JPH1092638A - 磁気記録媒体及びその製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体及びその製造方法

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JPH1092638A
JPH1092638A JP25598696A JP25598696A JPH1092638A JP H1092638 A JPH1092638 A JP H1092638A JP 25598696 A JP25598696 A JP 25598696A JP 25598696 A JP25598696 A JP 25598696A JP H1092638 A JPH1092638 A JP H1092638A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 磁気ドラム、磁気テープ、磁気ディスク等の
磁気記録媒体に関し、特に記録再生時の媒体ノイズを低
減させた磁気記録媒体及びその製造方法を提案する。 【解決手段】 非磁性基板1、非磁性下地膜2、磁性膜
3及び保護膜4を基本構成とする磁気記録媒体であっ
て、前記非磁性下地膜2は、Ta,Ag,Alから選ば
れる元素で構成される第1下地膜21の上に、Crの
み、又はCr合金で構成される第2下地膜22を積層し
たものであり、前記磁性膜3は、Coを主成分とする合
金で構成される膜である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気ドラム、磁気
テープ、磁気ディスク等の磁気記録媒体に関し、特に記
録再生時の媒体ノイズを低減させた磁気記録媒体及びそ
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、磁気ディスク装置等の高記録密度
化に伴い、再生感度の高い磁気抵抗効果を用いた磁気ヘ
ッド(以下、MRヘッドという)に適した磁気記録媒体
が必要とされている。MRヘッドは、従来の電磁誘導型
ヘッドに比べてヘッドノイズが低いため、磁性媒体にお
いても磁気ディスク装置全体の信号対ノイズ比(S/
N)を改善するためには、媒体ノイズの低下が極めて重
要な課題となっている。
【0003】また、MRヘッド用の磁気記録媒体では記
録密度の向上に伴い、ヘッドの低フライングハイト化が
要求されるため、従来に比べて基板には高い表面平滑性
が要求され、基板の表面平均粗さRaは小さくなってい
る。現在、一般に用いられているAl合金を基板とした
磁気ディスク用記録媒体としては、前記非磁性基板上
に、非磁性下地膜としてCr又はCr合金を成膜した上
に、磁性膜としてCoを主成分とするCoCrTa合金
などを成膜したものが各種提案され、実用化されてい
る。例えば特開平1−232522号公報には、非磁性
下地膜としてCr、又はCr中にCu,Nb,Ti,
V,Zr,Mo,Zn,W,Taのうち1種以上の金属
を添加した合金を成膜することにより磁気特性、特に保
磁力を向上させることが提案されている。また、特公平
8−3893号公報には、非磁性基板上にCrTiから
なる下地層を形成することで、保磁力及びS/N等の特
性を向上することが提案されている。さらに、ガラス基
板等にCrをプレコートし、該膜上にCr又はCr合金
を形成し、さらにその上にCoからなる磁性層を形成さ
せる手法も知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記特開平1−232
522号公報では、非磁性下地膜としてCr又はCr合
金を用いているが、基板の平滑化に伴い、テクスチャリ
ング等によるディスクの円周方向の異方性制御の効果が
弱まり、保磁力が低下し、再生時の出力が低下してしま
うものであった。さらに、同程度の出力を得るために磁
性層の膜厚を厚くすると、記録再生時のノイズが高くな
るという問題があった。また、前記特公平8−3893
号公報に記載のCrTiを下地層に用いる方法では、デ
ィスクを搬送するトレー部を大気中に出さなくても良い
ように工夫し、成膜時にトレー部からの脱ガスの影響を
