JP2005209402A - 固体高分子型燃料電池の膜電極接合体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】電解質膜から副生するフッ素イオンを減少させることでMEAの耐久性を向上させた固体高分子型燃料電池の膜電極接合体の製造方法を提供すること。
【解決手段】電極層に対し、MEAのホットプレスを行う前に、電解質ポリマーのガラス転移温度から熱分解温度までの温度領域にて加圧保持する熱処理を行うことに加えて、イオン交換容量が大きい電解質ポリマーを採用することでフッ素イオンの溶出を効果的に抑制できることを見出した。特に電解質ポリマーのイオン交換容量としては0.98meq/g以上(より好ましくは0.98meq/g超)にすることでフッ素イオンの溶出を効果的に抑制できた。
【選択図】図1
【解決手段】電極層に対し、MEAのホットプレスを行う前に、電解質ポリマーのガラス転移温度から熱分解温度までの温度領域にて加圧保持する熱処理を行うことに加えて、イオン交換容量が大きい電解質ポリマーを採用することでフッ素イオンの溶出を効果的に抑制できることを見出した。特に電解質ポリマーのイオン交換容量としては0.98meq/g以上(より好ましくは0.98meq/g超)にすることでフッ素イオンの溶出を効果的に抑制できた。
【選択図】図1
Description
本発明はイオン伝導性を有する電解質膜の厚み方向の両側に触媒電極層を接合した固体高分子型燃料電池の膜電極接合体の製造方法に関する。
固体高分子型燃料電池の膜電極接合体はMEAとも略称されるものであり、図3に示すように、イオン伝導性を有する電解質膜100の厚み方向の片側に酸化剤極用の触媒電極層110を配置し、他の片側に燃料極用の触媒電極層120を配置し、その酸化剤極用の触媒電極層110の外側に酸化剤極用のガス拡散層111を配置し、燃料極用の触媒電極層120の外側に燃料極用のガス拡散層121を配置したものである。膜電極接合体(MEA)は、固体高分子型燃料電池の発電性能に大きく影響を与える。
従来、固体高分子型燃料電池の膜電極接合体の製造は、一般的には、次のように行う。即ち、触媒を有するカーボンブラック等のカーボン微小体とイオン伝導性をもつ電解質ポリマー溶液とを主要成分とする混合物で形成された触媒電極層110,120を、イオン伝導性を有する電解質膜100に積層して中間積層体を形成する。その後、多孔質のカーボンペーパまたはカーボンクロスなどのガス拡散層111,121を中間積層体の厚み方向の両外側に配置し、ホットプレスして一体化させて形成されている。
ホットプレスして一体化させることにより、電解質膜100と触媒電極層110,120との間の界面の抵抗が低減され、界面におけるプロトンの移動が良好となる。
従来技術には、固体高分子電解質膜の厚み方向の両側に、反応層とガス拡散層とからなる2枚のガス拡散電極を接合した接合体を製造するにあたり、2枚のガス拡散電極のうちの少なくとも一方に固体高分子電解質の溶液を塗布した後にホットプレスする固体高分子膜と電極との接合体の製造方法が開示されている(特許文献1)。
また、パーフルオロビニルエーテルとテトラフルオロエチレンの共重合体からなるイオン交換膜それ自体を160〜220℃でホットプレスする方法が開示されている(特許文献2)。
そして、プロトン伝導性を有する膜を2枚のガス拡散電極で挟み、接合温度に到達するまで接合圧力以下でプレスし、その後、接合温度でプレスすることにより、膜とガス拡散電極との接合状態を向上させて接触抵抗を低減させる技術が開示されている(特許文献3)。
更に、反応膜とガス拡散膜とからなる2枚のガス拡散電極の反応膜側を固体高分子電解質膜の両側に接合してなる接合体を、上記固体高分子電解質膜のガラス転移温度の130℃以上でその分解温度の270℃以下の温度範囲で、加熱処理することを特徴とする固体高分子電解質膜と電極体との接合体の活性化処理方法が開示されている(特許文献4)。
固体高分子型燃料電池では、酸化剤極側では発電反応により水が生成される。また固体高分子型燃料電池に供給される燃料ガス(一般的には水素含有ガス)、酸化剤ガス(一般的には酸素含有ガスとしての空気)は加湿されていることが多い。イオン伝導性を有する電解質膜100が過剰に乾燥すると、発電性能が低下するためである。上記した膜電極接合体によれば、触媒電極層110,120に含まれているイオン伝導性をもつ電解質ポリマーがかならずしも充分に固定されず、発電反応で生成された生成水あるいは加湿水により流出するおそれがある。この場合、膜電極接合体の劣化が誘発され、固体高分子型燃料電池の出力電位が低下するおそれがある。
本出願人の研究グループは上記した実情に鑑みて、膜電極接合体の劣化の抑制に有利であり、長時間発電したとして、出力電位の過剰な低下を抑制するのに有利な固体高分子型燃料電池の膜電極接合体の製造方法を提供することを課題とした発明を完成し、関連する出願を行っている。電極層に対し、MEAのホットプレスを行う前に、電解質ポリマーのガラス転移温度から熱分解温度までの温度領域にて加圧保持する熱処理を行うことで、電解質ポリマーの結晶化度が大きくなりMEAの耐久性が向上する。
特開平3−208260号公報
特開平11−224679号公報
特開平11−224679号公報
特許第2781630号公報
特開2003−86191号公報(実施例1)
PEFC空気極における過酸化水素の副生とNafionに及ぼす影響、第10回燃料電池シンポジウム講演会 予稿集、燃料電池開発情報センター、平成15年、p.261〜p.264
ところで、空気極で副生する過酸化水素が電解質膜を劣化させることで、フッ素イオンが溶出し、MEAの性能が低下することが開示されている(非特許文献1)。
本発明者らは上記実情に鑑み、電解質膜から副生するフッ素イオンを減少させることでMEAの耐久性の更なる向上を図ることを目指した固体高分子型燃料電池の膜電極接合体の製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決する目的で本発明者は鋭意研究を行った結果、イオン交換容量が大きい電解質ポリマーを採用することでフッ素イオンの溶出を効果的に抑制できることを見出した。特に後述する実施例の結果から電解質ポリマーのイオン交換容量としては0.98meq/g以上(より好ましくは0.98meq/g超)にすることでフッ素イオンの溶出を効果的に抑制できることが判った。
ところで、従来技術として、イオン交換容量が異なる2種の高分子電解質(電解質ポリマー)を用いたMEAの耐久性の相違が開示されている(特許文献5)。特許文献5はイオン交換容量が大きい(1.0meq/g)単電池Aよりもイオン交換容量がより小さい(0.9meq/g)単電池Bの方が耐久性が高いことを開示している。
