JP2016167442A - 電池用ガス拡散層、該電池用ガス拡散層を用いた電池用膜−電極接合体及び電池、並びに該電池用ガス拡散層の製造方法 - Google Patents

電池用ガス拡散層、該電池用ガス拡散層を用いた電池用膜−電極接合体及び電池、並びに該電池用ガス拡散層の製造方法 Download PDF

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仁司 大谷
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Abstract

【課題】バインダー樹脂を多量に用いずとも、ガス拡散層として使用するために十分な強度を有する電池用ガス拡散層を提供することを主な目的とする。
【解決手段】ジブチルフタレート吸収量が170cm/100g以下である導電性炭素材料、及び高分子重合体を含み、且つ、密度が0.55g/cm〜1.05g/cmである第1導電性多孔質層を備える、電池用ガス拡散層。
【選択図】なし

Description

本発明は、電池用ガス拡散層、該電池用ガス拡散層を用いた電池用膜−電極接合体及び電池、並びに該電池用ガス拡散層の製造方法に関する。
燃料電池、金属空気電池等の電極反応に気体(ガス)を使用する電気化学電池は、その電池性能の向上のため、ガス拡散層を備えている。
例えば、固体高分子形燃料電池を構成する膜−電極接合体(MEA)は、通常、ガス拡散層、触媒層、電解質膜、触媒層及びガス拡散層が順次積層された構造を有している。
このガス拡散層には、一般的にカーボンペーパー、カーボンクロス、カーボンフェルト等の導電性多孔質基材が使用される。さらに、この導電性多孔質基材の導電性、ガス拡散性能、ガス透過性能、平滑性、水の排出性・保持性等の水管理特性等を向上させる目的から、導電性多孔質基材を支持体として、導電性炭素材料(カーボンブラック等)、高分子重合体(フッ素樹脂等)を含む導電性多孔質層を、導電性多孔質基材上に形成する場合がある。
従来の導電性多孔質層は、通常、カーボンペーパー、カーボンクロス、カーボンフェルト等の導電性多孔質基材の上に、導電性多孔質層形成用組成物を塗布し、その後乾燥させて導電性多孔質層を形成するため、導電性多孔質基材表面から内部にペースト組成物が染み込み、導電性多孔質基材の空隙を閉塞してしまい、電池性能を悪化させてしまうおそれがあった(例えば、特許文献1等)。また、特許文献1等に記載の従来の導電性多孔質層は非常にもろく、単体で膜として成立するものではない。
一方、導電性多孔質基材を用いないガス拡散層の製造方法も知られている。例えば、特許文献2には、未焼成ポリテトラフルオロエチレン、焼成ポリテトラフルオロエチレンおよび導電性物質を含有する拡散膜が記載されている。しかしながら、機械強度が十分とは言えず、ガス拡散層単体と他の部材を積層してセル組みを行う際のハンドリングに難があった。また、セル組み時のハンドリング等を考慮して、ガス拡散層として使用可能な強度を確保することを目的として、未焼成ポリテトラフルオロエチレン、焼成ポリテトラフルオロエチレン等のバインダー樹脂を多量に使用した場合には、気孔率が低下し、発電性能が低下する恐れがある。
特開2001−351637号公報 特開2003−187809号公報
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、その主な目的は、ガス拡散層として使用するために十分な強度を有する電池用ガス拡散層を提供することである。
本発明者らは、上記課題に鑑み、鋭意検討した結果、電池用ガス拡散層を構成する少なくとも1つの導電性多孔質層中に、ジブチルフタレート吸収量が特定の範囲内である炭素粒子を含ませるとともに、該導電性多孔質層の密度を特定の範囲内に設定することで、単体で膜として成立するガス拡散層として使用するために十分な強度を有するとともに、このようなガス拡散層を使用した電池は発電性能に優れることを見出した。本発明は、このような知見に基づき完成されたものである。すなわち、本発明は、以下の構成を包含する。
項1.ジブチルフタレート吸収量が170cm/100g以下である導電性炭素材料、及び高分子重合体を含み、且つ、密度が0.55g/cm〜1.05g/cmである第1導電性多孔質層を備える、電池用ガス拡散層。
項2.前記導電性炭素材料は、ファーネスブラックである、項1に記載の電池用ガス拡散層。
項3.前記第1導電性多孔質層の引張破壊応力が3.0MPa〜10.0MPaである、項1又は2に記載の電池用ガス拡散層。
項4.前記第1導電性多孔質層と接するように、黒鉛及び高分子重合体を含む第2導電性多孔質層が積層されている、項1〜3のいずれかに記載の電池用ガス拡散層。
項5.前記黒鉛は、球状黒鉛である、項4に記載の電池用ガス拡散層。
項6.触媒層、電解質膜及び触媒層が順次積層された触媒層−電解質膜積層体の片面又は両面に、前記第1導電性多孔質層が接するように項1〜5のいずれかに記載の電池用ガス拡散層が積層されている、電池用膜−電極接合体。
項7.項6に記載の電池用膜−電極接合体の電池用ガス拡散層と接するように、セパレータが積層されている、電池。
項8.電池用ガス拡散層の製造方法であって、
(I)シート上に、ジブチルフタレート吸収量が170cm/100g以下である導電性炭素材料、及び高分子重合体を含む第1導電性多孔質層形成用組成物を用いて、密度が0.55g/cm〜1.05g/cmとなるように第1導電性多孔質層を形成する工程、及び
(II)前記第1導電性多孔質層からシートを剥離する工程
を備える、電池用ガス拡散層の製造方法。
項9.さらに、
(III)前記第1導電性多孔質層の上に、黒鉛及び高分子重合体を含む第2導電性多孔質層形成用組成物を用いて第2導電性多孔質層を形成する工程
を備える、項8に記載の電池用ガス拡散層の製造方法。
本発明によれば、電池用ガス拡散層は、ジブチルフタレート吸収量が特定の範囲内である炭素粒子を含むとともに密度が特定の範囲内である第1導電性多孔質層を備えているため、ガス拡散層として使用するために十分な強度を有する。
第1導電性多孔質層を有する本発明の電池用ガス拡散層の構成を説明する図面である。 第1導電性多孔質層及び第2導電性多孔質層を有する本発明の電池用ガス拡散層の構成を説明する図面である。 本発明の電池用膜−電極接合体の一態様(触媒層−電解質膜積層体の両面に、第1導電性多孔質層及び第2導電性多孔質層がこの順に積層された電池用膜−電極接合体)を説明する図面である。 本発明の電池の一態様(触媒層−電解質膜積層体の両面に、第1導電性多孔質層、第2導電性多孔質層及びセパレータがこの順に積層された電池)を説明する図面である。
以下、本発明の具体的態様について、説明する。なお、本明細書等において、「値XがA1〜A2である」との表記は、「A1≦X≦A2である」ことを意味する。
1.電池用ガス拡散層1
本発明の電池用ガス拡散層は、図1にも示されるように、第1導電性多孔質層11を備える電池用ガス拡散層である。この本発明の電池用ガス拡散層1は、後述の触媒層とは異なる層である。
(1−1)第1導電性多孔質層11
本発明において、第1導電性多孔質層11は、特定のジブチルフタレート吸収量(以下、「DBP吸収量」と言うこともある)が170cm/100g以下である導電性炭素材料、及び高分子重合体を含み、且つ、密度が0.55g/cm〜1.05g/cmである。本発明では、電池用ガス拡散層1が第1導電性多孔質層11を備えることで、電池用ガス拡散層の機能(ガス拡散性能、ガス透過性能、撥水性等)を維持しつつ電池用ガス拡散層の強度(特に引張破壊応力)を向上させることができる。また、第1導電性多孔質層11を高密度とすることができることから、後述する導電性多孔質基材やセパレータからの締め圧により第1導電性多孔質層11の空隙が潰れることを抑制することができる。さらに、第1導電性多孔質層11の強度が向上するため、ハンドリング性も向上し、セル組みしやすくなる。このため、この第1導電性多孔質層11を備える本発明の電池用ガス拡散層1を使用した電池は、発電性能を向上させることができる。この第1導電性多孔質層11は、例えば、特定の導電性炭素材料及び高分子重合体を含む第1導電性多孔質層形成用組成物を用いて、密度が0.55g/cm〜1.05g/cmとなるように形成することができる。また、第1導電性多孔質層11の厚みは、単体で膜として成立しやすくする観点から、通常1μm〜300μm程度、特に5μm〜250μm程度が好ましい。
導電性炭素材料
導電性炭素材料は、通常、導電性炭素材料同士が複数融着し、ストラクチャーと呼ばれる二次構造を形成している。導電性炭素材料の種類によっては、このストラクチャーが発達している炭素材料(高ストラクチャー導電性炭素材料)とストラクチャーが発達していない炭素材料(低ストラクチャー導電性炭素材料)とが存在する。本発明では、低ストラクチャー導電性炭素材料を使用することにより、電池用ガス拡散層の機能(ガス拡散性能、ガス透過性能、撥水性等)を維持しつつ電池用ガス拡散層の強度(特に引張破壊応力)を向上させることができ、ハンドリング性も向上する。また、低ストラクチャー導電性炭素材料は、上記のストラクチャーがあまり発達していないことから、第1導電性多孔質層を高密度とすることができ空隙の潰れを抑制することができる。
導電性炭素材料のストラクチャーの発達度合については、電子顕微鏡で観察して決定する方法もあるが、本発明では、DBP吸収量で判断する。DBP吸収量とは、単位質量の導電性炭素材料にジブチルフタレートを接触させた際に、導電性炭素材料に吸収されるジブチルフタレートの量を意味する。このDBP吸収量は、JIS K 6221に記載の方法にしたがって測定するものである。
ジブチルフタレートは、通常導電性炭素材料の間隙に吸収されることから、導電性炭素材料のストラクチャーが発達している場合はDBP吸収量が大きくなり、導電性炭素材料のストラクチャーが発達していない場合はDBP吸収量が小さくなる傾向がある。つまり、高ストラクチャー導電性炭素材料はDBP吸収量が大きくなり、低ストラクチャー導電性炭素材料はDBP吸収量が小さくなる傾向がある。
