JP2006324104A - 燃料電池用ガス拡散層、および、これを用いた燃料電池 - Google Patents

燃料電池用ガス拡散層、および、これを用いた燃料電池 Download PDF

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Abstract

【課題】 ガス拡散層に排水性および保湿性を付与する。
【解決手段】 導電性多孔質基材層上に導電性カーボンを含有するカーボン層を有する燃料電池用ガス拡散層において、
前記カーボン層は厚さ方向に向かってガス透過性能が異なる燃料電池用ガス拡散層である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、燃料電池用ガス拡散層に関し、より詳細には、排水性と保湿性とを有する燃料電池用ガス拡散層に関する。
近年、エネルギー・環境問題を背景とした社会的要求や動向と呼応して、常温でも作動し高出力密度が得られる燃料電池が電気自動車用電源、定置型電源として注目されている。燃料電池は、電極反応による生成物が原理的に水であり、地球環境への悪影響がほとんどないクリーンな発電システムである。燃料電池には、固体高分子型燃料電池(PEFC)、リン酸型燃料電池(PAFC)、アルカリ型燃料電池(AFC)、固体酸化物型燃料電池(SOFC)、溶融炭酸塩型燃料電池(MCFC)などがある。なかでも、固体高分子型燃料電池は、比較的低温で作動して高出力密度が得られることから、電気自動車用電源として期待されている。
固体高分子型燃料電池の構成は、一般的には、膜電極接合体(膜電極接合体)をセパレータで挟持した構造となっている。膜電極接合体は、固体高分子電解質膜の両側に二つの電極が配設され、さらにこれをガス拡散層で挟持した構造となっている。電極は、電極触媒と固体高分子電解質との混合物により形成された多孔性のものであり、電極触媒層とも呼ばれる。
固体高分子型燃料電池では、以下のような電気化学的反応などを通して、電気を外部に取り出すことが可能となる。まず、アノード(燃料極)側に供給された燃料ガスに含まれる水素が、触媒粒子により酸化され、プロトンおよび電子となる。次に、生成したプロトンは、アノード側電極触媒層に含まれる固体高分子電解質、さらにアノード側電極触媒層と接触している固体高分子電解質膜を通り、カソード(酸素極)側電極触媒層に達する。また、アノード側電極触媒層で生成した電子は、アノード側電極触媒層を構成している導電性担体、さらにアノード側電極触媒層の固体高分子電解質膜と異なる側に接触しているガス拡散層、セパレータおよび外部回路を通してカソード側電極触媒層に達する。そして、カソード側電極触媒層に達したプロトンおよび電子はカソード側に供給されている酸化剤ガスに含まれる酸素と反応し水を生成する。かような電気化学的反応は、主に、触媒粒子と、固体高分子電解質と、燃料ガスまたは酸化剤ガスなどの反応ガスと、が接触する三相界面において進行するのである。従って、ガス拡散層は、供給された反応ガスを電極触媒層へと均一に供給することが必要とされる。
また、燃料電池における固体高分子電解質膜は、湿潤していないと高いプロトン導電性を示さない。そのため、固体高分子型燃料電池に供給する反応ガスは、ガス加湿装置などを用いて加湿することにより、固体高分子電解質膜の湿度分布を均一にする必要がある。
高加湿、高電流密度などの運転条件下では、アノードからカソードに向けて固体高分子電解質膜を移動するプロトンに伴って移動する水の量、およびカソード側電極触媒層内に生成して凝集する生成水の量が増加する。この時、これらの生成水は、特にカソード側電極触媒層内に滞留し、反応ガス供給路となっていた細孔を閉塞するフラッディング現象を招く。これにより、反応ガスの拡散などが阻害され、電気化学的反応が妨げられ、結果として電池性能の低下を招く。
そこで、従来では、導電性多孔質基材層表面にカーボンブラックおよび疎水剤などからなるカーボン層を有するガス拡散層が膜電極接合体に用いられている(例えば、特許文献1参照。)。前記カーボン層は、疎水剤にコーティングされたカーボンブラックが集合体となり多孔質構造を形成する。従って、加湿して供給された反応ガスをより均一に拡散させることができるだけでなく、過剰な水を毛細管力により吸い取り速やかに排出することが可能となる。また、特許文献2では、気孔径の分布中心が異なる気孔が混在するカーボン層を有するガス拡散層が開示されている。これにより、ガス通路と水通路とを分離し、フラッディング現象を防止している。また、特許文献3では、カーボン層の面方向に撥水性材料および気孔径分布に傾斜を付与したカーボン層を有するガス拡散層が開示されている。
特開2003−89968号公報 特開2001−57215号公報 特開2003−092112号公報
燃料電池には、従来から、広範な運転条件において高い発電性能を維持できることが所望されている。
しかしながら、特許文献1による導電性多孔質基材層上にカーボン層が形成されてなるガス拡散層によれば、ある程度の排水性は向上するが、低加湿および低電流密度などの運転条件下では、生成水も少なく固体高分子電解質膜が乾き易くなり、電池出力が低下する問題があった。
また、特許文献2および特許文献3のガス拡散層によっても、高加湿運転時の排水性を向上させることは可能であるが、十分な保湿性を有しておらず、低加湿運転時などにおいて固体高分子電解質膜の乾燥を十分に抑制することができない問題があった。
