JP2006344525A - ガス拡散体及びその製造方法並びに燃料電池 - Google Patents

ガス拡散体及びその製造方法並びに燃料電池 Download PDF

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Abstract

【課題】電池反応環境下で高度の耐腐食性を有し、内部生成水の水排出性に優れると共に、導電性能に優れ、湿度等の内部環境に拘わらず高出力で安定した発電運転が可能な燃料電池を提供する。
【解決手段】電極のガス拡散層を金属の多孔体で構成し,多孔体の表面の少なくとも一部が多孔体表面で電解重合させて合成された導電性樹脂で覆われている。導電性樹脂は,ポリアセチレン系樹脂,ポリアセン系樹脂,ポリ芳香族ビニレン系樹脂,ポリピロール系樹脂,ポリアニリン系樹脂,及びポリチオフェン系樹脂並びにこれらの誘導体より選択される。
【選択図】なし

Description

本発明は、ガス拡散体及びその製造方法並びに燃料電池に関し、詳しくは、固体高分子形燃料電池(PEFC)や直接メタノール形燃料電池(DMFC)など、高分子電解質膜を備えた燃料電池の発電セルを構成するのに好適なガス拡散体及びその製造方法、並びにこれを備えた燃料電池に関する。
近年、水素と酸素の電気化学反応によって発電する燃料電池がエネルギー供給源として注目されている。イオン交換樹脂膜を用いた燃料電池などでは、一般に高分子電解質であるイオン交換樹脂膜がアノード電極とカソード電極との間に狭持されるように構成されており、これら各電極は下記式(1)〜(3)で示す電気化学反応(電池反応)を担う触媒層と集電体として機能するガス拡散層とで構成することができる。なお、式(1) 、式(2)は各々アノード側、カソード側での反応を示し、式(3)は燃料電池での全反応である。
2 → 2H++2e- …(1)
(1/2)O2+2H++2e- → H2O …(2)
2+(1/2)O2 → H2O …(3)
ガス拡散層は一般に、炭素繊維からなる糸で織成したカーボンクロスや、炭素繊維からなるカーボンペーパー、カーボンフェルト等を用いて多孔構造に形成されている(例えば、特許文献1参照)。
すなわち、ガス拡散層は、燃料電池を発電運転させた場合、アノード側、カソード側にそれぞれ必要に応じて加湿された燃料、酸化剤ガスが供給されると、これら燃料等を拡散して上記の電池反応に供され電気を取り出すと共に、カソード側では発電に伴なって水が生成されるため〔式(2)〕、生成された生成水を系外に排出可能なように構成されている。このとき、燃料等の供給と生成水の排出とが迅速かつ効率良く行なわれることが要求される。
特に固体高分子形燃料電池(PEFC)や直接メタノール形燃料電池(DMFC)など、高分子電解質膜を備えた燃料電池においては、発電可能領域のワイドレンジ化、すなわち電池(セル)内での相対湿度が低〜高に変化する中でのロバスト性の向上に対する技術的改善が求められており、そのためにはガス拡散層による電池内部の水管理性が重要とされている。
ガス拡散層には、電池内部で生成された生成水の速やかな系外への水排出性が求められるが、この水排出性を高めて電池内部の水管理性を向上させるためには、拡散層の厚みを薄くしたり、ガス拡散層の空孔率及び平均空孔径を高める必要がある。ところが、従来のように炭素繊維からなるカーボン多孔体で構成された拡散層では、拡散層の厚みを薄くするとかえって電池出力やエネルギー効率が低下したり、また、空孔率及び平均空孔径を高めようとすると、硬度や剛性などの機械的強度が著しく低下する等の背反を伴なうことが避けられず、実用に供するまでに至っていない。
これに対し、剛性の高い金属材料を選定してガス拡散層を構成した場合には、空孔率及び平均空孔径を高めることは可能であるものの、白金や金等の耐腐食性の高い材料を除いては燃料電池の内部環境で耐用し得る材料はなく、逆に白金や金等の材料ではコストが高すぎてしまい、いずれの場合も実用に供するのは困難であった。
上記に関連して、ステンレス鋼(SUS)やニッケル(Ni)、チタン(Ti)等の金属多孔体を基材とし、金や白金、炭素粉などを用いてめっき処理(基材表面の導電性被覆処理)を施す例もあるが、金や白金による場合はコスト高になるほか、緻密で欠陥のない被覆が難しいばかりか、被覆後に被覆膜が容易に剥離したり表面親水性が強いなどの問題があり、また炭素粉による場合は、同様に緻密で欠陥のない被覆が困難であると共に、炭素が燃料電池の内部環境下で腐食してしまう。
