JPH08258582A - 四輪駆動車 - Google Patents

四輪駆動車

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JPH08258582A
JPH08258582A JP6435095A JP6435095A JPH08258582A JP H08258582 A JPH08258582 A JP H08258582A JP 6435095 A JP6435095 A JP 6435095A JP 6435095 A JP6435095 A JP 6435095A JP H08258582 A JPH08258582 A JP H08258582A
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JP
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fluid pressure
wheel
vehicle
driven
driving force
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Application number
JP6435095A
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English (en)
Inventor
Masatsugu Yokote
正継 横手
Hideo Obara
英郎 小原
Kiyotaka Ozaki
清孝 尾崎
Masaji Owada
正次 大和田
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Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
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Publication date
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  • Arrangement And Mounting Of Devices That Control Transmission Of Motive Force (AREA)
  • Arrangement And Driving Of Transmission Devices (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】低摩擦係数路等での車両発進時の従動輪側への
伝達トルクの立ち上がり特性を改善して良好な駆動力配
分を行うことができる四輪駆動車を提供する。 【構成】エンジン1の駆動力を変速機2及び差動装置3
を介して前輪5L,5R 及びピストンポンプ6の回転軸6aに
伝達し、後輪9L,9R の差動装置7にピストンポンプ10の
回転軸10a を連結する。両回転軸6a,10a間に油圧多板ク
ラッチ12を介装し、この油圧多板クラッチの締結力をピ
ストンポンプ6の吐出口及びピストンポンプ10の吸込口
を連通する連通配管13のピストンポンプ6の吐出量とピ
ストンポンプ10の吸込量との差で生じる圧力で制御し、
連通配管13とタンクRTとの間に電磁比例流量制御弁15を
介装し、この制御弁をコントローラ16で脱輪等が生じて
車輪接地状態が異常であるときに閉側に制御し、連通配
管13内の圧力を上昇補正して、伝達トルクの立ち上がり
特性を急峻にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、主原動機の回転駆動
力を前輪及び後輪に伝達するようにした四輪駆動車に係
り、特に駆動力の伝達を流体圧伝動機構で行うようにし
た四輪駆動車に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の四輪駆動車にあっては、パート
タイム式のように手動で二輪駆動と四輪駆動とを選択す
る機械的な連結を切換える四輪駆動車の場合、その切換
え操作が面倒である他、タイトコーナーブレーキング現
象などの不具合を生じ乗用車には不向きである。これに
対してフルタイム式四輪駆動車はタイトコーナーブレー
キング現象は解消できるが、センタデフに差動制限装置
が必要となり装置が複雑になる。
【0003】そこで、従来、構成部材の重量軽減を図る
目的で、例えば特開平3−224830号公報に記載さ
れているものがある。この従来例は、図7に示すよう
に、前輪側差動装置3に油圧ポンプ6が連結されると共
に、後輪側差動装置7に油圧ポンプ10が連結され、両
油圧ポンプ6及び10の回転軸6a及び10aが油圧多
板クラッチ12を介して連結され、この油圧多板クラッ
チ12の締結力が油圧ポンプ6の吐出口6cと油圧ポン
プ10の吸入口6aとを連通する連通配管13の内圧に
よって制御され且つ連通配管13及びタンクRT間に伝
達トルクの上限を限定するリリーフ弁14が介装され、
さらにリリーフ弁14と並列に固定オリフィス20が接
続された構成を有する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来例の四輪駆動車にあっては、前進加速時には前輪と後
輪の回転数差によって前輪側の油圧ポンプ6の吐出流量
に対して後輪側の油圧ポンプ10の吸込流量が少なくな
ることにより、両者間を連通する連通配管13の圧力が
上昇し、これによって油圧多板クラッチ12の締結力が
増加して、後輪側に駆動トルクが伝達されるものである
が、この場合の後輪側への伝達トルクは、図8に示すよ
うに、車速をパラメータとする前輪及び後輪の回転数差
によって決まり、しかも伝達トルクの立ち上がり特性は
油圧多板クラッチ12に連通する連通配管12とタンク
RTとの間に介装された固定オリフィス20の流量特性
によって決まるので、車速が零即ち発進開始時の伝達ト
ルクの立ち上がり特性の回転数差に対する変化率が小さ
