JP3682132B2 - 磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気ドラム、磁気テープ、磁気ディスク等の磁気記録媒体に関し、特に記録再生時の媒体ノイズを低減させた磁気記録媒体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、磁気ディスク装置等の高記録密度化に伴い、再生感度の高い磁気抵抗効果を用いた磁気ヘッド(以下、MRヘッドという)に適した磁気記録媒体が必要とされている。MRヘッドは、従来の電磁誘導型ヘッドに比べてヘッドノイズが低いため、磁性媒体においても磁気ディスク装置全体の信号対ノイズ比(S/N)を改善するためには、媒体ノイズの低下が極めて重要な課題となっている。
【0003】
また、MRヘッド用の磁気記録媒体では記録密度の向上に伴い、ヘッドの低フライングハイト化が要求されるため、従来に比べて基板には高い表面平滑性が要求され、基板の表面平均粗さRaは小さくなっている。
現在、一般に用いられているAl合金を基板とした磁気ディスク用記録媒体としては、前記非磁性基板上に、非磁性下地膜としてCr又はCr合金を成膜した上に、磁性膜としてCoを主成分とするCoCrTa合金などを成膜したものが各種提案され、実用化されている。
例えば特開平1−232522号公報には、非磁性下地膜としてCr、又はCr中にCu,Nb,Ti,V,Zr,Mo,Zn,W,Taのうち1種以上の金属を添加した合金を成膜することにより磁気特性、特に保磁力を向上させることが提案されている。
また、特公平8−3893号公報には、非磁性基板上にCrTiからなる下地層を形成することで、保磁力及びS/N等の特性を向上することが提案されている。
さらに、ガラス基板等にCrをプレコートし、該膜上にCr又はCr合金を形成し、さらにその上にCoからなる磁性層を形成させる手法も知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記特開平1−232522号公報では、非磁性下地膜としてCr又はCr合金を用いているが、基板の平滑化に伴い、テクスチャリング等によるディスクの円周方向の異方性制御の効果が弱まり、保磁力が低下し、再生時の出力が低下してしまうものであった。さらに、同程度の出力を得るために磁性層の膜厚を厚くすると、記録再生時のノイズが高くなるという問題があった。
また、前記特公平8−3893号公報に記載のCrTiを下地層に用いる方法では、ディスクを搬送するトレー部を大気中に出さなくても良いように工夫し、成膜時にトレー部からの脱ガスの影響を少なくするようにしたアネルバ社製「3100スパッタ機改良タイプ」で成膜した場合、下地にCrを成膜したものの特性はより顕著に向上し、下地にCrTiを用いたものと比較して特性的に殆ど差が無くなりCrTiの効果は特に見られなかった。しかも、再生出力及びノイズ等の特性は共に十分満足できるものではなかった。SIMSによる分析でCr合金とCo合金の界面の16OのNiPメッキ層内部の31P強度で補正した値で比較すると、アネルバ社製「3100スパッタ機」が0.20、「3100スパッタ機改良タイプ」の方が0.11であり、界面の酸素量に違いが見られる。
さらに、前記Crをプレコートする手法では、ガラス基板からの脱ガスを防止でき、磁気特性を幾分かは向上させることが可能であるが、十分満足できるものではなかった。
こうした問題点に鑑み、本発明の目的は、記録再生時のノイズが十分に低く、再生出力が十分に高く出るようなMRヘッドと好適に組み合わされる磁気記録媒体を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
記録再生時のノイズを高くすることなく、再生時の出力を高くするためには、非磁性下地膜のCr又はCr合金及び、その上のCo合金をエピタキシャルに成長させることが望ましい。
