JP2007134159A - 燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】過酸化水素の発生を抑制することによって、電解質膜の劣化及び金属材料の腐食を防止した燃料電池を提供する。
【解決手段】電解質膜と、該電解質膜の一方の面に設けられた酸化剤極及び他方の面に設けられた燃料極と、該一対の電極の外側に設けられたセパレータとを備える燃料電池であって、前記電解質膜、前記酸化剤極、前記燃料極及び前記セパレータの少なくとも水素と酸素が接触する部分を形成する材料は、前記酸化剤極の触媒成分及び前記燃料極の触媒成分以外は、水素と酸素が接触したときに、少なくとも0〜1.1Vの電位範囲において、該酸素の2電子還元反応よりも4電子還元反応を促進する材料、及び/又は、該水素と該酸素の間の反応に対して触媒作用を有していない材料であることを特徴とする燃料電池。
【選択図】図1
【解決手段】電解質膜と、該電解質膜の一方の面に設けられた酸化剤極及び他方の面に設けられた燃料極と、該一対の電極の外側に設けられたセパレータとを備える燃料電池であって、前記電解質膜、前記酸化剤極、前記燃料極及び前記セパレータの少なくとも水素と酸素が接触する部分を形成する材料は、前記酸化剤極の触媒成分及び前記燃料極の触媒成分以外は、水素と酸素が接触したときに、少なくとも0〜1.1Vの電位範囲において、該酸素の2電子還元反応よりも4電子還元反応を促進する材料、及び/又は、該水素と該酸素の間の反応に対して触媒作用を有していない材料であることを特徴とする燃料電池。
【選択図】図1
Description
本発明は、燃料電池に関する。
燃料電池は、燃料と酸化剤を電気的に接続された2つの電極に供給し、電気化学的に燃料の酸化を起こさせることで、化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換する。火力発電とは異なり、燃料電池はカルノーサイクルの制約を受けないので、高いエネルギー変換効率を示す。燃料電池は、通常、電解質膜を燃料極及び酸化剤極で挟持した基本構造を有する単セルを複数積層して構成されており、中でも、電解質膜として固体高分子電解質膜を用いた固体高分子電解質型燃料電池は、小型化が容易であること、低い温度で作動すること、などの利点があることから、特に携帯用、移動体用電源として注目されている。
固体高分子電解質型燃料電池において、各電極は、通常、電解質膜側から順に、下記(1)式又は(2)式の反応の場となる触媒層、触媒層への反応ガス(燃料、酸化剤)の拡散性を向上させるためのガス拡散層が積層した構造を有している。さらに、これら電極の外側には、集電体とガスシール部材を兼ねているセパレータが設けられ、単セルを形成している。セパレータには、燃料極に燃料ガス、酸化剤に酸化剤ガスをそれぞれ供給するためのガス流路が形成されている。
固体高分子電解質型燃料電池において、燃料極(アノード)では(1)式の反応が進行する。
H2 → 2H+ + 2e− ・・・(1)
(1)式で生じる電子は、外部回路を経由し、外部の負荷で仕事をした後、酸化剤極(カソード)に到達する。そして、(1)式で生じたプロトンは、水と水和した状態で、固体高分子電解質膜内を燃料極側から酸化剤極側に移動する。
一方、酸化剤極では(2)式の反応(酸素の4電子還元反応)が進行する。
4H+ + O2 + 4e− → 2H2O ・・・(2)
H2 → 2H+ + 2e− ・・・(1)
(1)式で生じる電子は、外部回路を経由し、外部の負荷で仕事をした後、酸化剤極(カソード)に到達する。そして、(1)式で生じたプロトンは、水と水和した状態で、固体高分子電解質膜内を燃料極側から酸化剤極側に移動する。
一方、酸化剤極では(2)式の反応(酸素の4電子還元反応)が進行する。
4H+ + O2 + 4e− → 2H2O ・・・(2)
固体高分子電解質型燃料電池内は、通常、酸性雰囲気であることから、導電性材料として耐酸化性に優れる炭素材料が用いられてきた。例えば、ガス拡散層にはカーボンクロスやカーボンペーパー等、触媒層には触媒粒子の担体としてカーボンブラック等、さらにセパレータも炭素材料からなるものが用いられている。
最近、燃料電池の熱容量を小さくするために燃料電池の小型化が図られ、ガス拡散層やセパレータ等の薄肉化が進められている。熱容量が大きい燃料電池は、起動時における運転温度までの暖機に時間と燃料を消費するからである。しかしながら、炭素からなるセパレータやガス拡散層は、強度確保のため厚くする必要があるので熱容量が比較的大きい。また、薄くすると脆くなり、ガス拡散層やセパレータ等に要求される強度が得られないため、薄肉化には限界がある。そこで、ガス拡散層やセパレータ等燃料電池に使用されている炭素材料の一部を、強度に優れ薄肉化が可能な金属材料に変換し、燃料電池の熱容量を小さくすることが行われている。例えば、特許文献1に記載の燃料電池では、金属製セパレータが用いられている。
その他、導電性材料として金属材料を用いた燃料電池としては、金属多孔体又は金属メッシュからなる拡散層を備える燃料電池(特許文献2)や、燃料極及び/又は酸化剤極として機能する触媒金属層を形成した燃料電池(特許文献3)等がある。
その他、導電性材料として金属材料を用いた燃料電池としては、金属多孔体又は金属メッシュからなる拡散層を備える燃料電池(特許文献2)や、燃料極及び/又は酸化剤極として機能する触媒金属層を形成した燃料電池(特許文献3)等がある。
また、炭素は工業的に過酸化水素を製造する際に電極として使用されるほど、下記(3)式の反応(酸素の2電子還元反応)に対して強い触媒作用を有するものである。
2H+ + O2 + 2e- → H2O2 ・・・(3)
2H+ + O2 + 2e- → H2O2 ・・・(3)
