JP3017113B2 - 車両の駆動装置 - Google Patents

車両の駆動装置

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JP3017113B2
JP3017113B2 JP8328136A JP32813696A JP3017113B2 JP 3017113 B2 JP3017113 B2 JP 3017113B2 JP 8328136 A JP8328136 A JP 8328136A JP 32813696 A JP32813696 A JP 32813696A JP 3017113 B2 JP3017113 B2 JP 3017113B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両の駆動装置に関す
る。特に左右輪のトルク配分比を変化させることのでき
るトルク配分装置を備える車両の駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、車両の駆動装置においては、
駆動輪となる左右輪間に、旋回時などに生じる差動を許
容するために差動機構が設けられているが、この差動機
構があることによって、左右輪の内、一輪が路面から浮
いた状態になり空転すると、もう一輪には駆動力が伝達
されなくなる状態が生じてしまう。こうした状態を回避
するため、この差動機構の差動状態を所定の状態で制限
する差動制限装置を設けるものが、例えば、特開平1−
101236号公報などに提案されている。
【0003】この従来技術においては、さらに旋回性
能、高速安定性を向上するため、車速やハンドルの操舵
状態等を検出し、差動制限装置の差動制限力をコントロ
ールして差動機構の差動状態を制限したり、解放したり
している。しかしながら、この差動制限装置では、車両
が旋回したり、左右輪の路面に対する接地状態が変化し
たりして、左右輪間で差動が生じる状態でなければ、左
右輪間でのトルク配分比を変化させることができない。
すなわち、通常の直進状態で車輪間で回転数差が生じて
いない状態であるとトルク配分比を変化させることはで
きない。
【0004】一方、左右輪間に各々伝達トルクが可変と
なる油圧クラッチを設けることにより、車両が直進状態
にあっても、トルク配分比を変化させるものとして、例
えば、特開昭62−94421号公報などに提案されて
いる。この駆動装置においては、車速センサにより車速
を検出し、操舵量及び操舵方向を舵角センサにより検出
することにより、車両の旋回、直進状態にかかわらず、
左右のトルク配分比を変化させることができる。このた
め、旋回性能や走行安定性を向上させることができる。
【0005】また、さらに特開平1−233124号公
報には、左右輪間に各々伝達トルクが可変となる油圧ク
ラッチを設けるものを前提技術として、この左右輪に駆
動トルクを入力する入力経路に変速可能な増速装置を設
け、ハンドルの操舵力及びその微分値を検出しその値が
閾値を越えた場合にその増速装置により駆動トルクを増
速するようにしたものが提案されている。この駆動装置
では、ハンドルの操舵力及びその微分値を検出すること
により、予め旋回状態を予測することができるため制御
の応答性を高めることができ、さらに旋回性能をドライ
バーの要求に一致したものとすることができる。
【0006】
【解決しようとする課題】ところで、ドライバーの旋回
要求を満たすためには、前記のように舵角量及び、その
舵角量の微分値(舵角変化率)を検出して、旋回制御を
行うことが考えられるが、これまで挙げて来たような左
右輪のトルク配分比を変化させることにより旋回制御を
行う駆動装置では、左右輪の間で急激なトルク変化が生
じると、ハンドル操作に関わらず、車両の挙動が急変す
る恐れがある。
【0007】仮に前記した特開平1−2333124号
公報のように閾値より大きいか、小さいかを検出し、O
N、OFF制御で駆動トルクを変化させるものである
と、徐々にハンドル操作を行い、舵角変化率(速度)を