また、基材である金属多孔体を樹脂被覆する方法もあるが、樹脂は金属面に馴染みにくく、また、樹脂を用いた被覆は塗布によるのが一般的で、塗布等ではやはり緻密で欠陥のない被覆は難しく、導電性付与の点でも不充分である。
さらに、導電性樹脂を用いた燃料電池、具体的には燃料電池を構成する触媒層とガス拡散層との間に導電性樹脂層として、フッ素樹脂及びカーボンブラックからなる混合層が設けられた燃料電池が開示されている(例えば、特許文献2参照)。しかし、ここでの導電性樹脂はフッ素樹脂と導電性粒子との混合よりなるもので、樹脂自体が導電性を有するのではなく、いわゆる炭素コンポジット材であるため、導電性樹脂中の粒子分布に濃淡が生じて導電性に高低(不均一)を伴なって良好な導電性は得られない。これは、ガス拡散層のように基体を多孔構造に構成した場合に特に顕著となる。しかもこれは、ガス拡散層自体が導電性樹脂で構成されたものでもない。
上記以外に、導電性有機重合体を用いたり、生成水を取除く効率を高めて高出力を得る技術として幾つか開示されたものがある(例えば、特許文献3〜4参照)。
また、導電性高分子の合成方法については、一般的な方法の例として、電解重合法や化学酸化重合法などが知られている。
特開2003−272671号公報 特開2001−135326号公報 特開2004−146358号公報 特開2004−63096号公報
以上のように、燃料電池を構成するガス拡散層等において電池内部で生成される生成水の排出性を改善して発電効率を高めようとする技術は、種々検討がなされているものの未だ、ガス拡散層の多孔度を高めた場合に剛性を著しく損なうことがなく、剛性を保った構成でありながら低コストに、高度の耐腐食性とその耐久性、及び導電性、熱伝導性を付与する技術は提供されるまでに至っていないのが現状である。
そのため、燃料電池、特に高分子電解質を備えた燃料電池(特にPEFCやDMFCなど)における発電可能領域のワイドレンジ化、すなわち相対湿度が低〜高に至る電池(セル)内環境でのロバスト性の向上が課題となっている。
本発明は、上記に鑑みなされたものであり、電池反応環境下で高度の耐腐食性を有し、内部生成水の水排出性に優れると共に、導電性能、熱伝導性能に優れ、内部の湿度環境に拘わらず高出力で安定した発電運転を可能とするガス拡散体及びその製造方法、並びに該ガス拡散体を備え、高耐久性で、安定した電力供給が可能な燃料電池を提供することを目的とし、該目的を達成することを課題とする。
本発明は、ガス拡散層による電池内の水管理性が発電性能の点で重要であり、この水管理性を高めるには、ガス拡散層の空孔率を高めて生成水の外部排出性を確保することが有効であるものの、従来の炭素繊維からなるカーボンクロスやカーボンペーパー等のカーボン材料では、空孔率を飛躍的に高めるのは困難であり、空孔率が確保されても構造上必要とされる機械的強度、導電性、温度バラツキを生じない熱伝導率、及び長期耐久性(耐腐食性)が得られない等、これまでの技術では実用化には到達し得ないとの知見に基づくものである。
前記目的を達成するために、第1の発明であるガス拡散体は、多孔体を含み、多孔体の表面の少なくとも一部が多孔体表面で重合させて合成された導電性樹脂で覆われた構造に構成されたものである。
本発明において、「多孔体」は、孔の多い構造部位を有するものであり、具体的には、発泡金属、繊維(金属繊維を含む)の不織布(例えば金属不織布)などが含まれる。
従来より用いられてきたカーボンペーパー等をはじめとするカーボン繊維(カーボン材料)を多孔体に代替した構成とするので、カーボン材料以上に空孔率を高めた多孔構造にすることが可能で、電池反応により内部生成された生成水の外部排出性(水排出性)を効果的に向上させ得る。すなわち、構造上一般に相反するとされる、空孔率の増大と機械的強度(剛性及び硬度を含む。)の確保との両立が可能である。
さらに、多孔体の樹脂被覆により、多孔体の電池反応環境下における腐食を効果的に抑止することができ、この樹脂被覆を特に、多孔体表面にて直接、ポリマーである樹脂被膜を重合形成するようにするので、膜欠陥の発生を抑えた緻密な被膜として多孔体上に設けることができる。腐食の影響を受けやすい電池反応環境下に多孔体が長期間保持された場合でも、多孔体の劣化を抑止するのに効果的である。
したがって、構造上必要とされる機械的強度(剛性及び硬度を含む。)を確保しつつ、高度の水排出性と耐久性能(特に耐腐食性)との両立が図れ、導電性及び熱伝導性にも優れ、長期間にわたり高い発電効率での安定した発電運転を行なえる長期信頼性を付与することができる。
また、多孔体を覆う樹脂は導電性に構成され、良好な電気伝導性を保持するため、例えば固体高分子形燃料電池(PEFC)に用いた場合に良導性の集電体として機能し得、電流密度の高い高出力での電力供給が行なえる。