少なくするようにしたアネルバ社製「3100スパッタ
機改良タイプ」で成膜した場合、下地にCrを成膜した
ものの特性はより顕著に向上し、下地にCrTiを用い
たものと比較して特性的に殆ど差が無くなりCrTiの
効果は特に見られなかった。しかも、再生出力及びノイ
ズ等の特性は共に十分満足できるものではなかった。S
IMSによる分析でCr合金とCo合金の界面の16Oの
NiPメッキ層内部の31P強度で補正した値で比較する
と、アネルバ社製「3100スパッタ機」が0.20、
「3100スパッタ機改良タイプ」の方が0.11であ
り、界面の酸素量に違いが見られる。さらに、前記Cr
をプレコートする手法では、ガラス基板からの脱ガスを
防止でき、磁気特性を幾分かは向上させることが可能で
あるが、十分満足できるものではなかった。こうした問
題点に鑑み、本発明の目的は、記録再生時のノイズが十
分に低く、再生出力が十分に高く出るようなMRヘッド
と好適に組み合わされる磁気記録媒体を提供することに
ある。
【0005】
【課題を解決するための手段】記録再生時のノイズを高
くすることなく、再生時の出力を高くするためには、非
磁性下地膜のCr又はCr合金及び、その上のCo合金
をエピタキシャルに成長させることが望ましい。即ち、
前記の目的を達成するために、非磁性基板、非磁性下地
膜、磁性膜及び保護膜を基本構成とする磁気記録媒体で
あって、前記非磁性下地膜は、Ta,Ag,Alから選
ばれる元素で構成される第1下地膜の上に、Crのみ、
又はCr合金で構成される第2下地膜を積層してなり、
前記磁性膜は、Coを主成分とする合金で構成される膜
であることを特徴とする磁気記録媒体及びその製造方法
を提案する。
【0006】
【発明の実施の形態】前記本発明における非磁性基板と
しては、磁気記録媒体用基板として一般に用いられるN
iPメッキ膜が形成されたAl合金(以下、NiPメッ
キAl基板という)に加え、表面平滑性に優れるガラス
基板、シリコン基板などを用いることができる。前述の
ようにMRヘッド用の磁気記録媒体では記録密度の向上
に伴い、ヘッドの低フライングハイト化が要求されるた
め、従来に比べ基板に対して高い表面平滑性が必要とさ
れる。即ち、本発明に用いられる基板は、表面平均粗さ
Raが20Å以下であることが望ましい。
【0007】また、前記本発明における非磁性下地膜
は、Ta、Ag、Alから選ばれる元素で構成される第
1下地膜の上に、Crのみ、又はCr合金で構成される
第2下地膜を積層してなる。前記第1下地膜を形成した
場合、その上に形成される第2下地膜及びCo合金磁性
膜が結晶性のよいエピタキシャル成長をすると考えられ
る。この第1下地膜の膜厚としては、25〜1000Å
が望ましい。第1下地膜の膜厚が25Åより薄いと、そ
の上に積層させる第2下地膜及びCo合金磁性膜におい
て結晶性の良いエピタキシャル成長させる効果が不十分
になる傾向があり、1000Åより厚いと、第1下地膜
を形成する時間が長くなり、プロセス全体の処理能力が
低くなるので好ましくない。したがって、第1下地膜の
膜厚は25〜1000Åであることが望ましい。尚、こ
の第1下地膜としては、Ta、Ag、Alから選ばれる
元素に、第1下地膜を成膜する効果を損なわない範囲で
他の元素を1種以上添加したものでも良い。特に1〜5
0at%のNを含むTaN合金、5〜40at%のSi
を含むTaSi合金、5〜50at%のMoを含むTa
Mo合金から選ばれる合金で第1下地膜を構成すると、
保磁力、再生時の出力、ノイズ等の特性がより一層優れ
たものが得られる(以下、第2発明という)。尚、スパ
ッタリングして得られるTa膜やTaN合金膜やTaM
o合金膜には、α−Ta、β−Ta等があるが、成膜条
件を変化させてβ−Taのみが形成されるようにした場
合、満足のいく特性は得られなかった。また、TaN合
金膜の形成方法としては、TaをArと窒素との混合ガ
ス雰囲気中でスパッタリングする方法、TaN合金をA
rガス雰囲気中でスパッタリングする方法などを挙げる
ことができるが、その他どのような方法を採用しても良
い。前記第2下地膜の膜厚としては25〜500Åが望