このような観点から、本発明において使用する導電性炭素材料のDBP吸収量は、170cm/100g以下、均一な膜を成膜しやすい観点から好ましくは30cm/100g〜150cm/100g、成膜性の観点からより好ましくは50cm/100g〜150cm/100g、ガス拡散性の観点からさらに好ましくは100cm/100g〜150cm/100gである。導電性炭素材料のDBP吸収量が170cm/100gをこえると、第1導電性多孔質層の密度が小さくなるとともに、第1導電性多孔質層の強度(特に引張破壊応力)が小さくなり、ハンドリング性も低下する。なお、燃料電池に常用される導電性炭素材料であるバルカンxc72R(キャボット社製)のDBP吸収量は175cm/100gである。
このような条件を満たす導電性炭素材料は、公知又は市販の材料を使用でき、その形状としては、例えば、導電性炭素粒子等が挙げられる。
導電性炭素粒子を使用する場合、導電性を有し、上記のDBP吸収量を有する炭素材であれば特に限定されず、公知又は市販の材料を使用できる。例えば、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック等のカーボンブラック;黒鉛;活性炭等が挙げられる。これらのなかでも、導電性炭素材料のストラクチャーを制御しやすく、所望のストラクチャー長の導電性炭素材料(所望のDBP吸収量を有する導電性炭素材料)を得やすいとともに、第1導電性多孔質層11の強度(特に引張破壊応力)をより向上させることができる観点から、カーボンブラックが好ましく、ファーネスブラックがより好ましい。これらは、1種単独又は2種以上で用いることができる。例えば、ファーネスブラックを単独で使用することもできるし、ファーネスブラックと他の導電性炭素材料とを併用して使用することもできる。
導電性炭素材料(特に導電性炭素粒子)の平均粒子径は、所望のストラクチャー長の導電性炭素材料(所望のDBP吸収量を有する導電性炭素材料)としやすいとともに、分散性に優れ、面質を向上させやすい観点から、一次粒子径で5nm〜200nm程度が好ましく、5nm〜100nm程度がより好ましい。導電性炭素材料(特に導電性炭素粒子)の平均粒子径は、粒子径分布測定装置LA−920:(株)堀場製作所製により測定する。
高分子重合体
高分子重合体としては、公知又は市販の材料を使用できる。具体的には、イオン伝導性高分子樹脂(Nafion等)、酢酸ビニル樹脂、スチレン−アクリル共重合体樹脂、スチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリエステル−アクリル共重合体樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリオレフィン系樹脂等が挙げられる。また、六フッ化プロピレン−フッ化ビニリデン共重合体、三フッ化塩化エチレン−フッ化ビニリデン共重合体等のフッ素系材料、シリコーンゴム等も挙げられる。
また、高分子重合体としてフッ素ゴム等のエラストマーを使用すれば、第1導電性多孔質層11の柔軟性をより向上させることができる。また、上記高分子重合体は、エマルジョン(高分子重合体粒子を分散させた懸濁液)を使用してもよいし、分散媒に溶解させた高分子重合体を用いてもよい。エマルジョンを使用する場合には、分散媒に高分子重合体を分散させて調製するか、市販品を使用することが好ましい。分散媒としては、例えば、水の他、公知又は市販のアルコール類、ケトン類、芳香族炭化水素類、エステル類、他の有機溶媒を使用することができ、例えば、炭素数1〜5程度の1価又は多価のアルコール類、総炭素数が2〜6程度のケトン類、炭素数が6〜10程度の芳香族炭化水素類、総炭素数が2〜5程度のエステル類、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド等が挙げられる。具体的には、水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロピルアルコール、1−ブタノール、1−ペンタノール;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン;トルエン;酢酸ビニル;N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド等が挙げられる。
また、第1導電性多孔質層11へ撥水性を付与するため、フッ素樹脂等の疎水性樹脂を使用することもできる。このような疎水性樹脂としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)、フッ化エチレンプロピレン樹脂(FEP)、パーフルオロアルコキシ樹脂(PFA)等が挙げられる。
これらの高分子重合体は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。なかでも、撥水性、耐酸性、耐アルカリ性、耐熱性等(特に撥水性)の観点から、疎水性樹脂を使用することが好ましい。
DBP吸収量が上記範囲外の導電性炭素材料
本発明において、第1導電性多孔質層11には、本発明の効果を損なわない範囲であれば、DBP吸収量が上記範囲外(例えば、170cm/100gより大きい)の導電性炭素材料を含んでいてもよい。このようなDBP吸収量が上記範囲外の導電性炭素材料としては、上記説明した導電性炭素粒子を採用することができる。また、DBP吸収量が上記範囲外の導電性炭素材料としては、導電性炭素繊維も採用することができる。導電性炭素繊維としては、例えば、気相成長法炭素繊維(VGCF)、カーボンナノチューブ、ワイヤーカップ、ワイヤーウォール等が挙げられる。これらの導電性炭素繊維は、1種又は2種以上を使用することができる。導電性炭素繊維の平均繊維径は、例えば、50〜400nmが好ましく、100〜250nm程度がより好ましい。導電性炭素繊維の平均繊維長は、例えば、5〜50μm程度が好ましく、10〜20μm程度がより好ましい。導電性炭素繊維の平均アスペクト比は、例えば、10〜500程度が好ましい。なお、導電性炭素繊維の繊維径、繊維長及びアスペクト比は、走査型電子顕微鏡(SEM)等により測定した画像等により測定する。DBP吸収量が上記範囲外の導電性炭素材料を使用する場合、これらの材料のうち1種類のみを使用してもよいし、2種以上を組合せて使用してもよい。
含有量
第1導電性多孔質層11において、上記各成分の配合割合は、例えば、DBP吸収量が30cm/100g〜170cm/100gである導電性炭素材料100質量部に対して、高分子重合体を5質量部〜200質量部程度(特に40質量部〜100質量部程度)が好ましい。また、第1導電性多孔質層11中に、DBP吸収量が上記範囲外の導電性炭素材料を含ませる場合には、その含有量については、本発明の効果を損なわない範囲とすることが好ましい。
本発明において、第1導電性多孔質層11の密度は、0.55g/cm〜1.05g/cm、好ましくは0.60g/cm〜1.00g/cm、成膜性の観点からより好ましくは0.62g/cm〜0.90g/cm、ガス拡散性の観点からさらに好ましくは0.65g/cm〜0.80g/cmある。第1導電性多孔質層11の密度が0.55g/cm未満では、第1導電性多孔質層11の強度(特に引張破壊応力)が小さく、ハンドリング性も低下する。また、第1導電性多孔質層11の密度が1.05g/cmを超えると、面質が悪いために第1導電性多孔質層11の強度(特に引張破壊応力)が小さくハンドリング性も低下するうえに、発電性能が低下する。つまり、本発明では、上記説明した特定の導電性炭素材料を使用した場合でも、第1導電性多孔質層11の密度を上記範囲内に調整しなければ、第1導電性多孔質層の強度(特に引張破壊応力)を十分なものとすることはできず、ハンドリング性も十分ではない。第1導電性多孔質層11の密度は、上記導電性炭素材料及び高分子重合体の種類の他、上記高分子重合体の含有量、第1導電性多孔質層形成用組成物を作製する際の分散時間等を適宜設定することで調整することができる。なお、導電性多孔質層11の密度は、10cm×10cmのサンプルの質量及び厚みから算出する。
本発明において、第1導電性多孔質層11の引張破壊応力は、第1導電性多孔質層11の強度をより向上させるとともに、ハンドリング性をより向上させる観点から、3.0MPa〜10.0MPaが好ましく、4.0MPa〜9.0MPaがより好ましい。第1導電性多孔質層11の引張破壊強度は、上記導電性炭素材料及び高分子重合体の種類の他、上記高分子重合体の含有量、第1導電性多孔質層形成用組成物を作製する際の分散時間等を適宜設定することで調整することができる。なお、導電性多孔質層11の引張破壊応力は、ダンベル形の1B形ではなくダンベル状2号形を用い、試験速度を3mm/分とすること以外は、JIS K 7161−1:2014に規定される方法に準拠して測定する。なお、ダンベル状2号形の試験片の形状及び寸法はJIS K 6251:2010に準拠する。
(1−2)第2導電性多孔質層12
本発明の電池用ガス拡散層には、図2に示されるように、上記の第1導電性多孔質層11以外にも、黒鉛及び高分子重合体を含む第2導電性多孔質層12を備えていてもよい。つまり、本発明の電池用ガス拡散層1においては、第1導電性多孔質層11と接するように、第2導電性多孔質層12が積層されていてもよい。このような構成を採用することにより、第2導電性多孔質層12が緩衝層として介在することとなり、後述する導電性多孔質基材やセパレータからの締め圧により第1導電性多孔質層11の空隙が潰れることをより抑制することができる。また、本発明では、第1導電性多孔質層11が単体で膜として成立することができることから、その第1導電性多孔質層11と積層する第2導電性多孔質層12は単体で膜として成立する必要がない。したがって、第2導電性多孔質層12は空隙をより増大させてガス拡散性能の高い層とすることも可能である。さらに、第2導電性多孔質層12を形成することで、電池用ガス拡散層のガス拡散性能を向上させつつ、電池用ガス拡散層の厚みを容易に所望の厚みとすることもできる。この第2導電性多孔質層12は、例えば、黒鉛及び高分子重合体を含む第2導電性多孔質層形成用組成物を用いて、第1導電性多孔質層11上に形成することができる。また、第2導電性多孔質層12の厚みは、後述する導電性多孔質基材やセパレータからの締め圧により第1導電性多孔質層11の空隙が潰れることをより抑制しつつガス拡散性能をより向上させる観点から、通常1μm〜350μm程度が好ましく、5μm〜300μm程度がより好ましい。