導電性樹脂の合成は、触媒重合、化学酸化重合、電解重合など、公知の重合反応を利用した合成法のうち、導電性の表面で重合させ得る方法を選択して行なうことができる。
第1の発明であるガス拡散体は、金属又は金属を主成分とした多孔体(以下、金属多孔体ともいう。)を用いて構成されることが望ましい。金属又は金属を主成分とした金属多孔体(例えば発泡金属多孔体など)は、孔の多い多孔質に構成されており、燃料等の供給及び生成水の排出を迅速かつ効率良く行なうことができると共に、孔の多い多孔質に構成しながらも、硬度や剛性等の機械的強度を高く維持して薄体に構成することが可能である。
また、金属多孔体は、従来のカーボン材料に比して、薄く構成した場合に物質拡散や電子伝導が電極面に垂直、平行のいずれの方向にも確保することができ、薄体としたときの燃料等の供給及び生成水の排出は迅速でかつ高効率であるので、高出力、高エネルギー効率が得られる。また、多孔率を高めても導電性を損なわない。さらに、カーボン材料に比べ熱伝導率も高く、触媒層や電解質膜での発熱を効率良く外部に放出でき、電池内の温度バラツキが低減されるので、電池出力の向上に有効である。また、コスト面でも有利である。
前記金属としては、Ni、Nb、Ta、Ti、Zr、Fe、Cr、Al、Au、Pt、及びこれらの合金(ステンレス鋼(SUS)を含む。)若しくは複合体が望ましい。本発明においては、これら金属より一種、又は二種以上を目的等に応じて適宜選択することができる。中でも、Fe、Ni、Cr、Ti及びこれらの合金(ステンレス鋼(SUS)を含む。)若しくは複合体が特に好ましい。
上記のように導電性樹脂を多孔体の表面で重合させて設ける場合、電解重合による合成法がより効果的である。例えば金属又は金属を主成分とした多孔体など、多孔体が導電体であり、更には電池反応環境下で腐食の影響を受けやすい素材で構成されている場合に特に好適である。
電解重合法は、一般に行なわれる塗布や金属めっき等では欠陥のない緻密な被膜を形成することは極めて困難であるのに対し、薄膜としながら欠陥がなく緻密な被膜を形成することができる。また、熱安定性の高い被膜形成が可能な点でも有用である。そのため、塗布や金属めっき等による場合のように、欠陥の発生がないように厚膜にしたり塗膜形成前にPt等の貴金属被膜を下地に設ける等の必要もない。
本発明において好適な導電性樹脂は、ポリアセチレン系樹脂、ポリアセン系樹脂、ポリ芳香族ビニレン系樹脂、ポリピロール系樹脂、ポリアニリン系樹脂、ポリチオフェン系樹脂、及びこれらの誘導体であり、ガス拡散体を集電体として機能させるのに好適な導電性を確保することができる。さらに、ドーパントを含有していてもよく、上記の導電性樹脂の一種、又は二種以上を目的等に応じて適宜選択することができる。
また、導電性樹脂が撥水性を有する態様はより望ましい。撥水性を有する場合には、水排出性をさらに向上させることができる。
第2の発明である燃料電池は、上記した第1の発明であるガス拡散体を用いて構成したものである。上記のガス拡散体を備えるので、高度の硬度、剛性を持つ多孔構造を有する構成にすることが可能で、導電性、熱伝導性を有しつつ、発電運転させた際の電池反応で生成された生成水の外部排出を良好に行なうことができる。これにより、電池内環境(例えば高湿〜低湿の湿度環境変化)に拘わらず、安定的な発電効率のもと電流密度の高い発電供給を行なうことができる。特に、高電流密度領域での発電性能に優れる。
第2の発明である燃料電池としては、前記第1の発明であるガス拡散体に加えて更に、高分子電解質膜を少なくとも含み、この高分子電解質膜を一対のガス拡散体で狭持した形態の燃料電池に好適に構成することができる。このように高分子電解質膜を備えた燃料電池には、固体高分子形燃料電池(PEFC)や直接メタノール形燃料電池(DMFC)などが含まれる。
PEFCに構成する場合には例えば、高分子電解質膜(イオン交換樹脂膜)と該高分子電解質膜を狭持する電極対(アノード極及びカソード極)とを有する膜電極接合体及び、該膜電極接合体を狭持すると共に、前記電極対の一方(アノード極)との間に燃料ガスが通過する燃料ガス流路及び他方(カソード極)との間に酸化ガスが通過する酸化ガス流路を形成する一対のセパレータを備えた電池セル(単セル)を含み、所望によりこの電池セルを複数積層したスタック構造に構成することができる。このとき、電極対をなすアノード極及びカソード極は、高分子電解質膜側から順に電池反応を担う触媒層と、集電体をなす前記第1の発明であるガス拡散体からなる拡散層とで構成され得る。また、スタック構造は単一であるほか、スタック構造に構成された複数のサブスタックが接続されたものでもよい。
