JP2017050185A - 電池用ガス拡散層、該電池用ガス拡散層を用いた電池用膜−電極接合体、電池用部材、電池及び該電池用ガス拡散層の製造方法 - Google Patents

電池用ガス拡散層、該電池用ガス拡散層を用いた電池用膜−電極接合体、電池用部材、電池及び該電池用ガス拡散層の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】導電性多孔質層表面を平滑にするとともに、適度な弾性率を有する電池用ガス拡散層を提供する。【解決手段】導電性炭素材料及び高分子重合体を含む第1導電性多孔質層と、導電性炭素材料及び高分子重合体を含む第2導電性多孔質層とを備え、前記第1導電性多孔質層は、前記第2導電性多孔質層と接しない表面の表面粗さが1.0μm〜5.0μmであり、且つ、前記第2導電性多孔質層中の高分子重合体が三次元網目構造を構成する、電池用ガス拡散層。【選択図】なし

Description

本発明は、電池用ガス拡散層、該電池用ガス拡散層を用いた電池用膜−電極接合体、電池用部材、電池及び該電池用ガス拡散層の製造方法に関する。
燃料電池、金属空気電池等の電極反応にガスを使用する電気化学電池は、その電池性能の向上のため、ガス拡散層を備えている。
例えば、固体高分子形燃料電池を構成する膜−電極接合体(MEA)は、通常、ガス拡散層、触媒層、電解質膜、触媒層及びガス拡散層が順次積層された構造を有している。
このガス拡散層には、一般的にカーボンペーパー、カーボンクロス等の導電性多孔質基材が使用される。さらに、この導電性多孔質基材の導電性、ガス拡散性、ガス透過性、平滑性、水の排出性や保持性等の水管理特性等を向上させる目的から、導電性多孔質基材を支持体として、導電性炭素材料(カーボンブラック等)及び高分子重合体(フッ素樹脂等)等を含む導電性多孔質層を形成する場合がある。
従来の導電性多孔質層は、通常、カーボンペーパー、カーボンクロス等の導電性多孔質基材の上に、導電性多孔質層形成用組成物を塗布し、その後乾燥させて導電性多孔質層を形成する(例えば、特許文献1等)ため、導電性多孔質基材表面から導電性多孔質層形成用組成物が染み込み、導電性多孔質基材の空隙を閉塞してしまい、電池性能を悪化させる虞があった。また、この導電性多孔質層の表面形状は、支持体として使用する導電性多孔質基材の表面形状を反映しており、導電性多孔質層表面を平滑にすることは困難であるため、触媒層との接触面積が少なく、密着性を悪化させる虞があった。さらに、この導電性多孔質層は単体では非常に脆く、破れやすい。
また、導電性多孔質基材上に形成した導電性多孔質層の表面を平滑にするため、導電性多孔質層表面を研磨することも知られている(特許文献2)。しかしながら、導電性多孔質基材表面から導電性多孔質層形成用組成物が染み込み、導電性多孔質基材の空隙を閉塞してしまうことには変わりがなく、依然として電池性能が悪化してしまう虞があった。また、導電性多孔質層のみを精度よく研磨することは極めて困難であるために触媒層との接触面積は依然として小さく密着性が不十分であるとともに導電性多孔質層の膜厚を制御することも困難であった。
一方、予め基材フィルム等を用いて形成した導電性多孔質層を導電性多孔質基材に積層し、電池用ガス拡散層として使用する方法も知られている。
特開2001−351637号公報 特開2003−036860号公報
予め形成した導電性多孔質層を導電性多孔質基材に積層(配置)する方法によれば、導電性多孔質基材への導電性多孔質層形成用組成物の染み込みを防止し、導電性多孔質層表面を平滑にして触媒層との接触面積を大きくして密着性を向上させることが可能である。しかしながら、ハンドリングの観点からこのようにして得られるガス拡散層の弾性率はいまだ改善の余地があった。
そこで、本発明は、導電性多孔質層表面を平滑にするとともに、適度な弾性率を有する電池用ガス拡散層を提供することを主な目的とする。
本発明者らは、上記課題に鑑み、鋭意検討した結果、導電性炭素材料及び高分子重合体を含む第1導電性多孔質層と、導電性炭素材料及び高分子重合体を含む第2導電性多孔質層を備えつつ、前記第1導電性多孔質層の表面粗さを特定の範囲とし、前記第2導電性多孔質層中の高分子重合体が三次元網目構造を構成することで、導電性多孔質層表面を平滑にするとともに、適度な弾性率を有する電池用ガス拡散層を提供することを見出した。本発明は、このような知見に基づき完成されたものである。すなわち、本発明は、以下の構成を包含する。
項1.導電性炭素材料及び高分子重合体を含む第1導電性多孔質層と、導電性炭素材料及び高分子重合体を含む第2導電性多孔質層とを備え、
前記第1導電性多孔質層は、前記第2導電性多孔質層が設けられた側と反対側の表面の表面粗さが1.0μm〜5.0μmであり、且つ、
前記第2導電性多孔質層中の前記高分子重合体が三次元網目構造を構成する、電池用ガス拡散層。
項2.前記第2導電性多孔質層は、前記第1導電性多孔質層が設けられた側と反対側の表面の表面粗さが1.0μm〜15.0μmである、項1に記載の電池用ガス拡散層。
項3.前記第2導電性多孔質層は、細孔構造が厚み方向に対して非対称である、項1又は2に記載の電池用ガス拡散層。
項4.引張弾性率が1.0MPa〜50.0MPaである、項1〜3のいずれかに記載の電池用ガス拡散層。
項5.前記第2導電性多孔質層に対面するように導電性多孔質基材が配置されている、項1〜4のいずれかに記載の電池用ガス拡散層。
項6.触媒層、電解質膜及び触媒層がこの順に配置された触媒層−電解質膜積層体の片面又は両面に、項1〜4のいずれかに記載の電池用ガス拡散層が、前記電池用ガス拡散層の最外層である前記第1導電性多孔質層と前記触媒層とが対面するように配置されている、電池用膜−電極接合体。
項7.触媒層、電解質膜及び触媒層がこの順に配置された触媒層−電解質膜積層体の片面又は両面に、項5に記載の電池用ガス拡散層が、前記電池用ガス拡散層の最外層である前記第1導電性多孔質層と前記触媒層とが対面するように配置されている、電池用膜−電極接合体。
項8.項1〜4のいずれかに記載の電池用ガス拡散層の最外層である前記第2導電性多孔質層と対面するように、セパレータが配置されている、電池用部材。
項9.項5に記載の電池用ガス拡散層の最外層である前記導電性多孔質基材と対面するように、セパレータが配置されている、電池用部材。
項10.項6に記載の電池用膜−電極接合体の最外層である前記第2導電性多孔質層と対面するように、セパレータが配置されている、電池。
項11.項7に記載の電池用膜−電極接合体の最外層である前記導電性多孔質基材と対面するように、セパレータが配置されている、電池。
項12.(I)基材上に、導電性炭素材料及び高分子重合体を含む第1導電性多孔質層形成用組成物を塗布及び乾燥させて第1導電性多孔質層を形成する工程、及び
(II)導電性炭素材料及び高分子重合体を含む第2導電性多孔質層形成用組成物を用い相分離法により第2導電性多孔質層を形成する工程
を備える、電池用ガス拡散層の製造方法。
項13.(III)前記基材を前記第1導電性多孔質層から剥離する工程
を備える、請求項12に記載の電池用ガス拡散層の製造方法。
本発明の電池用ガス拡散層によれば、導電性多孔質層表面を平滑にするとともに、適度な弾性率を有する。
第1導電性多孔質層及び第2導電性多孔質層を有する本発明の電池用ガス拡散層の構成を説明する図面である。 第1導電性多孔質層、第2導電性多孔質層及び導電性多孔質基材をこの順に有する本発明の電池用ガス拡散層の構成を説明する図面である。 本発明の電池用膜−電極接合体の一態様(触媒層−電解質膜積層体の両面に、第1導電性多孔質層及び第2導電性多孔質層がこの順に積層(配置)された電池用膜−電極接合体)を説明する図面である。 本発明の電池用膜−電極接合体の一態様(触媒層−電解質膜積層体の両面に、第1導電性多孔質層、第2導電性多孔質層及び導電性多孔質基材がこの順に積層(配置)された電池用膜−電極接合体)を説明する図面である。 第1導電性多孔質層、第2導電性多孔質層及びセパレータをこの順に有する本発明の電池用部材の構成を説明する図面である。 本発明の電池の一態様(触媒層−電解質膜積層体の両面に、第1導電性多孔質層、第2導電性多孔質層及びセパレータがこの順に積層(配置)された電池用膜−電極接合体)を説明する図面である。 本発明の電池の一態様(触媒層−電解質膜積層体の両面に、第1導電性多孔質層、第2導電性多孔質層、導電性多孔質基材及びセパレータがこの順に積層(配置)された電池用膜−電極接合体)を説明する図面である。
以下、本発明の具体的態様について、説明する。
1.電池用ガス拡散層1
本発明の電池用ガス拡散層は、図1にも示されるように、第1導電性多孔質層11及び第2導電性多孔質層12を備える電池用ガス拡散層である。この第1導電性多孔質層11及び第2導電性多孔質層12は、後述の触媒層とは異なる層である。
(1−1)第1導電性多孔質層11
本発明において、第1導電性多孔質層11は、導電性炭素材料及び高分子重合体を含有する。本発明では、電池用ガス拡散層1が第1導電性多孔質層11を備える(特に、第1導電性多孔質層11を最外層として備える)ことで、導電性多孔質基材への導電性多孔質層形成用組成物の染み込みを防止し、電池用ガス拡散層1の表面(特に触媒層が設けられる側の表面)を平滑にして触媒層との接触面積を大きくして触媒層との密着性を向上させることが可能である。この第1導電性多孔質層11は、例えば、導電性炭素材料及び高分子重合体を含む第1導電性多孔質層形成用組成物を用いて、基材上に形成することができる。また、第1導電性多孔質層11の厚みは例えば、通常1μm〜300μm程度、特に20μm〜250μm程度が好ましい。第1導電性多孔質層11の厚みが1μm未満の場合には、後述する、導電性多孔質層を支持する機能を有する導電性多孔質基材を併用する場合に、導電性多孔質基材の表面の粗さによる凹凸形状の影響により触媒層や電解質膜が破損するおそれがある。また、厚みが300μmを超える場合には、ガス拡散性が低下するとともに抵抗が大きくなり電池性能低下の原因となり得る。また、省スペース化の観点からは、第1導電性多孔質層11の厚みは250μm以下が好ましい。
導電性炭素材料
