JP2002075383A - 燃料電池用電極構造体およびその製造方法 - Google Patents
燃料電池用電極構造体およびその製造方法Info
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Abstract
止して、かつ氷点下から約85℃以上の温度サイクルに
おいても耐久性の高い燃料電池用電極構造体を提供す
る。 【解決手段】 一対の電極触媒層1とそれらの電極触媒
層1に挟まれる電解膜Mから構成さ、少なくとも一方の
面の電極触媒層1の触媒が電解膜Mに侵入して電極触媒
層1と電解膜Mとを一体形成した燃料電池用電極構造体
MEAであって、触媒を極性溶媒に溶解した後、イオン
導伝性高分子溶液に分散させたスラリーを電解膜Mの少
なくとも一方の面に直接塗布した後、加圧下に加熱を行
って電極触媒層1を形成するとともに、触媒のうちの一
部を加圧下で加熱した際に電解膜Mに侵入させて電極触
媒層1と電解膜Mとを一体形成した。
Description
れる燃料電池用電極構造体およびその製造方法に関す
る。より詳しく述べると、電極触媒層と電解膜とが一体
成形された燃料電池用電極構造体およびその製造方法に
関する。
して燃料電池の水素極側に供給するとともに、酸素を含
有する酸化ガスを燃料電池の酸素極側に供給して発電を
行う燃料電池を中核としたシステムである。この燃料電
池システムの中核をなす燃料電池は、化学エネルギーを
直接電気エネルギーに変換するものであり、高い発電効
率を有することや有害物質の排出量が極めて少ないこと
等から最近注目されている。
について図1を参照して説明を行う。図1に示すよう
に、燃料電池単セルCEは、電解膜Mの水素極側と酸素
極側の両側に設けられた電極触媒層1(1H、1O)から
構成された燃料電池用電極構造体MEAの両側に各々拡
散層2H、2O、セパレータ3H、3Oを積層され、構成さ
れている。なお、水素極側の部材には数字の後に添え字
Hを附し、酸素極側の部材には数字の後に添え字Oを附
し、水素極・酸素極の区別を行わない場合には数字の後
に添え字を附さないものとする。
ロトン(イオン)交換膜であるパーフロロカーボンスル
ホン酸膜が一般に使われている。この電解膜Mは、固体
高分子中にプロトン交換基を多数持ち、飽和含水するこ
とにより常温で20Ω/cmプロトン以下の低い比抵抗
を示し、プロトン導伝性電解質として機能する。このよ
うに燃料電単セルCEに固体高分子膜を用いることか
ら、該単セルCEを積層して構成される燃料電池は、固
体高分子型燃料電池と呼ばれている。
・還元触媒機能を有する触媒金属をカーボン等の担体に
担持させた触媒粒子をイオン(プロトン)導電性樹脂に
分散させて構成されている。
表面の流路4と接触して設けられ、電子を電極触媒層1
とセパレータ3との間で伝達させる機能および各々燃料
ガス(水素ガス)および酸化ガス(空気)を拡散して電
極触媒層1に供給する機能を有しており、一般にカーボ
ンペーパー、カーボンクロス、カーボンフェルト等のカ
ーボン系の材料から形成されている。セパレータ3は、
気密性及び熱伝導率の優れた材料から構成され、燃料ガ
ス、酸化ガスおよび冷媒を分断する機能を有するととも
に、流路4を持ち、そして電子伝達機能を有している。
Oの酸素極側ガス流路4Oに供給空気が通流され、セパレ
ータ3Hの水素極側ガス流路4Hに供給水素H2が供給さ
れると、水素極側で水素が電極触媒層1Hにおける触媒
の触媒作用でイオン化してプロトンが生成し、生成した
プロトンは、電解膜M中を移動して酸素極側に到達す
る。そして、酸素極側に到達したプロトンは、電極触媒
層1O中の触媒の存在下、供給空気の酸素から生成した
酸素イオンと直ちに反応して水を生成する。生成した水
及び未使用の酸素を含む供給空気は、排出空気として燃
料電池FCの酸素極側の出口から排出される(排出空気
は多量の水分を含む)。また、水素極側では水素がイオ
ン化する際に電子e-が生成するが、この生成した電子
e-は、モータなどの外部負荷を経由して酸素極側に達
する構成となっている(図1の矢印参照)。このような
燃料電池単セルCEは、数百枚積層して燃料電池とし