本発明では、先述したような、電極層に対し、MEAのホットプレスを行う前に、電解質ポリマーのガラス転移温度から熱分解温度までの温度領域にて加圧保持する熱処理を行う工程を有する固体高分子型燃料電池の膜電極接合体の製造方法に、イオン交換容量が大きい電解質ポリマーを適用することで更に高い耐久性を実現できることを発見した。
特許文献5の結果と異なり、本発明において、イオン交換容量が大きい方が高い耐久性を示したのは以下の理由であると推測される。すなわち、ホットプレス前の熱処理によって電解質ポリマーの結晶化度が大きくなり、水に対する溶解度が抑制されたために、電解質ポリマーの流出が抑制された結果、電解質ポリマーのイオン交換容量を大きくしたことによるフッ素イオン溶出抑制効果が充分に発揮できるようになり、MEAの耐久性が向上したものと推測される。
(1)本発明は以上の知見に基づき完成したものである。すなわち、第1発明方法の固体高分子型燃料電池の膜電極接合体の製造方法は、
触媒を有する導電性微小体とイオン伝導性をもつ電解質ポリマーとを主要成分とする混合物で形成された触媒電極層を、イオン伝導性を有する膜に積層して中間積層体を形成する工程と、
多孔質のガス拡散層を中間積層体の厚み方向の両側に配置し、ホットプレスして一体化させて膜電極接合体を形成するホットプレス工程とを順に実施する膜電極接合体の製造方法において、
前記電解質ポリマーのイオン交換容量は0.98meq/g以上であり、
ホットプレス工程の前に、ガス拡散層を中間積層体に積層していない状態で、触媒電極層に含まれている電解質ポリマーのガラス転移温度以上で熱分解温度以下の温度領域に、中間積層体を加熱保持して熱処理することを特徴とするものである。
触媒を有する導電性微小体とイオン伝導性をもつ電解質ポリマーとを主要成分とする混合物で形成された触媒電極層を、イオン伝導性を有する膜に積層して中間積層体を形成する工程と、
多孔質のガス拡散層を中間積層体の厚み方向の両側に配置し、ホットプレスして一体化させて膜電極接合体を形成するホットプレス工程とを順に実施する膜電極接合体の製造方法において、
前記電解質ポリマーのイオン交換容量は0.98meq/g以上であり、
ホットプレス工程の前に、ガス拡散層を中間積層体に積層していない状態で、触媒電極層に含まれている電解質ポリマーのガラス転移温度以上で熱分解温度以下の温度領域に、中間積層体を加熱保持して熱処理することを特徴とするものである。
本方法によれば、ホットプレス工程の前に、触媒電極層に含まれている電解質ポリマーのガラス転移温度以上で熱分解温度以下の温度領域に、中間積層体を加熱保持して熱処理する。このため触媒電極層に含まれている電解質ポリマーの結晶化度が促進され、ひいては固形度が促進される。また、電解質ポリマーのイオン交換容量が大きいことでポリマー骨格に含まれるフッ素原子が少なくなる。よって生成水または加湿水等への電解質ポリマーの溶解度を低下させるのに貢献できるとともに、副生されるフッ素イオンが少なくなる。故に、固体高分子型燃料電池の使用時において生成水、加湿水の影響があったとしても、触媒電極層に含まれている電解質ポリマーの流出が抑制され、イオン交換容量の向上による電解質ポリマーの溶出によるMEAの耐久性の低下が進行しなくなった結果、イオン交換容量の向上によるフッ素イオンを減少できるという効果が充分に発揮できることになった。
熱処理の時間としては、熱処理の温度、触媒電極層に含まれている電解質ポリマーの材質、要請される生産コストなどによっても相違するものの、短ければ1分、2分、長ければ12時間、24時間を採用することができる。従って、1分〜24時間、1分30秒〜24時間、22分〜12時間、2分〜5時間、あるいは、2分〜1時間などを例示できる。熱処理における加熱温度としては、電解質ポリマーの結晶化を良好にするため、また、電解質ポリマーの劣化を抑制するため、触媒電極層に含まれている電解質ポリマーのガラス転移温度以上で熱分解温度以下の温度領域とする。なお、必要に応じて、ガラス転移温度で熱処理したり、あるいは、ガラス転移温度よりも20℃、40℃あるいは80℃あるいは100℃高温側の温度領域で熱処理したりすることができる。
第1発明方法によれば、好ましくは、熱処理は、中間積層体を加圧しない無加圧状態において行われる形態を採用できる。無加圧であれば、熱処理時における電解質膜の破損等を確実に抑えることができる。また、熱処理時における加圧力が小さいならば、電解質膜の破損を防止できるため、熱処理は中間積層体をこれの厚み方向に加圧した加圧状態において行なうことができる。
熱処理時に中間積層体をその厚み方向に加圧するときには、触媒電極層に含まれている電解質ポリマーの延伸効果を期待でき、結晶化度を高めるのに有利となり、生成水または加湿水等への電解質ポリマーの溶解度を低下させるのに貢献できる。なお、加圧力としては0.1〜20MPa,0.1〜15MPa,0.2〜10MPa、あるいは、0.5〜10MPaを例示できるが、これらに限定されるものではない。第1発明方法によれば、積層体は電解質膜を有するため、電解質膜にダメージを与えないように、加圧力を設定する必要がある。
第1発明方法によれば、ガス拡散層を中間積層体に積層していない状態で中間積層体を熱処理するため、触媒電極層への伝熱がガス拡散層で妨げられることが防止される。従って熱処理時において中間積層体の触媒電極層に含まれている電解質ポリマーへの伝熱性が良好に確保され、電解質ポリマーに対する熱処理を良好に行うことができる。
第1発明方法によれば、好ましくは、熱処理は、不活性雰囲気または大気雰囲気の熱処理炉内において行われる形態を採用できる。これにより中間積層体を良好に熱処理することができる。不活性雰囲気として窒素雰囲気、アルゴンガス雰囲気、窒素富化雰囲気、アルゴンガス富化雰囲気を例示できる。
第1発明方法によれば、好ましくは、熱処理の時間は、ホットプレスの時間よりも長く設定されている形態を採用できる。これにより触媒電極層に含まれている電解質ポリマーへの伝熱が確保され、電解質ポリマーの結晶化度の促進、固形化の促進を図り得、中間積層体を良好に熱処理することができる。
(2)第2発明に係る固体高分子型燃料電池の膜電極接合体の製造方法は、触媒を有する導電性微小体とイオン伝導性をもつ電解質ポリマーとを主要成分とする混合物で形成された触媒電極層を、多孔質のガス拡散層に積層して中間積層体を形成する工程と、
イオン伝導性を有する電解質膜の厚み方向の両側に中間積層体をそれぞれ配置し、ホットプレスして一体化させて膜電極接合体を形成するホットプレス工程とを順に実施する膜電極接合体の製造方法において、
前記電解質ポリマーのイオン交換容量は0.98meq/g以上であり、
ホットプレス工程の前に、電解質膜を中間積層体に積層していない状態で、触媒電極層に含まれている電解質ポリマーのガラス転移温度以上で熱分解温度以下の温度領域に、中間積層体を加熱保持して熱処理することを特徴とするものである。
イオン伝導性を有する電解質膜の厚み方向の両側に中間積層体をそれぞれ配置し、ホットプレスして一体化させて膜電極接合体を形成するホットプレス工程とを順に実施する膜電極接合体の製造方法において、