即ち、前記の目的を達成するために、NiPをメッキしたAl基板、又はガラス基板、又はSi基板である非磁性基板上に、少なくとも非磁性下地膜としてまず1〜50at%のNを含むTaN合金又は5〜40at%のSiを含むTaSi合金から構成される第1下地膜を成膜し、その後Crのみ、又はCr合金で構成される第2下地膜を成膜し、磁性膜としてCoを主成分とする合金で構成される膜、さらに保護膜を順次成膜し、第1下地膜上に第2下地膜及びCoを主成分とする合金で構成される膜をエピタキシャル成長させたたことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法を提案する。
【0006】
【発明の実施の形態】
前記本発明における非磁性基板としては、磁気記録媒体用基板として一般に用いられるNiPメッキ膜が形成されたAl合金(以下、NiPメッキAl基板という)に加え、表面平滑性に優れるガラス基板、シリコン基板を用いる。前述のようにMRヘッド用の磁気記録媒体では記録密度の向上に伴い、ヘッドの低フライングハイト化が要求されるため、従来に比べ基板に対して高い表面平滑性が必要とされる。即ち、本発明に用いられる基板は、表面平均粗さRaが20Å以下であることが望ましい。
【0007】
また、前記本発明における非磁性下地膜は、Ta又はAgで構成される第1下地膜の上に、Crのみ、又はCr合金で構成される第2下地膜を積層してなる。
前記第1下地膜を形成した場合、その上に形成される第2下地膜及びCo合金磁性膜が結晶性のよいエピタキシャル成長をすると考えられる。この第1下地膜の膜厚としては、25〜1000Åが望ましい。第1下地膜の膜厚が25Åより薄いと、その上に積層させる第2下地膜及びCo合金磁性膜において結晶性の良いエピタキシャル成長させる効果が不十分になる傾向があり、1000Åより厚いと、第1下地膜を形成する時間が長くなり、プロセス全体の処理能力が低くなるので好ましくない。したがって、第1下地膜の膜厚は25〜1000Åであることが望ましい。尚、この第1下地膜としては、Ta又はAgに、第1下地膜を成膜する効果を損なわない範囲で他の元素を1種以上添加したものでも良い。特に1〜50at%のNを含むTaN合金、5〜40at%のSiを含むTaSi合金、5〜50at%のMoを含むTaMo合金から選ばれる合金で第1下地膜を構成すると、保磁力、再生時の出力、ノイズ等の特性がより一層優れたものが得られる(以下、第2発明という)。尚、スパッタリングして得られるTa膜やTaN合金膜やTaMo合金膜には、α−Ta、β−Ta等があるが、成膜条件を変化させてβ−Taのみが形成されるようにした場合、満足のいく特性は得られなかった。また、TaN合金膜の形成方法としては、TaをArと窒素との混合ガス雰囲気中でスパッタリングする方法、TaN合金をArガス雰囲気中でスパッタリングする方法などを挙げることができるが、その他どのような方法を採用しても良い。
前記第2下地膜の膜厚としては25〜500Åが望ましい。第2下地膜の膜厚が25Åより薄いと、如何なるCr合金膜を用いても保磁力Hcの低下を抑えることが困難であり、500Åより厚いと、その上に形成するCo合金磁性膜の結晶粒子粗大化により媒体ノイズ低減化が困難になる。したがって、第2下地膜の膜厚は25〜500Åであることが望ましい。前記のように1〜50at%のNを含むTaN合金、5〜40at%のSiを含むTaSi合金、5〜50at%のMoを含むTaMo合金から選ばれる合金で第1下地膜を構成した第2発明の場合には、前記と同様の理由により第2下地膜を25〜1500Åとすることが望ましい。尚、この第2下地膜は、Crに、例えばTi,Mo,Al,Ta或いはその他の元素を、第2下地膜を成膜する効果を損なわない範囲で1種以上添加したものでも良い。
【0008】
前記本発明における磁性膜は、Coを主成分とする合金で構成されるが、Ptを含有するCoCrPt、CoCrPtTaなどが好適に用いられる。特に下地の効果が顕著に現れるのは、CoCrPtTaを用いた時である。
尚、この磁性膜の膜厚は、MRヘッド用の磁性媒体であることを考慮すると、残留磁化膜厚積BrTが50〜130Gμmとなるように調整することが望ましい。残留磁化膜厚積BrTが50Gμmを下回ると、適切な出力が得られず、130Gμmを越えると、MRメディアに適した特性を得ることができない。
【0009】
