JP2006228514A - 燃料電池用ガス拡散層の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 導電性に優れかつ均一な厚さを有する燃料電池用ガス拡散層の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 導電性多孔質層とカーボン層とを有する燃料電池用ガス拡散層の製造方法であって、カーボン粒子とフッ素樹脂とを含むスラリーを、前記フッ素樹脂のガラス転移温度以上の融点を有する基材シート上に、塗布および乾燥させてカーボン層前駆体を得た後、前記カーボン層前駆体を前記フッ素樹脂のガラス転移温度以上かつ分解温度未満の温度で焼成することにより、前記基材シート上に前記カーボン層を作製する工程と、前記カーボン層と前記導電性多孔質層とを接合した後、前記基材シートを除去する工程と、を含む燃料電池用ガス拡散層の製造方法により上記課題を解決する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、燃料電池用ガス拡散層の製造方法に関し、より詳細には均一な厚さを有しかつ導電性に優れる燃料電池用ガス拡散層の製造方法に関する。
近年、エネルギー・環境問題を背景とした社会的要求や動向と呼応して、常温でも作動し高出力密度が得られる燃料電池が電気自動車用電源、定置型電源として注目されている。燃料電池は、電極反応による生成物が原理的に水であり、地球環境への悪影響がほとんどないクリーンな発電システムである。燃料電池には、固体高分子型燃料電池(PEFC)、リン酸型燃料電池(PAFC)、アルカリ型燃料電池(AFC)、固体酸化物型燃料電池(SOFC)、溶融炭酸塩型燃料電池(MCFC)などがある。なかでも、固体高分子型燃料電池は、比較的低温で作動して高出力密度が得られることから、電気自動車用電源として期待されている。
固体高分子型燃料電池の構成は、一般的には、膜−電極接合体(以下、「MEA」とも記載する。)をセパレータで挟持した構造となっている。MEAは、固体高分子電解質膜が一対のガス拡散電極により挟持されてなるものである。また、ガス拡散電極は、カーボン担体に触媒粒子が担持されてなる電極触媒と固体高分子電解質とを含む電極触媒層とガス拡散層とを有し、MEAにおいて前記電極触媒層の片面が固体高分子電解質膜に接触して配置される。
前記燃料電池では、以下のような電気化学的反応が進行する。まず、アノード側に供給された燃料ガスに含まれる水素は、触媒粒子により酸化され、プロトンおよび電子となる。次に、生成したプロトンは、アノード側電極触媒層に含まれる固体高分子電解質、さらにアノード側電極触媒層と接触している固体高分子電解質膜を通り、カソード側電極触媒層に達する。また、アノード側電極触媒層で生成した電子は、アノード側電極触媒層を構成しているカーボン担体、さらにアノード側電極触媒層の固体高分子電解質膜と異なる側に接触しているガス拡散層、ガスセパレータおよび外部回路を通してカソード側電極触媒層に達する。そして、カソード側電極触媒層に達したプロトンおよび電子はカソード側に供給されている酸化剤ガスに含まれる酸素と反応し水を生成する。燃料電池では、上述した電気化学的反応を通して、電気を外部に取り出すことが可能となる。
前記電気化学的反応は、主に、電極触媒層において、触媒粒子と、固体高分子電解質と、酸化剤ガスまたは燃料ガスとが接触する三相界面において進行する。従って、三相界面の形成量を多くして高い発電量を得るためには、電極反応により生じた水分を電極触媒層から排出させるとともに、外部から供給されたガスを電極触媒層へ均一に拡散させて供給することが必要とされる。そのため、従来では、ガス拡散層を電極触媒層と隣接して配置し、ガス拡散層を介して電極触媒層へ酸化剤ガスまたは燃料ガスが供給される。
例えば、特許文献1には、PTFE多孔体フィルムの一側に触媒層を配置し、他側に拡散層を配置したガス拡散電極が開示されている。前記拡散層としては、特許文献1の製造例2においては、カーボン粒子とフッ素樹脂とからなるカーボン層が用いられている。前記ガス拡散電極は、絶縁材料からなるPTFE多孔体フィルムに触媒層および拡散層を配置した後に加圧成形することにより作製され、前記樹脂膜の空孔中に導電性粉末が入り込み、前記樹脂膜が導電性および撥水性を発揮することが可能となる。