導電性炭素材料としては、例えば、導電性炭素粒子、導電性炭素繊維等が挙げられる。
[導電性炭素粒子]
導電性炭素粒子は、導電性を有する炭素材であれば特に限定されず、公知又は市販の材料を使用できる。例えば、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック等のカーボンブラック;黒鉛;活性炭等が挙げられる。これらは、1種単独又は2種以上で用いることができる。これらの導電性炭素粒子を含有することにより、電池用ガス拡散層の導電性を向上させることができる。
導電性炭素粒子としてカーボンブラックを使用する場合には、カーボンブラックの平均粒子径(算術平均粒子径)は、通常5nm〜200nm程度、特に5nm〜100nm程度が好ましい。またカーボンブラックの凝集体を使用する場合は、10nm〜600nm程度、特に50nm〜500nm程度が好ましい。また、黒鉛、活性炭等を使用する場合は、平均粒子径は500nm〜100μm程度、特に1μm〜80μm程度が好ましい。
導電性炭素粒子の平均粒子径(算術平均粒子径)は、第1導電性多孔質層11に比較的細かい細孔容積を増加させ、ガス透過性能、平滑性、水の排出性や保持性等の水管理特性を付与する場合は、通常5nm〜200nm程度、特に5nm〜100nm程度が好ましい。また、第1導電性多孔質層11にガス拡散特性の機能を付与する場合は、平均が5μm〜100μm程度、特に6μm〜80μm程度が好ましい。この導電性炭素粒子の平均粒子径は、粒子径分布測定装置により測定する。
[導電性炭素繊維]
導電性炭素繊維を配合することにより、第1導電性多孔質層形成用組成物の塗布表面のクラックを抑制できるだけでなく、強度の高いシート状の第1導電性多孔質層11を作製することも可能となる。第1導電性多孔質層11で使用される導電性炭素繊維としては、例えば、気相成長法炭素繊維(VGCF(登録商標))、カーボンナノチューブ、カーボンナノカップ、カーボンナノウォール等が挙げられる。その他、比較的大きな平均繊維径を有する導電性炭素繊維として、PAN(ポリアクリロニトリル)炭素繊維、ピッチ炭素繊維等も使用できる。
導電性炭素繊維の平均繊維径は、第1導電性多孔質層11に比較的細かい細孔容積を増加させ、ガス透過性能、平滑性、水の排出性や保持性等の水管理特性を付与する場合は、50nm〜800nm程度、特に100nm〜250nm程度が好ましい。また、その場合の繊維長は例えば、平均が4μm〜500μm程度、特に4μm〜300μm程度、さらに4μm〜50μm程度、特に10μm〜20μm程度が好ましい。また、アスペクト比は、平均がおよそ5〜600程度、特に10〜500程度が好ましい。なお、導電性炭素繊維の繊維径、繊維長及びアスペクト比は、走査型電子顕微鏡(SEM)等により測定した画像等により測定する。
また、第1導電性多孔質層11に比較的大きい細孔径を形成させることで、ガス拡散特性の機能を付与する場合は、導電性炭素繊維の平均繊維径は、5μm〜20μm程度、特に6μm〜15μm程度が好ましい。この場合の繊維長は例えば、平均が5μm〜1mm、特に10μm〜600μm程度が好ましい。また、アスペクト比は、平均が2〜50程度、特に2〜40程度が好ましい。この場合も、導電性炭素繊維の繊維径、繊維長及びアスペクト比は、走査型電子顕微鏡(SEM)等により測定した画像等により測定する。
高分子重合体
高分子重合体としては、公知又は市販の材料を使用できる。具体的には、イオン伝導性高分子樹脂(Nafion等)、ポリビニルアルコール樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、スチレン−アクリル共重合体樹脂、スチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリエステル−アクリル共重合体樹脂、ウレタン樹脂、スチレン樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。また、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVDF−HFP)等のフッ素材料、シリコーンゴム等も挙げられる。
また、高分子重合体としてフッ素ゴム等のエラストマーを使用すれば、第1導電性多孔質層11の柔軟性をより向上させることができる。また、上記高分子重合体は、高分子重合体粒子を分散させた懸濁液を使用してもよいし、分散媒に溶解させた高分子重合体を用いてもよい。高分子重合体粒子を分散させた懸濁液を使用する場合には、分散媒に高分子重合体を分散させて調製するか、市販品を使用することが好ましい。分散媒としては、例えば、水の他、公知又は市販のアルコール類、ケトン類、芳香族炭化水素類、エステル類、他の有機溶媒を使用することができ、例えば、炭素数1〜5程度の1価又は多価のアルコール類、総炭素数が3〜6程度のケトン類、炭素数が6〜10程度の芳香族炭化水素類、総炭素数が3〜6程度のエステル類、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等が挙げられる。具体的には、水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロピルアルコール、1−ブタノール、1−ペンタノール;エチレングリコール;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン;トルエン;酢酸エチル;N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等が挙げられる。
また、第1導電性多孔質層11へ撥水性を付与するため、フッ素樹脂等の撥水性樹脂を使用することもできる。フッ素樹脂は、フッ素を含有し、重量平均分子量が10万〜1000万程度のポリマーであれば特に限定されない。このような撥水性樹脂としては、公知又は市販の撥水性樹脂を使用できる。例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVDF−HFP)、パーフルオロアルコキシ樹脂(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、PFA)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)等が挙げられる。
これらの高分子重合体は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。なかでも、撥水性、耐酸性、耐アルカリ性、耐熱性等(特に撥水性)の観点から、撥水性樹脂を使用することが好ましい。
含有量
第1導電性多孔質層11において、上記各成分の配合割合は、例えば、導電性炭素材料100質量部に対して、高分子重合体5質量部〜200質量部が好ましく、40質量部〜100質量部程度がより好ましい。
第1導電性多孔質層11は、一方面の表面粗さが1.0μm〜5.0μm、好ましくは1.0μm〜3.0μmである。一方面の表面粗さが1.0μm未満である第1導電性多孔質層11を作製するのは困難である。一方、一方面の表面粗さが5.0μmをこえると、本発明のガス拡散層と後述の触媒層との接触面積が小さく、密着性に劣る。第1導電性多孔質層11は、他方面の表面粗さは上記範囲内であってもよいし範囲外(例えば5.0μm〜15.0μm程度)であってもよい。第1導電性多孔質層11の表面粗さは、JIS B 0601に準拠して測定する。
本発明においては、第1導電性多孔質層11は、各層の表裏で高分子重合体成分の存在量が異なっているのが好ましい。具体的には、第1導電性多孔質層11は、一方面における高分子重合体量の量よりも、一方面と反対側の他方面における高分子重合体量の量が多いことが好ましい。つまり、第1導電性多孔質層11は、ある片側表面に存在する高分子重合体が、反対側表面よりも密に存在しているのが好ましい。これにより、第1導電性多孔質層11の一方面(特に第2導電性多孔質層12と対面する側と反対面)の表面粗さをより小さくすることができ、本発明のガス拡散層と後述の触媒層との接触面積をより大きくし、密着性をより向上させることができる。本発明では、上記した高分子重合体を2種以上含む場合には、そのうち少なくとも1種の高分子重合体が、ある片側表面に反対側表面よりも密に存在することが好ましい。第1導電性多孔質層表面の高分子重合体成分の分布状態は、エネルギー分散型蛍光X線分析で各層の両表面を分析することにより確認する。具体的には、高分子重合体の量は、高分子重合体に含まれる特徴的な元素と炭素との存在比を求めることにより比較することができる。例えば、第1導電性多孔質層11中に高分子重合体としてポリフッ化ビニリデン等のフッ素樹脂を含んでいる場合、フッ素樹脂に特徴的な元素であるフッ素と炭素との比を求めることにより、表裏面における高分子重合体の量を比較することができる。
(1−2)第2導電性多孔質層12
本発明において、第2導電性多孔質層12は、導電性炭素材料及び高分子重合体を含有する。本発明では、電池用ガス拡散層1が第1導電性多孔質層12を備える(特に、第2導電性多孔質層12を最外層として備える)ことで、適度な弾性率を有する電池用ガス拡散層を得ることが可能である。また、本発明の電池用ガス拡散層は適度な弾性率を有するため、発電条件(温度、湿度等)の変化に伴う電解質膜の膨張及び収縮に対する追従性をより高めることも可能である。この第2導電性多孔質層12は、例えば、導電性炭素材料及び高分子重合体を含む第2導電性多孔質層形成用組成物を用いて形成することができる。また、第2導電性多孔質層12の厚みは例えば、通常1μm〜300μm程度、特に20μm〜250μm程度が好ましい。第2導電性多孔質層12の厚みが1μm未満の場合には、後述する、導電性多孔質層を支持する機能を有する導電性多孔質基材を併用する場合に、導電性多孔質基材の表面の粗さによる凹凸形状の影響により触媒層や電解質膜が破損するおそれがある。また、厚みが300μmを超える場合には、ガス拡散性が低下するとともに抵抗が大きくなり性能低下の原因となり得る。また、省スペース化の観点からは、第2導電性多孔質層12の厚みは250μm以下が好ましい。
