JP2017037745A - 電池用ガス拡散層、電池部材、膜−電極接合体、燃料電池、及び電池用ガス拡散層の製造方法 - Google Patents

電池用ガス拡散層、電池部材、膜−電極接合体、燃料電池、及び電池用ガス拡散層の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ガス流路が形成され、かつ、ガス拡散性が良好であり、触媒層側の表面が平滑な電池用ガス拡散層を提供する。
【解決手段】第1導電性多孔質層11と、第1導電性多孔質層11の一方面11a上に部分的に設けられた第2導電性多孔質層12と、を備え、第1導電性多孔質層11は、導電性炭素材料及び高分子重合体を含み、第2導電性多孔質層12が設けられた一方面11aと反対側の面11bの表面粗さが5.0μm以下である、電池用ガス拡散層1。
【選択図】図1

Description

本発明は、電池用ガス拡散層、電池部材、膜−電極接合体、燃料電池、及び電池用ガス拡散層の製造方法に関する。
燃料電池は、電解質の両面に電極が配置され、水素と酸素の電気化学反応により発電する電池であり、発電時に発生するのは水のみである。このように従来の内燃機関と異なり、二酸化炭素等の環境負荷ガスを発生しないために次世代のクリーンエネルギーシステムとして普及が見込まれている。その中でも特に固体高分子形燃料電池は、作動温度が低く、電解質の抵抗が少ないことに加え、活性の高い触媒を用いるので小型でも高出力を得ることができ、家庭用コージェネレーションシステム等として実用化されている。
固体高分子形燃料電池は、ガス拡散層、触媒層、電解質膜、触媒層及びガス拡散層がこの順に積層された膜−電極接合体と、この膜−電極接合体の両面に配置されたセパレータとから主に構成されている。膜−電極接合体のガス拡散層のそれぞれに燃料ガス及び酸化剤ガスを供給するために、一般的な固体高分子形燃料電池では、セパレータにガス流路が設けられている。
これに対し、ガス流路をセパレータではなくガス拡散層に設ける技術が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。ガス拡散層は多孔質部材で構成されるため、セパレータよりもガス流路を形成しやすい。そのため、セパレータにガス流路を設ける場合に比べ、コストを低減することができる。
特許文献1には、セパレータとガス拡散層との間にパターン状に裁断されたカーボンペーパーを配置することにより、ガス拡散層にガス流路を設ける技術が開示されている。
また、特許文献2に開示されている、ガス拡散層にガス流路を形成する工程を図14に示す。図14(a)に示すように、多孔質部材15aと第2拡散層16を積層して、突起部31aを有する金型31と平板の金型32との間に配置し、その後図14(b)に示すように、金型31,32を型閉じする。これにより、ガス流路が形成された第1拡散層15と第2拡散層16とを有する2層構造のガス拡散層が製造される。
特開2000−123850 国際公開第2011/030489号
特許文献1のガス拡散層では、ガス拡散層の触媒層側の平滑性が考慮されておらず、触媒層との接触抵抗が高いという問題がある。
また、特許文献2の図14(b)に示されるガス拡散層では、金型31の突起部31aに押圧された部分(例えば、四角枠で示す部分)を圧縮してガス流路を形成しているため、当該部分の孔が潰れてしまう。そのため、均一なガス拡散性が得られないという問題がある。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであって、ガス流路が形成され、かつ、ガス拡散性が良好であり、触媒層側の表面が平滑な電池用ガス拡散層の提供を目的とする。
本発明に係る電池用ガス拡散層は、第1導電性多孔質層と、前記第1導電性多孔質層の一方面上に部分的に設けられた第2導電性多孔質層と、を備え、前記第1導電性多孔質層は、導電性炭素材料及び高分子重合体を含み、前記第2導電性多孔質層が設けられた前記一方面と反対側の面の表面粗さが5.0μm以下である。
本発明に係る電池用ガス拡散層では、第1導電性多孔質層の一方面上に部分的に設けられた第2導電性多孔質層によって、ガス流路が形成される。また、第2導電性多孔質層を第1導電性多孔質層の一方面上に形成する方法として、第2導電性多孔質層用組成物を塗布して乾燥する方法、及び第2導電性多孔質層を転写する方法が挙げられるが、いずれの場合も、第2導電性多孔質層を形成する際に、第1導電性多孔質層の一方面の第2導電性多孔質層が形成されない部分には、殆ど圧力が作用しない。つまり、第1導電性多孔質層のガス流路に面する部分では、孔の破壊は抑制される。そのため、従来技術の方法のようにガス流路となる部分を圧縮して形成する場合に比べると、電池用ガス拡散層の孔の破壊を抑制することができ、電池用ガス拡散層のガス拡散性を良好にすることができる。さらに、第1導電性多孔質層は、一方面と反対側の面の表面粗さが5.0μm以下であるため、触媒層側の表面が平滑である。このように、本発明に係る電池用ガス拡散層は、ガス流路が形成され、かつ、ガス拡散性が良好であり、触媒層側の表面が平滑である。
上記電池用ガス拡散層では、前記第1導電性多孔質層は、前記一方面における高分子重合体量の割合よりも、前記一方面と反対側の面における高分子重合体量の割合が大きいことが好ましい。
上記電池用ガス拡散層では、前記第2導電性多孔質層の気孔率は、前記第1導電性多孔質層の気孔率以上であることが好ましい。
本発明に係る電池部材は、本発明に係る電池用ガス拡散層と、前記第2導電性多孔質層上に積層されたセパレータと、を備える。
本発明に係る膜−電極接合体は、触媒層、電解質膜及び触媒層が順次積層された触媒層−電解質膜積層体と、前記触媒層−電解質膜積層体の両面に積層された一対の電池用ガス拡散層と、を備え、前記一対の電池用ガス拡散層の少なくとも一方は、本発明に係る電池用ガス拡散層であり、前記第1導電性多孔質層の前記一方面と反対側の面が前記触媒層に接している。
本発明に係る燃料電池は、本発明に係る膜−電極接合体と、前記触媒層−電解質膜積層体の両面に積層されたセパレータと、を備える。
本発明に係る電池用ガス拡散層の製造方法は、導電性炭素材料、高分子重合体及び溶剤を含む第1導電性多孔質層用組成物を、第1基材上に塗布する第1塗布工程と、前記第1導電性多孔質層用組成物を乾燥させて、前記第1基材上に第1導電性多孔質層を形成する第1乾燥工程と、前記第1導電性多孔質層上に部分的に第2導電性多孔質層を設けて、電池用ガス拡散層を形成する電池用ガス拡散層形成工程と、を備える。
上記前記電池用ガス拡散層の製造方法は、電池用ガス拡散層から前記第1基材を剥離する剥離工程をさらに備えることが好ましい。
本発明によって、ガス流路が形成され、かつ、ガス拡散性が良好であり、触媒層側の表面が平滑な電池用ガス拡散層を提供することができる。
(a)及び(b)はそれぞれ、本発明の一実施形態に係る電池用ガス拡散層の平面図及び断面図である。 変形例に係る電池用ガス拡散層の平面図である。 本発明の一実施形態に係る電池部材の断面図である。 変形例に係る電池部材の断面図である。 他の変形例に係る電池部材の断面図である。 (a)及び(b)はそれぞれ、他の変形例に係る電池用ガス拡散層の平面図及び断面図である。 本発明の一実施形態に係る膜−電極接合体の断面図である。 本発明の一実施形態に係る燃料電池の断面図である。 (a)〜(d)は、電池用ガス拡散層の製造方法の第1の具体例を示す断面図である。 (a)〜(d)は、電池用ガス拡散層の製造方法の第2の具体例を示す断面図である。 (a)〜(d)は、電池用ガス拡散層の製造方法の第3の具体例を示す断面図である。 (a)及び(b)は、電池用ガス拡散層の製造方法の第4の具体例を示す断面図及び平面図である。 (a)〜(c)は、電池用ガス拡散層の製造方法の第4の具体例を示す断面図である。 (a)及び(b)は、従来の電池用ガス拡散層の製造方法を示す断面図である。
