
てもよい。
【0118】次に、絶縁層12上に、ストライプ状のゲ
ート電極13を形成する(図24の(A)参照)。尚、
ゲート電極13は、図面の紙面垂直方向(第2の方向)
に延びている。ゲート電極13は、例えば、絶縁層12
上に厚さ約20nmのクロム(Cr)膜と厚さ0.2μ
mの金(Au)膜を電子ビーム蒸着法によりこの順に全
面に成膜し、続いてこの積層膜をパターニングすること
により形成することができる。尚、クロム膜は、絶縁層
12に対する金膜の密着性の不足を補うために形成され
る。ゲート電極13の射影像の延びる方向は、ストライ
プ状のカソード電極11の射影像の延びる方向と90度
を成す。
【0119】[工程−C1]次に、例えばフォトレジス
ト材料から成るエッチング用マスクを用いてゲート電極
13及び絶縁層12をRIE法に基づきエッチングし、
ゲート電極13及び絶縁層12に開口部14を形成し、
開口部14の底部にカソード電極11を露出させる(図
24の(B)参照)。開口部14の直径を約2〜50μ
mとする。
【0120】[工程−C2]次に、エッチング用マスク
を除去し、ゲート電極13上、絶縁層12上、及び開口
部14の側壁面上に剥離層50を形成する(図25の
(A)参照)。かかる剥離層50を形成するには、例え
ば、フォトレジスト材料をスピンコーティング法により
全面に塗布し、開口部14の底部の一部分(中央部)の
みを除去するようなパターニングを行えばよい。この時
点で、開口部14の実質的な直径は、約1〜20μmに
縮径される。
【0121】[工程−C3]次に、図25の(B)に示
すように、全面に組成物原料から成る導電性組成物層5
1を形成する。ここで使用する組成物原料は、例えば、
導電性粒子として平均粒径約0.1μmの黒鉛粒子を6
0重量%、バインダとして4号の水ガラスを40重量%
含む。この組成物原料を、例えば1400rpm、10
秒間の条件で全面にスピンコートする。開口部14内に
おける導電性組成物層51の表面は、組成物原料の表面
張力に起因して、開口部14の側壁面に沿って迫り上が
り、開口部14の中央部に向かって窪む。その後、導電
性組成物層51に含まれる水分を除去するための仮焼成
を、例えば大気中、400゜Cで30分間行う。
【0122】尚、王冠状の電子放出部15Bの直径を概
ね1〜20μmとし、導電性粒子としてカーボン系材料
粒子を使用した場合、カーボン系材料粒子の粒径は概ね
0.1μm〜1μmの範囲とすることが好ましい。カー
ボン系材料粒子の粒径をかかる範囲に選択することによ
り、王冠状の電子放出部15Bの縁部に十分に高い機械
的強度が備わり、且つ、カソード電極11に対する電子
放出部15Bの密着性が良好となる。
【0123】[工程−C4]次に、図25の(C)に示
すように、剥離層50を除去する。剥離は、2重量%の
水酸化ナトリウム水溶液中に、30秒間浸漬することに
より行う。このとき、超音波振動を加えながら剥離を行
ってもよい。これにより、剥離層50と共に剥離層50
上の導電性組成物層51の部分が除去され、開口部14
の底部に露出したカソード電極11上の導電性組成物層
51の部分のみが残される。この残存した部分が電子放
出部15Bとなる。電子放出部15Bの形状は、表面が
開口部14の中央部に向かって窪み、王冠状となる。
[工程−C4]が終了した時点における状態を、図26
に示す。図26の(B)は、電界放出素子の一部を示す
模式的な斜視図であり、図26の(A)は図26の
(B)の線A−Aに沿った模式的な一部端面図である。
図26の(B)では、電子放出部15Bの全体が見える
ように、絶縁層12とゲート電極13との一部を切り欠
いている。尚、1つの電子放出領域には、5〜100個
程度の電子放出部15Bを設けることで十分である。
尚、導電性粒子が電子放出部15Bの表面に確実に露出
するように、電子放出部15Bの表面に露出したバイン
ダをエッチングによって除去してもよい。
【0124】尚、図26の(B)においては、カソード
電極11及びゲート電極13を図示したが、実際には、
カソードパネルCPの構造に依存して、格子状カソード
電極部11Aが形成され、あるいは又、格子状ゲート電
極部13Aが形成され、あるいは又、格子状カソード電
極部11A及び格子状ゲート電極部13Aが形成されて
いる。
【0125】[工程−C5]次に、電子放出部15Bの
焼成を行う。焼成は、乾燥大気中、400゜C、30分
間の条件で行う。尚、焼成温度は、組成物原料に含まれ
るバインダの種類に応じて選択すればよい。例えば、バ
インダが水ガラスのような無機材料である場合には、無
機材料を焼成し得る温度で熱処理を行えばよい。バイン
ダが熱硬化性樹脂である場合には、熱硬化性樹脂を硬化
し得る温度で熱処理を行えばよい。但し、導電性粒子同
士の密着性を保つために、熱硬化性樹脂が過度に分解し
たり炭化する虞のない温度で熱処理を行うことが好適で
ある。いずれのバインダを用いるにしても、熱処理温度
は、ゲート電極やカソード電極、絶縁層に損傷や欠陥が
生じない温度とする必要がある。熱処理雰囲気は、ゲー
ト電極やカソード電極の電気抵抗率が酸化によって上昇
したり、あるいはゲート電極やカソード電極に欠陥や損
傷が生ずることがないように、不活性ガス雰囲気とする
ことが好ましい。尚、バインダとして熱可塑性樹脂を使
用した場合には、熱処理を必要としない場合がある。
【0126】[扁平型電界放出素子(その2)]扁平型
電界放出素子の模式的な一部断面図を、図27の(C)
に示す。扁平型電界放出素子は、例えばガラスから成る
支持体10上に形成されたカソード電極11、支持体1
0及びカソード電極11上に形成された絶縁層12、絶
縁層12上に形成されたゲート電極13、ゲート電極1
3及び絶縁層12を貫通する開口部14、並びに、開口
部14の底部に位置するカソード電極11の部分の上に
設けられた扁平の電子放出部(電子放出層15C)から
成る。ここで、電子放出層15Cは、図27の(C)の
紙面垂直方向(第1の方向)に延びたストライプ状のカ
ソード電極11上に形成されている。また、ゲート電極
13は、図27の(C)の紙面左右方向(第2の方向)
に延びている。カソード電極11及びゲート電極13は
クロムから成る。電子放出層15Cは、具体的には、グ
ラファイト粉末から成る薄層から構成されている。図2
7の(C)に示した扁平型電界放出素子においては、カ
ソード電極11の表面の全域に亙って、電子放出層15
Cが形成されているが、このような構造に限定するもの
ではなく、要は、少なくとも開口部14の底部に電子放
出層15Cが設けられていればよい。
【0127】以下、支持体等の模式的な一部断面図であ
る図27を参照して、扁平型電界放出素子の製造方法を
説明する。
【0128】[工程−D0]先ず、支持体10上に、ク
ロム(Cr)から成るカソード電極用導電材料層をスパ
ッタリング法にて形成した後、リソグラフィ技術及びド
ライエッチング技術に基づきカソード電極用導電材料層
をパターニングする。これによって、ストライプ状のカ
ソード電極11を支持体10上に形成することができる
(図27の(A)参照)。尚、カソード電極11は、図
27の紙面垂直方向(第1の方向)に延びている。
【0129】[工程−D1]次に、カソード電極11上
に、電子放出層15Cを形成する。具体的には、カソー
ド電極11の上にグラファイト粉末塗料から成る電子放
出層15Cをスピンコーティング法にて形成し、電子放
出層15Cを乾燥させる。その後、電子放出層15Cを
公知の方法に基づきパターニングする(図27の(B)
参照)。
【0130】[工程−D2]次に、全面に絶縁層12を
形成する。具体的には、電子放出層15C及び支持体1
0上に、例えば、スパッタリング法にてSiO2から成
る絶縁層12を形成する。尚、絶縁層12を、ガラスペ
ーストをスクリーン印刷する方法や、SiO 2層をCV
D法にて形成する方法に基づき形成することもできる。
その後、ストライプ状のゲート電極13を絶縁層12上
に形成する。
【0131】[工程−D3]次に、エッチング用マスク
を設けた後、ゲート電極13及び絶縁層12に開口部1
4を形成し、開口部14の底部に電子放出層15Cを露
出させる。その後、エッチング用マスクを除去し、電子
放出層15C中の有機溶剤を除去するために、400゜
C、30分の熱処理を施す。こうして、図27の(C)
に示した電界放出素子を得ることができる。
【0132】[扁平型電界放出素子(その3)]この扁
平型電界放出素子の変形例の模式的な一部断面図を、図
28の(C)に示す。図28の(C)に示す扁平型電界
放出素子においては、電子放出層15Cの構造が、図2
7の(C)に示した扁平型電界放出素子と若干異なって
いる。以下、支持体等の模式的な一部断面図である図2
8を参照して、かかる電界放出素子の製造方法を説明す
る。
【0133】[工程−E0]先ず、支持体10上にカソ
ード電極用導電材料層を形成する。具体的には、支持体
10の全面にレジスト材料層(図示せず)を形成した
後、カソード電極を形成すべき部分のレジスト材料層を
除去する。その後、全面にクロム(Cr)から成るカソ
ード電極用導電材料層をスパッタリング法にて形成す
る。次いで、カソード電極用導電材料層の上にグラファ
イト粉末塗料層をスピンコーティング法にて形成し、グ
ラファイト粉末塗料層を乾燥させる。その後、剥離液を
用いてレジスト材料層を除去すると、レジスト材料層上
に形成されたカソード電極用導電材料層及びグラファイ
ト粉末塗料層も除去される。こうして、カソード電極1
1及び電子放出層15Cが積層された構造を得ることが
できる(図28の(A)参照)。
【0134】[工程−E1]次に、全面に絶縁層12を
形成した後、絶縁層12上にストライプ状のゲート電極
13を形成する(図28の(B)参照)。その後、ゲー
ト電極13及び絶縁層12に開口部14を形成すること
によって、開口部14の底部に電子放出層15Cを露出
させる(図28の(C)参照)。
【0135】[平面型電界放出素子(その1)]平面型
電界放出素子の模式的な一部断面図を、図29の(C)
に示す。この平面型電界放出素子は、例えばガラスから
成る支持体10上に形成されたストライプ状のカソード
電極11、支持体10及びカソード電極11上に形成さ
れた絶縁層12、絶縁層12上に形成されたストライプ
状のゲート電極13、並びに、ゲート電極13及び絶縁
層12を貫通する第1開口部及び第2開口部(開口部1
4)から成る。開口部14の底部にはカソード電極11
が露出している。カソード電極11は、図29の(C)
の紙面垂直方向(第1の方向)に延び、ゲート電極13
は、図29の(C)の紙面左右方向(第2の方向)に延
びている。カソード電極11及びゲート電極13はクロ
ム(Cr)から成り、絶縁層12はSiO2から成る。
ここで、開口部14の底部に露出したカソード電極11
の部分が電子放出部15Dに相当する。
【0136】以下、支持体等の模式的な一部断面図であ
る図29を参照して、平面型電界放出素子の製造方法を
説明する。
【0137】[工程−F0]先ず、支持体10上に電子
放出部15Dとして機能するカソード電極11を形成す
る。具体的には、支持体10上に、クロム(Cr)から
成るカソード電極用導電材料層をスパッタリング法にて
形成した後、リソグラフィ技術及びドライエッチング技
術に基づきカソード電極用導電材料層をパターニングす
る。これによって、ストライプ状のカソード電極11を
支持体10上に形成することができる(図29の(A)
参照)。尚、カソード電極11は、図29の紙面垂直方
向(第1の方向)に延びている。
【0138】[工程−F1]次に、例えばCVD法にて
SiO2から成る絶縁層12を、支持体10及びカソー
ド電極11の上に形成する。尚、絶縁層12を、スクリ
ーン印刷法に基づきガラスペーストから形成することも
できる。
【0139】[工程−F2]その後、ストライプ状のゲ
ート電極13を絶縁層12上に形成する。具体的には、
先ず、全面にクロムから成る導電材料層をスパッタリン
グ法にて形成した後、リソグラフィ技術及びドライエッ
チング技術に基づき導電材料層をパターニングする。こ
れによって、ストライプ状のゲート電極13を形成する
ことができる(図29の(B)参照)。尚、ゲート電極
13は、図29の紙面左右方向(第2の方向)に延びて
いる。例えばスクリーン印刷法にて、ストライプ状のゲ
ート電極13を絶縁層12上に、直接形成することもで
きる。
【0140】[工程−F3]次に、ゲート電極13及び
絶縁層12に開口部14を形成し、開口部14の底部に
電子放出部15Dとして機能するカソード電極11を露
出させる(図29の(C)参照)。
【0141】[平面型電界放出素子(その2)]図30
の(A)に模式的な一部断面図を示す平面型電界放出素
子が図29の(C)に示した平面型電界放出素子と相違
する点は、開口部14の底部に露出したカソード電極1
1の表面(電子放出部15Dに相当する)に、微小凹凸
部11Bが形成されている点にある。このような平面型
電界放出素子は、以下の製造方法にて製造することがで
きる。
【0142】[工程−G0]先ず、[工程−F0]〜
[工程−F2]と略同様にして、支持体10上にストラ
イプ状のカソード電極11を形成し、全面に絶縁層12
を形成した後、ストライプ状のゲート電極13を絶縁層
12上に形成する。即ち、例えばガラス基板から成る支
持体10の上に、スパッタリング法により厚さ約0.2
μmのタングステン層を成膜し、通常の手順に従ってこ
のタングステン層をストライプ状にパターニングし、カ
ソード電極11を形成する。次に、支持体10及びカソ
ード電極11上に絶縁層12を形成する。絶縁層12
は、TEOS(テトラエトキシシラン)を原料ガスとし
て用いるCVD法により形成することができる。更に、
この絶縁層12の上に、例えば厚さ約0.2μmのクロ
ムから成る導電材料層を成膜し、ストライプ状にパター
ニングして、ゲート電極13を形成する。ここまでのプ
ロセスが終了した状態は、実質的に、図29の(B)に
示したと同様である。
【0143】[工程−G1]次に、[工程−F3]と同
様にして、ゲート電極13及び絶縁層12に開口部14
を形成し、開口部14の底部にカソード電極11を露出
させる。その後、開口部14の底部に露出したカソード
電極11の部分に、微小凹凸部11Bを形成する。微小
凹凸部11Bの形成に際しては、エッチングガスとして
SF6を用い、カソード電極11を構成するタングステ
ンの結晶粒のエッチング速度よりも粒界とエッチング速
度の方が早くなるようなエッチング条件を設定してRI
E法に基づくドライエッチングを行う。その結果、タン
グステンの結晶粒径をほぼ反映した寸法を有する微小凹
凸部11Bを形成することができる。
【0144】このような平面型電界放出素子の構成にお
いては、カソード電極11の微小凹凸部11B、より具
体的には微小凹凸部11Bの凸部に、ゲート電極13か
ら大きな電界が加わる。このとき、凸部に集中する電界
は、カソード電極11の表面が平滑である場合に比べて
大きいため、凸部からは量子トンネル効果によって電子
が効率良く放出される。従って、開口部14の底部に単
に平滑なカソード電極11が露出している平面型電界放
出素子に比べて、表示装置に組み込まれた場合の輝度の
向上が期待できる。それ故、図30の(A)に示した平
面型電界放出素子によれば、ゲート電極13とカソード
電極11との間の電位差が比較的小さくても、十分な放
出電子電流密度を得ることができ、表示装置の高輝度化
が達成される。あるいは、同じ輝度を達成するために必
要なゲート電圧が低くて済み、以て、低消費電力化を達
成することが可能である。
【0145】尚、絶縁層12をエッチングすることによ
って開口部14を形成し、その後に異方性エッチング技