増大若しくは減少させるような旋回状態では、車両のス
テアリング特性が閾値を境にして急変するため、ドライ
バーに不安を抱かせたり、また車両の挙動が不安定にな
る可能性があった。
【0008】そこで本発明の目的は、左右輪のトルク配
分比を左右輪間に設けられたそれぞれのクラッチにより
変化させ得る駆動装置を前提として、ドライバーの旋回
要求を満たし、急激なステアリング特性の変化を防止す
る車両の駆動装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決し、目的
を達成するために、本発明の車両の駆動装置は以下の構
成を備えている。請求項1の発明の車両の駆動装置は、
パワープラントからの出力を受け、右車輪及び左車輪に
動力を伝達する動力伝達系と、その動力伝達系の動力伝
達部材にそれぞれ設けられ、右車輪及び左車輪に対する
伝達トルクを変化させる右車輪クラッチ及び左車輪クラ
ッチと、所定の信号に基づきその右車輪クラッチ及び左
車輪クラッチを制御し、右車輪及び左車輪へのトルク配
分比を変化させる制御手段とを備える車両の駆動装置に
おいて、ハンドルの舵角変化率を検出する舵角変化状態
検出手段と、その舵角変化状態検出手段から信号を受
け、右車輪及び左車輪に対するトルク配分比が最大の
角変化率となるまでの旋回初期、舵角変化率の増大に伴
い、増大され、この後舵角の増大が終了するまでの期間
増大したトルク配分比に保持され、一定舵角となる安定
旋回期間に移行した時該増大したトルク配分比次第に
減少されるよう右車輪クラッチ及び左車輪クラッチを制
御する制御手段とを有することを特徴とするものであ
る。
【0010】請求項2の発明の駆動装置は、パワープラ
ントからの出力を受け、右車輪及び左車輪に動力を伝達
する動力伝達系と、その動力伝達系の動力伝達部材にそ
れぞれ設けられ、右車輪及び左車輪に対する伝達トルク
を変化させる右車輪クラッチ及び左車輪クラッチと、所
定の信号に基づきその右車輪クラッチ及び左車輪クラッ
を制御し、右車輪及び左車輪へのトルク配分差を変化
させる制御手段とを備える車両の駆動装置において、ハ
ンドルの舵角変化率を検出する舵角状態検出手段と、そ
の舵角状態検出手段から信号を受け、右車輪と左車輪と
に伝達されるトルクの値の差が最大の舵角変化率となる
までの旋回初期、舵角変化率の増大に伴い、増大され、
この後舵角の増大が終了するまでの期間該増大したトル
クの値の差に保持され、一定舵角となる安定旋回期間に
移行した時該増大したトルクの値の差次第に減少され
るよう右車輪クラッチ及び左車輪クラッチを制御する制
御手段とを有することを特徴とするものである。
【0011】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、舵角変化
率の増大にともない、右車輪及び左車輪に対するトルク
配分比が増大するように、右車輪クラッチ及び左車輪ク
ラッチが制御されるため、徐々にハンドル操作を行い、
舵角速度が増大したり、減少したりした場合において
も、トルク配分比は舵角変化率の増大にともない、増大
される。すなわち舵角速度の変化に即してトルク配分比
も変化する。このため、車両のステアリング特性が閾値
を境にして急変することがなく、ドライバーに不安を抱
かせたり、また車両の挙動が不安定になったりするおそ
れがなくなる。
【0012】請求項2記載の発明によれば、舵角変化率
の増大にともない、右車輪と左車輪とに伝達されるトル
クの値の差が増大するよう右車輪クラッチ及び左車輪ク
ラッチが制御されるため、急激なハンドル操作をドライ
バーが行った場合は、大きなトルク差が左右輪間で生
じ、車両に良好な回頭性が得られる。また、ゆっくりと
したハンドル操作をドライバーが行った場合は、さほど
大きくないトルク差しか生じないため、駆動装置による
回頭性は、さほど生じず安定した旋回が行える。また徐
々に舵角速度を変化させた場合においても、徐々にトル
ク差が変化するため、車両のステアリング特性が急変す
ることがなく、ドライバーに不安を抱かせたり、また車