そこで、本発明が目的とするところは、排水性と保湿性の双方を兼ね備えたガス拡散層を提供することである。
本発明は、導電性多孔質基材層上に導電性カーボンを含有するカーボン層を有する燃料電池用ガス拡散層において、前記カーボン層は厚さ方向に向かってガス透過性能が異なる燃料電池用ガス拡散層により上記課題を解決する。
上記構成を有する本発明によれば、排水性と保湿性の双方を兼ね備えたガス拡散層を提供することが可能となる。従って、前記ガス拡散層によれば、広範な運転条件下において、高い発電性能を安定して示すことができる燃料電池を提供することが可能となる。
本発明の第一は、導電性多孔質基材層上に導電性カーボンを含有するカーボン層を有する燃料電池用ガス拡散層において、前記カーボン層は厚さ方向に向かってガス透過性能が異なる燃料電池用ガス拡散層である。
本発明において、カーボン層におけるガス透過性能とは、カーボン層におけるガスの移動抵抗を意味する。具体的には、ガーレー試験のガス透過定数である。
カーボン層において、ガス流速が早い部位はガス透過性能が低く、ガス流速が遅い部位はガス透過性能が高い。
図1に膜電極接合体のカソード側のみの模式断面図を示す。図1において、固体高分子電解質膜110の片側に、カソード側電極触媒層120cと、導電性多孔質基材層131c上にカーボン層132cが形成されてなるガス拡散層130cと、が配置されている。かような膜電極接合体において発電を行った場合、電極反応により生成した水分による湿潤な水蒸気がカソード側電極触媒層120cから導電性多孔質基材層130cへ抜ける。一方、外部から導入される酸化剤ガスは、導電性多孔質基材層130cを面方向(矢印a方向)に通過するとともにカソード側電極触媒層120cへ向かって拡散する。導電性多孔質基材層131cを面方向に流れるガスが、カーボン層132c中のガスの流れに影響を与える。すなわち、導電性多孔質基材層131cを面方向に流れるガスは、カーボン層132c中のガスを引きずる効果があり、カーボン層132c中のガス透過性能に影響を与える。
カーボン層132cのガス透過性能が小さい部位では、導電性多孔質基材層131cを面方向に流れるガスによる引きずられる効果が大きいためガス流速が早くなり、水蒸気の排出性が大きくなり、カソード側電極触媒層120cおよびカーボン層132cにおけるフラッディングを防止することができる。これに対して、カーボン層132cのガス透過性能が大きい部位では、導電性多孔質基材層131cを面方向に流れるガスにより引きずられる効果が小さく、水蒸気の排出性が小さくなるため高い保湿性を有し、固体高分子電解質膜110の湿度を保つことができる。
本発明では、ガス拡散層に排水性および保湿性を付与することについて上記知見に基づき種々の検討を行った結果、カーボン層において厚さ方向に向かってガス透過性能を異ならせることで、導電性多孔質基材層を面方向に流れるガスがカーボン層中のガスを引きずる効果により、カーボン層のガス透過性能が小さい部位により排水性が得られ、カーボン層のガス透過性能が大きい部位により保湿性が得られ、排水性と保湿性とに優れるガス拡散層がえら得ることが判明した。これにより、低加湿運転、低電流密度など運転条件下であっても燃料電池における固体高分子電解質膜の乾燥を防止し、高加湿運転、高電流密度などの運転条件下であっても生成水によるフラッディング現象を抑制することが可能となる。
本発明のカーボン層は、上述の通り、少なくとも二種類以上のガス透過性能を有する。
具体的には、カーボン層におけるガス透過性能が小さい部位は、好ましくは1〜10μm/Pa・sec、より好ましくは1〜5μm/Pa・sec、特に好ましくは1〜3μm/Pa・secのガス透過性能を有する。これによりガス拡散層に排水性を付与することができる。
また、カーボン層におけるガス透過性能が大きい部位は、好ましくは50〜100μm/Pa・sec、より好ましくは75〜100μm/Pa・sec、特に好ましくは90〜100μm/Pa・secのガス透過性能を有する。これによりガス拡散層に保湿性を付与することができる。
本発明のカーボン層では、上記した少なくとも二種類のガス透過性能を有するのが望ましい。なお、前記カーボン層におけるガス透過性能は、ガーレー試験(ISO 5636/5)により測定することができる。
前記カーボン層は、好ましくは、厚さ方向に向かってガス透過性能を小さくする。これにより、保湿の効果が得られる。
カーボン層におけるガス拡散性能がカーボン層表面から導電性多孔質基材層に接する面に向かって小さくなる場合、カーボン層表面から厚さ0〜25μmの部分におけるガス透過性能を好ましくは50〜100μm/Pa・sec、より好ましくは75〜100μm/Pa・sec、特に好ましくは90〜100μm/Pa・secとし、これに対して、カーボン層の導電性多孔質基材層と接する面から厚さ0〜25μmの部分におけるガス透過性能を好ましくは1〜10μm/Pa・sec、より好ましくは1〜5μm/Pa・sec、特に好ましくは1〜3μm/Pa・secとし、カーボン層表面から導電性多孔質基材層に接する面に向かってガス透過性能を小さくなるようにするのがよい。
