JP2000212738A - マグネトロンスパッタ法および磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents

マグネトロンスパッタ法および磁気記録媒体の製造方法

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JP2000212738A
JP2000212738A JP22382899A JP22382899A JP2000212738A JP 2000212738 A JP2000212738 A JP 2000212738A JP 22382899 A JP22382899 A JP 22382899A JP 22382899 A JP22382899 A JP 22382899A JP 2000212738 A JP2000212738 A JP 2000212738A
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sputtering
magnetic
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Haruyuki Morita
治幸 森田
Kiyosumi Kanazawa
潔澄 金沢
Akinori Sasaki
秋典 佐々木
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 欠陥の少ないスパッタ膜が得られ、しかもタ
ーゲットの利用効率の高いマグネトロンスパッタ法と、
膜欠陥が少なく、しかも耐久性の高い連続薄膜型の磁性
層を有する磁気記録媒体を実現する。 【解決手段】真空槽内にターゲットを設け、前記ターゲ
ット裏面側に磁石を配置し、前記ターゲット表面と対向
して基板を配置したマグネトロンスパッタ装置を用い、
反応性マグネトロンスパッタにより前記基板表面にスパ
ッタ膜を堆積させる方法において、前記ターゲット表面
における磁束密度の前記ターゲット表面と平行方向成分
の最大値を、200〜400Gに設定し、前記ターゲッ
ト1個あたりにおける電力密度PD(Watt/cm2)とO2
ガス流量OGF(SCCM)との関係を、OGF=(3.7
±0.8)PD−(3.9±0.7)かつOGF>0と
するマグネトロンスパッタ法とし、これを用いて磁気記
録媒体を製造する構成とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マグネトロンスパ
ッタ法および磁気記録媒体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】計算機等に用いられる磁気ディスク駆動
装置には、剛性基板上に磁性層を設層したハードタイプ
の磁気ディスクと浮上型磁気ヘッドとが用いられてい
る。
【0003】このような磁気ディスク駆動装置において
は従来、塗布型の磁気ディスクが用いられていたが、磁
気ディスクの大容量化に伴い、磁気特性、記録密度等の
点で有利なことから、スパッタ法等の気相成膜法等によ
り設層される連続薄膜型の磁性層を有する薄膜型磁気デ
ィスクが用いられるようになっている。
【0004】薄膜型磁気ディスクとしては、Al系のデ
ィスク状金属板にNi−P下地層をめっきにより設層す
るか、あるいはこの金属板表面を酸化してアルマイトを
形成したものを基板とし、この基板上にCr層、Co−
Ni等の金属磁性層、さらにC等の保護潤滑膜をスパッ
タ法により順次設層して構成されるものが一般的であ
る。
【0005】しかし、Co−Ni等の金属磁性層は耐食
性が低く、さらに硬度が低く、信頼性に問題が生じる。
これに対し、特開昭62−43819号公報、同63−
175219号公報に記載されているような酸化鉄を主
成分とする磁性薄膜は化学的に安定なため腐食の心配が
なく、また、充分な硬度を有している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】酸化鉄を主成分とする
磁性層は、通常、γ-Fe2O3あるいはCoを含有するγ-F
e2O3から構成される。
【0007】γ-Fe2O3磁性層は、通常、直接法または間
接法により形成される。
【0008】直接法としては、通常、直接中性法、直接
還元法、直接酸化法が用いられている。
【0009】直接中性法は、Arガス雰囲気中におい