前記電解質ポリマーのイオン交換容量は0.98meq/g以上であり、
ホットプレス工程の前に、電解質膜を中間積層体に積層していない状態で、触媒電極層に含まれている電解質ポリマーのガラス転移温度以上で熱分解温度以下の温度領域に、中間積層体を加熱保持して熱処理することを特徴とするものである。
第2発明方法によれば、ホットプレス工程の前に、触媒電極層に含まれている電解質ポリマーのガラス転移温度以上で熱分解温度以下の温度領域に、中間積層体を加熱保持して熱処理する。このため触媒電極層に含まれている電解質ポリマーの結晶化度が促進され、ひいては電解質ポリマーの固形度が促進される。また、電解質ポリマーのイオン交換容量が大きいことでポリマー骨格に含まれるフッ素原子が少なくなる。よって生成水または加湿水等への電解質ポリマーの溶解度を低下させるのに貢献できるとともに、副生されるフッ素イオンが少なくなる。故に、固体高分子型燃料電池の使用時において生成水、加湿水の影響があったとしても、触媒電極層に含まれている電解質ポリマーの流出が抑制され、イオン交換容量の向上による電解質ポリマーの溶出によるMEAの耐久性の低下が進行しなくなった結果、イオン交換容量の向上によるフッ素イオンを減少できるという効果が充分に発揮できることになった。
第2発明方法によれば、電解質膜を中間積層体に積層していない状態で中間積層体を熱処理するため、触媒電極層への伝熱が電解質膜で妨げられない。従って、熱処理時において中間積層体の触媒電極層に含まれている電解質ポリマーへの伝熱性が確保され、電解質ポリマーに対する熱処理を良好に行うことができる。
第2発明方法によれば、熱処理の時間としては、熱処理の温度、触媒電極層に含まれている電解質ポリマーの材質、要請される生産コストなどによっても相違するものの、短ければ1分、1分30秒、2分、長ければ12時間、24時間を採用することができる。従って、1分〜24時間、1分30秒〜24時間、2分〜12時間、2分〜5時間、あるいは、2分〜1時間などを例示できる。熱処理における加熱温度としては、触媒電極層に含まれている電解質ポリマーのガラス転移温度以上で熱分解温度以下の温度領域とする。例えば、第1発明方法と同様の加熱温度が採用できる。
第2発明方法によれば、熱処理は、中間積層体を加圧しない無加圧状態、または、中間積層体をこれの厚み方向に加圧した加圧状態において行われる形態を採用できる。
第2発明方法によれば、電解質膜を中間積層体に積層していない状態で、中間積層体の触媒電極層を熱処理することにしている。故に、熱処理時に中間積層体を加圧するときであっても、電解質膜にダメージを与えることを未然に防止することができる利点が得られる。
なお、熱処理に中間積層体をその厚み方向に加圧する場合には、触媒電極層に含まれている電解質ポリマーの延伸効果を期待でき、結晶化度を高めるのに有利となり、生成水または加湿水等への電解質ポリマーの溶解度を低下させるのに一層貢献できる。なお、加圧力としては0.1〜20MPa,0.1〜15MPa,0.2〜10MPa、あるいは、0.5〜10MPaを例示できるが、これらに限定されるものではない。第2発明方法によれば、熱処理時には積層体は電解質膜を有しないため、電解質膜へ与えるダメージを考慮せずとも良く、熱処理時における加圧力を必要に応じて高くすることもできる。
第2発明方法によれば、好ましくは、熱処理は、不活性雰囲気または大気雰囲気の熱処理炉内において行われる形態を採用できる。これにより中間積層体を良好に熱処理することができる。
第2発明方法によれば、好ましくは、熱処理の時間は、ホットプレスの時間よりも長く設定されている形態を採用できる。これにより触媒電極層に含まれている電解質ポリマーへの伝熱を確保でき、電解質ポリマーの固形化を促進でき、中間積層体を良好に熱処理することができる。
(3)第1発明方法、第2発明方法によれば、導電性微小体としては、カーボンブラック、活性炭、黒鉛などのカーボン系微小体を例示できる。触媒としては白金、ロジウム、パラジウム、ルテニウム等のうちの少なくとも1種を例示できる。イオン伝導性をもつ電解質ポリマーとしては、炭化フッ素系の電解質ポリマーを採用できる。
なお、第1発明方法及び第2発明方法において、電解質ポリマーの現実的なイオン交換容量としては、1.25meq/g以下が例示できる。イオン交換容量をこの範囲にすることでホットプレス前の熱処理による電解質ポリマーの流出防止効果が充分に発揮されることが期待できる。
更に電解質ポリマーのイオン交換容量として好ましい範囲を例示する。イオン交換容量としては0.9meq/g以上にすることもできる。また、0.98meq/gを越える範囲にすることもできる。また、1.0meq/gを越える範囲にすることもできる。そして、1.10meq/g以上にすることもできる。
ここで、電解質ポリマーのイオン交換容量の測定方法について説明する。本明細書における「電解質ポリマーのイオン交換容量」は、以下のように測定する。(1)水とエタノールとの混合溶液に溶解した電解質ポリマーを、80℃で乾燥させて膜を形成する。(2)その膜を2N塩酸に浸漬して、イオン交換基をHに置換する(−SO3H)。(3)次に純水で膜を水洗後、1N塩化ナトリウム水溶液に浸漬してイオン交換基をNaに置換する(−SO3Na)。(4)膜を純水で水洗後、生成した塩酸をフェノールフタレインを指示薬として、0.05N水酸化ナトリウム水溶液で滴定する。(5)次に、再び膜を2N塩酸に浸漬して、イオン交換基をHに置換した後、100℃で乾燥させ、膜の乾燥質量を測定する。(6)以上の(1)〜(5)の工程にて得られた0.05N水酸化ナトリウム水溶液での滴定量及び膜の質量に基づき下式にて電解質ポリマーのイオン交換容量が求められる。
計算式:〔電解質ポリマーのイオン交換容量(meq/g)〕=〔0.05×水酸化ナトリウム水溶液の滴定量(mL)〕÷〔イオン交換基をHに置換した後の電解質ポリマーの乾燥質量(g)〕
以上説明したように第1,第2発明方法によれば、初期出力電位を高めにしつつ、長時間発電を経過した後においても出力電位を高めに維持することができ、耐久性を高めることができる。
第2発明方法によれば、電解質膜を中間積層体に積層していない状態で、中間積層体の触媒電極層を熱処理することにしている。故に、熱処理時に中間積層体を高温に加熱するときであっても、あるいは、中間積層体に高圧をかけるときであっても、電解質膜にダメージを与えることを未然に防止することができる利点が得られる。
以下、本発明の実施形態について実施例に基づいて具体的に説明する。
(試験例1)
(1)ガス拡散層の形成
1000gの水に300gのカーボンブラック(導電性物質)を混入し、混入液を形成した。この混入液を攪拌機により10分間攪拌した。更に、ダイキン工業株式会社製のテトラフルオロエチレン(以下PTFEともいう)の含有濃度が60%のディスパージョン原液(商品名:POLYFLON D1グレード)250gを混入液に添加した。これを更に10分間攪拌して、カーボンインクを作った。