て、例えば車両等に搭載されて使用される。
の燃料電池単セルCEにおいて、電極触媒層1は、電解
膜Mに電極触媒層1を貼付した後に、ホットプレス等に
より熱圧着して構成していた。しかしながら、このよう
な方法で構成された電極触媒層1は、電極触媒層1と電
解膜Mとの界面において電極触媒層C1の凹凸により食
い込みは有するが、接着界面はほぼ平坦である。従っ
て、例えば車両等に搭載して燃料電池を使用する場合に
は、燃料電池は、外気温(冬季における氷点下の温度)
から車両走行時における約85℃以上の温度サイクルを
有しているが、高温下で運転する等の高温環境下におい
ては接着強度が十分に得られず、剥離現象を起こす場合
があり、また、このような温度サイクルにおいて電解膜
と電極触媒層の界面が疲労し、耐久性の点で改善する余
地があった。
触媒層1との界面の剥離を防止して、かつ氷点下から約
85℃以上の温度サイクルにおいても耐久性の高い燃料
電池用電極構造体を提供することである。本発明の別の
課題は、かかる耐久性の高い燃料電池用電極構造体を効
率よく製造する燃料電池用電極構造体の製造方法を提供
することである。
技術の実状に鑑み鋭意検討を重ねた結果、一対の電極触
媒層とそれらの電極触媒層に挟まれる電解膜から構成さ
れ、少なくとも一方の面の前記電極触媒層の触媒が前記
電解膜に侵入して前記電極触媒層と電解膜とが一体形成
することによって前記課題を解決できることを見出し
て、本発明を完成するに至った。
それらの電極触媒層に挟まれる電解膜から構成さ、少な
くとも一方の面の前記電極触媒層の触媒が前記電解膜に
侵入して前記電極触媒層と前記電解膜とを一体形成した
燃料電池用電極構造体であって、前記電極触媒層を、前
記触媒を極性溶媒に溶解した後、イオン導伝性高分子溶
液に分散させたスラリーを前記電解膜の少なくとも一方
の面に直接塗布した後、加圧下に加熱を行って形成する
とともに、前記触媒のうちの一部を前記加圧下で加熱し
た際に前記電解膜に侵入させて前記電極触媒層と前記電
解膜とを一体形成したことを特徴とするものである(請
求項1)。このように構成することにより、電極触媒層
が形成される際に、電極触媒層と電解膜とが両者の境界
面で組成が連続的に変化して一体形成され、電解膜と電
極触媒層との界面における剥離が発生せず、また所定の
温度サイクルにおいても電極構造体の耐久性が増加する
ことが可能となる。なお、極性溶媒は、電解膜を溶解す
る性質を有するものである。この構成では、電解膜に触
媒が侵入する他、電解膜の上にイオン導伝性高分子及び
触媒が肉盛りされて電極触媒層が形成される。
体において、前記電解膜のイオン交換容量をAとし、前
記形成した電極触媒層のイオン交換容量をBとし、前記
加圧下で加熱する前における前記電解膜の厚みをC(μ
m)とし、前記加圧下で加熱した後における前記電解膜
の前記触媒が侵入していない部分の厚みをD(μm)と
して下記式(1): (A−B)/(C−D)・・・(1) で計算された前記電極触媒層と前記電解膜との界面にお
けるイオン交換密度傾斜係数が3.5×103meq/
g/cm以下であることが好ましい(請求項2)。この
ように電極触媒層と電解膜との一体部分を規定すること
によって、耐久性はより確実なものとなる。
体において前記触媒の前記電解膜への侵入深さが5μm
〜20μmの範囲内であることが好ましい(請求項
3)。同様にして、電極触媒層と電解膜との一体部分を
規定することによって、耐久性はより確実なものとな
る。
構造体の製造方法は、一対の電極触媒層とそれらの電極
触媒層に挟まれる電解膜から構成され、少なくとも一方
の面の前記電極触媒層の触媒が前記電解膜に侵入して前
記電極触媒層と前記電解膜とを一体形成した燃料電池用
電極構造体の製造方法であって、前記電極触媒層を構成
する触媒を極性溶媒に溶解した後、イオン導伝性高分子
溶液に分散させて粘度5,000〜25,000mPa
・秒のスラリーを調製し、このようにして調製したスラ
リーを前記電解膜の少なくとも一方の面に直接塗布した
後、加圧下で加熱して前記触媒のうちの一部を前記電解
膜へ侵入させて電極触媒層を前記電解膜と一体形成する