黒鉛
黒鉛としては、公知又は市販の材料を使用でき、その形状としては、例えば、球状黒鉛、楕円状黒鉛、鱗片状黒鉛、薄片状黒鉛、繊維状黒鉛等のいずれでもよい。なかでも、より高いガス拡散性能を付与できる観点から、球状黒鉛又は楕円状黒鉛が好ましく、球状黒鉛がより好ましい。
黒鉛の平均粒子径は、第2導電性多孔質層12の膜厚を薄くする場合や、空隙率を低くする場合は平均粒子径を小さくすることが好ましい。また、第2導電性多孔質層12の膜厚を厚くする場合や、空隙率を高くする場合は平均粒子径を大きくすることが好ましい。これらの観点から黒鉛の平均粒子径は、500nm〜100μm程度が好ましく、1μm〜80μm程度がより好ましい。黒鉛の平均粒子径は、粒子径分布測定装置LA−920:(株)堀場製作所製により測定する。
高分子重合体
高分子重合体としては、上述した第1導電性多孔質層11に用いられる高分子重合体と同様の材料を使用できる。つまり、高分子重合体としては、イオン伝導性高分子樹脂(Nafion等)、酢酸ビニル樹脂、スチレン−アクリル共重合体樹脂、スチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリエステル−アクリル共重合体樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリオレフィン系樹脂等が挙げられる。また、六フッ化プロピレン−フッ化ビニリデン共重合体、三フッ化塩化エチレン−フッ化ビニリデン共重合体等のフッ素系材料、シリコーンゴム等も挙げられる。
また、高分子重合体としてフッ素ゴム等のエラストマーを使用すれば、第2導電性多孔質層12の柔軟性をより向上させることができる。また、上記高分子重合体は、エマルジョン(高分子重合体粒子を分散させた懸濁液)を使用してもよいし、分散媒に溶解させた高分子重合体を用いてもよい。エマルジョンを使用する場合には、分散媒に高分子重合体を分散させて調製するか、市販品を使用することが好ましい。分散媒としては、例えば、水の他、公知又は市販のアルコール類、ケトン類、芳香族炭化水素類、エステル類、他の有機溶媒を使用することができ、例えば、炭素数1〜5程度の1価又は多価のアルコール類、総炭素数が2〜6程度のケトン類、炭素数が6〜10程度の芳香族炭化水素類、総炭素数が2〜5程度のエステル類、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド等が挙げられる。具体的には、水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロピルアルコール、1−ブタノール、1−ペンタノール;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン;トルエン;酢酸ビニル;N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド等が挙げられる。
また、第2導電性多孔質層12へ撥水性を付与するため、フッ素樹脂等の疎水性樹脂を使用することもできる。このような疎水性樹脂としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)、フッ化エチレンプロピレン樹脂(FEP)、パーフルオロアルコキシ樹脂(PFA)等が挙げられる。
これらの高分子重合体は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。なかでも、撥水性、耐酸性、耐アルカリ性、耐熱性等(特に撥水性)の観点から、疎水性樹脂を使用することが好ましい。
黒鉛以外の導電性炭素材料
本発明において、第2導電性多孔質層12には、本発明の効果を損なわない範囲であれば、黒鉛以外の導電性炭素材料を含んでいてもよい。このような黒鉛以外の導電性炭素材料としては、公知又は市販の材料を使用でき、例えば、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック等のカーボンブラック;活性炭等の導電性炭素粒子の他、気相成長法炭素繊維(VGCF)、カーボンナノチューブ、ワイヤーカップ、ワイヤーウォール等の導電性炭素繊維も挙げられる。これらの黒鉛以外の導電性炭素材料は、1種又は2種以上を使用することができる。導電性炭素繊維の平均繊維径は、例えば、50〜400nmが好ましく、100〜250nm程度がより好ましい。導電性炭素繊維の平均繊維長は、例えば、5〜50μm程度が好ましく、10〜20μm程度がより好ましい。導電性炭素繊維の平均アスペクト比は、例えば、10〜500程度が好ましい。なお、導電性炭素繊維の繊維径、繊維長及びアスペクト比は、走査型電子顕微鏡(SEM)等により測定した画像等により測定する。DBP吸収量が上記範囲外の導電性炭素材料を使用する場合、これらの材料のうち1種類のみを使用してもよいし、2種以上を組合せて使用してもよい。
含有量
第2導電性多孔質層12において、上記各成分の配合割合は、例えば、黒鉛100質量部に対して、高分子重合体を1質量部〜200質量部程度(特に5質量部〜100質量部程度)が好ましい。また、第2導電性多孔質層12中に、黒鉛以外の導電性炭素材料を含ませる場合には、その含有量については、本発明の効果を損なわない範囲とすることが好ましい。
(1−3)本発明の電池用ガス拡散層1の構成
上記説明した第1導電性多孔質層11は、本発明の電池用ガス拡散層1中に1層のみ有していてもよいし、2層以上を有していてもよい。また、本発明の電池用ガス拡散層1が上記説明した第2導電性多孔質層12を備える場合は、本発明の電池用ガス拡散層1中に第2導電性多孔質層12を1層のみ有していてもよいし、2層以上を有していてもよい。なお、本発明の電池用ガス拡散層1において、導電性多孔質基材又はセパレータと接する側の最表面が第2導電性多孔質層12である場合、第1導電性多孔質層11の空隙が潰れることをより抑制することが可能である。これらの観点から、本発明の電池用ガス拡散層1は、第1導電性多孔質層11単独からなるか、複数の導電性多孔質層からなり、導電性多孔質基材又はセパレータと接する側の最表面が第2導電性多孔質層12である態様が好ましい。
このような観点から、本発明のガス拡散層1の構成としては、第1導電性多孔質層11を第1、第2導電性多孔質層12を第2とすると、第1からなるガス拡散層;第1及び第2からなるガス拡散層;順に第1、第1及び第1からなるガス拡散層;順に第1、第2及び第1からなるガス拡散層;順に第1、第2及び第2からなるガス拡散層等が挙げられる。
(1−4)導電性多孔質基材
上記した第1導電性多孔質層11及び第2導電性多孔質層12は、導電性多孔質層を支持する機能を有する他層と一体化して使用することにより取扱いがさらに容易となり、作業性を向上させることも可能である。
このような導電性多孔質層を支持する機能を有する他層としては、例えば、導電性多孔質基材を使用することができる。具体的には、上記した本発明の電池用ガス拡散層1において、最表面である第2導電性多孔質層12と導電性多孔質基材とを積層させ、全体を電池用ガス拡散層1として使用することができる。このような構成を採用することにより、第1導電性多孔質層11の空隙が潰れることを抑制しつつ、第2導電性多孔質層12と導電性多孔質基材とを積層することができる。この際、第2導電性多孔質層12と導電性多孔質基材とを一体化することが好ましい。このような構成を採用することにより、第1導電性多孔質層11が導電性多孔質基材表面の粗さ等の影響を受けて変形することを抑制することもできる。このように、導電性多孔質層11が変形することを抑制できることから、電池性能をより良好とすることも可能である。
導電性多孔質基材としては、導電性を有し、多孔質なものである限り特に限定されず、公知又は市販の材料を使用することができる。例えば、カーボンペーパー、カーボンクロス、カーボンフェルト等が挙げられる。
導電性多孔質基材の厚みは、導電性多孔質層を支持する観点から、通常50μm〜1000μm程度が好ましく、100μm〜400μm程度がより好ましい。
導電性多孔質基材は、酸化剤ガスを後述する触媒層へ良好に拡散させるために、金属メッシュ、金属発泡体等からなる多孔質金属体であってもよい。多孔質金属体を用いることにより、導電性が一段と向上する。多孔質金属体に用いる金属としては、ニッケル、パラジウム、銀、ステンレススチール等を用いることができる。また、耐食性及び導電性を向上するために、上記金属メッシュ及び金属発泡体表面にめっき処理を行ってもよい。めっきの材質は、特に制限されず、白金、ルテニウム、ロジウム、タングステン、タンタル、金等の金属又はこれらの合金;カーボン;エポキシ樹脂、アクリル樹脂等の耐食性樹脂とカーボンとの複合体等が挙げられる。これらの中でも、高耐食性の観点から、金が好ましい。
導電性多孔質基材は、予め撥水処理が施された基材であることが好ましい。これにより、さらに一段と、導電性多孔質基材の撥水性を向上させることができる。
撥水処理としては、例えば、上記の導電性多孔質基材をフッ素系樹脂等が分散した水分散体中に浸漬する方法等が挙げられる。フッ素系樹脂としては、上述した樹脂等が挙げられる。なお、この際には、水中にフッ素系樹脂を分散させるために、上述した分散剤を用い、フッ素系樹脂及び水系分散剤を含む水系懸濁液を使用することが好ましい。
水分散体中のフッ素系樹脂の含有量は、例えば、水100質量部に対して、1質量部〜30質量部程度が好ましく、2質量部〜20質量部程度がより好ましい。
本発明においては、導電性多孔質層全体の厚みは、導電性多孔質基材と積層する場合には1μm〜400μmが好ましく、20μm〜250μmがより好ましい。つまり、第1導電性多孔質層11のみを形成する場合は、第1導電性多孔質層11の厚みを上記範囲内とすることが好ましく、第1導電性多孔質層11と第2導電性多孔質層12との双方を形成する場合は、総厚みを上記範囲内とすることが好ましい。
2.電池用ガス拡散層の製造方法
(2−1)第1導電性多孔質層11を備える電池用ガス拡散層1の製造方法
本発明の、第1導電性多孔質層11を備える電池用ガス拡散層1は、例えば、