て、Fe3O4 ターゲットを用いてFe3O4膜を形成し、これ
を酸化してγ-Fe2O3膜を得る方法である。
【0010】直接還元法は、H2 ガスを含有するArガ
ス雰囲気中において、α-Fe2O3ターゲットを用いてFe3O
4 膜を形成し、これを酸化してγ-Fe2O3膜を得る方法で
ある。
【0011】直接酸化法は、O2 ガスを含有するArガ
ス雰囲気中において、Feターゲットを用いて反応性ス
パッタを行なってFe3O4 膜とし、これを酸化してγ-Fe2
O3膜を得る方法である。
【0012】また、間接法は、O2 ガスを含有するAr
ガス雰囲気中において、Feターゲットを用いて反応性
スパッタを行なってα-Fe2O3膜を形成し、これを還元し
てFe 3O4 膜とし、さらに酸化を行なってγ-Fe2O3膜を得
る方法である。
【0013】これらのいずれの方法においても、高いス
パッタ速度が得られることから、通常、マグネトロンス
パッタ法が用いられている。
【0014】マグネトロンスパッタ法では、不活性ガス
を導入した真空槽中にターゲットを設け、このターゲッ
ト裏面側に磁石を設けて、ターゲット表面の近傍で電界
と磁界とが直交するマグネトロン放電を生じさせる。こ
のような構成では、電子がターゲット表面近傍で連続的
な軌跡を描くように運動するため、イオン密度が高まっ
てターゲットに衝突するイオンが増大し、ターゲット表
面と対向して設けられている基板への付着速度も増大す
る。
【0015】一般に、スパッタ法ではスパッタが進むに
つれてターゲットが侵食されるが、マグネトロンスパッ
タではターゲットが局部的に侵食される。
【0016】図1はマグネトロンスパッタ装置の主要部
を示す断面図であり、ターゲット10は図示されるよう
に侵食される。
【0017】このときの侵食領域は、漏洩磁界の方向が
ターゲット表面とほぼ平行である領域に対応するが、従
来のマグネトロンスパッタではこの領域が狭く、高価な
ターゲット材の利用効率が低いものであった。
【0018】また、スパッタ時の雰囲気によっては、タ
ーゲット表面の侵食部分以外の領域が酸化等により変化
を受けたり、スパッタ粒子が再付着したりして、表面変
質層を生じることがある。そして、スパッタが進行する
につれて侵食部の深さが増加すると共にその面積が増加
するため、表面変質層が弾け出し、弾け出た異物がスパ
ッタ膜へ混入あるいは付着することがある。
【0019】ところが、上記した薄膜型磁気ディスクの
磁性薄膜では主としてデジタル記録を行なうために、極
めて低い膜欠陥が要求される。このため、磁性薄膜中へ
の異物の混入や付着を極めて低く抑える必要がある。
【0020】例えば、γ-Fe2O3磁性層を形成する際に上
記した直接酸化法を用いる場合、O 2 ガスを含有するA
rガス雰囲気中においてFeターゲットを用いて反応性
スパッタを行なうため、ターゲット表面の侵食領域以外
の表面が酸化されたりスパッタ粒子が再付着したりし
て、黒変部が現われる。
【0021】そして、スパッタが繰り返されるに従っ
て、侵食領域の深さが増加すると共に侵食領域の面積も
増加し、この黒変部もスパッタされることになり、黒変
部が塊状で弾け出たりするため、基板に堆積するFe3O4
膜へ弾け出た異物の混入や付着が生じ、あるいはスパッ
タ後にこれらの付着物がFe3O4 膜表面から剥離したり
し、これらの部分が膜欠陥となる。
【0022】本発明は、このような事情からなされたも
のであり、欠陥の少ないスパッタ膜が得られ、しかもタ
ーゲットの利用効率の高いマグネトロンスパッタ法と、
膜欠陥の少ない連続薄膜型の磁性層を有する磁気記録媒
体の製造方法とを提供することを目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(3)の本発明により達成される。 (1) 真空槽内にターゲットを設け、前記ターゲット
裏面側に磁石を配置し、前記ターゲット表面と対向して
基板を配置したマグネトロンスパッタ装置を用い、反応
性マグネトロンスパッタにより前記基板表面にスパッタ
膜を堆積させる方法において、前記ターゲット表面にお
ける磁束密度の前記ターゲット表面と平行方向成分の最
大値を、200〜400Gに設定し、前記ターゲット1
個あたりにおける電力密度PD(Watt/cm2)とO2 ガス
流量OGF(SCCM)との関係を、 OGF=(3.7±0.8)PD−(3.9±0.7) かつOGF>0とするマグネトロンスパッタ法。 (2) 前記真空槽内を4.0×10-4Torr〜2.0×
