JP2009080974A - 燃料電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】膜電極接合体を備えた燃料電池の製造方法において、触媒層の低平滑性を緩和して、該触媒層に隣接する電解質膜として、厚さが薄くても触媒層の凹凸を充分に被覆できる電解質膜を作製し、反応ガスのクロスリークを防ぐ。
【解決手段】以下の(1)式及び(2)式を満たすことを特徴とする燃料電池の製造方法: 1)転写用基材の一面側に第1触媒層及び第1電解質層2aをこの順序で塗布により形成して転写シートを作成する工程、 2)第2拡散層の一面側に第2触媒層及び第2電解質層2bをこの順序で塗布により形成する工程、 3)該転写シートの第1電解質層と、該第2電解質層とが接触して一体の高分子電解質膜となるように、該転写シートを該第2電解質層に接合する工程、及び 4)該転写シートの基材を除去する工程Lm1≧Ra……(1)Lm1+Lm2≧Ra+Rc……(2)
【選択図】図1

Description

本発明は、固体高分子電解質型燃料電池に関する。
燃料電池は、燃料と酸化剤を電気的に接続された2つの電極に供給し、電気化学的に燃料の酸化を起こさせることで、化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換する。火力発電とは異なり、燃料電池はカルノーサイクルの制約を受けないので、高いエネルギー変換効率を示す。電解質として固体高分子電解質を用いる固体高分子電解質型燃料電池は、小型化が容易であること、低い温度で作動すること、などの利点があることから、特に携帯用、移動体用電源として注目されている。
固体高分子電解質型燃料電池では、水素を燃料とした場合、アノード(水素極)では(1)式の反応が進行する。
→ 2H + 2e …(1)
(1)式で生じる電子は、外部回路を経由し、外部の負荷で仕事をした後、カソード(酸化剤極)に到達する。そして、(1)式で生じたプロトンは、水と水和した状態で、固体高分子電解質膜内を水素極側から酸化剤極側に、電気浸透により移動する。
また、酸素を酸化剤とした場合、酸化剤極では(2)式の反応が進行する。
2H + (1/2)O + 2e → HO …(2)
酸化剤極で生成した水は、主としてガス拡散層を通り、外部へと排出される。
このように、燃料電池では、水以外の排出物がなく、クリーンな発電装置である。
電解質膜の両面に電極を積層したものを膜電極接合体(MEA)という。電解質膜の両面に設けられて一対となる電極(すなわち燃料極及び酸化剤極)は、一般的に、電解質膜側から順に、触媒層、ガス拡散層が積層した構造を有しているものが多い。
触媒層は、通常、各電極における反応を促進する触媒成分、プロトン伝導路を形成する高分子電解質、及び電子伝導路を形成する導電性材料を含み、各電極反応の場となる部分である。触媒層に含まれる高分子電解質としては、上記電解質膜を形成する高分子電解質と同様のものが用いられることが多い。
一方、ガス拡散層は、導電性多孔質体からなり、触媒層への反応ガスの拡散及び電子伝導性を向上させることを目的として設けられている。
燃料電池の膜電極接合体(MEA)を形成する方法としては、例えば、触媒成分と高分子電解質と導電性材料とを溶媒に溶解・分散させた触媒インクを、ガス拡散層となる導電性多孔質体に塗布、乾燥した後、該導電性多孔質体を、触媒インクの塗布面を電解質膜側にしてシート状の電解質膜(例えば、Nafion(商品名、Dupont社製)のようなパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂膜に代表されるフッ素系高分子電解質膜)と熱圧着する方法がある。また、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の基板上に塗布、乾燥した触媒インクを導電性多孔質体に転写し、さらに、この導電性多孔質体の触媒層とシート状の電解質膜とを熱圧着する方法がある。或いは、電解質膜の表面に触媒インクを塗布、乾燥したのち、当該電解質膜を触媒インクの塗布面を導電性多孔質体側にして導電性多孔質体と熱圧着する方法などもある。
しかし、上記従来の方法ではシート状の電解質膜を使用し、触媒インクを乾燥・固化した状態の触媒層に該電解質膜を積層し、加熱圧着するので、層の境界に密着不良部分が発生する虞がある。燃料電池用電極の各層に密着不良部分が発生すると、電流を効率よく発生することが難しくなり、製造ラインの検査の段階において、これらの燃料電池用電極が廃棄処分や修復処分になり、生産性の向上を妨げる一つの要因となっていた。
加えて、電解質膜としてシート状の電解質膜を使用しているので、電解質膜のハンドリング性(取扱い性)を考慮すると電解質膜をある程度厚くする必要がある。燃料電池の発電特性向上のためには電解質膜を薄膜化することが重要であるが、上記理由により、MEAを薄くすることが困難であった。
上記問題に対応するために、例えば特許文献1及び特許文献2のように、電解質膜の形成に溶液を使用し、燃料極又は酸化剤極の拡散層102a上に形成された未乾燥の触媒層103aの上に該電解質膜用溶液を塗布して電解質膜104を形成し、該電解質膜104が未乾燥のうちに、他方の酸化剤極又は燃料極の触媒層103bを形成し、該触媒層103bの上面に他方の酸化剤極又は燃料極の拡散層102bを設けて積層体を形成し、該積層体を乾燥することで膜電極接合体(MEA)101を作製する手法が提案されている(図3参照)。
