JP2007220443A - 固体高分子形燃料電池用の陽イオン交換膜/触媒層接合体の製造方法 - Google Patents

固体高分子形燃料電池用の陽イオン交換膜/触媒層接合体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】触媒層と陽イオン交換膜との接合強度を向上することによって、その膜/電極接合体を備える固体高分子形燃料電池の初期性能を高くすることに加えて、その電池を連続運転したときの耐久性能を高くする。
【解決手段】触媒金属、カーボンおよびイオノマーを含む触媒層と陽イオン交換膜とを加熱圧接する固体高分子形燃料電池用の陽イオン交換膜/触媒層接合体の製造方法において、前記イオノマーと前記陽イオン交換膜との含水率が25質量%以上であることを特徴とする。また、触媒層と陽イオン交換膜との全体をシートで覆い、加熱圧接することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、陽イオン交換膜を用いた電気化学セル、とくに固体高分子形燃料電池における、陽イオン交換膜/触媒層接合体の製造方法に関するものである。
固体高分子形燃料電池(PEFC)の単セルは、陽イオン交換膜/電極接合体(以下では単に「膜/電極接合体」とする)を一対のガスフロープレートで挟持した構造である。膜/電極接合体は、陽イオン交換膜の一方の面にアノ−ドを、もう一方の面にカソ−ドを接合したものである。ガスフロープレートにはガス流路が加工されており、例えば、アノ−ドに燃料として水素、カソ−ドに酸化剤として酸素を供給することによって、電力が得られる。アノ−ドおよびカソ−ドでは、つぎのような電気化学反応が進行する。
アノ−ド:2H→4H+4e
カソ−ド:O+4H+4e→2H
上記のような電気化学反応は、酸化剤あるいは燃料などの反応物質と、プロトン(H)と電子(e)とが存在する界面(以下では、この界面を「反応界面」とする)で進行する。
本発明において、固体高分子形燃料電池の電極(以下では単に「電極」とする)とは、触媒金属を含む触媒層と導電性多孔質体とを備えたものとする。ガス拡散層として機能する導電性多孔質体は、撥水性を付与した多孔質なカーボンペーパー、カーボンフェルトあるいはカーボンクロスなどが用いられる。触媒層には、イオノマー(高分子電解質である陽イオン交換樹脂、例えばパーフルオロスルホン酸樹脂)、カーボンおよび触媒金属が含まれている。そして、電極の触媒層を陽イオン交換膜に接合することにより、または単に触媒層を陽イオン交換膜に接合することにより、膜/電極接合体が作製される。
例えば、特許文献1には、剥離性シート上に、カーボン粉末とフッ素樹脂とからなるガス拡散層を形成し、このガス拡散層上に、触媒を含有するペーストを塗布して触媒層を形成して電極とし、電極の触媒層と固体高分子電解質膜が接するように、固体高分子電解質膜の両面に電極を接合する技術が開示されている。また、特許文献2には、触媒層の上にコーティング層を形成し、コーティング層の上に高分子電解質溶液を塗布し、コーティング層を除去する、水素イオン伝導性高分子電解質膜の両面に触媒層、ガス拡散電極を接合する、膜・電極接合体の製造方法が開示されている。
さらに、特許文献3には、触媒と高分子電解質樹脂と分散媒とを有する触媒分散物を、離型シートの上に塗布して反応部(触媒層)を形成し、この反応部を、含水状態の高分子電解質膜に、100℃以下の温度で、加熱圧接して接合する、高分子電解質膜/反応部接合体の製造方法が開示され、特許文献4には、表面に触媒層を形成した触媒層形成基体を、触媒層面が固体高分子電解質膜に接するように、含水状態の固体高分子電解質膜の片面または両面に積層し、これを2枚のフィルムの間に挟んだ状態で加熱圧接する、触媒層/電解質膜接合体の製造方法が開示されている。
また、特許文献5には、含水イオン交換膜を、含水プロトン伝導材を触媒層に含む2枚のガス拡散電極ではさみ、水の沸点よりも低い温度で圧縮接合する、接合体の製造方法が開示されている。
さらに、特許文献6に開示されているように、触媒金属がカーボンの表面とイオノマー(陽イオン交換樹脂)のプロトン伝導経路との接面に主に担持された触媒粉末(以下では「超少量白金担持カーボン粉末」とする)が開発されている。
特開2001−006699号公報 特開2002−246040号公報 特開平11−25998号公報 特開2000−090944号公報 特開平06−349498号公報 特開2001−283867号公報
固体高分子形燃料電池用の膜/電極接合体は、特許文献1〜4で開示されているように、導電性多孔質体あるいは離型シート上に形成された触媒層を陽イオン交換膜に加熱圧接することによって製造される。
ただし、陽イオン交換膜およびイオノマーは水を取り込み含水率が高くなると膨潤して伸張するという性質をもつので、加熱圧接のときに触媒層に含まるイオノマーと陽イオン交換膜の含水率が小さい場合には、膨潤状態が不十分で、伸張度合いも異なるため、触媒層と膜との接合強度が低下するという問題があった。
