JPH06150239A - 磁気ヘッドと窒化クロム膜の製造方法 - Google Patents
磁気ヘッドと窒化クロム膜の製造方法Info
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- JPH06150239A JPH06150239A JP29685192A JP29685192A JPH06150239A JP H06150239 A JPH06150239 A JP H06150239A JP 29685192 A JP29685192 A JP 29685192A JP 29685192 A JP29685192 A JP 29685192A JP H06150239 A JPH06150239 A JP H06150239A
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- chromium nitride
- magnetic head
- head
- nitride film
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Abstract
(57)【要約】
【構成】 磁気記録媒体との摺動面に圧縮性の内部応力
が109〜1011dyn/cm2の範囲であり、ヌ−プ硬度が
1500kgf/mm2以上である窒化クロム薄膜を形成して
磁気ヘッドを構成する。 【効果】 以上の構成の窒化クロム膜を低温で磁気ヘッ
ド摺動面にコ−ティングすることによって、ヘッドの劣
化がなく、ヘッドと媒体間のスペ−シングの影響のない
膜厚でヘッド研磨力の強い酸化クロムからなる磁気テ−
プに対して極めて優れた耐摩耗性が実現できる。
が109〜1011dyn/cm2の範囲であり、ヌ−プ硬度が
1500kgf/mm2以上である窒化クロム薄膜を形成して
磁気ヘッドを構成する。 【効果】 以上の構成の窒化クロム膜を低温で磁気ヘッ
ド摺動面にコ−ティングすることによって、ヘッドの劣
化がなく、ヘッドと媒体間のスペ−シングの影響のない
膜厚でヘッド研磨力の強い酸化クロムからなる磁気テ−
プに対して極めて優れた耐摩耗性が実現できる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、オ−ディオテ−プレコ
−ダ、ビデオテ−プレコ−ダ、デジタルオ−ディオテ−
プレコ−ダ、さらにはハ−ドディスク、フロッピディス
ク、磁気カ−ド等の磁気記録再生装置における磁気ヘッ
ドとその製造方法に関する。
−ダ、ビデオテ−プレコ−ダ、デジタルオ−ディオテ−
プレコ−ダ、さらにはハ−ドディスク、フロッピディス
ク、磁気カ−ド等の磁気記録再生装置における磁気ヘッ
ドとその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気ヘッドは、摺動面に磁気テ−プ、磁
気ディスク等の磁気記録媒体を摺動させ、記録、再生及
び消去を行うものであるが、磁気記録媒体と摺動させて
使用するため、摺動面の摩耗を避けることができず、こ
の摩耗が磁気ヘッドの劣化の原因となっている。
気ディスク等の磁気記録媒体を摺動させ、記録、再生及
び消去を行うものであるが、磁気記録媒体と摺動させて
使用するため、摺動面の摩耗を避けることができず、こ
の摩耗が磁気ヘッドの劣化の原因となっている。
【0003】この問題を解決するために様々な考案が提
示されている。例えば、磁気ヘッドの摺動面にホウ素賦
与材を塗布し、アニ−リング処理を行ってホウ素拡散層
を形成することによって摺動面を硬化させ耐摩耗性を向
上させる方法が提案されている。(特公昭56-1682号公
報)また、金属硬化原子をイオン注入によって摺動面に
注入硬化させ、耐摩耗性を向上させる方法も提案されて
いる(特公昭55ー12652号公報)。一方、磁気ヘッド摺動
面に硬度の高い薄膜をコ−ティングすることによって耐
摩耗性を向上させる提案がされている。例えば磁気ヘッ
ドの摺動面に形成した第IIIb族、第IVa族及び第IVb
族のうち少なくとも一種以上を含む薄膜上に窒化ホウ素
薄膜を形成する方法が提案されている(特開平3-267363
号公報)。
示されている。例えば、磁気ヘッドの摺動面にホウ素賦
与材を塗布し、アニ−リング処理を行ってホウ素拡散層
を形成することによって摺動面を硬化させ耐摩耗性を向
上させる方法が提案されている。(特公昭56-1682号公