式(3)により発生した過酸化水素は、ヒドロキシラジカル(・OH)や過酸化物ラジカル(・OOH)等の酸化力の強いラジカルを発生させる。これらのラジカルは、固体高分子電解質膜へ移動すると、固体高分子電解質膜中のイオン交換樹脂から水素やフッ素等を引き抜いたり、高分子鎖を切断し、固体高分子電解質膜を分解させ、劣化を引起こす。また、固体高分子電解質膜から硫酸イオンやフッ化水素酸イオン等の酸イオンを溶出させる。
電解質膜から溶出した酸イオンは、導電性材料として燃料電池に用いられている金属材料を腐食してしまう。そのため、ガス拡散層やセパレータに金属材料を用いる場合には、その腐食を防止するために表面を金メッキし、さらにこの上からカーボン処理したり、耐腐食性を有する高価な特殊なステンレス鋼を用いる必要があり、手間やコストを要する。
上述したように、燃料電池で使用されている導電性材料の一部を炭素材料から金属材料に変換することは行われているが、従来の燃料電池において炭素材料は導電性材料として必ず単セル内で使用されているため、単セル内では上記(3)式の反応が起こり、過酸化水素が発生してしまう。
本発明は、上記実情を鑑みて成し遂げられたものであり、過酸化水素の発生を抑制することによって、電解質膜の劣化及び金属材料の腐食を防止した燃料電池を提供することを目的とする。
本発明の燃料電池は、電解質膜と、該電解質膜の一方の面に設けられた酸化剤極及び他方の面に設けられた燃料極と、該一対の電極の外側に設けられたセパレータとを備える燃料電池であって、前記電解質膜、前記酸化剤極、前記燃料極及び前記セパレータの少なくとも水素と酸素が接触する部分を形成する材料は、前記酸化剤極の触媒成分及び前記燃料極の触媒成分以外は、水素と酸素が接触したときに、少なくとも0〜1.1Vの電位範囲において、該酸素の2電子還元反応よりも4電子還元反応を促進する材料、及び/又は、該水素と該酸素の間の反応に対して触媒作用を有していない材料であることを特徴とするものである。
このように、電解質膜、電極、及びセパレータいずれもの少なくとも水素と酸素が接触する部分に、燃料電池単セル内の環境において水素と酸素が接触しても該酸素の2電子還元反応を促進しない材料を用いることによって、過酸化水素が生成することを抑制することができる。従って、過酸化水素より生成するヒドロキシラジカルや過酸化物ラジカル等のラジカルの発生が抑制され、これら酸化力の強いラジカル等による電解質膜の分解や酸イオンの溶出を防止することができる。そして、電解質膜からの酸イオンの溶出を防止することによって、単セル内の金属の腐食を防ぐことができる。
より確実に過酸化水素の発生を抑制するためには、前記電解質膜、前記酸化剤極、前記燃料極及び前記セパレータの少なくとも水素と酸素が接触する部分を形成する材料は、前記酸化剤極の触媒成分及び前記燃料極の触媒成分以外は、水素と酸素が接触したときに、少なくとも0〜1.23Vの電位範囲において、該酸素の2電子還元反応よりも4電子還元反応を促進する材料、及び/又は、該水素と該酸素の間の反応に対して触媒作用を有していない材料であることが好ましい。
前記セパレータの少なくとも水素と酸素が接触する部分を構成する材料、前記酸化剤極の触媒成分以外の材料、及び前記燃料極の触媒成分以外の材料のうち、導電性を有するものとしては、金属又は導電性樹脂の少なくとも一種が挙げられる。
本発明によれば、燃料電池単セル内における過酸化水素の発生が抑制されるため、過酸化水素から生成する酸化力の強いラジカルによる電解質膜への攻撃を防ぐことができる。従って、電解質膜の分解、電解質膜からの酸イオンの溶出等を防止することができる。その結果、電解質膜の劣化の進行を抑制することができる。さらに、電解質膜の分解や劣化による燃料電池の発電性能の低下の阻止、電解質膜の長寿命化を達成することが可能となる。
また、電解質膜からの酸溶出を防止することによって、金属材料の腐食を防ぐことができる。よって、耐腐食性を有する高価な金属材料を用いたり、手間のかかる表面処理を行わずに、単セルを構成する材料として金属材料を用いることができる。従って、金属材料を用いて容易にガス拡散層やセパレータの薄肉化が可能であり、燃料電池を小型化することができ、さらには、燃料電池のコスト削減、製造工程の短縮化等が達成される。
本発明の燃料電池は、電解質膜と、該電解質膜の一方の面に設けられた酸化剤極及び他方の面に設けられた燃料極と、該一対の電極の外側に設けられたセパレータとを備える燃料電池であって、前記電解質膜、前記酸化剤極、前記燃料極及び前記セパレータの少なくとも水素と酸素が接触する部分を形成する材料は、前記酸化剤極の触媒成分及び前記燃料極の触媒成分以外は、水素と酸素が接触したときに、少なくとも0〜1.1Vの電位範囲において、該酸素の2電子還元反応よりも4電子還元反応を促進する材料、及び/又は、該水素と該酸素の間の反応に対して触媒作用を有していない材料であることを特徴とする。
図1を用いて、本発明を適用した固体高分子電解質型燃料電池の構成例について説明する。
図1において、プロトン伝導性固体高分子電解質膜(以下、単に電解質膜ということがある)1には、一面側に酸化剤極4aの触媒層2a、もう一面側に燃料極4bの触媒層2bが設けられている。この酸化剤極4aの触媒層2aは、水素と酸素が接触したときに、酸素の4電子還元反応(式(2))を促進する触媒作用を有する第一の触媒成分を含んでいる。一方、燃料極4bの触媒層2bは、水素のイオン化反応(式(1))を促進する触媒作用を有する第二の触媒成分を含んでいる。
図1において、プロトン伝導性固体高分子電解質膜(以下、単に電解質膜ということがある)1には、一面側に酸化剤極4aの触媒層2a、もう一面側に燃料極4bの触媒層2bが設けられている。この酸化剤極4aの触媒層2aは、水素と酸素が接触したときに、酸素の4電子還元反応(式(2))を促進する触媒作用を有する第一の触媒成分を含んでいる。一方、燃料極4bの触媒層2bは、水素のイオン化反応(式(1))を促進する触媒作用を有する第二の触媒成分を含んでいる。