10-3Torrの圧力に保持して行なう上記(1)に記載の
マグネトロンスパッタ法。 (3) γ-Fe2O3を主成分とする連続薄膜型の磁性層を
剛性基板上に形成する工程において、O2ガスを含有す
る雰囲気中で上記(1)または(2)に記載のマグネト
ロンスパッタ法を用いる成膜過程を有する磁気記録媒体
の製造方法。
【0024】
【作用】本発明では、マグネトロンスパッタ法において
ターゲットからの漏洩磁束密度を200〜400Gとす
るので、ターゲット表面から漏洩する磁界のうち、ター
ゲット表面にほぼ平行な成分が増加し、マグネトロン放
電の生じる領域が拡大する。このため、ターゲットの侵
食領域が拡大し、ターゲットの利用効率が増大する。
【0025】そして、このように侵食領域が拡大するた
め、得られるスパッタ膜の欠陥が減少する。
【0026】また、本発明では、磁性層の耐久性を向上
させるために、ターゲット1個あたりにおける電力密度
PD(Watt/cm2)とO2 ガス流量OGF(SCCM)との関
係を、 OGF=(3.7±0.8)PD−(3.9±0.7) かつ OGF>0 とする。
【0027】このような条件にて反応性スパッタを行な
うことにより、磁性層の耐久性、特にCSS耐久性は極
めて高いものとなる。
【0028】本発明を適用することにより高い耐久性と
少ない欠陥とを両立することが可能となる。
【0029】なお、本発明において、O2 ガスは基板近
傍に導入することが好ましい。
【0030】このような本発明のマグネトロンスパッタ
法は、反応性スパッタ、特に反応ガスとしてO2 を用い
る反応性スパッタに適用した場合に効果が高い。
【0031】例えば、直接酸化法によりγ-Fe2O3磁性膜
を形成する場合、Feターゲットを用いてO2 ガスを含
有するArガス雰囲気中でFe3O4 膜を形成するが、従来
は侵食領域が狭かったために侵食領域以外のターゲット
表面に黒変異物層が生じ、スパッタの進行に伴ってこの
黒変異物層が弾け出て基板のスパッタ膜に混入ないし付
着し、膜欠陥を生じていた。
【0032】しかし、本発明によれば、侵食領域がスパ
ッタ開始時から広いため、Feターゲット表面の黒変異
物層形成が防止され、異物がFe3O4 膜へ混入することが
減少し、最終的に膜欠陥の極め て少ないγ-Fe2O3磁性
層が得られる。
【0033】このため本発明により得られる磁気記録媒
体では膜欠陥に起因するエラーが著しく減少する。
【0034】
【発明の実施の形態】以下、本発明の具体的構成につい
て詳細に説明する。本発明はマグネトロンスパッタ法に
適用される。
【0035】図1にマグネトロンスパッタ装置の主要部
分の構成の1例を示す。
【0036】本発明に用いるマグネトロンスパッタ装置
に特に制限はなく、例えば図1に示すような構成を有す
る通常のマグネトロンスパッタ装置を用いればよい。
【0037】図1に示される構成では、不活性ガス、反
応ガス等の雰囲気ガスを導入した真空槽(図示せず)中
にターゲット10が設けられ、このターゲット10裏面
側に磁石11が配置され、ターゲット10表面と対向し
て基板(図示せず)が配置される。そして、ターゲット
10が陰極とされ、陽極が設けられるか、あるいは基板
や真空槽が陽極とされる。
【0038】このようなマグネトロンスパッタ装置で
は、陰極と陽極間に電界を印加すると、ターゲット表面
の近傍で電界と磁界とが直交するマグネトロン放電が生
じ、電子がターゲット表面近傍で連続的な軌跡を描くよ
うに運動する。この電子により不活性ガスがプラズマ化
され、生じたイオンがターゲット表面に衝突してスパッ
タが行なわれ、ターゲットから飛び出した原子が基板表
面に堆積してスパッタ膜を形成する。
【0039】本発明では、このようなマグネトロンスパ
ッタ法において、ターゲット表面からの漏洩磁束密度を
200〜400G、好ましくは200〜300Gとなる
ように設定する。
【0040】ここで漏洩磁束密度とは、漏洩磁束密度の
ターゲット表面と平行方向成分の最大値であり、ターゲ
ット表面において測定された値である。
【0041】なお、スパッタを繰り返すことによりター
ゲットは侵食されて表面に凹部が生じるが、このような
場合、凹部の表面において磁束密度を測定する。
【0042】また、磁束密度の測定は、ホール素子等を
用いたガウスメータにより行なうことができる。
