JPH11278082A - 車両用トルク配分クラッチの制御装置 - Google Patents

車両用トルク配分クラッチの制御装置

Info

Publication number
JPH11278082A
JPH11278082A JP8730798A JP8730798A JPH11278082A JP H11278082 A JPH11278082 A JP H11278082A JP 8730798 A JP8730798 A JP 8730798A JP 8730798 A JP8730798 A JP 8730798A JP H11278082 A JPH11278082 A JP H11278082A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
torque
torque distribution
control
vehicle
clutch
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP8730798A
Other languages
English (en)
Inventor
Mitsuru Oba
充 大葉
Koichi Suzuki
浩一 鈴木
Takashi Yamamoto
貴史 山本
Katsuji Yamashita
勝司 山下
Akihiko Ikeda
暁彦 池田
Muneyoshi Igaki
宗良 井垣
Manabu Takada
学 高田
Takeshi Sakai
剛 坂井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP8730798A priority Critical patent/JPH11278082A/ja
Publication of JPH11278082A publication Critical patent/JPH11278082A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Arrangement And Driving Of Transmission Devices (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 車両の燃費やトルク配分クラッチの耐久性が
高められる車両用トルク配分クラッチの制御装置を提供
する。 【解決手段】 トルク配分クラッチ制御手段120によ
り、走行抵抗関連量算出手段276により算出された走
行抵抗関連量であるマップ値Mtindf (V)に基づいて
電磁クラッチ30の伝達トルクtr (=tref が制
御されるので、車両の燃費やトルク配分クラッチの耐久
性が高められる。すなわち、トルク配分クラッチ制御手
段120は、電磁クラッチ30の入力トルクtinが減少
するほどその電磁クラッチ30の伝達トルクtr (=t
ref )を零に向かって減少させるものであるため、入力
トルクtinがマップ値Mtindf (V)より大きい場合に
は電磁クラッチ30を介して大きなトルクが分配されて
加速性能が高められる一方で、入力トルクtinがマップ
値Mtindf (V)より小さい場合には電磁クラッチ30
における係合負荷が抑制されて車両の燃費やトルク配分
クラッチの耐久性が一層高められる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、原動機から複数の
車輪へそれぞれ伝達されるトルクの割合を調節するため
に車両の動力伝達経路に設けられたトルク配分クラッチ
を備える車両において、そのトルク配分クラッチの伝達
トルクを制御する装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】原動機から複数の車輪へ向かう動力伝達
経路に直列的に設けられたり、或いはその動力伝達経路
の差動歯車装置に対して並列的に設けられたトルク配分
クラッチを備え、各車輪へ伝達されるトルクの割合が調
節される形式の車両が知られている。たとえば、エンジ
ンと前輪差動歯車装置或いは後輪差動歯車装置との間に
直列に設けられたトルク配分用クラッチを有する4輪駆
動車、差動制限のために差動歯車装置に並列に設けられ
た差動制限クラッチを有する4輪駆動車などがそれであ
る。上記のトルク配分クラッチは、通常走行、発進走行
時などにおいて車両状態に応じたトラクションを得るこ
とや、荷重移動により変化する車両の重量配分に応じた
車輪の駆動力を得ることなどを目的とするトルク配分制
御に用いられる。
【0003】このような車両においては、エンジン出力
および前後輪の回転速度差に応じたトルク配分クラッチ
の伝達トルクが得られるように、スロットル開度および
前後輪の回転速度差に基づいて前後輪の駆動力配分が制
御される。たとえば、特開平3−37424号公報に記
載された駆動力配分制御装置がそれである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の駆動力配分制御装置によれば、車両の重量配分に応
じた車輪の駆動力を得るために常時トルク配分クラッチ
を介してトルクを伝達させていることから、たとえ定常
的な走行状態であっても、車速に応じて増加する走行抵
抗(ころがり抵抗や空気抵抗など)により駆動トルクが
必要となって、トルク配分クラッチにはある程度の伝達
トルクが出力されるため、車両の燃費やトルク配分クラ
ッチの耐久性が低下するという不都合があった。また、
トルク配分クラッチの入出力回転速度差に応じた大きさ
となるようにトルク配分クラッチの伝達トルクを制御す
る場合には、車輪の径差に起因する入出力回転速度差の
誤差に対応した伝達トルク制御のずれにより、トルク配
分制御精度が得られないという不都合があった。また、
制動操作の検出がスイッチや回路の故障などの何らかの
原因によって正常に行われない場合には、制動時のトル
ク配分制御が開始されなくてたとえば通常のトルク配分
制御が終了しないので、ABS制御に関連してトルク配
分クラッチの入出力回転速度差が大きくなってトルク配
分クラッチの伝達トルクが過大になり、ABS性能の低
下やトルク配分クラッチの発熱が発生するという不都合
が発生する。また、たとえば左右の旋回走行が繰り返し
行われるワインディング或いはスラローム走行におい
て、旋回走行時のトルク配分制御を実行する旋回走行時
制御と直進走行時のトルク配分制御を実行する通常走行
時制御とが短時間内に繰り返し選択されるという不都合
があった。また、凍結路や圧雪路などの路面摩擦抵抗が
低い路面を直進走行から旋回走行へ移る場合において、
前輪のスリップ率が高くなって路面グリップ力が低下す
るため、コーナリングフォースが充分に発生せず、アン
ダーステア傾向が大きくなるとともに旋回応答性が低下
するという不都合があった。また、従来の装置では、車
両の複数種類の走行状態に適したトルク配分制御が選択
されないため、種々の走行条件において必ずしも充分な
走行性能が得られなかった。
【0005】本発明は以上の事情を背景として為された
ものであり、その第1の目的とするところは、車両の燃
費やトルク配分クラッチの耐久性が高められる車両用ト
ルク配分クラッチの制御装置を提供することにある。ま
た、本発明の第2の目的とするところは、車輪の径差に
よるトルク配分クラッチの入出力回転速度誤差に起因す
る、回転速度差に対応した伝達トルク制御のずれのない
車両用トルク配分クラッチの制御装置を提供することに
ある。また、第3の目的とするところは、制動操作の検
出が何らかの原因によって正常に行われず、制動時のト
ルク配分制御が開始されない場合でも、ABS性能の低
下やトルク配分クラッチの発熱が発生することのない車
両用トルク配分クラッチの制御装置を提供することにあ
る。また、第4の目的とするところは、たとえば左右の
旋回走行が繰り返し行われるワインディング或いはスラ
ローム走行において、旋回走行時のトルク配分制御を実
行する旋回走行時制御と直進走行時のトルク配分制御を
実行する通常走行時制御とが短時間内に繰り返し選択さ
れることのない車両用トルク配分クラッチの制御装置を
提供することにある。また、第5の目的とするところ
は、凍結路や圧雪路などの路面摩擦抵抗が低い路面であ
っても、操舵初期における車両の旋回応答性の高い車両
用トルク配分クラッチの制御装置を提供することにあ
る。また、第6の目的とするところは、車両の複数種類
の走行状態に応じた複数種類のトルク配分制御が自動的
に選択される車両用トルク配分クラッチの制御装置を提
供することにある。
【0006】
【課題を解決するための第1の手段】本発明者等は、以
上の事情を背景として種々検討を重ねた結果、すなわ
ち、4輪駆動車両の略直進走行且つ定速走行の場合にお
いては、車両の走行抵抗に対応する大きさよりも小さな
駆動トルクで走行する場合には、車両の加速性能を向上
させるための重量配分相当の駆動トルクが前後輪に配分
されることは何ら必要はないため、燃費や耐久性を高め
るためにはむしろトルク配分クラッチを開放させた方が
よいという事実を見いだした。本発明はかかる知見に基
づいて為されたものである。
【0007】すなわち、前記第1目的を達成するための
第1発明の要旨とするところは、原動機から複数の車輪
へそれぞれ伝達されるトルクの割合を調節するトルク配
分クラッチを備える車両において、所定のトルク配分が
得られるようにそのトルク配分クラッチの伝達トルクを
制御する車両用トルク配分クラッチの制御装置であっ
て、(a) 前記車両の走行抵抗に関連する走行抵抗関連量
を算出する走行抵抗関連量算出手段と、(b) その走行抵
抗関連量算出手段により算出された走行抵抗関連量に基
づいて、前記トルク配分クラッチの伝達トルクを制御す
るトルク配分クラッチ制御手段とを、含むことにある。
【0008】
【第1発明の効果】このようにすれば、トルク配分クラ
ッチ制御手段により、走行抵抗関連量算出手段により算
出された走行抵抗関連量に基づいてトルク配分クラッチ
の伝達トルクが制御されるので、車両の燃費やトルク配
分クラッチの耐久性が高められる。
【0009】
【課題を解決するための第2の手段】また、前記第1目
的を達成するための第2発明の要旨とするところは、前
記トルク配分クラッチ制御手段は、前記トルク配分クラ
ッチの入力トルクが減少するほど前記トルク配分クラッ
チの伝達トルクを零に向かって減少させるものであるこ
とを特徴とする。
【0010】
【第2発明の効果】このようにすれば、トルク配分クラ
ッチ制御手段は、トルク配分クラッチの入力トルクが減
少するほど前記トルク配分クラッチの伝達トルクを零に
向かって減少させるものであるため、入力トルクが大き
い場合にはトルク配分クラッチを介して大きなトルクが
分配されて加速性能が高められる一方で、入力トルクが
小さい場合にはトルク配分クラッチにおける負荷が抑制
されて車両の燃費やトルク配分クラッチの耐久性が一層
高められる。
【0011】
【課題を解決するための第3の手段】また、前記第2目
的を達成するための第3発明の要旨とするところは、原
動機から複数の車輪へそれぞれ伝達されるトルクの割合
を調節するトルク配分クラッチを備える車両において、
所定のトルク配分が得られるようにそのトルク配分クラ
ッチの伝達トルクを制御する車両用トルク配分クラッチ
の制御装置であって、(a) 前記トルク配分クラッチの入
力側回転体および出力側回転体の実際の回転速度差を算
出する回転速度差算出手段と、(b) 車輪径差に関連した
誤差を除去するためにその回転速度差算出手段により算
出された回転速度差を補正する回転速度差補正手段と、
(c) 前記回転速度差算出手段により算出された実際の回
転速度差と前記回転速度差補正手段により補正された補
正後の回転速度差とに基づいて、前記トルク配分クラッ
チの伝達トルクを制御するトルク配分クラッチ制御手段
とを、含むことにある。
【0012】
【第3発明の効果】このようにすれば、トルク配分クラ
ッチ制御手段により、回転速度差算出手段により算出さ
れた実際の回転速度差と前記回転速度差補正手段により
補正された補正後の回転速度差とに基づいてトルク配分
クラッチの伝達トルクが制御されるため、トルク配分ク
ラッチの入力側回転体および出力側回転体の実際の回転
速度差と回転速度差補正手段により補正された補正後の
回転速度差との差に起因する、回転速度差に対応した伝
達トルク制御のずれが好適に解消され、トルク配分制御
精度が一層高められる。
【0013】
【課題を解決するための第4の手段】また、前記第3目
的を達成するための第4発明の要旨とするところは、原
動機から複数の車輪へそれぞれ伝達されるトルクの割合
を調節するトルク配分クラッチを備える車両において、
制動操作が行われることに関連してそのトルク配分クラ
ッチの締結力が小さくされる形式の車両用トルク配分ク
ラッチの制御装置であって、前記トルク配分クラッチの
伝達トルクを制御するためのトルク指令値の最大値を制
限するトルク指令値制限手段を、含むことにある。
【0014】
【第4発明の効果】このようにすれば、トルク指令値制
限手段により、トルク配分クラッチの伝達トルクを制御
するためのトルク指令値の最大値が制限されるので、た
とえ、制動操作の検出がスイッチや回路の故障などの何
らかの原因によって正常に行われないことに関連して制
動時のトルク配分制御が実行されなくても、制動時にお
いてABS制御に関連してトルク配分クラッチの伝達ト
ルクが過大になることがなく、ABS性能の低下やトル
ク配分クラッチの発熱が回避される。
【0015】
【課題を解決するための第5の手段】また、前記第4目