第3の発明であるガス拡散体の製造方法は、導電性を有する多孔体の少なくとも一部を、導電性モノマーを含有する電解質溶液と接触させて電圧印加し、多孔体の表面で電解重合させて導電性樹脂を合成する工程を少なくとも含む構成とし、合成された導電性樹脂で多孔体の表面の少なくとも一部を覆うようにしたものである。電解重合によるので、薄膜としながら欠陥がなく緻密な樹脂被膜が設けられたガス拡散体を得ることができる。
本製造方法に用いる電解質は、水系液体中でイオン解離し、電解重合により実質的に導電性のポリマー、すなわち上記の導電性樹脂を形成し得る、該導電性樹脂に対応する導電性のモノマーを適宜選択することができる。
本発明によれば、電池反応環境下で高度の耐腐食性を有し、内部生成水の水排出性に優れると共に、導電性能、熱伝導性能に優れ、内部の湿度環境に拘わらず高出力で安定した発電運転を可能とするガス拡散層及びその製造方法を提供すること並びに、本発明のガス拡散層を備え、高耐久性で、安定した電力供給が可能な燃料電池を提供することができる。
以下、図1〜3を参照して、本発明の燃料電池の実施形態について詳細に説明すると共に、該説明を通じて本発明のガス拡散体及びその製造方法の詳細についても具体的に説明する。
なお、下記の実施形態において、発電運転に用いる燃料として水素ガスを、酸化剤ガスとして空気(酸素)を用いた固体高分子形燃料電池(PEFC)を中心に説明する。但し、本発明においては下記実施形態に制限されるものではない。
本実施形態は、SUS304を成形したSUS304製ステンレス多孔体の表面全体にポリピロールを電解重合により形成し、ポリピロールで表面全体が覆われたステンレス多孔体からなるガス拡散層を設けて構成したものである。
図1に示すように、本実施形態における燃料電池(単セル)100は、フッ素系イオン交換樹脂膜(高分子電解質膜)10がアノード拡散電極20とカソード拡散電極30との間に狭持されてなる膜電極接合体40と、膜電極接合体40を更に狭持すると共に、アノード拡散電極20との間に水素ガスが通過する、即ち給排される水素ガス流路(燃料ガス流路)21と、カソード拡散電極30との間に空気(エア)が通過する、即ち給排されるエア流路(酸化ガス流路)31とを形成する一対のセパレータ50,60とで構成されている。
アノード拡散電極20は、フッ素系イオン交換樹脂膜10の側から順次、既述した電池反応(電気化学反応)を担う触媒層22と集電体として機能するガス拡散層23とが積層されてなり、カソード拡散電極30も同様に、フッ素系イオン交換樹脂膜10の側から順次触媒層32とガス拡散層33とが積層されてなるものである。
ガス拡散層23,33は、SUS304を基材とした多孔構造の発泡金属であるSUS304製ステンレス発泡体(以下、「ステンレス発泡体」と略記する。)を用い、その外部表面及び全孔の内部表面がポリピロールで被覆処理された構成となっている。ガス拡散層は、SUS304を基材として強度(剛性、硬度)を保ちつつ多孔度を有し、また、発電運転させた際に電池反応環境に曝されることによる腐食に対し、ポリピロール膜により保護されている。これにより、良好な水排出性が得られ、高耐久性(耐腐食性)で、電池内部の湿度環境などの変化に拘わらず、長期にわたり高出力で安定した電力供給が行なえる。
ステンレス発泡体は、公知の発泡金属の製造方法により作製することができる。例えば、溶融させた金属にガスを吹き込む方法や、中空バルーンを混入する方法、TiH2等の発泡剤を導入して発泡させた後に凝固させる方法など、また、特に高融点の金属を用いる場合には、例えば、水溶性高分子(例えばポリビニールアルコール)及び粉末状にした金属(金属粉)を発泡剤(例えば炭酸水素ナトリウム)と共に混合し、混合後発泡させて乾燥し焼結する方法、金属粉を水溶性高分子と混合、混練してスラリーを調製し、調製されたスラリーにパラフィンワックス等の油成分の溶融物(必要に応じ界面活性剤等を混合)を気泡状に分散し、成形して凍結、室温乾燥させた後、油成分(パラフィンワックス等)を抽出し焼結する方法、等によって好適に行なうことができる。
ステンレス発泡体の空孔率は、特に制限されるものではないが、水排出性の観点から高い程望ましく、70%以上であるのが好ましい。また、同様の理由から、平均孔径としては、100〜400μmが好ましい。ステンレス以外の金属、あるいは発泡金属以外の形態の多孔体とした場合も同様である。
