JP3020245B2 - マグネトロンスパッタ法および磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents

マグネトロンスパッタ法および磁気記録媒体の製造方法

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【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本発明は、マグネトロンスパッタ法および磁気記録媒
体の製造方法に関する。
〈従来の技術〉 計算機等に用いられる磁気ディスク駆動装置には、剛
性基板上に磁性層を設層したハードタイプの磁気ディス
クと浮上型磁気ヘッドとが用いられている。
このような磁気ディスク駆動装置においては従来、塗
布型の磁気ディスクが用いられていたが、磁気ディスク
の大容量化に伴い、磁気特性、記録密度等の点で有利な
ことから、スパッタ法等の気相成膜法等により設層され
る連続薄膜型の磁性層を有する薄膜型磁気ディスクが用
いられるようになっている。
薄膜型磁気ディスクとしては、Al系のディスク状金属
板にNi−P下地層をめっきにより設層するか、あるいは
この金属板表面を酸化してアルマイトを形成したものを
基板とし、この基板上にCr層、Co−Ni等の金属磁性層、
さらにC等の保護潤滑膜をスパッタ法により順次設層し
て構成されるものが一般的である。
しかし、Co−Ni等の金属磁性層は耐食性が低く、さら
に硬度が低く、信頼性に問題が生じる。これに対し、特
開昭62−43819号公報、同63−175219号公報に記載され
ているような酸化鉄を主成分とする磁性薄膜は化学的に
安定なため腐食の心配がなく、また、充分な硬度を有し
ている。
〈発明が解決しようとする課題〉 酸化鉄を主成分とする磁性層は、通常、γ−Fe2O3
るいはCoを含有するγ−Fe2O3から構成される。
γ−Fe2O3磁性層は、通常、直接法または間接法によ
り形成される。
直接法としては、通常、直接中性法、直接還元法、直
接酸化法が用いられている。
直接中性法は、Arガス雰囲気中において、Fe3O4ター
ゲットを用いてFe3O4膜を形成し、これを酸化してγ−F
e2O3膜を得る方法である。
直接還元法は、H2ガスを含有するArガス雰囲気中にお
いて、α−Fe2O3ターゲットを用いてFe3O4膜を形成し、
これを酸化してγ−Fe2O3膜を得る方法である。
直接酸化法は、O2ガスを含有するArガス雰囲気中にお
いて、Feターゲットを用いて反応性スパッタを行なって
Fe3O4膜とし、これを酸化してγ−Fe2O3膜を得る方法で
ある。
また、間接法は、O2ガスを含有するArガス雰囲気中に
おいて、Feターゲットを用いて反応性スパッタを行なっ
てα−Fe2O3膜を形成し、これを還元してFe3O4膜とし、
さらに酸化を行なってγ−Fe2O3膜を得る方法である。
これらのいずれの方法においても、高いスパッタ速度
が得られることから、通常、マグネトロンスパッタ法が
用いられている。
マグネトロンスパッタ法では、不活性ガスを導入した
真空槽中にターゲットを設け、このターゲット裏面側に
磁石を設けて、ターゲット表面の近傍で電界と磁界とが
直交するマグネトロン放電を生じさせる。このような構
成では、電子がターゲット表面近傍で連続的な軌跡を描
くように運動するため、イオン密度が高まってターゲッ
トに衝突するイオンが増大し、ターゲット表面と対向し
て設けられている基板への付着速度も増大する。
一般に、スパッタ法ではスパッタが進むにつれてター
ゲットが侵食されるが、マグネトロンスパッタではター
ゲットが局部的に侵食される。
第1図はマグネトロンスパッタ装置の主要部を示す断
面図であり、ターゲット10は図示されるように侵食され
る。
このときの侵食領域は、漏洩磁界の方向がターゲット
表面とほぼ平行である領域に対応するが、従来のマグネ
トロンスパッタではこの領域が狭く、高価なターゲット
材の利用効率が低いものであった。
また、スパッタ時の雰囲気によっては、ターゲット表
