JP2002127773A - 4輪駆動車の駆動力配分装置 - Google Patents
4輪駆動車の駆動力配分装置Info
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Abstract
せることなく、坂路発進時の主駆動輪のスリップを防止
できるようにする。 【解決手段】エンジン出力を前輪13R,13Lに対し
ては直接伝達し、後輪15R,15Lに対してはトラン
スファクラッチ3を介して伝達する車両において、制御
ユニット30では停車時の前後加速度センサ26の出力
値から路面勾配を求め、この路面勾配に基づき副駆動輪
トルク下限値を設定し、トランスファクラッチ3の締結
力を制御するクラッチ制御弁17へ副駆動輪トルク下限
値に対応する駆動信号を出力し発進に備える。トランス
ファクラッチ3の締結力を路面勾配に応じて設定するた
め、必要最小限の伝達トルクで坂路発進時の主駆動輪の
スリップを防止することができる。
Description
は駆動力を直接伝達し、副駆動輪に対しては必要最小限
の駆動力を伝達するようにした4輪駆動車の駆動力配分
装置に関する。
一方へは直接動力を伝達し、他方の駆動系に対してはク
ラッチ等のカップリング装置を用いて駆動力を分配制御
する技術が知られている。
軽量化のため、副駆動輪への伝達容量を極力下げること
で、4輪駆動化に伴うデファレンシャル装置等のカップ
リング装置やアクスル軸等、動力伝達機構の必要強度を
下げる試みがなされているが、低μ路での登坂発進にお
いて、主駆動輪に過度のスリップが発生し易くなり、4
輪駆動として十分なトラクション性能が得られない問題
がある。
号公報では、動力源からの動力により主駆動輪である前
輪と油圧ポンプとを駆動し、前輪で車両を駆動する一
方、油圧ポンプから圧送された作動油を可変容量ポンプ
モータに供給し、この可変容量ポンプモータにより副駆
動輪である後輪を駆動させ、凍結路や降雪路等の低μ路
での発進において、スリップが発生した場合、前輪の回
転数が後輪の回転数よりも大きくなるため、この両輪の
差回転に応じて可変容量ポンプモータの後輪に対するト
ルク伝達を可変設定すると共に、路面傾斜角センサの出
力値に基づき急勾配登坂路の場合は、大きな駆動トルク
を後輪へ伝達する技術が開示されている。
ップに応じたトルクを副駆動輪へ伝達することができる
ため、副駆動輪に対して伝達するトルクを必要最小限と
することができる。
示されている技術では、副駆動輪へ伝達するトルクを、
主駆動輪のスリップによる差回転から検知する場合、必
ず主駆動輪にスリップが発生してから副駆動輪のトルク
が増大することになる。例えば路面摩擦係数0.3で勾
配20°の登坂能力を目標とする車両において、主駆動
輪にスリップが発生して、路面と車輪との摩擦係数が
0.1に低下したと仮定した場合、副駆動輪に伝達すべ
きトルクは、スリップが発生していない場合に比し、4
0%以上増加してしまうことになる。又主駆動輪のスリ
ップの発生を止めるトルクも必要になる。
ーメントと、如何に短時間にスリップを回避させたかに
よって決定されるが、おおよそ20%以上のトルク容量
増大が必要になる。
と、副駆動輪に伝達すべきトルク容量が、目標性能に対
して1.6倍以上必要となり、装置全体が大型化してし
まうばかりでなく、重量が増加してしまう不具合があ
る。
使用しない路面傾斜角センサを特別に設けなければなら
ず、部品点数が増加し、製品コストが高くなってしまう
不都合がある。
達するトルクを必要以上に増加させることなく、発進時
を含む坂路走行時の主駆動輪のスリップを確実に防止す
ることができると共に、システム全体の小型化が実現で
き、しかも部品点数を増加させることなく、コストアッ
プを最小限に押さえることの可能な4輪駆動車の駆動力