術に基づきカソード電極11に微小凹凸部11Bを形成
したが、開口部14を形成するためのエッチングによっ
て、微小凹凸部11Bを同時に形成することも可能であ
る。即ち、絶縁層12をエッチングする際に、ある程度
のイオンスパッタ作用が期待できる異方的なエッチング
条件を採用し、垂直壁を有する開口部14が形成された
後もエッチングを継続することにより、開口部14の底
部に露出したカソード電極11の部分に微小凹凸部11
Bを形成することができる。その後、絶縁層12の等方
性エッチングを行えばよい。
【0146】また、[工程−F0]と同様の工程におい
て、支持体10上に、タングステンから成るカソード電
極用導電材料層をスパッタリング法にて形成した後、リ
ソグラフィ技術及びドライエッチング技術に基づきカソ
ード電極用導電材料層をパターニングし、次いで、カソ
ード電極用導電材料層の表面に微小凹凸部11Bを形成
した後、[工程−F1]〜[工程−F3]と同様の工程
を実行することによって、図30の(A)に示したと同
様の電界放出素子を作製することもできる。
【0147】あるいは又、[工程−F0]と同様の工程
において、支持体10上に、タングステンから成るカソ
ード電極用導電材料層をスパッタリング法にて形成した
後、カソード電極用導電材料層の表面に微小凹凸部11
Bを形成し、次いで、リソグラフィ技術及びドライエッ
チング技術に基づきカソード電極用導電材料層をパター
ニングした後、[工程−F1]〜[工程−F3]と同様
の工程を実行することによって、図30の(A)に示し
たと同様の電界放出素子を作製することもできる。
【0148】図30の(B)には、図30の(A)に示
した電界放出素子の変形例を示す。図30の(B)に示
す電界放出素子においては、微小凹凸部11Bの先端部
の平均高さ位置が、絶縁層12の下面位置よりも支持体
10側に存在している(即ち、下がっている)。かかる
電界放出素子を形成するには、[工程−G1]における
ドライエッチングの継続時間を延長すればよい。このよ
うな構成によれば、開口部14の中央部近傍の電界強度
を一層高めることができる。
【0149】図31には、電子放出部15Dに相当する
カソード電極11の表面(より具体的には、少なくとも
微小凹凸部11B上)に被覆層11Cが形成されている
平面型電界放出素子を示す。
【0150】この被覆層11Cは、カソード電極11を
構成する材料よりも仕事関数Φの小さい材料から構成す
ることが好ましく、どのような材料を選択するかは、カ
ソード電極11を構成する材料の仕事関数、ゲート電極
13とカソード電極11との間の電位差、要求される放
出電子電流密度の大きさ等に基づいて決定すればよい。
被覆層11Cの構成材料として、アモルファスダイヤモ
ンドを例示することができる。被覆層11Cをアモルフ
ァスダイヤモンドを用いて構成した場合には、5×10
7V/m以下の電界強度にて、表示装置に必要な放出電
子電流密度を得ることができる。
【0151】被覆層11Cの厚さは、微小凹凸部11B
を反映し得る程度に選択する。これは、被覆層11Cに
よって微小凹凸部11Bの凹部が埋め込まれ、電子放出
部の表面が平滑化されてしまっては、微小凹凸部11B
を設けた意味が無くなるからである。従って、微小凹凸
部11Bの寸法にも依るが、例えば微小凹凸部11Bが
電子放出部の結晶粒径を反映して形成されている場合に
は、被覆層11Cの厚さを概ね30〜100nm程度に
選択することが好ましい。また、微小凹凸部11Bの先
端部の平均高さ位置を絶縁層の下面位置よりも下げる場
合には、厳密には、被覆層11Cの先端部の平均高さ位
置を絶縁層の下面位置よりも下げることが、一層好まし
い。
【0152】具体的には、[工程−G1]の後、全面に
例えばCVD法によりアモルファスダイヤモンドから成
る被覆層11Cを形成すればよい。尚、被覆層11C
は、ゲート電極13及び絶縁層12の上に形成されたエ
ッチング用マスク(図示せず)の上にも堆積するが、こ
の堆積部分はエッチング用マスクの除去時、同時に除去
される。原料ガスとして例えばCH4/H2混合ガスや、
CO/H2混合ガスを使用したCVD法に基づき被覆層
11Cを形成することができ、それぞれ炭素を含む化合
物の熱分解によってアモルファスダイヤモンドから成る
被覆層11Cが形成される。
【0153】あるいは又、[工程−F0]と同様の工程
において、支持体10上に、タングステンから成るカソ
ード電極用導電材料層をスパッタリング法にて形成した
後、リソグラフィ技術及びドライエッチング技術に基づ
きカソード電極用導電材料層をパターニングし、その
後、カソード電極用導電材料層の表面に微小凹凸部11
Bを形成し、次いで、被覆層11Cを形成した後、[工
程−F1]〜[工程−F3]と同様の工程を実行するこ
とによって、図31に示す電界放出素子を作製すること
もできる。
【0154】あるいは又、[工程−F0]と同様の工程
において、支持体10上に、タングステンから成るカソ
ード電極用導電材料層をスパッタリング法にて形成した
後、カソード電極用導電材料層の表面に微小凹凸部11
Bを形成し、次いで、被覆層11Cを形成した後、リソ
グラフィ技術及びドライエッチング技術に基づき被覆層
11C、カソード電極用導電材料層をパターニングした
後、[工程−F1]〜[工程−F3]と同様の工程を実
行することによって、図31に示す電界放出素子を作製
することもできる。
【0155】あるいは又、被覆層を構成する材料とし
て、かかる材料の2次電子利得δがカソード電極を構成
する導電性材料の2次電子利得δよりも大きくなるよう
な材料を適宜選択することもできる。
【0156】尚、図29の(C)に示した平面型電界放
出素子の電子放出部15D(カソード電極11の表面)
に被覆層を形成してもよい。この場合には、[工程−F
3]の後、開口部14の底部に露出したカソード電極1
1の表面に被覆層11Cを形成すればよく、あるいは
又、[工程−F0]において、例えば、支持体10上に
カソード電極用導電材料層を形成した後、カソード電極
用導電材料層上に被覆層11Cを形成し、次いで、リソ
グラフィ技術及びドライエッチング技術に基づき、これ
らの層をパターニングすればよい。
【0157】[クレータ型電界放出素子(その1)]ク
レータ型電界放出素子の模式的な一部断面図を、図35
の(B)に示す。クレータ型電界放出素子においては、
電子を放出する複数の隆起部111Aと、各隆起部11
1Aに囲まれた凹部111Bとを有するカソード電極1
11が、支持体10上に備えられている。尚、絶縁層1
2及びゲート電極13を取り除いた模式的な斜視図を図
34の(B)に示す。
【0158】凹部の形状は特に限定されないが、典型的
には略球面を成す。これは、かかるクレータ型電界放出
素子の製造方法において球体が使用され、凹部111B
が球体の形状の一部を反映して形成されることと関連し
ている。従って、凹部111Bが略球面を成す場合、凹
部111Bを囲む隆起部111Aは円環状となり、この
場合の凹部111Bと隆起部111Aとは、全体として
クレータあるいはカルデラのような形状を呈する。隆起
部111Aは電子を放出する部分であるため、電子放出
効率を高める観点からは、その先端部111Cが先鋭で
あることが特に好ましい。隆起部111Aの先端部11
1Cのプロファイルは、不規則な凹凸を有していても、
あるいは滑らかであってもよい。1画素内における隆起
部111Aの配置は規則的であってもランダムであって
もよい。尚、凹部111Bは、凹部111Bの周方向に
沿って連続した隆起部111Aにより囲まれていてもよ
いし、場合によっては、凹部111Bの周方向に沿って
不連続な隆起部111Aにより囲まれていてもよい。
【0159】このようなクレータ型電界放出素子の製造
方法において、支持体上にストライプ状のカソード電極
を形成する工程は、より具体的には、複数の球体を被覆
したストライプ状のカソード電極を支持体上に形成する
工程と、球体を除去することによって、球体を被覆した
カソード電極の部分を除去し、以て、電子を放出する複
数の隆起部と、各隆起部に囲まれ、且つ、球体の形状の
一部を反映した凹部とを有するカソード電極を形成する
工程、から成る。
【0160】球体の状態変化及び/又は化学変化によっ
て、球体を除去することが好ましい。ここで、球体の状
態変化及び/又は化学変化とは、膨張、昇華、発泡、ガ
ス発生、分解、燃焼、炭化等の変化若しくはこれらの組
合せを意味する。例えば、球体が有機材料から成る場
合、球体を燃焼させることによって除去することが一層
好ましい。尚、球体の除去と球体を被覆するカソード電
極の部分の除去、あるいは、球体の除去と球体を被覆す
るカソード電極、絶縁層及びゲート電極の部分の除去
は、必ずしも同時に起こらなくてもよい。例えば、球体
を被覆するカソード電極の部分、あるいはこれに加えて
絶縁層やゲート電極の部分を除去した後に球体の一部が
残存している場合、残存した球体の除去を後から行えば
よい。
【0161】特に、球体が有機材料から成る場合、球体
を例えば燃焼させると、例えば、一酸化炭素、二酸化炭
素、水蒸気が発生し、球体近傍の閉鎖空間の圧力が高ま
り、球体近傍のカソード電極は或る耐圧限界を超えた時
点で破裂する。この破裂の勢いによって、球体を被覆す
るカソード電極の部分が飛散し、隆起部及び凹部が形成
され、しかも、球体が除去される。あるいは又、球体を
例えば燃焼させると、同様の機構に基づき、カソード電
極と絶縁層とゲート電極は或る耐圧限界を超えた時点で
破裂する。この破裂の勢いによって、球体を被覆するカ
ソード電極と絶縁層とゲート電極の部分が飛散し、隆起
部及び凹部と同時に開口部が形成され、しかも、球体が
除去される。即ち、球体を除去する以前には絶縁層及び
ゲート電極には開口部が存在せず、球体の除去に伴って
開口部が形成される。このとき、球体の燃焼の初期過程
は閉鎖空間内で進行するため、球体の一部は炭化する可
能性もある。球体を被覆するカソード電極の部分の厚さ
を、破裂によって飛散し得る程度に薄くすることが好ま
しい。また、球体を被覆するカソード電極、絶縁層及び
ゲート電極の部分の厚さを、破裂によって飛散し得る程
度に薄くすることが好ましく、特に、絶縁層について
は、球体を被覆していない部分の厚さを球体の直径と同
程度にすることが好適である。
【0162】後述する[クレータ型電界放出素子(その
3)]においても、球体の状態変化及び/又は化学変化
によって球体を除去することができるが、カソード電極
の破裂を伴わないので、外力によって除去を行う方が簡
便な場合もある。また、後述する[クレータ型電界放出
素子(その4)]では、球体を除去する前の時点で既に
開口部が完成されているが、開口部の大きさが球体の直
径よりも大きい場合には、球体を外力によって除去する
ことができる。ここで、外力とは、空気又は不活性ガス
の吹付け圧力、洗浄液の吹付け圧力、磁気吸引力、静電
気力、遠心力等の物理的な力である。尚、[クレータ型
電界放出素子(その3)]あるいは[クレータ型電界放
出素子(その4)]においては、[クレータ型電界放出
素子(その1)]と異なり、球体を被覆する部分のカソ
ード電極、あるいは、場合によっては、更に絶縁層やゲ
ート電極を飛散させる必要がないので、カソード電極、
絶縁層あるいはゲート電極の残渣が発生し難いという利
点がある。
【0163】後述する[クレータ型電界放出素子(その
3)]あるいは[クレータ型電界放出素子(その4)]
で使用される球体は、少なくとも表面が、カソード電
極、構成に依っては絶縁層やゲート電極を構成する材料
の各界面張力(表面張力)に比べて、大きな界面張力を
有する材料から構成されていることが好ましい。これに
より、[クレータ型電界放出素子(その4)]では、カ
ソード電極、絶縁層及びゲート電極は球体の少なくとも
頂部を被覆することがなく、開口部が最初から絶縁層及
びゲート電極に形成された状態が得られる。開口部の直
径がどの程度になるかは、例えば、カソード電極、絶縁
層やゲート電極を構成する材料の厚さと球体の直径との
関係や、カソード電極、絶縁層やゲート電極の形成方
法、カソード電極、絶縁層やゲート電極を構成する材料
の界面張力(表面張力)に依存する。
【0164】後述する[クレータ型電界放出素子(その
3)]あるいは[クレータ型電界放出素子(その4)]
において、球体は、少なくとも表面が界面張力に関する
上述の条件を満たしていればよい。つまり、カソード電
極、絶縁層及びゲート電極の各界面張力よりも大きな界
面張力を有している部分は、球体の表面のみであっても
全体であってもよく、また、球体の表面及び/又は全体
の構成材料は、無機材料、有機材料、あるいは無機材料
と有機材料の組合せのいずれであってもよい。[クレー
タ型電界放出素子(その3)]あるいは[クレータ型電
界放出素子(その4)]において、カソード電極やゲー
ト電極が通常の金属系材料から構成され、絶縁層がガラ
ス等の酸化シリコン系材料から構成される場合、金属系
材料の表面には吸着水分に由来する水酸基、絶縁層の表
面にはSi−O結合のダングリング・ボンドと吸着水分
とに由来する水酸基が存在し、親水性の高い状態にある
のが普通である。従って、疎水性の表面処理層を有する
球体を用いることが、特に有効である。疎水性の表面処
理層の構成材料として、フッ素系樹脂、例えばポリテト
ラフルオロエチレンを挙げることができる。球体が疎水
性の表面処理層を有する場合、疎水性の表面処理層の内
側の部分を芯材と称することにすると、芯材の構成材料
は、ガラス、セラミックス、フッ素系樹脂以外の高分子
材料のいずれであってもよい。
【0165】球体を構成する有機材料は特に限定されな
いが、汎用の高分子材料が好適である。但し、重合度が
極端に大きかったり、多重結合含有量が極端に多い高分
子材料では、燃焼温度が高くなり過ぎ、燃焼による球体
の除去時、カソード電極や絶縁層、ゲート電極に悪影響
が及ぶ虞がある。それ故、これらに対する悪影響が生じ
る虞のない温度にて燃焼若しくは炭化させることが可能
な高分子材料を選択することが好ましい。特に、絶縁層
をガラスペーストのような、後工程において焼成を要す
る材料を用いて形成する場合には、工数をなるべく減少
させる観点から、ガラスペーストの焼成温度にて燃焼若
しくは炭化可能な高分子材料を選択することが好適であ
る。ガラスペーストの典型的な焼成温度は約530゜C
なので、かかる高分子材料の燃焼温度は350〜500
゜C程度であることが好ましい。代表的な高分子材料と
して、スチレン系、ウレタン系、アクリル系、ビニル
系、ジビニルベンゼン系、メラミン系、ホルムアルデヒ
ド系、ポリメチレン系のホモポリマー又は共重合体を挙
げることができる。あるいは又、球体として、支持体上
での確実な配置を確保するために、付着力を有する固着
タイプの球体を使用することもできる。固着タイプの球
体として、アクリル系樹脂から成る球体を例示すること
ができる。
【0166】あるいは又、例えば、塩化ビニリデン・ア
クリロニトリル共重合体を外殻とし、発泡材としてイソ
ブタンを内包し、カプセル化した加熱膨張型マイクロス
フェアを球体として使用することができる。[クレータ
型電界放出素子(その1)]において、かかる加熱膨張
型マイクロスフェアを用い、熱膨張型マイクロスフェア
を加熱すると、外殻のポリマーが軟化し、しかも、内包
されたイソブタンがガス化して膨張する結果、粒径が膨
張前と比較して約4倍程度の真球の中空体が形成され
る。その結果、[クレータ型電界放出素子(その1)]
において、電子を放出する隆起部、及び、隆起部に囲ま
れ、且つ、球体の形状の一部を反映した凹部を、カソー
ド電極に形成することができる。また、かかる凹部や隆
起部に加え、ゲート電極及び絶縁層を貫通した開口部を
