JP3817769B2 - 車両の車輪駆動力配分制御装置 - Google Patents

車両の車輪駆動力配分制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の主駆動輪および副駆動輪、通常は前後輪への、車輪駆動力を適切に配分制御する装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
原動機から主駆動輪(例えば前輪)に向かう動力の一部を、必要に応じて適宜、副駆動輪(例えば後輪)にも伝達するようにした車両の車輪駆動力配分制御装置としては従来、例えば特公平4−62896号公報に記載されているように、平坦路走行中は原動機からの動力を主駆動輪のみに伝達し、坂道走行になった時に原動機からの動力を主駆動輪のみならず、副駆動輪にも分配して伝えるようにした、パートタイム4輪駆動車が知られている。
【0003】
しかし、かかる従来の車輪駆動力配分制御技術のように、坂道において必ず4輪駆動状態にするというのでは、以下の問題を生ずる。
つまり、摩擦係数の高い坂道で転回や車庫入れなどのため、ステアリングホイールを大きく操舵した走行中において、当該パートタイム4輪駆動車が所謂、前後輪回転数差に起因したタイトコーナブレーキ現象を生じ、車両の走行がスムーズでなくなったり、最悪の場合、エンジンストール(エンスト)を生起する。
【0004】
かかる坂道でのタイトコーナブレーキ現象に関する問題を解消するためには、副駆動輪の駆動系に周知のビスカスカップリング(商品名)等の、前後輪回転数差吸収式の伝動要素を用いて、4輪駆動車を構成することが考えられる。
【0005】
この種の4輪駆動車においては、上記の伝動要素による前後輪回転数差吸収機能により、摩擦係数の高い坂道での大操舵時もタイトコーナブレーキ現象を生ずることがなくなるし、また、主駆動輪のスリップ、つまり副駆動輪との回転数差が大きくなるほど、上記の伝動要素が副駆動輪への伝達トルクを増大して、好適な4輪駆動状態を達成することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかして従来は、副駆動輪への伝達トルク特性が設計段階で一義的に決まってしまうため、以下の問題が発生するのを禁じ得ない。
つまり、主駆動輪のスリップ量(副駆動輪との回転数差)に対する副駆動輪への伝達トルクの増大割合が大きくなるよう設計されている場合、
主駆動輪の僅かなスリップで副駆動輪に大きなトルクが伝達されることとなり、結果として副駆動輪もスリップするに至り、4輪すべてが同時にスリップ状態になる可能性が高い。
【0007】
ここで、車輪スリップ率(車体速に対する車輪スリップ量の割合)と、車輪が路面との間に発生可能な駆動力(路面摩擦力)との関係は、図10に例示するごときものであることが知られており、上記のように4輪すべてが同時にスリップ状態になるということは、4輪すべてのスリップ率が同時に同図に示す適正範囲を越えた領域に入ることを意味する。従って、4輪すべての路面摩擦力が同時に、しかも著しく低下し、横傾斜路面などにおいて特に車両が運転者の意図するとは違う方向に動いて、運転者に不安を抱かせるといった問題を生ずる。
【0008】
逆に、主駆動輪のスリップ量(副駆動輪との回転数差)に対する副駆動輪への伝達トルクの増大割合が小さくなるよう設計されている場合、
主駆動輪の僅かなスリップでは副駆動輪に大きなトルクが伝達されないこととなり、副駆動輪がスリップする可能性は低く、4輪すべてが同時にスリップ状態になるといった上記の問題は生じないものの、
主駆動輪が図10の適正スリップ範囲を越えたスリップ状態になって初めて、つまり大きな駆動力を発揮できなくなって初めて、副駆動輪にトルクが伝達され始めることから、結果として4輪駆動状態でありながら、駆動力は2輪駆動と大差なく、4輪駆動によっても駆動力不足を解消しきれず、発進性能などの改善が見込めないといった別の問題を生ずる。
【0009】