(1)ガス拡散層の形成
1000gの水に300gのカーボンブラック(導電性物質)を混入し、混入液を形成した。この混入液を攪拌機により10分間攪拌した。更に、ダイキン工業株式会社製のテトラフルオロエチレン(以下PTFEともいう)の含有濃度が60%のディスパージョン原液(商品名:POLYFLON D1グレード)250gを混入液に添加した。これを更に10分間攪拌して、カーボンインクを作った。
ガス拡散層の基材であるカーボンペーパー(東レ株式会社製、トレカTGP−060、厚さ180μm)を上記カーボンインクに投入し、カーボンペーパーに充分に前記PTFEのディスパージョン原液(撥水剤)を含浸させた。次に80℃の温度に保った乾燥炉でカーボンペーパーの余分な水分を蒸発させた。その後、焼結温度390℃で60分間保持して、PTFEを焼結し、撥水カーボンペーパーを2個作製した。これを燃料極用のガス拡散層10及び酸化剤電用のガス拡散層11(図1(A)参照)とした。
(2)触媒ペーストの形成
白金担持濃度が55質量%の白金担持カーボン(田中貴金属工業株式会社製、TEC10E60E)を用いた。白金担持カーボンは、触媒である白金を担持したカーボン微小体(導電性微小体)である。そして白金担持カーボン12gと、電解質ポリマーとしての5質量%濃度のイオン交換樹脂溶液(イオン交換容量が0.98、旭化成工業株式会社製、SS−1080)127gと、水23gと、成形助剤としてのイソプロピルアルコ−ル23gとを充分に混合し、酸化剤極用の触媒ペーストを製作した。イオン交換樹脂溶液は、イオン伝導性(プロトン伝導性)をもつ炭化フッ素系の電解質ポリマー(ガラス転移温度:120℃)を主要成分としており、これを液状媒体としての水とエタノールとの混合溶液に溶解または分散させたものである。具体的には、本試験例によれば、炭化フッ素系の電解質ポリマーは、パーフルオロスルホン酸を主成分としている。
白金担持濃度が55質量%の白金担持カーボン(田中貴金属工業株式会社製、TEC10E60E)を用いた。白金担持カーボンは、触媒である白金を担持したカーボン微小体(導電性微小体)である。そして白金担持カーボン12gと、電解質ポリマーとしての5質量%濃度のイオン交換樹脂溶液(イオン交換容量が0.98、旭化成工業株式会社製、SS−1080)127gと、水23gと、成形助剤としてのイソプロピルアルコ−ル23gとを充分に混合し、酸化剤極用の触媒ペーストを製作した。イオン交換樹脂溶液は、イオン伝導性(プロトン伝導性)をもつ炭化フッ素系の電解質ポリマー(ガラス転移温度:120℃)を主要成分としており、これを液状媒体としての水とエタノールとの混合溶液に溶解または分散させたものである。具体的には、本試験例によれば、炭化フッ素系の電解質ポリマーは、パーフルオロスルホン酸を主成分としている。
(3)積層体の形成
上記した触媒ペーストをドクターブレード法によりテフロンシート13に塗布して酸化剤極用の触媒電極層14を形成した(図1(B)参照)。この場合、触媒電極層14において白金担持量が0.6mg/cm2 になるようにした。その後、触媒電極層14を乾燥させて、酸化剤極シート15とした(図1(B)参照)。
上記した触媒ペーストをドクターブレード法によりテフロンシート13に塗布して酸化剤極用の触媒電極層14を形成した(図1(B)参照)。この場合、触媒電極層14において白金担持量が0.6mg/cm2 になるようにした。その後、触媒電極層14を乾燥させて、酸化剤極シート15とした(図1(B)参照)。
また、白金担持カーボンの代わりに、白金(担持濃度30質量%)ルテニウム(担持濃度23質量%)合金担持カーボン(田中貴金属工業株式会社製、TEC61E54)を用いた。これは、白金とルテニウムとを担持したカーボン微小体(導電性微小体)である。そして白金ルテニウム合金担持カーボンを用い、前述と同様な方法によって、燃料極用の触媒ペーストを形成した。この触媒ペーストをドクターブレード法によりテフロンシート17に塗布し、燃料極用の触媒電極層18(図1(B)参照)を形成した。この場合、触媒電極層18において白金担持量が0.6mg/cm2 になるようにした。その後、燃料極用の触媒電極層18を乾燥させ、燃料極シート19(図1(B)参照)とした。
更に、イオン伝導性をもつイオン交換膜(厚みが25μ,デュポン社製、商品名 Nafion111)からなる電解質膜20を用いた。電解質膜20の厚み方向の両側に上記の酸化剤極シート15及び燃料極シート19を配置し、これによりシート状の中間積層体25(図1(C)参照)を形成した。この場合、触媒電極層14、18と電解質膜20の表出面とが接するように積層した。そして温度120℃、圧力8MPa、時間1分間という条件で中間積層体25を予備的にホットプレスし、電解質膜20に触媒電極層14、18を転写し、その後、テフロンシート13、17を中間積層体25から剥がした(図1(D)参照)。
(4)熱処理
上記したように触媒電極層14、触媒電極層18を備えたシート状の中間積層体25を恒温炉27(熱処理炉)内に装入した(図1(E)参照)。恒温炉27内には導入管27cから不活性ガス(窒素ガス)が導入される。そして、温度120℃、時間10分間という熱処理条件で、恒温炉27内で不活性ガス雰囲気(炉内圧力:0.1MPa)において中間積層体25を加熱保持して熱処理した。不活性ガス雰囲気とするのは、触媒及び電解質ポリマーが酸素によって酸化されることを抑止するためである。熱処理の際に、図1(E)に示すように、中間積層体25はガス拡散層10、11を積層しておらず、ガス拡散層10、11から隔離されている。
上記したように触媒電極層14、触媒電極層18を備えたシート状の中間積層体25を恒温炉27(熱処理炉)内に装入した(図1(E)参照)。恒温炉27内には導入管27cから不活性ガス(窒素ガス)が導入される。そして、温度120℃、時間10分間という熱処理条件で、恒温炉27内で不活性ガス雰囲気(炉内圧力:0.1MPa)において中間積層体25を加熱保持して熱処理した。不活性ガス雰囲気とするのは、触媒及び電解質ポリマーが酸素によって酸化されることを抑止するためである。熱処理の際に、図1(E)に示すように、中間積層体25はガス拡散層10、11を積層しておらず、ガス拡散層10、11から隔離されている。
上記した熱処理の温度は、触媒電極層14、触媒電極層18に含まれているイオン伝導性(プロトン伝導性)をもつ電解質ポリマーのガラス転移温度以上で熱分解温度以下の温度領域である。熱処理の際には中間積層体25を厚み方向に加圧せず、従って中間積層体25は無加圧状態に維持されている。このように中間積層体25を無加圧状態で熱処理するのは、ダメージを受けやすい電解質膜20にダメージをできるだけ与えないためである。なお場合によっては、恒温炉27内の雰囲気を大気中とすることもできる。
