JP5194869B2 - 燃料電池用膜・電極接合体の製造方法 - Google Patents

燃料電池用膜・電極接合体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、熱圧着工程におけるガス拡散層の接合不良及び剥離を防止する燃料電池用膜・電極接合体の製造方法に関する。
燃料電池は、燃料と酸化剤を電気的に接続された2つの電極に供給し、電気化学的に燃料の酸化を起こさせることで、化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換する。火力発電とは異なり、燃料電池はカルノーサイクルの制約を受けないので、高いエネルギー変換効率を示す。燃料電池は、通常、電解質膜を一対の電極で挟持した膜・電極接合体を基本構造とする単セルを複数積層して構成されている。中でも、電解質膜として固体高分子電解質膜を用いた固体高分子電解質型燃料電池は、小型化が容易であること、低い温度で作動すること、などの利点があることから、特に携帯用、移動体用電源として注目されている。
固体高分子電解質型燃料電池では、水素を燃料とした場合、アノード(燃料極)では式(1)の反応が進行する。
→ 2H + 2e …(1)
前記式(1)で生じる電子は、外部回路を経由し、外部の負荷で仕事をした後、カソード(酸化剤極)に到達する。そして、前記式(1)で生じたプロトンは、水と水和した状態で、固体高分子電解質膜内をアノード側からカソード側に、電気浸透により移動する。
また、酸素を酸化剤とした場合、カソードでは式(2)の反応が進行する。
2H + (1/2)O + 2e → HO …(2)
カソードで生成した水は、主としてガス拡散層を通り、外部へと排出される。このように、燃料電池は、水以外の排出物がなく、クリーンな発電装置である。
固体高分子電解質膜(以下、電解質膜ということがある)に電極を接合させた、膜・電極接合体の製造方法は、大別して、電解質膜に直接電極触媒を析出させる方法と、触媒能を有する電極シートを作製し、熱圧着により電解質膜に接合させる方法がある。現在では、少量の触媒を有効に利用できる熱圧着法が主流となっている。この方法についても様々な方法が提案されているが、要約すると触媒を担持した電極シートの触媒面側に、電解質溶液を塗布し、電解質膜の軟化温度から熱分解温度までの範囲で熱圧着して接合するものである。
しかし、熱圧着を用いた方法で製造される膜・電極接合体においては、電解質膜と触媒層とが十分に接合されず、電解質膜と触媒層との界面のイオン抵抗が高くなるという欠点や、触媒層と、ガス拡散層となるカーボンペーパーやカーボンクロスとが十分に接合されず、触媒層とガス拡散層との界面の電子抵抗が高くなるという欠点があった。これらの欠点を克服する方法として、特許文献1は、触媒層を予め熱処理し、当該熱処理後に電解質膜と積層して、先の熱処理温度より低い温度で加熱及び加圧して接合する技術を開示している。
また、上述した従来の方法で製造される膜・電極接合体においては、製造工程中、特に熱圧着の工程で、ガス拡散層となるカーボンペーパーやカーボンクロスの突起部が電解質膜を突き破り、ピンホールを発生させ、短絡を引き起こすという問題が生じていた。この短絡を解決する方法として、特許文献2は、触媒層とガス拡散層とからなる一対の電極を、プロトン伝導性高分子電解質を介して、前記電解質の軟化温度T未満の温度で接合する技術を開示している。
特開2004−288391号公報 特開2003−282088号公報