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
(電池用ガス拡散層)
図1(a)及び(b)はそれぞれ、本発明の一実施形態に係る電池用ガス拡散層1の平面図及び断面図である。電池用ガス拡散層1は、第1導電性多孔質層11と、第2導電性多孔質層12と、を備える。
第1導電性多孔質層11の形状は特に限定されないが、本実施形態では矩形平板状である。第1導電性多孔質層11の厚さは、例えば10μm〜300μmである。なお、第1導電性多孔質層11の厚さが300μmよりも大きい場合、ガス拡散特性や水管理特性を損なうおそれがある。また、第1導電性多孔質層11の厚さが10μmよりも小さい場合、電池用ガス拡散層としての強度が不足し、ハンドリング性を損なうおそれがある。
第1導電性多孔質層11は、導電性炭素材料及び高分子重合体を含む。第1導電性多孔質層11は、導電性炭素材料、高分子重合体及び溶剤を含む第1導電性多孔質層用組成物を離型基材上に塗布し、乾燥させることにより形成される。これにより、第1導電性多孔質層11の一方面11aと反対側の面(以下、他方面と称することもある)11bの表面粗さを、5.0μm以下と小さくすることができる。この表面粗さは、例えばカーボンペーパーの表面粗さよりも小さいものである。第1導電性多孔質層11は、他方面11bが膜−電極接合体を製造する場合に触媒層と接する面(触媒層側の表面)であるため、平滑となっている。
なお、他方面11bの表面粗さが5.0μmよりも大きい場合、触媒層との接触抵抗が高くなる。また、他方面11bの表面粗さの下限値は特に限定されないが、例えば1.0μmである。
また、本実施形態では、第1導電性多孔質層11は、一方面11aにおける高分子重合体量の割合よりも、一方面11aと反対側の他方面11bにおける高分子重合体量の割合が大きい。すなわち、第1導電性多孔質層11の高分子重合体は、他方面11b側に偏析している。これにより、第1導電性多孔質層11の一方面11a側は、他方面11b側よりも高分子重合体の量が少なくなるので、後述するように、第2導電性多孔質層12を一方面11a上に形成した際に、第1導電性多孔質層11の孔が多少破壊されても、第1導電性多孔質層11のガス拡散性を十分に確保することができる。
なお、高分子重合体の割合は、高分子重合体に含まれる特徴的な元素と炭素との比を求めることにより、比較することができる。例えば、第1導電性多孔質層11が導電性炭素材料と高分子重合体としてポリフッ化ビニリデン等のフッ素系樹脂とからなる場合、フッ素系樹脂に特徴的な元素であるフッ素と炭素との比を求めることにより、高分子重合体の割合を比較することができる。
また、第1導電性多孔質層11が複数種類の高分子重合体を含む場合、本実施形態では、そのうち少なくとも1種の高分子重合体が、一方面11aよりも他方面11bに密に存在することが好ましい。第1導電性多孔質層11の高分子重合体成分の分布状態は、エネルギー分散型蛍光X線分析で各層の両表面を分析することにより確認する。
なお、第1導電性多孔質層11の高分子重合体は、必ずしも他方面11b側に偏析していなくてもよい。
第2導電性多孔質層12は、第1導電性多孔質層11の一方面11a上に部分的に設けられている。本実施形態では、複数の帯状の導電性多孔質部材12Aが、図1(a)に示すように、互いに平行に第1導電性多孔質層11の一方面11a上を一方の端縁から他方の端縁まで延びることで、ストライプ状(縞模様)の第2導電性多孔質層12が第1導電性多孔質層11の一方面11a上に部分的に設けられている。これにより、隣り合う導電性多孔質部材12Aの間にガス流路P1が形成されている。
ガス流路P1は、水素や空気等を流し、燃料電池の反応によって発生する水を電池外部へと排出するためのものであれば、幅、深さ、形状等は特に制限されず、目的に応じて適宜選択される。ガス流路P1の幅は、例えば50μm〜3000μmであり、ガス流路P1の深さ(すなわち第2導電性多孔質層12の厚さ)は、例えば10μm〜300μmである。
なお、ガス流路P1の幅又は深さが上記範囲の下限よりも小さい場合、フラッディングが発生しやすい。また、ガス流路P1の幅又は深さが上記範囲の上限よりも大きい場合、導電性多孔質層と触媒層との接触が悪くなるおそれがある。
なお、本実施形態では、第2導電性多孔質層12がストライプ状に形成されることで、第1導電性多孔質層11の一方面11a上に部分的に設けられているが、第1導電性多孔質層11の一方面11a上にガス流路が形成されれば、第2導電性多孔質層12の形状は特に限定されない。例えば、図2に示すように、2つの櫛歯形状の導電性多孔質部材12Bを、一方の導電性多孔質部材12Bの歯部が他方の導電性多孔質部材12Bの歯部の間に位置するように、第1導電性多孔質層11の一方面11a上に設けることで、第2導電性多孔質層12を形成してもよい。この場合には、蛇行する1つのガス流路P1が第1導電性多孔質層11の一方面11a上に形成される。また、第2導電性多孔質層12は、本実施形態に示されるように複数の導電性多孔質部材で形成されてもよいが、第1導電性多孔質層11の一方面11a上にガス流路を形成できれば、1つの導電性多孔質部材で形成されていてもよい。
第2導電性多孔質層12を第1導電性多孔質層11の一方面11a上に形成する方法としては、第2導電性多孔質層用組成物を塗布して乾燥する方法、及び、第2導電性多孔質層12を転写する方法を挙げることができる。いずれの場合も、第2導電性多孔質層12を形成する際に、第1導電性多孔質層11の一方面11aの第2導電性多孔質層12が形成されない部分には、殆ど圧力が作用しない。つまり、第1導電性多孔質層11のガス流路P1に面する部分では、孔の破壊は抑制される。そのため、従来技術の方法のようにガス流路となる部分を圧縮して形成する場合に比べると、電池用ガス拡散層1の孔の破壊を抑制することができる。よって、電池用ガス拡散層1のガス拡散性を良好にすることができる。
第2導電性多孔質層12の気孔率は、特に限定されるものではないが、第1導電性多孔質層11の気孔率以上であることが好ましい。これにより、ガス流路P1を通過するガスが第2導電性多孔質層12から第1導電性多孔質層11の内部に入り込みやすくなるので、電池用ガス拡散層1のガス拡散性をさらに高めることができる。
なお、気孔率は、水銀圧入式細孔分布測定装置(micromeritics Autopore IV mercury porosimeter:(株)島津製作所製)により測定できる。また、第1導電性多孔質層11及び第2導電性多孔質層12の気孔率は、50%〜85%が好ましく、60%〜80%がより好ましい。また、第1導電性多孔質層11の気孔率と第2導電性多孔質層12の気孔率との差は、5%〜35%が好ましく、10%〜30%がより好ましい。
続いて、第1導電性多孔質層11及び第2導電性多孔質層12の材料について、より詳細に説明する。
