JP2009218122A - 直接アルコール型燃料電池用膜・電極接合体、及び当該膜・電極接合体を有する直接アルコール型燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】白金とアルコール酸化促進金属が協働することによって燃料となるアルコールの酸化反応が促進される直接アルコール型燃料電池用膜・電極接合体、及び当該膜・電極接合体を有する直接アルコール型燃料電池を提供する。
【解決手段】アノード触媒層が、白金‐アルコール酸化促進金属合金を含み、当該白金‐アルコール酸化促進金属合金中のアルコール酸化促進金属含有割合が、モル百分率で表した時に、供給されるアルコールの流れ方向の上流端において15モル%未満であり、且つ、前記流れ方向の下流端において15モル%を超える値であり、且つ、前記アルコール酸化促進金属含有割合が、前記流れ方向の上流端から下流端にかけて単調増加することを特徴とする、直接アルコール型燃料電池用膜・電極接合体。
【選択図】図2
【解決手段】アノード触媒層が、白金‐アルコール酸化促進金属合金を含み、当該白金‐アルコール酸化促進金属合金中のアルコール酸化促進金属含有割合が、モル百分率で表した時に、供給されるアルコールの流れ方向の上流端において15モル%未満であり、且つ、前記流れ方向の下流端において15モル%を超える値であり、且つ、前記アルコール酸化促進金属含有割合が、前記流れ方向の上流端から下流端にかけて単調増加することを特徴とする、直接アルコール型燃料電池用膜・電極接合体。
【選択図】図2
Description
本発明は、白金とアルコール酸化促進金属が協働することによって燃料となるアルコールの酸化反応が促進される直接アルコール型燃料電池用膜・電極接合体、及び当該膜・電極接合体を有する直接アルコール型燃料電池に関する。
燃料電池は、燃料と酸化剤を電気的に接続された2つの電極に供給し、電気化学的に燃料の酸化を起こさせることで、化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換する。火力発電とは異なり、燃料電池はカルノーサイクルの制約を受けないので、高いエネルギー変換効率を示す。燃料電池は、通常、電解質膜を一対の電極で挟持した膜・電極接合体を基本構造とする単セルを複数積層して構成されている。中でも、電解質膜として固体高分子電解質膜を用い、アルコール燃料が直接アノード(燃料極)に供給される、直接メタノール型燃料電池(DMFC)を代表例とする直接アルコール型燃料電池は、固体高分子電解質型燃料電池(PEFC)とは異なり、アルコールから水素を取り出すための改質器が不要であるため、装置自体が小型化ならびに安価にできるだけでなく、全体の運転手段も簡素化できるなどの利点があることから、特に携帯用、移動体用電源として注目されている。
直接メタノール型燃料電池では、メタノールを燃料とした場合、アノードでは式(1)の反応が進行する。
CH3OH + H2O → 6H+ + 6e− + CO2 …(1)
前記式(1)で生じる電子は、外部回路を経由し、外部の負荷で仕事をした後、カソード(酸化剤極)に到達する。そして、前記式(1)で生じたプロトンは、水と水和した状態で、固体高分子電解質膜内をアノード側からカソード側に、電気浸透により移動する。
CH3OH + H2O → 6H+ + 6e− + CO2 …(1)
前記式(1)で生じる電子は、外部回路を経由し、外部の負荷で仕事をした後、カソード(酸化剤極)に到達する。そして、前記式(1)で生じたプロトンは、水と水和した状態で、固体高分子電解質膜内をアノード側からカソード側に、電気浸透により移動する。
また、酸素を酸化剤とした場合、カソードでは式(2)の反応が進行する。
6H+ + (3/2)O2 + 6e− → 3H2O …(2)
カソードで生成した水は、主としてガス拡散層を通り、外部へと排出される。このように燃料電池は、水と二酸化炭素以外の排出物がなく、クリーンな発電装置である。
6H+ + (3/2)O2 + 6e− → 3H2O …(2)
カソードで生成した水は、主としてガス拡散層を通り、外部へと排出される。このように燃料電池は、水と二酸化炭素以外の排出物がなく、クリーンな発電装置である。
このように利点の多い直接メタノール型燃料電池ではあるが、燃料となるメタノールの持つ毒性が、人体の健康を害し生命の危険をも脅かすものであることから、近年、人体に対する毒性ならびに環境への影響が極めて少ないエタノールを燃料に使用する技術開発が盛んに行われている。
特許文献1は、スズ等7種類の元素から選ばれる少なくとも一種の元素と白金とを含む元素混合体よりなることを特徴とするエタノール酸化用電極触媒に関する技術を開示しており、このような電極触媒は、エタノール電極酸化において過電圧が低くかつ大きな電流密度を示す効果があることを記載している。
しかし特許文献1は、当該文献に記載された電極触媒が、エタノールの酸化過電圧を低下させる効果については述べているものの、触媒層中においてどのように白金とスズ等の元素が協働して酸化過電圧を低下させるのかについての原理的考察は行っておらず、したがって、触媒層中の金属分布の最適化などの提案はなされていない。
