JP2002260218A - 磁気記録ディスク、磁気記録ディスク製造方法及び磁気記録ディスク製造装置 - Google Patents

磁気記録ディスク、磁気記録ディスク製造方法及び磁気記録ディスク製造装置

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JP2002260218A
JP2002260218A JP2001060979A JP2001060979A JP2002260218A JP 2002260218 A JP2002260218 A JP 2002260218A JP 2001060979 A JP2001060979 A JP 2001060979A JP 2001060979 A JP2001060979 A JP 2001060979A JP 2002260218 A JP2002260218 A JP 2002260218A
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magnetic recording
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magnetic
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JP2001060979A
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Masahiro Shibamoto
雅弘 芝本
Shinji Furukawa
真司 古川
Tetsuya Endo
徹哉 遠藤
Miho Sakai
美保 坂井
Naoki Watanabe
直樹 渡辺
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Canon Anelva Corp
Original Assignee
Anelva Corp
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    • GPHYSICS
    • G11INFORMATION STORAGE
    • G11BINFORMATION STORAGE BASED ON RELATIVE MOVEMENT BETWEEN RECORD CARRIER AND TRANSDUCER
    • G11B5/00Recording by magnetisation or demagnetisation of a record carrier; Reproducing by magnetic means; Record carriers therefor
    • G11B5/84Processes or apparatus specially adapted for manufacturing record carriers
    • G11B5/8404Processes or apparatus specially adapted for manufacturing record carriers manufacturing base layers
    • GPHYSICS
    • G11INFORMATION STORAGE
    • G11BINFORMATION STORAGE BASED ON RELATIVE MOVEMENT BETWEEN RECORD CARRIER AND TRANSDUCER
    • G11B5/00Recording by magnetisation or demagnetisation of a record carrier; Reproducing by magnetic means; Record carriers therefor
    • G11B5/62Record carriers characterised by the selection of the material
    • G11B5/73Base layers, i.e. all non-magnetic layers lying under a lowermost magnetic recording layer, e.g. including any non-magnetic layer in between a first magnetic recording layer and either an underlying substrate or a soft magnetic underlayer
    • G11B5/7368Non-polymeric layer under the lowermost magnetic recording layer

Abstract

(57)【要約】 テクスチャを設けることなしに磁気記録層に磁気異方
性を付与することができる新規な構成を提供する。 【課題】 【解決手段】 基板9上に形成された磁気記録層91よ
り成る磁気記録ディスクは、基板9と磁気記録層91の
間に磁気記録層91に磁気異方性を付与する異方性付与
層92を有する。異方性付与層92は、タンタル、ニオ
ブ合金又はタンタル合金であって窒化されたもの又は窒
素を含む薄膜であり、表面が大気ガス、窒素ガス又は酸
素ガスに晒されて変性されている。異方性付与層92
は、例えばクロムニオブ合金製ターゲットを窒素を含む
プロセスガスによってスパッタして作成した薄膜であ
り、成膜後に0.5〜10Pa程度の圧力の酸素ガスに
晒す。ターゲットからのスパッタ粒子のうち、付与すべ
き異方性の方向に方向成分を持って飛行するスパッタ粒
子を相対的多く基板9に入射させる方向制御が行われ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願の発明は、ハードディス
クのようなコンピュータの外部記憶装置として多用され
ている磁気記録ディスク、及び、そのような磁気記録デ
ィスクの製造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ハードディスクやフロッピー(登録商
標)ディスクのような磁気記録ディスクは、コンピュー
タの外部記憶装置として広く用いられている。このよう
な磁気記録ディスクは、基本的には、ディスク状の基板
と、基板に設けた磁気記録層とからかる構造である。磁
気記録ディスクの製造について、ハードディスクの場合
を例にして説明する。ハードディスクを製造する場合、
アルミニウム等で形成された基板の表面に、メッキ法に
よりNiP膜を作成する。そして、その上に下地層とし
てCoCr膜等を作成し、その上に磁気記録層用の磁性
膜としてCoCrTa膜等を作成する。さらにその磁性
膜の上に保護層としてダイヤモンドに近い構造を持つカ
ーボン膜(Diamond-like-carbon膜,DLC膜)を作成
する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述したハードディス
ク等の磁気記録ディスクに製造においては、記録密度を
向上させる観点から、限界が指摘されている。この点に
ついて、以下に説明する。
【0004】近年のハードディスクの面記録密度は、驚
異的な勢いで伸びている。現在の面記録密度は35ギガ
ビット/平方インチ程度になっており、将来的には10
0ギガビット/平方インチに達すると言われている。面
記録密度の向上には、現在一般的な長手方向記録の場
合、一つの磁区(ビット)の長さを小さくしたりトラッ
ク幅を狭くしたりすることが必要である。ビット長を小
さくしたりトラック幅を狭くしたりするには、情報の記
録や読み出しを行う磁気ヘッドと磁気記録層との間の間
隔(以下、スペーシングと呼ぶ)を小さくすることが必
要である。スペーシングが大きいと、ビット長が小さく
