JP6160178B2 - 電池用導電性多孔質層及びそれを用いた電池 - Google Patents

電池用導電性多孔質層及びそれを用いた電池 Download PDF

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Description

本発明は、電池用導電性多孔質層及びそれを用いた電池に関する。
燃料電池、金属空気電池等の電極反応に気体(ガス)を使用する電気化学電池は、その電池性能の向上のため、導電性多孔質層を備えている。
例えば、固体高分子形燃料電池を構成する膜−電極接合体(MEA)は、導電性多孔質層、触媒層、電解質膜、触媒層及び導電性多孔質層が順次積層された構造を有している。
この導電性多孔質層には、一般的にカーボンペーパー、カーボンクロス等の導電性多孔質基材が使用される。更に、この導電性多孔質基材の導電性、ガス拡散性、水の排出性等を向上させる目的から、導電性炭素粒子、撥水性樹脂等を含む導電層を導電性多孔質基材の触媒層側に形成する場合がある。
しかしながら、導電性多孔質層にカーボンペーパー、カーボンクロス等の導電性多孔質基材を使用すると、これらの導電性多孔質基材は高価であるため、製造コストが著しく増大する。また、全体が炭素材料で構成されていることから硬く且つ脆いため、取扱い性に劣る。
これらの導電性多孔質基材の問題点を改善するために、炭素材料と樹脂とを含む導電性多孔質基材に相当する層と、導電層とを積層して製造するガス拡散層が提案されている(特許文献1)。
国際公開第2009/104701号
しかしながら、導電性多孔質基材に相当する層を構成する導電性炭素材料として、膜強度、ガス透過性能、ガス拡散性能等の観点から導電性炭素繊維を用いた場合には、この導電性炭素繊維が導電層内に突き出すという課題があった。また導電層内に炭素繊維が突き出したまま、例えば電解質膜に触媒層が形成された触媒層−電解質膜積層体と一体化すると、炭素繊維が触媒層や電解質膜を突き破る等の問題が発生する。また、導電層内に突き出した導電性多孔質基材に相当する層中の導電性炭素繊維が導電層の表面まで到達し、クラックを発生させることもあった。
この課題は、導電性多孔質層を金属空気電池用として用いる場合も同様である。
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、導電性多孔質基材に相当する層を構成する導電性炭素材料として導電性炭素繊維を用いた場合にも、導電性多孔質基材に相当する層を構成する導電性炭素繊維が導電層内に突き出すのを抑制することで、膜−電極接合体作製時に触媒層や電解質膜に傷をつけない、又、導電層をクラックの少ない膜とした燃料電池や金属空気電池等の電池が得られる導電性多孔質層を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題に鑑み、電池用導電性多孔質層に所望の性能を付与すべく、鋭意研究を重ねてきた。その結果、非導電性不織布の片面側に特定の第1の導電層、前記片面とは反対の面側に特定の第2の導電層を形成することで、第2の導電層(導電性多孔質基材)を構成する導電性炭素材料として導電性炭素繊維を用いた場合にも、第2の導電層を構成する導電性炭素繊維が第1の導電層内に突き出すのを抑制することで、導電層をクラックの少ない膜とした燃料電池や金属空気電池等の電池が得られる導電性多孔質層を提供できることを見出した。本発明は、このような知見に基づき完成されたものである。
すなわち、本発明は、下記の電池用導電性多孔質層及びその応用を包含する。
項1.非導電性不織布の片面側に第1の導電層が形成され、
前記非導電性不織布の前記片面とは反対の面側に第2の導電層が形成され、
前記第1の導電層は、導電性炭素材料及び高分子重合体を含み、
前記第2の導電層は、導電性炭素繊維及び高分子重合体を含み、
積層方向に導電性を有する、
電池用導電性多孔質層。
項2.前記導電性不織布のピーク細孔径は、前記第2の導電層を構成する導電性炭素繊維の平均繊維径以下である、項1に記載の電池用導電性多孔質層。
項3.前記第2の導電層を構成する導電性炭素繊維は、平均繊維径が5μm〜20μmの導電性炭素繊維を含む、項1又は2に記載の電池用導電性多孔質層。
項4.前記第1の導電層の厚みが1〜200μmであり、第2の導電層の厚みが30〜300μmである、項1〜3のいずれかに記載の電池用導電性多孔質層。
項5.前記非導電性不織布は、表面が樹脂で被覆されている、項1〜4のいずれかに記載の電池用導電性多孔質層。
項6.前記電池用導電性多孔質層が、燃料電池用又は金属空気電池用ガス拡散層である、項1〜5のいずれかに記載の電池用導電性多孔質層。
項7.電解質膜の片面に、触媒層が積層された触媒層−電解質膜積層体の前記触媒層の上に、前記触媒層と前記第1の導電層とが接するように、項1〜6のいずれかに記載の電池用導電性多孔質層が積層されている、電池用膜−電極接合体。
項8.電解質膜の片面にアノード触媒層、反対面にカソード触媒層がそれぞれ積層された触媒層−電解質膜積層体の前記アノード触媒層の上、及び前記カソード触媒層の上に、前記アノード触媒層及びカソード触媒層と前記第1の導電層とが接するように、それぞれ項1〜6のいずれかに記載の電池用導電性多孔質層が積層されている、電池用膜−電極接合体。
項9.項7又は8に記載の電池用膜−電極接合体を備える固体高分子形燃料電池。
項10.項7に記載の電池用膜−電極接合体を備える金属空気電池。
項11.前記電池用導電性多孔質層の上に、さらに、集電体が、前記第2の導電層と前記集電体とが接するように形成されている、項9に記載の固体高分子形燃料電池又は項10に記載の金属空気電池。
1.電池用導電性多孔質層
本発明の電池用導電性多孔質層は、非導電性不織布の片面側に第1の導電層が形成され、前記非導電性不織布の前記片面とは反対の面側に第2の導電層が形成される。第1の導電層は、少なくとも導電性炭素材料及び高分子重合体を含む層であり、第2の導電層は、少なくとも導電性炭素繊維及び高分子重合体を含む層である。また、本発明の電池用導電性多孔質層は、積層方向に導電性を有する。
<第1の導電層>
第1の導電層は、導電性炭素材料及び高分子重合体を含有する。また、第1の導電層の厚みは限定的ではないが、通常1〜200μm程度、特に5〜150μm程度が好ましい。本発明では、第1の導電層を設けることで、ガス拡散特性、ガス透過特性、水管理特性等に優れた導電性多孔質層を形成することができるとともに、電解質(特に本発明の導電性多孔質層を金属空気電池用に使用した場合の電解液)の漏れも抑制することができる。
導電性炭素材料
導電性炭素材料としては、特に制限されるわけではないが、導電性炭素粒子、導電性炭素繊維等が挙げられる。
[導電性炭素粒子]
導電性炭素粒子は、導電性を有する炭素材であれば特に限定されず、公知又は市販の材料を使用できる。例えば、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック等のカーボンブラック;黒鉛;活性炭等が挙げられる。これらは、1種単独又は2種以上で用いることができる。これらの導電性炭素粒子を含有することにより、本発明の導電性多孔質層の導電性を向上させることができる。
導電性炭素粒子としてカーボンブラックを使用する場合には、カーボンブラックの平均粒子径(算術平均粒子径)は限定的でなく、通常5〜200nm程度、特に5〜100nm程度が好ましい。またカーボンブラックの凝集体を使用する場合は、平均粒子径(算術平均粒子径)は10〜600nm程度、特に50〜500nm程度が好ましい。また、黒鉛、活性炭等を使用する場合は、平均粒子径は500nm〜40μm程度、特に1μm〜35μm程度が好ましい。つまり、導電性炭素粒子としては、平均粒子径は、5nm〜40μm程度が好ましく、5nm〜35μm程度がより好ましい。この範囲の平均粒子径を有する導電性炭素粒子を使用することで、第1の導電層をより平坦でクラックの少ない膜とし、電池の耐久性をより向上させることができる。この導電性炭素粒子の平均粒子径は、粒子径分布測定装置LA−920:(株)堀場製作所製等により測定するものとする。
