JP5044062B2 - 膜−触媒層接合体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、携帯型電子機器、自動車などの移動体、分散発電システム及び家庭用のコージェネレーションシステムなどの駆動電源として使用される燃料電池に関し、特に当該燃料電池が備える膜−触媒層接合体の製造方法に関する。
燃料電池(例えば、高分子電解質形燃料電池)は、水素を含有する燃料ガスと空気など酸素を含有する酸化剤ガスとを電気化学的に反応させることにより、電力と熱と水とを同時に発生させる装置である。
燃料電池は、一般的には複数のセルを積層し、それらをボルト又はバンドなどの締結部材で加圧締結することにより構成されている。1つのセルは、膜電極接合体(以下、MEA:Membrane-Electrode-Assemblyという)を一対の板状の導電性のセパレータで挟んで構成されている。
MEAは、高分子電解質膜と、当該高分子電解質膜の両面に配置された一対の電極層によって構成されている。一対の電極層の一方はアノード電極であり、他方はカソード電極である。一対の電極層はそれぞれ、金属触媒を坦持したカーボン粉末を主成分とする触媒層と、当該触媒層の上に配置される多孔質で導電性を有するガス拡散層とで構成されている。ここでは、高分子電解質膜と触媒層との接合体を膜−触媒層接合体(CCM:Catalyst-coated membrane)という。前記アノード電極に燃料ガスが接触すると共に前記カソード電極に酸化剤ガスが接触することにより、電気化学反応が発生し、電力と熱と水とが発生する。
次に、図9A〜図9Fを用いて、従来の膜−触媒層接合体の製造方法の一例を説明する(例えば、特許文献1:特開2002−289207号公報参照)。
まず、図9Aに示すように、高分子電解質膜101の一方の面に第1形状保持フィルム102を貼り付ける。次いで、図9Bに示すように、高分子電解質膜101の他方の面に、第1触媒インクを塗布した後、乾燥して第1触媒層104aを形成する。次いで、図9Cに示すように、第1触媒層104a上に第2形状保持フィルム103を貼り付ける。次いで、図9Dに示すように、高分子電解質膜101の一方の面に貼り付けられた第1形状保持フィルム102を除去する。次いで、図9Eに示すように、高分子電解質膜101の一方の面に、第2触媒インクを塗布した後、乾燥して第2触媒層104bを形成する。次いで、図9Fに示すように、第2触媒層104b上に第3形状保持フィルム105を貼り付ける。
前記のように、高分子電解質膜101上に触媒インクを直接印刷又は塗布して膜−触媒層接合体を製造する技術は、高分子電解質膜101と触媒層104a,104bとの界面抵抗を極めて低くすることができることから、理想的な膜−触媒層接合体の製造方法として注目されている。
通常、高分子電解質膜101は、非常に薄く(例えば20μm〜50μm)且つ少しの湿気でも変形し易い部材である。このため、高分子電解質膜101上に触媒インクを直接印刷又は塗布した場合、触媒インクに含まれる溶媒が高分子電解質膜101に浸み込み、図10に矢印で示すように、高分子電解質膜101の内側から外側へ向けて膨らもうとする力が働く。この力により、高分子電解質膜101が膨潤し、当該膨潤により高分子電解質膜101にシワ及びピンホールが発生しやすくなる。この高分子電解質膜101のシワ及びピンホールは、燃料電池の発電性能を低下させる要因となる。これに対して、前記従来の製造方法によれば、高分子電解質膜101の触媒インクを塗布する面とは反対側の面に形状保持フィルム101,102を予め貼り付けるので、シワ及びピンホールの発生を抑えることができる。
特開2002−289207号公報
しかしながら、前記製造方法では、触媒層104aを形成するために触媒インクを乾燥させる際に高分子電解質膜101中の水分も乾燥されてしまうという課題がある。この場合、図11に矢印で示すように高分子電解質膜101の外側から内側へ向けて縮もうとする力が働き、高分子電解質膜101が収縮する。この収縮により、高分子電解質膜101が、図12に示すように第1形状保持フィルム102及び第1触媒層104aと共にカール(幅方向に湾曲)する。このような高分子電解質膜101のカールは、外観不良を引き起こすとともに、特にロール・ツー・ロール方式の製造装置を用いて膜−触媒層接合体を製造する場合に、搬送トラブルなどを引き起こす。なお、高分子電解質膜101のカールは、第2触媒インクを乾燥させる際にも発生する。
従って、本発明の目的は、前記問題を解決することにあって、触媒層を形成するために触媒インクを乾燥させる際に高分子電解質膜がカールすることを抑えることができる膜−触媒層接合体の製造方法を提供することにある。
前記目的を達成するために、本発明は以下のように構成する。
本発明によれば、燃料電池用の膜−触媒層接合体の製造方法であって、
高分子電解質膜の一方の面に、前記電解質膜よりも幅が長い形状保持フィルムを前記電解質膜の幅方向の両側にはみ出すように貼り付けた膜−形状保持フィルム接合体を準備するフィルム貼付工程と、