く、車速が増加するにつれて緩やかに変化率が上昇す
る。
【0005】このため、後輪側への伝達トルクの立ち上
がり特性は車速が変化しない限り変更されることはない
と共に、車両停車時即ち車速零の状態の伝達トルクの立
ち上がり特性が比較的緩やかに設定されており、且つ伝
達トルクの上限が設定されているため、例えば車両が雪
路、凍結路、降雨路等の低摩擦係数路面で発進する際
に、駆動輪となる前輪が凹部に嵌まっている場合などで
は、車速が零であるときの伝達トルクの立ち上がり特性
が比較的緩やかであるため、アクセルの踏込みによって
前輪の空転が増大し、これによりさらに摩擦係数が低下
することとなって、凹部からの脱出が困難となるという
未解決の課題がある。
【0006】そこで、本発明は、上記従来例の未解決の
課題に着目してなされたものであり、低摩擦係数路等で
の車両発進時の従動輪側への伝達トルクの立ち上がり特
性を改善して良好な駆動力配分を行うことができる四輪
駆動車を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1の発明に係る四輪駆動車は、主原動機によ
り駆動される駆動車軸と、該駆動車軸に連動して回転す
る駆動側流体圧吐出手段と、従動車軸に連動して回転す
る従動側流体圧吐出手段と、前記駆動側流体圧吐出手段
及び従動側流体圧吐出手段の回転数差により生じる流体
圧に応じた駆動力を前記駆動車軸から前記従動車軸に伝
達する駆動力制御手段とを備えた四輪駆動車において、
駆動輪の接地状態を検出する接地状態検出手段と、前記
駆動力制御手段の回転数差による流体圧を前記接地状態
検出手段の車輪接地状態に基づいて補正する流体圧補正
手段とを備えたことを特徴としている。
【0008】また、請求項2の発明に係る四輪駆動車
は、請求項1の発明において、前記駆動側流体圧吐出手
段及び従動側流体圧吐出手段は流体圧ポンプで構成さ
れ、且つ前記駆動力制御手段は駆動側流体圧ポンプの吐
出口が従動側吐出手段の吸込口を連通する連通流路と、
該連通流路の前記流体圧ポンプの回転数差により生じる
流体圧で締結力が制御される流体圧クラッチとを備えて
いることを特徴としている。
【0009】さらに、請求項3の発明に係る四輪駆動車
は、請求項1又は2の発明において、前記流体圧補正手
段が、前記駆動力制御手段の回転数差に応じた流体圧を
発生する配管に接続された電磁比例流量制御弁を有する
ことを特徴としている。さらにまた、請求項4の発明に
係る四輪駆動車は、請求項1の発明において、前記駆動
側流体圧吐出手段が回転方向にかかわらず一定方向に作
動流体を吐出する流体圧ポンプであり、前記従動側流体
圧吐出手段が流体圧ポンプモータ及びこれに連通された
前後進切換手段で構成され、前記駆動力制御手段が前記
流体圧ポンプの吐出口及び吸込口に前後進切換手段を介
して連通された流体圧ポンプモータであり、且つ前記駆
動力制御手段が前記流体圧ポンプの吐出口と前記前後進
切換手段の吸込口とを連通する高圧流路と、前記前後進
切換手段の吐出口と前記流体圧ポンプの吸込口とを連通
する低圧流路と、前記流体圧ポンプ及び前記前後進切換
手段間の伝達トルクの上限を規定するトルク制限手段
と、前記高圧流路と低圧流路を連通する連通通路に介挿
された低圧流路から高圧流路側への流体流れを許容する
逆止弁とで構成され、前記流体圧補正手段は前記逆止弁
と並列に介装された電磁比例流量制御弁であることを特
徴としている。
【0010】なおさらに、請求項5の発明に係る四輪駆
動車は、請求項1乃至4の発明において、前記流体圧補
正手段は、前記接地状態検出手段の接地状態検出値から
少なくとも何れか一輪が脱輪していると判断したとき
に、前記流体圧を上昇補正することを特徴としている。
また、請求項6の発明に係る四輪駆動車は、請求項1乃
至5の発明において、前記接地状態検出手段は、車輪と
車体との相対ストロークを検出するストロークセンサ
と、車速検出手段とで構成されていることを特徴として
いる。
【0011】
【作用】請求項1の発明においては、主原動機により駆
動される駆動車軸の回転によって駆動側流体圧吐出手段
から回転数に応じた流量の作動流体が吐出されると共
に、従動車軸の回転によって従動側流体圧吐出手段から
回転数に応じた作動流体が吐出され、両吐出量の差分の
圧力に応じて駆動力が従動車軸に伝達される。このと
き、接地状態検出手段で、駆動輪の接地状態を検出し、
この検出結果に基づいて流体圧補正手段で駆動輪の接地
状態が正常であるときには駆動力制御手段の回転数差に
よる流体圧を通常値に制御し、駆動輪の接地状態が異常
であるときには回転数差による流体圧を増加補正して、
従動輪側への伝達トルクの立ち上がりを急峻にする。
【0012】請求項2の発明においては、駆動車軸の回
転によって駆動側流体圧ポンプから吐出される作動流体
が連通流路を介して従動車軸の回転によって駆動される
従動側流体圧ポンプの吸込口に供給され、駆動側流体ポ
ンプの吐出量が等しいときには流体圧クラッチが非締結
状態に維持されて、従動車軸側への駆動力の伝達が遮断
されているが、従動側流体圧ポンプの吐出量以上となる
と、流体圧クラッチの締結力が増加して、従動車軸への
伝達トルクの立ち上がりが急峻となる。
【0013】請求項3の発明においては、前記駆動力制
御手段の回転数差に応じた流体圧を発生する配管に接続
された電磁比例流量制御弁を開いている方向から閉じる
方向に制御することにより、配管の圧力を上昇補正し
て、従動輪側への伝達トルクの立ち上がりを急峻にす
る。請求項4の発明においては、主原動機により駆動さ
れる駆動車軸の回転によって流体圧ポンプから回転速度
に応じた流量の作動流体が吐出され、これが高圧流路を
通じて前後進切換用切換弁の吸込口に供給され、この前
後進切換用切換弁で流体圧ポンプモータの吸込口を選択
し、選択された吸込口に高圧作動流体が供給される。こ
のとき、駆動車軸及び従動車軸の回転数差が小さいとき
には、伝達トルクは殆どなく二輪駆動状態を維持する
が、回転数差が大きくなるに従って、伝達トルクが大き