触媒層2a、2bの外面には、ガス拡散層3a、3bが形成されている。各ガス拡散層3a、3bは、導電性多孔質材料からなり、触媒層2a、2bへの反応ガスの拡散性を向上させると同時に各触媒層2a、2bの電子伝導性を向上させるものである。本構成例では、電極4(酸化剤極4a、燃料極4b)は触媒層2及びガス拡散層3から構成されている。
さらに、各電極4の外側には、各電極に反応ガス(燃料ガス又は酸化剤ガス)を供給し且つ電気化学反応による生成水や余剰のガスが排出される流路5を画成すると同時に、集電体でもあるセパレータ6が設けられている。
尚、ここでは、固体高分子型燃料電池の構成例について説明するが、本発明の燃料電池は固体高分子型燃料電池に限定されるものではない。また、ここでは、酸化剤及び燃料共にガス(酸化剤ガス、燃料ガス)を用いた場合を中心に説明するが、メタノール溶液等の液体燃料、空気等のガス状の酸化剤を用いる直接メタノール型燃料電池においても、本発明を適用することが可能である。また、その他燃料電池構造も本実施例に限定されるものではない。
本発明の燃料電池は、電解質膜1及びセパレータ6の少なくとも水素と酸素が接触する部分を、電解質膜1、電極4及びセパレータ6から構成される単セル内の環境、具体的には少なくとも電位範囲が0〜1.1Vの条件において、水素と酸素が接触したときに、該酸素の2電子還元反応((3)式。以下、単に酸素の2電子還元反応ということがある)よりも、該酸素の4電子還元反応((2)式。以下、単に酸素の4電子還元反応ということがある)を促進する材料、及び/又は、該水素と該酸素の間の反応(以下、単に水素と酸素の間の反応ということがある)に対して触媒作用を有していない材料から形成するものである。
また、本発明の燃料電池は、酸化剤極4aの少なくとも水素と酸素が接触する部分を、前記第一の触媒成分以外は、水素及び酸素が接触したときに、少なくとも電位範囲が0〜1.1Vの条件において、該酸素の2電子還元反応よりも該酸素の4電子還元反応を促進する材料、及び/又は、該水素と該酸素の間の反応に対して触媒作用を有していない材料を用いる。
さらに、本発明の燃料電池は、燃料極4bの少なくとも水素と酸素が接触する部分を、前記第二の触媒成分以外は、水素及び酸素が接触したときに、少なくとも電位範囲が0〜1.1Vの条件において、該酸素の2電子還元反応よりも該酸素の4電子還元反応を促進する材料、及び/又は、該水素と該酸素の間の反応に対して触媒作用を有していない材料を用いるものである。
このように、電解質膜1、電極4(4a,4b)及びセパレータ6いずれもの、少なくとも水素と酸素が接触する部分に、単セル内の環境において水素と酸素が接触しても、該酸素の2電子還元反応を促進しない材料を用いることによって、過酸化水素が生成することを抑制することができる。
単セル内における過酸化水素の生成を抑制することにより、ヒドロキシラジカルや過酸化物ラジカル等のラジカルの発生が抑制され、これら酸化力の強いラジカルによる電解質膜への攻撃を防ぐことができる。従って、電解質膜の分解や、電解質膜からの硫酸イオンやフッ化水素酸イオン等の酸イオンの溶出等が防止され、電解質膜の劣化の進行を抑制することができる。
電解質膜の分解や劣化を防止することによって、酸化剤ガスや燃料ガスが電解質膜を透過するいわゆるクロスリーク等による発電性能の低下を阻止し、また、電解質膜の長寿命化、ひいては燃料電池の長寿命化を達成することが可能となる。
しかも、ヒドロキシラジカルや過酸化物ラジカル等による酸化が生じにくいことから、従来は、パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂膜等のフッ素系樹脂膜が電解質膜として一般的に用いられてきたが、上記ラジカルの発生を抑制した本発明の燃料電池においては、フッ素系樹脂ほど耐酸化性を有していない電解質膜を使用することが可能となり、そのような電解質膜を使用する場合でも充分な耐久性を示すことが期待できる。
しかも、ヒドロキシラジカルや過酸化物ラジカル等による酸化が生じにくいことから、従来は、パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂膜等のフッ素系樹脂膜が電解質膜として一般的に用いられてきたが、上記ラジカルの発生を抑制した本発明の燃料電池においては、フッ素系樹脂ほど耐酸化性を有していない電解質膜を使用することが可能となり、そのような電解質膜を使用する場合でも充分な耐久性を示すことが期待できる。
また、電解質膜からの酸溶出を防止することによって、金属材料の腐食を防ぐことができる。すなわち、耐腐食性を有する高価な金属材料を用いたり、手間のかかる表面処理を行わずに、単セルを構成する材料として金属材料を用いることができる。これにより、燃料電池のコスト削減、製造工程の短縮化等が達成される。
ここで、少なくとも0〜1.1Vの電位範囲において、酸素と水素が接触したときに、酸素の2電子還元反応よりも酸素の4電子還元反応を促進する材料とは、当該条件下において、酸素の2電子還元反応(式3)よりも酸素の4電子還元反応(式2)に対して触媒作用が強く、酸素の2電子還元反応よりも4電子還元反応の反応速度を大きくする材料(イオン状態のものも含む)である。尚、この触媒作用の強弱は、少なくとも0〜1.1Vの全電位範囲において、上記したような関係が成り立てば、0〜1.1Vの範囲外において、酸素の4電子還元反応よりも2電子還元反応を促進するような材料であってもよい。