[導電性炭素繊維]
導電性炭素繊維を配合することにより、第1の導電層形成用ペースト組成物の塗布表面の面質を向上させることができるだけでなく、強度の高いシート状の第1の導電層を作製することも可能となる。第1の導電層で使用される導電性炭素繊維としては、特に制限されるわけではないが、例えば、気相成長法炭素繊維(VGCF(登録商標))、カーボンナノチューブ、カーボンナノカップ、カーボンナノウォール等が挙げられる。これらの導電性炭素繊維は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
導電性炭素繊維の繊維径は、特に制限されないが、平均が50〜450nm程度、特に100〜250nm程度が好ましい。このような平均繊維径を有する導電性炭素繊維を使用することで、ナノオーダーの細かい細孔容積を増加させることができ、ガス透過性能、平滑性、水の排出性や保持性等の水管理特性等の効果が期待できる。また、第1の導電層をより平坦でクラックの少ない膜とし、電池の耐久性をより向上させることもできる。繊維長は限定的でなく、平均が4〜500μm程度、特に4〜300μm程度、さらに4〜50μm程度、特に10〜20μm程度が好ましい。また、アスペクト比は、平均がおよそ5〜600程度、特に10〜500程度が好ましい。なお、導電性炭素繊維の繊維径、繊維長及びアスペクト比は、原料の導電性炭素繊維の繊維径ではなく、第1の導電層中に存在する導電性炭素繊維の繊維径を意味する。また、導電性炭素繊維の繊維径、繊維長及びアスペクト比は、走査型電子顕微鏡(SEM)等により測定した画像等により測定するものとする。
高分子重合体
高分子重合体としては、特に限定的ではなく、公知又は市販の材料を使用できる。高分子重合体のガラス転移温度(Tg)は、−100〜300℃程度が好ましく、−60〜250℃程度がより好ましく、−30〜220℃程度がさらに好ましく、−20〜210℃程度が特に好ましい。具体的には、高分子重合体としては、イオン伝導性高分子樹脂(Nafion等)、酢酸ビニル樹脂、スチレン−アクリル共重合体樹脂、スチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリエステル−アクリル共重合体樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等が挙げられる。また、六フッ化プロピレン−フッ化ビニリデン共重合体、三フッ化塩化エチレン−フッ化ビニリデン共重合体等のフッ素ゴム、シリコーンゴム等も挙げられる。これらの高分子重合体は、単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせてもよい。
高分子重合体としてフッ素ゴム等のエラストマーを使用すれば、第1の導電層の柔軟性をより向上させることができる。なお、本明細書において、フッ素ゴムとは、Tgが−30〜100℃程度の材料である。
また、上記エラストマーは、エラストマーエマルジョン(エラストマー粒子を分散させた懸濁液)を使用してもよいし、分散媒に溶解させたエラストマーを用いてもよい。エラストマーエマルジョンを使用する場合には、分散媒にエラストマーを分散させて調製するか、市販品を使用することが好ましい。分散媒としては、例えば、水、エタノール、プロパノール等が挙げられる。また、分散媒に溶解させたエラストマーを使用する場合の分散媒としては、N−メチルピロリドン(NMP)、メチルエチルケトン(MEK)、トルエン、酢酸ビニル、ジメチルアセトアミド(DMA)、イソプロピルアルコール(IPA)等が挙げられる。
また、第1の導電層へ撥水性を付与するため、フッ素系樹脂等の撥水性樹脂を使用することも可能である。特に、高分子重合体として、撥水性に劣る高分子重合体を使用する場合には、撥水性を向上させるために有効である。このようなフッ素系樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)、フッ化エチレンプロピレン樹脂(FEP)、パーフルオロアルコキシ樹脂(PFA)等が挙げられる。
本発明において、第1の導電層形成用ペースト組成物には、上記の導電性炭素材料及び高分子重合体以外にも、本発明の効果を損なわない範囲で、分散剤、分散媒等を含ませることができる。
分散剤
分散剤は、導電性炭素材料及び高分子重合体を水中で分散させることができる分散剤である限り限定されず、公知又は市販の分散剤が使用できる。このような分散剤としては、例えば、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコールアルキルエーテル等のノニオン系分散剤;アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウムクロリド、アルキルピリジウムクロリド等のカチオン系分散剤;ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、酸性基含有構造変性ポリアクリレート等のアニオン系分散剤等が挙げられる。これらの分散剤は、1種単独又は2種以上で用いることができる。
分散媒
分散媒としては、特に限定されることはなく、公知又は市販のアルコール類、ケトン類、芳香族炭化水素類、エステル類、他の有機溶媒を使用することができ、例えば、炭素数1〜5程度の1価又は多価のアルコール類、総炭素数が2〜5程度のケトン類、炭素数が6〜10程度の芳香族炭化水素類、総炭素数が2〜5程度のエステル類、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド等が挙げられる。具体的には、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、1−ペンタノール;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン;トルエン;酢酸ビニル;N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド等が挙げられる。
<非導電性不織布>
非導電性不職布の厚みは限定的ではないが、通常5〜100μm程度、特に20〜50μm程度が好ましい。
非導電性不織布としては特に制限されず、ガラス繊維で構成される不織布(ガラスペーパー)、アラミド、ポリエステル、ナイロン、ビニロン、ポリオレフィン、レーヨン等の合成樹脂繊維で構成される不織布等が挙げられる。なかでも、耐酸性が求められる用途の場合は、安価で、耐酸性に優れる観点から、ガラスペーパーが好ましく、耐アルカリ性が求められる用途の場合は、耐アルカリ性に優れるアラミドの樹脂繊維で構成される不織布が好ましい。
非導電性不織布のピーク細孔径は、後述の第2の導電層中の導電性炭素繊維による第1の導電層への突き刺しをより抑制する観点から、1〜20μmが好ましく、5〜15μmがより好ましい。また、この非導電性不織布のピーク細孔径は、後述の第2の導電層を構成する導電性炭素繊維の平均繊維径以下であること、特に導電性炭素繊維の平均繊維径より小さいことが好ましい。第2の導電層中に2種以上の導電性炭素繊維を含ませる場合には、大きい方の平均繊維径の導電性炭素繊維より小さいことが好ましい。この際、2種以上の導電性炭素繊維が含まれている場合、大きい方の導電性炭素繊維の平均繊維径の判別方法としては、電子顕微鏡(SEM)等で数点繊維径を測定し、測定したそれぞれの繊維径の最頻値の内、一番大きい最頻値を大きい方の導電性炭素繊維の平均繊維径とする。なお、非導電性不織布のピーク細孔径は、自動ポロシメーター オートポアIV9500((株)島津製作所製)等により測定するものとする。