また、従来では、カーボンペーパなどからなる導電性多孔質層上に、カーボン粒子とフッ素樹脂とからなるカーボン層を有するガス拡散層も用いられている。かような構成とすることにより、導電性およびガス拡散性に優れるガス拡散層が得られる。前記ガス拡散層の作製方法としては、カーボン粒子とフッ素樹脂とを含むスラリーを導電性多孔質層上に塗布および乾燥させる方法、カーボン粒子とフッ素樹脂とを含むスラリーを一度乾燥させ粉砕することで粉体にし、これを前記基材上に塗布する方法などが用いられている。
特公平04−65498号公報
特許文献1において拡散層として用いられるカーボン粒子およびフッ素樹脂からなるカーボン層は、撥水性樹脂がバインダとなってカーボン粒子が集合体となり多孔質構造を有し、外部から供給されたガスを拡散させるのに優れる。しかしながら、前記カーボン層は、優れたガス拡散性を得るために厚さを10〜50μm程度と非常に薄くする必要があり、PTFE多孔体フィルムなどの基材が無ければ形成が困難である。PTFEは非導電性であるため、PTFE多孔体フィルムをガス拡散電極の一部として用いる場合には、特許文献1によってもガス拡散電極の電気抵抗を増加させ、結果として燃料電池の発電性能を低下させる恐れがある。
さらに、PTFE多孔体フィルムや導電性多孔質層上にカーボン層を作製する従来のガス拡散層の製造方法では、PTFE多孔体フィルムまたは導電性多孔質層が有する空隙中に前記スラリーまたは前記粉体が入り込む現象が見られる。これにより、カーボン層の厚さを均一にするのが困難となり、電極触媒層とカーボン層との接触性が低下して、発電性能の低下を招く恐れがあった。
燃料電池には、実用化に向けて更なる高出力化の達成が所望されている。そこで、本発明が目的とするところは、導電性に優れかつ均一な厚さを有する燃料電池用ガス拡散層の製造方法を提供することである。
本発明は、導電性多孔質層とカーボン層とを有する燃料電池用ガス拡散層の製造方法であって、カーボン粒子とフッ素樹脂とを含むスラリーを、前記フッ素樹脂のガラス転移温度以上の融点を有する基材シート上に、塗布および乾燥させてカーボン層前駆体を得た後、前記カーボン層前駆体を前記フッ素樹脂のガラス転移温度以上かつ分解温度未満の温度で焼成することにより、前記基材シート上に前記カーボン層を作製する工程と、前記カーボン層と前記導電性多孔質層とを接合した後、前記基材シートを除去する工程と、を含む燃料電池用ガス拡散層の製造方法により上記課題を解決する。
本発明によれば、導電性に優れかつ均一な厚さを有する燃料電池用ガス拡散層の製造方法を提供することが可能となる。前記ガス拡散層によれば、高い発電性能を有する燃料電池を提供することが可能となる。
本発明の第一は、上述した通り、導電性多孔質層とカーボン層とを有する燃料電池用ガス拡散層の製造方法であって、カーボン粒子とフッ素樹脂とを含むスラリーを、前記フッ素樹脂のガラス転移温度以上の融点を有する基材シート上に、塗布および乾燥させてカーボン層前駆体を得た後、前記カーボン層前駆体を前記フッ素樹脂のガラス転移温度以上かつ分解温度未満の温度で焼成することにより、前記基材シート上に前記カーボン層を作製する工程と、前記カーボン層と前記導電性多孔質層とを接合した後、前記基材シートを除去する工程と、を含む燃料電池用ガス拡散層の製造方法である。
従来では、カーボン層は、カーボン粒子とフッ素樹脂とを含むスラリーを用いて、PTFE多孔体フィルムまたは導電性多孔質層上などに直接塗布および乾燥することにより作製されていた。これに対して、本発明の方法は、前記スラリーを用いて所定の特性を有する基材シート上にカーボン層を作製した後、前記カーボン層を導電性多孔質層上に転写することを特徴とする。このように、カーボン層を前記基材シート上で別途作製することにより、前記スラリーなどが導電性多孔質層の空隙内に入り込む現象を防止することができ、極めて均一な厚さを有するカーボン層が得られる。従って、本発明によれば、PTFE多孔体フィルムなどを用いないことから導電性に優れかつ均一な厚さを有するガス拡散層が得られるのである。
以下、本発明の方法を順を追って説明する。
前記スラリーは、カーボン粒子とフッ素樹脂とを、水、パーフルオロベンゼン、ジクロロペンタフルオロプロパン、メタノール、エタノール等の有機溶媒などの溶媒中に分散させることにより調製できる。
前記カーボン粒子としては、従来のガス拡散層におけるカーボン粒子として一般的に用いられているものであれば特に制限されない。具体的には、カーボンブラック、黒鉛、カーボンナノチューブなどが挙げられる。なかでも、電子伝導性に優れ、比表面積が大きいことから、オイルファーネスブラック、チャネルブラック、ランプブラック、サーマルブラック、アセチレンブラックなどのカーボンブラックが好ましく挙げられる。またカーボンブラックのほか、天然の黒鉛、ピッチ、コークス、ポリアクリロニトリル、フェノール樹脂、フラン樹脂などの有機化合物から得られる人工黒鉛や炭素などがある。