報)また、金属硬化原子をイオン注入によって摺動面に
注入硬化させ、耐摩耗性を向上させる方法も提案されて
いる(特公昭55ー12652号公報)。一方、磁気ヘッド摺動
面に硬度の高い薄膜をコ−ティングすることによって耐
摩耗性を向上させる提案がされている。例えば磁気ヘッ
ドの摺動面に形成した第IIIb族、第IVa族及び第IVb
族のうち少なくとも一種以上を含む薄膜上に窒化ホウ素
薄膜を形成する方法が提案されている(特開平3-267363
号公報)。
【0004】しかしながら、これらの方法において、ホ
ウ素の熱拡散やホウ素のイオン注入による方法は、厳密
な温度、冷却速度等の制御が要求されるため生産コスト
が高価になり、更に高い処理温度やイオンの衝撃のため
に磁気ヘッド内部に悪影響を及ぼすという問題がある。
窒化ホウ素薄膜を形成する方法についても、中間層と窒
化ホウ素膜との2層構造であるため生産性が悪くなると
ともに耐摩耗性を向上させるためにしばしばト−タルの
コ−ティング薄膜の膜厚が0.1μmより厚くなり、これ
がヘッドと記録媒体とのスペ−シングとなって電磁変換
特性が悪化すること、この膜厚でも耐摩耗性は不十分で
あることなどの問題がある。
ウ素の熱拡散やホウ素のイオン注入による方法は、厳密
な温度、冷却速度等の制御が要求されるため生産コスト
が高価になり、更に高い処理温度やイオンの衝撃のため
に磁気ヘッド内部に悪影響を及ぼすという問題がある。
窒化ホウ素薄膜を形成する方法についても、中間層と窒
化ホウ素膜との2層構造であるため生産性が悪くなると
ともに耐摩耗性を向上させるためにしばしばト−タルの
コ−ティング薄膜の膜厚が0.1μmより厚くなり、これ
がヘッドと記録媒体とのスペ−シングとなって電磁変換
特性が悪化すること、この膜厚でも耐摩耗性は不十分で
あることなどの問題がある。
【0005】そこで、本発明者は窒化クロム膜でなる保
護膜を反応性高周波マグネトロンスパッタ法によりヘッ
ド摺動面に形成することで、電磁変換特性に悪影響を及
ぼさない0.1μmより薄い膜厚で優れた耐摩耗性がえら
れることを見いだした(特願平4−204816号)。
酸化鉄からなる磁気テ−プを用いた走行試験において1
000時間以上の耐摩耗性が得られた。
護膜を反応性高周波マグネトロンスパッタ法によりヘッ
ド摺動面に形成することで、電磁変換特性に悪影響を及
ぼさない0.1μmより薄い膜厚で優れた耐摩耗性がえら
れることを見いだした(特願平4−204816号)。
酸化鉄からなる磁気テ−プを用いた走行試験において1
000時間以上の耐摩耗性が得られた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ヘッド
研磨力の強い酸化クロムからなる磁気テ−プを用いた走
行試験では、100時間以内に多数のスポット状の窒化
クロムの剥離が発生し、時間とともに剥離面積が増大
し、500時間で摺動面面積の半分程度の窒化クロムが
剥離してしまう問題がある。更に、酸化クロムからなる
磁気テ−プに対して1000時間を越える優れた耐摩耗
性を示す磁気ヘッド用保護膜は知られていない。
研磨力の強い酸化クロムからなる磁気テ−プを用いた走
行試験では、100時間以内に多数のスポット状の窒化
クロムの剥離が発生し、時間とともに剥離面積が増大
し、500時間で摺動面面積の半分程度の窒化クロムが
剥離してしまう問題がある。更に、酸化クロムからなる
磁気テ−プに対して1000時間を越える優れた耐摩耗
性を示す磁気ヘッド用保護膜は知られていない。
【0007】本発明は、上記問題点に鑑み、電磁変換特
性を悪化させない膜厚、具体的には0.1μm以下の膜厚
で、研磨力の強い酸化クロムからなる磁気テ−プに対し
ても、1000時間を越える優れた耐摩耗性を示す磁気
ヘッドを提供するものである。
性を悪化させない膜厚、具体的には0.1μm以下の膜厚
で、研磨力の強い酸化クロムからなる磁気テ−プに対し
ても、1000時間を越える優れた耐摩耗性を示す磁気
ヘッドを提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上述する従来の問題点を
解決するため、本発明に係わる磁気ヘッドは、ヘッド摺
動面に圧縮性の内部応力、ヌ−プ硬度が制御された窒化
クロム膜でなる保護膜を形成することを特徴とする。
解決するため、本発明に係わる磁気ヘッドは、ヘッド摺
動面に圧縮性の内部応力、ヌ−プ硬度が制御された窒化