前記形状保持フィルムを貼り付けた前記電解質膜の他方の面に、触媒インクを塗布した後、乾燥して触媒層を形成する触媒層形成工程と、
前記触媒層を形成した前記電解質膜の他方の面に、前記電解質膜よりも幅が長い第2形状保持フィルムを前記電解質膜の幅方向の両側にはみ出すように貼り付ける第2フィルム貼付工程と、
前記第2形状保持フィルムを貼り付けた前記電解質膜から前記形状保持フィルムを剥離するフィルム剥離工程と、
前記形状保持フィルムを剥離して露出させた前記電解質膜上に第2触媒インクを塗布した後、乾燥して第2触媒層を形成する第2触媒層形成工程と、
を含む、膜−触媒層接合体の製造方法を提供する。
本発明にかかる膜−触媒層接合体の製造方法によれば、高分子電解質膜の一方の面に形状保持フィルムを高分子電解質膜の幅方向の両側にはみ出すように貼り付けた膜−形状保持フィルム接合体を準備し、その後、高分子電解質膜の他方の面に触媒層を形成するようにしているので、高分子電解質膜がカールすることを抑えることができる。これにより、搬送トラブルや外観不良の発生を抑えることができる。その結果、ロール・ツー・ロール方式の製造装置を用いて膜−触媒層接合体を製造することができ、膜−触媒層接合体の生産効率を向上させることができる。
本発明のこれらと他の目的と特徴は、添付された図面についての好ましい実施の形態に関連した次の記述から明らかになる。この図面においては、
図1は、本発明の実施形態にかかる膜−触媒層接合体の製造装置の概略説明図であり、 図2Aは、本発明の実施形態にかかる膜−触媒層接合体の製造方法を模式的に示す断面図であり、 図2Bは、図2Aに続く工程を示す断面図であり、 図2Cは、図2Bに続く工程を示す断面図であり、 図2Dは、図2Cに続く工程を示す断面図であり、 図2Eは、図2Dに続く工程を示す断面図であり、 図2Fは、図2Eに続く工程を示す断面図であり、 図3は、第1形状保持フィルムの耳部の幅と高分子電解質膜のカール高さとの関係を示すグラフであり、 図4は、第2形状保持フィルムの耳部の幅と、第2形状保持フィルムと高分子電解質膜との接着強度との関係を示すグラフであり、 図5は、高分子電解質膜と耳部を有する第2形状保持フィルムとの間に空気が流れ込む様子を模式的に示す断面図であり、 図6Aは、高分子電解質膜に対して、耳部を有する第2形状保持フィルムが左側にずれて貼り付けられた状態を模式的に示す断面図であり、 図6Bは、高分子電解質膜に対して、耳部を有する第2形状保持フィルムが右側にずれて貼り付けられた状態を模式的に示す断面図であり、 図7は、空気の筋が外部に向けて移動する様子を模式的に示す平面図であり、 図8Aは、高分子電解質膜と第2形状保持フィルムとの間に空気の筋が残留した状態を模式的に示す平面図であり、 図8Bは、高分子電解質膜と第2形状保持フィルムとの間に空気の筋が残留した状態を模式的に示す断面図であり、 図9Aは、従来の膜−触媒層接合体の製造方法を模式的に示す断面図であり、 図9Bは、図9Aに続く工程を示す断面図であり、 図9Cは、図9Bに続く工程を示す断面図であり、 図9Dは、図9Cに続く工程を示す断面図であり、 図9Eは、図9Dに続く工程を示す断面図であり、 図9Fは、図9Eに続く工程を示す断面図であり、 図10は、高分子電解質膜の内側から外側へ向けて膨らもうとする力が働いている状態を模式的に示す図であり、 図11は、高分子電解質膜の外側から内側へ向けて縮もうとする力が働いている状態を模式的に示す断面図であり、 図12は、高分子電解質膜が第1形状保持フィルム及び第1触媒層と共にカールした状態を示す斜視図であり、 図13は、高分子電解質膜と耳部を有さない第2形状保持フィルムとの間に空気が流れ込む様子を模式的に示す断面図であり、 図14Aは、高分子電解質膜に対して、耳部を有さない第2形状保持フィルムが左側にずれて貼り付けられた状態を模式的に示す断面図であり、 図14Bは、高分子電解質膜に対して、耳部を有さない第2形状保持フィルムが右側にずれて貼り付けられた状態を模式的に示す断面図である。
本発明の発明者らは、前記従来技術の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、以下の知見を得た。
従来の製造方法では、コストなどを考慮して、高分子電解質膜の幅と形状保持フィルムとの幅を同じにしている。これに対して、形状保持フィルムの幅を高分子電解質膜の幅よりも長くし、高分子電解質膜の幅方向の両側にはみ出すように形状保持フィルムを貼り付けたところ、高分子電解質膜のカールが大幅に減少するという知見を得た。これは、高分子電解質膜の幅方向の両側にはみ出した形状保持フィルムの部分が、重りとして機能し、高分子電解質膜がカールする方向と反対方向に力を加えるためと推測される。これらの知見に基づき、本発明の発明者らは、以下の本発明に想到した。
本発明の第1態様によれば、燃料電池用の膜−触媒層接合体の製造方法であって、