第1導電性多孔質層11は、上述のように、導電性炭素材料及び高分子重合体を含む。また、本実施形態では、第2導電性多孔質層12も、導電性炭素材料及び高分子重合体を含むことが好ましい。この場合、第2導電性多孔質層12は、導電性炭素材料、高分子重合体及び溶剤を含む第2導電性多孔質層用組成物を離型基材(後述する第2基材)又は第1導電性多孔質層11上に塗布し、乾燥させることにより形成される。第2導電性多孔質層用組成物を離型基材に塗布して乾燥させることにより第2導電性多孔質層12を形成した場合、第2導電性多孔質層12の離型基材に接する側の面の表面粗さは、5.0μm以下となる。また、第2導電性多孔質層12の高分子重合体は、離型基材に接する側の面に偏析していることが好ましい。すなわち、第2導電性多孔質層12は、離型基材に接する側と反対側の面における高分子重合体量の割合よりも離型基材に接する側の面における高分子重合体量の割合が大きいことが好ましい。
第1導電性多孔質層11及び第2導電性多孔質層12の導電性炭素材料としては、例えば、導電性炭素粒子、導電性炭素繊維等が挙げられる。
導電性炭素粒子は、導電性を有する炭素材であれば特に限定されず、公知又は市販の材料を広く使用できる。例えば、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック等のカーボンブラック;黒鉛;活性炭等を1種又は2種以上で用いることができる。
導電性炭素粒子の平均粒子径(算術平均粒子径)は、カーボンブラックの場合は通常5nm〜200nm程度が好ましく、20nm〜80nm程度がより好ましく、黒鉛、活性炭の場合は1μm〜100μm程度が好ましく、3μm〜50μm程度がより好ましい。この導電性炭素粒子の平均粒子径は、粒子径分布測定装置等により測定する。
導電性炭素繊維としては、例えば、気相成長法炭素繊維(VGCF(登録商標))、カーボンナノチューブ、カーボンナノカップ、カーボンナノウォール等が挙げられる。その他、比較的大きな平均繊維径を有する導電性炭素繊維として、PAN(ポリアクリロニトリル)系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維等も使用できる。これらの導電性炭素繊維は、1種又は2種以上を使用することができる。気相成長法炭素繊維(VGCF)、カーボンナノチューブ、カーボンナノウォールの平均繊維径は、50nm〜400nmが好ましく、100nm〜250nm程度がより好ましい。平均繊維長は、5μm〜50μm程度が好ましく、10μm〜20μm程度がより好ましい。平均アスペクト比は、およそ10〜500程度が好ましい。PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維の平均繊維径は、3μm〜30μmが好ましく、5μm〜20μm程度がより好ましい。平均繊維長は、30μm〜1000μm程度が好ましく、100μm〜300μm程度がより好ましい。平均アスペクト比は、およそ5〜50程度が好ましい。なお、導電性炭素繊維の繊維径、繊維長及びアスペクト比は、走査型電子顕微鏡(SEM)等により測定した画像等により測定する。
高分子重合体としては、公知の材料を使用することができる。具体的には、ポリ酢酸ビニル樹脂、スチレン−アクリル共重合樹脂、スチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、アクリル・ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリオレフィン樹脂、等が挙げられる。また、酸変性ポリオレフィン樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂等の変性ポリオレフィン樹脂等も使用することができる。これらの高分子重合体は、単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせてもよい。これらのうち、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、変性ポリオレフィン樹脂等の接着樹脂を使用し、隣接する部材との接着性をさらに向上させることも可能である。
また、第1導電性多孔質層11及び第2導電性多孔質層12へ撥水性を付与するため、フッ素樹脂等の撥水性樹脂を使用することも可能である。フッ素樹脂は、フッ素を含有し、重量平均分子量が10万〜1000万程度のポリマーであれば特に限定されない。フッ素樹脂としては、公知又は市販のものを使用できる。例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVDF−HFP)、パーフルオロアルコキシ樹脂(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、PFA)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)等が挙げられる。
第1導電性多孔質層11及び第2導電性多孔質層12において、上記各成分の配合割合は、例えば、導電性炭素材料100質量部に対して、高分子重合体5質量部〜200質量部が好ましく、40質量部〜100質量部がより好ましい。
なお、第2導電性多孔質層12は、導電性炭素材料及び高分子重合体を含む部材ではなく、導電性多孔質基材であってもよい。導電性多孔質基材としては、導電性を有し、多孔質なものである限り特に限定されず、公知又は市販の材料を使用することができる。例えば、カーボンペーパー、カーボンクロス、カーボンフェルト等が挙げられる。
第2導電性多孔質層12は、酸化剤ガスを良好に拡散させるために、金属メッシュ、金属発泡体等からなる多孔質金属体であってもよい。多孔質金属体を用いることにより、導電性が一段と向上する。多孔質金属体に用いる金属としては、ニッケル、パラジウム、銀、ステンレススチール等を用いることができる。また、耐食性及び導電性を向上するために、上記金属メッシュ及び金属発泡体表面にめっき処理を行ってもよい。めっきの材質は、特に制限されず、白金、ルテニウム、ロジウム、タングステン、タンタル、金等の金属又はこれらの合金;カーボン;エポキシ樹脂、アクリル樹脂等の耐食性樹脂とカーボンとの複合体等が挙げられる。これらの中でも、高耐食性の観点から、金が好ましい。
第2導電性多孔質層12は、予め撥水処理が施された基材であることが好ましい。これにより、さらに一段と、第2導電性多孔質層12の撥水性を向上させることができる。
撥水処理としては、例えば、第2導電性多孔質層12をフッ素系樹脂等が分散した水分散体中に浸漬する方法等が挙げられる。フッ素系樹脂としては、上述した樹脂等が挙げられる。なお、この際には、水中にフッ素系樹脂を分散させるために、上述した分散剤を用い、フッ素系樹脂及び水系分散剤を含む水系懸濁液を使用することが好ましい。
水分散体中のフッ素系樹脂の含有量は、例えば、水100質量部に対して、1質量部〜30質量部程度が好ましく、2質量部〜20質量部程度がより好ましい。
以上のように、本実施形態に係る電池用ガス拡散層1では、第1導電性多孔質層11の一方面11a上に部分的に設けられた第2導電性多孔質層12によって、ガス流路P1が形成される。また、第2導電性多孔質層12を第1導電性多孔質層11の一方面上に形成する方法として、第2導電性多孔質層用組成物を塗布して乾燥する方法、及び第2導電性多孔質層12を転写する方法が挙げられるが、いずれの場合も、第2導電性多孔質層12を形成する際に第1導電性多孔質層11の一方面11aの第2導電性多孔質層12が形成されない部分には、殆ど圧力が作用しない。つまり、第1導電性多孔質層11のガス流路P1に面する部分では、孔の破壊は抑制される。そのため、従来技術の方法のようにガス流路となる部分を圧縮して形成する場合に比べると、電池用ガス拡散層1の孔の破壊を抑制することができ、電池用ガス拡散層1のガス拡散性を良好にすることができる。さらに、第1導電性多孔質層11は、一方面11aと反対側の面11bの表面粗さが5.0μm以下であるため、触媒層側の表面が平滑である。よって、電池用ガス拡散層1は、ガス流路が形成され、かつ、ガス拡散性が良好であり、触媒層側の表面が平滑である。
