JP4665485B2 - 車両の路面摩擦係数判別装置 - Google Patents

車両の路面摩擦係数判別装置 Download PDF

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本発明は、前輪駆動車や後輪駆動車や四輪駆動車に適用される車両の路面摩擦係数判別装置に関する。
従来、電子制御四輪駆動車の路面摩擦係数判別は、車両が駆動力配分制御装置への駆動力指令領域にあるシーンにて、主動輪と従動輪の回転差量の大小により低μ路/高μ路を判別していた(例えば、特許文献1参照)。
特開2002−347599号公報
しかしながら、従来の路面摩擦係数判別装置にあっては、雪路緩発進等、実際は低μ路での発進を行ったが、主動輪と従動輪の回転差量が少ないようなシーンでは、低μ路と判別できない。したがって、従来の路面摩擦係数判別では、主動輪と従動輪の回転差量が少ない、または、主動輪と従動輪の回転差量が出ないようなシーンでの精度の良い路面μ推定が不可能である、という問題があった。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、主動輪と従動輪の回転差量の大小にかかわらず、精度良く路面摩擦係数状況を判別することができる車両の路面摩擦係数判別装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明では、少なくとも走行中の車輪速情報を用いて路面摩擦係数を判別する車両の路面摩擦係数判別装置において、
複数の車輪のうち、動力源からの駆動力が主に伝達される主動輪の加速度を検出する主動輪加速度検出手段と、
前記主動輪の出力トルクを検出する主動輪出力トルク検出手段と、
前記主動輪加速度と前記主動輪出力トルクによる直交座標面上を、路面摩擦係数の異なる領域毎に分割した路面摩擦係数判別マップを設定した路面摩擦係数判別マップ設定手段と、
前記路面摩擦係数判別マップを用い、予め設定した数または時間に取得された主動輪加速度データと主動輪出力トルクデータによる複数の動作点が存在する領域をモニタリングし、判別頻度の多い領域があらわす路面摩擦係数を、その走行状況での路面摩擦係数判別する路面摩擦係数判別手段と
を備えたことを特徴とする。


よって、本発明の車両の路面摩擦係数判別装置にあっては、路面摩擦係数判別手段において、主動輪加速度と主動輪出力トルクとの相対関係により路面摩擦係数が判別される。すなわち、高μ路では主動輪出力トルクが高くても駆動スリップをあらわす主動輪加速度が低く抑えられるし、低μ路では主動輪出力トルクが低くても駆動スリップをあらわす主動輪加速度が高くなるというように、主動輪加速度と主動輪出力トルクとの間には、路面摩擦係数を判別可能な相対関係を持つ。しかも、この路面摩擦係数判別は、主動輪の情報のみを用い、従動輪にかかわる情報を用いないため、4輪駆動車のみならず、2輪駆動車に対しても適用することができる。この結果、主動輪と従動輪の回転差量の大小にかかわらず、精度良く路面摩擦係数状況を判別することができる。
以下、本発明の車両の路面摩擦係数判別装置を実現する最良の形態を、図面に示す実施例1及び実施例2に基づいて説明する。
まず、構成を説明する。
図1は実施例1の路面摩擦係数判別装置が適用された後輪駆動ベースの四輪駆動車を示す全体システム図である。
四輪駆動車の駆動系は、図1に示すように、エンジン1、自動変速機2、リヤプロペラシャフト3、リヤディファレンシャル4、リヤドライブシャフト5,6、左後輪7、右後輪8、トラスファクラッチ9、フロントプロペラシャフト10、フロントディファレンシャル11、フロントドライブシャフト12,13、左前輪14、右前輪15、とを備えている。なお、左右後輪7,8が、主駆動輪に相当し、左右前輪14,15が従動輪に相当する。
前記エンジン1は、エンジンコントローラ16からの指令により燃料噴射制御等が行われ、前記自動変速機2は、自動変速コントローラ17からの指令によりにより変速制御等が行われる。