また、カーボン層におけるガス拡散性能がカーボン層の導電性多孔質基材層に接する面からカーボン層表面に向かって小さくする場合には、カーボン層表面から厚さ0〜25μmの部分におけるガス透過性能を好ましくは1〜10μm/Pa・sec、より好ましくは1〜5μm/Pa・sec、特に好ましくは1〜3μm/Pa・secとし、これに対して、カーボン層の導電性多孔質基材層と接する面から厚さ0〜25μmの部分におけるガス透過性能を好ましくは50〜100μm/Pa・sec、より好ましくは75〜100μm/Pa・sec、特に好ましくは90〜100μm/Pa・secとし、カーボン層の導電性多孔質基材層に接する面からカーボン層表面に向かってガス拡散性能が小さくなるようにするのがよい。
好ましくは、導電性多孔質基材層とは反対側のカーボン層表面から導電性多孔質基材層と接するカーボン層表面に向かって、カーボン層におけるガス透過性能を小さくする。かような構成を有するカーボン層を有するガス拡散層を膜電極接合体に組み込んだ際に、カーボン層の電極触媒層と接する側のガス透過性能は大きく、水蒸気の排出を抑制し、固体高分子電解質膜の乾燥をより高く抑制することができる。また、カーボン層の導電性多孔質基材層と接する側のガス透過性能は小さく、カーボン層と導電性多孔質基材層との間のガスの移動を促進させ、水蒸気の排出性を向上させることができる。従って、前記カーボン層におけるガス透過性能を上記の通りにすることにより、ガス拡散層の排水性と保湿性とをより向上させることが可能となる。
厚さ方向に向かってガス透過性能が小さくなる構成を有するカーボン層において、カーボン層におけるガス透過性能は厚さ方向に向かって、段階的に小さくなってもよく、漸減してもよい。
前記カーボン層の好ましい形態は、製造が容易である他、保湿性の効果が得られることから、好ましくは、カーボン層(1)とカーボン層(2)との少なくとも二層が積層されてなり、前記カーボン層(1)が前記多孔質基材層と接触して配置され、かつ、前記カーボン層(1)のガス透過性能が前記カーボン層(2)のガス透過性能よりも小さくするのがよい。
かような構成を有するガス拡散層の断面模式図を図2に示す。図2において、本発明のガス拡散層は、導電性多孔質基材層231上に、カーボン層(1)232と、カーボン層(2)233とがこの順で積層されてなる構成を有する。また、カーボン層(2)233よりもカーボン層(1)232のガス透過性能を小さくすることで、厚さ方向(矢印b方向)に向かってガス透過性能を小さくすることができる。
前記カーボン層(2)におけるガス透過性能は、好ましくは50〜100μm/Pa・sec、より好ましくは75〜100μm/Pa・sec、特に好ましくは90〜100μm/Pa・secとするのがよい。これによりガス拡散層に排水性を付与することができる。
また、前記カーボン層(1)におけるガス透過性能は、好ましくは1〜10μm/Pa・sec、より好ましくは1〜5μm/Pa・sec、特に好ましくは1〜3μm/Pa・secとするのがよい。これによりガス拡散層に保湿性を付与することができる。
また、カーボン層は三層以上の構造であってもよく、この場合、前記カーボン層(1)と前記カーボン層(2)との間に、さらに他のカーボン層を配置すればよい。この時、カーボン層全体において厚さ方向に向かってガス透過性能が小さくなるようにして、前記カーボン層(1)と前記カーボン層(2)との間にさらに配置される他のカーボン層におけるガス透過性能を調整すればよい。
前記カーボン層において、前記カーボン層(1)に対する前記カーボン層(2)の厚さの比(カーボン層(1):カーボン層(2))は、好ましくは1:1〜1:4、より好ましくは1:2〜1:4とするのがよい。前記カーボン層(2)の厚さが大きくなることにより、前記カーボン層(1)におけるガス透過性能を小さくすることができ、水蒸気の排出をより抑制して固体高分子電解質膜の乾燥を抑制することができる。
なお、カーボン層(1)およびカーボン層(2)の厚さは、ガス拡散層をマイクロメータでそれぞれ測定することにより測定できる。
また、カーボン層を三層以上の構造とする場合には、前記カーボン層(1)と前記カーボン層(2)との間に配置される他のカーボン層の厚さは、0〜25μmとすればよい。
本発明のガス拡散層においてカーボン層全体の厚さは特に制限されないが、ガス透過性を考慮すると、好ましくは25〜100μm、より好ましくは50〜75μmとするのがよい。従って、前記範囲内となるように、前記カーボン層(1)および前記カーボン層(2)の厚さを適宜決定するとよい。
具体的には、前記カーボン層(1)の厚さは、好ましくは13〜50μm、より好ましくは25〜38μm程度とすればよい。また、前記カーボン層(2)の厚さは、好ましくは13〜50μm、より好ましくは25〜38μm程度とすればよい。
前記カーボン層におけるガス透過性能は、カーボン層の空孔径により調整することができる。これにより、複雑な構成・手法を用いることなくカーボン層におけるガス透過性能を変えることができる。カーボン層において、空孔径が小さい部位ではガス透過性能が小さく、空孔径が大きい部位ではガス透過性能が大きい。
具体的には、カーボン層の厚さ方向に向かってカーボン層における空孔径が異なるのが好ましく、カーボン層の厚さ方向に向かってカーボン層における空孔径が小さくなるのがより好ましい。これにより排水性および保湿性に優れるガス拡散層が得られる。
カーボン層における空孔径がカーボン層表面から導電性多孔質基材層に接する面に向かって小さくなる場合、カーボン層表面から厚さ0〜25μmの部分における空孔径を、好ましくは50〜200nm、より好ましくは75〜150nm、特に好ましくは90〜100nmとし、これに対して、カーボン層の導電性多孔質基材層と接する面から厚さ0〜25μmの部分における空孔径を好ましくは5nm以上50nm未満、より好ましくは10nm以上50nm未満、特に好ましくは25nm以上50nm未満とし、カーボン層表面から導電性多孔質基材層に接する面に向かって空孔径が小さくなるようにするのがよい。