本発明は、主駆動輪および副駆動輪間における回転速度差だけでなく、路面勾配に応じても、副駆動輪への駆動力分配を制御するよう構成して上述の問題を解消ずることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この目的のため第1発明による車輪駆動力配分制御装置は、請求項に記載のごとく、原動機から主駆動輪に向かう動力の一部を、主駆動輪のスリップ状態に応じ副駆動輪にも伝達するようにした車両において、副駆動輪の駆動系を、主駆動輪への動力により駆動される流体ポンプと、該ポンプの吐出流体を供給され、且つ、副駆動輪に駆動結合されて、主駆動輪および副駆動輪間の回転数差が大きくなるにつれて増大するトルクで副駆動輪を駆動する流体モータとで構成し、前記流体ポンプの吐出ポートおよび前記流体モータの流入ポート間に、登坂路の路面勾配が急になるにつれ開弁圧の高くなるリリーフ弁を接続して設けることにより、流体ポンプの吐出ポートおよび前記流体モータの流入ポート間における圧力に、路面勾配が急なほど高くなる上限値を設定したことにある。
【0011】
また、第2発明による車輪駆動力配分制御装置は、請求項に記載のごとく、上記第1発明において、副駆動輪の駆動トルクを、主駆動輪および副駆動輪間の回転数差が所定値以下の範囲では、登坂路の路面勾配に依らず前記回転数差が大きくなるにつれて増大させ、前記回転数差が所定値を超える範囲では、前記回転数差に依らず前記路面勾配の大きさに応じた大きさで一定の上限値になるよう構成したものである。
【0013】
更に第3発明による車輪駆動力配分制御装置は、請求項に記載のごとく、原動機から主駆動輪に向かう動力の一部を、主駆動輪のスリップ状態に応じ副駆動輪にも伝達するようにした車両において、副駆動輪の駆動系を、主駆動輪への動力により駆動される流体ポンプと、該ポンプの吐出流体を供給され、且つ、副駆動輪に駆動結合されて、主駆動輪および副駆動輪間の回転数差が大きくなるにつれて増大するトルクで副駆動輪を駆動する流体モータとで構成し、前記流体ポンプの吐出流体を、登坂路の路面勾配が大きくなるに従い、小さくなる開度で排除する可変オリフィスを設け、前記流体ポンプの吐出ポートおよび前記流体モータの流入ポート間における圧力に、前記路面勾配が急になるにつれ高くなる上限値を設定するリリーフ弁を設けたことにある。
【0014】
更に第発明による車輪駆動力配分制御装置は、請求項に記載のごとく、副駆動輪の駆動トルクを、主駆動輪および副駆動輪間の回転数差が所定値以下の範囲では、前記回転数差が大きくなるにつれて増大させると共に、該増大の割合を登坂路の路面勾配が急になるにつれて大きくなるように設定し、前記回転数差が所定値を超える範囲では、前記回転数差に依らず前記路面勾配の大きさに応じた大きさで一定の上限値になるよう構成したものである。
【0016】
【発明の効果】
かくして第3発明による車輪駆動力配分制御装置は、原動機から主駆動輪に向かう動力の一部を、主駆動輪のスリップ状態に応じ副駆動輪にも伝達するようにした車両において、副駆動輪の駆動系を、主駆動輪への動力により駆動される流体ポンプと、該ポンプの吐出流体を供給され、且つ、副駆動輪に駆動結合されて、主駆動輪および副駆動輪間の回転数差に応じたトルクで副駆動輪を駆動する流体モータとで構成し、前記流体ポンプの吐出流体を、前記路面勾配に応じた開度で排除する可変オリフィスを設けたことにより、路面勾配に応じて流体モータへの流体ポンプの吐出流体の供給量が適正に制御される。そして、第4発明による車輪駆動力配分制御装置は、副駆動輪の駆動トルクを、主駆動輪および副駆動輪間の回転数差が所定値以下の範囲では、前記回転数差が大きくなるにつれて増大させると共に、該増大の割合を登坂路の路面勾配が急になるにつれて大きくなるように設定し、前記回転数差が所定値を超える範囲では、前記回転数差に依らず前記路面勾配の大きさに応じた大きさで一定の上限値になるよう構成したことにより、摩擦係数や勾配の異なる路面を走行する場合であっても、スリップ率が適正範囲内にあるときに十分な駆動力が得られるので、スリップ率が適正範囲を超えることによって十分な駆動力が得られないということがなくなり(図10)、よって、常に安定して走行できるという効果を奏する。
【0017】