また熱処理時には図1(E)に示すように、ガス拡散層10,11から中間積層体25を隔離した状態で、つまり、ガス拡散層10,11を積層していない中間積層体25を加熱保持して熱処理する。このため触媒電極層14、触媒電極層18への伝熱がガス拡散層10,11で妨げられることが防止される。従って熱処理時において中間積層体25の触媒電極層14,18に含まれている電解質ポリマーへの伝熱性が確保され、電解質ポリマーに対する熱処理を良好に行うことができる。
(5)ホットプレス
上記した熱処理の後、恒温炉27内から中間積層体25を取り出した(図1(F)参照)。そして、熱処理後の中間積層体25の厚み方向の両側にそれぞれ、燃料極用のガス拡散層10及び酸化剤極用のガス拡散層11を配置した。そして、温度140℃、圧力8MPa、時間3分間というホットプレス条件で、ホットプレス型50を用い、ホットプレス型50の型面50cで中間積層体25を加熱加圧してホットプレスし(図1(G)参照)、一体化を進め、シート状のMEA(膜電極接合体)30を作成した。
上記した熱処理の後、恒温炉27内から中間積層体25を取り出した(図1(F)参照)。そして、熱処理後の中間積層体25の厚み方向の両側にそれぞれ、燃料極用のガス拡散層10及び酸化剤極用のガス拡散層11を配置した。そして、温度140℃、圧力8MPa、時間3分間というホットプレス条件で、ホットプレス型50を用い、ホットプレス型50の型面50cで中間積層体25を加熱加圧してホットプレスし(図1(G)参照)、一体化を進め、シート状のMEA(膜電極接合体)30を作成した。
なお試験例1によれば、上記した熱処理の時間をt1(10分間)とし、ホットプレスの時間をt2(3分間)とすると、t1はt2に対して10/3倍(約3.3倍)となる(t1>t2)。上記した熱処理の温度をT1(120℃)とし、ホットプレスの温度をT2(140℃)とすると、T1はT2よりもやや低めである。
また試験例1によれば、上記した熱処理の際に中間積層体25に負荷する圧力をP1(無加圧)とし、ホットプレスの際に中間積層体25に負荷する圧力をP2(8MPa)とすると、P1<P2である。
本試験例によれば、上記した熱処理により、触媒電極層14,18の主要要素である電解質ポリマーの結晶化度が促進され、ひいては固形度が促進される。このため、固体高分子型燃料電池の運転時において、生成水または加湿水等への電解質ポリマーの溶解度を低下させるのに貢献できる。故に電解ポリマーの流出を抑制でき、固体高分子型燃料電池を長期にわたり運転しても、固体高分子型燃料電池の出力電位を高めに維持することができる。
(試験例2)
試験例2は基本的には試験例1と同様に実施した。そして酸化剤極用の触媒電極層14、燃料極用の触媒電極層18を転写した中間積層体25を恒温炉(熱処理炉)27内に装入し、不活性ガス雰囲気において熱処理した。但し熱処理条件としては、温度は試験例1よりも昇温させて140℃とし、時間は試験例1と同様に10分間とした。熱処理の温度は、触媒電極層14、触媒電極層18に含まれているイオン伝導性(プロトン伝導性)をもつ電解質ポリマーのガラス転移温度以上で熱分解温度以下の温度領域である。本試験例においても熱処理の際には、図1(E)に示すように、中間積層体25はガス拡散層10、11から隔離されており、中間積層体25にはガス拡散層10、11が積層されていない。また上記した熱処理の際には中間積層体25を加圧せず、中間積層体25は無加圧状態に維持されている。
試験例2は基本的には試験例1と同様に実施した。そして酸化剤極用の触媒電極層14、燃料極用の触媒電極層18を転写した中間積層体25を恒温炉(熱処理炉)27内に装入し、不活性ガス雰囲気において熱処理した。但し熱処理条件としては、温度は試験例1よりも昇温させて140℃とし、時間は試験例1と同様に10分間とした。熱処理の温度は、触媒電極層14、触媒電極層18に含まれているイオン伝導性(プロトン伝導性)をもつ電解質ポリマーのガラス転移温度以上で熱分解温度以下の温度領域である。本試験例においても熱処理の際には、図1(E)に示すように、中間積層体25はガス拡散層10、11から隔離されており、中間積層体25にはガス拡散層10、11が積層されていない。また上記した熱処理の際には中間積層体25を加圧せず、中間積層体25は無加圧状態に維持されている。
試験例2によれば、上記した熱処理の時間をt1(10分間)とし、ホットプレスの時間をt2(3分間)とすると、t1はt2に対して10/3倍(約3.3倍)となる(t1>t2)。上記した熱処理の温度をT1(140℃)とし、ホットプレスの温度をT2(140℃)とすると、T1はT2と同じとなる(T1=T2)。
(試験例3)
試験例3は基本的には試験例1と同様に実施した。そして酸化剤極用の触媒電極層14、燃料極用の触媒電極層18を転写した中間積層体25を恒温炉27内に装入し、不活性ガス雰囲気において熱処理した。但し熱処理条件としては、温度は試験例1,2よりも昇温させて160℃とし、時間は試験例1,2と同様に10分間とした。熱処理の温度は、触媒電極層14、触媒電極層18に含まれている電解質ポリマーのガラス転移温度以上で熱分解温度以下の温度領域である。本試験例においても、熱処理の際には、中間積層体25にはガス拡散層10、11が積層されていない。また熱処理の際には中間積層体25を加圧せず、中間積層体25は無加圧状態に維持されている。
試験例3は基本的には試験例1と同様に実施した。そして酸化剤極用の触媒電極層14、燃料極用の触媒電極層18を転写した中間積層体25を恒温炉27内に装入し、不活性ガス雰囲気において熱処理した。但し熱処理条件としては、温度は試験例1,2よりも昇温させて160℃とし、時間は試験例1,2と同様に10分間とした。熱処理の温度は、触媒電極層14、触媒電極層18に含まれている電解質ポリマーのガラス転移温度以上で熱分解温度以下の温度領域である。本試験例においても、熱処理の際には、中間積層体25にはガス拡散層10、11が積層されていない。また熱処理の際には中間積層体25を加圧せず、中間積層体25は無加圧状態に維持されている。
試験例3によれば、上記した熱処理の時間をt1(10分間)とし、ホットプレスの時間をt2(3分間)とすると、t1はt2に対して10/3倍(約3.3倍)となる。上記した熱処理の温度をT1(160℃)とし、ホットプレスの温度をT2(140℃)とすると、T1はT2よりも高温となる(T1>T2)。
(試験例4)
試験例4は、触媒ペーストの形成時にイオン交換容量が1.10で、濃度が5質量%のイオン交換樹脂溶液(旭化成工業株式会社製、SS−910)を用いた以外は試験例1と同様に実施した。そして酸化剤極用の触媒電極層14、燃料極用の触媒電極層18を転写した中間積層体25を恒温炉27内に装入し、不活性ガス雰囲気において熱処理した。但し熱処理条件としては、温度が試験例1及び2よりも昇温させて160℃とし、加熱時間が試験例1及び2と同様に10分間とした。熱処理の温度は、触媒電極層14及び触媒電極層18に含まれている電解質ポリマーのガラス転移温度以上で熱分解温度以下の温度領域である本試験例においても、熱処理の際には中間積層体25にはガス拡散層10及び11が積層されていない。また熱処理の際には中間積層体25を加圧せず、中間積層体25は無加圧状態に維持した。