また、少なくとも0〜1.1Vの電位範囲において、酸素と水素が接触したときに水素と酸素の間の反応に対して触媒作用を有していない材料とは、当該条件下において、見かけ上、水素と酸素の間のいかなる反応に対しても触媒作用を有しておらず、正触媒及び負触媒としても作用しない材料(イオン状態のものも含む)である。尚、少なくとも0〜1.1Vの全電位範囲において、上記触媒作用を有していなければ、0〜1.1Vの範囲外において、上記触媒作用を有する材料であってもよい。
また、酸素の2電子還元反応よりも酸素の4電子還元反応を促進する材料かどうか、水素と酸素の間の反応に対して触媒作用を有していない材料かどうか、の判断は、例えば、回転リングディスク電極を用いて行うことができる。回転リングディスク電極の構造を図2を用いて説明する。図2において、(2A)は回転リングディスク電極の斜視図、(2B)は回転リングディスクの断面図である。
図2に示す回転リングディスク電極は、カーボン等の導電性材料からなるディスク電極と、その周囲に配置された白金からなるリング電極とを有する。ディスク電極の表面は、対象材料で被覆されている。特に、ディスク電極がカーボンからなる場合は、カーボンが表面に露出しないように対象材料で完全に被覆する。ディスク電極上の対象材料と、リング電極(Pt)は、それぞれ、電位を規定する参照電極と接続されている(図示せず)。
図2に示す回転リングディスク電極は、カーボン等の導電性材料からなるディスク電極と、その周囲に配置された白金からなるリング電極とを有する。ディスク電極の表面は、対象材料で被覆されている。特に、ディスク電極がカーボンからなる場合は、カーボンが表面に露出しないように対象材料で完全に被覆する。ディスク電極上の対象材料と、リング電極(Pt)は、それぞれ、電位を規定する参照電極と接続されている(図示せず)。
このような回転リングディスク電極を、ディスク電極上の対象材料と参照電極、リング電極と参照電極との電位差が0〜1.1V(若しくは0〜1.23V)の電位条件の下、希硫酸溶液中で、酸素を供給(バブリング等)しながら回転させる。このとき、ディスク電極上の対象材料と参照電極間の電位差、リング電極と参照電極間の電位差は同じになるようにする。
対象材料が酸素の4電子還元反応よりも2電子還元反応を促進する材料の場合、溶液中の水素イオンと酸素が反応して過酸化水素が生成する。生成した過酸化水素は、Ptリング電極上へと移動して還元される。この過酸化水素の還元反応により、リング電極に電流が流れるため、対象材料が酸素の2電子還元反応を促進する材料であることがわかる。
対象材料が酸素の4電子還元反応よりも2電子還元反応を促進する材料の場合、溶液中の水素イオンと酸素が反応して過酸化水素が生成する。生成した過酸化水素は、Ptリング電極上へと移動して還元される。この過酸化水素の還元反応により、リング電極に電流が流れるため、対象材料が酸素の2電子還元反応を促進する材料であることがわかる。
一方、対象材料が酸素の4電子還元反応を促進する材料である場合、水素イオンと酸素とが反応して水が生成する。生成した水がPtリング電極上へ移動しても反応は起こらないので、Ptリング電極に電流は流れない。また、対象材料が酸素と水素の間の反応に対して触媒作用を有していない場合にも、Ptリング電極に電流は流れない。
よって、Ptリング電極の電流を測定することで、酸素の2電子還元反応よりも酸素の4電子還元反応を促進する材料かどうか、水素と酸素の間の反応に対して触媒作用を有していない材料かどうかを判断することができる。
よって、Ptリング電極の電流を測定することで、酸素の2電子還元反応よりも酸素の4電子還元反応を促進する材料かどうか、水素と酸素の間の反応に対して触媒作用を有していない材料かどうかを判断することができる。
単セル内において、酸素の2電子還元反応による過酸化水素の発生をより確実に防止するためには、少なくとも0〜1.23Vの電位範囲において、酸素の2電子還元反応よりも酸素の4電子還元反応を促進する材料、及び/又は、該水素と該酸素の間の反応に対して触媒作用を有していない材料が好ましい。特に、上記電位範囲である酸性条件下において、酸素の2電子還元反応よりも酸素の4電子還元反応を促進する材料、及び/又は、該水素と該酸素の間の反応に対して触媒作用を有していない材料が好ましい。
また、ここでいう水素とは、水素分子、水素イオン(水和した状態も含む)、水素ラジカル等のいずれの存在状態のものを含む。また、酸素とは、酸素分子、酸素イオン、酸素ラジカル等のいずれの存在状態のものを含む。水素の存在状態、酸素の存在状態は、周囲の環境や条件によって異なる。
また、電解質膜、電極及びセパレータは、少なくとも水素と酸素が接触する部分が、上記したような過酸化水素の発生を抑制することができる材料によって形成されていれば、単セル内で水素と酸素が接触したときの過酸化水素の発生を抑制することができるので、各部材を構成する材料が全て過酸化水素の発生を防止する材料によって形成されていなくてもよい。例えば、上記部材の水素と酸素が接触する部分が、少なくとも電位範囲が0〜1.1Vの条件において、酸素の2電子還元反応よりも酸素の4電子還元反応を促進する材料、及び/又は、水素と酸素の間の反応に対して触媒作用を有していない材料でコーティングされていてもよい。
燃料電池内において、上記式(2)で表される水素と酸素の反応が進行する酸化剤極及び該酸化剤極に接するセパレータは勿論、水素と酸素が接触する場となるが、本来、プロトン伝導性とガス不透過性を有している電解質膜も、クロスリーク等により酸化剤極側から酸素が侵入してくる可能性があり、酸化剤極と接する面の他、膜の内部や燃料極と接する面も水素と酸素が接触する場となりうる。これに伴い、本来ガス不透過性を有する電解質膜によって酸化剤極と遮断される燃料極及び当該燃料極と接するセパレータも、酸素と接する可能性があり、水素と酸素が接触する場となりうる。