なったりトラック幅が狭くなったりした場合、磁区から
の磁束を充分捉えきれなくなり、記録や読み出しのエラ
ーにつながる恐れがある。
【0005】また、面記録密度の向上には、磁化遷移領
域の問題も重要である。長手方向記録では、各磁区は長
手方向に互いに逆向きに磁化されるが、各磁区の境界部
分は、明確な直線状にはならない。これは、磁性膜が小
さな結晶粒の集まりで形成されているため、結晶粒の形
状に沿って各磁区の境界が形成されるからである。つま
り、結晶粒のため境界部分はジグザグ状となる。各磁区
の境界部分は、磁化の方向が変わる部分であるため磁化
遷移領域と呼ばれるが、境界部分がジグザグ状となるた
め、ビットの幅方向で平均化すると、磁化の向きは急峻
には変化せず、緩やかに変化する状態となる。つまり、
磁化遷移領域が大きくなる。磁化遷移領域が大きいと、
限られた長さの中に形成できる磁区の数がその分だけ減
ってしまう。従って、磁化遷移領域の存在は、記録密度
向上のネックの一つとなっている。
【0006】磁化遷移密度を小さくするには、なるべく
小さな結晶粒で磁性膜を作成することが必要になってく
る。結晶粒を小さくするには、磁性膜の厚さを薄くする
ことが一つの方法である。しかしながら、結晶粒を小さ
くすると、磁化の熱ゆらぎの問題が深刻になってくる。
以下、この点について説明する。
【0007】磁化された磁区は、通常は、逆方向の磁界
の印加によらない限り磁化が維持される。しかしなが
ら、実際は、熱ゆらぎによって磁化が経時的に僅かずつ
解消してしまう。従って、磁区が絶対零度に冷却されい
ない限り、永久的な磁化状態の保持というのは不可能で
ある。磁気記録ディスクにおいて、この熱ゆらぎの問題
が極端に現れると、記憶した情報が数年後に部分的に消
滅するという事態になり得る。磁気記録ディスクが半永
久的なデータ保存用として用いられている場合、この事
態は深刻である。
【0008】熱ゆらぎは、磁化された粒子が熱振動によ
って逆向きに反転して磁化されてしまう熱磁気緩和現象
である。特に、磁化遷移領域に近い場所の磁化粒子は、
隣接する磁区からの反転磁界の影響を受け、逆向きに反
転磁化される熱磁気緩和が生じやすい。このような熱ゆ
らぎは、磁気記録用の磁性膜では、結晶粒が小さくなる
と、各結晶粒が熱的に不安定になり易いため生じ易い。
従って、熱ゆらぎの問題を解決しなければ、結晶粒を小
さくすることによる磁化遷移の急峻化も困難となってし
まう。
【0009】熱ゆらぎの問題を解決する方法として、磁
性膜に磁気異方性を付与することが有効であることが最
近になって判ってきた。磁気異方性とは、磁化する際の
磁界の方向によって、同じ磁界強度でも磁化の強さが異
なってくることである。もしくは、保磁力の強さが磁化
の方向によって異なると表現することも可能である。磁
気異方性を付与する手段としては、磁性膜を構成する各
結晶の配向をそろえていくことが現在考えられている。
つまり、各結晶粒における結晶の配向がばらばらな方向
なのではなく、ある程度同じ方向にそろえるようにす
る。このようにすると、そのようにそろえた結晶の配向
方向に一致した方向で磁化すると、それとは異なる方向
で磁化された場合に比べ、保磁力が強くなる。即ち、磁
気異方性が達成される。
【0010】結晶の配向をそろえる方法としては、薄膜
を作成する際の下地に、機械的に微細な溝を形成する方
法がある。微細な溝が形成された表面に薄膜を堆積させ
ると、各結晶の配向が溝の方向に向き易く、溝の方向に
磁気異方性を得ることができる。尚、このような磁気異
方性を与えるための機械的な形状を、本明細書では「テ
クスチャ」と呼ぶ。例えば、前述したハードディスクの
製造プロセスでは、ニッケル燐膜の表面に微細な溝を多
数形成してテクスチャとする。ハードディスクドライブ
では、磁気ヘッドに対して、ディスクをその中心軸の周
りに回転させながら情報の記録及び読み出しを行うの
で、磁化の方向も周方向(正確にはディスクの中心軸を
中心とする円の接線方向)となることが多い。従って、
磁気異方性も周方向とされる。このため、テクスチャ
は、基板の中心軸と同軸の円周状の微細な溝とされる。
基板の径方向の断面で見ると、この微細な溝は、鋸波状
である。
【0011】このようなテクスチャが形成されたNiP
膜の上に作成される下地膜は、結晶の配向が前述した通
り周方向に向き易く、これに伴い、その上に作成される
磁性膜の結晶の配向も周方向に向き易い。この結果、磁
性膜には、周方向の保磁力が強くなる磁気異方性が与え
られる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たテクスチャによる磁気異方性の付与は、スペーシング
の低減という課題から問題が指摘されている。以下、こ
の点について図9を使用して説明する。図9は、従来の
技術の課題について説明する図である。
【0013】上述した通り、面記録密度の向上のために
は、スペーシングの低減が必要である。しかしながら、
テクスチャの存在は、スペーシングの低減を阻害する要
因となる。つまり、テクスチャがあると、図9に示すよ
うに、記録層用の磁性膜の表面901も、テクスチャの
形状を反映した凹凸になる。この場合、凸の部分では、
磁気ヘッド902との距離(スペーシングS)をある程
度小さくできても、凹の部分では、テクスチャの高さ
(又は深さ)の分があるため、スペーシングSが大きく
なってしまう。従って、この部分では、記録や読み出し
が不安定になる恐れがある。
【0014】凹の部分でもスペーシングSが小さくなる
よう磁気ヘッド902を磁性膜の表面901にさらに近
づけると、磁性膜の上側の保護層等(不図示)接触する
ことになってしまう。この結果、磁気ヘッド902が磁
気記録ディスク表面に吸着されてしまうエラーや、磁気
記録ディスクの表面を傷つけたりする問題が生じる恐れ
がある。このような問題は、磁気記録ディスクの表面に
潤滑膜を設けることである程度解消することができる
が、いずれにしても、テクスチャがある限り、テクスチ
ャの高さ(又は深さ)よりもスペーシングを小さくする
ことは不可能である。従って、テクスチャを設けること
なく磁気異方性を確保することができる新しい技術の開
発が強く望まれている。
【0015】本願の発明は、かかる課題を解決するため
になされたものであり、テクスチャを設けることなしに
磁気記録層に磁気異方性を付与することができる新規な
構成を提供する技術的意義がある。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本願の請求項1記載の発明は、基板と、この基板上
に形成された磁気記録層とより成る磁気記録ディスクで
あって、基板と磁気記録層との間には、磁気記録層に対
して磁気異方性を付与する異方性付与層が設けられてお
り、この異方性付与層は、ニオブ、タンタル、ニオブ合
金又はタンタル合金であって窒化されたもの又は窒素を
含むものからなるという構成を有する。また、上記課題
を解決するため、請求項2記載の発明は、前記請求項1
の構成において、前記異方性付与層の磁気記録層側の表
面は、大気ガス、窒素ガス又は酸素ガスに晒されること
により変性されているという構成を有する。また、上記
課題を解決するため、請求項3記載の発明は、基板上に
磁気記録層を形成する磁気記録層形成工程を含む磁気記
録ディスク製造方法であって、前記磁気記録層形成工程
に先立ち、磁気記録層に対して磁気異方性を付与する異
方性付与層を形成する異方性付与層形成工程を有してお
り、この異方性付与層形成工程では、ニオブ、タンタ
ル、ニオブ合金又はタンタル合金であって窒化されたも
の又は窒素を含むものからなる薄膜を作成するものであ
るという構成を有する。また、上記課題を解決するた
め、請求項4記載の発明は、前記請求項3の構成におい
て、前記ニオブ、タンタル、ニオブ合金又はタンタル合
金であって窒化されたもの又は窒素を含むものからなる