試験例4は、触媒ペーストの形成時にイオン交換容量が1.10で、濃度が5質量%のイオン交換樹脂溶液(旭化成工業株式会社製、SS−910)を用いた以外は試験例1と同様に実施した。そして酸化剤極用の触媒電極層14、燃料極用の触媒電極層18を転写した中間積層体25を恒温炉27内に装入し、不活性ガス雰囲気において熱処理した。但し熱処理条件としては、温度が試験例1及び2よりも昇温させて160℃とし、加熱時間が試験例1及び2と同様に10分間とした。熱処理の温度は、触媒電極層14及び触媒電極層18に含まれている電解質ポリマーのガラス転移温度以上で熱分解温度以下の温度領域である本試験例においても、熱処理の際には中間積層体25にはガス拡散層10及び11が積層されていない。また熱処理の際には中間積層体25を加圧せず、中間積層体25は無加圧状態に維持した。
(試験例5)
試験例5は基本的には試験例1と同様に実施した。そして酸化剤極用の触媒電極層14、燃料極用の触媒電極層18を転写した中間積層体25を恒温炉27内に装入し、不活性ガス雰囲気において熱処理した。但し熱処理条件として、温度は試験例1〜3よりも昇温させて200℃とし、時間は試験例1〜3と同様に10分間とした。この熱処理温度は、触媒電極層14、触媒電極層18に含まれている電解質ポリマーのガラス転移温度以上で熱分解温度以下の温度領域である。本試験例においても、熱処理の際には、中間積層体25にはガス拡散層10、11が積層されていない。また上記した熱処理の際には中間積層体25を加圧せず、中間積層体25は無加圧状態に維持されている。
試験例5は基本的には試験例1と同様に実施した。そして酸化剤極用の触媒電極層14、燃料極用の触媒電極層18を転写した中間積層体25を恒温炉27内に装入し、不活性ガス雰囲気において熱処理した。但し熱処理条件として、温度は試験例1〜3よりも昇温させて200℃とし、時間は試験例1〜3と同様に10分間とした。この熱処理温度は、触媒電極層14、触媒電極層18に含まれている電解質ポリマーのガラス転移温度以上で熱分解温度以下の温度領域である。本試験例においても、熱処理の際には、中間積層体25にはガス拡散層10、11が積層されていない。また上記した熱処理の際には中間積層体25を加圧せず、中間積層体25は無加圧状態に維持されている。
試験例5によれば、上記した熱処理の時間をt1(10分間)とし、ホットプレスの時間をt2(3分間)とすると、t1はt2に対して10/3倍(約3.3倍)となる(t1>t2)。上記した熱処理の温度をT1(200℃)とし、ホットプレスの温度をT2(140℃)とすると、T1はT2よりも高温となる(T1>T2)。
(試験例6)
試験例1と基本的には同様に実施した。但し、熱処理を実施することなくホットプレスした。ホットプレス条件は試験例1と同様に温度140℃、加圧力8MPa、時間3分間とした。
試験例1と基本的には同様に実施した。但し、熱処理を実施することなくホットプレスした。ホットプレス条件は試験例1と同様に温度140℃、加圧力8MPa、時間3分間とした。
(試験例7)
試験例7は、触媒ペーストの形成時にイオン交換容量が1.10で、5質量%濃度のイオン交換樹脂溶液(旭化成工業株式会社製、SS−910)を用いた以外は試験例1と同様に実施した。但し、熱処理を実施することなくホットプレスを行った。ホットプレスの条件は試験例1と同様に温度140℃、加圧力8MPa、時間3分間とした。
試験例7は、触媒ペーストの形成時にイオン交換容量が1.10で、5質量%濃度のイオン交換樹脂溶液(旭化成工業株式会社製、SS−910)を用いた以外は試験例1と同様に実施した。但し、熱処理を実施することなくホットプレスを行った。ホットプレスの条件は試験例1と同様に温度140℃、加圧力8MPa、時間3分間とした。
(試験例8)
試験例1と基本的には同様に実施した。但し熱処理を実施することなくホットプレスした。ホットプレスの条件としては、温度160℃、加圧力8MPa、時間3分間とした。即ち、ホットプレスの温度を160℃と昇温させた。試験例8によれば、ホットプレスにより電解質膜20が過剰に変形してしまい、電解質膜20のガスのクロスリークが生じ、発電不可となり、出力電位を測定するまでも無かった。このように160℃でホットプレスするときには、電解質膜20の変形が誘発されるため、不適切となる。
試験例1と基本的には同様に実施した。但し熱処理を実施することなくホットプレスした。ホットプレスの条件としては、温度160℃、加圧力8MPa、時間3分間とした。即ち、ホットプレスの温度を160℃と昇温させた。試験例8によれば、ホットプレスにより電解質膜20が過剰に変形してしまい、電解質膜20のガスのクロスリークが生じ、発電不可となり、出力電位を測定するまでも無かった。このように160℃でホットプレスするときには、電解質膜20の変形が誘発されるため、不適切となる。
(試験例9)
第2発明方法を試験例9として図2を参照して説明する。本試験例は前記した試験例1〜試験例5とは別の製造形態で製造したものである。図2においては図1との峻別性を高めるため、部材の番号数字にBの符号を付する。
第2発明方法を試験例9として図2を参照して説明する。本試験例は前記した試験例1〜試験例5とは別の製造形態で製造したものである。図2においては図1との峻別性を高めるため、部材の番号数字にBの符号を付する。
(1)中間積層体の形成
試験例9によれば、試験例1と同様の触媒ペーストを用いた。更に上記の撥水処理されたガス拡散層10、11と同種のガス拡散層10B、11Bを用いた(図2(A)参照)。そして、燃料極用のガス拡散層10Bの表出面に燃料極用の触媒ペーストをドクターブレード法により塗工し、これにより燃料極用の触媒電極層18Bをもつ中間積層体32Bを形成した(図2(B)参照)。また、酸化剤極用のガス拡散層11Bの表出面に酸化剤極用の触媒ペーストをドクターブレード法により塗工し、酸化剤極側の触媒電極層14Bをもつ中間積層体31Bを形成した。(図2(B)参照)。
試験例9によれば、試験例1と同様の触媒ペーストを用いた。更に上記の撥水処理されたガス拡散層10、11と同種のガス拡散層10B、11Bを用いた(図2(A)参照)。そして、燃料極用のガス拡散層10Bの表出面に燃料極用の触媒ペーストをドクターブレード法により塗工し、これにより燃料極用の触媒電極層18Bをもつ中間積層体32Bを形成した(図2(B)参照)。また、酸化剤極用のガス拡散層11Bの表出面に酸化剤極用の触媒ペーストをドクターブレード法により塗工し、酸化剤極側の触媒電極層14Bをもつ中間積層体31Bを形成した。(図2(B)参照)。
