JP2016171062A - ガス拡散層、積層体及びそれらの製造方法 - Google Patents

ガス拡散層、積層体及びそれらの製造方法 Download PDF

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仁司 大谷
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Abstract

【課題】保管が容易なガス拡散層を提供することを主な目的とする。
【解決手段】第1導電性多孔質層1aを備える長尺のガス拡散層1であって、ガス拡散層1はロール状に巻かれており、第1導電性多孔質層1aは導電性炭素材料及び高分子重合体を含み、第1導電性多孔質層1aの引張破壊応力が3.0MPa〜10.0MPaである、ガス拡散層1。
【選択図】図1

Description

本発明は、ガス拡散層、積層体及びそれらの製造方法に関する。
燃料電池は、電解質の両面に電極が配置され、水素と酸素の電気化学反応により発電する電池であり、発電時に発生するのは水のみである。このように従来の内燃機関と異なり、二酸化炭素等の環境負荷ガスを発生しないために次世代のクリーンエネルギーシステムとして普及が見込まれている。その中でも特に固体高分子形燃料電池は、作動温度が低く、電解質の抵抗が少ないことに加え、活性の高い触媒を用いるので小型でも高出力を得ることができ、家庭用コージェネレーションシステム等として実用化されている。
固体高分子形燃料電池は、電解質膜の両面に触媒層が形成された触媒層−電解質膜積層体、及び、この触媒層−電解質膜積層体の各触媒層上にガス拡散層が形成された膜−電極接合体を主な構成要素としている。ガス拡散層は、ガス拡散層用ペーストをシート上に塗布して乾燥させることにより形成される(例えば、特許文献1参照)。
特開2006−31951号公報
量産性を考慮すると、長尺のシート上に形成されたガス拡散層と、長尺のシート上に形成された触媒層−電解質膜積層体とを積層して、膜−電極接合体を形成することが好ましい。長尺のシート上に形成されたガス拡散層は、このままの状態で保管されたり、ユーザーへ供給されることがあるが、生産性の観点から、ロール状に巻き取られた状態で保管されることがある。
しかし、シート付きガス拡散層をロール状に巻き取ると、通常、ガス拡散層の厚さは数10μmであるのに対し、シートの厚さも数10μmであるため、シート付きガス拡散層のロール体の直径及び重量が大きくなり、輸送や加工が困難となる。また、シートが保管環境の雰囲気によって収縮または膨張すると、ガス拡散層もシートに追随して収縮等するため、ガス拡散層の細孔が潰れるおそれがある。
一方、従来のガス拡散層は引張破断応力が小さいため、シートを剥がした状態で搬送したり、巻き取ることが困難である。よって、大量生産に適さず、保管および輸送に難があった。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであって、保管が容易なガス拡散層の提供を目的とする。
本発明に係るガス拡散層は、第1導電性多孔質層を備える長尺のガス拡散層であって、前記ガス拡散層はロール状に巻かれており、前記第1導電性多孔質層は導電性炭素材料及び高分子重合体を含み、前記第1導電性多孔質層の引張破壊応力が3.0MPa〜10.0MPaである。
本発明に係るガス拡散層では、第1導電性多孔質層の引張破壊応力が3.0MPa〜10.0MPaと大きいので、ガス拡散層を単独で自立したシート状とすることができる。そのため、ガス拡散層をシートに付着させることなくロール状に巻くことができる。ガス拡散層のロール体は、従来のシート付きガス拡散層のロール体に比べ、直径及び重量を小さくすることができ、輸送や加工が容易になる。また、ガス拡散層は、従来のシート付きガス拡散層のロール体のようにシートの収縮または膨張による影響を受けることもない。よって、ガス拡散層は、従来のシート付きガス拡散層に比べ、容易に保管することができる。
上記ガス拡散層では、前記第1導電性多孔質層の一方面の算術平均粗さが、前記第1導電性多孔質層の他方面の算術平均粗さより大きいことが好ましい。
上記ガス拡散層では、前記導電性炭素材料のジブチルフタレート吸収量が、170cm/100g以下であることが好ましい。
上記ガス拡散層では、前記第1導電性多孔質層の密度が0.55g/cm〜1.05g/cmであることが好ましい。
上記ガス拡散層では、前記第1導電性多孔質層の厚みが1μm〜300μmであることが好ましい。
上記ガス拡散層では、前記第1導電性多孔質層に積層された第2導電性多孔質層を備え、前記第2導電性多孔質層は黒鉛及び高分子重合体を含んでもよい。
本発明に係る積層体は、本発明に係るガス拡散層と、前記ガス拡散層の何れかの面に積層された触媒層及び導電性多孔質基材と、を備えてもよい。
本発明に係る積層体は、本発明に係るガス拡散層と、前記ガス拡散層の一方面に積層された導電性多孔質基材と、前記ガス拡散層の他方面に積層された触媒層と、を備えてもよい。
本発明に係るガス拡散層の製造方法は、導電性炭素材料、高分子重合体及び溶剤を含むペーストをシート上に塗布する塗布工程と、前記塗布されたペーストを乾燥させてなる第1導電性多孔質層を備えるガス拡散層を形成するガス拡散層形成工程と、前記ガス拡散層から前記シートを剥離する剥離工程と、前記剥離されたガス拡散層を巻き取る第1巻取工程と、を備え、前記第1導電性多孔質層は、引張破壊応力が3.0MPa〜10.0MPaである。
本発明に係るガス拡散層の製造方法では、第1導電性多孔質層の引張破壊応力が3.0MPa〜10.0MPaと大きいので、シートが剥離されたガス拡散層をロール状に巻き取ることができる。ガス拡散層のロール体は、従来のシート付きガス拡散層のロール体に比べ、直径及び重量を小さくすることができ、シートの収縮または膨張による影響を受けることもないので、容易に保管することができる。
前記ガス拡散層は、黒鉛及び高分子重合体を含む第2導電性多孔質層をさらに備え、上記ガス拡散層の製造方法は、前記第1巻取工程の前に、前記第2導電性多孔質層を前記第1導電性多孔質層に積層する積層工程を備えてもよい。
本発明に係る積層体の製造方法は、本発明に係るガス拡散層の製造方法によって製造されたガス拡散層を巻き出す巻出工程と、前記巻き出されたガス拡散層の何れかの面に触媒層及び導電性多孔質基材を積層して積層体を形成する積層体形成工程と、を備えてもよい。
本発明に係る積層体の製造方法は、本発明に係るガス拡散層の製造方法によって製造されたガス拡散層を巻き出す巻出工程と、前記巻き出されたガス拡散層の一方面に導電性多孔質基材を積層し、他方面に触媒層を積層して積層体を形成する積層体形成工程と、を備えてもよい。
上記積層体の製造方法は、前記積層体を巻き取る第2巻取工程をさらに備えてもよい。
本発明に係る積層体の製造方法は、導電性炭素材料、高分子重合体及び溶剤を含むペーストをシート上に塗布する塗布工程と、前記塗布されたペーストを乾燥させてなる第1導電性多孔質層を備えるガス拡散層を形成するガス拡散層形成工程と、前記ガス拡散層から前記シートを剥離する剥離工程と、前記剥離工程の後に、前記ガス拡散層の一方面に触媒層及び導電性多孔質基材の一方を積層して積層体を形成する積層体形成工程と、前記積層体を巻き取る巻取工程と、を備え、前記第1導電性多孔質層は、引張破壊応力が3.0MPa〜10.0MPaである。
本発明に係る積層体の製造方法では、第1導電性多孔質層の引張破壊応力が3.0MPa〜10.0MPaであるため、積層体にシートを付着させていなくても、積層体を破損することなく巻き取ることができる。これにより、ロール状に巻かれた積層体を製造することができる。
前記ガス拡散層は、黒鉛及び高分子重合体を含む第2導電性多孔質層をさらに備え、上記積層体の製造方法は、前記ガス拡散層形成工程と前記巻取工程との間に、前記第2導電性多孔質層を前記第1導電性多孔質層に積層する第1積層工程を備えてもよい。
本発明に係る積層体の製造方法は、導電性炭素材料、高分子重合体及び溶剤を含むペーストをシート上に塗布する塗布工程と、前記塗布されたペーストを乾燥させてなる第1導電性多孔質層を備えるガス拡散層を形成するガス拡散層形成工程と、前記ガス拡散層の一方面に触媒層及び導電性多孔質基材の一方を積層して積層体を形成する積層体形成工程と、前記積層体形成工程の後に、前記ガス拡散層から前記シートを剥離する剥離工程と、
前記剥離工程の後に、前記積層体を巻き取る巻取工程と、を備え、前記第1導電性多孔質層は、引張破壊応力が3.0MPa〜10.0MPaである。
前記ガス拡散層は、黒鉛及び高分子重合体を含む第2導電性多孔質層をさらに備え、上記積層体の製造方法は、前記ガス拡散層形成工程と前記積層体形成工程との間、又は、前記剥離工程と前記巻取工程との間に、前記第2導電性多孔質層を前記第1導電性多孔質層に積層する第1積層工程を備えてもよい。
本発明に係る積層体の製造方法は、導電性炭素材料、高分子重合体及び溶剤を含むペーストをシート上に塗布する塗布工程と、前記ペーストに触媒層及び導電性多孔質基材の一方を積層して積層体を形成する積層体形成工程と、前記積層体形成工程の後に、前記積層体のペーストを乾燥させてなる第1導電性多孔質層を備えたガス拡散層であって、一方面に前記触媒層及び前記導電性多孔質基材の前記一方が積層されたガス拡散層を形成するガス拡散層形成工程と、前記ガス拡散層形成工程の後に、前記ガス拡散層から前記シートを剥離する剥離工程と、前記剥離工程の後に、前記積層体を巻き取る巻取工程と、を備え、前記第1導電性多孔質層は、引張破壊応力が3.0MPa〜10.0MPaである。
前記ガス拡散層は、黒鉛及び高分子重合体を含む第2導電性多孔質層をさらに備え、上記積層体の製造方法は、前記剥離工程と前記巻取工程との間に、前記第2導電性多孔質層を前記第1導電性多孔質層に積層する第1積層工程を備えてもよい。
上記積層体の製造方法は、前記剥離工程と前記巻取工程との間に、前記ガス拡散層の他方面に前記触媒層及び前記導電性多孔質基材の他方を積層する第2積層工程をさらに備えてもよい。
本発明によって、保管が容易なガス拡散層を提供することができる。
実施形態1に係るガス拡散層の側面図である。 実施形態1の変形例に係るガス拡散層の側面図である。 実施形態1に係るガス拡散層製造装置の側面図である。 実施形態1の変形例に係るガス拡散層製造装置の側面図である。 実施形態1に係る積層体製造装置の側面図である。 図5の積層体製造装置によって製造された積層体の側面図である。 膜−電極接合体を製造する工程を示す側面図である。 (a)〜(c)は、膜−電極接合体を製造する工程を示す側面図である。 実施形態1の変形例に係る積層体製造装置の側面図である。 実施形態1の他の変形例に係る積層体製造装置の側面図である。 図10の積層体製造装置によって製造された積層体の側面図である。 実施形態2に係る積層体製造装置の側面図である。 実施形態2の変形例1に係る積層体製造装置の側面図である。 実施形態2の変形例2に係る積層体製造装置の側面図である 実施形態2の変形例3に係る積層体製造装置の側面図である。 実施形態2の変形例4に係る積層体製造装置の側面図である 実施形態2の変形例5に係る積層体製造装置の側面図である。 ガス拡散層の単独搬送評価を行うための装置の側面図である。
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。なお、本発明は、下記の実施形態に限定されるものではない。また、本明細書等において、「値XがA1〜A2である」との表記は、「A1≦X≦A2である」ことを意味する。
〔実施形態1〕
本実施形態では、本発明に係るガス拡散層の構成及び製造方法、並びに、当該ガス拡散層から製造される積層体の構成及び製造方法について説明する。また、本実施形態に係る積層体は、一旦ガス拡散層を単独でロール状に巻き取り、その後、ガス拡散層を巻き出してから製造される。
(ガス拡散層の構成)