また、第1発明による車輪駆動力配分制御装置は、原動機から主駆動輪に向かう動力の一部を、主駆動輪のスリップ状態に応じ副駆動輪にも伝達するようにした車両において、副駆動輪の駆動系を、主駆動輪への動力により駆動される流体ポンプと、該ポンプの吐出流体を供給され、且つ、副駆動輪に駆動結合されて、主駆動輪および副駆動輪間の回転数差に応じたトルクで副駆動輪を駆動する流体モータとで構成し、前記流体ポンプの吐出ポートおよび前記流体モータの流入ポート間に、路面勾配が急になるにつれ開弁圧の高くなるリリーフ弁を接続して設けることにより、流体ポンプの吐出ポートおよび前記流体モータの流入ポート間における圧力に、路面勾配が急なほど高くなる上限値を設定したことにより、路面勾配に応じて流体モータへの流体ポンプの吐出流体の供給量が適正に制御される。そして、第2発明による車輪駆動力配分制御装置は、副駆動輪の駆動トルクを、主駆動輪および副駆動輪間の回転数差が大きくなるにつれて増大させると共に、副駆動輪の駆動トルクに上限値を設定し、該上限値を、路面勾配が急なほど高くなるよう構成したことにより、第1発明と同様な効果を奏する。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に従う車両用駆動装置を図面に基づいて説明する。
図1は、前輪駆動車駆動装置を適用して四輪駆動車とした場合の参考例を示す。
この図に示す四輪駆動車は、原動機としてのエンジン1によって発生した動力を変速機2を介して差動装置3に入力し、差動装置3の出力側には、主駆動輪としての前車輪5に駆動力を伝達する主駆動軸としての前車軸4を連結するとともに、流体ポンプとしての油圧ポンプ6をギアを介して連結してある。
【0023】
油圧ポンプ6は、前車軸4に連動して同期的に回転するものの、前車軸4の回転方向とは無関係に常に同じ吐出ポート6aから作動流体としての作動油を吐出する。この油圧ポンプ6としては、例えば吸込み絞り型のピストンポンプ等を用いることが好ましい。この油圧ポンプ6は、作動油の吐出流量が、回転速度に比例し、所定の回転速度になったとき最大吐出流量となり、それ以上の回転速度では変化せず、最大吐出流量で一定となる。
【0024】
油圧ポンプ6から吐出した作動油は、高圧流路としての高圧配管8Hを通り、流路切換弁9を介して流体モータとしての可変容量形ポンプモータ10に送り込まれる。この送り込まれた作動油は、その圧力に応じて可変容量形ポンプモータ10を作動させ、流路切換弁9及び低圧流路としての低圧配管8Lを介して油圧ポンプ6の吸込ポート6b側に戻される。
【0025】
流路切換弁9は、電磁式であり、油圧ポンプ6から吐出し高圧配管8Hを通過する作動油を、可変容量形ポンプモータ10の2つのポート10a,10bのいずれか一方に選択供給するために設けてある。この流路切換弁9によって作動油をポート10a,10bのいずれか一方に選択供給して、可変容量形ポンプモータ10の回転方向を変更することができ、これによって、副駆動輪としての後輪19は車両の前後進方向に駆動力を発生することができ、後輪19の回転方向を、前輪5の回転方向と同期的に切り換えることにより、車両の前進及び後進を円滑に行うことができる。
【0026】
具体的には、流路切換弁9が非通電状態のノーマル位置では、油圧ポンプ6の吐出ポート6a側のポートPを可変容量形ポンプモータ10のポートAに、油圧ポンプ6の吸込ポート6b側のポートTを可変容量形ポンプモータ10のポートBにそれぞれ接続し、一方、流路切換弁9が通電状態のオフセット位置では、油圧ポンプ6の吐出ポート6a側のポートPを可変容量形ポンプモータ10のポートBに、油圧ポンプ6の吸込ポート6b側のポートTを可変容量形ポンプモータ10のポートAにそれぞれ接続する。
【0027】
そして、流路切換弁9がノーマル位置をとる場合には、高圧配管8Hを通る作動油は、ポート10aから可変容量形ポンプモータ10に供給され、これによって、可変容量形ポンプモータ10を正回転させ、差動装置17を介して後輪19を前進する方向に駆動させ、可変容量形ポンプモータ10のポート10bから吐出させた作動油は、低圧配管8Lを通って油圧ポンプ6の吸込ポート6b側に戻される。
【0028】