(I)シート上に、DBP吸収量が170cm/100g以下である導電性炭素材料、及び高分子重合体を含む第1導電性多孔質層形成用組成物を用いて、密度が0.55g/cm〜1.05g/cmとなるように第1導電性多孔質層11を形成する工程、及び
(II)前記第1導電性多孔質層11からシートを剥離する工程
を備える方法により、製造することができる。
工程(I)
工程(I)において、DBP吸収量が170cm/100g以下である導電性炭素材料、及び高分子重合体については、上記したものを採用できる。
本発明において、第1導電性多孔質層形成用組成物には、上記のDBP吸収量が170cm/100g以下である導電性炭素材料、及び高分子重合体以外にも、本発明の効果を損なわない範囲で、DBP吸収量が上記範囲外の導電性炭素材料、分散剤、分散媒、発泡剤等を含ませることができる。なお、本発明で使用する高分子重合体は、溶媒中に溶解又は分散していることがあるが、ここで使用する分散媒は、このような溶媒とは別途使用されるものである。DBP吸収量が上記範囲外の導電性炭素材料については、上記したものを採用できる。
分散剤
分散剤は、DBP吸収量が170cm/100g以下である導電性炭素材料、及び高分子重合体を水等の分散媒中で分散させることができる分散剤である限り限定されず、公知又は市販の分散剤が使用できる。このような分散剤としては、例えば、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコールアルキルエーテル等のノニオン系分散剤;アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウムクロリド、アルキルピリジウムクロリド等のカチオン系分散剤;ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等のノニオン系分散剤、酸性基含有構造変性ポリアクリレート等のアニオン系分散剤等が挙げられる。これらの分散剤は、1種単独又は2種以上で用いることができる。
分散媒
分散媒としては、特に限定されることはなく、例えば、水の他、公知又は市販のアルコール類、ケトン類、芳香族炭化水素類、エステル類、他の有機溶媒を使用することができ、例えば、炭素数1〜5程度の1価又は多価のアルコール類、総炭素数が2〜6程度のケトン類、炭素数が6〜10程度の芳香族炭化水素類、総炭素数が2〜5程度のエステル類、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド等が挙げられる。具体的には、水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロピルアルコール、1−ブタノール、1−ペンタノール;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン;トルエン;酢酸ビニル;N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド等が挙げられる。
発泡剤
発泡剤としては、特に限定されることはなく、第1導電性多孔質層11に気孔を形成することができる材料を使用することができる。例えば、加熱により分解して発泡する加熱発泡剤を好適に使用できる。
加熱発泡剤としては、80℃以上、特に120℃〜250℃程度の分解温度を有する化合物が好ましい。発泡剤の発生ガス量は特に限定されることはなく、通常50ml/g〜500ml/g程度、好ましくは200ml/g〜300ml/g程度である。平均粒子径も特に限定されることはなく、通常1μm〜50μm程度、好ましくは2μm〜5μm程度である。加熱発泡剤としては、上記分解温度を有する公知の有機発泡剤、無機発泡剤等を広く使用できる。
有機発泡剤としては、例えば、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)、アゾジカルボンアミド(ADCA)、4,4’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド (OBSH)、ヒドラゾジカルボンアミド(HDCA)等が挙げられる。これらの中でも低温発泡性を有するアゾジカルボンアミド(ADCA)、4,4’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド(OBSH)等を使用することが好ましい。有機発泡剤を使用する場合は、発泡剤の発泡温度を低下させるために、発泡助剤として尿素助剤を併用できる。
無機発泡剤としては、炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。
含有量
第1導電性多孔質層形成用組成物において、上記各成分の配合割合は、上記したものを採用できる。なお、第1導電性多孔質層形成用組成物中に、分散剤、分散媒、発泡剤等を含ませる場合には、これらの含有量については、DBP吸収量が170cm/100g以下である導電性炭素粒子100質量部に対して、分散剤を0質量部〜100質量部程度(特に5質量部〜50質量部程度)含有することが好ましく、分散媒(高分子重合体を溶解又は分散させる溶媒とは別途用いる分散媒)を0質量部〜1100質量部程度(特に100質量部〜1000質量部程度)、発泡剤を0質量部〜200質量部程度(特に20質量部〜100質量部程度)含有することが好ましい。
なお、第1導電性多孔質層形成用組成物は、例えば、上記のDBP吸収量が170cm/100g以下である導電性炭素粒子、高分子重合体、及び必要に応じて他の成分を混合及び分散させて得ることができる。分散方法としては、例えば公知の超音波分散、ホモジナイザー、メディア分散、スターラー分散等を用いることができる。
シートは、第1導電性多孔質層形成用組成物を用いて第1導電性多孔質層11を形成できるシートであれば特に限定されず、公知又は市販のシートを広く使用することができる。このようなシートとしては、例えば、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリパラバン酸、アラミド、ポリアミド(ナイロン)、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテル・エーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアリレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン等の高分子フィルム等を挙げることができる。また、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等も用いることができる。その他、アルミニウム箔、銅箔、ニッケル箔等の金属箔を使用することも可能である。これらの中でも、耐熱性に優れ、入手のしやすい高分子フィルムが好ましく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリイミド等のフィルムが好ましい。
シートには離型層が積層されていることが好ましい。離型層としては、例えば、公知のワックスから構成されたものが挙げられる。また、離型層が積層されたシートとして、SiOx、フッ素樹脂等でコーティングされたフィルム等を使用してもよい。
シートの厚みは、取り扱い性及び経済性の観点から、通常6μm〜100μm程度、特に10μm〜60μm程度とするのが好ましい。
第1導電性多孔質層形成用組成物を用いて、シート上に第1導電性多孔質層11を形成する方法としては、例えば、塗布法、スプレー法、浸漬法等を採用し得るが、より均一な第1導電性多孔質層11が得られるとともに、導電性多孔質層としてより良好な性能が得られる観点から、本発明では塗布法が好ましい。この際、ロールを用いて形成してもよい。具体的には、シート上に第1導電性多孔質層形成用組成物を、塗布及び乾燥、並びに発泡剤を含有する場合には更に発泡工程を経ることにより、第1導電性多孔質層11を形成することが好ましい。
第1導電性多孔質層形成用組成物の塗布方法としては、公知又は市販のドクターブレード等のブレード、ワイヤーバー、スキージ等の器具やアプリケーター、ダイコート、コンマコート等を用いて塗布することが好ましい。
塗布法を採用する場合、第1導電性多孔質層形成用組成物の塗布量は、例えば、第1導電性多孔質層11にガス透過性能、平滑性、水の排出性や保持性等の水管理特性を付与したい場合は、乾燥後の第1導電性多孔質層11の厚みが1μm〜150μm程度、好ましくは5μm〜100μm程度となるように塗布するのがよい。また、第1導電性多孔質層11にガス拡散性能の効果を付与したい場合は、乾燥後の第1導電性多孔質層11の厚みが1μm〜300μm程度、好ましくは20μm〜250μm程度となるように塗布するのがよい。
また、塗布法を採用する場合、乾燥温度も、例えば、使用する溶剤(分散媒等)の揮発温度等の条件により適宜変更することが好ましい。
乾燥して第1導電性多孔質層11を得た後、必要に応じて更に高い温度(例えば、150℃〜500℃程度)で処理を施してもよい。
さらに、第1導電性多孔質層11は、他部材との密着性向上や、撥水性付与等のため、その表面に、表面処理が施されていてもよい。表面処理としては、例えば、金属ブラシ、サンドブラスト等で物理的に表面凹凸をつける機械的処理、マット処理、コロナ放電処理、プラズマ放電処理、紫外線処理、火炎処理等が挙げられる。
工程(II)
上記工程(I)により、シート上に第1導電性多孔質層11を形成した後に、第1導電性多孔質層11からシートを剥離する。剥離方法は特に制限されず、常法にて用いられる方法を採用することができる。
なお、第1導電性多孔質層11を複数層形成する場合は、上記の工程(I)を複数回行えばよい(2回目以降は、既に形成された第1導電性多孔質層11の上に第1導電性多孔質層11を形成する)。この際、工程(I)を必要回数繰り返した後に工程(II)を行ってもよいし、工程(I)及び工程(II)を1回ずつ行った後に工程(I)を必要回数繰り返してもよいが、工程(I)を必要回数繰り返した後に工程(II)を行うことが好ましい。
(2−2)第1導電性多孔質層11及び第2導電性多孔質層12を備える電池用ガス拡散層1の製造方法