形成することもできる。尚、熱膨張型マイクロスフェア
の加熱による膨張も、本明細書においては、球体の除去
という概念に包含する。その後、熱膨張型マイクロスフ
ェアを適切な溶剤を用いて取り除けばよい。
【0167】[クレータ型電界放出素子(その1)]に
おいては、支持体上に複数の球体を配置した後、球体を
被覆するカソード電極を形成すればよい。この場合にお
いては、あるいは又、後述する[クレータ型電界放出素
子(その3)]あるいは[クレータ型電界放出素子(そ
の4)]においては、支持体上への複数の球体の配置方
法として、球体を支持体上に散布する乾式法を挙げるこ
とができる。球体の散布には、例えば、液晶表示装置の
製造分野において、パネル間隔を一定に維持するための
スペーサを散布する技術を応用することができる。具体
的には、圧搾気体で球体をノズルから噴射する、所謂ス
プレーガンを用いることができる。尚、球体をノズルか
ら噴射する際、球体を揮発性の溶剤中に分散させた状態
としてもよい。あるいは、静電粉体塗装の分野で通常使
用されている装置や方法を利用して球体を散布すること
もできる。例えば、コロナ放電を利用して、静電粉体吹
付けガンにより負に帯電させた球体を、接地した支持体
に向かって吹き付けることができる。使用する球体は、
後述するように非常に小さいため、支持体上に散布され
ると支持体の表面に例えば静電気力によって付着し、以
降の工程においても容易に支持体から脱落することはな
い。支持体上に複数の球体の配置した後、球体を加圧す
れば、支持体上の複数の球体の重なりを解消することが
でき、球体を支持体上で単層に密に配置することができ
る。
【0168】あるいは、後述する[クレータ型電界放出
素子(その2)]のように、球体とカソード電極材料と
を分散媒中に分散させて成る組成物から成る組成物層を
支持体上に形成し、以て、支持体上に複数の球体を配置
し、カソード電極材料から成るカソード電極で球体を被
覆した後、分散媒を除去することもできる。組成物の性
状としては、スラリーやペーストが可能であり、これら
の所望の性状に応じ、分散媒の組成や粘度を適宜選択す
ればよい。組成物層を支持体上に形成する方法として
は、スクリーン印刷法が好適である。カソード電極材料
は、典型的には、分散媒中における沈降速度が球体より
も遅い微粒子であることが好適である。かかる微粒子を
構成する材料として、カーボン、バリウム、ストロンチ
ウム、鉄を挙げることができる。分散媒を除去した後、
必要に応じてカソード電極の焼成を行う。組成物層を支
持体上に形成する方法としては、噴霧法、滴下法、スピ
ンコーティング法、スクリーン印刷法を挙げることがで
きる。尚、球体が配置されると共に、カソード電極材料
から成るカソード電極で球体が被覆されるが、組成物層
の形成方法に依っては、かかるカソード電極のパターニ
ングを行う必要がある。
【0169】あるいは、後述する[クレータ型電界放出
素子(その3)]あるいは[クレータ型電界放出素子
(その4)]にあっては、球体を分散媒中に分散させて
成る組成物から成る組成物層を支持体上に形成し、以
て、支持体上に複数の球体を配置した後、分散媒を除去
することができる。組成物の性状としては、スラリーや
ペーストが可能であり、これらの所望の性状に応じ、分
散媒の組成や粘度を適宜選択すればよい。典型的には、
イソプロピルアルコール等の有機溶媒を分散媒として用
い、蒸発により分散媒を除去することができる。組成物
層を支持体上に形成する方法としては、噴霧法、滴下
法、スピンコーティング法、スクリーン印刷法を挙げる
ことができる。
【0170】ところで、ゲート電極とカソード電極は互
いに異なる方向(例えば、ストライプ状のゲート電極の
射影像とストライプ状のカソード電極の射影像とが成す
角度が90度)に延びており、且つ、例えばストライプ
状にパターニングされており、電子放出領域に位置する
隆起部から電子が放出される。従って、隆起部は、機能
上、電子放出領域にのみ存在すればよい。但し、たとえ
電子放出領域以外の領域に隆起部及び凹部が存在してい
たとしても、このような隆起部及び凹部は絶縁層に被覆
されたまま、何ら電子を放出するといった機能を果たさ
ない。従って、球体を全面に配置しても何ら問題は生じ
ない。
【0171】これに対して、球体を被覆したカソード電
極、絶縁層及びゲート電極(ゲート電極)の各部分を除
去する場合、個々の球体の配置位置と開口部の形成位置
とが一対一に対応するため、電子放出領域以外の領域に
も開口部が形成される。以下、電子放出領域以外の領域
に形成される開口部を「無効開口部」と呼び、電子放出
に寄与する本来の開口部と区別する。ところで、電子放
出領域以外の領域に無効開口部が形成されたとしても、
この無効開口部は電界放出素子として何ら機能せず、電
子放出領域に形成される電界放出素子の動作に何ら悪影
響を及ぼさない。なぜなら、無効開口部の底部に隆起部
及び凹部が露出していても、無効開口部の上端部にゲー
ト電極が形成されていないからであり、あるいは又、無
効開口部の上端部にゲート電極が形成されていても底部
に隆起部及び凹部が露出していないか、あるいは、無効
開口部の底部に隆起部及び凹部が露出しておらず、しか
も、上端部にゲート電極が形成されておらず、単に支持
体の表面が露出しているか、のいずれかであるからであ
る。従って、球体を全面に配置しても何ら問題は生じな
い。尚、電子放出領域とそれ以外の領域との境界線上に
形成された孔は、開口部に含まれる。
【0172】球体の直径は、所望の開口部の直径、凹部
の直径、電界放出素子を用いて構成される表示装置の表
示画面寸法、画素数、電子放出領域の寸法、1画素を構
成すべき電界放出素子の個数に応じて選択することがで
きるが、0.1〜10μmの範囲で選択することが好ま
しい。例えば、液晶表示装置のスペーサとして市販され
ている球体は、粒径分布が1〜3%と良好なので、これ
を利用することが好適である。球体の形状は真球である
ことが理想的ではあるが、必ずしも真球である必要はな
い。また、電界放出素子の製造方法に依っては、上述し
たように、球体の配置された場所に開口部か無効開口部
のいずれかが形成され得るが、支持体上には球体を10
0〜5000個/mm2程度の密度で配置することが好
適である。例えば球体を約1000個/mm2の密度で
支持体上に配置すると、例えば電子放出領域の寸法を仮
に0.5mm×0.2mmとした場合、この電子放出領
域内に約100個の球体が存在し、約100個の隆起部
が形成されることになる。1つの電子放出領域にこの程
度の個数の隆起部が形成されていれば、球体の粒径分布
や真球度のばらつきに起因する凹部の直径のばらつきは
ほぼ平均化され、実用上、1画素(又は1サブピクセ
ル)当たりの放出電子電流密度や輝度はほぼ均一とな
る。
【0173】[クレータ型電界放出素子(その1)]あ
るいは後述する[クレータ型電界放出素子(その2)]
〜[クレータ型電界放出素子(その4)]においては、
球体の形状の一部が電子放出部を構成する凹部の形状に
反映される。隆起部の先端部のプロファイルは、不規則
な凹凸を有していても、あるいは滑らかであってもよい
が、特に、[クレータ型電界放出素子(その1)]や
[クレータ型電界放出素子(その2)]においては、こ
の先端部はカソード電極の破断により形成されるため、
隆起部の先端部が不規則形状となり易い。破断により隆
起部に先端部が先鋭化すると、先端部が高効率の電子放
出部として機能し得るので、好都合である。[クレータ
型電界放出素子(その1)]〜[クレータ型電界放出素
子(その4)]においては、凹部を囲む隆起部はいずれ
も概ね円環状となり、この場合の凹部と隆起部とは、全
体としてクレータあるいはカルデラのような形状を呈す
る。
【0174】支持体上における隆起部の配置は規則的で
あってもランダムであってもよく、球体の配置方法に依
存する。上述の乾式法あるいは湿式法を採用した場合、
支持体上における隆起部の配置はランダムとなる。
【0175】[クレータ型電界放出素子(その1)]〜
[クレータ型電界放出素子(その4)]において、絶縁
層の形成後、絶縁層に開口部を形成する場合、隆起部の
先端部に損傷が生じないように、隆起部を得た後、保護
層を形成し、開口部の形成後、保護層を取り除く構成と
することもできる。保護層を構成する材料として、クロ
ムを例示することができる。
【0176】以下、図32〜図35を参照して、[クレ
ータ型電界放出素子(その1)]の電界放出素子の製造
方法を説明するが、図32の(A)、図33の(A)、
図34の(A)模式的な一部端面図であり、図35の
(A)及び(B)は模式的な一部断面図であり、図32
の(B)、図33の(B)及び図34の(B)は、図3
2の(A)、図33の(A)及び図34の(A)よりも
広い範囲を模式的に示す一部斜視図である。
【0177】[工程−H0]先ず、複数の球体60を被
覆したカソード電極111を支持体10上に形成する。
具体的には、先ず、例えばガラス基板から成る支持体1
0上の全面に、球体60を配置する。球体60は、例え
ばポリメチレン系の高分子材料から成り、平均直径約5
μm、粒径分布1%未満である。球体60を、スプレー
ガンを用い、支持体10上におおよそ1000個/mm
2の密度でランダムに配置する。スプレーガンを用いた
散布は、球体を揮発性溶剤と混合して噴霧する方式、あ
るいは粉末状態のままノズルから噴射する方式のいずれ
でもよい。配置された球体60は、静電気力で支持体1
0上に保持されている。この状態を図32の(A)及び
(B)に示す。
【0178】[工程−H1]次に、球体60及び支持体
10上にカソード電極111を形成する。カソード電極
111を形成した状態を、図33の(A)及び(B)に
示す。カソード電極111は、例えばカーボンペースト
をストライプ状にスクリーン印刷することによって形成
することができる。このとき、球体60は支持体10上
の全面に配置されているので、球体60の中には、図3
3の(B)に示すように、カソード電極111で被覆さ
れないものも当然存在する。次に、カソード電極111
に含まれる水分や溶剤を除去し、且つ、カソード電極1
11を平坦化するために、例えば150゜Cにてカソー
ド電極111を乾燥する。この温度では、球体60は何
ら状態変化及び/又は化学変化を起こさない。尚、上述
のようなカーボンペーストを用いたスクリーン印刷に替
えて、カソード電極111を構成するカソード電極用導
電材料層を全面に形成し、このカソード電極用導電材料
層を通常のリソグラフィ技術とドライエッチング技術を
用いてパターニングし、ストライプ状のカソード電極1
11を形成することもできる。リソグラフィ技術を適用
する場合、通常、レジスト層をスピンコーティング法に
より形成するが、スピンコーティング時の支持体10の
回転数が500rpm程度、回転時間が数秒間程度であ
れば、球体60は脱落したり変位することなく、支持体
10上に保持され得る。
【0179】[工程−H2]次に、球体60を除去する
ことによって、球体60を被覆したカソード電極111
の部分を除去し、以て、電子を放出する複数の隆起部1
11Aと、各隆起部111Aに囲まれ、且つ、球体60
の形状の一部を反映した凹部111Bとを有するカソー
ド電極111を形成する。この状態を、図34の(A)
及び(B)に示す。具体的には、カソード電極111の
焼成を兼ね、約530゜Cにて加熱を行うことにより球
体60を燃焼させる。球体60の燃焼に伴って球体60
が閉じ込められていた閉鎖空間の圧力が上昇し、球体6
0を被覆するカソード電極111の部分が或る耐圧限界
を超えた時点で破裂して除去される。その結果、支持体
10上に形成されたカソード電極111の一部分に、隆
起部111A及び凹部111Bが形成される。尚、球体
を除去した後に、球体の一部分が残渣として残る場合に
は、使用する球体を構成する材料にも依るが、適切な洗
浄液を用いて残渣を除去すればよい。
【0180】[工程−H3]その後、カソード電極11
1及び支持体10上に絶縁層12を形成する。具体的に
は、例えば、ガラスペーストを全面に約5μmの厚さに
スクリーン印刷する。次に、絶縁層12に含まれる水分
や溶剤を除去し、且つ、絶縁層12を平坦化するため
に、例えば150゜Cにて絶縁層12を乾燥する。上述
のようなガラスペーストを用いたスクリーン印刷に替え
て、例えばプラズマCVD法によりSiO2層を形成し
てもよい。
【0181】[工程−H4]次に、絶縁層12上に、ス
トライプ状のゲート電極13を形成する(図35の
(A)参照)。ゲート電極13は、例えばカーボンペー
ストをストライプ状にスクリーン印刷することによって
形成することができる。このときのストライプ状のゲー
ト電極13の射影像の延びる方向は、ストライプ状のカ
ソード電極111の射影像の延びる方向と90度の角度
を成している。次に、ゲート電極13に含まれる水分や
溶剤を除去し、且つ、ゲート電極13を平坦化するため
に、例えば150゜Cにてゲート電極13を乾燥した
後、ゲート電極13及び絶縁層12を構成する材料を焼
成する。尚、カーボンペーストを用いたスクリーン印刷
に替えて、ゲート電極13を構成するゲート電極を絶縁
層12の全面に形成し、次いで、ゲート電極を通常のリ
ソグラフィ技術とドライエッチング技術を用いてパター
ニングしてもよい。
【0182】[工程−H5]その後、ゲート電極13の
射影像とカソード電極111の射影像とが重複する領域
において、ゲート電極13及び絶縁層12に開口部14
を形成し、以て、開口部14の底部に複数の複数の隆起
部111A及び凹部111Bを露出させる。開口部14
の形成は、通常のリソグラフィ技術によるレジストマス
クの形成と、レジストマスクを用いたエッチングにより
行うことができる。但し、カソード電極111に対して
十分に高いエッチング選択比が確保できる条件でエッチ
ングを行うことが好ましい。あるいは又、隆起部111
Aを形成した後、例えば、クロムから成る保護層を形成
しておき、開口部14を形成した後、保護層を取り除く
ことが好ましい。その後、レジストマスクを除去する。
こうして、図35の(B)に示した電界放出素子を得る
ことができる。
【0183】尚、[クレータ型電界放出素子(その
1)]の製造方法の変形例として、[工程−H1]の
後、[工程−H3]〜[工程−H5]を実行し、次い
で、[工程−H2]を実行してもよい。この場合、球体
の燃焼とゲート電極13及び絶縁層12を構成する材料
の焼成を同時に行えばよい。
【0184】あるいは又、[工程−H1]の後、[工程
−H3]を実行し、更に、[工程−H4]と同様の工程
において、開口部を有していないストライプ状のゲート
電極を絶縁層上に形成した後、[工程−H2]を実行す
る。これによって、球体60を被覆したカソード電極1
11、絶縁層12及びゲート電極13の各部分が除去さ
れ、以て、ゲート電極13及び絶縁層12を貫通した開
口部が形成されると共に、電子を放出する隆起部111
Aと、隆起部111Aに囲まれ、且つ、球体60の形状
の一部を反映した凹部111Bとから成る電子放出部
を、開口部の底部に位置するカソード電極111に形成
することができる。即ち、球体60の燃焼に伴って球体
60が閉じ込められている閉鎖空間の圧力が上昇し、球
体を被覆する部分のカソード電極111と絶縁層12と
ゲート電極13とが或る耐圧限界を超えた時点で破裂
し、隆起部111A及び凹部111Bと同時に開口部が
形成され、しかも、球体60が除去される。開口部は、
ゲート電極13及び絶縁層12を貫通し、且つ、球体6
0の形状の一部を反映している。また、開口部の底部に
は、電子を放出する隆起部111A、及び、隆起部11
1Aに囲まれ、且つ、球体60の形状の一部を反映した
凹部111Bが残る。
