JP2002088471A - スパッタ装置 - Google Patents
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Abstract
と無しに均一な薄膜を作成できるようにする。 【解決手段】 スパッタ放電によりターゲット30をス
パッタしてターゲット30の材料の薄膜を基板9の表面
に作成する。ターゲット30は基板9の中心軸Aと同軸
の円周上に複数設けられ、主回転機構により基板9の中
心軸と同軸の回転軸の周りに回転する。各ターゲット3
0にスパッタ放電のための電力を導入する電力供給系
は、供給する電力を各々独立して制御するものである。
主回転機構は、スパッタ放電をマグネトロン放電にする
磁石機構5をターゲット30とともに一体に回転させ
る。磁石機構5はターゲット30の中心軸に対して非対
称の磁界を形成するものであり、副回転機構によりター
ゲット30の中心軸の周りに回転する。副回転機構は、
主回転機構の回転動力により磁石機構5を回転させる。
Description
所定の薄膜を作成するスパッタ装置に関し、特に、異種
材料の複数のターゲットを使用して成膜するのに適した
スパッタ装置に関する。
は、LSI(大規模集積回路)等の電子デバイスやLC
D(液晶ディスプレイ)等の表示デバイスの製造におい
て広く行われている。このような薄膜作成には、品質の
良い薄膜を高速に作成できることから、スパッタ装置が
多く使用されている。
れる重要な特性の一つに、作成される薄膜の均一性があ
る。膜厚や膜質が均一でないと、その薄膜を利用して製
造される製品の性能を低下させる恐れがある。薄膜の均
一性が低下する要因としては、スパッタ放電を基板の表
面の方向において均一に形成することが困難であること
が挙げられる。また、マグネトロン放電のための磁石機
構を設けている場合、磁石機構による磁界も、基板の表
面の方向に均一に形成することが困難であり、この点も
膜の均一性低下の要因となる。
保する構成として、ターゲットの中心と同軸の回転軸の
周りに基板を回転させる構成が採られることがある。し
かしながら、機構的な理由で基板を回転させることがで
きない場合、この構成は採用不可である。本願の発明
は、かかる課題を解決するためになされたものであり、
基板を回転させること無しに均一な薄膜が作成できるよ
うにするという技術的意義を有する。
め、本願の請求項1記載の発明は、スパッタ放電により
ターゲットをスパッタしてターゲットの材料の薄膜を基
板の表面に作成するスパッタ装置であって、ターゲット
は、基板の中心軸からずれた位置に配置されており、こ
のターゲットを基板の中心軸と同軸の回転軸の周りに回
転させる主回転機構が設けられているという構成を有す
る。また、上記課題を解決するため、請求項2記載の発
明は、前記請求項1の構成において、前記ターゲット
は、前記回転軸と同軸の円周上に複数設けられていると
いう構成を有する。また、上記課題を解決するため、請
求項3記載の発明は、前記請求項2の構成において、前
記複数のターゲットに前記スパッタ放電のための電力を
導入する電力供給系が設けられており、この電力供給系
は、各ターゲットに供給する電力を各々独立して制御す
るものであるという構成を有する。また、上記課題を解
決するため、請求項4記載の発明は、前記請求項1乃至
3いずれかの構成において、前記ターゲットは、前記基
板に対して所定角度傾いた状態で配置されているという
構成を有する。また、上記課題を解決するため、請求項
5記載の発明は、前記請求項1乃至4いずれかの構成に
おいて、前記スパッタ放電をマグネトロン放電にする磁
石機構が設けられており、前記主回転機構は、前記ター
ゲットとともにこの磁石機構を一体に回転させるもので
あるという構成を有する。また、上記課題を解決するた
め、請求項6記載の発明は、前記請求項5の構成におい
て、前記磁石機構は、前記ターゲットの中心軸に対して
非対称の磁界を形成するものであるとともに、前記磁石
機構を前記ターゲットの中心軸の周りに回転させる副回
転機構が設けられているという構成を有する。また、上
記課題を解決するため、請求項7記載の発明は、前記請
求項6の構成において、前記副回転機構は、前記主回転
機構の回転動力により前記磁石機構を回転させるもので
あるという構成を有する。また、上記課題を解決するた
め、請求項8記載の発明は、前記請求項1乃至7の構成
において、前記ターゲット及び前記主回転機構は、前記
基板を挟んで両側に設けられているという構成を有す