本発明の電池用ガス拡散層1が第2導電性多孔質層12を備えている場合(例えば、第1導電性多孔質層11の上に第2導電性多孔質層12を形成する場合)は、上記(2−1)にて説明した工程(I)及び(II)の他、
(III)前記第1導電性多孔質層11の上に、黒鉛及び高分子重合体を含む第2導電性多孔質層形成用組成物を用いて第2導電性多孔質層12を形成する工程
も備える製造方法により、製造することができる。
工程(III)
工程(III)において、黒鉛及び高分子重合体については、上記したものを採用できる。
本発明において、第2導電性多孔質層形成用組成物には、上記の黒鉛及び高分子重合体以外にも、本発明の効果を損なわない範囲で、黒鉛以外の導電性炭素材料、分散剤、分散媒、泡剤等を含ませることができる。黒鉛以外の導電性炭素材料、分散剤、分散媒及び発泡剤については、上記したものを採用できる。
含有量
第2導電性多孔質層形成用組成物において、上記各成分の配合割合は、上記したものを採用できる。なお、第2導電性多孔質層形成用組成物中に、分散剤、分散媒、発泡剤等を含ませる場合には、これらの含有量については、黒鉛100質量部に対して、分散剤0質量部〜100質量部程度(特に5質量部〜50質量部程度)、分散媒(高分子重合体を溶解又は分散させる溶媒とは別途用いる分散媒)0質量部〜1100質量部程度(特に10質量部〜1000質量部程度)、発泡剤を0質量部〜200質量部程度(特に20質量部〜100質量部程度)が好ましい。
なお、第2導電性多孔質層形成用組成物は、例えば、上記の黒鉛、高分子重合体、及び必要に応じて他の成分を混合及び分散させて得ることができる。分散方法としては、特に制限されず、例えば公知の超音波分散、ホモジナイザー、メディア分散、スターラー分散等を用いることができる。
第2導電性多孔質層形成用組成物を用いて、第1導電性多孔質層11上に第2導電性多孔質層12を形成する方法としては、例えば、塗布法、スプレー法、浸漬法等を採用し得るが、本発明では塗布法が好ましい。この際、ロールを用いて形成してもよい。具体的には、第1導電性多孔質層11上に第2導電性多孔質層形成用組成物を、塗布及び乾燥、並びに発泡剤を含有する場合には更に発泡工程を経ることにより、第2導電性多孔質層12を形成することが好ましい。
第2導電性多孔質層形成用組成物の塗布方法としては、公知又は市販のドクターブレード等のブレード、ワイヤーバー、スキージ等の器具やアプリケーター、ダイコート、コンマコート等を用いて塗布することが好ましい。
塗布法を採用する場合、第2導電性多孔質層形成用組成物の塗布量は、例えば、第2導電性多孔質層12にガス透過性能、平滑性、水の排出性や保持性等の水管理特性を付与したい場合は、乾燥後の第2導電性多孔質層12の厚みが1μm〜150μm程度、好ましくは5μm〜100μm程度となるように塗布するのがよい。また、第2導電性多孔質層12にガス拡散性能の効果を付与したい場合は、乾燥後の第2導電性多孔質層12の厚みが1μm〜350μm程度、好ましくは5μm〜300μm程度となるように塗布するのがよい。なお、他部材(導電性多孔質基材、セパレータ等)からの圧力をより吸収するとともに、セパレータの加工の精度が悪く形状や厚み等のバラつきがある場合にそのバラつきを吸収することでセル全体の精度を向上させる観点からは、第2導電性多孔質層12の厚みを厚くすることが好ましいが、発電性能を維持できるように第2導電性多孔質層12を厚くしすぎないことが好ましい。
また、塗布法を採用する場合、乾燥温度は、例えば、使用する溶剤(分散媒等)の揮発温度等の条件により適宜変更することが好ましい。
乾燥して第2導電性多孔質層12を得た後、必要に応じて更に高い温度(例えば、150℃〜500℃程度)で処理を施してもよい。
さらに、第2導電性多孔質層12は、その表面に、表面処理が施されていてもよい。表面処理としては、例えば、金属ブラシ、サンドブラスト等で物理的に表面凹凸をつける機械的処理、マット処理、コロナ放電処理、プラズマ放電処理、紫外線処理、火炎処理等が挙げられる。
本態様においては、工程(I)、工程(II)及び工程(III)の順;並びに工程(I)、工程(III)及び工程(II)の順のいずれも採用できるが、導電性多孔質層のハンドリング性の観点から、工程(I)、工程(III)、工程(II)の順が好ましい。
なお、第1導電性多孔質層11を複数層形成する場合は、所望の構成が得られるように、上記の工程(I)を複数回行えばよい(2回目以降は、既に形成された第1導電性多孔質層11又は第2導電性多孔質層12の上に第1導電性多孔質層11を形成する)。また、第2導電性多孔質層12を複数層形成する場合は、所望の構成が得られるように、上記の工程(III)を複数回行えばよい(2回目以降は、既に形成された第1導電性多孔質層11又は第2導電性多孔質層12の上に第2導電性多孔質層12を形成する)。この際、各工程の順序は、2回目以降の工程(I)を行う場合は1回目の工程(I)の後に行えば特に制限されない。
(2−3)第1導電性多孔質層11及び導電性多孔質基材を備える電池用ガス拡散層1の製造方法
本発明の電池用ガス拡散層1が導電性多孔質基材を備えている場合(例えば、第1導電性多孔質層11及び導電性多孔質基材を備える場合)は、本発明の電池用ガス拡散層1は、上記(2−1)にて説明した工程(I)及び(II)の他、
(IV)導電性多孔質基材を前記第1導電性多孔質層11に接するように積層する工程
も備える製造方法により、製造することができる。
また、本発明の電池用ガス拡散層1が導電性多孔質基材を備えている場合(例えば、第1導電性多孔質層11、第2導電性多孔質層12及び導電性多孔質基材を備える場合)は、本発明の電池用ガス拡散層1は、上記(2−2)にて説明した工程(I)、(II)及び(III)の他、上記工程(IV)を備える製造方法により、製造することができる。
工程(IV)
工程(IV)において、導電性多孔質基材については、上記したものを採用できる。
工程(IV)では、導電性多孔質基材を第2導電性多孔質層12と接するように積層するが、この際、導電性多孔質基材と第2導電性多孔質層12とが一体化するように積層することが好ましい。
具体的には、導電性多孔質基材と第2導電性多孔質層12とが接するように配置した後に、加圧することにより、一体化することが好ましい。また、加圧操作の際には、より低圧の条件で、より密着性を高めるために加圧面を加熱して熱プレスすることが好ましい。
本発明においては、熱プレスの条件は、例えば、加熱温度が40℃〜150℃(特に60℃〜120℃)、印加圧力が0.5MPa〜10MPa(特に1MPa〜5MPa)、熱プレス時間が10秒〜300秒(特に30秒〜200秒)とすることが好ましい。
本態様において、第1導電性多孔質層11及び導電性多孔質基材を備える電池用ガス拡散層1を製造する場合は、工程(I)、工程(II)及び工程(IV)の順;並びに工程(I)、工程(IV)及び工程(II)の順のいずれも採用できる。第1導電性多孔質層11のシートを剥離した面(以下、「シート面」ということもある)は平滑であるため、第1導電性多孔質層11のシート面側に積層する場合、密着性に優れる。したがって、密着性に優れる第1導電性多孔質層11のシート面側に積層できるという観点から、工程(I)、工程(II)、工程(IV)の順に行うことが好ましい。また、本態様において、第1導電性多孔質層11、第2導電性多孔質層12及び導電性多孔質基材を備える電池用ガス拡散層1を製造する場合は、工程(I)、工程(II)、工程(III)及び工程(IV)の順;工程(I)、工程(II)、工程(IV)及び工程(III)の順;工程(I)、工程(IV)、工程(II)及び工程(III)の順;並びに工程(I)、工程(III)、工程(II)及び工程(IV)の順のいずれも採用できるが、ハンドリング及び密着性の観点から、工程(I)、工程(III)、工程(II)、工程(IV)の順に行うことが好ましい。なお、工程(I)及び/又は工程(III)を複数回行う場合、各工程の順序は、2回目以降の工程(I)を行う場合は1回目の工程(I)の後に行えば特に制限されない。
3.電池用膜−電極接合体2及び電池3
本発明の電池用ガス拡散層1を燃料電池用ガス拡散層又は金属空気電池用ガス拡散層として用いて、図3〜4に示されるように、電池用膜−電極接合体2又は電池3(固体高分子形燃料電池、金属空気電池等)を製造することができる。具体的には、触媒層212、電解質膜211及び触媒層212がこの順に形成された積層体からなる触媒層−電解質膜積層体21の片面又は両面に、本発明の電池用ガス拡散層1を、第1導電性多孔質層11と触媒層とが接するように積層させることで本発明の電池用膜−電極接合体を得ることができ、また、本発明の電池用膜−電極接合体の電池用ガス拡散層と接するようにセパレータを積層することで本発明の電池を得ることができる。このような本発明の電池用膜−電極接合体2の代表例は図3に示されるとおりであるが、その構成はこれに限定されることはなく、例えば、「触媒層−電解質膜積層体21の片面に、第1導電性多孔質層11が積層された電池用膜−電極接合体2」、「触媒層−電解質膜積層体21の両面に、第1導電性多孔質層11が積層された電池用膜−電極接合体2」、「触媒層−電解質膜積層体21の片面に、第1導電性多孔質層11及び第2導電性多孔質層12がこの順に積層された電池用膜−電極接合体2」、「触媒層−電解質膜積層体21の両面に、第1導電性多孔質層11及び第2導電性多孔質層12がこの順に積層された電池用膜−電極接合体2」、「触媒層−電解質膜積層体21の片面に、第1導電性多孔質層11及び導電性多孔質基材がこの順に積層された電池用膜−電極接合体2」、「触媒層−電解質膜積層体21の両面に、第1導電性多孔質層11及び導電性多孔質基材がこの順に積層された電池用膜−電極接合体2」、「触媒層−電解質膜積層体21の片面に、第1導電性多孔質層11、第2導電性多孔質層12及び導電性多孔質基材がこの順に積層された電池用膜−電極接合体2」、及び「触媒層−電解質膜積層体21の両面に、第1導電性多孔質層11、第2導電性多孔質層12及び導電性多孔質基材がこの順に積層された電池用膜−電極接合体2」をいずれも採用できる。
セパレータ
セパレータ31としては、公知又は市販のセパレータを使用することができる。