本発明は、白金とアルコール酸化促進金属が協働することによって燃料となるアルコールの酸化反応が促進される直接アルコール型燃料電池用膜・電極接合体、及び当該膜・電極接合体を有する直接アルコール型燃料電池を提供することを目的とする。
本発明は、白金とアルコール酸化促進金属が協働することによって燃料となるアルコールの酸化反応が促進される直接アルコール型燃料電池用膜・電極接合体、及び当該膜・電極接合体を有する直接アルコール型燃料電池を提供することを目的とする。
本発明の直接アルコール型燃料電池用膜・電極接合体は、固体高分子電解質膜の一面側にアノード触媒層を含むアノード電極を有し、他面側にカソード触媒層を含むカソード電極を有する直接アルコール型燃料電池用膜・電極接合体であって、前記アノード触媒層が、スズ、ルテニウム、チタン及びレニウムから選ばれる少なくとも1種のアルコール酸化促進金属と白金との合金を含み、当該白金‐アルコール酸化促進金属合金中の前記アルコール酸化促進金属の含有量の、前記アルコール酸化促進金属の含有量と白金の含有量の合計に対する含有割合(以下、アルコール酸化促進金属含有割合という。)が、モル百分率で表した時に、供給されるアルコールの流れ方向の上流端において15モル%未満であり、且つ、前記流れ方向の下流端において15モル%を超える値であり、且つ、前記アルコール酸化促進金属含有割合が、前記流れ方向の上流端から下流端にかけて単調増加することを特徴とする。
このような構成の直接アルコール型燃料電池用膜・電極接合体は、前記アルコール酸化促進金属含有割合が、供給されるアルコールの流れ方向の上流端において15モル%未満である、すなわち、前記白金‐アルコール酸化促進金属合金中の白金の含有量の、前記アルコール酸化促進金属の含有量と白金の含有量の合計に対する含有割合(以下、白金含有割合という。)が85モル%を超えることによって、アルコールの流れ方向の上流のアルコール酸化反応を効率よく進行させることができる。また、本発明の直接アルコール型燃料電池用膜・電極接合体は、前記アルコール酸化促進金属含有割合が、供給されるアルコールの流れ方向の下流端において15モル%を超えることによって、アルコール酸化促進金属によって活性化された水が、供給されるアルコールの流れ方向の上流において白金によって二酸化炭素まで至らず途中まで酸化されたアルコール酸化物を、当該アルコール酸化物によって白金被毒が生じる前に、二酸化炭素まで酸化することができる。このように、酸化反応を妨げる不純物が少なく、燃料の濃度の高い、アルコールの流れ方向の上流において、白金によって効率よくアルコール酸化反応を行い、二酸化炭素まで至らず途中まで酸化されたアルコール酸化物の濃度が高く、燃料の濃度の低い、アルコールの流れ方向の下流において、アルコール酸化促進金属によって白金被毒を防ぎつつアルコール酸化物を二酸化炭素まで酸化するというように、白金とアルコール酸化促進金属の協働によってアルコールの酸化を滞りなく行うことができる。さらに、本発明の直接アルコール型燃料電池用膜・電極接合体は、前記アルコール酸化促進金属含有割合が、前記流れ方向の上流端から下流端にかけて単調増加することによって、前記流れ方向の下流において生じやすい前記アルコール酸化物による白金被毒を抑制し、アルコールの酸化反応を促進することができる。
本発明の直接アルコール型燃料電池用膜・電極接合体は、前記アルコール酸化促進金属含有割合が、モル百分率で表した時に、供給されるアルコールの流れ方向の上流端において0〜10モル%であり、前記流れ方向の下流端において20〜50モル%であることが好ましい。
このような構成の直接アルコール型燃料電池用膜・電極接合体は、アルコールの流れ方向の上流端及び下流端において適切な前記アルコール酸化促進金属含有割合を有することにより、アルコールの流れ方向の上流において白金によるアルコール酸化反応をよりよく進行させ、アルコールの流れ方向の下流においてアルコール酸化促進金属によるアルコール酸化物の酸化反応をよりよく進行させ、アルコール酸化促進金属による白金被毒を防止しながら高い発電性能を維持することができる。
本発明の直接アルコール型燃料電池は、上記本発明の直接アルコール型燃料電池用膜・電極接合体を有することを特徴とする。
このような構成の直接アルコール型燃料電池は、白金によって二酸化炭素まで至らず途中まで酸化されたアルコール酸化物を二酸化炭素まで酸化し、アノード触媒層における白金被毒を防ぐため、高い発電性能を維持することができる。
本発明の直接アルコール型燃料電池は、燃料がエタノールであることが好ましい。
このような構成の直接アルコール型燃料電池は、人体に対する毒性ならびに環境への影響が極めて少なく、また、バイオマスからも容易に製造することが可能なエタノールを用いるため、高い安全性と、携帯容易性、及び低いコストを同時に達成することができる。