くなって四輪駆動状態に移行する。このとき、前後進切
換用切換弁によって前後進にかかわらず流体圧ポンプと
流体圧ポンプモータとの間を接続する高圧流路及び低圧
流路に流れる作動流体の圧力が入れ替わることを防止す
る。ここで、接地状態検出手段で検出する接地状態が正
常であるときには、電磁比例流量制御弁が開状態側に制
御されて、高圧流路側の圧力が抑制されるが、接地状態
が異常であるときには、電磁比例流量制御弁が閉状態側
に制御されて、高圧流路側の圧力が上昇し、従動輪側へ
の伝達トルクの立ち上がりを急峻にする。
【0014】請求項5の発明においては、流体圧補正手
段で、接地状態検出手段の接地状態検出値から少なくと
も何れか一輪が脱輪していると判断したときに、前記流
体圧を上昇補正して、従動輪側への伝達トルクの立ち上
がりを急峻にする。請求項6の発明においては、ストロ
ークセンサからの車輪と車体との相対ストロークと、車
速検出手段の車速検出値とから、低車速時の脱輪状態を
正確に検出する。
【0015】
【実施例】以下、この発明の実施例を図面に基づいて説
明する。図1はこの発明を前輪駆動車をベースとした四
輪駆動車に適用した場合の第1実施例を示す概略構成図
であって、図中、1は主原動機としてのエンジンであっ
て、このエンジン1の回転駆動力が変速機2を介して前
輪側差動装置3に入力され、この差動装置3の出力側に
駆動車軸としての前車軸4L,4Rを介して前輪5L,
5Rが連結されている。
【0016】前輪側差動装置3は、デファレンシャギヤ
ケース3aに形成されたリングギヤ3bが変速機2の出
力側に連結されたギヤ2aに噛合されて回転駆動され、
このディファレンシャルギヤケース3a内に形成された
一対のピニオンシャフト3cにピニオン3dが取付けら
れ、これらピニオン3dに一対のサイドギヤ3eが噛合
し、これらサイドギヤ3eに前車軸4が連結されてい
る。
【0017】また、ディファレンシャルギヤケース3a
のリングギヤ3bがこれに噛合するギヤ3f、これに連
結されたベベルギヤ3g、これに噛合するベベルギヤ3
hを介して駆動側流体吐出手段を構成する流体圧ポンプ
としての吸込口6bがリザーバタンクRTに接続された
吸入絞り型のピストンポンプ6の回転軸6aに連結さ
れ、このピストンポンプ6から前輪5の回転によって回
転軸6aが回転駆動されることにより、その回転数に応
じた吸込量及び吐出量が得られる。
【0018】さらに、後輪側には、後輪側差動装置7が
配設され、この差動装置7の出力側に従動車軸としての
後車軸8L,8Rを介して後輪9L,9Rが連結されて
いる。この後輪側差動装置7は、前述した前輪側差動装
置3と略同様の構成を有し、ディファレンシャルギヤケ
ース7a内に形成された一対のピニオンシャフト7cに
ピニオン7dが取付けられ、これらピニオン7dに一対
のサイドギヤ7eが噛合し、これらサイドギヤ7eに後
車軸8が連結され、この後車軸8に後輪9が連結されて
いる。
【0019】そして、ギヤケース7aに一体に形成され
たベベルギヤ7fがこれに噛合するベベルギヤ7gを介
して従動側流体吐出手段を構成する流体圧ポンプとして
の吐出口10cがタンクRTに接続された吸入絞り型の
ピストンポンプ10の回転軸10aに連結され、このピ
ストンポンプ10から後輪9の回転によって回転軸10
aが回転駆動されることにより、その回転数に応じた吸
込量及び吐出量が得られる。
【0020】また、ピストンポンプ6及び10の回転軸
6a及び10aが駆動力制御手段を構成する駆動力伝達
機構11によって連結されている。この駆動力伝達機構
11は、両回転軸6a及び10a間に介装された多板油
圧クラッチ12を備えていると共に、前述したピストン
ポンプ6の吐出口6c及びピストンポンプ10の吸込口
10b間を連通する連通配管13を有し、この連通配管
13の圧力が多板油圧クラッチ12に締結力制御圧とし
て供給される。ここで、連通配管13には、トルク制限
手段としての締結力制御圧の上限を定めるリリーフ弁1
4が介挿されている。
【0021】さらに、駆動力伝達機構11の連通配管1
3には、リリーフ弁14と並列に電磁比例流量制御弁1
5が配設されている。この電磁比例流量制御弁15は、
コントローラ16からの制御信号CSによって、制御信
号CSの電圧レベルに比例して流量が変化する。コント
ローラ16は、例えばマイクロコンピュータで構成さ
れ、その入力側に各前輪5L,5R及び各後輪9L,9
Rと車体側部材(図示せず)との間の相対変位を検出す
る接地状態検出手段としての例えばポテンショメータで
構成される車高センサ17L,17R及び18L,18
Rの車高検出値HFL, FR及びHRL,HRR及び車速を検
出する車速センサ19の車速検出値Vが入力され、これ
ら車高検出値HFL〜HRRに基づいて一輪の脱輪状態の有
無を判断し、これに応じて脱輪状態がないときに所定レ
ベルの制御信号CSを電磁比例流量制御弁15に出力
し、脱輪状態であるときに所定レベルより高レベルの制
御信号CSを電磁比例流量制御弁15に出力する。
【0022】次に、上記第1実施例の動作をコントロー
ラ16の処理手順の一例を示す図2のフローチャートを
伴って説明する。図2の制御処理は、イグニッションス
イッチのオン状態で所定の処理を開始するメインプログ
ラムに対する所定時間(例えば20msec)毎のタイ
マ割込処理として実行される。
【0023】この制御処理は、先ずステップS1で、車
速センサ19の車速検出値Vを読込み、次いでステップ
S2に移行して、車速検出値Vが予め設定された停車近
傍の設定車速VS 以下であるか否かを判定する。この判
定は、脱輪を生じて四輪駆動状態を強める必要がある状
態であるか否かを判定するものであり、V>VS である
ときには、通常走行状態であって、脱輪が走行状態に影
響をしないものと判断してステップS3に移行し、電磁
比例流量制御弁15に対して通常状態の比較的高レベル
となる所定レベルの制御信号CSを出力してからタイマ
割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰す