前記トランスファクラッチ9の締結制御を行う前後差動制限システムは、前後差動制限アクチュエータ19と、該前後差動制限アクチュエータ19に対し締結指令または解放指令を出力する差動制限コントローラ20と、を有して構成される。
前記トランスファクラッチ9としては、例えば、油圧多板クラッチや電磁多板クラッチ等が適用され、締結により左右後輪7,8と左右前輪14,15の差動を制限する前後差動制限機能を有する。つまり、トランスファクラッチ9の締結により駆動トルクが、左右後輪7,8からトランスファクラッチ9を介して左右前輪14,15へ伝達されるという駆動力配分作用により左右後輪7,8と左右前輪14,15の差動を制限する。
前記差動制限コントローラ20には、アクセル開度センサ21,前後加速度センサ22,モード切替スイッチ23等からの情報が入力される。前記モード切替スイッチ23は、2WD固定モードと4WD固定モードとオートモードとの切り替えを手動により行う手段である。そして、モード切替スイッチ23の4WD固定モードを選択すると前後輪の差動制限作用が最も強くなる。また、モード切替スイッチ23のオートモードを選択すると、例えば、前後輪回転速度差に応じた前後輪駆動力配分制御やアクセル開度速度に応じた前後輪駆動力配分制御が実行される。前後輪回転速度差に応じた前後輪駆動力配分制御の場合、前後輪回転速度差が大きく路面摩擦係数が低μ路であるほど、左右前輪14,15に配分するトルクを大きくし、左右後輪7,8での駆動スリップを速やかに収束させる。
このように、差動制限による前後輪駆動力配分制御を行う場合、路面摩擦係数情報が重要な制御情報となるため、この差動制限コントローラ20には、路面摩擦係数判別装置に相当する路面摩擦係数判別ロジックが組み込まれている。
前記各輪7,8,14,15をブレーキ液圧により制動するアンチロックブレーキシステムは、図1に示すように、ブレーキペダル30、ブースタ31、マスタシリンダ32、マスタシリンダ液圧パイプ33,34、ABSアクチュエータ35、左後輪ホイールシリンダ液圧パイプ36、右後輪ホイールシリンダ液圧パイプ37、左前輪ホイールシリンダ液圧パイプ38、右前輪ホイールシリンダ液圧パイプ39、左後輪ホイールシリンダ40、右後輪ホイールシリンダ41、左前輪ホイールシリンダ42、右前輪ホイールシリンダ43、ブレーキコントローラ44、とを備えている。
前記ABSアクチュエータ35は、オイルポンプや液圧制御バルブ等により構成され、通常制動時には、マスタシリンダ液圧パイプ33,34に対応して分けられた2つのブレーキ液圧系統を介して各輪7,8,14,15にブレーキ液圧を供給する。ABS作動時には、各輪7,8,14,15の制動ロックを抑えるように、減圧・保持・増圧の3モードによりブレーキ液圧を制御する。
前記ブレーキコントローラ44には、ブレーキランプスイッチ45,左前輪速センサ46,右前輪速センサ47,左後輪速センサ48,右後輪速センサ49等からの情報が入力される。
前記エンジンコントローラ16と自動変速コントローラ17と差動制限コントローラ20とブレーキコントローラ44とは、情報交換を行う双方向通信線50により互いに連結されていて、ブレーキコントローラ44が入力した車輪速情報は、双方向通信線50を介して前記差動制限コントローラ20に供給される。
次に、作用を説明する。
[路面摩擦係数判別処理]
図2は実施例1の差動制限コントローラ20にて所定制御周期毎に実行される路面摩擦係数判別処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。
ステップS1では、アクセル開度センサ21からのセンサ信号に基づいて演算されたアクセル開度ACC等によりアクセル踏み込み操作時か否かが判断され、YESの場合はステップS3へ移行し、NOの場合はステップS2へ移行する。