ステンレス発泡体の内部表面の被覆処理は、膜欠陥のない緻密な膜によって均一に覆われるように行なうことが、電池反応環境下での耐腐食性の点で重要である。特に多孔体に被覆処理を施す場合、電解重合によると孔の内部表面に均一に緻密な被膜を設けることができ、多孔体の腐食劣化を効果的に抑止でき、耐腐食性を飛躍的に向上させ得る。
具体的には、ステンレス発泡体のポリピロールによる被覆処理は、以下のようにして行なうことができる。水及び必要に応じ水に相溶性の有機溶剤(例えばアルコール等)の水系溶媒にピロールモノマー(電解質)を加えて電解質溶液を調製し、調製した電解質溶液にステンレス発泡体を浸漬する。そして、このステンレス発泡体を電源と接続して正極とし、これと電極対をなす負極として例えば白金(Pt)を電解質溶液中に設けて、両極間に電圧印加できるように電気的に接続する。この状態で電圧印加し定電流を流すと、ステンレス発泡体の外側表面及び孔内部表面の全面(電解質溶液と接触する表面)で電解重合し、浸漬部位である全面をポリピロールで覆うことができる。電解重合を行なう条件(液温度、電圧、印加時間など)については、常法に準じて場合により適宜選択すればよい。
上記のポリピロール以外に、ポリピロール系樹脂には、ピロール単量体と他の単量体との共重合体やポリピロールの他原子置換体などが含まれる。他原子置換体には、フッ素置換体などが挙げられる。
また、ステンレス発泡体(金属多孔体)の被覆処理は、より水排出性を向上させる点から、導電性高分子による被覆面が撥水性に処理されていることが好ましい。
すなわち、拡散層において良好な導電性が必要とされるのは、図1に示す触媒層22およびガス拡散層23の界面並びに触媒層32およびガス拡散層33の界面と、ガス拡散層23およびセパレータ50の界面並びにガス拡散層33およびセパレータ60の界面、あるいは図2に示す触媒層22およびマイクロポーラス層(緩衝層)24の界面並びに触媒層32およびマイクロポーラス層(緩衝層)34の界面と、ガス拡散層23およびセパレータ50の界面並びにガス拡散層33およびセパレータ60の界面(すなわち、構造中の触媒層/拡散層界面および拡散層/セパレータ界面)であり、つまり特に他部材との電気的な接点形成が必要とされる部位に限定されることから、該部位以外では特に耐食性が必要とされ、撥水性であることが望ましい。
撥水性を付与する観点からは、前記部位以外をフッ素を含むフッ素系樹脂を用いて被覆することにより撥水化する方法もあるが、このような方法では、多孔体内部までを例えば電解重合のように均一に被覆することは困難であることに加え、導電性樹脂と撥水性樹脂との多段被覆により被覆厚が増加して金属多孔体の細孔を閉塞してしまう可能性があり、金属多孔体本来のメリットである高空孔率が損なわれてしまう。
以上の点から、本発明においては、シランカップリンッグ反応を利用して金属多孔体(ここではステンレス発泡体)の表面に自己組織化有機単分子膜を形成して撥水化する方法が有効な方法の一つとして挙げられる。中でも特に、フッ化アルキルシランを用いた場合が撥水性および化学的安定性に優れる点で好ましい。
また、前記ポリピロール(ポリピロール系樹脂)以外には、ポリアセチレン、ポリ−p−フェニレン、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリインドール、ポリ−2,5−ジアミノアントラキノン、ポリ(o−フェニレンジアミン)、ポリ(キノリニウム)塩、ポリ(イソキノリニウム)塩、ポリピリジン、ポリキノキサリン、ポリフェニルキノキサリン等を挙げることができ、これらの有機導電性高分子は、種々の置換基を有する場合の環基を有していてもよい。
前記置換基の具体例としては、アルキル基、水酸基、アルコキシル基、アミノ基、カルボキシル基、スルホン酸基、ハロゲン基、ニトロ基、シアノ基、アルキルスルホン酸基、ジアルキルアミノ基等が挙げられる。
ステンレス発泡体を覆うポリピロールの厚みとしては、0.1〜30μmが好ましく、1〜10μmがより好ましい。該厚みが特に上記範囲であると、均一な被覆が可能であると共に、防食能が高く、多孔体としたときに金属多孔体由来のメリットである高空孔率とを確保することができ、また、厚すぎて密着強度が低下して被膜が剥離しやすくなることもない。また、被覆ポリピロール以外の他の導電性樹脂による場合も同様である。