(2)熱処理
上記した酸化剤極側の触媒電極層14Bをもつ中間積層体31B、燃料極側の触媒電極層18Bをもつ中間積層体32Bを恒温炉(熱処理炉)27Bに装入した。そして中間積層体31B、32Bを厚み方向に加圧することなく、つまり無加圧状態で、恒温炉27B内の中間積層体31B、32Bを温度160℃で10分間、不活性ガス雰囲気において熱処理した(図2(C)参照)。
上記した酸化剤極側の触媒電極層14Bをもつ中間積層体31B、燃料極側の触媒電極層18Bをもつ中間積層体32Bを恒温炉(熱処理炉)27Bに装入した。そして中間積層体31B、32Bを厚み方向に加圧することなく、つまり無加圧状態で、恒温炉27B内の中間積層体31B、32Bを温度160℃で10分間、不活性ガス雰囲気において熱処理した(図2(C)参照)。
熱処理の際には、図2(C)に示すように、中間積層体31B、32Bは電解質膜20Bから隔離されており、中間積層体31B、32Bには電解質膜20Bが積層されていない。この状態で中間積層体31B、32Bを熱処理するため、触媒電極層14B,18Bへの伝熱が電解質膜20Bで妨げられない。従って、熱処理時において中間積層体31B、32Bの触媒電極層14B,18Bに含まれている電解質ポリマーへの伝熱性が良好に確保され、電解質ポリマーに対する熱処理を良好に行うことができる。
上記した熱処理の温度は、触媒電極層14B、触媒電極層18Bに含まれている電解質ポリマーのガラス転移温度以上で熱分解温度以下の温度領域である。その後、中間積層体31B、32Bを恒温炉27Bから取り出した。
(3)ホットプレス
イオン伝導性をもつイオン交換膜(厚み25μ,デュポン社製、商品名 Nafion111)からなる電解質膜20Bを用いた。電解質膜20Bの厚み方向の両側に上記の酸化剤極用の中間積層体31B及び燃料極用の中間積層体32Bを配置した。この場合、図2(D),図2(E)に示すように、触媒電極層14B、18Bと電解質膜20Bの表出面とが接するようにした。そして温度140℃、圧力8MPa、時間3分間という条件でホットプレス型50Bの型面50cを用いてホットプレスし、MEA30Bを製作した。
イオン伝導性をもつイオン交換膜(厚み25μ,デュポン社製、商品名 Nafion111)からなる電解質膜20Bを用いた。電解質膜20Bの厚み方向の両側に上記の酸化剤極用の中間積層体31B及び燃料極用の中間積層体32Bを配置した。この場合、図2(D),図2(E)に示すように、触媒電極層14B、18Bと電解質膜20Bの表出面とが接するようにした。そして温度140℃、圧力8MPa、時間3分間という条件でホットプレス型50Bの型面50cを用いてホットプレスし、MEA30Bを製作した。
本試験例によれば、上記した熱処理の時間をt1(10分間)とし、ホットプレスの時間をt2(3分間)とすると、t1はt2に対して10/3倍(約3.3倍)となる(t1>t2)。上記した熱処理の温度をT1(160℃)とし、ホットプレスの温度をT2(140℃)とすると、T1はT2よりも高い(T1>T2)。また本試験例によれば、上記した熱処理の際に中間積層体25Bに負荷する圧力をP1(無加圧)とし、ホットプレスの際に中間積層体25Bに負荷する圧力をP2(8MPa)とすると、P1<P2である。
(試験例10)
試験例10は基本的には試験例9と同様に実施した。即ち、酸化剤極用の触媒電極層14Bをもつ中間積層体31B、燃料極用の触媒電極層18Bをもつ中間積層体32Bを恒温炉27Bに装入し、恒温炉27Bで熱処理した。但し、中間積層体31B、32Bを160℃で10分間恒温炉27Bで熱処理した。熱処理するとき、熱処理の間中、中間積層体31B、32Bにこれの厚み方向に8MPaのプレス圧を締結治具により加圧した。本試験例によれば、熱処理時には、図2(C)に示すように中間積層体31B、32Bには電解質膜20Bが積層されていない。従って中間積層体31B、32Bにプレス圧を加えたとしても、電解質膜20Bにダメージを与えることが無い。このためダメージを受け易い電解質膜20Bへの影響をあまり配慮することなく、中間積層体31B、32Bを厚み方向に加圧するプレス圧の大きさを設定することができる。
試験例10は基本的には試験例9と同様に実施した。即ち、酸化剤極用の触媒電極層14Bをもつ中間積層体31B、燃料極用の触媒電極層18Bをもつ中間積層体32Bを恒温炉27Bに装入し、恒温炉27Bで熱処理した。但し、中間積層体31B、32Bを160℃で10分間恒温炉27Bで熱処理した。熱処理するとき、熱処理の間中、中間積層体31B、32Bにこれの厚み方向に8MPaのプレス圧を締結治具により加圧した。本試験例によれば、熱処理時には、図2(C)に示すように中間積層体31B、32Bには電解質膜20Bが積層されていない。従って中間積層体31B、32Bにプレス圧を加えたとしても、電解質膜20Bにダメージを与えることが無い。このためダメージを受け易い電解質膜20Bへの影響をあまり配慮することなく、中間積層体31B、32Bを厚み方向に加圧するプレス圧の大きさを設定することができる。
上記した熱処理の温度(160℃)は、触媒電極層14B、触媒電極層18Bに含まれている電解質ポリマーのガラス転移温度以上で熱分解温度以下の温度領域である。
本試験例によれば、上記した熱処理の時間をt1(10分間)とし、ホットプレスの時間をt2(3分間)とすると、t1はt2に対して10/3倍(約3.3倍)となる(t1>t2)。上記した熱処理の温度をT1(160℃)とし、ホットプレスの温度をT2(140℃)とすると、T1はT2よりも高い(T1>T2)。また上記した熱処理の際に中間積層体31B,32Bに負荷する圧力をP1(8MPa)とし、ホットプレスの際に中間積層体31B,32Bに負荷する圧力をP2(8MPa)とすると、P1=P2である。
ところで、中間積層体31B、32Bを構成しているガス拡散層10B,11Bはカーボン繊維の集合体であるカーボンペーパで形成されており、カーボン繊維の種類によっては、ガス拡散層10B,11Bの表出面に微小な凹凸が形成されている。この凹凸が大きく、且つ、ホットプレス時の加圧力が大きいときには、ガス拡散層10B,11Bの凹凸が電解質膜20Bにダメージを与えるおそれがある。この点本試験例によれば、ホットプレスの前に実施する熱処理時には、前述したように中間積層体31B、32Bにこれの厚み方向にプレス圧を加えるため、ガス拡散層10B,11Bの表出面に凹凸が形成されているときであっても、その凹凸の平坦化を促進させることができる。故に熱処理後に行うホットプレスにおいて、凹凸が電解質膜20Bにダメージを与えることを抑制することができる利点がえられる。
(試験例11)
試験例11は基本的には試験例9と同様に実施した。但し、熱処理を実施することなくホットプレスした。ホットプレス条件は試験例9と同様に、温度140℃、圧力8MPa、時間3分間とした。