セパレータ31の材質は、特に制限されず、目的に応じて適宜選択できる。例えば、ステンレススチール、銅、チタン、アルミニウム、ロジウム、タンタル、タングステン等の金属又はこれらの少なくとも1種を含む合金;グラファイト;樹脂にカーボンを練り込んだカーボンコンパウンド等が挙げられる。これらの中でも、強度、電池(燃料電池、金属空気電池等)の薄型化及び導電性等の観点から、上記金属又はこれらの少なくとも1種を含む合金が好ましく、チタン及びステンレススチールがより好ましい。
また、耐食性及び導電性を向上させるために、上記セパレータ31表面にめっき処理を行ってもよい。めっきの材質は、例えば、白金、ルテニウム、ロジウム、タングステン、タンタル、金等の金属又はこれらの合金;カーボン;エポキシ樹脂、アクリル樹脂等の耐食性樹脂とカーボンとの複合体等が挙げられる。これらの中でも、高耐食性の観点から、金が好ましい。
セパレータ31には、ガス流路が形成されている。ガス流路は燃料電池の燃料である水素、空気等を流し、燃料電池の反応によって発生する水を電池外部へと排出するためのものであれば、流路の幅、深さ、形状等は特に制限されず、目的に応じて適宜選択される。通常は、幅0.1mm〜2mm(好ましくは0.5mm〜1.5mm)であり、深さ0.05mm〜2mm(好ましく0.1mm〜1mm)である。
前記ガス流路表面は、凹凸を有していてもよいし、平坦であってもよいが、撥水性向上の観点から、ガス流路表面は凹凸を有していることが好ましい。
セパレータ31としては、前記ガス流路の一部又は全部に撥水層が形成されており、前記撥水層が硫黄及びその化合物の少なくとも1種からなっているのが好ましい。
また、セパレータ31は、セパレータ31を構成する金属板の少なくとも片面に、好ましくは金属板の両面に、より好ましくは金属板の全表面にリン含有層が形成されている。リン含有層は、固体高分子電解質のスーパアシッド(超酸)による腐食から、金属板の表面を保護することができる。
リン含有層を構成する物質は、金属板の種類、リン含有層形成の際に使用されるリン化合物の種類等により異なる。
リン含有層を形成の際に使用されるリン化合物としては、公知の無機リン化合物を広く使用でき、例えばリン酸、ポリリン酸等の縮合リン酸及びこれらの塩等が挙げられる。ここで塩としては、例えば、アンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、金属塩が挙げられる。
このような本発明の電池3の代表例は図4に示されるとおりであるが、その構成はこれに限定されることはなく、例えば、「触媒層−電解質膜積層体21の片面に、第1導電性多孔質層11及びセパレータ31がこの順に積層された電池」、「触媒層−電解質膜積層体21の両面に第1導電性多孔質層11が積層された電池用膜−電極接合体の片面に、セパレータ31が積層された電池」、「触媒層−電解質膜積層体21の両面に、第1導電性多孔質層11及びセパレータ31がこの順に積層された電池」、「触媒層−電解質膜積層体21の片面に、第1導電性多孔質層11、第2導電性多孔質層12及びセパレータ31がこの順に積層された電池」、「触媒層−電解質膜積層体21の両面に第1導電性多孔質層11が積層された電池用−膜電極接合体の片面に、第2導電性多孔質層12及びセパレータ31がこの順に積層された電池」、「触媒層−電解質膜積層体21の両面に第1導電性多孔質層11及び第2導電性多孔質層12がこの順に積層された電池用−膜電極接合体の片面に、セパレータ31が積層された電池」、「触媒層−電解質膜積層体21の両面に、第1導電性多孔質層11、第2導電性多孔質層12及びセパレータ31がこの順に積層された電池」、「触媒層−電解質膜積層体21の片面に、第1導電性多孔質層11、導電性多孔質基材及びセパレータ31がこの順に積層された電池」、「触媒層−電解質膜積層体21の両面に第1導電性多孔質層11がこの順に積層された電池用膜−電極接合体の片面に、導電性多孔質基材及びセパレータ31がこの順に積層された電池」、「触媒層−電解質膜積層体21の両面に第1導電性多孔質層11及び導電性多孔質基材がこの順に積層された電池用膜−電極接合体の片面に、セパレータ31が積層された電池」、及び「触媒層−電解質膜積層体21の両面に、第1導電性多孔質層11、導電性多孔質基材及びセパレータ31がこの順に積層された電池」、「触媒層−電解質膜積層体21の片面に、第1導電性多孔質層11、第2導電性多孔質層12、導電性多孔質基材及びセパレータ31がこの順に積層された電池」、「触媒層−電解質膜積層体21の両面に第1導電性多孔質層11が積層された電池用−膜電極接合体の片面に、第2導電性多孔質層12、導電性多孔質基材及びセパレータ31がこの順に積層された電池」、「触媒層−電解質膜積層体21の両面に第1導電性多孔質層11及び第2導電性多孔質層12がこの順に積層された電池用−膜電極接合体の片面に、導電性多孔質基材及びセパレータ31がこの順に積層された電池」、「触媒層−電解質膜積層体21の両面に第1導電性多孔質層11、第2導電性多孔質層12及び導電性多孔質基材がこの順に積層された電池用−膜電極接合体の片面に、セパレータ31が積層された電池」、及び「触媒層−電解質膜積層体21の両面に、第1導電性多孔質層11、第2導電性多孔質層12、導電性多孔質基材及びセパレータ31がこの順に積層された電池」をいずれも採用できる。
本発明においては、一旦製造した本発明の電池用ガス拡散層1を後述の触媒層−電解質膜積層体21の片面又は両面に積層させれば、膜−電極接合体2又は電池3を製造することができる。この場合、電池用ガス拡散層1を触媒層−電解質膜積層体21に一体化させることが好ましい。
(3−1)触媒層−電解質膜積層体21
電解質膜211
電解質膜211は、水素イオン伝導性や水酸化物イオン伝導性の電解質膜であればよく、水素イオン伝導性電解質膜や水酸化物イオン伝導性電解質膜等の公知又は市販の電解質膜を使用できる。水素イオン伝導性電解質膜の具体例としては、例えば、デュポン社製の「Nafion」(登録商標)膜、旭硝子(株)製の「Flemion」(登録商標)膜、旭化成(株)製の「Aciplex」(登録商標)膜、ゴア(Gore)社製の「Gore Select」(登録商標)膜等が挙げられる。また、水酸化物イオン伝導性電解質膜の具体例としては、炭化水素系の電解質膜として、旭化成(株)製の「Aciplex」(登録商標)A−201,211,221等、トクヤマ(株)製のネオセプタ(登録商標)AM−1、AHA等を挙げることができ、フッ素樹脂系の電解質膜として、東ソー(株)製のトスフレックス(登録商標)IE−SF34,FuMatech社製のFumapem(登録商標)FAA等を挙げることができる。
電解質膜211の膜厚は、通常20μm〜250μm程度が好ましく、20μm〜150μm程度がより好ましい。
また、本発明の電池用膜−電極接合体2を金属空気電池用として使用する場合には、固体の電解質膜に限られず、ゲル状や液状の電解液を使用することも可能である。この場合の電解液に使用される材料は、特に制限されず、従来から金属空気電池に使用される公知又は市販の材料を使用することができる。例示すると、電解液は負極の金属に対応して選択されるが、水、食塩水、アルカリ性溶液、負極の金属の金属塩溶液等が適宜使用される。
触媒層212
触媒層212は、触媒を含有していればよく、例えば、炭素粒子に触媒粒子を担持させたものを用いてもよい。さらに触媒層212は、触媒の他に高分子重合体を含有してもよい。
触媒としては、例えば、白金や白金化合物等が挙げられる。白金化合物としては、例えば、ルテニウム、パラジウム、ニッケル、モリブデン、イリジウム、鉄、コバルト等からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属と、白金との合金等が挙げられる。なお、通常は、触媒層に含まれる触媒は白金である。
炭素粒子は、導電性を有しているものであればよく、公知又は市販のものを広く使用できる。例えば、カーボンブラックや、黒鉛、活性炭等を1種又は2種以上で用いることができる。カーボンブラックの例としては、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック等を挙げることができる。炭素粒子の算術平均粒子径は通常5nm〜200nm程度、好ましくは20nm〜80nm程度である。この炭素粒子の平均粒子径は、粒子径分布測定装置LA−920:(株)堀場製作所製により測定する。
高分子重合体としては、公知の材料を使用できる。具体的には、イオン伝導性高分子電解質、酢酸ビニル樹脂、スチレン−アクリル共重合体樹脂、スチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリエステル−アクリル共重合体樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。また、六フッ化プロピレン−フッ化ビニリデン共重合体、三フッ化塩化エチレン−フッ化ビニリデン共重合体等のフッ素系材料、シリコーンゴム等も挙げられる。これらの高分子重合体は、単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせてもよい。
また、イオン伝導性高分子電解質としては、例えば、パーフルオロスルホン酸系のフッ素系イオン交換樹脂、より具体的には、炭化水素系イオン交換膜のC−H結合をフッ素で置換したパーフルオロカーボンスルホン酸系ポリマー(PFS系ポリマー)等が挙げられる。電気陰性度の高いフッ素原子を導入することで、化学的に非常に安定し、スルホン酸基の解離度が高く、高いイオン伝導性が実現できる。このようなイオン伝導性高分子電解質の具体例としては、デュポン社製の「Nafion」(登録商標)、旭硝子(株)製の「Flemion」(登録商標)、等が挙げられる。イオン伝導性高分子電解質含有溶液中に含まれるイオン伝導性高分子電解質の濃度は、通常5質量%〜60質量%程度、好ましくは20質量%〜40質量%程度である。
触媒層212の厚みは、例えば、通常1μm〜100μm程度が好ましく、2μm〜50μm程度がより好ましい。
なお、触媒層212には、撥水剤として、フッ素樹脂等の他、非ポリマー系フッ素材料であるフッ化ピッチ、フッ化カーボン、フッ化黒鉛等を添加することもできる。