図4は、従来技術による、膜・電極積層体の熱圧着前後の様子を示した断面模式図である。図4(a)は、膜・電極積層体100の熱圧着前において、固体高分子電解質膜1、触媒層2及びガス拡散層3が単に重ね合わさった様子を示している。なお、図のように前記積層体100を構成するすべての層の面積が等しくなくても構わない。図4(b)は、膜・電極積層体100の熱圧着後の様子を示している。図に示されているように、熱圧着の際に電解質膜が熱収縮を起こすため、触媒層とガス拡散層の界面にひずみが生じて、ガス拡散層が剥離することがある。
特許文献1に開示された技術によると、膜・電極接合体の製造方法として、触媒層のみを予め熱処理し、当該熱処理後に電解質膜と積層し熱圧着しているため、電解質膜にとっては、熱収縮と熱圧着が同時に起こり、したがって、接合界面でのひずみに起因するガス拡散層の剥離を回避することはできないと考えられる。また特許文献1中では、良好な接合状態を得るために熱圧着時の加熱温度や圧力を高くしようとすると、電解質膜がダメージを受けて膜の強度やイオン交換能が低くなるという指摘はされていたが、電解質膜が熱収縮を起こすことに関する考察はされていない。
特許文献2に開示された技術によると、膜・電極接合体の製造方法として、電解質膜と触媒層との熱圧着、及び膜・触媒層接合体とガス拡散層との熱圧着との2段階の熱圧着過程を有しているため、どちらの熱圧着工程においても電解質膜にとっては、熱収縮と熱圧着が同時に起こり、したがって接合界面でのひずみに起因する触媒層及びガス拡散層の剥離を回避することはできないと考えられる。また特許文献2中では、接合温度が電解質膜の軟化温度T未満であることによって、電解質膜が軟化する前に接合工程を終了でき、ピンホール発生が防止できることを指摘しているが、電解質膜が熱収縮を起こす際に生じる、ガス拡散層の剥離については考察されていない。
本発明は、熱圧着工程におけるガス拡散層の接合不良及び剥離を防止する燃料電池用膜・電極接合体の製造方法、及び当該製造方法によって得られる燃料電池用膜・電極接合体を提供することを目的とする。
本発明の燃料電池用膜・電極接合体の製造方法は、固体高分子電解質膜と、当該固体高分子電解質膜の両面に配置された高分子電解質を有する触媒層、及びガス拡散層とが重なりあい、前記固体高分子電解質膜と前記触媒層との界面、及び前記触媒層と前記ガス拡散層との界面の内少なくとも一方が未接着状態の膜・電極積層体を、熱圧着することによって膜・電極接合体へと変換する燃料電池用膜・電極接合体の製造方法であって、前記膜・電極積層体の面方向に対して垂直に荷重を付与せず、後工程である熱圧着工程における熱圧着温度を超える温度である加熱温度を付与し、前記膜・電極積層体の前記固体高分子電解質膜を収縮させる加熱工程と、前記加熱工程の後に、前記膜・電極積層体の面方向に対して垂直に荷重を付与し、且つ、熱圧着温度を付与する熱圧着工程を有することを特徴とする。
このような構成の燃料電池用膜・電極接合体の製造方法は、前記熱圧着温度を前記膜・電極積層体に付与する前記熱圧着工程よりも前に、前記熱圧着温度を超える温度である前記加熱温度を前記膜・電極積層体に付与する前記加熱工程を行い、前記固体高分子電解質膜を予め収縮させることで、前記熱圧着工程における前記電解質膜の熱収縮を防止し、当該熱収縮に伴って生じる前記ガス拡散層の剥離を防ぐことができる。また、本発明の燃料電池用膜・電極接合体の製造方法は、前記加熱工程において前記膜・電極積層体に荷重を付与しないことから、前記加熱工程において前記固体高分子電解質膜を予め十分収縮させることができる。
本発明の燃料電池用膜・電極接合体の製造方法の一形態としては、熱伝導性を有する金型内に、前記固体高分子電解質膜を有する前記膜・電極積層体を配置する配置工程と、前記配置工程の後に、前記金型内に配置された前記膜・電極積層体の面方向に対して垂直に荷重を付与せず、前記加熱温度を付与し、前記膜・電極積層体の前記固体高分子電解質膜を収縮させる加熱工程と、前記加熱工程の後に、前記金型を用いて前記膜・電極積層体の面方向に対して垂直に荷重を付与し、且つ、前記熱圧着温度を付与する熱圧着工程を有するという構成をとることができる。