【0185】[クレータ型電界放出素子(その2)] [クレータ型電界放出素子(その2)]の製造方法を図
36を参照して説明するが、支持体10上に複数の球体
60を配置する工程が、球体60とカソード電極材料と
を分散媒中に分散させて成る組成物から成る組成物層6
1を支持体10上に形成し、以て、支持体10上に複数
の球体60を配置し、カソード電極材料から成るカソー
ド電極111で球体を被覆した後、分散媒を除去する工
程から成る、即ち、湿式法から成る点が、[クレータ型
電界放出素子(その1)]の製造方法と相違する。
【0186】[工程−I0]先ず、支持体10上に複数
の球体60を配置する。具体的には、球体60とカソー
ド電極材料61Bとを分散媒61A中に分散させて成る
組成物から成る組成物層61を支持体10上に形成す
る。即ち、例えば、イソプロピルアルコールを分散媒6
1Aとして使用し、平均直径約5μmのポリメチレン系
の高分子材料から成る球体60と、平均直径約0.05
μmのカーボン粒子をカソード電極材料61Bとして分
散媒61A中に分散させて成る組成物を支持体10上に
ストライプ状にスクリーン印刷し、組成物層61を形成
する。図36の(A)には、組成物層61の形成直後の
状態を示す。
【0187】[工程−I1]支持体10に保持された組
成物層61中では、間もなく球体60が沈降して支持体
10上に配置されると共に、球体60から支持体10上
に亙ってカソード電極材料61Bが沈降し、カソード電
極材料61Bから成るカソード電極111が形成され
る。これによって、支持体10上に複数の球体60を配
置し、カソード電極材料から成るカソード電極111で
球体60を被覆することができる。この状態を、図36
の(B)に示す。
【0188】[工程−I2]その後、分散媒61Aを例
えば蒸発させることによって除去する。この状態を、図
36の(C)に示す。
【0189】[工程−I3]次いで、[クレータ型電界
放出素子(その1)]の[工程−H2]〜[工程−H
5]と同様の工程、あるいは、[クレータ型電界放出素
子(その1)]の製造方法の変形例を実行することによ
って、図35の(B)に示したと同様の電界放出素子を
完成することができる。
【0190】[クレータ型電界放出素子(その3)] [クレータ型電界放出素子(その3)]の製造方法を説
明するが、支持体上にストライプ状のカソード電極を形
成する工程は、より具体的には、支持体上に複数の球体
を配置する工程と、電子を放出する複数の隆起部と、各
隆起部に囲まれ、且つ、球体の形状の一部を反映した凹
部とを有し、各隆起部が球体の周囲に形成されたカソー
ド電極を、支持体上に設ける工程と、球体を除去する工
程、から成る。支持体上への複数の球体の配置は、球体
の散布によって行う。また、球体は疎水性の表面処理層
を有する。以下、[クレータ型電界放出素子(その
3)]を、図37を参照して説明する。
【0191】[工程−J0]先ず、支持体10上に複数
の球体160を配置する。具体的には、ガラス基板から
成る支持体10上の全面に、複数の球体160を配置す
る。この球体160は、例えばジビニルベンゼン系の高
分子材料から成る芯材160Aをポリテトラフルオロエ
チレン系樹脂から成る表面処理層160Bで被覆して成
り、平均直径約5μm、粒径分布1%未満である。球体
160を、スプレーガンを用い、支持体10上におおよ
そ1000個/mm2の密度でランダムに配置する。配
置された球体160は、静電気力で支持体10上に吸着
されている。ここまでのプロセスが終了した状態を、図
37の(A)に示す。
【0192】[工程−J1]次に、電子を放出する複数
の隆起部111Aと、各隆起部111Aに囲まれ、且
つ、球体160の形状の一部を反映した凹部111Bと
を有し、各隆起部111Aが球体160の周囲に形成さ
れたカソード電極111を、支持体10上に設ける。具
体的には、[クレータ型電界放出素子(その1)]で述
べたと同様に、例えばカーボンペーストをストライプ状
にスクリーン印刷するが、[クレータ型電界放出素子
(その3)]では、球体160の表面が表面処理層16
0Bにより疎水性を帯びているために、球体160の上
にスクリーン印刷されたカーボンペーストは直ちに弾か
れて落下し、球体160の周囲に堆積して隆起部111
Aが形成される。隆起部111Aの先端部111Cは、
[クレータ型電界放出素子(その1)]の場合ほど先鋭
とはならない。球体160と支持体10との間に入り込
んだカソード電極111の部分が、凹部111Bとな
る。図37の(B)では、カソード電極111と球体1
60との間に隙間が存在するように図示されているが、
カソード電極111と球体160とは接触している場合
もある。その後、カソード電極111を例えば150゜
Cにて乾燥させる。ここまでのプロセスが終了した状態
を、図37の(B)に示す。
【0193】[工程−J2]次に、球体160に外力を
与えることによって、支持体10上から球体160を除
去する。具体的な除去方法としては、洗浄や圧搾気体の
吹付けを挙げることができる。ここまでのプロセスが終
了した状態を、図37の(C)に示す。尚、球体の除去
は、球体の状態変化及び/又は化学変化に基づいて、よ
り具体的には、例えば、燃焼によって球体を除去するこ
とも可能である。以下に説明する[クレータ型電界放出
素子(その4)]においても同様である。
【0194】[工程−J3]その後、[クレータ型電界
放出素子(その1)]の[工程−H3]〜[工程−H
5]を実行することによって、図35の(B)に示した
と略同様の電界放出素子を得ることができる。
【0195】尚、[クレータ型電界放出素子(その
3)]の製造方法の変形例として、[工程−J1]の
後、[クレータ型電界放出素子(その1)]の[工程−
H3]〜[工程−H5]を実行し、次いで、[工程−J
2]を実行してもよい。
【0196】[クレータ型電界放出素子(その4)]
[クレータ型電界放出素子(その4)]の製造方法を説
明するが、この電界放出素子の製造方法において、支持
体上にストライプ状のカソード電極を形成する工程は、
より具体的には、支持体上に複数の球体を配置する工程
と、電子を放出する複数の隆起部と、各隆起部に囲ま
れ、且つ、球体の形状の一部を反映した凹部とを有し、
各隆起部が球体の周囲に形成されたカソード電極を支持
体上に設ける工程、から成る。尚、全面に絶縁層を設け
る際、球体の上方に開口部が形成された絶縁層を、カソ
ード電極及び支持体上に設ける。球体の除去は、開口部
の形成後に行う。[クレータ型電界放出素子(その
4)]の電界放出素子の製造方法においては、支持体上
への複数の球体の配置は、球体の散布によって行う。ま
た、球体は疎水性の表面処理層を有する。以下、[クレ
ータ型電界放出素子(その4)]を、図38及び図39
を参照して説明する。
【0197】[工程−K0]先ず、支持体10上に複数
の球体160を配置する。具体的には、[クレータ型電
界放出素子(その3)]の[工程−J0]と同様の工程
を実行する。
【0198】[工程−K1]その後、電子を放出する複
数の隆起部111Aと、各隆起部111Aに囲まれ、且
つ、球体160の形状の一部を反映した凹部111Bと
を有し、各隆起部111Aが球体160の周囲に形成さ
れたカソード電極111を、支持体10上に設ける。具
体的には、[クレータ型電界放出素子(その3)]の
[工程−J1]と同様の工程を実行する。
【0199】[工程−K2]次に、球体の上方に第2開
口部14Bが形成された絶縁層112を、カソード電極
111及び支持体10上に設ける。具体的には、例え
ば、ガラスペーストを全面に約5μmの厚さにスクリー
ン印刷する。ガラスペーストを用いたスクリーン印刷
は、[クレータ型電界放出素子(その1)]と同様に行
うことができるが、球体160の表面が表面処理層16
0Bにより疎水性を帯びているために、球体160の上
にスクリーン印刷されたガラスペーストは直ちに弾かれ
て落下し、自らの表面張力により絶縁層112の球体1
60の上の部分は収縮する。その結果、球体160の頂
部は絶縁層112に覆われることなく、第2開口部14
B内に露出する。この状態を図38の(A)に示す。図
示した例では、第2開口部14Bの上端部の直径は球体
160の直径よりも大きいが、表面処理層160Bの界
面張力が、ガラスペーストの界面張力よりも小さい場合
には、第2開口部14Bの直径が小さくなる傾向にあ
る。逆に、表面処理層160Bの界面張力が、ガラスペ
ーストの界面張力よりも著しく大きい場合には、第2開
口部14Bの直径は大きくなり易い。その後、絶縁層1
12を例えば150゜Cにて乾燥させる。
【0200】[工程−K3]次に、第2開口部14Bと
連通する第1開口部14Aを有するゲート電極113を
絶縁層112上に形成する。具体的には、例えば、カー
ボンペーストをストライプ状にスクリーン印刷する。カ
ーボンペーストを用いたスクリーン印刷は、[クレータ
型電界放出素子(その1)]と同様に行えばよいが、球
体160の表面が表面処理層160Bにより疎水性を帯
びているために、球体160の上にスクリーン印刷され
たカーボンペーストは直ちに弾かれて、自らの表面張力
により収縮し、絶縁層112の表面のみに付着した状態
となる。このとき、ゲート電極113は、図示するよう
に、絶縁層112の開口端部から第2開口部14B内へ
若干回り込むように形成されることもある。その後、ゲ
ート電極113を例えば150゜Cにて乾燥させる。こ
こまでのプロセスが終了した状態を、図38の(B)に
示す。尚、表面処理層160Bの界面張力が、カーボン
ペーストの界面張力よりも小さい場合には、第1開口部
14Aの直径が小さくなる傾向にある。逆に、表面処理
層160Bの界面張力が、カーボンペーストの界面張力
よりも著しく大きい場合には、第1開口部14Aの直径
は大きくなり易い。
【0201】[工程−K4]次に、開口部14A,14
Bの底部に露出した球体160を除去する。具体的に
は、カソード電極111と絶縁層112とゲート電極1
13の焼成を兼ね、ガラスペーストの典型的な焼成温度
である約530゜Cにて加熱を行うことにより、球体1
60を燃焼させる。このとき、[クレータ型電界放出素
子(その1)]と異なり、絶縁層112及びゲート電極
113には開口部14A,14Bが最初から形成されて
いるので、カソード電極111や絶縁層112、ゲート
電極113の一部が飛散することはなく、球体160は
速やかに除去される。尚、開口部14A,14Bの上端
部の直径が球体160の直径よりも大きい場合、球体1
60を燃焼させなくとも、例えば、洗浄や圧搾気体の吹
付け等の外力によって球体160を除去することが可能
である。ここまでのプロセスが終了した状態を、図39
の(A)に示す。
【0202】[工程−K5]その後、第2開口部14B
の側壁面に相当する絶縁層112の一部を等方的にエッ
チングすると、図39の(B)に示す電界放出素子を完
成することができる。ここでは、ゲート電極113の端
部が下方を向いているが、このことは、開口部14内の
電界強度を高める上で好ましい。
【0203】[エッジ型電界放出素子]エッジ型電界放
出素子の模式的な一部断面図を図40の(A)に示す。
このエッジ型電界放出素子は、支持体10上に形成され
たストライプ状のカソード電極211と、支持体10及
びカソード電極211上に形成された絶縁層12と、絶
縁層12上に形成されたストライプ状のゲート電極13
から構成されており、開口部14がゲート電極13及び
絶縁層12に設けられている。開口部14の底部にはカ
ソード電極211のエッジ部211Aが露出している。
カソード電極211及びゲート電極13に電圧を印加す
ることによって、カソード電極211のエッジ部211
Aから電子が放出される。
【0204】尚、図40の(B)に示すように、開口部
14内のカソード電極211の下の支持体10に凹部1
0Aが形成されていてもよい。あるいは又、模式的な一
部断面図を図40の(C)に示すように、支持体10上
に形成された第1のゲート電極213Aと、支持体10
及び第1のゲート電極213A上に形成された第1の絶
縁層12Aと、第1の絶縁層12A上に形成されたカソ
ード電極211と、第1の絶縁層12A及びカソード電
極211に形成された第2の絶縁層12Bと、第2の絶
縁層12B上に形成された第2のゲート電極213Bか
ら構成することもできる。そして、開口部14が、第2
のゲート電極213B、第2の絶縁層12B、カソード
電極211及び第1の絶縁層12Aに設けられており、
開口部14の側壁にはカソード電極211のエッジ部2
11Aが露出している。カソード電極211並びに第1
のゲート電極213A、第2のゲート電極213Bに電
圧を印加することによって、カソード電極211のエッ
ジ部211Aから電子が放出される。
【0205】例えば、図40の(C)に示したエッジ型
電界放出素子の製造方法を、支持体等の模式的な一部端
面図である図41を参照して、以下、説明する。
【0206】[工程−L0]先ず、例えばガラス基板か
ら成る支持体10の上に、スパッタリング法により厚さ
約0.2μmのタングステン膜を成膜し、通常の手順に
従ってフォトリソグラフィ技術及びドライエッチング技
術によりこのタングステン膜をパターニングし、第1の
ゲート電極213Aを形成する。次に、全面に、SiO
2から成る厚さ0.3μmの第1の絶縁層12Aを形成
した後、第1の絶縁層12Aの上にタングステンから成
るストライプ状のカソード電極211を形成する(図4
1の(A)参照)。
【0207】[工程−L1]その後、全面に、例えばS
iO2から成る厚さ0.7μmの第2の絶縁層12Bを
形成し、次いで、第2の絶縁層12B上にストライプ状
の第2のゲート電極213Bを形成する(図41の
(B)参照)。第2のゲート電極213Bの構成材料や
厚さについては、第1のゲート電極213Aと同じであ
ってもよいし、異なっていてもよい。
【0208】[工程−L2]次に、全面にレジスト層7
0を形成した後、レジスト層70に第2のゲート電極2
13Bの表面を一部露出させるようにレジスト層開口7
1を形成する。レジスト層開口71の平面形状は矩形で
ある。続いて、レジスト層開口71の底面に露出した第
2のゲート電極213Bを例えばRIE法により異方的
にエッチングし、開口部を形成する。次に、開口部の底
面に露出した第2の絶縁層12Bを等方的にエッチング
し、開口部を形成する(図41の(C)参照)。第2の
絶縁層12BをSiO2を用いて形成しているので、緩
衝化フッ酸水溶液を用いたウェットエッチングを行う。
第2の絶縁層12Bに形成された開口部の壁面は、第2
のゲート電極213Bに形成された開口部の開口端面よ
りも後退するが、このときの後退量はエッチング時間の
長短により制御することができる。ここでは、第2の絶
縁層12Bに形成された開口部の下端が、第2のゲート
電極213Bに形成された開口部の開口端面よりも後退
するまで、ウェットエッチングを行う。
【0209】次に、開口部の底面に露出したカソード電
極211を、イオンを主エッチング種とする条件により
ドライエッチングする。イオンを主エッチング種とする
ドライエッチングでは、被エッチング物へのバイアス電
圧の印加やプラズマと磁界との相互作用を利用して荷電
粒子であるイオンを加速することができるため、一般に
は異方性エッチングが進行し、被エッチング物の加工面
は垂直壁となる。しかし、この工程では、プラズマ中の
主エッチング種の中にも垂直以外の角度を有する入射成
分が若干存在すること、及び開口部の端部における散乱
によってもこの斜め入射成分が生ずることにより、カソ
ード電極211の露出面の中で、本来であれば開口部に
よって遮蔽されてイオンが到達しないはずの領域にも、
ある程度の確率で主エッチング種が入射する。このと