図1は、本発明の一実施形態に係るガス拡散層1を示している。ガス拡散層1は、第1導電性多孔質層1aを備える長尺のシート状のものであり、芯C1の周りにロール状に巻かれている。第1導電性多孔質層1aは、導電性炭素材料及び高分子重合体を含み、第1導電性多孔質層1aの引張破壊応力が3.0MPa〜10.0MPaである。
このように、本実施形態に係るガス拡散層1は、ガス拡散層1を構成する第1導電性多孔質層1aが高分子重合体及び溶剤を含み、第1導電性多孔質層1aの引張破壊応力が3.0MPa〜10.0MPaと大きい。第1導電性多孔質層1aの引張破壊応力が3.0MPa〜10.0MPaの範囲内であると、第1導電性多孔質層1aの強度を向上させることができるとともに、ハンドリング性を向上させることができる。よって、ガス拡散層1を単独で自立したシート状とすることができる。従来のガス拡散層は、自立性がないため、シートに付着された状態でシートとともにロール状に巻かれていたが、本実施形態に係るガス拡散層1は、自立性を有するため、図1に示すように、シートに付着させることなくロール状に巻くことができる。言い換えると、図1に示すガス拡散層1は、巻層間において一方面Faと他方面Fbとが接触しており、シートが介在していない。よって、同一の分量のガス拡散層をロール体とする場合に、ガス拡散層1のロール体は、従来のシート付きガス拡散層のロール体に比べ、直径及び重量を小さくすることができ、輸送や加工が容易になる。また、ガス拡散層1は、従来のシート付きガス拡散層のロール体のようにシートの収縮または膨張による影響を受けることもない。よって、ガス拡散層1は、従来のシート付きガス拡散層に比べ、容易に保管することができる。
なお、第1導電性多孔質層1aの引張破壊応力は、4MPa〜9MPaであることがより好ましい。第1導電性多孔質層1aの引張破壊応力は、後述する導電性炭素材料及び高分子重合体の種類の他、高分子重合体の含有量や、第1導電性多孔質層1aを形成するための組成物(ペースト)を作製する際の分散時間などを適宜設定することで調整することができる。なお、第1導電性多孔質層1aの引張破壊応力は、ダンベル形の1B形ではなくダンベル状2号形を用い、試験速度を3mm/分とすること以外は、JIS K 7161−1:2014に規定される方法に準拠して測定することができる。なお、ダンベル状2号形の試験片の形状及び寸法はJIS K 6251:2010に準拠する。
第1導電性多孔質層1aに含まれる導電性炭素材料は、通常、導電性炭素材料同士が複数融着し、ストラクチャーと呼ばれる二次構造を形成している。導電性炭素材料の種類によっては、このストラクチャーが発達している炭素材料(高ストラクチャー導電性炭素材料)とストラクチャーが発達していない炭素材料(低ストラクチャー導電性炭素材料)とが存在する。本実施形態では、低ストラクチャー導電性炭素材料を使用することにより、ガス拡散層の機能(ガス拡散性能、ガス透過性能、撥水性等)を維持しつつガス拡散層の強度(特に引張破壊応力)を向上させることができ、ハンドリング性も向上する。また、低ストラクチャー導電性炭素材料は、上記のストラクチャーがあまり発達していないことから、第1導電性多孔質層を高密度とすることができ空隙の潰れを抑制することができる。
導電性炭素材料のストラクチャーの発達度合については、電子顕微鏡で観察して決定する方法もあるが、本実施形態では、DBP吸収量で判断する。DBP吸収量とは、単位質量の導電性炭素材料にジブチルフタレートを接触させた際に、導電性炭素材料に吸収されるジブチルフタレートの量を意味する。このDBP吸収量は、JIS K 6221に記載の方法にしたがって測定するものである。
ジブチルフタレートは、通常導電性炭素材料の間隙に吸収されることから、導電性炭素材料のストラクチャーが発達している場合はDBP吸収量が大きくなり、導電性炭素材料のストラクチャーが発達していない場合はDBP吸収量が小さくなる傾向がある。つまり、高ストラクチャー導電性炭素材料はDBP吸収量が大きくなり、低ストラクチャー導電性炭素材料はDBP吸収量が小さくなる傾向がある。
このような観点から、第1導電性多孔質層1aに含まれる導電性炭素材料は、DBPの吸収量が、170cm/100g以下、均一な膜を成膜しやすい観点から好ましくは30cm/100g〜150cm/100g、成膜性の観点からより好ましくは50cm/100g〜150cm/100g、ガス拡散性の観点からさらに好ましくは100cm/100g〜150cm/100gである。これにより、ガス拡散層1の機能(ガス拡散性能、ガス透過性能、撥水性等)を維持しつつガス拡散層の強度(特に引張破壊応力)を向上させることができる。また、第1導電性多孔質層1aを高密度とすることができることから、後述する導電性多孔質基材やセパレータからの締め圧により第1導電性多孔質層1aの空隙が潰れることを抑制することができる。さらに、第1導電性多孔質層1aの強度が向上するため、単独で自立した膜とすることができ、シートに付着させることなくロール状に巻くことができる。
このような条件を満たす導電性炭素材料は、公知又は市販の材料を使用でき、その形状としては、例えば、導電性炭素粒子等が挙げられる。
導電性炭素粒子を使用する場合、導電性を有し、上記のDBP吸収量を有する炭素材であれば特に限定されず、公知又は市販の材料を使用できる。例えば、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック等のカーボンブラック;黒鉛;活性炭等が挙げられる。これらのなかでも、導電性炭素材料のストラクチャーを制御しやすく、所望のストラクチャー長の導電性炭素材料(所望のDBP吸収量を有する導電性炭素材料)を得やすいとともに、第1導電性多孔質層1aの強度(特に引張破壊応力)をより向上させることができる観点から、カーボンブラックが好ましく、ファーネスブラックがより好ましい。これらは、1種単独又は2種以上で用いることができる。例えば、ファーネスブラックを単独で使用することもできるし、ファーネスブラックと他の導電性炭素材料とを併用して使用することもできる。
導電性炭素材料(特に導電性炭素粒子)の平均粒子径は、所望のストラクチャー長の導電性炭素材料(所望のDBP吸収量を有する導電性炭素材料)としやすいとともに、分散性に優れ、面質を向上させやすい観点から、5nm〜200nm程度が好ましく、5nm〜100nm程度がより好ましい。導電性炭素材料(特に導電性炭素粒子)の平均粒子径は、粒子径分布測定装置LA−920:(株)堀場製作所製により測定する。
また、第1導電性多孔質層1aに含まれる高分子重合体としては、公知又は市販の材料を使用できる。具体的には、イオン伝導性高分子樹脂(Nafion等)、酢酸ビニル樹脂、スチレン−アクリル共重合体樹脂、スチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリエステル−アクリル共重合体樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリオレフィン系樹脂等が挙げられる。また、六フッ化プロピレン−フッ化ビニリデン共重合体、三フッ化塩化エチレン−フッ化ビニリデン共重合体等のフッ素系材料、シリコーンゴム等も挙げられる。
また、高分子重合体としてフッ素ゴム等のエラストマーを使用すれば、第2導電性多孔質層12の柔軟性をより向上させることができる。また、上記高分子重合体は、エマルジョン(高分子重合体粒子を分散させた懸濁液)を使用してもよいし、分散媒に溶解させた高分子重合体を用いてもよい。エマルジョンを使用する場合には、分散媒に高分子重合体を分散させて調製するか、市販品を使用することが好ましい。分散媒としては、例えば、水の他、公知又は市販のアルコール類、ケトン類、芳香族炭化水素類、エステル類、他の有機溶媒を使用することができ、例えば、炭素数1〜5程度の1価又は多価のアルコール類、総炭素数が2〜6程度のケトン類、炭素数が6〜10程度の芳香族炭化水素類、総炭素数が2〜5程度のエステル類、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド等が挙げられる。具体的には、水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロピルアルコール、1−ブタノール、1−ペンタノール;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン;トルエン;酢酸ビニル;N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド等が挙げられる。
また、高分子重合体が熱硬化性樹脂を含まない場合も、第1導電性多孔質層1aの柔軟性をより向上させることができる。
また、第1導電性多孔質層1aへ撥水性を付与するため、フッ素樹脂等の疎水性樹脂を使用することもできる。このような疎水性樹脂としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)、フッ化エチレンプロピレン樹脂(FEP)、パーフルオロアルコキシ樹脂(PFA)等が挙げられる。
これらの高分子重合体は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。なかでも、撥水性、耐酸性、耐アルカリ性、耐熱性等(特に撥水性)の観点から、疎水性樹脂を使用することが好ましい。
本実施形態において、第1導電性多孔質層1aには、本発明の効果を損なわない範囲であれば、DBP吸収量が上記範囲外(例えば、170cm/100gより大きい)の導電性炭素材料を含んでいてもよい。このようなDBP吸収量が上記範囲外の導電性炭素材料の種類及び形状としては、上記説明した導電性炭素材料と同様の材料粒子を採用することができる。また、DBP吸収量が上記範囲外の導電性炭素材料としては、導電性炭素繊維も採用することができる。導電性炭素繊維としては、例えば、気相成長法炭素繊維(VGCF)、カーボンナノチューブ、ワイヤーカップ、ワイヤーウォール等が挙げられる。これらの導電性炭素繊維は、1種又は2種以上を使用することができる。導電性炭素繊維の平均繊維径は、例えば、50nm〜400nmが好ましく、100nm〜250nm程度がより好ましい。導電性炭素繊維の平均繊維長は、例えば、5μm〜50μm程度が好ましく、10μm〜20μm程度がより好ましい。導電性炭素繊維の平均アスペクト比は、例えば、10μm〜500程度が好ましい。なお、導電性炭素繊維の繊維径、繊維長及びアスペクト比は、走査型電子顕微鏡(SEM)等により測定した画像等により測定する。DBP吸収量が上記範囲外の導電性炭素材料を使用する場合、これらの材料のうち1種類のみを使用してもよいし、2種以上を組合せて使用してもよい。
第1導電性多孔質層1aにおいて、上記各成分の配合割合は、例えば、DBP吸収量が170cm/100g以下である導電性炭素材料100質量部に対して、高分子重合体を5質量部〜200質量部程度(特に40質量部〜100質量部程度)が好ましい。また、第1導電性多孔質層1a中に、DBP吸収量が上記範囲外の導電性炭素材料を含ませる場合には、その含有量については、本発明の効果を損なわない範囲とすることが好ましい。
第1導電性多孔質層1aの密度は、0.55g/cm〜1.05g/cm、好ましくは0.65g/cm〜1.00g/cm、成膜性の観点からより好ましくは0.65g/cm〜0.90g/cm、ガス拡散性の観点からさらに好ましくは0.65g/cm〜0.80g/cmである。第1導電性多孔質層1aの密度が0.55g/cm〜1.05g/cmの範囲内にあると、第1導電性多孔質層1aの強度(特に引張破壊応力)を十分大きくすることができ、ハンドリング性をさらに良好にできるからである。第1導電性多孔質層1aの密度は、上記導電性炭素材料及び高分子重合体の種類の他、上記高分子重合体の含有量や第1導電性多孔質層1aを形成するための組成物(ペースト)を作製する際の分散時間などを適宜設定することで調整することができる。なお、第1導電性多孔質層1aの密度は、10cm×10cmのサンプルの質量及び厚みから算出する。