ここで、陽イオン交換膜あるいはイオノマーの含水率は、陽イオン交換膜あるいはイオノマーに含まれる水の質量を、陽イオン交換膜あるいはイオノマーの乾燥質量とそれに含まれる水の質量との和で除した値として定義される。
また、陽イオン交換膜あるいはイオノマーの乾燥質量は、陽イオン交換膜あるいはイオノマーを80℃の乾燥機で3時間乾燥したのちに、電子天秤で測定した値である。
また、陽イオン交換膜あるいはイオノマーに含まれる水の質量は、それらを水に浸漬するなどの方法によって水を取り込ませたのちに、表面に付着した余剰の水分を除去し、その質量を電子天秤で測定することによって求められる。
例えば、乾燥状態または含水率が低い状態のイオノマーを含む触媒層を、含水率が高い状態の陽イオン交換膜に加熱圧接した場合、触媒層が膜に接合されなかったり、あるいは接合強度が低くなって、触媒層の一部が膜から脱離したりすることがあった。その結果、膜/電極接合体を備える固体高分子形燃料電池の初期性能および耐久性能が低下するという問題があった。
さらに、触媒層の一部が膜から脱離しない場合でも、触媒層と膜との接合強度が低い場合には、膜/電極接合体を備える固体高分子形燃料電池の作動中に、触媒層が膜から部分的に剥離することによって、固体高分子形燃料電池の出力性能と耐久性能とが低下するという問題があった。
なお、特許文献5では、含水プロトン伝導材含む触媒層と含水イオン交換膜とを圧縮接合しているが、圧縮接合の温度が水の沸点よりも低いために、触媒層とイオン交換膜の接合強度が不十分で、このような膜/電極接合体を用いた固体高分子形燃料電池では、目的の特性がえられなかった。
本発明の目的は、触媒層と陽イオン交換膜との接合強度を向上することによって、その膜/電極接合体を備える固体高分子形燃料電池の初期性能を高くすることに加えて、その電池を連続運転したときの耐久性能を高くすることである。
請求項1の発明は、触媒金属、カーボンおよびイオノマーを含む触媒層と陽イオン交換膜との加熱圧接する固体高分子形燃料電池用の陽イオン交換膜/触媒層接合体の製造方法において、前記イオノマーと前記陽イオン交換膜との含水率が、それぞれ25質量%以上であることを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1に記載の固体高分子形燃料電池用の陽イオン交換膜/触媒層接合体の製造方法において、触媒層と陽イオン交換膜との全体をシートで覆い、加熱圧接することを特徴とする。
本発明のように、触媒金属、カーボンおよびイオノマーを含む触媒層と陽イオン交換膜との加熱圧接において、イオノマーと陽イオン交換膜との含水率が、それぞれ25質量%以上である状態で作製した膜/電極接合体では、触媒層と陽イオン交換膜との接合強度が向上するので、陽イオン交換膜からの触媒層の脱離あるいは剥離を抑制することができ、その結果、この膜/電極接合体を備えた固体高分子形燃料電池の初期性能および耐久性能が著しく向上させることができる。
本発明は、触媒層に含まれるイオノマーの含水率と、陽イオン交換膜の含水率とを、共に大きくすることによって、イオノマーと陽イオン交換膜を十分に膨潤させ、加熱圧接時の伸縮率の差を小さくし、触媒層と膜との接合強度を向上させるものである。
本発明は、イオノマーと陽イオン交換膜とに水を取り込ませた状態で、触媒金属、カーボンおよびイオノマーを含む触媒層と陽イオン交換膜とを加熱圧接することによって膜/電極接合体あるいは膜/触媒層接合体を作製する。触媒層としては、導電性多孔質体あるいは離型シート上に形成されたもの等を用いることができる。
触媒金属には、白金黒など白金族金属の微細粉末を用いることができるが、白金族金属の微細粒子がカーボンに担持されたものを用いることが好ましい。例えば、カーボンブラックに白金あるいは白金とルテニウムとの合金の微細粒子が担持された触媒粉末を用いることができる。
また、触媒金属がカーボンの表面とイオノマー(陽イオン交換樹脂)のプロトン伝導経路との接面に主に担持された触媒粉末、すなわち超少量白金担持カーボン粉末を用いることができる。
イオノマーには、パーフルオロスルホン酸樹脂、ポリスチレンスルホン酸樹脂あるいはポリスチレンカルボン酸樹脂などの陽イオン交換樹脂を用いることができるが、化学的に安定であるパーフルオロスルホン酸樹脂を用いることが好ましく、例えば、DuPont社製のNafion溶液などを用いることができる。
さらに、陽イオン交換膜はイオノマーと同様の材質で構成されるものが好ましく、化学的に安定であるパーフルオロスルホン酸樹脂を用いることが多く、例えば、DuPont社製のNafion膜を用いることができる。
触媒層には、イオン交換基をもたないフッ素樹脂、例えばテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)あるいはフッ化エチレンプロピレン樹脂(FEP)などを添加することができる。イオン交換基をもたないフッ素樹脂の添加によって、触媒層には適度な撥水性が付与されるので、触媒層での水の滞留に起因する特性の低下、いわゆるフラディング現象が抑制される。