このような構成の燃料電池用膜・電極接合体の製造方法は、前記配置工程において予め前記金型内に前記膜・電極積層体を配置し、後工程の前記加熱工程において前記金型内で前記膜・電極積層体の加熱を行い、さらに続けて前記熱圧着工程において前記金型内で前記膜・電極積層体の熱圧着を行うことができることから、簡便に膜・電極接合体の作製を行うことができる。
本発明の燃料電池用膜・電極接合体の製造方法は、前記熱圧着温度が100〜180℃であることが好ましい。
このような構成の燃料電池用膜・電極接合体の製造方法は、前記熱圧着温度が適切な温度であることによって、膜・電極接合体に損傷が起きることがなく、さらに、前記触媒層が有する前記高分子電解質が十分軟化するため確実に熱圧着することができる。
本発明の燃料電池用膜・電極接合体の製造方法は、前記加熱温度が120〜200℃であることが好ましい。
このような構成の燃料電池用膜・電極接合体の製造方法は、前記加熱温度が適切な温度であることによって、前記膜・電極積層体に損傷を起こすことなく前記電解質膜を収縮させることができる。
本発明の燃料電池用膜・電極接合体の製造方法は、前記加熱温度と前記熱圧着温度との差が、20℃以上であることが好ましい。
このような構成の燃料電池用膜・電極接合体の製造方法は、前記加熱温度と前記熱圧着温度との差を十分に広く設定することにより、本発明の効果をより確実に得ることができる。
本発明の燃料電池用膜・電極接合体の製造方法は、前記熱圧着工程における圧力が1〜10MPaであることが好ましい。
このような構成の燃料電池用膜・電極接合体の製造方法は、前記熱圧着工程において、膜・電極接合体に損傷を起こすことなく、膜・電極接合体中の電解質膜と触媒層間、又は触媒層とガス拡散層間の接合を行うのに十分な圧力を付与することができる。
本発明によれば、前記熱圧着温度を前記膜・電極積層体に付与する前記熱圧着工程よりも前に、前記熱圧着温度を超える温度である前記加熱温度を前記膜・電極積層体に付与する前記加熱工程を行い、前記固体高分子電解質膜を予め収縮させることで、前記熱圧着工程における前記電解質膜の熱収縮を防止し、当該熱収縮に伴って生じる前記ガス拡散層の剥離を防ぐことができる。また、本発明によれば、前記加熱工程において前記膜・電極積層体に荷重を付与しないことから、前記加熱工程において前記固体高分子電解質膜を予め十分収縮させることができる。
本発明の燃料電池用膜・電極接合体の製造方法は、固体高分子電解質膜と、当該固体高分子電解質膜の両面に配置された高分子電解質を有する触媒層、及びガス拡散層とが重なりあい、前記固体高分子電解質膜と前記触媒層との界面、及び前記触媒層と前記ガス拡散層との界面の内少なくとも一方が未接着状態の膜・電極積層体を、熱圧着することによって膜・電極接合体へと変換する燃料電池用膜・電極接合体の製造方法であって、前記膜・電極積層体の面方向に対して垂直に荷重を付与せず、後工程である熱圧着工程における熱圧着温度を超える温度である加熱温度を付与し、前記膜・電極積層体の前記固体高分子電解質膜を収縮させる加熱工程と、前記加熱工程の後に、前記膜・電極積層体の面方向に対して垂直に荷重を付与し、且つ、熱圧着温度を付与する熱圧着工程を有することを特徴とする。
ここで、固体高分子電解質膜とは、燃料電池において使用される高分子電解質膜であり、ナフィオン(商品名)に代表されるパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂のようなフッ素系高分子電解質を含むフッ素系高分子電解質膜の他、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンエーテル、ポリパラフェニレン等のエンジニアリングプラスチックや、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等の汎用プラスチック等の炭化水素系高分子にスルホン酸基、カルボン酸基、リン酸基、ボロン酸基等のプロトン酸基(プロトン伝導性基)を導入した炭化水素系高分子電解質を含む炭化水素系高分子電解質膜等が挙げられる。