また、カーボン層における空孔径がカーボン層の導電性多孔質基材層に接する面からカーボン層表面に向かって小さくする場合には、カーボン層表面から厚さ0〜25μmの部分における空孔径を好ましくは5nm以上50nm未満、より好ましくは10nm以上50nm未満、特に好ましくは25nm以上50nm未満とし、これに対して、カーボン層の導電性多孔質基材層と接する面から厚さ0〜25μmの部分における空孔径を好ましくは50〜200nm、より好ましくは75〜150nm、特に好ましくは90〜100nmとし、カーボン層の導電性多孔質基材層に接する面からカーボン層表面に向かって空孔径が小さくなるようにするのがよい。
好ましくは、導電性多孔質基材層とは反対側のカーボン層表面から導電性多孔質基材層と接するカーボン層表面に向かって、カーボン層における空孔径を小さくする。これにより、ガス拡散層の排水性と保湿性とをより向上させることが可能となる。
厚さ方向に向かってカーボン層の空孔径が小さくなる構成を有するカーボン層において、カーボン層の空孔径は厚さ方向に向かって、段階的に小さくなってもよく、漸減してもよい。
前記カーボン層の好ましい形態は、製造が容易である他、保湿性の効果が得られることから、好ましくは、カーボン層(1)とカーボン層(2)との少なくとも二層が積層されてなり、前記カーボン層(1)が前記多孔質基材層と接触して配置され、かつ、前記カーボン層(1)の空孔径が前記カーボン層(2)の空孔径よりも小さくするのがよい。
前記カーボン層(2)における空孔径は、好ましくは100nm以上、より好ましくは100〜200nmとする。前記空孔径が100nm未満では、ガス拡散層に十分な保湿性を付与できない恐れがある。
前記カーボン層(1)における空孔径は、好ましくは50nm以下、より好ましくは10〜50nmとする。前記空孔径が50nmを超えるとガス拡散層の排水性が低下する恐れがある。
また、カーボン層を三層以上の構造とする場合には、前記カーボン層(1)と前記カーボン層(2)との間に配置される他のカーボン層の空孔径は、その中間値とすればよい。
前記カーボン層における空孔径は、ガス拡散層を水銀圧入法で測定することにより測定できる。
前記カーボン層は、好ましくは導電性カーボンを含む。導電性カーボンは、主成分がカーボンであるのが好ましい。電極反応により生じた電子はカーボン層を介して外部へ流れるため、前記カーボン層を構成する材料は導電性を有するのが好ましい。前記導電性カーボンを用いることにより、カーボン層に高い導電性を付与することができる。
前記導電性カーボンとして、より具体的には、オイルファーネスブラック、チャネルブラック、ランプブラック、サーマルブラック、アセチレンブラックなどのカーボンブラックなどが好ましく挙げられる。
前記導電性カーボンは、市販品を用いることができ、キャボット社製バルカンXC−72、バルカンP、ブラックパールズ880、ブラックパールズ1100、ブラックパールズ1300、ブラックパールズ2000、リーガル400、ライオン社製ケッチェンブラックEC、三菱化学社製#3150、#3250などのオイルファーネスブラック;電気化学工業社製デンカブラックなどのアセチレンブラック等が挙げられる。またカーボンブラックのほか、天然の黒鉛、ピッチ、コークス、ポリアクリロニトリル、フェノール樹脂、フラン樹脂などの有機化合物から得られる人工黒鉛や炭素などであってもよい。また、耐食性などを向上させるために、前記導電性カーボンに黒鉛化処理などの加工を行ってもよい。
前記導電性カーボンの形状は、特に制限されず、粒子状、楕円状、立方体状などのいずれの形状を有していていてもよいが、カーボン層における空孔径の調整などを考慮すると粒子状を有しているのが好ましい。
前記カーボン層における空孔径は、導電性カーボンによって容易に調整することができる。これにより、複雑な構成・手法を用いることなくカーボン層におけるガス透過性能を変えることができる。
具体的には、カーボン層の厚さ方向に向かってカーボン層における導電性カーボンの粒径が異なるのが好ましく、カーボン層の厚さ方向に向かってカーボン層における導電性カーボンの粒径が小さくなるのがより好ましい。これにより排水性および保湿性に優れるガス拡散層が得られる。
カーボン層における導電性カーボンの粒径がカーボン層表面から導電性多孔質基材層に接する面に向かって小さくなる場合、カーボン層表面から厚さ0〜25μmの部分における導電性カーボンの粒径を好ましくは3〜10μm、より好ましくは3〜8μm、特に好ましくは3〜5μmとし、これに対してカーボン層の導電性多孔質基材層と接する面から厚さ0〜25μmの部分における導電性カーボンの粒径を好ましくは0.5〜1.5μm、より好ましくは0.7〜1.5μm、特に好ましくは0.8〜1.5μmとし、カーボン層表面から導電性多孔質基材層に接する面に向かって導電性カーボンの粒径が小さくなるようにするのがよい。