本発明によれば、前記アルコール酸化促進金属含有割合が、供給されるアルコールの流れ方向の上流端において15モル%未満である、すなわち、前記白金含有割合が85モル%を超えることによって、アルコールの流れ方向の上流のアルコール酸化反応を効率よく進行させることができる。また、本発明の直接アルコール型燃料電池用膜・電極接合体は、前記アルコール酸化促進金属含有割合が、供給されるアルコールの流れ方向の下流端において15モル%を超えることによって、アルコール酸化促進金属によって活性化された水が、供給されるアルコールの流れ方向の上流において白金によって二酸化炭素まで至らず途中まで酸化されたアルコール酸化物を、当該アルコール酸化物によって白金被毒が生じる前に、二酸化炭素まで酸化することができる。このように、酸化反応を妨げる不純物が少なく、燃料の濃度の高い、アルコールの流れ方向の上流において、白金によって効率よくアルコール酸化反応を行い、二酸化炭素まで至らず途中まで酸化されたアルコール酸化物の濃度が高く、燃料の濃度の低い、アルコールの流れ方向の下流において、アルコール酸化促進金属によって白金被毒を防ぎつつアルコール酸化物を二酸化炭素まで酸化するというように、白金とアルコール酸化促進金属の協働によってアルコールの酸化を滞りなく行うことができる。さらに、本発明の直接アルコール型燃料電池用膜・電極接合体は、前記アルコール酸化促進金属含有割合が、前記流れ方向の上流端から下流端にかけて単調増加することによって、前記流れ方向の下流において生じやすい前記アルコール酸化物による白金被毒を抑制し、アルコールの酸化反応を促進することができる。
本発明の直接アルコール型燃料電池用膜・電極接合体は、固体高分子電解質膜の一面側にアノード触媒層を含むアノード電極を有し、他面側にカソード触媒層を含むカソード電極を有する直接アルコール型燃料電池用膜・電極接合体であって、前記アノード触媒層が、スズ、ルテニウム、チタン及びレニウムから選ばれる少なくとも1種のアルコール酸化促進金属と白金との合金を含み、当該白金‐アルコール酸化促進金属合金中の前記アルコール酸化促進金属の含有量の、前記アルコール酸化促進金属の含有量と白金の含有量の合計に対する含有割合(以下、アルコール酸化促進金属含有割合という。)が、モル百分率で表した時に、供給されるアルコールの流れ方向の上流端において15モル%未満であり、且つ、前記流れ方向の下流端において15モル%を超える値であり、且つ、前記アルコール酸化促進金属含有割合が、前記流れ方向の上流端から下流端にかけて単調増加することを特徴とする。
図1は、本発明の直接アルコール型燃料電池用膜・電極接合体の一例を示す図であって、積層方向に切断した断面を模式的に示した図である。膜・電極接合体8は、平型の膜・電極接合体であって、水素イオン伝導性を有する固体高分子電解質膜(以下、単に電解質膜ということがある)1と、当該電解質膜1を挟んだ一対のアノード電極6及びカソード電極7とでなる。通常は電極として、電解質膜側から順に触媒層とガス拡散層とを積層して構成されたものが用いられる。すなわち、アノード電極6はアノード触媒層2とガス拡散層4とを積層したものからなり、カソード電極7はカソード触媒層3とガス拡散層5とを積層したものからなる。
固体高分子電解質膜とは、燃料電池において使用される高分子電解質膜であり、ナフィオン(商品名)に代表されるパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂のようなフッ素系高分子電解質からなるフッ素系高分子電解質膜の他、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンエーテル、ポリパラフェニレン等のエンジニアリングプラスチックや、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等の汎用プラスチック等の炭化水素系高分子にスルホン酸基、カルボン酸基、リン酸基、ボロン酸基等のプロトン酸基(プロトン伝導性基)を導入した炭化水素系高分子電解質からなる炭化水素系高分子電解質膜が挙げられる。
アノード触媒層は、アノード触媒、導電性材料及び高分子電解質を含有する触媒インクを用いて形成することができる。
アノード触媒としては、触媒成分を導電性粒子に担持させたものが用いられる。触媒成分としては、スズ、ルテニウム、チタン及びレニウムから選ばれる少なくとも1種のアルコール酸化促進金属と白金との合金を用いることができる。ここで、白金‐アルコール酸化促進金属合金とは、単に白金とアルコール酸化促進金属の合金であってもよいし、白金又は白金の合金のうち少なくともいずれか1つと、アルコール酸化促進金属又はアルコール酸化促進金属の合金のうち少なくともいずれか1つとを混合し、合金としたものであってもよい。また、2種類以上のアルコール酸化促進金属を含んでいてもよい。
アノード触媒内の白金又はアルコール酸化促進金属以外の金属としては、アノードにおける燃料の酸化反応に対して触媒活性を有しているものであれば特に限定されず、燃料電池に一般的に用いられているものを使用することができ、例えば、鉄、ニッケル、マンガン、コバルト、銅等を挙げることができる。
なお、アノード触媒内の白金又はアルコール酸化促進金属以外の金属の含有量が、アノード触媒の重量の5%未満であるのが好ましい。仮に白金又はアルコール酸化促進金属以外の金属の含有量が5%以上であるとすると、後述する本発明の効果である白金とアルコール酸化促進金属の協働効果が得られなくなるおそれがある。
アノード触媒の製造方法としては、例えば、カーボンブラック等の炭素粒子や炭素繊維のような導電性炭素材料、金属粒子や金属繊維等の金属材料を、適切な溶媒中に分散させ、50〜100℃で加熱後、白金を含む溶液と、アルコール酸化反応促進金属を含む溶液とを加える方法が挙げられる。その後冷却し、濾過後に、50〜100℃で0.5〜3時間乾燥させることによって、アノード触媒を得ることができる。