高分子電解質膜の一方の面に、前記電解質膜よりも幅が長い形状保持フィルムを前記電解質膜の幅方向の両側にはみ出すように貼り付けた膜−形状保持フィルム接合体を準備する準備工程と、
前記形状保持フィルムを貼り付けた前記電解質膜の他方の面に、触媒インクを塗布した後、乾燥して触媒層を形成する触媒層形成工程と、
前記触媒層を形成した前記電解質膜の他方の面に、前記電解質膜よりも幅が長い第2形状保持フィルムを前記電解質膜の幅方向の両側にはみ出すように貼り付ける第2フィルム貼付工程と、
前記第2形状保持フィルムを貼り付けた前記電解質膜から前記形状保持フィルムを剥離するフィルム剥離工程と、
前記形状保持フィルムを剥離して露出させた前記電解質膜上に第2触媒インクを塗布した後、乾燥して第2触媒層を形成する第2触媒層形成工程と、
を含む、膜−触媒層接合体の製造方法を提供する。
本発明の第2態様によれば、前記形状保持フィルムが前記電解質膜の幅方向にはみ出す量は、5mm以上である、第1態様に記載の膜−触媒層接合体の製造方法を提供する。
本発明の第態様によれば、前記第2形状保持フィルムが前記電解質膜の幅方向にはみ出す量は、5mm以上である、第1又は2態様に記載の膜−触媒層接合体の製造方法を提供する。
本発明の第態様によれば、前記第2形状保持フィルムが前記電解質膜の幅方向にはみ出す量は、50mm以下である、第1〜3態様のいずれか1つに記載の膜−触媒層接合体の製造方法を提供する。
本発明の第態様によれば、前記第2形状保持フィルムが前記電解質膜の幅方向にはみ出す量は、30mm以下である、第1〜4態様のいずれか1つに記載の膜−触媒層接合体の製造方法を提供する。
本発明の第態様によれば、前記第2触媒層を形成した前記電解質膜の一方の面に、前記電解質膜よりも幅が長い第3形状保持フィルムを前記電解質膜の幅方向の両側にはみ出すように貼り付ける第3フィルム貼付工程をさらに含む、第1〜5態様のいずれか1つに記載の膜−触媒層接合体の製造方法を提供する。
本発明の第態様によれば、前記第3形状保持フィルムが前記電解質膜の幅方向にはみ出す量は、50mm以下である、第態様に記載の膜−触媒層接合体の製造方法を提供する。
本発明の第態様によれば、前記第3形状保持フィルムが前記電解質膜の幅方向にはみ出す量は、30mm以下である、第6又は7態様に記載の膜−触媒層接合体の製造方法を提供する。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
《実施形態》
図1は、本発明の実施形態にかかる膜−触媒層接合体の製造装置の概略構成を示す図である。本実施形態にかかる膜−触媒層接合体は、例えば、携帯型電子機器、自動車などの移動体、分散発電システム及び家庭用のコージェネレーションシステムなどの駆動電源として使用される燃料電池に用いられるものである。
図1において、本実施形態にかかる膜−触媒層接合体の製造装置は、いわゆるロール・ツー・ロール方式の製造装置である。具体的には、本実施形態にかかる膜−触媒層接合体の製造装置は、供給ロール11と、剥離装置12と、バックアップロール13と、ダイ14と、乾燥装置15と、形状保持フィルム供給装置16と、貼付装置17と、巻取りロール18とを備えている。
供給ロール11には、高分子フィルム10が巻回されている。本実施形態において、高分子フィルム10とは、図2A〜図2Fのいずれかに示す構造を有する高分子フィルム10a〜10fをいう。
図2Aに示すように高分子電解質膜1の第1面(他方の面)に第1触媒層4aを形成する場合、供給ロール11には、図2Aに示す構造を有する高分子フィルム10aが巻回される。すなわち、供給ロール11には、シート状の高分子電解質膜1の第2面(一方の面)に第1形状保持フィルム2を貼り付けた構造を有する高分子フィルム10aが巻回される。第1形状保持フィルム2は、高分子電解質膜1よりも搬送方向Xと直交する方向の幅が長く、高分子電解質膜1の幅方向の両側にはみ出すように貼り付けられている。以下、高分子電解質膜1の幅方向の両側にはみ出す第1形状保持フィルム2の部分を耳部2aという。耳部2aは、第1形状保持フィルム2の長手方向に連続的に形成されている。なお、このような耳部2aを有する高分子フィルム10aを、ここでは膜−形状保持フィルム接合体という。
また、図2Eに示すように高分子電解質膜1の第2面(一方の面)に第2触媒層4bを形成する場合、供給ロール11には、図2Cに示す構造を有する高分子フィルム10cが巻回される。すなわち、供給ロール11には、シート状の高分子電解質膜1の第1面(他方の面)に第1触媒層4aを覆うように第2形状保持フィルム3を貼り付けると共に、第2面(一方の面)に第1形状保持フィルム2を貼り付けた構造を有する高分子フィルム10cが巻回される。第2形状保持フィルム3は、高分子電解質膜1よりも搬送方向Xと直交する方向の幅が長く、高分子電解質膜1の幅方向の両側にはみ出すように貼り付けられている。以下、高分子電解質膜1の幅方向の両側にはみ出す第2形状保持フィルム3の部分を耳部3aという。耳部3aは、第2形状保持フィルム3の長手方向に連続的に形成されている。