ましい。第2下地膜の膜厚が25Åより薄いと、如何な
るCr合金膜を用いても保磁力Hcの低下を抑えること
が困難であり、500Åより厚いと、その上に形成する
Co合金磁性膜の結晶粒子粗大化により媒体ノイズ低減
化が困難になる。したがって、第2下地膜の膜厚は25
〜500Åであることが望ましい。前記のように1〜5
0at%のNを含むTaN合金、5〜40at%のSi
を含むTaSi合金、5〜50at%のMoを含むTa
Mo合金から選ばれる合金で第1下地膜を構成した第2
発明の場合には、前記と同様の理由により第2下地膜を
25〜1500Åとすることが望ましい。尚、この第2
下地膜は、Crに、例えばTi,Mo,Al,Ta或い
はその他の元素を、第2下地膜を成膜する効果を損なわ
ない範囲で1種以上添加したものでも良い。
【0008】前記本発明における磁性膜は、Coを主成
分とする合金で構成されるが、Ptを含有するCoCr
Pt、CoCrPtTaなどが好適に用いられる。特に
下地の効果が顕著に現れるのは、CoCrPtTaを用
いた時である。尚、この磁性膜の膜厚は、MRヘッド用
の磁性媒体であることを考慮すると、残留磁化膜厚積B
rTが50〜130Gμmとなるように調整することが
望ましい。残留磁化膜厚積BrTが50Gμmを下回る
と、適切な出力が得られず、130Gμmを越えると、
MRメディアに適した特性を得ることができない。
【0009】その他の構成或いは成膜方法等については
特に限定するものではなく、例えば保護膜としては、カ
ーボン等公知の構成のものを採用すれば良く、また成膜
方法としては、通常スパッタ法が用いられるが、蒸着、
イオンプレーティング、メッキ法等を用いることもでき
る。また、前記非磁性下地膜と非磁性基板との間に、少
なくとも本発明の効果を損なわない範囲で適宜構成の介
在膜を形成しても良い。
【0010】こうして作製される本発明の磁気記録媒体
は、非磁性下地膜として、Cr又はCr合金からなる第
2下地膜の成膜に先だって、Ta、Ag、Alから選ば
れる元素で構成される第1下地膜をプレコートする構造
であるため、保磁力、再生時の出力、ノイズ等の特性が
優れている。また、1〜50at%のNを含むTaN合
金、5〜40at%のSiを含むTaSi合金、5〜5
0at%のMoを含むTaMo合金から選ばれる合金で
第1下地膜を構成する第2発明では、保磁力、再生時の
出力、ノイズ等の特性がより一層優れたものとなる。
【0011】
【実施例】以下、本発明の実施例を示す。但し、本発明
は以下の実施例に限定されるものではなく、特許請求の
範囲に記載の構成を変更しない限りどのようにでも実施
することができる。
【0012】[実施例1]NiPメッキAl基板に表面
粗さRa15Åのテクスチャリングを施した後、アネル
バ社製「3100スパッタ機」内にセットした。到達真
空度2×10-7Torrまで排気した後、第1下地膜と
してTa膜を400Å成膜し、第2下地膜としてCr85
Ti15合金膜を200Å成膜した後、引き続きCo78
13Pt6Ta3 合金磁性膜を成膜した。さらに、磁性
膜の上には保護膜としてカーボンを150Å成膜した。
成膜時のAr圧力は各々3mTorrとした。磁性膜の
膜厚は残留磁化膜厚積(BrT)で110Gμmであっ
た。尚、得られた磁気記録媒体の構造を図1に模式的に
示した。図中、1は非磁性基板,2は非磁性下地膜,2
1は第1下地膜,22は第2下地膜,3は磁性膜,4は
保護膜である。この実施例1により作製された磁気記録
媒体の磁気特性は、振動式磁気特性装置(VSM)を用
いて測定し、保磁力(Hc)は2563Oe、保磁力角
型比(S* )は81.8%であった。磁気記録媒体の記
録再生特性は、再生部に磁気抵抗(MR)素子を有する
複合型薄膜磁気ヘッドを用い、線記録密度148.5K
FCIにて測定した。実施例1の磁気記録媒体の記録再
生時の出力は、196μV、ノイズは2.40μVであ
った。
【0013】[実施例2]アネルバ社製「3100スパ
ッタ機改良タイプ」を用い、NiPメッキ基板にテクス
チャリングを施さず、さらに第2下地膜としてCr80
20合金膜を300Å成膜した以外は前記実施例1と同