【0043】漏洩磁束密度をこの範囲とすることによ
り、ターゲット表面にほぼ平行方向の磁束の割合が増加
し、マグネトロン放電の生じる領域が拡大する。
【0044】漏洩磁束密度がこの範囲未満であるとマグ
ネトロン放電が生じにくくなり、この範囲を超えるとタ
ーゲットの侵食面積が臨界的に減少する。
【0045】なお、スパッタ時の漏洩磁界の強度は一定
であることが好ましいが、上記範囲内で変化してもよ
い。
【0046】また、スパッタの繰り返しによりターゲッ
トが侵食されると共に漏洩磁束密度は変化するが、この
場合、漏洩磁束密度を上記範囲内に保つために、ターゲ
ットに印加する電力、使用時間等をモニターしながらタ
ーゲット裏面での磁界強度を変更できる構成とすること
が好ましい。ターゲット裏面での磁界強度を変更するた
めには、制御が容易であることから磁石として電磁石を
用いることが好ましいが、この他、磁石として永久磁石
を用い、磁石とターゲットとの距離を制御する構成とし
てもよい。
【0047】また、本発明では、磁性層の耐久性を向上
させるために、ターゲット1個あたりにおける電力密度
PD(Watt/cm2)とO2 ガス流量OGF(SCCM)との関
係を、 OGF=(3.7±0.8)PD−(3.9±0.7) かつ OGF>0 とする。
【0048】このような条件にて反応性スパッタを行な
うことにより、磁性層の耐久性、特にCSS耐久性は極
めて高いものとなる。
【0049】本発明を適用することにより高い耐久性と
少ない欠陥とを両立することが可能となる。
【0050】なお、本発明において、O2 ガスは基板近
傍に導入することが好ましい。
【0051】本発明では、漏洩磁界の強度を上記範囲と
し、さらに、真空槽内のガスの圧力、すなわちスパッタ
圧力を4.0×10-4Torr〜2.0×10-3Torrとする
ことが好ましい。
【0052】スパッタ圧力がこのように低くなると、上
記した低漏洩磁界強度による効果に加え、ターゲット表
面での侵食領域がさらに拡がり、Fe3O4 膜への異物の混
入が格段と減少する。
【0053】スパッタ圧力がこの範囲未満となるとマグ
ネトロン放電が生じにくくなり、この範囲を超えると侵
食領域のさらなる拡がりが期待できなくなる。
【0054】以下、本発明のマグネトロンスパッタ法の
好ましい適用例として、本発明の磁気記録媒体の製造方
法について説明する。
【0055】本発明では、γ-Fe2O3を主成分とする連続
薄膜型の磁性層を剛性基板上に形成する際に、上記した
マグネトロンスパッタ方法を用いる。
【0056】γ-Fe2O3を主成分とする連続薄膜型の磁性
層は、上記したように直接法または間接法により形成さ
れる。
【0057】直接法は、まずFe3O4 膜を形成し、これを
酸化してγ-Fe2O3膜を得る方法である。
【0058】直接法においてFe3O4 膜を形成する方法と
しては、前記したようにFeを主成分とするターゲット
を用いてO2 ガスを含有するArガス雰囲気中にて行な
う直接酸化法、ターゲットにα-Fe2O3を用いて還元性雰
囲気にて行なう直接還元法、ターゲットにFe3O4 を用い
る直接中性法が挙げられる。
【0059】これらの方法において、スパッタ膜への異
物の混入ないし付着が最も生じ易いのは直接酸化法であ
るので、本発明は直接酸化法に適用されることが好まし
い。
【0060】また、直接酸化法は、スパッタ制御が容易
で、成膜速度が高いことなどからも好ましい。
【0061】本発明では、直接酸化法におけるFe3O4
形成時に、ターゲット表面での漏洩磁束密度の範囲およ
びスパッタ圧力(ArガスとO2 ガスとの合計圧力)範
囲を、前記した範囲とする。このような条件で反応性マ
グネトロンスパッタを行なうことにより、ターゲット表
面に黒変異物層が形成されることを抑制でき、欠陥の極
めて少ない磁性層が得られる。
【0062】直接法によるFe3O4 薄膜形成の詳細は、電
子通信学会論文誌'80/9 Vol.J63-CNo.9 p.609〜616に記
載されており、本発明ではこれに準じて磁性層の形成を
行なうことが好ましい。
【0063】なお、本発明では、DCスパッタ法を用い
てもよく、高周波スパッタ法を用いてもよいが、高周波
マグネトロンスパッタ法を用いることが好ましい。
【0064】スパッタ法により成膜されたFe3O4 は、γ
-Fe2O3にまで酸化される。
【0065】この酸化は、O2 ガス分圧0.05〜0.