また、カーボン層における導電性カーボンの粒径をカーボン層の導電性多孔質基材層に接する面からカーボン層表面に向かって小さくする場合には、カーボン層表面から厚さ0〜25μmの部分における導電性カーボンの粒径を好ましくは0.5〜1.5μm、より好ましくは0.7〜1.5μm、特に好ましくは0.8〜1.5μmとし、これに対してカーボン層の導電性多孔質基材層と接する面から厚さ0〜25μmの部分に含まれる導電性カーボンにおける導電性カーボンの粒径を好ましくは3〜10μm、より好ましくは3〜8μm、特に好ましくは3〜5μmとし、カーボン層の導電性多孔質基材層に接する面からカーボン層表面に向かって導電性カーボンの粒径が小さくなるようにするのがよい。
好ましくは、導電性多孔質基材層とは反対側のカーボン層表面から導電性多孔質基材層と接するカーボン層表面に向かって、カーボン層における導電性カーボンの粒径を小さくする。これにより、ガス拡散層の排水性と保湿性とをより向上させることが可能となる。
厚さ方向に向かってカーボン層の導電性カーボンの粒径が小さくなる構成を有するカーボン層において、カーボン層の導電性カーボンの粒径は厚さ方向に向かって、段階的に小さくなってもよく、漸減してもよい。
前記カーボン層の好ましい形態は、製造が容易である他、保湿性の効果が得られることから、好ましくは、カーボン層(1)とカーボン層(2)との少なくとも二層が積層されてなり、前記カーボン層(1)が前記多孔質基材層と接触して配置され、かつ、前記カーボン層(1)の導電性カーボンの粒径が前記カーボン層(2)の導電性カーボンの粒径よりも小さくするのがよい。
前記カーボン層(2)における前記導電性カーボンの粒径は、3μm以上であるのが好ましく、より好ましくは3〜5μmとする。また、前記カーボン層(1)における前記導電性カーボンの粒径は、1.5μm以下とするのが好ましく、より好ましくは0.5〜1.5μmとする。これにより、前記カーボン層(1)および前記カーボン層(2)における空孔径を上記した範囲内に調整することが容易となる。
なお、カーボン層を三層以上の構造とする場合には、前記カーボン層(1)と前記カーボン層(2)との間に配置される他のカーボン層に含まれる導電性カーボンの粒径は、その中間値とすればよい。
本発明のカーボン層は、上述した導電性カーボンの他に、結着剤として、疎水剤などを含む。これにより、疎水剤などにコーティングされた導電性カーボンが集合体となり安定した多孔質構造を有するカーボン層が得られる。
前記疎水剤としては、特に限定されないが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)などのフッ素系の高分子材料、ポリプロピレン、ポリエチレンなどが挙げられる。
前記カーボン層における導電性カーボンと疎水剤との質量比(導電性カーボン:疎水剤)は、特に制限されないが、好ましくは90:10〜60:40、より好ましくは80:20〜60:40とするのがよい。これにより、カーボン層における空孔径を所望の値とすることができる。また、カーボン層を二層以上の構造とする場合、カーボン層(1)、カーボン層(2)、およびこれらの間に配置される他のカーボン層における導電性カーボンと疎水剤との質量比は、所望の空孔径が得られるように各層において上記した範囲内で調整すればよい。
本発明のガス拡散層は、上述したカーボン層の他に、導電性多孔質基材層を有する。前記導電性多孔質基材層は、外部から供給された燃料ガスまたは酸化剤ガスを十分に拡散させるための多孔質構造を有し、発電反応により生成した電子を集電するための十分な導電性を有する基材からなるものであればよい。
前記導電性多孔質基材層は、従来公知のものであれば特に制限なく用いることができる。具体的には、炭素製の織物、紙状抄紙体、フェルト、不織布といった導電性及び多孔質性を有するシート状材料などが挙げられる。より具体機には、カーボンペーパ、カーボンクロス、カーボン不織布などの基材が好ましく挙げられる。前記導電性多孔質基材層は、市販品を用いることもでき、例えば、東レ株式会社製カーボンペーパTGPシリーズ、E−TEK社製カーボンクロスなどが挙げられる。
前記導電性多孔質基材層の厚さは、得られるガス拡散層の特性を考慮して適宜決定すればよいが、30〜500μm程度とすればよい。厚さが、30μm未満であると十分な機械的強度などが得られない恐れがあり、500μmを超えるとガスや水などが透過する距離が長くなり望ましくない。
前記導電性多孔質基材層には、排水性をより高めてフラッディング現象などを防ぐために撥水剤が含まれているのが好ましい。前記撥水剤としては、特に限定されないが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)などのフッ素系の高分子材料、ポリプロピレン、ポリエチレンなどが挙げられる。
本発明において、前記導電性多孔質基材層の面方向のガス透過性能が、前記カーボン層(1)のガス透過性能よりも小さくなるのが望ましい。これにより、導電性多孔質基材層を透過するガス流速を小さくすることができ、これに伴って引きずられるカーボン層中のガス流速を小さくすることができ、ガス拡散層における排水性を適度に維持することができる。
前記導電性多孔質基材層の面方向のガス透過性能とは、好ましくは、前記導電性多孔質基材層に外部から供給されるガスの導入部から排出部に向かうガス透過性能とするのが望ましい。
また、前記導電性多孔質基材層の面方向のガス透過性能は、好ましくは0.1〜1μm/Pa・sec、より好ましくは0.5〜1μm/Pa・sec、特に好ましくは0.8〜1μm/Pa・secとするのがよい。