アノード触媒としては、触媒成分を導電性粒子に担持させたものが用いられる。触媒成分としては、スズ、ルテニウム、チタン及びレニウムから選ばれる少なくとも1種のアルコール酸化促進金属と白金との合金を用いることができる。ここで、白金‐アルコール酸化促進金属合金とは、単に白金とアルコール酸化促進金属の合金であってもよいし、白金又は白金の合金のうち少なくともいずれか1つと、アルコール酸化促進金属又はアルコール酸化促進金属の合金のうち少なくともいずれか1つとを混合し、合金としたものであってもよい。また、2種類以上のアルコール酸化促進金属を含んでいてもよい。
アノード触媒内の白金又はアルコール酸化促進金属以外の金属としては、アノードにおける燃料の酸化反応に対して触媒活性を有しているものであれば特に限定されず、燃料電池に一般的に用いられているものを使用することができ、例えば、鉄、ニッケル、マンガン、コバルト、銅等を挙げることができる。
なお、アノード触媒内の白金又はアルコール酸化促進金属以外の金属の含有量が、アノード触媒の重量の5%未満であるのが好ましい。仮に白金又はアルコール酸化促進金属以外の金属の含有量が5%以上であるとすると、後述する本発明の効果である白金とアルコール酸化促進金属の協働効果が得られなくなるおそれがある。
アノード触媒の製造方法としては、例えば、カーボンブラック等の炭素粒子や炭素繊維のような導電性炭素材料、金属粒子や金属繊維等の金属材料を、適切な溶媒中に分散させ、50〜100℃で加熱後、白金を含む溶液と、アルコール酸化反応促進金属を含む溶液とを加える方法が挙げられる。その後冷却し、濾過後に、50〜100℃で0.5〜3時間乾燥させることによって、アノード触媒を得ることができる。
本発明でアノード触媒層の「供給されるアルコールの流れ方向の上流端」とは、燃料であるアルコールが供給されるアノード触媒層の端のことを指し、アノード触媒層の「供給されるアルコールの流れ方向の下流端」とは、例えば上記式(1)の反応式において生成する水、二酸化炭素及び場合によっては未反応のアルコールを排出するアノード触媒層の端のことを指す。
また、本発明において「供給されるアルコールの流れ方向の上流」という場合は、燃料であるアルコールが通過する全長の内、前記上流端から50%の長さに相当する部分をいい、好ましくは前記上流端から30%の長さに相当する部分をいう。同様に「供給されるアルコールの流れ方向の下流」という場合は、燃料であるアルコールが通過する全長の内、前記下流端から50%の長さに相当する部分をいい、好ましくは前記下流端から30%の長さに相当する部分をいう。
なお、「相対的に上流」及び「相対的に下流」という場合においては、上記のような燃料が通過する全長における絶対的な位置を指すものではない。
また、本発明において「供給されるアルコールの流れ方向の上流」という場合は、燃料であるアルコールが通過する全長の内、前記上流端から50%の長さに相当する部分をいい、好ましくは前記上流端から30%の長さに相当する部分をいう。同様に「供給されるアルコールの流れ方向の下流」という場合は、燃料であるアルコールが通過する全長の内、前記下流端から50%の長さに相当する部分をいい、好ましくは前記下流端から30%の長さに相当する部分をいう。
なお、「相対的に上流」及び「相対的に下流」という場合においては、上記のような燃料が通過する全長における絶対的な位置を指すものではない。
本発明のアノード触媒層は、前記アルコール酸化促進金属含有割合が、供給されるアルコールの流れ方向の上流端において15モル%未満である、すなわち、前記白金‐アルコール酸化促進金属合金中の白金の含有量の、前記アルコール酸化促進金属の含有量と白金の含有量の合計に対する含有割合(以下、白金含有割合という。)が85モル%を超える。このことにより、アルコールの流れ方向の上流のアルコール酸化反応を効率よく進行させることができる。これは、前記上流においては、燃料の濃度が下流と比較して高く、また、後述するアルコール酸化物が、前記上流において生じたとしても、アルコールの流れによって下流へと押し流されるため、アルコール酸化物による白金被毒が生じにくく、したがってアルコール酸化反応を妨げる不純物が少ないと考えられるためである。
アルコール酸化物としては、例えばエタノールを燃料として用いた場合において、CH3CHO、CH3COOHなどを挙げることができるが、これらは活性種である‐COH、CO、‐COOH、‐CH3等を生じ、さらに当該活性種が白金表面に吸着されることにより白金被毒を生じる。したがって、従来の白金のみを触媒として用いる触媒層においては、主に供給されるアルコールの流れ方向の下流において触媒の失活が生じていた。
ところで、スズ、ルテニウム、チタン及びレニウムなどのアルコール酸化反応促進金属は、水を活性化することで上述したアルコール酸化物を二酸化炭素まで酸化することが知られている。水はアルコール酸化反応促進金属上でOHラジカルとなり、白金上のCOをCO2にまで酸化する。これを化学式で表すと、
H2O → ・OH +・H …(3)
2・OH + CO → CO2 + H2O …(4)
となる。
H2O → ・OH +・H …(3)
2・OH + CO → CO2 + H2O …(4)
となる。