前記カーボン粒子は、市販品を用いることができ、キャボット社製バルカンXC−72、バルカンP、ブラックパールズ880、ブラックパールズ1100、ブラックパールズ1300、ブラックパールズ2000、リーガル400、ライオン社製ケッチェンブラックEC、三菱化学社製#3150、#3250などのオイルファーネスブラック;電気化学工業社製デンカブラックなどのアセチレンブラック等が挙げられる。
前記カーボン粒子の一次粒子径は、10〜100nm程度とするのがよい。これにより得られるガス拡散層は、電極触媒層との接触性が向上するだけでなく、毛細管力によって電極触媒層中の余分な水分を排水することが可能となる。
前記スラリーにおけるカーボン粒子の含有量は、特に制限されないが、スラリーの質量に対して、5〜30質量%程度とするのが望ましい。これにより、前記スラリーにおけるカーボン粒子の高い分散性が得られる。
次に、フッ素樹脂としては、従来のガス拡散層において一般的に用いられているものであれば特に制限されない。具体的には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリヘキサフルオロプロピレン(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)などが挙げられる。これらのフッ素樹脂は、撥水性、電極反応時の耐腐食性などに優れる。
前記スラリーにおけるフッ素樹脂の含有量は、特に制限されないが、スラリーの質量に対して、1〜25質量%程度とするのが望ましい。
また、前記スラリーにおけるカーボン粒子とフッ素樹脂の混合比は、得られるカーボン層が所望の特性を有するように適宜決定すればよいが、カーボン粒子が多過ぎると期待するほど撥水性を有するガス拡散層が得られない恐れがあり、フッ素樹脂が多過ぎると十分な電子伝導性を有するガス拡散層が得られない恐れがある。これらを考慮して、前記スラリーにおけるカーボン粒子とフッ素樹脂との混合比は、質量比で、90:10〜40:60、好ましくは80:20〜50:50程度とするのがよい。
前記スラリーには、分散剤として界面活性剤、pH調整剤などがさらに含まれていてもよい。
前記界面活性剤としては、Triton X−100(ACROS ORGANICS社製)等のオクチルフェノキシポリエトキシエタノール、アルキルエーテル、アルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等の非イオン性界面活性剤などが用いられる。前記スラリーにおける界面活性剤の含有量は、スラリーの質量に対して、1〜8質量%程度とすればよい。これによりスラリーにおけるカーボン粒子の分散性を向上させることができる。
また、上述したスラリーは、フッ素樹脂の水性ディスパージョン溶液またはアルコールディスパージョン溶液に、カーボン粒子を分散させることによっても得られる。乾燥時の排ガス処理の容易さからは、フッ素樹脂の水性ディスパージョン溶液を用いるのが好ましい。
さらに上述したスラリーを、基材シート上に塗布する前にさらに固形分濃度を高める濃縮工程を経ることが望ましい。濃縮させたスラリーを前記基材シート上に塗布することにより一度の塗布で、例えば10μm以上の膜厚を安定的に得られるという効果がもたらされる。
次に、本発明において、上述したスラリーは、融点がフッ素樹脂のガラス転移温度以上である基材シート上に塗布する。前記基材シートを用いることにより、塗布したスラリーをフッ素樹脂のガラス転移温度以上で焼成でき、前記基材シート上でフッ素樹脂が軟化することにより、得られるカーボン層の厚さをより均一にさせるとともに、カーボン粒子同士を融着させてカーボン層の構造をより安定させることができる。
フッ素樹脂のガラス転移温度として一例を示すと、PTFEが327℃、PVDFが174℃、PFAが305℃、FEPが270℃である。従って、基材シートは、融点が、好ましくは350℃以上、より好ましくは400℃以上であるものを用いるのがよい。
前記基材シートとして、具体的には、金属薄膜を用いるのが好ましい。前記金属薄膜は、アルミニウム、ステンレス、銅、スズ、亜鉛、銀、ニッケルからなる群から選択される少なくとも1種の金属からなるものが好ましく挙げられ、なかでもアルミニウムが特に好ましい。かような金属薄膜を用いることによりカーボン層と導電性多孔質層とを接合した後、基材シートを容易に除去できる。また、前記金属薄膜の厚さは、除去の容易さを考慮すると、好ましくは10〜30μm、より好ましくは10〜15μmのものを用いるのがよい。