その他の構成或いは成膜方法等については特に限定するものではなく、例えば保護膜としては、カーボン等公知の構成のものを採用すれば良く、また成膜方法としては、通常スパッタ法が用いられるが、蒸着、イオンプレーティング、メッキ法等を用いることもできる。
また、前記非磁性下地膜と非磁性基板との間に、少なくとも本発明の効果を損なわない範囲で適宜構成の介在膜を形成しても良い。
【0010】
こうして作製される本発明の磁気記録媒体は、非磁性下地膜として、Cr又はCr合金からなる第2下地膜の成膜に先だって、Ta又はAgで構成される第1下地膜をプレコートする構造であるため、保磁力、再生時の出力、ノイズ等の特性が優れている。また、1〜50at%のNを含むTaN合金、5〜40at%のSiを含むTaSi合金、5〜50at%のMoを含むTaMo合金から選ばれる合金で第1下地膜を構成する第2発明では、保磁力、再生時の出力、ノイズ等の特性がより一層優れたものとなる。
【0011】
【実施例】
以下、本発明の実施例を示す。但し、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の構成を変更しない限りどのようにでも実施することができる。
【0012】
[実施例1]
NiPメッキAl基板に表面粗さRa15Åのテクスチャリングを施した後、アネルバ社製「3100スパッタ機」内にセットした。到達真空度2×10-7Torrまで排気した後、第1下地膜としてTa膜を400Å成膜し、第2下地膜としてCr85Ti15合金膜を200Å成膜した後、引き続きCo78Cr13Pt6 Ta3 合金磁性膜を成膜した。さらに、磁性膜の上には保護膜としてカーボンを150Å成膜した。成膜時のAr圧力は各々3mTorrとした。磁性膜の膜厚は残留磁化膜厚積(BrT)で110Gμmであった。尚、得られた磁気記録媒体の構造を図1に模式的に示した。図中、1は非磁性基板,2は非磁性下地膜,21は第1下地膜,22は第2下地膜,3は磁性膜,4は保護膜である。
この実施例1により作製された磁気記録媒体の磁気特性は、振動式磁気特性装置(VSM)を用いて測定し、保磁力(Hc)は2563Oe、保磁力角型比(S* )は81.8%であった。磁気記録媒体の記録再生特性は、再生部に磁気抵抗(MR)素子を有する複合型薄膜磁気ヘッドを用い、線記録密度148.5KFCIにて測定した。実施例1の磁気記録媒体の記録再生時の出力は、196μV、ノイズは2.40μVであった。
【0013】
[実施例2]
アネルバ社製「3100スパッタ機改良タイプ」を用い、NiPメッキ基板にテクスチャリングを施さず、さらに第2下地膜としてCr80Ti20合金膜を300Å成膜した以外は前記実施例1と同様にして磁気記録媒体を作製した。
この実施例2により作製された磁気記録媒体の磁気特性及び記録再生特性についても前記実施例1と同様に測定し、Hcは2535Oe、S* は80.3%、出力は194μV、ノイズは2.33μVであった。
【0014】
[実施例3]
アネルバ社製「3100スパッタ機改良タイプ」を用い、NiPメッキ基板にテクスチャリングを施さず、さらに第2下地膜としてCr膜を300Å成膜した以外は前記実施例1と同様にして磁気記録媒体を作製した。
この実施例3により作製された磁気記録媒体の磁気特性及び記録再生特性についても前記実施例1と同様に測定し、Hcは2496Oe、S* は80.1%、出力は190μV、ノイズは2.35μVであった。
【0015】
[比較例1]
NiPメッキ基板にテクスチャリングを施さず、第1下地膜を成膜せず、第2下地膜としてCr80Ti20合金膜を300Å成膜した以外は前記実施例1と同様にして磁気記録媒体を作製した。
この比較例1により作製された磁気記録媒体の磁気特性及び記録再生特性についても前記実施例1と同様に測定し、Hcは2157Oe、S* は70.8%、出力は155μV、ノイズは3.23μVであった。
【0016】
[比較例2]
第1下地膜を成膜せず、第2下地膜としてCr80Ti20合金膜を300Å成膜した以外は前記実施例1と同様にして磁気記録媒体を作製した。
この比較例2により作製された磁気記録媒体の磁気特性及び記録再生特性についても前記実施例1と同様に測定し、Hcは2357Oe、S* は82.8%、出力は180μV、ノイズは3.23μVであった。
【0017】