前記導電性多孔質基材層の面方向のガス透過性能は、多孔質基材層を疎水処理により調整することができる。具体的には、疎水処理により、基材の空孔を埋めて、ガス透過性を小さくする構成が望ましい。
また、前記導電性多孔質基材層の面方向のガス透過性能は、本発明のガス拡散層をガーレ―試験でガス透過時間を測定することにより測定できる。
本発明のガス拡散層の製造方法としては、特に制限されず公知の方法を適宜参照して用いることができる。
まず、導電性多孔質基材層の撥水処理方法としては、一般的な撥水処理方法を用いて行えばよい。撥水剤の水性ディスパージョン溶液またはアルコールディスパージョン溶液に、導電性多孔質基材層に用いられる基材を浸漬した後、オーブン等で加熱乾燥させる方法などが挙げられる。乾燥時の排ガス処理の容易さからは、撥水剤の水性ディスパージョン溶液を用いるのが好ましい。
次に、カーボン層の作製方法としては、従来公知の方法を適宜参照して用いればよい。例えば、導電性カーボンと疎水剤とを有するカーボン層の場合、導電性カーボンおよび疎水剤等を、水、パーフルオロベンゼン、ジクロロペンタフルオロプロパン、メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒などの溶媒中に分散させることによりスラリーを調製する。この時、所望の粒径を有する導電性カーボンを複数用意し、異なる導電性カーボンを含むスラリーを複数調製する。その後、所望のガス透過性能を有するカーボン層が得られるように、導電性多孔質基材層上に、前記スラリーを塗布および乾燥する工程を繰り返すことにより、本発明のガス拡散層がえら得る。
上記した方法以外にも、各スラリーを先に乾燥させた後に粉砕し、得られた粉末を導電性多孔質基材層上に順次散布する方法であってもカーボン層を作製することができる。
上述した各方法により得られたカーボン層は、マッフル炉や焼成炉を用いて250〜400℃程度で熱処理を施すのが好ましい。これにより、カーボン層の強度を高めることができる。
本発明の第二は、上述した本発明の第一のガス拡散層を用いた燃料電池用膜電極接合体である。前記膜電極接合体が用いられる燃料電池の種類としては、固体高分子型燃料電池(PEFC)、リン酸型燃料電池(PAFC)、固体酸化物型燃料電池(SOFC)、などが挙げられるが、実用性・安全性の観点からは、固体高分子型燃料電池(PEFC)として用いるのが好ましい。従って、以下では、固体高分子型燃料電池を例に挙げて説明する。
前記膜電極接合体の構成は、従来公知のものであれば特に制限なく用いられる。例えば、図3に示すように、固体高分子電解質膜310の両側に、アノード側電極触媒層320aおよびアノード側ガス拡散層330aと、カソード側電極触媒層320cおよびカソード側ガス拡散層330cとが、それぞれ配置された構成などが挙げられる。また、本発明の第一のガス拡散層を用いる場合、カーボン層(2)333aおよび333cと、電極触媒層320aおよび320cとを接触させ、導電性多孔質基材層331aおよび331cが膜電極接合体の外側に配置されるのがよい。これによりカーボン層が有する多孔質構造による毛細管力で電極触媒層中の余分な水分を吸取ることができ、電極触媒層内のフラッディングを防止することができる。
本発明の第一のガス拡散層は、上述した通り、排水性と保湿性の双方を兼ね備える。従って、前記ガス拡散層によれば、フラッディング現象を防止しつつ、固体高分子電解質膜の湿潤性を保つことが可能となる。従って、広範な運転条件下において高い発電性能を安定して発揮することができる膜電極接合体が得られる。さらに、固体高分子電解質膜の湿潤性を一定に保つことができるため、固体高分子電解質膜の劣化を抑制し、膜電極接合体の耐久性を向上させることも可能となる。
膜電極接合体において、本発明の第一のガス拡散層は、アノード側ガス拡散層またはカソード側ガス拡散層の少なくともいずれか一方に用いられればよいが、フラッディング現象が膜電極接合体の特にカソード側で生じ易いためカソード側ガス拡散層に用いられるのが好ましく、より好ましくはアノード側ガス拡散層およびカソード側ガス拡散層の双方に用いられる。
なお、前記膜電極接合体は本発明の第一のガス拡散層を用いる以外は、従来公知の膜電極接合体の構成と同様である。そのため、前記膜電極接合体における固体高分子電解質膜、電極触媒層などの詳細な説明は省略する。
本発明の第三は、上述した膜電極接合体を用いた燃料電池である。膜電極接合体によれば、高電流密度、高加湿などの水が多量に生じ易い運転条件下であってもフラッディング現象を抑制することができ、さらに、低電流密度、低加湿などの固体高分子電解質膜の乾燥が生じ易い運転条件下であっても固体高分子電解質膜の湿潤性を維持することができる。従って、本発明によれば、広範な運転条件下であっても高い発電性能を安定して発揮することができ、耐久性に優れる燃料電池が得られるのである。
燃料電池の構造は、特に限定されず、膜電極接合体をセパレータなどで挟持した構造などが挙げられる。
セパレータは、空気と燃料ガスとを分離する機能を有するものであり、従来一般的なものであれば特に制限なく用いることができる。前記セパレータとしては、緻密カーボングラファイト、炭素板等のカーボン製や、ステンレス等の金属製のものなど、従来公知のものを特に制限なく用いることができる。また、空気と燃料ガスの流路を確保するためにガス流通溝が形成されてもよく、従来公知の技術を適宜利用することができる。セパレータの形状は、特に限定されず、得られる燃料電池の出力特性などを考慮して適宜決定すればよい。