一方、流路切換弁9がオフセット位置をとる場合には、高圧配管8Hを通る作動油は、ポート10bから可変容量形ポンプモータ10に供給され、これによって、可変容量形ポンプモータ10は逆回転し、差動装置17を介して後輪19を後進する方向に駆動させ、一方、ポート10aから吐出させた作動油は、低圧配管8Lを通じて油圧ポンプ6の吸込ポート6b側に戻される。
【0029】
可変容量形ポンプモータ10には、例えば斜板式のピストンモータ(ポンプ)を用いることが好ましく、この場合、その容量(厳密には吸込流量)の変更を、流路切換弁9の前記ポートTの近傍の低圧配管8Lに介挿したオリフィス11の両端に発生する差圧に基づいて作動する斜板駆動機構12が可変容量形ポンプモータ10に配置した斜板の傾転角を制御することによって行い、これによって、例えば、車速に応じた後車軸18に伝達される駆動トルクの配分比率の変更が可能になる。
【0030】
また、可変容量形ポンプモータ10の吸込流量は、前車軸4と後車軸18の回転数が等しい場合、油圧ポンプ6の吐出流量よりも大きく設定することが、油圧ポンプ6の吐出圧をほとんど上昇させず、エンジン1による油圧ポンプ6の駆動負荷を極めて小さくすることができる点で好ましく、このように設定することにより、前車軸4と後車軸18の回転数がほぼ等しくなるような通常の直進走行の場合には、ほぼ前輪だけで駆動させることができる。
【0031】
また、可変容量形ポンプモータ10の吐出流量を油圧ポンプ6の吐出流量よりも大きく設定したため、図4に示すように前車軸4と後車軸18の回転数差(以下、単に「回転数差」という。)ΔNと後車軸18の駆動トルク特性との関係において、後車軸18の駆動トルクの発生開始位置(立ち上がり)がオフセットされて、ある回転数差ΔNから立ち上がる。これにより、フル転舵付近で回転数差ΔNの発生により、前車軸4と後車軸18への内部循環トルクによるタイトコーナブレーキ現象の発生を抑えることができる。
【0032】
加えて、前輪5が、後輪19に対してタイヤ摩耗又は異径タイヤ装着等により小さい場合にも、回転数差ΔNが発生するが、この場合にも、前車軸4と後車軸18への内部循環トルクによるタイトコーナブレーキ現象の発生を抑えることができる。
【0033】
さらに、可変容量形ポンプモータ10の吐出流量をポンプ6の吐出流量より大きく設定したため、前車軸4と後車軸18の回転数が等しいときは、可変容量形ポンプモータ10が吸い込む作動油が不足して、キャビテーションを発生する場合があるが、この不足した作動油をリザーバータンク7側から低圧配管8Lを通じて補給してキャビテーションの発生を防止するため、高圧配管8Hと低圧配管8Lの間に、チェック弁15を配置した流量調整用配管14Aを接続してある。
【0034】
さらに、高圧配管8Hと低圧配管8Lの間には、流量調整用配管14Aに平行して配管14Bを配設してあり、この配管14Bに、高圧配管8Hを通過する作動油の圧力を制御するための可変オリフィス16Aを設けてある。
【0035】
この可変オリフィス16Aを調整することによって、油圧ポンプ6から吐出した作動油の、高圧配管8Hを通る圧力を所望の値に設定することができる。
可変オリフィス16Aは、前車軸4と後車軸18の間で生じる回転数差ΔNと、路面の勾配に応じて調整される。
【0036】
後車軸の駆動トルクの増大割合は、図4に示すように回転数差ΔNの増加とともに、また、路面の勾配が急になるとともに大きくなるようにする。
具体的には、図2に示すフローチャートのように、車両に設置した進行方向センサと路面傾斜角センサとによって、進行方向と路面傾斜角θとを検出し、これらの検出した信号を、図3に示すような傾斜角と可変オリフィス16Aのオリフィス径との関係がある場合に、この関係を予めインプットしてあるコントローラに入力し、このコントローラから、可変オリフィス16Aに、目標オリフィス径φに対応したオリフィス径になるように駆動指令を発し、オリフィス16Aのオリフィス径の開度を路面の勾配に応じて制御し、高圧配管8Hを通る圧力を適正にすることによって、路面の勾配に応じて必要な駆動トルクが後車軸18に伝達されることになる。
【0037】