る。
【0024】一方、ステップS2の判定結果が、V≦V
S であるときには、脱輪が走行に影響を与えるものと判
断して、ステップS4に移行する。このステップS4で
は、車高センサ17L,17R及び18L,18Rの車
高検出値HFL, FR及びHRL,HRRを読込み、次いでス
テップS5に移行して、各車高検出値HFL, FR及びH
RL,HRRの何れかの車高検出値Hi (i=FL,FR、RL,
RR)が予め設定された脱輪状態を判断する脱輪判断閾値
S 以上であるか否かを判定し、全ての車高検出値Hi
が脱輪判断閾値HS 未満であるときには、脱輪が発生し
ていないものと判断して前記ステップS3に移行し、何
れかの車高検出値Hi が脱輪判断閾値H S 以上であると
きには、脱輪状態が発生しており、車輪がスタック状態
に移行し易いものと判断して、ステップS6に移行し
て、電磁比例流量制御弁15に対して所定レベルより低
い予め設定された低レベルの制御信号CSを出力してか
らタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに
復帰する。
【0025】なお、図2の処理が流体圧補正手段に対応
している。したがって、車両の停車状態でイグニッショ
ンスイッチをオン状態とすることにより、図2の処理が
実行開始される。このとき、前輪5L,5R及び後輪9
L,9Rが平坦な乾燥した舗装路等の高摩擦係数路上に
あるときには、車速センサ19の車速検出値Vが零であ
り、V≦VS となるので、ステップS2からステップS
4に移行して、各車高センサ17L,17R及び18
L,18Rの車高検出値HFL, FR及びHRL,HRRを読
込むが、これらの全てが脱輪判断閾値HS 以上とはなら
ないので、ステップS3に移行して、通常の所定レベル
の制御信号CSを電磁比例流量制御弁15に出力してか
らタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに
復帰する。
【0026】このように、電磁比例流量制御弁15に通
常の所定レベルの制御信号CSが出力されると、電磁比
例流量制御弁15の流量特性が定常流量特性に制御され
る。ところで、車両の停車状態では、前輪5L,5R及
び後輪9L,9Rが回転していないので、ピストンポン
プ6及び10が停止状態にあり、それらの吐出流量は零
となっていので、連通配管13の内圧も零となってお
り、油圧多板クラッチは解放状態となって、エンジン1
からの駆動力は前輪のみに伝達される二輪駆動状態とな
っている。
【0027】この状態で車両を発進させる場合には、高
摩擦係数路であるので、駆動輪となる前輪5L,5Rの
グリップ力が大きいので、二輪駆動状態で良好に車両を
発進させることができる。このように車両が発進する
と、前後輪5L,5R及び9L,9Rの回転によってピ
ストンポンプ6及び10が駆動されるが、両者の回転数
は略等しくなるため、ピストンポンプ6から吐出される
作動油の全量がピストンポンプ10に吸い込まれてタン
クRTに戻されることになり、連通配管13の内圧は略
零の状態を維持する。
【0028】ところが、雪路、凍結路、降雨路等の低摩
擦係数路面で走行を開始する場合には、駆動輪となる前
輪5L,5Rのグリップ力が小さくなるため、これら前
輪5L,5Rにスリップが生じることになり、前輪5
L,5Rの回転数は増加するが、後輪9L,9Rの回転
数は低い状態(極端な場合は停止状態)を維持すること
になるため、前輪側のピストンポンプ6の吐出量は前輪
回転数に応じて上昇するが、後輪側のピストンポンプ1
0の吸込量は小さい状態を維持するため、連通配管13
の内圧が上昇し、これに応じて油圧多板クラッチ12の
締結力が大きくなり、前輪側の駆動力がピストンポンプ
6の回転軸6a、油圧多板クラッチ12及びピストンポ
ンプ10の回転軸10aを介して後輪側に伝達されるこ
とにより、四輪駆動状態に移行する。
【0029】このとき、前述したように、車両が平坦な
路面に停車している場合には、制御信号CSのレベルが
通常の所定レベルとなっているので、電磁比例流量制御
弁15の絞り特性が大きく、通過流量が多いので、連通
配管13の油圧の立ち上がりは比較的緩やかに行われ、
このため、後輪側への伝達トルクは、図3の特性曲線L
0 で示すように、比較的緩やかに上昇される。
【0030】しかしながら、車両の停車状態や走行を開
始した直後の低車速時に前輪5L,5R及び後輪9L,
9Rの何れかが凹部に嵌まって、その車輪の車高検出値
iが脱輪判断閾値HS 以上となった場合には、図2の
処理が実行されたときに、ステップS5からステップS
6に移行することにより、通常の所定レベルより低い低
レベルの制御信号CSが電磁比例流量制御弁15に出力
される。このため、電磁比例流量制御弁15の絞り特性
が増大させて、通過流量が少なくなるため、連通配管1
3の油圧の立ち上がりが急峻となり、これに応じて後輪
側への伝達トルクは図3の特性曲線LA で示すように急
峻となり、二輪駆動状態から素早く四輪駆動状態に移行
する。このため、低摩擦係数路での発進時に前輪5L,
5R及び後輪9L,9Rの何れかが凹部に嵌まった場合
でも、前後輪の駆動力配分を良好に行って、車輪のスタ
ックを確実に防止することができ、良好な発進状態を確
保することができる。
【0031】その後、車輪が凹部から脱出して、車高検
出値Hi が脱輪判断閾値HS 未満に復帰するか、又は車
速Vが設定車速VS 以上となるとステップS3に移行し
て、比較的高い所定レベルの制御信号CSが電磁比例流
量制御弁15に出力されることにより、その絞り特性が
通常状態に復帰され、伝達トルクの立ち上がり特性が、
図3に示すように、前後輪の回転数差ΔNに対して緩や
かとなる通常状態に復帰する。
【0032】なお、車両の前進減速時には、前輪5L,
5Rの回転数が後輪9L,9Rの回転数に対して低下す
るので、図3に示すように伝達トルクは小さい状態とな