前記基材シートは、上述したものの他、ステンレス、銅からなる金属薄膜であってもよいが、電極触媒層に用いられる貴金属触媒の触媒毒となる恐れがあるため、ステンレス、銅などは基材シートとして用いない方が望ましい。また、フッ素樹脂のガラス転移温度以上の融点を有すればよいことから、前記基材シートは、カプトンなどからなる樹脂シートであってもよい。
前記基材シート上に前記スラリーを塗布する方法は、前記スラリーの濃度を適宜調整することにより、フローコーティング法、スプレー法、スクリーン印刷法、ドクターブレード法など公知の方法を用いて行えばよい。また、得られるカーボン層が所望の厚さを有するように、前記スラリーの濃度、塗布回数、塗布スピードなどを調整するとよい。
塗布したスラリーを乾燥させるには、自然乾燥、加熱板上での乾燥、赤外線照射による乾燥、ホットロール上で赤外線照射による乾燥、凍結乾燥、減圧乾燥、ドライエアによる乾燥、電磁波照射による乾燥など公知の方法を用いて行えばよい。
自然乾燥、減圧乾燥、ドライエアによる乾燥では10〜250℃、30分〜1時間程度で乾燥させるのが望ましい。
また、加熱板上での乾燥、赤外線照射による乾燥、ホットロール上で赤外線照射による乾燥、電磁波照射による乾燥では、60秒以内で乾燥させるのが望ましい。これらの乾燥手段によれば乾燥に要する時間を短縮できる。乾燥温度は、使用した界面活性剤の曇点以上の温度が好ましく、より好ましくは80〜250℃で行う。
上述の通りスラリーを塗布および乾燥させることにより、基材シート上にカーボン層前駆体が形成される。
前記カーボン層前駆体は、得られるカーボン層の厚さの均一性をより向上させるために、PETフィルムやPTFEフィルムなどの離型フィルムを介してプレスしても良い。
プレス温度は、室温程度であればよく特に制限されないが、10〜25℃程度で行えばよい。プレス圧力は、カーボン層の面に対して、0.5〜2MPa程度とするのがよい。前記圧力が、0.5MPa未満であるとプレスによる効果が所望するほど得られない恐れがあり、2MPaを超えると得られるカーボン層の空隙率を低下させる恐れがある。また、プレスする時間は、1〜3分程度行えばよい。
また、前記カーボン層前駆体は、有機溶媒を用いて洗浄するのが望ましい。界面活性剤などの不純物は後述する焼成によっても除去できるが、前記洗浄を行うことによってより確実に不純物を除去することができ、得られるカーボン層の撥水性などを向上させることが可能となる。
前記有機溶媒には、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロピルアルコール、2−プロパノール、t−ブタノール、ベンゼン、トルエン、キシレン、アセトン、二塩化エチレン等の塩素系溶剤などの界面活性剤が溶解するものであれば使用可能である。前記有機溶媒は、水などの溶媒を用いて所定の濃度に調製してもよい。
前記洗浄は、前記カーボン層前駆体を有機溶媒に浸漬させる、ソックスレー抽出器で抽出するなどして行えばよい。また、前記カーボン層前駆体を有機溶媒に浸漬させている間、ホモジナイザー、超音波分散機などの適当な攪拌手段を用いて、前記溶液を攪拌させてもよく、浸漬を繰り返して行ってもよい。
次に、本発明の方法では、上記の通りにして乾燥させたスラリーを、前記フッ素樹脂のガラス転移温度以上かつ分解温度未満で焼成する。
前記フッ素樹脂の分解温度として一例を示すと、PTFEが400℃、PVDFが250℃、PFAが370℃、FEPが330℃である。また、前記フッ素樹脂のガラス転移温度については、上記した通りである。
従って、乾燥させたスラリーの焼成温度は、前記フッ素樹脂のガラス転移温度以上かつ分解温度未満であるが、好ましくは320〜400℃、より好ましくは350〜380℃である。前記温度で焼成を行うことにより、基材シートは溶解せずに初期の形状を維持したまま、乾燥させたスラリー中のフッ素樹脂のみが軟化してカーボン粒子同士を結着させて安定した構造を有するカーボン層が得られるとともに、カーボン層の基材シートと接する面は極めて平滑な面とすることができ、カーボン層の厚さをより均一にすることができる。
焼成時間などは、所望するカーボン層が得られるように適宜決定すればよいが、1〜4時間程度であればよい。また、前記焼成は、窒素雰囲気下、水素雰囲気下などで行うのがより好ましい。