面の侵食部分以外の領域が酸化等により変化を受けた
り、スパッタ粒子が再付着したりして、表面変質層を生
じることがある。そして、スパッタが進行するにつれて
侵食部の深さが増加すると共にその面積が増加するた
め、表面変質層が弾け出し、弾け出た異物がスパッタ膜
へ混入あるいは付着することがある。
ところが、上記した薄膜型磁気ディスクの磁性薄膜で
は主としてデジタル記録を行なうために、極めて低い膜
欠陥が要求される。このため、磁性薄膜中への異物の混
入や付着を極めて低く抑える必要がある。
例えば、γ−Fe2O3磁性層を形成する際に上記した直
接酸化法を用いる場合、O2ガスを含有するArガス雰囲気
中においてFeターゲットを用いて反応性スパッタを行な
うため、ターゲット表面の侵食領域以外の表面が酸化さ
れたりスパッタ粒子が再付着したりして、黒変部が現わ
れる。
そして、スパッタが繰り返されるに従って、侵食領域
の深さが増加すると共に侵食領域の面積も増加し、この
黒変部もスパッタされることになり、黒変部が塊状で弾
け出たりするため、基板に堆積するFe3O4膜へ弾け出た
異物の混入や付着が生じ、あるいはスパッタ後にこれら
の付着物がFe3O4膜表面から剥離したりし、これらの部
分が膜欠陥となる。
本発明は、このような事情からなされたものであり、
欠陥の少ないスパッタ膜が得られ、しかもターゲットの
利用効率の高いマグネトロンスパッタ法と、膜欠陥の少
ない連続薄膜型の磁性層を有する磁気記録媒体の製造方
法とを提供することを目的とする。
〈課題を解決するための手段〉 このような目的は、下記(1)〜(3)の本発明によ
り達成される。
(1)真空槽内にターゲットを設け、前記ターゲット裏
面側に磁石を配置し、前記ターゲット表面と対向して基
板を配置したマグネトロンスパッタ装置を用い、反応性
マグネトロンスパッタにより前記基板表面にスパッタ膜
を堆積させる方法において、 前記ターゲット表面における磁束密度の前記ターゲッ
ト表面と平行方向成分の最大値を、200〜400Gに設定す
るマグネトロンスパッタ法。
(2)前記真空槽内を4.0×10-4Torr〜2.0×10-3Torrの
圧力に保持して行なう上記(1)のマグネトロンスパッ
タ法。
(3)γ−Fe203を主成分とする連続薄膜型の磁性層を
剛性基板上に形成する工程において、 O2ガスを含有する雰囲気中で請求項1または2に記載
のマグネトロンスパッタ法を用いる成膜過程を有する磁
気記録媒体の製造方法。
〈作用〉 本発明では、マグネトロンスパッタ法においてターゲ
ットからの漏洩磁束密度を200〜400Gとするので、ター
ゲット表面から漏洩する磁界のうち、ターゲット表面に
ほぼ平行な成分が増加し、マグネトロン放電の生じる領
域が拡大する。このため、ターゲットの侵食領域が拡大
し、ターゲットの利用効率が増大する。
そして、このように侵食領域が拡大するため、得られ
るスパッタ膜の欠陥が減少する。
このような本発明のマグネトロンスパッタ法は、反応
性スパッタ、特に反応ガスとしてO2を用いる反応性スパ
ッタに適用した場合に効果が高い。
例えば、直接酸化法によりγ−Fe2O3磁性膜を形成す
る場合、Feターゲットを用いてO2ガスを含有するArガス
雰囲気中でFe3O4膜を形成するが、従来は侵食領域が狭
かったために侵食領域以外のターゲット表面に黒変異物
層が生じ、スパッタの進行に伴ってこの黒変異物層が弾
け出て基板のスパッタ膜に混入ないし付着し、膜欠陥を
生じていた。
しかし、本発明によれば、侵食領域がスパッタ開始時
から広いため、Feターゲット表面の黒変異物層形成が防
止され、異物がFe3O4膜へ混入することが減少し、最終
的に膜欠陥の極めて少ないγ−Fe2O3磁性層が得られ
る。
このため本発明により得られる磁気記録媒体では膜欠
陥に起因するエラーが著しく減少する。
なお、特開昭52−65898号公報には、スパッタ電圧を
制御してFe3O4を基板上に直接付着させ、これを大気中
で低温酸化させることにより、γ−Fe2O3からなる酸化
物磁性薄膜を製造する方法が記載されている。
また、特開昭53−3977号公報には、反応性スパッタリ