クロム膜でなる保護膜を形成することを特徴とする。
【0009】
【作用】磁気記録媒体との摺動面に圧縮性の内部応力が
109〜1011dyn/cm2の保護膜が形成されているこ
と、保護膜のヌ−プ硬度が1500kgf/mm2以上であ
ること、保護膜が窒化クロムからなること、膜厚が50
〜1000Åの範囲であることの条件を満足した保護膜
を磁気ヘッド摺動面にコ−ティングすることによって、
ヘッドと媒体間のスペ−シングの影響のない膜厚で、研
磨力の強い酸化クロムを用いた磁気テ−プに対して極め
て優れた耐摩耗性を有する磁気ヘッドを提供できる。
109〜1011dyn/cm2の保護膜が形成されているこ
と、保護膜のヌ−プ硬度が1500kgf/mm2以上であ
ること、保護膜が窒化クロムからなること、膜厚が50
〜1000Åの範囲であることの条件を満足した保護膜
を磁気ヘッド摺動面にコ−ティングすることによって、
ヘッドと媒体間のスペ−シングの影響のない膜厚で、研
磨力の強い酸化クロムを用いた磁気テ−プに対して極め
て優れた耐摩耗性を有する磁気ヘッドを提供できる。
【0010】
【実施例】以下、具体例について詳細に述べる。窒化ク
ロムの作製には、反応性高周波マグネトロンスパッタ法
を用いた。タ−ゲットは直径6インチのクロムタ−ゲッ
トを用い、アルゴンと窒素混合ガス中で高周波放電を行
い膜を作製した。基板は水冷、スパッタ電力は400
W、スパッタ圧力は8mTorr一定とした。基板温度
は室温で、基板ホルダ−は水冷した。基板温度を測定す
るヒ−ト・ラベル(ミクロン株式会社製)を用いて測定
すると、基板温度は40℃以下であった。基板には負の
直流バイアス電圧を作製時に印加した。窒素量はオ−ジ
ェ電子分光法によって分析した。本発明の窒化クロムの
窒素組成は、概ね40〜50原子%の範囲にあった。
ロムの作製には、反応性高周波マグネトロンスパッタ法
を用いた。タ−ゲットは直径6インチのクロムタ−ゲッ
トを用い、アルゴンと窒素混合ガス中で高周波放電を行
い膜を作製した。基板は水冷、スパッタ電力は400
W、スパッタ圧力は8mTorr一定とした。基板温度
は室温で、基板ホルダ−は水冷した。基板温度を測定す
るヒ−ト・ラベル(ミクロン株式会社製)を用いて測定
すると、基板温度は40℃以下であった。基板には負の
直流バイアス電圧を作製時に印加した。窒素量はオ−ジ
ェ電子分光法によって分析した。本発明の窒化クロムの
窒素組成は、概ね40〜50原子%の範囲にあった。
【0011】窒化クロム膜の内部応力は、窒素量、直流
バイアス電圧、ト−タルスパッタガス圧などで変化する
が、内部応力の制御は直流バイアス電圧で行った。内部
応力の測定は円板状シリコンの基板に窒化クロムを堆積
し、その反り量より求めた。ヌ−プ硬度はマイクロハ−
ドネステスタ−(明石製作所製、MVK−1)を用いて
測定した。
バイアス電圧、ト−タルスパッタガス圧などで変化する
が、内部応力の制御は直流バイアス電圧で行った。内部
応力の測定は円板状シリコンの基板に窒化クロムを堆積
し、その反り量より求めた。ヌ−プ硬度はマイクロハ−
ドネステスタ−(明石製作所製、MVK−1)を用いて
測定した。
【0012】本発明者は、酸化クロムからなる磁気テ−
プの研磨力の強さは、主に酸化クロム粒子自身の硬さに
起因していることに着目し、窒化クロムの硬度について
詳細に検討した。その結果、基板温度が室温で作製され
た窒化クロムの硬度と圧縮性の内部応力とに密接な関係
があることを見いだした。圧縮性の内部応力は、ト−タ
ルスパッタガス圧、負の直流バイアス電圧を変化させる
ことで制御できる。
プの研磨力の強さは、主に酸化クロム粒子自身の硬さに
起因していることに着目し、窒化クロムの硬度について
詳細に検討した。その結果、基板温度が室温で作製され
た窒化クロムの硬度と圧縮性の内部応力とに密接な関係
があることを見いだした。圧縮性の内部応力は、ト−タ
ルスパッタガス圧、負の直流バイアス電圧を変化させる
ことで制御できる。
【0013】(図2)に窒素、アルゴンガス比率が1対
1で、直流バイアス電圧が−30Vの場合のト−タルス
パッタガス圧と圧縮性の内部応力との関係を示す。スパ
ッタガス圧が低くなると内部応力は増大することがわか
る。また、負の直流バイアス電圧を増大させても内部応
力は増大する。従って、内部応力の制御はト−タルスパ
ッタガス圧、負の直流バイアス電圧を変化させることで