高分子電解質膜1としては、フッ素系、炭化水素系など従来から用いられている多種多様な高分子電解質膜を用いることができる。例えば、高分子電解質膜1として、パーフルオロカーボンスルホン酸からなる高分子電解質膜(例えば、米国DuPont社製のNafion(登録商標)、旭硝子(株)製のFlemion(登録商標)、旭化成(株)製のAciplex(登録商標)など)を使用することができる。高分子電解質膜1は、通常、非常に薄く且つ少しの湿気でも変形し易い部材である。このため、高分子電解質膜1の第1面又は第2面に第1,第2,又は第3形状保持フィルム2,3,又は5を貼り付けるようにしている。なお、第3形状保持フィルム5も、第1及び第2形状保持フィルム2,3と同様に、高分子電解質膜1よりも搬送方向Xと直交する方向の幅が長く、高分子電解質膜1の幅方向の両側にはみ出すように貼り付けられる。以下、高分子電解質膜1の幅方向の両側にはみ出す第3形状保持フィルム5の部分を耳部5aという。耳部5aは、第3形状保持フィルム5の長手方向に連続的に形成されている。
第1,第2,又は第3形状保持フィルム2,3,5としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエーテルイミド、ポリイミド、フッ素樹脂などを用いることができる。第1,第2,又は第3形状保持フィルム2,3,5は、ラミネート加工時に熱変形しない耐熱性を有するフィルムであればよい。
供給ロール11から引き出された高分子フィルム10は、バックアップロール13に懸架され、巻取りロール18に巻き取られる。巻取りロール18は、図示しないモータを備え、当該モータの駆動力により連続的に回転することで、高分子フィルム10を連続的に巻き取る。本実施形態においては、後述するように高分子フィルム10が供給ロール11から引き出されて巻取りロール18に巻き取られるまでの間に高分子電解質膜1の第1面(又は第2面)に第1触媒層4a(又は第2触媒層4b)が形成されるようにしているので、膜−触媒層接合体の大量生産が可能である。
剥離装置12は、供給ロール11から図2Cに示す高分子フィルム10cが供給されるときに、高分子電解質膜1から第1形状保持フィルム2を剥離する装置である。この剥離装置12が第1形状保持フィルム2を剥離することにより、バックアップロール13には図2Dに示す高分子フィルム10dが供給されることになる。なお、供給ロール11から図2Aの高分子フィルム10aが供給されるときには、剥離装置12は駆動しない。
バックアップロール13は、例えば、直径が300mmに設定された円柱形の部材である。なお、高分子電解質膜1に第1形状保持フィルム2又は第2形状保持フィルム3を貼り付けるようにしているので、バックアップロール13に吸引機能を設ける必要はない。
ダイ14は、高分子フィルム10を介してバックアップロール13と対向する位置に配置されている。ダイ14には、供給ポンプPが接続されている。ダイ14は、供給ポンプPから供給された触媒層形成用の触媒インクを、高分子フィルム10のバックアップロール13と接触する部分に向けて吐出(塗布)可能に構成されている。
触媒インクは、白金系金属触媒を担持したカーボン微粒子を溶媒で混合したインクである。金属触媒としては、例えば、プラチナ、ルテニウム、ロジウム、及びイリジウムなどを用いることができる。カーボン粉末としては、カーボンブラック、ケッチェンブラック、及びアセチレンブラックなどを用いることができる。溶媒としては、水、エタノール、n−プロパノール、及びn−ブタノールなどのアルコール系、並びに、エーテル系、エステル系、及びフッ素系などの有機溶剤を用いることができる。白金系金属触媒インクの溶媒を乾燥することで、金属触媒を坦持したカーボン粉末を主成分とする第1及び第2触媒層4a,4bを形成することができる。
乾燥装置15は、バックアップロール13よりも搬送方向Xの下流側において、高分子フィルム10を包囲するように配置されている。乾燥装置15は、ダイ14により高分子電解質膜1の第1面(又は第2面)に塗布された触媒インクを、高分子電解質膜1の第1面及び第2面の両方から加熱して乾燥させる装置である。この乾燥装置15による乾燥により、触媒インクの溶媒が完全に乾燥して第1触媒層4a(又は第2触媒層4b)が形成される。乾燥装置15としては、例えば、対流式熱風乾燥装置を用いることができる。
形状保持フィルム供給装置16は、乾燥装置15よりも搬送方向Xの下流側に配置されている。形状保持フィルム供給装置16は、乾燥装置15により図2Bに示す高分子フィルム10bが形成されたとき、当該高分子フィルム10bの第1面に第2形状保持フィルム3を貼り付ける装置である。また、形状保持フィルム供給装置16は、乾燥装置15により図2Eに示す高分子フィルム10eが形成されたとき、当該高分子フィルム10eの第2面に第3形状保持フィルム5を貼り付ける装置でもある。