従来の燃料電池単セルでは、電極やセパレータ等の各部材に炭素材料が用いられていたが、炭素材料は過酸化水素を生成する酸素の2電子還元反応を促進する材料である。これに対して、本発明の燃料電池は、電解質膜、電極(触媒成分を除く)及びセパレータの少なくとも水素と酸素が接触する部分を、0〜1.1Vの電位範囲おいて、過酸化水素を生成する酸素の2電子還元反応よりも水を生成する酸素の4電子還元反応を促進する材料及び/又は水素と酸素の間の反応に対して触媒作用を有していない材料で置き換えることを特徴とする。
尚、ここでいう炭素材料とは、例えば、黒鉛、カーボンブラック、炭素繊維、グラッシーカーボン等の炭素単体や無機炭素材料であり、後述する電解質膜やイオン伝導性材料等の炭素を含む樹脂等の有機炭素材料は含まれない。
以下、本発明において使用し得る電解質膜、電極、セパレータの各部材について説明する。
本発明における電解質膜としては、一般的なものを使用することができる。固体高分子電解質膜として一般的に用いられているものは、水素と酸素の間の反応に対して触媒作用を有していない材料である。例えば、ナフィオン(商品名、デュポン社製)に代表されるパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂膜等のフッ素系高分子電解質膜、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド、ポリパラフェニレン等のエンジニアリングプラスチックを主原料とした炭化水素系高分子電解質膜等が挙げられる。
本発明における電解質膜としては、一般的なものを使用することができる。固体高分子電解質膜として一般的に用いられているものは、水素と酸素の間の反応に対して触媒作用を有していない材料である。例えば、ナフィオン(商品名、デュポン社製)に代表されるパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂膜等のフッ素系高分子電解質膜、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド、ポリパラフェニレン等のエンジニアリングプラスチックを主原料とした炭化水素系高分子電解質膜等が挙げられる。
さらに、本発明においては、過酸化水素の生成が抑制されていることから、耐酸化性が低い高分子電解質膜を使用することも可能であり、例えば、ポリエチレンやポリスチレン等の汎用プラスチックに、スルホン酸基、カルボン酸基、ボロン酸基等のイオン伝導性基を導入したものを主原料とする炭化水素系高分子電解質膜を用いることも可能となる。
フッ素系高分子電解質膜は、高価であることから、上記のようなエンジニアリングプラスチックや汎用プラスチックを用いた電解質膜を使用することによって、燃料電池のコスト削減にも貢献する。
電解質膜の膜厚は、特に限定されず、15〜60μm程度でよい。
フッ素系高分子電解質膜は、高価であることから、上記のようなエンジニアリングプラスチックや汎用プラスチックを用いた電解質膜を使用することによって、燃料電池のコスト削減にも貢献する。
電解質膜の膜厚は、特に限定されず、15〜60μm程度でよい。
図1において、電極4(酸化剤極4a、燃料極4b)は、触媒層2(2a、2b)及びガス拡散層3(3a、3b)から構成されている。各電極には、触媒成分の他、通常、導電性材料、イオン伝導性材料、さらに必要に応じてその他の材料が含まれる。
ここで、酸化剤極4a、燃料極4bに含まれる「触媒成分」とは、酸化剤極又は燃料極のそれぞれにおける電極反応を促進させることを目的として、酸化剤極、燃料極に含有されるものである。ゆえに、酸化剤極及び燃料極の水素と酸素が接触する部分を形成する触媒成分以外の材料として、酸素の2電子還元反応よりも4電子還元反応を促進する材料を用いる場合であっても、当該触媒成分以外の材料は、酸素の4電子還元反応を促進する触媒作用を目的として各電極に含有されるものではなく、通常、触媒成分よりもはるかに触媒活性が弱い。
ここで、酸化剤極4a、燃料極4bに含まれる「触媒成分」とは、酸化剤極又は燃料極のそれぞれにおける電極反応を促進させることを目的として、酸化剤極、燃料極に含有されるものである。ゆえに、酸化剤極及び燃料極の水素と酸素が接触する部分を形成する触媒成分以外の材料として、酸素の2電子還元反応よりも4電子還元反応を促進する材料を用いる場合であっても、当該触媒成分以外の材料は、酸素の4電子還元反応を促進する触媒作用を目的として各電極に含有されるものではなく、通常、触媒成分よりもはるかに触媒活性が弱い。
ガス拡散層には、従来、カーボンペーパーやカーボンシート等の多孔質炭素材料が多用されていた。これに対し、本発明におけるガス拡散層3は、少なくとも酸素と水素が接触する部分には、炭素材料を用いずに、少なくとも0〜1.1Vの電位範囲において、酸素の2電子還元反応よりも4電子還元反応を促進する材料及び/又は水素と酸素の間の反応に対して触媒作用を有していない材料を用いる。好ましくは、導電性多孔質体全体が、少なくとも0〜1.1Vの電位範囲において、酸素の2電子還元反応よりも4電子還元反応を促進及び/又は水素と酸素の間の反応に対して触媒作用を有していない材料からなり、且つ、ガスの拡散に必要な細孔(空隙)を有し、さらに、導電性及びガス拡散層を構成する材料として要求される強度を有するものを用いる。
具体的には、例えば、チタン、金及びこれらの合金等の金属から構成される金属メッシュ又は金属多孔質体等の導電性多孔質体を挙げることができる。或いは、SUSのような耐酸化性が低いステンレス鋼やアルミニウムの表面(水素と酸素が接触する部分)をチタンや金等の耐酸化性を有する金属やポリピロール、ポリアセチレン、ポリアニリン等の導電性樹脂によって処理したものを使用することもできる。ここで、表面処理の方法は特に限定されず、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法、めっき法等の簡易な方法が挙げられる。さらに、耐酸化性の観点から、導電性多孔質体の表面にチッ化処理等の表面処理を行ってもよい。導電性多孔質体の厚みは、10〜400μm程度であることが好ましい。