(電池部材)
図3は、本発明の一実施形態に係る電池部材3の断面図である。電池部材3は、電池用ガス拡散層1と、第2導電性多孔質層12上に積層されたセパレータ2と、を備える。
セパレータ2は、電池用ガス拡散層1よりも平面視の外形が一回り大きい矩形平板状の部材である。セパレータ2が第2導電性多孔質層12上に積層されることにより、ガス流路P1の上側の開口(すなわち第1導電性多孔質層11に対向する開口)が塞がれ、ガス流路P1を流れるガスが効率的に電池用ガス拡散層1の内部に送り込まれる。
セパレータ2としては、公知又は市販のセパレータをいずれも使用することができる。
セパレータ2の材質は、特に制限されず、目的に応じて適宜選択できる。例えば、ステンレススチール、銅、チタン、アルミニウム、ロジウム、タンタル、タングステン等の金属又はこれらの少なくとも1種を含む合金;グラファイト;樹脂にカーボンを練りこんだカーボンコンパウンド等が挙げられる。これらの中でも、強度、電池(燃料電池、金属空気電池等)の薄型化及び導電性等の観点から、上記金属又はこれらの少なくとも1種を含む合金が好ましく、チタン及びステンレススチールがより好ましい。
また、耐食性及び導電性を向上させるために、上記セパレータ2表面にめっき処理を行ってもよい。めっきの材質は、例えば、白金、ルテニウム、ロジウム、タングステン、タンタル、金等の金属又はこれらの合金;カーボン;エポキシ樹脂、アクリル樹脂等の耐食性樹脂とカーボンとの複合体等が挙げられる。これらの中でも、高耐食性の観点から、金が好ましい。
セパレータ2としては、図4に示すように、それ自体にガス流路(リブ)が形成されている流路有セパレータであってもよく、図3に示すように、それ自体にはガス流路が形成されていない流路無セパレータであってもよい。また、ガス流路の役割をする多孔体を隣接させたセパレータであってもよい。また、それ自体に多孔体領域を有するセパレータであってもよい。セパレータ2自体にはガス流路が形成されていない流路無セパレータの場合、ガス流路の役割をする多孔体との組み合わせや、それ自体に多孔体領域を有するセパレータであることが好ましい。また、セパレータ2自体にはガス流路が形成されておらず、それ自体に多孔体領域を有し、さらに多孔体と組み合わせてもよい。
ガス流路(リブ)が形成されている流路有セパレータにおいて、ガス流路は燃料電池の燃料である水素、空気等を流し、燃料電池の反応によって発生する水を電池外部へと排出するためのものであれば、流路の幅、深さ、形状等は特に制限されず、目的に応じて適宜選択される。通常は、幅0.05mm〜2mm(好ましくは0.05mm〜1.5mm)であり、深さ0.05mm〜2mm(好ましくは0.1mm〜1mm)である。
ガス流路(リブ)が形成されている流路有セパレータにおいて、ガス流路は燃料電池の燃料である水素、空気等を流し、燃料電池の反応によって発生する水を電池外部へと排出するためのものであれば、流路の幅、深さ、形状等は特に制限されず、目的に応じて適宜選択される。通常は、幅0.05mm〜2mm(好ましくは0.05mm〜1.5mm)であり、深さ0.05mm〜2mm(好ましくは0.1mm〜1mm)である。
前記ガス流路表面は、凹凸を有していてもよいし、平坦であってもよいが、撥水性向上の観点から、ガス流路表面は凹凸を有していることが好ましい。
撥水性向上の観点から、セパレータ31の一部又は全部に撥水層が形成されていることが好ましい。前記撥水層としては、例えば、硫黄及びその化合物の少なくとも1種からなるものが挙げられる。
ガス流路の役割をする多孔体を隣接させたセパレータにおいて、多孔体の材質としては、例えば、ニッケル、パラジウム、銀、ステンレスチール等を用いることができる。また、耐食性及び導電性を向上するために、上記多孔体表面にめっき処理を行ってもよい。めっきの材質は、特に制限されず、白金、ルテニウム、ロジウム、タングステン、タンタル、金等の金属又はこれらの合金;カーボン;エポキシ樹脂、アクリル樹脂等の耐食性樹脂とカーボンとの複合体等が挙げられる。これらの中でも、高耐食性の観点から、金が好ましい。
多孔体領域を有するセパレータとしては、当該多孔体領域が上記ガス流路となり得る構造を有するセパレータであれば特に制限はない。
また、セパレータ2は、セパレータを構成する金属板の少なくとも片面に、好ましくは金属板の両面に、より好ましくは金属板の全表面にリン含有層が形成されている。リン含有層は、固体高分子電解質のスーパアシッド(超酸)による腐食から、金属板の表面を保護することができる。
リン含有層を構成する物質は、金属板の種類、リン含有層形成の際に使用されるリン化合物の種類等により異なる。
リン含有層を形成の際に使用されるリン化合物としては、公知の無機リン化合物を広く使用でき、例えばリン酸、ポリリン酸等の縮合リン酸及びこれらの塩等が挙げられる。ここで塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、アンモニウム塩が挙げられる。
(電池部材及び電池用ガス拡散層の変形例)
燃料電池では、発電時に発生した水が電池用ガス拡散層からガス流路を通って排出される。以下では、排出特性を向上させた変形例について説明する。
図4は、電池部材3の変形例を示す断面図である。図4では、セパレータ2の第2導電性多孔質層12側の面を凹ませることで、ガス流路P2が形成されている。本変形例では、ガス流路P2の平面視の形状は電池用ガス拡散層1のガス流路P1と実質的に同一であり、ガス流路P1とガス流路P2とが重なり合っている。これにより、ガス流路P1の断面積が大きくなるので、ガス流路P1の排水特性が向上する。
図5は、電池部材3の他の変形例を示す断面図である。図5では、電池用ガス拡散層1の第2導電性多孔質層12(図示例では各導電性多孔質部材12A)が、第1層12a、第2層12b及び第3層12cを備える。第1層12a、第2層12b及び第3層12cは、第1導電性多孔質層11からセパレータ2に向かってこの順に積層されており、第1層12a、第2層12b、第3層12cの順に幅が小さく形成されている。すなわち、ガス流路P1は、セパレータ2に近い部分ほど幅が狭くなる。これにより、ガス流路P1の断面積が大きくなるので、ガス流路P1の排水特性が向上する。
また、第1層12a、第2層12b、第3層12cの順に、撥水性及び/又は気孔率が高くなるようにしてもよい。このような構成にすることによって、フラッディングを防止する効果がある。なおこの場合、ガス流路P1は、幅が深さ方向に一定であってもよい。
図6(a)及び(b)は、電池用ガス拡散層1の変形例を示す平面図及びA−A断面図である。図6(a)では、上側がガスの上流側であり下側がガスの下流側であり、左下側がガスの排出口に近い部分である。本変形例では、図6(b)に示すように、第2導電性多孔質層12(図示例では各導電性多孔質部材12A)が、第1層12a及び第2層12bを備える。第1層12a及び第2層12bは、大部分において幅が等しいが、最も左側の列のガス流路P1を形成する第1層12a及び第2層12bについては、第2層12bの一部の幅が第1層12aよりも小さくなっている。これにより、ガス流路P1の一部の断面積が大きくなるので、排出特性を向上させることができる。