配分装置を提供することを目的とする。
第1発明は、動力源の出力を主駆動輪へ直接伝達し副駆
動輪に対しては伝達トルク容量可変型カップリング装置
を介して伝達する4輪駆動車の駆動力配分装置におい
て、車両の運転状態に基づき上記副駆動輪に伝達する基
本トルクを設定する副駆動輪基本トルク設定手段と、車
両に設けた前後加速度センサの出力値と車速に基づいて
求めた加速度とを比較して路面の勾配に対応する勾配補
正係数を求める路面勾配補正係数設定手段と、上記基本
トルクを上記勾配補正係数で補正して副駆動輪トルクを
設定する副駆動輪トルク設定手段と、上記伝達トルク容
量可変型カップリング装置に対し上記副駆動輪トルクに
対応する伝達トルクを発生させる駆動手段とを備えるこ
とを特徴とする。
伝達トルク容量可変型カップリング装置を介して連設す
る副駆動輪に伝達する基本トルクを、車両の運転状態に
基づき設定し、次いで車両に設けた前後加速度センサの
出力値と車速に基づいて求めた加速度とを比較して路面
の勾配に対応する勾配補正係数を求め、基本トルクを勾
配補正係数で補正して副駆動輪トルクを設定し、駆動手
段にて伝達トルク容量可変型カップリング装置に対し副
駆動輪トルクに対応する伝達トルクを発生させる。
接伝達し副駆動輪に対しては伝達トルク容量可変型カッ
プリング装置を介して伝達する4輪駆動車の駆動力配分
装置において、極低速運転時或いは停車時における車両
に設けた前後加速度センサの出力値に基づき路面勾配を
求め該路面勾配に基づき副駆動輪トルクを設定する副駆
動輪トルク設定手段と、上記伝達トルク容量可変型カッ
プリング装置に対し上記副駆動輪トルクに対応する伝達
トルクを発生させる駆動手段とを備えることを特徴とす
る。
或いは停車時における車両に設けた前後加速度センサの
出力値に基づき路面勾配を求め、この路面勾配に基づき
副駆動輪トルクを設定し、駆動手段にて動力源と副駆動
輪とを連設する伝達トルク容量可変型カップリング装置
に、副駆動輪トルクに対応する伝達トルクを発生させ
る。
接伝達し副駆動輪に対しては伝達トルク容量可変型カッ
プリング装置を介して伝達する4輪駆動車の駆動力配分
装置において、車両の運転状態に基づき上記副駆動輪に
伝達する基本トルクを設定する副駆動輪基本トルク設定
手段と、上記動力源の出力と予め設定されている車両諸
元により求めた駆動力とから車両の運動方程式に基づき
平坦路走行時の理論加速度を設定する理論加速度設定手
段と、車輪速度から推定加速度を算出する推定加速度設
定手段と、上記車体加速度と上記推定加速度との比較に
より求めた路面勾配に基づき副駆動輪トルクを設定する
副駆動輪トルク設定手段と、上記伝達トルク容量可変型
カップリング装置に対し上記副駆動輪トルクに対応する
伝達トルクを発生させる駆動手段とを備えることを特徴
とする。
態に基づき副駆動輪に伝達する基本トルクを設定し、動
力源の出力と予め設定されている車両諸元により求めた
駆動力とから車両の運動方程式に基づき平坦路走行時の
理論加速度を設定し、又車輪速度から推定加速度を算出
し、車体加速度と推定加速度との比較により求めた路面
勾配に基づき副駆動輪トルクを設定し、次いで駆動手段
にて動力源と副駆動輪とを連設する伝達トルク容量可変
型カップリング装置に対し副駆動輪トルクに対応する伝
達トルクを発生させる。
トルク設定手段では設定した副駆動輪トルクを舵角セン
サで検出した操舵角に基づいて設定した舵角補正係数で
補正して補正副駆動輪トルクを設定することを特徴とす
る。
る副駆動輪トルクは発進後減量補正されることを特徴と
する。
る補正副駆動輪トルクは発進後減量補正されることを特
徴とする。
減少する特性を有することを特徴とする。
実施の形態を説明する。図1〜図7に本発明の第1実施
の形態を示す。図1には4輪駆動制御系の全体構成図が