り、略二輪駆動状態となる。さらに、後進時にも、吸入
絞り型ピストンポンプ6及び10を使用している関係
で、回転数にかかわらず吐出口及び吸入口が変更されな
いので、前進時と同様の作用が得られる。
【0033】このように、上記第1実施例によると、前
後のピストンポンプ6及び10の回転軸6a及び10a
を連結するプロペラシャフトを必要とするが、ピストン
ポンプ6及び10と油圧多板クラッチ12と連通配管1
3を設けるだけの簡単な構成で二輪駆動状態から四輪駆
動状態に円滑に切換えることがででき、何れかの車輪が
凹部に嵌まって脱輪状態となる接地状態を検出したとき
に電磁比例流量制御弁15を閉じる方向に制御して、連
通配管13の圧力の立ち上がりを急峻として、従動輪側
への伝達トルクの立ち上がりを急峻とすることができ、
これによって低摩擦係数路で何れかの車輪が凹部に嵌ま
って脱輪状態となった場合でも、良好な駆動力配分を行
って、車輪スタックを生じることなく発進することがで
きる。
【0034】また、上記第1実施例のように、流体圧ポ
ンプとしてピストンポンプを適用する場合には、車輪の
回転方向に対して吐出口及び吸込口が反転することがな
いので、これらを切換えるための特別な手段を講じる必
要がない利点がある。次に、本発明の第2実施例を図4
を伴って説明する。この第2実施例は、駆動力制御手段
をプロペラシャフトを省略した流体圧電動機構で構成す
るようにしたものである。
【0035】すなわち、第2実施例は、図4に示すよう
に、前輪側差動装置3及び後輪側差動装置7が、図1の
構成における、前輪側差動装置3のギヤ3f,3gに代
えてデフケース3aに形成されたリングギヤ3h及びこ
れに噛合するギヤ3iを介して吸入絞り型ピストンポン
プ26の回転26aが連結された前輪側差動装置3と、
ベベルギヤ7f,7gに代えてリングギヤ7h及びこれ
に噛合するギヤ7iが適用され、ギヤ7iが斜板型可変
容量ポンプモータ30の回転軸30aに連結された後輪
側差動装置7とを備えている。
【0036】また、吸入絞り型ピストンポンプ26は、
その吸込口26bがリザーバタンクRT内に連通されて
いると共に、吐出口26cが高圧流路としての高圧配管
28Hを通じて前後進切換手段としての前後進切換用の
電磁方向切換弁29の吸入口となるポンプポートPに接
続されている。ここで、吸入絞り型ピストンポンプ26
は、回転軸6aの回転方向によって吸入口と吐出口とが
入れ替わることがなく、その吐出流量は、図5の特性曲
線L1 で示すように、回転速度が“0”から所定値V1
に達するまでの間では、回転速度の増加に比例して増加
し、所定値V1以上では最大吐出流量Q1MAXで飽和する
ように設定されている。
【0037】前後進切換用の電磁方向切換弁29は、ソ
レノイド29aが非通電状態であるノーマル位置で吸入
口となるポンプポートPを出力ポートAに、吐出口とな
るタンクポートTを出力ポートBに夫々連通し、ソレノ
イド29aが通電状態であるオフセット位置でポンプポ
ートPを出力ポートBに、タンクポートTを出力ポート
Aに夫々連通し、出力ポートA及びBが流体圧ポンプモ
ータとしての斜板型可変容量ポンプモータ30の吸入・
吐出口30a及び30bに接続されており、ノーマル位
置で高圧配管8Hの高圧油を可変容量ポンプモータ30
の吸入・吐出口30aに、低圧配管28Lを吸入・吐出
口30bに連通させて回転軸30cを前進走行時の回転
方向例えば左側面からみて時計方向に回転駆動し、逆に
オフセット位置で高圧配管28Hの高圧油を可変容量ポ
ンプモータ30の吸入・吐出口30bに、低圧配管28
Lを吸入・吐出口30aに連通させて回転軸30cを前
進走行時の回転方向例えば左側面からみて反時計方向に
回転駆動する。
【0038】なお、電磁方向切換弁29は、斜板型可変
容量ポンプモータ30に内蔵され、出力ポートA及びB
が配管を介することなくポンプモータ30の吸入・吐出
口30a及び30bに連結されている。また、電磁方向
切換弁29のソレノイド29aへの通電、ソレノイド2
9aが図示しないがシフトレバーで後進を選択したとき
に、オン状態となるシフト位置検出スイッチ29bを介
して直流電源29cに接続されることにより、前進走行
時には非通電状態に、後進走行時には通電状態に夫々制
御される。
【0039】この可変容量ポンプモータ30の流量は、
電磁方向切換弁29のタンクポートT近傍の低圧配管2
8Lに介挿された差圧検出用オリフィス31の両端に発
生する差圧で油圧シリンダ32aを含んで構成される斜
板可変機構32を制御することにより、図5で特性曲線
2 で示すように、回転速度がV1 に達するまでの間で
は回転速度の増加に比例して増加して回転速度V1 に達
したときに、ピストンポンプ26の最大吐出流量Q1MAX
より多い吐出流量Q2 となり、その後回転速度の増加に
伴って比較的緩やかに増加する。ここで、可変容量ポン
プモータ30の吐出流量とピストンポンプ26の吐出流
量とは、図5に示すように、同一車輪速度に対して可変
容量ポンプモータ10の吐出流量がピストンポンプ6の
吐出流量より多くなるように固有吐出流量、回転軸に連
結されたギヤのギヤ比が設定されている。
【0040】また、吸入絞り型ピストンポンプ26の吸
込口26b及び吐出口26c間にトルク制限手段として
のピストンポンプ26の吐出圧の上限を定めるリリーフ
弁33が介挿されていると共に、ピストンポンプ26及
び電磁方向切換弁29間における高圧配管28H及び低
圧配管28L間を連通する連通配管34Aに低圧配管2
8L側から高圧配管28H側への流体流れを許容する逆
止弁35が介挿されていると共に、連通配管34Aと並
列に配設された連通配管34Bに逆止弁35と並列関係
に電磁比例流量制御弁36が接続され、この電磁比例流
量制御弁36が第1実施例と同様にコントローラ16に
よって制御される。
【0041】次に、上記第2実施例の動作を説明する。
今、車両が平坦な乾燥路面等の高摩擦係数路で停車し
て、エンジン1がアイドリング状態にある制動状態で、