しかしながら、このような従来の方法のように、拡散層上に触媒層、電解質膜をこの順序で塗布・乾燥する場合には、平滑な表面を有する薄い電解質膜を得ることが難しい。その理由としては、拡散層は多孔質体であるため平滑性が低く、そのような拡散層上に形成された触媒層の表面には拡散層の凹凸が影響し、また、触媒層自体が粒子や繊維を含むため、触媒層の表面の平滑性は低くなり、さらにそのような触媒層の上にできる限り電解質膜を薄く形成しようとすると、触媒層表面の凸部を被覆しきれず電解質膜の厚さが不十分な部分が生じて電解質膜に孔が生じ、反応ガスのクロスリークが発生する虞があることが挙げられる。
特許文献1には、上述したような手法を用いて更に、拡散層にバインダーを塗布し、該バインダーが未乾燥のうちに押圧してバインダーが塗布された拡散層の表面を平坦化する燃料電池用電極の製造方法が開示されている。
しかし、通常、拡散層の凹凸は比較的大きく、そのような拡散層の凹凸を全て被覆するためにバインダーを拡散層に厚く塗布することはMEAの薄層化を促進することにはならないため、拡散層にバインダーを塗布して押圧するだけでは、拡散層を十分に平滑にすることは難しい。したがって、従来の方法では、表面が充分に平滑な薄い電解質膜を得ることは困難である。
特開2003−346833号公報 特開2003−346822号公報
本発明者らは、鋭意研究を重ね、従来のように拡散層上に触媒層及び電解質層を形成するのではなく、転写用基材上に触媒層及び電解質層を塗布により形成し、これを別に形成したもう一方の触媒層上に熱圧着し、該転写用基材を剥離した後に拡散層を設ける考えに至った。これによって、塗布による膜形成の利点である電解質膜の薄膜化及び高い密着性が得られ、且つ、従来の塗布による膜形成の課題である電解質膜の良好な平滑性が得られると考えた。そこで、転写用基材の一面側に触媒層及び電解質層をこの順序で塗布により形成した転写シートを一対用意して、2つの転写シートの電解質層同士を熱圧着により接合させた後、一方の転写用基材を剥離し、その剥離した側に拡散層を設け、他方の転写用基材にも同様にして拡散層を設けようとしたところ、該他方の転写用基材を容易に剥がすことができないという知見を得た。
本発明は、上記実情を鑑みて成し遂げられたものであり、膜電極接合体を備えた燃料電池の製造方法において、触媒層の低平滑性を緩和して、該触媒層に隣接する電解質膜として、厚さが薄くても触媒層の凹凸を充分に被覆できる電解質膜を作製し、反応ガスのクロスリークを防ぐことを目的とする。
本発明の燃料電池の製造方法は、高分子電解質膜と、該高分子電解質膜の一面側に設けられた第1触媒層と、該第1触媒層の該高分子電解質膜と接しない側に設けられた第1拡散層と、該高分子電解質膜の他面側に設けられた第2触媒層と、該第2触媒層の該高分子電解質膜と接しない側に設けられた第2拡散層とを有する膜電極接合体を備えた燃料電池の製造方法であって、
以下の工程を含む手法により該膜電極接合体を形成し、且つ、以下の(1)式及び(2)式を満たすことを特徴とする:
1)転写用基材の一面側に第1触媒層及び第1電解質層をこの順序で塗布により形成して転写シートを作成する工程、
2)第2拡散層の一面側に第2触媒層及び第2電解質層をこの順序で塗布により形成する工程、
3)該転写シートの第1電解質層と、該第2電解質層とが接触して一体の高分子電解質膜となるように、該転写シートを該第2電解質層に接合する工程、及び
4)該転写シートの基材を除去する工程
Figure 2009080974
Figure 2009080974
式中、Lm1は第1電解質層の厚さ、Raは第1触媒層の表面の最大粗さ、Lm2は第2電解質層の厚さ、及びRcは第2触媒層の表面の最大粗さをいう。
前記燃料電池の製造方法は、更に、第1拡散層を形成する工程を含む。
前記燃料電池の製造方法において、(2)式におけるLm1+Lm2が10μm以下である高分子電解質膜を形成することができる。
前記燃料電池の製造方法において、前記第1電解質層の厚さは、前記第2電解質層の厚さよりも大きいことが好ましい。
前記高分子電解質膜と同じ材料の高分子電解質膜のガス透過係数Prに対して、前記膜電極接合体のガス透過係数Pmeaは下記(3)式を満たすことができる。
Figure 2009080974
前記第1電解質層は、スピンコート法によって形成されることが好ましい。
さらに、前記転写用基材がポリテトラフルオロエチレン(PTFE)からなり、転写用基材の表面の最大粗さが0.5μm以下であることが好ましい。
本発明によれば、転写用基材の一面側に第1触媒層及び第1電解質層をこの順序で塗布により形成した転写シートで、該第1触媒層及び第1電解質層を、第2触媒層及び第2電解質層をこの順序で塗布により一面側に形成された第2拡散層に、該第1電解質層と該第2電解質層が接触するように熱圧着して転写することによって、第1電解質層と第2電解質層が一体となった高分子電解質膜であって、第1及び第2触媒層の凹凸を吸収して孔が生じない、且つ、薄い膜厚の高分子電解質膜を作製することができる。そのため、反応ガスのクロスリークを防止することができ、高分子電解質膜に隣接して形成された第1触媒層と第2触媒層とが短絡することを防止できる。また、該高分子電解質膜を含む薄い膜厚のMEAを作製することができる。さらに、該MEAを用いて、燃料電池の単セルの小型化を促進することができ、また、燃料電池性能を向上させることができる。
