JP5794404B1 - 電池用ガス拡散層、該電池用ガス拡散層を用いた電池用膜−電極接合体、電池用部材、電池及びこれらの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
項1.導電性炭素材料と、酸変性ポリオレフィン樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、及びアルコール性水酸基を有する変性ポリオレフィン樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種とを含む第1導電性多孔質層を備える電池用ガス拡散層。
項2.前記第1導電性多孔質層と接するように、導電性炭素材料及び高分子重合体を含む第2導電性多孔質層が積層されている、項1に記載の電池用ガス拡散層。
項3.前記第2導電性多孔質層に含まれる前記高分子重合体は、フッ素樹脂である、項2に記載の電池用ガス拡散層。
項4.前記第1導電性多孔質層と接するように導電性多孔質基材が積層されている、項1〜3のいずれかに記載の電池用ガス拡散層。
項5.触媒層、電解質膜及び触媒層が順次積層された触媒層−電解質膜積層体の片面又は両面に、項1〜3のいずれかに記載の電池用ガス拡散層が、前記第1導電性多孔質層が最外層となるように積層されている、電池用膜−電極接合体。
項6.触媒層、電解質膜及び触媒層が順次積層された触媒層−電解質膜積層体の片面又は両面に、項4に記載の電池用ガス拡散層が、前記導電性多孔質基材が最外層となるように積層されている、電池用膜−電極接合体。
項7.項5に記載の電池用膜−電極接合体の最外層である前記第1導電性多孔質層と接するように、さらにセパレータが積層されている、電池。
項8.項6に記載の電池用膜−電極接合体の最外層である前記導電性多孔質基材と接するように、さらにセパレータが積層されている、電池。
項9.項1〜3のいずれかに記載の電池用ガス拡散層の前記第1導電性多孔質層と接するように、セパレータが積層されている、電池用部材。
項10.電池用ガス拡散層の製造方法であって、
(I)基材上に、導電性炭素材料と、酸変性ポリオレフィン樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、及びアルコール性水酸基を有する変性ポリオレフィン樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種とを含む第1導電性多孔質層形成用組成物を用いて第1導電性多孔質層を形成する工程、及び
(II)前記第1導電性多孔質層から基材を剥離する工程
を備える、電池用ガス拡散層の製造方法。
項11.さらに、前記工程(II)の後に、
(III)前記第1導電性多孔質層の上に、導電性炭素材料及び高分子重合体を含む第2導電性多孔質層形成用組成物を用いて第2導電性多孔質層を形成する工程
を備える、項10に記載の電池用ガス拡散層の製造方法。
項12.さらに、前記工程(I)と工程(II)との間に、
(III)前記第1導電性多孔質層の上に、導電性炭素材料及び高分子重合体を含む第2導電性多孔質層形成用組成物を用いて第2導電性多孔質層を形成する工程
を備える、項10に記載の電池用ガス拡散層の製造方法。
項13.さらに、
(IV)導電性多孔質基材を前記第1導電性多孔質層に接するように積層する工程
を備える、項10又は11に記載の電池用ガス拡散層の製造方法。
項14.さらに、前記工程(II)の後に、
(IV)導電性多孔質基材を前記第1導電性多孔質層に接するように積層する工程
を備える、項12に記載の電池用ガス拡散層の製造方法。
項15.(1)項10〜12のいずれかに記載の製造方法により、少なくとも、第1導電性多孔質層を備える電池用ガス拡散層を準備する工程、及び
(2)セパレータを前記第1導電性多孔質層に接するように積層する工程
を備える、電池用部材の製造方法。
本発明の電池用ガス拡散層は、図1にも示されるように、導電性炭素材料及び変性ポリオレフィン樹脂を含む第1導電性多孔質層11を備える電池用ガス拡散層である。この本発明の電池用ガス拡散層1は、後述の触媒層とは異なる層である。
本発明において、第1導電性多孔質層11は、導電性炭素材料及び変性ポリオレフィン樹脂を含有する。本発明では、電池用ガス拡散層1が第1導電性多孔質層11を備える(特に、最外層として備え、導電性多孔質基材又はセパレータと接する層とする)ことで、本発明の電池用ガス拡散層の空隙を潰れることを抑制しつつ、一体化することが可能である。この第1導電性多孔質層11は、例えば、導電性炭素材料及び変性ポリオレフィン樹脂を含む第1導電性多孔質層形成用組成物を用いて、基材上に形成することができる。また、第1導電性多孔質層11の厚みは例えば、通常1μm〜300μm程度、特に50μm〜250μm程度が好ましい。