非導電性不織布の目付け量は限定的ではないが、後述の第2の導電層中の導電性炭素繊維による第1の導電層への突き刺しをより抑制する観点から、4〜20g/m程度が好ましく、5〜10g/m程度がより好ましい。また、同様に、非導電性不織布の密度は、0.1〜 1g/cm程度が好ましく、0.1〜0.5g/cm程度がより好ましい。
電池用途のなかでも、カチオン伝導性の電解質膜を用いる燃料電池用途には耐酸性が、アニオン伝導性の電解質膜を用いる燃料電池用途や、金属空気電池用途には耐アルカリ性が求められる。
このため、耐酸性が求められる用途には、安価なガラス繊維等で構成される不織布(ガラスペーパー)をそのまま用いることもできるが、耐アルカリ性が求められる用途には、安価なガラス繊維で構成される不織布(ガラスペーパー)等の耐アルカリ性の低い材料を使用する場合には、樹脂で被覆することで耐アルカリ性を向上させて耐久性を向上させることが好ましい。より具体的には、ガラス繊維等の耐酸性に優れる材料で構成される不織布に対しては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)、フッ化エチレンプロピレン樹脂(FEP)、パーフルオロアルコキシ樹脂(PFA)等のフッ素樹脂等の耐アルカリ性に優れる樹脂で被覆することが好ましい。上記のような樹脂で被覆することにより、耐アルカリ性が求められる用途で使用しても耐久性を向上させることができる。
一方、耐アルカリ性が求められる用途には、耐アルカリ性に優れるアラミド繊維等をそのまま用いることもできるが、耐酸性が求められる用途には、アラミド繊維等の耐アルカリ性に優れる材料で構成される不織布を樹脂で被覆することで耐酸性を向上させて耐久性を向上させることが好ましい。より具体的には、アラミド繊維等の耐アルカリ性に優れる材料で構成される不織布に対しては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)、フッ化エチレンプロピレン樹脂(FEP)、パーフルオロアルコキシ樹脂(PFA)等のフッ素樹脂等の耐酸性に優れる樹脂で被覆することが好ましい。上記のような樹脂で被覆することにより、耐酸性が求められる用途で使用しても耐久性を向上させることができる。
非導電性不織布の製法は、湿式法、乾式法、スパンボンド法、メルトブロー法等のいずれでもよい。
また、非導電性不織布の表面を樹脂で被覆する場合、その方法は特に制限されずどのような方法も採用することができる。例えば、樹脂溶液中に、非導電性不織布を浸漬し、乾燥させる方法等を採用できる。
この際の樹脂溶液の濃度は特に制限はなく、0.1〜10重量%、特に0.1〜5重量%が好ましい。また、乾燥条件も特に制限はなく、80〜200℃(特に80〜100℃)程度で1〜10分間乾燥させることが好ましい。
<第1の導電層と非導電性不織布との関係>
非導電性不織布は、第1の導電層に含浸されず、第1の導電層の上に積層されていてもよい。
また、非導電性不織布は、第1の導電層中に一部又は全部が含浸されていてもよい。
なお、「非導電性不織布の一部のみが第1の導電層に含浸されている」とは、具体的には、非導電性不織布の厚み方向5〜80%の範囲が第1の導電層に含浸されていることが好ましい。
<第2の導電層>
第2の導電層は、導電性炭素繊維及び高分子重合体を含有する。また、第2の導電層の厚みは限定的ではないが、通常30〜300μm程度、特に30〜250μm程度が好ましい。本発明では、第2の導電層を設けることで、膜強度、ガス透過特性及びガス拡散特性に優れた導電性多孔質層を形成することができる。
導電性炭素繊維
導電性炭素繊維を配合することにより、より強度の高いシート状の第2の導電層を作製することが可能となる。第2の導電層で使用される導電性炭素繊維は、特に制限されるわけではないが、例えば、PAN(ポリアクリロニトリル)系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維等が挙げられる。
導電性炭素繊維の繊維径は、特に制限されないが、平均が5〜20μm程度、特に6〜15μm程度が好ましい。このような平均繊維径を有する導電性炭素繊維を使用することで、高強度な膜を作製することができ、また、マイクロオーダーの細孔径を形成させることで、高いガス透過性能を得ることができる。繊維長は限定的ではなく、平均が5μm〜1mm、特に10〜600μm程度が好ましい。また、アスペクト比は、平均が1〜50程度、特に2〜40程度が好ましい。また、この導電性炭素繊維の平均繊維径は、前述の非導電性不織布のピーク細孔径以上であること、特に非導電性不織布のピーク細孔径以上より大きいことが好ましい。このようなサイズの導電性炭素繊維は、高強度で高いガス透過性能を期待できる代わりに、第1の導電層を突き刺す可能性がより高くなるが、非導電性不織布を備えることで抑制し、第1の導電層のクラックを抑制させることができる。なお、導電性炭素繊維の繊維径、繊維長及びアスペクト比は、原料の導電性炭素繊維の繊維径、繊維長及びアスペクト比であってもよいが、本発明においては製造工程によってあまり変化しないので、第2の導電層中に存在する導電性炭素繊維の繊維径、繊維長及びアスペクト比であってもよい。また、導電性炭素繊維の繊維径、繊維長及びアスペクト比は、走査型電子顕微鏡(SEM)等により測定した画像等により測定するものとする。
なお、上記で説明した導電性炭素繊維は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、導電性炭素繊維としては、上記の平均繊維径が5〜20μm程度、平均繊維長が5μm〜1mm程度、平均アスペクト比が1〜50の程度の導電性炭素繊維とともに、上記説明した平均繊維径が50〜450nm程度、平均繊維長が4〜500μm程度、平均アスペクト比が5〜600程度の導電性炭素繊維を併用することもできる。このように、サイズの大きい導電性炭素繊維と、サイズの小さい導電性炭素繊維を組合せて使用することにより、ガス拡散性を維持しつつ、導電性を向上させることができる。この場合、非導電性不織布のピーク細孔径は、第2の導電層に含まれる導電性炭素繊維の内、大きい方の平均繊維径の導電性炭素繊維より小さくすることが好ましい。この際、2種以上の導電性炭素繊維が含まれている場合、大きい方の導電性炭素繊維の平均繊維径の判別方法としては、電子顕微鏡(SEM)等で数点繊維径を測定し、測定したそれぞれの繊維径の最頻値の内、一番大きい最頻値を大きい方の導電性炭素繊維の平均繊維径とする。
導電性炭素粒子
第2の導電層には、上述の導電性炭素繊維以外にも、導電性炭素材料として、導電性炭素粒子を含ませることもできる。
導電性炭素粒子を使用することにより、高いガス透過性及びガス拡散性を有する第2の導電層を作製することが可能である。第2の導電層で使用される導電性炭素粒子としては、例えば、黒鉛、活性炭等が挙げられる。
導電性炭素粒子の粒子径は、特に限定されないが、平均が5〜100μm程度、特に6〜80μm程度が好ましい。この導電性炭素粒子の平均粒子径は、粒子径分布測定装置LA−920:(株)堀場製作所製等により測定するものとする。
なお、上記で説明した導電性炭素粒子は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
高分子重合体
高分子重合体としては、上述した第1の導電層に用いられる材料と同様の材料を使用できる。即ち、高分子重合体のTgは、−100〜300℃程度が好ましく、−60〜250℃程度がより好ましく、−30〜220℃程度がさらに好ましく、−20〜210℃程度が特に好ましい。具体的には、高分子重合体としては、イオン伝導性高分子樹脂(Nafion等)、酢酸ビニル樹脂、スチレン−アクリル共重合体樹脂、スチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリエステル−アクリル共重合体樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等が挙げられる。また、六フッ化プロピレン−フッ化ビニリデン共重合体、三フッ化塩化エチレン−フッ化ビニリデン共重合体等のフッ素ゴム、シリコーンゴム等も挙げられる。これらの高分子重合体は、単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせてもよい。