両の挙動が不安定になったりするおそれがなくなる。
【0013】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基いて説明す
る。図1は本実施例に係る4輪駆動車の概略の構成とそ
の制御システムを示すもので、この4輪駆動車は、エン
ジン1と変速機2とでなるパワープラント3で発生され
た駆動力が一対の伝動歯車4、5を介して入力されて、
左右の前輪6、7及び左右の後輪8、9をそれぞれ駆動
する前輪駆動系10及び後輪駆動系20とを有する。
【0014】上記前輪駆動系10は、車体前後方向に配
置されて、パワープラント3からの駆動力により上記歯
車4、5を介して駆動される前輪駆動軸11と、該軸1
1から入力された動力を左右に分割する差動装置12
と、該装置12によって分割された動力を左右の前輪
6、7にそれぞれ伝達する左右の車軸13、14とで構
成され、これらにより左右の前輪6、7がパワープラン
ト3からの駆動力で常時駆動されるようになっている。
【0015】また、上記後輪駆動系20は、同じく車体
前後方向に配置されて、パワープラント3からの駆動力
により上記歯車4、5を介して駆動される後輪駆動軸2
1と、該駆動軸21により一対の傘歯車22、23を介
して駆動され、動力を左右の後輪8、9にそれぞれ伝達
する左右の車軸24、25とで構成されている。
【0016】そして、この後輪駆動系20においては、
上記後輪駆動軸21上に左右の車軸24、25ないし後
輪8、9側への動力の伝達を遮断するカットオフクラッ
チ26が設けられていると共に、左右の車軸24、25
には、上記後輪駆動軸21側から左右の後輪8、9への
動力の伝達を断接し、またその伝達トルクを変化させる
左右の車輪クラッチ27、28がそれぞれ設けられてい
る。この車輪クラッチ27、28は、いずれも多板式の
油圧クラッチであって、図示しない油圧源から導かれた
油圧供給通路31、32が接続されていると共に、これ
らの通路31、32には車輪クラッチ27、28に対す
る油圧の給排を制御する油圧制御弁33、34がそれぞ
れ設けられている。
【0017】さらに、上記カットオフクラッチ26と油
圧制御弁33、34の作動を制御するコントローラ35
が備えられ、該コントローラ35から出力される制御信
号aによってカットオフクラッチ26が断接されると共
に、同じくコントローラ35から出力される制御信号
b、cにより、上記油圧制御弁33、34が開閉制御さ
せて左右の車輪クラッチ27、28に対する油圧の給排
が制御され、これにより両車輪クラッチ27、28の断
接もしくはその伝達トルクが制御されるようになってい
る。
【0018】そして、このコントローラ35には、上記
の各制御用として、前後左右の各車輪6〜9の回転速度
をそれぞれ検出する各車輪速センサ36〜39からの信
号d、e、f、gと、当該車両の運転席に設けられたハ
ンドル40の操作量、つまり舵角量を検出する舵角セン
サ41からの信号hと、旋回時に車体に作用する横加速
度センサ42からの信号iと、さらに、当該車両に備え
られたABS(アンチロックブレーキングシステム)の
作動を制御するABSコントローラ43からのABS制
御中であるか否かを示す信号jとが入力され、該コント
ローラ35が、これらの入力信号d〜jに基いて、上記
カットオフクラッチ26と左右の車輪クラッチ27、2
8とに対する制御を行うようになっている。
【0019】次に、この実施例の作用を上記コントロー
ラ35の制御動作を示すフローチャートに従って説明す
る。図2はコントローラ35の制御動作のメインルーチ
ンを示すもので、まずステップS1で、コントローラ3
5は以下の制御で用いる各種の変数、フラグ、その他の
イニシャライズを行い、次いでステップS2で左右の車
輪クラッチ27、28の締結度、換言すれば左右の後輪
8、9に対するトルク配分比を決定する。そして、ステ
ップS3で、両車輪クラッチ27、28の締結度がステ
ップS2で決定された値となるように、図1に示す油圧