的を達成するための第5発明の要旨とするところは、原
動機から複数の車輪へそれぞれ伝達されるトルクの割合
を調節するトルク配分クラッチを備える車両において、
旋回走行時のトルク配分を制御する旋回走行時制御を含
む複数種類のトルク配分制御から車両の走行状態に対応
したトルク配分制御を選択する車両用トルク配分クラッ
チの制御装置であって、(a) 所定の選択条件が成立した
ことに基づいて前記複数種類のトルク配分制御からその
選択条件に対応するトルク配分制御を決定するトルク配
分制御決定手段と、(b) そのトルク配分制御決定手段に
より前記旋回走行時制御からその他のトルク配分制御へ
の決定が行われたときには、その決定から所定時間継続
したことに基づいてその他のトルク配分制御を選択する
トルク配分制御選択遅延手段とを、含むことにある。
【0016】
【第5発明の効果】このようにすれば、トルク配分制御
選択遅延手段により、トルク配分制御決定手段により前
記旋回走行時制御からその他のトルク配分制御への決定
が行われたときには、その決定から所定時間継続したこ
とに基づいてその他のトルク配分制御が選択されること
から、たとえば左右の旋回走行が繰り返し行われるワイ
ンディング或いはスラローム走行において、旋回走行時
のトルク配分制御を実行する旋回走行時制御と直進走行
時のトルク配分制御を実行する通常走行時制御或いは発
進時制御とが短時間内に繰り返し選択される状態、すな
わち制御モードの頻繁な切換えが好適に解消される。
【0017】
【課題を解決するための第6の手段】また、前記第5目
的を達成するための第6発明の要旨とするところは、原
動機から複数の車輪へそれぞれ伝達されるトルクの割合
を調節するトルク配分クラッチを備える車両において、
車両旋回操作量に基づいて直進走行時のトルク配分制御
を実行する通常走行時制御から旋回走行時のトルク配分
制御を実行する旋回走行時制御へ切り換えられる形式の
車両用トルク配分クラッチの制御装置であって、(a) 車
両の実際の旋回状態を検出する旋回状態検出手段と、
(b) その旋回状態検出手段により検出された車両の実際
の旋回状態が予め設定された判断基準値を越える場合に
は、前記車両旋回操作量に基づく旋回走行時制御が決定
されていない場合であっても前記旋回走行時制御へ切り
換える旋回走行時制御選択手段とを、含むことにある。
【0018】
【第6発明の効果】このようにすれば、旋回走行時制御
選択手段により、旋回状態検出手段により検出された車
両の実際の旋回状態が予め設定された判断基準値を越え
る場合には、車両旋回操作量に基づく旋回走行時制御が
決定されていない場合であっても前記旋回走行時制御へ
優先的に切り換えられるので、その旋回走行時制御の速
やかな開始によって旋回操作開始時の車両の旋回応答性
が高められる。
【0019】また、前記第6目的を達成するための第7
発明の要旨とするところは、原動機から複数の車輪へそ
れぞれ伝達されるトルクの割合を調節するトルク配分ク
ラッチを備える車両において、所定のトルク配分が得ら
れるようにそのトルク配分クラッチの伝達トルクを制御
する車両用トルク配分クラッチの制御装置であって、
(a) 車両の速度である車速を検出する車速検出装置と、
(b) 車両のステアリングホイールの操作角である舵角を
検出する舵角検出装置と、(c) 車速および舵角を変量と
する座標において、複数種類のトルク配分制御に対応す
る複数種類の領域を予め記憶する領域記憶手段と、(d)
その領域記憶手段により記憶された複数種類の領域のい
ずれに、前記車速検出装置および舵角検出装置により検
出された実際の車速および舵角により示される車両状態
が属するかに基づいて、前記複数種類のトルク配分制御
から1つのトルク配分制御を選択するトルク配分制御選
択手段とを、含むことにある。
【0020】
【第7発明の効果】このようにすれば、トルク配分制御
選択手段により、領域記憶手段により記憶された複数種
類の領域のいずれに、前記車速検出装置および舵角検出
装置により検出された実際の車速および舵角により示さ
れる車両状態が属するかに基づいて、前記複数種類のト
ルク配分制御から1つのトルク配分制御が自動的に選択
されるので、車両の種々の走行状態に適合したトルク配
分制御が自動的に得られる。
【0021】
【発明の他の態様】ここで、好適には、前記第1発明の
走行抵抗関連量算出手段は、平坦地を定速で直進走行す
るに必要な平坦地定速走行駆動トルクを、予め記憶され
た関係から実際の車速に基づいて算出するものであり、
前記トルク配分クラッチ制御手段は、舵角が所定値以下
の直進走行時に選択される通常走行時のトルク配分制御
において、原動機出力トルクに関連して変化させるトル
ク配分クラッチの伝達トルクを、その原動機の実際の出
力トルクが平坦地定速走行駆動トルクに接近するほど小
さくし且つ平坦地定速走行駆動トルクを下まわると零と
するものである。このようにすれば、原動機の出力トル
クが上記平坦地定速走行駆動トルクよりも大きくなるほ
どすなわち加速意思が大きいほどトルク配分クラッチの
伝達トルクが高められて加速性能が高められる一方、原
動機の出力トルクが上記平坦地定速走行駆動トルクを下
回ると加速意思のない減速或いは惰行走行であるので、
トルク配分クラッチが開放されて車両の燃費やトルク配
分クラッチの耐久性が高められる。
【0022】また、好適には、前記第3発明のトルク配
分クラッチ制御手段は、前輪または後輪のみの駆動によ
る2輪駆動と前輪および後輪の駆動による4輪駆動との
間でトルク配分を行うことにより前輪および後輪の一方
を主駆動輪としている4輪駆動車両の、舵角が所定値以
下の直進走行時に選択される通常走行時のトルク配分制
御において、前輪径が後輪径よりも大きい場合には、加
速走行時において補正前の回転速度差の増加に応じて大
きくなるようにトルク配分クラッチの差動制限トルクを
決定するとともに減速走行において補正後の回転速度差
の増加に応じて大きくなるようにトルク配分クラッチの
差動制限トルクを決定し、前輪径が後輪径よりも小さい
場合には、加速走行時において補正後の回転速度差の増
加に応じて大きくなるようにトルク配分クラッチの差動
制限トルクを決定するとともに減速走行において補正前
の回転速度差の増加に応じて大きくなるようにトルク配
分クラッチの差動制限トルクを決定するものである。こ
のようにすれば、車両のトラクションを高めることに関
し、前後輪の径差に関連する誤差によりトルク配分クラ
ッチが逆方向に作用することが解消される。
【0023】また、好適には、前記第5発明のトルク配
分制御選択遅延手段は、旋回走行時トルク配分制御から
直進走行時の通常走行時トルク配分制御または発進走行
時トルク配分制御への決定が行われたときに、その決定
から所定時間継続したことに基づいてその通常走行時ト
ルク配分制御または発進走行時トルク配分制御を選択す
るものである。このようにすれば、ワインデイング走行
における制御モードの頻繁な切り換えに起因する違和感
が解消される。
【0024】また、好適には、前記領域記憶手段には、
車速を示す車速軸と舵角を示す舵角軸との二次元座標に
おいて、領域判定を行うための判断基準車速および判断
基準角度が記憶されており、車両のブレーキが操作され
ている場合には、制動走行時のトルク配分制御のための
制動時制御を選択し、前記車速が20乃至30Km/hの範
囲内で定められた判断基準車速以下であるときには、舵
角に拘わらず発進走行時のトルク配分制御のための発進
時制御を選択し、車速がその判断基準車速を越えた場合
には、舵角の絶対値が予め求められた判断基準角度以上
となった場合に、旋回走行時のトルク配分制御のための
旋回走行時制御を選択し、舵角の絶対値が上記判断基準
角度を下回った場合には、直進走行時のトルク配分制御
のための通常走行時制御を選択するものである。このよ
うにすれば、車両の走行状態に応じた適切なトルク配分
が得られる。
【0025】また、好適には、前記判断基準角度は、車
速の函数であって、車速の増加に伴って前記判断基準車
速、たとえば20乃至30Km/hの範囲、好適には25Km
/h程度の車速に対応する第1の値、たとえば40乃至5
0°の範囲、好適には45°から、その判断基準車速よ
りも高い車速、たとえば55乃至65Km/h、好適には6
0Km/hに対応する第2の値、たとえば15乃至25°の
範囲、好適には20°へ向かって減少し、さらに車速が
増加すると一定となる角度である。このようにすれば、
車速の増加に伴って旋回走行が選択され易くなるので、
適切なトルク配分が得られる利点がある。
【0026】
【発明の好適な実施の形態】以下、本発明の一実施例を
図面に基づいて詳細に説明する。
【0027】図1は、本発明の一実施例のトルク配分ク
ラッチ制御装置を備えた車両の動力伝達装置を示してい
る。図において、原動機として機能するエンジン10に
は、トルクコンバータ付自動変速機12、前部差動歯車
装置14、およびトランスファ16を収容するトランス
アクスルハウジング18が締結されている。これによ
り、エンジン10の出力トルクは、トルクコンバータ付
自動変速機12、前部差動歯車装置14、左右1対の車
軸20、22を介して左右1対の前輪24、26へ伝達
される一方、上記トルクコンバータ付自動変速機12、
トランスファ16、プロペラシャフト28、トルク配分
クラッチとして機能する電磁クラッチ30、後部差動歯
車装置32、左右1対の車軸34、36を介して左右1
対の後輪38、40へ伝達されるようになっている。
【0028】上記電磁クラッチ30は、エンジン10か
ら前輪24、26と後輪38、40とへそれぞれ伝達さ
れるトルクの割合を調節するためのトルク配分クラッチ
として機能するものであって、プロペラシャフト28に
接続されてそれと共に回転する入力側摩擦板42と、後
部差動歯車装置32のドライブピニオン44に接続され
てそれと共に回転する出力側摩擦板46と、それら入力
側摩擦板42と出力側摩擦板46とを電磁力に従って押
圧することにより相互に摩擦係合させる電磁ソレノイド
48とを基本的に備え、後述の電子制御装置110から
の指令値trefに対応した大きさの伝達トルクを発生す
るように構成されている。上記電磁クラッチ30が解放
された場合には、エンジン10から出力されるトルクの
100%が前輪24、26へ伝達されるが、電磁クラッ
チ30が完全係合された場合には、エンジン10から出
力されるトルクの50%が前輪24、26へ伝達され、
残りの50%が後輪38、40へ伝達されるので、本実
施例では、上記電磁クラッチ30によるトルク配分調節
範囲は、前輪と後輪との重量配分比が0.5:0.5で
ある場合には、1:0から0.5:0.5の間までのト
ルク配分比範囲となっている。なお、一般には、電磁ク
ラッチ30が完全係合された場合には、前後輪の重量配
分相当に前後輪のトルクが分配される。本実施例では、
電磁クラッチ30により前輪駆動状態から直結4WDま
で前後輪のトルクを調節できる。
【0029】図2に詳しく示すように、電磁クラッチ3
0は、プロペラシャフト28に連結されるユニバーサル
ジョイント50およびクラッチドラム52を両軸端に有
し、クラッチハウジング54によりベアリング56を介
して回転可能に支持された入力軸58と、その入力軸5
8に対して同心となる状態でクラッチハウジング54に
よりベアリング60を介して回転可能に支持された出力
軸62と、入力軸58の軸端面に相対回転可能に嵌合さ
れた状態でその入力軸58と連結されたクラッチロータ
64と、回転不能となるように非回転部材であるクラッ
チハウジング54の突起65に係合させられた状態でベ
アリング66を介して入力軸58に支持された電磁ソレ
ノイド48と、電磁ソレノイド48の磁力により吸引さ
れる環状磁性部材68を有してクラッチドラム52の内
周面とクラッチロータ64の外周面との間に設けられ、
その電磁ソレノイド48の磁力によって比較的小さな摩
擦トルクが発生させられるコントロールクラッチ(パイ
ロットクラッチ)70と、そのコントロールクラッチ7
0からの摩擦トルクが伝達されるカムリング72とその
カムリング72に接触するボールカム74とを有し、上
記コントロールクラッチ70を介して伝達された比較的
小さな回転力をスラスト方向(軸心方向)の力に変換し
且つ倍力して環状押圧部材76に伝達する押圧装置78
と、軸方向において互いに重ねられた状態でクラッチド
ラム52の内周面およびクラッチロータ64の外周面に
対して軸方向の移動可能且つ軸まわりの相対回転不能に
設けられて、上記環状押圧部材76からのスラスト方向
の力により押圧される前記入力側摩擦板42および出力
側摩擦板46とを備え、たとえば図3に示す特性に従っ
て、電磁ソレノイド48に供給される駆動電流に対応し
た大きさの伝達トルクを発生させる。
【0030】図1に戻って、車両には、4輪駆動モード
を選択するときに操作される4輪駆動選択スイッチ8
0、左前輪24の回転速度を検出する車輪速度センサ8
2、右前輪26の回転速度を検出する車輪速度センサ8
4、左後輪38の回転速度を検出する車輪速度センサ8
6、右後輪40の回転速度を検出する車輪速度センサ8
8、車両の前後加速度Gすなわち走行方向の加速度GX
を検出する前後Gセンサ90、車両の左右加速度Gすな
わち横方向の加速度GY を検出する左右Gセンサ92、
ステアリングホイール93により操作される車両の舵角
を検出する舵角センサ94、アクセルペダルにより操作
されるスロットル開度を検出するスロットルセンサ9
6、エンジン10の回転速度を検出するエンジン回転速
度センサ98、自動変速機12の実際のギヤ段すなわち
シフト位置を検出するシフト位置センサ100、ブレー