示されている。同図に示すように、本実施の形態で示す
車両は前輪駆動ベースの4輪駆動車であり、従って前輪
が主駆動輪、後輪が副駆動輪となる。尚、後輪駆動ベー
スの4輪駆動車であっても、後輪を主駆動輪、前輪を副
駆動輪とすることで、本実施の形態を適用できることは
言うまでもない。
のエンジンが配置されており、このエンジン1の出力軸
に、流体トルクコンバータを使用した自動変速機或いは
クラッチ機構部を含むマニュアル変速機等の変速機構部
2が連設され、この変速機構部2の後部に延出されたト
ランスファ入力軸2aに、伝達トルク容量可変型カップ
リング装置の一例であるトランスファクラッチ3を介し
てリヤドライブ軸4が連設されている。又、リヤドライ
ブ軸4から後方へプロペラシャフト5、ドライブピニオ
ン軸部6を介してリヤディファレンシャル装置7が連結
されている。
入力軸2aに設けられたクラッチドラム3aとリヤドラ
イブ軸4に設けられたクラッチハブ3bとを有し、この
クラッチドラム3aとクラッチハブ3bとの間に、クラ
ッチドラム3aに連結するドライブプレートと、クラッ
チハブ3bに連結するドリブンプレートとを交互に配設
してなる油圧多板式クラッチプレート3cが介装されて
いる。
ドライブギヤ8が設けられており、このトランスファド
ライブギヤ8に噛合するフロントドライブギヤ9がフロ
ントドライブ軸10に固設されている。更に、このフロ
ントドライブ軸10が、フロントディファレンシャル装
置11に連結されている。
に、前輪左ドライブ軸12Lを介して左前輪13Lが連
設され、前輪右ドライブ軸12Rを介して右前輪13R
が連設されており、リヤディファレンシャル装置7に
は、後輪左ドライブ軸14Lを介して左後輪15Lが連
設され、後輪右ドライブ軸14Rを介して右後輪15R
が連設されている。尚、符号16は、変速機構部2、ト
ランスファクラッチ3等を収納するトランスファケース
である。
レート3cは、図示しない油圧系統から、駆動手段とし
てのクラッチ制御弁17を介して供給される油圧力によ
って締結力が可変され、解放状態では前輪駆動となり、
クラッチプレート3cの締結力が高められるに従い後輪
側へのトルク配分が上昇し、完全な締結状態で前後輪に
配分されるトルクが等しくなる。
ABSユニット20では、前後輪13L,13R,15
L,15Rにそれぞれに併設された各車輪速センサ18
L,18R,19L,19Rからの信号に基づいて、図
示しないブレーキ系統の油圧を制御し、制動時の車輪の
ロックを回避する。更に、このABSユニット20に
は、車体の前後方向の加速度を検出する前後加速度セン
サ(以下、「縦Gセンサ」と略称)26が接続されてい
る。
の締結力を制御する制御ユニットで、シリアル回線等を
介してABSユニット20と接続されている。この制御
ユニット30には、ステアリングホイール21に設けら
れて操舵角θstを検出する舵角センサ22、シフト位
置を検出するシフト位置センサ23、エンジン回転数N
eを検出するエンジン回転数センサ24、スロットル開
度θthを検出するスロットル開度センサ25等のセン
サ類が接続されている。
ァクラッチ3への油圧を制御する上述のクラッチ制御弁
17等のアクチュエータ類が接続されており、トランス
ファクラッチ3の締結力を制御して、前後輪の速度差に
応じて前後輪へのトルク配分を可変し、路面摩擦係数μ
の低い路面(低μ路)での車輪のスリップを防止するス
リップ制御等を行う。
路面での発進等のように、前後輪の車輪速差(回転数
差)が生じた場合、クラッチ制御弁17を介してトラン
スファクラッチ3の締結力を強化し、直結方向に近づけ
てスリップの発生を抑制する。
力は、後輪側へ伝達する必要トルクに応じて制御され
る。この伝達トルク制御は制御ユニット30で行なわ