様にして磁気記録媒体を作製した。この実施例2により
作製された磁気記録媒体の磁気特性及び記録再生特性に
ついても前記実施例1と同様に測定し、Hcは2535
Oe、S* は80.3%、出力は194μV、ノイズは
2.33μVであった。
【0014】[実施例3]アネルバ社製「3100スパ
ッタ機改良タイプ」を用い、NiPメッキ基板にテクス
チャリングを施さず、さらに第2下地膜としてCr膜を
300Å成膜した以外は前記実施例1と同様にして磁気
記録媒体を作製した。この実施例3により作製された磁
気記録媒体の磁気特性及び記録再生特性についても前記
実施例1と同様に測定し、Hcは2496Oe、S*
80.1%、出力は190μV、ノイズは2.35μV
であった。
【0015】[比較例1]NiPメッキ基板にテクスチ
ャリングを施さず、第1下地膜を成膜せず、第2下地膜
としてCr80Ti20合金膜を300Å成膜した以外は前
記実施例1と同様にして磁気記録媒体を作製した。この
比較例1により作製された磁気記録媒体の磁気特性及び
記録再生特性についても前記実施例1と同様に測定し、
Hcは2157Oe、S* は70.8%、出力は155
μV、ノイズは3.23μVであった。
【0016】[比較例2]第1下地膜を成膜せず、第2
下地膜としてCr80Ti20合金膜を300Å成膜した以
外は前記実施例1と同様にして磁気記録媒体を作製し
た。この比較例2により作製された磁気記録媒体の磁気
特性及び記録再生特性についても前記実施例1と同様に
測定し、Hcは2357Oe、S* は82.8%、出力
は180μV、ノイズは3.23μVであった。
【0017】[比較例3]第1下地膜を成膜せず、第2
下地膜としてCr膜を300Å成膜した以外は前記実施
例1と同様にして磁気記録媒体を作製した。この比較例
3により作製された磁気記録媒体の磁気特性及び記録再
生特性についても前記実施例1と同様に測定し、Hcは
2094Oe、S* は71.0%、出力は150μV、
ノイズは3.96μVであった。
【0018】[比較例4]アネルバ社製「3100スパ
ッタ機改良タイプ」を用い、第1下地膜を成膜せず、第
2下地膜としてCr80Ti20合金膜を300Å成膜した
以外は前記実施例1と同様にして磁気記録媒体を作製し
た。この比較例4により作製された磁気記録媒体の磁気
特性及び記録再生特性についても前記実施例1と同様に
測定し、Hcは2405Oe、S* は83.0%、出力
は182μV、ノイズは3.02μVであった。
【0019】[比較例5]アネルバ社製「3100スパ
ッタ機改良タイプ」を用い、第1下地膜を成膜せず、第
2下地膜としてCr膜を300Å成膜した以外は前記実
施例1と同様にして磁気記録媒体を作製した。この比較
例5により作製された磁気記録媒体の磁気特性及び記録
再生特性についても前記実施例1と同様に測定し、Hc
は2360Oe、S* は81.2%、出力は178μ
V、ノイズは3.20μVであった。
【0020】[比較例6]アネルバ社製「3100スパ
ッタ機改良タイプ」を用い、NiPメッキ基板にテクス
チャリングを施さず、第1下地膜としてCr膜を500
Å成膜し、第2下地膜としてCr80Ti20合金膜を30
0Å成膜した以外は前記実施例1と同様にして磁気記録
媒体を作製した。この比較例6により作製された磁気記
録媒体の磁気特性及び記録再生特性についても前記実施
例1と同様に測定し、Hcは2119Oe、S* は7
2.8%、出力は158μV、ノイズは3.73μVで
あった。
【0021】[実施例4]アネルバ社製「3100スパ
ッタ機改良タイプ」を用い、NiPメッキ基板にテクス
チャリングを施さず、第1下地膜としてTa膜を600
Å、第2下地膜としてCr81Ti15Ta4 合金膜を30
0Å成膜した以外は前記実施例1と同様にして磁気記録
媒体を作製した。この実施例4により作製された磁気記
録媒体の磁気特性及び記録再生特性についても前記実施
例1と同様に測定し、Hcは2561Oe、S* は7
9.5%、出力は188μV、ノイズは2.39μVで
あった。
【0022】[実施例5]アネルバ社製「3100スパ
ッタ機改良タイプ」を用い、NiPメッキ基板にテクス