触媒層の作製には、触媒層用スラリーを調製したのちに、そのスラリーを導電性多孔質体あるいは離型シートに塗布・乾燥する方法を用いることができる。触媒層用スラリーは、例えば、触媒粉末、イオノマー溶液および分散媒とを混合すること、触媒粉末、イオノマー溶液、フッ素樹脂および分散媒とを混合すること、超少量白金担持カーボン粉末および分散媒とを混合すること、あるいは、超少量白金担持カーボン粉末、イオノマー溶液および分散媒とを混合することによって調製される。
触媒層用スラリーの塗布には、ドクターブレード法、スプレー法、堆積法など既存の塗布方法を用いることができる。
導電性多孔質体には、カーボンペーパー、カーボンフェルトあるいはカーボンクロスなどを用いることができる。導電性多孔質体には、イオン交換基をもたないフッ素樹脂、例えばポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)あるいはポリフッ化エチレンプロピレン樹脂(FEP)などを添加したのちに、熱処理を施すことによって、撥水性を付与することが好ましい。イオン交換基をもたないフッ素樹脂の撥水性によって、多孔質体での水の滞留を抑制することができる。
さらに、導電性多孔質体の一方に面に、電子伝導性微細孔層を形成することができる。その微細孔層は、例えばカーボン粉末とフッ素樹脂との混合物で構成される。この微細孔層の上に触媒層を形成することができる。
離型シートには、例えば、化学的安定性と離型性とが優れるポリテトラフロロエチレン(PTFE)、ポリフッ化エチレンプロピレン(FEP)あるいはポリイミドなどの高分子シート、あるいは、ステンレス鋼、チタンなどの金属シートを用いることができる。
触媒層と陽イオン交換膜とを接合するときには、触媒層に含まれるイオノマーと陽イオン交換膜とに水を取り込ませたのちに、触媒層と膜とを積層し、その積層物を加熱圧接することによって、触媒層と膜とを接合する。
陽イオン交換膜の含水率を十分に高い状態にするためには、脱イオン水で煮沸するという処理を施すこと、あるいは希硫酸で煮沸したのちに脱イオン水で洗浄するという処理を施すことが好ましい。例えば、これらの処理により、陽イオン交換膜の含水率を25質量%から飽和状態にすることができる。
陽イオン交換膜の含水率をコントロールする方法としては、つぎの2つの方法がある。ひとつは、上記のように希硫酸で煮沸したのちに脱イオン水で洗浄して、いったん陽イオン交換膜を水で飽和させ、その後、温度、湿度、時間などの乾燥条件を変える方法である。もうひとつは、希硫酸で煮沸したのちに脱イオン水で洗浄した後、減圧乾燥で含水率をゼロにしておき、これを水蒸気で飽和した容器中に保持し、保持温度、時間などを変える方法である。
一方、触媒層に含まれるイオノマーに水を含ませた状態にするためには、導電性多孔質体あるいは離型シート上に形成された触媒層を脱イオン水に浸漬すること、浸漬した状態で煮沸すること、あるいは触媒層に脱イオン水を噴霧することなどの方法によることが好ましい。その状態では、イオノマーの含水率を25質量%から飽和状態とすることができる。
なお、陽イオン交換樹脂の飽和含水率はEW値によって異なる。すなわち、陽イオン交換樹脂のEW値とは、プロトン伝導性を有するイオン交換基の当量重量を表している。当量重量は、イオン交換基1当量あたりの陽イオン交換膜または陽イオン交換樹脂の乾燥重量であり、「g/eq」で表され、EW値が小さくなるにしたがってイオン交換基が増加する。つまり、EW値が小さくなるにしたがってプロトン伝導性が高くなり、かつ親水性も高くなる。
現在市販されているパーフルオロスルホン酸樹脂のEW値は約700〜1100である。したがって、これらの陽イオン交換樹脂の飽和含水率は、最大で約45%となる。例えば、旭硝子株式会社、平成11年3月の「平成10年度委託業務成果報告書、燃料電池発電技術開発、固体高分子型燃料電池の研究開発、要素研究開発(高性能電池実用化のためのイオン交換膜に関する研究)」の35ページ、表3−1−3−2には、固体高分子電解質膜の乾湿サイクル試験前後の含水率(ΔW)として、フレミオンSでは、環境サイクル試験前43wt%、環境サイクル試験後41wt%、ナフィオン117では、環境サイクル試験前38wt%、環境サイクル試験後33wt%というデータが報告されている。
本発明では、現在市販されているパーフルオロスルホン酸樹脂を用いたため、実験をおこなった陽イオン交換膜の含水率の最大値は35%であった。ただし、さらにEW値の小さい陽イオン交換樹脂が開発されれば、より大きい含水率の陽イオン交換膜が得られる。したがって、本願では、陽イオン交換樹脂の含水率の上限はもうけなかった。
さらに、電極または触媒層と陽イオン交換膜との積層物の両側から全体を保護シートで覆った状態として加熱圧接することによって、圧接のときに触媒層と膜とから水分が失われることを抑制できるので、触媒層と膜との接合強度を向上することができる。
保護シートには、化学的、熱的に安定なポリテトラフロロエチレン(PTFE)、ポリフッ化エチレンプロピレン(FEP)あるいはポリイミドなどの高分子シートを用いることができる。