キペダル102が操作されたことを検出するブレーキセ
ンサ104、パーキングブレーキレバー106が操作さ
れたことを検出するPBブレーキセンサ108、車体の
重心を通る鉛直線まわりの回転角速度(ヨー角速度)で
あるヨーレートrを検出するヨーレートセンサ116が
それぞれ設けられており、それらのスイッチ或いはセン
サからは、4輪駆動モードを選択されたことを示す信号
S4WD、左前輪24の回転速度NFLを示す信号S
FL、右前輪26の回転速度NFRを示す信号SNFR、左
後輪38の回転速度NRLを示す信号SNRL、右後輪40
の回転速度NRRを示す信号SNRR、前後加速度GX を示
す信号SGX 、左右加速度GY を示す信号SGY 、車両
の舵角δを示す信号Sδ、スロットル開度θthを示す信
号Sθ、エンジン10の回転速度NE を示す信号S
E 、シフト位置SPを示す信号SSP、ブレーキペダ
ル102の操作を示す信号SBK、パーキングブレーキ
レバー106の操作を示す信号SPB、ヨーレートrを
表す信号Srが、トルク配分制御用の電子制御装置11
0へ供給される。
【0031】上記前後Gセンサ90および左右Gセンサ
92は、比較的大きな質量をもった部材とその部材に作
用する力すなわち加速度を検出する圧電素子とを備えた
圧電型や、比較的大きな質量をもった部材とその部材に
加えられる加速度による変位を元位置に保つような平衡
力を電磁力にて発生させる電磁コイルとを備えてその電
磁コイルの駆動電流に基づいて加速度を検出するサーボ
型などにより構成されている。また、上記ヨーレートセ
ンサ116は、レートジャイロとしてもよく知られたも
のであり、ガス式、振動式、レーザ式などにより構成さ
れている。
【0032】上記電子制御装置110は、CPU、RA
M、ROM、入出力インターフェースなどを含む所謂マ
イクロコンピュータであって、CPUはRAMの記憶機
能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムを実
行することにより上記の入力信号を処理し、電磁クラッ
チ30へ制御信号を出力するとともに、電磁クラッチ3
0の作動中を示す作動表示灯112および電磁クラッチ
30の異常を示す異常表示灯114を表示させる。図4
は、上記電子制御装置110の構成例を詳細に示すもの
である。エンジン制御および変速制御用電子制御装置1
15からは、スロットル開度θth、自動変速機12のギ
ヤ段、エンジン系のフェイルを表す信号とエンジン10
の回転速度に対応した周波数のエンジンパルス信号が電
子制御装置110に供給される。電子制御装置110
は、ABS用制御装置116および4WD用制御装置1
17と、指令値tref を表す指令信号に応じて電磁クラ
ッチ30に制御電流を出力する駆動回路118とを備え
ている。
【0033】図5および図6は、上記電子制御装置11
0の制御機能の要部を説明する機能ブロック線図であ
る。先ず、図5において、トルク配分クラッチ制御手段
120は、たとえば発進時制御、旋回走行時制御、通常
走行時制御、制動時制御など、車両の前輪および後輪の
トルク配分を制御する複数種類の制御モードの中のいず
れか1つを、車両状態に基づいて択一的に選択し、選択
した制御モードにおいて予め設定された制御式に従っ
て、電磁クラッチ30の伝達トルク或いはその電磁クラ
ッチ30に供給すべき駆動電流に対応する大きさの指令
値tref を表す制御信号SCを出力すると共に、作動表
示灯112を点灯させる。すなわち、トルク配分クラッ
チ制御手段120は、4輪駆動選択スイッチ80によっ
て4輪駆動モードが選択されているとき、ブレーキセン
サ104により主ブレーキの操作が検出されると制動時
制御が選択される。また、たとえば図7の関係に示され
る領域から車速Vと車両舵角δとで示される走行状態に
基づいて発進時制御(図7の)、旋回走行時制御(図
7の)、通常走行時制御(図7の)のいずれかを選
択するトルク配分制御選択手段252と、このトルク配
分制御選択手段252により択一的に選択されてトルク
配分制御作動を行う制動時制御手段254、発進時制御
手段256、旋回走行時制御手段258、通常走行時制
御手段260とを含むのである。
【0034】車速算出手段178は、たとえば、前輪回
転速度NFLおよびNFR、後輪回転速度NRLおよびNRR
いずれかから、或いは図示しない車速センサにより自動
変速機12の出力軸の回転速度に基づいて検出された車
速信号から、車速すなわち車体速度Vを算出する。
【0035】領域記憶手段262には、図7に示すよう
に、車速Vを示す車速軸(横軸)と舵角を示す舵角軸
(縦軸)との二次元座標において領域判定を行うための
判断基準車速Vs および判断基準角度Mdelta (V)が
記憶されている。この判断基準車速Vs は、たとえば2
0乃至30Km/hの範囲内、好適には25Km/h程度の値に
設定される。また、上記判断基準角度Mdelta (V)
は、車速Vの函数であって、車速Vの増加に伴って、上
記判断基準車速Vs に対応する第1の値たとえば45°
から60Km/h程度の車速に対応する第2の値たとえば2
5°に向かって変化し、その後一定となるように設定さ
れている。上記トルク配分制御選択手段252は、ブレ
ーキセンサ104により制動操作が検出されたときには
制動時制御を決定するが、領域記憶手段262に記憶さ
れた図7のいずれかの領域内へ入ったことを実質的に表
す所定の選択条件が成立したことを車速Vと車両の旋回
操作量である舵角δとに基づいて判定し、複数種類たと
えば発進時制御、旋回走行時制御、通常走行時制御の3
種類のトルク配分制御から上記選択条件が成立した制御
を決定(選択)するトルク配分制御決定手段264と、
旋回走行時制御からその他の制御たとえば発進時制御ま
たは通常走行時制御への切り換えに関しては、そのトル
ク配分制御決定手段264による旋回走行時制御とは異
なるその他の制御の決定が行われたときには、その決定
からたとえば0.5乃至数秒程度の所定の遅延時間が経
過したことに基づいてその他の制御を正式に選択するト
ルク配分制御選択遅延手段266とが含まれる。
【0036】また、前記トルク配分クラッチ制御手段1
20には、旋回操作量である舵角δに基づく目標ヨーレ
ートr°と実際のヨーレートrとの間のヨーレート偏差
e〔=(r°−r)sign(r)〕や、そのヨーレート偏
差eの変化率 de/dt などの車両の実際の旋回状態を示
すパラメータを検出する旋回状態検出手段270と、そ
の旋回状態検出手段270により検出された車両の実際
の旋回状態たとえばヨーレート偏差eおよびその変化率
de/dt が予め設定された判断基準値KMAPEおよびK
MAPB以上となった場合には、前記トルク配分制御決定手
段264により旋回操作量に基づく旋回走行時制御が決
定されていない場合でもその旋回走行時制御を開始させ
るための指令を行う旋回走行時制御指令手段272とが
含まれており、前記トルク配分制御決定手段264は、
その旋回走行時制御指令手段272による指令を受けた
場合には、旋回走行時制御を優先的に決定してそれを開
始させる。上記判断基準値KMAPEおよびKMAPBは比較的
大きく且つ急速増加するアンダーステアを判断するため
に予め設定されたものである。
【0037】前記発進時制御手段256による発進時制
御では、車両状態に応じた最大のトラクションを得るた
めに、荷重移動により変化する前輪24、26と後輪3
8、40との重量配分に応じたトルク配分となるように
電磁クラッチ30が制御されたり、舵角δに応じて後輪
38、40への伝達トルクを制限するように電磁クラッ
チ30が制御される。また、前記旋回走行時制御手段2
58による旋回走行時制御では、特に路面摩擦係数が小
さい圧雪路或いは凍結路における旋回走行中の操縦安定
性を高めるために、たとえばアンダーステアとオーバー
ステアとの中間の中立ステアとなるように決定された目
標ヨーレートr°(重心を通る鉛直線まわりの旋回角速
度)に実際のヨーレートrが追従するように、電磁クラ
ッチ30が制御される。また、前記通常走行時制御手段
260による通常走行時制御は、舵角δが所定の範囲内
である直線走行時に行われるものであり、そこでは、基
本的には重量配分に対応したトルク配分となるように電
磁クラッチ30の入力側および出力側の回転速度差が発
生すると伝達トルクが大きくなるようにされるが、直進
走行などのような4輪駆動が不要なときには燃費を高め
るために可及的に締結力を小さくするように、電磁クラ
ッチ30が制御される。また、前記制動時制御手段25
4による制動時制御では、ABS制御やVSC制御との
制御干渉を回避するために、ブレーキペダル102が操
作されると、直接的に電磁クラッチ30が開放されるよ
うに、或いはABS制御が開始されるまでは電磁クラッ
チ30が締結されてエンジンブレーキ力を4輪に分配さ
せるが、ABS制御が開始されると締結力が小さくさ
れ、またVSC制御が開始されると解放されるように、
電磁クラッチ30が制御される。
【0038】図6は、上記通常走行時制御手段260の
機能をさらに詳しく説明する図である。入力トルク算出
手段122は、エンジン10のプロペラシャフト28ま
わりの出力トルク(車両の駆動トルク)すなわち電磁ク
ラッチ30の入力トルクtin(N・m)を、たとえば図
8に示す予め記憶された関係から実際のエンジン回転速
度NE (rpm)およびスロットル開度θth(%)或い
は吸入空気量Qに基づいて逐次算出する。この入力トル
ク算出手段122は、好ましくは車両の直進、定速、平
坦地走行が判定されている状態において、予め設定され
た時間幅を有して時間経過とともに移動させられる移動
区間内に得られた複数個の入力トルクt inの平均値すな
わち移動平均値tinavを入力トルクtinとして算出す
る。ここで、上記入力トルクtinは、前輪24、26側
へ配分される前輪駆動トルクtf と電磁クラッチ30か
ら後輪38、40側へ配分される後輪駆動トルクすなわ
ち伝達トルクtr との和(tin=tf +tr )として定
義される。上記後輪38、40側へ配分されるトルクt
r は電磁クラッチ30の伝達トルクであり、定常状態で
は電磁クラッチ30に対する指令値tref に対応してい
る。
【0039】回転速度差算出手段124は、電磁クラッ
チ30の入力軸58の回転速度Nfを前輪回転速度NFL
およびNFRの平均値と前部差動歯車装置14のギヤ比と
に基づいて算出するとともに、電磁クラッチ30の出力
軸62の回転速度Nr を後輪回転数度NRLおよびNRR
平均値と後部差動歯車装置32のギヤ比とに基づいて算
出し、入力軸58の回転速度Nf から出力軸62の回転
速度Nr を差し引くことにより、入力軸58と出力軸6
2との回転速度差ΔN(rpm)すなわち電磁クラッチ
30の差動(スリップ)回転数ΔN(=Nf −Nr )を
算出する。この回転速度差算出手段124も、好ましく
は車両の直進、定速、平坦地走行が判定されている状態
において、予め設定された時間幅を有して時間経過とと
もに移動させられる移動区間内に得られた複数個の差動
回転数ΔNの平均値すなわち移動平均値として差動回転
数ΔNavを算出する。
【0040】径差決定手段242は、たとえば、車両の
直線走行が舵角δ或いは左右輪の回転速度差〔(NFL
RL)/2〕−〔(NFR+NRR)/2〕が所定の判断基
準値以下であることに基づいて判定され、車両の定速走
行がたとえば車速の変化率ΔVが所定の判断基準値以下
であることに基づいて判定され、車両の低スリップ率走
行が、たとえば電磁クラッチ30の入力トルクtinが所
定値以下であり且つ電磁クラッチ30の伝達トルクtr
すなわち指令トルクtref が所定値以下であることに基
づいて判定された場合には、たとえば数式1に示す予め
記憶された算出式から、そのような直進走行、定速走
行、低スリップ率走行時の電磁クラッチ30の入力軸5
8の回転速度Nf 、出力軸62の回転速度Nr 、電磁ク
ラッチ30の実際の入力トルクtinおよび伝達(出力)
トルクtr に基づいて、前輪と後輪との径差に関連する
径差パラメータ、たとえば回転速度比すなわち径差補正
係数kik を、算出する。上記の所定値は、たとえば図9
に示すスリップ率〔(車体速度−車輪速度)/車体速
度〕と前後力係数(路面摩擦係数μの函数である車輪の
駆動力に対応する値)との間の関係において略線型とな
る領域A内であることを判定するために予め実験的に求
められたものである。この数式1は、路面状態に拘らず
径差を正確に求めるために車輪のスリップの影響を考慮
した右辺第2項を加えたものであり、前後輪の2輪の力
学モデルにおける回転運動方程式から理論的に導かれた
ものである。なお、それほどスリップが問題とならない
場合には、上記径差決定手段242は、直線走行時にお
ける電磁クラッチ30の入出力回転速度比(=Nr /N
f )を径差補正係数kik として用いてもよい。
【0041】
【数1】 kik =(Nr /Nf )+Kkik ・(tin−2tr ) ・・・(1)
【0042】回転速度差補正手段132は、上記回転速
度差算出手段124により算出された回転速度差ΔNか
ら前輪および後輪の径差に起因する誤差を除去するため
に、たとえば数式2に示す補正式から上記径差決定手段
242により求められた径差補正係数 kikに基づいてそ
の回転速度差ΔNを補正し、補正後の回転速度差ΔN’
をトルク配分クラッチ制御手段120内の通常走行時制
御手段260へ供給する。
【0043】
【数2】ΔN’=ΔN−(1−kik )Nf ・・・(2)
【0044】走行抵抗関連量算出手段276は、車両の