薄膜を作成した後、その薄膜の表面を、大気ガス、窒素
ガス又は酸素ガスに暴露するという構成を有する。ま
た、上記課題を解決するため、請求項5記載の発明は、
前記請求項3又は4の構成において、前記異方性付与層
形成工程は、前記ニオブ、タンタル、ニオブ合金又はタ
ンタル合金であって窒化されたもの又は窒素を含むもの
からなる薄膜をスパッタリングにより作成するものであ
って、付与すべき異方性の方向に方向成分を持って飛行
するスパッタ粒子を相対的多く基板に入射させるという
構成を有する。また、上記課題を解決するため、請求項
6記載の発明は、基板上に磁気記録層を形成して磁気記
録ディスクを製造する磁気記録ディスク製造装置であっ
て、前記磁気記録層を形成する磁気記録層形成チャンバ
ーと、前記磁気記録層に対して磁気異方性を付与する異
方性付与層を形成する異方性付与層形成チャンバーと、
異方性付与層形成チャンバーから磁気記録層形成チャン
バーに基板を搬送する搬送系とを有しており、前記異方
性付与層形成チャンバーは、ニオブ、タンタル、ニオブ
合金又はタンタル合金であって窒化されたもの又は窒素
を含むものからなる薄膜を基板上に作成するものである
という構成を有する。また、上記課題を解決するため、
請求項7記載の発明は、前記請求項6の構成において、
前記異方性付与層形成チャンバーにおける処理の後であ
って前記磁気記録層形成チャンバーでの処理の前に、基
板を大気ガス、窒素ガス又は酸素ガスに晒す暴露チャン
バーが設けられているという構成を有する。また、上記
課題を解決するため、請求項8記載の発明は、前記請求
項6又は7の構成において、前記異方性付与層形成チャ
ンバーは、前記ニオブ、タンタル、ニオブ合金又はタン
タル合金であって窒化されたもの又は窒素を含むものか
らなる薄膜をスパッタリングにより作成するものであっ
て、付与すべき異方性の方向に方向成分を持って飛行す
るスパッタ粒子を相対的多く基板に入射させることによ
り成膜を行うものであるという構成を有する。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本願発明の実施の形態(以
下、実施形態)について説明する。まず、磁気記録ディ
スクの発明の実施形態について説明する。図1は、実施
形態に係る磁気記録ディスクの断面概略図である。図1
に示す磁気記録ディスクは、ディスク状の基板9と、基
板9上に形成された磁性記録層91とより成り、基板9
と磁気記録層91との間に、磁気記録層91に対して磁
気異方性を付与する異方性付与層92が設けられた構成
である。
【0018】より詳しく説明すると、基板9はガラス製
であり、例えばHOYA(株)製のN5等が使用でき
る。基板9上には、まず、本実施形態の磁気記録ディス
クを大きく特徴づける異方性付与層92が形成されてい
る。異方性付与層92の上には、下地層93が形成さ
れ、その上に中間層94が作成されている。この中間層
94の上に磁気記録層91が形成され、その上に保護層
95が作成されている。
【0019】異方性付与層92は、磁気記録層91の結
晶の配向をそろえて異方性を付与するものである。従来
の磁気記録ディスクでは、基板9上にはまずNiP膜や
NiAl膜が作成されることが多いが、本実施形態の異
方性付与層91は、これに代わるものであるということ
ができる。
【0020】従来の磁気記録ディスクにおけるNiP膜
やNiAl膜は、基板9を硬くして機械的強度を補強す
るのが主な目的であった。しかしながら、本願の発明者
の研究によると、この基板9上に最初に作成する薄膜
が、磁気記録層91の磁気異方性に影響を与えることが
判ってきた。本願の発明者の研究によると、ニオブ、タ
ンタル、ニオブ合金又はタンタル合金であって窒化され
たもの又は窒素を含むものからなる薄膜を下地層93の
下側に作成しておくと、後述するように、磁気記録層9
1に効果的に磁気異方性を付与することができることが
判明した。従って、異方性付与層92は、これらいずれ
か材料の薄膜で形成される。例えば、CrNb膜が異方
性付与層92として作成される。膜厚は、1nm〜20
0nm程度で良い。
【0021】また、下地層93としては、Cr膜やCr
W膜が作成される。これらを積層したものが下地層93
として採用されることもある。下地層93の厚さは、1
nm〜50nm程度で良い。中間層94としては、例え
ばCo-40at%Cr膜が作成される。厚さは、0.5n
m〜10nm程度で良い。尚、at%とは、原子量で換
算した質量比であり原子数比に相当する。例えば、Co
-40at%Cr膜とは、Co100に対して40の原子数
比のCrを含んだ膜ということである。
【0022】磁気記録層91としては、例えばCoCr
PtB膜又はCoCrPtTa膜が作成される。厚さ
は、10nm〜50nm程度で良い。CoCrPtTa
膜の場合の組成比は、例えばCo-20Cr-10Pt-2Ta
(at%)であり、CoCrPtB膜の場合の組成比は、例
えばCo-20Cr-10Pt-6B(at%)である。保護層95
としては、前述したDLC膜が作成される。厚さは、1
nm〜10nm程度で良い。
【0023】次に、このような磁気記録ディスクを製造
する方法及び装置の発明の実施形態について説明する。
図2は、実施形態に係る磁性膜作成作成装置の概略構成
を示す平面図である。本実施形態の装置は、インライン
式の装置になっている。インライン式とは、複数のチャ
ンバーが一列に縦設され、それらのチャンバーを経由し
て基板9の搬送路が設定されている装置の総称である。
本実施形態の装置では、複数のチャンバー1,80,8
1,82,83,84,85,87,88,89,80
0が方形の輪郭に沿って縦設されており、これに沿って
方形の搬送路が設定されている。
【0024】各チャンバー1,80,81,82,8
3,84,85,87,88,89,800は、専用又
は兼用の排気系によって排気される真空容器である。各
チャンバー1,80,81,82,83,84,85,
87,88,89,800の境界部分には、ゲートバル
ブ10が設けられている。基板9は、キャリア2に搭載
されて図2中不図示の搬送機構によって搬送路に沿って
搬送されるようになっている。複数のチャンバー1,8
0,81,82,83,84,85,87,88,8
9,800のうち、方形の一辺に隣接して配置された二
つのチャンバー81,82が、キャリア2への基板9の
搭載を行うロードロックチャンバー81及びキャリア2
からの基板9の回収を行うアンロードロックチャンバー
82になっている。
【0025】また、方形の他の三辺に配置されたチャン
バー1,80,83,84,85,88,89,800
は、各種処理を行う処理チャンバーになっている。具体
的には、薄膜の作成の前に基板9を予め加熱するプリヒ
ートチャンバー83と、異方性付与層の上に下地層を作
成する下地層形成チャンバー84と、下地層上に中間層
を形成する中間層形成チャンバー88と、中間層の上に
磁気記録層を形成する磁気記録層形成チャンバー80
と、磁気記録層の上に保護層を作成する保護層形成チャ
ンバー85とが設けられている。尚、処理チャンバー8
00は予備のものである。また、方形の角の部分のチャ
ンバー87は、基板9の搬送方向を90度転換する方向
転換機構を備えた方向転換チャンバー87になってい
る。
【0026】キャリア2は、基板9の周縁を数カ所で接
触保持して基板9を保持するものである。搬送機構は、
磁気結合方式により動力を真空側に導入してキャリア2
を移動させる。キャリア2は、搬送ラインに沿って並べ
られた多数の従動ローラに支持されながら移動する。こ
のようなキャリア2及び搬送機構の構成としては、特開
平8−274142号公報に開示された構成を採用する
ことができる。
【0027】本実施形態の装置は、前述したような磁気
記録ディスクを製造するため、プリヒートチャンバー8