れ、具体的には、図2〜図4のフローチャートに従って
処理される。
すると、図2に示す発進時伝達トルク制御ルーチンが起
動し、先ずステップS1で停車状態か否かを、車輪速セ
ンサ18L,18R,19L,19Rで検出した各車輪
速の平均値から求めた車速Vと発進判定車速V1(例え
ば2Km/h)とを比較して判定し、V≦V1のほぼ停
車状態のときは、ステップS2へ進み、前回運転時に設
定した副駆動輪トルクT-1を読込み、ステップS3で、
この副駆動輪トルクT-1を、今回の副駆動輪トルクTと
設定して出力し(T←T-1)、ルーチンを抜け、発進に
備える。
御弁17に対して、副駆動輪トルクTに対応する駆動信
号が出力される。クラッチ制御弁17としてデューティ
ソレノイド弁が使用されている場合、制御ユニット30
では副駆動輪トルク下限値T1に基づきトランスファク
ラッチ3の作動油圧を制御するデューティ比を算出し、
トランスファクラッチ3の締結力を制御する。
場合は、後述する停車時伝達トルク制御ルーチンで、前
回停車したときの路面勾配を検出し、この路面勾配に応
じた副駆動輪トルクT-1が設定されるため、発進時に
は、この副駆動輪トルクT-1に基づき、トランスファク
ラッチ3に対して必要最小限の締結力が設定される。
必要最小限とすることで、相対的にトランスファクラッ
チ3や、このトランスファクラッチ3に油圧を供給する
ポンプ等の容量を縮小して、システム全体の小型化、軽
量化を実現することができる。
進判定車速V1を越えると、ステップS1からステップ
S4へ分岐し、前回運転時に設定した副駆動輪基本トル
クTo-1を読込み、ステップS5で、副駆動輪基本トル
クTo-1と副駆動輪トルクTとを比較する。この副駆動
輪基本トルクTo-1は、後述する走行時伝達トルク制御
ルーチンで、停車直前のエンジントルクTeと車速Vと
に基づいて設定された平坦路走行相当の基本値である。
6へ進み、副駆動輪トルクTを設定減量値ΔT1分減少
した値で更新し(T←T−ΔT)、ステップS3へ戻
る。この減量値ΔT1は、演算周期に応じて最適な値が
設定されている。尚、この減量値ΔT1は、副駆動輪ト
ルク下限値T1に応じて可変設定するようにしても良
い。
へ進み、副駆動輪基本トルクTo-1を、今回の副駆動輪
トルクTと設定して出力し(T←To-1)、ルーチンを
抜ける。
駆動輪トルクT-1は、後述する図4に示す停車時伝達ト
ルク制御ルーチンにおいて、路面勾配に基づいて設定さ
れた副駆動輪トルク下限値T1が設定されているため、
発進の際には、T-1>To-1の関係がある。
に設定された副駆動輪トルク下限値T1が副駆動輪トル
クTとして設定され、発進後、車速Vが発進判定車速V
1を越えると、To-1≦Tとなるまで、ステップS1→
ステップS4→ステップS5→ステップS6→ステップ
S3のルーチンを繰り返し実行し、やがてTo-1≦Tに
達したとき、ステップS7へ進み、副駆動輪基本トルク
To-1を、今回の副駆動輪トルクTとして更新し(T←
To-1)、ルーチンを抜け、通常の走行制御へ移行す
る。
走行時伝達トルク制御ルーチンが実行され、先ず、ステ
ップS11で、各センサからの入力信号を読込み、ステ
ップS12でエンジントルクTeと車速Vと変速段をパ
ラメータとして副駆動輪基本トルクマップを参照し、副
駆動輪基本トルクToを設定する。
プは、変速段毎に備えられており、又、図6に示すよう
に各副駆動輪基本トルクマップには、エンジントルクT
eが増大するに従い副駆動輪基本トルクToを増大さ
せ、逆に車速Vが増加するほど副駆動輪基本トルクTo
を減少させる特性を有している。
をTe1〜Te4(Te1<Te2<Te3<Te4)
の四段階に区分しているが、より細かく区分しても良
い。又、このエンジントルクTeは、例えばエンジン回