導電性炭素材料
導電性炭素材料としては、例えば、導電性炭素粒子、導電性炭素繊維等が挙げられる。導電性炭素粒子及び導電性炭素繊維としては、上述の第1導電性多孔質層11で例示したものと同じ材料が使用できる。
高分子重合体
高分子重合体としては、後述の製造方法において、溶媒に溶解することができる高分子重合体であれば、公知又は市販の材料を使用できる。具体的には、ポリ酢酸ビニル樹脂、スチレン−アクリル共重合体樹脂、スチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリエステル−アクリル共重合体樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリオレフィン樹脂、スチレン−アクリル酸共重合体ゴム等が挙げられる。また、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVDF−HFP)等の含フッ素材料等も挙げられる。これらの高分子重合体は、単独で用いてもよいし、2種類以上を組合せて用いてもよい。これらのうち、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂等の接着樹脂を使用し、後述の導電性多孔質基材又はセパレータとの密着性、隣接する部材との接着性等をさらに向上させることも可能である。
含有量
第2導電性多孔質層12において、上記各成分の配合割合は、例えば、導電性炭素材料100質量部に対して、高分子重合体5質量部〜200質量部が好ましく、40質量部〜100質量部程度がより好ましい。
第2導電性多孔質層12中の高分子重合体は、三次元網目構造を構成している。
第2導電性多孔質層12は、上記のように、高分子重合体が連続構造(三次元網目構造)を構成しているため、空隙が大きな設計(つまり、表面粗さが大きい状態)、又は空隙率(多孔度)が大きい状態であってもハンドリング可能な機械的特性を維持することが可能である。
本発明においては、第2導電性多孔質層12は、高分子重合体同士が結合して三次元網目構造の骨格を形成しているとともに、連続孔を有する。連続孔とは、球状等の空隙が連なる構造を意味する。なお、独立した球状等の空隙が存在していてもよい。
第2導電性多孔質層12表面及び/又は内部にある空隙の表面や断面から観察した形状は、円形、楕円形又はこれらに近似した形状であることが好ましいが、特に限定されない。
一方、導電性多孔質層形成用組成物の塗布及び乾燥により得られる導電性多孔質層においては、導電性炭素粒子間に高分子重合体が介在しており、高分子重合体同士が結合して三次元網目構造の骨格を形成していない。このため、高分子重合体同士が結合して三次元網目構造の骨格を形成している点において、本発明の第2導電性多孔質層12は、適度な弾性率を有することができるため、引張破壊ひずみを向上させることができ、ハンドリング性を向上できるとともに、発電条件(温度、湿度等)の変化に伴う後述の電解質膜の膨張及び収縮に対する追従性をより高めることも可能である。
第2導電性多孔質層12は、特に限定されないが、細孔構造が厚み方向に対して対称であってもよいし、非対称であってもよい。つまり、空隙の大きさが、厚み方向にほぼ均一であってもよいし、厚み方向に均一でなくてもよい。第2導電性多孔質層12の細孔構造が厚み方向に対して対称である場合、排水性、ガス透過性等をより向上させることができる。一方、第2導電性多孔質層12の細孔構造が厚み方向に対して非対称である場合、好ましくは第2導電性多孔質層12側から第1導電性多孔質層11側に向かって、空隙を小さくするよう傾斜をつけた場合には、セパレータから供給されるガスの透過性を向上させつつ、第1導電性多孔質層11へガスをより均一に供給することができるが、第2導電性多孔質層12側から第1導電性多孔質層11側に向かって、空隙を大きくするよう傾斜をつけてもよい。
第2導電性多孔質層12の細孔構造が厚み方向に対して対称である場合、第2導電性多孔質層12の表面や断面から観察したその空隙の大きさは、0.1〜100.0μm程度が好ましく、0.5〜50.0μm程度がより好ましい。第2導電性多孔質層12の空隙の大きさは、電子顕微鏡(SEM)観察により測定する。
第2導電性多孔質層12の細孔構造が厚み方向に対して非対称である場合、一方面側表面や近傍の断面から観察した空隙の大きさは、隣接する部材や第1導電性多孔質層11との密着性が良好となる観点から、0.1〜10.0μm程度が好ましく、1.0〜5.0μm程度がより好ましい。また、他方面側表面や近傍の断面から観察した空隙の大きさは、ガス拡散性を向上させる観点から、1.0〜100.0μm程度が好ましく、5.0〜50.0μm程度がより好ましい。第2導電性多孔質層12の空隙の大きさは、電子顕微鏡(SEM)観察により測定する。
第2導電性多孔質層12は、一方面の表面粗さが1.0μm〜15.0μmが好ましく、3.0μm〜7.5μmがより好ましい。第2導電性多孔質層12の一方面の表面粗さがこの範囲であることにより、密着性と導電性を向上することが可能である。第2導電性多孔質層12は、他方面の表面粗さは上記範囲内であってもよいし範囲外(例えば15.0μm〜20.0μm程度)であってもよい。第2導電性多孔質層12の表面粗さは、JIS B 0601に準拠して測定する。
(1−3)本発明の電池用ガス拡散層1の構成
上記説明した第1導電性多孔質層11は、本発明の電池用ガス拡散層1中に1層のみ有していてもよいし、2層以上を有していてもよい。また、上記説明した第2導電性多孔質層12は、本発明の電池用ガス拡散層1中に1層のみ有していてもよいし、2層以上を有していてもよい。
本発明の電池用ガス拡散層1において、第1導電性多孔質層11は、上記のとおり、一方面の表面粗さが1.0μm〜5.0μmである。この表面は、表面粗さが小さくほぼ平滑であることから、この表面を後述の触媒層と接触する表面とすることにより、接触面積を大きくして触媒層との密着性を向上させることも可能である。このため、第1導電性多孔質層11は、第2導電性多孔質層12が設けられた側と反対側の表面の表面粗さが1.0μm〜5.0μm、好ましくは1.0μm〜3.0μmである。
また、本発明の電池用ガス拡散層1において、第2導電性多孔質層12は、上記のとおり、一方面の表面粗さが1.0μm〜15.0μmであることが好ましい。この表面は、表面粗さが大きく表面近傍の空隙も大きいと考えられることから、この表面を後述の導電性多孔質基材又はセパレータと接触する表面とすることにより、ガス拡散性能をより向上させることも可能である。なお、本発明のガス拡散層が後述の導電性多孔質基材13を備えている場合、接触抵抗及び密着性の観点から、使用する導電性多孔質基材13(カーボンペーパー等)より表面粗さが小さいことが好ましい。なお、カーボンペーパー(東レ(株)製のTGP−H−060)の表面粗さSaを、顕微鏡(OLYMPUS社製「3D MEASURING LASER MICROSCOPE」(型式:OLS4000))、及び、計測ソフトウェア(OLYMPUS社製「LEXT-OLS4000」)を用い、対物レンズ倍率を10倍にして計測すると、Sa=17.5〜18.2μmである。このため、第2導電性多孔質層12は、第1導電性多孔質層11が設けられた側と反対側の表面の表面粗さが1.0μm〜15.0μmが好ましく、3.0μm〜7.5μmがより好ましい。
上記のような観点から、本発明の電池用ガス拡散層1の構成としては、
第1導電性多孔質層及び第2導電性多孔質層からなるガス拡散層;
順に第1導電性多孔質層、第2導電性多孔質層及び第1導電性多孔質層からなるガス拡散層;
順に第1導電性多孔質層、第2導電性多孔質層及び第2導電性多孔質層からなるガス拡散層
等が挙げられる。
また、本発明の電池用ガス拡散層1において、第1導電性多孔質層11は、第2導電性多孔質層12が設けられた側の表面における高分子重合体量の量よりも、第2導電性多孔質層12が設けられた側と反対側の表面における高分子重合体量の量が多いことが好ましい。これにより、本発明の電池用ガス拡散層1と触媒層との密着性をより向上させることができる。
さらに、本発明の電池用ガス拡散層1は、第2導電性多孔質層12中の高分子重合体が三次元網目構造を構成していることにより、第1導電性多孔質層11単独と比較しても、より適度な引張弾性率を有し、引張破壊ひずみをより向上させることができる。具体的には、本発明の電池用ガス拡散層1の引張弾性率は、1.0MPa〜50.0MPa(特に2.0MPa〜30.0MPa)が好ましく、引張破壊ひずみは5.0%〜300.0%(特に10.0%〜200.0%)がより好ましい。本発明において、引張弾性率及び引張破壊ひずみは、JIS K 7161に規定される方法に準拠して測定する。
(1−4)導電性多孔質基材13
上記した第1導電性多孔質層11及び第2導電性多孔質層12は、図2にも示されるように、導電性多孔質層を支持する機能を有する他層と一体化して使用することにより取扱いが容易となり、作業性が向上する。
このような導電性多孔質層を支持する機能を有する他層として、例えば、導電性多孔質基材13を使用することができる(図2)。具体的には、上記した本発明の電池用ガス拡散層1において、最表面である第2導電性多孔質層12と導電性多孔質基材13とを一体化させ、全体を電池用ガス拡散層1として使用することができる。
導電性多孔質基材13としては、導電性を有し、多孔質なものである限り特に限定されず、公知又は市販の材料を使用することができる。例えば、カーボンペーパー、カーボンクロス、カーボンフェルト等が挙げられる。
導電性多孔質基材13の厚みは、通常50μm〜1000μm程度、特に100μm〜400μm程度とすることが好ましい。