第1導電性多孔質層1aの厚みは、単体でシートとして成立しやすくする観点から、通常1μm〜300μm程度であり、特に5μm〜250μm程度が好ましい。また、第1導電性多孔質層1aは、例えば、長さが1μm〜1000mであり、幅が50mm〜1000mmである。また、ガス拡散層1の芯C1などに巻き付けられる数は特に限定されず、ロール状に巻かれたガス拡散層1の直径が保管等に適した大きさになるように設定される。
また、本実施形態では、第1導電性多孔質層1aの一方面Faの算術平均粗さSaが他方面Fbの算術平均粗さSbよりも大きい。つまり、詳細は後述するが、第1導電性多孔質層1aは、長尺のシート上にペーストを塗布して乾燥させ、発泡剤を含有する場合には更に発泡工程を経ることにより形成され、その後、シートが第1導電性多孔質層1aから剥離される。そのため、第1導電性多孔質層1aのシートが剥離された側の面となる他方面Fbが一方面Faよりも平滑になる。第1導電性多孔質層1aの算術平均粗さSa,Sbは、
10≦{1−(Sb/Sa)}×100≦40 …式(1)
を満たすことが好ましい。
なお、算術平均粗さSa,Sbは、例えば7.5μm以下であり、5μm以下であることが好ましく、3μm以下であることがさらに好ましい。また、算術平均粗さSa,Sbは小さいほど好ましいが、通常は1μm以上である。
芯C1は、例えばプラスチックや紙等の材料を円筒形に成型したものを用いることができる。芯C1の長さは、ガス拡散層1の幅と同じ、又はそれより若干大きい。芯C1の直径は、ガス拡散層1の芯C1に接する部分が湾曲によって破断しない程度の大きさであればよく、ガス拡散層1の曲げ弾性率に応じて設定される。本実施形態では、芯C1として、3インチ管(内径3インチ、外径10cm)を使用しているが、第1導電性多孔質層1aは高分子重合体を含んでおり柔軟性が高いため、外径が1cm程度のものを使用することができる。なお、第1導電性多孔質層1aの引張破壊応力が十分大きい場合は、ガス拡散層1を芯C1を用いずにロール状に巻いてもよい。
図1に示すガス拡散層1は第1導電性多孔質層1aのみから構成されているが、他の層をさらに備えてもよい。例えば、図2に示すように、ガス拡散層1は、第1導電性多孔質層1aに加え、第1導電性多孔質層1aに積層された第2導電性多孔質層1bを備えていてもよい。
第2導電性多孔質層1bは、黒鉛及び高分子重合体を含んでいる。黒鉛としては、公知又は市販の材料を使用でき、その形状としては、例えば、球状黒鉛、楕円状黒鉛、鱗片状黒鉛、薄片状黒鉛、繊維状黒鉛等のいずれでもよい。なかでも、より高いガス拡散性能を付与できる観点から、球状黒鉛又は楕円状黒鉛が好ましく、球状黒鉛がより好ましい。
黒鉛の平均粒子径は、第2導電性多孔質層の膜厚を薄くするとともに空隙率を低くする場合は平均粒子径を小さくすることが好ましく、空隙率を高くする場合は平均粒子径を大きくすることが好ましい観点から、500nm〜100μm程度が好ましく、1μm〜80μm程度がより好ましい。黒鉛の平均粒子径は、粒子径分布測定装置LA−920:(株)堀場製作所製により測定する。
また、高分子重合体としては、上述した第1導電性多孔質層1aに用いられる高分子重合体と同様の材料を使用できる。つまり、高分子重合体としては、イオン伝導性高分子樹脂(Nafion等)、酢酸ビニル樹脂、スチレン−アクリル共重合体樹脂、スチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリエステル−アクリル共重合体樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリオレフィン系樹脂等が挙げられる。また、六フッ化プロピレン−フッ化ビニリデン共重合体、三フッ化塩化エチレン−フッ化ビニリデン共重合体等のフッ素系材料、シリコーンゴム等も挙げられる。
また、高分子重合体としてフッ素ゴム等のエラストマーを使用すれば、第2導電性多孔質層1bの柔軟性をより向上させることができる。また、上記高分子重合体は、エマルジョン(高分子重合体粒子を分散させた懸濁液)を使用してもよいし、分散媒に溶解させた高分子重合体を用いてもよい。エマルジョンを使用する場合には、分散媒に高分子重合体を分散させて調製するか、市販品を使用することが好ましい。分散媒としては、例えば、水の他、公知又は市販のアルコール類、ケトン類、芳香族炭化水素類、エステル類、他の有機溶媒を使用することができ、例えば、炭素数1〜5程度の1価又は多価のアルコール類、総炭素数が2〜6程度のケトン類、炭素数が6〜10程度の芳香族炭化水素類、総炭素数が2〜5程度のエステル類、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド等が挙げられる。具体的には、水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロピルアルコール、1−ブタノール、1−ペンタノール;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン;トルエン;酢酸ビニル;N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド等が挙げられる。
また、第2導電性多孔質層1bへ撥水性を付与するため、フッ素樹脂等の疎水性樹脂を使用することもできる。このような疎水性樹脂としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)、フッ化エチレンプロピレン樹脂(FEP)、パーフルオロアルコキシ樹脂(PFA)等が挙げられる。
これらの高分子重合体は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。なかでも、撥水性、耐酸性、耐アルカリ性、耐熱性等(特に撥水性)の点から、疎水性樹脂を使用することが好ましい。
本実施形態において、第2導電性多孔質層1bには、本発明の効果を損なわない範囲であれば、黒鉛以外の導電性炭素材料、分散剤、分散媒、発泡剤等を含んでいてもよい。このような黒鉛以外の導電性炭素材料としては、公知又は市販の材料を使用でき、例えば、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック等のカーボンブラック;活性炭等の導電性炭素粒子の他、気相成長法炭素繊維(VGCF)、カーボンナノチューブ、ワイヤーカップ、ワイヤーウォール等の導電性炭素繊維も挙げられる。これらの黒鉛以外の導電性炭素材料は、1種又は2種以上を使用することができる。導電性炭素繊維の平均繊維径は、例えば、50〜400nmが好ましく、100〜250nm程度がより好ましい。導電性炭素繊維の平均繊維長は、例えば、5〜50μm程度が好ましく、10〜20μm程度がより好ましい。導電性炭素繊維の平均アスペクト比は、例えば、10〜500程度が好ましい。なお、導電性炭素繊維の繊維径、繊維長及びアスペクト比は、走査型電子顕微鏡(SEM)等により測定した画像等により測定する。DBP吸収量が上記範囲外の導電性炭素材料を使用する場合、これらの材料のうち1種類のみを使用してもよいし、2種以上を組合せて使用してもよい。
第2導電性多孔質層1bにおいて、上記各成分の配合割合は、例えば、黒鉛100質量部に対して、高分子重合体を1質量部〜200質量部程度(特に5質量部〜100質量部程度)が好ましい。また、第2導電性多孔質層1b中に、黒鉛以外の導電性炭素材料、分散剤、分散媒、発泡剤等を含ませる場合には、その含有量については、本発明の効果を損なわない範囲とすることが好ましい。
ガス拡散層1を第1導電性多孔質層1a及び第2導電性多孔質層1bの二層構造とすることにより、第2導電性多孔質層1bが緩衝層として機能する。よって、後述する導電性多孔質基材やセパレータからの締め圧により第1導電性多孔質層1aの空隙が潰れることをより抑制することができる。また、本発明では、第1導電性多孔質層1aは自立性を有しており、単体でシート状とすることができるから、その第1導電性多孔質層1aと積層する第2導電性多孔質層1bを自立させる必要がない。したがって、第2導電性多孔質層1bは空隙をより増大させてガス拡散性能の高い層とすることも可能である。さらに、第1導電性多孔質層1aの厚みを単独で厚くした場合にはガス拡散性能を維持することが困難であるが、第2導電性多孔質層1bを形成することで、ガス拡散層の厚みを容易に所望の厚みとすることもできる。この第2導電性多孔質層1bは、例えば、黒鉛及び高分子重合体を含む第2導電性多孔質層形成用組成物を用いて、第1導電性多孔質層1a上に形成することができる。また、第2導電性多孔質層1bの厚みは、後述する導電性多孔質基材やセパレータからの締め圧により第1導電性多孔質層1aの空隙が潰れることをより抑制しつつガス拡散性に優れた層とする観点から、通常1μm〜350μm程度が好ましく、5μm〜300μm程度がより好ましい。また、第1導電性多孔質層1aと第2導電性多孔質層1bとを備えるガス拡散層1全体の厚みは、1μm〜400μmが好ましく、20μm〜250μmがより好ましい。
なお、ガス拡散層1が第1導電性多孔質層1a及び第2導電性多孔質層1bからなる場合には、ガス拡散層1の第1導電性多孔質層1a側の面の算術平均粗さをSc、第2導電性多孔質層1b側の面の算術平均粗さをSdとすると、
10≦{1−(Sc/Sd)}×100≦90
を満たすことが好ましい。
(ガス拡散層の製造方法)
続いて、本実施形態に係るガス拡散層の製造方法について説明する。
本実施形態に係るガス拡散層の製造方法は、導電性炭素材料、高分子重合体及び溶剤を含むペーストをシート上に塗布する塗布工程と、前記塗布されたペーストを乾燥させてなる第1導電性多孔質層を備えるガス拡散層を形成するガス拡散層形成工程と、前記ガス拡散層から前記シートを剥離する剥離工程と、前記剥離されたガス拡散層を巻き取る第1巻取工程と、を備え、前記第1導電性多孔質層は、引張破壊応力が3.0MPa〜10.0MPaである。
図3は、この製造方法を実施するためのガス拡散層製造装置30を示している。ガス拡散層製造装置30は、第1巻出し部11、第1塗布部21、第1乾燥部22、剥離ローラR1及び第1巻取り部12から主に構成されている。
第1巻出し部11は、長尺のシートAをロール状に巻いたものがセットされており、回転駆動モータ(図示省略)によって回転することにより長尺のシートAを下流側(図3の右方向)へと巻き出す。ガス拡散層1の製造方法では、まず、塗布工程の前に、シートAを用意するため、第1巻出し部11からシートAを下流側へ巻き出す。
シートAとしては、例えばポリイミド、ポリエチレンテレフタラート、ポリパルバン酸、アラミド、ポリアミド(ナイロン)、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテル・エーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアリレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン等の高分子フィルムを挙げることができる。また、シートAとして、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等を用いることができる。その他、アルミニウム箔、銅箔、ニッケル箔等の金属箔を使用することも可能である。これらの中でも、加工適性や入手のしやすい高分子フィルムが好ましく、例えば、ポリエチレンテレフタラート、ポリエチレンナフタレートやポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリイミドのフィルムなどを挙げることができ、その厚さは5μm〜200μmとすることが好ましい。シートAを巻き出す速度は、特に限定されるものではないが、1m/min〜100m/min程度とすることができる。また、シートAの上面に離型層が形成されていてもよい。上記離型層は特に限定されるものではなく、シート上にプラズマ処理、シリコンコーティング、フッ素コーティング等を行うことで得られる。