転数Neとスロットル開度θthとに基づきマップを参
照して設定する。この場合、車速Vは、各車輪速センサ
18L,18R,19L,19Rで検出した各車輪速の
平均値以外に、エンジン回転数Neと予め設定される駆
動系の諸元、及び現在の変速段に基づき算出した車体速
度を車速Vとしても良い。
変化に基づき加速度αv(αv←|dv|/dt)を算
出する。又、ステップS14で、縦Gセンサ26の出力
値Gyの変化に基づき加速度αgを設定する(αg←f
(Gy))。
づく加速度αvに対する縦Gセンサ26の出力値に基づ
く加速度αgとの偏差から路面勾配を推定し、この路面
勾配に基づき勾配補正係数k1をマップ検索、或いは演
算により求める。尚、勾配補正係数k1は、推定した路
面勾配にほぼ比例し、この路面勾配が大きくなるほど大
きな値に設定される。
した場合、走行維持の縦Gセンサ26の出力値Gyに
は、sinθ分の出力誤差(但し、前進と後進とで極性
は反転する)が発生する。従って、車速に基づく加速度
αvと縦Gンサの出力に基づく加速度αgとの偏差を検
出することで、路面勾配を推定することができる。
基本トルクToを勾配補正係数k1で補正して、副駆動
輪トルクTを算出し(T←k1・To)、ルーチンを抜
ける。
た副駆動輪トルクTが設定されるため、副駆動輪トルク
Tが不必要に増加されず、トランスファクラッチ3、及
びトランスファクラッチ3に作動圧を供給する油圧系の
小型軽量化を実現することができる。
Km/h)以下になると、図4に示す停車時伝達トルク
制御ルーチンが実行される。このルーチンは、発進する
際の副駆動輪トルクTを、車両の停車時、或いは停車直
前のパラメータに基づいて設定するもので、先ず、ステ
ップS21で、縦Gセンサ26の出力値Gyと坂路判定
値G1(本実施の形態では、3°に相当する値)とを比
較する。上述したように、縦Gセンサ26の出力値Gy
は、路面勾配によって、sinθの出力誤差が発生する
ため、停車直前或いは停車時、すなわち加減速度の因子
がほとんど含まれていない縦Gセンサ26の出力値Gy
を検出することで、停車時の路面勾配を推定することが
できる。
は、ステップS22へ進み、縦Gセンサ26の出力値G
yに基づき副駆動輪トルク下限値T1を、トルク下限値
マップを参照して設定する。
ける坂路発進時の後輪へ伝達する必要トルクの下限値T
1と路面勾配θとの関係を示したもので、路面摩擦係数
μが低下するに従い後輪側の駆動輪トルクを増加させる
ことで車輪のスリップを防止する。この場合、路面勾配
θと縦Gセンサ26の出力値Gyとがほぼ比例関係にあ
るので、トルク下限値マップには、図7に示す特性に従
い、縦Gセンサ26の出力値Gyと副駆動輪トルク下限
値T1との関係が格納されている。
示すように、副駆動輪トルク下限値T1は路面摩擦係数
μによって変動するが、路面摩擦係数μを検出すること
が難しいため、本実施の形態では、μ=0.3〜0.5
程度を想定して設定している。しかし、路面摩擦係数μ
を検出することができる場合は、この路面摩擦係数μに
基づいて副駆動輪トルク下限値T1を補正するようにし
ても良い。
トルク下限値T1で副駆動輪トルクTを設定し(T←T
1)、出力する。そして、ステップS24で、前回の副
駆動輪トルクT-1を今回の副駆動輪トルクTで更新して
(T-1←T)、ルーチンを抜ける。
わち路面はほぼ平坦であると判定したときは、ステップ
S25へ分岐し、走行時伝達トルク制御ルーチンのステ
ップS12で設定した最新の副駆動輪基本トルクToで
副駆動輪トルクTを設定し(T←To)、ステップS2
6へ進み、前回の副駆動輪基本トルクTo-1を今回の副
駆動輪基本トルクToで更新して(To-1←To)、ル
ーチンを抜ける。
路面勾配θを考慮した副駆動輪トルクTが設定され、次
回の発進に備える。尚、副駆動輪トルク下限値T1は、