ことを特徴とする(請求項4) このように構成することによって、耐久性の優れた電極
構造体を容易・かつ確実に製造することが可能となる。
なお、極性溶媒は、電解膜を溶解する性質を有するもの
である。
構造体の製造方法において、前記電解膜に直接塗布した
前記スラリー中の極性溶媒を20mg/cm2〜100
mg/cm2の量で残存した状態で加圧下に加熱して前
記触媒を前記電解膜へ侵入させることが好ましい(請求
項5)。このように構成することによって、さらに優れ
た耐久性を有する電極構造体を容易・かつ確実に製造す
ることが可能となる。
図面を参照して詳細に説明するが、本発明はこれらの実
施の形態に限定されるものではない。図1は、本発明が
適用される燃料電池単セルの概略を示す概略図であり、
図2は、本発明の燃料電池用電極構造体(以下「電極構
造体」という)の断面図であり、図3は、触媒粒子の構
成を示す模式図であり、図4は、本発明の電極構造体の
製造の様子を示す模式図である。
1に示す通り、一実施形態の電極構造体MEAは、電解
膜Mと電解膜Mの両側に積層された電極触媒層1とから
主として構成され、このようにして構成された電極構造
体MEAの両側に拡散層2およびセパレータ3が積層さ
れて燃料電池単セルCEが構成されている。このような
燃料電池単セルCEが多数積層されて燃料電池が形成さ
れる。
ばプロトン(イオン)交換膜であるパーフロロカーボン
スルホン酸膜が一般に使われている。この電解膜Mは、
前述の通り固体高分子中にプロトン交換基を多数持ち、
飽和含水することにより常温で20Ω/cmプロトン以
下の低い比抵抗を示し、プロトン導伝性電解質として機
能するものである。なお、本発明において使用できる電
解膜Mは、燃料電池単セルCEにおいて使用されている
ものであればこれに限定されるものではない。
Aにおける電極触媒層1は、イオン(プロトン)導電性
樹脂に触媒金属を担持した担体から構成される触媒粒子
(図3参照)を分散させて構成されている。この際に、
通常触媒金属として白金族金属、一般には白金が担体と
して、カーボンに担持されて形成されている。しかしな
がら、本発明においては、燃料電池の触媒として使用可
能であればこれらに限定されるものではない。また、撥
水効果および貯水効果を高めるため、あるいは電極触媒
層2が拡散層3に食い込むのを防止する目的で図示しな
い下地層を拡散層2とセパレータ3との間に設けてもよ
い。下地層は、カーボンブラック粉末とテフロン粉末か
らあるいはカーボンブラック粉末と電解質溶液から構成
される。
電極触媒層1における触媒粒子の一部が所定の距離だけ
電解膜Mの両側に侵入した構成を有していることを特徴
とする。すなわち、従来の電極構造体のように電解膜と
電極触媒層との間に明確な界面を有するのではなく、触
媒(電極触媒層1を構成する材料)が電解膜Mの一部に
所定の度合いで侵入し、電解膜Mと電極触媒層1とが一
体形成されている。この際の、触媒(触媒粒子)の電解
膜Mへの侵入の度合いは、電解膜Mのイオン交換容量を
Aとし、電極触媒層1のイオン交換容量をBとし(該イ
オン交換容量は電解膜Mに触媒粒子が侵入していないと
した場合におけるもの)、加圧下で加熱する前の電解膜
の厚みをC(μm)とし、両側から侵透した触媒粒子間
の距離をDw(μm)として下記式(1): (A−B)/(C−Dw)/2・・・(1) で計算された電極触媒層1と電解膜Mとの界面における
イオン交換密度傾斜係数として表すことができる。な
お、距離Dwは、電解膜Mにおける触媒粒子が侵入して
いない部分の厚みである。
(C−Dw)/2だけ侵入した際の、単位長さ当りのイ
オン交換容量の増分として示す。本発明において、この
ようなイオン交換密度傾斜係数が3.5×103meq
/g/cm以下であることが好ましいことが実験的に見
出された。すなわち、イオン交換密度傾斜係数が3.5
×103meq/g/cmを超えた場合には、電極触媒
層1と電解膜Mの一体形成が不充分であり(つまり両者
1,Mが渾然一体となって形成されている部分〔グラデ
ェーション部分〕が少なく)、電極触媒層1と電解膜M
の剥離防止という観点から好ましくない。
度合いを決定する別の尺度として、触媒粒子の電解膜へ