チャリングを施さず、第1下地膜としてTa膜を400
Å、第2下地膜としてCr85Mo15合金膜を200Å成
膜した以外は前記実施例1と同様にして磁気記録媒体を
作製した。この実施例5により作製された磁気記録媒体
の磁気特性及び記録再生特性についても前記実施例1と
同様に測定し、Hcは2794Oe、S* は82.3
%、出力は201μV、ノイズは2.35μVであっ
た。
【0023】[実施例6]アネルバ社製「3100スパ
ッタ機改良タイプ」を用い、NiPメッキ基板にテクス
チャリングを施さず、第1下地膜としてAg膜を100
Å、第2下地膜としてCr83Ti15Ag2 を300Å成
膜した以外は前記実施例1と同様にして磁気記録媒体を
作製した。この実施例6により作製された磁気記録媒体
の磁気特性及び記録再生特性についても前記実施例1と
同様に測定し、Hcは2534Oe、S* は78.9
%、出力は183μV、ノイズは2.45μVであっ
た。
【0024】[実施例7]アネルバ社製「3100スパ
ッタ機改良タイプ」を用い、NiPメッキ基板にテクス
チャリングを施さず、第1下地膜としてAlを200
Å、第2下地膜としてCr83Ti15Al2 を300Å成
膜した以外は前記実施例1と同様にして磁気記録媒体を
作製した。この実施例7により作製された磁気記録媒体
の磁気特性及び記録再生特性についても前記実施例1と
同様に測定し、Hcは2520Oe、S* は81.1
%、出力は185μV、ノイズは2.44μVであっ
た。
【0025】[比較例7]アネルバ社製「3100スパ
ッタ機改良タイプ」を用い、NiPメッキ基板にテクス
チャリングを施さず、第1下地膜としてTaを800
Å、第2下地膜としてCr85Ti15を2000Å成膜し
た以外は前記実施例1と同様にして磁気記録媒体を作製
した。この比較例7により作製された磁気記録媒体の磁
気特性及び記録再生特性についても前記実施例1と同様
に測定し、Hcは2520Oe、S* は78.5%、出
力は186μV、ノイズは3.95μVであった。
【0026】[実施例8]アネルバ社製「3100スパ
ッタ機改良タイプ」を用い、非磁性基板を単結晶Siと
し、テクスチャリングを施さず、さらに第2下地膜とし
てCr80Ti20を300Å成膜した以外は前記実施例1
と同様にして磁気記録媒体を作製した。この実施例8に
より作製された磁気記録媒体の磁気特性及び記録再生特
性についても前記実施例1と同様に測定し、Hcは24
50Oe、S* は79.6%、出力は190μV、ノイ
ズは2.35μVであった。
【0027】[実施例9]アネルバ社製「3100スパ
ッタ機改良タイプ」を用い、非磁性基板を結晶化ガラス
(OHARA製)とし、テクスチャリングを施さず、さ
らに第2下地膜としてCr80Ti20を300Å成膜した
以外は前記実施例1と同様にして磁気記録媒体を作製し
た。この実施例9により作製された磁気記録媒体の磁気
特性及び記録再生特性についても前記実施例1と同様に
測定し、Hcは2780Oe、S* は80.3%、出力
は202μV、ノイズは2.26μVであった。
【0028】[比較例8]アネルバ社製「3100スパ
ッタ機改良タイプ」を用い、非磁性基板を結晶化ガラス
(OHARA製)とし、テクスチャリングを施さず、さ
らに第1下地膜としてCrを500Å、第2下地膜とし
てCr80Ti20を300Å成膜した以外は前記実施例1
と同様にして磁気記録媒体を作製した。この比較例8に
より作製された磁気記録媒体の磁気特性及び記録再生特
性についても前記実施例1と同様に測定し、Hcは22
31Oe、S* は72.8%、出力は158μV、ノイ
ズは3.53μVであった。
【0029】以下の実施例10〜15及び比較例9〜1
7については、前記第2発明に係るものであるため、1
〜50at%のNを含むTaN合金、5〜40at%の
Siを含むTaSi合金、5〜50at%のMoを含む
TaMo合金から選ばれる合金で第1下地膜を構成する
もの以外は比較例とした。したがって、例えば第1下地
膜としてTaを成膜したものも比較例とした。 [実施例10]NiPメッキAl基板に表面粗さRa1