る。
下、実施形態)について説明する。以下の説明では、ハ
ードディスクのような磁気記録ディスクを製造する際に
使用されるスパッタ装置が想定されている。図1は、本
願発明の第一の実施形態のスパッタ装置の断面概略図で
ある。図1に示す装置は、排気系11を備えたスパッタ
チャンバー1と、スパッタチャンバー1内の所定位置に
基板9を配置するための基板キャリア2と、スパッタ放
電を生じさせるためのカソードユニット3等から主に構
成されている。
であり、基板9の出し入れを行うための不図示の開口を
備えている。この開口は、不図示のゲートバルブによっ
て開閉される。スパッタチャンバー1には、内部にスパ
ッタ放電用のガスを導入するガス導入系12が設けられ
ている。ガス導入系12は、アルゴン等のスパッタ率の
高いガスを導入する。
姿勢で保持するものである。このような基板キャリア2
としては、特開平11−91945号公報や特開平11
−91946号公報に開示されたものを使用することが
できる。本実施形態では、基板9の両面に同時に成膜す
るため、基板キャリア2に保持された基板9の両側にカ
ソードユニット3が配置されている。カソードユニット
3は、ターゲット30や磁石機構5を含んでいる。
細な構造について説明する。図2は、図1に示すカソー
ドユニット3の詳細を示す断面図である。図1に示す左
右のカソードユニット3は同様の構造(基板9を挟んで
対称の構造)であり、図2にはそのうち左側のカソード
ユニット3の詳細が示されている。まず、スパッタチャ
ンバー1の側壁部には、カソードユニット3の断面積よ
りも少し大きな開口が設けられている。カソードユニッ
ト3は、この開口に挿通されている。
は、ユニット取付枠6が固定されている。ユニット取付
枠6は、図2に示すような段差のある断面形状の円筒で
ある。ユニット取付枠6の端面は、Oリングのような封
止部材60を介してスパッタチャンバー1の側壁部の外
面に固定されている。ユニット取付枠6の内側には、主
ホルダー31が設けられている。主ホルダー31もほぼ
円筒であり、ユニット取付枠6と同軸上に設けられてい
る。以下、この主ホルダー31の中心軸を「基準軸」と
呼び、図2にAで示す。前述した基板キャリア2は、基
板9の中心軸がこの基準軸Aに一致した状態で停止する
ようになっている。主ホルダー31の右側の端部には、
右ホルダーフランジ311が設けられている。右ホルダ
ーフランジ311には、カソード取付枠32が固定され
ている。カソード取付枠32は、図2に示すような断面
形状のほぼ円筒状であり、基準軸Aと同軸上に設けられ
ている。
タチャンバー1内に位置し、この端面に空洞形成板33
が固定されている。空洞形成板33には、バッキングプ
レート34が固定されている。バッキングプレート34
には、ターゲット押さえ310によりターゲット30が
着脱可能に取り付けられている。即ち、左から順に、空
洞形成板33、バッキングプレート34、ターゲット3
0が重ね合わされ、カソード取付枠32の右端面に固定
されている。尚、空洞形成板33及びバッキングプレー
ト34は、ターゲット30より少し大きいほぼ円盤状で
ある。
等を説明する側面概略図である。図3に示すように、本
実施形態では、一つのカソードユニット3に三つのター
ゲット30が設けられている。各ターゲット30は同じ
大きさの円盤状である。各ターゲット30は、基準軸A
上の点を中心とする円周上に均等間隔で(即ち、120
度毎に)設けられている。空洞形成板33は、バッキン
グプレート34とともに、空洞330を形成する形状と
なっている。この空洞330内には、後述するように、
冷媒が供給される。
は、各ターゲット30を基板9の中心と同軸の回転軸の
周り(即ち、基準軸Aの周り)に回転させる主回転機構
が設けられている点である。主回転機構は、図2に示す
ように、上述した主ホルダー31と、主ホルダー31を
回転させるモータのような回転駆動源351等によって
構成されている。具体的に説明すると、主ホルダー31
の左側の端部には、左ホルダーフランジ312が設けら
れている。左ホルダーフランジ312の周面は、ギヤ歯
(以下、フランジ側ギヤ歯)になっている。そして、回
転駆動源351の出力軸には、フランジ側ギヤ歯に噛み
合うギヤ歯を持つ駆動ギヤ352が連結されている。回
転駆動源351が駆動されると、駆動ギヤ352を介し
て主ホルダー31が基準軸Aの周りに回転する。主ホル
ダー31は、ユニット取付枠6によって保持されてい