導電性炭素材料としては、例えば、導電性炭素粒子、導電性炭素繊維等が挙げられる。
導電性炭素粒子は、導電性を有する炭素材であれば特に限定されず、公知又は市販の材料を使用できる。例えば、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック等のカーボンブラック;黒鉛;活性炭等が挙げられる。これらは、1種単独又は2種以上で用いることができる。これらの導電性炭素粒子を含有することにより、電池用ガス拡散層の導電性を向上させることができる。
導電性炭素繊維を配合することにより、第1導電性多孔質層形成用組成物の塗布表面の面質を向上させることができるだけでなく、強度の高いシート状の第1導電性多孔質層を作製することも可能となる。第1導電性多孔質層11で使用される導電性炭素繊維としては、特に制限されるわけではないが、例えば、気相成長法炭素繊維(VGCF(登録商標))、カーボンナノチューブ、カーボンナノカップ、カーボンナノウォール等が挙げられる。その他、比較的大きな平均繊維径を有する導電性炭素繊維として、PAN(ポリアクリロニトリル)系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維等も使用できる。
本発明においては、弱い条件(低温低圧条件)においても、導電性多孔質基材又はセパレータと一体化することが容易になるとともに、耐熱性、耐薬品性、撥水性等に優れるために、第1導電性多孔質層11中には、変性ポリオレフィン樹脂が含有されている。また、第1導電性多孔質層11中に変性ポリオレフィン樹脂が含有されていることにより、後述の工程(II)において、基材から第1導電性多孔質層11を剥離しやすい。このため、基材上に第1導電性多孔質層11を形成後に基材から剥離する際に、基材上に第1導電性多孔質層11が残ったり、膜が割れたり、クラックが発生したりすることを抑制することができる。さらに、基材から第1導電性多孔質層11を剥離した後においても、自立性を保つことができる。
本発明において、第1導電性多孔質層11には、変性ポリオレフィン樹脂以外の高分子重合体を含ませることも可能である。
第1導電性多孔質層11において、上記各成分の配合割合は、例えば、導電性炭素粒子100質量部に対して、変性ポリオレフィン樹脂5質量部〜200質量部が好ましく、40質量部〜100質量部程度がより好ましい。また、第1導電性多孔質層11中に、変性ポリオレフィン樹脂以外の高分子重合体を含ませる場合には、その含有量については、導電性炭素粒子100質量部に対して、変性ポリオレフィン樹脂以外の高分子重合体5質量部〜200質量部程度(特に5質量部〜100質量部程度)が好ましい。
本発明の電池用ガス拡散層には、図2に示されるように、上記の第1導電性多孔質層11以外にも、導電性炭素材料及び高分子重合体を含む第2導電性多孔質層12を備えていてもよい。つまり、本発明の電池用ガス拡散層1においては、第1導電性多孔質層11の上に、第2導電性多孔質層12を備えていてもよい。このような構成を採用することにより、本発明の電池用ガス拡散層1と導電性多孔質基材又はセパレータとの密着性を向上させつつ、本発明の電池用ガス拡散層1に様々な機能(撥水性、後述の触媒層との密着性、高拡散性、保水性等)を付与することも可能である。この第2導電性多孔質層12は、例えば、導電性炭素材料及び高分子重合体を含む第2導電性多孔質層形成用組成物を用いて、第1導電性多孔質層11上に形成することができる。また、第2導電性多孔質層12の厚みは、通常1μm〜300μm程度、特に10μm〜250μm程度が好ましい。
導電性炭素材料としては、特に制限されるわけではないが、導電性炭素粒子、導電性炭素繊維等が挙げられる。導電性炭素粒子及び導電性炭素繊維としては、上述の第1導電性多孔質層11で例示したものと同じ材料が使用できる。