貼付装置17は、形状保持フィルム供給装置16よりも搬送方向Xの下流側に配置されている。貼付装置17は、高分子電解質膜1の第1面又は第2面に、第1、第2、又は第3形状保持フィルム1〜3を所定の接合強度を保つように貼付可能に構成されている。具体的には、貼付装置17は、一組の円柱形の貼付ロール17a,17bにより構成されている。貼付ロール17a,17bは、例えば直径が200mmの円柱形の部材である。貼付ロール17a,17bは、それらの間に高分子フィルム10が供給されたとき、互いに接近して高分子フィルム10に所定の圧力及び熱を加えることができるように構成されている。
次に、本実施形態にかかる膜−触媒層接合体の製造方法について説明する。
まず、高分子電解質膜1の第2面(一方の面)に、高分子電解質膜1よりも幅が長い第1形状保持フィルム2を高分子電解質膜1の幅方向の両側にはみ出すように貼り付けた、図2Aに示す高分子フィルム(膜−形状保持フィルム接合体)10aを準備する(準備工程)。
次いで、図2Aに示す高分子フィルム10aを供給ロール11に巻回し、図1に示すように、バックアップロール13に懸架されて巻取りロール18に巻き取られるように高分子フィルム10aをセットする。
次いで、巻取りロール18のモータ(図示せず)を駆動して、高分子フィルム10aを供給ロール11から巻取りロール18に向けて連続的に送る。
次いで、前記送り動作によりバックアップロール13上に位置した高分子フィルム10aに、触媒インクを供給ポンプPからダイ14を通じて吐出する。これにより、高分子電解質膜1の第1面(他方の面)に触媒インクが塗布される。
次いで、前記送り動作により乾燥装置15内に送られた触媒インク塗布済みの高分子フィルム10aを、乾燥装置15により加熱する。これにより、高分子電解質膜1の第1面及び第2面の両方から高分子電解質膜1が加熱されて触媒インクが乾燥され、図2Bに示すように第1触媒層4aが形成される(第1触媒層形成工程)。このとき、第1形状保持フィルム2の耳部2aが重りとして機能し、高分子電解質膜1のカールが抑制される。
次いで、前記送り動作により形状保持フィルム供給装置16の下方に送られた図2Bに示す高分子フィルム10bの第1面上に、形状保持フィルム供給装置16により、高分子電解質膜1よりも幅が長い第2形状保持フィルム3を高分子電解質膜1の幅方向の両側にはみ出すように供給する。これにより、高分子電解質膜1と第2形状保持フィルム3とが未接合の図2Cに示す高分子フィルム10cが形成される。
次いで、前記送り動作により貼付装置17の貼付ロール17a,17b間に送られた前記未接合の高分子フィルム10cに対して、貼付ロール17a,17bより圧力及び熱を加える。この圧力及び熱により、高分子電解質膜1と第2形状保持フィルム3とを接合する(第2フィルム貼付工程)。
次いで、前記送り動作が継続して行われることにより、図2Cに示す高分子フィルム10cが巻取りロール18に巻き取られる。
次いで、図2Cに示す高分子フィルム10cを供給リール11に巻回し、図1に示すように、バックアップロール13に懸架されて巻取りロール18に巻き取られるように高分子フィルム10cをセットする。このとき、高分子フィルム10dの第2面(第1触媒層4aを形成していない面)がダイ13に対して露出するように、高分子フィルム10cをセットする。
次いで、巻取りロール18のモータ(図示せず)を駆動して、高分子フィルム10cを供給ロール11から巻取りロール18に向けて連続的に送る。
次いで、前記送り動作により剥離装置12の下方に送られた高分子フィルム10cから第1形状保持フィルム2を剥離して、図2Dに示す高分子フィルム10dを作成する(第1フィルム剥離工程)。
次いで、前記送り動作によりバックアップロール13上に位置した高分子フィルム10dに、触媒インクを供給ポンプPからダイ14を通じて吐出する。これにより、高分子電解質膜1の第2面に触媒インクが塗布される。なお、このとき、高分子電解質膜1の第2面に塗布する触媒インク(第2触媒インク)は、高分子電解質膜1の第1面に塗布した触媒インク(第1触媒インク)と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
次いで、前記送り動作により乾燥装置15内に送られた触媒インク塗布済みの高分子フィルム10dを、乾燥装置15により加熱する。これにより、高分子電解質膜1の第1面及び第2面の両方から高分子電解質膜1が加熱されて触媒インクが乾燥され、図2Eに示すように第2触媒層4bが形成される(第2触媒層形成工程)。このとき、第2形状保持フィルム3の耳部3aが重りとして機能し、高分子電解質膜1のカールが抑制される。
次いで、前記送り動作により形状保持フィルム供給装置16の下方に送られた図2Eに示す高分子フィルム10eの第2面上に、形状保持フィルム供給装置16により、高分子電解質膜1よりも幅が長い第3形状保持フィルム5を高分子電解質膜1の幅方向の両側にはみ出すように供給する。これにより、高分子電解質膜1と第3形状保持フィルム5とが未接合の図2Fに示す高分子フィルム10fが形成される。