の侵入深さ(すなわち、(C−Dw)/2そのもの)が
挙げられる。このような電解膜Mへの侵入深さは、5μ
m〜20μmの範囲内であることが好ましい。触媒粒子
の電解膜Mへの侵入が浅過ぎると、電極触媒層1と電解
膜Mの剥離防止という観点から好ましくない。一方、侵
入が深すぎると、電解膜Mの性能を低下する。
るために、電極触媒層1を、触媒粒子とイオン導伝性高
分子電解膜とから構成される電極触媒層スラリーを電解
膜に直接塗布した後、加圧下に加熱を行って前記触媒粒
子のうちの一部を前記電解膜に侵入させて電解膜と一体
形成を行っている。すなわち、本発明において、電極触
媒層1を、触媒粒子を極性溶媒に溶解した後、イオン導
伝性高分子溶液に分散させたスラリーを調製し、このよ
うにして調製したスラリーを電解膜Mに所定の厚みで直
接塗布する。次いで、加圧下に加熱を行って前記触媒粒
子のうちの一部を前記電解膜に侵入させて電極触媒層1
と電解膜Mとを一体形成する。
媒粒子を電解膜Mに侵入するために使用されるものであ
り、電解膜Mに可溶な極性溶媒が使用される。本発明に
おいて使用できる極性溶媒は、電解膜Mと電極触媒層1
とが一体成形可能であれば特に制限されないが、例えば
ジメチルアセトアミド(沸点:165.5℃)、ジメチ
ルホルムアミド(沸点:153℃)、ジメチルスルホキシ
ド(沸点:189℃)、トリエチルホスフェート(沸
点:115℃)、N−メチルピロリドン(沸点:202
℃)等が挙げられ、これらを単独であるいは二種類以上
の混合物として使用できる。また、高分子イオン交換成
分として、従来燃料電池に使用されているものであれば
特に限定されるものではないが、例えばポリエーテルエ
テールケトン、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、
ポリエーテルイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリ
フェニレンオキシド等が挙げられ、これらを単独である
いは二種類以上の混合物として使用することができる。
前記スラリーを電解膜Mの片面に塗布して、加圧下に加
熱して(ホットプレス)して片面づつ一体的に積層する
ことも可能であるが、電極構造体MEAが熱歪等により
湾曲する可能性があるので、電解膜Mの両面にスラリー
を塗布して電解膜Mと電極触媒層1を一体成形すること
が好ましい。この際の加圧圧力、加熱温度、ホットプレ
ス時間は、使用する溶媒、スラリー粘度等により適宜選
択されるが、代表的には1.5〜2.5MPa(15〜
25kgf/cm2)の圧力、及び120〜180℃の
温度で30〜60秒間ホットプレスするのが好ましい。
この際に、前記溶媒は、20mg/cm2以上の量で残
存させると、前記条件と相俟ってホットプレス時のスラ
リー中の残存溶媒による電解膜Mの表面の溶解を可能な
らしめ、触媒の電解膜Mへの侵入を容易にし、該触媒を
ある程度の深さに押し込むことが可能となるので好まし
い。
Mに直接塗布する操作を行うことができ、本発明に規定
する所定の電極触媒層1を形成することができる範囲内
であれば特に制限されないが、好ましくは5,000〜
25,000mPa・秒の範囲内である。すなわち、ス
ラリー粘度が5,000mPa・秒未満であるとホット
プレスした際にスラリー漏れが起こる可能性があり、逆
にスラリー粘度が25,000mPa・秒を超えるとス
ラリーの取扱いが困難になる場合がある。
体MEAにおける電解層Mと一体成形することによって
電解膜Mと電極触媒層1の界面の圧着強度を高め、高温
時の熱応力により発生するこれらの界面の剥離や温度サ
イクルによる冷熱剥離を防止することが可能となる。
て一実施形態の電解膜Mと電極触媒層1が一体成形され
た電極構造体MEAの製造方法について述べる。電極構
造体MEAを製造するに当たって、まず触媒粒子を、電
解膜Mを可溶な極性溶媒に溶解し、そしてイオン導伝性
高分子溶液に分散させて粘度が5,000〜25,00
0mPa・秒となるようにスラリーを形成する。次い
で、このようにして調製されたスラリーを図4(a)に
示す通り、所定量、電解膜Mに直接塗布を行う。なお、