導電性多孔質基材13は、ガスを後述する触媒層へ良好に拡散させるために、金属メッシュ、金属発泡体等からなる多孔質金属体であってもよい。多孔質金属体を用いることにより、導電性が一段と向上する。多孔質金属体に用いる金属としては、ニッケル、パラジウム、銀、ステンレスチール等を用いることができる。また、耐食性及び導電性を向上するために、上記金属メッシュ及び金属発泡体表面にめっき処理を行ってもよい。めっきの材質は、特に制限されず、白金、ルテニウム、ロジウム、タングステン、タンタル、金等の金属又はこれらの合金;カーボン;エポキシ樹脂、アクリル樹脂等の耐食性樹脂とカーボンとの複合体等が挙げられる。これらの中でも、高耐食性の観点から、金が好ましく、コスト面においてはカーボン、又はカーボンと上記金属又はこれらの合金との複合体が好ましい。
導電性多孔質基材13は、予め撥水処理が施された基材であることが好ましい。これにより、さらに一段と、導電性多孔質基材13の撥水性を向上させることができる。
撥水処理としては、例えば、上記の導電性多孔質基材13をフッ素樹脂等が分散した水分散体中に浸漬する方法等が挙げられる。フッ素樹脂としては、上述した樹脂等が挙げられる。この際には、水中にフッ素樹脂を分散させるために、分散剤を用い、フッ素樹脂及び水系分散剤を含む水系懸濁液として使用することが好ましい。分散剤としては、後述の分散剤を使用することができる。
水分散体中のフッ素樹脂の含有量は、例えば、水100質量部に対して、1質量部〜30質量部程度、特に2質量部〜20質量部程度とすることが好ましい。
本発明においては、導電性多孔質層全体の厚みは、導電性多孔質基材13と一体化する場合には1μm〜300μmが好ましく、5μm〜250μmがより好ましい。つまり、第1導電性多孔質層11と第2導電性多孔質層12との総厚みを上記範囲内とすることが好ましい。
2.電池用部材3
上記した第1導電性多孔質層11及び第2導電性多孔質層12は、導電性多孔質層を支持する機能を有する他層と一体化して使用することにより取扱いが容易となり、作業性が向上する。
このような導電性多孔質層を支持する機能を有する他層として、例えば、セパレータ31を使用することができる(図5)。具体的には、上記した本発明の電池用ガス拡散層1において、最表面の第2導電性多孔質層12とセパレータ31とを一体化させ、全体を電池用部材3として使用することができる。ただし、本発明の電池用ガス拡散層1において、第2導電性多孔質層12と導電性多孔質基材13とを一体化している場合(導電性多孔質基材13が最表面である場合)には、導電性多孔質基材13の上にセパレータ31を形成してもよい。
セパレータ31としては、公知又は市販のセパレータをいずれも使用することができる。
セパレータ31の材質は、特に制限されず、目的に応じて適宜選択できる。例えば、ステンレススチール、銅、チタン、アルミニウム、ロジウム、タンタル、タングステン等の金属又はこれらの少なくとも1種を含む合金;グラファイト;樹脂にカーボンを練りこんだカーボンコンパウンド等が挙げられる。これらの中でも、強度、電池(燃料電池、金属空気電池等)の薄型化及び導電性等の観点から、上記金属又はこれらの少なくとも1種を含む合金が好ましく、チタン及びステンレススチールがより好ましい。
また、耐食性及び導電性を向上させるために、上記セパレータ31表面にめっき処理を行ってもよい。めっきの材質は、例えば、白金、ルテニウム、ロジウム、タングステン、タンタル、金等の金属又はこれらの合金;カーボン;エポキシ樹脂、アクリル樹脂等の耐食性樹脂とカーボンとの複合体等が挙げられる。これらの中でも、高耐食性の観点から、金が好ましく、コスト面においてはカーボン、又はカーボンと上記金属又はこれらの合金との複合体が好ましい。
セパレータ31としては、それ自体にガス流路(リブ)が形成されている流路有セパレータであってもよく、それ自体にはガス流路が形成されていない流路無セパレータであってもよい。また、ガス流路の役割をする多孔体を隣接させたセパレータであってもよい。また、それ自体に多孔体領域を有するセパレータであってもよい。セパレータ31自体にはガス流路が形成されていない流路無セパレータの場合、ガス流路の役割をする多孔体との組み合わせや、それ自体に多孔体領域を有するセパレータであることが好ましい。また、セパレータ31自体にはガス流路が形成されておらず、それ自体に多孔体領域を有し、さらに多孔体と組合せてもよい。
ガス流路(リブ)が形成されている流路有セパレータにおいて、ガス流路は燃料電池の燃料である水素、空気等を流し、燃料電池の反応によって発生する水を電池外部へと排出するためのものであれば、流路の幅、深さ、形状等は特に制限されず、目的に応じて適宜選択される。通常は、幅0.05mm〜2mm(好ましくは0.05mm〜1.5mm)であり、深さ0.05mm〜2mm(好ましくは0.1mm〜1mm)である。
ガス流路(リブ)が形成されている流路有セパレータにおいて、前記ガス流路表面は、凹凸を有していてもよいし、平坦であってもよいが、撥水性向上の観点から、ガス流路表面は凹凸を有していることが好ましい。
撥水性向上の観点から、セパレータ31の一部又は全部に撥水層が形成されていることが好ましい。前記撥水層としては、例えば硫黄及びその化合物の少なくとも1種からなっているのが挙げられる。
ガス流路の役割をする多孔体を隣接させたセパレータにおいて、多孔体の材質としては、例えば、ニッケル、パラジウム、銀、ステンレスチール等を用いることができる。また、耐食性及び導電性を向上するために、上記多孔体表面にめっき処理を行ってもよい。めっきの材質は、特に制限されず、白金、ルテニウム、ロジウム、タングステン、タンタル、金等の金属又はこれらの合金;カーボン;エポキシ樹脂、アクリル樹脂等の耐食性樹脂とカーボンとの複合体等が挙げられる。これらの中でも、高耐食性の観点から、金が好ましく、コスト面においてはカーボン、又はカーボンと上記金属又はこれらの合金との複合体が好ましい。
多孔体領域を有するセパレータとしては、当該多孔体領域が上記ガス流路となり得る構造を有するセパレータであれば特に制限はない。
また、セパレータ31は、セパレータを構成する金属板の少なくとも片面に、好ましくは金属板の両面に、より好ましくは金属板の全表面にリン含有層が形成されている。リン含有層は、固体高分子電解質のスーパアシッド(超酸)による腐食から、金属板の表面を保護することができる。
リン含有層を構成する物質は、金属板の種類、リン含有層形成の際に使用されるリン化合物の種類等により異なる。
リン含有層を形成の際に使用されるリン化合物としては、公知の無機リン化合物を広く使用でき、例えばリン酸、ポリリン酸等の縮合リン酸及びこれらの塩等が挙げられる。ここで塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、金属塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
本発明の電池用ガス拡散層1を支持する機能を有する他層としてセパレータ31を使用する場合、セパレータとしては、大きな流路が有るセパレータよりも、導電性多孔質層の空隙が潰れることをより抑制し、密着性をより高められる観点から、流路幅の細かいセパレータ、流路がなく多孔体領域があるセパレータが好ましい。
本発明においては、導電性多孔質層全体の厚みは、セパレータ31と一体化する場合には10μm〜300μmが好ましく、20μm〜250μmがより好ましい。つまり、第1導電性多孔質層11と第2導電性多孔質層12との総厚みを上記範囲内とすることが好ましい。
3.電池用ガス拡散層及び電池用部材の製造方法
(3−2)少なくとも、第1導電性多孔質層11及び第2導電性多孔質層12を備える電池用ガス拡散層1の製造方法
本発明の、電池用ガス拡散層1は、例えば、
(I)基材上に、導電性炭素材料及び高分子重合体を含む第1導電性多孔質層形成用組成物を塗布及び乾燥させて第1導電性多孔質層を形成する工程、及び
(II)導電性炭素材料及び高分子重合体を含む第2導電性多孔質層形成用組成物を用い相分離法により第2導電性多孔質層を形成する工程
を備える方法により、製造することができる。
また、
(III)前記基材を前記第1導電性多孔質層から剥離する工程
を行ってもよい。
工程(I)
工程(I)において、導電性炭素材料及び高分子重合体については、前記第1導電性多孔質層11についての説明で挙げたものを採用できる。
本発明において、第1導電性多孔質層形成用組成物には、上記の導電性炭素材料及び高分子重合体以外にも、本発明の効果を損なわない範囲で、分散剤、分散媒、発泡剤等を含ませることができる。なお、本発明で使用する高分子重合体は、溶媒中に溶解又は分散していることがあるが、ここで使用する分散媒は、このような溶媒とは別途使用されるものである。
分散剤
分散剤は、導電性炭素材料及び高分子重合体を水等の分散媒中で分散させることができる分散剤である限り限定されず、公知又は市販の分散剤が使用できる。このような分散剤としては、例えば、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等のノニオン分散剤;アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウムクロリド、アルキルピリジニウムクロリド等のカチオン分散剤;アニオン分散剤等が挙げられる。これらの分散剤は、1種単独又は2種以上で用いることができる。
分散媒
分散媒としては、特に限定されることはなく、水の他、公知又は市販のアルコール類、ケトン類、芳香族炭化水素類、エステル類、他の有機溶媒を使用することができ、例えば、炭素数1〜5程度の1価又は多価のアルコール類、総炭素数が3〜6程度のケトン類、炭素数が6〜10程度の芳香族炭化水素類、総炭素数が3〜6程度のエステル類、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等が挙げられる。具体的には、水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、1−ペンタノール;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン;トルエン;酢酸ビニル;N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等が挙げられる。
発泡剤
発泡剤としては、特に限定されることはなく、第1導電性多孔質層11に気孔を形成することができる材料を使用することができる。例えば、加熱により分解して発泡する加熱発泡剤を好適に使用できる。