副駆動輪基本トルクToを加算補正し或いは積算係数に
て補正して求めるようにしても良い。
を示す。本実施の形態では、第1実施の形態で設定した
副駆動輪トルク下限値T1を、停車時或いは停車直前の
舵角センサ22で検出した操舵角θstに応じて舵角補
正するもので、第1実施の形態の図4に示すフローチャ
ートに代えて、図8に示すフローチャートを採用する。
では、図4のステップS21,S22と同様、縦Gセン
サ26の出力値Gyと坂路判定値G1(例えば3°に相
当する値)とを比較し、Gy≧G1の坂路と判定したと
きは、ステップS32へ進み、縦Gセンサ26の出力値
Gyに基づきトルク下限値マップを参照して、副駆動輪
トルク下限値T1を設定する。
サ22で検出した操舵角θstに基づきマップを参照
し、或いは演算により舵角補正値k2を設定する。舵角
補正値k2は、主駆動輪である前輪13R,13Lの操
舵角θst(転舵角)が大きくなるほど、前輪13R,
13Lの駆動トルクが低下するので、副駆動輪トルク下
限値T1を減量補正し、前輪側への伝達トルクを確保す
るようにしたもので、図9に示すように、舵角補正値k
2は操舵角θstに比例して減少される。
トルク下限値T1に舵角補正係数k2を乗算して補正副
駆動輪トルク下限値T1’を設定し(T1’←k2・T
1)、続くステップS35で、補正副駆動輪トルク下限
値T1’で副駆動輪トルクTを設定し(T←T1’)、
出力する。
輪トルクT-1を今回の副駆動輪トルクTで更新して(T
-1←T)、ルーチンを抜ける。
されたときは、ステップS37へ分岐し、図4のステッ
プS25と同様、走行時伝達トルク制御ルーチンのステ
ップS12で設定した最新の副駆動輪基本トルクToで
副駆動輪トルクTを設定し(T←To)、出力する。そ
して、ステップS38へ進み、前回の副駆動輪基本トル
クTo-1を今回の副駆動輪基本トルクToで更新し(T
o-1←To)、ルーチンを抜ける。
制御においては、操舵角θstに比例して減少補正され
た副駆動輪トルクTで、トランスファクラッチ3の締結
力が設定されるため、前輪13R,13Lが転舵されて
いる状態からの坂路発進においても前輪13R,13L
の駆動トルクの低下が相対的に抑制され、スリップ発生
を有効に回避することができる。
る駆動力配分装置の機能ブロック図を示す。本実施の形
態では走行路面が平坦路か坂路かを、エンジン1の出力
と予め設定されている車両諸元から求めた駆動力とから
車両の運動方程式に基づき求めた平坦路走行時の理論加
速度と、車輪速変化から求めた推定加速度とを比較して
判定するようにしたものである。従って、本実施の形態
では、縦Gセンサは不要となる。
の締結力を制御する制御ユニットで、クラッチ制御機能
として、平均車輪速演算部41、推定加速度演算部4
2、駆動力演算部43、走行抵抗演算部44、理論加速
度演算部45、副駆動輪基本トルク演算部46、坂路判
定部47、副駆動輪トルク下限値設定部48、副駆動輪
トルク設定部49を備えている。
8L,18R,19L,19R(図1参照)で検出した
各車輪速の平均から平均車輪速Vaを算出する。
の単位時間当たりの変化から推定加速度αoを算出す
る。
を次式から算出する。 F=Te・l・ηt/1000・r 但し、Te;エンジントルク、l:総減速比、ηt:動
力伝達効率(固定値)、r:車輪の有効半径(固定値)
である。
f)は、エンジン回転数Neとスロットル開度θthと
に基づきマップ参照、或いは演算により設定する。又、
総減速比lはエンジンから駆動軸までの減速比であり、
シフト位置センサ23で検出したシフト位置に基づき、
対応する減速機の変速比にを調べ、この変速比に基づき
算出する。
の走行抵抗Rを、 R=Rr+Rl+Ri から算出する。但し、Rr:転がり抵抗、Rl:空気抵