ング法により形成されたα−Fe2O3膜を還元したFe3O
4膜、あるいは反応性スパッタリング法により直接形成
したFe3O4膜を、大気中で酸化処理してγ−Fe2O3連続薄
膜を形成するに際し、スパッタリング・ターゲットにTi
およびCoを添加する方法が記載されている。
また、特開昭58−84419号公報には、比抵抗値が限定
された非化学量論比のマグネタイトを反応性スパッタリ
ングにより形成し、これを所定の温度で大気中熱処理す
ることによりγ−Fe2O3を形成する方法が記載されてい
る。
また、特開昭59−78518号公報には、FeまたはFe合金
をターゲットとし、ArガスまたはArとO3との混合ガスに
H2Oガスを混入させた雰囲気中で、反応性スパッタリン
グによりFe3O4膜を形成し、この反応性スパッタリング
時に不純物ガスであるCOガスの濃度を所定値以下に抑制
し、さらに、形成されたFe3O4膜を酸化処理してγ−Fe2
O3膜を形成する方法が記載されている。
上記各公報に記載された発明は、γ−Fe2O3を主成分
とする連続薄膜型の磁性層を形成する点では本発明と同
様であるが、上記各公報には、本発明で限定しているタ
ーゲット表面における漏洩磁束密度についての記載はな
い。
〈具体的構成〉 以下、本発明の具体的構成について詳細に説明する。
本発明はマグネトロンスパッタ法に適用される。
第1図にマグネトロンスパッタ装置の主要部分の構成
の1例を示す。
本発明に用いるマグネトロンスパッタ装置に特に制限
はなく、例えば第1図に示すような構成を有する通常の
マグネトロンスパッタ装置を用いればよい。
第1図に示される構成では、不活性ガス、反応ガス等
の雰囲気ガスを導入した真空槽(図示せず)中にターゲ
ット10が設けられ、このターゲット10裏面側に磁石11が
配置され、ターゲット10表面と対向して基板(図示せ
ず)が配置される。そして、ターゲット10が陰極とさ
れ、陽極が設けられるか、あるいは基板や真空槽が陽極
とされる。
このようなマグネトロンスパッタ装置では、陰極と陽
極間に電界を印加すると、ターゲット表面の近傍で電界
と磁界とが直交するマグネトロン放電が生じ、電子がタ
ーゲット表面近傍で連続的な軌跡を描くように運動す
る。この電子により不活性ガスがプラズマ化され、生じ
たイオンがターゲット表面に衝突してスパッタが行なわ
れ、ターゲットから飛び出した原子が基板表面に堆積し
てスパッタ膜を形成する。
本発明では、このようなマグネトロンスパッタ法にお
いて、ターゲット表面からの漏洩磁束密度を200〜400
G、好ましくは200〜300Gとなるように設定する。
ここで漏洩磁束密度とは、漏洩磁束密度のターゲット
表面と平行方向成分の最大値であり、ターゲット表面に
おいて測定された値である。
なお、スパッタを繰り返すことによりターゲットは侵
食されて表面に凹部が生じるが、このような場合、凹部
の表面において磁束密度を測定する。
また、磁束密度の測定は、ホール素子等を用いたガウ
スメータにより行なうことができる。
漏洩磁束密度をこの範囲とすることにより、ターゲッ
ト表面にほぼ平行方向の磁束の割合が増加し、マグネト
ロン放電の生じる領域が拡大する。
漏洩磁束密度がこの範囲未満であるとマグネトロン放
電が生じにくくなり、この範囲を超えるとターゲットの
侵食面積が臨界的に減少する。
なお、スパッタ時の漏洩磁界の強度は一定であること
が好ましいが、上記範囲内で変化してもよい。
また、スパッタの繰り返しによりターゲットが侵食さ
れると共に漏洩磁束密度は変化するが、この場合、漏洩
磁束密度を上記範囲内に保つために、ターゲットに印加
する電力、使用時間等をモニターしながらターゲット裏
面での磁界強度を変更できる構成とすることが好まし
い。ターゲット裏面での磁界強度を変更するためには、
制御が容易であることから磁石として電磁石を用いるこ
とが好ましいが、この他、磁石として永久磁石を用い、
磁石とターゲットとの距離を制御する構成としてもよ
い。
本発明では、漏洩磁界の強度を上記範囲とし、さら
に、真空槽内のガスの圧力、すなわちスパッタ圧力を4.
