JP2009176523A - 膜・電極接合体 - Google Patents

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Abstract

【課題】高分子電解質膜の乾湿変化に伴う寸法変化によって生じる応力を低減し、耐久性に優れた膜・電極接合体を提供する。
【解決手段】高分子電解質膜と、該高分子電解質膜の両面に設けられた触媒層と、を備える膜・電極接合体であって、前記高分子電解質膜は、その外周部であって、少なくとも一方の面に前記触媒層が形成されていない非発電領域に、沸点が150℃以上の高沸点液体が含浸されていることを特徴とする、膜・電極接合体。
【選択図】なし

Description

本発明は、膜・電極接合体に関する。
燃料電池は、電気的に接続された2つの電極に燃料と酸化剤を供給し、電気化学的に燃料の酸化を起こさせることで、化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換する。火力発電とは異なり、燃料電池はカルノーサイクルの制約を受けないので、高いエネルギー変換効率を示す。燃料電池は、通常、電解質膜を一対の電極で挟持した膜・電極接合体を基本構造とする単セルを複数積層して構成されている。中でも、電解質膜として固体高分子電解質膜を用いた固体高分子電解質型燃料電池は、小型化が容易であること、低い温度で作動すること、などの利点があることから、特に携帯用、移動体用電源として注目されている。
固体高分子電解質型燃料電池において、燃料極(アノード)では下記(1)式の反応が進行する。
2 → 2H+ + 2e- ・・・(1)
(1)式で生じる電子は、外部回路を経由し、外部の負荷で仕事をした後、酸化剤極(カソード)に到達する。そして、(1)式で生じたプロトンは、水と水和した状態で、電気浸透により固体高分子電解質膜(以下、単に高分子電解質膜ということがある)内を燃料極側から酸化剤極側に移動する。
一方、酸化剤極では下記(2)式の反応が進行する。
4H+ + O2 + 4e- → 2H2O ・・・(2)
高分子電解質膜を狭持する燃料極及び酸化剤極は、一般的に、高分子電解質膜側から順に、触媒層、ガス拡散層が積層した構造を有する。触媒層は、電極反応の場であり、通常、電極反応に対して触媒活性を有する電極触媒や高分子電解質等で構成された多孔質構造を有している。ガス拡散層は、触媒層への反応ガスの供給性や触媒層の排水性、集電性等を高める機能を有しており、カーボンシートやカーボンペーパー等の導電性多孔質体から構成される。
固体高分子電解質型燃料電池は、高分子電解質膜のプロトン伝導性を確保するため、反応ガスを加湿することがしばしば行われる。また、上記したようにカソードにおいては、電極反応により水が生成する。従って、固体高分子電解質膜の膜・電極接合体は、燃料電池が作動中か非作動中かによって、また、反応ガスの加湿状態、作動温度、反応ガスの供給量等の作動条件によって、その含水状態が大きく異なる。
高分子電解質膜は、一般的に、水を吸収して膨潤しやすい特性を有していることから、膜・電極接合体の含水状態の変化に伴い、その乾湿状態(乾燥、湿潤)が変化し、収縮(乾燥)と膨潤(湿潤)を繰り返す。膜・電極接合体において、高分子電解質膜は外周部近傍を含む領域が拘束された状態であるため、乾湿状態の変化により面方向に寸法変化、特に収縮する際、該高分子電解質膜内には応力が発生する。その結果、高分子電解質膜は機械劣化し、割れや破れ等の損傷が生じたり、高分子電解質膜のしわや歪の発生により、該高分子電解質膜表面に形成された触媒層の剥離や該触媒層のしわや割れ等の損傷が生じやすい。これら高分子電解質膜や触媒層の損傷、高分子電解質膜と触媒層の剥離は、膜・電極接合体の発電性能を著しく低下させ、燃料電池の耐久性低下の大きな要因の1つとなる。