制御弁33、34に制御信号b、cを出力し、またカッ
トオフクラッチ26に対しては、これを断接する制御信
号aを出力する。
【0020】上記ステップS2による車輪クラッチ2
7、28の締結度の決定制御は、この実施例では、図3
に示すサブルーチンにより、次のように行われる。つま
り、この制御では、まずステップS11で、図1に示す各
センサ36〜39、41、42からの信号によって、左
前輪、右前輪、左後輪、右後輪の各車輪速ωFL、ωFR
ωRL、ωRR、ハンドル40の舵角量θ、その変化率ψ、
車速V、及び横加速度Gを入力すると共に、さらにAB
Sコントローラ43からの信号jとしてABS制御中で
あるか否かを示すABS作動信号FABSを入力する。こ
こで、上記変化率ψは舵角量θの変化に基いて算出し、
また車速Vは上記各車輪速ωFL、ωFR、ωRL、ωRRのう
ちの最も遅いものを車速として採用する。
【0021】次いで、コントローラ35は、ステップS
12で上記ABS作動信号FABSの値を判定し、これが1
の場合、つまりABSコントローラ43によりABS制
御が現に行われている場合は、ステップS13で左右の後
輪8、9のトルク配分比TRL、TRRを共に0に設定す
る。従って、この場合は、左右の車輪クラッチ27、2
8にはいずれも油圧が供給されず、車軸24、25が遮
断されて左右の後輪8、9に駆動力が伝達されない状態
となる。これは、左右の後輪8、9を自由に回転し得る
状態として、ABS制御を正確に行うためである。
【0022】一方、ABS制御が行われていないとき
は、FABS=0であって、コントローラ35は上記ステ
ップS12からステップS14を実行し、舵角量θの絶
対値が所定値θ0より小さいか否かを判定する。この所
定値θ0は不感帯の幅を示す極く小さな値であって、|
θ|<θ0の場合は、ハンドル40は操作されておら
ず、当該車両が直進状態にあると判断する。
【0023】そして、直進状態にある場合は、コントロ
ーラ35は、まずステップS15で後述する旋回時の制御
で用いる旋回フラグFC及びタイマフラグFTMを共に0
にセットした上で、ステップS16で次式に従って前、後
輪間の回転速度差Δω1を算出する。
【0024】Δω1=(ωFL+ωFR)−(ωRL+ωRR) さらに、コントローラ35は、ステップS17で上記速度
差Δω1を図4に示す予め設定されたマップに適用し、
後輪8、9の最終トルク配分比TRL、TRRの決定に用い
られる第1後輪配分比T1を求める。その場合に図4の
マップは、速度差Δω1が正のとき(前輪6、7の回転
速度が後輪8、9の回転速度より大きいとき)に、その
値が大きいほど第1後輪配分比T1が大きくなるように
設定されているので、例えば前輪6、7に与えられる駆
動力が過大であってスリップを生じている場合に、その
程度に応じて後輪8、9に対するトルク配分比が増大さ
れて、前輪6、7のスリップが抑制されることになる。
【0025】また、コントローラ35は、ステップS18
で、次式に従って左右の車輪の回転速度差Δω2を算出
する。 Δω2=(ωFL+ωRL)−(ωFR+ωRR) そして、ステップS19で、この速度差Δω2の絶対値を
図5に示すマップに適用し、同じく最終トルク配分比T
RL、TRRの決定に用いられる第2後輪トルク配分比T2
を求める。その場合に、図5のマップは、|Δω2|が
大きいほど第2後輪配分比T2が大きくなるように設定
されているので、例えば左右の車輪に対する路面の摩擦
係数が異なって左右の車輪間に速度差が生じた場合に、
後輪8、9に対するトルク配分比が増大されて、このよ
うな路面での走行時のおける車両の走行安定性が確保さ
れることになる。
【0026】さらに、コントローラ35は、ステップS
20で、車速Vを図6に示すマップに適用し、同じく最終
トルク配分比TRL、TRRの決定に用いられる第3後輪配
分比T3を求める。その場合に、図6のマップは、高車
速域で車速Vの上昇の従って第3トルク配分比T3が大
きくなるように設定されているから、高車速時に後輪