[比較例3]
第1下地膜を成膜せず、第2下地膜としてCr膜を300Å成膜した以外は前記実施例1と同様にして磁気記録媒体を作製した。
この比較例3により作製された磁気記録媒体の磁気特性及び記録再生特性についても前記実施例1と同様に測定し、Hcは2094Oe、S* は71.0%、出力は150μV、ノイズは3.96μVであった。
【0018】
[比較例4]
アネルバ社製「3100スパッタ機改良タイプ」を用い、第1下地膜を成膜せず、第2下地膜としてCr80Ti20合金膜を300Å成膜した以外は前記実施例1と同様にして磁気記録媒体を作製した。
この比較例4により作製された磁気記録媒体の磁気特性及び記録再生特性についても前記実施例1と同様に測定し、Hcは2405Oe、S* は83.0%、出力は182μV、ノイズは3.02μVであった。
【0019】
[比較例5]
アネルバ社製「3100スパッタ機改良タイプ」を用い、第1下地膜を成膜せず、第2下地膜としてCr膜を300Å成膜した以外は前記実施例1と同様にして磁気記録媒体を作製した。
この比較例5により作製された磁気記録媒体の磁気特性及び記録再生特性についても前記実施例1と同様に測定し、Hcは2360Oe、S* は81.2%、出力は178μV、ノイズは3.20μVであった。
【0020】
[比較例6]
アネルバ社製「3100スパッタ機改良タイプ」を用い、NiPメッキ基板にテクスチャリングを施さず、第1下地膜としてCr膜を500Å成膜し、第2下地膜としてCr80Ti20合金膜を300Å成膜した以外は前記実施例1と同様にして磁気記録媒体を作製した。
この比較例6により作製された磁気記録媒体の磁気特性及び記録再生特性についても前記実施例1と同様に測定し、Hcは2119Oe、S* は72.8%、出力は158μV、ノイズは3.73μVであった。
【0021】
[実施例4]
アネルバ社製「3100スパッタ機改良タイプ」を用い、NiPメッキ基板にテクスチャリングを施さず、第1下地膜としてTa膜を600Å、第2下地膜としてCr81Ti15Ta4 合金膜を300Å成膜した以外は前記実施例1と同様にして磁気記録媒体を作製した。
この実施例4により作製された磁気記録媒体の磁気特性及び記録再生特性についても前記実施例1と同様に測定し、Hcは2561Oe、S* は79.5%、出力は188μV、ノイズは2.39μVであった。
【0022】
[実施例5]
アネルバ社製「3100スパッタ機改良タイプ」を用い、NiPメッキ基板にテクスチャリングを施さず、第1下地膜としてTa膜を400Å、第2下地膜としてCr85Mo15合金膜を200Å成膜した以外は前記実施例1と同様にして磁気記録媒体を作製した。
この実施例5により作製された磁気記録媒体の磁気特性及び記録再生特性についても前記実施例1と同様に測定し、Hcは2794Oe、S* は82.3%、出力は201μV、ノイズは2.35μVであった。
【0023】
[実施例6]
アネルバ社製「3100スパッタ機改良タイプ」を用い、NiPメッキ基板にテクスチャリングを施さず、第1下地膜としてAg膜を100Å、第2下地膜としてCr83Ti15Ag2 を300Å成膜した以外は前記実施例1と同様にして磁気記録媒体を作製した。
この実施例6により作製された磁気記録媒体の磁気特性及び記録再生特性についても前記実施例1と同様に測定し、Hcは2534Oe、S* は78.9%、出力は183μV、ノイズは2.45μVであった。
【0025】
[比較例7]
アネルバ社製「3100スパッタ機改良タイプ」を用い、NiPメッキ基板にテクスチャリングを施さず、第1下地膜としてTaを800Å、第2下地膜としてCr85Ti15を2000Å成膜した以外は前記実施例1と同様にして磁気記録媒体を作製した。
この比較例7により作製された磁気記録媒体の磁気特性及び記録再生特性についても前記実施例1と同様に測定し、Hcは2520Oe、S* は78.5%、出力は186μV、ノイズは3.95μVであった。
【0026】
[実施例8]
アネルバ社製「3100スパッタ機改良タイプ」を用い、非磁性基板を単結晶Siとし、テクスチャリングを施さず、さらに第2下地膜としてCr80Ti20を300Å成膜した以外は前記実施例1と同様にして磁気記録媒体を作製した。