触媒層は、触媒、導電性材料及び高分子電解質を含有する触媒インクを用いて形成することができる。
触媒としては、通常、触媒成分を導電性粒子に担持させたものが用いられる。触媒成分としては、燃料極の燃料の酸化反応又は酸化剤極の酸化剤の還元反応に対して触媒活性を有しているものであれば、特に限定されず、固体高分子型燃料電池に一般的に用いられているものを使用することができる。例えば、白金、又はルテニウム、鉄、ニッケル、マンガン、コバルト、銅等の金属と白金との合金等を用いることができる。
触媒担体である導電性粒子としては、カーボンブラック等の炭素粒子や炭素繊維のような導電性炭素材料、金属粒子や金属繊維等の金属材料も用いることができる。導電性材料は、触媒層に導電性を付与するための導電性材料としての役割も担っている。
触媒インクは上記のような触媒と高分子電解質とを、溶媒に溶解又は分散させて得られる。
高分子電解質とは、燃料電池において使用される高分子電解質であり、具体的には、上述した固体高分子電解質膜に用いられるようなフッ素系高分子電解質及び炭化水素系高分子電解質等が挙げられる。
触媒インクの溶媒は、適宜選択すればよく、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等の有機溶媒、又はこれら有機溶媒の混合物やこれら有機溶媒と水との混合物を用いることができる。触媒インクには、触媒及び電解質以外にも、必要に応じて結着剤や撥水性樹脂等のその他の成分を含有させてもよい。
触媒インクの塗布方法、乾燥方法等は適宜選択することができる。例えば、塗布方法としては、スプレー法、スクリーン印刷法、ドクターブレード法、グラビア印刷法、ダイコート法などが挙げられる。また、乾燥方法としては、例えば、減圧乾燥、加熱乾燥、減圧加熱乾燥などが挙げられる。減圧乾燥、加熱乾燥における具体的な条件に制限はなく、適宜設定すればよい。
触媒インクの塗布量は、触媒インクの組成や、電極触媒に用いられる触媒金属の触媒性能等によって異なるが、単位面積当りの触媒成分量が、0.01〜2.0mg/cm程度となるようにすればよい。また、触媒層の膜厚は、特に限定されないが、1〜50μm程度とすればよい。
ガス拡散層を形成するガス拡散層シートとしては、触媒層に効率良くガスを供給することができるガス拡散性、導電性、及びガス拡散層を構成する材料として要求される強度を有するもの、例えば、カーボンペーパー、カーボンクロス、カーボンフェルト等の炭素質多孔質体や、チタン、アルミニウム、銅、ニッケル、ニッケル−クロム合金、銅及びその合金、銀、アルミ合金、亜鉛合金、鉛合金、チタン、ニオブ、タンタル、鉄、ステンレス、金、白金等の金属から構成される金属メッシュ又は金属多孔質体等の導電性多孔質体からなるものが挙げられる。導電性多孔質体の厚さは、50〜500μm程度であることが好ましい。
ガス拡散層シートは、上記したような導電性多孔質体の単層からなるものであってもよいが、触媒層に面する側に撥水層を設けることもできる。撥水層は、通常、炭素粒子や炭素繊維等の導電性粉粒体、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の撥水性樹脂等を含む多孔質構造を有するものである。撥水層は、必ずしも必要なものではないが、触媒層及び電解質膜内の水分量を適度に保持しつつ、ガス拡散層の排水性を高めることができる上に、触媒層とガス拡散層間の電気的接触を改善することができるという利点がある。