高分子重合体としては、上述した第1導電性多孔質層11に用いられる変性ポリオレフィン樹脂以外の高分子重合体と同様の材料を使用できる。つまり、高分子重合体としては、イオン伝導性高分子樹脂(Nafion等)、酢酸ビニル樹脂、スチレン−アクリル共重合体樹脂、スチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリエステル−アクリル共重合体樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリオレフィン系樹脂等が挙げられる。また、六フッ化プロピレン−フッ化ビニリデン共重合体、三フッ化塩化エチレン−フッ化ビニリデン共重合体等のフッ素ゴム、シリコーンゴム等も挙げられる。これらの高分子重合体は、単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせてもよい。これらのうち、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリオレフィン系樹脂等の接着樹脂を使用し、触媒層との密着性を向上させることも可能である。
第2導電性多孔質層12において、上記各成分の配合割合は、例えば、導電性炭素粒子100質量部に対して、高分子重合体5質量部〜200質量部が好ましく、40質量部〜100質量部程度がより好ましい。
上記説明した第1導電性多孔質層11は、本発明の電池用ガス拡散層1中に1層のみ有していてもよいし、2層以上を有していてもよい。また、本発明の電池用ガス拡散層1が上記説明した第2導電性多孔質層12を備える場合は、本発明の電池用ガス拡散層1中に1層のみ有していてもよいし、2層以上を有していてもよい。なお、本発明の電池用ガス拡散層1において、導電性多孔質基材又はセパレータと接する側の最表面が第1導電性多孔質層11である場合、本発明の電池用ガス拡散層1の空隙が潰れることをより抑制しつつ、本発明の電池用ガス拡散層1を導電性多孔質基材又はセパレータとより強く一体化することが可能である。また、本発明の電池用ガス拡散層1において、導電性多孔質基材又はセパレータと接する側と反対側の最表面が第1導電性多孔質層11である場合、本発明の電池用ガス拡散層1と触媒層の密着性をより良好とすることができる。これらの観点から、本発明の電池用ガス拡散層1は、第1導電性多孔質層11単独からなるか、複数の導電性多孔質層からなり、両最表面が第1導電性多孔質層11である態様が好ましい。
上記した第1導電性多孔質層11及び第2導電性多孔質層12は、図3〜6にも示されるように、導電性多孔質層を支持する機能を有する他層と一体化して使用することにより取扱いが容易となり、作業性が向上する。
上記した第1導電性多孔質層11及び第2導電性多孔質層12は、導電性多孔質層を支持する機能を有する他層と一体化して使用することにより取扱いが容易となり、作業性が向上する。
(3−1)第1導電性多孔質層11を備える電池用ガス拡散層1の製造方法
本発明の、第1導電性多孔質層11を備える電池用ガス拡散層1は、例えば、
(I)基材上に、導電性炭素材料及び変性ポリオレフィン樹脂を含む第1導電性多孔質層形成用組成物を用いて第1導電性多孔質層11を形成する工程、及び
(II)前記第1導電性多孔質層11から基材を剥離する工程
を備える方法により、製造することができる。
工程(I)において、導電性炭素材料、及び変性ポリオレフィン樹脂については、上記したものを採用できる。
分散剤は、導電性炭素材料及び変性ポリオレフィン樹脂を水等の分散媒中で分散させることができる分散剤である限り限定されず、公知又は市販の分散剤が使用できる。このような分散剤としては、例えば、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコールアルキルエーテル等のノニオン系分散剤;アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウムクロリド、アルキルピリジウムクロリド等のカチオン系分散剤;ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、酸性基含有構造変性ポリアクリレート等のアニオン系分散剤等が挙げられる。これらの分散剤は、1種単独又は2種以上で用いることができる。
分散媒としては、特に限定されることはなく、水の他、公知又は市販のアルコール類、ケトン類、芳香族炭化水素類、エステル類、他の有機溶媒を使用することができ、例えば、炭素数1〜5程度の1価又は多価のアルコール類、総炭素数が2〜5程度のケトン類、炭素数が6〜10程度の芳香族炭化水素類、総炭素数が2〜5程度のエステル類、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド等が挙げられる。具体的には、水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、1−ペンタノール;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン;トルエン;酢酸ビニル;N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド等が挙げられる。