したがって、本発明のアノード触媒層は、前記アルコール酸化促進金属含有割合が、供給されるアルコールの流れ方向の下流端において15モル%を超えることにより、アルコール酸化反応促進金属によって活性化された水が、白金によって二酸化炭素まで至らず途中まで酸化されたアルコール酸化物を、当該アルコール酸化物によって白金被毒が生じる前に、二酸化炭素まで酸化することができ、白金とアルコール酸化促進金属との協働によってアルコールの酸化を滞りなく行うことができると考えられる。
本発明において、「アルコール酸化促進金属含有割合が、燃料であるアルコールの流れ方向の上流端から下流端にかけて単調増加する」とは、前記流れ方向の2点を任意に選んだ場合において、相対的に下流の点におけるアルコール酸化促進金属含有割合が、常に、相対的に上流の点におけるアルコール酸化促進金属含有割合以上であることをいう。
なお本発明においては、アルコール酸化促進金属含有割合の連続性は問わないものとし、したがってアルコール酸化促進金属含有割合は断続的(階段状)に変化して良いものとする。この場合、アルコール酸化促進金属含有割合は、アルコールの流れ方向上流端から下流端にかけて3〜5段階に階段状に変化させることが好ましい。
なお本発明においては、アルコール酸化促進金属含有割合の連続性は問わないものとし、したがってアルコール酸化促進金属含有割合は断続的(階段状)に変化して良いものとする。この場合、アルコール酸化促進金属含有割合は、アルコールの流れ方向上流端から下流端にかけて3〜5段階に階段状に変化させることが好ましい。
アルコール酸化促進金属含有割合が、モル百分率で表した時に、供給されるアルコールの流れ方向の上流端において0〜10モル%であり、前記流れ方向の下流端において20〜50モル%であることが好ましい。これは、アルコールの流れ方向の上流端において前記アルコール酸化促進金属含有割合が10モル%未満であることにより、上流において白金によるアルコール酸化反応をよりよく進行させることができるからであり、また、アルコールの流れ方向の下流端において前記アルコール酸化促進金属含有割合が20〜50モル%であることにより、アルコール酸化促進金属によるアルコール酸化物の酸化反応をよりよく進行させ、アルコール酸化物による白金被毒を防止し、高い発電性能を維持することができるからである。
なお、前記アルコール酸化促進金属含有割合が、供給されるアルコールの流れ方向の上流端において5〜10モル%であり、前記流れ方向の下流端において40〜50モル%であるのがより好ましく、供給されるアルコールの流れ方向の上流端において7〜10モル%であり、前記流れ方向の下流端において45〜50モル%であるのが最も好ましい。
なお、前記アルコール酸化促進金属含有割合が、供給されるアルコールの流れ方向の上流端において5〜10モル%であり、前記流れ方向の下流端において40〜50モル%であるのがより好ましく、供給されるアルコールの流れ方向の上流端において7〜10モル%であり、前記流れ方向の下流端において45〜50モル%であるのが最も好ましい。
触媒層に含まれる高分子電解質とは、上述した固体高分子電解質膜に用いられている高分子電解質のことをいう。
触媒担体である導電性粒子としては、カーボンブラック等の炭素粒子や炭素繊維のような導電性炭素材料、金属粒子や金属繊維等の金属材料も用いることができる。導電性材料は、触媒層に導電性を付与するための導電性材料としての役割も担っている。
触媒層の形成方法は特に限定されず、例えば、触媒インクをガス拡散層シートの表面に塗布、乾燥することによって、ガス拡散層シート表面に触媒層を形成してもよいし、或いは、電解質膜表面に触媒インクを塗布、乾燥することによって、電解質膜表面に触媒層を形成してもよい。或いは、転写用基材表面に触媒インクを塗布、乾燥することによって、転写シートを作製し、該転写シートを、電解質膜又はガス拡散シートと熱圧着等により接合した後、転写シートの基材フィルムを剥離する方法で、電解質膜表面上に触媒層を形成するか、ガス拡散層シート表面に触媒層を形成してもよい。
触媒インクは上記のような触媒と電極用電解質とを、溶媒に溶解又は分散させて得られる。触媒インクの溶媒は、適宜選択すればよく、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等の有機溶媒、又はこれら有機溶媒の混合物やこれら有機溶媒と水との混合物を用いることができる。触媒インクには、触媒及び電解質以外にも、必要に応じて結着剤や撥水性樹脂等のその他の成分を含有させてもよい。
触媒インクの塗布方法、乾燥方法等は適宜選択することができる。例えば、塗布方法としては、スプレー法、スクリーン印刷法、ドクターブレード法、グラビア印刷法、ダイコート法などが挙げられる。また、乾燥方法としては、例えば、減圧乾燥、加熱乾燥、減圧加熱乾燥などが挙げられる。減圧乾燥、加熱乾燥における具体的な条件に制限はなく、適宜設定すればよい。
触媒インクの塗布量は、触媒インクの組成や、電極触媒に用いられる触媒金属の触媒性能等によって異なるが、単位面積当りの触媒成分量が、0.01〜2.0mg/cm2程度となるようにすればよい。また、触媒層の膜厚は、特に限定されないが、1〜50μm程度とすればよい。