第1巻出し部11の下流側には、第1塗布部21が設けられている。塗布工程では、第1塗布部21によって、導電性炭素材料、高分子重合体及び溶剤を含むペーストP1をシートA上に塗布する。第1塗布部21は、例えばダイで構成され、ダイは、シートAの幅方向に吐出口が延びており、ガス拡散層用ペースト供給源(図示省略)から送られてきたペーストP1をシートA上に塗布する。
ペーストP1に含まれる導電性炭素材料及び高分子重合体は、上述したガス拡散層1の第1導電性多孔質層1aに含まれるものと同一である。ペーストP1に含まれる溶剤は、特に限定されるものではなく、例えば、水の他、公知又は市販のアルコール類、ケトン類、芳香族炭化水素類、エステル類、他の有機溶媒を使用することができ、例えば、炭素数1〜5程度の1価又は多価のアルコール類、総炭素数が2〜6程度のケトン類、炭素数が6〜10程度の芳香族炭化水素類、総炭素数が2〜5程度のエステル類、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド等が挙げられる。具体的には、水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロピルアルコール、1−ブタノール、1−ペンタノール;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン;トルエン;酢酸ビニル;N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド等が挙げられる。
第1塗布部21の下流側には第1乾燥部22が設けられている。ガス拡散層形成工程では、第1乾燥部22によってペーストP1を乾燥させることにより第1導電性多孔質層1aを形成する。これにより、第1導電性多孔質層1aを備えるガス拡散層1が形成される。この第1乾燥部22は、ペーストP1を加熱できるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、加熱炉や、加熱ヒータ、温風乾燥、赤外線ヒータなどを挙げることができる。第1乾燥部22における加熱温度は、ペーストP1中の溶剤を乾燥できる程度の温度である。第1乾燥部22によってペーストP1中の溶剤を乾燥できる程度の温度でペーストP1を加熱することにより、シートAを剥離したときに、ガス拡散層1を単独で搬送させることができる。なお、この第1乾燥部22による加熱温度は、ペーストP1中の樹脂や溶剤の種類によっても変わってくるが、一般的には、40℃〜150℃程度とすることができる。
第1乾燥部22の下流側には剥離ローラR1および第1巻取り部12が設けられている。剥離工程では、剥離ローラR1によって、ガス拡散層1からシートAを剥離する。第1巻取り部12は、回転駆動モータ(図示省略)を駆動源として回転することにより、剥離されたシートAを巻き取る。
その後、第1巻取工程において、シートAが剥離されたガス拡散層1を芯C1に巻き取る。芯C1は、剥離ローラR1の下流側に設けられており、両端が支持部材(図示省略)によって支持されている。この支持部材は、回転駆動モータ(図示省略)によって回転し、芯C1を図3における時計周りに回転させることにより、ガス拡散層1を巻き取ることができる。これにより、図1に示すような、ロール状に巻かれたガス拡散層1を製造することができる。また、ガス拡散層1を構成する第1導電性多孔質層1aの引張破壊応力が3.0MPa以上であることにより、ガス拡散層1は、巻き取られる際の外力によって破損することはない。
次に、図2に示すような、第1導電性多孔質層1a及び第2導電性多孔質層1bの二層構造のガス拡散層1を製造するための、本実施形態の変形例に係るガス拡散層の製造方法について説明する。このガス拡散層の製造方法は、前記第1巻取工程の前に、第2導電性多孔質層1bを第1導電性多孔質層1aに積層する積層工程をさらに備える。
図4は、このガス拡散層の製造方法を実施するためのガス拡散層製造装置31を示している。ガス拡散層製造装置31は、図3に示すガス拡散層製造装置30において、剥離ローラR1の下流側に、第2塗布部23及び第2乾燥部24をさらに備えたものである。
第2塗布部23は、黒鉛、高分子重合体及び溶剤を含むペーストP2を、第1導電性多孔質層1a上に塗布する。ペーストP2に含まれる黒鉛及び高分子重合体としては、上述したガス拡散層1の第2導電性多孔質層1bに含まれるものと同一である。また、溶剤は、ペーストP1に含まれるものと同様のものを用いることができる。第2塗布部23の下流側に第2乾燥部24が設けられており、第2乾燥部24は、ペーストP2を乾燥させることにより第2導電性多孔質層1bを形成する。これにより、第1導電性多孔質層1aに第2導電性多孔質層1bが積層され、第1導電性多孔質層1a及び第2導電性多孔質層1bからなるガス拡散層1が形成される。このガス拡散層1は、芯C1に巻き取られ、図2に示すロール状のガス拡散層1が製造される。なお、第2塗布部23及び第2乾燥部24はそれぞれ、第1塗布部21及び第1乾燥部22と同様のものを用いることができる。
(積層体及び膜−電極接合体の製造方法)
続いて、図1に示すガス拡散層1から積層体及び膜−電極接合体を製造する方法について説明する。
本実施形態に係る積層体の製造方法は、本実施形態に係るガス拡散層の製造方法によって製造されたガス拡散層を巻き出す巻出工程と、前記巻き出されたガス拡散層の何れかの面に触媒層又は導電性多孔質基材を積層して積層体を形成する積層体形成工程と、を備える。さらに、本実施形態に係る積層体の製造方法は、前記積層体を巻き取る第2巻取工程をさらに備える。
図5は、実施形態1に係る積層体の製造方法を実施するための積層体製造装置40を示している。積層体製造装置40は、第2巻出し部13、貼合ローラR2,R3、剥離ローラR4及び第2巻き取り部14から主に構成される。
巻出工程では、図5に示すように、ガス拡散層1が巻かれた芯C1の両端に支持部材を取り付け、この支持部材を回転駆動モータ(図示省略)によって図5における反時計回りに回転させる。これにより、ガス拡散層1を下流側(図5の右方向)に巻き出すことができる。
ロール状に巻かれたガス拡散層1の下流側には、第2巻出し部13及び貼合ローラR2,R3が設けられている。第2巻出し部13は、シートBが付着した長尺の触媒層2をロール状に巻いたものがセットされており、回転駆動モータ(図示省略)によって回転することにより触媒層2を巻き出す。貼合ローラR2,R3は、上下に対になるように設けられており、少なくとも一方は、予め熱せられている。積層体形成工程では、巻き出されたガス拡散層1及び触媒層2が、貼合ローラR2,R3の間に送り込まれ、熱プレスによりガス拡散層1の何れかの面(本実施形態では、他方面Fb)に触媒層2が積層される。これにより、ガス拡散層1及び触媒層2からなる積層体S1が形成される。その後、シートBは剥離ローラR4によって触媒層2から剥離され、第2巻き取り部14に巻き取られる。
触媒層2は、触媒を含有していればよく、例えば、炭素粒子に触媒粒子を担持させたものを用いてもよい。さらに触媒層2は、触媒の他に高分子重合体を含有してもよく、イオン伝導性高分子電解質等を用いてもよい。
触媒としては、例えば、白金や白金化合物などが挙げられる。白金化合物としては、例えば、ルテニウム、パラジウム、ニッケル、モリブデン、イリジウム、鉄などからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属と、白金との合金などが挙げられる。なお、通常は、触媒層に含まれる触媒は白金である。
炭素粒子は、導電性を有しているものであれば限定的ではなく、公知または市販のものを広く使用できる。例えば、カーボンブラックや、黒鉛、活性炭などを1種または2種以上で用いることができる。カーボンブラックの例としては、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、ランプブラックなどを挙げることができる。炭素粒子の算術平均粒子径は通常5nm〜200nm程度、好ましくは20nm〜80nm程度である。この炭素粒子の平均粒子径は、例えば、粒子径分布測定装置LA−920:(株)堀場製作所製などにより測定できる。
高分子重合体としては、特に限定的ではなく、公知の材料を使用できる。具体的には、イオン伝導性高分子電解質、酢酸ビニル樹脂、スチレン−アクリル共重合体樹脂、スチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリエステル−アクリル共重合体樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。また、六フッ化プロピレン−フッ化ビニリデン共重合体、三フッ化塩化エチレン−フッ化ビニリデン共重合体等のフッ素系材料、シリコーンゴム等も挙げられる。これらの高分子重合体は、単独で用いても良いし、2種類以上を組み合わせてもよい。
なお、図5に示す積層体製造装置40では、積層体形成工程において、熱プレスによる転写によってガス拡散層1上に触媒層2を形成したが、ガス拡散層1上に触媒層2を形成する方法は特に限定されず、例えば、熱を加えないプレスによる転写によってガス拡散層1上に触媒層2を形成してもよい。あるいは、ガス拡散層1上に触媒層形成用ペーストを塗布して乾燥させることによって触媒層2を形成してもよい。
また、ガス拡散層1の一方面Faに触媒層2を積層してもよいが、ガス拡散層1の他方面Fbのほうが、一方面Faよりも平滑であるため、ガス拡散層1の他方面Fbに触媒層2を積層することが好ましい。これにより、触媒層2とガス拡散層1との接触抵抗を低減することができる。また、触媒層2を触媒層形成用ペーストの塗布によって形成する場合、触媒層形成用ペーストを薄く且つ均一に塗布することができ、乾燥時間を短縮することができる。
このように、ガス拡散層1は、引張破壊応力が大きいので、シートAに付着させることなく単独で自立した膜とすることができる。そのため、ガス拡散層1のシートAを剥離した平滑な他方面Fbに触媒層2を積層することができる。なお、従来のシート付きガス拡散層は、引張破壊応力が小さいため、単独で自立した膜とすることができず、自立できたとしても単独で膜を搬送して加工することは非常に困難である。そのため、ガス拡散層のシートを剥離した面に触媒層を積層するためには、シートを剥離する前に導電性多孔質基材をガス拡散層のシートと反対側の面に積層して一体化し、その後、シートを剥離して、ガス拡散層のシートを剥離した面に触媒層を積層する必要がある。しかし、導電性多孔質基材の表面が粗いため、導電性多孔質基材が積層されたガス拡散層のシート側の面は平滑にならず、本実施形態のように、触媒層を薄く且つ均一に塗布することはできない。
その後、第2巻取工程では、積層体S1を芯C2に巻き取る。芯C2は、芯C1と同様の構成であり、貼合ローラR2,R3の下流側に設けられている。芯C2は、両端が支持部材(図示省略)によって支持されている。この支持部材は、回転駆動モータ(図示省略)によって回転し、芯C2を図5における時計周りに回転させることにより、ガス拡散層1を巻き取ることができる。これにより、図6に示すような、ロール状に巻かれた積層体S1を製造することができる。図6に示すように、ロール状に巻かれた積層体S1では、巻層間において、ガス拡散層1と触媒層2とが接触しており、シートは介在していない。そのため、図6に示す積層体S1は、シートに付着させた積層体S1を巻き取ったロール体に比べ、直径及び重量を小さくすることができる。
さらに、膜−電極接合体を製造する場合は、図7に示すように、ロール状に巻かれた積層体S1を巻き出し、切断部25によって長尺の積層体S1を枚葉状に切断する。切断部25としては、切断カッターなどのような公知の切断手段を用いることができる。