この実施例8により作製された磁気記録媒体の磁気特性及び記録再生特性についても前記実施例1と同様に測定し、Hcは2450Oe、S* は79.6%、出力は190μV、ノイズは2.35μVであった。
【0027】
[実施例9]
アネルバ社製「3100スパッタ機改良タイプ」を用い、非磁性基板を結晶化ガラス(OHARA製)とし、テクスチャリングを施さず、さらに第2下地膜としてCr80Ti20を300Å成膜した以外は前記実施例1と同様にして磁気記録媒体を作製した。
この実施例9により作製された磁気記録媒体の磁気特性及び記録再生特性についても前記実施例1と同様に測定し、Hcは2780Oe、S* は80.3%、出力は202μV、ノイズは2.26μVであった。
【0028】
[比較例8]
アネルバ社製「3100スパッタ機改良タイプ」を用い、非磁性基板を結晶化ガラス(OHARA製)とし、テクスチャリングを施さず、さらに第1下地膜としてCrを500Å、第2下地膜としてCr80Ti20を300Å成膜した以外は前記実施例1と同様にして磁気記録媒体を作製した。
この比較例8により作製された磁気記録媒体の磁気特性及び記録再生特性についても前記実施例1と同様に測定し、Hcは2231Oe、S* は72.8%、出力は158μV、ノイズは3.53μVであった。
【0029】
以下の実施例10〜15及び比較例9〜17については、前記第2発明に係るものであるため、1〜50at%のNを含むTaN合金、5〜40at%のSiを含むTaSi合金、5〜50at%のMoを含むTaMo合金から選ばれる合金で第1下地膜を構成するもの以外は比較例とした。したがって、例えば第1下地膜としてTaを成膜したものも比較例とした。
[実施例10]
NiPメッキAl基板に表面粗さRa15Åのテクスチャリングを施した後、DCマグネトロンスパッタ装置内にセットした。到達真空度2×10-7Torrまで排気した後、第1下地膜としてTa90N10ターゲットをArガス雰囲気中で成膜することによりTa90N10合金膜を400Å成膜し、第2下地膜としてCr膜を200Å成膜した後、引き続きCo78Cr13Pt6 Ta3 合金磁性膜を成膜した。さらに、磁性膜の上には保護膜としてカーボンを150Å成膜した。成膜時のAr圧力は各々3mTorrとした。磁性膜の膜厚は残留磁化膜厚積(BrT)で110Gμmであった。
この実施例10により作製された磁気記録媒体の磁気特性は、振動式磁気特性装置(VSM)を用いて測定し、保磁力(Hc)は2693Oe、保磁力角型比(S* )は85.8%であった。磁気記録媒体の記録再生特性は、再生部に磁気抵抗(MR)素子を有する複合型薄膜磁気ヘッドを用い、線記録密度148.5KFCIにて測定した。実施例10の磁気記録媒体の記録再生時の出力は、230μV、ノイズは2.33μVであった。
尚、このようにして作製された実施例10の磁気記録媒体のX線回折強度を測定したところ、図2に示すようにα−Ta及びβ−Taが形成されていた。
【0030】
[実施例11]
第1下地膜としてTaターゲットをAr+3%N2 ガス混合雰囲気中で成膜することによりTaN合金膜を400Å形成した以外は前記実施例10と同様にして磁気記録媒体を作製した。
この実施例11により作製された磁気記録媒体の磁気特性及び記録再生特性についても前記実施例10と同様に測定し、Hcは2850Oe、S* は86.4%、出力は233μV、ノイズは2.23μVであった。尚、Ta合金膜の組成はEDX(エネルギー分散型X線分析装置)で分析したところ、Ta85N15が形成されていた。
【0031】
[実施例12]
NiPメッキ基板にテクスチャリングを施さず、第1下地膜としてTa70N30合金膜を50Å成膜し、第2下地膜としてCr80Ti15合金膜を300Å成膜した以外は前記実施例10と同様にして磁気記録媒体を作製した。
この実施例12により作製された磁気記録媒体の磁気特性及び記録再生特性についても前記実施例10と同様に測定し、Hcは2740Oe、S* は84.3%、出力は229μV、ノイズは2.33μVであった。
【0032】
[実施例13]