ステップS2では、ステップS1でのアクセル足離し時であるとの判断に基づき、路面μ状況としては現在の判別内容を維持し、リターンへ移行する。
なお、路面μの判別処理を1度も行うことなく、最初にステップS2へ移行してきた場合には、「低μ」を路面μ判別の初期値とする。
ステップS3では、ステップS1でのアクセル踏み込み操作時であるとの判断に続き、主動輪左右平均速の時間変化率を算出し、ステップS4へ移行する(主動輪加速度検出手段)。
ここで、「主動輪左右平均速」とは、左右の後輪速センサ48,49からの左後輪速と右後輪速との平均値をいい、「時間変化率」とは、例えば、今回の主動輪左右平均速と1制御周期の間の主動輪左右平均速との差をいう。つまり、左右後輪速平均値を時間微分処理することで、主動輪加速度を検出している。
ステップS4では、ステップS3での主動輪左右平均速時間変化率の算出に続き、主動輪出力トルク計算値Tfrを算出し、ステップS5へ移行する(主動輪出力トルク検出手段)。
ここで、「主動輪出力トルク計算値Tfr」は、
Tfr=(Engトルク計算値)*(T/M入力軸〜主動輪アクスル間ギヤ比)*(T/Cストー ル比計算値〈AT・CVTのみ〉)−(従動輪指令トルクアクスル上換算値)
の式により求められる。
ステップS5では、ステップS4での主動輪出力トルク計算値Tfrの算出に続き、ステップS5の枠内に記載された路面摩擦係数判別マップを用い、予め設定した数(例えば、50個)だけ取得された主動輪左右平均速時間変化率データと主動輪出力トルクデータによる複数の動作点が存在する領域をモニタリングし、ステップS6へ移行する。なお、予め設定した数に代え、予め設定した時間内に取得された主動輪左右平均速時間変化率データと主動輪出力トルクデータを用いても良い。
ここで、「路面摩擦係数判別マップ」は、主動輪左右平均速時間変化率と主動輪出力トルクによる直交座標面上を、路面摩擦係数の異なる領域毎(低μと高μ)に分割したものである(路面摩擦係数判別マップ設定手段)。
ステップS6では、ステップS5でのマップ上における動作点が存在する領域のモニタリングに続き、低μ路判別頻度が多いか否かが判断され、YESの場合はステップS7へ移行し、NOの場合はステップS8へ移行する。
例えば、主動輪左右平均速時間変化率データと主動輪出力トルクデータによる50個の動作点が、路面摩擦係数判別マップ上で存在する領域のうち、「低μ路領域」が40個であり、「高μ路領域」が10個である場合には、低μ路判別頻度が多いと判断される。
ステップS7では、ステップS6での低μ路判別頻度が多いという判断に基づき、現在の走行状況での路面摩擦係数は低μであると判別され、リターンへ移行する。
ステップS8では、ステップS6での低μ路判別頻度が少ないという判断に基づき、現在の走行状況での路面摩擦係数は高μであると判別され、リターンへ移行する。なお、ステップS5〜ステップS8は、路面摩擦係数判別手段に相当する。
[路面摩擦係数判別マップの設定]
実施例1の「路面摩擦係数判別マップ」は、ステップS5の枠内に示すように、低摩擦係数領域と高摩擦係数領域とを判別する1つの境界線を持ち、該境界線の傾きがFR系回転イナーシャの大きさにより決定されている。
境界線の傾きは、
出力トルク=主動輪加速度*主動輪系回転イナーシャ
の関係に基づき、FR系回転イナーシャが大きいほど、境界線の傾きを大きく設定することで、FR系回転イナーシャの大きさにかかわらず、低摩擦係数領域と高摩擦係数領域との判別精度を確保している。
また、実施例1の「路面摩擦係数判別マップ」は、主動輪である左右後輪7,8のタイヤスリップ率を算出しておき(タイヤスリップ率算出手段)、低摩擦係数領域と高摩擦係数領域とを判別する1つの境界線を、タイヤスリップ率が大きいほど低摩擦係数領域を拡大するように、マップ上で主動輪出力トルク軸方向に所定の範囲で移動させるようにしている。
ここで、「タイヤスリップ率」は、
タイヤスリップ率=1−車体速/主動輪平均車輪速