本発明の燃料電池の製造方法は、高分子電解質膜と、該高分子電解質膜の一面側に設けられた第1触媒層と、該第1触媒層の該高分子電解質膜と接しない側に設けられた第1拡散層と、該高分子電解質膜の他面側に設けられた第2触媒層と、該第2触媒層の該高分子電解質膜と接しない側に設けられた第2拡散層とを有する膜電極接合体を備えた燃料電池の製造方法であって、
以下の工程を含む手法により該膜電極接合体を形成し、且つ、以下の(1)式及び(2)式を満たすことを特徴とする:
1)転写用基材の一面側に第1触媒層及び第1電解質層をこの順序で塗布により形成して転写シートを作成する工程(転写用基材上の層形成工程)、
2)第2拡散層の一面側に第2触媒層及び第2電解質層をこの順序で塗布により形成する工程(第2拡散層上の層形成工程)、
3)該転写シートの第1電解質層と、該第2電解質層とが接触して一体の高分子電解質膜となるように、該転写シートを該第2電解質層に接合する工程(接合工程)、及び
4)該転写シートの基材を除去する工程(除去工程)
Figure 2009080974
Figure 2009080974
式中、Lm1は第1電解質層の厚さ、Raは第1触媒層の表面の最大粗さ、Lm2は第2電解質層の厚さ、及びRcは第2触媒層の表面の最大粗さをいう。
本発明においては、上記(1)式及び(2)式を満たすように、一方で転写用基材の一面側に第1触媒層及び第1電解質層をこの順序で塗布により形成して転写シートを作成し、他方で第2拡散層の一面側には、第2触媒層及び第2電解質層をこの順序で塗布により形成し、該第2電解質層に、上記転写シートで該第1触媒層及び該第1電解質層を転写することによって、塗布による膜形成の利点であり、従来の被膜化した層の積層では実現が難しい電解質膜の薄膜化及び高い密着性を得ることができる。更に、従来の塗布による膜形成においては、電解質膜が触媒層の凹凸に追従し、部分的に該凹凸が電解質膜を破ってしまう問題があるが、本発明においては、平滑な転写用基材に被膜化されている比較的平滑な第1電解質層と補助的な第2電解質層を接合した電解質膜とするため、触媒層の凹凸が電解質膜を破ることなく電解質膜の良好な平滑性を得ることができる。
したがって、本発明においては、反応ガスのクロスリークを防止することができ、高分子電解質膜に隣接して形成された第1触媒層と第2触媒層とが短絡することを防止できる。また、該高分子電解質膜を含む薄い膜厚のMEAを作製することができ、該MEAを用いて、電池性能を向上させ、燃料電池の小型化を促進することができる。
尚、本発明の第1触媒層及び第2触媒層のいずれがカソードであってもアノードであってもよい。すなわち、第1触媒層がカソードである場合には、第2触媒層はアノードであり、第1触媒層がアノードである場合には、第2触媒層はカソードである。
本発明の製造方法により得られる燃料電池用膜電極接合体の一例を、図1を参照しながら説明する。
図1は、本発明の製造方法により得られる膜電極接合体の一形態例を示す模式的断面図である。図1に示すように、電解質膜2は、一方の面にカソード(酸化剤極)5a、他方の面にアノード(燃料極)5bが設けられ、膜電極接合体1を形成している。本例において、カソード5aは、電解質膜側から順に、カソード側触媒層3a、カソード側ガス拡散層4aが積層した構造を有し、また、アノード5bは、電解質膜側から順に、アノード側触媒層3b、アノード側ガス拡散層4bが積層した構造を有する。
また、電解質膜2は、第1電解質層2a及び第2電解質層2bによって構成されている。
以下、本発明の燃料電池の製造方法について、詳しく説明していく。
1)転写用基材上の層形成工程
転写用基材上の層形成工程においては、転写用基材の一面側に第1触媒層及び第1電解質層をこの順序で塗布により形成して転写シートを作成する。
まず、転写用基材を用意する。転写用基材としては、表面が平滑で剥離性に優れ、転写用基材上に形成した触媒層を、ガス拡散層や電解質膜に熱転写する際の基材として一般的に用いられるものを使用することができ、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)等からなるものが挙げられる。特にテフロン(登録商標)が比較的安価であるため好ましい。転写用基材の表面の最大粗さは0.5μm以下であることが望ましい。
上述したように、通常、拡散層の凹凸は比較的大きく、そのような拡散層の上に薄い平滑な層を塗布により形成して積層することは難しい。しかしながら、本発明のように転写用基材を用いることによって、拡散層を基材として該拡散層上に層を形成した場合に問題となる、形成した層の非平滑性を緩和することができる。
上記転写用基材の上に、第1触媒層を形成する。転写用基材上の触媒層は、少なくとも触媒成分を含み、さらにプロトン伝導路を形成するための電極用高分子電解質を含有する触媒インクを、転写用基材上に塗布、乾燥させることで形成できる。