電極または触媒層と陽イオン交換膜との積層物の外観を模式的に図1に示す。図1において、1はアノード触媒層、2は陽イオン交換膜、3はカソード触媒層、4保護シートである。積層物は、保護シート4/アノード触媒層1/陽イオン交換膜2/カソード触媒層3/保護シート4の順に配置されている。なお、この積層順序において、アノード触媒層1とカソード触媒層3とを逆にしてもよい。
アノード触媒層1、陽イオン交換膜2、カソード触媒層3および保護シート4の大きさと位置との関係を、積層物を上方から見たときの模式図を図2に示す。図2では、下側と上側との保護シートおよびアノードとカソードとの大きさと形とは同じであるので、それぞれ重なっている。
触媒層と陽イオン交換膜膜との積層物の加熱圧接には、平面プレス装置あるいはロールプレス装置を用いることができる。このとき、積層物には130℃から180℃の温度が加わるようにプレス装置を操作することが好ましい。
加熱温度は、陽イオン交換膜あるいは触媒層に含まれる陽イオン交換樹脂のガラス転移温度以上、かつその樹脂の劣化温度以下でなくてはならない。発明者が種々の陽イオン交換樹脂を用いて接合条件を検討した結果、高出力・高耐久性のPEFCを得るためには、130℃から180℃の範囲で加熱する必要があることがわかった。
また、平面プレス装置の場合、プレスの時間を1分から15分間保持することによって、触媒層と陽イオン交換膜とを接合することができる。
なお、加熱圧接時の圧力は、10〜50MPaの範囲とすることが好ましい。加熱圧接時の圧力が10MPaより小さいと、触媒層と陽イオン交換膜との接合強度が不十分となり、50MPaより大きい場合には、触媒層や導電性多孔質体の多孔度が小さくなり、反応ガスが供給され難くなる。
触媒層が導電性多孔質体に形成されたものである場合は、膜/電極接合体の構造は、導電性多孔質体/陽触媒層/イオン交換膜/触媒層/導電性多孔質体の順に接合されたものとなる。この接合体を一対にガスフロープレートで挟持することによって、PEFCを構成することができる。
触媒層が離型シートに形成されたものである場合は、加熱圧接したのちに離型シートを除去し、つぎに、その膜/触媒層接合体に導電性多孔質体を接合したのちに、その接合体を一対にガスフロープレートで挟持すること、もしくはその膜/触媒層接合体を導電性多孔質体とガスフロープレートとで挟持することによって、PEFCを構成することができる。
触媒層に含まれるイオノマーと陽イオン交換膜との含水率が25質量%以上の状態で加熱圧接することによって、触媒層と膜との接合強度を向上することができる。この接合強度の向上によって、接合後の触媒層の脱落あるいは連続運転にともなう触媒層の剥離を抑制することができるので、その接合体を備えるPEFCの初期性能および耐久性能を向上することができる。
以下、好適な実施例を用いて、本発明の具体的な例を説明する。
[実施例1〜5および比較例1〜6]
実施例1〜5および比較例1〜6では、PEFC用電極の触媒として白金担持カーボンを用い、触媒層/導電性多孔質体からなる電極と陽イオン交換膜を加熱圧接して膜/電極接合体を作製する際の、触媒層に含まれるイオノマーおよび陽イオン交換膜の含水率を変え、得られた膜/電極接合体を用いたPEFCの特性を比較した。
[実施例1]
触媒層用スラリーを調製し、このスラリーを導電性多孔質体に塗布・乾燥することによって触媒層を形成し、つぎに、触媒層のイオノマーに脱イオン水を取り込ませた後、陽イオン交換膜に加熱圧接し膜/電極接合体を作製し、最後に、その接合体を備えるPEFCを構成し、特性を評価した。具体的な手順をつぎに示す。
イオノマー溶液(アルドリッチ社製、ナフィオン5質量%溶液)80gを容器に採取した。その溶液に、白金が50質量%担持されたカーボン触媒(田中貴金属工業社製、TEC10V50E)を12g添加し、羽式攪拌器を用いて超音波を照射しながら1時間攪拌することによって触媒層用スラリーを調製した。
つぎに、その容器を50℃の恒温水槽に設置し、羽式攪拌器を用いてさらに触媒層用スラリーを攪拌することによって濃縮し、スラリーの重量に対する固形分重量(カーボンとイオノマーの固形分との和)を14質量%に調整した。
つづいて、その触媒層用スラリーを電子伝導性微細孔層付き導電性多孔質体(SGL社製カーボンフェルト、GDL10BC、360μm厚)に塗布し、80℃で30分間乾燥し、5cm×5cmの大きさに裁断することによって、電極A0を作製した。
さらに、電極A0を25℃の脱イオン水に10分間浸漬することによって、触媒層中のイオノマーに水を取り込ませた電極A1を得た。電極A1に含まれるイオノマーの含水率は25質量%であった。その電極の白金の担持量は0.5mg/cmであった。
陽イオン交換膜にはパーフルオロスルホン酸樹脂膜(デュポン社製、ナフィオン115膜、膜厚約120μm)を用いた。陽イオン交換膜には、0.5mol/lの硫酸で1時間煮沸し、脱イオン水で5回の洗浄および1時間煮沸するという処理を施した。処理後の陽イオン交換膜を50℃で乾燥し、含水率を25質量%に調整した。
さらに、保護シート/電極A1/陽イオン交換膜/電極A1/保護シートの順に積層し、この積層物を接合用治具に設置し、接合用治具を150℃で5分間加熱圧接することによって、膜/電極接合体A2を作製した。この加熱圧接では、電極A1の厚さが25%潰れるように圧迫した。