第1導電性多孔質層形成用組成物において、上記各成分の配合割合は、上記したものを採用できる。なお、第1導電性多孔質層形成用組成物中に、分散剤、分散媒等を含ませる場合には、これらの含有量については、導電性炭素粒子100質量部に対して、分散剤0質量部〜100質量部程度(特に5質量部〜50質量部程度)、分散媒0質量部〜1100質量部程度(特に100質量部〜1000質量部程度)が好ましい。
上記工程(I)により、基材上に第1導電性多孔質層11を形成した後に、第1導電性多孔質層11から基材を剥離する。剥離方法は特に制限されず、常法にて用いられる方法を採用すればよい。
本発明の電池用ガス拡散層1が第2導電性多孔質層12を備えている場合(例えば、第1導電性多孔質層11の上に第2導電性多孔質層12を形成する場合)は、上記(3−1)にて説明した工程(I)及び(II)の他、
(III)前記第1導電性多孔質層11の上に、導電性炭素材料及び高分子重合体を含む第2導電性多孔質層形成用組成物を用いて第2導電性多孔質層12を形成する工程
も備える製造方法により、製造することができる。
工程(III)において、導電性炭素材料、及び高分子重合体については、上記したものを採用できる。
第2導電性多孔質層形成用組成物において、上記各成分の配合割合は、上記したものを採用できる。なお、第2導電性多孔質層形成用組成物中に、分散剤、分散媒等を含ませる場合には、これらの含有量については、導電性炭素粒子100質量部に対して、分散剤0質量部〜100質量部程度(特に5質量部〜50質量部程度)、分散媒0質量部〜1100質量部程度(特に10質量部〜1000質量部程度)が好ましい。
本発明の電池用ガス拡散層1が導電性多孔質基材13を備えている場合(例えば、第1導電性多孔質層11及び導電性多孔質基材13を備える場合)は、本発明の電池用ガス拡散層1は、上記(3−1)にて説明した工程(I)及び(II)の他、
(IV)導電性多孔質基材13を前記第1導電性多孔質層11に接するように積層する工程
も備える製造方法により、製造することができる。
工程(IV)において、導電性多孔質基材13については、上記したものを採用できる。
第1導電性多孔質層11を備える本発明の電池用部材2(例えば、第1導電性多孔質層11及びセパレータ21を備える電池用部材)は、上記(3−1)にて説明した工程(I)及び(II)の他、
(V)セパレータ21を前記第1導電性多孔質層11に接するように積層する工程
も備える製造方法により、製造することができる。
工程(V)において、セパレータ21については、上記したものを採用できる。
本発明の電池用ガス拡散層1又は電池用部材2を燃料電池用ガス拡散層又は金属空気電池用ガス拡散層として用いて、図7〜9に示されるように、電池用膜−電極接合体3又は電池4(固体高分子形燃料電池、金属空気電池等)を作製することができる。具体的には、触媒層312及び電解質膜311の積層体、又は触媒層312、電解質膜311及び触媒層312がこの順に形成された積層体からなる触媒層−電解質膜積層体31の片面又は両面に、本発明の電池用ガス拡散層1又は電池用部材2を、第1導電性多孔質層11又は第2導電性多孔質層12と触媒層とが接するように積層させることが好ましい。このような本発明の電池用膜−電極接合体3の代表例は図7〜8に示されるとおりであるが、その構成はこれに限定されることはなく、例えば、「触媒層−電解質膜積層体31の片面に、第1導電性多孔質層11が積層された電池用膜−電極接合体3」、「触媒層−電解質膜積層体31の片面に、第2導電性多孔質層12及び第1導電性多孔質層11がこの順に積層された電池用膜−電極接合体3」、「触媒層−電解質膜積層体31の両面に、第1導電性多孔質層11が積層された電池用膜−電極接合体3」、「触媒層−電解質膜積層体31の両面に、第2導電性多孔質層12及び第1導電性多孔質層11がこの順に積層された電池用膜−電極接合体3」、「触媒層−電解質膜積層体31の片面に、第1導電性多孔質層11及び導電性多孔質基材13がこの順に積層された電池用膜−電極接合体3」、「触媒層−電解質膜積層体31の片面に、第2導電性多孔質層12、第1導電性多孔質層11及び導電性多孔質基材13がこの順に積層された電池用膜−電極接合体3」、「触媒層−電解質膜積層体31の両面に、第1導電性多孔質層11及び導電性多孔質基材13がこの順に積層された電池用膜−電極接合体3」、及び「触媒層−電解質膜積層体31の両面に、第2導電性多孔質層12、第1導電性多孔質層11及び導電性多孔質基材13がこの順に積層された電池用膜−電極接合体3」をいずれも採用できる。