本発明において、第2の導電層形成用ペースト組成物には、上記の導電性炭素繊維、導電性炭素粒子及び高分子重合体以外にも、本発明の効果を妨げない範囲で、フッ素系樹脂、分散剤、アルコール等を含ませることもできる。使用できるフッ素系樹脂、分散剤及び分散媒は、第1の導電層に用いられる材料と同様の材料を使用できる。
<第1の導電層及び第2の導電層の特徴>
本発明において、第1の導電層の細孔径分布は、10nm〜5μm、好ましくは20nm〜5μmの細孔容積が、細孔容積全体の50%以上であることが好ましい。細孔径分布は、自動ポロシメーター オートポアIV9500((株)島津製作所製)により測定するものとする。この細孔径分布は、例えば、平均繊維径が50〜450nm程度の導電性炭素繊維、高分子重合体、平均粒子径(算術平均粒子径)が5〜200nmの導電性炭素粒子、平均粒子径が500nm〜40μmの導電性炭素粒子(黒鉛、活性炭等)の使用等により達成することができる。
また、第2の導電層の細孔径分布は、5〜100μm、好ましくは5〜50μmの細孔容積が、細孔容積全体の50%以上であることが好ましい。細孔径分布は、自動ポロシメーター オートポアIV9500((株)島津製作所製)により測定するものとする。この細孔径分布は、例えば、平均繊維径が5μm以上の導電性炭素繊維、平均粒子径が5μm以上の導電性炭素粒子、高分子重合体の使用等により達成することができる。
<第1の導電層及び第2の導電層の製造方法>
本発明において、第1の導電層は、例えば、導電性炭素材料及び高分子重合体を含む第1の導電層形成用ペースト組成物を、基材上に塗布及び乾燥し、基材を剥離することにより得ることができる。第2の導電層も同様に、導電性炭素繊維及び高分子重合体を含む第2の導電層形成用ペースト組成物を、基材上に塗布及び乾燥し、基材を剥離することにより得ることができる。
上記製造法は、第1の導電層及び第2の導電層を薄膜化できる利点を有している。
含有量
第1の導電層形成用ペースト組成物の配合割合は、例えば、導電性炭素材料100重量部に対して、高分子重合体10〜1000重量部(特に40〜200重量部)程度、分散剤0〜100重量部(特に5〜50重量部)程度、アルコール等の分散媒0〜1100重量部(特に100〜1000重量部)程度とすることが好ましい。なお、導電性炭素粒子及び導電性炭素繊維をともに含む場合には、導電性炭素粒子と導電性炭素繊維との含有量の比は9:1(重量比)〜1:9(重量比)程度、特に8:2(重量比)〜2:8(重量比)程度が好ましい。また、撥水性向上のため、フッ素系樹脂を5〜250重量部(好ましくは10〜200重量部)程度含ませてもよい。なお、高分子重合体としてエラストマーエマルジョンを使用する場合には、固形分を上記範囲内とすることが好ましい。
第2の導電層形成用ペースト組成物の配合割合は、例えば、導電性炭素繊維等の導電性炭素材料100重量部に対して、高分子重合体5〜150重量部(好ましくは10〜100重量部)程度、分散剤0〜100重量部(好ましくは5〜50重量部)程度、アルコール等の分散媒0〜500重量部(好ましくは10〜400重量部)程度とすることが好ましい。なお、導電性炭素繊維及び導電性炭素粒子をともに含む場合には、導電性炭素繊維と導電性炭素粒子との含有量の比は9:1(重量比)〜1:9(重量比)程度、特に8:2(重量比)〜2:8(重量比)程度が好ましい。また、導電性炭素繊維として、平均繊維径が5〜20μm程度、平均繊維長が5μm〜1mm程度、平均アスペクト比が1〜50の程度の導電性炭素繊維とともに、上記説明した平均繊維径が50〜450nm程度、平均繊維長が4〜500μm程度、平均アスペクト比が5〜600程度の導電性炭素繊維を併用する場合には、前者と後者の含有量の比は、9:1(重量比)〜5:5(重量比)程度、特に9:1(重量比)〜7:3(重量比)程度が好ましい。さらに、高分子重合体としてエラストマーエマルジョンを使用する場合には、固形分を上記範囲内とすることが好ましい。
基材は、ペースト組成物を塗布できる基材であれば特に限定されず、公知又は市販の基材を広く使用することができる。このような基材としては、例えば、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリパラバン酸アラミド、ポリアミド(ナイロン)、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテル・エーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアリレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン等の高分子フィルム等を挙げることができる。また、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等も用いることができる。これらの中でも、耐熱性に優れ、入手のしやすい高分子フィルムが好ましく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリイミド等のフィルムが好ましい。
基材には離型層が積層されていることが好ましい。離型層としては、例えば、公知のワックスから構成されたものが挙げられる。また、離型層が積層された基材として、SiOx、フッ素樹脂等でコーティングされたフィルム等を使用してもよい。
基材の厚みは、取り扱い性及び経済性の観点から、通常6〜100μm程度、特に10〜60μm程度とするのが好ましい。
各ペースト組成物の塗布方法としては、公知又は市販のドクターブレード等のブレード、ワイヤーバー、スキージ等の器具やアプリケーター、ダイコート等を用いて塗布することが好ましい。
各ペースト組成物の塗布量は限定的でないが、例えば、第1の導電層では厚みが1〜200μm程度、好ましくは5〜150μm程度となるようにすることが好ましい。また、第2の導電層では厚みが30〜300μm程度、好ましくは50〜250μm程度となるようにすることが好ましい。
また、乾燥温度も限定的ではなく、使用する溶剤(アルコール等)の揮発温度(例えば150℃程度)、高分子重合体のガラス転移温度等の条件により適宜変更することが好ましい。
また、乾燥して第1の導電層及び第2の導電層を得た後、必要に応じてさらに高い温度(例えば150〜500℃程度)で加熱処理を施してもよい。
さらに、第1の導電層及び第2の導電層は、その表面(特に他層と接する表面)に、表面処理が施されていてもよい。表面処理としては、例えば、金属ブラシ、サンドブラスト等で物理的に表面凹凸をつける機械的処理、マット処理、コロナ放電処理、プラズマ放電処理、紫外線処理、電子線照射処理、火炎処理等が挙げられる。
一例を示すと、コロナ処理の場合、電極間距離は0.3〜5mm、放電エネルギーは0.5〜5kW、電極はシリコーンゴム被覆電極を用いて、試料は0.1〜50m/分の速度で照射する。
<電池用導電性多孔質層の特徴>
本発明の電池用導電性多孔質層は、非導電性不織布の片面側に第1の導電層が形成され、前記非導電性不織布の前記片面とは反対の面側に第2の導電層が形成される。