試験例11は基本的には試験例9と同様に実施した。但し、熱処理を実施することなくホットプレスした。ホットプレス条件は試験例9と同様に、温度140℃、圧力8MPa、時間3分間とした。
(出力電位の測定)
上記した各試験例に係るMEA30,30Bを用い、単セルの固体高分子型燃料電池をそれぞれ構成した。そしてセル温度75℃、酸化剤極に空気を常圧で供給すると共に、10ppmCOを含む模擬ガス(利用率90%)を常圧で燃料極に供給した。模擬ガスは天然ガスを改質したガスである。そして電流密度0.17A/cm2 にて発電実験を行ない、セル電圧出力(初期の出力電位、1000時間発電を継続した後の出力電位)を測定した。測定結果を表1に示す。
上記した各試験例に係るMEA30,30Bを用い、単セルの固体高分子型燃料電池をそれぞれ構成した。そしてセル温度75℃、酸化剤極に空気を常圧で供給すると共に、10ppmCOを含む模擬ガス(利用率90%)を常圧で燃料極に供給した。模擬ガスは天然ガスを改質したガスである。そして電流密度0.17A/cm2 にて発電実験を行ない、セル電圧出力(初期の出力電位、1000時間発電を継続した後の出力電位)を測定した。測定結果を表1に示す。
(フッ素イオン濃度の測定)
1000時間発電後の酸化剤極からの生成水をイオンクロマトグラフィにて分析してフッ素イオン濃度を算出した。結果を表1に示す。
1000時間発電後の酸化剤極からの生成水をイオンクロマトグラフィにて分析してフッ素イオン濃度を算出した。結果を表1に示す。
表1に示すように、試験例1〜試験例5の初期出力と、試験例6の初期出力とは0.770Vであり、同じ程度である。しかし1000時間経過後については、試験例1〜試験例5の出力電位は0.742〜0.765Vであり、試験例6の出力電位(0.721V)よりも高かった。
また試験例9、試験例10については、試験例9、試験例10の初期出力と試験例11の初期出力とは共に0.765Vであり、同じ程度である。しかし1000時間経過後については、試験例11の出力電位は0.743Vであり、低いものの、試験例9及び試験例10の出力電位はそれぞれ0.752V、0.758Vであり、試験例11よりも高かった。このように本発明方法で形成した試験例1〜試験例5、試験例9及び試験例10のMEA30,30Bはホットプレス前に熱処理を行った結果、熱処理を行っていない試験例6〜試験例8及び試験例11に比べて、長時間発電した後においても、出力電位を高めに維持することができる。触媒電極層14、触媒電極層18に含まれているイオン伝導性をもつ電解質ポリマーの流出が抑制されるためであると推察される。
電解質ポリマーのイオン交換容量以外は同じ試験例3(0.98meq/g)及び試験例4(1.10meq/g)と、試験例6(0.98meq/g)及び試験例7(1.10meq/g)とにおけるフッ素イオン濃度の比較から、電解質ポリマーのイオン交換容量が大きい方がフッ素イオンの濃度が小さいことが明らかとなった。
以下に、試験例3、4、6及び7についての1000時間経過後の出力電位を比較する。ホットプレス前に熱処理を行っている試験例3及び試験例4ではイオン交換容量が大きい試験例4の方が高い出力電圧を保っていた。それに対して、ホットプレス前に熱処理を行っていない試験例6及び試験例7ではイオン交換容量が小さい方が高い出力電圧を保っていた。この結果より、ホットプレス前に熱処理を行う操作と、イオン交換容量が高い電解質ポリマーとを組み合わせることにより、高い耐久性を有するMEAを提供できることが明らかとなった。
また、試験例1〜試験例3及び試験例5の比較から、熱処理の加熱温度が高いことがフッ素イオン濃度減少の観点から好ましいことが明らかとなった。特に熱処理の加熱温度は140℃超が好ましく、160℃以上がより好ましいことが明らかとなった。
(その他)上記した試験例においてはガス拡散層の基材としてカーボンペーパーを用いているが、カーボンクロスなどとしても良い。その他、本発明は上記した試験例のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できるものである。
図中、10,10Bはガス拡散層、11,11Bはガス拡散層、14,14Bは触媒電極層、18,18Bは触媒電極層、20,20Bは電解質膜、25は積層体、27,27Bは恒温炉(熱処理炉)、30,30BはMEA、31B、32Bは積層体を示す。
Claims (6)
- 触媒を有する導電性微小体とイオン伝導性をもつ電解質ポリマーとを主要成分とする混合物で形成された触媒電極層を、イオン伝導性を有する電解質膜に積層して中間積層体を形成する工程と、
多孔質のガス拡散層を前記中間積層体の厚み方向の両側に配置し、ホットプレスして一体化させて膜電極接合体を形成するホットプレス工程とを順に実施する膜電極接合体の製造方法において、
前記電解質ポリマーのイオン交換容量は0.98meq/g以上であり、
前記ホットプレス工程の前に、前記ガス拡散層を前記中間積層体に積層していない状態で、
前記触媒電極層に含まれている前記電解質ポリマーのガラス転移温度以上で熱分解温度以下の温度領域に、前記中間積層体を加熱保持して熱処理することを特徴とする固体高分子型燃料電池の膜電極接合体の製造方法。 - 触媒を有する導電性微小体とイオン伝導性をもつ電解質ポリマーとを主要成分とする混合物で形成された触媒電極層を、多孔質のガス拡散層に積層して中間積層体を形成する工程と、
イオン伝導性を有する電解質膜の厚み方向の両側に前記中間積層体をそれぞれ配置し、ホットプレスして一体化させて膜電極接合体を形成するホットプレス工程とを順に実施する膜電極接合体の製造方法において、
前記電解質ポリマーのイオン交換容量は0.98meq/g以上であり、
前記ホットプレス工程の前に、
前記電解質膜を前記中間積層体に積層していない状態で、前記触媒電極層に含まれている前記電解質ポリマーのガラス転移温度以上で熱分解温度以下の温度領域に、前記中間積層体を加熱保持して熱処理することを特徴とする固体高分子型燃料電池の膜電極接合体の製造方法。 - 前記電解質ポリマーのイオン交換容量は1.25meq/g以下である請求項1又は2に記載の膜電極接合体の製造方法。
- 請求項1〜請求項3のいずれかにおいて、前記熱処理は、不活性雰囲気または大気雰囲気の熱処理炉内において行われることを特徴とする固体高分子型燃料電池の膜電極接合体の製造方法。
- 請求項1〜請求項4のうちのいずれか一項において、前記熱処理は、前記中間積層体を加圧しない無加圧状態、または、前記中間積層体をこれの厚み方向に加圧した加圧状態において行われることを特徴とする固体高分子型燃料電池の膜電極接合体の製造方法。
- 請求項1〜請求項5のうちのいずれか一項において、前記熱処理の時間は、前記ホットプレスの時間よりも長く設定されていることを特徴とする固体高分子型燃料電池の膜電極接合体の製造方法。
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