次いで、前記送り動作により貼付装置17の貼付ロール17a,17b間に送られた前記未接合の高分子フィルム10fに対して、貼付ロール17a,17bより圧力及び熱を加える。この圧力及び熱により、高分子電解質膜1と第3形状保持フィルム5とを接合する(第3フィルム貼付工程)。
次いで、前記送り動作が継続して行われることにより、図7に示す高分子フィルム10fが巻取りロール18に巻き取られる。これにより、本実施形態にかかる膜−触媒層接合体が製造される。
本実施形態にかかる膜−触媒層接合体の製造方法においては、第1形状保持フィルム2が耳部2aを有するように形成しているので、耳部2aが重りとして機能して、高分子電解質膜1がカールすることを抑えることができる。これにより、高分子フィルム10b,10eが貼付ロール17a,17b間で詰まるなどの搬送トラブルや、高分子フィルム10c,10fの外観不良の発生を抑えることができる。その結果、ロール・ツー・ロール方式の製造装置を用いて膜−触媒層接合体を製造することが可能となり、膜−触媒層接合体の生産効率を向上させることができる。
次に、本実施形態にかかる膜−触媒層接合体の製造方法による高分子電解質膜のカール高さ、及び高分子電解質膜と形状保持フィルムとの接着強度を検証した結果について説明する。
下記表1には、第1形状保持フィルム2の耳部2aの幅を変えて形成した高分子フィルム10bのカール高さと、当該高分子フィルム10bに第2形状保持フィルム3を貼り付けた高分子フィルム10cの接合強度に関するデータが示されている。図3は、下記表1のデータに基づいて、第1形状保持フィルム2の耳部2aの幅と高分子電解質膜1のカール高さとの関係をグラフ化したものである。図4は、下記表1のデータに基づいて、第2形状保持フィルム3の耳部3aの幅と、高分子フィルム10cの接着強度との関係をグラフ化したものである。
Figure 0005044062
表1のデータは、第1形状保持フィルム2の両側の耳部2a,2aの幅及び第2形状保持フィルム3の耳部3a,3aの幅を、0〜51mmの範囲内において、全て同じ寸法にしたときのデータである。
また、表1において「カール高さ」のデータは、高分子電解質膜1のカール高さに相当する高分子フィルム10bのカール高さのデータである。表1の「カール判定」の欄において、バツ印は、カール高さに起因する搬送トラブルが発生することを意味する。丸印は、カール高さに起因する搬送トラブルが発生する可能性が低いことを意味する。二重丸は、カール高さに起因する搬送トラブルが発生する可能性がほとんどないことを意味する。
また、表1において「接着強度比」とは、耳部3aの幅を50mmとした高分子フィルム10cの接着強度に対する、耳部3aの幅を変えて形成した各高分子フィルム10cの接着強度の比率を意味する。ここで、「高分子フィルム10cの接着強度」とは、高分子電解質膜1と第2形状保持フィルム3との接着強度を意味する。表1の「接着判定」の欄において、バツ印は、製品としては成り立たないレベルの接合強度であることを意味する。丸印は、製品としては成り立つが、従来よりも低い接着強度であることを意味する。二重丸は、従来よりも高い接着強度であることを意味する。
また、表1において「総合判定」とは、表1に示す耳部2a,3aを有する各高分子フィルム10cが膜−触媒層接合体として使用されることが好ましいか否かの判定を意味する。「総合判定」の欄において、バツ印は、膜−触媒層接合体として使用することが好ましくないことを意味する。丸印は、多少のカールの発生又は接着強度の低下があるものの、膜−触媒層接合体として使用しても搬送トラブル等の不良が生じず、膜−触媒層接合体として使用することが好ましいことを意味する。二重丸は、膜−触媒層接合体として使用することがより好ましいことを意味する。
なお、ここでは、高分子電解質膜1として、フッ素系の高分子電解質膜を用いた。高分子電解質膜1の幅は、300mmとした。
また、第1及び第2形状保持フィルム2,3として、それぞれ片面に表面処理を施した膜厚75μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを使用した。第2形状保持フィルム3を高分子電解質膜1に貼り付ける際、貼付装置17による加圧力は0.1〜1.0MPaとし、貼付装置17による加熱温度は80〜150℃とした。第1形状保持フィルム2の幅は、高分子電解質膜1の幅に耳部2aの幅を加えた幅とした。例えば、耳部2aの幅が50mmの場合、第1形状保持フィルム2の幅は、400mmとした。第2形状保持フィルム3の幅は、第1形状保持フィルム2の幅と同じ寸法とした。
また、第1触媒層4aを形成する場合及び第2触媒層4bを形成する場合の両方共、高分子フィルム10の搬送速度は、0.5m/分とした。また、乾燥装置15による加熱温度は60℃とし、乾燥装置15による加熱時間は5分間とした。