NiPメッキ基板にテクスチャリングを施さず、第1下地膜としてTa70Si30合金膜を50Å、第2下地膜としてCr80Ti20合金膜を300Å成膜した以外は前記実施例10と同様にして磁気記録媒体を作製した。
この実施例13により作製された磁気記録媒体の磁気特性及び記録再生特性についても前記実施例10と同様に測定し、Hcは2844Oe、S* は86.8%、出力は240μV、ノイズは2.06μVであった。
【0033】
[比較例9]
NiPメッキ基板にテクスチャリングを施さず、第1下地膜を成膜せず、第2下地膜としてCr80Ti20を300Å成膜した以外は前記実施例10と同様にして磁気記録媒体を作製した。
この比較例9により作製された磁気記録媒体の磁気特性及び記録再生特性についても前記実施例10と同様に測定し、Hcは2157Oe、S* は70.8%、出力は155μV、ノイズは3.23μVであった。
【0034】
[比較例10]
NiPメッキ基板にテクスチャリングを施さず、第1下地膜を成膜せず、第2下地膜としてCrを300Å成膜した以外は前記実施例10と同様にして磁気記録媒体を作製した。
この比較例10により作製された磁気記録媒体の磁気特性及び記録再生特性についても前記実施例10と同様に測定し、Hcは2094Oe、S* は71.0%、出力は150μV、ノイズは3.20μVであった。
【0035】
[比較例11]
NiPメッキ基板にテクスチャリングを施さず、第1下地膜としてCrを500Å成膜し、第2下地膜としてCr80Ti20を300Å成膜した以外は前記実施例10と同様にして磁気記録媒体を作製した。
この比較例11により作製された磁気記録媒体の磁気特性及び記録再生特性についても前記実施例10と同様に測定し、Hcは2119Oe、S* は72.8%、出力は158μV、ノイズは3.53μVであった。
【0036】
[比較例12]
NiPメッキ基板にテクスチャリングを施さず、第1下地膜としてTaを400Å成膜し、第2下地膜としてCr85Ti15を200Å成膜した以外は前記実施例10と同様にして磁気記録媒体を作製した。
この比較例12により作製された磁気記録媒体の磁気特性及び記録再生特性についても前記実施例10と同様に測定し、Hcは2563Oe、S* は81.8%、出力は196μV、ノイズは2.40μVであった。
【0037】
[比較例13]
NiPメッキ基板にテクスチャリングを施さず、第1下地膜としてTa45N55を400Å成膜し、第2下地膜としてCr85Ti15を200Å成膜した以外は前記実施例10と同様にして磁気記録媒体を作製した。
この比較例13により作製された磁気記録媒体の磁気特性及び記録再生特性についても前記実施例10と同様に測定し、Hcは2141Oe、S* は78.3%、出力は177μV、ノイズは3.82μVであった。
【0038】
[比較例14]
NiPメッキ基板にテクスチャリングを施さず、第1下地膜としてTa50Si50を600Å成膜し、第2下地膜としてCr85Ti15を200Å成膜した以外は前記実施例10と同様にして磁気記録媒体を作製した。
この比較例14により作製された磁気記録媒体の磁気特性及び記録再生特性についても前記実施例10と同様に測定し、Hcは1961Oe、S* は75.4%、出力は166μV、ノイズは4.30μVであった。
【0039】
[比較例15]
NiPメッキ基板にテクスチャリングを施さず、第1下地膜としてTa30Mo70を400Å、第2下地膜としてCr85Ti15を200Å成膜した以外は前記実施例10と同様にして磁気記録媒体を作製した。
この比較例15により作製された磁気記録媒体の磁気特性及び記録再生特性についても前記実施例10と同様に測定し、Hcは1577Oe、S* は77.2%、出力は169μV、ノイズは2.93μVであった。
【0040】
[実施例14]
非磁性基板を単結晶Siとした以外は前記実施例10と同様にして磁気記録媒体を作製した。
この実施例14により作製された磁気記録媒体の磁気特性及び記録再生特性についても前記実施例10と同様に測定し、Hcは2672Oe、S* は84.0%、出力は211μV、ノイズは2.32μVであった。
【0041】
[実施例15]
非磁性基板を結晶化ガラス(OHARA製)とした以外は前記実施例10と同様にして磁気記録媒体を作製した。