触媒インクの塗布量は、触媒インクの組成や、電極触媒に用いられる触媒金属の触媒性能等によって異なるが、単位面積当りの触媒成分量が、0.01〜2.0mg/cm2程度となるようにすればよい。また、触媒層の膜厚は、特に限定されないが、1〜50μm程度とすればよい。
図2は、本発明の直接アルコール型燃料電池用膜・電極接合体が有するアノード触媒層の典型例を示した断面模式図である。なお矢印20は、アノード触媒層2aが燃料電池に組み込まれた際の、燃料であるアルコールの流れ方向を示す。
アノード触媒層2aは、アノード触媒層2aa、2ab及び2acが連続して構成されている。各触媒層の色は、アルコール酸化促進金属含有割合が高いものほど濃く描いている。アルコール酸化促進金属含有割合は、上段のグラフに示すように、供給されるアルコールの流れ方向の上流端(アノード触媒層2aa)において0〜10モル%の範囲内であり、且つ、当該流れ方向の下流端(アノード触媒層2ac)において20〜50モル%の範囲内であり、且つ、アルコールの流れ方向の上流端から下流端に向かって階段状に増加している。また、白金含有割合は、下段のグラフに示すように、供給されるアルコールの流れ方向の上流端(アノード触媒層2aa)において90〜100モル%の範囲内であり、且つ、当該流れ方向の下流端(アノード触媒層2ac)において50〜80モル%の範囲内であり、且つ、アルコールの流れ方向の上流端から下流端に向かって階段状に減少している。
アノード触媒層2aは、アノード触媒層2aa、2ab及び2acが連続して構成されている。各触媒層の色は、アルコール酸化促進金属含有割合が高いものほど濃く描いている。アルコール酸化促進金属含有割合は、上段のグラフに示すように、供給されるアルコールの流れ方向の上流端(アノード触媒層2aa)において0〜10モル%の範囲内であり、且つ、当該流れ方向の下流端(アノード触媒層2ac)において20〜50モル%の範囲内であり、且つ、アルコールの流れ方向の上流端から下流端に向かって階段状に増加している。また、白金含有割合は、下段のグラフに示すように、供給されるアルコールの流れ方向の上流端(アノード触媒層2aa)において90〜100モル%の範囲内であり、且つ、当該流れ方向の下流端(アノード触媒層2ac)において50〜80モル%の範囲内であり、且つ、アルコールの流れ方向の上流端から下流端に向かって階段状に減少している。
図3は、本発明の直接アルコール型燃料電池用膜・電極接合体が有するアノード触媒層の変形例を示した断面模式図である。なお矢印20に関しては、上記典型例と同様のものを示している。また、触媒層の色は、アルコール酸化促進金属含有割合が高い部位であるほど濃く描いている。
アノード触媒層2bのアルコール酸化促進金属含有割合は、上段のグラフに示すように、供給されるアルコールの流れ方向の上流端において0〜10モル%の範囲内であり、且つ、当該流れ方向の下流端において20〜50モル%の範囲内であり、且つ、アルコールの流れ方向の上流端から下流端に向かって連続的に増加している。また、アノード触媒層2bの白金含有割合は、下段のグラフに示すように、供給されるアルコールの流れ方向の上流端において90〜100モル%の範囲内であり、且つ、当該流れ方向の下流端において50〜80モル%の範囲内であり、且つ、アルコールの流れ方向の上流端から下流端に向かって連続的に減少している。
アノード触媒層2bのアルコール酸化促進金属含有割合は、上段のグラフに示すように、供給されるアルコールの流れ方向の上流端において0〜10モル%の範囲内であり、且つ、当該流れ方向の下流端において20〜50モル%の範囲内であり、且つ、アルコールの流れ方向の上流端から下流端に向かって連続的に増加している。また、アノード触媒層2bの白金含有割合は、下段のグラフに示すように、供給されるアルコールの流れ方向の上流端において90〜100モル%の範囲内であり、且つ、当該流れ方向の下流端において50〜80モル%の範囲内であり、且つ、アルコールの流れ方向の上流端から下流端に向かって連続的に減少している。
カソード触媒層は、カソード触媒、導電性材料及び高分子電解質を含有する触媒インクを用いて形成することができる。
カソード触媒としては、通常、触媒成分を導電性粒子に担持させたものが用いられる。触媒成分としては、カソードにおける酸化剤の還元反応に対して触媒活性を有しているものであれば、特に限定されず、固体高分子型燃料電池に一般的に用いられているものを使用することができる。例えば、白金、又はルテニウム、鉄、ニッケル、マンガン、コバルト、銅等の金属と白金との合金等を用いることができる。
なお、導電性材料及び高分子電解質は上述した通りのものを用いることができる。また、触媒層の形成方法、触媒インクの溶媒、触媒インクの塗布方法などは、上述したアノード触媒層の形成方法等と同様のものを選択することができる。
カソード触媒としては、通常、触媒成分を導電性粒子に担持させたものが用いられる。触媒成分としては、カソードにおける酸化剤の還元反応に対して触媒活性を有しているものであれば、特に限定されず、固体高分子型燃料電池に一般的に用いられているものを使用することができる。例えば、白金、又はルテニウム、鉄、ニッケル、マンガン、コバルト、銅等の金属と白金との合金等を用いることができる。
なお、導電性材料及び高分子電解質は上述した通りのものを用いることができる。また、触媒層の形成方法、触媒インクの溶媒、触媒インクの塗布方法などは、上述したアノード触媒層の形成方法等と同様のものを選択することができる。