触媒成分としては、燃料極の燃料の酸化反応又は酸化剤極の酸化剤の還元反応に対して触媒活性を有しているものであれば、特に限定されず、固体高分子型燃料電池に一般的に用いられているものを使用することができる。例えば、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、タングステン(W)、鉛(Pb)、鉄(Fe)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、バナジウム(V)、モリブデン(Mo)、ガリウム(Ga)、アルミニウム(Al)等の金属、又はそれらの合金から選択することができる。好ましくは、Pt、及びPtと例えばRuなど他の金属とからなる合金である。
触媒成分は、通常、導電性粒子に担持された状態で用いられる。触媒担体である導電性粒子としては、カーボンブラック等の炭素粒子や炭素繊維のような導電性炭素材料、金属粒子や金属繊維等の金属材料も用いることができる。
電極用高分子電解質は特に限定されず、後述する電解質膜を形成する時に用いられる高分子電解質を用いることができる。電極用高分子電解質と電解質膜用高分子電解質は異なるものであってもよいが、通常は同じものが好ましく使用される。
触媒インクは上記のような触媒成分と電極用高分子電解質とを、溶媒に溶解又は分散させて得られる。触媒インクの溶媒は、用いる電極用高分子電解質に応じて適宜選択すればよく、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコールの他、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルアセトアミド(DMAC)、ジクロロメタン、クロロホルム、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、又はこれら有機溶媒の混合物やこれら有機溶媒と水との混合物を用いることができる。
溶媒は、触媒成分1重量部に対し、通常、5〜30重量部程度添加する。
転写用基材への触媒インクの塗布方法は、適宜選択することができる。例えば、塗布方法としては、スピンコート法、スプレー法、キャスト法、ディップ法、スクリーン印刷法、ドクターブレード法、グラビア印刷法、ダイコート法等が挙げられる。特に、薄く厚さが均一な膜を形成しやすいことから、スピンコート法が好ましい。
また、乾燥方法としては、例えば、減圧乾燥、加熱乾燥、減圧加熱乾燥等が挙げられる。具体的な条件に制限はなく、適宜設定すればよい。
第1触媒層の膜厚は、1μm〜20μm、好ましくは3μm〜15μm、さらに好ましくは4μm〜7μmである。
また、第1触媒層は、下地として第2拡散層よりも平滑な転写用基材を用い、該基材上に塗布形成されるので、後述する第2触媒層よりも平滑な表面を有する。後述する(1)式における最大粗さRaは1μm〜5μmである。
続いて、上記第1触媒層の上に第1電解質層を形成する。第1触媒層上の第1電解質層は、少なくとも固体高分子電解質を含み、必要に応じて導電性材料を含み、さらに撥水性高分子あるいは親水性高分子等、その他の成分又は材料を含有する電解質膜用インクを、第1触媒層上に塗布、乾燥させることで形成できる。
固体高分子電解質としては、固体高分子型燃料電池の電解質膜に用いられているような材料を使用することができ、例えば、ナフィオンに代表されるパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂等のフッ素系イオン交換樹脂;ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリスルホン(PSU)、ポリパラフェニレン(PPP)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリベンゾイミダゾール(PBI)等の炭化水素系高分子に、スルホン酸基、ヒドロキシ基、リン酸基、カルボン酸基等の陽イオン交換基が導入されたもの;特表平11−503262号公報などに開示されている、ポリベンズイミダゾール、ポリピリミジン、ポリベンゾオキサゾールなどの塩基性高分子に強酸をドープした塩基性高分子と強酸との複合体からなる固体ポリマー電解質;等の高分子電解質が挙げられる。
上記固体高分子電解質を溶解するための溶媒としては、例えば、NMP(N−メチル−2−ピロリドン)、DMSO(ジメチルスルホオキシド)などが好適に用いられる。溶媒は、高分子電解質1重量部に対し、通常、5〜50重量部程度添加する。
第1電解質層の膜厚は、下記(1)式及び(2)式を満たさなければならない。
Figure 2009080974
Figure 2009080974
式中、Lm1は第1電解質層の厚さ、Raは第1触媒層の表面の最大粗さ、Lm2は第2電解質層の厚さ、及びRcは第2触媒層の表面の最大粗さをいう。
上記「最大粗さ」とは、所定装置で任意の領域の面粗さを測定した場合の最大高さ及び最大低さの差をいう。具体的には例えば、第1触媒層の電解質層と接する表面の凹凸の中で、一番高い凸部の頂点と一番低い凹部の底部の高さの差をいう。最大粗さの測定方法としては、レーザー顕微鏡、表面粗さ計などの装置を用いて、サンプルにおける任意の250μm四方の面粗さを測定し、最大高さ及び最大低さの差から最大粗さを決定する。