このように、本発明では、非導電性不織布を有しているため、第2の導電層中の導電性炭素繊維が第1の導電層へ突き刺すことを抑制することができる。つまり、本発明の導電性多孔質層は、非導電性不織布の片面側に第1の導電層が形成され、前記非導電性不織布の前記片面とは反対の面側に第2の導電層が形成されるため、第2の導電層中の導電性炭素繊維の第1の導電層への突き刺しを抑制し、クラックを抑制した第1の導電層が形成できるため、本発明の導電性多孔質層の表面を平坦な表面にし、本発明の導電性多孔質層と触媒層との間の密着性を向上し、導電性、ガス拡散性、水の排出性等を均一にできる。本発明の電池用導電性多孔質層を金属空気電池用として使用する場合には、上記の効果に加え、導電性炭素繊維の突き出しにより電解液が漏れることも抑制できる。
<導電性多孔質層の製造方法>
本発明の導電性多孔質層は、特に制限されないが、第1の導電層の形成過程で非導電性不織布を置いて、第1の導電層を作製した後に、第2の導電層及び必要に応じて他の層を積層することにより作製することができる。
例えば、本発明の電池用導電性多孔質層は、
(I)導電性炭素材料及び高分子重合体を含む第1の導電層形成用ペースト組成物を基材上に塗布し、その上に非導電性不織布を静置した後に乾燥させ、非導電性不織布を備える第1の導電層を作製する工程、
(IIA)導電性炭素繊維及び高分子重合体を含む第2の導電層形成用ペースト組成物を基材上に塗布及び乾燥し、第2の導電層を作製する工程、
(IIB)前記非導電性不織布を備える第1の導電層の非導電性不織布が静置された側から、第2の導電層を積層し、次いで熱プレスして一体化する工程
を備える方法により得ることができる。
前記工程(I)は、より詳細には、第1の導電層形成用ペースト組成物を用いて、基材上に塗布し、その上に非導電性不織布を静置した後に乾燥させることが好ましい。
第1の導電層を作製するために使用した基材は工程(I)の後、工程(IIA)の後、工程(IIB)の後のいずれの段階で剥離してもよい。また、第2の導電層を作製するために使用した基材も工程(IIA)の後、工程(IIB)の後のいずれの段階で剥離してもよい。
本発明の導電性多孔質層の製造方法は、上記方法が好ましいが、これのみに限られず、第1の導電層、非導電性不織布及び第2の導電層がこの順に形成できる方法であればどのようなものも採用できる。
例えば、第1の導電層と第2の導電層の作製を逆転させてもよい。つまり、第2の導電層形成用ペースト組成物を用いること以外は工程(I)と同様に非導電性不織布を備える第2の導電層を作製し、次いで、第1の導電層形成用ペースト組成物を用いること以外は工程(IIA)及び(IIB)と同様に、非導電性不織布を備える第2の導電層と第1の導電層とを熱プレスすることによっても得ることができる。
第1の導電層形成用ペースト組成物中に含まれる導電性炭素材料が小さく、導電性不織布の細孔径を通貨できるような場合には、上記工程(I)の代わりに、非導電性不織布を基材上に静置した後に、その上から第1の導電層形成用ペースト組成物を塗布することで、導電性不織布の下に第1の導電層を形成し、非導電性不織布を備える第1の導電層を作製する工程としてもよい。
また、上記の工程(I)では、非導電性不織布を静置した後に乾燥させているが、第1の導電層形成用ペースト組成物を基材上に塗布及び乾燥させた後に、非導電性不織布を静置してもよい。
さらに、工程(I)では非導電性不織布を静置せず、つまり、第1の導電層形成用ペースト組成物を基材上に塗布及び乾燥させ、工程(IIB)において、第1の導電層、非導電性不織布及び第2の導電層をこの順になるように配置して熱プレスしてもよい。
また、本発明の導電性多孔質層は、
(I)導電性炭素材料及び高分子重合体を含む第1の導電層形成用ペースト組成物を基材上に塗布し、その上に非導電性不織布を静置した後に乾燥させ、非導電性不織布を備える第1の導電層を作製する工程、
(IIa)前記非導電性不織布を備える第1の導電層の上に、導電性炭素繊維及び高分子重合体を含む第2の導電層形成用ペースト組成物を塗布及び乾燥する工程
を備える方法によっても得ることができる。
前記工程(I)は、より詳細には、第1の導電層形成用ペースト組成物を用いて、基材上に塗布し、その上に非導電性不織布を静置した後に乾燥させることが好ましい。
第1の導電層を作製するために使用した基材は工程(I)の後、工程(IIa)の後のいずれの段階で剥離してもよい。
そして、一旦作製した本発明の電池用導電性多孔質層を後述の触媒層−電解質膜積層体の片面又は両面に、第1の導電層と触媒層とが接するように積層して一体化させれば、膜−電極接合体を作製することができる(触媒層−電解質膜積層体の両面に積層させる場合は本発明の電池用導電性多孔質層を2枚使用し、アノード触媒層とカソード触媒層の上に、アノード触媒層及びカソード触媒層と第1の導電層とが接するように、それぞれ本発明の電池用導電性多孔質層を積層する)。また、後述の触媒層−電解質膜積層体の片面又は両面に、導電性不織布を備える第1の導電層、第2の導電層をこの順に、第1の導電層の非導電性不織布が静置された側が第2の導電層と接するように積層させ、本発明の電池用導電性多孔質層の作製と膜−電極接合体の作製を同時に行ってもよい(触媒層−電解質膜積層体の両面に積層させる場合は本発明の電池用導電性多孔質層を2枚使用し、アノード触媒層とカソード触媒層の上に、それぞれ第1の導電層、第2の導電層を順に積層する)。
上記製造方法によれば、基材上に第1の導電層又は第2の導電層形成用ペースト組成物を塗布及び乾燥させ、その後基材から剥離することにより作製し、その後それぞれ積層させるため、従来から使用されるカーボンペーパー等の上に塗布及び乾燥させる場合と比較し、膜厚のバラツキを抑えることができる。
上記工程(IIB)において、熱プレスの温度は、特に制限されず、例えば25〜200℃程度の範囲で行うことができる。また、得られた導電性多孔質層をさらに高温度で乾燥処理(例えば150〜500℃程度)を施してもよい。
上述のような方法で導電性不織布を備える第1の導電層、及び第2の導電層を積層する場合は、先にその界面に表面処理を施してもよい。表面処理としては、例えば、金属ブラシ、サンドブラスト等で物理的に表面凹凸をつける機械的処理、マット処理、コロナ放電処理、プラズマ放電処理、紫外線処理、電子線照射処理、火炎処理等が挙げられる。
一例を示すと、コロナ処理の場合、電極間距離は0.3〜5mm、放電エネルギーは0.5〜5kW、電極はシリコーンゴム被覆電極を用いて、試料は0.1〜50m/分の速度で照射する。
2.電池用導電性多孔質層−導電性多孔質基材
本発明の導電性多孔質層は、その一方面(例えば、第2の導電層の上)に、導電性多孔質基材として、公知又は市販のガス拡散層(カーボンペーパー、カーボンクロス、カーボンフェルト等)を積層させてもよい。
積層させる際、熱プレスして一体化してもよい。例えば、非導電性不織布を備える第1の導電層及び第2の導電層を備える本発明の電池用導電性多孔質層を作製した後、第2の導電層の上に導電性多孔質基材を配置して熱プレスして一体化してもよい。また、非導電性不織布を備える第1の導電層、第2の導電層、及び第2の導電層側に導電性多孔質基材を配置した後、熱プレスして一体化してもよい。
通常用いられるカーボンペーパーの特性について、東レ(株)製のTGP−H−060を例にとり言及すると、厚み:190μm、電気抵抗:厚み方向80mΩ・cm、面方向5.8mΩ・cm、気孔率:78%、嵩密度:0.44g/cm、表面粗さ:8μm等である。カーボンペーパー等の厚みは限定的ではないが、通常50〜1000μm程度、特に100〜400μm程度とすることが好ましい。
また、導電性多孔質基材は、酸化剤ガスを後述する触媒層へ良好に拡散させるために、金属メッシュ及び金属発泡体等からなる多孔質金属体であってもよい。多孔質金属体を用いることにより、導電性が一段と向上する。多孔質金属体に用いる金属としては、ニッケル、パラジウム等の卑金属、或いは銀、ステンレスチール等を用いることができる。また、耐食性及び導電性を向上するために、上記金属メッシュ及び金属発泡体表面にめっき処理を行ってもよい。めっきの材質は、特に制限されず、白金、ルテニウム、ロジウム、タングステン、タンタル、金、ニッケル等の金属又はこれらの合金;カーボン;エポキシ樹脂、アクリル樹脂等の耐食性樹脂とカーボンとの複合体等が挙げられる。これらの中でも、高撥水性の観点から、金が好ましい。