この実施例15により作製された磁気記録媒体の磁気特性及び記録再生特性についても前記実施例10と同様に測定し、Hcは2680Oe、S* は85.3%、出力は212μV、ノイズは2.11μVであった。
【0042】
[比較例16]
非磁性基板を結晶化ガラス(OHARA製)とし、さらに第1下地膜としてCrを500Å成膜し、第2下地膜としてCr80Ti20を300Å成膜した以外は前記実施例10と同様にして磁気記録媒体を作製した。
この比較例16により作製された磁気記録媒体の磁気特性及び記録再生特性についても前記実施例10と同様に測定し、Hcは2231Oe、S* は72.8%、出力は158μV、ノイズは3.53μVであった。
【0043】
[比較例17]
NiPメッキ基板を2×10-7Torrまで排気した後、第1下地膜としてTaターゲットをArガス雰囲気中で成膜することによりTa膜を400Å成膜した以外は前記実施例10と同様にして磁気記録媒体を作製した。
この比較例17により作製された磁気記録媒体の磁気特性及び記録再生特性についても前記実施例10と同様に測定し、Hcは2350Oe、S* は73.4%、出力は165μV、ノイズは3.53μVであった。尚、このようにして作製された磁気記録媒体のX線回折強度を測定したところ、図3に示すようにβ−Taのみが形成されていた。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の磁気記録媒体の製造方法は、媒体ノイズを低減させ、高出力が得られるMRヘッド対応として利用できる磁気記録媒体を得ることができる。例えば前述した従来のCr又はCr合金を下地膜とする手法やCrをプレコートする手法と比較して、本発明の方が出力、ノイズ等の特性が著しく優れたものが得られる。
また、第2下地膜の膜厚を25〜500Åにした場合、特に低ノイズ媒体が得られるものになる。
さらに、Co合金磁性膜の組成をCoCrPtTaの4元合金にした場合、高保磁力化が図れる。
【0045】
特に1〜50at%のNを含むTaN合金、5〜40at%のSiを含むTaSi合金、5〜50at%のMoを含むTaMo合金から選ばれる合金で第1下地膜を構成した場合、保磁力、再生時の出力、ノイズ等の特性がより一層優れたものとなる。この場合、第2下地膜の膜厚を25〜1500Åにした場合、特に低ノイズ媒体がられるものになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の磁気記録媒体を模式的に示す断面図である。
【図2】実施例10におけるX線回折チャートである。
【図3】比較例17におけるX線回折チャートである。
【符号の説明】
1 非磁性基板
2 非磁性下地膜
21 第1下地膜
22 第2下地膜
3 磁性膜
4 保護膜
Claims (4)
- NiPをメッキしたAl基板、又はガラス基板、又はSi基板である非磁性基板上に、少なくとも非磁性下地膜としてまず1〜50at%のNを含むTaN合金又は5〜40at%のSiを含むTaSi合金から構成される第1下地膜を成膜し、その後Crのみ、又はCr合金で構成される第2下地膜を成膜し、磁性膜としてCoを主成分とする合金で構成される膜、さらに保護膜を順次成膜し、第1下地膜上に第2下地膜及びCoを主成分とする合金で構成される膜をエピタキシャル成長させたことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
- 第1下地膜が25〜1000Åの膜厚であることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体の製造方法。
- 磁性膜がCoCrPtTaの4元合金よりなることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気記録媒体の製造方法。
- 磁性膜の残留磁化膜厚積(BrT)が50〜130Gμmであることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
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