保護シートには、耐熱性が高いテトラエチレン−ヘキサフロロエチレン共重合体シート(ダイキン工業、商品名ネオフロン)を用いた。最後に、膜/電極接合体A2を備えた実施例1の固体高分子形燃料電池Aを構成した。
[実施例2]
実施例1で作製したのと同じ電極A1を用いた。電極A1に含まれるイオノマーの含水率は25質量%であった。陽イオン交換膜には実施例1と同じパーフルオロスルホン酸樹脂膜を用い、0.5mol/lの硫酸で1時間煮沸し、脱イオン水で5回の洗浄および1時間煮沸するという処理を施した。その処理後の陽イオン交換膜の含水率は35質量%であった。
陽イオン交換樹脂の含水率以外は実施例1と同様にして、実施例2の膜/電極接合体B2を作製し、この膜/電極接合体B2を備えた実施例2の固体高分子形燃料電池Bを構成した。
[実施例3]
実施例1で作製した電極A0を80℃の脱イオン水に10分間浸漬することによって、触媒層中のイオノマーに水を取り込ませた電極C1を得た。電極C1に含まれるイオノマーの含水率は35質量%であった。
陽イオン交換膜には実施例1と同じ含水率を25質量%に調整したパーフルオロスルホン酸樹脂膜を用いた。
これらの条件以外は実施例1と同様にして、実施例3の膜/電極接合体C2を作製し、この膜/電極接合体C2を備えた実施例3の固体高分子形燃料電池Cを構成した。
[実施例4]
実施例3で作製したのと同じ電極C1を用いた。電極C1に含まれるイオノマーの含水率は35質量%であった。陽イオン交換膜には実施例2で用いたのと同じ含水率を35質量%に調整したパーフルオロスルホン酸樹脂膜を用いた。
これらの条件以外は実施例1と同様にして、実施例4の膜/電極接合体D2を作製し、この膜/電極接合体D2を備えた実施例4の固体高分子形燃料電池Dを構成した。
[実施例5]
実施例1で作製した電極A0に脱イオン水を噴霧し、25℃で5分間静置することによって、触媒層中のイオノマーに水を取り込ませた電極E1を得た。電極E1に含まれるイオノマーの含水率は25質量%であった。
電極E1を用いたこと以外は実施例2と同様にして、実施例5の膜/電極接合体E2を作製し、この膜/電極接合体E2を備えた実施例5の固体高分子形燃料電池Eを構成した。
[比較例1]
実施例1で作製した電極A0を35℃の脱イオン水に10分間浸漬することによって、触媒層中のイオノマーに水を取り込ませた電極F1を得た。電極F1に含まれるイオノマーの含水率は20質量%であった。陽イオン交換膜には実施例1で用いたのと同じ含水率を25質量%に調整したパーフルオロスルホン酸樹脂膜を用いた。
これらの条件以外は実施例1と同様にして、比較例1の膜/電極接合体F2を作製し、この膜/電極接合体F2を備えた比較例1の固体高分子形燃料電池Fを構成した。
[比較例2]
比較例1で作製したのと同じ電極F1を用いた。電極F1に含まれるイオノマーの含水率は20質量%であった。陽イオン交換膜には実施例2で用いたのと同じ、含水率を35質量%に調整したパーフルオロスルホン酸樹脂膜を用いた。
これらの条件以外は実施例1と同様にして、比較例2の膜/電極接合体G2を作製し、この膜/電極接合体G2を備えた比較例2の固体高分子形燃料電池Gを構成した。
[比較例3]
実施例1で作製したのと同じ電極A1を用いた。電極A1に含まれるイオノマーの含水率は25質量%であった。
陽イオン交換膜には実施例1で用いたのと同じパーフルオロスルホン酸樹脂膜を用いた。この陽イオン交換膜を0.5mol/lの硫酸で1時間煮沸したのちに、脱イオン水で5回の洗浄および1時間煮沸するという処理を施した。その処理後の陽イオン交換膜を80℃、10KPaで12時間減圧乾燥し、含水率がゼロである陽イオン交換膜を得た。
これらの条件以外は実施例1と同様にして、比較例3の膜/電極接合体H2を作製し、この膜/電極接合体H2を備えた比較例3の固体高分子形燃料電池Hを構成した。
[比較例4]
実施例1で作製したのと同じ電極A1を用いた。電極A1に含まれるイオノマーの含水率は25質量%であった。
陽イオン交換膜には実施例1で用いたのと同じパーフルオロスルホン酸樹脂膜を用いた。この陽イオン交換膜を0.5mol/lの硫酸で1時間煮沸したのちに、脱イオン水で5回の洗浄および1時間煮沸するという処理を施した。その処理後の陽イオン交換膜を30℃で乾燥し、含水率を20質量%に調整した。
これらの条件以外は実施例1と同様にして、比較例4の膜/電極接合体I2を作製し、この膜/電極接合体I2を備えた比較例4の固体高分子形燃料電池Iを構成した。
[比較例5]
実施例3で作製したのと同じ電極C1を用いた。電極C1に含まれるイオノマーの含水率は35質量%であった。陽イオン交換膜には比較例3で用いたのと同じ含水率がゼロであるパーフルオロスルホン酸樹脂膜を用いた。
これらの条件以外は実施例1と同様にして、比較例5の膜/電極接合体J2を作製し、この膜/電極接合体J2を備えた比較例5の固体高分子形燃料電池Jを構成した。
[比較例6]