前進走行を開始する場合には、シフトレバーを前進走行
側に切換えることにより、発進可能状態とすることがで
きるが、このとき後進走行側のシフト位置検出スイッチ
29bはオフ状態を維持するため、前後進切換用電磁方
向切換弁29のソレノイド29aは非通電状態を維持し
て、切換位置が図1に示すノーマル位置を継続する。
【0042】この状態で、ブレーキペダルを解放してア
クセルペダルを踏込むことにより、エンジン1の回転力
が変速機2を介して前輪側差動装置3に伝達され、この
前輪側作動装置3で前輪5L,5Rを前進方向に回転駆
動することにより、前進を開始する。このとき、吸入絞
り型ピストンポンプ26の回転軸26aが左側面からみ
て時計方向に回転駆動されることにより、このピストン
ポンプ26から回転速度に応じた吐出流量の作動油が吐
出され、これが高圧配管28Hを介し、前後進切換用電
磁方向切換弁29を介して斜板型可変容量ポンプモータ
30の吸入・吐出口30aに供給される。
【0043】しかしながら、車両の発進により後輪9
L,9Rも前輪5L,5Rと同方向に同一回転速度で回
転駆動されるので、後輪側差動装置7を介して斜板型可
変容量ポンプモータ20の回転軸20cが左側面からみ
て時計方向に回転し、これによって吸入・吐出口30a
から作動油が吸入され、吸入・吐出口30bから作動油
が吐出される。ここで、吸入絞り型ピストンポンプ26
と斜板型可変容量ポンプモータ30の吐出流量は、図5
に示すように、同一回転速度Vr では、可変容量ポンプ
モータ30の吐出流量がピストンポンプ26に比較して
多くなるように設定されているので、ピストンポンプ2
6から吐出された高圧作動油は可変容量ポンプモータ3
0により吸い込まれしまうため、高圧配管28Hの圧力
は上がらない。
【0044】すなわち、可変容量ポンプモータ30は油
圧モータとして作用せず後輪9L,9Rに駆動力が伝達
されることはなく、前輪駆動車と同様な状態で前進走行
する。このとき、可変容量ポンプモータ30の吸入流量
は、ピストンポンプ26の吐出流量を上回ることになる
ため、不足分は低圧配管28L、連通配管34A、逆止
弁35を介して補給される。
【0045】このピストンポンプ26及び可変容量ポン
プモータ30の吐出流量差は、タイヤの摩耗による径変
化などにより生じる前後車軸4L,4R及び8L,8R
の回転数差を許容することにもなり、異径タイヤで生じ
る回転数差程度では駆動力は伝達されず、前輪駆動車状
態が維持され、燃費を悪化させることを抑制することが
できる。
【0046】次に、平坦な凍結路、降雪路等の低摩擦係
数路で発進する場合には、前述したように、先ず前輪5
L,5Rが回転駆動されるが、低摩擦係数路であるた
め、前輪5L,5Rがスリップして、前輪5L,5R及
び後輪9L,9Rとの間に前輪5L,5Rが高回転数と
なる回転数差が生じて、吸入絞り型ピストンポンプ26
の吐出流量が斜板型可変容量ポンプモータ30の吐出流
量を上回ることになると、可変容量ポンプモータ30の
抵抗が負荷となり高圧配管28Hの作動油圧が上昇する
ことになるため、可変容量ポンプモータ30が油圧モー
タとして作動することなって、高圧配管28Hの圧力に
応じた駆動力が後輪側差動装置7を介して後輪9L,9
Rに伝達される。
【0047】このとき、前述した第1実施例と同様に平
坦な路面では、電磁比例流量制御弁36に対して高レベ
ルとなる所定レベルの制御信号CSが供給されており、
その絞り特性が低く、通過流量が比較的多いので、後輪
9L,9R側に伝達されるトルクは、図6の特性曲線L
0 で示すように、前後輪にある回転数差が生じて初めて
発生し、回転数差が少ない内は比較的緩やかに増大し、
その後回転数差の増大と共に急増し、リリーフ弁33に
よる圧力制限によって最大トルクTMAX が規制されるこ
とになる。このトルク制限作用により、後輪側差動装置
7、ドライブシャフトなどの構成部材の強度を従来の四
輪駆動車に比べて下げることが可能となり、重量、燃
費、コストの低減を図ることができる。
【0048】また、後輪9L,9R側に伝達されるトル
クは、図6に示すように、低速時ほど少ない回転数差で
駆動力を発生し易い特性を有し、これは図2に示すよう
に、吸入絞り型ピストンポンプ26と斜板型可変容量ポ
ンプモータ30の吐出流量特性の固有域における流量
が、車輪速が高いほどその流量差が大きくなることによ
り起因している。この図2の流量特性とすることによ
り、流量差が高速になるほど大きくなるため四輪駆動に
なる必要のない高速走行時には四輪駆動車になりずらい
特性となり、図2において車輪速度が0〜Vr 間は車速
が大きいほどトルク立ち上がり回転数差が大きくなる
が、車輪速度がVr 以上ではトルクは生じない。
【0049】一方、車両の発進時又は発進直後の低車速
時に前輪5L,5R及び後輪9L,9Rの何れかが凹部
に嵌まって、脱輪状態となると、前述した第1実施例と
同様に、コントローラ16から低レベルの制御信号CS
が電磁比例流量制御弁36に出力されることにより、そ
の絞り特性が大きくなって、高圧配管28Hから低圧配
管28Lに漏れる流量が少なくなるため、高圧配管28
Hの圧力が上昇し、これによって後輪側への伝達トルク
は、図6の特性曲線LA で示すように、より急峻となっ
て、二輪駆動状態から素早く四輪駆動状態となり、適切
な駆動力配分によって車輪のスタックを確実に防止する
ことができる。
【0050】さらに、上記2実施例では、後輪側への駆
動力の伝達が油圧伝動機構で行われ、プロペラシャフト
を必要としないので、この分重量を大幅に低減させるこ
とができる。また、第2実施例では、差圧検出用オリフ
ィス31の前後の差圧を斜板可変機構32に導入して、
斜板型可変容量ポンプモータ30の吐出流量が増加して
オリフィス31の前後の差圧が大きくなると斜板型可変
容量ポンプモータ30の斜板角を変更して、図2に示す
ように、所定車輪速度V1 から可変容量ポンプモータ3
0の固有吐出量を減少させるようにしているので、過大
な流量増を抑制し、バルブや配管の大径化を行うことな