また、第1触媒層4aを形成する触媒インクとして、カーボンブラック5gにイオン交換水10gを添加した後、エタノール溶液10gを添加し、超音波振動を加えながら混合した触媒インクを用いた。カーボンブラックとしては、平均粒径3nmの白金を50重量%担持した平均粒径50〜60nmのカーボンブラックを用いた。エタノール溶液としては、パーフルオロカーボンスルホン酸を91重量%含むエタノール溶液を用いた。
また、第2触媒層4bを形成する触媒インクとして、カーボンブラック5gにイオン交換水15gを添加した後、エタノール溶液10gを添加し、超音波振動を加えながら混合した触媒インクを用いた。カーボンブラックとしては、平均粒径2〜3nmの白金とルテニウムの合金を50重量%担持した平均粒径50〜60nmのカーボンブラックを用いた。エタノール溶液としては、パーフルオロカーボンスルホン酸を91重量%含むエタノール溶液を用いた。
表1及び図3より、第1形状保持フィルム2の耳部2aを僅かに設けるだけでも、カール高さを大幅に低減できることが分かる。また、第1形状保持フィルム2の耳部2aの幅を5mm以上とした場合には、カールがほとんど発生しないことが分かる。
また、表1及び図4より、第2形状保持フィルム3の耳部3aの幅が0〜30mm程度である高分子フィルム10cでは、高分子電解質膜1と第2形状保持フィルム3との接着強度が、耳部3aを有さない従来の構成よりも向上していることが分かる。一方、第2形状保持フィルム3の耳部3aの幅が50mmよりも大きい51mmの場合は、高分子電解質膜1のカールは発生しないものの、接着強度が大幅に減少していることが分かる。すなわち、表1及び図4より、第2形状保持フィルム3の耳部3aの幅は、50mm以下であることが好ましく、30mm以下であることがより好ましいことが分かる。これらは、以下に説明する理由によるものと考えられる。
通常、高分子電解質膜は柔らかい部材であり、第2形状保持フィルムは硬い部材である。このように硬さの異なる部材を互いに貼り付ける場合、それらの隙間(界面)に空気が入り込みやすい。このため、従来の製造方法においては、高分子電解質膜101に第2形状保持フィルム103を貼り付ける際、図13に示すように、それらの間の空間120に多量の空気が流れ込む。この空気は、高分子電解質膜101に第2形状保持フィルム103を貼り付ける圧力により、空間120内から外部に押し出される。しかしながら、空間120内の空気の全部を外部に押し出すことは困難であり、空気の一部は空間120内に残留する。この空間120内に残留した空気の量が多くなるほど、高分子電解質膜101と第2形状保持フィルム103との接合強度が低下する。
また、従来の製造方法においては、高分子電解質膜101の幅と第2形状保持フィルム103の幅を同じ寸法にしている。しかしながら、高分子電解質膜101に第2形状保持フィルム103を貼り付ける際、図14A及び図14Bに示すように、高分子電解質膜101に対して第2形状保持フィルム103が左右にずれて貼り付けられることがあり得る。この場合、高分子電解質膜101の一部が外部に露出し、空間120内に残留する空気の量が増加する。
これに対して、本実施形態のように第2形状保持フィルム3に耳部3aを設けた場合、図5に示すように、耳部3aにより空間20内に流れ込む空気の一部の流れが阻害されて、空間20内に残留する空気の量が減少される。また、図6A及び図6B示すように、高分子電解質膜1に対して第2形状保持フィルム3が左右にずれて貼り付けられたとしても、耳部3aがあるため、高分子電解質膜1が外部に露出する部分を無くすことができる。これにより、空間20内に残留する空気の量が減少し、高分子電解質膜1と第2形状保持フィルム3との接合強度が向上する。
一方、耳部3aの幅が長くなるほど、本来外部に押し出されるはずの空間20内の空気が外部まで移動することができなくなる。すなわち、貼付ロール17a,17bにより高分子フィルム10bと第2形状保持フィルム3とが加圧されたとき、図7に示すように、空間20内の空気が連なって形成された空気の筋30が、本来、外部に向かって移動し外部に押し出される。しかしながら、耳部3aの幅が長くなると、空気の筋30が第2形状保持フィルム3の外部に完全に押し出される前に貼付ロール17a,17bによる加圧が終了してしまう。この場合、図8A及び図8Bに示すように、空気の筋20が高分子電解質膜1と第2形状保持フィルム3との間で滞留し、高分子電解質膜1と第2形状保持フィルム3との接合強度が低下する。
なお、耳部3aの幅が50mmよりも長いときに形成される空気の筋30は、第2形状保持フィルム3を変形させ、高分子電解質膜1にダメージを与えて発電性能を低下させたり、巻取りロール18による巻取りを困難にするなどの不良を引き起こす。