実施例3で作製したのと同じ電極C1を用いた。電極C1に含まれるイオノマーの含水率は35質量%であった。陽イオン交換膜には比較例4で用いたのと同じ含水率を20質量%に調整したパーフルオロスルホン酸樹脂膜を用いた。
これらの条件以外は実施例1と同様にして、比較例6の膜/電極接合体K2を作製し、この膜/電極接合体K2を備えた比較例6の固体高分子形燃料電池Kを構成した。
実施例1〜5および比較例1〜6の固体高分子形燃料電池における、電極に含まれるイオノマーの含水率および陽イオン交換膜の含水率を表1にまとめた。
Figure 2007220443
[PEFCの初期出力性能の比較]
実施例1〜5および比較例1〜6のPEFCの初期出力性能を評価した。評価条件は、電池温度を70℃として、70℃のバブラー式加湿器でそれぞれ加湿した空気および水素をカソードおよびアノードに化学量論比2.5および1.25の流量で供給するものとした。
この条件での各PEFCの電流密度200mA/cmおよび電流密度700mA/cmにおけるセル電圧の値を表2にまとめた。
Figure 2007220443
表2の結果から、つぎのことが明らかとなった。電流密度が比較的小さい200mA/cmでは、実施例1〜5と比較例1〜6とのPEFCのセル電圧の差は小さかった。しかしながら、電流密度が比較的大きい700mA/cmでは、実施例1〜5のPEFCのセル電圧は、比較例1〜6のPEFCの場合よりも、それぞれ約20mV以上高いことがわかった。
PEFCのセル電圧が高いことは、実施例1〜5のPEFCでは、比較例1〜6のPEFCよりも、触媒層と陽イオン交換膜との接合強度が向上したことによって接触抵抗が低下することに加えて、接合強度の向上によって触媒層が陽イオン交換膜からの脱離が抑制され、電流分布が均一になったことに起因するものと考えられる。
さらに、実施例2と実施例5との比較から、触媒層に含まれるイオノマーへの水の取り込ませる方法によるセル電圧の差はないことがわかった。つまり、脱イオン水中に浸漬した場合でも、脱イオン水を噴霧し場合でも、触媒層と脱イオン水とを接触させることによって、接合強度を向上させるために必要な水がイオノマーに十分に取り込まれることが明らかになった。
そして、触媒層中に含まれるイオノマーの含水率および陽イオン交換膜の含水率が、共に25質量%以上であれば、膨潤率の差異に起因する触媒層と陽イオン交換膜との接合強度の低下を抑制でき、比較的大きい電流密度の場合でも、優れた特性が得られることがわかった。
[PEFCの耐久性能の評価]
実施例1〜5および比較例1〜6のPEFCの耐久性能を評価した。評価条件は、電池温度を70℃として、70℃のバブラー式加湿器でそれぞれ加湿した空気および水素をカソードおよびアノードに化学量論比2.5および1.25の流量で供給し、電流密度300mA/cmで1000時間連続作動した。連続作動のあとに、電流密度700mA/cmにおける電池電圧の値を測定した。測定結果表3にまとめた。
Figure 2007220443
表3の結果から、つぎのことが明らかとなった。実施例1〜5のPEFCでは連続運転によるセル電圧の低下の値は2mV〜4mVであるのに対して、比較例1〜6のPEFCではその値は10mVから14mVとなった。つまり、比較例1〜6のPEFCでは、実施例1〜5のPEFCよりも連続運転にともなうセル電圧の低下が著しく大きくなった。
このセル電圧の低下は、比較例1〜6のPEFCでは、触媒層と陽イオン交換膜との接合強度が低いので、連続運転にともなって陽イオン交換膜から触媒層が部分的に剥離したことによって、接触抵抗の増大と電流部分の偏りとが発生したことに起因するものと考えられる。
以上の結果、触媒として白金担持カーボンを用いた場合、触媒層中に含まれるイオノマーの含水率および陽イオン交換膜の含水率が共に25質量%以上であれば、膨潤率が小さいことに起因する触媒層と陽イオン交換膜との接合強度の低下を抑制でき、比較的大きい電流密度の場合でも、優れた特性が得られることがわかった。
[実施例6〜10および比較例7〜12]
実施例6〜10および比較例7〜12では、PEFC用電極の触媒として超少量白金担持カーボン粉末を用い、触媒層と陽イオン交換膜を加熱圧接して膜/触媒層接合体を作製する際の、触媒層に含まれるイオノマーおよび陽イオン交換膜の含水率を変え、得られた膜/触媒層接合体を用いたPEFCの特性を比較した。
[実施例6]
超少量白金担持カーボン粉末の調製方法はづぎのとおりである。まず、イオノマー溶液(Nafion溶液、アルドリッチ社製、5質量%溶液)320gを2−プロパノール320gで希釈したのちに、その溶液にカーボンブラック(Vulcan XC−72、キャボット社製)を24g添加し、真空混合機で混合して分散物を調製し、さらに、その分散物に超音波照射装置で超音波を照射したのち、その分散物を噴霧乾燥することによって粉末状の混合物を調製した。
つぎに、その粉末状の混合物35gを、50mmol/l濃度の[Pt(NH]Cl水溶液250mlに80℃で6時間浸漬することによって、その混合物に含まれるイオノマーに白金アンミン錯体の陽イオン[Pt(NH2+を吸着し、そのあと、その混合物を脱イオン水で充分洗浄したのちに乾燥した。つづいて、その混合物を還元装置に設置して、水素雰囲気、150℃の条件で6時間保持することによって、その陽イオンを白金に還元した。