さらには、膜・電極接合体を作製する際にも、高分子電解質膜の乾湿状態は変化し、高分子電解質膜の寸法変化が発生する。具体的には、電極触媒及び高分子電解質を溶媒と混合してなる触媒インクを高分子電解質膜表面に塗布し、触媒層を形成する場合、触媒インクの溶媒を吸収することにより高分子電解質膜は膨潤し、該触媒インクを乾燥する際、高分子電解質膜は収縮する。
また、転写基材に触媒インクを塗布した触媒層転写シートを用い、触媒層を高分子電解質膜に転写する場合、転写時の加熱温度により、高分子電解質膜は乾燥して収縮し、その後の保管環境や燃料電池の作動環境において、吸湿し、膨潤する。また、高分子電解質膜の表面に触媒層を設けた膜・触媒層複合体と、ガス拡散層を構成するガス拡散層シートとを熱圧着する際や、高分子電解質膜と、ガス拡散層シートの表面に触媒層を設けた触媒層・ガス拡散層複合体とを熱圧着する際にも、高分子電解質膜は熱圧着時の加熱温度により収縮し、その後の保管環境や燃料電池の作動環境において膨潤する。
膜・電極接合体の作製工程において生じる高分子電解質膜の寸法変化もまた、該高分子電解質膜や触媒層の損傷、これら層間の界面における剥離を発生させる。
そこで、従来、高分子電解質膜の寸法変化に伴う、高分子電解質膜のしわ等を防止する種々の技術が提案されている(例えば、特許文献1等)。
一方、燃料電池の発電性能向上を目的とした高分子電解質膜及びその製造方法等も数多く提案されている(例えば、特許文献2〜3等)。特許文献3には、芳香族単位を有する高分子化合物と芳香族単位がない高分子化合物を含む高分子フィルムをプロトン伝導性基導入材と接触させて高分子電解質膜を得る工程、得られた高分子電解質膜を40℃以上の水及び/又は有機化合物溶液に浸漬する工程を含む高分子電解質膜の製造方法が記載されている。特許文献3には、前記有機化合物の具体例としてメタノール、エタノール、エチレングリコール等のアルコール類が例示され、特に好ましいものとしてメタノール及びエタノールが挙げられている。
特開2002−25563号公報 特開2006−260797号公報 特開2007−200653号公報
特許文献3のように、高分子電解質膜全体を有機化合物溶液に浸漬した場合、高分子電解質膜は、触媒層が設けられる発電部にも有機化合物が含浸されるため、燃料電池作動時に上記有機化合物が高分子電解質膜から流出し、該有機化合物によって高分子電解質膜に隣接する触媒層中の触媒が被毒され、性能低下を引き起こす懸念がある。
本発明は上記実情を鑑みて成し遂げられたものであり、高分子電解質膜の乾湿変化に伴う寸法変化によって生じる応力を低減し、耐久性に優れた膜・電極接合体を提供することを目的とするものである。
本発明の膜・電極接合体は、高分子電解質膜と、該高分子電解質膜の両面に設けられた触媒層と、を備える膜・電極接合体であって、前記高分子電解質膜は、その外周部であって、少なくとも一方の面に前記触媒層が形成されていない非発電領域に、沸点が150℃以上の高沸点液体が含浸されていることを特徴とする。
本発明においては、高分子電解質膜の非発電領域に含浸された高沸点液体によって、該高分子電解質膜全体としてのヤング率が低減すると共に、寸法変化を抑制することができる。その結果、乾湿変化に伴い高分子電解質膜内に発生する応力が低下し、高分子電解質膜の機械劣化を抑制することが可能である。
前記高沸点溶液としては、エチレングリコール、オクタノール、セタノール及びグリセリンから選ばれる少なくとも1種が好適に使用することができる。
本発明によれば、触媒層の発電性能を維持しつつ、高分子電解質膜の機械劣化を抑制することができ、耐久性に優れた膜・電極接合体を提供することが可能である。
本発明の膜・電極接合体は、高分子電解質膜と、該高分子電解質膜の両面に設けられた触媒層と、を備える膜・電極接合体であって、前記高分子電解質膜は、その外周部であって、少なくとも一方の面に前記触媒層が形成されていない非発電領域に、沸点が150℃以上の高沸点液体が含浸されていることを特徴とする。