抗、Ri:勾配抵抗(平坦路走行時は0)である。
によって決定される転がり抵抗係数である。
れる空気抵抗係数、S:車両の前面投影面積(m2)で
ある。
時の理論加速度αtを次式から算出する。この場合、無
風平坦路の余裕駆動力Uは、 U=F−R …(1) であり、この余裕駆動力Uは、 U=(1+φ)・W・α/g …(2) から算出される。但し、φ:Wr/W、W:車体総重
量、Wr:回転慣性部相当重量、g:重力加速度であ
り、車体加速度αv以外は固定値であるため、これらを
定数κとした場合、上式(1)(2)から、理論加速度
αtは、 αt=(F−R)/κ から算出することができる。
輪速演算部41で求めた平均車輪速Vaと、駆動力演算
部43で算出したエンジントルクと、現在の変速段とを
パラメータとして副駆動輪基本トルクマップ(図6、図
7参照)に基づき、副駆動輪基本トルクToを設定す
る。
で求めた推定加速度αoと理論加速度演算部45で求め
た理論加速度αtとを比較して、坂路走行か否かを調べ
る。すなわち、平坦路走行時は推定加速度αoと理論加
速度αtとは、ほぼ同じ値を示し(αo≒αv)、一方
登坂路走行時は推定加速度αoが理論加速度αt以下と
なる(αo<αv)。坂路判定部47では理論加速度α
tと推定加速度αoとの加速度差Δα(Δα=αt−α
o)が設定値以上の場合、坂路と判定する。
路判定部47での判定結果を読込み、登坂路と判定した
ときは、加速度差Δαに基づきトルク下限値マップを参
照して、副駆動輪トルク下限値T1を設定する。尚、こ
のトルク下限値マップは、加速度差Δαの増加にほぼ比
例して副駆動輪トルク下限値T1を増加させる特性を有
しており、この副駆動輪トルク下限値T1は加速度差Δ
αに応じた必要トルクの最小値が格納されている。
副駆動輪基本トルク演算部46で設定した副駆動輪基本
トルクToと副駆動輪トルク下限値設定部48で設定し
た副駆動輪トルク下限値T1とを読込み、副駆動輪トル
ク下限値T1が設定されているときは、当該副駆動輪ト
ルク下限値T1で副駆動輪トルクTを設定し(T←T
1)、対応する駆動信号をクラッチ制御弁17へ出力
し、トランスファクラッチ3の締結力を制御する。又、
副駆動輪トルク下限値T1の設定されてない平坦路走行
(及び降坂路走行)時には副駆動輪基本トルクToで副
駆動輪トルクTを設定し(T←To)、対応する駆動信
号をクラッチ制御弁17へ出力し、トランスファクラッ
チ3の締結力を制御する。
路面が登坂路か否かを、推定加速度αoと理論加速度α
tとの加速度差Δαに基づいて判定し、登坂路走行時は
加速度差Δαに基づいて副駆動輪トルクTを設定するよ
うにしたので、縦Gセンサを備えてない車両であって
も、後輪へ配分する伝達トルクを路面勾配に応じて適切
に設定することができる。
ものではなく、例えば第3実施の形態で設定する副駆動
輪トルク下限値T1は、舵角センサで検出した操舵角θ
stに応じて補正するようにしても良い。
路面勾配に応じて後輪への伝達トルクを増加させること
で、エンジンブレーキを有効に働かせることができる。
尚、この場合、ブレーキ動作時は4輪ロックを防止する
ため後輪側への伝達トルクを減少補正する。
副駆動輪へ伝達するトルクを必要以上に増加させること
なく、発進時を含む坂路走行時の主駆動輪のスリップを
確実に防止することができ、その結果、トルクを伝達す
るカップリング装置、及びこのカップリング装置に油圧
を供給するポンプ等の容量を縮小することができ、シス
テム全体の小型化が実現できる。
ることなく、既存のセンサを利用して路面勾配を検出す
ることができるので、部品点数を増加させることがな
く、コストアップを最小限に押さえることができる。
成図
ーチャート
ーチャート
ーチャート
明図
を示す説明図
ーチンを示すフローチャート
ロック図