る。ユニット取付枠6と主ホルダー31の間には、ベア
リング7が設けられており、上記主ホルダー31の回転
を許容するようになっている。
設けられている。磁石機構5は、各ターゲット30の背
後にそれぞれ設けられている。磁石機構5は、中央磁石
51と、中央磁石51を取り囲む周辺磁石52と、中央
磁石51と周辺磁石52とをつなぐヨーク53とから主
に構成されている。中央磁石51と周辺磁石52による
磁力線50は、図2に示すように、ターゲット30を貫
き、ターゲット30の前方の放電空間に弧状に形成され
る。ターゲット30と磁力線50とによって形成される
閉空間内に電子がマグネトロン運動しながら閉じこめら
れ、高効率のマグネトロン放電が達成される。
さい円盤状であり、垂直に立てて設けられている。中央
磁石51は例えば円柱状で、周辺磁石52は例えば円環
状である。ターゲット30の中心軸とヨーク53の中心
軸は同軸であるが、中央磁石51や周辺磁石52の配置
や形状は、ターゲット30の中心軸に対して非対称の形
状になっている。即ち、磁石機構5によって形成される
磁界は、ターゲット30の中心軸に対して非対称となっ
ている。これは、後述するように磁石機構5が回転した
際、ターゲット30の表面における時間平均した磁界強
度が均一になるようにするためである。
は、各磁石機構5をターゲット30の中心軸と同軸の回
転軸の周りに回転させる副回転機構が設けられている点
である。副回転機構は、前述した主回転機構の回転動力
により各磁石機構5を回転させるものとなっている。具
体的に説明すると、副回転機構は、各磁石機構5に設け
られた従動ギヤ361と、主回転機構の回転動力を各磁
石機構5の回転動力に変換する静止ギヤ362とから主
に構成されている。従動ギヤ361は、ヨーク53の下
面に固定されている。従動ギヤ361は、ターゲット3
0の中心軸と同軸である。従動ギヤ361の中心から水
平に延びるようにして軸棒363が固定されている。こ
の軸棒363は、ベアリング7を介してカソード取付枠
32に保持されている。
51は、ベース板300に取り付けられている。ベース
板300は、垂直な姿勢で設けられている。ベース板3
00には、スピンドルが挿通されているスピンドル用開
口が設けられている。そして、スピンドル用開口の縁か
ら水平に延びるようにして、ギヤホルダー360が設け
られている。ギヤホルダー360は、基準軸Aと同軸の
ほぼ円筒状である。静止ギヤ362は、ギヤホルダー3
60の先端に固定されている。静止ギヤ362のギア歯
は、基準軸Aと同軸であり、基準軸Aに対して外側に向
いている。そして、図2に示すように、静止ギヤ362
は各従動ギヤ361に噛み合っている。静止ギヤ362
と各従動ギヤ361の位置関係及び噛み合いが、図3に
併せて示されている。
5は、軸棒363を介してカソード取付枠32に連結さ
れているので、回転駆動源351によって主ホルダー3
1が回転し、各ターゲット30が基準軸Aの周りに回転
する際、各磁石機構5や各従動ギヤ361も一体に基準
軸Aの周りに回転する(以下、この基準軸A周りの回転
を公転と呼ぶ)。従動ギヤ361は基準軸Aよりの箇所
で静止ギヤ362に噛み合っているので、上記公転の
際、従動ギヤ361は、ターゲット30と同軸の中心軸
の周りに回転する(以下、この回転を自転と呼ぶ)。従
動ギヤ361の自転に伴い、磁石機構5も一体に自転す
る。結局、磁石機構5は、基準軸Aの周りの公転と、タ
ーゲット30の中心軸の周りの自転とを同時に行うこと
になる。尚、ギヤホルダー360とユニット取付枠6の
間には、ベアリング7が設けられている。
してスピンドル37が設けられている。スピンドル37
は、先端部分で空洞形成板33やバッキングプレート3
4等を保持している。スピンドル37は、右側の部分が
円柱状であり、左側の部分がほぼ同径の円筒状となって
いる。スピンドル37の右側の円柱状の部分(以下、円
柱部)には、空洞330内に冷媒を導入する冷媒導入路
371が設けられている。冷媒導入路371は、途中か
ら三つに分岐しており、この分岐した先が、各ターゲッ
ト30の背後の空洞330につながっている。また、円
柱部には、各空洞330から冷媒を排出する冷媒排出路
372が設けられている。冷媒排出路372は、図2か
らは明らかでないが、各空洞330のそれぞれに三つ設
けられている。
下、円筒部)内には、冷媒導入路371につながる冷媒
導入管373と、冷媒排出路372につながる冷媒排出
管374が設けられている。図2では一つしか描かれて