8、9に対するトルク配分比が増大されて、直進安定性
が増大することになる。
【0027】そして、コントローラ35は、次にステッ
プS21を実行し、上記のようにして求めた第1〜第3後
輪配分比T1、T2、T3のうちの最も大きなものを選択
し、これを左右の後輪8、9に対するトータルのトルク
配分比TRとして設定すると共に、ステップS22で、こ
のトータル後輪配分比TRを2分し、これらを左右の後
輪8、9に対する最終のトルク配分比TRL、TRRとす
る。
【0028】このようにして、直進時における左右の後
輪8、9に対するトルク配分比TRL,TRRが決定される
が、その場合に図4〜図6のマップから明らかなよう
に、前、後輪間及び左右の車輪間に回転速度差がなく、
且つ車速が特に高くない場合等の通常の走行時には、上
記第1〜第3後輪配分比T1、T2、T3はいずれも0と
なるから、パワープラント3からの駆動力が前輪6、7
にのみ伝達される2輪駆動状態となり、また、上記各配
分比T1、T2、T3の少なくとも1つが0でない場合に
は、後輪8、9にも駆動力が伝達される4輪駆動状態と
なる。そして、この直進時の4輪駆動状態では、左右の
後輪8、9に対するトルク配分比は常に均等に設定され
ることになる。また、上記各後輪配分比T1、T2、T3
のいずれかが最大値(0.5)となる場合は、前、後輪
に駆動力が均等に配分され、その結果、パワープラント
の出力がすべての車輪に1/4づつ伝達されることにな
る。
【0029】一方、ハンドル40の舵角量θが所定値θ
0以上となる旋回時には、コントローラ35は上記ステ
ップS14からステップS23を実行し、旋回フラグF
Cは、直線時及び旋回初期における舵角量θが増大して
いる間は0、旋回中において舵角量θの増大が停止した
安定旋回状態では1となる。したがって、コントローラ
35は、直進状態から旋回状態への移行時には、FC
0であるからステップS23からステップS24を実行し、
舵角量変化率ψの絶対値が0より大きいか否かを判定す
ると共に、旋回開始時にはこの値が0より大きいから、
さらにステップS25を実行して、舵角量変化率ψの現時
点までの最大値max(ψ)をその時点の変化率ψとす
る(旋回開始時においては、現時点の変化率ψがその時
点までの最大値max(ψ)となる)。
【0030】そして、ステップS26で、図7に示すマッ
プに基いて、上記変化率ψに対応する左右の後輪8、9
のベース配分比TRLB、TRRBを設定する。その場合に、
左側へのハンドル操作時における舵角量θの増大時にそ
の変化率ψが正の値になるものとすれば、図7に示すよ
うに、その方向へのハンドル操作時には、右後輪9のベ
ース配分比TRRBが左後輪8のベース配分比TRLBより大
きな値に設定され、逆に右側へのハンドル操作時には左
後輪8のベース配分比TRLBが右後輪9のベース配分比
RRBより大きな値に設定され、且つこれらのベース配
分比TRLB、TRRBは舵角量変化率ψが大きいほど大きな
値に設定される。そして、ステップS27で、このように
して設定したベース配分比TRLB、TRRBを左右の後輪
8、9の最終トルク配分比TRL、TRRにそのまま置換す
る。
【0031】これにより、図9に示すように、旋回初期
における舵角量の変化率ψが増大している期間(イ)
は、その増大に応じて最終トルク配分比TRL、TRRも増
大し、この配分比TRL、TRRで左右の後輪8、9が駆動
されると共に、変化率ψが最大値ψMAXとなった後、0
まで低下する間、つまり、舵角量θの増大が終了して一
定舵角θ1で安定するまでの期間(ロ)は、舵角量変化
率ψの最大値ψMAXに対応する最大配分比(TRLMAX
(TRRMAXに保持されることになる。このように、舵
角量一定の安定旋回状態に移行するまでの間は、後輪
8、9に大きな配分比が与えられ、しかも旋回方向に対
して外側の後輪に内側の後輪より大きな配分が与えられ
ることにより、当該車両の旋回初期における良好な回頭
性が得られることになる。
【0032】その後、舵角量変化率ψが0となって安定