続いて、図8(a)に示すように、切断された枚葉状のガス拡散層1の触媒層2と反対側の面に導電性多孔質基材3を積層し、ガス拡散層1、触媒層2及び導電性多孔質基材3からなる積層体S2を形成する。続いて、図8(b)に示すように、電解質膜4の両面に、電解質膜4と触媒層2とが対向するように2つの積層体S2を配置して、積層体S2を電解質膜4に接合する。これにより、図8(c)に示すような膜−電極接合体5を製造することができる。さらに、膜−電極接合体5の導電性多孔質基材3上にセパレータを積層することにより、燃料電池が製造される。セパレータとしては、公知又は市販のセパレータを使用することができる。
導電性多孔質基材3としては、導電性を有し、多孔質なものである限り特に限定されず、公知又は市販の材料を使用することができる。例えば、カーボンペーパー、カーボンクロス、カーボンフェルト等が挙げられる。
導電性多孔質基材3の厚みは、第1導電性多孔質層1aを支持する観点から、通常50μm〜1000μm程度が好ましく、100μm〜400μm程度がより好ましい。
導電性多孔質基材3は、酸化剤ガスを触媒層2へ良好に拡散させるために、金属メッシュ、金属発泡体等からなる多孔質金属体であってもよい。多孔質金属体を用いることにより、導電性が一段と向上する。多孔質金属体に用いる金属としては、ニッケル、パラジウム、銀、ステンレススチール等を用いることができる。また、耐食性及び導電性を向上するために、上記金属メッシュ及び金属発泡体表面にめっき処理を行ってもよい。めっきの材質は、特に制限されず、白金、ルテニウム、ロジウム、タングステン、タンタル、金等の金属又はこれらの合金;カーボン;エポキシ樹脂、アクリル樹脂等の耐食性樹脂とカーボンとの複合体等が挙げられる。これらの中でも、高耐食性の観点から、金が好ましい。
導電性多孔質基材3は、予め撥水処理が施された基材であることが好ましい。これにより、さらに一段と、導電性多孔質基材3の撥水性を向上させることができる。
撥水処理としては、例えば、上記の導電性多孔質基材3をフッ素系樹脂等が分散した水分散体中に浸漬する方法等が挙げられる。フッ素系樹脂としては、上述した樹脂等が挙げられる。なお、この際には、水中にフッ素系樹脂を分散させるために、上述した分散剤を用い、フッ素系樹脂及び水系分散剤を含む水系懸濁液を使用することが好ましい。
水分散体中のフッ素系樹脂の含有量は、例えば、水100質量部に対して、1質量部〜30質量部程度が好ましく、2質量部〜20質量部程度がより好ましい。
電解質膜4は、例えば、基材上にイオン伝導性高分子電解質を含有する溶液を塗工し、乾燥することにより形成される。イオン伝導性高分子電解質としては、例えば、パーフルオロスルホン酸系のフッ素系イオン交換樹脂、より具体的には、炭化水素系イオン交換膜のC−H結合をフッ素で置換したパーフルオロカーボンスルホン酸系ポリマー(PFS系ポリマー)等が挙げられる。電気陰性度の高いフッ素原子を導入することで、化学的に非常に安定し、スルホン酸基の解離度が高く、高いイオン伝導性が実現できる。このようなイオン伝導性高分子電解質の具体例としては、デュポン社製の「Nafion」(登録商標)、旭硝子(株)製の「Flemion」(登録商標)、旭化成(株)製の「Aciplex」(登録商標)、ゴア(Gore)社製の「Gore Select」(登録商標)等が挙げられる。イオン伝導性高分子電解質含有溶液中に含まれるイオン伝導性高分子電解質の濃度は、通常5重量%〜60重量%程度、好ましくは20重量%〜40重量%程度である。なお、上記のイオン伝導性高分子電解質膜以外には、アニオン導電性固高分子電解質膜や液状物質含浸膜も挙げられる。アニオン伝導性電解質膜としては炭化水素系樹脂又はフッ素系樹脂等が挙げられ、具体例としては炭化水素系樹脂としては、旭化成(株)製のAciplex(登録商標)A201,211,221や、トクヤマ(株)製のネオセプタ(登録商標)AM−1,AHA等が挙げられ、フッ素系樹脂としては、東ソー(株)製のトスフレックス(登録商標)IE−SF34等が挙げられる。また液状物質含浸膜としては、例えばポリベンゾイミダゾール(PBI)が挙げられる。
なお、図5に示す積層体製造装置40では、ガス拡散層1及び触媒層2からなる積層体S1を形成して、該積層体S1をロール状に巻き取ったが、図9に示す積層体製造装置41のように、ガス拡散層1及び導電性多孔質基材3からなる積層体S3を形成して、該積層体をロール状に巻き取ってもよい。図9に示す積層体製造装置41では、ロール状に巻かれたガス拡散層1の下流側に第3の巻出し部15及び貼合ローラR5,R6を備えている。第3の巻出し部15は、長尺の導電性多孔質基材3をロール状に巻いたものがセットされており、回転駆動モータ(図示省略)によって回転することにより導電性多孔質基材3を巻き出す。
積層体形成工程では、巻き出されたガス拡散層1及び導電性多孔質基材3が、貼合ローラR5,R6の間に送り込まれ、熱プレスによりガス拡散層1の何れかの面(本実施形態では、一方面Fa)に導電性多孔質基材3が積層される。これにより、ガス拡散層1及び導電性多孔質基材3からなる積層体S3が形成される。この積層体形成工程では、単独で自立したガス拡散層1と導電性多孔質基材3とを貼り合わせることにより積層体S3を形成している。そのため、導電性多孔質基材3上にペーストP1を塗布して乾燥させることにより積層体S3を形成する場合と異なり、導電性多孔質基材3へペーストP1が染み込み空隙を塞ぐおそれがない。
その後、第2巻取工程において、積層体S3を芯C2に巻き取る。ロール状に巻き取られた積層体S3では、巻層間において、ガス拡散層1と導電性多孔質基材3とが接触しており、シートが介在していない。そのため、図9に示すロール状に巻かれた積層体S3は、シートを付着させた積層体S3を巻き取ったロール体に比べ、直径及び重量を小さくすることができる。
さらに、膜−電極接合体を製造する場合、図9に示すロール状に巻かれた積層体S3を巻き出し、図7と同様の切断部25によって積層体S3を枚葉状に切断し、枚葉状の積層体S3のガス拡散層1上に触媒層2を積層する。これにより、図8(a)に示す枚葉状の積層体S2が形成される。続いて、図8(b)及び(c)に示すように、電解質膜4の両面に積層体S2を接合することにより、膜−電極接合体5を製造することができる。
なお、導電性多孔質基材3は、ガス拡散層1の何れの面に積層してもよいが、ガス拡散層1と導電性多孔質基材3との密着性の観点から、導電性多孔質基材3を平滑な他方面Fbに積層してもよい。また、触媒層2をガス拡散層1上に薄く且つ均一に形成したい場合は、本実施形態のように、導電性多孔質基材3を一方面Faに積層し、触媒層2を他方面Fbに積層することが好ましい。
なお、上記の積層体製造装置40,41では、ガス拡散層1の何れかの面に触媒層2又は導電性多孔質基材3を積層して積層体を形成し、該積層体を巻き取ったが、ガス拡散層1の両面に触媒層2及び導電性多孔質基材3をそれぞれ形成して積層体を形成し、該積層体を巻き取ってもよい。すなわち、本実施形態の他の変形例に係る積層体の製造方法は、本実施形態に係るガス拡散層の製造方法によって製造されたガス拡散層を巻き出す巻出工程と、前記巻き出されたガス拡散層の一方面に導電性多孔質基材を積層し、他方面に触媒層を積層して積層体を形成する積層体形成工程と、を備えることができる。
図10は、この製造方法を実施するための積層体製造装置42を示している。積層体製造装置42は、第2巻出し部13、貼合ローラR2,R3、剥離ローラR4、第2巻き取り部14、第3の巻き出し部15及び貼合ローラR5,R6から主に構成される。
巻出工程では、ガス拡散層1が巻かれた芯C1の両端に支持部材(図示省略)を取り付け、この支持部材を回転駆動モータ(図示省略)によって回転させることで、ガス拡散層1を下流側(図10の右方向)に巻き出す。
ロール状に巻かれたガス拡散層1の下流側には、第2巻出し部13及び貼合ローラR2,R3が設けられており、さらに、第2巻出し部13及び貼合ローラR2,R3の下流側には、剥離ローラR4、第2巻き取り部14が設けられており、剥離ローラR4の下流側には、第3の巻出し部14及び貼合ローラR5,R6が設けられている。第2巻出し部13、貼合ローラR2,R3、剥離ローラR4及び第2巻き取り部14の構成は、図5に示すものと同様であり、第3の巻出し部14及び貼合ローラR5,R6の構成は、図9に示すものと同様である。積層体形成工程では、巻き出されたガス拡散層1及びシートBが付着した触媒層2が、貼合ローラR2,R3の間に送り込まれて、ガス拡散層1の他方面Fbに触媒層2が積層され、積層体S1が形成される。その後、シートBは、剥離ローラR4によって触媒層2から剥離され、第2巻き取り部14に巻き取られる。さらに、積層体S1及び導電性多孔質基材3が、貼合ローラR5,R6の間に送り込まれて、ガス拡散層1の一方面Faに導電性多孔質基材3が積層され、ガス拡散層1、触媒層2及び導電性多孔質基材3からなる積層体S2が形成される。
その後、第2巻取工程において、積層体S2を芯C2に巻き取る。これにより、図11に示すような、ロール状に巻かれた積層体S2を製造することができる。図11に示すように、ロール状に巻かれた積層体S2では、巻層間において、触媒層2と導電性多孔質基材3とが接触しており、シートが介在していない。そのため、図11に示す積層体S2は、シートを付着させた積層体S2を巻き取ったロール体に比べ、直径及び重量を小さくすることができる。
さらに、膜−電極接合体を製造する場合、図11に示すロール状に巻かれた積層体S2を巻き出し、図7と同様の切断部25によって積層体S2を枚葉状に切断する。これにより、図8(a)に示す枚葉状の積層体S2が形成される。続いて、図8(b)及び(c)に示すように、電解質膜4の両面に積層体S2を接合することにより、膜−電極接合体5を製造することができる。
なお、積層体形成工程では、導電性多孔質基材3を触媒層2よりも先にガス拡散層1上に積層してもよいが、導電性多孔質基材3の表面が粗いため、ガス拡散層1の触媒層2が積層される面が粗くなる。そのため、触媒層2を導電性多孔質基材3よりも先にガス拡散層1上に積層するほうが、触媒層2を薄く且つ均一に塗布する観点から好ましい。
また、ガス拡散層1のガス拡散性を向上させるため、ガス拡散層1を形成するためのペーストP1は、発泡剤をさらに含むことができる。発泡剤としては、特に限定されることはなく、第1導電性多孔質層1aに気孔を形成することができる材料を使用することができる。例えば、加熱により分解して発泡する加熱発泡剤を好適に使用できる。
加熱発泡剤としては、80℃以上、特に120℃〜250℃程度の分解温度を有する化合物が好ましい。発泡剤の発生ガス量は特に限定されることはなく、通常50ml/g〜500ml/g程度、好ましくは200ml/g〜300ml/g程度である。平均粒子径も特に限定されることはなく、通常1μm〜50μm程度、好ましくは2μm〜5μm程度である。加熱発泡剤としては、上記分解温度を有する公知の有機発泡剤、無機発泡剤等を広く使用できる。
有機発泡剤としては、例えば、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)、アゾジカルボンアミド(ADCA)、4,4’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド(OBSH)、ヒドラゾジカルボンアミド(HDCA)等が挙げられる。これらの中でも低温発泡性を有するアゾジカルボンアミド(ADCA)、4,4’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド(OBSH)等を使用することが好ましい。有機発泡剤を使用する場合は、発泡剤の発泡温度を低下させるために、発泡助剤として尿素助剤を併用できる。
無機発泡剤としては、炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。