いないが、冷媒排出管374は、各冷媒排出路372の
それぞれに設けられている。また、スピンドル37の円
柱部及び円筒部を貫くようにして給電ロッド381が設
けられている。給電ロッド381は、各ターゲット30
にスパッタ放電用の電力を供給するものである。図2で
は一つの給電ロッド381しか描かれていないが、実際
には三つの給電ロッド381が設けられている。
端は、空洞形成板33に接触している。空洞形成板33
やバッキングプレート34は、ステンレスや銅のような
金属であり、空洞形成板33及びバッキングプレート3
4を介してターゲット30に給電されるようになってい
る。尚、給電ロッド381とスピンドル37との間、及
び、空洞形成板33やバッキングプレート34とスピン
ドル37との間には、不図示の絶縁材が設けられてい
る。このため、給電ロッド381が供給する電力がスピ
ンドル37側に漏れないようになっている。
について説明する側面概略図である。図4に示すよう
に、給電ロッド381は、空洞形成板33の最も基準軸
Aよりの位置で空洞形成板33に接触している。給電ロ
ッド381の接触位置を、空洞形成板33の中心を原点
として0度とすると、冷媒導入路371及び冷媒排出路
372は、給電ロッド381を挟んで少し角度が付いた
位置で空洞330につながっている。
準軸Aの周りに公転する。スピンドル37の公転に拘わ
らず、電力供給や冷媒の流通ができるよう、スリップリ
ング382及びロータリージョイント375が設けられ
ている。図2に示すように、スリップリング382は、
スピンドル37の左側の端部を取り囲むよう設けられて
いる。スリップリング382は、ケーブルによって各給
電ロッド381に結線されている。そして、スリップリ
ング382には、各ターゲット30に対応してそれぞれ
設けられた三つのスパッタ電源4が接続されている。ス
リップリング382は、回転する円筒体の外側面に板バ
ネ状の部材を接触させて導通を確保するものである。こ
こに使用するスリップリング382としては、例えばグ
ローブテック社製の「φ150−60 3ch SR」
等が挙げられる。
ピンドル37の左側の端部に接続されている。ロータリ
ージョイント375には、冷媒導入管373につながる
冷媒導入口376と、冷媒排出管374にそれぞれつな
がる三つの冷媒排出口377が設けられている。ロータ
リージョイント375は、スピンドル37の回転に拘わ
らず、冷媒導入管373と冷媒導入口376との連通、
及び、各冷媒排出管374と各冷媒排出口377との連
通を確保するようになっている。このようなロータリー
ジョイント375としては、例えば光洋油圧社製のロー
タリージョイントKT−4−02−1Wが使用できる。
入口376と各冷媒排出口377は、図2に示すよう
に、配管378及びサーキュレータ379を介してつな
がっている。サーキュレータ379により所定の温度に
維持された冷媒は、冷媒導入口376、冷媒導入管37
3及び各冷媒導入路371を経由して各空洞330に導
入される。そして、冷媒は、各空洞330から、各冷媒
排出路372、各冷媒排出管374及び各冷媒排出口3
77を経てサーキュレータ379に戻る。
リップリング382及び三つのスパッタ電源4は、ター
ゲット30にスパッタ放電用の電力を供給する電力供給
系を構成している。そして、各スパッタ電源4は、独立
して出力電圧を調整できるようになっており、ターゲッ
ト30に供給される電力が独立して制御されるようにな
っている。
スパッタチャンバー1内で維持される真空のリークがな
いよう、Oリングのような封止部材が必要な箇所に設け
られている。特に、本実施形態では、ユニット取付枠6
と主ホルダー31との間に、磁性流体シール61を用い
ている。磁性流体シール61は、磁性流体を使用した封
止部材であり、主ホルダー31の回転を許容しつつ、主
ホルダー31とユニット取付枠6との間の空間からのリ
ークを防止している。
ャンバー1を含む複数の真空チャンバーを基板9の搬送
ラインに沿って接続したインライン式の装置となってい
る。各真空チャンバーの構成やレイアウトについては、
特開平8−274142号公報の開示を参考にすること
ができる。また、基板キャリア2は、基板9を保持した
状態で、各真空チャンバーに移動することで基板9の搬
送を行うようになっている。基板9の搬送のための構成
の詳細についても、特開平8−274142号公報に開
示のものと同じものを採用することが可能である。
タ装置の動作について説明する。不図示のロードロック