行った。(図1)に本発明の実施例である直流バイアス
電圧を制御して変化させた圧縮性の内部応力と窒化クロ
ムのヌ−プ硬度との関係を示す。
1で、直流バイアス電圧が−30Vの場合のト−タルス
パッタガス圧と圧縮性の内部応力との関係を示す。スパ
ッタガス圧が低くなると内部応力は増大することがわか
る。また、負の直流バイアス電圧を増大させても内部応
力は増大する。従って、内部応力の制御はト−タルスパ
ッタガス圧、負の直流バイアス電圧を変化させることで
行った。(図1)に本発明の実施例である直流バイアス
電圧を制御して変化させた圧縮性の内部応力と窒化クロ
ムのヌ−プ硬度との関係を示す。
【0014】(図1)より内部応力とヌ−プ硬度との間
には相関があり、圧縮性の内部応力が大きくなるととも
にヌ−プ硬度も大きくなっている。内部応力が109dyn
/cm 2以上でヌ−プ硬度が1500kgf/mm2以上、最大
の値で2800kgf/mm2まで得られる。しかし、内部
応力が1011dyn/cm2より大きくなると窒化クロム膜全
面にクラック、膜の剥離が発生し、保護膜として役に立
たなくなる。従って、内部応力は109〜1011dyn/cm
2の範囲であることが望ましい。
には相関があり、圧縮性の内部応力が大きくなるととも
にヌ−プ硬度も大きくなっている。内部応力が109dyn
/cm 2以上でヌ−プ硬度が1500kgf/mm2以上、最大
の値で2800kgf/mm2まで得られる。しかし、内部
応力が1011dyn/cm2より大きくなると窒化クロム膜全
面にクラック、膜の剥離が発生し、保護膜として役に立
たなくなる。従って、内部応力は109〜1011dyn/cm
2の範囲であることが望ましい。
【0015】以上の膜について耐摩耗性を評価するため
に、磁気ヘッドにコ−ティングして耐摩耗性試験を行っ
た。耐摩耗性評価は、各磁気ヘッドをカセットデッキメ
カに組み込み、パッド圧20gで行い、酸化クロムより
なる磁気テ−プを用いた。耐摩耗性評価に用いたヘッド
は、コア材、カバ−材両方にAlTiCを用いたAlTiC
/AlTiCヘッドを用いた。テ−プ走行試験は、常温常
湿下で、100時間で新品の磁気テ−プと交換し、10
00時間行った。(表1)に本発明の実施例である走行
試験の結果を示す。
に、磁気ヘッドにコ−ティングして耐摩耗性試験を行っ
た。耐摩耗性評価は、各磁気ヘッドをカセットデッキメ
カに組み込み、パッド圧20gで行い、酸化クロムより
なる磁気テ−プを用いた。耐摩耗性評価に用いたヘッド
は、コア材、カバ−材両方にAlTiCを用いたAlTiC
/AlTiCヘッドを用いた。テ−プ走行試験は、常温常
湿下で、100時間で新品の磁気テ−プと交換し、10
00時間行った。(表1)に本発明の実施例である走行
試験の結果を示す。
【0016】
【表1】
【0017】(表1)中の(実施例1)〜(実施例3)
は、負の直流バイアス電圧を変化させて窒化クロム膜の
内部応力を大きくした例である。窒化クロムの膜厚は5
00Å一定とした。更に、(実施例4)、(実施例5)
はト−タルスパッタガス圧を変化させて内部応力を大き
くした例である。いずれの場合もヌ−プ硬度が1500
kgf/mm2以上と大きく、耐摩耗性も研磨力の強い酸化
クロムを用いた磁気テ−プに対して1000時間摺動
後、摺動面の窒化クロムが基板から剥離する剥離摩耗が
ほとんどない優れた結果が得られた。
は、負の直流バイアス電圧を変化させて窒化クロム膜の
内部応力を大きくした例である。窒化クロムの膜厚は5
00Å一定とした。更に、(実施例4)、(実施例5)
はト−タルスパッタガス圧を変化させて内部応力を大き
くした例である。いずれの場合もヌ−プ硬度が1500
kgf/mm2以上と大きく、耐摩耗性も研磨力の強い酸化
クロムを用いた磁気テ−プに対して1000時間摺動
後、摺動面の窒化クロムが基板から剥離する剥離摩耗が
ほとんどない優れた結果が得られた。
【0018】一方、(比較例1)〜(比較例3)に示さ
れるように、窒化クロムの内部応力が109dyn/cm2よ
り小さいヌ−プ硬度1500 kgf/mm2未満では、1
000時間摺動後表面に引っかき傷が多数発生し、剥離
摩耗の程度が極めて大きかった。
れるように、窒化クロムの内部応力が109dyn/cm2よ
り小さいヌ−プ硬度1500 kgf/mm2未満では、1
000時間摺動後表面に引っかき傷が多数発生し、剥離
摩耗の程度が極めて大きかった。