の式により、例えば、制御周期毎に計算され、その都度、低摩擦係数領域と高摩擦係数領域との判別しきい値である境界線を移動により変更する。
前記境界線が主動輪出力トルク軸と交差する切片範囲は、0(タイヤスリップ率小)〜μ*mf*g*R(タイヤスリップ率大)の範囲である。なお、μ:閾としたい路面μ値、mf:前荷重、R:タイヤ動半径である。
[路面摩擦係数判別作用]
アクセル踏み込み操作時には、図2のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS3→ステップS4→ステップS5→ステップS6へと進む流れとなる。すなわち、ステップS5において、路面摩擦係数判別マップを用い、予め設定した数または予め設定した時間内に取得された主動輪左右平均速時間変化率データと主動輪出力トルクデータによる複数の動作点が存在する領域をモニタリングし、次のステップS6では、ステップS5でのモニタリングの結果、低μ路判別頻度が多いか否かが判断され、低μ路判別頻度が多い場合はステップS7へ移行して低μ路と判別する。また、低μ路判別頻度が少ない、例えば、図3に示すように、高μ路判別頻度が多い場合は、ステップS8へ移行して高μ路と判定する。
一例として、雪路での緩発進時における路面摩擦係数判別作用を説明する。
(1) 雪路にて緩発進
(2) Eng発生トルク計算値・T/Mギヤ比・A/T車やCVT車ではT/Cトルク比(トルクコンバータ速度比により推定)を考慮して、T/M出力トルクを推定。
(3) 電子制御四輪駆動車では、従動輪への指令トルクアクスル上換算値TETS(駐車ではTETS=0となる)を、上記(1)の推定値より差し引くことで、主動輪出力トルク計算値を算出する。このとき、主動輪左右平均速の時間変化率(=主動輪加速度)を算出する。
(4) (3)にて求めた主動輪出力トルク計算値と主動輪加速度の関係により、ある瞬間での路面μ状況が判別できる。左記データについてある一定数、あるいは、ある一定時間モニタし、モニタによる路面μ判別頻度の多い方を、判別時に路面状況と判別する。
(5) 駆動力配分制御装置への駆動力指令値を低μ路マップに基づき、指令させる(走破性確保のため、高μ路に対して大駆動力を指令させる)。
したがって、従来の路面μ判定ロジックでは、主動輪と従動輪の回転差が生じない限り、低μ路と判別しないのに対し、実施例1の路面μ判定ロジックでは、主動輪出力トルクと主動輪加速度の関係により路面μ状況を判別するため、主動輪と従動輪の回転差量の大小にかかわらず、路面μ状況をより精度良く判別することが可能になる。
また、従来の路面摩擦係数判別は、車両発進後の駆動力指令状況により路面μ状況を判別するようになっている。したがって、車両発進地点の路面状況を判別することができない等、リアルタイムでの路面μ推定が不可能である、という問題があった。
これに対し、実施例1の路面μ判定ロジックでは、モニタによる路面μ判別頻度の多い方を、判別時に路面状況と判別するため、高μと低μとが交互にあらわれる路面μ判別によるハンチングを防止し、頻繁な駆動力変化によるショック等の発生を防ぎつつ、路面状況をリアルタイムに判別可能となる。
次に、効果を説明する。
実施例1の車両の路面摩擦係数判別装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
(1) 少なくとも走行中の車輪速情報を用いて路面摩擦係数を判別する車両の路面摩擦係数判別装置において、複数の車輪のうち、動力源からの駆動力が主に伝達される主動輪の加速度を検出する主動輪加速度検出手段(ステップS3)と、前記主動輪の出力トルクを検出する主動輪出力トルク検出手段(ステップS4)と、前記主動輪加速度と前記主動輪出力トルクとの相対関係により路面摩擦係数を判別する路面摩擦係数判別手段(ステップS5〜ステップS8)と、を備えたため、主動輪と従動輪の回転差量の大小にかかわらず、精度良く路面摩擦係数状況を判別することができる。