ここで、「非発電領域」とは、固体高分子電解質膜の外周部であって、少なくとも一方の面に触媒層が形成されていない領域をいう。
図1に、本発明の膜・電極接合体の一形態例を示す。図1において、膜・電極接合体3は、固体高分子電解質膜1と、その両面に設けられた触媒層2a、2bとを備えている。触媒層2a、2bは、通常、同一の大きさ(面積)を有している。また、触媒層2a、2bは、通常、図2のように、固体高分子電解質膜1の外周部を除くほぼ中央部に、且つ、固体高分子電解質膜1に対して対称に設けられる。
製造工程上の誤差によって触媒層2a、2bの大きさがばらついたり、あるいは、触媒層2a、2bの設置位置がずれると、固体高分子電解質膜1の両面に触媒層2a及び2bが形成された領域(発電領域)と、固体高分子電解質膜1の片面にのみ触媒層2a、2bが形成された領域(片面触媒層領域)が形成される。「非発電領域」とは、このような片面触媒層領域と、触媒層2a、2bが全く形成されていない領域を合わせた領域いう。
膜・電極接合体において、高分子電解質膜の乾湿状態の変化に伴う寸法変化によって該高分子電解質膜内に生じる応力は、高分子電解質膜のヤング率と、高分子電解質膜の乾湿変化による寸法変化量に依存する。すなわち、高分子電解質膜のヤング率が小さいほど、また、高分子電解質膜の寸法変化量が小さいほど、寸法変化に伴って高分子電解質膜内に発生する応力は小さくなり、高分子電解質膜の機械劣化が抑制される。
本発明者らは、沸点が150℃以上の高沸点液体を高分子電解質膜に含浸させることによって、(1)高沸点液体の可塑化効果による高分子電解質膜のヤング率の低下、及び、(2)高沸点液体含浸により得られる高分子電解質膜の乾燥抑制効果による高分子電解質膜の寸法安定性向上、が達成されることを見出した。具体的には、高沸点液体を含浸させることにより、高分子電解質膜は、湿潤状態となり、可塑化され、そのヤング率が低下する。また、蒸発しにくい高沸点液体を含浸させることにより、高分子電解質膜の湿潤状態が保持され、高分子電解質膜の乾燥が抑制されることから、高分子電解質膜の乾湿状態は周囲の乾湿条件に影響を受け難くなり、その寸法安定性が向上する。
しかしながら、高分子電解質膜のヤング率低下及び寸法安定性の観点からは、高沸点液体を高分子電解質膜の全面に含浸させることが好ましい一方、高分子電解質膜の全面に高沸点液体を含浸させる場合、該高分子電解質膜表面に設けられる触媒層中の電極触媒が、高分子電解質膜から流出した高沸点液体によって被毒され、発電性能が低下するおそれがある。
そこで、本発明では、膜・電極接合体の発電性能に影響しない非発電領域のみに高沸点液体を含浸させることによって、高分子電解質膜の非発電領域におけるヤング率を低下させると共に、寸法安定性を向上させることで、上記したような電極触媒の被毒を抑制し、膜・電極接合体の発電性能を維持しつつ、高分子電解質膜の機械劣化を抑制することを可能とした。
非発電領域は、燃料電池に組み込まれた際に、大きな面圧がかかる領域を含んでいることから、非発電領域におけるヤング率の低下及び乾燥防止効果による寸法安定性の向上によって、発電領域を含む高分子電解質膜全体における応力の発生を効果的に抑制することができる。また、非発電領域に限定的に高沸点液体を含浸させることで、高沸点液体の高分子電解質膜からの流出を抑制し、高沸点液体による電極触媒の被毒発生を抑えることができる。
高沸点液体としては、沸点が150℃以上の液体であれば特に限定されないが、高分子電解質膜の湿潤状態をより高温でも保持し、高分子電解質膜の寸法安定性を高める観点から、沸点が190℃以上であることが特に好ましい。具体的な高沸点液体としては、エチレングリコール、オクタノール、セタノール、グリセリン等が挙げられ、中でも、高分子電解質膜の可塑化効果、高温における寸法安定性の観点から、エチレングリコール、オクタノールが好適に用いられる。