油圧ポンプ6から可変容量ポンプモータ10へ伝達するトルクは、高圧配管8Hと低圧配管8Lとの間に介挿されたリリーフ弁13によって決定される油圧ポンプ6の最大吐出圧によって制限される。
【0038】
図1及び図4に参考例の特性を示す。
この第1実施例は、回転数差ΔNに対する副駆動軸の駆動トルクの立上り特性において、路面勾配に応じ可変オリフィス16Aのオリフィス径を変化させることにより、作動油のリーク量を増減し、路面勾配が大きくなるほど路面傾斜角センサ70により可変オリフィス16Aのオリフィス径を小さくして副駆動軸の駆動トルクの増大割合が大きくなるように設定したものである。このとき、路面勾配の大小にかかわらず、車両が走行する場合に、タイヤのスリップ率が常に適正範囲内にあるようにするため、発進時のタイヤの適正スリップ率に換算した適正回転数差ΔNの範囲内で、路面勾配に応じて十分な駆動力が得られるように副駆動軸の駆動トルクの増大割合が大きくなる特性とした。
このように構成することによって、以下に示す作用を示す。
【0039】
すなわち、車両が前進する方向に走行する場合には、図示しないアクセルペダルが踏み込まれ、変速機2は前進位置となるため、流路切換弁9はノーマル位置となり、流路切換弁9のポートPがポートAに接続される。
【0040】
エンジン1の駆動力は、変速機2、差動装置3を介して前車軸4及びポンプ6を駆動させ、前輪5で車両の駆動を行う一方、油圧ポンプ6から圧送された作動油は流路切換弁9のポートAから可変容量ポンプモータ10のポート10aに供給され、後車軸18を駆動させて、後輪19を前輪5と同一の前進方向へ駆動させる。
【0041】
一方、車両が後進する方向に走行する場合には、変速機2は後進位置となるため、流路切換弁9はオフセット位置になり、流路切換弁9のポートPがポートBに接続され、高圧配管8Hの圧油は可変容量ポンプモータ10のポート10bに供給され、後車軸18を駆動させて、後輪19を前輪5と同一の後進方向へ駆動させる。
【0042】
車両が前進又は後進する方向に走行する場合において、車両が乾燥路面等の高摩擦係数路を走行するときには、前後輪の回転数がほぼ等しくなって、油圧ポンプ6の吐出流量は可変容量ポンプモータ10の容量より低いため、油圧ポンプ6からの圧油は可変容量ポンプモータ10に吸収されて、可変容量ポンプモータ10はポンプとして作動するため、後車軸18には駆動トルクが伝達されず、前輪5のみによる二輪駆動状態で車両は走行することになる。
【0043】
一方、凍結路や降雪路のような低摩擦係数の路面での発進又は加速においては、まず前輪5が駆動するが、摩擦係数が低いため前輪5がスリップしたときには、前車軸4の回転数は後車軸18の回転数よりも大きくなる。
このように、前車軸4と後車軸18との回転数差によってポンプ6からの吐出流量が可変容量ポンプモータ10の吐出流量よりも大きくなると、可変容量ポンプモータ10はモータとして作動して後車軸への駆動トルクの伝達が開始され、車両は、前輪5及び後輪19の双方による四輪駆動状態で走行する。
【0044】
図1に示す駆動装置を適用した車両で、低摩擦係数の平坦路を走行する場合には、まず、前輪5が駆動するが、摩擦係数が低いため前輪5がスリップしがちであり、前車軸4の回転数は後車軸18の回転数よりも多くなる。
【0045】
このように、前車軸4と後車軸18の回転数差ΔNによって、ポンプ6からの吐出流量が可変容量ポンプモータ10の吐出流量よりも多くなると、可変容量ポンプモータ10はモータとして作動して後車軸19への駆動トルクの伝達が開始され、車両は前輪5及び後輪19による四輪駆動状態で走行することになる。
【0046】
普通の発進では回転数差ΔNは適正範囲内でアクセル操作が行われ、路面傾斜角が小さいa特性(図4)のため、後車軸18へ伝達される駆動トルクは小さいものの、路面傾斜角が小さいため、この小さな駆動トルクでも十分なタイヤ駆動力が得られ、これによって、車両はスムーズに発進することができる。
【0047】
次に、図1に示す駆動装置を適用した車両で、低摩擦係数の急勾配登坂路で発進する場合には、まず、前輪5が駆動するが、摩擦係数が低いため前輪5がスリップしがちであり、前車軸4の回転数は後車軸18の回転数よりも多くなる。