き、支持体10の法線に対する入射角の小さい主エッチ
ング種ほど入射確率は高く、入射角の大きい主エッチン
グ種ほど入射確率は低い。
【0210】従って、カソード電極211に形成された
開口部の上端部の位置は、第2の絶縁層12Bに形成さ
れた開口部の下端部とほぼ揃っているものの、カソード
電極211に形成された開口部の下端部の位置はその上
端部よりも突出した状態となる。つまり、カソード電極
211のエッジ部211Aの厚さが、突出方向の先端部
に向けて薄くなり、エッジ部211Aが先鋭化される。
例えば、エッチングガスとしてSF6を用いることによ
り、カソード電極211の良好な加工を行うことができ
る。
【0211】次に、カソード電極211に形成された開
口部の底面に露出した第1の絶縁層12Aを等方的にエ
ッチングし、第1の絶縁層12Aに開口部を形成し、開
口部14を完成させる。ここでは、緩衝化フッ酸水溶液
を用いたウェットエッチングを行う。第1の絶縁層12
Aに形成された開口部の壁面は、カソード電極211に
形成された開口部の下端部よりも後退する。このときの
後退量はエッチング時間の長短により制御可能である。
開口部14の完成後にレジスト層70を除去すると、図
40の(C)に示した構成を得ることができる。
【0212】[スピント型電界放出素子:製造方法の変
形−1]先に、[スピント型電界放出素子]にて説明し
たスピント型電界放出素子の製造方法の変形例を、以
下、支持体等の模式的な一部端面図である図42〜図4
4を参照して説明するが、このスピント型電界放出素子
(図45参照)は、基本的には、以下の工程に基づき作
製される。即ち、 (a)支持体10上にカソード電極11を形成する工程 (b)カソード電極11上を含む支持体10上に絶縁層
12を形成する工程 (c)絶縁層12上にゲート電極13を形成する工程 (d)底部にカソード電極11が露出した第2開口部1
4Bを、少なくとも絶縁層12に形成する工程 (e)開口部14A,14B内を含む全面に電子放出部
形成用の導電材料層81を形成する工程 (f)第2開口部14Bの中央部に位置する導電材料層
81の領域を遮蔽するように、マスク材料層82を導電
材料層81上に形成する工程 (g)導電材料層81の支持体10に対して垂直な方向
におけるエッチング速度がマスク材料層82の支持体1
0に対して垂直な方向におけるエッチング速度よりも速
くなる異方性エッチング条件下で導電材料層81とマス
ク材料層82とをエッチングすることにより、導電材料
層81から成り、先端部が錐状形状を有する電子放出部
15Eを第2開口部14B内に露出したカソード電極1
1上に形成する工程
【0213】[工程−M0]先ず、例えばガラス基板上
に厚さ約0.6μmのSiO2層を形成して成る支持体
10上に、クロム(Cr)から成るカソード電極11を
設ける。具体的には、支持体10上に、例えばスパッタ
リング法やCVD法にてクロムから成るカソード電極用
導電材料層を堆積させ、かかるカソード電極用導電材料
層をパターニングすることによって、複数のカソード電
極11を形成することができる。カソード電極11の幅
を例えば50μm、カソード電極11の間のスペースを
例えば30μmとする。その後、全面に、具体的には、
カソード電極11及び支持体10上に、原料ガスとして
TEOS(テトラエトキシシラン)を使用するプラズマ
CVD法にてSiO2から成る絶縁層12を形成する。
絶縁層12の厚さを約1μmとする。次に、絶縁層12
上の全面に、カソード電極11と直交する方向に平行に
延びるストライプ状のゲート電極13を形成する。
【0214】次に、ストライプ状のカソード電極11と
ストライプ状のゲート電極13とが重複する領域、即
ち、1画素領域において、ゲート電極13と絶縁層12
とを貫通する第1開口部14A、第2開口部14Bを形
成する。開口部14A,14Bの平面形状は、例えば、
直径0.3μmの円形である。開口部14A,14B
は、通常、1画素領域(1電子放出領域)に数百乃至千
個程度形成される。開口部14A,14Bを形成するに
は、通常のフォトリソグラフィ技術により形成されたレ
ジスト層をマスクとして、先ず、ゲート電極13に第1
開口部14Aを形成し、続いて、絶縁層12に第2開口
部14Bを形成する。RIE終了後、レジスト層をアッ
シング処理により除去する(図42の(A)参照)。
尚、以下の説明においては、第1開口部14A及び第2
開口部14Bを纏めて開口部14と表現する場合があ
る。
【0215】[工程−M1]次に、全面に密着層80を
スパッタリング法にて形成する(図42の(B)参
照)。この密着層80は、ゲート電極が形成されていな
い領域や開口部14の側壁面に露出している絶縁層12
と、次の工程で全面的に成膜される導電材料層81との
間の密着性を高めるために設けられる層である。導電材
料層81をタングステンで形成することを前提とし、タ
ングステンから成る密着層80を、DCスパッタリング
法により0.07μmの厚さに形成する。
【0216】[工程−M2]次に、開口部14内を含む
全面に、厚さ約0.6μmのタングステンから成る電子
放出部形成用の導電材料層81を水素還元減圧CVD法
により形成する(図43の(A)参照)。成膜された導
電材料層81の表面には、開口部14の上端面と底面と
の間の段差を反映した凹部81Aが形成される。
【0217】[工程−M3]次に、開口部14の中央部
に位置する導電材料層81の領域(具体的には凹部81
A)を遮蔽するようにマスク材料層82を形成する。具
体的には、先ず、スピンコーティング法により厚さ0.
35μmのレジスト層をマスク材料層82として導電材
料層81の上に形成する(図43の(B)参照)。マス
ク材料層82は、導電材料層81の凹部81Aを吸収
し、ほぼ平坦な表面となる。次に、マスク材料層82を
酸素系ガスを用いたRIE法によりエッチングする。こ
のエッチングを、導電材料層81の平坦面が露出した時
点で終了する。これにより、導電材料層81の凹部81
Aを平坦に埋め込むようにマスク材料層82が残る(図
44の(A)参照)。
【0218】[工程−M4]次に、導電材料層81とマ
スク材料層82と密着層80とをエッチングし、円錐形
状の電子放出部15Eを形成する(図44の(B)参
照)。これらの層のエッチングは、導電材料層81のエ
ッチング速度がマスク材料層82のエッチング速度より
も速くなる異方性エッチング条件下で行う。エッチング
条件を以下の表5に例示する。
【0219】[表5] [導電材料層81等のエッチング条件] SF6流量 :150SCCM O2流量 :30SCCM Ar流量 :90SCCM 圧力 :35Pa RFパワー:0.7kW(13.56MHz)
【0220】[工程−M5]その後、等方的なエッチン
グ条件にて開口部14の内部において絶縁層12に設け
られた開口部14の側壁面を後退させると、図45に示
す電界放出素子が完成される。等方的なエッチングは、
ケミカルドライエッチングのようにラジカルを主エッチ
ング種として利用するドライエッチング、あるいは、エ
ッチング液を利用するウェットエッチングにより行うこ
とができる。エッチング液として、例えば49%フッ酸
水溶液と純水の1:100(容積比)混合液を用いるこ
とができる。
【0221】ここで、[工程−M4]において、電子放
出部15Eが形成される機構について、図46を参照し
て説明する。図46の(A)は、エッチングの進行に伴
って、被エッチング物の表面プロファイルが一定時間毎
にどのように変化するかを示す模式図であり、図46の
(B)は、エッチング時間と開口部14の中心における
被エッチング物の厚さとの関係を示すグラフである。開
口部14の中心におけるマスク材料層の厚さをhp、開
口部14の中心における電子放出部15Eの高さをhe
とする。
【0222】表5に示したエッチング条件では、レジス
ト材料から成るマスク材料層82のエッチング速度より
も、導電材料層81のエッチング速度の方が当然速い。
マスク材料層82が存在しない領域では、導電材料層8
1が直ぐにエッチングされ始め、被エッチング物の表面
が速やかに下降してゆく。これに対して、マスク材料層
82が存在する領域では、最初にマスク材料層82が除
去されないとその下の導電材料層81のエッチングが始
まらないので、マスク材料層82がエッチングされてい
る間は被エッチング物の厚さの減少速度は遅く(hp
少区間)、マスク材料層82が消失した時点で初めて、
被エッチング物の厚さの減少速度がマスク材料層82の
存在しない領域と同様に速くなる(he減少区間)。he
減少区間の開始時期は、マスク材料層82が厚さが最大
となる開口部14の中心で最も遅く、マスク材料層82
の薄い開口部14の周辺に向かって早くなる。このよう
にして、円錐形状の電子放出部15Eが形成される。
【0223】レジスト材料から成るマスク材料層82の
エッチング速度に対する導電材料層81のエッチング速
度の比を、「対レジスト選択比」と称することにする。
この対レジスト選択比が、電子放出部15Eの高さと形
状を決定する重要な因子であることを、図47を参照し
て説明する。図47の(A)は、対レジスト選択比が相
対的に小さい場合、図47の(C)は、対レジスト選択
比が相対的に大きい場合、図47の(B)はこれらの中
間である場合の、電子放出部15Eの形状を示してい
る。対レジスト選択比が大きいほど、マスク材料層82
の膜減りに比べて導電材料層81の膜減りが激しくなる
ので、電子放出部15Eはより高く、且つ鋭くなること
が判る。対レジスト選択比は、SF6流量に対するO2
量の割合を高めると低下する。また、基板バイアスを併
用してイオンの入射エネルギーを変化させることが可能
なエッチング装置を用いる場合には、RFバイアスパワ
ーを高めたり、バイアス印加用の交流電源の周波数を下
げることで、対レジスト選択比を下げることができる。
対レジスト選択比の値は1.5以上、好ましくは2以
上、より好ましくは3以上に選択される。
【0224】尚、上記のエッチングにおいては当然、ゲ
ート電極13やカソード電極11に対して高い選択比を
確保する必要があるが、表5に示した条件で全く問題は
ない。なぜなら、ゲート電極13やカソード電極11を
構成する材料は、フッ素系のエッチング種では殆どエッ
チングされず、上記の条件であれば、概ね10以上のエ
ッチング選択比が得られるからである。
【0225】[スピント型電界放出素子:製造方法の変
形−2]スピント型電界放出素子の製造方法の変形−2
は、スピント型電界放出素子の製造方法の変形−1の変
形である。製造方法の変形−2においては、マスク材料
層により遮蔽される導電材料層の領域を、製造方法の変
形−1におけるよりも狭くすることが可能である。即
ち、製造方法の変形−2においては、開口部の上端面と
底面との間の段差を反映して、柱状部とこの柱状部の上
端に連通する拡大部とから成る略漏斗状の凹部を導電材
料層の表面に生成させ、工程(f)において、導電材料
層の全面にマスク材料層を形成した後、マスク材料層と
導電材料層とを支持体の表面に対して平行な面内で除去
することにより、柱状部にマスク材料層を残す。
【0226】以下、スピント型電界放出素子の製造方法
の変形−2を、支持体等の模式的な一部端面図である図
48〜図50を参照して説明する。
【0227】[工程−N0]先ず、支持体10上にカソ
ード電極11を形成する。カソード電極11を含むカソ
ード電極用導電材料層は、例えばDCスパッタリング法
により、TiN層(厚さ0.1μm)、Ti層(厚さ5
nm)、Al−Cu層(厚さ0.4μm)、Ti層(厚
さ5nm)、TiN層(厚さ0.02μm)及びTi層
(0.02μm)をこの順に積層して積層膜を形成し、
続いてこの積層膜をストライプ状にパターニングして形
成する。尚、図ではカソード電極11を単層で表した。
次に、全面に、具体的には、支持体10とカソード電極
11の上に、厚さ0.7μmの絶縁層12を、TEOS
(テトラエトキシシラン)を原料ガスとするプラズマC
VD法に基づき形成する。次いで、絶縁層12の上にス
トライプ状のゲート電極13を形成する。
【0228】更に、全面に例えば SiO2から成る厚さ
0.2μmのエッチング停止層83を形成する。エッチ
ング停止層83は、電界放出素子の機能上不可欠な部材
ではなく、後工程で行われる導電材料層81のエッチン
グ時に、ゲート電極13を保護する役割を果たす。尚、
導電材料層81のエッチング条件に対してゲート電極1
3が十分に高いエッチング耐性を持ち得る場合には、エ
ッチング停止層83を省略しても構わない。その後、R
IE法により、エッチング停止層83、ゲート電極1
3、絶縁層12を貫通し、底部にカソード電極11が露
出した開口部14を形成する。このようにして、図48
の(A)に示す状態が得られる。
【0229】[工程−N1]次に、開口部14内を含む
全面に、例えば厚さ0.03μmのタングステンから成
る密着層80を形成する(図48の(B)参照)。次い
で、開口部14内を含む全面に電子放出部形成用の導電
材料層81を形成する。但し、製造方法の変形−2にお
ける導電材料層81は、製造方法の変形−1で述べた凹
部81Aよりも深い凹部81Aが表面に生成されるよう
に、導電材料層81の厚さを選択する。即ち、導電材料
層81の厚さを適切に設定することによって、開口部1
4の上端面と底面との間の段差を反映して、柱状部81
Bとこの柱状部81Bの上端に連通する拡大部81Cと
から成る略漏斗状の凹部81Aを導電材料層81の表面
に生成させることができる。
【0230】[工程−N2]次に、導電材料層81の全
面に、例えば無電解メッキ法により、厚さ約0.5μm
の銅(Cu)から成るマスク材料層82を形成する(図
49の(A)参照)。無電解メッキ条件を以下の表6に
例示する。
【0231】 [表6] メッキ液 :硫酸銅(CuSO4・5H2O) 7g/リットル ホルマリン(37%HCHO) 20ml/リットル 水酸化ナトリウム(NaOH) 10g/リットル 酒石酸ナトリウムカリウム 20g/リットル メッキ浴温度:50゜C
【0232】[工程−N3]その後、マスク材料層82
と導電材料層81とを支持体10の表面に対して平行な
面内で除去することにより、柱状部81Bにマスク材料
層82を残す(図49の(B)参照)。この除去は、例
えば化学的機械的研磨法(CMP法)により行うことが
できる。
【0233】[工程−N4]次に、導電材料層81と密
着層80のエッチング速度がマスク材料層82のエッチ
ング速度よりも速くなる異方性エッチング条件下で、導
電材料層81とマスク材料層82と密着層80とをエッ
チングする。その結果、開口部14内に錐状形状を有す
る電子放出部15Eが形成される(図50の(A)参
照)。尚、電子放出部15Eの先端部にマスク材料層8
2が残存する場合には、希フッ酸水溶液を用いたウェッ
トエッチングによりマスク材料層82を除去することが
できる。
【0234】[工程−N5]次に、等方的なエッチング
条件で開口部14の内部において絶縁層12に設けられ
た開口部14の側壁面を後退させると、図50の(B)
に示す電界放出素子が完成される。このとき、エッチン
グ停止層83も除去される。等方的なエッチングについ
ては、製造方法の変形−1で説明したと同様とすればよ
い。
【0235】ところで、製造方法の変形−2で形成され
た電子放出部15Eにおいては、製造方法の変形−1で
形成された電子放出部15Eに比べ、より鋭い錐状形状
が達成されている。これは、マスク材料層82の形状
と、マスク材料層82のエッチング速度に対する導電材
料層81のエッチング速度の比の違いに起因する。この
違いについて、図51を参照しながら説明する。図51
は、被エッチング物の表面プロファイルが一定時間毎に