なお、本実施形態では、最も左側のガス流路P1を形成する第2層導電性多孔質層12bの一部の幅を小さくしたが、排出口に近い部分のガス流路P1の断面積を大きくする態様であれば、最も左側以外のガス流路P1を形成する第2導電性多孔質層12bの一部の幅を小さくしてもよい。
(膜−電極接合体)
図7は、本発明の一実施形態に係る膜−電極接合体7の断面図である。膜−電極接合体7は、触媒層4、電解質膜5及び触媒層4が順次積層された触媒層−電解質膜積層体6と、触媒層−電解質膜積層体6の両面に積層された一対の電池用ガス拡散層1と、を備える。電池用ガス拡散層1は、第1導電性多孔質層11の他方面11bが触媒層4と接するように、触媒層−電解質膜積層体6の両面に積層される。
上述のように、第1導電性多孔質層11の他方面11bは、表面粗さがカーボンペーパーよりも小さいので、触媒層4と良好に接触する。また、電池用ガス拡散層1はガス拡散性が良好であるので、発電性能の高い膜−電極接合体7を実現することができる。
なお、本実施形態では、触媒層−電解質膜積層体6の両面に本実施形態に係る電池用ガス拡散層1を積層したが、触媒層−電解質膜積層体6の少なくとも一方面に電池用ガス拡散層1を積層してもよい。すなわち、触媒層−電解質膜積層体6の一方面に電池用ガス拡散層1を積層し、触媒層−電解質膜積層体6の他方面に公知の電池用ガス拡散層を積層してもよい。
触媒層4は、触媒を含有していればよく、例えば、炭素粒子に触媒粒子を担持させたものを用いてもよい。さらに触媒層4は、触媒の他に高分子重合体を含有してもよい。
触媒としては、例えば、白金や白金合金等が挙げられる。白金合金としては、例えば、ルテニウム、パラジウム、ニッケル、モリブデン、イリジウム、鉄、コバルト等からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属と、白金との合金等が挙げられる。なお、通常は、触媒層に含まれる触媒は白金である。
炭素粒子は、導電性を有しているものであればよく、公知又は市販のものを広く使用できる。例えば、カーボンブラックや、黒鉛、活性炭等を1種又は2種以上で用いることができる。カーボンブラックの例としては、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック等を挙げることができる。炭素粒子の算術平均粒子径は、カーボンブラックの場合は通常5nm〜200nm程度、好ましくは20nm〜80nm程度であり、黒鉛、活性炭の場合は1μm〜100μm程度、好ましくは3μm〜50μm程度である。この炭素粒子の平均粒子径は、粒子径分布測定装置等により測定する。
高分子重合体としては、公知の材料を使用できる。具体的には、イオン伝導性高分子、ポリ酢酸ビニル樹脂、スチレン−アクリル共重合樹脂、スチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、アクリル・ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。これらの高分子重合体は、単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせてもよい。
また、イオン伝導性高分子としては、例えば、フッ素系イオン伝導性高分子、より具体的には、パーフルオロカーボンスルホン酸(PFS)ポリマー等が挙げられる。電気陰性度の高いフッ素原子を導入することで、化学的に非常に安定し、スルホン酸基の解離度が高く、高いイオン伝導性が実現できる。このようなイオン伝導性高分子電解質の具体例としては、デュポン社製の「Nafion」(登録商標)、旭硝子(株)製の「Flemion」(登録商標)、等が挙げられる。イオン伝導性高分子電解質含有溶液中に含まれるイオン伝導性高分子電解質の濃度は、通常5質量%〜60質量%程度、好ましくは20質量%〜40質量%程度である。
触媒層4の厚みは、例えば、通常1μm〜100μm程度が好ましく、2μm〜50μm程度がより好ましい。
なお、触媒層4には、撥水剤として、フッ素樹脂等の他、非ポリマー系フッ素材料であるフッ化ピッチ、フッ化カーボン、フッ化黒鉛等を添加することもできる。
電解質膜5は、水素イオン伝導性や水酸化物イオン伝導性の電解質膜であればよく、水素イオン伝導性電解質膜や水酸化物イオン伝導性電解質膜等の公知又は市販の電解質膜を使用できる。水素イオン伝導性電解質膜の具体例としては、例えば、デュポン社製の「Nafion」(登録商標)膜、旭硝子(株)製の「Flemion」(登録商標)膜、旭化成(株)製の「Aciplex」(登録商標)膜、ゴア(Gore)社製の「Gore Select」(登録商標)膜等が挙げられる。また、水酸化物イオン伝導性電解質膜の具体例としては、炭化水素系の電解質膜として、旭化成(株)製の「Aciplex」(登録商標)A−201,211,221等、トクヤマ(株)製のネオセプタ(登録商標)AM−1、AHA等を挙げることができ、フッ素樹脂系の電解質膜として、東ソー(株)製のトスフレックス(登録商標)IE−SF34,FuMA−Tech社製のfumapem(登録商標)FAA等を挙げることができる。
電解質膜5の膜厚は、通常15μm〜250μm程度が好ましく、20μm〜150μm程度がより好ましい。
なお、電解質膜5の平面視の大きさは、触媒層4と同一であってもよいし、触媒層4よりも一回り大きくてもよい。
(燃料電池)
図8は、本発明の一実施形態に係る燃料電池9の断面図である。燃料電池9は、図7に示す膜−電極接合体7と、触媒層−電解質膜積層体6の両面に積層されたセパレータ2と、を備える。セパレータ2は、図3に示すものと同一であり、電池用ガス拡散層1の第2導電性多孔質層12上に積層される。
また、燃料電池9はガスケット8をさらに備えることが好ましい。ガスケット8は、電池用ガス拡散層1及び触媒層4の周囲を囲むように設置される。これにより、電池用ガス拡散層1及び触媒層4を通過するガスが外部に漏れることを防止できる。ガスケット8としては、ガスバリア性を有しているものを使用することができ、例えば、ポリエチレンテレフタレートシートやテフロン(登録商標)シート、シリコンゴムシート等を例示することができる。
さらに、燃料電池9は補強膜(図示せず)をさらに備えてもよい。補強膜は、例えば、電解質膜5の触媒層4が形成されていない外周縁部上に配置され、この場合、補強膜上にガスケット8が配置される。補強膜によって電解質膜5の膨張・収縮が抑制されるので、電解質膜5の破損を防止することができる。
(電池用ガス拡散層の製造方法)
続いて、本実施形態に係る電池用ガス拡散層の製造方法について説明する。
本実施形態に係る電池用ガス拡散層の製造方法は、導電性炭素材料、高分子重合体及び溶剤を含む第1導電性多孔質層用組成物を、第1基材上に塗布する第1塗布工程と、前記第1導電性多孔質層用組成物を乾燥させて、前記第1基材上に第1導電性多孔質層を形成する第1乾燥工程と、前記第1導電性多孔質層上に部分的に第2導電性多孔質層を設けて、電池用ガス拡散層を形成する電池用ガス拡散層形成工程と、を備える。また、本実施形態に係る電池用ガス拡散層の製造方法は、前記電池用ガス拡散層から前記第1基材を剥離する剥離工程をさらに備える。
(第1の具体例)
本実施形態に係る電池用ガス拡散層の製造方法の第1の具体例について説明する。第1の具体例に係る製造方法は、上述の第1塗布工程と、第1乾燥工程と、電池用ガス拡散層形成工程と、を備え、前記電池用ガス拡散層形成工程は、導電性炭素材料、高分子重合体及び溶剤を含む第2導電性多孔質層用組成物を前記第1導電性多孔質層上に部分的に塗布する第2塗布工程と、前記第2導電性多孔質層用組成物を乾燥させて前記第2導電性多孔質層を形成する第2乾燥工程と、を備える。