所望に応じてカーボンブラック粉末とテフロン粉末から
あるいはカーボンブラック粉末と電解質溶液(イオン導
伝性高分子溶液)から構成される下地層形成用スラリー
を電極触媒層形成用のスラリーの上に重ねて塗布して下
地層を形成することも可能である。
一部を拡大した断面図であり、本発明により触媒層1が
電解膜Mと一体成形される様子を示すものである。図4
(b)に示す通り、まず塗布した電極触媒形成用のスラ
リー中の電解膜Mを可溶な極性溶媒が電解膜Mを溶かし
はじめる。次いで、図4(c)に示す通り、極性溶媒が
電解膜の一部を溶解する。次いで、図4(d)に示す通
り、電極触媒形成用スラリーの上からホットプレスを行
うと、電解膜を極性溶媒が溶解した部分に触媒粒子Ca
tが侵入する。この際に極性溶媒(有機溶媒)を20m
g/cm2以上の量で残存させた状態からホットプレス
を行うことが好ましい。このようにしてホットプレスを
行った後、温度・圧力を開放すると、図4(e)に示す
通りに、電解膜Mと電極触媒層1とを一体成形した電極
構造体MEAが形成される。このように、簡単な工程で
所望とする耐久性の高い電極構造体MEAを製造するこ
とが可能となる。なお、本発明では、電解膜Mの上に肉
盛りされた状態で電極触媒層1が形成されるが、両者
(電解膜M,電極触媒層1)の境界部分は渾然一体にな
っている。
するが本発明は以下の実施例に限定されるものではな
い。 [実施例1]極性溶媒可溶の電解質成分(PE;イオン導
伝性高分子物質)を触媒粒子(Cat)に対して質量比
PE/Cat=0.4となる割合で混合して、溶媒(N
−メチルピロリドン)を粘度が5,000mPa・秒と
なるように添加してスラリーを調製した。このようにし
て調製されたスラリーを極性溶媒量の残量(残存溶媒
量)が100mg/cm2となるまで乾燥し、次いでホ
ットプレスを行って、電極触媒層1と電解膜Mとを一体
形成して本発明の電極構造体MEAを得た。得られた電
極構造体MEAの物性を表1、図5および図6に示す。
なお、表1において、触媒の侵入深さは走査型電子顕微
鏡(SEM)により実測して求め、そして傾斜密度は同
様に両側から侵入した触媒(触媒粒子)間の平均距離を
求め、前記(1)式により算出したものである。また、
冷熱剥離率は、−40℃で30分間、90℃で30分間
の冷間環境と熱間環境を100サイクル繰り返し行い、
表面の剥離状態を画像処理した。数値は、単位観察面積
中の剥離面積を換算し求め、クロスリーク量(ガス透過
性cc/cm2・分)は燃料電池単セルに試料を組み付け
た後に、これを水没させ、試料ガスをガス供給口より供
給し、膜試料を通して、ガス排出口から排出してきた試
料ガス量を測定し、求めた。
リーの粘度および残存溶媒量を表1に示す通りに変更し
た以外は実施例1を繰り返した。結果を表1、図5およ
び図6に示す。
と電解膜Mとを一体成形した電極構造体MEAは、良好
な冷熱剥離率およびクロスリーク量(ガス透過性cc/
cm2・分)を示し、特に触媒粒子の侵入深さ5〜20μ
m(密度傾斜係数859.00〜3436.00)の範
囲のものが特に好ましいことが分かる。一方、電極触媒
層と電解膜が一体成形されていない比較例1では冷熱剥
離率が著しく劣っているのが分かる。ちなみに、侵入深
さが浅いと、密度傾斜係数が大きくなり、冷熱剥離率も
大きくなる傾向にあることが分かる。逆に侵入深さが深
いと、密度傾斜係数が小さくなり冷熱剥離率も小さくな
る傾向にあることが分かる。また、触媒の侵入深さを深
くするには、スラリーの粘度が小さい方がよいことが分
かる。同時に、触媒の侵入深さを深くするには、残存溶
媒が多い方がよいことが分かる。また、図6に示す通
り、本発明の電極構造体MEAは比較例1の電極構造体
と比較して測定した全ての電流密度範囲で端子電圧が高
いことが分かる。従って、本発明の電極構造体MEA
は、従来の電極構造体と比較して耐久性が優れているだ
けでなく、より高い電力を供給することができる。
は、電極触媒層が形成される際に、電極触媒層と電解膜
とが両者の境界面で組成が連続的に変化して一体形成さ
れる。したがって、電解膜と電極触媒層との界面におけ