加熱発泡剤としては、80℃以上、特に120℃〜250℃程度の分解温度を有する化合物が好ましい。発泡剤の発生ガス量は特に限定されることはなく、通常50ml/g〜500ml/g程度、好ましくは200ml/g〜300ml/g程度である。平均粒子径も特に限定されることはなく、通常1μm〜50μm程度、好ましくは2μm〜5μm程度である。加熱発泡剤としては、上記分解温度を有する公知の有機発泡剤、無機発泡剤等を広く使用できる。
有機発泡剤としては、例えば、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)、アゾジカルボンアミド(ADCA)、4,4’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド (OBSH)、ヒドラゾジカルボンアミド(HDCA)等が挙げられる。これらの中でも低温発泡性を有するアゾジカルボンアミド(ADCA)、4,4’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド(OBSH)等を使用することが好ましい。有機発泡剤を使用する場合は、発泡剤の発泡温度を低下させるために、発泡助剤として尿素助剤を併用できる。
無機発泡剤としては、炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。
含有量
第1導電性多孔質層形成用組成物において、上記各成分の配合割合は、上記したものを採用できる。なお、第1導電性多孔質層形成用組成物中に、分散剤、分散媒、発泡剤等を含ませる場合には、これらの含有量については、導電性炭素粒子100質量部に対して、分散剤0質量部〜100質量部程度(特に5質量部〜50質量部程度)、分散媒0質量部〜1100質量部程度(特に100質量部〜1000質量部程度)、発泡剤0質量部〜200質量部程度(特に20質量部〜100質量部程度)が好ましい。
なお、第1導電性多孔質層形成用組成物は、例えば、上記の導電性炭素粒子、高分子重合体、及び他の成分を混合、分散させて得ることができる。分散方法としては、例えば公知の超音波分散、ホモジナイザー、メディア分散、スターラー分散等を用いることができる。
基材は、第1導電性多孔質層形成用組成物を用いて第1導電性多孔質層11を形成できる基材であれば特に限定されず、公知又は市販の基材を広く使用することができる。このような基材としては、例えば、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、アラミド、ポリアミド(ナイロン)、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテル・エーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアリレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン等の高分子フィルム等を挙げることができる。また、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等も用いることができる。これらの中でも、耐熱性に優れ、入手のしやすい高分子フィルムが好ましく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリイミド等のフィルムが好ましい。
基材には離型層が積層されていることが好ましい。離型層としては、例えば、公知のワックスから構成されたものが挙げられる。また、離型層が積層された基材として、SiOx、フッ素樹脂等でコーティングされたフィルム等を使用してもよい。
基材の厚みは、取り扱い性及び経済性の観点から、通常6μm〜100μm程度、特に10μm〜60μm程度とするのが好ましい。
第1導電性多孔質層形成用組成物を用いて、基材上に第1導電性多孔質層11を形成する方法としては、例えば、塗布法、スプレー法、浸漬法等を採用し得るが、より均一な第1導電性多孔質層11が得られるとともに、導電性多孔質層としてより良好な性能が得られる観点から、本発明では塗布法が好ましい。具体的には、基材上に第1導電性多孔質層形成用組成物を、塗布及び乾燥、並びに発泡剤を含有する場合には更に発泡工程を経ることにより、第1導電性多孔質層11を形成することが好ましい。
第1導電性多孔質層形成用組成物の塗布方法としては、公知又は市販のドクターブレード等のブレード、ワイヤーバー、スキージ等の器具やアプリケーター、ダイコート、スクリーン印刷等を用いて塗布することが好ましい。
塗布法を採用する場合、第1導電性多孔質層形成用組成物の塗布量は、例えば、第1導電性多孔質層11にガス透過性能、平滑性、水の排出性や保持性等の水管理特性を付与したい場合は、乾燥後の第1導電性多孔質層11の厚みが1μm〜150μm程度、好ましくは5μm〜100μm程度となるように塗布するのがよい。また、第1導電性多孔質層11にガス拡散性能の効果を付与したい場合は、乾燥後の第1導電性多孔質層11の厚みが1μm〜300μm程度、好ましくは20μm〜250μm程度となるように塗布するのがよい。なお、省スペース化の観点からは、第1導電性多孔質層11の厚みが250μm以下となるように調整することが好ましい。また、ハンドリング性の観点からは、第1導電性多孔質層11の厚みが20μm以上となるように調整することが好ましい。
また、塗布法を採用する場合、乾燥温度も、例えば、使用する溶剤(分散媒等)の揮発温度等の条件により適宜変更することが好ましい。
乾燥して第1導電性多孔質層11を得た後、必要に応じて更に高い温度(例えば、150℃〜500℃程度)で乾燥処理を施してもよい。
さらに、第1導電性多孔質層11は、他部材との密着性向上、撥水性付与等のため、その表面に、表面処理が施されていてもよい。表面処理としては、例えば、金属ブラシ、サンドブラスト等で物理的に表面凹凸をつける機械的処理、マット処理、コロナ放電処理、プラズマ放電処理、紫外線処理、火炎処理等が挙げられる。
工程(II)
工程(II)において、導電性炭素材料及び高分子重合体については、前記第2導電性多孔質層12についての説明で挙げたものを採用できる。
本発明において、第2導電性多孔質層形成用組成物には、上記の導電性炭素材料及び高分子重合体以外にも、本発明の効果を損なわない範囲で、分散剤、分散媒等を含ませることができる。分散剤及び分散媒としては、第1導電性多孔質層形成用組成物と同様のものを採用できる。なお、本発明で使用する高分子重合体は、溶媒中に溶解していることがあるが、ここで使用する分散媒は、このような溶媒とは別途使用されるものである。
含有量
第2導電性多孔質層形成用組成物において、上記各成分の配合割合は、上記したものを採用できる。なお、第2導電性多孔質層形成用組成物中に、分散剤、分散媒等を含ませる場合には、これらの含有量については、導電性炭素粒子100質量部に対して、分散剤0質量部〜100質量部程度(特に5質量部〜50質量部程度)、分散媒0質量部〜1100質量部程度(特に10質量部〜1000質量部程度)が好ましい。
なお、第2導電性多孔質層形成用組成物は、例えば、上記の導電性炭素粒子、高分子重合体、及び他の成分を混合、分散させて得ることができる。分散方法としては、特に制限されず、例えば公知の超音波分散、ホモジナイザー、メディア分散、スターラー分散等を用いることができる。
第2導電性多孔質層形成用組成物を用いて相分離法を行う場合、非溶媒誘起相分離法及び熱誘起相分離法のいずれも採用できる。相分離法を適用することにより、含有する高分子重合体が三次元網目構造を構成することができる。相分離法で作製される構造(高分子重合体の三次元網目構造)は、骨格と空隙とをそれぞれ連続に有し、網目状の共連続構造を有する一体型多孔質構造体であり、モノリス構造体ともいう。
非溶媒誘起相分離法を採用する場合、通常、前記工程(I)で得られた第1導電性多孔質層11の上に第2導電性多孔質層形成用組成物を塗布した後、非溶媒中に浸漬することができる。これにより、非溶媒誘起型の相分離を生じさせ、高分子重合体が三次元網目構造を構成する第2導電性多孔質層12を得ることができる。この場合、第1導電性多孔質層11が設けられた側程空隙が大きくなり、第1導電性多孔質層11が設けられた側の表面近傍の空隙が、第1導電性多孔質層11が設けられた側と反対側の表面近傍の空隙より大きくなる傾向がある。つまり、第2導電性多孔質層12の細孔構造を厚み方向に対して非対称とすることができる。
第2導電性多孔質層形成用組成物の塗布方法としては、公知又は市販のドクターブレード等のブレード、ワイヤーバー、スキージ等の器具やアプリケーター、ダイコート、スクリーン印刷等を用いて塗布することが好ましい。
第2導電性多孔質層形成用組成物の塗布量は、例えば、第2導電性多孔質層12にガス透過性能、平滑性、水の排出性や保持性等の水管理特性を付与したい場合は、乾燥後の第2導電性多孔質層12の厚みが1μm〜150μm程度、特に5μm〜100μm程度となるように塗布するのが好ましい。また、第2導電性多孔質層12にガス拡散性能の効果を付与したい場合は、乾燥後の第2導電性多孔質層12の厚みが1μm〜300μm程度、特に50μm〜250μm程度となるように塗布するのが好ましい。なお、省スペース化の観点からは、第2導電性多孔質層12の厚みが250μm以下となるように調整することが好ましい。また、ハンドリング性の観点からは、第2導電性多孔質層12の厚みが20μm以上となるように調整することが好ましい。
非溶媒としては、相分離を引き起こすために、高分子重合体に対して不溶性で且つ第2導電性多孔質層形成用組成物中の分散媒と相溶性のある溶媒であれば使用することができる。非溶媒としては、第2導電性多孔質層形成用組成物中の高分子重合体、分散媒等によっても異なるが、例えば、水、メタノール、エタノール、1−プロパノール等のアルコール等が挙げられる。非溶媒は、上記材料を単独又は二種以上混合して使用してもよいし、第2導電性多孔質層形成用組成物に用いた分散媒と同様の分散媒と混合して使用することもできる。