8気圧程度、全圧0.5〜2気圧程度の雰囲気中での熱
処理によって行なわれればよく、通常、大気中熱処理に
よって行なわれることが好ましい。
【0066】熱処理における保持温度は200〜400
℃、特に250〜350℃であることが好ましく、温度
保持時間は、10分〜10時間、特に1時間〜5時間で
あることが好ましい。
【0067】なお、γ-Fe2O3を主成分とする磁性層中に
は、耐久性を向上させるためにα-Fe2O3が含有されるこ
とが好ましい。α-Fe2O3の含有量を耐久性向上に有効な
程度とするためには、上記熱処理に際し、昇温速度を
3.5〜20℃/min、特に5.0〜12℃/min
とすることが好ましい。
【0068】なお、昇温速度は一定であってもよく、漸
増あるいは漸減させてもよく、また、複数の昇温速度を
組み合わせて保持温度まで昇温させてもよい。
【0069】磁性層中には必要に応じてCo、Ti、C
u等を添加させてもよく、また、成膜雰囲気中に含まれ
るAr等が含有されていてもよい。
【0070】Coは保磁力を調整するために有効な元素
である。磁性層中のCoの含有量は、Feを10wt% 以
下置換する程度とすることが好ましい。また、磁性層に
Coを含有させるためには、Coを含有するFeターゲ
ットを用いればよい。
【0071】磁性層の層厚は、生産性、磁気特性等を考
慮して、500〜3000Å程度とすることが好まし
い。
【0072】なお、間接法は、O2 ガスを含有するAr
ガス雰囲気中において、Feターゲットを用いて反応性
スパッタを行なってα-Fe2O3膜を形成し、これを還元し
てFe 3O4 膜とし、さらに酸化を行なってγ-Fe2O3膜を得
る方法である。この間接法では、上記した直接酸化法と
同様にFeを主成分とするターゲットを酸化性雰囲気に
てスパッタする工程を有し、しかも雰囲気中のO2 ガス
量が多いため、本発明は極めて有効である。
【0073】このような磁性層が表面に形成される剛性
基板としては、下地層などを設層する必要がなく製造工
程が簡素になること、また、研磨が容易で表面粗さの制
御が簡単であること、磁性層の形成時およびその表面粗
さ制御のための熱処理に耐えることなどから、ガラスを
用いることが好ましい。
【0074】ガラスとしては、強化ガラス、特に、化学
強化法による表面強化ガラスを用いることが好ましい。
【0075】また、磁性層上には、有機化合物を含有す
る潤滑膜や無機保護膜などを設けてもよい。
【0076】本発明のマグネトロンスパッタ法は、この
ような磁気記録媒体の磁性層形成に限らず、例えば、半
導体製造プロセスにおけるSiO2 、Si34 、Ti
N膜の形成等、反応性スパッタを用いる種々の用途に好
適である。また、ターゲットを有効に利用できるという
効果は、反応性スパッタ以外の通常のマグネトロンスパ
ッタ法に適用した場合でも実現する。
【0077】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を挙げ、本発明
をさらに詳細に説明する。 [Fe3O4 膜の形成]外径130mm、内径40mm、厚さ
1.9mmのアルミノケイ酸ガラス基板を研磨し、さらに
化学強化処理を施した。化学強化処理は、450℃の溶
融硝酸カリウムに10時間浸漬することにより行なっ
た。
【0078】次いで、このガラス基板表面をメカノケミ
カルポリッシングにより平滑化した。メカノケミカルポ
リッシングには、コロイダルシリカを含む研磨液を用い
た。
【0079】研磨後のガラス基板の表面粗さRmax は5
0Åであった。
【0080】洗浄後のガラス基板表面に、γ-Fe2O3を主
成分とする磁性層を直接酸化法により形成した。
【0081】まず、Arガス雰囲気中にて予備スパッタ
を行ない、Feターゲット表面の酸化膜を除去した。次
いで、O2 ガスを導入して反応性スパッタを行ない、Fe
3O4膜を成膜した。なお、O2 ガスは基板近傍に導入し
た。
【0082】この反応性スパッタには、図1に示す構成