金属空気電池の場合、正極に使用する触媒は、上記した触媒の他に、二酸化マンガン、金、活性炭、イリジウム酸化物、ペロブスカイト型複合酸化物、金属含有顔料等が使用できる。これらの触媒粉末を上記の撥水剤をバインダーとして分散して塗布することにより触媒層212を形成できる。あるいは蒸着が可能な材料は蒸着により触媒層212を形成することができる。または、金属塩溶液を電極上で還元して金属を微細な形状に析出させて触媒層212を形成することができる。
また、負極の金属は、どのような空気電池を構成するかにより金属が選択される。リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)等の金属、合金又は金属化合物が負極活物質として使用することができる。負極と電解液との接触面積を多くするため、負極は微細な空孔を持っていることが好ましい。
触媒層−電解質膜積層体21の製造方法
触媒層−電解質膜積層体21は、例えば、シートの片面に触媒層212が形成された触媒層形成用転写フィルムを用いて、触媒層212と電解質膜211とが対面するように触媒層形成用転写フィルムを配置し、加温条件下で加圧して触媒層212を電解質膜211に転写した後、転写フィルムを剥離することにより製造することができる。なお、この操作を2回繰り返せば、電解質膜211の両面に触媒層212が積層された触媒層−電解質膜積層体21を製造することができるが、作業性等を考慮すると、触媒層212を電解質膜211の両面に同時に積層するのがよい。この際形成される触媒層212は、片方がアノード触媒層、他方がカソード触媒層である。アノード触媒層とカソード触媒層とは同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。また、触媒層−電解質膜積層体21の片面に本発明のガス拡散層1を積層する場合、アノード触媒層上に積層してもよいし、カソード触媒層上に積層してもよい。
転写する際には、触媒層形成用転写フィルムの基材フィルム側から、公知のプレス機等を用いて加圧することが好ましい。その際の加圧レベルは、転写不良を避けるために、通常0.5MPa〜10MPa程度、特に1MPa〜8MPa程度が好ましい。また、この加圧操作の際に、転写不良を避けるために、加圧面を加熱するのが好ましい。加熱温度は、使用する電解質膜の種類により適宜変更することが好ましい。
なお、基材フィルムとしては、特に制限されることはなく、上述のシートと同様の基材を使用できる。例えば、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテル・エーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアリレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリオレフィン等の高分子フィルムを挙げることができる。また、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の耐熱性フッ素樹脂を用いることもできる。これらのなかでも、安価で入手が容易な高分子フィルムが好ましく、ポリエチレンテレフタレート等がより好ましい。
基材フィルムの厚さは、基材フィルム上に触媒層212を形成させる作業性、経済性等の観点から、通常6μm〜150μm程度が好ましく、12μm〜75μm程度がより好ましい。
また、基材フィルムは、離型層が積層された基材フィルムであってもよい。離型層としては、例えば、公知のワックスから構成された層、公知のSiOx、フッ素系樹脂でコーティングされたプラスチックフィルム等が挙げられる。また、基材フィルム上に離型性の高いフィルムを積層して構成されたもの、例えば、PET基材と耐熱フッ素樹脂基材との積層体等の構造を有しているものでもよい。
また、前記触媒層212を前記電解質膜211上に形成する方法としては、上記の転写による触媒層212の形成方法の他にも、前記電解質膜211に触媒層形成用組成物を塗布して形成してもよい。
触媒層形成用組成物は、上記触媒層212を形成するための組成物であって、上記触媒及び必要に応じて高分子重合体の他、溶媒を含有していてもよい。
溶媒は、公知又は市販のものを使用することができ、例えば、各種アルコール、各種エーテル、各種ジアルキルスルホキシド、水又はこれらの混合物等が挙げられる。アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等の炭素数1〜4の一価アルコール、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等の多価アルコール等が挙げられる。エーテルとしては、例えば、含フッ素エーテル化合物であるハイドロフルオロエーテルや、n−プロピルエーテル等が挙げられる。ジアルキルスルホキシドとしては、例えば、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらの溶剤は1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
触媒層形成用組成物には、触媒材料及び樹脂が所定の割合となるように配合することが好ましい。例えば、触媒材料1質量部に対して、樹脂(固形分)が0.1質量部〜5質量部(特に0.2質量部〜4質量部)、溶媒が3質量部〜50質量部(特に10質量部〜30質量部)含まれているのがよく、残りが水である。水の割合は、通常、触媒材料に対して、等質量〜30倍質量である。
触媒層形成用組成物の塗布方法としては、例えば、ナイフコーター、バーコーター、ブレードコーター、スプレー、ディップコーター、スピンコーター、ロールコーター、ダイコーター、コンマコーター、カーテンコーター、スクリーン印刷等の一般的な方法を採用できる。
触媒層形成用組成物を塗布した後、必要に応じて乾燥することにより触媒層22が形成される。乾燥温度は、例えば、大気雰囲気中、通常80℃〜150℃程度が好ましく、100℃〜130℃程度がより好ましい。乾燥時間は乾燥温度にもよるが、通常0.5分〜30分程度が好ましく、1分〜15分程度がより好ましい。
なお、触媒層を一方面のみならず他方面にも形成する場合には、例えば、電解質膜211の上下からダイで両面に、触媒層形成用組成物を塗布し、その後必要に応じて上下から乾燥させる方法が挙げられる。また、電解質膜211の両面に、ディップコートにより触媒層形成用組成物を塗布し、その後必要に応じて乾燥させる方法も挙げられる。また、まず片方の電解質膜211の上に、触媒層形成用組成物を塗布及び必要に応じて乾燥して触媒層212を形成した後に、反対側の上に、同様に触媒層形成用組成物を塗布及び必要に応じて乾燥して別途触媒層212を形成してもよい。この際、2層の触媒層212に使用される触媒層形成用組成物は同じものでも異なるものでもよいし、2層の触媒層212の厚みも同じであってもよく異なっていてもよいが、熱収縮によるカール抑制等の観点から、いずれも同じであることが好ましい。
以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明をより詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
<材料>
第1導電性多孔質層形成用組成物及び第2導電性多孔質層形成用組成物の調製には、以下に示す材料を使用した。なお、カーボンブラック1〜6は、いずれも市販品である。
カーボンブラック(1):ファーネスブラック(DBP吸収量48cm/100g、平均粒子径40〜60nm)
カーボンブラック(2):ファーネスブラック(DBP吸収量66cm/100g、平均粒子径40〜60nm)
カーボンブラック(3):ファーネスブラック(DBP吸収量93cm/100g、平均粒子径40〜60nm)
カーボンブラック(4):ファーネスブラック(DBP吸収量130cm/100g、平均粒子径40〜60nm)
カーボンブラック(5):ファーネスブラック(DBP吸収量142cm/100g、平均粒子径40〜60nm)
カーボンブラック(6):ファーネスブラック(DBP吸収量175cm/100g、平均粒子径40〜60nm)
黒鉛:球状黒鉛(平均粒子径20μm)
高分子重合体溶液:Solef21216/1001(ソルベイソレクシス(株)製;PVDF−HFP;メチルエチルケトンに溶解させた固形分10wt%)
発泡剤:熱分解型発泡剤(平均粒子径3〜5μm)。
実施例1
カーボンブラック(1)100質量部、高分子重合体溶液750質量部(固形分75質量部)、発泡剤50質量部、及びメチルエチルケトン(MEK)600質量部をメディア分散により60分間分散させることにより第1導電性多孔質層形成用組成物を調合した。この第1導電性多孔質層形成用組成物を、離型層が形成されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上にアプリケーターを用いて約50μmの厚みとなるように塗布した。その後、95℃に設定した乾燥炉中で約15分乾燥させて、PETフィルム上に第1導電性多孔質層(1)を作製した。その後、第1導電性多孔質層(1)を離型層が形成されたPETフィルムから剥離し、その後270℃で1時間焼成して発泡剤を分解し、第1導電性多孔質層(1)(実施例1の電池用ガス拡散層)を得た。
実施例2
カーボンブラック(1)の代わりにカーボンブラック(2)を使用すること以外は実施例1と同様に、第1導電性多孔質層(2)(実施例2の電池用ガス拡散層)を得た。
実施例3
カーボンブラック(1)の代わりにカーボンブラック(3)を使用すること以外は実施例1と同様に、第1導電性多孔質層(3)(実施例3の電池用ガス拡散層)を得た。
実施例4
カーボンブラック(1)の代わりにカーボンブラック(4)を使用すること以外は実施例1と同様に、第1導電性多孔質層(4)(実施例4の電池用ガス拡散層)を得た。
実施例5
カーボンブラック(1)の代わりにカーボンブラック(5)を使用すること以外は実施例1と同様に、第1導電性多孔質層(5)(実施例5の電池用ガス拡散層)を得た。
実施例6
実施例4と同様に、第1導電性多孔質層(4)を得た。