走行抵抗に関連する走行抵抗関連量、たとえば平坦地定
速直進走行に必要な駆動トルクすなわちマップ値M
tindf (V)を、たとえば図10に示す予め記憶された
関係から車速Vに基づいて算出し、トルク配分クラッチ
制御手段120内の通常走行時制御手段260へ供給す
る。
【0045】前記通常走行時制御手段260は、後述の
数式3から、上記走行抵抗関連量算出手段276により
算出された駆動トルクすなわちマップ値Mtindf (V)
と入力トルク算出手段122により算出された入力トル
クtinとに基づいて電磁クラッチ30の伝達トルクすな
わちトルク指令値tref を算出して出力する。この数式
3に示すように、電磁クラッチ30に対する差動制限ト
ルク(伝達トルク)を指令するためのトルク指令値t
ref は、重量配分に対応した大きさとなるようにたとえ
ば数式4から算出される基準トルク指令値tdfと、差動
回転数に対応する大きさとなるようにたとえば数式5か
ら算出されるトルク指令値tdnとの加算値である。上記
基準トルク指令値tdfは前後輪の重量配分相当の前後輪
のトルク配分を得るための値であり、上記トルク指令値
dnは前後輪の径差を補正を考慮して加速応答を改善す
るための値である。
【0046】上記基準トルク指令値tdfを求めるための
数式4において、Mtindf (V)はたとえば図10に示
す予め記憶された関係から車速Vに基づいて決定される
マップ値であり、LF は車体の重心から前輪軸心までの
距離であり、Lはホイールベースであり、HCGは車体の
重心の高さであり、GX は車両前後方向の加速度であ
る。加速意思のある状態では電磁クラッチ30による差
動制限を積極的に行う方がよいが、直進定速走行のよう
な定常走行状態では差動制限の利益はなくむしろ差動制
限により燃費や電磁クラッチ30の耐久性が低下すると
いう不利益が生じることから、上記図10に示す関係
は、車両の空気抵抗やころがり抵抗により定まる定常走
行のための駆動トルク(エンジン10の出力トルク)を
車速Vの函数として実線で示しており、実際のエンジン
10の出力トルクすなわち電磁クラッチ30の入力トル
クtinがその定常走行のための駆動トルクを下まわる
と、数式4から基準トルク指令値tdfが負となるが、そ
の基準トルク指令値tdfは0以上の正の値をとるという
条件(tdf≧0)から、そのような場合には基準トルク
指令値tdfが零とされて電磁クラッチ30が解放される
ようになっている。これにより、通常走行時制御手段2
60は、電磁クラッチ30の入力トルクtinが減少する
ほど電磁クラッチ30の伝達トルクを零に向かって減少
させるように制御する。
【0047】また、上記伝達トルクすなわちトルク指令
値tref を電磁クラッチ30の差動回転数ΔNに対応す
る大きさとなるようにするトルク指令値tdnを求めるた
めの数式5において、マップ値MthnA(ΔN’)または
thnA(ΔN)はたとえば図11に示す予め記憶された
関係から径差補正係数kik による補正後の回転速度差Δ
N’または補正前の回転速度差ΔNに基づいて決定され
るマップ値であり、M thnB(ΔN)またはMthnB(Δ
N’)はたとえば図12に示す予め記憶された関係から
補正前の回転速度差ΔNまたは補正後の回転速度差Δ
N’に基づいて決定されるマップ値である。車両におい
て、車輪(タイヤ)の横力は、図13に示すように、ス
リップ率の絶対値の増加と共に減少する性質があるた
め、電磁クラッチ30の伝達トルクの増加に伴って後輪
38、40のスリップ率が増加してその横力が減少し、
直進安定性が損なわれる傾向がある。このため、車両駆
動時において前輪24、26に比較して後輪38、40
の回転速度Nr が高い状態すなわち回転速度差ΔNが負
の状態では、電磁クラッチ30の差動制限トルクを零と
してそれを解放し、径差に由来する横力の減少を防止す
ることが望まれる。また、車両制動時において前輪2
4、26に比較して後輪38、40の回転速度Nr が低
い状態すなわち回転速度差ΔNが正の状態でも、電磁ク
ラッチ30の差動制限トルクを零としてそれを解放し、
径差に由来する横力の減少を防止することが望まれる。
このことから、径差に起因して前輪24、26に比較し
て後輪38、40の回転速度Nr が高い状態である(ki
k >1)場合は、(5-2) 式が用いられ、径差に起因して
前輪24、26に比較して後輪38、40の回転速度N
r が低い状態である(kik ≦1)場合は、(5-1) 式が用
いられることにより、直進安定性を高めるために、2種
類の回転速度差ΔNおよびΔN’とマップ値MthnAおよ
びMthnBの使い分けが行われ、ΔNが零となる点からΔ
N’が零となる点の間の区間すなわち径差に起因して路
面から回される区間にはトルク値tdnが零とされるよう
になっている。したがって、通常走行時制御手段260
は、回転速度差ΔNが零となる点からその回転速度差Δ
Nの増加に伴って増加し、補正後のΔN’が零となる点
からその補正後のΔN’の減少に伴って増加するように
トルク値tdnを決定するのである。
【0048】すなわち、たとえば前輪24、26の平均
径が後輪38、40の平均径よりも大きい場合には、加
速走行時において補正前の回転速度差ΔNの増加に応じ
て大きくなるように電磁クラッチ30の差動制限トルク
を決定するとともに減速走行において補正後の回転速度
差ΔN’の増加に応じて大きくなるように電磁クラッチ
30の差動制限トルクを決定し、前輪24、26の平均
径が後輪38、40の平均径よりも小さい場合には、加
速走行時において補正後の回転速度差ΔN’の増加に応
じて大きくなるように電磁クラッチ30の差動制限トル
クを決定するとともに減速走行において補正前の回転速
度差ΔNの増加に応じて大きくなるように電磁クラッチ
30の差動制限トルクを決定するものである。これによ
り、車両のトラクションを高めることに関し、前後輪の
径差に関連する誤差によりトルク配分クラッチが逆方向
に作用することが解消される。
【0049】
【数3】tref =tdf+tdn ・・・(3)
【0050】
【数4】 tdf=(1/2)〔tin−Mtindf (V)〕・ 〔(LF /L)+(HCG/L・GX )〕 ・・・(4) 但し、tdf≧0
【0051】
【数5】 径差補正係数kik ≦1.0のときは tdn=MthnA(ΔN’)+MthnB(ΔN) ・・・(5-1) 径差補正係数kik >1.0のときは tdn=MthnA(ΔN)+MthnB(ΔN’) ・・・(5-2)
【0052】本実施例のように、電磁クラッチ30は前
輪と後輪の差動制限を行っているのみであることから、
回転数の速い方の車輪から遅い方の車輪へトルクが伝達
されるので、前輪24、26と後輪38、40とでは駆
動トルクの方向が逆転する場合が発生する。たとえば、
前輪24、26のタイヤ径が後輪38、40のタイヤ径
よりも大きい車両の定常走行または緩加速走行には、後
輪38、40に制動トルクが発生する場合があり、これ
が前輪24、26と後輪38、40のスリップ率を増加
させてその横力を低下させるので、車両の直進安定性が
損なわれる。これを、前後輪2輪モデルで考えると、数
式6に示すようになる。ここで、Ir は電磁クラッチ3
0の出力側回転体の慣性モーメントを出力軸62まわり
に換算したものであり、If は電磁クラッチ30の入力
側回転体の慣性モーメントをドライブピニオン44(入
力軸58)まわりに換算したものである。また、ωf
よびωr は、入力軸58および出力軸62の回転角速
度、μ(sf)およびμ(sr)は前輪24、26およ
び後輪38、40の前後力係数、Wf およびWr は前輪
24、26および後輪38、40の接地荷重、sfおよ
びsrは前輪24、26および後輪38、40のスリッ
プ率〔=(Rf ωf −V)/Rf ωf 、および=(Rr
ωr −V)/Rr ωr 〕、Rf およびRr は前輪24、
26および後輪38、40の動荷重半径である。
【0053】
【数6】 If ・ dωf /dt =tin+tr −μ(sf)・Wf ・Rf ・・・(6-1) Ir ・ dωr /dt =−tr −μ(sr)・Wr ・Rr ・・・(6-2)
【0054】上記数式6において、定常走行では dωf
/dt =0、 dωr /dt =0と見做すことができるので、
数式7となる。また、図9に示すように、前輪24、2
6或いは後輪38、40の前後力係数(車輪に発生する
駆動力に対応する係数)は、車輪スリップ率が比較的小
さい範囲A内ではその車輪スリップ率に対して線型であ
るから、数式8に示すように、前輪24、26のスリッ
プ率sfおよび後輪38、40のスリップ率srに比例
する一方、前輪24、26の動荷重半径Rf と後輪3
8、40の動荷重半径Rr は互いに同じ値Rであるの
で、上記数式7は数式9に示すように書き替えられる。
【0055】
【数7】 tin−tr −μ(sf)・Wf ・Rf =0 ・・・(7-1) tr −μ(sr)・Wr ・Rr =0 ・・・(7-2)
【0056】
【数8】μ(sf)=K・sf ・・・(8-1) μ(sr)=K・sr ・・・(8-2)
【0057】
【数9】 tin−tr =K・sf・Wf ・Rf ・・・(9-1) tr =−K・sr・Wr ・Rr ・・・(9-2)
【0058】本実施例のように、前輪駆動と4輪駆動と
の間でトルク配分が制御される場合には、上述の(9-1)
式および(9-2) 式9は、sf=(tin−tr )/(K・
f・Rf )、およびsr=(−tr )/(K・Wr
r )となる。このため、入力トルクtinが正であると
きには、電磁クラッチ30の伝達トルクtr が増加する
ほど、前輪スリップ率の絶対値|sf|および後輪スリ
ップ率の絶対値|sr|がそれぞれ増加して、図13に
示すように車輪の横力が小さくなって直進安定性が損な
われる。したがって、径差により、後輪38、40が前
輪24、26に比較して速く回転する場合には駆動(加
速)時の後輪38、40のスリップ率を低くして直進安
定性を高めるために電磁クラッチ30による差動制限ク
ラッチを零とし、逆の径差により前輪24、26が後輪
38、40に比較して速く回転する場合にも制動時にお
ける後輪38、40のスリップ率を低くして直進安定性
を高めるために電磁クラッチ30による差動制限クラッ
チを零とすることが望まれるのである。したがって、径
差に応じて図11および図12の関係の使い分けが行わ
れるのである。
【0059】図6に示すように、通常走行時制御手段2
60には、前記数式4から入力トルクtinと図10に示
す予め記憶された関係から車速Vに基づいて求められた
マップ値(走行抵抗関連量)Mtindf (V)とに基づい
て基準トルク指令値tdfを求める基準トルク算出手段2
78と、前記数式5から回転速度差ΔNおよび補正後の
回転速度差ΔN’に基づいて回転速度差に対応する大き
さのトルク指令値tdnを求める回転速度差対応トルク指
令値算出手段280と、それら基準トルク算出手段27
8により求められた基準トルク指令値tdfと回転速度差
対応トルク指令値算出手段280により求められたトル
ク指令値tdnとからトルク指令値trefを算出して電磁
クラッチ30へ出力するトルク指令値算出手段282と
が含まれる。
【0060】上記トルク指令値算出手段282から出力
されたトルク指令値tref は、トルク指令値処理手段2
84を介して電磁クラッチ30へ供給される。このトル
ク指令値処理手段284には、ブレーキセンサ104な
どの何らかの故障によってたとえ制動時制御手段254
の制動時制御が開始されなくてもABS制御の実行によ
る不都合を回避するためにトルク指令値tref を制限す
るトルク指令値制限手段286と、逐次出力されるトル
ク指令値tref を良く知られたローパス処理或いは移動
平均処理やなまし処理などを用いて平滑化する平滑化処
理手段288とが含まれる。上記トルク指令値制限手段
286では、トルク指令値tref が予め設定された最大
値Tmax と最小値Tpre (≒0)との間に制限される。
通常、ABS制御が行われるのはブレーキを操作してい
るときであることから、アクセルペダル操作量が略零で
あって入力トルクtinは極めて小さい値であるので、上
記最大値Tmax は、比較的小さく且つ入力トルクtin
下となる値に設定される。また、通常の加速時において
も必要なトルクはtin以上の大きさにはならないので、
このような制限を設けても他の制御における支障はな
い。
【0061】図14乃至図16は、前記電子制御装置1
10の制御作動の要部を説明するフローチャートであっ
て、図14は制御モード判定ルーチン、図15は通常走
行時のトルク配分制御ルーチン、図16は、図15の差
動回転数に由来するトルク指令値tdn算出ルーチンを示
している。
【0062】図14は前記トルク配分クラッチ制御手段
120の一部に対応するものである。図において、図示
しないステップにおいて車速V、舵角δ、ブレーキセン
サ104の出力信号などが読み込まれた後、ステップ
(以下、ステップを省略する)S1では、ブレーキペダ
ル102が操作されたか否かがブレーキセンサ104か
らの信号に基づいて判断される。このS1の判断が肯定
された場合は、前記制動時制御手段254に対応するS
2において制動時制御が選択され且つ実行された後、本
ルーチンが終了させられる。しかし、上記S1の判断が
否定された場合は、S3において、車速Vが予め設定さ
れた判断基準車速VS 以下か否かが判断される。この判
断基準車速VS は図7に示す予め記憶された領域すな
わち発進走行時制御領域を判定するための値である。こ
のS3の判断が否定された場合は、S4において、舵角