なお、前記では、高分子フィルム10bのカール高さ及び高分子フィルム10cの接合強度について検証した結果について説明したが、高分子フィルム10eのカール高さ及び高分子フィルム10fの接合強度についても同様の結果が得られることを確認している。すなわち、第2形状保持フィルム3の耳部3aの幅は、5mm以上であることが好ましい。これにより、第2触媒層4bの形成時に高分子電解質膜1がカールすることを大幅に抑えることができる。また、第3形状保持フィルム5の耳部5aの幅は、50mm以下であることが好ましく、30mm以下であることがより好ましい。これにより、高分子電解質膜1と第3形状保持フィルム5との接合強度を一定以上確保する、又は当該接合強度を従来よりも向上させることができる。なお、これらの寸法は、高分子電解質膜1のサイズが現在一般的なサイズ(例えば、幅300mm、幅500mmなど)であるもの全てに共通して好適な寸法である。
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の様態で実施できる。前記では、第1形状保持フィルム2の耳部2a、第2形状保持フィルム3の耳部3a、及び第3形状保持フィルム5の耳部5aの幅をそれぞれ同じ寸法としたが本発明はこれに限定されない。耳部2a、耳部3a、及び耳部5aの幅は、それぞれ異なる寸法であってもよい。
また、前記では、第1形状保持フィルム2の両側の耳部2a,2aの幅をそれぞれ同じ寸法としたが、本発明はこれに限定されない。第1形状保持フィルム2の両側の耳部2a,2aの幅は、それぞれ異なる寸法であってもよい。また、第2形状保持フィルム3の両側の耳部3a,3aの幅、及び第3形状保持フィルム5の両側の耳部5a,5aの幅も同様にそれぞれ異なる寸法であってもよい。
また、前記では、第1〜第3形状保持フィルム2,3,5の全てに耳部を設けたが、本発明はこれに限定されない。第1形状保持フィルム2又は第2形状保持フィルム3に耳部が設けられていればよい。これにより、従来よりも高分子電解質膜1のカール高さを抑えることができる。
本発明は、添付図面を参照しながら好ましい実施の形態に関連して充分に記載されているが、この技術に熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
2010年12月16日に出願された日本国特許出願No.2010−280293号の明細書、図面、および特許請求の範囲の開示内容は、全体として参照されて本明細書の中に取り入れられるものである。
本発明にかかる膜電極接合体の製造方法は、触媒層を形成するために触媒インクを乾燥させる際に高分子電解質膜がカールすることを抑えることができるので、例えば、携帯型電子機器、自動車などの移動体、分散発電システム及び家庭用コージェネレーションシステムなどの駆動電源として使用される燃料電池が備える膜−触媒層接合体の製造方法として有用である。

Claims (8)

  1. 燃料電池用の膜−触媒層接合体の製造方法であって、
    高分子電解質膜の一方の面に、前記電解質膜よりも幅が長い形状保持フィルムを前記電解質膜の幅方向の両側にはみ出すように貼り付けた膜−形状保持フィルム接合体を準備する準備工程と、
    前記形状保持フィルムを貼り付けた前記電解質膜の他方の面に、触媒インクを塗布した後、乾燥して触媒層を形成する触媒層形成工程と、
    前記触媒層を形成した前記電解質膜の他方の面に、前記電解質膜よりも幅が長い第2形状保持フィルムを前記電解質膜の幅方向の両側にはみ出すように貼り付ける第2フィルム貼付工程と、
    前記第2形状保持フィルムを貼り付けた前記電解質膜から前記形状保持フィルムを剥離するフィルム剥離工程と、
    前記形状保持フィルムを剥離して露出させた前記電解質膜上に第2触媒インクを塗布した後、乾燥して第2触媒層を形成する第2触媒層形成工程と、
    を含む、膜−触媒層接合体の製造方法。
  2. 前記形状保持フィルムが前記電解質膜の幅方向にはみ出す量は、5mm以上である、請求項1に記載の膜−触媒層接合体の製造方法。
  3. 前記第2形状保持フィルムが前記電解質膜の幅方向にはみ出す量は、5mm以上である、請求項1又は2に記載の膜−触媒層接合体の製造方法。
  4. 前記第2形状保持フィルムが前記電解質膜の幅方向にはみ出す量は、50mm以下である、請求項1〜3のいずれか1つに記載の膜−触媒層接合体の製造方法。
  5. 前記第2形状保持フィルムが前記電解質膜の幅方向にはみ出す量は、30mm以下である、請求項1〜4のいずれか1つに記載の膜−触媒層接合体の製造方法。
  6. 前記第2触媒層を形成した前記電解質膜の一方の面に、前記電解質膜よりも幅が長い第3形状保持フィルムを前記電解質膜の幅方向の両側にはみ出すように貼り付ける第3フィルム貼付工程をさらに含む、請求項1〜5のいずれか1つに記載の膜−触媒層接合体の製造方法。
  7. 前記第3形状保持フィルムが前記電解質膜の幅方向にはみ出す量は、50mm以下である、請求項に記載の膜−触媒層接合体の製造方法。
  8. 前記第3形状保持フィルムが前記電解質膜の幅方向にはみ出す量は、30mm以下である、請求項又はに記載の膜−触媒層接合体の製造方法。
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