電池を作製する場合は、得られた電池用膜−電極接合体3を必要に応じてセパレータ21と積層することにより、本発明の電池4を作製してもよい。この際、セパレータ21としては、上記説明したものを採用することができる。このような本発明の電池4の代表例は図9に示されるとおりであるが、その構成はこれに限定されることはなく、例えば、「触媒層−電解質膜積層体の片面に、第1導電性多孔質層及びセパレータがこの順に積層された電池」、「触媒層−電解質膜積層体の片面に、第2導電性多孔質層、第1導電性多孔質層及びセパレータがこの順に積層された電池」、「触媒層−電解質膜積層体の片面に、第1導電性多孔質層、導電性多孔質基材及びセパレータがこの順に積層された電池」、「触媒層−電解質膜積層体の片面に、第2導電性多孔質層、第1導電性多孔質層、導電性多孔質基材及びセパレータがこの順に積層された電池」、「触媒層−電解質膜積層体の両面に第1導電性多孔質層が積層された電池用膜−電極接合体の片面に、セパレータが積層された電池」、「触媒層−電解質膜積層体の両面に第2導電性多孔質層及び第1導電性多孔質層がこの順に積層された電池用膜−電極接合体の片面に、セパレータが積層された電池」、「触媒層−電解質膜積層体の両面に第1導電性多孔質層及び導電性多孔質基材がこの順に積層された電池用膜−電極接合体の片面に、セパレータが積層された電池」、「触媒層−電解質膜積層体の両面に第2導電性多孔質層、第1導電性多孔質層及び導電性多孔質基材がこの順に積層された電池用膜−電極接合体の片面に、セパレータが積層された電池」、「触媒層−電解質膜積層体の両面に、第1導電性多孔質層及びセパレータがこの順に積層された電池」、「触媒層−電解質膜積層体の両面に、第2導電性多孔質層、第1導電性多孔質層及びセパレータがこの順に積層された電池」、「触媒層−電解質膜積層体の両面に、第1導電性多孔質層、導電性多孔質基材及びセパレータがこの順に積層された電池」、及び「触媒層−電解質膜積層体の両面に、第2導電性多孔質層、第1導電性多孔質層、導電性多孔質基材及びセパレータがこの順に積層された電池」をいずれも採用できる。
電解質膜311
電解質膜311は、水素イオン伝導性や水酸化物イオン伝導性の電解質膜であればよく、水素イオン伝導性電解質膜や水酸化物イオン伝導性電解質膜等の公知又は市販の電解質膜を使用できる。水素イオン伝導性電解質膜の具体例としては、例えば、デュポン社製の「Nafion」(登録商標)膜、旭硝子(株)製の「Flemion」(登録商標)膜、旭化成(株)製の「Aciplex」(登録商標)膜、ゴア(Gore)社製の「Gore Select」(登録商標)膜等が挙げられる。また、水酸化物イオン伝導性電解質膜の具体例としては、炭化水素系の電解質膜として、旭化成(株)製のアシプレックス(登録商標)A−201,211,221等、トクヤマ(株)製のネオセプタ(登録商標)AM−1、AHA等を挙げることができ、フッ素樹脂系の電解質膜として、東ソー(株)製のトスフレックス(登録商標)IE−SF34,FuMatech社製のFumapem(登録商標)FAA等を挙げることができる。
触媒層312は、触媒を含有していればよく、例えば、炭素粒子に触媒粒子を担持させたものを用いてもよい。さらに触媒層312は、触媒の他に高分子重合体を含有してもよい。
触媒層−電解質膜積層体31は、例えば、基材の片面に触媒層312が形成された触媒層形成用転写フィルムを用いて、触媒層312と電解質膜311とが対面するように触媒層形成用転写フィルムを配置し、加温条件下で加圧して触媒層312を電解質膜311に転写した後、転写フィルムを剥離することにより製造することができる。なお、この操作を2回繰り返せば、電解質膜311の両面に触媒層312が積層された触媒層−電解質膜積層体31を製造することができるが、作業性等を考慮すると、触媒層312を電解質膜311の両面に同時に積層するのがよい。この際形成される触媒層312は、片方がアノード触媒層、他方がカソード触媒層である。アノード触媒層とカソード触媒層とは同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。また、触媒層−電解質膜積層体31の片面に本発明のガス拡散層1又は電池用部材2を積層する場合、アノード触媒層上に積層してもよいし、カソード触媒層上に積層してもよい。
第1導電性多孔質層形成用組成物及び第2導電性多孔質層形成用組成物の調製には、以下に示す材料を使用した。
導電性炭素粒子:ファーネスブラック(バルカンxc72R:キャボット社製)、平均分子量1000〜3000、平均粒子径:30nm