3と下地層作成チャンバー84との間に、プリヒートさ
れた基板9上に異方性付与層を形成する異方性付与層形
成チャンバー1と、基板9を所定のガスに晒す暴露チャ
ンバー89が設けられている。以下、この点を詳しく説
明する。
【0028】図3は、図1に示す異方性付与層形成チャ
ンバー1の側面断面概略図である。異方性付与層形成チ
ャンバー1は、磁気記録層を異方性を付与する薄膜(以
下、異方性付与膜)をスパッタリングにより作成するも
のとなっている。具体的に説明すると、異方性付与層形
成チャンバー1は、内部を排気する排気系11と、内部
にプロセスガスを導入するガス導入系12と、内部の空
間に被スパッタ面を露出させて設けたターゲット30を
有するカソードユニット3と、ターゲット30にスパッ
タ放電用の電圧を印加するスパッタ電源(図2中不図
示)と、ターゲット30の背後に設けられた磁石ユニッ
ト5とを備えている。
【0029】この異方性付与層形成チャンバー1の特徴
点は、異方性付与膜として、窒化させたCrNb膜を作
成するものとなっているとともに、付与すべき異方性の
方向に方向成分を持って飛行するスパッタ粒子を相対的
多く基板9に入射させることにより成膜を行うものとな
っている点である。具体的には、ターゲット30は、C
rNb合金から成っている。また、ガス導入系12は、
窒素とアルゴンの混合ガスをプロセスガスとして導入す
るようになっている。さらに、図3に示すように、ター
ゲットは、基板9に対して偏心した位置に配置されてお
り、放出されるスパッタ粒子が斜めに多く基板9に入射
するようになっている。
【0030】排気系11は、クライオポンプ等の真空ポ
ンプを備えており、異方性付与層形成チャンバー1内を
10−6Pa程度まで排気可能に構成されている。本実
施形態では、基板9の両面に同時に成膜するため、キャ
リア2に保持された基板9の両側にカソードユニット3
が配置されている。カソードユニット3は、前述したタ
ーゲット30や磁石ユニット5を含んでいる。磁石ユニ
ット5は、マグネトロンスパッタリングを可能にするた
めのものである。
【0031】ガス導入系12によってアルゴンと窒素の
混合ガスを導入しながら排気系11によって異方性付与
層形成チャンバー1内を所定の圧力に保ち、この状態で
図3中不図示のスパッタ電源を動作させる。この結果、
スパッタ放電が生じてターゲット30がスパッタされ、
スパッタされたターゲット30の材料が基板9に達して
基板9上にCrNb合金から成る異方性付与膜が作成さ
れる。この際、導入された窒素ガスとの反応が生じ、異
方性付与膜は、窒化されたCrNb合金又は窒素含有の
CrNb合金から成る膜(以下、単に窒化CrNb膜)
となる。
【0032】次に、図4を使用して、前述した異方性を
付与するための手段の一つであるスパッタ粒子の斜め入
射の構成について説明する。図4は、異方性を付与する
ためのスパッタ粒子の斜め入射の構成について説明する
平面概略図である。
【0033】図3及び図4から解るように、本実施形態
では、三つのターゲット30が配置されている。三つの
ターゲット30は、基板9と同軸の円周上に等間隔即ち
120度毎に配置されている。三つのターゲット30
は、成膜の際、後述する回転機構により、基板9と同軸
の回転軸の周りに回転するようになっている。また、タ
ーゲット30と基板9との間には、方向規制板39が設
けられている。方向規制板39は、不図示の固定具によ
りターゲット30に対して固定されており、ターゲット
30と一体に回転するようになっている。
【0034】ターゲット30が基板9に対して偏心した
位置に配置されると、ターゲット30から放出されるス
パッタ粒子は、基板9に対して斜めに多く入射する。こ
の際、図4に示すように、平面視において、ターゲット
30の中心軸と基板9の中心軸とを結ぶ方向(以下、軸
−軸方向)に飛行して基板9に入射するスパッタ粒子S
1もあるが、軸−軸方向から逸れて飛行して入射するス
パッタ粒子S2も多くある。この軸−軸方向から逸れた
方向に飛行して斜めに基板9に入射するスパッタ粒子
(以下、逸軸斜めスパッタ粒子と呼ぶ)S2が、磁気記
録層への異方性の付与に貢献する。
【0035】本実施形態における異方性付与層形成チャ
ンバー1は、基板9上に均一に異方性付与膜を作成する
ため、ターゲット30の中心軸から偏心した回転軸であ
って基板9と同軸の回転軸の周りに回転させる回転機構
を設けている。以下、この点について説明する。図5
は、図3に示すカソードユニット3の詳細を示す断面図
である。図3に示す左右のカソードユニット3は同様の
構造(基板9を挟んで対称の構造)であり、図5にはそ
のうち左側のカソードユニット3の詳細が示されてい
る。
【0036】まず、スパッタチャンバー1の側壁部に
は、カソードユニット3の断面積よりも少し大きな開口
が設けられている。カソードユニット3は、この開口に
挿通されている。スパッタチャンバー1の側壁部の外面
には、ユニット取付枠6が固定されている。ユニット取
付枠6は、図5に示すような段差のある断面形状の円筒
である。ユニット取付枠6の端面は、Oリングのような
封止部材60を介してスパッタチャンバー1の側壁部の
外面に固定されている。
【0037】ユニット取付枠6の内側には、主ホルダー
31が設けられている。主ホルダー31もほぼ円筒であ
り、ユニット取付枠6と同軸上に設けられている。以
下、この主ホルダー31の中心軸を「基準軸」と呼び、
図5にAで示す。前述したキャリア2は、基板9の中心
軸がこの基準軸Aに一致した状態で停止するようになっ
ている。主ホルダー31の右側の端部には、右ホルダー
フランジ311が設けられている。右ホルダーフランジ
311には、カソード取付枠32が固定されている。カ
ソード取付枠32は、図5に示すような断面形状のほぼ
円筒状であり、基準軸Aと同軸上に設けられている。
【0038】カソード取付枠32の右側の端面はスパッ
タチャンバー1内に位置し、この端面に空洞形成板33
が固定されている。空洞形成板33には、バッキングプ
レート34が固定されている。バッキングプレート34
には、ターゲット30押さえ310によりターゲット3
0が着脱可能に取り付けられている。即ち、左から順
に、空洞形成板33、バッキングプレート34、ターゲ
ット30が重ね合わされ、カソード取付枠32の右端面
に固定されている。尚、空洞形成板33及びバッキング
プレート34は、ターゲット30より少し大きいほぼ円
盤状である。
【0039】図4に示すように、本実施形態では、一つ
のカソードユニット3に三つのターゲット30が設けら
れている。各ターゲット30は同じ大きさの円盤状であ
る。各ターゲット30は、基準軸A上の点を中心とする
円周上に均等間隔で(即ち、120度毎に)設けられて
いる。空洞形成板33は、バッキングプレート34とと
もに、空洞330を形成する形状となっている。この空
洞330内には、後述するように、冷媒が供給される。
【0040】そして、回転機構は、各ターゲット30を
基板9の中心と同軸の回転軸の周り(即ち、基準軸Aの
周り)に回転させるものとなっている。回転機構は、上
述した主ホルダー31と、主ホルダー31を回転させる
モータのような回転駆動源351等によって構成されて
いる。具体的に説明すると、主ホルダー31の左側の端
部には、左ホルダーフランジ312が設けられている。
左ホルダーフランジ312の周面は、ギヤ歯(以下、フ
ランジ側ギヤ歯)になっている。そして、回転駆動源3
51の出力軸には、フランジ側ギヤ歯に噛み合うギヤ歯
を持つ駆動ギヤ352が連結されている。回転駆動源3
51が駆動されると、駆動ギヤ352を介して主ホルダ
ー31が基準軸Aの周りに回転する。この結果、各ター
ゲット30も、それらの中心軸から偏心した基準軸Aの
周りに一体に回転する。尚、主ホルダー31は、ユニッ