(2) 前記主動輪加速度と前記主動輪出力トルクによる直交座標面上を、路面摩擦係数の異なる領域毎に分割した路面摩擦係数判別マップを設定した路面摩擦係数判別マップ設定手段を設け、前記路面摩擦係数判別手段は、前記路面摩擦係数判別マップを用い、予め設定した数または時間に取得された主動輪加速度データと主動輪出力トルクデータによる複数の動作点が存在する領域をモニタリングし、判別頻度の多い領域があらわす路面摩擦係数を、その走行状況での路面摩擦係数と判別するため、路面μ判別によるハンチングを防止し、頻繁な駆動力変化によるショック等の発生を防ぎつつ、路面状況をリアルタイムに判別することができる。
(3) 前記路面摩擦係数判別マップ設定手段は、低摩擦係数領域と高摩擦係数領域とを判別する1つの境界線を持ち、該境界線の傾きが主動輪系回転イナーシャの大きさにより決定された路面摩擦係数判別マップを設定したため、主動輪系回転イナーシャの大きさにかかわらず、路面摩擦係数が低μか高μかを精度良く判別することができる。
(4) 前記主動輪のタイヤスリップ率を算出するタイヤスリップ率算出手段を設け、前記路面摩擦係数判別マップ設定手段は、低摩擦係数領域と高摩擦係数領域とを判別する1つの境界線を、タイヤスリップ率が大きいほど低摩擦係数領域を拡大するように、マップ上で主動輪出力トルク軸方向に移動させるため、タイヤスリップ率が大きい、つまり、駆動スリップ状態であるほど従動輪への駆動力配分を増すことで駆動スリップを早期に抑える低μ路判定傾向を高めることができる。
(5) 前記車両は、動力源からの駆動力が直接伝達される車輪を主動輪とし、動力源からの駆動力がトランスファクラッチ9を介して伝達される車輪を従動輪とし、路面摩擦係数情報を用いた前後輪駆動力配分目標値を得るように、前記トランスファクラッチの締結力を制御する電子制御四輪駆動車であるため、リアルタイムに判別された路面μ情報を駆動力配分制御の制御情報として有効に活用することができる。
実施例2は、路面摩擦係数判別マップとして2つの境界線を持ち、路面摩擦係数の判定領域を低μと中μと高μとの3つの領域分けた例である。なお、構成的には実施例1と同様であるので、図示並びに説明を省略する。
次に、作用を説明する。
[路面摩擦係数判別処理]
図4は実施例2の差動制限コントローラ20にて所定制御周期毎に実行される路面摩擦係数判別処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。なお、ステップS21〜ステップS24は、図2に示す実施例1のフローチャートにおけるステップS1〜ステップS4とそれぞれ同じ処理ステップであるので、説明を省略する。
ステップS25では、ステップS24での主動輪出力トルク計算値Tfrの算出に続き、ステップS25の枠内に記載された路面摩擦係数判別マップを用い、予め設定した数(例えば、50個)だけ取得された主動輪左右平均速時間変化率データと主動輪出力トルクデータによる複数の動作点が存在する領域をモニタリングし、ステップS26へ移行する。なお、予め設定した数に代え、予め設定した時間内に取得された主動輪左右平均速時間変化率データと主動輪出力トルクデータを用いても良い。
ここで、「路面摩擦係数判別マップ」は、主動輪左右平均速時間変化率と主動輪出力トルクによる直交座標面上を、路面摩擦係数の異なる領域毎(低μと中μと高μ)に分割したものである(路面摩擦係数判別マップ設定手段)。
ステップS26では、ステップS25でのマップ上における動作点が存在する領域のモニタリングに続き、最も判別頻度が多い状況は低μと中μと高μのいずれなのかが判断され、低μが最も判別頻度が多い場合はステップS27へ移行し、高μが最も判別頻度が多い場合はステップS28へ移行し、中μが最も判別頻度が多い場合はステップS29へ移行する。
ステップS27では、ステップS26での低μ判別頻度が多いという判断に基づき、現在の走行状況での路面摩擦係数は低μであると判別され、リターンへ移行する。