この陽イオンの吸着および還元を3回繰り返すことによって、イオノマーのプロトン伝導経路とカーボンの表面との接面に主に触媒金属としての白金が担持された触媒粉末を調製した。この触媒粉末は、担持された白金の重量がカーボンブラックの重量に対して約15質量%であった。
触媒層の形成方法はつぎのとおりである。まず、超少量白金担持カーボン粉末5gとN−メチル−2−ピロリドン(NMP)20gとを二軸回転式混合機で30分間混合することによって触媒層用スラリーを調製した。そのスラリーを高分子基材(東レ・デュポン社製、商品名:カプトン、材質:ポリイミド)に塗布したのちに、80℃で30分間乾燥することによって、触媒層L0を作製した。
さらに、触媒層L0を5cm×5cmの大きさに裁断し、25℃の脱イオン水に10分間浸漬することによって、触媒層中のイオノマーに水を取り込ませた触媒層L1を得た。触媒層L1に含まれるイオノマーの含水率は25質量%であり、白金の担持量は0.1mg/cmであった。
陽イオン交換膜には実施例1で用いたのと同じ含水率を25質量%に調整したパーフルオロスルホン酸樹脂膜を用いた。
つぎに、保護シート/高分子基材/触媒層L1/陽イオン交換膜/触媒層L1/高分子基材/保護シートの順に積層し、その積層物を150℃で5分間加熱圧接したのちに、高分子基材を脱離することによって、膜/触媒層接合体L2を作製した。加熱圧接には平面プレス装置を用いた。高分子シートには耐熱性が高いテトラエチレン−ヘキサフロロエチレン共重合体シート(ダイキン工業、商品名ネオフロン)を用いた。
最後に、膜/触媒層接合体L2を備える実施例6の固体高分子形燃料電池Lを構成した。このPEFCには、触媒層とガスフロープレートとの間に、電子伝導性微細孔層付き導電性多孔質体(SGL社製カーボンフェルト、GDL10BC、360μm厚)を配置した。
[実施例7]
実施例6で作製したのと同じ触媒層L1を用いた。触媒層L1に含まれるイオノマーの含水率は25質量%であった。陽イオン交換膜には実施例2と同じ含水率を35質量%に調整したパーフルオロスルホン酸樹脂膜を用いた。
これらの条件以外は実施例6と同様にして、実施例7の膜/触媒層接合体M2を作製し、この膜/触媒層接合体M2を備えた実施例7の固体高分子形燃料電池Mを構成した。
[実施例8]
実施例6で作製した触媒層L0を80℃の脱イオン水に10分間浸漬することによって、触媒層中のイオノマーに水を取り込ませた触媒層N1を得た。触媒層N1に含まれるイオノマーの含水率は35質量%であった。陽イオン交換膜には実施例6と同じ含水率を25質量%に調整したパーフルオロスルホン酸樹脂膜を用いた。
これらの条件以外は実施例6と同様にして、実施例8の膜/触媒層接合体N2を作製し、この膜/触媒層接合体N2を備えた実施例8の固体高分子形燃料電池Nを構成した。
[実施例9]
実施例8で作製したのと同じ触媒層N1を用いた。触媒層N1に含まれるイオノマーの含水率は35質量%であった。陽イオン交換膜には実施例7で用いたのと同じ含水率を35質量%に調整したパーフルオロスルホン酸樹脂膜を用いた。
これらの条件以外は実施例6と同様にして、実施例9の膜/触媒層接合体O2を作製し、この膜/触媒層接合体O2を備えた実施例9の固体高分子形燃料電池Oを構成した。
[実施例10]
実施例6で作製した電極L0に脱イオン水を噴霧したのちに、25℃で5分間静置することによって、触媒層中のイオノマーに水を取り込ませた触媒層P1を得た。触媒層P1に含まれるイオノマーの含水率は25質量%であった。
触媒層P1を用いたこと以外は実施例7と同様にして、実施例10の膜/触媒層接合体P2を作製し、この膜/触媒層接合体P2を備えた実施例10の固体高分子形燃料電池Pを構成した。
[比較例7]
実施例6で作製した電極L0を35℃の脱イオン水に10分間浸漬することによって、触媒層中のイオノマーに水を取り込ませた触媒層Q1を得た。触媒層Q1に含まれるイオノマーの含水率は20質量%であった。陽イオン交換膜には実施例6で用いたのと同じ含水率を25質量%に調整したパーフルオロスルホン酸樹脂膜を用いた。
これらの条件以外は実施例6と同様にして、比較例7の膜/触媒層接合体Q2を作製し、この膜/触媒層接合体Q2を備えた比較例7の固体高分子形燃料電池Qを構成した。
[比較例8]
比較例7で作製したのと同じ触媒層Q1を用いた。触媒層Q1に含まれるイオノマーの含水率は20質量%であった。陽イオン交換膜には実施例7で用いたのと同じ含水率を35質量%に調整したパーフルオロスルホン酸樹脂膜を用いた。
これらの条件以外は実施例6と同様にして、比較例8の膜/触媒層接合体R2を作製し、この膜/触媒層接合体R2を備えた比較例8の固体高分子形燃料電池Rを構成した。
[比較例9]
実施例6で作製したのと同じ触媒層L1を用いた。触媒層L1に含まれるイオノマーの含水率は25質量%であった。陽イオン交換膜には比較例3で用いたのと同じ含水率がゼロであるパーフルオロスルホン酸樹脂膜を用いた。