どのように変化するかを示す図であり、図51の(A)
は銅から成るマスク材料層82を用いた場合、図51の
(B)はレジスト材料から成るマスク材料層82を用い
た場合をそれぞれ示す。尚、簡略化のために導電材料層
81のエッチング速度と密着層80のエッチング速度と
をそれぞれ等しいものと仮定し、図51においては密着
層80の図示を省略する。
【0236】銅から成るマスク材料層82を用いた場合
(図51の(A)参照)は、マスク材料層82のエッチ
ング速度が導電材料層81のエッチング速度に比べて十
分に遅いために、エッチング中にマスク材料層82が消
失することがなく、従って、先端部の鋭い電子放出部1
5Eを形成することができる。これに対して、レジスト
材料から成るマスク材料層82を用いた場合(図51の
(B)参照)は、マスク材料層82のエッチング速度が
導電材料層81のエッチング速度に比べてそれ程遅くな
いために、エッチング中にマスク材料層82が消失し易
く、従って、マスク材料層消失後の電子放出部15Eの
錐状形状が鈍化する傾向がある。
【0237】また、柱状部81Bに残るマスク材料層8
2には、柱状部81Bの深さが多少変化しても、電子放
出部15Eの形状は変化し難いというメリットもある。
即ち、柱状部81Bの深さは、導電材料層81の厚さや
ステップカバレージのばらつきによって変化し得るが、
柱状部81Bの幅は深さによらずほぼ一定なので、マス
ク材料層82の幅もほぼ一定となり、最終的に形成され
る電子放出部15Eの形状には大差が生じない。これに
対して、凹部81Aに残るマスク材料層82において
は、凹部81Aが浅い場合と深い場合とでマスク材料層
の幅も変化してしまうため、凹部81Aが浅くマスク材
料層82の厚さが薄い場合ほど、より早期に電子放出部
15Eの錐状形状の鈍化が始まる。電界放出素子の電子
放出効率は、ゲート電極とカソード電極との間の電位
差、ゲート電極とカソード電極との間の距離、電子放出
部の構成材料の仕事関数の他、電子放出部の先端部の形
状によっても変化する。このため、必要に応じて上述の
ようにマスク材料層の形状やエッチング速度を選択する
ことが好ましい。
【0238】[スピント型電界放出素子:製造方法の変
形−3]製造方法の変形−3は、製造方法の変形−2の
変形である。製造方法の変形−3においては、工程
(e)において、開口部の上端面と底面との間の段差を
反映して、柱状部とこの柱状部の上端に連通する拡大部
とから成る略漏斗状の凹部を導電材料層の表面に生成さ
せ、工程(f)において、導電材料層の全面にマスク材
料層を形成した後、導電材料層上と拡大部内のマスク材
料層を除去することにより、柱状部にマスク材料層を残
す。以下、スピント型電界放出素子の製造方法の変形−
3を、支持体等の模式的な一部端面図である図52及び
図53を参照して説明する。
【0239】[工程−P0]先ず、図49の(A)に示
したマスク材料層82の形成までを製造方法の変形−2
の[工程−N0]〜[工程−N2]と同様に行った後、
導電材料層81上と拡大部81C内のマスク材料層82
のみを除去することにより、柱状部81Bにマスク材料
層82を残す(図52の(A)参照)。このとき、例え
ば希フッ酸水溶液を用いたウェットエッチングを行うこ
とにより、タングステンから成る導電材料層81を除去
することなく、銅から成るマスク材料層82のみを選択
的に除去することができる。柱状部81B内に残るマス
ク材料層82の高さは、エッチング時間に依存するが、
このエッチング時間は、拡大部81Cに埋め込まれたマ
スク材料層82の部分が十分に除去される限りにおい
て、それ程の厳密さを要しない。なぜなら、マスク材料
層82の高低に関する議論は、図51の(A)を参照し
ながら前述した柱状部81Bの浅深に関する議論と実質
的に同じであり、マスク材料層82の高低は最終的に形
成される電子放出部15Eの形状に大きな影響を及ぼさ
ないからである。
【0240】[工程−P1]次に、導電材料層81とマ
スク材料層82と密着層80のエッチングを、製造方法
の変形−2と同様に行い、図52の(B)に示すような
電子放出部15Eを形成する。この電子放出部15E
は、図50の(A)に示したように全体が錐状形状を有
していても勿論構わないが、図52の(B)には先端部
のみが錐状形状を有する変形例を示した。かかる形状
は、柱状部81Bに埋め込まれたマスク材料層82の高
さが低いか、若しくは、マスク材料層82のエッチング
速度が比較的速い場合に生じ得るが、電子放出部15E
としての機能に何ら支障はない。
【0241】[工程−P2]その後、等方的なエッチン
グ条件で開口部14の内部において絶縁層12に設けら
れた開口部14の側壁面を後退させると、図53に示す
電界放出素子が完成される。等方的なエッチングについ
ては、製造方法の変形−1で説明したと同様とすればよ
い。
【0242】[スピント型電界放出素子:製造方法の変
形−4]製造方法の変形−4は、製造方法の変形−1の
変形である。製造方法の変形−4にて製造されたスピン
ト型電界放出素子の模式的な一部端面図を図54に示
す。製造方法の変形−4が製造方法の変形−1と異なる
点は、電子放出部が、基部84と、基部84上に積層さ
れた錐状の電子放出部15Eとから構成されている点に
ある。ここで、基部84と電子放出部15Eとは異なる
導電材料から構成されている。具体的には、基部84
は、電子放出部15Eとゲート電極13の開口端部との
間の距離を調節するための部材であり、且つ、抵抗体層
としての機能を有し、不純物を含有するポリシリコン層
から構成されている。電子放出部15Eはタングステン
から構成されており、錐状形状、より具体的には円錐形
状を有する。尚、基部84と電子放出部15Eとの間に
は、TiNから成る密着層80が形成されている。尚、
密着層80は、電子放出部の機能上不可欠な構成要素で
はなく、製造上の理由で形成されている。絶縁層12が
ゲート電極13の直下から基部84の上端部にかけてえ
ぐられることにより、開口部14が形成されている。
【0243】以下、製造方法の変形−4を、支持体等の
模式的な一部端面図である図55〜図57を参照して説
明する。
【0244】[工程−Q0]先ず、開口部14の形成ま
でを、製造方法の変形−1の[工程−M0]と同様に行
う。続いて、開口部14内を含む全面に基部形成用の導
電材料層84Aを形成する。導電材料層84Aは、抵抗
体層としても機能し、ポリシリコン層から構成され、プ
ラズマCVD法により形成することができる。次いで、
全面に、スピンコーティング法にてレジスト層から成る
平坦化層85を表面が略平坦となるように形成する(図
55の(A)参照)。次に、平坦化層85と導電材料層
84Aのエッチング速度が共に略等しくなる条件で両層
をエッチングし、開口部14の底部を上面が平坦な基部
84で埋め込む(図55の(B)参照)。エッチング
は、塩素系ガスと酸素系ガスとを含むエッチングガスを
用いたRIE法により行うことができる。導電材料層8
4Aの表面を平坦化層85で一旦平坦化してからエッチ
ングを行っているので、基部84の上面が平坦となる。
【0245】[工程−Q1]次に、開口部14の残部を
含む全面に密着層80を成膜し、更に、開口部14の残
部を含む全面に電子放出部形成用の導電材料層81を成
膜し、開口部14の残部を導電材料層81で埋め込む
(図56の(A)参照)。密着層80は、スパッタリン
グ法により形成される厚さ0.07μmのTiN層であ
り、導電材料層81は減圧CVD法により形成される厚
さ0.6μmのタングステン層である。導電材料層81
の表面には、開口部14の上端面と底面との間の段差を
反映して凹部81Aが形成されている。
【0246】[工程−Q2]次に、導電材料層81の全
面に、スピンコーティング法によりレジスト層から成る
マスク材料層82を表面が略平坦となるように形成する
(図56の(B)参照)。マスク材料層82は、導電材
料層81の表面の凹部81Aを吸収して平坦な表面とな
っている。次に、マスク材料層82を酸素系ガスを用い
たRIE法によりエッチングする(図57の(A)参
照)。このエッチングは、導電材料層81の平坦面が露
出した時点で終了する。これにより、導電材料層81の
凹部81Aにマスク材料層82が平坦に残され、マスク
材料層82は、開口部14の中央部に位置する導電材料
層81の領域を遮蔽するように形成されている。
【0247】[工程−Q3]次に、製造方法の変形−1
の[工程−M4]と同様にして、導電材料層81、マス
ク材料層82及び密着層80を共にエッチングすると、
前述の機構に基づき対レジスト選択比の大きさに応じた
円錐形状を有する電子放出部15Eと密着層80とが形
成され、電子放出部が完成される(図57の(B)参
照)。その後、開口部14の内部において絶縁層12に
設けられた開口部14の側壁面を後退させると、図54
に示した電界放出素子を得ることができる。
【0248】[スピント型電界放出素子:製造方法の変
形−5]製造方法の変形−5は、製造方法の変形−2の
変形である。製造方法の変形−5にて製造されるスピン
ト型電界放出素子の模式的な一部端面図を図59の
(B)に示す。製造方法の変形−5が製造方法の変形−
2と異なる点は、電子放出部が、製造方法の変形−4と
同様に、基部84と、基部84上に積層された錐状の電
子放出部15Eとから構成されている点にある。ここ
で、基部84と電子放出部15Eとは異なる導電材料か
ら構成されている。具体的には、基部84は、電子放出
部15Eとゲート電極13の開口端部との間の距離を調
節するための部材であり、且つ、抵抗体層としての機能
を有し、不純物を含有するポリシリコン層から構成され
ている。電子放出部15Eはタングステンから構成され
ており、錐状形状、より具体的には円錐形状を有する。
尚、基部84と電子放出部15Eとの間には、TiNか
ら成る密着層80が形成されている。尚、密着層80
は、電子放出部の機能上不可欠な構成要素ではなく、製
造上の理由で形成されている。絶縁層12がゲート電極
13の直下から基部84の上端部にかけてえぐられるこ
とにより、開口部14が形成されている。
【0249】以下、製造方法の変形−5を、支持体等の
模式的な一部端面図である図58及び図59を参照して
説明する。
【0250】[工程−R0]先ず、開口部14の形成ま
でを、製造方法の変形−1の[工程−M0]と同様に行
う。次に、開口部14内を含む全面に基部形成用の導電
材料層を形成し、導電材料層をエッチングすることによ
って、開口部14の底部を埋め込む基部84を形成する
ことができる。尚、図示される基部84は平坦化された
表面を有しているが、表面が窪んでいてもよい。尚、平
坦化された表面を有する基部84は、製造方法の変形−
4の[工程−Q0]と同様のプロセスによって形成可能
である。更に、開口部14の残部を含む全面に、密着層
80、及び電子放出部形成用の導電材料層81を順次形
成する。このとき、開口部14の残部の上端面と底面と
の間の段差を反映した柱状部81Bとこの柱状部81B
の上端に連通する拡大部81Cとから成る略漏斗状の凹
部81Aが導電材料層81の表面に生成されるように、
導電材料層81の厚さを選択する。次に、導電材料層8
1上にマスク材料層82を形成する。このマスク材料層
82は、例えば銅を用いて形成する。図58の(A)
は、ここまでのプロセスが終了した状態を示している。
【0251】[工程−R1]次に、マスク材料層82と
導電材料層81とを支持体10の表面に対して平行な面
内で除去することにより、柱状部81Bにマスク材料層
82を残す(図58の(B)参照)。この除去は、製造
方法の変形−2の[工程−N3]と同様に、化学的機械
的研磨法(CMP法)により行うことができる。
【0252】[工程−R2]次に、導電材料層81とマ
スク材料層82と密着層80とをエッチングすると、前
述の機構に基づき対レジスト選択比の大きさに応じた円
錐形状を有する電子放出部15Eが形成される。これら
の層のエッチングは、製造方法の変形−2の[工程−N
4]と同様に行うことができる。電子放出部15Eと基
部84、及び、電子放出部15Eと基部84の間に残存
する密着層80とによって、電子放出部が形成される。
電子放出部は、全体が錐状形状を有していても勿論構わ
ないが、図59の(A)には基部84の一部が開口部1
4の底部を埋め込むように残存した状態を示した。かか
る形状は、柱状部81Bに埋め込まれたマスク材料層8
2の高さが低いか、若しくは、マスク材料層82のエッ
チング速度が比較的速い場合に生じ得るが、電子放出部
としての機能に何ら支障はない。
【0253】[工程−R3]その後、等方的なエッチン
グ条件で開口部14の内部において絶縁層12の側壁面
を後退させると、図59の(B)に示した電界放出素子
が完成される。等方的なエッチング条件は、製造方法の
変形−1で説明したと同様とすればよい。
【0254】[スピント型電界放出素子:製造方法の変
形−6]製造方法の変形−6は、製造方法の変形−3の
変形である。製造方法の変形−6が製造方法の変形−3
と異なる点は、電子放出部が、製造方法の変形−4と同
様に、基部84と、基部84上に積層された錐状の電子
放出部15Eとから構成されている点にある。以下、製
造方法の変形−6を、支持体等の模式的な一部端面図で
ある図60を参照して説明する。
【0255】[工程−S0]マスク材料層82の形成ま
でを製造方法の変形−5の[工程−R0]と同様に行
う。その後、導電材料層81上と拡大部81C内のマス
ク材料層82のみを除去することにより、柱状部81B
にマスク材料層82を残す(図60参照)。例えば希フ
ッ酸水溶液を用いたウェットエッチングを行い、タング
ステンから成る導電材料層81を除去することなく、銅
から成るマスク材料層82のみを選択的に除去すること
ができる。この後の導電材料層81とマスク材料層82
のエッチング、絶縁層12の等方的なエッチング等のプ
ロセスは、全て、製造方法の変形−5と同様に行うこと
ができる。
【0256】以上、本発明を、発明の実施の形態に基づ
き説明したが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。発明の実施の形態にて説明したアノードパネルやカ
ソードパネル、表示装置や電界放出素子の構成、構造は
例示であり、適宜変更することができるし、アノードパ
ネルやカソードパネル、表示装置や電界放出素子の製造
方法も例示であり、適宜変更することができる。更に
は、アノードパネルやカソードパネルの製造において使
用した各種材料も例示であり、適宜変更することができ
る。
【0257】ゲート電極の上方に収束電極が形成された
構造とすることもできる。収束電極には、収束電極制御
回路から相対的な負電圧が印加される。収束電極は、必
ずしも電界放出素子ごとに設けられている必要はなく、
例えば、電界放出素子の所定の配列方向に沿って延在さ
せることにより、複数の電界放出素子に共通の収束効果
を及ぼすこともできる。収束電極を備えた電界放出素子
の製造方法においては、例えば、実施の形態1の[工程
−A0]〜[工程−A2]を実行した後、絶縁層12及
びゲート電極13上に第2の絶縁層を形成し、次いで、
第2の絶縁層上に収束電極を形成した後、更に、収束電
極、第2の絶縁層、ゲート電極13、絶縁層12に開口
部14を形成する。その後、実施の形態1の[工程−A
4]〜[工程−A5]を実行すればよい。
【0258】尚、収束電極は、このような方法にて形成
するだけでなく、例えば、厚さ数十μmの42%Ni−
Feアロイから成る金属板の両面に、例えばSiO2
ら成る絶縁膜を形成した後、各画素に対応した領域にパ
ンチングやエッチングすることによって開口部を形成す