触媒層22,32は、フッ素系イオン交換樹脂膜10の表面に、触媒としての白金又は白金と他の金属とからなる合金を塗布してなるものである。塗布は、白金又は白金と他の金属とからなる合金を担持したカーボン粉を作製し、このカーボン粉を適当な有機溶剤に分散させ、これに電解質溶液(例えば、Aldrich Chemical社、Nafion Solution)を適量添加してペースト化し、フッ素系イオン交換樹脂膜上にスクリーン印刷する方法などによって行なえる。また、前記カーボン粉を含有するペーストを膜成形したシートをフッ素系イオン交換樹脂膜上にプレスしたり、白金等をフッ素系イオン交換樹脂膜と対向する側のガス拡散層の表面に塗布するようにしてもよい。
フッ素系イオン交換樹脂膜(高分子電解質膜)10は、イオン導電性を有する電解質で構成することができ、一般にパーフルオロスルホン酸膜などが用いられる。本実施形態は、ナフィオン膜(デュポン社製)で構成した例である。この膜は通常、イオン導電性を高める点から湿潤状態とされ、水素ガスが供給されて得たアノード側の水素イオンは該膜を良好にイオン伝導してカソード側に移動することができる。この湿潤状態は、燃料である水素ガス及び/又はカソード側の酸素を含む空気に加水(加湿)することによって形成できる。
セパレータ50,60は、膜電極接合体40を更に狭持するように設けられると共に、膜電極接合体40を構成するアノード拡散電極20との間に水素ガス流路21を形成し、カソード拡散電極30との間にエア流路31を形成する。
各セパレータは、ガス不透過の導電性部材、例えばカーボンを圧縮してガス不透過とした緻密質カーボンによって構成することができる。このセパレータは、単セルを複数積層してスタック構造をなすときには一つのセパレータが二つの膜電極接合体の間で共有され、セパレータの両側の面において流路が形成されるようになっている。
燃料電池100は、図1に示すように、アノード側に設けられた水素ガス流路21に水素(H2)密度の高い水素ガスが供給され、カソード側に設けられたエア流路31に酸素(O2)を含む空気(Air)が供給されると、既述した式(1)〜(3)で示す電気化学反応(電池反応)を起こして、外部に電力を供給することができる。そして、本発明の燃料電池においては、相対湿度の高〜低に至る電池内環境下、広範囲な電流密度領域で良好な発電性能が得られる。
上記では、多孔体として、SUS304(ステンレス)を成形したSUS多孔体を用いてガス拡散層を構成するようにしたが、ステンレス以外の既述の他の金属、特にNi、Nb、Ta、Ti、Zr、Fe、Cr、Al、Au、又はPt、あるいはこれらの合金若しくは複合体を成形した場合も上記同様である。また、ステンレス材を発泡金属として用いたが、発泡金属以外の多孔質な形態で用いた場合も同様である。本発明の効果の点で発泡金属が好ましい。
また、導電性樹脂としてポリピロールを用いた場合を説明したが、ポリピロール以外の既述の他の導電性樹脂を用いた場合においても同様である。上記の実施形態においては、ステンレス発泡体の外側表面と孔内部表面の全面を被覆するようにしたが、目的や場合により必ずしも多孔体の全面(全体)を覆う形態とする必要はなく、多孔体の表面を部分的に覆うようにすることもできる。
例えば、多孔体の全孔のうち一部の孔内部、例えば電池反応は電極とプロトン伝導性物質とが接する部分、すなわち三相界面に原料ガスが供給されることで起こるため、反応場である該三相界面付近及びこれに近い領域に存在する孔の内部表面を中心に覆うようにしてもよい。比較的耐腐食性の金属を撥水性の高い導電性樹脂と組合せた形態に構成する場合など、部分的な被覆によっても発電性能を損なわない水排出性を確保でき、耐腐食性を大きく損なわないような場合に有効である。
本発明の燃料電池は、既述の本発明のガス拡散体を用いて作製されたものである。既述のように、このガス拡散体は従来のカーボンペーパー等のカーボン繊維以外の多孔体で構成され、その表面の少なくとも一部が(好ましくは電解重合により合成された)導電性樹脂で緻密で均一に覆われてなるものであるため、電池構造上必要とされる強度、導電性、熱伝導性を保持しつつ、電池反応で生成された生成水の水排出性と耐腐食性との両立に大きく寄与し、したがってこれを備えた燃料電池は、高耐久性を有すると共に低廉で、高出力での発電運転を安定的に行なえる。
以下、実施例を示して本発明をより具体的に説明する。但し、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
[ガス拡散体の作製]
1)SUS多孔体の準備
厚さ500μm、空孔率80%以上、平均空孔径400μmのSUS304製のステンレス発泡多孔体(SUS多孔体)を準備した。
2)被覆処理
まず、ピロールモノマー(電解質)0.1モル/l(リットル;以下同様)とパラトルエンスルホン酸0.03モル/lと共に、イソプロピルアルコールを5%量となるように加え、電解重合に用いる電解質溶液を調製した。