図面を参照して説明すると、まず、図9(a)に示すように、第1導電性多孔質層用組成物111を第1基材21上に塗布する。第1基材21の塗布面は平滑であることが好ましい。
第1導電性多孔質層用組成物111は、導電性炭素材料、高分子重合体及び溶剤を含む。第1導電性多孔質層用組成物111に含まれる導電性炭素材料及び高分子重合体は、上述した電池用ガス拡散層1の第1導電性多孔質層11に含まれるものと同一である。第1導電性多孔質層用組成物111に含まれる溶剤は、特に限定されるものではなく、例えば、水の他、公知又は市販のアルコール類、ケトン類、芳香族炭化水素類、エステル類、他の有機溶媒を使用することができ、例えば、炭素数1〜5程度の1価又は多価のアルコール類、総炭素数が3〜6程度のケトン類、炭素数が6〜10程度の芳香族炭化水素類、総炭素数が3〜6程度のエステル類、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド等が挙げられる。具体的には、水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロピルアルコール、1−ブタノール、1−ペンタノール;エチレングリコール;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン;トルエン;酢酸エチル;N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド等が挙げられる。
また、第1導電性多孔質層用組成物111には、本発明の効果を損なわない範囲で発泡剤を含ませることができる。
発泡剤としては、特に限定されることなく、第1導電性多孔質層11に気孔を形成することができるものであればよい。例えば、加熱により分解して発泡する加熱発泡剤が好適に使用できる。
加熱発泡剤としては80℃以上、特に120〜250℃程度の分解温度を有する化合物が好ましい。発泡剤の発生ガス量は限定的ではなく、通常50〜500ml/g程度、好ましくは200〜300ml/g程度である。平均粒子径も限定的ではなく、通常1〜50μm程度、好ましくは2〜5μm程度である。加熱発泡剤としては、上記分解温度を有する公知の有機系発泡剤、無機系発泡剤等を広く使用できる。
有機系発泡剤としては、具体的には、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)、アゾジカルボンアミド(ADCA)、4,4’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド (OBSH)、ヒドラゾジカルボンアミド(HDCA)が挙げられる。これらの中でも低温発泡性を有するアゾジカルボンアミド(ADCA)、4,4’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド(OBSH)を使用することが好ましい。有機系発泡剤を使用する場合は、発泡剤の発泡温度を低下させるために、発泡助剤として尿素系助剤を併用できる。
無機系発泡剤としては、炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。
第1基材21としては、例えばポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、アラミド、ポリアミド(ナイロン)、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテル・エーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアリレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン等の高分子フィルムを挙げることができる。また、第1基材21として、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂フィルムを用いることができる。その他、アルミニウム箔、銅箔、ニッケル箔等の金属箔を使用することも可能である。これらの中でも、加工適性や入手のしやすい高分子フィルムが好ましく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレンやポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリイミドのフィルムなどを挙げることができる。第1基材21の厚さは特に限定されないが、2.5μm〜200μmとすることが好ましい。また、第1基材21の塗布面に離型層が形成されていてもよい。上記離型層は特に限定されるものではなく、シート上にプラズマ処理、シリコーンコーティング、フッ素コーティング等を行うことで得られる。
続いて、第1導電性多孔質層用組成物111を乾燥させて、図9(b)に示すように、第1基材21上に第1導電性多孔質層11を形成する。
ここで、本具体例では、第1導電性多孔質層用組成物111に含まれる高分子重合体成分が、組成物の乾燥時に第1基材21と接していない表面側から第1基材21と接する表面側にかけて偏析を起こす現象を利用して、第1導電性多孔質層11の表面に存在する高分子重合体成分の割合を調整する。そのため、使用する高分子重合体の量、ペースト組成物の粘度、高分子重合体としてエラストマーエマルジョンを用いる場合の粒径、乾燥時間、炭素材料(導電性炭素粒子、導電性炭素繊維等)の比重、炭素材料(導電性炭素粒子、導電性炭素繊維等)表面の官能基等を調節することで、高分子重合体成分の密度を第1基材21と接する表面に高める。特に、第1導電性多孔質層用組成物111の粘度が低く、乾燥時間が長い程、高分子重合体の表面に存在する割合は高くなる傾向にある。
続いて、図9(c)に示すように、第2導電性多孔質層用組成物112を第1導電性多孔質層用組成物111上にストライプ状に塗布する。
第2導電性多孔質層用組成物112は、導電性炭素材料、高分子重合体及び溶剤を含む。また、第2導電性多孔質層用組成物112に含まれる導電性炭素材料、高分子重合体及び溶剤の材料は、第1導電性多孔質層用組成物111と同様のものを用いることができる。
続いて、第2導電性多孔質層用組成物112を乾燥させて導電性多孔質部材12Aとすることで、図9(d)に示すように、第1導電性多孔質層11上に第2導電性多孔質層12を形成する。これにより、第1基材21上に電池用ガス拡散層1が形成される。
その後、電池用ガス拡散層1から第1基材21を剥離することにより、図1に示す電池用ガス拡散層1が製造される。
なお、本具体例では、第2導電性多孔質層12の高分子重合体は、第1導電性多孔質層11に接する側の面に偏析していることが好ましい。すなわち、第2導電性多孔質層12は、第1導電性多孔質層11に接する側と反対側の面における高分子重合体量の割合よりも第1導電性多孔質層11に接する側の面における高分子重合体量の割合が大きいことが好ましい。
(第2の具体例)
本実施形態に係る電池用ガス拡散層の製造方法の第2の具体例について説明する。第2の具体例に係る製造方法は、上述の第1塗布工程と、第1乾燥工程と、電池用ガス拡散層形成工程と、を備え、前記電池用ガス拡散層形成工程は、導電性炭素材料、高分子重合体及び溶剤を含む第2導電性多孔質層用組成物を第2基材上に部分的に塗布する第2塗布工程と、前記第2導電性多孔質層用組成物を乾燥させて、乾燥体を前記第2基材上に形成する第2乾燥工程と、前記第2基材上の前記乾燥体を前記第2導電性多孔質層として前記第1導電性多孔質層上に転写する転写工程と、を備える。