旋回状態に移行すると、ステップS28で上記旋回フラグ
Cが1にセットされるから、コントローラ35は、次
にステップS23からステップS29を実行し、タイマフラ
グFTMの値を判定する。このフラグFTMは当初は0であ
り、従ってコントローラ35は、次にステップS30で、
後輪8、9に対するトルク配分比を減少させるための定
数C0を設定する。この定数C0は、図8に示すマップに
基いて設定され、安定旋回中における一定舵角量θ1
絶対値が大きいほど小さな値に設定される。そして、ス
テップS31で上記タイマフラグFTMを1にセットし、且
つトルク配分比の低減量Cを0にクリアすると共に、ス
テップS32で、この低減値Cを用いて、次式に従ってト
ルク配分比の低減係数Kを算出する。
【0033】K=(1000−C)/1000 ここで、数値(1000)は、制御サイクル周期との関
係で決定された一例としての値であって、この場合、上
記定数C0は1000以下の値となる。
【0034】上記低減係数Kは当初は1であるが、次回
以降の制御サイクルでは、上記ステップS29からステッ
プS33が実行されて(FTM=1)、低減値Cに定数C0
が各サイクル毎に順次加算されるから次第に減少すると
共に、ステップS94で0以下に減少したことが判明され
たとき、ステップS35で0に固定される。 そして、コ
ントローラ35は、ステップS36で、上記のようにして
1から0まで低減係数Kをベース配分比TRLB(=(T
RLMAX)、TRRB(=(TRRMAX)に掛けて、後輪
8、9の最終トルク配分比TRL、TRRを算出する。
【0035】このようにして、最終トルク配分比TRL
RRは、図9に示すように、安定旋回期間(ハ)におい
ては、期間(ロ)における最大配分比(TRLMAX
(TRRMAXから0まで次第に減少されることになり、
当該車両が4輪駆動状態から前輪6、7に徐々に移行し
て、旋回中期における安定した走行性が得られることに
なる。そして、特に上記定数C0は、一定舵角量θ1が大
きいほど小さな値に設定されるので、該舵角量θ1が大
きい場合には、図9に鎖線で示すように、後輪8、9の
トルク配分比TRL,TRRは、舵角量θ1が小さい場合よ
り長時間を掛けて0まで減少されることになり、2輪駆
動状態への移行が常に円滑に行われることになる。
【0036】以上のようにして、直進時及び旋回時の左
右の後輪8、9の最終トルク配分比TRL、TRRが決定さ
れると、コントローラ35は、図2のフローチャートの
ステップS3で、左右の車輪クラッチ27、28の締結
度が、上記の配分比TRL、TRRが得られる締結度となる
ように、図1に示す油圧制御弁33、34に制御信号
b、cを出力すると共に、制御信号aによりカットオフ
クラッチ26の断接制御を行うのであるが、この制御
は、具体的には図10に示すサブルーチンによって行わ
れる。この制御においては、コントローラ35は、まず
ステップS41で故障フラグFTRBの値を判定する。この
フラグFTRBは、左右の車輪クラッチ27、28が共に
故障である場合に1となり、この場合、コントローラ3
5は、ステップS42でカットオフクラッチを切断(OF
F)する。これにより、車輪クラッチ27、28の故障
時にはパワープラント3からの駆動力は後輪8、9側へ
は伝達されないことになり、前輪6、7のみが駆動され
る2輪駆動状態となる。
【0037】一方、車輪クラッチ27、28の少なくと
も一方が正常であって、故障フラグFTRBが0のとき
は、コントローラ35はステップS43を実行して、走行
初期フラグFINIの値を判定する。このフラグFINIはエ
ンジンの始動後、車両が例えば300m走行するまでの
走行初期の間は0であり、走行開始時からの走行距離が
300mを超えた時点で1となる。従って、当初は該フ
ラグFINIは0であって、コントローラ35は上記ステ
ップS43からステップS44を実行し、エンジンの始動を
待つと共に、始動すればさらにステップS45を実行し
て、カットオフクラッチ26を接続(ON)する。そし
て、走行開始時からの走行距離が300mを越えた時点