次に、黒鉛100質量部、高分子重合体溶液50質量部(固形分5質量部)、及びメチルエチルケトン(MEK)100質量部をメディア分散により60分間分散させることにより第2導電性多孔質層形成用組成物を調合した。この第2導電性多孔質層形成用組成物を、第1導電性多孔質層(4)上にアプリケーターを用いて約50μmの厚みとなるように塗布した。その後、95℃に設定した乾燥炉中で約15分乾燥させて、第1導電性多孔質層(4)上に第2導電性多孔質層(1)を作製し、第1導電性多孔質層(4)及び第2導電性多孔質層(1)の積層体(実施例6の電池用ガス拡散層)を得た。
実施例7
実施例4と同様に、第1導電性多孔質層(4)を得た。
次に、第2導電性多孔質層形成用組成物を、150μmの厚みとなるように塗布したこと以外は実施例6と同様にして、第1導電性多孔質層(4)上に第2導電性多孔質層(2)を作製し、第1導電性多孔質層(4)及び第2導電性多孔質層(2)の積層体(実施例7の電池用ガス拡散層)を得た。
実施例8
実施例4と同様に、第1導電性多孔質層(4)を得た。
次に、第2導電性多孔質層形成用組成物を、200μmの厚みとなるように塗布したこと以外は実施例6と同様にして、第1導電性多孔質層(4)上に第2導電性多孔質層(3)を作製し、第1導電性多孔質層(4)及び第2導電性多孔質層(3)の積層体(実施例8の電池用ガス拡散層)を得た。
実施例9
実施例4と同様に、第1導電性多孔質層(4)を得た。
次に、第2導電性多孔質層形成用組成物を、250μmの厚みとなるように塗布したこと以外は実施例6と同様にして、第1導電性多孔質層(4)上に第2導電性多孔質層(4)を作製し、第1導電性多孔質層(4)及び第2導電性多孔質層(4)の積層体(実施例9の電池用ガス拡散層)を得た。
比較例1
カーボンブラック(1)の代わりにカーボンブラック(6)を使用すること以外は実施例1と同様に、第1導電性多孔質層(6)(比較例1の電池用ガス拡散層)を得た。
比較例2
高分子重合体溶液の配合量を450質量部としたこと以外は実施例4と同様に、第1導電性多孔質層(7)(比較例2の電池用ガス拡散層)を得た。
比較例3
高分子重合体溶液の配合量を1600質量部としたこと以外は実施例4と同様に、第1導電性多孔質層(8)(比較例3の電池用ガス拡散層)を得た。
密度評価
実施例1〜5及び比較例1〜3で得た電池用ガス拡散層を、10cm×10cmの大きさに裁断して試験用サンプルを作製した後、当該試験用サンプルの質量及び厚みを測定し、これらの値から密度を算出した。結果を表1に示す。
引張破壊応力評価
実施例1〜5及び比較例1〜3で得た電池用ガス拡散層を、ダンベル形の1B形ではなくダンベル状2号形を用い、試験速度を3mm/分とすること以外は、JIS K 7161−1:2014に規定される方法に準拠して、引張破壊応力を測定した。なお、ダンベル状2号形の試験片の形状及び寸法はJIS K 6251:2010に準拠する。結果を表1に示す。
以上の結果、実施例1〜5では、カーボンブラックのDBP吸収量が大きい比較例1と比較して、第1導電性多孔質層の引張破壊応力を大きくすることができ、ガス拡散層として使用するために十分な強度を有していた。
また、比較例2では、カーボンブラックのDBP吸収量が30〜170cm/100gであっても、第1導電性多孔質層の密度が小さいため、第1導電性多孔質層の引張破壊応力を大きくすることはできず、ガス拡散層として使用するために十分な強度を有していなかった。なお、比較例3では、カーボンブラックのDBP吸収量が30〜170cm/100gであっても、第1導電性多孔質層の密度が大きいため、第1導電性多孔質層作製時(乾燥時)の収縮が大きく、クラックやカール等により膜の形成が困難であるため、引張破壊応力の測定すらできないほどハンドリング性に乏しかった。
第1導電性多孔質層の空隙潰れ率評価
実施例4及び6、並びに比較例1で得た電池用ガス拡散層を、5cm×5cmの大きさに裁断して試験用サンプルを作製し、試験用サンプルを切断し、その断面のSEM(日本電子(株)製JSM-6700F)観察により、第1導電性多孔質層の厚みを測定した(プレス前膜厚)。次に、得られた試験用サンプルに対して、プレス温度80℃、プレス圧3MPa、プレス時間150秒の条件で熱プレスを行い、熱プレス後の第1導電性多孔質層の厚みを、上記と同様に測定した(プレス後膜厚)。そして、以下の式:
潰れ率(%)=100−(プレス後膜厚)/(プレス前膜厚)×100
にしたがって、潰れ率を算出した。結果を表2に示す。
以上の結果、実施例4及び6では、カーボンブラックのDBP吸収量が大きい比較例1と比較して、第1導電性多孔質層の空隙が潰れることを抑制することができた。特に、第2導電性多孔質層を緩衝層として有する実施例6では、さらに第1導電性多孔質層の空隙が潰れることを抑制することができた。
発電性能評価
<触媒層−電解質膜積層体の作製>
白金触媒担持炭素粒子4g(田中貴金属工業(株)製、「TEC10E50E」)、イオン伝導性高分子電解質溶液40g(Nafion5質量%溶液:「DE−520」デュポン社製)、蒸留水12g、n−ブタノール20g及びt−ブタノール20gを配合し、分散機にて攪拌混合することにより、アノード触媒層形成用組成物及びカソード触媒層形成用組成物を得た。
アノード触媒層形成用組成物及びカソード触媒層形成用組成物を、それぞれアプリケーターを用いて、基材フィルム(PETフィルム)上に塗工し、95℃で30分程度乾燥させることにより触媒層を形成させて、アノード触媒層形成用転写フィルム及びカソード触媒層形成用転写フィルムを作製した。なお、触媒層の塗工量は、アノード触媒層、カソード触媒層共に白金担持量が0.45mg/cm程度となるようにした。
上記で作製したアノード触媒層形成用転写フィルム及びカソード触媒層形成用転写フィルムを用いて、イオン伝導性高分子電解質膜の各面に、熱プレスを行った後、基材フィルムのみを剥がすことにより、触媒層−電解質膜積層体を作製した。
<燃料電池の製造>
上記で作製した触媒層−電解質膜積層体の両面(カソード側及びアノード側)に、実施例1〜6、並びに比較例1及び3の各電池用ガス拡散層を、第1導電性多孔質層が触媒層に接触するように積層させることにより、膜−電極接合体を得、次いで、得られた膜−電極接合体を燃料電池セルに組み込むことにより、固体高分子形燃料電池(実施例1〜6、並びに比較例1及び3の電池用ガス拡散層を用いて製造した固体高分子形燃料電池)を製造した。
<発電性能評価試験>
上記のようにして得られた各固体高分子形燃料電池を5cmに裁断し、発電性能評価試験を、以下の条件:
セル温度:80℃
加湿温度:カソード80℃、アノード80℃
ガス利用率:カソード40%、アノード70%
により行った。
負荷電流を変動させ、0.8A/cmにおけるセル電圧値の測定を行った。結果を表3に示す。
以上の結果、実施例1〜6では、カーボンブラックのDBP吸収量が大きい比較例1と同等の発電性能が得られた。また、比較例3では、カーボンブラックのDBP吸収量が30〜170cm/100gであっても、第1導電性多孔質層の密度が大きいため、発電性能が極端に悪かった。
セル組み評価
実施例1〜9及び比較例1で得た各電池用ガス拡散層をA4サイズ(210mm×297mm)に裁断し、当該電池用ガス拡散層のハンドリング性を以下:
A:手で持ち上げた際に自重で壊れる等の不具合がない
C:手で持ち上げた際に自重で壊れる等の不具合がある
のように評価した。結果を表4に示す。
以上の結果、実施例1〜9の電池用ガス拡散層は、比較的大きいサイズの燃料電池を作製するためにガス拡散層を比較的大きいサイズとした場合にも、手で持ち上げた際に自重で壊れる等の不具合が発生しないことから、ハンドリング性に優れることが理解できる。それに対して、比較例1では、比較的大きいサイズの燃料電池を作製するためにガス拡散層を比較的大きいサイズとした場合には、手で持ち上げただけで自重で壊れるため、ハンドリング性に劣ることが理解できる。
1 電池用ガス拡散層
11 第1導電性多孔質層
12 第2導電性多孔質層
2 電池用膜−電極接合体
21 触媒層−電解質膜積層体
211 電解質膜
212 触媒層
3 電池
31 セパレータ

Claims (9)

  1. ジブチルフタレート吸収量が170cm/100g以下である導電性炭素材料、及び高分子重合体を含み、且つ、密度が0.55g/cm〜1.05g/cmである第1導電性多孔質層を備える、電池用ガス拡散層。
  2. 前記導電性炭素材料は、ファーネスブラックである、請求項1に記載の電池用ガス拡散層。
  3. 前記第1導電性多孔質層の引張破壊応力が3.0MPa〜10.0MPaである、請求項1又は2に記載の電池用ガス拡散層。
  4. 前記第1導電性多孔質層と接するように、黒鉛及び高分子重合体を含む第2導電性多孔質層が積層されている、請求項1〜3のいずれかに記載の電池用ガス拡散層。
  5. 前記黒鉛は、球状黒鉛である、請求項4に記載の電池用ガス拡散層。
  6. 触媒層、電解質膜及び触媒層が順次積層された触媒層−電解質膜積層体の片面又は両面に、前記第1導電性多孔質層が接するように請求項1〜5のいずれかに記載の電池用ガス拡散層が積層されている、電池用膜−電極接合体。
  7. 請求項6に記載の電池用膜−電極接合体の電池用ガス拡散層と接するように、セパレータが積層されている、電池。
  8. 電池用ガス拡散層の製造方法であって、
    (I)シート上に、ジブチルフタレート吸収量が170cm/100g以下である導電性炭素材料、及び高分子重合体を含む第1導電性多孔質層形成用組成物を用いて、密度が0.55g/cm〜1.05g/cmとなるように第1導電性多孔質層を形成する工程、及び
    (II)前記第1導電性多孔質層からシートを剥離する工程
    を備える、電池用ガス拡散層の製造方法。
  9. さらに、
    (III)前記第1導電性多孔質層の上に、黒鉛及び高分子重合体を含む第2導電性多孔質層形成用組成物を用いて第2導電性多孔質層を形成する工程
    を備える、請求項8に記載の電池用ガス拡散層の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022196744A1 (ja) * 2021-03-19 2022-09-22 パナソニックIpマネジメント株式会社 感応膜及びガスセンサ

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