この場合、発泡剤を発泡するために、ガス拡散層1を焼成させる焼成工程を実施する必要がある。焼成工程を実施するタイミングは、ガス拡散層形成工程の後であれば、特に限定されないが、剥離工程の後であることが好ましい。シートAが剥離された状態でガス拡散層1を焼成させることにより、ガス拡散層1は焼成時のシートAの収縮等の影響を受けることがない。
〔実施形態2〕
上述の実施形態1では、ガス拡散層1を形成してシートAを剥離した後、一旦、ガス拡散層1を単独でロール状に巻き取り、その後、ガス拡散層1を巻き出してから積層体を製造していた。これに対し、本実施形態では、ガス拡散層1を単独で巻き取らずに、積層体を製造する形態について説明する。また、本実施形態では、上述の実施形態1におけるものと同一の部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施形態に係る積層体の製造方法は、導電性炭素材料、高分子重合体及び溶剤を含むペーストをシート上に塗布する塗布工程と、前記塗布されたペーストを乾燥させてなる第1導電性多孔質層を備えるガス拡散層を形成するガス拡散層形成工程と、前記ガス拡散層から前記シートを剥離する剥離工程と、前記剥離工程の後に、前記ガス拡散層の一方面に触媒層及び導電性多孔質基材の一方を積層して積層体を形成する積層体形成工程と、前記積層体を巻き取る巻取工程と、を備え、前記第1導電性多孔質層は、引張破壊応力が3.0MPa〜10.0MPaである。この形態について、図12を参照して説明する。
図12は、本実施形態に係る積層体の製造方法を実施するための積層体製造装置43を示している。積層体製造装置43は、第1巻出し部11、第1塗布部21、第1乾燥部22、剥離ローラR1、第1巻取り部12、搬送ローラR7,R8、第2巻出し部13、貼合ローラR2,R3、剥離ローラR4及び第2巻き取り部14から主に構成される。
塗布工程では、第1巻出し部11から巻き出されたシートA上に、第1塗布部21によって、導電性炭素材料、高分子重合体及び溶剤を含むペーストP1を塗布する。
第1塗布部21の下流側(図12の右方向)には第1乾燥部22が設けられている。ガス拡散層形成工程では、第1乾燥部22によってペーストP1を乾燥させることで、第1導電性多孔質層1aを備えるガス拡散層1を形成する。
第1乾燥部22の下流側(図12の右方向)には、剥離ローラR1および第1巻取り部12が設けられている。剥離工程では、剥離ローラR1によって、ガス拡散層1からシートAを剥離する。剥離されたシートAは第1巻取り部12によって巻き取られる。
剥離ローラR1の下流側(図12の右方向)には、搬送ローラR7が設けられ、搬送ローラR7の下流側(図12の下方向)には搬送ローラR8が設けられている。ガス拡散層1は、搬送ローラR7,R8によって反転され、図12の左方向に進む。搬送ローラR7,R8は、特に必須の構成要素ではない。
搬送ローラR8の下流側(図12の左方向)には、第2巻出し部13及び貼合ローラR2,R3が設けられている。積層体形成工程では、ガス拡散層1及びシートBが付着した触媒層2が貼合ローラR2,R3の間に送り込まれて、ガス拡散層1の他方面Fbに触媒層2が積層され、ガス拡散層1及び触媒層2からなる積層体S1が形成される。その後、剥離ローラR4によって触媒層2からシートBが剥離され、第2巻き取り部14に巻き取られる。なお、本実施形態では、ガス拡散層1の他方面Fbは、シートAが剥離された面である。
その後、巻取工程において、積層体S1を芯C2に巻き取る。ここで、ガス拡散層1の第1導電性多孔質層1aの引張破壊応力が3.0MPa〜10.0MPaであるため、積層体S1にシートAを付着させていなくても、積層体S1を破損することなく巻き取ることができる。これにより、ロール状に巻かれた積層体S1を製造することができる。
図12に示す積層体製造装置43では、ガス拡散層1の他方面Fbに触媒層2を積層したが、触媒層2の代わりに導電性多孔質基材3を積層してもよい。また、ガス拡散層1の一方面Faに触媒層2を積層してもよい。また、積層体形成工程では、触媒層2又は導電性多孔質基材3を、塗布等の他の方法によってガス拡散層1上に積層してもよい。
また、本実施形態に係る積層体の製造方法では、前記ガス拡散層は、黒鉛及び高分子重合体を含む第2導電性多孔質層をさらに備えてもよく、前記ガス拡散層形成工程と前記巻取工程との間に、前記第2導電性多孔質層を前記第1導電性多孔質層に積層する第1積層工程をさらに実施してもよい。例えば、図12では、第1乾燥部22によってペーストP1を乾燥させることにより第1導電性多孔質層1aを備えるガス拡散層1を形成した後(ガス拡散形成工程)積層体S1を巻き取るまで(巻取工程)の間に、第2導電性多孔質層1b(図2)を第1導電性多孔質層1aに積層することができる。
(変形例1)
さらに、本実施形態の変形例1に係る積層体の製造方法は、前記剥離工程と前記巻取工程との間に、前記ガス拡散層の他方面に前記触媒層及び前記導電性多孔質基材の他方を積層する第2積層工程をさらに備える。図13は、この製造方法を実施するための積層体製造装置44を示している。積層体製造装置44は、図12に示す積層体製造装置43において、剥離ローラR4の下流側(図13の左方向)に第3の巻出し部15及び貼合ローラR5,R6をさらに備えたものである。
第2積層工程では、図13に示すように、剥離ローラR4の下流側に送り出された積層体S1及び第3の巻出し部15から巻き出された導電性多孔質基材3を、貼合ローラR5,R6の間に送り込む。これにより、ガス拡散層1の一方面Faに導電性多孔質基材3が積層され、ガス拡散層1、触媒層2及び導電性多孔質基材3からなる積層体S2が形成される。その後、巻取工程において、積層体S2が巻き取られ、図11に示すような、ロール状に巻かれた積層体S2を製造することができる。ここで、ガス拡散層1の第1導電性多孔質層1aの引張破壊応力が3.0MPa〜10.0MPaであるため、積層体S2をシートAに付着させていなくても、積層体S2を破損することなく巻き取ることができる。
なお、図13に示す積層体製造装置44では、ガス拡散層1の他方面Fbに触媒層2を積層した後に第2積層工程を実施したが、ガス拡散層1からシートAを剥離してから、ガス拡散層1の他方面Fbに触媒層2を積層するまでの間であれば、いつでも第2積層工程を実施することができる。また、積層体製造装置44において、導電性多孔質基材3を触媒層2よりも先にガス拡散層1上に積層してもよいが、導電性多孔質基材3の表面が粗いため、ガス拡散層1の触媒層2が積層される面が粗くなる。そのため、触媒層2を導電性多孔質基材3よりも先にガス拡散層1上に積層するほうが、触媒層2を薄く且つ均一に塗布する観点から好ましい。また、積層体製造装置44では、搬送ローラR7,R8の上流側においてガス拡散層1からシートAを剥離しているが、搬送ローラR7,R8の下流側においてガス拡散層1からシートAを剥離することが好ましい。また、積層体製造装置44において、第1乾燥部22によってペーストP1を乾燥させることにより第1導電性多孔質層1aを備えるガス拡散層1を形成した後(ガス拡散形成工程)ガス拡散層1上に導電性多孔質基材3が積層されるまで(第2積層工程)の間に、第2導電性多孔質層1bを第1導電性多孔質層1aに積層することができる。
(変形例2)
続いて、本実施形態の変形例2に係る積層体の製造方法について説明する。変形例2に係る積層体の製造方法は、導電性炭素材料、高分子重合体及び溶剤を含むペーストをシート上に塗布する塗布工程と、前記塗布されたペーストを乾燥させてなる第1導電性多孔質層を備えるガス拡散層を形成するガス拡散層形成工程と、前記ガス拡散層の一方面に触媒層及び導電性多孔質基材の一方を積層して積層体を形成する積層体形成工程と、前記積層体形成工程の後に、前記ガス拡散層から前記シートを剥離する剥離工程と、前記剥離工程の後に、前記積層体を巻き取る巻取工程と、を備え、前記第1導電性多孔質層は、引張破壊応力が3.0MPa〜10.0MPaである。変形例2について、図14を参照して説明する。
図14は、変形例2に係る積層体の製造方法を実施するための積層体製造装置45を示している。積層体製造装置45は、第1巻出し部11、第1塗布部21、第1乾燥部22、第2巻出し部15、貼合ローラR5,R6、剥離ローラR1及び第1巻取り部12から主に構成される。
塗布工程では、第1巻出し部11から巻き出されたシートA上に、第1塗布部21によって、導電性炭素材料、高分子重合体及び溶剤を含むペーストP1を塗布する。
第1塗布部21の下流側(図14の右方向)には第1乾燥部22が設けられている。ガス拡散層形成工程では、第1乾燥部22によってペーストP1を乾燥させることで、第1導電性多孔質層1aを備えるガス拡散層1を形成する。
第1乾燥部22の下流側(図14の右方向)には、第3の巻出し部15及び貼合ローラR2,R3が設けられている。積層体形成工程では、ガス拡散層1、導電性多孔質基材3及びシートAが貼合ローラR5,R6の間に送り込まれて、ガス拡散層1の一方面Faに導電性多孔質基材3が積層され、シートA上にガス拡散層1及び導電性多孔質基材3からなる積層体S3が形成される。なお、本変形例2では、ガス拡散層1の一方面Faは、次の剥離工程においてシートAが剥離される面と反対の面である。
貼合ローラR5,R6の下流側(図14の右方向)には、剥離ローラR1および第1巻取り部12が設けられている。剥離工程では、ガス拡散層1からシートAを剥離する。剥離されたシートAは第1巻取り部12によって巻き取られる。
その後、巻取工程において、積層体S3を芯C2に巻き取る。ここで、ガス拡散層1の第1導電性多孔質層1aの引張破壊応力が3.0MPa〜10.0MPaであるため、積層体S3を破損することなく容易に巻き取ることができる。これにより、ロール状に巻かれた積層体S3を製造することができる。ここで、ガス拡散層1の第1導電性多孔質層1aの引張破壊応力が3.0MPa〜10.0MPaであるため、積層体S3をシートAに付着させていなくても、積層体S3を破損することなく巻き取ることができる。
図14に示す積層体製造装置45では、ガス拡散層1の一方面Faに導電性多孔質基材3を積層していたが、導電性多孔質基材3の代わりに触媒層2を積層してもよい。また、ガス拡散層1の他方面Fbに導電性多孔質基材3を積層してもよい。また、積層体形成工程では、触媒層2又は導電性多孔質基材3を、塗布等の他の方法によってガス拡散層1上に積層してもよい。
また、変形例2に係る積層体の製造方法では、前記ガス拡散層は、黒鉛及び高分子重合体を含む第2導電性多孔質層をさらに備えてもよく、前記ガス拡散層形成工程と前記積層体形成工程との間、又は、前記剥離工程と前記巻取工程との間に、前記第2導電性多孔質層を前記第1導電性多孔質層に積層する第1積層工程をさらに実施してもよい。例えば、図14では、第1乾燥部22によってペーストP1を乾燥させることにより第1導電性多孔質層1aを備えるガス拡散層1を形成した後(ガス拡散形成工程)ガス拡散層1上に導電性多孔質基材3を積層するまで(積層体形成工程)の間、及び、ガス拡散層1からシートAを剥離した後(剥離工程)、積層体S3を巻き取るまで(巻取工程)の間に、第2導電性多孔質層1b(図2)を第1導電性多孔質層1aに積層することができる。
(変形例3)
続いて、本実施形態の変形例3に積層体の製造方法について説明する。変形例3に係る積層体の製造方法は、上述した変形例2に積層体の製造方法において、前記剥離工程と前記巻取工程との間に、前記ガス拡散層の他方面に前記触媒層及び前記導電性多孔質基材の他方を積層する第2積層工程をさらに備える。図15に示す積層体製造装置46は、図14に示す積層体製造装置45において、搬送ローラR7,R8、第2巻出し部13、貼合ローラR2,R3、剥離ローラR4及び第2巻き取り部14をさらに備えたものである。
搬送ローラR7は、剥離ローラR1の下流側(図15の右方向)に設けられ、搬送ローラR8は、搬送ローラR7の下流側(図15の下方向)に設けられている。剥離工程において、シートAが剥離されたガス拡散層1及び導電性多孔質基材3からなる積層体S3は、搬送ローラR7,R8によって反転され、図15の左方向に進む。