ステップS28では、ステップS26での高μ路判別頻度が多いという判断に基づき、現在の走行状況での路面摩擦係数は高μであると判別され、リターンへ移行する。
ステップS29では、ステップS26での中μ路判別頻度が多いという判断に基づき、現在の走行状況での路面摩擦係数は中μであると判別され、リターンへ移行する。なお、ステップS25〜ステップS29は、路面摩擦係数判別手段に相当する。
[路面摩擦係数判別マップの設定]
実施例2の「路面摩擦係数判別マップ」は、ステップS25の枠内に示すように、低摩擦係数領域と中摩擦係数領域と高摩擦係数領域とを判別する第1の境界線B1と第2の境界線B2を持ち、該2つの境界線B1,B2の傾きがFR系回転イナーシャの大きさにより決定されている。両境界線B1,B2の傾きは、実施例1と同様に、FR系回転イナーシャが大きいほど、両境界線B1,B2の傾きを大きく設定することで、FR系回転イナーシャの大きさにかかわらず、低摩擦係数領域と中摩擦係数領域と高摩擦係数領域との判別精度を確保している。
また、実施例2の「路面摩擦係数判別マップ」の第1の境界線B1は、主動輪出力トルク軸と交差する切片を0とし、第2の境界線B2は、主動輪出力トルク軸と交差する切片を(μ*mf*g*R)としている。そして、第2の境界線B2から主動輪出力トルクが高くなる側の領域を高μ路領域とし、第1の境界線B1と第2の境界線B2との間の領域を中μ路領域とし、第1の境界線B1から主動輪出力トルクが低くなる側の領域を低μ路領域としている。なお、μ:閾としたい路面μ値、mf:前荷重、R:タイヤ動半径である。
[路面摩擦係数判別作用]
アクセル踏み込み操作時には、図4のフローチャートにおいて、ステップS21→ステップS23→ステップS24→ステップS25→ステップS26へと進む流れとなる。すなわち、ステップS25において、路面摩擦係数判別マップを用い、予め設定した数または予め設定した時間内に取得された主動輪左右平均速時間変化率データと主動輪出力トルクデータによる複数の動作点が存在する領域をモニタリングし、次のステップS26では、ステップS25でのモニタリングの結果、最も判別頻度が多い状況は低μと中μと高μのいずれなのかが判断され、低μ路判別頻度が多い場合はステップS27へ移行して低μ路と判別する。また、高μ路判別頻度が多い場合はステップS28へ移行して高μ路と判別し、中μ路判別頻度が多い場合はステップS29へ移行して中μ路と判別する。
なお、他の作用は実施例1と同様であるので、説明を省略する。
次に、効果を説明する。
実施例2の車両の路面摩擦係数判別装置にあっては、下記の効果を得ることができる。
(6) 前記路面摩擦係数判別マップ設定手段は、低摩擦係数領域と中摩擦係数領域と高摩擦係数領域とを判別する第1の境界線B1と第2の境界線B2を持ち、該両境界線の傾きが主動輪系回転イナーシャの大きさにより決定された路面摩擦係数判別マップを設定したため、主動輪系回転イナーシャの大きさにかかわらず、低μか中μか高μかの3段階により路面摩擦係数を精度良く判別することができる。
以上、本発明の車両の路面摩擦係数判別装置を実施例1及び実施例2に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
例えば、実施例1では、路面摩擦係数判別手段として、路面摩擦係数判別マップを用い、複数のデータによるモニタリングを行って路面摩擦係数判別を行う例を示したが、要するに、主動輪加速度と主動輪出力トルクとの相対関係により路面摩擦係数を判別する手段であれば、例えば、主動輪加速度と主動輪出力トルクとの相対関係をあらわす演算式等を用いた路面摩擦係数判別としても良い。
実施例2では、固定関数によりあらわされる第1の境界線B1と第2の境界線B2を持つ路面摩擦係数判別マップの例を示したが、実施例1と同様に、第1の境界線B1と第2の境界線B2をタイヤスリップ率の大小に応じて所定の範囲内にて移動させるようにしても良い。