δの絶対値が予め設定された判断基準角度M
delta (V)以上であるか否かが判断される。この判断
基準角度Mdelta (V)は図7に示す予め記憶された領
域すなわち旋回走行時制御領域を判定するための函数
値であって、たとえば車速VがVS であるときには40
〜50°の範囲内、好適には45°程度となり、車速V
が55〜65Km/hの範囲内、好適には60Km/hとなる
と、15〜25°の範囲内、好適には20°となるよう
に、直線的に減少するが、その車速Vが60Km/hを越え
ると、その値に保存される。このS4の判断が否定され
た場合は、前記旋回状態検出手段270および旋回走行
時制御指令手段272に対応するS5において、ヨーレ
ート偏差e〔=(r°−r)sign(r)〕およびその変
化率 de/dt が旋回状態として検出されるとともに、そ
の旋回状態が予め設定された規定内であるか否か、たと
えば、ヨーレート偏差e〔=(r°−r)sign(r)〕
が予め設定された判断基準値KMAPE以上であり且つヨー
レート偏差eの変化速度 de/dt が予め設定された判断
基準値KMAPB以上であるか否かが判断される。
【0063】上記判断基準値KMAPEおよびKMAPBは、旋
回操作初期において比較的大きなアンダーステアが発生
したことを判定するために設定された値である。また、
上記目標ヨーレートr°は、前記旋回走行時制御手段2
58において実際のヨーレートrの追従目標とするため
にたとえば数式10から実際の目標スタビリティファク
タKh 、車速V、舵角δ、ステアリングホイール93と
前輪24、26との間のギヤ比Rst、ホイールベースL
に基づいて算出されたものである。この目標スタビリテ
ィファクタKh は、理想的なステアリングを示すように
予め実験的に求められた、前後加速度GX および合成加
速度GXY〔=√(GX 2 +GY 2 〕の函数〔Kh =f
(GX ,GXY)〕であって、それが正(Kh >0)であ
るときにアンダーステア特性を示し、それが零(Kh
0)であるときにニュートラルステア特性を示し、それ
が負(Kh <0)であるときにオーバステア特性を示す
ものである。
【0064】
【数10】 r°=V・δ/(Kh ・V2 +1)Rst・L ・・・(10)
【0065】上記S4およびS5の判断のいずれかが肯
定された場合には、前記旋回走行時制御手段258に対
応するS6において、旋回走行時制御が実行される。し
かし、上記S4およびS5の判断が共に否定された場合
には、前記トルク配分制御選択遅延手段266に対応す
るS7において、旋回走行時制御からの所定回数ND
判定であるか否か、換言すれば、旋回走行時制御の実行
中に通常走行時制御が判定されてから所定回数ND 分の
遅延時間が経過したか否かが判断される。このS7の判
断が否定された場合はS6の旋回走行時制御が継続され
るが、肯定された場合は、前記通常走行時制御手段26
0に対応するS8において通常走行時制御が実行され
る。
【0066】前記S3の判断が肯定された場合は、前記
トルク配分制御選択遅延手段266に対応するS9にお
いて、旋回走行時制御からの所定回数NS の判定である
か否か、換言すれば、旋回走行時制御の実行中に発進時
制御が判定されてから所定回数NS 分の制御サイクルの
実行時間に相当する遅延時間が経過したか否かが判断さ
れる。このS9の判断が否定された場合はS6の旋回走
行時制御が継続されるが、肯定された場合は、前記発進
時制御手段256に対応するS10において発進時制御
が実行される。すなわち、旋回走行時制御から他の制御
への切り換えに際しては、その他の制御が判定されてか
ら所定の遅延時間が経過してから実際に切り換えられる
ことにより、左右の旋回走行が連続的に繰り返されるワ
インディング路などにおいて、短時間内に頻繁に旋回走
行時制御と通常走行時制御或いは発進時制御とが繰り返
されることが好適に抑制されるようになっている。
【0067】図15の通常走行時制御ルーチンにおい
て、前記基準トルク算出手段278に対応するSQ1で
は、前記数式4から実際の入力トルクtin、および車速
の函数であるマップ値Mtindf (V)に基づいて、荷重
移動による前後輪の重量配分相当の前後輪のトルク配分
を得るための基準トルク指令値tdfが算出される。次い
で、前記回転速度差対応トルク指令値算出手段280に
対応するSQ2では、図16に示すトルク指令値tdn
算出ルーチンが実行され、前記数式5から実際の径差補
正係数kik 、回転速度差ΔNの函数であるマップ値M
thnA(ΔN)またはMthnB(ΔN)、補正後の回転速度
差ΔN’の函数であるマップ値MthnA(ΔN’)または
thnB(ΔN’)に基づいて、差動回転数ΔNに対応す
る大きさの差動制限力を得るためのトルク指令値tdn
算出される。
【0068】図16において、SR1では、車両の前輪
24、26の平均径である前輪径が後輪38、40の平
均径である後輪径よりも大きいか否かが、たとえば前記
径差補正係数kik が「1」より大(kik >1)であるか
否かに基づいて判断される。このSR1の判断が肯定さ
れた場合は、SR2において、前式(5-2) から実際の回
転速度差ΔNおよび補正後の回転速度差ΔN’に基づい
て、回転速度差に対応するトルク指令値tdnが算出され
る。反対に、上記SR1の判断が否定された場合は、ki
k ≦1である状態であるから、SR3において、前式(5
-1) から実際の回転速度差ΔNおよび補正後の回転速度
差ΔN’に基づいて、回転速度差に対応するトルク指令
値tdnが算出される。
【0069】図15に戻って、前記トルク指令値算出手
段282に対応するSQ3では、通常走行時のトルク配
分制御時のトルク指令値tref が、数式3から上記基準
トルク指令値tdfとトルク指令値tdnに基づいて算出さ
れる。次いで、前記トルク指令値制限手段286に対応
するSQ4では、上記算出されたトルク指令値tref
予め設定された上限値Tmax 以上の大きさである場合
(tref ≧Tmax )には、その上限値Tmax に制限(t
ref =Tmax )され、トルク指令値tref が予め設定さ
れた下限値TPRE 以下の大きさである場合(tref ≦T
PRE )には、その下限値TPRE に制限(tref
PRE )されることにより、変化範囲が制限される。ま
た、上記トルク指令値tref が入力トルク|tref |に
所定の増加量Tdu p を加えた値(|tref |+Tdup
を越えるときにはその値に制限されることにより、その
変化率が制限される。これにより、ABS制御作動時に
何らかの故障によって差動制限トルクを零にできない場
合でも、ABS制御性能の低下、および差動制限装置の
発熱などが好適に防止されるようになっている。通常、
ABS制御が作動するのはブレーキを操作しているとき
であってアクセルペダルを踏み込んではいないことか
ら、入力トルクtinは略零となるので、上記上限値Tma
x は極めて小さい値に設定される。また、通常の加速時
などにおいても必要なトルクは入力トルクtin以上とは
ならないので、すべての場合に上記制限を設けておいて
も差し支えない。
【0070】次いで、前記平滑化処理手段288に対応
するSQ5では、制御モードの切り換えなどによって上
記トルク指令値tref の急変を避けるために、そのトル
ク指令値tref に対してローパスフィルタ処理、移動平
均処理などの平滑化処理或いはなまし処理が実行され
る。特に、発進時制御から通常走行時制御が選択された
場合にトルク指令値tref が急減して駆動系の振動の発
生が予想されるが、このSQ5のなまし処理によってト
ルク指令値tref が緩やかに変化させられて振動の発生
が抑制されるようになっている。そして、SQ6では、
なまし処理されたトルク指令値tref がトルク配分制御
のために出力される。
【0071】図17は、前記旋回走行時制御手段258
に対応する旋回走行時トルク配分制御ルーチンであっ
て、目標ヨーレートr°に実際のヨーレートrを追従さ
せるようにトルク配分を行う制御を示している。このS
H4において、前後加速度GXの増加に伴って減少し、
且つ合成加速度GXYの増加に伴って増加するように目標
ヨーレートr°が決定されることから、路面摩擦係数μ
を必ずしも直接検出することなく、比較的容易に検出可
能な水平方向加速度を用いて目標ヨーレートr°を決定
でき、自然な車両の旋回挙動が実現される。
【0072】図17のSH1では、エンジントルク(入
力トルク)tin、電磁クラッチ30の入出力回転速度差
すなわち差動回転速度ΔN(プロペラシャフト28の回
転速度−ドライブピニオン44の回転速度)、舵角δ、
補正後の前後加速度GX および横加速度GY 、それらの
合成加速度GXY、ヨーレートr、前輪横すべり角βf
後輪横すべり角βr 、路面摩擦係数μが読み込まれ、或
いは算出される。次いで、目標スタビリティファクタ算
出手段に対応するSH2では、予め記憶された関係から
前後加速度GX および横加速度GY に基づいて目標スタ
ビリティファクタKh が決定される。また、これに続い
て、目標スタビリティファクタなまし処理手段に対応す
るSH3では、上記SH2において逐次求められた目標
スタビリティファクタKh を緩やかに変化させるための
なまし処理としてローパスフィルタ処理が実行される。
これにより、目標スタビリティファクタKh の変動がト
ルク応答性よりも激しい場合にも制御が追いつかず不安
定な挙動となることが好適に防止されている。なお、上
記ローパスフィルタ処理の時定数は、0.2乃至0.3
秒程度の値であって、入力信号からノイズ除去するため
のローパスフィルタ処理の時定数に比較して桁違いに大
きい値とされている。
【0073】目標ヨーレート決定手段に対応するSH4
では、予め記憶された数式10から実際の目標スタビリ
ティファクタKh 、車速V、舵角δ、ステアリングホイ
ール93と前輪24、26との間のギヤ比Rst、ホイー
ルベースLに基づいて目標ヨーレートr°が算出され
る。続いてヨーレート偏差算出手段に対応するSH5で
は、目標ヨーレートr°と実際のヨーレート(車体の重
心を通る鉛直線まわりの回転角速度)rとの偏差e〔=
(r°−r)sign(r)〕が算出される。次いで、制御
ゲイン決定手段に対応するSH6では、予め記憶された
旋回走行時トルク配分制御の制御式の各制御ゲイン
O 、Gtin 、GP 、GI 、GD 、GS が決定される。
これら制御ゲインGO 、Gtin 、GP 、GI 、GD 、G
S は、一定値でもよいので、このような場合には予め記
憶された値が読み出されるが、より好ましくは所定の定
義式から算出される。そして、SH7では、目標ヨーレ
ートr°に実際のヨーレートrを追従させるためすなわ
ちヨーレート偏差eを解消するための旋回走行時トルク
配分制御式から、上記偏差eおよびゲインGO
tin 、GP 、GI 、GD 、GS に基づいて、電磁クラ
ッチ30に対する制御値すなわち電磁クラッチ30に対
して伝達トルクを指令する指令値tref が逐次算出され
る。
【0074】次いで、制御量補正手段に対応するSH8
では、ステアリングホイール93の切り込み操作時であ
る条件(sign(r)=sign(δ)=sign( dδ/dt ))
を満足する場合、ステアリングホイール93の戻し操作
時である条件〔sign(r)≠sign( dδ/dt )〕を満足
するときには、入力トルクtinおよび舵角δに基づいて
補正量ts が決定され、SH7において算出された制御
量すなわちトルク指令値tref にその補正量ts を加算
することによりその指令値tref (=tref +ts )が
補正される。続いて、制限値決定手段および制御量制限
手段に対応するSH9では、指令値tref の範囲を制限
して過剰なトルク伝達や過剰なスリップを回避するため
の最大トルクtmax および最小トルクtmin が、予め記
憶された関係から入力トルクtinおよび電磁クラッチ3
0の差動回転速度ΔNに基づいて算出され、SH7で求
められた指令値tref がその最大トルクtmax および最
小トルクtmin に制限される。そして、電流値変換手段
に対応するSH11において、たとえば図3に示す予め
記憶された関係から、指令値tref が電磁クラッチ30
の駆動電流を示す信号に変換された後、SH12におい
てその信号が駆動回路118へ出力される。
【0075】上述のように、本実施例によれば、トルク
配分クラッチ制御手段120(SQ1、SQ3)によ
り、走行抵抗関連量算出手段276により算出された走
行抵抗関連量であるマップ値Mtindf (V)に基づいて
電磁クラッチ30の伝達トルクtr (=tref が制
御されるので、車両の燃費やトルク配分クラッチの耐久
性が高められる。すなわち、トルク配分クラッチ制御手
段120は、電磁クラッチ30の入力トルクtinが減少
するほどその電磁クラッチ30の伝達トルクtr(=t
ref )を零に向かって減少させるものであるため、入力
トルクtinがマップ値Mtindf (V)より大きい場合に
は電磁クラッチ30を介して大きなトルクが分配されて
加速性能が高められる一方で、入力トルクtinがマップ
値Mtindf(V)より小さい場合には電磁クラッチ30
における係合負荷が抑制されて車両の燃費やトルク配分
クラッチの耐久性が一層高められるのである。
【0076】また、本実施例によれば、トルク配分クラ
ッチ制御手段120(SQ2、SQ3)により、回転速
度差算出手段124により算出された実際の回転速度差
ΔNと回転速度差補正手段132により補正された補正