導電性多孔質基材は、予め撥水処理が施された基材であることが好ましい。これにより、さらに一段と、導電性多孔質基材の撥水性を向上させることができる。
撥水処理としては、例えば、上記の導電性多孔質基材をフッ素系樹脂等が分散した水分散体中に浸漬する方法等が挙げられる。フッ素系樹脂としては、上述した樹脂等が挙げられる。なお、この際には、水中にフッ素系樹脂を分散させるために、上述した分散剤を用い、フッ素系樹脂及び水系分散剤を含む水系懸濁液として使用することが好ましい。
水分散体中のフッ素系樹脂の含有量は限定的でないが、例えば、水100重量部に対して、1〜30重量部程度、特に2〜20重量部程度とすることが好ましい。
3.電池用導電性多孔質層−集電体
本発明の導電性多孔質層は、その一方面(例えば、第2の導電層の上、上述の導電性多孔質基材を積層する場合はその上)に、公知又は市販の集電体を積層させてもよい。
積層させる際、熱プレスして一体化してもよい。例えば、非導電性不織布を備える第1の導電層及び第2の導電層を備える本発明の導電性多孔質層を作製した後、必要に応じて上述の導電性多孔質基材を配置して熱プレスして一体化し、次いで第2の導電層の上(上述の導電性多孔質基材を積層する場合はその上)に集電体を配置して熱プレスして一体化してもよい。また、非導電性不織布を備える第1の導電層、第2の導電層、必要に応じて第2の導電層の上に導電性多孔質基材、及び第2の導電層の上(上述の導電性多孔質基材を積層する場合はその上)に集電体を配置した後、熱プレスして一体化してもよい。
集電体としては、公知又は市販の集電体をいずれも使用することができる。
集電体の材質は、特に制限されず、目的に応じて適宜選択できる。例えば、ステンレス鋼、銅、チタン、アルミニウム、ロジウム、タンタル、タングステン等の金属又はこれらの少なくとも1種を含む合金;グラファイト;樹脂にカーボンを練りこんだカーボンコンパウンド等が挙げられる。これらの中でも、強度、燃料電池の薄型化及び導電性等の観点から、上記金属又はこれらの少なくとも1種を含む合金が好ましく、チタン及びステンレス鋼がより好ましい。
また、耐食性及び導電性を向上するために、上記集電体表面にめっき処理を行ってもよい。めっきの材質は、特に制限されず、白金、ルテニウム、ロジウム、タングステン、タンタル、金、ニッケル等の金属又はこれらの合金;カーボン;エポキシ樹脂、アクリル樹脂等の耐食性樹脂とカーボンとの複合体等が挙げられる。これらの中でも、高撥水性の観点から、金が好ましい。
集電体には、ガス流路が形成されている。ガス流路は燃料電池の燃料である水素、空気等を流し、燃料電池の反応によって発生する水を電池外部へと排出するためのものであれば、流路の幅、深さ、形状等は特に制限されず、目的に応じて適宜選択される。通常は、幅0.1mm〜2mm(好ましくは0.5mm〜1.5mm)であり、深さ0.05mm〜2mm(好ましく0.1mm〜1mm)である。
前記ガス流路表面は、凹凸を有していてもよいし、平坦であってもよいが、撥水性向上の観点から、ガス流路表面は凹凸を有していることが好ましい。凹凸を有している場合、その表面粗さは好ましくは5nm〜200nm、より好ましくは5nm〜100nmである。なお、本発明における表面粗さは、JIS B 0601によって準拠して測定された値を示す。
集電体としては、前記ガス流路の一部又は全部に撥水層が形成されており、前記撥水層が硫黄及びその化合物の少なくとも1種からなっているのが好ましい。
また、集電体は、集電体を構成する金属板の少なくとも片面に、好ましくは金属板の両面に、より好ましくは金属板の全表面にリン含有層が形成されている。リン含有層は、固体高分子電解質のスーパアシッド(超酸)による腐食から、金属板の表面を保護する。
リン含有層を構成する物質は、金属板の種類、リン含有層形成の際に使用されるリン化合物の種類等により異なる。
リン含有層を形成の際に使用されるリン化合物としては、公知の無機リン化合物を広く使用でき、例えばリン酸、ポリリン酸等の縮合リン酸及びこれらの塩等が挙げられる。ここで塩としては、例えば、アンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、金属塩が挙げられる。
4.電池用膜−電極接合体
本発明の電池用導電性多孔質層を用いて、電池用膜−電極接合体を作製することもできる。具体的には、電解質膜の片面又は両面に、触媒層(電解質膜の両面に積層させる場合は2枚使用し、アノード触媒層とカソード触媒層の上に、アノード触媒層及びカソード触媒層と第1の導電層とが接するように、それぞれ本発明の電池用導電性多孔質層を積層する)が積層された触媒層−電解質膜積層体の片面又は両面(触媒層の上)に、本発明の導電性多孔質層の第1の導電層側を、積層させることができる。
積層させる際、熱プレスして一体化してもよい。例えば、非導電性不織布を備える第1の導電層及び第2の導電層を備える本発明の導電性多孔質層を作製した後、第1導電層の上に触媒層−電解質膜積層体を配置して熱プレスして一体化してもよい。また、非導電性不織布を備える第1導電層、第2導電層をこの順に配置し、第1の導電層側に触媒層−電解質膜積層体を第1の導電層と触媒層とが接するように配置した後、熱プレスして一体化してもよい。
なお、本発明の電池用膜−電極接合体を金属空気電池用として使用する場合、特に電解質膜の代わりに液状の電解液を使用する場合には、本発明の電池用導電性多孔質層の第1の導電層の上に必要に応じて正極触媒層を積層して、必要に応じて熱プレスして一体化した後に、第1の導電層と負極との間に電解液を満たしてもよい。
<触媒層−電解質膜積層体>
電解質膜
燃料電池の場合は、電解質膜は、カチオン伝導性の電解質膜であれば限定的ではなく、カチオン伝導性電解質膜やアニオン伝導性電解質膜等の公知又は市販の電解質膜を使用できる。電解質膜の具体例としては、例えば、デュポン社製の「Nafion」(登録商標)膜、旭硝子(株)製の「Flemion」(登録商標)膜、旭化成(株)製の「Aciplex」(登録商標)膜、ゴア(Gore)社製の「Gore Select」(登録商標)膜等が挙げられる。また、アニオン電解質膜の具体例としては、炭化水素系の電解質膜として、旭化成(株)製のアシプレックス(登録商標)A−201,211,221等、トクヤマ(株)製のネオセプタ(登録商標)AM−1、AHA等を挙げることができ、フッ素樹脂系の電解質膜として、東ソー(株)製のトスフレックス(登録商標)IE−SF34,FuMatech社製のFumapem(登録商標)FAA等を挙げることができる。
電解質膜の膜厚は、通常20〜250μm程度、特に20〜150μm程度が好ましい。
また、本発明の電池用膜−電極接合体を金属空気電池用として使用する場合には、固体の電解質膜に限られず、ゲル状や液状の電解液を使用することも可能である。この場合の電解液に使用される材料は、特に制限されず、従来から金属空気電池に使用される公知又は市販の材料を使用することができる。例示すると、電解液は負極の金属に対応して選択されるが、水、食塩水、アルカリ性溶液、負極の金属の金属塩溶液等が適宜使用される。
触媒層
燃料電池の場合、触媒層は、公知又は市販の白金含有の触媒層(アノード触媒又はカソード触媒)を使用することができる。具体的には、触媒層は、(1)触媒粒子を担持させた炭素粒子及び(2)イオン伝導性高分子電解質(好ましくはカチオン伝導性高分子電解質)を含有する触媒層形成用ペースト組成物の乾燥物から構成される。
触媒粒子としては、酸化還元反応(負極での水素の酸化及び正極での酸素の還元)を起こし触媒活性を有する粒子であれば限定されず、例えば、白金、白金合金、白金化合物等が挙げられる。白金合金としては、例えば、ルテニウム、パラジウム、ニッケル、モリブデン、イリジウム、鉄、コバルトから選ばれる少なくとも1種の金属と、白金との合金等が挙げられる。