高沸点液体は、水、エタノール等の溶媒と混合した溶液として、高分子電解質膜に含浸させてもよい。その場合、該溶液における高沸点液体の濃度は、50wt%以上とすることが好ましい。
高分子電解質膜としては、特に限定されず、例えば、ナフィオン(商品名)に代表されるパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂等のフッ素系高分子電解質や、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリエチレンスルフィド等の炭化水素系高分子にスルホン酸基、ボロン酸基、水酸基等のプロトン伝導性基を導入した炭化水素系高分子電解質等を含有するものが挙げられる。高分子電解質膜の膜厚は特に限定されないが、通常、1〜100μm程度が好ましい。
触媒層は、電極触媒と高分子電解質とを含有する触媒インクを用いて形成することができる。
電極触媒としては、通常、触媒成分を導電性粒子に担持させたものが用いられる。触媒成分としては、燃料極における燃料の酸化反応又は酸化剤極における酸化剤の還元反応に対して触媒活性を有しているものであれば、特に限定されず、固体高分子型燃料電池に一般的に用いられているものを使用することができる。例えば、白金、又はルテニウム、鉄、ニッケル、マンガン、コバルト、銅等の金属と白金との合金等が挙げられる。触媒担体である導電性粒子としては、カーボンブラック等の炭素粒子や炭素繊維のような導電性炭素材料、金属粒子や金属繊維等の金属材料も用いることができる。導電性粒子は、触媒層及び撥水層のガス透過性や排水性の観点から、0.03〜1μm程度の一次粒径を有するものが好ましく用いられる。
高分子電解質としては、固体高分子型燃料電池において使用されるものであれば特に限定されず、上記電解質膜を構成する高分子電解質と同様のものを用いることができる。電解質膜中の高分子電解質と触媒層中の高分子電解質は同材料であっても異なる材料であってもよい。
触媒インクは上記のような電極触媒と高分子電解質を、溶媒と混合し、溶解又は分散させて得られる。触媒インクの溶媒は、適宜選択すればよく、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等の有機溶媒、又はこれら有機溶媒の混合物やこれら有機溶媒と水との混合物を用いることができる。触媒インクには、電極触媒及び高分子電解質以外にも、必要に応じて結着剤や撥水性樹脂(例えば、PTFE等のフッ素系樹脂)等のその他の成分を含有させてもよい。
触媒層は、触媒インクを高分子電解質膜表面に塗布、乾燥する方法、又は、触媒層転写シートから高分子電解質膜に触媒層を転写する方法により、高分子電解質膜表面に設けることができる。触媒層転写シートは、触媒インクを転写基材表面に塗布、乾燥することにより得られる。転写基材としては、特に限定されず、一般的に使用されているもの、例えば、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリエチレンフィルム、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)フィルム等を挙げることができる。
膜・電極接合体を構成する電極は、触媒層のみからなる単層構造であってもよいし、高分子電解質膜側順に、触媒層とガス拡散層とが積層した多層構造であってもよい。電極をガス拡散層と触媒層とを含む多層構造とする場合には、ガス拡散層を構成するガス拡散層シート表面に触媒インクを塗布、乾燥する方法、又は、触媒層転写シートからガス拡散層シートに触媒層を転写する方法により、ガス拡散層シート表面に触媒層を設けることができる。ガス拡散層シートとしては、触媒層に効率良くガスを供給することができるガス拡散性、導電性、及びガス拡散層を構成する材料として要求される強度を有するもの、例えば、カーボンペーパー、カーボンクロス、カーボンフェルト等の炭素質多孔質体や、チタン、アルミニウム、銅、ニッケル、ニッケル−クロム合金、銅及びその合金、銀、アルミ合金、亜鉛合金、鉛合金、チタン、ニオブ、タンタル、鉄、ステンレス、金、白金等の金属から構成される金属メッシュ又は金属多孔質体等の導電性多孔質体から構成されるものが挙げられる。該導電性多孔質体の厚さは、50〜300μm程度であることが好ましい。