後の回転速度差ΔN’とに基づいて電磁クラッチ30の
伝達トルクtr (=tref )が制御されるため、電磁ク
ラッチ30の入力側回転体および出力側回転体の実際の
回転速度差ΔNと回転速度差補正手段132により補正
された補正後の回転速度差ΔN’との差に起因する、回
転速度差に対応した伝達トルク制御のずれが好適に解消
され、トルク配分制御精度が一層高められる。
【0077】また、本実施例によれば、トルク指令値制
限手段286(SQ4)により、電磁クラッチ30の伝
達トルクtr を制御するためのトルク指令値tref の最
大値が予め設定されたTmax や入力トルクtin以上とな
らないように制限されるので、たとえ、制動操作の検出
がスイッチや回路の故障などの何らかの原因によって正
常に行われないことに関連して制動時のトルク配分制御
が実行されなくても、制動時においてABS制御に関連
してトルク配分クラッチの伝達トルクが過大になること
がなく、ABS性能の低下やトルク配分クラッチの発熱
が回避される。
【0078】また、本実施例によれば、トルク配分制御
選択遅延手段266(S7、S9)により、トルク配分
制御決定手段264(S3、S4、S5)により旋回走
行時制御からその他のトルク配分制御への決定が行われ
たときには、その決定から所定時間経過したことに基づ
いてその他のトルク配分制御が選択されることから、た
とえば左右の旋回走行が繰り返し行われるワインディン
グ或いはスラローム走行において、旋回走行時のトルク
配分制御を実行する旋回走行制御と直進走行時のトルク
配分制御を実行する通常走行時制御或いは発進時制御と
が短時間内に繰り返し選択される状態、すなわち制御モ
ードの頻繁な切り換えが好適に解消される。
【0079】また、本実施例によれば、旋回走行時制御
選択手段272(S5)により、旋回状態検出手段27
0(S5)により検出された車両の実際の旋回状態たと
えばヨーレート偏差eやその変化率 de/dt が予め設定
された判断基準値KMAPEおよびKMAPBを越える場合に
は、車両旋回操作量すなわち舵角δに基づく旋回走行時
制御が決定されていない場合でもその旋回走行時制御へ
切り換えられる指令が出力され、トルク配分制御選択手
段252(S6)により優先的に旋回走行時制御が選択
されるので、その旋回走行時制御の速やかな開始によっ
て旋回操作開始時の車両の旋回応答性が高められる。
【0080】また、本実施例によれば、トルク配分制御
選択手段252(S4、S5、S7)により、領域記憶
手段262に記憶された複数種類の領域のいずれに、車
速検出装置(車速算出手段178)および舵角検出装置
(舵角センサ94)により検出された車速Vおよび舵角
δにより示される車両が属するかに基づいて、上記複数
種類のトルク配分制御から1つのトルク配分制御が自動
的に選択されるので、車両の種々の走行状態に適合した
トルク配分制御が自動的に得られる。
【0081】図18は、前記電子制御装置110の他の
制御作動を説明するフローチャートであって、2輪・4
輪駆動切替制御ルーチンを示している。図において、S
T1では、トルク配分制御が行われる4輪駆動制御状態
が選択されたか否かが4輪駆動選択スイッチ80からの
信号に基づいて判断される。このST1の判断が否定さ
れた場合は、ST2において4輪駆動制御作動状態を示
す作動表示灯112が消灯される。しかし、ST1の判
断が肯定された場合は、ST3において、電磁クラッチ
30の入出力差動回転数である回転速度差ΔNが予め設
定された判断基準値ΔNsw以下であるか否かが判断され
る。また、ST3の判断が肯定された場合は、ST4に
おいて、スロットル開度θthが予め設定された判断基準
値θsw以下であるか否かが判断される。上記判断基準値
ΔNswおよびθswは、2(前)輪駆動状態から4輪駆動
制御状態へ切り換えられたときに電磁クラッチ30の摩
擦板42、46を損傷から保護することを必要とするほ
どの回転速度差ΔNおよび入力トルクtinに対応する値
であって、予め実験的に求められたものである。
【0082】上記ST3およびST4のいずれかの判断
が否定された場合には、直ちに4輪駆動制御状態にする
と電磁クラッチ30の摩擦板42、46を損傷させる可
能性があるので、そのような損傷を防止するために、S
T5において2(前)輪駆動状態が維持されるととも
に、ST6において、作動表示灯112が点滅表示され
ることにより運転者に対して4輪駆動選択スイッチ80
が操作されたにも係わらず未だ2(前)輪駆動状態であ
ることを示す。しかし、上記ST3およびST4の判断
が共に肯定された場合は、直ちに4輪駆動制御状態にし
ても電磁クラッチ30の摩擦板42、46を損傷させる
おそれがないので、ST7において2(前)輪駆動状態
から4輪駆動制御状態とされるとともに、ST8におい
て、作動表示灯112が連続点灯されることにより運転
者に対して4輪駆動制御状態であることを示す。
【0083】図19は、前記電子制御装置110の他の
制御作動を説明するフローチャートであって、前記発進
時制御手段256に対応する発進時トルク分配制御ルー
チンを示している。SU1では、シフトポジションがリ
バースレンジでない場合には前後Gセンサ90により検
出された前後加速度GX0から誤差範囲を除くための値H
CX0 を差し引くことにより、登坂路面勾配に対応する車
両停止時の前後加速度GX1が決定され、シフトポジショ
ンがリバースレンジである場合には逆向き登坂であるの
で、前後Gセンサ90により検出された前後加速度−G
X0から誤差範囲を除くための値HCX0 を差し引くことに
より、登坂路面路面勾配に対応する車両停止時の前後加
速度GX1が決定される。続くSU2では、数式11から
上記前後加速度GX1に基づいて、斜度に応じて加算する
ためのプレトルクtst0 が算出される。数式11におい
て、MV は車両重量、LF は車両の重心から前輪軸心ま
での距離、Lは車両のホイールベース、RW はタイヤ
径、IDRは後部差動歯車装置32のギヤ比、GZ は重力
加速度である。
【0084】
【数11】 tst0 =MV ・GX1・(LF /L)・(RW /IDR)・GZ ・・・(11)
【0085】SU3では、予め記憶されたマップから径
差補正後の回転速度差ΔN’および舵角の絶対値|δ|
に基づいて、差動回転によって発生するトルクに対応す
る差動回転数フィードバック係数ksn〔=Mksn (Δ
N’、|δ|)〕が算出される。上記マップは、主とし
て回転速度差ΔNに対応する大きさの伝達トルクとする
ためのものであるが、タイトコーナの影響を避けるため
に舵角|δ|が加味されている。続くSU4では、数式
12から上記差動回転数フィードバック係数ksn、入力
トルクtinに基づいて、重量配分に対応したトルク配分
を得るための発進時基準トルクtstが算出される。数式
12において、HCGは車両の重心高さである。数式12
の右辺の括弧内は、重量配分相当のトルク配分を行うた
めの係数値であって、1を越えない値である。
【0086】
【数12】 tst=ksn・tin・(LF /L+HCG/L・GX ) ・・・(12)
【0087】SU5では、発進時の制御トルクであるト
ルク指令値tref (=tst+tst0)が算出される。そ
して、シフト位置がパーキングレンジ或いはニュートラ
ルレンジであるときにはトルク指令値tref が零とされ
るとともに、予め設定された最小値TPRE と最大値T
MAX との間に制限され、且つ入力トルクtinを越えない
ように制限される。続くSU6では、上記トルク指令値
ref の変化が制限されることにより平滑化される。こ
れにより、発進時において、前後輪の重量配分に対応す
るトルク配分を基本として、回転速度差ΔNの増加に応
じた伝達トルクt r が得られるので、車両のトラクショ
ン性能が確保され且つ電磁クラッチ30に対して無駄な
電流を付与することが防止される。
【0088】次いで、SU7では、図20に示すN→D
シフト異常判定ルーチンが実行されることにより、上記
トルク指令値tref が重量配分相当(直結相当)のトル
ク値以上であるか否かが判断される。図20のSV1で
は、N→Dシフトが行われたか否かが判断される。この
SV1の判断が肯定された場合は、SV2において、エ
ンジン回転速度NE が予め設定された判断基準値NEJO
以上であるか否かが判断される。この判断基準値NEJO
は、自動変速機12のトルクコンバータの損傷が発生す
るおそれがあるほどの高い回転数であるか否かが判断さ
れる。このSV1およびSV2の判断のいずれかが否定
された場合はSV3においてN→Dシフトが正常である
とされるが、SV1およびSV2の判断が共に肯定され
た場合は、N→Dシフトが行われたときのエンジン回転
速度NE がトルクコンバータの損傷が発生するおそれが
あるほどの異常に高いエンジン回転速度である状態であ
るので、N→Dシフト異常であると判定される。
【0089】このSU7の判断が否定される場合はSU
9が直接実行されるが、肯定される場合はSU8におい
てトルク指令値tref が重量配分相当のトルクに制限さ
れた後、SU9が実行される。また、SU9において、
シフトレバーのN→D操作時のエンジン回転速度NE
所定値よりも高いN→Dシフト異常であるか否かが判断
される。このSU9の判断が否定される場合はSU11
が直接実行されてトルク指令値tref が出力されるが、
肯定される場合はSU10においてトルク指令値tref
が零に設定された後、SU11が実行される。これによ
り、N→Dシフト異常であると判定された場合には、ト
ルク指令値tref が零に設定されて電磁クラッチ30が
解放されるので、前輪24、26のスリップにより衝撃
が緩和され、N→Dシフトによる急激な回転上昇による
自動変速機12のトルクコンバータの損傷が防止され且
つ保護される。
【0090】図21は、前記電子制御装置110の他の
制御作動を説明するフローチャートであって、トルク配
分制御に関連するセンサの故障に拘らずトルク配分制御
が継続されるようにするためのセンサフェイル処理ルー
チンである。上記トルク配分制御に関連するセンサと
は、たとえば前後Gセンサ90、左右Gセンサ92、舵
角センサ94、スロットルセンサ96、エンジン回転速
度センサ98などであり、このルーチンでは3つのセン
サA、センサB、センサCとして一般的に示されてい
る。図のSW1ではセンサAが異常であるか否かが判断
される。このSW1の判断が否定される場合はSW3に
おいてセンサBが異常であるか否かが判断される。この
SW3の判断が否定される場合はSW5においてセンサ
Cが異常であるか否かが判断される。このSW5の判断
が否定される場合は本ルーチンが終了させられる。しか
し、上記SW1、SW3、またはSW5の判断が肯定さ
れる場合は、SW2、SW4、またはSW6において、
センサA、センサB、またはセンサCのデフォルト値す
なわち4輪駆動状態で車両が走行するに必要な差し支え
ない暫定値が設定される。たとえば、舵角センサ94が
異常である場合には、舵角δが零に設定される。これに
より、たとえば凍結路或いは雪路においてセンサがフェ
イルしても、性能は低下するが4輪駆動状態が継続され
てトラクション性能が確保される。因みに、従来の4輪
駆動制御装置では、センサのフェイルにより2輪駆動状
態とされるので、凍結路或いは雪路において走行困難と
なる恐れがあったのである。
【0091】図22は、前記電子制御装置110の他の
制御作動を説明するフローチャートであって、トルク配
分クラッチ故障判定ルーチンを示している。図におい
て、SX1では、電磁クラッチ30の入出力側の回転速
度差ΔN(=Nf −Nr )が前述の回転速度差算出手段
124と同様にして算出される。続くSX2では、前述
の回転速度差補正手段132と同様にして回転速度差Δ
Nの径差補正が行われ、補正後の回転速度差ΔN’が算
出される。次いで、SX3では、数式13からプロペラ
シャフト28(入力軸58)回りの前輪回転速度Nf
出力軸62回りの後輪回転速度Nr 、舵角δ、ステアリ
ングギヤ比ISTR に基づいて、理想状態すなわち車輪ス
リップのない状態の回転速度差(差動回転数)ΔNg
算出される。この数式13は車輪が路面と共回りをする
理想状態での旋回走行時の回転速度差ΔNg を表してお
り、電磁クラッチ30の摩擦板の固着などの故障がなけ
ればΔN=ΔNg となる。
【0092】
【数13】 ΔNg =Nf ・(1− cos(δ/ISTR )) ・・・(13)
【0093】続くSX4では、実際の回転速度差ΔNが
上記理想状態の回転速度差ΔNg 以下であるか否かが判
断される。このSX4の判断が否定される場合は電磁ク
ラッチ30の固着異常ではないので本ルーチンが終了さ
せられるが、肯定される場合は、摩擦板の固着、カム機
構の異常などの機械的原因や、電流センサやソレノイド
の異常のような電気的原因によってたとえば図23の実
線に示すような固着異常であると考えられるので、SX
5において、電磁クラッチ30の固着異常を示す故障信
号が出力されるとともに、異常表示灯114が点灯させ
られる。
【0094】以上、本発明の一実施例を図面に基づいて
説明したが、本発明はその他の態様においても適用され
る。
【0095】たとえば、前述の走行抵抗関連量算出手段
276は、図10に示す関係から車速Vに基づいて、平
坦地定速直進走行時の駆動トルクを算出するものであっ
たが、平坦地定速直進走行時のスロットル開度θth、燃
料噴射量、エンジン10の吸入吸気量などの他の量であ
ってもよい。要するに、走行抵抗に関連する量であれば
よいのである。
【0096】また、前述の実施例において、トルク配分