を有するマグネトロンスパッタ装置を用い、スパッタ条
件を変えて種々のFe3O4 膜を形成した。これらのFe3O4
膜の厚さは2000Åとした。
【0083】なお、ターゲットの厚さは3mmとした。
【0084】スパッタ時のターゲット表面の漏洩磁界強
度(ターゲット表面において測定された磁束密度のター
ゲット表面と平行方向成分の最大値)、印加電力密度P
Dおよびターゲット1個あたりのO2 ガス流量OGF
を、表1に示す。
【0085】なお、スパッタの進行に伴なってターゲッ
ト表面が侵食されることにより漏洩磁束密度が変化する
が、この実施例では磁界発生源として電磁石を用い、発
生磁界強度を変化させることにより漏洩磁束密度を一定
に保った。
【0086】[γ-Fe2O3磁性層の形成]下記表1に示さ
れる各Fe3O4 膜を、空気中で310℃にて1時間酸化し
てγ-Fe2O3磁性層とし、磁気ディスクを得た。
【0087】これらの磁気ディスクに対し、下記磁気ヘ
ッドを用い、下記の基準でCSS耐久性を評価した。
【0088】使用磁気ヘッド ビッカース硬度2200kgf/mm2 のAl23 −TiC
基体上に薄膜磁気ヘッド素子を形成した後、磁気ヘッド
形状に加工し、支持バネ(ジンバル)に取りつけ、空気
ベアリング型の浮上型磁気ヘッドを作製した。磁気ヘッ
ド浮揚面のRmax は130Åとした。浮上量は、スライ
ダ幅、ジンバル荷重を調整し、0.1μm になるように
した。
【0089】CSS耐久性 上記磁気ヘッドを使用し、25℃、相対湿度50%にて
CSS試験を行なった。CSSは図2に示すサイクルの
繰り返しで行ない、記録再生出力が初期の半分以下にな
るまでの回数を測定して、下記の5段階評価を行なっ
た。 ◎ :10万回以上 ○ :5万回以上10万回未満 △ :2万回以上5万回未満 × :1万回以上2万回未満 ××:1万回未満
【0090】
【表1】
【0091】以上の実施例の結果から、本発明の効果が
明らかである。
【0092】
【発明の効果】本発明によれば、欠陥の少ないスパッタ
膜が得られ、しかもターゲットの利用効率の高いマグネ
トロンスパッタ法と、膜欠陥が少なく、しかも耐久性の
高い連続薄膜型の磁性層を有する磁気記録媒体が実現す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】マグネトロンスパッタ装置の主要部分の構成を
示す断面図である。
【図2】CSSの1サイクルを示すグラフである。
【符号の説明】
10 ターゲット 11 磁石

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空槽内にターゲットを設け、前記ター
    ゲット裏面側に磁石を配置し、前記ターゲット表面と対
    向して基板を配置したマグネトロンスパッタ装置を用
    い、反応性マグネトロンスパッタにより前記基板表面に
    スパッタ膜を堆積させる方法において、 前記ターゲット表面における磁束密度の前記ターゲット
    表面と平行方向成分の最大値を、200〜400Gに設
    定し、 前記ターゲット1個あたりにおける電力密度PD(Watt
    /cm2)とO2 ガス流量OGF(SCCM)との関係を、 OGF=(3.7±0.8)PD−(3.9±0.7) かつOGF>0とするマグネトロンスパッタ法。
  2. 【請求項2】 前記真空槽内を4.0×10-4Torr〜
    2.0×10-3Torrの圧力に保持して行なう請求項1に
    記載のマグネトロンスパッタ法。
  3. 【請求項3】 γ-Fe2O3を主成分とする連続薄膜型の磁
    性層を剛性基板上に形成する工程において、O2ガスを
    含有する雰囲気中で請求項1または2に記載のマグネト
    ロンスパッタ法を用いる成膜過程を有する磁気記録媒体
    の製造方法。
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