チャンバーにおいて、基板キャリア2に基板9が搭載さ
れる。基板キャリア2は、不図示のプリヒートチャンバ
ーに移動して基板9の予備加熱が行われる。その後、基
板キャリア2は、図1及び図2に示すスパッタチャンバ
ー1に移動する。基板キャリア2は、基板9の中心軸が
基準軸Aに一致した位置で停止する。
した通り、ターゲット30及び磁石機構5の公転と磁石
機構5の自転とが開始される。公転の回転速度は100
〜200rpm程度、自転の回転速度は150〜300
rpm程度である。また、スパッタチャンバー1内は、
排気系11によって予め所定の圧力まで排気されてい
る。不図示のゲートバルブを閉じた後、ガス導入系12
によって所定のガスが所定の流量で導入される。この状
態で、各スパッタ電源4が動作し、各給電ロッド381
を介してターゲット30に所定の電圧が印加される。こ
の電圧は、負の高電圧又は高周波電圧である。
0との間に電界が形成され、スパッタ放電が生じる。ス
パッタ放電の過程で、イオン衝撃されたターゲット30
の表面から粒子(通常は原子)が放出される。放出され
た粒子(スパッタ粒子)が基板9の表面に到達し、この
到達が重なって薄膜が堆積する。薄膜が所定の厚さにな
るのに要する時間、上記スパッタを行った後、スパッタ
電源4、ガス導入系12及び回転駆動源351の動作を
停止する。そして、排気系11がスパッタチャンバー1
内を再度排気した後、基板キャリア2が移動して基板9
がスパッタチャンバー1から搬出される。その後、基板
キャリア2は、不図示のアンロードロックチャンバーに
移動し、基板キャリア2から成膜済みの基板9が回収さ
れる。
て、ターゲット30が基板9の中心軸と同軸の回転軸の
周りに回転するので、膜質や膜厚の点でより均一な薄膜
が基板9の表面に作成される。即ち、ターゲット30が
回転しない場合、ターゲット30と基板9との位置関係
や磁石機構5による磁界の形状等の影響により、成膜が
不均一になる。ターゲット30と基板9との同軸に向か
い合わせて配置すれば、ターゲット30と基板9との位
置関係の影響による成膜の不均一化は解消するが、本実
施形態のように、複数のターゲット30を同時に用いて
成膜する場合、これは不可能である。
9の表面に平行な面方向で均一にすることは困難であ
り、磁石機構5が公転しない場合、成膜速度や膜質も磁
界の分布に影響を受けて不均一になってしまう。磁石機
構5が公転する本実施形態では、このような問題が無
い。
する構成は、磁石機構5による磁界を無駄なく利用する
技術的意義もある。もし磁石機構5が公転しない場合、
ターゲット30は、静止した磁石機構5の前方を通り過
ぎながらスパッタされることになる。これでは、ターゲ
ットが360度回転するうち、ある限られた角度範囲の
間でしか磁界の効果を利用できず、磁界の利用効率が低
下してしまう。この結果、成膜速度が全体として低下し
てしまう。磁石機構5がターゲット30と一体に公転す
る本実施形態では、このような問題はない。
の効果は、ターゲット30が異種の材料で形成されてお
り、異種の材料より成る薄膜を作成する場合に特に顕著
となる。本実施形態の装置は、前述した通り、磁気記録
ディスク製造用であることが想定されている。磁気記録
ディスクでは、記録層用の磁性膜やその下地膜として、
合金膜を作成することが多い。例えば、磁性膜としてC
oCrTa合金膜を作成することがある。また、下地膜
としてCoCr合金膜を作成することがある。このよう
な合金膜の場合、そのような合金より成るターゲット3
0を使用する場合もあるが、Co製のターゲット30
と、Cr製のターゲット30と、Ta製のターゲット3
0というように、異種材料のターゲット30を使用する
場合もある。
しないと、Co製のターゲット30に近い基板9の表面
部分にはCo成分の多い膜が堆積し、Cr製のターゲッ
ト30に近い基板9の表面部分にはCr成分の多い膜が
堆積し、と、Ta製のターゲット30に近い基板9の表
面部分にはTa成分の多い膜が堆積してしまう。即ち、
成分が極めて不均一な膜が出来てしまう。しかしなが
ら、前述したようにターゲット30が公転すると、この
ような問題はなく、成分分布の均一な良質な薄膜が作成
できる。
心軸と同軸の円周上に等間隔で設けられている点は、基
板9に対して各ターゲット30を等距離に配置すること
で、より均一な成膜ができるようにする意義がある。但
し、この点は必ずしも必須の条件ではなく、意図的に各
ターゲット30の基板9からの離間距離を変える場合が