0×10-4Torr〜2.0×10-3Torrとすることが好ましい。
スパッタ圧力がこのように低くなると、上記した低漏
洩磁界強度による効果に加え、ターゲット表面での侵食
領域がさらに拡がり、Fe304膜への異物の混入が格段と
減少する。
スパッタ圧力がこの範囲未満となるとマグネトロン放
電が生じにくくなり、この範囲を超えると侵食領域のさ
らなる拡がりが期待できなくなる。
以下、本発明のマグネトロンスパッタ法の好ましい適
用例として、本発明の磁気記録媒体の製造方法について
説明する。
本発明では、γ−Fe2O3を主成分とする連続薄膜型の
磁性層を剛性基板上に形成する際に、上記したマグネト
ロンスパッタ方法を用いる。
γ−Fe2O3を主成分とする連続薄膜型の磁性層は、上
記したように直接法または間接法により形成される。
直接法は、まずFe3O4膜を形成し、これを酸化してγ
−Fe2O3膜を得る方法である。
直接法においてFe3O4膜を形成する方法としては、前
記したようにFeを主成分とするターゲットを用いてO2
スを含有するArガス雰囲気中にて行なう直接酸化法、タ
ーゲットにα−Fe2O3を用いて還元性雰囲気にて行なう
直接還元法、ターゲットにFe3O4を用いる直接中性法が
挙げられる。
これらの方法において、スパッタ膜への異物の混入な
いし付着が最も生じ易いのは直接酸化法であるので、本
発明は直接酸化法に適用されることが好ましい。
また、直接酸化法は、スパッタ制御が容易で、成膜速
度が高いことなどからも好ましい。
本発明では、直接酸化法におけるFe3O4膜形成時に、
ターゲット表面での漏洩磁束密度の範囲およびスパッタ
圧力(ArガスとO2ガスとの合計圧力)範囲を、前記した
範囲とする。このような条件で反応性マグネトロンスパ
ッタを行なうことにより、ターゲット表面に黒変異物層
が形成されることを抑制でき、欠陥の極めて少ない磁性
層が得られる。
本発明において、O2ガスは基板近傍に導入することが
好ましい。
直接法によるFe3O4薄膜形成の詳細は、電子通信学会
論文詩'80/9Vo1.J63−C No.9 p.609〜616に記載され
ており、本発明ではこれに準じて磁性層の形成を行なう
ことが好ましい。
なお、本発明では、DCスパッタ法を用いてもよく、高
周波スパッタ法を用いてもよいが、高周波マグネトロン
スパッタ法を用いることが好ましい。
スパッタ法により成膜されたFe3O4は、γ−Fe2O3にま
で酸化される。
この酸化は、O2ガス分圧0.05〜0.8気圧程度、全圧0.5
〜2気圧程度の雰囲気中での熱処理によって行なわれれ
ばよく、通常、大気中熱処理によって行なわれることが
好ましい。
熱処理における保持温度は200〜400℃、特に250〜350
℃であることが好ましく、温度保持時間は、10分〜10時
間、特に1時間〜5時間であることが好ましい。
なお、γ−Fe2O3を主成分とする磁性層中には、耐久
性を向上させるためにα−Fe2O3が含有されることが好
ましい。α−Fe2O3の含有量を耐久性向上に有効な程度
とするためには、上記熱処理に際し、昇温速度を3.5〜2
0℃/min、特に5.0〜12℃/minとすることが好ましい。
なお、昇温速度は一定であってもよく、漸増あるいは
漸減させてもよく、また、複数の昇温速度を組み合わせ
て保持温度まで昇温させてもよい。
磁性層中には必要に応じてCo、Ti、Cu等を添加させて
もよく、また、成膜雰囲気中に含まれるAr等が含有され
ていてもよい。
Coは保磁力を調整するために有効な元素である。磁性
層中のCoの含有量は、Feを10wt%以下置換する程度とす
るとどが好ましい。また、磁性層にCoを含有させるため
には、Coを含有するFeターゲットを用いればよい。
磁性層の層厚は、生産性、磁気特性等を考慮して、50
0〜3000Å程度とすることが好ましい。
なお、間接法は、O2ガスを含有するArガス雰囲気中に
おいて、Feターゲットを用いて反応性スパッタを行なっ
てα−Fe2O3膜を形成し、これを還元してFe3O4膜とし、
さらに酸化を行なってγ−Fe2O3膜を得る方法である。
この間接法では、上記した直接酸化法と同様にFeを主成
分とするターゲットを酸化性雰囲気にてスパッタする工
程を有し、しかも雰囲気中のO2ガス量が多いため、本発
明は極めて有効である。
このような磁性層が表面に形成される剛性基板として
は、下地層などを設層する必要がなく製造工程が簡素に
なること、また、研磨が容易で表面粗さの制御が簡単で
あること、磁性層の形成時およびその表面粗さ制御のた
めの熱処理に耐えることなどから、ガラスを用いること
が好ましい。
ガラスとしては、強化ガラス、特に、化学強化法によ