(1)式に示すように、第1電解質層の膜厚が、第1触媒層の最大粗さと同じ又はより大きい値であることによって、第1触媒層の表面の凹凸を被覆し、表面が平滑な第1電解質層を形成することができる。ガスリークを防ぐために、第1電解質層の膜厚Lm1は、最低でも第1触媒層の最大粗さRaと同じ厚さを有する必要があるが、MEAの薄膜化のために、厚くなりすぎないことが好ましい。
上記(1)式を満たさない場合には、第1電解質層が第1触媒層の表面の凸部を充分に被覆しきれず、後述する第2電解質層と接合して形成する高分子電解質膜に孔が生じ、反応ガスのクロスリークを引き起こす可能性がある。
また、(2)式に示すように、第1電解質層の膜厚と第2電解質層の膜厚の合計が、第1触媒層の最大粗さと後述する第2触媒層の最大粗さの合計と同じ又はより大きい値であることによって、上述したように表面を平滑に形成した第1電解質層と、後述する第2拡散層上の第2触媒層上に形成された第2電解質層とを接合して高分子電解質膜とした時に、該高分子電解質膜が第1及び第2触媒層の凹凸を吸収して高分子電解質膜に孔は生じず、且つ、薄い膜厚の高分子電解質膜を作製することができる。
上記(2)式を満たさない場合には、第2電解質層の表面の凸部又は第2電解質層で被覆しきれない第2触媒層の凸部を、第1電解質層によって充分に吸収することができず、第1電解質層と第2電解質層を接合して高分子電解質膜とした時に、該高分子電解質膜に孔が生じ、反応ガスのクロスリークを引き起こす可能性がある。
具体的には、第1電解質層の膜厚は、1μm〜5μm、好ましくは1μm〜2μmである。
このようにして、転写用基材上に第1触媒層及び第1電解質層が形成された転写シートが得られる。
転写用基材の一面側に第1触媒層及び第1電解質層をこの順序で塗布により形成して転写シートを作成することによって、平滑な基材上に第1触媒層を形成するため、従来と比べて平坦な触媒層が得られ、そのような第1触媒層の上に第1電解質層を形成するため、薄くても第1触媒層の凹凸を被覆できるほど厚さは充分な第1電解質層を形成することができる。また、本発明においては、電解質層をシートではなくインクの塗布によって形成するため、シートの自立性を考慮する必要がなく、電解質層の膜厚を薄くすることができ、さらに、第1触媒層と第1電解質層の密着性を良好なものにすることができる。
2)第2拡散層上の層形成工程
第2拡散層上の層形成工程においては、第2拡散層の一面側に第2触媒層及び第2電解質層をこの順序で塗布により形成する。
まず、ガス拡散層を構成する導電性多孔質体(ガス拡散層基材)や、導電性多孔質体に機能層を設けたガス拡散層シートを用意する。
導電性多孔質体としては、触媒層に効率良くガスを供給することができるガス拡散性、導電性、及びガス拡散層を構成する材料として要求される強度を有するもの、例えば、カーボンペーパー、カーボンクロス、カーボンフェルト等の炭素質多孔質体や、チタン、アルミニウム、銅、ニッケル、ニッケル−クロム合金、銅及びその合金、アルミ合金、亜鉛合金、鉛合金、ニオブ、タンタル、鉄、ステンレス等の金属から構成される金属メッシュ又は金属多孔質体等が挙げられる。
また、導電性多孔質体は、触媒層と面する側に、ポリテトラフルオロエチレン等の撥水性樹脂をバーコーター等によって含浸塗布することによって、触媒層内の水分がガス拡散層の外へ効率良く排出されるように加工してもよい。
導電性多孔質体に機能層を設けたガス拡散層シートとしては、例えば、導電性多孔質体の触媒層に面する側に撥水層を設けたものが挙げられる。撥水層は、通常、炭素粒子や炭素繊維等の導電性粉粒体、ポリテトラフルオロエチレン等の撥水性樹脂等を含む多孔質構造を有するものである。撥水層を導電性多孔質体上に形成する方法は特に限定されない。例えば、炭素粒子等の導電性粉粒体と撥水性樹脂、及び必要に応じてその他の成分を、エタノール、プロパノール、プロピレングリコール等の有機溶剤、水又はこれらの混合物等の溶剤と混合した撥水層ペーストを、導電性多孔質体の少なくとも触媒層に面する側に塗布し、その後、乾燥及び/又は焼成すればよい。
このとき撥水層ペーストは、導電性多孔質体の内部に含浸してもよい。また、撥水層の形状は特に限定されず、例えば、導電性多孔質体の触媒層側の面全体を覆うような形状でもよいし、格子状等の所定パターンを有する形状でもよい。撥水層ペーストを導電性多孔質体に塗布する方法としては、例えば、スピンコート法、スクリーン印刷法、スプレー法、ドクターブレード法、グラビア印刷法、ダイコート法等が挙げられる。
上記第2拡散層の上に、第2触媒層を形成する。第2拡散層上の第2触媒層は、第1触媒層と同様に形成することができる。第2触媒層に使用する材料や塗布方法は、第1触媒層と同じであってもよいし、異なってもよい。
第2触媒層の膜厚は、通常、第1触媒層と同じ膜厚にする。
また、通常、凹凸の多い拡散層上に形成された第2触媒層は、平滑な転写用基材の上に形成された第1触媒層よりも平滑性が低い表面を有する。(2)式における最大粗さRaに対して、最大粗さRcは1〜2倍である。
続いて、上記第2触媒層の上に第2電解質層を形成する。第2触媒層上の第2電解質層は、第1電解質層と同様に形成することができる。第2電解質層に使用する材料や塗布方法は、第1電解質層と同じであってもよいし、異なってもよい。第1電解質層と第2電解質層は後の工程で通常熱圧着して接合するため、同じ電解質を用いることが好ましい。第2電解質層は第1電解質層とは異なる塗布方法で形成することが好ましい。