触媒層の形成方法は特に限定されない。
例えば、電解質膜表面に触媒インクを塗布、乾燥することによって、電解質膜表面に触媒層を形成してもよいし、又は、転写用基材表面に触媒インクを塗布、乾燥することによって、転写シートを作製し、当該転写シートを、電解質膜と熱圧着等により接合した後、転写シートの基材フィルムを剥離する方法で、電解質膜表面上に触媒層を形成してもよい。その後、触媒層の面に上述したガス拡散層シートを重ね合わせることで、触媒層とガス拡散層との界面が未接着状態の膜・電極積層体が作製される。なお、膜・触媒層接合体とガス拡散層とを一体化して、ガスケットセルを作製することを目的として、外周0.1〜5mmの幅でバインダーを塗布することもできる。このとき、バインダーとしては上述した高分子電解質と同様のものを用いることができる。
また、例えば、触媒インクをガス拡散層シートの表面に塗布、乾燥することによって、ガス拡散層シート表面に触媒層を形成してもよいし、又は、前記転写シートをガス拡散シートと熱圧着等により接合した後、転写シートの基材フィルムを剥離する方法で、ガス拡散層シート表面に触媒層を形成してもよい。その後、触媒層の面に電解質膜を重ね合わせることで、電解質膜と触媒層との界面が未接着状態の膜・電極積層体が作製される。
なお、膜・電極積層体の作製方法は、上述した方法のみに限定されず、上述した方法以外によっても、固体高分子電解質膜と、当該固体高分子電解質膜の両面に配置された高分子電解質を有する触媒層、及びガス拡散層とが重なりあい、前記固体高分子電解質膜と前記触媒層との界面、及び前記触媒層と前記ガス拡散層との界面の内少なくとも一方が未接着状態の膜・電極積層体を作製することができる。
本発明における加熱工程は、膜・電極積層体の面方向に対して垂直に荷重を付与せず、後工程である熱圧着工程における熱圧着温度を超える温度である加熱温度を付与し、膜・電極積層体の固体高分子電解質膜を収縮させる工程である。加熱工程は、5〜30分間行われるのが好ましい。なお、加熱工程前において、膜・電極積層体中の電解質膜は湿潤していることが必要である。なお、ここで「電解質膜が湿潤している」とは、電解質膜の種類にもよるが、常温常湿下において、含水率が2〜10重量%であることをいう。
加熱温度は、120〜200℃であるのが好ましい。当該加熱温度が120℃未満であるとすると、加熱が十分に行われていないことによって水分減少による電解質膜の収縮が十分に起こらず、後の熱圧着工程において電解質膜の収縮によるガス拡散層の剥離が生じるおそれがある。また、当該加熱温度が200℃を超える温度であるとすると、加熱が必要以上に行われることによって、膜・電極積層体が損傷するおそれがある。なお、前記加熱温度は、120〜180℃であるのが特に好ましい。
本発明における熱圧着工程は、上述した加熱工程の後に、膜・電極積層体の面方向に対して垂直に荷重を付与し、且つ、熱圧着温度を付与する工程である。熱圧着工程は、2〜15分間行われるのが好ましい。
熱圧着温度は、100〜180℃であるのが好ましい。当該熱圧着温度が100℃未満であるとすると、膜・電極積層体中の触媒層が有する高分子電解質が十分軟化せず、膜・電極接合体中の電解質膜と触媒層間、又は触媒層とガス拡散層間の少なくともいずれか一方の接合が不十分になるおそれがある。また、前記熱圧着温度が180℃を超える温度であるとすると、加熱が必要以上に行われることによって、膜・電極接合体が損傷するおそれがある。さらに、熱圧着温度は、上述した高分子電解質のガラス転移温度も考慮して決定する必要がある。なお、前記熱圧着温度は、100〜160℃であるのが特に好ましい。
前記加熱温度と前記熱圧着温度との差が、20℃以上であることが好ましい。これは、前記加熱温度と前記熱圧着温度との差を十分に広く設定することにより、本発明の効果をより確実に得ることができるからである。