また、カチオン伝導性高分子電解質としては、例えば、パーフルオロスルホン酸系のフッ素イオン交換樹脂、より具体的には、炭化水素系イオン交換膜のC−H結合をフッ素で置換したパーフルオロカーボンスルホン酸系ポリマー(PFS系ポリマー)等が挙げられる。
触媒層の厚みは限定的ではないが、通常1〜100μm程度、特に2〜50μm程度が好ましい。
なお、触媒層には、撥水剤として、フッ素樹脂等の他、非ポリマー系フッ素材料であるフッ化ピッチ、フッ化カーボン、フッ化黒鉛等を添加することもできる。
空気電池の場合、正極に使用する触媒は、酸化還元反応(正極での酸素の還元)を起こし触媒活性を有する粒子であれば限定されず、例えば、上記の燃料電池用のアノード触媒又はカソード触媒で用いることができる触媒の他に、二酸化マンガン、金、活性炭、イリジウム酸化物、ペロブスカイト型複合酸化物、金属含有顔料等が使用できる。これらの触媒粉末を上記の撥水材をバインダーとして分散して塗布することにより触媒層を形成できる。あるいは蒸着が可能な材料は蒸着により触媒層を形成することができる。または、金属塩溶液を電極上で還元して金属を微細な形状に析出させて触媒層を形成することができる。
また、負極の金属は、どのような空気電池を構成するかにより金属が選択される。リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、及び鉄(Fe)等の金属、合金あるいは金属化合物が負極活物質として使用することができる。負極と電解液との接触面積を多くするため、負極は微細な空孔を持っていることが好ましい。
触媒層−電解質膜積層体の製造方法
触媒層−電解質膜積層体は、例えば、基材の片面に触媒層が形成された触媒層形成用転写フィルムを用いて、触媒層と電解質膜とが対面するように触媒層形成用転写フィルムを配置し、加温条件下で加圧して触媒層を電解質膜に転写した後、基材を剥離することにより製造することができる。なお、電解質膜の両面に触媒層を積層する場合には、この操作を2回繰り返せばよいが、作業性等を考慮すると、触媒層を電解質膜の両面に同時に積層するのがよい。
転写する際には、触媒層形成用転写フィルムの基材側から、公知のプレス機等を用いて加圧することが好ましい。その際の加圧レベルは、転写不良を避けるために、通常0.5〜10MPa程度、特に1〜8MPa程度が好ましい。また、この加圧操作の際に、転写不良を避けるために、加圧面を加熱するのが好ましい。加熱温度は、使用する電解質膜の種類により適宜変更することが好ましい。
なお、基材としては、特に制限されることはなく、上述の基材と同様の基材を使用できる。例えば、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテル・エーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアリレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリオレフィン等の高分子フィルムを挙げることができる。また、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の耐熱性フッ素樹脂を用いることもできる。これらのなかでも、安価で入手が容易な高分子フィルムが好ましく、ポリエチレンテレフタレート等がより好ましい。
基材の厚さは、基材上に触媒層を形成させる作業性、経済性等の観点から、通常6〜150μm程度、特に12〜75μm程度とするのが好ましい。
また、基材は、離型層が積層されたものであってもよい。離型層としては、例えば、公知のワックスから構成された層、公知のSiOx、フッ素系樹脂でコーティングされたプラスチックフィルム等が挙げられる。また、基材上に離型性の高いフィルムを積層して構成されたもの、例えば、PET基材と耐熱フッ素樹脂基材との積層体等の構造を有しているものでもよい。
また、前記触媒層を前記電解質膜上に形成する方法としては、上記の転写による触媒層の形成方法の他にも、前記電解質膜に前記触媒層形成用ペースト組成物を塗布して形成してもよい。この際の条件等は公知のものを採用できる。
5.電池
上記の膜−電極接合体又は導電性多孔質層に公知又は市販の集電体、端子等を設けることにより、本発明の電池(固体高分子形燃料電池、金属空気電池等)を得ることができる。
本発明の導電性多孔質層を金属空気電池用途に使用する場合には、特に制限されるわけではないが、正極触媒層の片面に本発明の導電性多孔質層を積層させて正極とし、セパレータを介して正極触媒層の反対側に負極を配置させて、集電体と負極の間(もしくは負極と正極触媒層の間)に電解質を満たすことができる。この際、本発明の導電性多孔質層は、ガス拡散層として機能する。また、本発明の導電性多孔質層は炭素材料を含むため、上述の正極触媒層を設けずに使用してもよい。この際、導電性多孔質層を構成する層が触媒層及び/又はガス拡散層として機能する。
また、金属空気電池の種類としては、例えばリチウム空気電池、ナトリウム空気電池、カリウム空気電池、マグネシウム空気電池、カルシウム空気電池、亜鉛空気電池、アルミニウム空気電池、鉄空気電池等を挙げることができる。また、金属空気電池は一次電池であってもよく、二次電池であってもよい。正極触媒層、負極及び電解質、セパレータ、支持体に使用される材料は、従来から金属空気電池に使用される公知又は市販の材料を使用でき、また、電解質は液体であってもよく、ゲル状や固体であってもよい。
本発明は、第2の導電層(導電性多孔質基材)を構成する導電性炭素材料として導電性炭素繊維(特にサイズの大きな導電性炭素繊維)を用いた場合にも、第2の導電層を構成する導電性炭素繊維が第1の導電層内に突き出すのを抑制することで、クラックの問題を解決した燃料電池や金属空気電池等の電池が得られる導電性多孔質層を提供できる。
実施例2で使用した樹脂で被覆された非導電性不織布の耐アルカリ性試験の結果を示す写真である。 実施例1の導電性多孔質層の断面SEM写真である。 実施例2の導電性多孔質層の断面SEM写真である。 比較例1の導電性多孔質層の断面SEM写真である。 実施例1の導電性多孔質層の第1の導電層の表面のSEM写真である。 実施例2の導電性多孔質層の第1の導電層の表面のSEM写真である。 比較例1の導電性多孔質層の第1の導電層の表面のSEM写真である。
以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明をより詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
<材料>
第1の導電層形成用ペースト組成物及び第2の導電層形成用ペースト組成物の調製には、以下に示す材料を使用した。
導電性炭素粒子:ファーネスブラック(バルカンxc72R:キャボット社製)、平均分子量1000〜3000、平均粒子径:30nm
高分子重合体(1):Solef21216/1001(ソルベイソレクシス(株)製;PVDF;固形分10wt%)、Tg:−30℃
高分子重合体(2):ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)(ルブロンL5:ダイキン工業(株)製)、Tg:約130℃
導電性炭素繊維(1):VGCF(VGCF(登録商標)(標準品):昭和電工(株)製;平均繊維径150nm、平均繊維長10〜20μm、平均アスペクト比10〜500)
導電性炭素繊維(2):S241(大阪ガスケミカル(株)製;平均繊維径13μm、平均繊維長130μm、平均アスペクト比10)
実施例1〜2及び比較例1
<実施例1>
(i)第1の導電層