ガス拡散層3は、上記したような導電性多孔質体の単層からなるものであってもよいが、触媒層2と面する側に撥水層が設けられていてもよい。撥水層は、必ずしも必要なものではないが、触媒層2及び電解質膜1内の水分量を適度に保持しつつ、ガス拡散層3の排水性を高めることができる上に、触媒層2とガス拡散層3間の電気的接触を改善することができるという利点がある。
撥水層は、従来、炭素粒子や炭素繊維等の炭素粉粒体、ポリテトラフルオロエチレン等の撥水性樹脂等を含む多孔質構造を有するものであった。これに対して、本発明においては、少なくとも酸素と水素が接触する部分には、炭素材料を用いずに、少なくとも0〜1.1Vの電位範囲において、酸素の2電子還元反応よりも4電子還元反応を促進する材料及び/又は水素と酸素の間の反応に対して触媒作用を有していない材料を用いる。典型的には炭素粉粒体の代わりに、少なくとも0〜1.1Vの電位範囲において、水素と酸素が接触したときに、酸素の2電子還元反応よりも酸素の4電子還元反応を促進する導電性粉粒体及び/又は水素と酸素の間の反応に対して触媒作用を有していない導電性粉粒体を用いることが好ましい。
撥水層は、従来、炭素粒子や炭素繊維等の炭素粉粒体、ポリテトラフルオロエチレン等の撥水性樹脂等を含む多孔質構造を有するものであった。これに対して、本発明においては、少なくとも酸素と水素が接触する部分には、炭素材料を用いずに、少なくとも0〜1.1Vの電位範囲において、酸素の2電子還元反応よりも4電子還元反応を促進する材料及び/又は水素と酸素の間の反応に対して触媒作用を有していない材料を用いる。典型的には炭素粉粒体の代わりに、少なくとも0〜1.1Vの電位範囲において、水素と酸素が接触したときに、酸素の2電子還元反応よりも酸素の4電子還元反応を促進する導電性粉粒体及び/又は水素と酸素の間の反応に対して触媒作用を有していない導電性粉粒体を用いることが好ましい。
このような導電性粉粒体としては、例えば、金属粉粒体や導電性樹脂粉粒体等を用いることができ、特に金属粉粒体が好ましく用いられる。金属粉粒体としては、チタン、金等、導電性樹脂粉粒体としてはポリピロール、ポリアセチレン、ポリアニリン等が挙げられる。特に、電位的な安定性を有するチタンが好適に用いられる。また、金属粉粒体は、酸化防止の観点から、例えば、チッ化処理等の表面処理を施したものが好ましい。ここで、チッ化処理の方法は、特に限定されず、ガスチッ化等の一般的な方法に準じて行えばよい。
撥水層を形成する方法は特に限定されない。例えば、まず、金属粉粒体等の導電性粉粒体と撥水性樹脂、及び必要に応じてその他の成分を、エタノール、プロパノール、プロピレングリコール等の有機溶剤、水又はこれらの混合物等の溶剤と混合して撥水層ペーストを調製する。そして、得られた撥水層ペーストを導電性多孔質体の触媒層2に面する側に塗布し、その後、乾燥及び/又は焼成すればよい。このとき、撥水層ペーストは、導電性多孔質体の内部に含浸してもよい。
また、撥水層の形状は特に限定されず、例えば、導電性多孔質体の触媒層側の面全体を覆うような形状でもよいし、格子状等の所定パターンを有する形状でもよい。撥水層ペーストを導電性多孔質体に塗布する方法としては、例えば、スクリーン印刷法、スプレー法、ドクターブレード法、グラビア印刷法、ダイコート法等が挙げられる。撥水層の厚み(導電性多孔質体に含浸した部分を除く、導電性多孔質体表面からの厚み)は、通常、5〜30μm程度とすることが好ましい。
また、撥水層の形状は特に限定されず、例えば、導電性多孔質体の触媒層側の面全体を覆うような形状でもよいし、格子状等の所定パターンを有する形状でもよい。撥水層ペーストを導電性多孔質体に塗布する方法としては、例えば、スクリーン印刷法、スプレー法、ドクターブレード法、グラビア印刷法、ダイコート法等が挙げられる。撥水層の厚み(導電性多孔質体に含浸した部分を除く、導電性多孔質体表面からの厚み)は、通常、5〜30μm程度とすることが好ましい。
触媒層2には、通常、第一の触媒成分又は第二の触媒成分と、イオン伝導性材料とが含有される。従来の燃料電池において、触媒成分は、カーボンブラック等の炭素粒子や炭素繊維等の炭素材料に担持させて用いられることが多かった。
これに対し、本発明の触媒層においては、少なくとも酸素と水素が接触する部分を形成する触媒成分以外の材料として、炭素材料を用いずに、少なくとも0〜1.1Vの電位範囲において、酸素の2電子還元反応よりも4電子還元反応を促進する材料及び/又は水素と酸素の間の反応に対して触媒作用を有していない材料を用いる。典型的には、炭素材料に触媒成分を担持させることなく、そのまま触媒成分を使用する。
これに対し、本発明の触媒層においては、少なくとも酸素と水素が接触する部分を形成する触媒成分以外の材料として、炭素材料を用いずに、少なくとも0〜1.1Vの電位範囲において、酸素の2電子還元反応よりも4電子還元反応を促進する材料及び/又は水素と酸素の間の反応に対して触媒作用を有していない材料を用いる。典型的には、炭素材料に触媒成分を担持させることなく、そのまま触媒成分を使用する。
尚、必要に応じて、触媒成分は、従来触媒成分を担持させる担体として用いられていた炭素材料の代替となる、少なくとも0〜1.1Vの電位範囲において酸素の2電子還元反応よりも4電子還元反応を促進する材料及び/又は水素と酸素の間の反応に対して触媒作用を有していない材料に担持させてもよい。