これらの条件以外は実施例6と同様にして、比較例9の膜/触媒層接合体S2を作製し、この膜/触媒層接合体S2を備えた比較例9の固体高分子形燃料電池Sを構成した。
[比較例10]
実施例6で作製したのと同じ触媒層L1を用いた。触媒層L1に含まれるイオノマーの含水率は25質量%であった。陽イオン交換膜には比較例4で用いたのと同じ含水率を20質量%に調整したパーフルオロスルホン酸樹脂膜を用いた。
これらの条件以外は実施例6と同様にして、比較例10の膜/触媒層接合体T2を作製し、この膜/触媒層接合体T2を備えた比較例10の固体高分子形燃料電池Tを構成した。
[比較例11]
実施例8で作製したのと同じ触媒層N1を用いた。触媒層N1に含まれるイオノマーの含水率は35質量%であった。陽イオン交換膜には比較例3で用いたのと同じ、含水率がゼロであるパーフルオロスルホン酸樹脂膜を用いた。
これらの条件以外は実施例6と同様にして、比較例11の膜/触媒層接合体U2を作製し、この膜/触媒層接合体U2を備えた比較例11の固体高分子形燃料電池Uを構成し。
[比較例12]
実施例8で作製したのと同じ触媒層N1を用いた。触媒層N1に含まれるイオノマーの含水率は35質量%であった。陽イオン交換膜には比較例10で用いたのと同じ含水率を20質量%に調整したパーフルオロスルホン酸樹脂膜を用いた。
これらの条件以外は実施例6と同様にして、比較例12の膜/触媒層接合体V2を作製し、この膜/触媒層接合体V2を備えた比較例12の固体高分子形燃料電池Vを構成した。
実施例6〜10および比較例7〜12の固体高分子形燃料電池における、触媒層に含まれるイオノマーの含水率および陽イオン交換膜の含水率を表4にまとめた。
Figure 2007220443
[PEFCの初期出力性能の比較]
実施例6〜10および比較例7〜12のPEFCの初期出力性能を評価した。評価条件は実施例1の場合と同じとした。各PEFCの電流密度200mA/cmおよび電流密度700mA/cmにおけるセル電圧の値を表5にまとめた。
Figure 2007220443
表5の結果から、つぎのことが明らかとなった。電流密度が比較的小さい200mA/cmでは、実施例6〜10と比較例7〜12とのPEFCのセル電圧の差は小さかった。しかしながら、電流密度が比較的大きい700mA/cmでは、実施例6〜10のPEFCのセル電圧は、比較例7〜12のPEFCの場合よりも、それぞれ約30mV高いことがわかった。
PEFCのセル電圧が高いことは、実施例6〜10のPEFCと比較例7〜12のPEFCのセル電圧の関係は、実施例1〜5のPEFCと比較例1〜6のPEFCのセル電圧の関係と同様の傾向を示した。
また、実施例7と実施例10との比較から、触媒層に含まれるイオノマーへの水の取り込ませる方法によるセル電圧の差はないことがわかった。
[PEFCの耐久性能の評価]
実施例6〜10および比較例7〜12のPEFCの耐久性能を評価した。評価条件は実施例1の場合と同じとした。測定結果を表6にまとめた。
Figure 2007220443
表6の結果から、つぎのことが明らかとなった。実施例6〜10のPEFCでは連続運転によるセル電圧の低下の値は1mV〜3mVであるのに対して、比較例7〜12のPEFCではその値は10mVから14mVとなった。つまり、比較例7〜12のPEFCでは、実施例6〜10のPEFCよりも連続運転にともなうセル電圧の低下が著しく大きくなった。
このセル電圧の低下は、比較例7〜12のPEFCでは、触媒層と陽イオン交換膜との接合強度が低いので、連続運転にともなって陽イオン交換膜から触媒層が部分的に剥離したことによって、接触抵抗の増大と電流部分の偏りとが発生したことに起因するものと考えられる。
以上の結果、触媒として超少量白金担持カーボン粉末を用いた場合も、触媒層中に含まれるイオノマーの含水率および陽イオン交換膜の含水率が、共に25質量%以上であれば、膨潤率が小さいことに起因する触媒層と陽イオン交換膜との接合強度の低下を抑制でき、比較的大きい電流密度の場合でも、優れた特性が得られることがわかった。
触媒層もしくは電極と陽イオン交換膜との積層物の外観を模式図。 アノード触媒層、陽イオン交換膜、カソード触媒層および保護シートの大きさと位置との関係をその積層物を上方からみたときの模式図。
符号の説明
1 アノード触媒層
2 陽イオン交換膜
3 カソード触媒層
4 保護シート

Claims (2)

  1. 触媒金属、カーボンおよびイオノマーを含む触媒層と陽イオン交換膜とを加熱圧接する固体高分子形燃料電池用の陽イオン交換膜/触媒層接合体の製造方法において、前記イオノマーと前記陽イオン交換膜との含水率が、それぞれ25質量%以上であることを特徴とする固体高分子形燃料電池用の陽イオン交換膜/触媒層接合体の製造方法。
  2. 触媒層と陽イオン交換膜の全体をシートで覆い、加熱圧接することを特徴とする請求項1に記載の固体高分子形燃料電池用の陽イオン交換膜/触媒層接合体の製造方法。
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