熱圧着工程における圧力が1〜10MPaであることが好ましい。これは、当該圧力が1MPa未満であるとすると、十分な圧力を膜・電極積層体に付与することができず、膜・電極接合体中の電解質膜と触媒層間、又は触媒層とガス拡散層間の少なくともいずれか一方の接合が不十分になるおそれがあるからであり、また、当該圧力が10MPaを超えるとすると、必要以上の圧力を膜・電極積層体に与えることになり、膜・電極接合体が損傷するおそれがあるからである。なお、前記圧力は、1〜7MPaであるのが特に好ましく、1〜5MPaであるのが最も好ましい。
本発明の燃料電池用膜・電極接合体の製造方法の一形態としては、熱伝導性を有する金型内に、前記固体高分子電解質膜を有する前記膜・電極積層体を配置する配置工程と、前記配置工程の後に、前記金型内に配置された前記膜・電極積層体の面方向に対して垂直に荷重を付与せず、前記加熱温度を付与し、前記膜・電極積層体の前記固体高分子電解質膜を収縮させる加熱工程と、前記加熱工程の後に、前記金型を用いて前記膜・電極積層体の面方向に対して垂直に荷重を付与し、且つ、前記熱圧着温度を付与する熱圧着工程を有するという構成をとることができる。
図1は、前記金型内に膜・電極積層体を配置した様子を示した断面模式図である。膜・電極積層体100は、固体高分子電解質膜1、触媒層2及びガス拡散層3を有しており、前記電解質膜1は前工程である加熱工程によって十分に収縮している状態である。
金型10は、前記膜・電極積層体100の面方向に対して垂直に荷重を付与することが可能であることが必要とされる。また、前記金型10は、図に示されているように各部品に分かれているもので、使用時に各部位が一体となって機能を発揮するものであってもよいし、初めから一体型であってもよい。なお、図に示すように、熱圧着の効果がよりよく発揮されるために、前記膜・電極積層体100は前記金型10内に包含されるように配置されることが好ましい。
このような製造方法の形態は、配置工程において予め金型に膜・電極積層体を配置し、後工程の加熱工程において金型内で膜・電極積層体の加熱を行い、さらに続けて熱圧着工程において金型内で膜・電極積層体の熱圧着を行うことができることから、簡便に膜・電極接合体の作製を行うことができるという利点がある。
このような構成の燃料電池用膜・電極接合体の製造方法は、熱圧着温度を膜・電極積層体に付与する熱圧着工程よりも前に、熱圧着温度を超える温度である加熱温度を膜・電極積層体に付与する加熱工程を行い、固体高分子電解質膜を予め収縮させることで、熱圧着工程における電解質膜の熱収縮を防止し、当該熱収縮に伴って生じるガス拡散層の剥離を防ぐことができる。また、本発明の燃料電池用膜・電極接合体の製造方法は、加熱工程において膜・電極積層体に荷重を付与しないことから、加熱工程において固体高分子電解質膜を予め十分収縮させることができる。
よって、本発明の製造方法によれば、接合不良の無い燃料電池用膜・電極接合体が得られる。
以下に示す実施例及び比較例の膜・電極接合体の作製を行い、作製後の当該膜・電極接合体を130℃の条件下で放置した。
[実施例]
常温にて、湿潤状態である電解質膜を有する膜・触媒層接合体及び当該接合体を挟持する一組のガス拡散層(ただし、バインダーとして、膜・触媒層接合体とガス拡散層との間に、外周1mmの幅で、パーフルオロスルホン酸の一種であるナフィオン(商品名)溶液を塗布)を、金型によって図1に示すような配置を行い、160℃、0MPa、15分間の加熱工程の後、140℃、3MPa、4分間の熱圧着工程を行った。
[比較例]