プリング装置) 13L,13R 前輪(主駆動輪) 15L,15R 後輪(副駆動輪) 17 クラッチ制御弁(駆動手段) 22 舵角センサ 42 推定加速度演算部 46 副駆動輪基本トルク演算部 49 副駆動輪トルク設定部 F 駆動力 Gy 出力値 k1 勾配補正係数 k2 舵角補正係数 T 副駆動輪トルク T1’ 補正副駆動輪トルク下限値 To 副駆動輪基本トルク V 車速 Va 平均車輪速 θ 路面勾配 θst 操舵角 αo 推定加速度 αt 理論加速度 αv 車体加速度
Claims (7)
- 【請求項1】動力源の出力を主駆動輪へ直接伝達し副駆
動輪に対しては伝達トルク容量可変型カップリング装置
を介して伝達する4輪駆動車の駆動力配分装置におい
て、 車両の運転状態に基づき上記副駆動輪に伝達する基本ト
ルクを設定する副駆動輪基本トルク設定手段と、 車両に設けた前後加速度センサの出力値と車速に基づい
て求めた加速度とを比較して路面の勾配に対応する勾配
補正係数を求める路面勾配補正係数設定手段と、 上記基本トルクを上記勾配補正係数で補正して副駆動輪
トルクを設定する副駆動輪トルク設定手段と、 上記伝達トルク容量可変型カップリング装置に対し上記
副駆動輪トルクに対応する伝達トルクを発生させる駆動
手段とを備えることを特徴とする4輪駆動車の駆動力配
分装置。 - 【請求項2】動力源の出力を主駆動輪へ直接伝達し副駆
動輪に対しては伝達トルク容量可変型カップリング装置
を介して伝達する4輪駆動車の駆動力配分装置におい
て、 極低速運転時或いは停車時における車両に設けた前後加
速度センサの出力値に基づき路面勾配を求め該路面勾配
に基づき副駆動輪トルクを設定する副駆動輪トルク設定
手段と、 上記伝達トルク容量可変型カップリング装置に対し上記
副駆動輪トルクに対応する伝達トルクを発生させる駆動
手段とを備えることを特徴とする4輪駆動車の駆動力配
分装置。 - 【請求項3】動力源の出力を主駆動輪へ直接伝達し副駆
動輪に対しては伝達トルク容量可変型カップリング装置
を介して伝達する4輪駆動車の駆動力配分装置におい
て、 車両の運転状態に基づき上記副駆動輪に伝達する基本ト
ルクを設定する副駆動輪基本トルク設定手段と、 上記動力源の出力と予め設定されている車両諸元により
求めた駆動力とから車両の運動方程式に基づき平坦路走
行時の理論加速度を設定する理論加速度設定手段と、 車輪速度から推定加速度を算出する推定加速度設定手段
と、 上記車体加速度と上記推定加速度との比較により求めた
路面勾配に基づき副駆動輪トルクを設定する副駆動輪ト
ルク設定手段と、 上記伝達トルク容量可変型カップリング装置に対し上記
副駆動輪トルクに対応する伝達トルクを発生させる駆動
手段とを備えることを特徴とする4輪駆動車の駆動力配
分装置。 - 【請求項4】上記副駆動輪トルク設定手段では設定した
副駆動輪トルクを舵角センサで検出した操舵角に基づい
て設定した舵角補正係数で補正して補正副駆動輪トルク
を設定することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記
載の4輪駆動車の駆動力配分装置。 - 【請求項5】上記副駆動輪トルク設定手段で設定する副
駆動輪トルクは発進後減量補正されることを特徴とする
請求項1〜3の何れかに記載の4輪駆動車の駆動力配分
装置。 - 【請求項6】上記副駆動輪トルク設定手段で設定する補
正副駆動輪トルクは発進後減量補正されることを特徴と
する請求項4記載の4輪駆動車の駆動力配分装置。 - 【請求項7】上記舵角補正係数は操舵角に比例して減少
する特性を有することを特徴とする請求項4或いは6記
載の4輪駆動車の駆動力配分装置。
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