5Åのテクスチャリングを施した後、DCマグネトロン
スパッタ装置内にセットした。到達真空度2×10-7
orrまで排気した後、第1下地膜としてTa9010
ーゲットをArガス雰囲気中で成膜することによりTa
9010合金膜を400Å成膜し、第2下地膜としてCr
膜を200Å成膜した後、引き続きCo78Cr13Pt6
Ta3 合金磁性膜を成膜した。さらに、磁性膜の上には
保護膜としてカーボンを150Å成膜した。成膜時のA
r圧力は各々3mTorrとした。磁性膜の膜厚は残留
磁化膜厚積(BrT)で110Gμmであった。この実
施例10により作製された磁気記録媒体の磁気特性は、
振動式磁気特性装置(VSM)を用いて測定し、保磁力
(Hc)は2693Oe、保磁力角型比(S* )は8
5.8%であった。磁気記録媒体の記録再生特性は、再
生部に磁気抵抗(MR)素子を有する複合型薄膜磁気ヘ
ッドを用い、線記録密度148.5KFCIにて測定し
た。実施例10の磁気記録媒体の記録再生時の出力は、
230μV、ノイズは2.33μVであった。尚、この
ようにして作製された実施例10の磁気記録媒体のX線
回折強度を測定したところ、図2に示すようにα−Ta
及びβ−Taが形成されていた。
【0030】[実施例11]第1下地膜としてTaター
ゲットをAr+3%N2 ガス混合雰囲気中で成膜するこ
とによりTaN合金膜を400Å形成した以外は前記実
施例10と同様にして磁気記録媒体を作製した。この実
施例11により作製された磁気記録媒体の磁気特性及び
記録再生特性についても前記実施例10と同様に測定
し、Hcは2850Oe、S* は86.4%、出力は2
33μV、ノイズは2.23μVであった。尚、Ta合
金膜の組成はEDX(エネルギー分散型X線分析装置)
で分析したところ、Ta8515が形成されていた。
【0031】[実施例12]NiPメッキ基板にテクス
チャリングを施さず、第1下地膜としてTa7030合金
膜を50Å成膜し、第2下地膜としてCr80Ti15合金
膜を300Å成膜した以外は前記実施例10と同様にし
て磁気記録媒体を作製した。この実施例12により作製
された磁気記録媒体の磁気特性及び記録再生特性につい
ても前記実施例10と同様に測定し、Hcは2740O
e、S* は84.3%、出力は229μV、ノイズは
2.33μVであった。
【0032】[実施例13]NiPメッキ基板にテクス
チャリングを施さず、第1下地膜としてTa70Si 30
金膜を50Å、第2下地膜としてCr80Ti20合金膜を
300Å成膜した以外は前記実施例10と同様にして磁
気記録媒体を作製した。この実施例13により作製され
た磁気記録媒体の磁気特性及び記録再生特性についても
前記実施例10と同様に測定し、Hcは2844Oe、
* は86.8%、出力は240μV、ノイズは2.0
6μVであった。
【0033】[比較例9]NiPメッキ基板にテクスチ
ャリングを施さず、第1下地膜を成膜せず、第2下地膜
としてCr80Ti20を300Å成膜した以外は前記実施
例10と同様にして磁気記録媒体を作製した。この比較
例9により作製された磁気記録媒体の磁気特性及び記録
再生特性についても前記実施例10と同様に測定し、H
cは2157Oe、S* は70.8%、出力は155μ
V、ノイズは3.23μVであった。
【0034】[比較例10]NiPメッキ基板にテクス
チャリングを施さず、第1下地膜を成膜せず、第2下地
膜としてCrを300Å成膜した以外は前記実施例10
と同様にして磁気記録媒体を作製した。この比較例10
により作製された磁気記録媒体の磁気特性及び記録再生
特性についても前記実施例10と同様に測定し、Hcは
2094Oe、S* は71.0%、出力は150μV、
ノイズは3.20μVであった。
【0035】[比較例11]NiPメッキ基板にテクス
チャリングを施さず、第1下地膜としてCrを500Å
成膜し、第2下地膜としてCr80Ti20を300Å成膜
した以外は前記実施例10と同様にして磁気記録媒体を
作製した。この比較例11により作製された磁気記録媒
体の磁気特性及び記録再生特性についても前記実施例1
0と同様に測定し、Hcは2119Oe、S* は72.