【0048】
平坦路と同様に、前車軸4と後車軸18の回転数差ΔNによって、ポンプ6からの吐出流量が可変容量ポンプモータ10の吐出流量よりも多くなると、可変容量ポンプモータ10はモータとして作動して後車軸19への駆動トルクの伝達が開始され、車両は前輪5及び後輪19による四輪駆動状態で走行することになる。
【0049】
このときの路面の勾配は大きいため、図4に示すように、路面の傾斜角が大の場合のb特性となるように可変オリフィス16Aを、そのオリフィス径が小さくなるように調整する。後車軸18への駆動トルクは、普通の発進では回転数差ΔNは適正範囲内でアクセル操作が行われ、路面傾斜角が大きい場合のb特性であるため、回転数差ΔNが適正範囲内で大きな駆動トルクが後車軸18へ伝達され、これによって、車両はスムーズに登坂発進することができる。
【0050】
また、第の実施例を図5に示すが、この図の駆動装置は、路面傾斜角センサ70により検知した路面傾斜角により、可変オリフィス16A及び可変リリーフ弁13Aの双方を作動させて後車軸18に伝達される駆動トルクを制御した場合の例であり、図6に示す特性のように路面傾斜角が大きくなるに従い、可変オリフィス16Aのオリフィス径を小さくし、可変リリーフ弁13Aのリリーフ圧を高くして、路面勾配が大きくなるにつれて、後車軸18の駆動トルクの増大割合が大きくなるように設定し、また、回転数差ΔNと後車軸18の駆動トルクとの関係については、ある回転数差ΔNまでは後車軸18の駆動トルクの増大割合が大きくなり、それを超える回転数差ΔNでは回転数差に依らず一定になるように設定したものである。
【0051】
また、第の実施例を図7に示すが、この図の駆動装置は、路面傾斜角センサ70により可変リリーフ弁13Aを作動させて後車軸18に伝達される駆動トルクを制御した場合の例であり、図8に示す特性のように路面勾配が大きくなるに従い、可変リリーフ弁13Aのリリーフ圧を高くし回転数差ΔNに対し路面勾配が大きくなるにつれて後車軸18の駆動トルクの増大割合が大きくなるように設定し、また、回転数差ΔNと後車軸18の駆動トルクとの関係については、適正範囲以上の回転数差ΔNでは、回転数差に依らず一定になるように設定したものである。
尚、第及び第の実施例は、共に第1の実施例と同様な効果がある。
【0052】
また、今回は流体圧で駆動する四輪駆動車の例で説明したが、副駆動輪の駆動トルクを回転数差ΔNで制御し、かつその回転数差ΔNに対する駆動トルクの関係を可変可能な駆動装置を有する四輪駆動車にも適用できることは言うまでもない。
【0053】
例えば、図9に示す参考例では、通常、駆動力はエンジン80からトランスミッション81、トランスファ82、プロペラシャフト83、ファイナルドライブ84、後輪87へと伝達される。
【0054】
ここで、低摩擦係数路などで後輪87がスリップした場合、前輪回転速度センサ92、後輪回転速度センサ93、路面勾配センサ94などの車両状態検出手段からの信号がコントローラ90に入力され、このコントローラ90の信号により、油圧ユニット91にてトランスファ82内の湿式多板クラッチ100への押し付け力として油圧(Pc)89を作用させ、駆動力をトランスファ82の湿式多板クラッチ100を介してプロペラシャフト85、ファイナルドライブ86、前輪88と伝達するように駆動力を制御した例である。
【0055】
尚、上述したところは、本発明の実施例の一部を示したにすぎず、請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 参考例を示す車両の車輪駆動力配分制御装置の概略構成図である。
【図2】 参考例のコントローラの制御フローチャート図である。
【図3】 参考例のコントローラに予めインプットされている傾斜角と可変オリフィスのオリフィス径との関係を示す図である。
【図4】 参考例において、路面の勾配に応じて、回転数差ΔNに対する後車軸の駆動トルクを制御したときの一例である。
【図5】 本発明の第実施例を示す車両の車輪駆動力配分制御装置の概略構成図である。