ガス拡散層シートとしては、上記したような導電性多孔質体の表面をポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素系樹脂等の撥水性樹脂で被覆したものを用いることもできる。
さらに、ガス拡散層シートの触媒層側表面には、必要に応じて、撥水層を設けることもできる。撥水層は、通常、炭素粒子や炭素繊維等の導電性粉粒体、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の撥水性樹脂等を含む多孔質構造を有するものである。撥水層は、必ずしも必要なものではないが、触媒層及び電解質膜内の水分量を適度に保持しつつ、ガス拡散層の排水性を高めることができる上に、触媒層とガス拡散層間の電気的接触を改善することができるという利点がある。
ガス拡散層シートの触媒層側表面に撥水層を形成する方法は特に限定されない。例えば、炭素粒子等の導電性粉粒体と撥水性樹脂、及び必要に応じてその他の成分を、エタノール、プロパノール、プロピレングリコール等の有機溶剤、水又はこれらの混合物等の溶剤と混合した撥水層インクを、ガス拡散層シートの触媒層に面する側に塗布し、その後、乾燥及び/又は焼成すればよい。撥水層の厚さは、通常、1〜50μm程度でよい。撥水層インクをガス拡散層シートに塗布する方法としては、例えば、スクリーン印刷法、スプレー法、ドクターブレード法、グラビア印刷法、ダイコート法等が挙げられる。
触媒インクの塗布方法、乾燥方法等は適宜選択することができる。例えば、塗布方法としては、スプレー法、スクリーン印刷法、ドクターブレード法、グラビア印刷法、ダイコート法などが挙げられる。また、乾燥方法としては、例えば、減圧乾燥、加熱乾燥、減圧加熱乾燥などが挙げられる。減圧乾燥、加熱乾燥における具体的な条件に制限はなく、適宜設定すればよい。
触媒インクの塗布量は、触媒インクの組成や、電極触媒に用いられる触媒金属の触媒性能等によって異なるが、触媒層単位面積当りの触媒成分量が、0.1〜1mg/cm2程度となるようにすればよい。
電極を触媒層とガス拡散層を含む多層構造とする場合、上記のようにして高分子電解質膜の表面に触媒層を形成することにより得られた膜・触媒層複合体は、ガス拡散層シートと接合することによって、膜・電極接合体を得ることができる。具体的には、高分子電解質膜の両面に触媒層が設けられた膜・触媒層複合体を2枚のガス拡散層シートで挟み込み、これらの積層方向に加圧しながら、必要に応じて加熱することで、膜・触媒層複合体の触媒層とガス拡散層とを接合することができる。
また、上記のようにしてガス拡散層シートの表面に触媒層を形成することにより得られた触媒層・ガス拡散層複合体は、その触媒層と高分子電解質膜とを接合することによって、膜・電極接合体を得ることができる。
尚、本発明において、膜・電極接合体は、電解質膜、触媒層、ガス拡散層以外の層を含んでいてもよい。
高分子電解質膜の非発電領域に高沸点液体を含浸させる方法としては、特に限定されない。また、高沸点液体を含浸させるタイミングも特に限定されず、触媒層を設けていない高分子電解質膜単品の状態であってもよいし、表面に触媒層を設けた後の膜・触媒層複合体であってもよいし、膜・電極接合体であってもよい。但し、触媒インク塗布時の位置合わせの容易さの観点からは、高分子電解質膜表面に触媒層を形成した後、該高分子電解質膜に高沸点液体を含浸させることが好ましい。