る表面強化ガラスを用いることが好ましい。
また、磁性層上には、有機化合物を含有する潤滑膜や
無機保護膜などを設けてもよい。
本発明のマグネトロンスパッタ法は、このような磁気
記録媒体の磁性層形成に限らず、例えば、半導体製造プ
ロセスにおけるSiO2、Si3N4、TiN膜の形成等、反応性ス
パッタを用いる種々の用途に好適である。また、ターゲ
ットを有効に利用できるという効果は、反応性スパッタ
以外の通常のマグネトロンスパッタ法に適用した場合で
も実現する。
〈実施例〉 以下、本発明の具体的実施例を挙げ、本発明をさらに
詳細に説明する。
[Fe3O4膜の形成] 外径130mm、内径40mm、厚さ1.9mmのアルミノケイ酸ガ
ラス基板を研磨し、さらに化学強化処理を施した。化学
強化処理は、450℃の溶融硝酸カリウムに10時間浸漬す
ることにより行なった。
次いで、このガラス基板表面をメカノケミカルポリッ
シングにより平滑化した。メカノケミカルポリッシング
には、コロイダルシリカを含む研磨液を用いた。
研磨後のガラス基板の表面粗さRmaxは50Åであった。
洗浄後のガラス基板表面に、γ−Fe2O3を主成分とす
る磁性層を直接酸化法により形成した。
まず、Arガス雰囲気中にて予備スパッタを行ない、Fe
ターゲット表面の酸化膜を除去した。次いで、O2ガスを
導入して反応性スパッタを行ない、Fe3O4膜を成膜し
た。なお、O2ガスは基板近傍に導入した。
この反応性スパッタには、第1図に示す構成を有する
マグネトロンスパッタ装置を用い、スパッタ条件を変え
て種々のFe2O3膜を形成した。これらのFe3O4膜の厚さは
2000Åとした。
なお、ターゲットの厚さは3mmとした。
スパッタ時のターゲット表面の漏洩磁界強度(ターゲ
ット表面において測定された磁束密度のターゲット表面
と平行方向成分の最大値)、印加電力密度PDおよびター
ゲット1個あたりのO2ガス流量OGFを、表1に示す。
なお、スパッタの進行に伴なってターゲット表面が侵
食されることにより漏洩磁束密度が変化するが、この実
施例では磁界発生源として電磁石を用い、発生磁界強度
を変化させることにより漏洩磁束密度を一定に保った。
このようにして形成された各Fe3O4膜表面を倍率50倍
の光学顕微鏡により観察し、1cmxlcmの範囲内に存在す
る異物の個数を膜表面の任意の4箇所について測定し、
その合計を求めた。結果を表1に示す。
以上の実施例の結果から、本発明の効果が明らかであ
る。
〈発明の効果〉 本発明によれば、欠陥の少ないスパッタ膜が得られ、
しかもターゲットの利用効率の高いマグネトロンスパッ
タ法と、膜欠陥が少なく、しかも耐久性の高い連続薄膜
型の磁性層を有する磁気記録媒体が実現する。
【図面の簡単な説明】
第1図は、マグネトロンスパッタ装置の主要部分の構成
を示す断面図である。 符号の説明 10…ターゲット 11…磁石
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−33765(JP,A) 特開 昭62−60867(JP,A) 特開 昭61−235561(JP,A) 特開 昭60−201529(JP,A) 特開 平1−213833(JP,A) 特開 平2−73522(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 5/851 G11B 5/852 C23C 14/35

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】真空槽内にターゲットを設け、前記ターゲ
    ット裏面側に磁石を配置し、前記ターゲット表面と対向
    して基板を配置したマグネトロンスパッタ装置を用い、
    反応性マグネトロンスパッタにより前記基板表面にスパ
    ッタ膜を堆積させる方法において、 前記ターゲット表面における磁束密度の前記ターゲット
    表面と平行方向成分の最大値を、200〜400Gに設定する
    マグネトロンスパッタ法。
  2. 【請求項2】前記真空槽内を4.0×10-4Torr〜2.0×10-3
    Torrの圧力に保持して行なう請求項1のマグネトロンス
    パッタ法。
  3. 【請求項3】γ−Fe2O3を主成分とする連続薄膜型の磁
    性層を剛性基板上に形成する工程において、 O2ガスを含有する雰囲気中で請求項1または2に記載の
    マグネトロンスパッタ法を用いる成膜過程を有する磁気
    記録媒体の製造方法。
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