ある。例えば、各ターゲット30が異種材料から成るも
のであり、あるターゲット30の材料が他のターゲット
30に比べてスパッタ率(同じ元素の一個のイオンが入
射した場合にターゲット30から放出されるスパッタ粒
子の数)が低い材料である場合、このターゲット30だ
けを基板9に接近させて配置することがある。
給する電力を独立して制御できるようになっている点
は、成膜の均一化に顕著な効果を有する。たとえば、上
述した通り、異種材料のターゲット30を用いたスパッ
タにおいて、あるターゲット30のスパッタ率が低い場
合、そのターゲット30への供給電力を大きくするよう
にする。つまり、供給電力の独立制御により、各ターゲ
ット30におけるスパッタ条件の不均一性を補償して成
膜を均一にすることが可能である。
様に言える。即ち、磁石機構5として電磁石からなるも
のを使用し、各磁石機構5での通電電流を独立して制御
するようにする。ターゲット30の前方の放電空間に設
定される磁界の強度が、各ターゲット30について独立
して制御される。この制御により、上記と同様に、成膜
を均一にすることができる。
り、磁石機構5が、公転に加え自転もするようになって
いる。この点は、エロージョンの均一化によりターゲッ
ト30を長寿命化させる効果がある。周知のように、ス
パッタを繰り返すうちにターゲット30は侵食(エロー
ジョン)され、徐々に厚さが薄くなる。エロージョンの
進行度合いは、ターゲット30の表面方向で均一ではな
く、スパッタ放電が効率良く行われる所では速く進行
し、効率良く行われない所では遅く進行する。そして、
スパッタ放電の効率は磁石機構5による磁界の分布に依
存する。従って、磁石機構5が自転しない場合、磁界強
度の高い所ではエロージョンは速く、磁界強度の低い所
では遅くなってしまう。このため、磁界強度の高い所で
はエロージョンがターゲット30の厚さ程度まで進行し
てターゲット30の寿命が来た場合でも、磁界強度が低
い所ではまだかなりの厚さが残っている場合がある。こ
の状態でもターゲット30は交換しなければならず、残
った部分のターゲット30の材料は成膜に使用されず、
無駄に廃棄されてしまう。しかしながら、本実施形態の
ように磁石機構5が自転する場合、磁界強度を時間的に
均一にする(即ち、時間積分した磁界強度はターゲット
30の面方向で均一になる)ので、ターゲット30のエ
ロージョンも均一に進行する。このため、ターゲット3
0の寿命を長くし、無駄になるターゲット30の材料を
減らすことができる。
では、副回転機構が主回転機構の回転動力を利用して各
磁石機構5を自転させている。この構成は、回転駆動源
及び回転駆動の導入系を一つにして、機構を全体に簡略
にする技術的意義がある。
いて説明する。図5は、第二の実施形態のスパッタ装置
の主要部の概略構成を示す断面図である。図5に示す第
二の実施形態の装置の大きな特徴点は、各ターゲット3
0が基板9に対して平行ではなく、傾いた状態で配置さ
れている点である。即ち、図2と図5とを比較すると解
るように、本実施形態におけるカソード取付枠32、空
洞形成板33、バッキングプレート34、ターゲット3
0、磁石機構5、従動ギヤ362、軸棒363は、機構
的には図2に示す第一の実施形態と同様であるが、全体
に傾いた状態で右ホルダーフランジ311に保持されて
いる。傾きの角度は、軸棒363が中心軸Aに対して成
す角度θでいうと15度程度である(図2では0度)。
定ギヤ362は、斜めに傾いた状態で従動ギヤ361に
噛み合っている。即ち、固定ギヤ362は、傘歯ギヤの
構成となっている。これら以外の構成は、第一の実施形
態とほぼ同様である。上記構成に係る本実施形態の装置
においても、静止した基板9に対してターゲット30が
基板9の中心軸の周りに公転するので、均一な薄膜が基
板9の表面に形成され、その効果は異種材料の複数のタ
ーゲット30が使用された場合に著しい。そして、各磁
石機構5が公転に加えて自転も行うので、ターゲット3
0を長寿命化させることが可能である。
施形態の装置に比べて優れているのは、ターゲット30
が斜めに配置されているので、ターゲット30の利用効
率が高くなっている点である。第一の実施形態のよう
に、ターゲット30が基板9に対して平行であると、タ
ーゲット30から放出されるスパッタ粒子のうち、基板
9に到達せずに成膜に利用されないものが多くなってし
まう。ターゲット30を基板9に対して同軸に配置すれ
ばこの問題は解決されるが、複数のターゲット30を同