上述したように、第2電解質層の膜厚は、上記(2)式を満たす必要がある。第2電解質層は、平滑性の高い基材上に触媒層を介して形成された第1電解質層とは異なり、通常、比較的平滑性の低い拡散層上に触媒層を介して形成されるため、第1電解質層と比べて表面の平滑性は低くなるが、(2)式に示すように、第1電解質層の膜厚と第2電解質層の膜厚の合計が、第1触媒層の最大粗さと第2触媒層の最大粗さの合計と同じ又はより大きい値であることによって、第1電解質層と第2電解質層を接合して高分子電解質膜とした時に、該高分子電解質膜が第1及び第2触媒層の凹凸を吸収して高分子電解質膜に孔は生じず、且つ、薄い膜厚の高分子電解質膜を作製することができる。第2電解質層は、第1電解質層と接着するためののりの効果が得られる程度の厚さであればよく、第1電解質層の厚さの方が、第2電解質層の厚さよりも大きい。
具体的には、第2電解質層の膜厚は、1μm〜9μm、好ましくは2μm〜5μmである。
このようにして、第2触媒層及び第2電解質層が形成された第2拡散層が得られる。本発明においては、電解質層をシートではなくインクの塗布によって形成するため、シートの自立性を考慮する必要がなく、電解質層の膜厚を薄くすることができ、さらに、第2触媒層と第2電解質層の密着性を良好なものにすることができる。
3)接合工程
接合工程においては、上記転写シートの第1電解質層と、上記第2電解質層とが接触して一体の高分子電解質膜となるように、該転写シートを該第2電解質膜に接合する。
第1電解質層と第2電解質層の接合方法は、第1電解質層と第2電解質層を密着させることができれば特に限定されないが、例えば、転写シートの第1電解質層と、第2拡散層上の第2電解質層とが対面するように重ね合わせて、加熱と同時に加圧すること(熱圧着)によって、第1電解質層を第2電解質層の表面に接合することが好ましい。電解質層の界面同士を熱圧着によって接合することにより、密着性が良好で、第1電解質層と第2電解質層が一体となった高分子電解質膜を得ることができる。熱圧着工程における加熱温度や加圧力は、高分子電解質膜のガラス転移温度や電極用高分子電解質のガラス転移温度に応じて適宜設定すればよい。
このようにして形成される高分子電解質膜の膜厚は、5〜10μm、好ましくは5〜7μmである。
上述したような第2電解質層に、転写シートで第1触媒層及び第1電解質層を転写することによって、第1電解質層と第2電解質層が一体となった高分子電解質膜が第1及び第2触媒層の凹凸を吸収するため、高分子電解質膜に孔が生じずに平滑性に優れ、且つ、薄い膜厚の高分子電解質膜を作製することができる。
4)除去工程
除去工程においては、上述した離型性のよい転写基材を第1触媒層から除去する。
上述したように、転写用基材の一面側に触媒層及び電解質層をこの順序で塗布により形成した転写用基材を一対用意して、2つの転写基材の電解質層同士を接合させた後、それぞれの転写用基材を剥離して拡散層を設けることは、両方の転写用基材を円滑に剥がすことができないため、困難である。具体的には、例えば、一面側に触媒層及び電解質層をこの順序で塗布により形成した転写シートを一対用意した場合、転写シートは剥離が容易であるが、2つの転写シートを同時に剥離することは、転写シート間に形成されているMEAの膜厚が薄いため形態を維持することができず、困難である。また、段階を踏んで、転写シートを選択的に剥がそうとしても、転写シートは両側とも剥離しやすいため両側が同時に剥がれてしまい、困難である。これに対して、本発明においては、一方の触媒層及び電解質層の形成にのみ転写用基材を用いるため、上記転写用基材の剥離の問題は生じない。
本発明における転写基材を除去する方法としては、真空吸引機を用いたT字剥離などが挙げられる。
更に、上記転写用基材が除去された第1触媒層の面に、第1拡散層を形成する。第1拡散層は、第2拡散層と同様に形成することができる。
第1拡散層を第1触媒層に接合する方法としては、特に限定されないが、所定の加熱温度及び加圧力による熱圧着などが挙げられる。熱圧着によって接合した場合には密着性に優れるため好ましい。
このようにして作製された図1に示す高分子電解質膜に一対の電極を設けた膜電極接合体は、高分子電解質膜を薄くすることができるため、ガス透過性が良好であり、該膜電極接合体の高分子電解質膜と同じ材料の高分子電解質膜のガス透過係数Prに対して、膜電極接合体のガス透過係数Pmeaは下記(3)式を満たす。
Figure 2009080974
尚、ガス透過係数は、均質膜におけるガスの透過速度が、圧力差に比例し膜の厚みに反比例する式において、以下のように定義される。
Figure 2009080974
以下、本発明の製造方法により提供される燃料電池用膜電極接合体を含む単セルの構成例について図を参照しながら説明する。
図2は、単セルの一実施形態(単セル21)を模式的に示す横断面図である。単セル21は、固体高分子電解質膜(以下、単に電解質膜ということがある)2の一面側に、カソード5aおよび他面側にアノード5bが設けられた膜電極接合体1を有している。カソード5aは、電解質膜2に近い側からカソード側触媒層3a、カソード側ガス拡散層4aがこの順序で積層して構成される。一方、アノード5bは、電解質膜2に近い側からアノード側触媒層3b、アノード側ガス拡散層4bがこの順序で積層して構成される。尚、本実施形態において、各電極(燃料極、酸化剤極)は、共に、触媒層とガス拡散層とが積層した構造を有しているが、触媒層のみからなる単層構造であってもよいし、触媒層とガス拡散層の他に機能層を設けた構造でもよい。