8%、出力は158μV、ノイズは3.53μVであっ
た。
【0036】[比較例12]NiPメッキ基板にテクス
チャリングを施さず、第1下地膜としてTaを400Å
成膜し、第2下地膜としてCr85Ti15を200Å成膜
した以外は前記実施例10と同様にして磁気記録媒体を
作製した。この比較例12により作製された磁気記録媒
体の磁気特性及び記録再生特性についても前記実施例1
0と同様に測定し、Hcは2563Oe、S* は81.
8%、出力は196μV、ノイズは2.40μVであっ
た。
【0037】[比較例13]NiPメッキ基板にテクス
チャリングを施さず、第1下地膜としてTa4555を4
00Å成膜し、第2下地膜としてCr85Ti15を200
Å成膜した以外は前記実施例10と同様にして磁気記録
媒体を作製した。この比較例13により作製された磁気
記録媒体の磁気特性及び記録再生特性についても前記実
施例10と同様に測定し、Hcは2141Oe、S*
78.3%、出力は177μV、ノイズは3.82μV
であった。
【0038】[比較例14]NiPメッキ基板にテクス
チャリングを施さず、第1下地膜としてTa50Si 50
600Å成膜し、第2下地膜としてCr85Ti15を20
0Å成膜した以外は前記実施例10と同様にして磁気記
録媒体を作製した。この比較例14により作製された磁
気記録媒体の磁気特性及び記録再生特性についても前記
実施例10と同様に測定し、Hcは1961Oe、S*
は75.4%、出力は166μV、ノイズは4.30μ
Vであった。
【0039】[比較例15]NiPメッキ基板にテクス
チャリングを施さず、第1下地膜としてTa30Mo 70
400Å、第2下地膜としてCr85Ti15を200Å成
膜した以外は前記実施例10と同様にして磁気記録媒体
を作製した。この比較例15により作製された磁気記録
媒体の磁気特性及び記録再生特性についても前記実施例
10と同様に測定し、Hcは1577Oe、S* は7
7.2%、出力は169μV、ノイズは2.93μVで
あった。
【0040】[実施例14]非磁性基板を単結晶Siと
した以外は前記実施例10と同様にして磁気記録媒体を
作製した。この実施例14により作製された磁気記録媒
体の磁気特性及び記録再生特性についても前記実施例1
0と同様に測定し、Hcは2672Oe、S* は84.