常温にて、湿潤状態である電解質膜を有する膜・触媒層接合体及び当該接合体を挟持する一組のガス拡散層(ただし、バインダーとして、膜・触媒層接合体とガス拡散層との間に、外周1mmの幅で、パーフルオロスルホン酸の一種であるナフィオン(商品名)溶液を塗布)を、金型によって図1に示すような配置を行い、140℃、3MPa、4分間の熱圧着工程を行った。なお、熱圧着工程前の加熱工程は行わなかった。
図2及び図3は、上記実施例及び比較例の膜・電極接合体を、それぞれ130℃の条件下で放置した後の断面の写真である。膜・電極接合体の製造工程において、熱圧着工程のみを行った図3に示す比較例においては、ガス拡散層と膜・電極接合体の接合面の剥離が生じていたが、膜・電極接合体の製造工程において、熱圧着工程の前に加熱工程を行った図2に示す実施例においては、ガス拡散層と膜・電極接合体の接合面の剥離は生じていなかった。以上の結果から、熱圧着工程の前に加熱工程を行った本発明の燃料電池用膜・電極接合体の製造方法は、ガス拡散層の剥離を防ぎ、膜・電極接合体の変形を防止することができることが分かった。
金型内に膜・電極積層体を配置した様子を示した断面模式図である。 実施例の膜・電極接合体を130℃下で放置した後の断面写真である。 比較例の膜・電極接合体を130℃下で放置した後の断面写真である。 従来技術による、膜・電極積層体の熱圧着前後の様子を示した断面模式図である。
符号の説明
1…固体高分子電解質膜
2…触媒層
3…ガス拡散層
10…金型
100…膜・電極積層体

Claims (6)

  1. 固体高分子電解質膜と、当該固体高分子電解質膜の両面に配置された高分子電解質を有する触媒層、及びガス拡散層とが重なりあい、前記固体高分子電解質膜と前記触媒層との界面、及び前記触媒層と前記ガス拡散層との界面の内少なくとも一方が未接着状態の膜・電極積層体を、熱圧着することによって膜・電極接合体へと変換する燃料電池用膜・電極接合体の製造方法であって、
    前記膜・電極積層体の面方向に対して垂直に荷重を付与せず、後工程である熱圧着工程における熱圧着温度を超える温度である加熱温度を付与し、前記膜・電極積層体の前記固体高分子電解質膜を収縮させる加熱工程と、
    前記加熱工程の後に、前記膜・電極積層体の面方向に対して垂直に荷重を付与し、且つ、熱圧着温度を付与する熱圧着工程を有することを特徴とする、燃料電池用膜・電極接合体の製造方法。
  2. 熱伝導性を有する金型内に、前記固体高分子電解質膜を有する前記膜・電極積層体を配置する配置工程と、
    前記配置工程の後に、前記金型内に配置された前記膜・電極積層体の面方向に対して垂直に荷重を付与せず、前記加熱温度を付与し、前記膜・電極積層体の前記固体高分子電解質膜を収縮させる加熱工程と、
    前記加熱工程の後に、前記金型を用いて前記膜・電極積層体の面方向に対して垂直に荷重を付与し、且つ、前記熱圧着温度を付与する熱圧着工程を有する、請求項1に記載の燃料電池用膜・電極接合体の製造方法。
  3. 前記熱圧着温度が100〜180℃である、請求項1又は2に記載の燃料電池用膜・電極接合体の製造方法。
  4. 前記加熱温度が120〜200℃である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の燃料電池用膜・電極接合体の製造方法。
  5. 前記加熱温度と前記熱圧着温度との差が、20℃以上である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の燃料電池用膜・電極接合体の製造方法。
  6. 前記熱圧着工程における圧力が1〜10MPaである、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の燃料電池用膜・電極接合体の製造方法。
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