酸化剤極用触媒成分である第一の触媒成分としては、酸化剤極における酸素の還元反応(式(2)の4電子還元反応)に対して触媒作用を有するものを用いる。一方、燃料極用触媒成分である第二の触媒成分としては、燃料極における水素のイオン化反応(式(1)の酸化反応)に対して触媒作用を有するものを用いる。
第一及び第二の触媒成分としては、一般的に燃料電池用触媒成分として用いられているものを使用することができ、具体的には、白金、パラジウム、ルテニウム、金、鉄、ニッケル、マンガン、クロム等の金属;これら金属の合金;その他金属の金属酸化物;金属錯体、金属キレート、大環状金属錯体等の有機無機複合材などの微粉末等が挙げられる。これらのうち、白金微粉末や白金合金微粉末が好ましく、特に白金黒が好ましく用いられる。これらの一般的な触媒成分は、少なくとも0〜1.1Vの電位範囲において、酸素の2電子還元反応を促進するものではない。
触媒層の単位面積当りの触媒成分担持量は、通常、0.1〜1mg/cm2程度でよい。
第一及び第二の触媒成分としては、一般的に燃料電池用触媒成分として用いられているものを使用することができ、具体的には、白金、パラジウム、ルテニウム、金、鉄、ニッケル、マンガン、クロム等の金属;これら金属の合金;その他金属の金属酸化物;金属錯体、金属キレート、大環状金属錯体等の有機無機複合材などの微粉末等が挙げられる。これらのうち、白金微粉末や白金合金微粉末が好ましく、特に白金黒が好ましく用いられる。これらの一般的な触媒成分は、少なくとも0〜1.1Vの電位範囲において、酸素の2電子還元反応を促進するものではない。
触媒層の単位面積当りの触媒成分担持量は、通常、0.1〜1mg/cm2程度でよい。
イオン伝導性材料としては、電解質膜として用いられる材料の中から、適宜選択することができ、具体的には、パーフルオロカーボンスルホン酸ポリマーに代表されるフッ素系ポリマーやスルホン酸基、カルボン酸基、ボロン酸基等のイオン伝導性基を側鎖に有する炭化水素系ポリマー等の固体高分子電解質が挙げられる。
触媒層2は、第一の触媒成分又は第二の触媒成分、イオン伝導性材料、及び必要に応じて撥水性高分子や結着剤等その他の材料を溶媒に混合・分散させた触媒層ペーストを用いて形成する。触媒層ペーストの溶媒としては、エタノール、メタノール、プロパノール、プロピレングリコール等のアルコール類や、これらアルコール類と水との混合溶液等を用いることができる。尚、触媒層に、触媒成分及びイオン伝導性材料と共に、その他材料を用いる場合には、当該その他の材料も酸素の2電子還元反応よりも4電子還元反応を促進する材料及び/又は水素と酸素の反応に対して触媒作用を有していない材料を用いることになる。
触媒層ペーストを用いて触媒層を形成する方法は、一般的に行われている方法でよく、例えば、ガス拡散層を形成するためのガス拡散層シートの触媒層側の面(撥水層を設けた場合は撥水層上)に、触媒層ペーストを直接塗布、乾燥する方法、或いは、触媒層ペーストをポリテトラフルオロエチレン等の基材上に塗布、乾燥して形成した触媒層シートをガス拡散層シートの触媒層側の面に転写する方法等によって、ガス拡散層シート上に触媒層を形成することができる。
この触媒層が形成されたガス拡散層シートと電解質膜とを、触媒層を挟むように重ね合わせて、ホットプレス等により接合することによって膜・電極接合体が得られる。
この触媒層が形成されたガス拡散層シートと電解質膜とを、触媒層を挟むように重ね合わせて、ホットプレス等により接合することによって膜・電極接合体が得られる。
また、触媒層ペーストを電解質膜の表面に直接塗布、乾燥する方法、或いは、触媒層ペーストを用いて形成した触媒層シートを電解質膜に転写する方法によって、電解質膜上に触媒層を形成し、この触媒層が形成された電解質膜と、ガス拡散層シートとを、触媒層を挟むように重ね合わせて、ホットプレス等により接合することによっても、膜・電極接合体を形成することができる。
尚、本発明の燃料電池において、電極の構成は特に限定されず、例えば、触媒層のみからなる単層構造であってもよいし、触媒層とガス拡散層の他に付加的な層を有していてもよい。
尚、本発明の燃料電池において、電極の構成は特に限定されず、例えば、触媒層のみからなる単層構造であってもよいし、触媒層とガス拡散層の他に付加的な層を有していてもよい。
以上のようにして得られる膜・電極接合体は、セパレータによって挟持される。従来の燃料電池においてセパレータには、膨張黒鉛やグラッシーカーボン等の炭素材料が多用されている。これに対し、本発明においては、セパレータの少なくとも酸素と水素が接触する部分には、炭素材料を用いずに、少なくとも0〜1.1Vの電位範囲において、酸素の2電子還元反応よりも4電子還元反応を促進材料及び/又は水素と酸素の間の反応に対して触媒作用を有していない材料を用いる。
好ましくは、セパレータ全体を形成する材料として、少なくとも0〜1.1Vの電位範囲において、酸素と水素が接触したときに、酸素の2電子還元反応よりも4電子還元反応を促進する材料及び/又は水素と酸素の間の反応に対して触媒作用を有していない材料を用いる。セパレータを形成する材料には、さらに、導電性、反応ガスに対する非透過性が要求される。このようなセパレータを形成する材料として用いることができるものとしては、例えば、金属等が挙げられる。
好ましくは、セパレータ全体を形成する材料として、少なくとも0〜1.1Vの電位範囲において、酸素と水素が接触したときに、酸素の2電子還元反応よりも4電子還元反応を促進する材料及び/又は水素と酸素の間の反応に対して触媒作用を有していない材料を用いる。セパレータを形成する材料には、さらに、導電性、反応ガスに対する非透過性が要求される。このようなセパレータを形成する材料として用いることができるものとしては、例えば、金属等が挙げられる。