ることで収束電極を作製することもできる。そして、カ
ソードパネル、金属板、アノードパネルを積み重ね、両
パネルの外周部に枠体を配置し、加熱処理を施すことに
よって、金属板の一方の面に形成された絶縁膜と絶縁層
12とを接着させ、金属板の他方の面に形成された絶縁
膜とアノードパネルとを接着し、これらの部材を一体化
させ、その後、真空封入することで、表示装置を完成さ
せることもできる。
【0259】ゲート電極を1枚のシート状導電材料から
構成し、1画素(1サブピクセル)単位で、カソード電
極に印加する電圧の制御を行う構成とすることもでき
る。この場合、カソード電極の平面形状を略矩形とし、
各カソード電極を配線及び例えばトランジスタから成る
スイッチング素子を介してカソード電極制御回路に接続
すればよい。あるいは又、カソード電極を1枚のシート
状導電材料から構成し、1画素(1サブピクセル)単位
で、ゲート電極に印加する電圧の制御を行う構成とする
こともできる。この場合、ゲート電極の平面形状を略矩
形とし、各ゲート電極を配線及び例えばトランジスタか
ら成るスイッチング素子を介してゲート電極制御回路に
接続すればよい。
【0260】本発明の第1の態様に係るカソードパネル
あるいは表示装置にあっては、電子放出領域が格子状ゲ
ート電極部13Aから構成されている。電界放出素子の
製造工程において、各種の導電性の異物(パーティク
ル)の存在に起因して電界放出素子に欠陥が発生するこ
とがある。格子状ゲート電極部13Aと電子放出部15
〜15Eとの間に導電性の異物等が存在すると、あるい
は又、格子状ゲート電極部13Aとカソード電極11と
の間に導電性の異物等が存在すると、格子状ゲート電極
部13Aとカソード電極11とが短絡する結果、電界放
出素子から電子が放出されなくなり、表示装置において
は暗点が出現する。カソードパネルCPにおいては、通
常、複数の電子放出領域が1次元的(ストライプ状)に
配列された電子放出領域列が複数並置されているので、
電界放出素子に短絡が発生すると、かかる電界放出素子
を含むストライプ状の電子放出領域列の一列全体の完全
なる表示が出来なくなる場合もある。
【0261】このような場合には、動作不良が検出され
た電子放出部から延びる格子状ゲート電極部13Aの部
分を他の格子状ゲート電極部13Aの部分から切り離せ
ばよい。即ち、格子状ゲート電極部13Aの交点と交点
を結ぶ部分を、外部からの物理的あるいは化学的な作用
に基づき、具体的には、例えばレーザ光を用いて除去
(溶断)することによって、動作不良が検出された電子
放出部を他の電子放出部から電気的に分離することがで
きる。尚、「動作不良の電子放出部」とは、表示装置に
おいて暗点あるいは輝点を出現させるような電子放出部
を意味する。暗点は、ゲート電極と電子放出部との間に
導電性の異物等が存在する結果、あるいは又、ゲート電
極とカソード電極との間に導電性の異物等が存在する結
果、ゲート電極とカソード電極とが短絡するために電界
放出素子から電子が放出されなくなることによって発生
する。異物等は、外部からのものもあるし、カソードパ
ネルの製造時に使用される導電性材料が残存することに
よって生じる場合もある。輝点は、閾値電位ΔVthが異
常に低い値を示す電子放出部の存在によって生じる。
【0262】電子放出部の動作試験を行うことによっ
て、電子放出部の動作不良を検出することができる。電
子放出部の動作試験とし、電子放出部の抵抗値や異常発
熱を測定して短絡の有無を検査する短絡試験や、カソー
ドパネルから実際に電子を放出させる表示特性試験を例
示することができる。即ち、カソード電極とゲート電極
との間に電圧を印加し、カソード電極とゲート電極との
間に電流が流れた場合、カソード電極とゲート電極との
重複部分である電子放出領域に短絡が発生している。そ
して、係る電子放出領域を光学的に検査することで、異
物等を検出すればよい。
【0263】あるいは又、カソードパネルをアノードパ
ネル相当品を備えた検査装置内に搬入し、検査装置内を
高真空として、カソード電極、ゲート電極、アノード電
極に電圧を印加し、電子放出領域から電子を放出させ、
アノードパネル相当品における蛍光体層の発光状態を観
察し、暗点や輝点の評価を行えばよい。
【0264】動作試験の実行に適した検査装置300の
概要を図61に示す。この検査装置300は、上部が開
口したハウジング301を具備する。ハウジング301
内には、検査台302が配設されており、検査台302
の下には検査台昇降シリンダー303が取り付けられて
いる。検査台昇降シリンダー303は、図示しない移動
台座に乗せられており、検査台302ごと図61の紙面
垂直方向に移動可能である。検査台302の下には、更
に、ピン昇降シリンダー304が取り付けられており、
ピン昇降シリンダー304の作動によって検査台302
を貫通した孔内をピン305が上下する。ハウジング3
01は、バルブ307を介して真空ポンプ(図示せず)
に繋がれており、ハウジング301の雰囲気を高真空に
することができる。また、ガス流量制御装置308を介
してハウジング301内にアルゴンガス等の不活性ガス
を導入することができる構造となっている。ハウジング
301内には、更に、カソード電極11、ゲート電極1
3の端部に接触し得る構造の検査電圧印加針309が、
例えばカソード電極11及びゲート電極13の数だけ配
置されている。
【0265】ハウジング301の開口した上部には、基
板20上に形成された蛍光体層21及びアノード電極2
3を有する、アノードパネルと略同様の構成を有するパ
ネル320が配置されている。パネル320の上方には
CCDを有する受像装置310が配設されている。受像
装置310は画像検査ユニット311に接続されてい
る。また、電圧源・走査電圧コントローラ312が、画
像検査ユニット311、検査電圧印加針309及びアノ
ード電極23に接続されている。
【0266】カソードパネルCPの動作試験に際して
は、上昇位置にあるピン305上にカソードパネルCP
を乗せ、ピン昇降シリンダー304を動作させることに
よってピン305を下降させて、カソードパネルCPを
検査台302に載置する。そして、ハウジング301に
設けられた扉(図示せず)を介して、検査台302に載
置されたカソードパネルCPをハウジング301内に搬
入した後、ハウジング301内を真空ポンプによって高
真空雰囲気とする。尚、ガス流量制御装置308を介し
てハウジング301内にアルゴンガス等の不活性ガスを
導入し、ハウジング301内の圧力を所定の値(例え
ば、1.2×103Pa)に制御する。
【0267】ハウジング301内が所望の雰囲気となっ
たならば、検査台昇降シリンダー303を作動させて、
検査台302を上昇させ、カソードパネルCPとパネル
320との間の距離を、例えば1mmとする。併せて、
カソード電極11、ゲート電極13の端部に検査電圧印
加針309を接触させる。そして、電圧源・走査電圧コ
ントローラ312から検査電圧印加針309を介してカ
ソード電極11に走査用電圧(例えば、10ボルト)を
印加し、検査電圧印加針309を介してゲート電極13
に制御用電圧(例えば、15ボルト)を印加し、更に、
アノード電極23に加速用電圧(例えば、1.5kボル
ト)を印加する。これによって、電子放出部15〜15
Eから電子が放出される。そして、電子は、パネル32
0に設けられたアノード電極23に引き付けられ、アノ
ード電極23と基板20との間に形成された発光体層で
ある蛍光体層21に衝突する。その結果、蛍光体層21
が励起されて発光し、所望の画像を得ることができる。
【0268】かかる画像を受像装置310にて受像し、
受像装置310からの信号を画像検査ユニット311に
て処理する。電子放出部15〜15Eに欠陥がある場
合、かかる電子放出部15〜15Eに対応する画素に基
づく画像には暗点や輝点、輝度ムラ等が発生する。この
ような画像異常を生じさせた電子放出部15〜15E
(以下、動作不良の電子放出部15〜15Eと呼ぶ)の
位置を画像検査ユニット311にて解析し、図示しない
ディスプレイに表示する。あるいは、動作不良の電子放
出部15〜15Eの位置データを、切断処理装置に送
る。
【0269】動作試験完了後、ハウジング301内の雰
囲気を大気雰囲気とし、検査台昇降シリンダー303を
作動させて、検査台302を下降させ、カソードパネル
CPが載置された検査台302をハウジング301から
搬出する。そして、動作不良の電子放出部15〜15E
に対しては、レーザを備えた切断処理装置において、レ
ーザを用いて格子状ゲート電極部13Aの交点と交点を
結ぶ部分を切断する。
【0270】
【発明の効果】本発明においては、電子放出領域には、
格子状ゲート電極部が形成され、あるいは又、格子状カ
ソード電極部が形成されているが故に、カソード電極と
格子状ゲート電極部との間の容量成分(浮遊容量)、あ
るいは、格子状カソード電極部とゲート電極との間の容
量成分(浮遊容量)、あるいは、格子状カソード電極部
と格子状ゲート電極部との間の容量成分(浮遊容量)の
低減を図ることができる。その結果、容量成分が駆動信
号の遅延を引き起こし、駆動信号の鈍りが生じ、画質の
劣化を招くといった問題の発生を確実に回避することが
できる。また、解像度を上げようとした場合、1本のカ
ソード電極あるいはゲート電極に印加する駆動信号(供
給電位)の時間が短くなるが、カソード電極端部及びゲ
ート電極端部に印加される駆動信号(供給電位)に対す
る電子放出領域の応答が遅くなるといった問題の発生も
確実に回避することができる。尚、特に、表示装置が大
型化する程、あるいは又、表示装置を高解像度にする
程、これらの問題が顕著となる。しかも、格子状ゲート
電極部の交点と交点を結ぶ部分の一部、あるいは又、格
子状カソード電極部の交点と交点を結ぶ部分の一部に断
線が生じても、電子放出部が動作しなくなることはな
い。また、動作不良の電子放出部が生じた場合、かかる
動作不良の電子放出部を正常な動作の電子放出部から切
り離すことも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、発明の実施の形態1のカソードパネル
の一部分のカソード電極とゲート電極の模式的な配置図
である。
【図2】図2の(A)、(B)、(C)及び(D)は、
発明の実施の形態1のカソードパネルの一部分の第2の
方向に沿った模式的な端面図、及び、第1の方向に沿っ
た模式的な端面図である。
【図3】図3は、発明の実施の形態1の冷陰極電界電子
放出表示装置の第2の方向に沿った模式的な一部端面図
である。
【図4】図4は、発明の実施の形態1の冷陰極電界電子
放出表示装置の模式的な部分的分解斜視図である。
【図5】図5は、発明の実施の形態1のカソードパネル
の一部分のカソード電極とゲート電極の変形例の模式的
な配置図である。
【図6】図6は、発明の実施の形態1のカソードパネル
の一部分のカソード電極とゲート電極の別の変形例の模
式的な配置図である。
【図7】図7は、発明の実施の形態1のカソードパネル
の一部分のカソード電極とゲート電極の更に別の変形例
の模式的な配置図である。
【図8】図8は、発明の実施の形態1のカソードパネル
の一部分のカソード電極とゲート電極の更に別の変形例
の模式的な配置図である。
【図9】図9は、発明の実施の形態1のカソードパネル
の一部分のカソード電極とゲート電極の更に別の変形例
の模式的な配置図である。
【図10】図10は、発明の実施の形態2のカソードパ
ネルの一部分のカソード電極の模式的な配置図である。
【図11】図11は、発明の実施の形態2のカソードパ
ネルの一部分のカソード電極とゲート電極の模式的な配
置図である。
【図12】図12の(A)、(B)、(C)及び(D)
は、発明の実施の形態2のカソードパネルの一部分の第
2の方向に沿った模式的な端面図、及び、第1の方向に
沿った模式的な端面図である。
【図13】図13は、発明の実施の形態2の冷陰極電界
電子放出表示装置の模式的な部分的分解斜視図である。
【図14】図14は、発明の実施の形態2のカソードパ
ネルの一部分のカソード電極の変形例の模式的な配置図
である。
【図15】図15は、発明の実施の形態2のカソードパ
ネルの一部分のカソード電極の別の変形例の模式的な配
置図である。
【図16】図16は、発明の実施の形態2のカソードパ
ネルの一部分のカソード電極の更に別の変形例の模式的
な配置図である。
【図17】図17は、発明の実施の形態2のカソードパ
ネルの一部分のカソード電極の更に別の変形例の模式的
な配置図である。
【図18】図18は、図14、図15、図16あるいは
図17に示す発明の実施の形態2のカソードパネルの一
部分のカソード電極とゲート電極の変形例の模式的な配
置図である。
【図19】図19の(A)、(B)及び(C)は、発明
の実施の形態1における冷陰極電界電子放出素子の製造
方法を説明するための、第1の方向に沿った支持体等の
模式的な一部端面図である。
【図20】図20は、発明の実施の形態1における冷陰
極電界電子放出素子の製造工程の変形例を説明するため
の、第1の方向に沿った支持体等の模式的な一部端面図
である。
【図21】図21の(A)、(B)及び(C)は、発明
の実施の形態1における冷陰極電界電子放出素子の製造
工程の別の変形例を説明するための、第1の方向に沿っ
た支持体等の模式的な一部端面図である。
【図22】図22の(A)及び(B)は、スピント型冷
陰極電界電子放出素子の製造方法を説明するための支持
体等の模式的な一部端面図である。
【図23】図23の(A)及び(B)は、図22の
(B)に引き続き、スピント型冷陰極電界電子放出素子
の製造方法を説明するための支持体等の模式的な一部端
面図である。
【図24】図24の(A)及び(B)は、クラウン型冷
陰極電界電子放出素子の製造方法を説明するための支持
体等の模式的な一部端面図である。
【図25】図25の(A)、(B)及び(C)は、図2
4の(B)に引き続き、クラウン型冷陰極電界電子放出
素子の製造方法を説明するための支持体等の模式的な一
部端面図である。
【図26】図26の(A)及び(B)は、図25の
(C)に引き続き、クラウン型冷陰極電界電子放出素子
の製造方法を説明するための支持体等の模式的な一部端
面図、及び、部分的な斜視図である。
【図27】図27の(A)、(B)及び(C)は、扁平
型冷陰極電界電子放出素子の製造方法を説明するための
支持体等の模式的な一部断面図である。
【図28】図28の(A)、(B)及び(C)は、扁平
型冷陰極電界電子放出素子の変形例の製造方法を説明す
るための支持体等の模式的な一部断面図である。
【図29】図29の(A)、(B)及び(C)は、平面
型冷陰極電界電子放出素子の製造方法を説明するための
支持体等の模式的な一部断面図である。
【図30】図30の(A)及び(B)は、平面型冷陰極
電界電子放出素子の変形例の模式的な一部断面図であ
る。
【図31】図31は、平面型冷陰極電界電子放出素子の
別の変形例の模式的な一部断面図である。
【図32】図32の(A)及び(B)は、クレータ型冷
陰極電界電子放出素子の製造方法を説明するための支持
体等の模式的な一部端面図、及び、部分的な斜視図であ
る。
【図33】図33の(A)及び(B)は、図32の
(A)及び(B)に引き続き、クレータ型冷陰極電界電
子放出素子の製造方法を説明するための支持体等の模式
的な一部端面図、及び、部分的な斜視図である。
【図34】図34の(A)及び(B)は、図33の
(A)及び(B)に引き続き、クレータ型冷陰極電界電
子放出素子の製造方法を説明するための支持体等の模式
的な一部端面図、及び、部分的な斜視図である。
【図35】図35の(A)及び(B)は、図34の
(A)及び(B)に引き続き、クレータ型冷陰極電界電