で、ステップS46からステップS47を実施し、上記走行
初期フラグFINIを1にセットする。従って、走行開始
時から300m走行するまでは、車輪クラッチ27、2
8の状態に拘らず、カットオフクラッチ26は常に接続
されることになる。
【0038】次に走行初期段階が終了して上記フラグF
INIが1になると、コントローラ35は、ステップS48
を実行して、前記の車輪クラッチ締結度決定ルーチンで
決定した左右の後輪8、9のトルク配分比TRL、TRR
値を判定し、これらが共に0のとき(2輪駆動時)は、
ステップS49でカットオフクラッチ26を切断する。そ
のため、パワープラント3からの駆動力はカットオフク
ラッチ26より下流側へは伝達されないことになる。
【0039】また、上記トルク配分比TRL、TRRの少な
くとも一方が0でない場合は、コントローラ35は、ス
テップS50を実行してカットオフクラッチ26が切断さ
れているか否かを判定し、切断されている場合は、ステ
ップS51で制御信号aを出力してこれを接続し、また接
続されている場合はそのまま保持する。そして、ステッ
プS52で、車輪クラッチ27、28を接続するように制
御信号b、cを出力する。このようにして、後輪8、9
にも駆動力を伝達するために車輪クラッチ27、28を
接続する場合に、まずカットオフクラッチ26が接続さ
れ、その後、予め決定された左右の後輪8、9のトルク
配分比TRL、TRRとなるように車輪クラッチ27、28
が接続され、走行状態に応じた4輪駆動状態となる。
【0040】そして、コントローラ35は、その後ステ
ップS53を実行して、左右の車輪クラッチ27、28が
共に故障しているか否かを判定し、故障している場合
は、ステップS54、S55でカットオフクラッチ26を切
断し、且つ故障フラグFTRBを1にセットし、以下、前
記のステップS41、S42による故障時の制御を行う。
【0041】以上のようにして、走行状態に応じてカッ
トオフクラッチ26と車輪クラッチ27、28の制御が
行われることになるが、特に左右の車輪クラッチ27、
28が共に切断されている場合(TRL、TRR=0)は、
カットオフクラッチ26も切断されることになるので
(ステップS49)、後輪8、9に駆動力を伝達しない場
合に、図1に示す後輪駆動軸21の下流部、一対の傘歯
車22、23、左右の車軸24、25の上流部、及び車
輪クラッチ27、28の駆動側部材等が不必要に駆動さ
れることがなく、その分だけ駆動損失が低減されること
になる。
【0042】また、車輪クラッチ27、28の少なくと
も一方を接続する場合には、これに先立ってカットオフ
クラッチ26が接続されるので(ステップS51)、パワ
ープラント3からの駆動力が、まず車輪クラッチ27、
28まで、次いで後輪8、9まで順次段階敵に伝達され
ることになり、駆動力を一挙に車輪まで伝達する場合の
ような大きなショックの発生が防止されることになる。
【0043】ところで、上記のように、後輪8、9に駆
動力を伝達しない状態ではカットオフクラッチ26を切
断するようにした場合、この状態が長期にわたると上記
後輪駆動軸21の下流部、一対の傘歯車22、23、左
右の車軸24、25の上流部、及び車輪クラッチ27、
28の駆動側部材等が長期間回転しないことになるの
で、これらを支持するベアリングやオイルシール等が潤
滑油切れによって錆び付いたり劣化したりする恐れがあ
る。しかし、この実施例では、上記のように走行開始時
からの走行距離が300mを越えるまでの走行初期にお
いては、車輪クラッチ27、28が切断されている場合
にもカットオフクラッチ26が接続されることにより
(ステップS45)、この間は上記後輪駆動軸21の下流
部ないし車輪クラッチ27、28の駆動側部材等が回転
して、ベアリングやオイルシール等に潤滑油が供給され
ることになり、上記のような不具合が防止される。
【0044】なお、車輪クラッチ27、28が切断され
ている状態でカットオフクラッチ26を接続する時期
は、上記の走行初期に限らず、例えば所定車速以下の低