得られた電解質溶液を電解槽に収容し、15℃に調温した後、収容された電解質溶液中に上記のSUS多孔体を浸漬し、このSUS多孔体と接続された、電圧供給用の電圧供給装置により5Vの電圧を印加し、SUS多孔体の外側表面及び全孔の内部表面の全面(電解質溶液との接触面)において電解酸化重合させた。電解酸化重合は、5分毎に電圧の向きをを逆転させて正味60分間通電して行ない、ポリピロールで被覆した。その後、イオン交換水で充分に洗浄した後、110℃で乾燥させ、SUS多孔体の外側表面及び全孔の内部表面の全面がポリピロールで被覆されてなる、ポリピロール導電膜被覆SUS多孔体(本発明のガス拡散体A)を得た。
[燃料電池の作製]
次に、得られたガス拡散体Aを用いて、以下のようにして図2に示す構成の燃料電池セル(単セル)200Aを作製した。
まず、高分子電解質膜10としてデュポン社製のナフィオン膜(パーフルオロスルホン酸膜)を準備し、各々のナフィオン膜の表面に、白金を担持したカーボン粉を2−プロパノールに分散させた分散溶液(固形分6質量%)5部に更にナフィオンソリューション(Aldrich Chemical社製;電解質溶液)5部を添加してペースト化してなる触媒層用調製液を乾燥膜厚10〜30μmとなるように塗布し、触媒層22,32を設けた。
次いで、触媒層22,32の各々の表面に、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE;撥水化材)30%及びカーボンブラック70%を混練しその混練物を延伸圧延して厚み30μmのシート状に成形したPTFE膜を、マイクロポーラス層(緩衝層)24,34として設けた。このPTFE膜は、電池反応で生じた生成水の排出性をより確保するために設けたものである。
次いで、マイクロポーラス層(PTFE膜)24,34の表面にガス拡散層23,33として、上記より得た本発明のガス拡散体A(ポリピロール導電膜被覆SUS多孔体)を配設し、高分子電解質膜10がアノード拡散電極20'とカソード拡散電極30'との間に狭持されてなる膜電極接合体40'を形成した。これに更に、膜電極接合体40'を狭持する一対のセパレータ50,60を設け、アノード拡散電極20'とセパレータ50との間に水素ガス流路21を、カソード拡散電極30'とセパレータ60との間にエア流路31をそれぞれ形成して、本発明の燃料電池セル(単セル)200Aとした。
[評価]
上記より得た本発明のガス拡散体A並びに燃料電池セル200Aについて、以下の評価を行なった。評価、計測した結果は下記表1及び図3に示す。
−耐腐食性の評価−
ガス拡散体Aを、80℃に調温された3.5%塩化ナトリウム水溶液(pH=2;HClにて調整)中に浸漬して、24時間毎に塩化ナトリウム水溶液を採取し、ICP発光分析装置(ICP−AES)を用いて定量を行ない、液中に溶出する地金Feの溶出速度を計測した。この溶出量を腐食量を示す指標とし、腐食耐性の評価を行なった。
−発電性能の評価−
燃料電池セル200Aに対して、セル設定温度を80℃として2気圧下、80℃で加湿を行ないながら各極に水素ガス又は空気を供給して発電運転を行ない、電圧に対する電流密度(A/cm2)を計測した。計測結果として図3に、横軸を電流密度Iとし、縦軸をセル電圧VとしたI−V曲線を示す。
(比較例1)
実施例1で得たステンレス発泡多孔体(SUS多孔体)に金めっき処理を行なって、SUS多孔体の外側表面及び全孔の内部表面の全面が金で被覆されてなる、金被覆SUS多孔体(比較のガス拡散体a)を得、実施例1と同様にして耐腐食性の評価を行なった。結果は下記表1に示す。
(比較例2)
実施例1の「ガス拡散体の作製」において、「2)被覆処理」を下記のようにして行なったこと以外、実施例1と同様にして、カーボンブラック含有樹脂被覆SUS多孔体(比較のガス拡散体b)を作製し、耐腐食性の評価を行なった。結果は下記表1に示す。
まず、エポキシ樹脂を含む電着液に、エポキシ樹脂の固形分(質量)に対して40質量%に相当するカーボンブラックを分散させ、電着液を調製した。
得られた電着液を収容し、収容された電解質溶液中にSUS多孔体を浸漬し、このSUS多孔体と接続された電圧供給装置により電圧印加し、SUS多孔体の外側表面及び全孔の内部表面の全面(液接触面)に電着膜を形成し、厚さ20μmのカーボンブラック含有樹脂膜で被覆した。その後、イオン交換水で充分に洗浄し、乾燥させて、カーボンブラック含有樹脂膜被覆SUS多孔体(比較のガス拡散体b)を得た。
(比較例3)