る剥離が発生せず、また所定の温度サイクルにおいても
電極構造体の耐久性が増加することが可能となる(請求
項1)。なお、電解膜と電極触媒層を一体成形した電極
構造体を含む燃料電池単セルは、電極構造体において電
解膜と電極触媒層の界面における剥離が発生せず、燃料
電池全体の耐久性を向上させることが可能となる。しか
も、この燃料電池は、従来技術のものと比較して高い出
力を得ることができる。また、電極触媒層と電解膜との
界面におけるイオン交換密度傾斜係数が3.5×103
meq/g/cm以下とすると、より高い耐久性が得ら
れる(請求項2)。さらに、前記電極構造体において触
媒粒子の電解膜への侵入深さが5μm〜20μmの範囲
内とするとより高い耐久性が得られる(請求項3)。こ
のように優れた電極構造体は、電極触媒層を構成する触
媒粒子を極性溶媒に溶解した後、イオン導伝性高分子溶
液に分散させて粘度5,000〜25,000mPa・
秒のスラリーを調製し、このようにして調製したスラリ
ーを電解膜に直接塗布し、加圧下で加熱して触媒を電解
膜へ侵入させて電極触媒層を電解膜と一体形成すること
により容易に製造することができる(請求項4)。ま
た、電極拡散層に直接塗布した触媒粒子分散イオン導伝
性高分子の有機溶媒を20mg/cm2〜100mg/
cm2の量で残存した状態で加圧下に加熱して触媒粒子
を電解膜へ侵入させるとさらに優れた耐久性を有する電
極構造体を容易・かつ確実に製造することが可能となる
(請求項5)。
す概略図である。
の断面図である
である。
深さとガス透過性および冷熱剥離率の関係を示すグラフ
である。
圧の関係を示すグラフである。
Claims (5)
- 【請求項1】 一対の電極触媒層とそれらの電極触媒層
に挟まれる電解膜から構成さ、少なくとも一方の面の前
記電極触媒層の触媒が前記電解膜に侵入して前記電極触
媒層と前記電解膜とを一体形成した燃料電池用電極構造
体であって、前記触媒を極性溶媒に溶解した後、イオン
導伝性高分子溶液に分散させたスラリーを前記電解膜の
少なくとも一方の面に直接塗布した後、加圧下に加熱を
行って前記電極触媒層を形成するとともに、前記触媒の
うちの一部を前記加圧下で加熱した際に前記電解膜に侵
入させて前記電極触媒層と前記電解膜とを一体形成した
ことを特徴とする燃料電池用電極構造体。 - 【請求項2】 前記電解膜のイオン交換容量をAとし、
前記形成した電極触媒層のイオン交換容量をBとし、前
記加圧下で加熱する前における前記電解膜の厚みをC
(μm)とし、前記加圧下で加熱した後における前記電
解膜の前記触媒が侵入していない部分の厚みをD(μ
m)として下記式(1): (A−B)/(C−D)・・・(1) で計算された前記電極触媒層と前記電解膜との界面にお
けるイオン交換密度傾斜係数が3.5×103meq/
g/cm以下であることを特徴とする、請求項1に記載
の燃料電池用電極構造体。 - 【請求項3】 前記触媒の前記電解膜への侵入深さが5
μm〜20μmの範囲内であることを特徴とする、請求
項1または請求項2に記載の燃料電池用電極構造体。 - 【請求項4】 一対の電極触媒層とそれらの電極触媒層
に挟まれる電解膜から構成され、少なくとも一方の面の
前記電極触媒層の触媒が前記電解膜に侵入して前記電極
触媒層と前記電解膜とを一体形成した燃料電池用電極構
造体の製造方法であって、前記電極触媒層を構成する触
媒を極性溶媒に溶解した後、イオン導伝性高分子溶液に
分散させて粘度5,000〜25,000mPa・秒の
スラリーを調製し、このようにして調製したスラリーを
前記電解膜の少なくとも一方の面に直接塗布した後、加
圧下で加熱して前記触媒のうちの一部を前記電解膜へ侵
入させて電極触媒層を前記電解膜と一体形成することを
特徴とする燃料電池用電極構造体の製造方法。 - 【請求項5】 前記電解膜に直接塗布した前記スラリー
中の極性溶媒を20mg/cm2〜100mg/cm2の
量で残存した状態で加圧下に加熱して前記触媒を前記電
解膜へ侵入させることを特徴とする請求項4に記載の燃
料電池用電極構造体の製造方法。
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