図面を参照して説明すると、第1の具体例と同様、図9(a)及び(b)に示すように、第1導電性多孔質層用組成物111を第1基材21上に塗布して乾燥させることにより、第1導電性多孔質層11を形成する。
続いて、図10(a)に示すように、導電性炭素材料、高分子重合体及び溶剤を含む第2導電性多孔質層用組成物112を第2基材22上にストライプ状に塗布する。第2基材22としては、第1基材21と同じものを用いることができる。
続いて、第2導電性多孔質層用組成物112を乾燥させて、図10(b)に示すように、第2基材22上に第2導電性多孔質層用組成物の乾燥体212を形成する。なお、図10(a)及び(b)に示す工程は、第1導電性多孔質層11を形成する前に行ってもよい。
続いて、図10(c)に示すように、第1基材21と第2基材22とを対向させて、乾燥体212を第1導電性多孔質層11に押し当てる。
そして、図10(d)に示すように、第2基材22上の乾燥体212を第1導電性多孔質層11上に転写させて導電性多孔質部材12Aとすることで、第1導電性多孔質層11上に第2導電性多孔質層12を形成する。これにより、第1基材21と第2基材22との間に電池用ガス拡散層1が形成される。
その後、電池用ガス拡散層1から第1基材21及び第2基材22を剥離することにより、図1に示す電池用ガス拡散層1が製造される。第1基材21及び第2基材22を剥離する順序は特に限定されない。
なお、第1導電性多孔質層11又は乾燥体212上に接着層を形成して第2導電性多孔質層12を転写することが好ましい。これにより、第2導電性多孔質層12をさらに低い圧力で転写することができる。接着層は、公知の接着性を有する樹脂を用いることができ、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂等の接着樹脂を用いることができる。また、分子量が比較的小さいポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)比の高いPVDF−HFPコポリマー、ガラス転移点(Tg)の低い樹脂等も、接着層に含ませることができる。
また、第2導電性多孔質層12の転写時に、熱を加えることで、転写に必要な圧力を低くすることができる。この場合、転写時の温度は用いる高分子重合体に合わせて適宜選択すれば良く、80℃〜200℃程度であり、圧力は0.5MPa〜10MPa程度、好ましくは1MPa〜8MPaである。
(第3の具体例)
本実施形態に係る電池用ガス拡散層の製造方法の第3の具体例について説明する。第3の具体例に係る製造方法は、上述の第1塗布工程と、第1乾燥工程と、電池用ガス拡散層形成工程と、を備え、前記電池用ガス拡散層形成工程は、導電性炭素材料、高分子重合体及び溶剤を含む第2導電性多孔質層用組成物を、第2基材上に塗布する第2塗布工程と、前記第2導電性多孔質層用組成物を乾燥させる第2乾燥工程と、前記第1基材と前記第2基材とを対向させて、前記第2基材及び前記第2導電性多孔質層用組成物の乾燥体に対し部分的に圧力をかける圧着工程と、前記第2基材及び前記乾燥体の圧力をかけられなかった部分を前記第1導電性多孔質層から分離して、前記乾燥体の圧力をかけられた部分を前記第2導電性多孔質層として前記第1導電性多孔質層上に転写する転写工程と、を備える。
図面を参照して説明すると、第1及び第2の具体例と同様、図9(a)及び(b)に示すように、第1導電性多孔質層用組成物111を第1基材21上に塗布して乾燥することにより、第1導電性多孔質層11を形成する。
続いて、図11(a)に示すように、導電性炭素材料、高分子重合体及び溶剤を含む第2導電性多孔質層用組成物112を第2基材22上に塗布する。本具体例では、第2導電性多孔質層用組成物112を平面視矩形状に塗布する。
続いて、第2導電性多孔質層用組成物を乾燥させて、図11(b)に示すように、第2基材22上に第2導電性多孔質層用組成物112の乾燥体212を形成する。なお、図11(a)及び(b)に示す工程は、第1導電性多孔質層11を形成する前に行ってもよい。
続いて、図11(c)に示すように、第1基材21と第2基材22とを対向させて、第2基材22及び乾燥体212に対し部分的に圧力をかける。本実施形態では、平面視ストライプ状の突起部23aを有する金型23を、突起部23aが第2基材22に接するように押し当てる。これにより、乾燥体212のうち、突起部23aによって圧力をかけられた部分のみが、第1導電性多孔質層11に接着する。
続いて、図11(d)に示すように、第2基材22及び乾燥体212の圧力をかけられなかった部分を第1導電性多孔質層11から分離し、乾燥体212の圧力をかけられた部分を第1導電性多孔質層11上に転写させて導電性多孔質部材12Aとすることで、第1導電性多孔質層11上に第2導電性多孔質層12を形成する。これにより、第1基材21上に電池用ガス拡散層1が形成される。
その後、電池用ガス拡散層1から第1基材21を剥離することにより、図1に示す電池用ガス拡散層1が製造される。
なお、図11(c)に示す状態から、第1基材21を剥離し、その後、第2基材22及び乾燥体212の圧力をかけられなかった部分を第1導電性多孔質層11から分離してもよい。
本具体例において、金型23によって乾燥体212に対し部分的に圧力をかけるときに(図11(c))、熱を加えることで、第2導電性多孔質層12の転写に必要な圧力を低くすることができる。この場合、転写時の温度は用いる高分子重合体に合わせて適宜選択すれば良く、80℃〜200℃程度であり、圧力は0.5MPa〜10MPa程度、好ましくは1MPa〜8MPaである。
(第4の具体例)
本実施形態に係る電池用ガス拡散層の製造方法の第4の具体例について説明する。第4の具体例に係る製造方法は、上述の第1塗布工程と、第1乾燥工程と、電池用ガス拡散層形成工程と、を備え、前記電池用ガス拡散層形成工程は、導電性炭素材料、高分子重合体及び溶剤を含む第2導電性多孔質層用組成物を、第2基材上に塗布する第2塗布工程と、前記第2導電性多孔質層用組成物を乾燥させる第2乾燥工程と、前記第2基材上の前記第2導電性多孔質層用組成物の乾燥体に切れ目を形成して、前記乾燥体を複数の部分に分割する分割工程と、前記第2基材上の前記乾燥体を部分的に除去する除去工程と、前記第2基材上の除去されなかった前記乾燥体を前記第2導電性多孔質層として前記第1導電性多孔質層上に転写する転写工程と、を備える。
図面を参照して説明すると、第1〜第3の具体例と同様、図9(a)及び(b)に示すように、第1導電性多孔質層用組成物111を第1基材21上に塗布して乾燥することにより、第1導電性多孔質層11を形成する。
続いて、第3の具体例と同様、図11(a)及び(b)に示すように、第2導電性多孔質層用組成物112を第2基材22上に平面視矩形状に塗布し、乾燥させて、第2基材22上に第2導電性多孔質層用組成物112の乾燥体212を形成する。
続いて、図12(a)及び(b)に示すように、第2基材22上の乾燥体212に厚み方向に貫通する切れ目Cを形成する。本具体例では、切れ目Cは、カッター等の切断手段を用いて、平面視で複数列形成される。これにより乾燥体212は、切れ目Cによって複数の短冊形部分212aに分割される。
続いて、第2基材22上の乾燥体212を部分的に除去する。本具体例では、乾燥体212の短冊形部分212aを1列おきに剥がし取る。これにより、図13(a)に示すように、乾燥体212の除去されなかった部分が第2基材22上にストライプ状に残存する。
続いて、図13(b)に示すように、第1基材21と第2基材22とを対向させて、乾燥体212を第1導電性多孔質層11に押し当てる。