実施例1において、SUS多孔体を、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)で撥水化処理された炭素繊維からなるカーボンペーパー(空孔率70%;カーボン多孔体)に代えたこと以外、実施例1と同様にして、比較のガス拡散体cを作製すると共に、燃料電池セル(単セル)200cを作製し、発電性能の評価を行なった。結果は図3に示す。
Figure 2006344525
前記表1に示すように、約100時間経過した時点において、本発明のガス拡散体Aでは、地金であるFeの溶出が速かった比較のガス拡散体a及びbに比して、地金Feの溶出量が少なく(ガス拡散体b>ガス拡散体a>本発明のガス拡散体A)、酸性環境の影響による腐食を受けにくかった。すなわち、金属めっき又は塗布による保護では、緻密さに欠けて膜欠陥が多いためにガス拡散体に求められる耐性が得られなかったが、SUS表面での電解重合による保護では、緻密で耐食性を損なう欠陥の発生のない被膜が行なえ、耐腐食性を向上させることができた。
上記において、本発明のガス拡散体Aが良好なの耐腐食性を示したのは更に、ポリピロールが金属表面の電位を引き上げる作用に伴なう、導電性の高分子に固有の耐腐食効果によるものである。この点を確認するため、酸性水溶液に浸漬した状態で、ポリピロールで被覆した被覆SUS多孔体及び、被覆を行なっていない非被覆SUS多孔体(いずれもSUS304)の両者の浸漬電位(V)を測定したところ、被覆SUS多孔体では浸漬電位が+0.2V(vsAg/AgCl)であったのに対し、非被覆SUS鋼では浸漬電位が−0.6Vであり、電位は明らかに貴な方向にシフトするのが認められた。
また、図3のI−V曲線で示すように、本発明のガス拡散体Aを備えた本発明の燃料電池セル200Aでは、比較のガス拡散体cを備えた比較の燃料電池セル200cに比し、セル内の水排出性(水管理性)が著しく向上しており、広い電流密度領域にわたり良好な発電性能を示し、特に高電流密度域での発電性に優れていた。
上記したように、本発明のガス拡散体は高い水排出性と高度の耐久性とを兼ね備えており、高い水管理性と高度の耐久性に基づいた長期信頼性とを両立した燃料電池を提供することができる。
また、本発明のガス拡散体及びその製造方法、並びに燃料電池は、電気自動車等の車両や船舶、航空機等への電力供給源として好適に適用することができる。
本発明の実施形態に係る燃料電池セルを示す概略断面図である。 本発明の実施形態に係る他の燃料電池セルを示す概略断面図である。 燃料電池セルにおける電流密度−電圧特性を示すI−V曲線である。
符号の説明
10…フッ素系イオン交換樹脂膜(高分子電解質膜)
20,20'…アノード拡散電極
21…水素ガス流路
22,32…触媒層
23,33…ガス拡散層
30,30'…カソード拡散電極
31…エア流路
40,40'…膜電極接合体
50,60…セパレータ

Claims (9)

  1. 多孔体を含み、前記多孔体の表面の少なくとも一部が前記表面で重合させて合成された導電性樹脂で覆われてなるガス拡散体。
  2. 前記多孔体が金属を用いてなる請求項1に記載のガス拡散体。
  3. 前記導電性樹脂は、電解重合により合成された請求項1又は2に記載のガス拡散体。
  4. 前記導電性樹脂は、ポリアセチレン系樹脂、ポリアセン系樹脂、ポリ芳香族ビニレン系樹脂、ポリピロール系樹脂、ポリアニリン系樹脂、及びポリチオフェン系樹脂、並びにこれらの誘導体より選択される少なくとも一種である請求項1〜3のいずれか1項に記載のガス拡散体。
  5. 前記金属は、Ni、Nb、Ta、Ti、Zr、Fe、Cr、Al、Au、及びPt並びにこれらの合金及び複合体より選択される少なくとも一種である請求項2〜4のいずれか1項に記載のガス拡散体。
  6. 前記導電性樹脂が撥水性を有する請求項1〜5のいずれか1項に記載のガス拡散体。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のガス拡散体を備えた燃料電池。
  8. 高分子電解質膜を更に備え、該高分子電解質膜が一対の前記ガス拡散体で狭持されてなる請求項7に記載の燃料電池。
  9. 導電性を有する多孔体の少なくとも一部を、導電性モノマーを含有する電解質溶液と接触させて電圧印加し、前記多孔体の表面で電解重合させて導電性樹脂を合成する工程を含み、前記導電性樹脂で前記多孔体の表面の少なくとも一部を覆うようにしたガス拡散体の製造方法。
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