く、吐出流量増加に伴う油圧システムの引きずり抵抗
(配管抵抗などによる圧力損失)の増加やキャビテーシ
ョンの発生を抑制して、燃費悪化を避けることができ、
全体のシステムをより小型化することができる。
【0051】さらに、図6におけるトルクの立ち上がり
は、高圧配管28H及び低圧配管28Lを連通する連通
配管34Bに介挿された電磁比例流量制御弁36の通常
時の所定レベルを変更することにより、高圧配管28H
から低圧配管28Lへの漏れ量を管理し、圧力の立ち上
がりを変えることで特性を任意に設定可能である。そし
て、オリフィスが有する作動油の粘性変化に伴う温度特
性により高温時に比べて低温時は漏れ量が減り駆動力が
発生し易い特性になるため、四輪駆動車としての機能を
要求される機会の多い冬期に四輪駆動になり易くなると
いう利点がある。
【0052】次に、車両を後進させる場合には、シフト
レバーを後進位置に切換えることにより、シフト位置検
出スイッチ29bがオン状態となるため、前後進切換用
電磁方向切換弁29のソレノイド29aが通電状態とな
り、切換位置がノーマル位置からオフセット位置に切換
えられ、これによって高圧配管28Hの作動油を斜板型
可変容量ポンプモータ30の吸入・吐出口30bに供給
し、吸入・吐出口30aから吐出される作動油を低圧配
管8L側に戻すことにより、可変容量ポンプモータ30
の回転軸30cを前進走行時とは逆転させて、後輪9
L,9Rを逆回転させる。このため、後進時において
も、駆動力の伝達については前進時と全く同様であり、
前輪5L,5Rがスリップして前後車軸4L,4R及び
8L,8Rにある回転数差が生じた時のみ高圧配管28
Hに圧力が発生し、駆動力が後輪9L,9Rに伝達され
ると共に、前後車軸4L,4R及び8L,8Rの回転数
差が小さい場合における斜板型可変容量ポンプモータ3
0の吸入量不足分は低圧配管28L、連通配管34A及
び逆止弁35を介して補給される。
【0053】このとき、前輪側の吸入絞り型ピストンポ
ンプ26は、前述したように、回転方向が逆転してもポ
ンプの吸入口と吐出口とが入れ替わることはないと共
に、前後進切換用電磁方向切換弁29が可変容量ポンプ
モータ30に内蔵されているため、高価な高耐圧配管は
高圧配管28Hに使用するだけで済むと共に、リリーフ
弁33、逆止弁35、電磁比例流量制御弁36なども一
方向の流れのみに対応できるように設ければよいので、
他の方式のポンプを用いた場合に比べて油路構成を極め
て簡略化することができる。
【0054】また、前輪駆動車ベースのアンチスキッド
制御装置装着車においては、制動時に前輪の回転数は後
輪の回転数より小さくなるため、油圧伝達機構による駆
動力は発生されず、アンチスキッド制御装置との干渉を
小さくすることができる利点がある。なお、上記第1及
び第2実施例においては、圧力補正手段として、電磁比
例流量制御弁15,36を適用した場合について説明し
たが、これに限定されるものではなく、絞り特性の異な
る2つのオリフィスを2ポート2位置電磁方向切換弁で
選択するようにしてもよく、或いは絞り特性の異なる2
つのオリフィスを並列に接続し、これらの一方に開閉弁
を介装して、絞り特性を変更するようにしてもよい。
【0055】また、上記第1及び第2実施例において
は、接地状態検出手段として、車高センサ17L,17
R、18L,18Rを適用した場合について説明した
が、これに限定されるものではなく、各車輪位置の路面
と車体との距離を測定する超音波距離計、レーザ距離計
等の距離センサを適用することもできる。
【0056】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の発明に
よれば、主原動機により駆動される駆動車軸の回転によ
って駆動側流体圧吐出手段から回転数に応じた流量の作
動流体が吐出されると共に、従動車軸の回転によって従
動側流体圧吐出手段から回転数に応じた作動流体が吐出
され、両吐出量の差分の圧力に応じて駆動力が従動車軸
に伝達されるが、接地状態検出手段で、駆動輪の接地状
態を検出し、この検出結果に基づいて流体圧補正手段で
駆動輪の接地状態が正常であるときには駆動力制御手段
の回転数差による流体圧を通常値に制御し、駆動輪の接
地状態が異常であるときには回転数差による流体圧を増
加補正して、従動輪側への伝達トルクの立ち上がりを急
峻にすることができ、低摩擦係数路での脱輪状態であっ
ても適切な駆動力配分を行って、車輪のスタックを確実
に防止して、良好な走行状態を確保することができると
いう効果が得られる。
【0057】また、請求項2の発明によれば、駆動車軸
の回転によって駆動側流体圧ポンプから吐出される作動
流体が連通流路を介して従動車軸の回転によって駆動さ
れる従動側流体圧ポンプの吸込口に供給され、駆動側流
体ポンプの吐出量が等しいときには流体圧クラッチが非
締結状態に維持されて、従動車軸側への駆動力の伝達が
遮断されているが、従動側流体圧ポンプの吐出量以上と
なると、流体圧クラッチの締結力が増加して、従動車軸
への伝達トルクの立ち上がりを急峻とすることができ、
請求項1の発明と同様の効果を発揮することができると
共に、簡易な構成で四輪駆動車を構成することができる
という効果も得られる。
【0058】さらに、請求項3の発明によれば、請求項
1又は2の発明において、前記駆動力制御手段の回転数
差に応じた流体圧を発生する配管に接続された電磁比例
流量制御弁を開いている方向から閉じる方向に制御する
ことにより、配管の圧力を上昇補正して、従動輪側への
伝達トルクの立ち上がりを急峻にすることができ、簡易
な構成で圧力補正を行うことができるという効果が得ら
れる。
【0059】さらにまた、請求項4の発明によれば、主
原動機により駆動される駆動車軸の回転によって流体圧
ポンプから回転速度に応じた流量の作動流体が吐出さ
れ、これが高圧流路を通じて前後進切換用切換弁の吸込
口に供給され、この前後進切換用切換弁で流体圧ポンプ
モータの吸込口を選択し、選択された吸込口に高圧作動