ガス拡散層を形成するガス拡散層シートとしては、触媒層に効率良くガスを供給することができるガス拡散性、導電性、及びガス拡散層を構成する材料として要求される強度を有するもの、例えば、カーボンペーパー、カーボンクロス、カーボンフェルト等の炭素質多孔質体や、チタン、アルミニウム、銅、ニッケル、ニッケル−クロム合金、銅及びその合金、銀、アルミ合金、亜鉛合金、鉛合金、チタン、ニオブ、タンタル、鉄、ステンレス、金、白金等の金属から構成される金属メッシュ又は金属多孔質体等の導電性多孔質体からなるものが挙げられる。導電性多孔質体の厚さは、50〜500μm程度であることが好ましい。
ガス拡散層シートは、上記したような導電性多孔質体の単層からなるものであってもよいが、触媒層に面する側に撥水層を設けることもできる。撥水層は、通常、炭素粒子や炭素繊維等の導電性粉粒体、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の撥水性樹脂等を含む多孔質構造を有するものである。撥水層は、必ずしも必要なものではないが、触媒層及び電解質膜内の水分量を適度に保持しつつ、ガス拡散層の排水性を高めることができる上に、触媒層とガス拡散層間の電気的接触を改善することができるという利点がある。
このような構成の直接アルコール型燃料電池用膜・電極接合体は、アルコール酸化促進金属含有割合が、供給されるアルコールの流れ方向の上流端において15モル%未満である、すなわち、白金含有割合が85モル%を超えることによって、アルコールの流れ方向の上流のアルコール酸化反応を効率よく進行させることができる。また、本発明の直接アルコール型燃料電池用膜・電極接合体は、アルコール酸化促進金属含有割合が、供給されるアルコールの流れ方向の下流端において15モル%を超えることによって、アルコール酸化促進金属によって活性化された水が、供給されるアルコールの流れ方向の上流において白金によって二酸化炭素まで至らず途中まで酸化されたアルコール酸化物を、当該アルコール酸化物によって白金被毒が生じる前に、二酸化炭素まで酸化することができる。このように、酸化反応を妨げる不純物が少なく、燃料の濃度の高い、アルコールの流れ方向の上流において、白金によって効率よくアルコール酸化反応を行い、二酸化炭素まで至らず途中まで酸化されたアルコール酸化物の濃度が高く、燃料の濃度の低い、アルコールの流れ方向の下流において、アルコール酸化促進金属によって白金被毒を防ぎつつアルコール酸化物を二酸化炭素まで酸化するというように、白金とアルコール酸化促進金属の協働によってアルコールの酸化を滞りなく行うことができる。さらに、本発明の直接アルコール型燃料電池用膜・電極接合体は、アルコール酸化促進金属含有割合が、前記流れ方向の上流端から下流端にかけて単調増加することによって、前記流れ方向の下流において生じやすいアルコール酸化物による白金被毒を抑制し、アルコールの酸化反応を促進することができる。
本発明の直接アルコール型燃料電池は、上記本発明の直接アルコール型燃料電池用膜・電極接合体を有することを特徴とする。
上述した膜・電極接合体は、さらに、セパレータで狭持され、単セルを形成する。セパレータとしては、導電性及びガスシール性を有し、集電体及びガスシール体として機能しうるもの、例えば、炭素繊維を高濃度に含有し、樹脂との複合材からなるカーボンセパレータや、金属材料を用いた金属セパレータ等を用いることができる。金属セパレータとしては、耐腐食性に優れた金属材料からなるものや、表面をカーボンや耐腐食性に優れた金属材料等で被覆し、耐腐食性を高めるコーティングが施されたもの等が挙げられる。
図4は、本発明の直接アルコール型燃料電池が有する単セルの一例を示す図であって、積層方向に切断した断面を模式的に示した図である。単セル100は、平型単セルであって、上述した膜・電極接合体8を含み、さらに前記膜・電極接合体8を電極の外側から挟んだ一対のセパレータ9及び10とでなる。セパレータと電極の境界にはガス流路11及び12が確保され、アノード側では水素ガスが、カソード側では酸素を含むガス(通常は空気)がそれぞれ連続的に供給される。
作成された単セルを複数集合させて、燃料電池を作製する。例えば、単セルが平型単セルの場合には、当該平型単セルを複数積み重ねたスタックを形成する。スタックの形成方法としては、積層したセル全体を貫通するボルトとナットで締めて固定する方法が一般的である。セパレータは上述したように導体であるので、ボルトの締結力で接触させたセパレータ面全体に電流が流れる。各セパレータ面から導線等で電流を回収する構成を形成し、燃料電池が完成する。
本発明の直接アルコール型燃料電池は、燃料がエタノールであることが好ましい。これは、人体に対する毒性ならびに環境への影響が極めて少なく、また、バイオマスからも容易に製造することが可能なエタノールを燃料として用いるため、高い安全性と、携帯容易性、及び低いコストを同時に達成することができるからである。
このような構成の直接アルコール型燃料電池は、白金によって二酸化炭素まで至らず途中まで酸化されたアルコール酸化物を二酸化炭素まで酸化し、アノード触媒層における白金被毒を防ぐため、高い発電性能を維持することができる。
1.アノード触媒層の製造方法