上記膜電極接合体1は、2つのセパレータ22a、22bで挟持され、単セル21が構成される。各セパレータ22a、22bの片面には、反応ガス(燃料ガス、酸化剤ガス)の流路を形成する溝が設けられており、これらの溝とカソード5a、アノード5bの外面とで酸化剤ガス流路23、燃料ガス流路24が画成されている。酸化剤ガス流路23は、カソード5aに酸化剤ガス(酸素を含む又は酸素を発生させる気体)を供給するための流路であり、燃料ガス流路24は、アノード5bに燃料ガス(水素を含む又は水素を発生させる気体)を供給するための流路である。
各セパレータには、反応ガス流路用の溝が形成された面とは反対側の面に、冷却水流路を形成する溝(図示せず)が設けられていてもよい。セパレータとしては、例えば、炭素繊維を高濃度に含有し、樹脂との複合材からなるカーボンセパレータや、金属材料を用いた金属セパレータ等を用いることができる。金属セパレータとしては、耐腐食性に優れた金属材料からなるものや、表面をカーボンや耐腐食性に優れた金属材料等で被覆し、耐腐食性を高めるコーティングが施されたもの等が挙げられる。
以上に説明した本発明に係る製造方法によれば、転写用基材の一面側に第1触媒層及び第1電解質層をこの順序で塗布により形成して転写シートを作成することによって、平滑な基板に第1触媒層を形成するため、従来と比べて平坦な触媒層が得られ、そのような触媒層の上に第1電解質層を形成するため、薄くても第1触媒層の凹凸を被覆できるほど厚さは充分な第1電解質層を形成することができる。一方、第2拡散層の一面側には、第2触媒層、及び、第1電解質層と接合された時に第1触媒層及び第2触媒層の最大粗さを満たす電解質層を形成できるような膜厚を有する補助的な第2電解質層をこの順序で塗布により形成し被膜化し、該第2電解質層に、上記転写シートで該第1触媒層及び該第1電解質層を転写することによって、第1電解質層と第2電解質層が一体となった高分子電解質膜が形成される。このような高分子電解質膜は第1及び第2触媒層の凹凸を吸収し、高分子電解質膜に孔は生じず、且つ、薄い膜厚の高分子電解質膜を作製することができる。
したがって、反応ガスのクロスリークを防止することができ、高分子電解質膜に隣接して形成された第1触媒層と第2触媒層とが短絡することを防止できる。また、該高分子電解質膜を含む薄い膜厚のMEAを作製することができ、該MEAを用いて、電池性能の向上及び燃料電池の小型化を促進することができる。
(実施例1)
電極用高分子電解質:溶媒=1:20(重量比)の配合割合で、電極用高分子電解質としてNafion10%を溶媒であるエタノールに混合し、触媒として2%のPt/C(炭素材料に対して白金を50%担持)を添加して触媒インクを調製した。
上記触媒インクを、転写用基材である最大粗さ0.5以下μmのPTFEシート上にスピンコート法によって塗布、乾燥し、厚さ10μm、最大粗さ3μmの第1触媒層を形成した。ここで、最大粗さは、レーザー顕微鏡を用いて、サンプルにおける任意の250μm四方の面粗さを測定し、最大高さ及び最大低さの差から最大粗さを決定した。
また、電解質膜用高分子電解質としてNafion(商品名、Dupont社製)10%を電解質膜用溶媒である95%のNMPに混合して電解質膜用インクを調製した。
上記電解質膜用インクを、上記第1触媒層上にスピンコート法によって塗布、乾燥し、厚さ4μmの第1電解質層を形成した。
別途、上記の調製した触媒インクを、第2拡散層である撥水性樹脂を含む導電性多孔基体上にドクターブレード法によって塗布、乾燥し、厚さ10μm、最大粗さ6μmの第2触媒層を形成した。
上記第2触媒層上に、上記の調製した電解質膜用インクをスプレー法によって塗布、乾燥し、厚さ2μmの第1電解質層を形成した。
第2電解質層に第1電解質層を貼り合わせるようにして熱圧着を行った後に転写用基材を剥離し、第1触媒層及び第1電解質層を第2電解質層上に転写した。更に、転写用基材が剥離された第1触媒層側に第1拡散層として撥水性樹脂を含む導電性多孔基体を熱圧着し、実施例1の膜電極接合体(膜電極ガス拡散層接合体)(MEGA1)を作製した。
作製したMEGA1について、JIS K7126に従って、雰囲気80℃、80%RHの条件下で、ガス透過装置を用いて、ガスの透過係数を測定し、シート状のNafion 117(商品名、Dupont社製)のガス透過係数に対する比率を算出した。結果を表1に示す。
また、作製したMEGA1を、炭素繊維と熱硬化性樹脂の複合材料からなり、ガス流路となる溝が形成された2枚のセパレータで挟持して単セルを作製し、以下、0.2Vの一定電圧における出力電流密度(A/cm)を測定して発電性能を評価した。結果を表2に示す。
<条件>
・セル温度:80℃
・バブラ温度 AN/CA:80℃/80℃
・ストイキ比 水素/空気:5/5(電流密度:1.0A/cm
(比較例1)