時に用いることができない。第二の実施形態のようにタ
ーゲット30を斜めに配置すれば、複数のターゲット3
0を用いつつターゲット30の利用効率の低下を抑制す
ることができる。
置して公転させる構成は、1つのターゲット30のみを
使用する場合でも格別の技術的意義がある。この点は、
図6を使用して説明する。図6は、一枚のターゲット3
0を斜めに配置して公転させることによる膜特性分布制
御について説明する図である。図6では、膜特性分布の
一例として膜厚分布が示されている。
平行して基板9と同軸に配置する例、(2)は、第二の
実施形態のように、ターゲット30を基板9の中心軸か
ら偏心させるとともに基板9に対して斜めに配置して公
転させる例である。ターゲット30から放出されるスパ
ッタ粒子の量は、ターゲット30の面の方向に対して均
一ではなく、ある分布を持っている。この分布を「スパ
ッタプロファイル」と呼び、図6中にSPで示す。スパ
ッタ粒子の放出角度とスパッタ粒子の量との関係は、一
般的には、cosine則に従うとされる。従って、ス
パッタプロファイルも、ターゲット30の中心軸の付近
で多く、中心軸から離れる従って少なくなる形状とな
る。但し、ターゲット30の材料によっては例外もあ
り、例えば図6に点線で示すように、ターゲット30の
中心軸に対して45度付近で最も多くなる形状のスパッ
タプロファイルも存在する。
ーゲット30が基板9に対して同軸であると、ターゲッ
ト30を回転させても、スパッタプロファイルの影響が
解消されず、均一な成膜が難しくなる。しかしながら、
図6(2)に示すように、ターゲット30を基板9から
偏心させるとともに基板9に対して傾けて公転させる
と、スパッタプロファイルの影響を少なくすることがで
き、より均一な成膜が行える。ターゲット30の基板9
に対する傾き角θは、作成される薄膜の膜厚分布や組成
分布に影響を与えるので、それらが均一になるよう適宜
傾き角θを選定することが望ましい。また、ターゲット
30の中心軸は、基板9の表面の中心において基板9の
表面に交差することが望ましいが、ずれた位置となる場
合もある。尚、上記のような膜特性制御は、一つのター
ゲット30のみを使用する場合でも有効であることが明
らかである。
傾けて配置している関係から、ターゲット30の相互汚
染(クロスコンタミネーション)を防止した構成を採用
している。以下、この点について説明する。図5に示す
ように、各ターゲット30の間を仕切るようにして仕切
板39が設けられている。仕切板39は、スピンドル3
7及び空洞形成板33に固定されている。図7は、図5
に示す仕切板39の構成について説明する側面図であ
る。図7に示すように、仕切板39は、各ターゲット3
0が設けられた空間を仕切るよう設けられている。本実
施形態では、四つのターゲット30が設けられているた
め、仕切板39は、側方から見ると、十字状である。十
の字の中心は、図5に示す中心軸A上にある。
と、ターゲット30の相互汚染の問題が生ずる。即ち、
あるターゲット30から放出されたスパッタ粒子が他の
ターゲット30に付着することがある。付着した他のタ
ーゲット30からのスパッタ粒子は、再スパッタされて
放出されるものの、各ターゲット30が異種の材料で形
成されている場合、ターゲット30からそのターゲット
30の本来の材料ではないものが放出されることにな
る。このようなことがあると、作成される薄膜の成分の
分布を充分に制御することが難しくなり、不均一な成分
分布の薄膜が出来やすい。本実施形態では、仕切板39
があるため、あるターゲット30から放出されたスパッ
タ粒子が他のターゲット30に付着することが抑制され
ている。従って、上述したような相互汚染が防止され
る。
説明する。図8は、第三の実施形態のスパッタ装置の概
略構成を示す断面図である。図7に示すスパッタ装置
は、基板9の両側にカソードユニット3が配置されてい
るとともに、各カソードユニット3は、複数のターゲッ
ト30を基板9に対して斜めに配置した構成となってい
る。各カソードユニット3の構成は、第二の実施形態と
同様なので説明は省略する。また、基板9は、図1に示
すのと同様の基板キャリア2によって保持されている。
実施形態の装置と同様、インライン式の装置に適用され
ると好適であり、ハードディスク等の磁気記録ディスク
の製造用に好適に使用できる。第三の実施形態によれ
ば、基板9の両面に同時に成膜が行える上、成膜を均一
にしたり、ターゲット30の利用効率を高めたりする効
果が、第二の実施形態と同様に得られる。