さらに、燃料電池が所望する電圧等を得られるように、セパレータを介して膜電極接合体を複数積層して直列に繋いだスタックを形成してもよい。燃料電池の形状などは、特に限定されず、所望する電圧などの電池特性が得られるように適宜決定すればよい。
以下、本発明を実施例を用いてより具体的に説明する。なお、本発明が下記実施例に限定されることはない。
(実施例1)
(1)導電性多孔質基材層の撥水処理
導電性多孔質基材層としてカーボンペーパ(東レ株式会社製 TGP−H−060、厚さ200μm)を用い、これを100mm×100mm角に打ち抜いた後、PTFEの水性ディスパージョン溶液(ダイキン工業社製 D1、PTFE60質量%含有)を純水で所定の濃度に希釈した溶液中に2分間浸漬させた後、オーブン内にて60℃、10分間乾燥させることにより、導電性多孔質基材の撥水処理を行った。このとき、導電性多孔質基材層中のPTFE含有量は20質量%であった。
(2)カーボン層の作製
まず、粉砕することにより粒径を1.5μmとした導電性カーボンA(Vulcan XC−72R)と、上記工程(1)と同じPTFEの水性ディスパージョン溶液、および水を、カーボンブラックとPTFEとが質量比で60:40となるようにし、ホモジナイザーにて3時間混合分散することによりスラリー(1)を調製した。次に、粉砕することにより粒径を3μmとした導電性カーボンB(デンカブラック)を用いる以外は、前記スラリー(1)の調製と同様にして、スラリー(2)を調製した。
先に撥水処理を行った導電性多孔質基材層上に、前記スラリー(1)をバーコーターを用いて塗布後、オーブン内にて80℃、1時間乾燥させることによりカーボン層(1)を得た後、前記カーボン層(1)上に前記スラリー(2)をバーコーターを用いて塗布後、オーブン内にて80℃、1時間乾燥させることによりカーボン層(2)を得た。これにより、導電性多孔質基材層上にカーボン層(1)およびカーボン層(2)が形成されたガス拡散層1を得た。なお、前記カーボン層(1)および前記カーボン層(2)の厚さは、それぞれ25μmとし、前記カーボン層(1)における平均空孔径は50nmとし、前記カーボン層(2)における平均空孔径は100nmとした。また、前記カーボン層(1)におけるガス透過性能は5.9μm/Pa・secであり、前記カーボン層(2)におけるガス透過性能は51μm/Pa・secであった。
(実施例2)
実施例1のカーボン層の作製において、前記カーボン層(1)の厚さを40μmとし、前記カーボン層(2)の厚さを10μmとし、カーボン層(1):カーボン層(2)の厚さの比を4:1とした以外は、実施例1と同様にしてガス拡散層2を作製した。前記カーボン層(1)におけるガス透過性能は8μm/Pa・secであり、前記カーボン層(2)におけるガス透過性能は45μm/Pa・secであった。
(実施例3)
実施例1において、スラリー(2)を先に塗布および乾燥することによりカーボン層(1)を作製し、次にスラリー(1)を塗布および乾燥することによりカーボン層(2)を作製した以外は、実施例1と同様にしてガス拡散層3を作製した。
(比較例1)
実施例1で調製したスラリー(1)のみを撥水処理された導電性多孔質層上に塗布した以外は実施例1と同様にして、ガス拡散層4を得た。なお、前記導電性多孔質層に作製したカーボン層の厚さは50μmとした。
(比較例2)
実施例1で調製したスラリー(2)のみを撥水処理された導電性多孔質層上に塗布した以外は実施例1と同様にして、ガス拡散層5を得た。なお、前記導電性多孔質層に作製したカーボン層の厚さは50μmとした。
(評価)
実施例1〜3、および、比較例1〜2において作製した各ガス拡散層を用いて、下記の手順に従って膜電極接合体を作製し、膜電極接合体の発電性能を測定することにより、各ガス拡散層の評価を行った。
(1)触媒インク調製
白金担持カーボン(田中貴金属工業株式会社製 TEC10E50E、白金含量46.5wt%)10g、固体高分子電解質溶液(DuPont社製 NAFION溶液DE520、電解質含量5wt%)90g、純水25g、2−プロパノール(和光純薬工業社製 特級試薬)10gを、20℃で保持するよう設定したウォーターバス中のガラス容器にて、ホモジナイザーを用いて3時間混合分散することで、触媒インクとした。
(2)電極触媒層の作製
厚さ200μmのPTFE製シート(ニチアス社製ナフロン(登録商標)シート)の片面上に、スクリーンプリンターを用いて先に調製した触媒インクを塗布し、オーブン中で100℃、30分間乾燥させた後、一辺10cmの正方形に切り出した。
(3)膜電極接合体および単セルの組立て
一辺10cmの正方形で厚さ30μmの固体高分子電解質膜(DuPont社製NAFION NR−112)を挟んで、先に作製した2枚の電極触媒層形成PTFE製シートの電極触媒層形成側が対向するように重ねて、片側PTFE製シートあたり3MPaの圧力で、130℃、10分間ホットプレスし、冷却後PTFE製シートのみを剥がすことで、固体高分子電解質膜に電極触媒層を転写させ接合体を得た。このとき、PTFE製シートから固体高分子電解質への電極触媒層の転写率が100%で、固体高分子電解質膜上の片面電極触媒層面積1cmあたりの白金重量が0.40mgとなるようにした。また、電極触媒層の厚さは、それぞれ10μmであった。
得られた接合体を、先に作製したガス拡散層を2枚用いて導電性多孔質基材層が外側となるようにして挟んで重ねた状態とし、これをグラファイト製セパレータで挟持し、さらに金メッキしたステンレス製集電板で挟持して、評価用単セルとした。