流体が供給され、接地状態検出手段で検出する接地状態
が正常であるときには、高圧流路及び低圧流路間に介装
した電磁比例流量制御弁が開状態側に制御されて、高圧
流路側の圧力が抑制されるが、接地状態が異常であると
きには、電磁比例流量制御弁が閉状態側に制御されて、
高圧流路側の圧力が上昇し、従動輪側への伝達トルクの
立ち上がりを急峻にすることができ、請求項1と同様の
効果を得ることができると共に、駆動車軸及び従動車軸
間にプロペラシャフトを必要としないので、軽量化を図
ることができるという効果も得られる。
【0060】なおさらに、請求項5の発明によれば、流
体圧補正手段で、接地状態検出手段の接地状態検出値か
ら少なくとも何れか一輪が脱輪していると判断したとき
に、前記流体圧を上昇補正して、従動輪側への伝達トル
クの立ち上がりを急峻にするので、車輪のスタックを確
実に防止することができるという効果が得られる。ま
た、請求項6の発明によれば、ストロークセンサからの
車輪と車体との相対ストロークと、車速検出手段の車速
検出値とから、低車速時の脱輪状態を正確に検出するこ
とができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示す概略構成図である。
【図2】第1実施例のコントローラの処理手順の一例を
示すフローチャートである。
【図3】第1実施例の前後車軸回転数差と伝達トルクと
の関係を示す特性線図である。
【図4】本発明の第2実施例を示す概略構成図である。
【図5】第2実施例に適用した吸入絞り型ピストンポン
プ及び斜板型可変容量ポンプモータの吐出流量特性を示
す特性線図である。
【図6】第2実施例の前後車軸回転数差と伝達トルクと
の関係を示す特性線図である。
【図7】従来例を示す概略構成図である。
【図8】従来例の前後車軸回転数差と伝達トルクとの関
係を示す特性線図である。
【符号の説明】
1 エンジン 2 変速機 3 前輪側差動装置 4L,4R 前車軸 5L,5R 前輪 6 吸込絞り型ピストンポンプ 8L,8R 後車軸 9L,9R 後輪 10 吸入絞り型ピストンポンプ 12 油圧多板クラッチ 13 連通配管 15 電磁比例流量制御弁 16 コントローラ 17L,17R 前輪側車高センサ 18L,18R 後輪側車高センサ 19 車速センサ 26 吸込絞り型ピストンポンプ 28H 高圧配管 28L 低圧配管 29 前後進切換用電磁方向切換弁 30 斜板型可変容量ポンプモータ 36 電磁比例流量制御弁
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大和田 正次 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主原動機により駆動される駆動車軸と、
    該駆動車軸に連動して回転する駆動側流体圧吐出手段
    と、従動車軸に連動して回転する従動側流体圧吐出手段
    と、前記駆動側流体圧吐出手段及び従動側流体圧吐出手
    段の回転数差により生じる流体圧に応じた駆動力を前記
    駆動車軸から前記従動車軸に伝達する駆動力制御手段と
    を備えた四輪駆動車において、駆動輪の接地状態を検出
    する接地状態検出手段と、前記駆動力制御手段の回転数
    差による流体圧を前記接地状態検出手段の車輪接地状態
    に基づいて補正する流体圧補正手段とを備えたことを特
    徴とする四輪駆動車。
  2. 【請求項2】 前記駆動側流体圧吐出手段及び従動側流
    体圧吐出手段は流体圧ポンプで構成され、且つ前記駆動
    力制御手段は駆動側流体圧ポンプの吐出口が従動側吐出
    手段の吸込口を連通する連通流路と、該連通流路の前記
    流体圧ポンプの回転数差により生じる流体圧で締結力が
    制御される流体圧クラッチとを備えていることを特徴と
    する請求項1記載の四輪駆動車。
  3. 【請求項3】 前記流体圧補正手段は、前記駆動力制御
    手段の回転数差に応じた流体圧を発生する配管に接続さ
    れた電磁比例流量制御弁を有することを特徴とする請求
    項1又は2記載の四輪駆動車。
  4. 【請求項4】 前記駆動側流体圧吐出手段が回転方向に
    かかわらず一定方向に作動流体を吐出する流体圧ポンプ
    であり、前記従動側流体圧吐出手段が流体圧ポンプモー
    タ及びこれに連通された前後進切換手段で構成され、前
    記駆動力制御手段が前記流体圧ポンプの吐出口及び吸込
    口に前後進切換手段を介して連通された流体圧ポンプモ
    ータであり、且つ前記駆動力制御手段が前記流体圧ポン
    プの吐出口と前記前後進切換手段の吸込口とを連通する
    高圧流路と、前記前後進切換手段の吐出口と前記流体圧
    ポンプの吸込口とを連通する低圧流路と、前記流体圧ポ
    ンプ及び前記前後進切換手段間の伝達トルクの上限を規
    定するトルク制限手段と、前記高圧流路と低圧流路を連
    通する連通通路に介挿された低圧流路から高圧流路側へ
    の流体流れを許容する逆止弁とで構成され、前記流体圧
    補正手段は前記逆止弁と並列に介装された電磁比例流量
    制御弁であることを特徴とする請求項1記載の四輪駆動
    車。
  5. 【請求項5】 前記流体圧補正手段は、前記接地状態検
    出手段の接地状態検出値から少なくとも何れか一輪が脱
    輪していると判断したときに、前記流体圧を上昇補正す
    ることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の四
    輪駆動車。
  6. 【請求項6】 前記接地状態検出手段は、車輪と車体と
    の相対ストロークを検出するストロークセンサと、車速
    検出手段とで構成されていることを特徴とする請求項1
    乃至5の何れかに記載の四輪駆動車。
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