クラッチ制御手段120は、入力トルクtinが上記平坦
地定速直進走行時の駆動トルクを下まわるとトルク指令
値t ref を零とするものであったが、必ずしも零でなく
てもよい。要するに、入力トルクtinの減少に応じてト
ルク指令値tref を減少させるものであれば、一応の効
果が得られるのである。
【0097】また、前述の実施例において、トルク配分
制御選択遅延手段266は、旋回走行時制御状態におい
てその他の制御が決定されてから所定のND 回或いはN
S 回だけその決定が連続して行われるまで遅延させてい
たが、タイマにより遅延させられるものであっても差し
支えない。また、その判断基準となる所定回数ND 或い
はNS は車速Vなどの函数であってもよい。
【0098】また、前述の実施例において、旋回走行時
制御指令手段272は、ヨーレート偏差eが所定の判断
基準値KMAPE以上となり且つヨーレート偏差変化率 de
/dtが所定の判断基準値KMAPB以上となったときという
2条件が成立したときに、舵角δに基づく判断が未だ旋
回走行時制御を決定していなくても、優先的にその旋回
走行時制御を指令するものであったが、上記2条件は信
頼性を高めるためのものであるから、それらのうちのい
ずれか一方だけが用いられても差し支えない。
【0099】また、前述の実施例の旋回状態検出手段2
70は、実際の車両の旋回状態を示す値としてヨーレー
ト偏差eやヨーレート偏差変化率 de/dt を検出してい
たが、ヨーレート変化率 dr/dt などが検出されてもよ
い。要するに、車両のステア状態が検出されればよいの
である。
【0100】また、前述の実施例では、エンジン10の
出力トルクすなわち電磁クラッチ30の入力トルクtin
を算出する際などに用いられるスロットル開度θthに替
えて、アクセルペダル操作量、エンジン10の燃料噴射
量や吸入空気量などの要求出力量が用いられても差し支
えない。
【0101】また、前述の実施例の電磁クラッチ30
は、プロペラシャフト28と後部差動歯車装置32との
間に設けられるものであったが、所謂センターデフの差
動を制限するためにそれに並列に設けられた差動制限ク
ラッチ、トランスファと前部差動歯車装置との間に設け
られたクラッチ、プロペラシャフト28とそれに連結さ
れた差動歯車装置の出力側の1対の車軸との3軸のうち
の何れかの2軸間に設けられたクラッチなどであっても
よい。要するに、原動機から複数の車輪へそれぞれ伝達
されるトルクの割合を調節する電磁式、油圧式などのト
ルク配分クラッチであればよいのである。
【0102】その他一々例示はしないが、本発明は当業
者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実
施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例のトルク配分クラッチ制御装
置を備えた4輪駆動車両の動力伝達経路と共に説明する
図である。
【図2】前輪および後輪のトルク配分を行うために、図
1の動力伝達経路に設けられた電磁クラッチの構成を説
明する断面図である。
【図3】図2の電磁クラッチのクラッチ特性を説明する
特性図である。
【図4】図1の電子制御装置の構成例を詳細に説明する
図である。
【図5】図1の電子制御装置の制御機能の要部を説明す
る機能ブロック線図であって、トルク配分クラッチ制御
手段の構成を説明する図である。
【図6】図1の電子制御装置の制御機能の要部を説明す
る機能ブロック線図であって、図5の通常走行時制御手
段の構成を説明する図である。
【図7】図5のトルク配分クラッチ制御手段において複
数種類の制御モードを切り換えるのために予め記憶され
た関係を示す図である。
【図8】図6の入力トルク算出手段においてトルク配分
クラッチの入力トルクを決定するために用いられる関係
を示す図である。
【図9】車輪のスリップ率とその車輪の前後力係数との
関係を示す図である。
【図10】図6の基準トルク算出手段において、走行抵
抗に対応した大きさのマップ値M tindf (V)を求める
ために用いられる関係を示す図である。
【図11】図6の回転速度差対応トルク指令値算出手段
において、トルク配分クラッチの回転速度差に対応した
トルク指令を決定するために用いられる関係であって、
前輪径が後輪径よりも大きい場合に選択される関係を示
す図である。
【図12】図6の回転速度差対応トルク指令値算出手段
において、トルク配分クラッチの回転速度差に対応した
トルク指令を決定するために用いられる関係であって、
前輪径が後輪径よりも小さい場合に選択される関係を示
す図である。
【図13】車輪のスリップ率とその車輪の横力との関係
を示す図である。
【図14】図4の電子制御装置の制御作動の要部を説明
するためのフローチャートであって、制御モード判定ル
ーチンを示す図である。
【図15】図4の電子制御装置の制御作動の要部を説明
するためのフローチャートであって、通常走行時トルク
配分制御ルーチンを示す図である。
【図16】図4の電子制御装置の制御作動の要部を説明
するためのフローチャートであって、図15の指令値t
dn算出ルーチンを示す図である。
【図17】図4の電子制御装置の制御作動の要部を説明
するためのフローチャートであって、旋回走行時制御ル
ーチンを示す図である。
【図18】図4の電子制御装置の制御作動の要部を説明
するためのフローチャートであって、2輪・4輪駆動切
替制御ルーチンを示す図である。
【図19】図4の電子制御装置の制御作動の要部を説明
するためのフローチャートであって、発進時トルク分配
制御ルーチンを示す図である。
【図20】図4の電子制御装置の制御作動の要部を説明
するためのフローチャートであって、N→Dシフト異常
判定ルーチンを示す図である。
【図21】図4の電子制御装置の制御作動の要部を説明
するためのフローチャートであって、センサフェイル制
御ルーチンを示す図である。
【図22】図4の電子制御装置の制御作動の要部を説明
するためのフローチャートであって、トルク配分クラッ
チ故障判定ルーチンを示す図である。
【図23】図1の電磁クラッチの故障時の特性を示す図
である。
【符号の説明】
10:エンジン(原動機) 24、26:前輪(車輪) 30:電磁クラッチ(トルク配分クラッチ) 38、40:後輪(車輪) 120:トルク配分クラッチ制御手段 124:回転速度差算出手段 132:回転速度差補正手段 252:トルク配分制御選択手段 264:トルク配分制御決定手段 266:トルク配分制御選択遅延手段 270:旋回状態検出手段 272:旋回走行時制御指令手段 276:走行抵抗関連量算出手段 278:基準トルク算出手段 280:回転速度差対応トルク指令値算出手段 286:トルク指令値制限手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山下 勝司 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 池田 暁彦 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 井垣 宗良 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 高田 学 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 坂井 剛 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原動機から複数の車輪へそれぞれ伝達さ
    れるトルクの割合を調節するトルク配分クラッチを備え
    る車両において、所定のトルク配分が得られるように該
    トルク配分クラッチの伝達トルクを制御する車両用トル
    ク配分クラッチの制御装置であって、 前記車両の走行抵抗に関連する走行抵抗関連量を算出す
    る走行抵抗関連量算出手段と、 該走行抵抗関連量算出手段により算出された走行抵抗関
    連量に基づいて、前記トルク配分クラッチの伝達トルク
    を制御するトルク配分クラッチ制御手段とを、含むこと
    を特徴とする車両用トルク配分クラッチの制御装置。
  2. 【請求項2】 前記トルク配分クラッチ制御手段は、前
    記トルク配分クラッチの入力トルクが減少するほど前記
    トルク配分クラッチの伝達トルクを零に向かって減少さ
    せるものである請求項1の車両用トルク配分クラッチの
    制御装置。
  3. 【請求項3】 原動機から複数の車輪へそれぞれ伝達さ
    れるトルクの割合を調節するトルク配分クラッチを備え
    る車両において、所定のトルク配分が得られるように該
    トルク配分クラッチの伝達トルクを制御する車両用トル
    ク配分クラッチの制御装置であって、 前記トルク配分クラッチの入力側回転体および出力側回
    転体の実際の回転速度差を算出する回転速度差算出手段
    と、 車輪径差に関連した誤差を除去するために該回転速度差
    算出手段により算出された回転速度差を補正する回転速
    度差補正手段と、 前記回転速度差算出手段により算出された実際の回転速
    度差と前記回転速度差補正手段により補正された補正後
    の回転速度差とに基づいて、前記トルク配分クラッチの
    伝達トルクを制御するトルク配分クラッチ制御手段と
    を、含むことを特徴とする車両用トルク配分クラッチの
    制御装置。
  4. 【請求項4】 原動機から複数の車輪へそれぞれ伝達さ
    れるトルクの割合を調節するトルク配分クラッチを備え
    る車両において、制動操作が行われることに関連して該
    トルク配分クラッチの締結力が小さくされる形式の車両
    用トルク配分クラッチの制御装置であって、 前記トルク配分クラッチの伝達トルクを制御するための
    トルク指令値の最大値を制限するトルク指令値制限手段
    を、含むことを特徴とする車両用トルク配分クラッチの
    制御装置。
  5. 【請求項5】 原動機から複数の車輪へそれぞれ伝達さ
    れるトルクの割合を調節するトルク配分クラッチを備え
    る車両において、旋回走行時のトルク配分を制御する旋
    回走行時制御を含む複数種類のトルク配分制御から車両
    の走行状態に対応したトルク配分制御を選択する車両用
    トルク配分クラッチの制御装置であって、 所定の選択条件が成立したことに基づいて前記複数種類
    のトルク配分制御から該選択条件に対応するトルク配分
    制御を決定するトルク配分制御決定手段と、 該トルク配分制御決定手段により前記旋回走行時制御か
    らその他のトルク配分制御への決定が行われたときに
    は、該決定から所定時間継続したことに基づいて該他の
    トルク配分制御を選択するトルク配分制御選択遅延手段
    とを、含むことを特徴とする車両用トルク配分クラッチ
    の制御装置。
  6. 【請求項6】 原動機から複数の車輪へそれぞれ伝達さ
    れるトルクの割合を調節するトルク配分クラッチを備え
    る車両において、車両旋回操作量に基づいて直進走行時
    のトルク配分制御を実行する通常走行時制御から旋回走
    行時のトルク配分制御を実行する旋回走行時制御へ切り
    換えられる形式の車両用トルク配分クラッチの制御装置
    であって、 車両の実際の旋回状態を検出する旋回状態検出手段と、 該旋回状態検出手段により検出された車両の実際の旋回
    状態が予め設定された判断基準値を越える場合には、前
    記車両旋回操作量に基づく旋回走行時制御が決定されて
    いない場合であっても前記旋回走行時制御へ切り換える
    旋回走行時制御選択手段とを、含むことを特徴とする車
    両用トルク配分クラッチの制御装置。
  7. 【請求項7】 原動機から複数の車輪へそれぞれ伝達さ
    れるトルクの割合を調節するトルク配分クラッチを備え
    る車両において、所定のトルク配分が得られるように該
    トルク配分クラッチの伝達トルクを制御する車両用トル
    ク配分クラッチの制御装置であって、 車両の速度である車速を検出する車速検出装置と、 車両のステアリングホイールの操作角である舵角を検出
    する舵角検出装置と、 車速および舵角を変量とする座標において、複数種類の
    トルク配分制御に対応する複数種類の領域を予め記憶す
    る領域記憶手段と、 該領域記憶手段により記憶された複数種類の領域のいず
    れに、前記車速検出装置および舵角検出装置により検出
    された実際の車速および舵角により示される車両状態が
    属するかに基づいて、前記複数種類のトルク配分制御か
    ら1つのトルク配分制御を選択するトルク配分制御選択
    手段とを、含むことを特徴とする車両用トルク配分クラ
    ッチの制御装置。
JP8730798A 1998-03-31 1998-03-31 車両用トルク配分クラッチの制御装置 Pending JPH11278082A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8730798A JPH11278082A (ja) 1998-03-31 1998-03-31 車両用トルク配分クラッチの制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8730798A JPH11278082A (ja) 1998-03-31 1998-03-31 車両用トルク配分クラッチの制御装置