導電性炭素材料の一種であるカーボンブラックVulcanXC72(cabot製)を、酢酸溶液に分散させ、80℃に加熱した。その後、六塩化白金酸(H2PtCl6・H2O)水溶液と、塩化スズ(SnCl2・2H2O)水溶液を加えた。溶液の濃度は、アルコールの流れ方向の上流端でアルコール酸化促進金属含有割合が15モル%未満、下流側でアルコール酸化促進金属含有割合が15モル%を超えるように、それぞれ調整した。これを室温まで冷却し、濾過後、80℃、1時間の条件で乾燥させて得られた。
導電性炭素材料の一種であるカーボンブラックVulcanXC72(cabot製)を、酢酸溶液に分散させ、80℃に加熱した。その後、六塩化白金酸(H2PtCl6・H2O)水溶液と、塩化スズ(SnCl2・2H2O)水溶液を加えた。溶液の濃度は、アルコールの流れ方向の上流端でアルコール酸化促進金属含有割合が15モル%未満、下流側でアルコール酸化促進金属含有割合が15モル%を超えるように、それぞれ調整した。これを室温まで冷却し、濾過後、80℃、1時間の条件で乾燥させて得られた。
2.膜・電極接合体の発電性能試験
上記アノード触媒層の製造方法において作製したアノード触媒層を有する本発明の膜・電極接合体と、面方向に均一なアルコール酸化促進金属含有割合を有するアノード触媒層を有する従来技術の膜・電極接合体について、それぞれ発電性能試験を行った。その結果、従来技術の膜・電極接合体が50mW/cm2の発電性能を示したのと比較して、本発明の膜・電極接合体は80mW/cm2の発電性能を示した。これにより、本発明のアノード触媒層は、アルコールが酸化されたことにより生じるアルコール酸化物が、効率よく酸化され、アルコール酸化物による白金被毒が起きることがないため、高い発電性能を維持することができたことが分かった。
上記アノード触媒層の製造方法において作製したアノード触媒層を有する本発明の膜・電極接合体と、面方向に均一なアルコール酸化促進金属含有割合を有するアノード触媒層を有する従来技術の膜・電極接合体について、それぞれ発電性能試験を行った。その結果、従来技術の膜・電極接合体が50mW/cm2の発電性能を示したのと比較して、本発明の膜・電極接合体は80mW/cm2の発電性能を示した。これにより、本発明のアノード触媒層は、アルコールが酸化されたことにより生じるアルコール酸化物が、効率よく酸化され、アルコール酸化物による白金被毒が起きることがないため、高い発電性能を維持することができたことが分かった。
1…固体高分子電解質膜
2,2a,2aa,2ab,2ac,2b…アノード触媒層
3…カソード触媒層
4,5…ガス拡散層
6…アノード電極
7…カソード電極
8…膜・電極接合体
9,10…セパレータ
11,12…ガス流路
20…アルコールの流れ方向
100…単セル
2,2a,2aa,2ab,2ac,2b…アノード触媒層
3…カソード触媒層
4,5…ガス拡散層
6…アノード電極
7…カソード電極
8…膜・電極接合体
9,10…セパレータ
11,12…ガス流路
20…アルコールの流れ方向
100…単セル
Claims (4)
- 固体高分子電解質膜の一面側にアノード触媒層を含むアノード電極を有し、他面側にカソード触媒層を含むカソード電極を有する直接アルコール型燃料電池用膜・電極接合体であって、
前記アノード触媒層が、スズ、ルテニウム、チタン及びレニウムから選ばれる少なくとも1種のアルコール酸化促進金属と白金との合金を含み、当該白金‐アルコール酸化促進金属合金中の前記アルコール酸化促進金属の含有量の、前記アルコール酸化促進金属の含有量と白金の含有量の合計に対する含有割合(以下、アルコール酸化促進金属含有割合という。)が、モル百分率で表した時に、供給されるアルコールの流れ方向の上流端において15モル%未満であり、且つ、前記流れ方向の下流端において15モル%を超える値であり、且つ、前記アルコール酸化促進金属含有割合が、前記流れ方向の上流端から下流端にかけて単調増加することを特徴とする、直接アルコール型燃料電池用膜・電極接合体。 - 前記アルコール酸化促進金属含有割合が、モル百分率で表した時に、供給されるアルコールの流れ方向の上流端において0〜10モル%であり、前記流れ方向の下流端において20〜50モル%である、請求項1に記載の直接アルコール型燃料電池用膜・電極接合体。
- 請求項1又は2に記載された直接アルコール型燃料電池用膜・電極接合体を有することを特徴とする、直接アルコール型燃料電池。
- 燃料がエタノールである、請求項3に記載の直接アルコール型燃料電池。
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JPWO2011036834A1 (ja) * | 2009-09-28 | 2013-02-14 | パナソニック株式会社 | 直接酸化型燃料電池 |
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JP2013085999A (ja) * | 2011-10-14 | 2013-05-13 | Sumitomo Electric Ind Ltd | ガス分解装置、ガス分解方法及びガス分解発電装置 |
-
2008
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