(4)単セル評価
実施例1〜3および比較例1〜2の各評価用単セルの発電試験を行った。
(発電試験1)
アノードに水素、カソードに空気を供給し、ガス流量はアノード/カソード=1.5S.R./2.5S.R.、相対湿度アノード100%R.H./カソード30%R.H.、セル温度70℃、の条件で発電試験を行った。電流密度1A/cmにおけるセルの抵抗値および電圧を表1に示す。
次に、アノードに水素、カソードに空気を供給し、ガス流量はアノード/カソード=1.5S.R./2.5S.R.、相対湿度アノード100%R.H./カソード100%R.H.、セル温度70℃、の条件で発電試験を行った。電流密度1A/cmにおけるセルの抵抗値および電圧を表1に示す。
さらに、
なお、「S.R.」(Stoichiometric Ratio)とは、所定量の電流を流すために必要な水素または酸素の量の比率を意味し、「アノードS.R.=1.5」とは、所定量の電流を流すために必要な水素量の1.5倍の流量で水素を流すことを意味する。
Figure 2006324104
表1からカソードにおける相対湿度が30%R.H.と固体高分子電解質膜が乾燥し易い低加湿条件下では、ガス透過性能が小さいカーボン層のみを有する比較例1が、電極触媒層中の湿度が高く保たれ、セル抵抗が低くなっていることがわかる。ガス透過性能が大きいカーボン層のみを有する比較例2では、電極触媒層中の湿度が低くなり、固体高分子電解質膜が乾燥し易く、セル抵抗が高い。これに対して、実施例1〜3は、ある程度低いセル抵抗が得られ、低加湿条件下であっても、固体高分子電解質膜の乾燥を抑制し、高い発電性能が得られることがわかる。
また、カソードにおける相対湿度が100%R.H.、電流密度が1A/cmにおける高加湿かつ高電流密度であるフラッディングが生じ易い条件下では、比較例1が電圧が低下し、フラッディングを招いていることがわかる。比較例2では、フラッディングを抑制して、高い電圧が得られている。これに対して、実施例1〜3は、比較例2に近いセル電圧が得られ、高加湿・高電流密度の条件下であっても、フラッディングを抑制して高いセル電圧が得られることがわかる。
このように本願のガス拡散層によれば、固体高分子電解質膜の乾燥およびフラッディングを抑制することができ、広範な運転条件においても高い発電性能を安定して発揮することができる燃料電池が得られることがわかる。
本発明のガス拡散層によれば、広範な運転条件においても高い発電性能を安定して発揮することができる燃料電池を提供することが可能となる。
膜電極接合体におけるカソード側の断面模式図を示す。 本発明のガス拡散層の断面模式図を示す。 本発明の一実施形態である膜電極接合体の断面模式図を示す。
符号の説明
110、310 …固体高分子電解質膜、
120c、320c…カソード側電極触媒層、
130c、330c…カソード側ガス拡散層、
230 …ガス拡散層
332c …カソード側カーボン層(1)、
333c …カソード側カーボン層(2)
131c、331c…カソード側導電性多孔質基材層、
131 …導電性多孔質基材層、
320a …アノード側電極触媒層、
330a …アノード側ガス拡散層、
331a …アノード側導電性多孔質基材層、
332a …アノード側カーボン層(1)、
333a …アノード側カーボン層(2)。

Claims (11)

  1. 導電性多孔質基材層上に導電性カーボンを含有するカーボン層を有する燃料電池用ガス拡散層において、
    前記カーボン層は厚さ方向に向かってガス透過性能が異なる燃料電池用ガス拡散層。
  2. 前記カーボン層は、厚さ方向に向かってガス透過性能が小さくなる請求項1記載の燃料電池用ガス拡散層。
  3. 前記カーボン層は、カーボン層(1)とカーボン層(2)との少なくとも二層が積層されてなり、前記カーボン層(1)が前記多孔質基材層と接触して配置され、かつ、前記カーボン層(1)のガス透過性能が前記カーボン層(2)のガス透過性能よりも小さい請求項1または2記載の燃料電池用ガス拡散層。
  4. 前記カーボン層(1)と前記カーボン層(2)との厚さの比が、1:1〜1:4である請求項1〜3のいずれかに記載の燃料電池用ガス拡散層。
  5. 前記カーボン層は、厚さ方向に向かって空孔径が小さくなる請求項1〜4のいずれかに記載の燃料電池用ガス拡散層。
  6. 前記カーボン層(2)の空孔径が100nm以上である請求項1〜5のいずれかに記載の燃料電池用ガス拡散層。
  7. 前記カーボン層(1)の空孔径が50nm以下である請求項1〜6のいずれかに記載の燃料電池用ガス拡散層。
  8. 前記カーボン層は、厚さ方向に向かって前記導電性カーボンの粒径が小さくなる請求項1〜7のいずれかに記載の燃料電池用ガス拡散層。
  9. 前記カーボン層(2)における前記導電性カーボンの粒径が3μm以上である請求項1〜8のいずれかに記載の燃料電池用ガス拡散層。
  10. 前記カーボン層(1)における前記導電性カーボンの粒径が1.5μm以下である請求項1〜9のいずれかに記載の燃料電池用ガス拡散層。
  11. 前記導電性多孔質基材層の面方向のガス透過性能が、前記カーボン層(1)の厚さ方向のガス透過性よりも小さい請求項1〜10のいずれかに記載の燃料電池用ガス拡散層。
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