本発明の車両の路面摩擦係数判別装置は、後輪駆動ベースの4輪駆動車への適用例に限らず、前輪駆動ベースの4輪駆動車へも勿論適用できる。さらに、適用車両としては、四輪駆動車に限らず、前輪を主動輪とする前輪駆動車や後輪を主動輪とする後輪駆動車にも適用することができる。
実施例1の路面摩擦係数判別装置が適用された後輪駆動ベースの四輪駆動車を示す全体システム図である。 実施例1の差動制限コントローラにて実行される路面摩擦係数判別処理の流れを示すフローチャートである。 実施例1の路面摩擦係数判別作用の一例を示す図である。 実施例2の差動制限コントローラにて実行される路面摩擦係数判別処理の流れを示すフローチャートである。
符号の説明
1 エンジン
2 自動変速機
3 リヤプロペラシャフト
4 リヤディファレンシャル
5,6 リヤドライブシャフト
7 左後輪
8 右後輪
9 トラスファクラッチ
10 フロントプロペラシャフト
11 フロントディファレンシャル
12,13 フロントドライブシャフト
14 左前輪
15 右前輪
16 エンジンコントローラ
17 自動変速コントローラ
19 前後差動制限アクチュエータ
20 差動制限コントローラ
21 アクセル開度センサ
22 前後加速度センサ
23 モード切替スイッチ
44 ブレーキコントローラ
46 左前輪速センサ
47 右前輪速センサ
48 左後輪速センサ
49 右後輪速センサ

Claims (4)

  1. 少なくとも走行中の車輪速情報を用いて路面摩擦係数を判別する車両の路面摩擦係数判別装置において、
    複数の車輪のうち、動力源からの駆動力が主に伝達される主動輪の加速度を検出する主動輪加速度検出手段と、
    前記主動輪の出力トルクを検出する主動輪出力トルク検出手段と、
    前記主動輪加速度と前記主動輪出力トルクによる直交座標面上を、路面摩擦係数の異なる領域毎に分割した路面摩擦係数判別マップを設定した路面摩擦係数判別マップ設定手段と、
    前記路面摩擦係数判別マップを用い、予め設定した数または時間に取得された主動輪加速度データと主動輪出力トルクデータによる複数の動作点が存在する領域をモニタリングし、判別頻度の多い領域があらわす路面摩擦係数を、その走行状況での路面摩擦係数判別する路面摩擦係数判別手段と、
    を備えたことを特徴とする車両の路面摩擦係数判別装置。
  2. 請求項に記載された車両の路面摩擦係数判別装置において、
    前記主動輪のタイヤスリップ率を算出するタイヤスリップ率算出手段を設け、
    前記路面摩擦係数判別マップ設定手段は、低摩擦係数領域と高摩擦係数領域とを判別する1つの境界線を持ち、該境界線の傾きが主動輪系回転イナーシャの大きさにより決定された路面摩擦係数判別マップを設定し、低摩擦係数領域と高摩擦係数領域とを判別する1つの境界線を、タイヤスリップ率が大きいほど低摩擦係数領域を拡大するように、マップ上で主動輪出力トルク軸方向に移動させることを特徴とする車両の路面摩擦係数判別装置。
  3. 請求項1に記載された車両の路面摩擦係数判別装置において、
    前記路面摩擦係数判別マップ設定手段は、低摩擦係数領域と中摩擦係数領域と高摩擦係数領域とを判別する第1の境界線と第2の境界線を持ち、該両境界線の傾きが主動輪系回転イナーシャの大きさにより決定された路面摩擦係数判別マップを設定したことを特徴とする車両の路面摩擦係数判別装置。
  4. 請求項1乃至の何れか1項に記載された車両の路面摩擦係数判別装置において、
    前記車両は、動力源からの駆動力が直接伝達される車輪を主動輪とし、動力源からの駆動力がトランスファクラッチを介して伝達される車輪を従動輪とし、路面摩擦係数情報を用いた前後輪駆動力配分目標値を得るように、前記トランスファクラッチの締結力を制御する電子制御四輪駆動車であることを特徴とする車両の路面摩擦係数判別装置。
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