高分子重合体(1)をメチルエチルケトンに添加し、スターラー(メディア回転速度:300rpm)を用いて80℃の条件下で60分保持することにより、高分子重合体(1)をメチルエチルケトンに溶解させた、固形分(高分子重合体(1))10重量%のPVDF溶液を作製した。導電性炭素粒子100重量部、高分子重合体(2)50重量部、作製した10重量%のPVDF溶液1000重量部(固形分100重量部)及びメチルエチルケトン1000重量部をメディア分散により分散させることにより第1の導電層形成用ペースト組成物を調合した。この第1の導電層形成用ペースト組成物を離型層が形成されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上にアプリケーターを用いて約30μmの厚みとなるように塗布した。その後、未乾燥状態の形成膜上に、非導電性不織布として、日本板硝子株式会社製の厚み50μmの極薄ガラスペーパー(ピーク細孔径10μm)を静置した。その後、95℃に設定した乾燥炉中で約15分乾燥させて、第1の導電層を作製した。後述の表面観察試験により、第1の導電層、非導電性不織布及び第2の導電層をこの順に備えることが確認できた。
(ii)第2の導電層
上記(i)で作製した10重量%のPVDF溶液143重量部、導電性炭素繊維(1)43重量部、導電性炭素繊維(2)57重量部及びメチルエチルケトン143重量部をメディア分散により分散させることにより第2の導電層形成用ペースト組成物を調合した。この第2の導電層形成用ペースト組成物を離型層が形成されたPETフィルム上にアプリケーターを用いて約30μmの厚みとなるように塗布した。その後、95℃に設定した乾燥炉中で約15分乾燥させて、第2の導電層を作製した。
(iii)導電性多孔質層
これらの第1の導電層及び第2の導電層を離型層が形成されたPETフィルムから剥離させ、第1の導電層及び第2の導電層を、第1の導電層の非導電性不織布を静置した側と第2の導電層とが接近するように積層し、プレス温度120℃、プレス圧10kN、プレス時間60秒の条件で熱プレスをすることにより、実施例1の導電性多孔質層を作製した。
<実施例2>
(i)第1の導電層
上記実施例1の(i)で作製した10重量%のPVDF溶液に非導電性不織布として、日本板硝子株式会社製の厚み50μmの極薄ガラスペーパー(ピーク細孔径10μm)を浸漬し、95℃に設定した乾燥炉中で約5分乾燥させて、非導電性不織布の表面を樹脂(PVDF)で被覆した。
未処理の非導電性不織布の代わりに、上記作製した樹脂(PVDF)で被覆した非導電性不織布を使用したこと以外は実施例1の(i)と同様にした。
後述の表面観察試験により、第1の導電層、非導電性不織布及び第2の導電層をこの順に備えることが確認できた。
(ii)第2の導電層
実施例1の(ii)と同様にした。
(iii)導電性多孔質層
これらの第1の導電層及び第2の導電層を離型層が形成されたPETフィルムから剥離させ、第1の導電層及び第2の導電層を、第1の導電層の非導電性不織布を静置した側と第2の導電層とが接近するように積層し、プレス温度120℃、プレス圧10kN、プレス時間60秒の条件で熱プレスをすることにより、実施例2の導電性多孔質層を作製した。
<比較例1>
(i)第1の導電層
非導電性不織布を使用しないこと以外は実施例1の(i)と同様にした。
(ii)第2の導電層
実施例1の(ii)と同様にした。
(iii)導電性多孔質層
これらの第1の導電層及び第2の導電層を離型層が形成されたPETフィルムから剥離させ、第1の導電層及び第2の導電層を積層し、プレス温度120℃、プレス圧10kN、プレス時間60秒の条件で熱プレスをすることにより、比較例1の導電性多孔質層を作製した。
<非導電性不織布の評価試験>
耐アルカリ性
実施例2の(i)で使用した樹脂で被覆された非導電性不織布を、常温(23℃)で1NのKOH水溶液に24時間浸漬させてアルカリ耐性を確認した。樹脂コーティングした非導電性不織布(実施例2)は溶解しなかった(図1)。このことから、非導電性不織布として、ガラス繊維で構成される不織布を使用する場合においても、表面を樹脂で被覆した非導電性不織布は、耐久性に優れることが示唆されている。
<導電性多孔質層の評価試験>
断面観察
実施例1〜2及び比較例1で作製した導電性多孔質層について、その断面を走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察した。結果を図2〜4に示す。この結果、実施例1〜2では非導電性不織布が第1の導電層と第2の導電層との間に存在することが示されており、比較例1では存在しないことが示されている。
また、断面観察をした結果、実施例1〜2及び比較例1で使用した導電性炭素繊維(1)(VGCF)は、いずれの導電層中に存在するものも、繊維径100〜250nm(具体的には160nm程度)、繊維長10〜20μm、アスペクト比10〜500の範囲内であった。また、導電性炭素繊維(2)(S241)は、いずれの導電層中に存在するものも、繊維径6〜15μm、繊維長10〜600μm、アスペクト比2〜40の範囲内であった。
表面観察
実施例1〜2及び比較例1で作製した導電性多孔質層について、第1の導電層の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察した。結果を図5〜7に示す。この結果、非導電性不織布が介在している実施例1〜2では、第2の導電層中の導電性炭素繊維の突き刺しを抑制し、第1の導電層の表面に大きなクラックは発生しないのに対し、比較例1では、第2の導電層中の導電性炭素繊維の突き刺しを抑制できず、第1の導電層の表面に大きなクラックが観察された。

Claims (11)

  1. 非導電性不織布の片面側に第1の導電層が形成され、
    前記非導電性不織布の前記片面とは反対の面側に第2の導電層が形成され、
    前記第1の導電層は、導電性炭素材料及び高分子重合体を含み、
    前記第2の導電層は、導電性炭素繊維及び高分子重合体を含み、
    積層方向に導電性を有する、
    電池用導電性多孔質層。
  2. 前記導電性不織布のピーク細孔径は、前記第2の導電層を構成する導電性炭素繊維の平均繊維径以下である、請求項1に記載の電池用導電性多孔質層。
  3. 前記第2の導電層を構成する導電性炭素繊維は、平均繊維径が5μm〜20μmの導電性炭素繊維を含む、請求項1又は2に記載の電池用導電性多孔質層。
  4. 前記第1の導電層の厚みが1〜200μmであり、第2の導電層の厚みが30〜300μmである、請求項1〜3のいずれかに記載の電池用導電性多孔質層。
  5. 前記非導電性不織布は、表面が樹脂で被覆されている、請求項1〜4のいずれかに記載の電池用導電性多孔質層。
  6. 前記電池用導電性多孔質層が、燃料電池用又は金属空気電池用ガス拡散層である、請求項1〜5のいずれかに記載の電池用導電性多孔質層。
  7. 電解質膜の片面に、触媒層が積層された触媒層−電解質膜積層体の前記触媒層の上に、前記触媒層と前記第1の導電層とが接するように、請求項1〜6のいずれかに記載の電池用導電性多孔質層が積層されている、電池用膜−電極接合体。
  8. 電解質膜の片面にアノード触媒層、反対面にカソード触媒層がそれぞれ積層された触媒層−電解質膜積層体の前記アノード触媒層の上、及び前記カソード触媒層の上に、前記アノード触媒層及びカソード触媒層と前記第1の導電層とが接するように、それぞれ請求項1〜6のいずれかに記載の電池用導電性多孔質層が積層されている、電池用膜−電極接合体。
  9. 請求項7又は8に記載の電池用膜−電極接合体を備える固体高分子形燃料電池。
  10. 請求項7に記載の電池用膜−電極接合体を備える金属空気電池。
  11. 前記電池用導電性多孔質層の上に、さらに、集電体が、前記第2の導電層と前記集電体とが接するように形成されている、請求項9に記載の固体高分子形燃料電池又は請求項10に記載の金属空気電池。
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