【0019】また、(比較例4)、(比較例5)に示さ
れるように、直流バイアス電圧を大きくしたり、スパッ
タガス圧を小さくして内部応力を1011 dyn/cm2より
大きくすると、逆にヌ−プ硬度が小さくなったり、コ−
ティング直後にクラックが発生する。これは内部応力が
大きくなり過ぎて応力の解放が起こっているものと考え
られる。このような膜は保護膜として不適当である。以
上より、窒化クロム膜が109〜1011dyn/cm2の範囲
の圧縮性の内部応力をもち、ヌ−プ硬度が1500kgf
/mm2以上であれば優れた耐摩耗性が得られることがわ
かる。
れるように、直流バイアス電圧を大きくしたり、スパッ
タガス圧を小さくして内部応力を1011 dyn/cm2より
大きくすると、逆にヌ−プ硬度が小さくなったり、コ−
ティング直後にクラックが発生する。これは内部応力が
大きくなり過ぎて応力の解放が起こっているものと考え
られる。このような膜は保護膜として不適当である。以
上より、窒化クロム膜が109〜1011dyn/cm2の範囲
の圧縮性の内部応力をもち、ヌ−プ硬度が1500kgf
/mm2以上であれば優れた耐摩耗性が得られることがわ
かる。
【0020】(表2)に本発明の実施例である窒化クロ
ム膜厚を変化させた場合の耐摩耗性の結果を示す。
ム膜厚を変化させた場合の耐摩耗性の結果を示す。
【0021】
【表2】
【0022】(表2)中の(実施例7)は窒化クロムの
膜厚50Åと極めて薄い場合である。薄いにも拘らず、
1000時間摺動後の剥離摩耗が10%以下と優れた耐
摩耗性が得られている。一方、(比較例6)に示されて
いるように膜厚が30Åと薄いと剥離摩耗の程度は大き
くなっている。これは窒化クロムが初期形成層の領域で
あるため、結晶性が不十分であるためと考えれる。
膜厚50Åと極めて薄い場合である。薄いにも拘らず、
1000時間摺動後の剥離摩耗が10%以下と優れた耐
摩耗性が得られている。一方、(比較例6)に示されて
いるように膜厚が30Åと薄いと剥離摩耗の程度は大き
くなっている。これは窒化クロムが初期形成層の領域で
あるため、結晶性が不十分であるためと考えれる。
【0023】(実施例8)、(比較例7)に示されるよ
うに、膜厚が1000Å以上の場合は優れた耐摩耗性を
示す。しかし、膜厚がそのままスペ−シングになるた
め、記録再生特性は低下する。
うに、膜厚が1000Å以上の場合は優れた耐摩耗性を
示す。しかし、膜厚がそのままスペ−シングになるた
め、記録再生特性は低下する。
【0024】従って、膜厚は1000Å以下である必要
がある。以上より、高い耐摩耗性と再生出力を得るため
の窒化クロムの膜厚としては50〜1000Åの範囲が
望ましい。
がある。以上より、高い耐摩耗性と再生出力を得るため
の窒化クロムの膜厚としては50〜1000Åの範囲が
望ましい。
【0025】
【発明の効果】以上のように、本発明はヘッド摺動面に
窒化クロム膜でなる保護膜を形成し、その窒化クロムが
109〜1011dyn/cm2の範囲の圧縮性の内部応力をも
つこと、ヌ−プ硬度が1500kgf/mm2以上であるこ
との条件を満足することによって、研磨力の強い酸化ク
ロムを用いた磁気テ−プに対して極めて優れた耐摩耗性
を有する磁気ヘッドを提供できる。また膜厚がヘッドと
媒体間のスペ−シングの影響のない膜厚である50〜1
000Åの範囲であるで、ヘッドと媒体間のスペ−シン
グの影響のない膜厚で極めて優れた耐摩耗性が実現でき
る。更に作製時の基板温度が室温程度なので磁気ヘッド
の熱的な劣化を防止できる。
窒化クロム膜でなる保護膜を形成し、その窒化クロムが
109〜1011dyn/cm2の範囲の圧縮性の内部応力をも
つこと、ヌ−プ硬度が1500kgf/mm2以上であるこ
との条件を満足することによって、研磨力の強い酸化ク
ロムを用いた磁気テ−プに対して極めて優れた耐摩耗性
を有する磁気ヘッドを提供できる。また膜厚がヘッドと
媒体間のスペ−シングの影響のない膜厚である50〜1
000Åの範囲であるで、ヘッドと媒体間のスペ−シン
グの影響のない膜厚で極めて優れた耐摩耗性が実現でき
る。更に作製時の基板温度が室温程度なので磁気ヘッド
の熱的な劣化を防止できる。
【図1】本発明の実施例の窒化クロム膜の圧縮性の内部
応力とヌ−プ硬度との関係を示すグラフ
応力とヌ−プ硬度との関係を示すグラフ
【図2】本発明の実施例の窒化クロム膜の内部応力と作