シート状の拡散層上に、正極層用の溶液エタノールを塗布して正極層を形成した。該正極層が未乾燥のうちに、該正極層上にカーボン及びNafion(商品名、Dupont社製)の混合溶液を塗布して混合層を形成した。該混合層が未乾燥のうちに、混合層上にイオン交換膜用の溶液(商品名:Nafion、Dupont社製;溶媒:エタノール)を塗布してイオン交換膜を形成した。該イオン交換膜が未乾燥のうちに負極層用の溶液(エタノール)を塗布して負極層を形成した。
これら正・負極層、混合層及びイオン交換膜のそれぞれの溶液を同時に乾燥させ、正・負極層、混合層及びイオン交換膜を固化し、比較例1の膜電極接合体(MEGA2)を作製した。電解質膜の厚さは、平均して約8μmであった。
作製したMEGA2について、実施例1と同様にガスの透過係数を測定し、シート状のNafion 117(商品名、Dupont社製)のガス透過係数に対する比率を算出した。結果を表1に示す。
また、実施例1と同様に作製したMEGA2の発電性能を評価した。結果を表2に示す。
Figure 2009080974
Figure 2009080974
(評価結果)
表1に示すように、実施例1のMEGA1よりも比較例1のMEGA2の方が、膜厚が大きいが、Nafion 117を基準としたガス透過係数比は高かった。但し、実施例1のMEGA1はシート状のNafion 117(商品名、Dupont社製)のガス透過係数に対する比率が100を超えていないが、比較例1のMEGA2は、シート状のNafion 117(商品名、Dupont社製)のガス透過係数に対する比率が100倍を超えている。
一方、表2に示すように、比較例1のMEGA2よりも実施例1のMEGA1の方が電流密度が高く発電性能に優れていることが分かる。
このような結果から、比較例1のMEGA2においてはガスリークが起きてしまったが、実施例1のMEGA1においては、薄膜であってもガスリークが起こらなかったものと考えられる。
したがって、本発明によれば、厚さが薄くても触媒層の凹凸を充分に被覆できる平滑な電解質膜を作製し、反応ガスのクロスリークの防止が可能であることが分かる。
本発明に係る製造方法により提供される膜電極接合体の模式的断面図である。 本発明に係る製造方法により提供される膜電極接合体を備えた単セルの一実施形態を模式的に示す断面図である。 従来の製造方法により得られる膜電極接合体の模式的断面図である。
符号の説明
1…膜電極接合体
2…電解質膜
2a…第1電解質層
2b…第2電解質層
3a…カソード側触媒層
3b…アノード側触媒層
4a…カソード側ガス拡散層
4b…アノード側ガス拡散層
5a…カソード
5b…アノード
21…単セル
22a、22b…セパレータ
23…酸化剤ガス流路
24…燃料ガス流路
101…膜電極接合体(MEA)
102a、102b…拡散層
103a、103b…触媒層
104…電解質膜

Claims (7)

  1. 高分子電解質膜と、該高分子電解質膜の一面側に設けられた第1触媒層と、該第1触媒層の該高分子電解質膜と接しない側に設けられた第1拡散層と、該高分子電解質膜の他面側に設けられた第2触媒層と、該第2触媒層の該高分子電解質膜と接しない側に設けられた第2拡散層とを有する膜電極接合体を備えた燃料電池の製造方法であって、
    以下の工程を含む手法により該膜電極接合体を形成し、且つ、以下の(1)式及び(2)式を満たすことを特徴とする燃料電池の製造方法:
    1)転写用基材の一面側に第1触媒層及び第1電解質層をこの順序で塗布により形成して転写シートを作成する工程、
    2)第2拡散層の一面側に第2触媒層及び第2電解質層をこの順序で塗布により形成する工程、
    3)該転写シートの第1電解質層と、該第2電解質層とが接触して一体の高分子電解質膜となるように、該転写シートを該第2電解質層に接合する工程、及び
    4)該転写シートの基材を除去する工程
    Figure 2009080974
    Figure 2009080974
    式中、Lm1は第1電解質層の厚さ、Raは第1触媒層の表面の最大粗さ、Lm2は第2電解質層の厚さ、及びRcは第2触媒層の表面の最大粗さをいう。
  2. 更に、第1拡散層を形成する工程を含むことを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池の製造方法。
  3. Lm1+Lm2が10μm以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の燃料電池の製造方法。
  4. 前記第1電解質層の厚さが、前記第2電解質層の厚さよりも大きいことを特徴とする、請求項1乃至3に記載の燃料電池の製造方法。
  5. 前記高分子電解質膜と同じ材料の高分子電解質膜のガス透過係数Prに対して、前記膜電極接合体のガス透過係数Pmeaが下記(3)式を満たすことを特徴とする請求項1乃至4に記載の燃料電池の製造方法。
    Figure 2009080974
  6. 前記第1電解質層をスピンコート法によって形成することを特徴とする、請求項1乃至5に記載の燃料電池の製造方法。
  7. 前記転写用基材がポリテトラフルオロエチレン(PTFE)からなり、転写用基材の表面の最大粗さが0.5μm以下であることを特徴とする、請求項1乃至6に記載の燃料電池の製造方法。
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