搬送ローラR8の下流側(図15の左方向)には、第2巻出し部13及び貼合ローラR2,R3が設けられている。第2積層工程では、積層体S3及びシートBが付着した触媒層2が貼合ローラR2,R3の間に送り込まれて、ガス拡散層1の他方面Fbに触媒層2が積層される。これにより、ガス拡散層1、触媒層2及び導電性多孔質基材3からなる積層体S2が形成される。なお、シートBは、剥離ローラR4によって触媒層2から剥離され、第2巻き取り部14に巻き取られる。
その後、巻取工程において、積層体S2を芯C2に巻き取る。これにより、ロール状に巻かれた積層体S2を製造することができる。なお、積層体製造装置46では、ガス拡散層1の一方面Faに導電性多孔質基材3を積層し、他方面Fbに触媒層2を積層したが、ガス拡散層1の一方面Faに触媒層2を積層し、他方面Fbに導電性多孔質基材3を積層してもよい。また、積層体製造装置46では、搬送ローラR7,R8の上流側においてガス拡散層1からシートAを剥離しているが、搬送ローラR7,R8の下流側においてガス拡散層1からシートAを剥離することが好ましい。また、積層体製造装置46において、第1乾燥部22によってペーストP1を乾燥させることにより第1導電性多孔質層1aを備えるガス拡散層1を形成した後(ガス拡散形成工程)ガス拡散層1上に導電性多孔質基材3を積層するまで(積層体形成工程)の間、及び、ガス拡散層1からシートAを剥離した後(剥離工程)、ガス拡散層1上に触媒層2が積層されるまで(第2積層工程)の間に、第2導電性多孔質層1bを第1導電性多孔質層1aに積層することができる。
(変形例4)
続いて、本実施形態の変形例4に積層体の製造方法について説明する。変形例4に係る積層体の製造方法は、導電性炭素材料、高分子重合体及び溶剤を含むペーストをシート上に塗布する塗布工程と、前記ペーストに触媒層及び導電性多孔質基材の一方を積層して積層体を形成する積層体形成工程と、前記積層体形成工程の後に、前記積層体のペーストを乾燥させてなる第1導電性多孔質層を備えたガス拡散層であって、一方面に前記触媒層及び前記導電性多孔質基材の前記一方が積層されたガス拡散層を形成するガス拡散層形成工程と、前記ガス拡散層形成工程の後に、前記ガス拡散層から前記シートを剥離する剥離工程と、前記剥離工程の後に、前記積層体を巻き取る巻取工程と、を備え、前記第1導電性多孔質層は、引張破壊応力が3.0MPa〜10.0MPaである。変形例4について、図16を参照して説明する。
図16は、変形例4に係る積層体の製造方法を実施するための積層体製造装置47を示している。積層体製造装置47は、第1巻出し部11、第1塗布部21、第3の巻出し部15、貼合ローラR5,R6、第1乾燥部22、剥離ローラR1及び第1巻取り部12から主に構成される。
塗布工程では、第1巻出し部11から巻き出されたシートA上に、第1塗布部21によって、導電性炭素材料、高分子重合体及び溶剤を含むペーストP1を塗布する。
第1塗布部21の下流側(図16の右方向)には、第3の巻出し部15及び貼合ローラR5,R6が設けられている。積層体形成工程では、シートA、ペーストP1及び導電性多孔質基材3が貼合ローラR5,R6の間に送り込まれて、ペーストP1に導電性多孔質基材3が積層され、ペーストP1及び導電性多孔質基材3からなる積層体S4が形成される。
貼合ローラR5,R6の下流側(図16の右方向)には、第1乾燥部22が設けられている。ガス拡散層形成工程では、第1乾燥部22によってペーストP1を乾燥させることで第1導電性多孔質層1aを備えるガス拡散層1を形成する。このガス拡散層1は、一方面Faに導電性多孔質基材3が積層されている。これにより、ガス拡散層1及び導電性多孔質基材3からなる積層体S3が形成される。
さらに、剥離工程において、剥離ローラR1によって、ガス拡散層1からシートAを剥離する。その後、巻取工程において、積層体S3を芯C2に巻き取る。ここで、ガス拡散層1の第1導電性多孔質層1aの引張破壊応力が3.0MPa〜10.0MPaであるため、積層体S3を破損することなく容易に巻き取ることができる。これにより、ロール状に巻かれた積層体S3を製造することができる。
図16に示す積層体製造装置47では、ペーストP1に導電性多孔質基材3を積層していたが、導電性多孔質基材3の代わりに触媒層2を積層してもよい。
また、変形例4に係る積層体の製造方法では、前記ガス拡散層は、黒鉛及び高分子重合体を含む第2導電性多孔質層をさらに備えてもよく、前記剥離工程と前記巻取工程との間に、前記第2導電性多孔質層を前記第1導電性多孔質層に積層する第1積層工程をさらに実施してもよい。例えば、図16では、ガス拡散層1からシートAを剥離した後(剥離工程)、積層体S3を巻き取るまで(巻取工程)の間に、第2導電性多孔質層1b(図2)を第1導電性多孔質層1aに積層することができる。
(変形例5)
続いて、本実施形態の変形例5に積層体の製造方法について説明する。変形例5に係る積層体の製造方法は、上述した変形例4に係る積層体の製造方法において、前記剥離工程と前記巻取工程との間に、前記ガス拡散層の他方面に前記触媒層及び前記導電性多孔質基材の他方を積層する第2積層工程をさらに備える。図17に示す積層体製造装置48は、図16に示す積層体製造装置47において、搬送ローラR7,R8、第2巻出し部13、貼合ローラR2,R3、剥離ローラR4及び第2巻き取り部14をさらに備えたものである。
搬送ローラR7は、剥離ローラR1の下流側(図17の右方向)に設けられ、搬送ローラR8は、搬送ローラR7の下流側(図17の下方向)に設けられている。剥離工程において、シートAが剥離されたガス拡散層1及び導電性多孔質基材3からなる積層体S3は、搬送ローラR7,R8によって反転され、図17の左方向に進む。
搬送ローラR8の下流側(図17の左方向)には、第2巻出し部13及び貼合ローラR2,R3が設けられている。第2積層工程では、積層体S3及びシートBが付着した触媒層2が貼合ローラR2,R3の間に送り込まれて、ガス拡散層1の他方面Fbに触媒層2が積層される。これにより、ガス拡散層1、触媒層2及び導電性多孔質基材3からなる積層体S2が形成される。その後、シートBは、剥離ローラR4によって触媒層2から剥離され、第2巻き取り部14に巻き取られる。なお、触媒層2を塗布等の他の方法によってガス拡散層1上に積層してもよい。
その後、巻取工程において、積層体S2を芯C2に巻き取る。これにより、ロール状に巻かれた積層体S2を製造することができる。なお、積層体製造装置48では、ペーストP1に導電性多孔質基材3を積層し、ガス拡散層1の他方面Fbに触媒層2を積層したが、ペーストP1に触媒層2を積層し、ガス拡散層1の他方面Fbに導電性多孔質基材3を積層してもよい。また、積層体製造装置48では、搬送ローラR7,R8の上流側においてガス拡散層1からシートAを剥離しているが、搬送ローラR7,R8の下流側においてガス拡散層1からシートAを剥離することが好ましい。また、積層体製造装置48において、ガス拡散層1からシートAを剥離した後(剥離工程)、ガス拡散層1上に触媒層2が積層されるまで(第2積層工程)の間に、第2導電性多孔質層1bを第1導電性多孔質層1aに積層することができる。
以上、本発明の各実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能であり、各実施形態に開示された構成を適宜組み合わせて得られる形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
以下に、ガス拡散層の実施例及び比較例について説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
材料
第1導電性多孔質層形成用組成物及び第2導電性多孔質層形成用組成物の調製には、以下に示す材料を使用した。なお、カーボンブラック1〜6は、いずれも市販品である。
カーボンブラック(1):ファーネスブラック(DBP吸収量48cm/100g、平均粒子径40nm〜60nm)
カーボンブラック(2):ファーネスブラック(DBP吸収量66cm/100g、平均粒子径40nm〜60nm)
カーボンブラック(3):ファーネスブラック(DBP吸収量93cm/100g、平均粒子径40nm〜60nm)
カーボンブラック(4):ファーネスブラック(DBP吸収量130cm/100g、平均粒子径40nm〜60nm)
カーボンブラック(5):ファーネスブラック(DBP吸収量142cm/100g、平均粒子径40nm〜60nm)
黒鉛:球状黒鉛(平均粒子径20μm)
高分子重合体:Solef21216/1001(ソルベイソレクシス(株)製;PVDF;固形分10wt%)
発泡剤:熱分解型発泡剤(平均粒子径3〜5μm)。
実施例1
カーボンブラック(1)100質量部、高分子重合体750質量部(固形分75質量部)、発泡剤50質量部、及びメチルエチルケトン(MEK)600質量部をメディア分散により60分間分散させることにより第1導電性多孔質層形成用組成物を調合した。この第1導電性多孔質層形成用組成物を、離型層が形成されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上にアプリケーターを用いて約50μmの厚みとなるように塗布した。その後、95℃に設定した乾燥炉中で約15分乾燥させて、PETフィルム上に第1導電性多孔質層1aを作製した。その後、第1導電性多孔質層1aを離型層が形成されたPETフィルムから剥離し、その後270℃で1時間焼成して発泡剤を分解し、第1導電性多孔質層(1)(実施例1のガス拡散層)を得た。
実施例2
カーボンブラック(1)の代わりにカーボンブラック(2)を使用すること以外は実施例1と同様に、第1導電性多孔質層(2)(実施例2のガス拡散層)を得た。
実施例3
カーボンブラック(1)の代わりにカーボンブラック(3)を使用すること以外は実施例1と同様に、第1導電性多孔質層(3)(実施例3のガス拡散層)を得た。
実施例4
カーボンブラック(1)の代わりにカーボンブラック(4)を使用すること以外は実施例1と同様に、第1導電性多孔質層(4)(実施例4のガス拡散層)を得た。
実施例5
カーボンブラック(1)の代わりにカーボンブラック(5)を使用すること以外は実施例1と同様に、第1導電性多孔質層(5)(実施例5のガス拡散層)を得た。
実施例6
実施例4と同様に、第1導電性多孔質層(4)を得た。
次に、黒鉛100質量部、高分子重合体50質量部(固形分5質量部)、及びメチルエチルケトン(MEK)100質量部をメディア分散により60分間分散させることにより第2導電性多孔質層形成用組成物を調合した。この第2導電性多孔質層形成用組成物を、第1導電性多孔質層(4)上にアプリケーターを用いて約50μmの厚みとなるように塗布した。その後、95℃に設定した乾燥炉中で約15分乾燥させて、第1導電性多孔質層(4)上に第2導電性多孔質層(1)を作製し、第1導電性多孔質層(4)及び第2導電性多孔質層(1)のガス拡散層(実施例6のガス拡散層)を得た。
実施例7
実施例4と同様に、第1導電性多孔質層(4)を得た。
次に、第2導電性多孔質層形成用組成物を、150μmの厚みとなるように塗布したこと以外は実施例6と同様にして、第1導電性多孔質層(4)上に第2導電性多孔質層(2)を作製し、第1導電性多孔質層(4)及び第2導電性多孔質層(2)からなるガス拡散層(実施例7のガス拡散層)を得た。
実施例8
実施例4と同様に、第1導電性多孔質層(4)を得た。
次に、第2導電性多孔質層形成用組成物を、200μmの厚みとなるように塗布したこと以外は実施例6と同様にして、第1導電性多孔質層(4)上に第2導電性多孔質層(3)を作製し、第1導電性多孔質層(4)及び第2導電性多孔質層(3)からなるガス拡散層(実施例8のガス拡散層)を得た。
実施例9
実施例4と同様に、第1導電性多孔質層(4)を得た。