具体的な方法としては、高分子電解質膜の触媒層形成部、すなわち、発電領域にマスクをした状態で、該高分子電解質膜の非発電領域に高沸点液体を限定的に含浸又はスプレー塗布する方法が挙げられる。発電領域に高沸点溶媒が含浸されるのを防ぐ観点からは、高分子電解質膜表面に触媒層を形成した後、該触媒層をマスクし、非発電領域のみに限定的に高沸点液体をスプレー塗布する方法が好適である。
本発明の膜・電極接合体は、二つのセパレータで狭持することにより、単セルを構成し、燃料電池に組み込むことができる。本発明の膜・電極接合体は、発電性能及び耐久性に優れることから、本発明の膜・電極接合体を用いることによって、長期間にわたって安定した発電性能を示す燃料電池を提供することができる。
(参考実験1)
高分子電解質膜A(炭化水素系高分子電解質膜、膜厚20μm)と、高分子電解質膜Aをエチレングリコール溶液中に、常温常湿条件下、10分間浸漬し、エチレングリコール(沸点197.6℃)を含浸させた高分子電解質膜Bの貯蔵弾性率Erを測定した。結果を図2に示す。尚、貯蔵弾性率の測定は、動的粘弾性測定装置により行った。
図2により、エチレングリコールを含浸させた高分子電解質膜Bは、エチレングリコールを含浸させていない高分子電解質膜Aと比較して、全測定温度域において貯蔵弾性率が低下することが確認できた。貯蔵弾性率とヤング率は、ほぼ線形の関係があるため、エチレングリコールを含浸させることによって、高分子電解質膜のヤング率を低下させることができることがわかる。
(参考実験2)
高分子電解質膜A及び参考実験1と同様にして準備した高分子電解質Bについて、相対湿度及び温度の異なる以下の乾湿条件(1)〜(5)に順にさらし、各乾湿条件下における面方向の寸法変化率を測定した。結果を図3に示す。尚、寸法変化率は、下記乾湿条件(1)における寸法を基準(0)とし、下記式により算出した。また、高分子電解質膜の面方向における寸法は、長辺方向の寸法とした。
<乾湿条件>
(1)基準:23℃、50%RH
(2)触媒インクスプレー塗布模擬条件:23℃、水含浸
(3)乾燥:70℃、10%RH
(4)室温:23℃、50%RH
(5)電池動作環境:80℃、100%RH
<寸法変化率の算出>
寸法変化率={(各乾湿条件下における寸法)−(乾湿条件(1)における寸法)}/(乾湿条件(1)における寸法)×100(%)
<結果>
図3により、エチレングリコールを含浸させていない高分子電解質膜Aは、乾湿条件(1)から、触媒インクのスプレー塗布時の乾湿状態を模擬した乾湿条件(2)に移行した際、大きく膨潤し、10%近い寸法変化を生じたのに対して、エチレングリコールを含浸させた高分子電解質膜Bの膨潤は小さく、寸法変化率は約2%だった。また、高湿潤条件である乾湿条件(2)から、乾燥条件である乾湿条件(3)に移行した際には、高分子電解質膜Aは、大きく収縮し、乾湿条件(1)の寸法よりも小さくなり、大きな寸法変化が生じたのに対して、高分子電解質膜Bは、乾湿条件(2)の状態からほとんど収縮しなかった。すなわち、エチレングリコールを含浸させることによって、高分子電解質膜の寸法変化を抑制することができることがわかる。
本発明により提供される膜・電極接合体の一形態例を示す断面模式図である。 参考実験1の結果を示す図である。 参考実験2の結果を示す図である。
符号の説明
1…高分子電解質膜
2(2a、2b)…触媒層
3…膜・電極接合体

Claims (2)

  1. 高分子電解質膜と、該高分子電解質膜の両面に設けられた触媒層と、を備える膜・電極接合体であって、
    前記高分子電解質膜は、その外周部であって、少なくとも一方の面に前記触媒層が形成されていない非発電領域に、沸点が150℃以上の高沸点液体が含浸されていることを特徴とする、膜・電極接合体。
  2. 前記高沸点液体が、エチレングリコール、オクタノール、セタノール及びグリセリンから選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の膜・電極接合体。
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