次に、基材シート上に得られたカーボン層を、導電性多孔質層上に転写する。
前記導電性多孔質層は、電極反応により生じた電子を外部へと伝導させるための導電性と、外部から供給されたガスを均一に拡散させるための多孔質性を有するシート状材料であり、従来のガス拡散層において一般的に用いられているものであれば特に制限なく用いられる。具体的には、炭素製の織物、紙状抄紙体、フェルト、不織布といった導電性及び多孔質性を有するシート状材料などの基材からなるものが挙げられる。より具体的には、カーボンペーパ、カーボンクロス、カーボン不織布などが好ましく挙げられる。前記導電性多孔質層は、市販品を用いることもでき、例えば、東レ株式会社製カーボンペーパTGPシリーズ、E−TEK社製カーボンクロスなどが挙げられる。
導電性多孔質層の厚さは、得られるガス拡散層の特性を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは100〜300μm程度とするのがよい。前記厚さが、100μm未満であると十分なガス拡散性が得られない恐れがあり、300μmを超えると厚すぎてガス拡散性が低下する恐れがある。
前記導電性多孔質層の空隙率は、特に制限されないが、好ましくは70〜90体積%とするのがよい。また、前記導電性多孔質層における平均空孔径は、好ましくは1〜30μm、より好ましくは5〜20μmとするのがよい。これによりガス拡散性および機械的強度に優れるガス拡散層が得られる。
前記導電性多孔質層は、撥水性をより高めてフラッディング現象などを防ぐために、予め撥水剤が含まれているのが好ましい。前記撥水剤としては、特に限定されないが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)などのフッ素樹脂の他、ポリプロピレン、ポリエチレンなどが挙げられる。
前記導電性多孔質層に撥水剤を含有させる場合には、一般的な撥水処理方法を用いて行えばよい。撥水剤の水性ディスパージョン溶液またはアルコールディスパージョン溶液に、前記導電性多孔質層を浸漬した後、オーブン等で加熱乾燥させる方法などが挙げられる。乾燥時の排ガス処理の容易さからは、撥水剤の水性ディスパージョン溶液を用いるのが好ましい。
カーボン層を前記導電性多孔質層上に転写するには、前記基材シート上に形成されたカーボン層と前記導電性多孔質層とを接合した後に、基材シートを剥がす方法などを用いて行うのが好ましい。
前記カーボン層と前記導電性多孔質層との接合は、ホットプレス法を用いて行うのが好ましい。具体的には、カーボン層が形成された基材シートを、カーボン層を内側にして、前記導電性多孔質層上に積層させてホットプレスする方法である。前記方法により、カーボン層を導電性多孔質層上に容易に転写することができる。
ホットプレスする際の温度は、フッ素樹脂のガラス転移温度以上が好ましい。これにより導電性多孔質層上に高い転写率でカーボン層を転写することができる。
また、ホットプレスは、カーボン層の面に対して1〜5MPa程度のプレス圧力で行うのがよい。
上述の通り、カーボン層と前記導電性多孔質層とを接合した後は、基材シートを除去する。前記除去方法としては、基材シートのみを物理的に引き剥がす方法などを用いて行えばよい。これにより、導電性多孔質層上にカーボン層が形成されたガス拡散層が得られる。
本発明の方法では、前記基材シートを除去する方法として、機械的剥離または化学的溶解液を用いて前記基材シートを溶解除去させる方法を用いる。前記方法によれば、より高い転写率でカーボン層を導電性多孔質層上に転写することができ、より均一な厚さを有するカーボン層が得られる。また、基材シートとして、上述した金属薄膜を用いることにより、容易に基材シートの溶解除去が行える。
前記化学的溶解液に用いられるものとしては、KOH、NaOH、硫酸、過マンガン酸カリウム、硝酸、塩素酸塩、過硫酸塩、過硼酸塩、過炭酸塩、過酸化水素などが挙げられる。前記化学的溶解液における、KOHなどの濃度は、水に対して、好ましくは5〜20質量%、より好ましくは10〜15質量%とするのがよい。前記濃度が、5質量%未満であると基材シートの溶解除去が十分に行われない恐れがあり、20質量%を超えると溶解速度が大きくカーボン層が壊れる恐れがある。浸漬させる時間は、基材シートが完全に除去されるまで適宜調整すればよいが、1〜3時間程度で十分である。