ト取付枠6によって保持されている。ユニット取付枠6
と主ホルダー31の間には、ベアリング7が設けられて
おり、上記主ホルダー31の回転を許容するようになっ
ている。上記のような偏心回転によって、前述した磁気
異方性の付与に貢献しつつ、均一な厚さで成膜が行え
る。
【0041】次に、再び図3及び図5を使用して、本実
施形態におけるカソードユニット3の他の構成について
説明する。図3及び図5に示すように、カソード取付枠
32内には、磁石ユニット5が設けられている。磁石ユ
ニット5は、各ターゲット30の背後にそれぞれ設けら
れている。磁石ユニット5は、中央磁石51と、中央磁
石51を取り囲む円筒状の周辺磁石52と、中央磁石5
1と周辺磁石52とをつなぐヨーク53とから主に構成
されている。中央磁石51と周辺磁石52による磁力線
50は、図5に示すように、ターゲット30を貫き、タ
ーゲット30の前方の放電空間に弧状に形成される。タ
ーゲット30と磁力線50とによって形成される閉空間
内に電子がマグネトロン運動しながら閉じこめられ、高
効率のマグネトロン放電が達成される。
【0042】ヨーク53は、ターゲット30より少し小
さい円盤状であり、垂直に立てて設けられている。中央
磁石51は例えば円柱状で、周辺磁石52は例えば円環
状である。ターゲット30の中心軸とヨーク53の中心
軸は同軸であるが、中央磁石51や周辺磁石52の配置
や形状は、ターゲット30の中心軸に対して非対称の形
状になっている。即ち、磁石ユニット5によって形成さ
れる磁界は、ターゲット30の中心軸に対して非対称と
なっている。これは、後述するように磁石ユニット5が
回転した際、ターゲット30の表面における時間平均し
た磁界強度が均一になるようにするためである。
【0043】また、各磁石ユニット5をターゲット30
の中心軸と同軸の回転軸の周りに回転させる補助回転機
構が設けられている。補助回転機構は、前述した回転機
構の回転動力により各磁石ユニット5を回転させるもの
となっている。具体的に説明すると、補助回転機構は、
各磁石ユニット5に設けられた従動ギヤ361と、回転
機構の回転動力を各磁石ユニット5の回転動力に変換す
る静止ギヤ362とから主に構成されている。
【0044】従動ギヤ361は、ヨーク53の下面に固
定されている。従動ギヤ361は、ターゲット30の中
心軸と同軸である。従動ギヤ361の中心から水平に延
びるようにして軸棒363が固定されている。この軸棒
363は、ベアリング7を介してカソード取付枠32に
保持されている。一方、前述した回転機構の回転駆動源
351は、ベース板300に取り付けられている。ベー
ス板300は、垂直な姿勢で設けられている。ベース板
300には、スピンドルが挿通されているスピンドル用
開口が設けられている。そして、スピンドル用開口の縁
から水平に延びるようにして、ギヤホルダー360が設
けられている。ギヤホルダー360は、基準軸Aと同軸
のほぼ円筒状である。
【0045】静止ギヤ362は、ギヤホルダー360の
先端に固定されている。静止ギヤ362のギア歯は、基
準軸Aと同軸であり、基準軸Aに対して外側の向いてい
る。そして、図5に示すように、静止ギヤ362は各従
動ギヤ361に噛み合っている。静止ギヤ362と各従
動ギヤ361の位置関係及び噛み合いが、図5に併せて
示されている。
【0046】図5から解るように、各磁石ユニット5
は、軸棒363を介してカソード取付枠32に連結され
ているので、回転駆動源351によって主ホルダー31
が回転し、各ターゲット30が基準軸Aの周りに回転す
る際、各磁石ユニット5や各従動ギヤ361も一体に基
準軸Aの周りに回転する(以下、この基準軸A周りの回
転を公転と呼ぶ)。従動ギヤ361は基準軸Aよりの箇
所で静止ギヤ362に噛み合っているので、上記公転の
際、従動ギヤ361は、ターゲット30と同軸の中心軸
の周りに回転する(以下、この回転を自転と呼ぶ)。従
動ギヤ361の自転に伴い、磁石ユニット5も一体に自
転する。結局、磁石ユニット5は、基準軸Aの周りの公
転と、ターゲット30の中心軸の周りの自転とを同時に
行うことになる。尚、ギヤホルダー360とユニット取
付枠6の間には、ベアリング7が設けられている。
【0047】一方、主ホルダー31の中央を貫くように
してスピンドル37が設けられている。スピンドル37
は、先端部分で空洞形成板33やバッキングプレート3
4等を保持している。スピンドル37は、右側の部分が
円柱状であり、左側の部分がほぼ同径の円筒状となって
いる。スピンドル37の右側の円柱状の部分(以下、円
柱部)には、空洞330内に冷媒を導入する冷媒導入路
371が設けられている。冷媒導入路371は、途中か
ら三つに分岐しており、この分岐した先が、各ターゲッ
ト30の背後の空洞330につながっている。また、円
柱部には、各空洞330から冷媒を排出する冷媒排出路
372が設けられている。冷媒排出路372は、図5か
らは明らかでないが、各空洞330のそれぞれに三つ設
けられている。スピンドル37の左側の円筒状の部分
(以下、円筒部)内には、冷媒導入路371につながる
冷媒導入管373と、冷媒排出路372につながる冷媒
排出管374が設けられている。図5では一つしか描か
れていないが、冷媒排出管374は、各冷媒排出路37
2のそれぞれに設けられている。
【0048】また、スピンドル37の円柱部及び円筒部
を貫くようにして給電ロッド381が設けられている。
給電ロッド381は、各ターゲット30にスパッタ放電
用の電力を供給するものである。図5では一つの給電ロ
ッド381しか描かれていないが、実際には三つの給電
ロッド381が設けられている。図5に示すように、給
電ロッド381の先端は、空洞形成板33に接触してい
る。空洞形成板33やバッキングプレート34は、ステ
ンレスや銅のような金属であり、空洞形成板33及びバ
ッキングプレート34を介してターゲット30に給電さ
れるようになっている。尚、給電ロッド381とスピン
ドル37との間、及び、空洞形成板33やバッキングプ
レート34とスピンドル37との間には、不図示の絶縁
材が設けられている。このため、給電ロッド381が供
給する電力がスピンドル37側に漏れないようになって
いる。
【0049】前述した公転に伴い、スピンドル37も基
準軸Aの周りに公転する。スピンドル37の公転に拘わ
らず、電力供給や冷媒の流通ができるよう、スリップリ
ング382及びロータリージョイント375が設けられ
ている。図5に示すように、スリップリング382は、
スピンドル37の左側の端部を取り囲むよう設けられて
いる。スリップリング382には、ケーブルによって各
給電ロッド381が結線されている。そして、スリップ
リング382には、各ターゲット30に対応してそれぞ
れ設けられた三つのスパッタ電源4が接続されている。
スリップリング382は、回転する円筒体の外側面に板
バネ状の部材を接触させて導通を確保するものである。
ここに使用するスリップリング382としては、例えば
グローブテック社製の「φ150−60 3ch S
R」等が挙げられる。
【0050】また、ロータリージョイント375は、ス
ピンドル37の左側の端部に接続されている。ロータリ
ージョイント375には、冷媒導入管373につながる
冷媒導入口376と、冷媒排出管374にそれぞれつな
がる三つの冷媒排出口377が設けられている。ロータ
リジョイントは、スピンドル37の回転に拘わらず、冷
媒導入管373と冷媒導入口376との連通、及び、各
冷媒排出管374と各冷媒排出口377との連通を確保
するようになっている。このようなロータリージョイン
ト375としては、例えば光洋油圧社製のロータリージ
ョイント375KT−4−02−1Wが使用できる。
【0051】上記ロータリージョイント375の冷媒導
入口376と各冷媒排出口377は、図5に示すよう