浸漬温度は、常温でも加熱下でもよいが、非溶媒が揮発しない温度であることが好ましく、製造コストの観点からは加熱しないことが好ましい。このような観点から、例えば、10℃〜80℃とすることができる。非溶媒に第2導電性多孔質層形成用組成物を浸漬する時間は、第2導電性多孔質層12の厚みによっても異なり、十分に相転移を行うことができる時間とすることができ、10秒〜30分が好ましく、1分〜15分がより好ましい。
熱誘起相分離法を採用する場合、含まれる高分子重合体を融解可能な温度に加熱し得た第2導電性多孔質層形成用組成物を、冷却することにより相分離を進行することができる。具体的には、前記工程(I)で得られた第1導電性多孔質層11の上に第2導電性多孔質層形成用組成物を塗布した後、冷却すればよい。
第1導電性多孔質層11の上に第2導電性多孔質層形成用組成物を塗布する方法は、上記と同様に行うことができる。
加熱温度は、第1導電性多孔質層11の耐熱性の範囲内で溶解可能であれば、第1導電性多孔質層11上に第2導電性多孔質層形成用組成物を塗布することが可能であるが、第1導電性多孔質層11に含まれる高分子重合体の軟化点以下が好ましい。例えば、前記高分子重合体がテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等のフッ素樹脂である場合は260℃以下程度が好ましい。これにより、高い機械的強度を有する高分子多孔質膜を得ることができる。なお、第2導電性多孔質層12を熱誘起相分離法で作製後、プレス処理等によって第1導電性多孔質層11と組合せてもよくその場合は、第1導電性多孔質層11の耐熱性を考慮しなくてもよい。
冷却する方法としては、例えば、冷却浴中に吐出する方法が好ましい。第2導電性多孔質層形成用組成物をキャストして、冷却浴に浸漬させる方法も好ましい。
冷却浴として用いることができる冷却液体は、第2導電性多孔質層形成用組成物よりも温度が低いものであり、非溶媒又は溶媒を用いることができるが、例えば、前記樹脂がテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等のフッ素樹脂である場合は水が好ましい。
なお、熱誘起相分離法を採用する場合は、第2導電性多孔質層形成用組成物を高温で混練して得た均一溶液を押し出して冷却することで第2導電性多孔質層12を得た後に、上記工程(I)で得られた第1導電性多孔質層11と積層することもできる。
このようにして第1導電性多孔質層11の上に第2導電性多孔質層12が形成されるが、非溶媒に第2導電性多孔質層形成用組成物を浸漬させた後、乾燥することが好ましい。乾燥温度は、使用する非溶媒の揮発温度等の条件により適宜変更することが好ましい。乾燥後、必要に応じて更に高い温度(例えば、150℃〜500℃程度)で加熱処理を施してもよい。
工程(III)
上記工程(I)により、基材上に第1導電性多孔質層11を形成した後に、第1導電性多孔質層11から基材を剥離することが好ましい。この工程(III)は、工程(II)の前に行ってもよいし、工程(II)の後に行ってもよいが、第2導電性多孔質層12のガス透過性及び水排出性の観点からは、工程(II)の前に後述の工程(III)を行って基材を第1導電性多孔質層11から剥離することが好ましい。つまり、工程(I)、工程(II)及び工程(III)の順;並びに工程(I)、工程(III)及び工程(II)の順のいずれも採用できるが、工程(I)、工程(III)、工程(II)の順が好ましい。剥離方法は特に制限されず、常法にて用いられる方法を採用すればよい。
なお、第1導電性多孔質層11を複数層形成する場合は、所望の構成が得られるように、上記の工程(I)を複数回行えばよい(2回目以降は、既に形成された第1導電性多孔質層11又は第2導電性多孔質層12の上に第1導電性多孔質層11を形成する)。また、第2導電性多孔質層12を複数層形成する場合は、所望の構成が得られるように、上記の工程(II)を複数回行えばよい(2回目以降は、既に形成された第1導電性多孔質層11又は第2導電性多孔質層12の上に第2導電性多孔質層12を形成する)。この際、各工程の順序は、2回目以降の工程(I)を行う場合は1回目の工程(I)の後に行えば特に制限されない。
(3−2)少なくとも、第1導電性多孔質層11、第2導電性多孔質層12及び導電性多孔質基材13を備える電池用ガス拡散層1の製造方法
本発明の電池用ガス拡散層1が導電性多孔質基材13を備えている場合(例えば、第1導電性多孔質層11、第2導電性多孔質層12及び導電性多孔質基材13をこの順に備える場合)は、本発明の電池用ガス拡散層1は、上記(3−1)にて説明した工程(I)〜(III)の他、
(IV)導電性多孔質基材13を前記第2導電性多孔質層12に接するように積層する工程
も備える製造方法により、製造することができる。
工程(IV)
工程(IV)において、導電性多孔質基材13については、上記したものを採用できる。
工程(IV)では、導電性多孔質基材13を第2導電性多孔質層12と接するように積層するが、この際、導電性多孔質基材13と第2導電性多孔質層12とが一体化するように積層することが好ましい。
具体的には、導電性多孔質基材13と第2導電性多孔質層12とが接するように配置した後に、加圧することにより、一体化することが好ましい。また、加圧操作の際には、より低圧の条件で、より密着性を高めるために加圧面を加熱して熱プレスすることが好ましい。
本発明においては、熱プレスの条件は、例えば、加熱温度が40℃〜150℃(特に60℃〜120℃)、印加圧力が0.5MPa〜10MPa(特に1MPa〜5MPa)、熱プレス時間が10秒〜300秒(特に30秒〜200秒)とすることが好ましい。
本態様において、第1導電性多孔質層11、第2導電性多孔質層12及び導電性多孔質基材13を備える電池用ガス拡散層1を製造する場合は、工程(I)、工程(II)、工程(III)及び工程(IV)の順;工程(I)、工程(II)、工程(IV)及び工程(III)の順;並びに工程(I)、工程(III)、工程(II)及び工程(IV)のいずれも採用できるが、ハンドリング及び密着性の観点から、工程(I)、工程(III)、工程(II)、工程(IV)の順に行うことが好ましい。なお、工程(I)及び/又は工程(II)を複数回行う場合、各工程の順序は、2回目以降の工程(I)を行う場合は1回目の工程(I)の後に行えば特に制限されない。
(3−3)少なくとも、第1導電性多孔質層11、第2導電性多孔質層12及びセパレータ31を備える電池用部材3の製造方法
少なくとも、第1導電性多孔質層11、第2導電性多孔質層12及びセパレータ31を備える本発明の電池用部材3は、上記(3−1)にて説明した工程(I)〜(III)の他、
(V)セパレータ31を前記第2導電性多孔質層12に接するように積層する工程
も備える製造方法により、製造することができる。
工程(V)
工程(V)において、セパレータ31については、上記したものを採用できる。
工程(V)では、セパレータ31を第2導電性多孔質層12と接するように積層するが、この際、セパレータ31と第2導電性多孔質層12とが一体化するように積層することが好ましい。
具体的には、セパレータ31と第2導電性多孔質層12とが接するように配置した後に、熱プレスを行うことにより、一体化することが好ましい。
本発明においては、熱プレスの条件は、加熱温度が40℃〜150℃(特に60℃〜120℃)、印加圧力が0.5MPa〜10MPa(特に1MPa〜5MPa)、熱プレス時間が10秒〜300秒(特に30秒〜200秒)とすることが好ましい。
本態様において、第1導電性多孔質層11、第2導電性多孔質層12及びセパレータ31を備える電池用部材3を製造する場合は、工程(I)、工程(II)、工程(III)及び工程(V)の順;工程(I)、工程(II)、工程(V)及び工程(III)の順;並びに
工程(I)、工程(III)、工程(II)及び工程(V)の順のいずれも採用できるが、ハンドリング及び密着性の観点から、工程(I)、工程(III)、工程(II)、工程(V)の順に行うことが好ましい。なお、工程(I)及び/又は工程(II)を複数回行う場合、各工程の順序は、2回目以降の工程(I)を行う場合は1回目の工程(I)の後に行えば特に制限されない。
また、本発明の電池用ガス拡散層1が導電性多孔質基材13を備えている場合、導電性多孔質基材13の上にセパレータ31を積層(配置)してもよい。また、第1導電性多孔質層11、第2導電性多孔質層12、導電性多孔質基材13及びセパレータ31を備える電池用部材3を製造する場合は、工程(I)、工程(II)、工程(III)、工程(IV)及び工程(V)の順;工程(I)、工程(II)、工程(IV)、工程(III)及び工程(V)の順;工程(I)、工程(II)、工程(IV)、工程(V)及び工程(III)の順;並びに工程(I)、工程(III)、工程(II)、工程(IV)及び工程(V)の順のいずれも採用できるが、ハンドリング及び密着性の観点から、工程(I)、工程(III)、工程(II)、工程(IV)、工程(V)の順に行うことが好ましい。なお、工程(I)及び/又は工程(II)を複数回行う場合、各工程の順序は、2回目以降の工程(I)を行う場合は1回目の工程(I)の後に行えば特に制限されない。
4.電池用膜−電極接合体2及び電池4