変性ポリオレフィン樹脂:アウローレン350S(日本製紙(株)製;固形分10質量%)
高分子重合体:Solef21216/1001(ソルベイソレクシス(株)製;PVDF;固形分10wt%)、Tg:−30℃。
導電性炭素粒子100質量部、変性ポリオレフィン樹脂500質量部(固形分50質量部)、及びメチルシクロヘキサン(MCH)1000質量部をメディア分散により分散させることにより第1導電性多孔質層形成用組成物を調合した。この第1導電性多孔質層形成用組成物を、離型層が形成されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上にアプリケーターを用いて約50μmの厚みとなるように塗布した。その後、95℃に設定した乾燥炉中で約15分乾燥させて、PETフィルム上に第1導電性多孔質層(1)を作製した。その後、第1導電性多孔質層(1)を離型層が形成されたPETフィルムから剥離し、第1導電性多孔質層(1)(実施例1の電池用ガス拡散層)を得た。
実施例1と同様にして、第1導電性多孔質層(1)を作製した。
導電性炭素粒子100質量部、高分子重合体500質量部(固形分50質量部)、及びメチルエチルケトン(MEK)1000質量部をメディア分散により分散させることにより第2導電性多孔質層形成用組成物を調合した。この第2導電性多孔質層形成用組成物を、離型層が形成されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上にアプリケーターを用いて約50μmの厚みとなるように塗布した。その後、95℃に設定した乾燥炉中で約15分乾燥させて、PETフィルム上に第2導電性多孔質層(1)を作製した。その後、第2導電性多孔質層(1)を離型層が形成されたPETフィルムから剥離し、第2導電性多孔質層(1)(比較例1の電池用ガス拡散層)を得た。
比較例1と同様にして、第2導電性多孔質層(1)を得た。
実施例1と同様にして、第1導電性多孔質層(1)を作製した。
実施例1と同様にして、第1導電性多孔質層(1)及び第2導電性多孔質層(1)の積層体を作製した。
比較例1と同様にして、第2導電性多孔質層(1)を得た。
比較例1と同様にして、第2導電性多孔質層(1)を得た。
実施例1〜4及び比較例1〜4で得た金属メッシュ又は金属セパレータを備える電池用ガス拡散層又は電池用部材において、導電性多孔質層と金属メッシュ又は金属セパレータとの密着性を評価した。具体的には、
A:導電性多孔質層側を金属メッシュ又は金属セパレータに対して下方になるようにした場合に導電性多孔質層が金属メッシュ又は金属セパレータから5分以上剥がれ落ちなかった
C:導電性多孔質層側を金属メッシュ又は金属セパレータに対して下方になるようにした場合に導電性多孔質層が金属メッシュ又は金属セパレータから剥がれ落ちるまでの時間は5分未満であった
と判断した。結果を表1に示す。
実施例1〜4及び比較例1〜4で得た金属メッシュ又は金属セパレータを備える電池用ガス拡散層又は電池用部材において、導電性多孔質層の厚み方向の潰れが発生して、空隙の潰れが生じているか否かを評価した。具体的には、実施例1〜4及び比較例1〜4で得た金属メッシュ又は金属セパレータを備える電池用ガス拡散層又は電池用部材から金属メッシュ又は金属セパレータを剥離し、導電性多孔質層の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察し、
A:金属メッシュ又は金属セパレータと接触した箇所の導電性多孔質層の厚みの変化がないか、ほとんどない
B:金属メッシュ又は金属セパレータと接触した箇所の導電性多孔質層の厚みの変化が1/3未満である
C:金属メッシュ又は金属セパレータと接触した箇所の導電性多孔質層の厚みの変化が1/3以上である
と判断した。結果を表1に示す。
実施例1〜4及び比較例1〜4で得た金属メッシュ又は金属セパレータを備える電池用ガス拡散層又は電池用部材において、導電性多孔質層表面が金属メッシュ又は金属セパレータの影響を受けて変形しているか否かを評価した。具体的には、実施例1〜4及び比較例1〜4で得た金属メッシュ又は金属セパレータを備える電池用ガス拡散層又は電池用部材において、導電性多孔質層の金属メッシュ又は金属セパレータと接していなかった表面を走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察し、
A:金属メッシュ又は金属セパレータと一体化する前の導電性多孔質層の表面と比較して外観に変化がないか、ほとんどない