0%、出力は211μV、ノイズは2.32μVであっ
た。
【0041】[実施例15]非磁性基板を結晶化ガラス
(OHARA製)とした以外は前記実施例10と同様に
して磁気記録媒体を作製した。この実施例15により作
製された磁気記録媒体の磁気特性及び記録再生特性につ
いても前記実施例10と同様に測定し、Hcは2680
Oe、S* は85.3%、出力は212μV、ノイズは
2.11μVであった。
【0042】[比較例16]非磁性基板を結晶化ガラス
(OHARA製)とし、さらに第1下地膜としてCrを
500Å成膜し、第2下地膜としてCr80Ti20を30
0Å成膜した以外は前記実施例10と同様にして磁気記
録媒体を作製した。この比較例16により作製された磁
気記録媒体の磁気特性及び記録再生特性についても前記
実施例10と同様に測定し、Hcは2231Oe、S*
は72.8%、出力は158μV、ノイズは3.53μ
Vであった。
【0043】[比較例17]NiPメッキ基板を2×1
-7Torrまで排気した後、第1下地膜としてTaタ
ーゲットをArガス雰囲気中で成膜することによりTa
膜を400Å成膜した以外は前記実施例10と同様にし
て磁気記録媒体を作製した。この比較例17により作製
された磁気記録媒体の磁気特性及び記録再生特性につい
ても前記実施例10と同様に測定し、Hcは2350O
e、S* は73.4%、出力は165μV、ノイズは
3.53μVであった。尚、このようにして作製された
磁気記録媒体のX線回折強度を測定したところ、図3に
示すようにβ−Taのみが形成されていた。
【0044】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の磁気記録
媒体は、媒体ノイズを低減させ、高出力が得られるMR
ヘッド対応の磁気記録媒体として利用することができ
る。例えば前述した従来のCr又はCr合金を下地膜と
する手法やCrをプレコートする手法と比較して、本発
明の方が出力、ノイズ等の特性が著しく優れたものが得
られる。また、第2下地膜の膜厚を25〜500Åにし
た場合、特に低ノイズ媒体が得られるものになる。さら
に、Co合金磁性膜の組成をCoCrPtTaの4元合
金にした場合、高保磁力化が図れる。
【0045】特に1〜50at%のNを含むTaN合
金、5〜40at%のSiを含むTaSi合金、5〜5
0at%のMoを含むTaMo合金から選ばれる合金で
第1下地膜を構成した場合、保磁力、再生時の出力、ノ
イズ等の特性がより一層優れたものとなる。この場合、
第2下地膜の膜厚を25〜1500Åにした場合、特に
低ノイズ媒体がられるものになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の磁気記録媒体を模式的に示
す断面図である。
【図2】実施例10におけるX線回折チャートである。
【図3】比較例17におけるX線回折チャートである。
【符号の説明】
1 非磁性基板 2 非磁性下地膜 21 第1下地膜 22 第2下地膜 3 磁性膜 4 保護膜

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性基板、非磁性下地膜、磁性膜及び
    保護膜を基本構成とする磁気記録媒体であって、 前記非磁性下地膜は、Ta,Ag,Alから選ばれる元
    素を主として構成される第1下地膜の上に、Crのみ、
    又はCr合金で構成される第2下地膜を積層してなり、 前記磁性膜は、Coを主成分とする合金で構成される膜
    であることを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 第1下地膜は、1〜50at%のNを含
    むTaN合金、5〜40at%のSiを含むTaSi合
    金、5〜50at%のMoを含むTaMo合金から選ば
    れることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 非磁性基板がNiPをメッキしたAl基
    板であることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気
    記録媒体。
  4. 【請求項4】 非磁性基板がガラス基板であることを特
    徴とする請求項1又は2に記載の磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】 非磁性基板がSi基板であることを特徴
    とする請求項1又は2に記載の磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】 第1下地膜が25〜1000Åの膜厚で
    あることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載
    の磁気記録媒体。
  7. 【請求項7】 第1下地膜がTa合金で形成され、α−
    Taのみ、若しくはα−Ta及びβ−Taが形成される
    ことを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の磁
    気記録媒体。
  8. 【請求項8】 磁性膜がCoCrPtTaの4元合金よ
    りなることを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記
    載の磁気記録媒体。
  9. 【請求項9】 磁性膜の残留磁化膜厚積(BrT)が5
    0〜130Gμmであることを特徴とする請求項1〜8
    の何れか一項に記載の磁気記録媒体。
  10. 【請求項10】 非磁性基板上に、少なくとも非磁性下
    地膜としてまずTa,Ag,Alから選ばれる元素を主
    として構成される第1下地膜を成膜し、その後Crの
    み、又はCr合金で構成される第2下地膜を成膜し、磁
    性膜としてCoを主成分とする合金で構成される膜、さ
    らに保護膜を順次成膜したことを特徴とする磁気記録媒
    体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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