に、配管378及びサーキュレータ379を介してつな
がっている。サーキュレータ379により所定の温度に
維持された冷媒は、冷媒導入口376、冷媒導入管37
3及び各冷媒導入路371を経由して各空洞330に導
入される。そして、冷媒は、各空洞330から、各冷媒
排出路372、各冷媒排出管374及び各冷媒排出口3
77を経てサーキュレータ379に戻る。
【0052】尚、上述した三つの給電ロッド381、ス
リップリング382及び三つのスパッタ電源4は、ター
ゲット30にスパッタ放電用の電力を供給する電力供給
系を構成している。そして、各スパッタ電源4は、独立
して出力電圧を調整できるようになっており、ターゲッ
ト30に供給される電力が独立して制御されるようにな
っている。
【0053】上記カソードユニット3の構造において、
スパッタチャンバー1内で維持される真空のリークがな
いよう、Oリングのような封止部材が必要な箇所に設け
られている。特に、本実施形態では、ユニット取付枠6
と主ホルダー31との間に、磁性流体シール61を用い
ている。磁性流体シール61は、磁性流体を使用した封
止部材であり、主ホルダー31の回転を許容しつつ、主
ホルダー31とユニット取付枠6との間の空間からのリ
ークを防止している。
【0054】次に、暴露チャンバー89の構成について
説明する。暴露チャンバー89は、内部を排気する排気
系と、内部にガスを導入するガス導入系を備えた気密な
真空容器である。ガス導入系は、本実施形態では酸素ガ
スを導入するようになっており、基板9を酸素ガスに晒
すものとなっている。暴露チャンバー89内の圧力は
0.5〜10Paに維持されるようになっており、この
程度の圧力下で基板9を酸素ガスに晒すようになってい
る。尚、酸素ガスに代え、大気ガス又は窒素ガスに晒す
場合もある。この場合の「大気ガス」とは、大気と同様
の成分のガスという意味であり、圧力が大気圧であるこ
とを必ずしも意味するものではない。従って、大気ガス
を内部に導入することで、異方性付与層形成チャンバー
1に比べて圧力を高くした(大気圧に近い真空圧力にし
た)だけの場合もあり得る。
【0055】次に、上記異方性付与層形成チャンバー1
及び暴露チャンバー89以外の装置の構成について説明
する。図1に示すプリヒートチャンバー83は、成膜に
先だって基板9を所定温度まで加熱するチャンバーであ
る。成膜の際の維持すべき基板9の温度は室温以上であ
ることが多く、下地層作成チャンバー84等に到達した
際に基板9が所定の高温になっているよう、プリヒート
チャンバー83で基板9が加熱される。また、加熱の別
の目的は、脱ガス即ち吸蔵ガスの放出である。
【0056】下地層作成チャンバー84は、上述した異
方性付与層形成チャンバー1と同様に、スパッタリング
により成膜を行うチャンバーである。下地層には、Cr
膜又はCr合金膜等が用いられるので、ターゲットはこ
のような材料からなる。プロセスガスは、アルゴンで良
い。下地層作成チャンバー84内の構成としては、基板
9とターゲットが静止して向き合う通常の静止対向型の
構成でも良いし、前述したように、ターゲット30が回
転する構成でも良い。また、同様にスパッタ粒子の斜め
入射の構成を採用し、磁気記録層への異方性の付与に貢
献させる場合もある。
【0057】中間層形成チャンバー88及び磁気記録層
形成チャンバー80も、同様にスパッタリングにより所
定の薄膜を作成するチャンバーである。中間層としては
CoCr膜が作成され、磁気記録層としてはCoCrP
tB合金又はCoCrPtTa合金から成る膜が作成さ
れる。従って、中間層形成チャンバー88内のターゲッ
トはCoCr合金から成り、磁気記録層形成チャンバー
80内のターゲットはCoCrPtB合金又はCoCr
PtTa合金から成る。プロセスガスは、ともにアルゴ
ンで良い。中間層形成チャンバー88及び磁気記録層形
成チャンバー80についても、同様にスパッタ粒子の斜
め入射の構成を採用すると、異方性付与の効果をさらに
高めることができる。
【0058】尚、最終的には、磁気記録層に磁気異方性
を付与することが目標であるが、その下側の層(異方性
付与層、下地層又は中間層)の形成においてスパッタ粒
子の斜め入射の構成が採用されていれば、磁気記録層の
形成の際には、通常の構成(即ち、基板とターゲットが
同軸に対向したスパッタ粒子垂直入射の構成)でも充分
に磁気異方性が付与されることがある。従って、磁気記
録層の形成では、通常のスパッタ粒子の入射の構成が採
用される場合が多い。また、各層の形成において斜め入
射のようにスパッタ粒子の方向制御を行う場合、当然の
ことであるが、すべて同じ方向の磁気異方性(例えば周
方向の保磁力が強くなる異方性)を付与するよう方向制
御すると良いことは言うまでもない。
【0059】保護層形成チャンバー85は、前述したD
LC膜を保護層として作成するものである。保護層形成
チャンバー85は、プラズマCVD又はスパッタリング
によりDLC膜を作成するよう構成される。プラズマC
VDによる場合、CH 等の有機系のガスを導入し、
高周波放電によりプラズマを形成するよう構成される。
プラズマ中でガスの分解が生じて炭素が生成され、基板
9の表面にカーボン膜が堆積する。この際、基板9の温
度をある程度の高温にすると、膜がDLC膜として成長
する。また、スパッタリングによりDLC膜を作成する
場合、カーボン製のターゲットを使用する。
【0060】次に、方法の発明の説明を兼ねて本実施形
態の装置の動作について説明する。まず、ロードロック
チャンバー1内で未処理の基板9が最初のキャリア2に
搭載される。このキャリア2はプリヒートチャンバー8
3に移動して、基板9がプリヒートされる。この際、次
のキャリア2への未処理の基板9の搭載動作が行われ
る。1タクトタイムが経過すると、キャリア2は異方性
付与層形成チャンバー1に移動し、前述したように異方
性付与層が形成される。この際、次のキャリア2はプリ
ヒートチャンバー83に移動し、基板9がプリヒートさ
れ、ロードロックチャンバー1内でさらに次のキャリア
2への基板9の搭載動作が行われる。
【0061】さらに1タクトタイムが経過すると、異方
性付与層形成チャンバー1にあったキャリア2は暴露チ
ャンバー89に移動し、異方性付与層の表面の酸素ガス
暴露が行われる。プリヒートチャンバー1にあった次の
キャリア2は異方性付与層形成チャンバー1に移動し、
異方性付与層の形成が行われる。このようにして、1タ
クトタイム毎にキャリア2が移動し、プリヒート、異方
性付与層の形成、酸素ガス暴露、下地層の形成、中間層
の形成、磁気記録層の形成、保護層の形成の順で処理が
行われる。そして、保護層の作成の後、キャリア2はア
ンロードロックチャンバー2に達し、このキャリア2か
ら処理済みの基板9の回収動作が行われる。尚、一つの
層が複数の薄膜を積層したものである場合、複数のチャ
ンバーにまたがってその層の形成工程が行われる場合も
ある。
【0062】本実施形態の方法及び装置によれば、前述
したように、磁気記録層に効果的に磁気異方性を付与す
ることが可能となる。以下、この点についてさらに詳し
く説明する。図6は、逸軸斜めスパッタ粒子による異方
性付与について説明する斜視概略図である。前述した逸
軸斜めスパッタ粒子が異方性付与に何故貢献するかは完
全には明らかではないが、次のような推測が可能であ
る。
【0063】図6に示すように、逸軸斜めスパッタ粒子
は、基板9上の同心円の接線方向(以下、単に接線方
向)に方向成分を持って基板9に入射する。このよう
に、基板9の法線の方向以外に方向成分を持つスパッタ
粒子が多く入射すると、この方向に結晶の軸が傾いた
り、この方向に結晶が成長し易くなったりすることがあ
ると考えられる。例えば、模式的に描けば、図6中に拡
大して示すように、接線方向の側に斜めに傾いた微細な
凹凸920が多数形成されることがあり得る。