C:金属メッシュ又は金属セパレータと一体化する前の導電性多孔質層の表面と比較して外観の変化が大きい
と判断した。結果を表1に示す。
実施例1〜4及び比較例1〜4で得た各導電性多孔質層が、基材から剥離しやすいか否かを評価した。具体的には、実施例1〜4及び比較例1〜4において、基材上に各導電性多孔質層を形成した後に、基材を剥離する際に、
A:導電性多孔質層に割れが発生しない
C:導電性多孔質層に割れが発生する
と判断した。結果を表1に示す。
11 第1導電性多孔質層
12 第2導電性多孔質層
13 導電性多孔質基材
2 電池用部材
21 セパレータ
3 電池用膜−電極接合体
31 触媒層−電解質膜積層体
311 電解質膜
312 触媒層
4 電池
Claims (15)
- 導電性炭素材料と、酸変性ポリオレフィン樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、及びアルコール性水酸基を有する変性ポリオレフィン樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種とを含む第1導電性多孔質層を備える電池用ガス拡散層。
- 前記第1導電性多孔質層と接するように、導電性炭素材料及び高分子重合体を含む第2導電性多孔質層が積層されている、請求項1に記載の電池用ガス拡散層。
- 前記第2導電性多孔質層に含まれる前記高分子重合体は、フッ素樹脂である、請求項2に記載の電池用ガス拡散層。
- 前記第1導電性多孔質層と接するように導電性多孔質基材が積層されている、請求項1〜3のいずれかに記載の電池用ガス拡散層。
- 触媒層、電解質膜及び触媒層が順次積層された触媒層−電解質膜積層体の片面又は両面に、請求項1〜3のいずれかに記載の電池用ガス拡散層が、前記第1導電性多孔質層が最外層となるように積層されている、電池用膜−電極接合体。
- 触媒層、電解質膜及び触媒層が順次積層された触媒層−電解質膜積層体の片面又は両面に、請求項4に記載の電池用ガス拡散層が、前記導電性多孔質基材が最外層となるように積層されている、電池用膜−電極接合体。
- 請求項5に記載の電池用膜−電極接合体の最外層である前記第1導電性多孔質層と接するように、さらにセパレータが積層されている、電池。
- 請求項6に記載の電池用膜−電極接合体の最外層である前記導電性多孔質基材と接するように、さらにセパレータが積層されている、電池。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の電池用ガス拡散層の前記第1導電性多孔質層と接するように、セパレータが積層されている、電池用部材。
- 電池用ガス拡散層の製造方法であって、
(I)基材上に、導電性炭素材料と、酸変性ポリオレフィン樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、及びアルコール性水酸基を有する変性ポリオレフィン樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種とを含む第1導電性多孔質層形成用組成物を用いて第1導電性多孔質層を形成する工程、及び
(II)前記第1導電性多孔質層から基材を剥離する工程
を備える、電池用ガス拡散層の製造方法。 - さらに、前記工程(II)の後に、
(III)前記第1導電性多孔質層の上に、導電性炭素材料及び高分子重合体を含む第2導電性多孔質層形成用組成物を用いて第2導電性多孔質層を形成する工程
を備える、請求項10に記載の電池用ガス拡散層の製造方法。 - さらに、前記工程(I)と工程(II)との間に、
(III)前記第1導電性多孔質層の上に、導電性炭素材料及び高分子重合体を含む第2導電性多孔質層形成用組成物を用いて第2導電性多孔質層を形成する工程
を備える、請求項10に記載の電池用ガス拡散層の製造方法。 - さらに、
(IV)導電性多孔質基材を前記第1導電性多孔質層に接するように積層する工程
を備える、請求項10又は11に記載の電池用ガス拡散層の製造方法。 - さらに、前記工程(II)の後に、
(IV)導電性多孔質基材を前記第1導電性多孔質層に接するように積層する工程
を備える、請求項12に記載の電池用ガス拡散層の製造方法。 - (1)請求項10〜12のいずれかに記載の製造方法により、少なくとも、第1導電性多孔質層を備える電池用ガス拡散層を準備する工程、及び
(2)セパレータを前記第1導電性多孔質層に接するように積層する工程
を備える、電池用部材の製造方法。
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