製時のト−タルスパッタガス圧との関係を示すグラフ
製時のト−タルスパッタガス圧との関係を示すグラフ
Claims (4)
- 【請求項1】磁気記録媒体の摺動面に圧縮性の内部応力
が109〜1011dyn/cm2〜である窒化クロム膜が形成
されていることを特徴とする磁気ヘッド。 - 【請求項2】窒化クロム膜のヌ−プ硬度が1500kgf
/mm2以上である請求項1記載の磁気ヘッド。 - 【請求項3】窒化クロム膜の膜厚が50〜1000Åの
範囲にある請求項1、2記載の磁気ヘッド。 - 【請求項4】物理的蒸着法による窒化クロム膜の作製時
に、基板に負の直流バイアスを印加して低温で大きな内
部応力、ヌ−プ硬度をもつ窒化クロム膜の製造方法。
Priority Applications (4)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP29685192A JPH06150239A (ja) | 1992-11-06 | 1992-11-06 | 磁気ヘッドと窒化クロム膜の製造方法 |
US08/098,836 US5475552A (en) | 1992-07-31 | 1993-07-29 | Magnetic head having a chromium nitride protective film for use in a magnetic recording and/or reproducing apparatus and a method of manufacturing the same |
EP19930112249 EP0581303A3 (en) | 1992-07-31 | 1993-07-30 | Magnetic head having a chromium nitride protective film for use in a magnetic recording and/or reproducing apparatus and a method of manufacturing the same |
US08/323,619 US5636092A (en) | 1992-07-31 | 1994-10-17 | Magnetic head having chromium nitride protective film for use in magnetic recording and/or reproducing apparatus and method of manufacturing the same |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP29685192A JPH06150239A (ja) | 1992-11-06 | 1992-11-06 | 磁気ヘッドと窒化クロム膜の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06150239A true JPH06150239A (ja) | 1994-05-31 |
Family
ID=17838988
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP29685192A Pending JPH06150239A (ja) | 1992-07-31 | 1992-11-06 | 磁気ヘッドと窒化クロム膜の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH06150239A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010242135A (ja) * | 2009-04-02 | 2010-10-28 | Dowa Thermotech Kk | 硬質皮膜被覆部材およびその製造方法 |
-
1992
- 1992-11-06 JP JP29685192A patent/JPH06150239A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010242135A (ja) * | 2009-04-02 | 2010-10-28 | Dowa Thermotech Kk | 硬質皮膜被覆部材およびその製造方法 |
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