次に、第2導電性多孔質層形成用組成物を、250μmの厚みとなるように塗布したこと以外は実施例6と同様にして、第1導電性多孔質層(4)上に第2導電性多孔質層(4)を作製し、第1導電性多孔質層(4)及び第2導電性多孔質層(4)からなるガス拡散層(実施例9のガス拡散層)を得た。
比較例1
カーボンブラック(1)の代わりにカーボンブラック(6)を使用すること以外は実施例1と同様に、第1導電性多孔質層(6)(比較例1のガス拡散層)を得た。
比較例2
高分子重合体の配合量を450質量部としたこと以外は実施例4と同様に、第1導電性多孔質層(7)(比較例2のガス拡散層)を得た。
密度評価
実施例1〜9及び比較例1〜2で得たガス拡散層を、10cm×10cmの大きさに裁断して試験用サンプルを作製した後、当該試験用サンプルの質量及び厚みを測定し、これらの値から密度を算出した。結果を表1に示す。
引張破壊応力評価
実施例1〜9及び比較例1〜2で得たガス拡散層を、ダンベル形の1B形ではなくダンベル状2号形を用い、試験速度を3mm/分とすること以外は、JIS K 7161−1:2014に規定される方法に準拠して、引張破壊応力を測定した。なお、ダンベル状2号形の試験片の形状及び寸法はJIS K 6251:2010に準拠する。
ガス拡散層単独搬送評価
図18に示す装置によって、実施例1〜9及び比較例1〜2で得たガス拡散層1を良好な状態で搬送できるか確認した。まず、ガス拡散層1をテンションフリーで芯C1に巻き取り、芯C1の両端を支持部材(図示省略)によって支持し、該支持部材を回転駆動モータ(図示省略)によって回転させ、ガス拡散層を巻き出した。また、芯C2を芯C1と平行になるように所定の間隔を置いて支持部材(図示省略)によって支持し、該支持部材を回転駆動モータ(図示省略)によって回転させることにより、芯C1から巻き出されたガス拡散層1を巻き取った。芯C1,C2の上方にテンションローラR9,R10を設け、テンションローラR9,R10を介してガス拡散層1を芯C1から芯C2に搬送することにより、ガス拡散層1に張力を与えた。具体的にはガス拡散層1の巻き出し張力及び巻き取り張力がいずれも40Nとなるように、芯C1,C2の支持位置及びテンションローラR9,R10の位置を調整した。
実施例1〜9及び比較例1〜2で得たガス拡散層1は、いずれも幅が220mmであった。また、ガス拡散層1の搬送距離は20mであった。また、ガス拡散層1の搬送速度を0.5、1.0、2.0、3.0、4.0及び5.0(m/分)の6段階で切り替え、各搬送速度で、芯C2にガス拡散層1を巻き取ることができたか否かを確認した。いずれの速度での搬送においても、芯C2にガス拡散層1を破損することなく巻き取ることができた場合、評価を良好(A)とした。一方、いずれかの速度での搬送において、ガス拡散層1が破損して芯C2に巻き取ることができなかった場合、評価を不良(B)とし、いずれの速度での搬送においても、ガス拡散層1が破損して芯C2に巻き取ることができなかった場合、評価を不良(C)とした。結果を表1に示す。
実施例1〜5では、第1導電性多孔質層の引張破壊応力が3.0MPa以上であるため、ガス拡散層単独搬送評価において良好な結果が得られた。
また、実施例5〜9では、ガス拡散層が第2導電性多孔質層を含んでいるが、第1導電性多孔質層として、引張破壊応力が3.0MPa以上のもの(カーボンブラック4)を用いているため、ガス拡散層単独搬送評価において良好な結果が得られた。
一方、比較例1及び2では、第1導電性多孔質層の引張破壊応力が3.0MPaに満たないため、ガス拡散層単独搬送評価において、芯C2にガス拡散層1を巻き取ることができなかった。
算術平均粗さ評価
なお、実施例4のガス拡散層(第1導電性多孔質層(4))、及び実施例7のガス拡散層(第1導電性多孔質層(4)及び第2導電性多孔質層(2)からなるガス拡散層)については、一方面及び他方面の算術平均粗さも計測した。算術平均粗さは、顕微鏡(OLYMPUS社製「3D MEASURING LASER MICROSCOPE」(型式:OLS4000))、及び、計測ソフトウェア(OLYMPUS社製「LEXT-OLS4000」)を用い、対物レンズ倍率を10倍にして計測した。
その結果、実施例4のガス拡散層では、一方面の算術平均粗さをSa、他方面の算術平均粗さSbとすると、Sa=2.567(μm)、Sb=2.227(μm)であり、{1−(Sb/Sa)}×100=13.2であった。また、実施例7のガス拡散層では、第1導電性多孔質層(4)側の面の算術平均粗さをSc、第2導電性多孔質層(2)側の面の算術平均粗さSdとすると、Sc=15.567(μm)、Sd=1.835(μm)であり、{1−(Sc/Sd)}×100=88.2であった。
1 ガス拡散層
1a 第1導電性多孔質層
1b 第2導電性多孔質層
2 触媒層
3 導電性多孔質基材
4 電解質膜
5 膜−電極接合体
21 第1塗布部
22 第1乾燥部
23 第2塗布部
24 第2乾燥部
25 切断部
30 ガス拡散層製造装置
31 ガス拡散層製造装置
40 積層体製造装置
41 積層体製造装置
42 積層体製造装置
43 積層体製造装置
44 積層体製造装置
45 積層体製造装置
46 積層体製造装置
47 積層体製造装置
48 積層体製造装置
A シート
B シート
Fa 一方面
Fb 他方面
P1 ペースト
P2 ペースト
R1 剥離ローラ
R2 貼合ローラ
R3 貼合ローラ
R4 剥離ローラ
R5 貼合ローラ
R6 貼合ローラ
R7 搬送ローラ
R8 搬送ローラ
R9 テンションローラ
R10 テンションローラ
S1 積層体
S2 積層体
S3 積層体
S4 積層体

Claims (20)

  1. 第1導電性多孔質層を備える長尺のガス拡散層であって、
    前記ガス拡散層はロール状に巻かれており、
    前記第1導電性多孔質層は導電性炭素材料及び高分子重合体を含み、
    前記第1導電性多孔質層の引張破壊応力が3.0MPa〜10.0MPaである、ガス拡散層。
  2. 前記第1導電性多孔質層の一方面の算術平均粗さが、前記第1導電性多孔質層の他方面の算術平均粗さより大きい、請求項1に記載のガス拡散層。
  3. 前記導電性炭素材料のジブチルフタレート吸収量が、170cm/100g以下である、請求項1又は2に記載のガス拡散層。
  4. 前記第1導電性多孔質層の密度が0.55g/cm〜1.05g/cmである、請求項1から3の何れかに記載のガス拡散層。
  5. 前記第1導電性多孔質層の厚みが1μm〜300μmである、請求項1から4の何れかに記載のガス拡散層。
  6. 前記第1導電性多孔質層に積層された第2導電性多孔質層を備え、
    前記第2導電性多孔質層は黒鉛及び高分子重合体を含む、請求項1から5の何れかに記載のガス拡散層。
  7. 請求項1から6の何れかに記載のガス拡散層と、
    前記ガス拡散層の何れかの面に積層された触媒層及び導電性多孔質基材と、
    を備える、積層体。
  8. 請求項1から6の何れかに記載のガス拡散層と、
    前記ガス拡散層の一方面に積層された導電性多孔質基材と、
    前記ガス拡散層の他方面に積層された触媒層と、
    を備える、積層体。
  9. 導電性炭素材料、高分子重合体及び溶剤を含むペーストをシート上に塗布する塗布工程と、
    前記塗布されたペーストを乾燥させてなる第1導電性多孔質層を備えるガス拡散層を形成するガス拡散層形成工程と、
    前記ガス拡散層から前記シートを剥離する剥離工程と、
    前記剥離されたガス拡散層を巻き取る第1巻取工程と、
    を備え、
    前記第1導電性多孔質層は、引張破壊応力が3.0MPa〜10.0MPaである、ガス拡散層の製造方法。
  10. 前記ガス拡散層は、黒鉛及び高分子重合体を含む第2導電性多孔質層をさらに備え、
    前記第1巻取工程の前に、前記第2導電性多孔質層を前記第1導電性多孔質層に積層する積層工程を備える、請求項9にガス拡散層の製造方法。
  11. 請求項9又は10に記載のガス拡散層の製造方法によって製造されたガス拡散層を巻き出す巻出工程と、
    前記巻き出されたガス拡散層の何れかの面に触媒層及び導電性多孔質基材を積層して積層体を形成する積層体形成工程と、
    を備える、積層体の製造方法。
  12. 請求項9又は10に記載のガス拡散層の製造方法によって製造されたガス拡散層を巻き出す巻出工程と、
    前記巻き出されたガス拡散層の一方面に導電性多孔質基材を積層し、他方面に触媒層を積層して積層体を形成する積層体形成工程と、
    を備える、積層体の製造方法。
  13. 前記積層体を巻き取る第2巻取工程をさらに備える、請求項11又は12に記載の積層体の製造方法。
  14. 導電性炭素材料、高分子重合体及び溶剤を含むペーストをシート上に塗布する塗布工程と、
    前記塗布されたペーストを乾燥させてなる第1導電性多孔質層を備えるガス拡散層を形成するガス拡散層形成工程と、
    前記ガス拡散層から前記シートを剥離する剥離工程と、
    前記剥離工程の後に、前記ガス拡散層の一方面に触媒層及び導電性多孔質基材の一方を積層して積層体を形成する積層体形成工程と、
    前記積層体を巻き取る巻取工程と、
    を備え、
    前記第1導電性多孔質層は、引張破壊応力が3.0MPa〜10.0MPaである、積層体の製造方法。
  15. 前記ガス拡散層は、黒鉛及び高分子重合体を含む第2導電性多孔質層をさらに備え、
    前記ガス拡散層形成工程と前記巻取工程との間に、前記第2導電性多孔質層を前記第1導電性多孔質層に積層する第1積層工程を備える、請求項14に記載の積層体の製造方法。
  16. 導電性炭素材料、高分子重合体及び溶剤を含むペーストをシート上に塗布する塗布工程と、
    前記塗布されたペーストを乾燥させてなる第1導電性多孔質層を備えるガス拡散層を形成するガス拡散層形成工程と、
    前記ガス拡散層の一方面に触媒層及び導電性多孔質基材の一方を積層して積層体を形成する積層体形成工程と、
    前記積層体形成工程の後に、前記ガス拡散層から前記シートを剥離する剥離工程と、
    前記剥離工程の後に、前記積層体を巻き取る巻取工程と、
    を備え、
    前記第1導電性多孔質層は、引張破壊応力が3.0MPa〜10.0MPaである、積層体の製造方法。
  17. 前記ガス拡散層は、黒鉛及び高分子重合体を含む第2導電性多孔質層をさらに備え、
    前記ガス拡散層形成工程と前記積層体形成工程との間、又は、前記剥離工程と前記巻取工程との間に、前記第2導電性多孔質層を前記第1導電性多孔質層に積層する第1積層工程を備える、請求項16に記載の積層体の製造方法。
  18. 導電性炭素材料、高分子重合体及び溶剤を含むペーストをシート上に塗布する塗布工程と、
    前記ペーストに触媒層及び導電性多孔質基材の一方を積層して積層体を形成する積層体形成工程と、
    前記積層体形成工程の後に、前記積層体のペーストを乾燥させてなる第1導電性多孔質層を備えたガス拡散層であって、一方面に前記触媒層及び前記導電性多孔質基材の前記一方が積層されたガス拡散層を形成するガス拡散層形成工程と、
    前記ガス拡散層形成工程の後に、前記ガス拡散層から前記シートを剥離する剥離工程と、
    前記剥離工程の後に、前記積層体を巻き取る巻取工程と、
    を備え、
    前記第1導電性多孔質層は、引張破壊応力が3.0MPa〜10.0MPaである、積層体の製造方法。
  19. 前記ガス拡散層は、黒鉛及び高分子重合体を含む第2導電性多孔質層をさらに備え、
    前記剥離工程と前記巻取工程との間に、前記第2導電性多孔質層を前記第1導電性多孔質層に積層する第1積層工程を備える、請求項18に記載の積層体の製造方法。
  20. 前記剥離工程と前記巻取工程との間に、前記ガス拡散層の他方面に前記触媒層及び前記導電性多孔質基材の他方を積層する第2積層工程をさらに備える、請求項14〜19のいずれかに記載の積層体の製造方法。
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