子放出素子の製造方法を説明するための支持体等の模式
的な一部断面図である。
【図36】図36の(A)、(B)及び(C)は、クレ
ータ型冷陰極電界電子放出素子の変形例の製造方法を説
明するための支持体等の模式的な一部断面図である。
【図37】図37の(A)、(B)及び(C)は、クレ
ータ型冷陰極電界電子放出素子の別の変形例の製造方法
を説明するための支持体等の模式的な一部端面図であ
る。
【図38】図38の(A)及び(B)は、クレータ型冷
陰極電界電子放出素子の更に別の変形例の製造方法を説
明するための支持体等の模式的な一部端面図である。
【図39】図39の(A)、(B)及び(C)は、図3
8の(B)に引き続き、クレータ型冷陰極電界電子放出
素子の更に別の変形例の製造方法を説明するための支持
体等の模式的な一部端面図である。
【図40】図40の(A)、(B)及び(C)は、エッ
ジ型冷陰極電界電子放出素子の模式的な一部断面図であ
る。
【図41】図41の(A)、(B)及び(C)は、エッ
ジ型冷陰極電界電子放出素子の一例の製造方法を説明す
るための支持体等の模式的な一部端面図である。
【図42】図42の(A)及び(B)は、図45に示す
スピント型冷陰極電界電子放出素子を製造するための、
[スピント型冷陰極電界電子放出素子:製造方法の変形
−1]を説明するための支持体等の模式的な一部端面図
である。
【図43】図43の(A)及び(B)は、図42の
(B)に引き続き、図45に示すスピント型冷陰極電界
電子放出素子を製造するための、[スピント型冷陰極電
界電子放出素子:製造方法の変形−1]を説明するため
の支持体等の模式的な一部端面図である。
【図44】図44の(A)及び(B)は、図43の
(B)に引き続き、図45に示すスピント型冷陰極電界
電子放出素子を製造するための、[スピント型冷陰極電
界電子放出素子:製造方法の変形−1]を説明するため
の支持体等の模式的な一部端面図である。
【図45】図45は、[スピント型冷陰極電界電子放出
素子:製造方法の変形−1]にて得られるスピント型冷
陰極電界電子放出素子の模式的な一部端面図である。
【図46】図46の(A)及び(B)は、円錐形状の電
子放出部が形成される機構を説明するための図である。
【図47】図47の(A)、(B)及び(C)は、対レ
ジスト選択比と、電子放出部の高さと形状の関係を模式
的に示す図である。
【図48】図48の(A)及び(B)は、[スピント型
冷陰極電界電子放出素子:製造方法の変形−2]を説明
するための支持体等の模式的な一部端面図である。
【図49】図49の(A)及び(B)は、図48の
(B)に引き続き、[スピント型冷陰極電界電子放出素
子:製造方法の変形−2]を説明するための支持体等の
模式的な一部端面図である。
【図50】図50の(A)及び(B)は、図49の
(B)に引き続き、[スピント型冷陰極電界電子放出素
子:製造方法の変形−2]を説明するための支持体等の
模式的な一部端面図である。
【図51】図51の(A)及び(B)は、被エッチング
物の表面プロファイルが一定時間毎にどのように変化す
るかを示す図である。
【図52】図52の(A)及び(B)は、[スピント型
冷陰極電界電子放出素子:製造方法の変形−3]を説明
するための支持体等の模式的な一部端面図である。
【図53】図53は、図52の(B)に引き続き、[ス
ピント型冷陰極電界電子放出素子:製造方法の変形−
3]を説明するための支持体等の模式的な一部端面図で
ある。
【図54】図54は、[スピント型冷陰極電界電子放出
素子:製造方法の変形−4]にて製造されるスピント型
冷陰極電界電子放出素子の模式的な一部端面図である。
【図55】図55の(A)及び(B)は、[スピント型
冷陰極電界電子放出素子:製造方法の変形−4]を説明
するための支持体等の模式的な一部端面図である。
【図56】図56の(A)及び(B)は、図55の
(B)に引き続き、[スピント型冷陰極電界電子放出素
子:製造方法の変形−4]を説明するための支持体等の
模式的な一部端面図である。
【図57】図57の(A)及び(B)は、図56の
(B)に引き続き、[スピント型冷陰極電界電子放出素
子:製造方法の変形−4]を説明するための支持体等の
模式的な一部端面図である。
【図58】図58の(A)及び(B)は、[スピント型
冷陰極電界電子放出素子:製造方法の変形−5]を説明
するための支持体等の模式的な一部端面図である。
【図59】図59の(A)及び(B)は、図58の
(B)に引き続き、[スピント型冷陰極電界電子放出素
子:製造方法の変形−5]を説明するための支持体等の
模式的な一部端面図である。
【図60】図60は、[スピント型冷陰極電界電子放出
素子:製造方法の変形−6]を説明するための支持体等
の模式的な一部端面図である。
【図61】図61は、動作試験の実行に適した検査装置
の概要を示す図である。
【図62】図62は、スピント型冷陰極電界電子放出素
子を備えた従来の冷陰極電界電子放出表示装置の模式的
な一部端面図である。
【図63】図63は、スピント型冷陰極電界電子放出素
子を備えた従来の冷陰極電界電子放出表示装置を構成す
るカソードパネルCPの一部分におけるストライプ状の
カソード電極の模式的な配置図である。
【図64】図64は、スピント型冷陰極電界電子放出素
子を備えた従来の冷陰極電界電子放出表示装置を構成す
るカソードパネルCPの一部分におけるストライプ状の
カソード電極とゲート電極の模式的な配置図である。
【符号の説明】
CP・・・カソードパネル、AP・・・アノードパネ
ル、EA・・・電子放出領域、10・・・支持体、10
A・・・凹部、11,111,211・・・カソード電
極、11A・・・格子状カソード電極部、11B・・・
微小凹凸部、11C・・・被覆層、111A・・・隆起
部、111B・・・凹部、111C・・・先端部、21
1A・・・エッジ部、12,12A,12B,112・
・・絶縁層、13,113,213A,213B・・・
ゲート電極、13A・・・格子状ゲート電極部、14・
・・開口部、14A・・・第1開口部、14B・・・第
2開口部、15,15A,15B,15C,15D,1
5E・・・電子放出部、20・・・基板、21,21
R,21G,21B・・・蛍光体層、22・・・ブラッ
クマトリックス、23・・・アノード電極、30・・・
炭素系薄膜選択成長領域、31・・・炭素系薄膜、40
・・・剥離層、41・・・導電材料層、50・・・剥離
層、51・・・導電性組成物層、60,160・・・球
体、160A・・・芯材、160B・・・表面処理層、
61・・・組成物層、61A・・・分散媒、61B・・
・カソード電極材料、70・・・レジスト層、71・・
・レジスト開口、80・・・密着層、81・・・導電材
料層、81A・・・凹部、81B・・・柱状部、81C
・・・拡大部、82・・・マスク材料層、83・・・エ
ッチング停止層、84・・・基部、84A・・・導電材
料層、85・・・平坦化層

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)支持体と、 (B)支持体上に形成され、第1の方向に延びる複数の
    カソード電極と、 (C)支持体及びカソード電極上に形成された絶縁層
    と、 (D)絶縁層上に形成され、第1の方向とは異なる第2
    の方向に延びる複数のゲート電極と、 (E)カソード電極とゲート電極とが重複する領域に設
    けられた電子放出領域、から成る冷陰極電界電子放出表
    示装置用カソードパネルであって、 電子放出領域は、 (a)格子状ゲート電極部と、 (b)格子状ゲート電極部の格子の交点に形成された第
    1開口部と、 (c)絶縁層に設けられ、第1開口部と連通した第2開
    口部と、 (d)第2開口部の底部に位置するカソード電極から構
    成された電子放出部、若しくは、第2開口部の底部に位
    置するカソード電極上に設けられた電子放出部、から成
    ることを特徴とする冷陰極電界電子放出表示装置用カソ
    ードパネル。
  2. 【請求項2】格子状ゲート電極部の格子の交点の平面形
    状は円形であることを特徴とする請求項1に記載の冷陰
    極電界電子放出表示装置用カソードパネル。
  3. 【請求項3】格子状ゲート電極部の格子の交点の平面形
    状は矩形であることを特徴とする請求項1に記載の冷陰
    極電界電子放出表示装置用カソードパネル。
  4. 【請求項4】電子放出領域の外周から1μm以上離れた
    領域に格子状ゲート電極部が形成されていることを特徴
    とする請求項1に記載の冷陰極電界電子放出表示装置用
    カソードパネル。
  5. 【請求項5】(A)支持体と、 (B)支持体上に形成され、第1の方向に延びる複数の
    カソード電極と、 (C)支持体及びカソード電極上に形成された絶縁層
    と、 (D)絶縁層上に形成され、第1の方向とは異なる第2
    の方向に延びる複数のゲート電極と、 (E)カソード電極とゲート電極とが重複する領域に設
    けられた電子放出領域、から成る冷陰極電界電子放出表
    示装置用カソードパネルであって、 電子放出領域は、 (a)格子状カソード電極部と、 (b)格子状カソード電極部の格子の交点の上方に位置
    するゲート電極の部分に形成された第1開口部と、 (c)絶縁層に設けられ、第1開口部と連通した第2開
    口部と、 (d)第2開口部の底部に位置する格子状カソード電極
    部の格子の交点から構成された電子放出部、若しくは、
    第2開口部の底部に位置する格子状カソード電極部の格
    子の交点上に設けられた電子放出部、から成ることを特
    徴とする冷陰極電界電子放出表示装置用カソードパネ
    ル。
  6. 【請求項6】格子状カソード電極部の格子の交点の平面
    形状は円形であることを特徴とする請求項5に記載の冷
    陰極電界電子放出表示装置用カソードパネル。
  7. 【請求項7】格子状カソード電極部の格子の交点の平面
    形状は矩形であることを特徴とする請求項5に記載の冷
    陰極電界電子放出表示装置用カソードパネル。
  8. 【請求項8】電子放出領域を構成するゲート電極の部分
    は、格子状ゲート電極部から成り、 第1開口部は、格子状ゲート電極部の格子の交点に形成
    されていることを特徴とする請求項5乃至請求項7のい
    ずれか1項に記載の冷陰極電界電子放出表示装置用カソ
    ードパネル。
  9. 【請求項9】格子状ゲート電極部の格子の交点の平面形
    状は円形であることを特徴とする請求項8に記載の冷陰
    極電界電子放出表示装置用カソードパネル。
  10. 【請求項10】格子状ゲート電極部の格子の交点の平面
    形状は矩形であることを特徴とする請求項8に記載の冷
    陰極電界電子放出表示装置用カソードパネル。
  11. 【請求項11】電子放出領域の外周から1μm以上離れ
    た領域に格子状ゲート電極部が形成されていることを特
    徴とする請求項8に記載の冷陰極電界電子放出表示装置
    用カソードパネル。
  12. 【請求項12】冷陰極電界電子放出表示装置用カソード
    パネル、及び、蛍光体層とアノード電極とを備えた冷陰
    極電界電子放出表示装置用アノードパネルが、それらの
    周縁部で接合されて成る冷陰極電界電子放出表示装置で
    あって、 冷陰極電界電子放出表示装置用カソードパネルは、 (A)支持体と、 (B)支持体上に形成され、第1の方向に延びる複数の
    カソード電極と、 (C)支持体及びカソード電極上に形成された絶縁層
    と、 (D)絶縁層上に形成され、第1の方向とは異なる第2
    の方向に延びる複数のゲート電極と、 (E)カソード電極とゲート電極とが重複する領域に設
    けられた電子放出領域、から成り、 電子放出領域は、 (a)格子状ゲート電極部と、 (b)格子状ゲート電極部の格子の交点に形成された第
    1開口部と、 (c)絶縁層に設けられ、第1開口部と連通した第2開
    口部と、 (d)第2開口部の底部に位置するカソード電極から構
    成された電子放出部、若しくは、第2開口部の底部に位
    置するカソード電極上に設けられた電子放出部、から成
    ることを特徴とする冷陰極電界電子放出表示装置。
  13. 【請求項13】格子状ゲート電極部の格子の交点の平面
    形状は円形であることを特徴とする請求項12に記載の
    冷陰極電界電子放出表示装置。
  14. 【請求項14】格子状ゲート電極部の格子の交点の平面
    形状は矩形であることを特徴とする請求項12に記載の
    冷陰極電界電子放出表示装置。
  15. 【請求項15】電子放出領域の外周から1μm以上離れ
    た領域に格子状ゲート電極部が形成されていることを特
    徴とする請求項12に記載の冷陰極電界電子放出表示装
    置。
  16. 【請求項16】冷陰極電界電子放出表示装置用カソード
    パネル、及び、蛍光体層とアノード電極とを備えた冷陰
    極電界電子放出表示装置用アノードパネルが、それらの
    周縁部で接合されて成る冷陰極電界電子放出表示装置で
    あって、 冷陰極電界電子放出表示装置用カソードパネルは、 (A)支持体と、 (B)支持体上に形成され、第1の方向に延びる複数の
    カソード電極と、 (C)支持体及びカソード電極上に形成された絶縁層
    と、 (D)絶縁層上に形成され、第1の方向とは異なる第2
    の方向に延びる複数のゲート電極と、 (E)カソード電極とゲート電極とが重複する領域に設
    けられた電子放出領域、から成り、 電子放出領域は、 (a)格子状カソード電極部と、 (b)格子状カソード電極部の格子の交点の上方に位置
    するゲート電極の部分に形成された第1開口部と、 (c)絶縁層に設けられ、第1開口部と連通した第2開
    口部と、 (d)第2開口部の底部に位置する格子状カソード電極
    部の格子の交点から構成された電子放出部、若しくは、
    第2開口部の底部に位置する格子状カソード電極部の格
    子の交点上に設けられた電子放出部、から成ることを特
    徴とする冷陰極電界電子放出表示装置。
  17. 【請求項17】格子状カソード電極部の格子の交点の平
    面形状は円形であることを特徴とする請求項16に記載
    の冷陰極電界電子放出表示装置。
  18. 【請求項18】格子状カソード電極部の格子の交点の平
    面形状は矩形であることを特徴とする請求項16に記載
    の冷陰極電界電子放出表示装置。
  19. 【請求項19】電子放出領域を構成するゲート電極の部
    分は、格子状ゲート電極部から成り、 第1開口部は、格子状ゲート電極部の格子の交点に形成
    されていることを特徴とする請求項16乃至請求項18
    のいずれか1項に記載の冷陰極電界電子放出表示装置。
  20. 【請求項20】格子状ゲート電極部の格子の交点の平面
    形状は円形であることを特徴とする請求項19に記載の
    冷陰極電界電子放出表示装置。
  21. 【請求項21】格子状ゲート電極部の格子の交点の平面
    形状は矩形であることを特徴とする請求項19に記載の
    冷陰極電界電子放出表示装置。
  22. 【請求項22】電子放出領域の外周から1μm以上離れ
    た領域に格子状ゲート電極部が形成されていることを特
    徴とする請求項19に記載の冷陰極電界電子放出表示装
    置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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