化学的溶解液を用いて前記基材シートを溶解除去させるには、前記化学的溶解液中に、導電性多孔質層とカーボン層と基材シートとの積層体を所定時間、浸漬させればよい。これにより、前記基材シートが溶解し、導電性多孔質層とカーボン層とからなるガス拡散層が得られる。前記化学的溶解液に浸漬させるのは、前記積層体の基材シート部のみであってもよい。また、浸漬させている間、ホモジナイザー、超音波分散機などの適当な攪拌手段を用いて、前記化学的溶解液を攪拌させてもよい。
上述した方法により得られるカーボン層の厚さは、得られるガス拡散層の特性を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは5〜100μm、より好ましくは20〜50μmとするのがよい。前記厚さが、5μm未満であると十分なガス拡散性が得られない恐れがあり、100μmを超えると厚すぎてガス拡散性が低下する恐れがある。
前記カーボン層の空隙率は、特に制限されないが、好ましくは40〜80体積%、より好ましくは50〜70体積%とするのがよい。また、前記カーボン層における平均空孔径は、好ましくは0.05〜5μm、より好ましくは0.1〜0.8μmとするのがよい。これによりガス拡散性および機械的強度に優れるガス拡散層が得られる。
このようにカーボン層が所望の厚さ、空隙率などが得られるようにするためには、スラリーにおけるカーボン粒子とフッ素樹脂との混合比、スラリーの塗布厚さなどを調整するとよい。
上述した通り、本発明の方法によれば、均一な厚さを有するガス拡散層が得られる。また、前記ガス拡散層は、PTFEからなる多孔質フィルムなどを用いないため高い導電性を有する。前記ガス拡散層を燃料電池用MEAに用いれば、カーボン層と電極触媒層との接触率が高く、発電性能に優れる燃料電池用MEAが得られる。
本発明の第二は、上述した方法により得られた燃料電池用ガス拡散層を用いた燃料電池用MEAである。すなわち、カソード側電極触媒層およびアノード側電極触媒層が、固体高分子電解質膜の両面に対向して配置され、さらにこれを二枚のガス拡散層が挟持した燃料電池用MEAにおいて、前記ガス拡散層の少なくとも一方が、本発明の第一の方法により得られた燃料電池用ガス拡散層である燃料電池用MEA(以下、単に「MEA」とも記載する。)である。
本発明の第一の方法により得られたガス拡散層は、カーボン層と電極触媒層とが接触するように配置するのが好ましい。これにより、電極触媒層に含まれる過剰な水をカーボン層が吸い取り、導電性多孔質層を介して外部へ排出させることができ、電極触媒層内のフラッディング現象を防止することが可能となる。
MEAの構成は、本発明の第一のガス拡散層を用いる以外は、特に限定されることはなく従来公知の各種技術を適宜参照すればよい。従って、アノード側電極触媒層、カソード側電極触媒層、および、固体高分子電解質膜に関する詳細な説明はここでは省略する。
MEAにおいて、本発明の第一のガス拡散層は、アノード側ガス拡散層またはカソード側ガス拡散層のいずれか一方に用いられればよいが、より好ましくはアノード側ガス拡散層およびカソード側ガス拡散層の双方に用いる。これにより、高い発電性能を有するMEAとすることができる。
MEAの製造方法としては、従来公知の方法に従って行えばよい。例えば、固体高分子電解質膜の両側に電極触媒層を作製し、これを二枚のガス拡散層を用いて挟持する方法などである。
本発明の第三は、上述したMEAを用いた燃料電池である。上述したMEAによれば、高い発電性能を有する燃料電池を提供することが可能となり、前記燃料電池は定置型電源の他、車両などの移動体型電源として非常に有用である。
燃料電池の構造は、特に限定されず、MEAをセパレータなどで挟持した構造などが挙げられる。
セパレータは、空気と燃料ガスとを分離する機能を有するものであり、従来一般的なものであれば特に制限なく用いることができる。前記セパレータとしては、緻密カーボングラファイト、炭素板等のカーボン製や、ステンレス等の金属製のものなど、従来公知のものを特に制限なく用いることができる。また、空気と燃料ガスの流路を確保するためにガス流通溝が形成されてもよく、従来公知の技術を適宜利用することができる。セパレータの形状は、特に限定されず、得られる燃料電池の出力特性などを考慮して適宜決定すればよい。
さらに、燃料電池が所望する電圧等を得られるように、セパレータを介してMEAを複数積層して直列に繋いだスタックを形成してもよい。燃料電池の形状などは、特に限定されず、所望する電圧などの電池特性が得られるように適宜決定すればよい。