【0064】このような基板9の法線以外の一定の方向
に成分を持つスパッタ粒子が入射すると、この方向に薄
膜の構造又は特性が異方化する。そして、このような薄
膜の上に、下地層、中間層、磁気記録層を積層していく
と、磁気記録層も異方性を帯びたものとなる。詳細な構
造は不明であるが、推測されるモデルの一例を以下に説
明する。
【0065】例えば、下地層としてCr又はCr合金膜
が高温で作成される場合、その膜は体心立方構造とな
り、その(100)方向が基板9と平行になる。そし
て、CoCrPtTaやCoCrPtBのようなCo基
強磁性合金膜は六方最密(hcp)構造であり、Cr又
はCr合金膜より成る下地層上にCo基強磁性合金膜が
が作成されると、この下地層の結晶の(110)方向に
Co基強磁性合金膜のc軸が一致したものとなる。即
ち、c軸が基板9と平行になる。この際、下地層の(1
10)方向が接線方向に向くようにしておくと、Co基
強磁性合金膜のc軸も接線方向に向くようになる。この
結果、接線方向の保磁力が強くなる磁気異方性が得られ
る。上記説明から解るように、上のモデルにおいては、
(110)方向が接線方向に向くように下地層が形成さ
れることが前提である。異方性付与層は、このような方
向に下地層の結晶の配向が向くようする作用があるもの
と考えられる。
【0066】ターゲットが基板9と同軸の回転軸の周り
に回転することから解るように、この実施形態の構成
は、周方向に異方性を付与するものである。つまり、図
6に示すように、ターゲットから放出されて斜めに入射
するスパッタ粒子S2は、接線方向に成分を持つ。この
際、基板9に対して相対的にターゲットは回転している
から、結局、図6に示す結晶の傾きも周方向に沿ったも
のとなる。従って、周方向で磁化した場合の保磁力が、
径方向で磁化した場合の保持力より強くなる。
【0067】図4に示す方向規制板39は、このような
斜め入射スパッタ粒子S2による異方性付与を促進する
効果がある。即ち、方向規制板39は、軸−軸に飛行す
るスパッタ粒子を遮蔽するものとなっている。このた
め、逸軸斜めスパッタ粒子が相対的に多く基板9に入射
し、この結果、周方向への磁気異方性付与が促進される
ようになっている。但し、方向規制板39が無くとも、
前述した斜め入射の構成のみでも充分に磁気異方性付与
は可能である。尚、方向規制板39として、逸軸斜めス
パッタ粒子を遮蔽して、軸−軸方向に飛行するスパッタ
粒子を多く入射させるようにすると、径方向への磁気異
方性付与を促進することが可能になる。
【0068】このように、逸軸斜めスパッタ粒子により
作成された膜を下地層の下側に設けておくと、磁気記録
層に異方性を付与できるのであるが、発明者の実験によ
ると、膜の材料は何でも良いという訳ではなく、ニオ
ブ、タンタル、ニオブ合金又はタンタル合金に限定され
ることが解った。また、成膜時に窒素ガスを導入する等
して膜が窒素を含んでいなければならないことが解っ
た。以下、これらを確認した実験の結果について説明す
る。
【0069】まず、表1は、材料依存性及び斜め入射依
存性について確認した実験の結果が示されている。
【表1】 まず、異方性付与膜を作成しないで下地層をしてCr膜
20nmの厚さで作成し、その上に磁気記録層としてC
oCrPtB膜を20nmの厚さで作成してその磁気異
方性を測定した。尚、表1において、ORは磁気異方性
を意味し、OR=(周方向の保磁力)/(径方向の保磁
力)である。次に、異方性付与膜として窒化CrNb膜
を作成し、同様にCr膜とCoCrPtB膜を作成し
た。尚、Cr膜は、基板9とターゲットを同軸に対向さ
せたスパッタ粒子垂直入射と、前述した斜め入射との二
通りを行った。各膜の作成において、基板9の温度は2
00℃、スパッタ電力は500Wとした。
【0070】また、窒化CrNb膜の作成時のプロセス
ガスは、アルゴンに対して窒素を15〜30%添加した
ガスである。窒化CrNb膜の作成時の圧力は2Paで
あり、その後、大気ガスを導入して10−3Paの圧力
に晒した。CrNb合金製ターゲットは、Crが70a
t%でNbが30at%である。
【0071】表1に示すように、異方性付与膜が無い場
合、Cr膜が垂直入射の場合でも斜め入射の場合でもO
Rは1であり、磁気異方性は確認されたかった。これに
対し、窒化CrNb膜がある場合、CR膜垂直入射の場
合でORは1.1、CR膜斜め入射の場合には1.2に
なり、磁気異方性が付与されることが確認された。尚、
異方性付与膜が無い例では、Cr膜の下側は基板9その
ものの材質である。但し、従来のようにNiP膜やNi
Al膜を作成した場合にも結果は同様にOR=1であっ
た。
【0072】次に、異方性付与膜中の窒素の有無に対す
る依存性について確認した実験の結果について説明す
る。図7及び図8は、異方性付与膜中の窒素の有無に対
する依存性について確認した実験の結果について示した
図であり、異方性付与膜の作成時に添加した窒素の量に
対する磁気記録層の磁気異方性の依存性を示している。
図7は、CrNb膜中の窒素有無に対する依存性、図8
は、CrTa膜中の窒素有無に対する依存性について示
す。
【0073】まず、図7では、アルゴン100sccm
(sccmは0℃1気圧で換算した気体の流量(cc/
分))に対して窒素の添加量を変えてCrNb膜を作成
した結果が示されている。図7に示すように、CrNb
膜で、窒素の添加がゼロの場合、OR=1であり磁気異
方性は見られない。窒素の添加量を増やしていくと、徐
々に磁気異方性が高くなり、20sccm程度でピーク
となる。従って、成膜時の窒素添加量は、アルゴンに対
して20%程度の流量比が最適であることが解る。
【0074】次に、図8では、アルゴン80sccmに
対して窒素の添加量を変えてCrTa膜を作成した結果
が示されている。図8に示すように、窒素の添加が無い
場合には、ORは1以下であり、付与しようとしたのと
は逆の径方向の磁気異方性が出てしまっている。窒素添
加量を増やすと、周方向の磁気異方性が現れ、10sc
cm程度でピークとなる。従って、CrTa膜の場合、
アルゴンに対して12.5%程度の窒素添加が最適であ
ることが解る。
【0075】次に、異方性付与膜作成後の大気ガス暴露
の効果について説明する。図7に示す実験において、異
方性付与膜作成後そのまま下地層と磁気記録層の形成を
行った場合と、異方性付与膜の表面を大気ガスに晒した
場合とを比較した。そのまま下地層と磁気記録層を形成
した場合には磁気異方性は1.1弱であったが、2Pa
程度の圧力の大気ガスに1分程度晒した後に下地層と磁
気記録層を作成した場合には、磁気異方性は1.2程度
まで向上した。このような結果は、大気ガスに代えて酸
素ガス又は窒素ガスでも同様であった。このような結果
は、異方性付与層の表面を薄く酸化させたり、窒化の度
合いの高い層を表面に薄く設けたりするような表面の変
性処理を行うと、磁気異方性がさらに向上することを示
していると思われる。尚、異方性付与膜としてCrNb
膜を作成する場合、そのCrNb膜のNb含有量は、全
体に対して20at%以上80at%、より好ましくは
30at%以上50at%とされる。CrTa膜のTa
含有量も、これと同様である。
【0076】以上説明したように、本実施形態によれ
ば、磁気記録層の磁気異方性が高くなるので、熱ゆらぎ
の問題を抑制でき、高記録密度化に大きく貢献できる。
また、上述した本実施形態の構成では、基板9はテクス
チャの無い平坦なままの状態で使用される。テクスチャ
の無い場合でも、上述したような効果が得られる。この
ため、スペーシングの低減の傾向を阻害することがな
く、この点でも高記録密度化に大きく貢献できる。但
し、本願の発明は、テクスチャの形成を排除するもので
はない。テクスチャを形成すれば、さらに磁気異方性は
高くなる。
【0077】尚、本願発明では、異方性付与膜をスパッ