セパレータに用いることができる金属として、具体的には、チタン、ステンレス鋼、金等が挙げられる。耐酸化性が低めのステンレス鋼など、耐酸化性が低い金属は、少なくとも酸素と接触する部分を表面処理(例えば、チッ化処理など)し、耐酸化性を付与することが好ましい。耐酸化性を付与するための表面処理としては、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法、めっき法等の簡易な方法が挙げられる。
セパレータの電極と接する面には、通常、電極に反応ガスを供給するためのガス流路溝が形成される。ガス流路溝は、例えば、プレス成形や切削等により形成することができる。尚、ガス流路はセパレータの表面以外に設けることもできる。
セパレータの厚みは、通常、0.1〜0.5mm程度であればよい。
セパレータの厚みは、通常、0.1〜0.5mm程度であればよい。
以上のように本発明の燃料電池は、水素と酸素が接触する部分に、炭素材料のような0〜1.1Vの電位範囲において酸素の4電子還元反応よりも2電子還元反応を促進する材料を使用しないため、過酸化水素の発生を抑制することができる。その結果、電解質膜からの酸の溶出が抑制され、手間のかかる表面処理等を行わなくてもガス拡散層やセパレータ等に金属を用いることができる。すなわち、容易にガス拡散層やセパレータの薄肉化が可能であり、燃料電池を小型化することができる。燃料電池の小型化により、燃料電池の熱容量を小さくすることが可能であるため、消費する反応ガス量を削減できる。
また、ガス拡散層とセパレータを共に金属を用いて形成した場合には、ガス拡散層とセパレータとの接触抵抗が小さくなり、燃料電池の出力を向上することができる。
さらに、本発明の燃料電池は、炭素材料の使用量が削減若しくは炭素材料が全く使用されてないため、ライフサイクルアセスメント(ひとつの製品が製造、使用、廃棄又は再利用されるまでの全ての段階における環境への影響を構造的に評価する方法)において、製造、廃棄段階における二酸化炭素の排出量を低減することができるため有利である。
さらに、本発明の燃料電池は、炭素材料の使用量が削減若しくは炭素材料が全く使用されてないため、ライフサイクルアセスメント(ひとつの製品が製造、使用、廃棄又は再利用されるまでの全ての段階における環境への影響を構造的に評価する方法)において、製造、廃棄段階における二酸化炭素の排出量を低減することができるため有利である。
尚、ここでは、図1に示す構成の燃料電池を例に本発明を説明してきたが、ここで説明した以外の付加的な構造を有する燃料電池の場合、水素と酸素が接触して過酸化水素が発生し、燃料電池を構成する部材の劣化や分解等が生じる可能性のある部分は全て、少なくとも0〜1.1Vの電位範囲において、酸素の2電子還元反応よりも4電子還元反応を促進する材料及び/又は水素と酸素の間の反応に対して触媒作用を有していない材料を用いて形成することが好ましい。
1…プロトン伝導性固体高分子電解質膜
2…触媒層(2a:酸化剤極の触媒層、2b:燃料極の触媒層)
3…ガス拡散層(3a:酸化剤極の触媒層、3b:燃料極の触媒層)
4…電極(4a:酸化剤極、4b:燃料極)
5…流路
6…セパレータ
2…触媒層(2a:酸化剤極の触媒層、2b:燃料極の触媒層)
3…ガス拡散層(3a:酸化剤極の触媒層、3b:燃料極の触媒層)
4…電極(4a:酸化剤極、4b:燃料極)
5…流路
6…セパレータ
Claims (3)
- 電解質膜と、該電解質膜の一方の面に設けられた酸化剤極及び他方の面に設けられた燃料極と、該一対の電極の外側に設けられたセパレータとを備える燃料電池であって、
前記電解質膜、前記酸化剤極、前記燃料極及び前記セパレータの少なくとも水素と酸素が接触する部分を形成する材料は、前記酸化剤極の触媒成分及び前記燃料極の触媒成分以外は、水素と酸素が接触したときに、少なくとも0〜1.1Vの電位範囲において、該酸素の2電子還元反応よりも4電子還元反応を促進する材料、及び/又は、該水素と該酸素の間の反応に対して触媒作用を有していない材料であることを特徴とする燃料電池。 - 前記電解質膜、前記酸化剤極、前記燃料極及び前記セパレータの少なくとも水素と酸素が接触する部分を形成する材料は、前記酸化剤極の触媒成分及び前記燃料極の触媒成分以外は、水素と酸素が接触したときに、少なくとも0〜1.23Vの電位範囲において、該酸素の2電子還元反応よりも4電子還元反応を促進する材料、及び/又は、該水素と該酸素の間の反応に対して触媒作用を有していない材料である、請求項1に記載の燃料電池。
- 前記セパレータの少なくとも水素と酸素が接触する部分を構成する材料、前記酸化剤極の触媒成分以外の材料、及び前記燃料極の触媒成分以外の材料のうち、導電性を有するものは、金属又は導電性樹脂の少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の燃料電池。
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009009731A (ja) * | 2007-06-26 | 2009-01-15 | Nissan Motor Co Ltd | 燃料電池構成部材 |
JP6293317B1 (ja) * | 2017-01-12 | 2018-03-14 | 株式会社新エィシーイー | ピストン |
JP2020087637A (ja) * | 2018-11-21 | 2020-06-04 | トヨタ自動車株式会社 | 燃料電池システム |
-
2005
- 2005-11-10 JP JP2005325814A patent/JP2007134159A/ja active Pending
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