のターゲットが異種材料である必要はなく、同種の材料
のターゲットを複数用いても良い。この場合も、膜厚等
の膜特性が均一化したり、成膜速度が全体として向上し
たりする効果がある。また、成膜の対象としては、磁気
記録ディスク用の基板の他、LSI製造用の半導体ウェ
ーハ、液晶ディスプレイやプレズマディスプレイ製造用
のガラス基板等を対象とすることができる。
の発明によれば、ターゲットが基板の中心軸からずれた
位置に配置されているとともにターゲットが基板の中心
軸と同軸の回転軸の周りに回転するので、基板を回転さ
せること無しに均一な膜を作成することができる。ま
た、請求項2記載の発明によれば、上記効果に加え、タ
ーゲットが複数設けられているので、さらに成膜を均一
にしたり、成膜速度を向上させたりする効果が得られ
る。また、請求項3記載の発明によれば、上記効果に加
え、各ターゲットへの供給電力が独立して制御できるの
で、各ターゲットにおけるスパッタ条件の不均一性が補
償できる。これにより、さらに均一な成膜を行うことが
できる。また、請求項4記載の発明によれば、上記効果
に加え、基板に対してターゲットが所定角度傾いた状態
で配置されているので、スパッタプロファイルに応じた
角度を選定することにより、成膜をさらに均一にするこ
とができる。また、請求項5記載の発明によれば、上記
効果に加え、マグネトロン放電によって高効率かつ高速
のスパッタが行えるのに加え、磁石機構がターゲットと
一体に回転するので、さらに均一な成膜が行えたり、磁
界の効果を無駄なく使用したりできる効果が得られる。
また、請求項6記載の発明によれば、上記効果に加え、
磁石機構による磁界がターゲットの中心軸に対して非対
称であるとともに、磁石機構がターゲットの中心軸の周
りに回転するので、ターゲット上のエロージョンが均一
になる。このため、ターゲットを長寿命化させることが
できる。また、請求項7記載の発明によれば、上記効果
に加え、副回転機構が主回転機構の回転動力により磁石
機構を回転させるので、回転導入のための機構が簡略化
される。また、請求項8記載の発明によれば、上記効果
に加え、基板の両面に同時に成膜を行うことができるの
で、片面ずつ成膜する場合に比べて、生産性が向上した
り、装置が小型化できたりする効果が得られる。
面概略図である。
面図である。
側面概略図である。
する側面概略図である。
構成を示す断面図である。
せることによる膜特性分布制御について説明する図であ
る。
側面図である。
す断面図である。
Claims (8)
- 【請求項1】 スパッタ放電によりターゲットをスパッ
タしてターゲットの材料の薄膜を基板の表面に作成する
スパッタ装置であって、 ターゲットは、基板の中心軸からずれた位置に配置され
ており、このターゲットを基板の中心軸と同軸の回転軸
の周りに回転させる主回転機構が設けられていることを
特徴とするスパッタ装置。 - 【請求項2】 前記ターゲットは、前記回転軸と同軸の
円周上に複数設けられていることを特徴とする請求項1
記載のスパッタ装置。 - 【請求項3】 前記複数のターゲットに前記スパッタ放
電のための電力を導入する電力供給系が設けられてお
り、この電力供給系は、各ターゲットに供給する電力を
各々独立して制御するものであることを特徴とする請求
項2記載のスパッタ装置。 - 【請求項4】 前記ターゲットは、前記基板に対して所
定角度傾いた状態で配置されていることを特徴とする請
求項1乃至3いずれかに記載のスパッタ装置。 - 【請求項5】 前記スパッタ放電をマグネトロン放電に
する磁石機構が設けられており、前記主回転機構は、前
記ターゲットとともにこの磁石機構を一体に回転させる
ものであることを特徴とする請求項1乃至4いずれかに
記載のスパッタ装置。 - 【請求項6】 前記磁石機構は、前記ターゲットの中心
軸に対して非対称の磁界を形成するものであるととも
に、前記磁石機構を前記ターゲットの中心軸の周りに回
転させる副回転機構が設けられていることを特徴とする
請求項5記載のスパッタ装置。 - 【請求項7】 前記副回転機構は、前記主回転機構の回
転動力により前記磁石機構を回転させるものであること
を特徴とする請求項6記載のスパッタ装置。 - 【請求項8】 前記ターゲット及び前記主回転機構は、
前記基板を挟んで両側に設けられていることを特徴とす
る請求項1乃至7いずれかに記載のスパッタ装置。
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