タリングで作成するに際してのスパッタ粒子の方向制御
は必須のものではない。例えば基板の表面にテクスチャ
を形成した場合、通常のスパッタリングによっても異方
性付与の作用を得ることが可能である。また、前述した
方向規制板39を使用せずに単にターゲット30を偏心
配置してスパッタ粒子を斜めに入射させるだけでも良
い。また、上述した実施形態の装置及び方法では、固定
された基板9に対してターゲット30を回転させたが、
固定されたターゲット30に対して基板9が回転する場
合でも同様の効果が得られる。
【0078】また、上記実施形態では、磁気記録ディス
クとして専らハードディスクを採り上げたが、フレキシ
ブルディスクやZIPディスクのような他の磁気記録デ
ィスクでもよい。また、光磁気ディスク(MOディス
ク)のような磁気の作用とともに磁気以外の作用を利用
する記録ディスクについても、本願発明を利用すること
ができる。さらに、本願発明の考え方は、磁気記録ディ
スクの用途の他、MRAM(Magnetic Random Access M
emory)のような磁気の作用を使用した半導体メモリ等の
製造に応用することができる。
【0079】
【発明の効果】以上説明した通り、本願の請求項1、3
又は6記載の発明によれば、基板と磁気記録層との間の
異方性付与層よりに磁気記録層に磁気異方性を付与する
こことできる。このため、熱ゆらぎの問題が解決され、
さらなる高記録密度化に貢献できる。また、請求項2、
4又は7記載の発明によれば、異方性付与層の磁気記録
層側の表面は、大気ガス、窒素ガス又は酸素ガスに晒さ
れることにより変性されているので、さらに磁気異方性
が高くなる。また、請求項5又は8記載の発明によれ
ば、テクスチャ無しの場合でも磁気記録層に磁気異方性
を付与することができる。従って、スペーシングの低減
に寄与でき、この点でさらなる高記録密度化に貢献でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態に係る磁気記録ディスクの断面概略図
である。
【図2】実施形態に係る磁性膜作成作成装置の概略構成
を示す平面図である。
【図3】図1に示す異方性付与層形成チャンバー1の側
面断面概略図である。
【図4】異方性を付与するためのスパッタ粒子の斜め入
射の構成について説明する平面概略図である。
【図5】図3に示すカソードユニット3の詳細を示す断
面図である。
【図6】逸軸斜めスパッタ粒子による異方性付与につい
て説明する斜視概略図である。
【図7】異方性付与膜中の窒素の有無に対する依存性に
ついて確認した実験の結果について示した図である。
【図8】異方性付与膜中の窒素の有無に対する依存性に
ついて確認した実験の結果について示した図である。
【図9】従来の技術の課題について説明する図である。
【符号の説明】
1 異方性付与層形成チャンバー 11 排気系 12 ガス導入系 2 キャリア 3 カソードユニット 30 ターゲット 351 回転駆動源 39 方向規制板 89 暴露チャンバー 9 基板 91 磁気記録層 92 異方性付与層 93 下地層 94 中間層 95 保護層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G11B 5/851 G11B 5/851 // C22C 27/02 C22C 27/02 (72)発明者 遠藤 徹哉 東京都府中市四谷5丁目8番1号アネルバ 株式会社内 (72)発明者 坂井 美保 東京都府中市四谷5丁目8番1号アネルバ 株式会社内 (72)発明者 渡辺 直樹 東京都府中市四谷5丁目8番1号アネルバ 株式会社内 Fターム(参考) 4K029 BA02 BA16 BA21 BA31 BA58 BB02 BC06 BD11 CA05 CA06 CA15 EA05 GA00 5D006 BB07 CA05 DA02 DA03 DA09 EA03 5D112 AA03 AA24 BD01 FA04 FB14 FB20 FB24

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板と、この基板上に形成された磁気記
    録層とより成る磁気記録ディスクであって、基板と磁気
    記録層との間には、磁気記録層に対して磁気異方性を付
    与する異方性付与層が設けられており、この異方性付与
    層は、ニオブ、タンタル、ニオブ合金又はタンタル合金
    であって窒化されたもの又は窒素を含むものからなるこ
    とを特徴とする磁気記録ディスク。
  2. 【請求項2】 前記異方性付与層の磁気記録層側の表面
    は、大気ガス、窒素ガス又は酸素ガスに晒されることに
    より変性されていることを特徴とする請求項1記載の磁
    気記録ディスク。
  3. 【請求項3】 基板上に磁気記録層を形成する磁気記録
    層形成工程を含む磁気記録ディスク製造方法であって、 前記磁気記録層形成工程に先立ち、磁気記録層に対して
    磁気異方性を付与する異方性付与層を形成する異方性付
    与層形成工程を有しており、この異方性付与層形成工程
    では、ニオブ、タンタル、ニオブ合金又はタンタル合金
    であって窒化されたもの又は窒素を含むものからなる薄
    膜を作成するものであることを特徴とする磁気記録ディ
    スク製造方法。
  4. 【請求項4】 前記ニオブ、タンタル、ニオブ合金又は
    タンタル合金であって窒化されたもの又は窒素を含むも
    のからなる薄膜を作成した後、その薄膜の表面を、大気
    ガス、窒素ガス又は酸素ガスに暴露することを特徴とす
    る請求項3記載の磁気記録ディスク製造方法。
  5. 【請求項5】 前記異方性付与層形成工程は、前記ニオ
    ブ、タンタル、ニオブ合金又はタンタル合金であって窒
    化されたもの又は窒素を含むものからなる薄膜をスパッ
    タリングにより作成するものであって、付与すべき異方
    性の方向に方向成分を持って飛行するスパッタ粒子を相
    対的多く基板に入射させることを特徴とする請求項3又
    は4記載の磁気記録ディスク製造方法。
  6. 【請求項6】 基板上に磁気記録層を形成して磁気記録
    ディスクを製造する磁気記録ディスク製造装置であっ
    て、 前記磁気記録層を形成する磁気記録層形成チャンバー
    と、 前記磁気記録層に対して磁気異方性を付与する異方性付
    与層を形成する異方性付与層形成チャンバーと、 異方性付与層形成チャンバーから磁気記録層形成チャン
    バーに基板を搬送する搬送系とを有しており、 前記異方性付与層形成チャンバーは、ニオブ、タンタ
    ル、ニオブ合金又はタンタル合金であって窒化されたも
    の又は窒素を含むものからなる薄膜を基板上に作成する
    ものであることを特徴とする磁気記録ディスク製造装
    置。
  7. 【請求項7】 前記異方性付与層形成チャンバーにおけ
    る処理の後であって前記磁気記録層形成チャンバーでの
    処理の前に、基板を大気ガス、窒素ガス又は酸素ガスに
    晒す暴露チャンバーが設けられていることを特徴とする
    請求項6記載の磁気記録ディスク製造装置。
  8. 【請求項8】 前記異方性付与層形成チャンバーは、前
    記ニオブ、タンタル、ニオブ合金又はタンタル合金であ
    って窒化されたもの又は窒素を含むものからなる薄膜を
    スパッタリングにより作成するものであって、付与すべ
    き異方性の方向に方向成分を持って飛行するスパッタ粒
    子を相対的多く基板に入射させることにより成膜を行う
    ものであることを特徴とする請求項6又は7記載の磁気
    記録ディスク製造装置。
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