以下、本発明を実施例を用いてより具体的に説明する。なお、下記実施例は本発明の好ましい一実施形態を示したものであり、本発明が下記実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
界面活性剤としてTriton−X100を3質量%含む水溶液1000mlに、カーボンブラック(デンカ社製、AB−6)100gを投入して攪拌した後、ジェットミルにて20分混合することにより、前記カーボンブラックの平均粒子径が500nm以下となるまで分散させた。次に、得られた分散液に、PTFEディスパージョン溶液(旭硝子株式会社製 フルオンAD911、PTFE60wt%含有)を、PTFEとカーボンブラックが質量比で40:60となるように添加して混合することによりスラリーを得た。
前記スラリーを、アルミニウム箔(厚さ12μm)にスプレー装置を用いて塗布し、80℃で1時間乾燥させ、この塗布および乾燥を5回繰り返すことにより、前記アルミニウム箔上に厚さ30μmのカーボン層前駆体を作製した。得られたカーボン層前駆体上に、テフロン(登録商標)シート(厚さ200μm)を積層させ、プレス機を用いてカーボン層面に対して0.5MPaで1分間プレスした後、前記テフロン(登録商標)シートのみを剥がした。次に、カーボン層前駆体が形成されたアルミニウム箔を、イソプロピルアルコールに1時間浸漬させた後、一度引き上げ、イソプロピルアルコールに再度浸漬させ、この操作を3回繰り返した後、風乾により乾燥させた。前記カーボン層前駆体が形成されたアルミニウム箔を、大気雰囲気下、360℃で、2時間焼成することにより、アルミニウム箔上にカーボン層を得た。
前記カーボン層が形成されたアルミニウム箔を、カーボンペーパ(東レ株式会社製、TPG−4060、厚さ300μm)を100mm×100mmに打ち抜いた導電性多孔質層上に前記カーボン層が内側となるようにして積層した後、380℃、カーボン層面に対して2MPaで1分間ホットプレスした後、前記アルミニウム箔のみを引き剥がすことにより導電性多孔質層上にカーボン層(厚さ20μm、大きさ100mm×100mm、空隙率55体積%、平均空孔径0.1μm)が形成されたガス拡散層を得た。この時、アルミニウム箔から導電性多孔質層へのカーボン層の転写率は、100%であった。
(実施例2)
実施例1と同様にして調整したスラリーを、アルミニウム箔(厚さ12μm)にスプレー装置を用いて塗布し、80℃で1時間乾燥させ、この塗布および乾燥を3回繰り返すことにより、前記アルミニウム箔上に厚さ15μmのカーボン層前駆体を作製した。得られたカーボン層前駆体上に、テフロン(登録商標)シート(厚さ200μm)を積層させ、プレス機を用いてカーボン層面に対して0.5MPaで1分間プレスした後、前記テフロン(登録商標)シートのみを剥がした。次に、カーボン層前駆体が形成されたアルミニウム箔を、イソプロピルアルコールに1時間浸漬させた後、一度引き上げ、イソプロピルアルコールに再度浸漬させ、この操作を3回繰り返した後、風乾により乾燥させた。前記カーボン層前駆体が形成されたアルミニウム箔を、大気雰囲気下、360℃で、2時間焼成することにより、アルミニウム箔上にカーボン層を得た。
前記カーボン層が形成されたアルミニウム箔を、カーボンペーパ(東レ株式会社製、TPG−4060、厚さ300μm)を100mm×100mmに打ち抜いた導電性多孔質層上に前記カーボン層が内側となるようにして積層した後、380℃、カーボン層面に対して2MPaで1分間ホットプレスした。次に、得られた積層体を、15質量%NaOH水溶液に浸漬させ、25℃、3時間放置することにより、アルミニウム箔を溶解除去した後に引き上げ、水洗および乾燥させることにより、導電性多孔質層上にカーボン層(厚さ10μm、大きさ100mm×100mm、空隙率56体積%、平均空孔径0.1μm)が形成されたガス拡散層を得た。この時、アルミニウム箔から導電性多孔質層へのカーボン層の転写率は、100%であった。
(実施例3)
アルミニウム箔に代わって銅箔を用い、10質量%過硫酸アンモニウムを用いて前記銅箔を溶解除去した以外は、実施例2と同様にして、導電性多孔質層上にカーボン層が形成されたガス拡散層を得た。
(実施例4)