そして、図13(c)に示すように、第2基材22上の除去されなかった乾燥体212を第1導電性多孔質層11上に転写させて導電性多孔質部材12Aとすることで、第1導電性多孔質層11上に第2導電性多孔質層12を形成する。第1基材21と第2基材22との間に電池用ガス拡散層1が形成される。
その後、電池用ガス拡散層1から第1基材21及び第2基材22を剥離することにより、図1に示す電池用ガス拡散層1が製造される。
なお、本具体例においても、第2の具体例と同様、接着層を用いることによって、第2導電性多孔質層12をさらに低い圧力で転写することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能であり、実施形態に開示された構成を適宜組み合わせて得られる形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
以下に、電池用ガス拡散層の実施例について説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
本実施例では、カーボンブラック100質量部、発泡剤50質量部、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)の10wt%メチルエチルケトン(MEK)溶液750質量部、MEK1200質量部をメディア分散により60分間分散させることにより、第1導電性多孔質層用組成物111及び第2導電性多孔質層用組成物112を調合した。発泡剤として、熱分解型発泡剤(平均粒子径4μm)を用いた。
続いて、上記実施形態の第4の具体例に示す工程に従い、電池用ガス拡散層1を製造した。具体的には、図9(a)に示すように、第1導電性多孔質層用組成物111をポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムである第1基材21上にアプリケーターを用いて約50μmの厚みとなるように塗布し、95℃に設定した乾燥炉中で約15分乾燥することにより、第1導電性多孔質層11を形成した。同様に、図9(b)に示すように、第2導電性多孔質層用組成物112をPETフィルムである第2基材22上にアプリケーターを用いて約50μmの厚みとなるように塗布し、95℃に設定した乾燥炉中で約15分乾燥することにより、第2導電性多孔質層用組成物112の乾燥体212を形成した。
その後、図12(a)及び(b)に示すように、カッターを用いて乾燥体212に切れ目Cを形成し、複数の短冊形部分212aに分割した。続いて、短冊形部分212aを1列おきに剥がし取り、図13(a)に示すように、ストライプ状の乾燥体212を第2基材上22に形成した。
続いて、図13(b)及び(c)に示すように、乾燥体212を第1導電性多孔質層11に転写して、第1導電性多孔質層11上に第2導電性多孔質層12を形成した。転写時の温度は140℃、転写時の圧力は4MPa、加圧時間は5分とした。さらに、第1基材21および第2基材22を剥離した後、270℃に設定した焼成炉中で約1時間焼成することにより発泡剤を焼失させ、電池用ガス拡散層1を得た。
その結果、第1導電性多孔質層11と第2導電性多孔質層12とを良好に接合することができた。乾燥体212の転写時に、第1導電性多孔質層11のガス流路に面する部分には殆ど圧力が作用しないので、ガスの拡散に必要な孔の破壊を抑制しながら、ガス流路を有する電池用ガス拡散層1を製造可能であることがわかる。
また、第1導電性多孔質層11の一方面11a(第2導電性多孔質層12が設けられた面)及び他方面11bの表面粗さを、顕微鏡(OLYMPUS社製「3D MEASURING LASER MICROSCOPE」(型式:OLS4000))、及び、計測ソフトウェア(OLYMPUS社製「LEXT-OLS4000」)を用い、対物レンズ倍率を10倍にして計測した。その結果、一方面11aの表面粗さSa=2.362μmであり、他方面11bの表面粗さSb=2.054μmであった。よって、触媒層側の面である他方面11bの表面粗さが平滑であることがわかる。
また、第1導電性多孔質層11の一方面11a及び他方面11bにおけるフッ素と炭素との比をエネルギー分散型蛍光X線分析により測定した。分析装置として日本電子社製のエネルギー分散型X線分析装置EX−23000BUを使用し、一方面11a及び他方面11bのフッ素原子数%及び炭素原子数%を測定し、フッ素と炭素との比(フッ素原子数%/炭素原子数%)を算出した。その結果、一方面11aでは0.147であり、他方面11bでは0.152であった。よって、第1導電性多孔質層11は、一方面11aにおける高分子重合体量の割合よりも、他方面11bにおける高分子重合体量の割合が大きいことがわかる。
1 電池用ガス拡散層
2 セパレータ
3 電池部材
4 触媒層
5 電解質膜
6 触媒層−電解質膜積層体
7 膜−電極接合体
8 ガスケット
9 燃料電池
11 第1導電性多孔質層
11a 一方面
11b 他方面(一方面と反対側の面)
12 第2導電性多孔質層
21 第1基材
22 第2基材
23 金型
23a 突起部
111 第1導電性多孔質層用組成物
112 第2導電性多孔質層用組成物
212 乾燥体
212a 短冊形部分
P1 ガス流路
P2 ガス流路

Claims (8)

  1. 第1導電性多孔質層と、
    前記第1導電性多孔質層の一方面上に部分的に設けられた第2導電性多孔質層と、を備え、
    前記第1導電性多孔質層は、導電性炭素材料及び高分子重合体を含み、前記第2導電性多孔質層が設けられた前記一方面と反対側の面の表面粗さが5.0μm以下である、電池用ガス拡散層。
  2. 前記第1導電性多孔質層は、前記一方面における高分子重合体量の割合よりも、前記一方面と反対側の面における高分子重合体量の割合が大きい、請求項1に記載の電池用ガス拡散層。
  3. 前記第2導電性多孔質層の気孔率は、前記第1導電性多孔質層の気孔率以上である、請求項1又は2に記載の電池用ガス拡散層。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の電池用ガス拡散層と、
    前記第2導電性多孔質層上に積層されたセパレータと、
    を備えた、電池部材。
  5. 触媒層、電解質膜及び触媒層が順次積層された触媒層−電解質膜積層体と、
    前記触媒層−電解質膜積層体の両面に積層された一対の電池用ガス拡散層と、
    を備え、
    前記一対の電池用ガス拡散層の少なくとも一方は、請求項1〜3のいずれかに記載の電池用ガス拡散層であり、
    前記第1導電性多孔質層の前記一方面と反対側の面が前記触媒層に接している、膜−電極接合体。
  6. 請求項5に記載の膜−電極接合体と、
    前記触媒層−電解質膜積層体の両面に積層されたセパレータと、
    を備えた、燃料電池。
  7. 導電性炭素材料、高分子重合体及び溶剤を含む第1導電性多孔質層用組成物を、第1基材上に塗布する第1塗布工程と、
    前記第1導電性多孔質層用組成物を乾燥させて、前記第1基材上に第1導電性多孔質層を形成する第1乾燥工程と、
    前記第1導電性多孔質層上に部分的に第2導電性多孔質層を設けて、電池用ガス拡散層を形成する電池用ガス拡散層形成工程と、
    を備える、電池用ガス拡散層の製造方法。
  8. 前記電池用ガス拡散層から前記第1基材を剥離する剥離工程をさらに備える、請求項7に記載の電池用ガス拡散層の製造方法。
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