本発明の電池用ガス拡散層1又は電池用部材3を燃料電池用ガス拡散層又は金属空気電池用ガス拡散層として用いて、図3〜4及び6〜7に示されるように、電池用膜−電極接合体2又は電池4(固体高分子形燃料電池、金属空気電池等)を作製することができる。具体的には、触媒層212及び電解質膜211の積層体、又は触媒層212、電解質膜211及び触媒層212がこの順に形成された積層体からなる触媒層−電解質膜積層体21の片面又は両面に、本発明の電池用ガス拡散層1又は電池用部材3を、第1導電性多孔質層11と触媒層212とが接するように積層(配置)させることが好ましい。このような本発明の電池用膜−電極接合体2の代表例は図3〜4に示されるとおりであるが、その構成はこれに限定されることはなく、例えば、「触媒層−電解質膜積層体21の片面に、第1導電性多孔質層11及び第2導電性多孔質層12がこの順に積層(配置)された電池用膜−電極接合体2」、「触媒層−電解質膜積層体21の両面に、第1導電性多孔質層11及び第2導電性多孔質層12がこの順に積層(配置)された電池用膜−電極接合体2」、「触媒層−電解質膜積層体21の片面に、第1導電性多孔質層11、第2導電性多孔質層12及び導電性多孔質基材13がこの順に積層(配置)された電池用膜−電極接合体2」、及び「触媒層−電解質膜積層体21の両面に、第1導電性多孔質層11、第2導電性多孔質層12及び導電性多孔質基材13がこの順に積層(配置)された電池用膜−電極接合体2」をいずれも採用できる。電池を作製する場合は、得られた電池用膜−電極接合体2を必要に応じてセパレータ31と積層する(必要に応じて電池用膜−電極接合体2上にセパレータ31を配置する)ことにより、本発明の電池4を作製してもよい。この際、セパレータ31としては、上記説明したものを採用することができる。このような本発明の電池4の代表例は図6〜7に示されるとおりであるが、その構成はこれに限定されることはなく、例えば、「触媒層−電解質膜積層体21の片面に、第1導電性多孔質層11、第2導電性多孔質層12及びセパレータ31がこの順に積層(配置)された電池4」、「触媒層−電解質膜積層体21の片面に、第1導電性多孔質層11、第2導電性多孔質層12、導電性多孔質基材13及びセパレータ31がこの順に積層(配置)された電池4」、「触媒層−電解質膜積層体21の両面に第1導電性多孔質層11及び第2導電性多孔質層12がこの順に積層(配置)された電池用膜−電極接合体2の片面に、セパレータ31が積層(配置)された電池4」、「触媒層−電解質膜積層体21の両面に第1導電性多孔質層11、第2導電性多孔質層12及び導電性多孔質基材13がこの順に積層(配置)された電池用膜−電極接合体2の片面に、セパレータ31が積層(配置)された電池4」、「触媒層−電解質膜積層体21の両面に、第1導電性多孔質層11、第2導電性多孔質層12及びセパレータ31がこの順に積層(配置)された電池4」、及び「触媒層−電解質膜積層体21の両面に、第1導電性多孔質層11、第2導電性多孔質層12、導電性多孔質基材13及びセパレータ31がこの順に積層(配置)された電池4」をいずれも採用できる。
本発明においては、一旦作製した本発明の電池用ガス拡散層1又は電池用部材3を後述の触媒層−電解質膜積層体21の片面又は両面に積層(配置)させれば、膜−電極接合体2又は電池4を作製することができる。この場合、電池用ガス拡散層1又は電池用部材3を触媒層−電解質膜積層体21に一体化させることが好ましい。
(4−1)触媒層−電解質膜積層体21
電解質膜211
電解質膜211は、水素イオン伝導性又は水酸化物イオン伝導性の電解質膜であればよく、水素イオン伝導性電解質膜、水酸化物イオン伝導性電解質膜等の公知又は市販の電解質膜を使用できる。水素イオン伝導性電解質膜の具体例としては、例えば、デュポン社製の「Nafion」(登録商標)膜、旭硝子(株)製の「Flemion」(登録商標)膜、旭化成(株)製の「Aciplex」(登録商標)膜、ゴア(Gore)社製の「Gore Select」(登録商標)膜等が挙げられる。また、水酸化物イオン伝導性電解質膜の具体例としては、炭化水素系の電解質膜として、旭化成(株)製のアシプレックス(登録商標)A−201,211,221等、トクヤマ(株)製のネオセプタ(登録商標)AM−1、AHA等を挙げることができ、フッ素樹脂系の電解質膜として、東ソー(株)製のトスフレックス(登録商標)IE−SF34,FuMA−Tech社製のfumapem(登録商標)FAA等を挙げることができる。
電解質膜211の膜厚は、通常20μm〜250μm程度、特に20μm〜150μm程度が好ましい。
また、本発明の電池用膜−電極接合体2を金属空気電池用として使用する場合には、固体の電解質膜に限られず、ゲル状や液状の電解液を使用することも可能である。この場合の電解液に使用される材料は、特に制限されず、従来から金属空気電池に使用される公知又は市販の材料を使用することができる。例示すると、電解液は負極の金属に対応して選択されるが、水、食塩水、アルカリ性溶液、負極の金属の金属塩溶液等が適宜使用される。
触媒層212
触媒層212は、触媒を含有していればよく、例えば、炭素粒子に触媒粒子を担持させたものを用いてもよい。さらに触媒層212は、触媒の他に高分子重合体を含有してもよい。
触媒としては、例えば、白金や白金化合物等が挙げられる。白金化合物としては、例えば、ルテニウム、パラジウム、ニッケル、モリブデン、イリジウム、鉄、コバルト等からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属と、白金との合金等が挙げられる。なお、通常は、触媒層に含まれる触媒は白金である。
炭素粒子は、導電性を有しているものであればよく、公知又は市販のものを広く使用できる。例えば、カーボンブラックや、黒鉛、活性炭等を1種又は2種以上で用いることができる。カーボンブラックの例としては、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック等を挙げることができる。炭素粒子の算術平均粒子径は通常5nm〜200nm程度、好ましくは20nm〜80nm程度である。この炭素粒子の平均粒子径は、粒子径分布測定装置により測定する。
高分子重合体としては、公知の材料を使用できる。具体的には、イオン伝導性高分子電解質、ポリビニルアルコール樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、スチレン−アクリル共重合体樹脂、スチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリエステル−アクリル共重合体樹脂、ウレタン樹脂、スチレン樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリオレフン樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。また、六フッ化プロピレン−フッ化ビニリデン共重合体、三フッ化塩化エチレン−フッ化ビニリデン共重合体等のフッ素ゴム、シリコーンゴム等も挙げられる。これらの高分子重合体は、単独で用いても良いし、2種類以上を組み合わせてもよい。
また、イオン伝導性高分子電解質としては、例えば、パーフルオロスルホン酸の含フッ素イオン交換樹脂、より具体的には、パーフルオロカーボンスルホン酸ポリマー(PFSポリマー)等が挙げられる。電気陰性度の高いフッ素原子を導入することで、化学的に非常に安定し、スルホン酸基の解離度が高く、高いイオン伝導性が実現できる。このようなイオン伝導性高分子電解質の具体例としては、デュポン社製の「Nafion」(登録商標)、旭硝子(株)製の「Flemion」(登録商標)、旭化成(株)製の「Aciplex」(登録商標)、ゴア(Gore)社製の「Gore Select」(登録商標)等が挙げられる。イオン伝導性高分子電解質含有溶液中に含まれるイオン伝導性高分子電解質の濃度は、通常5質量%〜60質量%程度、好ましくは20質量%〜40質量%程度である。
触媒層212の厚みは、例えば、通常1μm〜100μm程度、好ましくは2μm〜50μm程度とすることが好ましい。
なお、触媒層212には、撥水剤として、フッ素樹脂等の他、非ポリマーのフッ素材料であるフッ化ピッチ、フッ化カーボン、フッ化黒鉛等を添加することもできる。
金属空気電池の場合、正極に使用する触媒は、上記のアノード触媒又はカソード触媒で用いた触媒の他に、二酸化マンガン、金、活性炭、イリジウム酸化物、ペロブスカイト型複合酸化物、金属含有顔料等が使用できる。これらの触媒粉末を上記の撥水剤をバインダーとして分散して塗布することにより触媒層212を形成できる。あるいは蒸着が可能な材料は蒸着により触媒層212を形成することができる。または、金属塩溶液を電極上で還元して金属を微細な形状に析出させて触媒層212を形成することができる。
また、負極の金属は、どのような空気電池を構成するかにより金属が選択される。リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、及び鉄(Fe)等の金属、合金あるいは金属化合物が負極活物質として使用することができる。負極と電解液との接触面積を多くするため、負極は微細な空孔を持っていることが好ましい。
触媒層−電解質膜積層体21の製造方法
触媒層−電解質膜積層体21は、例えば、基材の片面に触媒層212が形成された触媒層形成用転写フィルムを用いて、触媒層212と電解質膜211とが対面するように触媒層形成用転写フィルムを配置し、加温条件下で加圧して触媒層212を電解質膜211に転写した後、転写フィルムを剥離することにより製造することができる。なお、この操作を2回繰り返せば、電解質膜211の両面に触媒層212が積層(配置)された触媒層−電解質膜積層体21を製造することができるが、作業性等を考慮すると、触媒層212を電解質膜211の両面に同時に積層するのがよい。この際形成される触媒層212は、片方がアノード触媒層、他方がカソード触媒層である。アノード触媒層とカソード触媒層とは同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。また、触媒層−電解質膜積層体21の片面に本発明のガス拡散層1又は電池用部材3を積層(配置)する場合、アノード触媒層上に積層(配置)してもよいし、カソード触媒層上に積層(配置)してもよい。なお、触媒層−電解質膜積層体21において、電解質膜211の平面視の大きさは、触媒層212と同一であってもよいし、触媒層212よりも一回り大きくてもよい。
転写する際には、触媒層形成用転写フィルムの基材フィルム側から、公知のプレス機等を用いて加圧することが好ましい。その際の加圧レベルは、転写不良を避けるために、通常0.5MPa〜10MPa程度、特に1MPa〜8MPa程度が好ましい。また、この加圧操作の際に、転写不良を避けるために、加圧面を加熱するのが好ましい。加熱温度は、使用する電解質膜の種類により適宜変更することが好ましい。