Related Child Applications (4)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004026148A Division JP2004131083A (ja) 2004-02-02 2004-02-02 車両用トルク配分クラッチの制御装置
JP2004026149A Division JP3753144B2 (ja) 2004-02-02 2004-02-02 車両用トルク配分クラッチの制御装置
JP2004026147A Division JP3894197B2 (ja) 2004-02-02 2004-02-02 車両用トルク配分クラッチの制御装置
JP2004026144A Division JP2004136889A (ja) 2004-02-02 2004-02-02 車両用トルク配分クラッチの制御装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11278082A true JPH11278082A (ja) 1999-10-12

Family

ID=13911185

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP8730798A Pending JPH11278082A (ja) 1998-03-31 1998-03-31 車両用トルク配分クラッチの制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11278082A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002127773A (ja) * 2000-10-20 2002-05-08 Fuji Heavy Ind Ltd 4輪駆動車の駆動力配分装置
JP2003237399A (ja) * 2002-02-12 2003-08-27 Hitachi Unisia Automotive Ltd 四輪駆動車の駆動力配分制御装置
JP2004338518A (ja) * 2003-05-15 2004-12-02 Nissan Motor Co Ltd 四輪駆動車の駆動力配分制御装置
JP2004359213A (ja) * 2003-05-09 2004-12-24 Fuji Heavy Ind Ltd 4輪駆動車の駆動力制御装置
JP2005088889A (ja) * 2003-09-19 2005-04-07 Borgwarner Inc 相互作用する駆動系及び車両制御のための制御システム
US20110035130A1 (en) * 2009-08-05 2011-02-10 Honda Motor Co., Ltd Torque distribution control apparatus for four-wheel drive vehicle and four-wheel drive vehicle having the same

Cited By (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002127773A (ja) * 2000-10-20 2002-05-08 Fuji Heavy Ind Ltd 4輪駆動車の駆動力配分装置
JP2003237399A (ja) * 2002-02-12 2003-08-27 Hitachi Unisia Automotive Ltd 四輪駆動車の駆動力配分制御装置
JP4531319B2 (ja) * 2002-02-12 2010-08-25 日立オートモティブシステムズ株式会社 四輪駆動車の駆動力配分制御装置
JP2004359213A (ja) * 2003-05-09 2004-12-24 Fuji Heavy Ind Ltd 4輪駆動車の駆動力制御装置
JP4712307B2 (ja) * 2003-05-09 2011-06-29 富士重工業株式会社 4輪駆動車の駆動力制御装置
JP2004338518A (ja) * 2003-05-15 2004-12-02 Nissan Motor Co Ltd 四輪駆動車の駆動力配分制御装置
JP4543622B2 (ja) * 2003-05-15 2010-09-15 日産自動車株式会社 四輪駆動車の駆動力配分制御装置
JP2005088889A (ja) * 2003-09-19 2005-04-07 Borgwarner Inc 相互作用する駆動系及び車両制御のための制御システム
JP4542403B2 (ja) * 2003-09-19 2010-09-15 ボーグワーナー・インコーポレーテッド 相互作用する駆動系及び車両制御のための制御システム
US20110035130A1 (en) * 2009-08-05 2011-02-10 Honda Motor Co., Ltd Torque distribution control apparatus for four-wheel drive vehicle and four-wheel drive vehicle having the same
CN101992770A (zh) * 2009-08-05 2011-03-30 本田技研工业株式会社 四轮驱动车辆的扭矩分配控制装置
US8666628B2 (en) * 2009-08-05 2014-03-04 Honda Motor Co., Ltd. Torque distribution control apparatus for four-wheel drive vehicle and four-wheel drive vehicle having the same

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6449552B2 (en) Driving force distribution control apparatus and method of motor vehicle
KR102440674B1 (ko) 4륜 구동 차량의 전, 후륜 토크 분배 제어 장치 및 방법
US6697725B1 (en) Load-based torque redistribution method in 4-wheel drive vehicle
JP2004104991A (ja) 回生制動を持つ車両の独立制動及び操縦性の制御方法及びシステム
JPH05328542A (ja) 電動車両の駆動力制御装置
JP2001180318A (ja) 四輪駆動車両の駆動力制御装置
JP2004099029A (ja) 回生制動を持つ車両の制動及び操縦性制御方法及びシステム
EP3747715A1 (en) Vehicle attitude control system
US7127343B2 (en) Slip control device of four-wheel-drive vehicle
JPH0516690A (ja) 車両の駆動輪トルク制御装置
JP5848150B2 (ja) 車両に働く駆動力を制御する制御装置
JP2006250948A (ja) 車両用加速度センサの出力補正装置
JPH11281672A (ja) 車両用加速度センサの出力補正装置
JP3753144B2 (ja) 車両用トルク配分クラッチの制御装置
US11447112B2 (en) Vehicle attitude control system
JP2004254375A (ja) 車両の駆動力制御装置
JPH11278082A (ja) 車両用トルク配分クラッチの制御装置
JP3570214B2 (ja) 車両用摩擦係合装置の温度推定装置
JP2008094214A (ja) 車両運動制御装置
JPH11278083A (ja) 車輪径差検出装置
EP2591940B1 (en) Device for controlling torque distribution to left and right wheels on a vehicle
JP2004136889A (ja) 車両用トルク配分クラッチの制御装置
JP3894197B2 (ja) 車両用トルク配分クラッチの制御装置
JP2004131083A (ja) 車両用トルク配分クラッチの制御装置
JPH11278088A (ja) 車両用トルク配分クラッチの制御装置および車両用パーキングブレーキターン判定装置

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20031202

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040202

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20040224

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A521 Written amendment

Effective date: 20040419

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

A02 Decision of refusal

Effective date: 20040601

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02