速走行時等のカットオフクラッチ26を接続することに
よるショックが比較的小さな他の時期に設定してもよ
い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る実施例の4輪駆動車における概略
の構成と制御システムとを示す図である。
【図2】制御動作のメインルーチンを示すフローチャー
ト図である。
【図3】車両クラッチの締結度決定制御のサブルーチン
を示すフローチャート図である。
【図4】第1後輪配分比T1を求めるマップの説明図で
ある。
【図5】第2後輪配分比T2を求めるマップの説明図で
ある。
【図6】第3後輪配分比T3を求めるマップの説明図で
ある。
【図7】右後輪のベース配分比TRRBと左後輪のベース
配分比TRLBを求めるマップの説明図である。
【図8】後輪に対するトルク配分比を減少させるための
定数C0を求めるマップの説明図である。
【図9】この制御の具体的動作を示すタイムチャート図
である。
【図10】クラッチ制御のサブルーチンを示すフローチ
ャート図である。
【符号の説明】 3…パワープラント 6、7…前輪 8、9…後輪(左後輪、右後輪) 10…前輪駆動系 20…後輪駆動系 26…カットオフクラッチ 27、28…車輪クラッチ(左車輪クラッチ、右車輪ク
ラッチ) 35…制御手段(コントローラ) 41…舵角センサ(舵角状態検出手段)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60K 23/04 F16D 48/02

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 パワープラントからの出力を受け、右車
    輪及び左車輪に動力を伝達する動力伝達系と、その動力
    伝達系の動力伝達部材にそれぞれ設けられ、右車輪及び
    左車輪に対する伝達トルクを変化させる右車輪クラッチ
    及び左車輪クラッチと、所定の信号に基づきその右車輪
    クラッチ及び左車輪クラッチを制御し、右車輪及び左車
    輪へのトルク配分比を変化させる制御手段とを備える車
    両の駆動装置において、 ハンドルの舵角変化率を検出する舵角変化状態検出手段
    と、 その舵角変化状態検出手段から信号を受け、右車輪及び
    左車輪に対するトルク配分比が最大の舵角変化率となる
    までの旋回初期、舵角変化率の増大に伴い、増大され、
    この後舵角の増大が終了するまでの期間増大したトルク
    配分比に保持され、一定舵角となる安定旋回期間に移行
    した時該増大したトルク配分比次第に減少されるよう
    右車輪クラッチ及び左車輪クラッチを制御する制御手段
    とを有することを特徴とする車両の駆動装置。
  2. 【請求項2】 パワープラントからの出力を受け、右車
    輪及び左車輪に動力を伝達する動力伝達系と、その動力
    伝達系の動力伝達部材にそれぞれ設けられ、右車輪及び
    左車輪に対する伝達トルクを変化させる右車輪クラッチ
    及び左車輪クラッチと、所定の信号に基づきその右車輪
    クラッチ及び左車輪クラッチを制御し、右車輪及び左車
    輪へのトルク配分差を変化させる制御手段とを備える車
    両の駆動装置において、 ハンドルの舵角変化率を検出する舵角状態検出手段と、 その舵角状態検出手段から信号を受け、右車輪と左車輪
    とに伝達されるトルクの値の差が最大の舵角変化率とな
    るまでの旋回初期、舵角変化率の増大に伴い、増大さ
    れ、この後舵角の増大が終了するまでの期間該増大した
    トルクの値の差に保持され、一定舵角となる安定旋回期
    間に移行した時該増大したトルクの値の差次第に減少
    されるよう右車輪クラッチ及び左車輪クラッチを制御す
    る制御手段とを有することを特徴とする車両の駆動装
    置。
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