なお、基材フィルムとしては、特に制限されることはなく、上述の基材と同様の基材を使用できる。例えば、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテル・エーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアリレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリオレフィン等の高分子フィルムを挙げることができる。また、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の耐熱性フッ素樹脂を用いることもできる。これらのなかでも、安価で入手が容易な高分子フィルムが好ましく、ポリエチレンテレフタレート等がより好ましい。
基材フィルムの厚さは、基材フィルム上に触媒層212を形成させる作業性、経済性等の観点から、通常6μm〜150μm程度、特に12μm〜75μm程度とするのが好ましい。
また、基材フィルムは、離型層が積層された基材フィルムであってもよい。離型層としては、例えば、公知のワックスから構成された層、公知のSiOx、フッ素樹脂でコーティングされたプラスチックフィルム等が挙げられる。また、基材フィルム上に離型性の高いフィルムを積層して構成されたもの、例えば、PET基材と耐熱フッ素樹脂基材との積層体等の構造を有しているものでもよい。
また、前記触媒層212を前記電解質膜211上に形成する方法としては、上記の転写による触媒層212の形成方法の他にも、前記電解質膜211に触媒層形成用組成物を塗布して形成してもよい。この際の条件等は公知のものを採用できる。
以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明をより詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
<材料>
第1導電性多孔質層形成用組成物及び第2導電性多孔質層形成用組成物の調製には、以下に示す材料を使用した。
導電性炭素粒子:平均粒子径50nm
高分子重合体:Solef21216/1001(ソルベイソレクシス(株)製;PVDF;溶質としての高分子重合体含有量10質量%)。
製造例1:第1導電性多孔質層
導電性炭素粒子100質量部、高分子重合体750質量部(溶質量75質量部)、及びメチルエチルケトン(MEK)600質量部をメディア分散により60分間分散させることにより第1導電性多孔質層形成用組成物を調合した。
この第1導電性多孔質層形成用組成物を、離型層が形成されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上にアプリケーターを用いて乾燥後の厚みが約20μmの厚みとなるように塗布した。その後、95℃に設定した乾燥炉中で約15分乾燥させて、PETフィルム上に第1導電性多孔質層11を作製した。その後、第1導電性多孔質層を離型層が形成されたPETフィルムから剥離し、第1導電性多孔質層を得た。
得られた第1導電性多孔質層の一方面(PETフィルムと接していた側)及び他方面におけるフッ素と炭素との比をエネルギー分散型蛍光X線分析により測定した。分析装置として日本電子(株)製のエネルギー分散型蛍光X線分析装置EX−23000BUを使用し、一方面及び他方面のフッ素原子数(%)及び炭素原子数(%)を測定し、フッ素と炭素との比(フッ素原子数/炭素原子数)を算出した。その結果、一方面(PETフィルムと接していた側)では0.216であり、他方面では0.181であった。よって、第1導電性多孔質層は、一方面における高分子重合体量の量と、他方面における高分子重合体量の量とが異なることがわかる。
製造例2:第2導電性多孔質層
導電性炭素粒子100質量部、高分子重合体750質量部(溶質量75質量部)、及びN−メチルピロリドン(NMP)750質量部をメディア分散により60分間分散させることにより第2導電性多孔質層形成用組成物を調合した。
実施例1
製造例1で作製した第1導電性多孔質層のPETフィルムと接していた側と反対側の面の上に、製造例2で作製した第2導電性多孔質層形成用組成物を、アプリケーターを用いて、乾燥後の膜厚が130μmの厚みになるように塗布し、非溶媒である純水に10分間浸漬しNMPを水に十分に置換させ相分離させた。その後、水から取り出し、95℃で30分乾燥させることによって、第1導電性多孔質層の上に、導電性炭素粒子及び高分子重合体を含み前記高分子重合体が三次元網目構造を構成する第2導電性多孔質層を得た。
比較例1
乾燥後の厚みが50μmとなるように調整したこと以外は製造例1と同様の手法で第1導電性多孔質層を作製し、電池用ガス拡散層を得た。
試験例1:表面粗さの測定
実施例1及び比較例1で得た電池用ガス拡散層表面の第1導電性多孔質層(触媒層と接するように配置する側)及び第2導電性多孔質層(セパレータ又はカーボンペーパーと接するように配置する側)の表面粗さSaは以下の方法で測定した。顕微鏡(OLYMPUS社製「3D MEASURING LASER MICROSCOPE」(型式:OLS4000))、及び、計測ソフトウェア(OLYMPUS社製「LEXT-OLS4000」)を用い、対物レンズ倍率を10倍にして計測した。なお、同様の方法で、カーボンペーパー(東レ(株)製のTGP−H−060)の表面粗さSaを測定したところ、Sa=17.5〜18.2μmであった。結果を表1に示す。なお、比較例1は、第2導電性多孔質層を備えていないため、第1導電性多孔質層の表面粗さのみを測定し、第1導電性多孔質層(触媒層と接するように配置する側)として記載した。
引張弾性率(ヤング率)測定
実施例1及び比較例1で作製した電池用ガス拡散層の引張弾性率及び引張破壊ひずみを、JIS K 7161に準拠して測定した。結果を表2に示す。
上記表1の結果からも理解できるように、実施例1における第1導電性多孔質層の表面粗さは2.8μmであり、第2導電性多孔質層の表面粗さは4.3μmであった。また、比較例1の第1導電性多孔質層の表面粗さは2.2μmであった。このように、高分子重合体が三次元網目構造を構成する第2導電性多孔質層は、基材上に第1導電性多孔質層形成用組成物を塗布及び乾燥させて得られる第1導電性多孔質層と比較して、表面粗さが大きかった。また、上記表2の結果からも理解できるように、実施例1のように第1導電性多孔質層の上に、高分子重合体が三次元網目構造を構成する第2導電性多孔質層を積層(配置)することで、第1導電性多孔質層単独である比較例1と比較して、引張弾性率を低く、引張破壊ひずみを大きくすることができた。このため、実施例1の電池用ガス拡散層は、比較例1の電池用ガス拡散層と比較して、発電条件(温度、湿度等)の変化に伴う電解質膜の膨張及び収縮に対する追従性を高めることが示唆されている。このように、本発明の電池用ガス拡散層は、導電性多孔質層表面を平滑にするとともに、適度な弾性率を有することが理解できる。
1 電池用ガス拡散層
11 第1導電性多孔質層
12 第2導電性多孔質層
13 導電性多孔質基材
2 電池用膜−電極接合体
21 触媒層−電解質膜積層体
211 電解質膜
212 触媒層
3 電池用部材
31 セパレータ
4 電池

Claims (13)

  1. 導電性炭素材料及び高分子重合体を含む第1導電性多孔質層と、導電性炭素材料及び高分子重合体を含む第2導電性多孔質層とを備え、
    前記第1導電性多孔質層は、前記第2導電性多孔質層が設けられた側と反対側の表面の表面粗さが1.0μm〜5.0μmであり、且つ、
    前記第2導電性多孔質層中の前記高分子重合体が三次元網目構造を構成する、電池用ガス拡散層。
  2. 前記第2導電性多孔質層は、前記第1導電性多孔質層が設けられた側と反対側の表面の表面粗さが1.0μm〜15.0μmである、請求項1に記載の電池用ガス拡散層。
  3. 前記第2導電性多孔質層は、細孔構造が厚み方向に対して非対称である、請求項1又は2に記載の電池用ガス拡散層。
  4. 引張弾性率が1.0MPa〜50.0MPaである、請求項1〜3のいずれかに記載の電池用ガス拡散層。
  5. 前記第2導電性多孔質層に対面するように導電性多孔質基材が配置されている、請求項1〜4のいずれかに記載の電池用ガス拡散層。
  6. 触媒層、電解質膜及び触媒層がこの順に配置された触媒層−電解質膜積層体の片面又は両面に、請求項1〜4のいずれかに記載の電池用ガス拡散層が、前記電池用ガス拡散層の最外層である前記第1導電性多孔質層と前記触媒層とが対面するように配置されている、電池用膜−電極接合体。
  7. 触媒層、電解質膜及び触媒層がこの順に配置された触媒層−電解質膜積層体の片面又は両面に、請求項5に記載の電池用ガス拡散層が、前記電池用ガス拡散層の最外層である前記第1導電性多孔質層と前記触媒層とが対面するように配置されている、電池用膜−電極接合体。
  8. 請求項1〜4のいずれかに記載の電池用ガス拡散層の最外層である前記第2導電性多孔質層と対面するように、セパレータが配置されている、電池用部材。
  9. 請求項5に記載の電池用ガス拡散層の最外層である前記導電性多孔質基材と対面するように、セパレータが配置されている、電池用部材。
  10. 請求項6に記載の電池用膜−電極接合体の最外層である前記第2導電性多孔質層と対面するように、セパレータが配置されている、電池。
  11. 請求項7に記載の電池用膜−電極接合体の最外層である前記導電性多孔質基材と対面するように、セパレータが配置されている、電池。
  12. (I)基材上に、導電性炭素材料及び高分子重合体を含む第1導電性多孔質層形成用組成物を塗布及び乾燥させて第1導電性多孔質層を形成する工程、及び
    (II)導電性炭素材料及び高分子重合体を含む第2導電性多孔質層形成用組成物を用い相分離法により第2導電性多孔質層を形成する工程
    を備える、電池用ガス拡散層の製造方法。
  13. (III)前記基材を前記第1導電性多孔質層から剥離する工程
    を備える、請求項12に記載の電池用ガス拡散層の製造方法。
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