界面活性剤としてTriton−X100を4質量%含む水溶液1000mlに、カーボンブラック(デンカ社製、商品名AB−6)100gを投入して攪拌した後、ジェットミルにて20分混合することにより、前記カーボンブラックの平均粒子径が450nm以下となるまで分散させた。次に、得られた分散液に、PTFEディスパージョン溶液(旭硝子社製 商品名フルオンAD911、PTFE60wt%含有)を、PTFEとカーボンブラックが質量比で40:60となるように添加して混合することによりスラリーを得た。このスラリーを70℃±0.1℃のウォーターバスに1日浸漬してスラリーを層分離させてPTFEとカーボンの合計質量がスラリー質量に対して45%となる濃縮スラリーを得た。前記濃縮スラリーを、平らな定盤上に水で接着させたアルミニウム箔(厚さ12μm)上にベーカーアプリケーター(株式会社井元製作所製)を用いて所定量塗布した。
上記方法と同様にして、前記アルミニウム箔上に前記濃縮スラリーを塗布したものを複数用意し、100℃のホットプレート上で16秒、150℃のホットプレート上で13秒、赤外線ランプ照射(スラリー表面温度70℃)で50秒、150℃のホットロールと赤外線ランプ照射の併用で約4秒、と各種条件でそれぞれの前記濃縮スラリーを乾燥させ、各アルミニウム箔上に厚さ20μmのカーボン層前駆体を作製した。得られたカーボン層前駆体はいずれも平滑性に優れており、しかも上記加熱条件においては短時間で得られるという優れた効果も示した。
次いでカーボン層前駆体をアルミニウム箔ごと360℃の電気炉中に設置して界面活性剤を熱分解させて各アルミニウム箔上にカーボン層を得た。
前記カーボン層が形成された各アルミニウム箔を、カーボンペーパ(東レ社製、商品名TPG−4060、厚さ300μm)を100mm×100mmに打ち抜いた導電性多孔質層上に前記カーボン層が内側となるようにして積層した後、360℃、カーボン層面に対して約1.8MPaで1分30秒間ホットプレスした。次に、得られた各積層体を、15質量%NaOH水溶液に浸漬させ、25℃、3時間放置することにより、アルミニウム箔を溶解除去した後に引き上げ、水洗および乾燥させることにより、導電性多孔質層上にカーボン層(厚さ20μm、大きさ100mm×100mm、空隙率55体積%、平均空孔径0.1μm)が形成されたガス拡散層を得た。この時、アルミニウム箔から導電性多孔質層へのカーボン層の転写率は、いずれも100%であった。
上記実施例1〜4においていずれも平滑性に優れたカーボン層が得られ、また所望の空隙率、均一な厚さを有しかつ導電性に優れる燃料電池用ガス拡散層を製造することができた。
本発明の方法により得られるガス拡散層によれば、高い発電性能を有する燃料電池を提供することができる。

Claims (10)

  1. 導電性多孔質層とカーボン層とを有する燃料電池用ガス拡散層の製造方法であって、
    カーボン粒子とフッ素樹脂とを含むスラリーを、前記フッ素樹脂のガラス転移温度以上の融点を有する基材シート上に、塗布および乾燥させてカーボン層前駆体を得た後、前記カーボン層前駆体を前記フッ素樹脂のガラス転移温度以上かつ分解温度未満の温度で焼成することにより、前記基材シート上に前記カーボン層を作製する工程と、
    前記カーボン層と前記導電性多孔質層とを接合した後、前記基材シートを除去する工程と、を含む燃料電池用ガス拡散層の製造方法。
  2. 前記スラリーは、基材シート上に塗布する前にさらに固形分濃度を高める濃縮工程を経る請求項1記載の燃料電池用ガス拡散層の製造方法。
  3. 前記スラリーを塗布した基材シートの乾燥工程は、加熱板上での乾燥、赤外線照射による乾燥、ホットロール上で赤外線照射による乾燥、電磁波照射による乾燥のいずれかの乾燥手段を用いて60秒以内で乾燥することを特徴とする請求項1または2いずれかに記載の燃料電池用ガス拡散層の製造方法。
  4. 前記基材シートが、金属薄膜である請求項1〜3のいずれかに記載の燃料電池用ガス拡散層の製造方法。
  5. 前記金属薄膜が、アルミニウムからなる請求項4記載の燃料電池用ガス拡散層の製造方法。
  6. 前記基材シートの除去は、機械的剥離または化学的溶解液を用いて前記基材シートを溶解除去することにより行われる請求項1〜5のいずれかに記載の燃料電池用ガス拡散層の製造方法。
  7. 前記カーボン層前駆体を有機溶媒を用いて洗浄する請求項1〜6のいずれかに記載の燃料電池用ガス拡散層の製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれかの方法により得られた燃料電池用ガス拡散層。
  9. 請求項8に記載の燃料電池用ガス拡散層を用いた燃料電池用MEA。
  10. 請求項9に記載の燃料電池用MEAを用いた燃料電池。
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