【図6】 第実施例において、路面の勾配に応じて、回転数差ΔNに対する後車軸の駆動トルクを制御したときの一例である。
【図7】 本発明の第実施例を示す車両の車輪駆動力配分制御装置の概略構成図である。
【図8】 第実施例において、路面の勾配に応じて、回転数差ΔNに対する後車軸の駆動トルクを制御したときの一例である。
【図9】 副駆動軸の駆動トルクを、回転数差ΔNに応じて可変制御できる四輪駆動車に適用した例である。
【図10】 一般的なタイヤのスリップ率とタイヤの駆動力特性とを示す図である。
【符号の説明】
1 エンジン
2 変速機
3 差動装置
4 前車軸
5 前輪
6 油圧ポンプ
6a 油圧ポンプの吐出ポート
6b 油圧ポンプの吸込ポート
7 リザーバータンク
8H 高圧配管
8L 低圧配管
9 流路切換弁
10 可変容量形ポンプモータ
10a,10b 可変容量形ポンプモータのポート
11 オリフィス
12 斜板駆動機構
13 リリーフ弁
13A 可変リリーフ弁
14A 流量調整用配管
14B 配管
15 チェック弁
16 オリフィス
16A 可変オリフィス
17 差動装置
18 後車軸
19 後輪
50 進行方向制御センサ
70 路面傾斜角センサ
72 コントローラ
80 エンジン
81 トランスミッション
82 トランスファ
83,85 プロペラシャフト
84,86 ファイナルドライブ
87 後輪
88 前輪
89 クラッチ制御圧
90 コントローラ
91 油圧ユニット
92 前輪回転速度センサ
93 後輪回転速度センサ
94 路面傾斜角センサー
100 湿式多板クラッチ

Claims (4)

  1. 原動機から主駆動輪に向かう動力の一部を、主駆動輪のスリップ状態に応じ副駆動輪にも伝達するようにした車両において、
    副駆動輪の駆動系を、主駆動輪への動力により駆動される流体ポンプと、該ポンプの吐出流体を供給され、且つ、副駆動輪に駆動結合されて、主駆動輪および副駆動輪間の回転数差が大きくなるにつれて増大するトルクで副駆動輪を駆動する流体モータとで構成し、
    前記流体ポンプの吐出ポートおよび前記流体モータの流入ポート間に、登坂路の路面勾配が急になるにつれ開弁圧の高くなるリリーフ弁を接続して設けることにより、流体ポンプの吐出ポートおよび前記流体モータの流入ポート間における圧力に、路面勾配が急なほど高くなる上限値を設定したことを特徴とする車両の車輪駆動力配分制御装置。
  2. 請求項1において、副駆動輪の駆動トルクを、主駆動輪および副駆動輪間の回転数差が所定値以下の範囲では、登坂路の路面勾配に依らず前記回転数差が大きくなるにつれて増大させ、前記回転数差が所定値を超える範囲では、前記回転数差に依らず前記路面勾配の大きさに応じた大きさで一定の上限値になるよう構成した車両の車輪駆動力配分制御装置。
  3. 原動機から主駆動輪に向かう動力の一部を、主駆動輪のスリップ状態に応じ副駆動輪にも伝達するようにした車両において、
    副駆動輪の駆動系を、主駆動輪への動力により駆動される流体ポンプと、該ポンプの吐出流体を供給され、且つ、副駆動輪に駆動結合されて、主駆動輪および副駆動輪間の回転数差が大きくなるにつれて増大するトルクで副駆動輪を駆動する流体モータとで構成し、
    前記流体ポンプの吐出流体を、登坂路の路面勾配が大きくなるに従い、小さくなる開度で排除する可変オリフィスを設け、
    前記流体ポンプの吐出ポートおよび前記流体モータの流入ポート間における圧力に、前記路面勾配が急になるにつれ高くなる上限値を設定するリリーフ弁を設けたことを特徴とする車両の車輪駆動力配分制御装置。
  4. 請求項において、副駆動輪の駆動トルクを、主駆動輪および副駆動輪間の回転数差が所定値以下の範囲では、前記回転数差が大きくなるにつれて増大させると共に、該増大の割合を登坂路の路面勾配が急になるにつれて大きくなるように設定し、前記回転数差が所定値を超える範囲では、前記回転数差に依らず前記路面勾配の大きさに応じた大きさで一定の上限値になるよう構成した車両の車輪駆動力配分制御装置。
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