JP5482066B2 - 燃料電池用のマイクロポーラス層、マイクロポーラス層付きガス拡散電極、マイクロポーラス層付き触媒層、触媒層付きガス拡散電極及び膜−電極接合体、並びに固体高分子形燃料電池 - Google Patents
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Description
項1.導電性炭素粒子、金属繊維及び非ポリマー系フッ素材料を含有し、フッ素樹脂を含有していない、燃料電池用のマイクロポーラス層。
項2.導電性炭素繊維を更に含有している、項1に記載のマイクロポーラス層。
項3.熱硬化性樹脂を更に含有している、項1又は2に記載のマイクロポーラス層。
項4.ガス拡散基材の片面上に、項1〜3のいずれかに記載のマイクロポーラス層が形成されている、燃料電池用のマイクロポーラス層付きガス拡散電極。
項5.項4に記載のマイクロポーラス層付きガス拡散電極のマイクロポーラス層の上に触媒層が形成されている、燃料電池用の触媒層付きガス拡散電極。
項6.触媒層の片面上に、項1〜3のいずれかに記載のマイクロポーラス層が形成されている、燃料電池用のマイクロポーラス層付き触媒層。
項7.項6に記載のマイクロポーラス層付き触媒層のマイクロポーラス層の上にガス拡散基材が形成されている、燃料電池用の触媒層付きガス拡散電極。
項8.イオン伝導性固体高分子電解質膜の片面又は両面上に、項5又は7に記載の触媒層付きガス拡散電極が、イオン伝導性固体高分子電解質膜と触媒層とが接するように形成されている、燃料電池用の膜−電極接合体。
項9.イオン伝導性固体高分子電解質膜の両面上に触媒層付きガス拡散電極が形成され、ガス拡散基材/マイクロポーラス層/触媒層/イオン伝導性固体高分子電解質膜/触媒層/マイクロポーラス層/ガス拡散基材で構成される、項8に記載の膜−電極接合体。
項10.項8又は9に記載の膜−電極接合体を備えた固体高分子形燃料電池。
項11.(1−1)イオン伝導性固体高分子電解質膜の片面又は両面に、項5又は7に記載の触媒層付きガス拡散電極を、前記イオン伝導性固体高分子電解質膜と前記触媒層とが接するように積層する工程
を含む、燃料電池用の膜−電極接合体の製造方法。
項12.(2−1)転写基材上に触媒層を形成し、触媒層形成用転写シートを作製する工程、
(2−2)イオン伝導性固体高分子電解質膜の片面又は両面に、前記触媒層形成用転写シートの触媒層を転写し、触媒層−電解質膜積層体を作製する工程、
(2−3)前記触媒層−電解質膜積層体の触媒層の上に、項4に記載のマイクロポーラス層付きガス拡散電極を、前記触媒層と前記マイクロポーラス層とが接するように積層する工程
を含む、燃料電池用の膜−電極接合体の製造方法。
<マイクロポーラス層>
本発明において、マイクロポーラス層は、電池反応時に生成する水の排水性を高め、ガス拡散層の電気抵抗を低減し、良好な電池特性を発揮するために設けられる。特に、マイクロポーラス層は排水性の向上に寄与する。
導電性炭素粒子は、導電性を有しているものであれば限定的ではなく、公知又は市販のものを広く使用できる。例えば、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック等のカーボンブラック;黒鉛;活性炭等を1種又は2種以上で用いることができる。導電性炭素粒子を配合することによりマイクロポーラス層に優れた導電性を付与することができる。
金属繊維は、金属からなる繊維状のものや金属を被覆した繊維状のものであれば限定的ではなく、公知又は市販のものを利用できる。
非ポリマー系フッ素材料は、フッ素を含有し、且つ重量平均分子量が1000〜5000程度のものであれば特に限定されない。非ポリマー系フッ素材料の重量平均分子量は、GPC測定装置CC−10A:(株)島津製作所製等により測定できる。これらは、公知又は市販のものを使用できる。本発明では特に導電性のものが好ましく、例えば、フッ化ピッチ、フッ化黒鉛等が挙げられ、1種または2種以上で用いることができる。なお、これらの非ポリマー系フッ素材料のなかでも、フッ化ピッチが好ましい。このような非ポリマー系フッ素材料を含有させることにより、マイクロポーラス層に高い撥水性を付与することが可能となり、マイクロポーラス層に優れた導電性を付与することができる。
導電性炭素繊維としては、例えば、気相成長法炭素繊維(VGCF)、カーボンナノチューブ、ワイヤーカップ、ワイヤーウォール等が挙げられる。これらの導電性炭素繊維は、1種又は2種以上を使用することができる。
本発明において熱硬化性樹脂は、フッ素を含まないものであれば特に限定されず、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラニン樹脂、シリコーン樹脂等を適宜選択できる。これらの樹脂は耐熱性、機械的強度、柔軟性等を考慮して用途に応じて選択されるが、例えば、機械的強度及び耐熱性の観点ではフェノール樹脂が好ましい。
本発明において、マイクロポーラス層を形成するためのペースト組成物には、上記導電性炭素粒子、金属繊維及び非ポリマー系フッ素材料が含まれている。
分散剤としては、例えば、水系分散剤等が好ましい。
本発明で用いる溶剤としては特に限定されず、公知または市販のものを広く使用することができる。例えば、水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、3−ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等の炭素数1〜4程度の1〜3価のアルコール等が好適に挙げられる。これらの溶媒は1種単独または2種以上混合して使用できる。
本発明の燃料電池用のマイクロポーラス層付きガス拡散電極は、ガス拡散基材の片面上にマイクロポーラス層が形成されている。
ガス拡散基材としては、導電性を有し、かつ、多孔質のものであれば、特に制限されないが、固体高分子形燃料電池に用いられる観点から、通常はシート状である。例えば、導電性の繊維を用いた炭素紙からなる、カーボンペーパー、カーボンクロス、カーボンフェルト等が挙げられる。
マイクロポーラス層及びマイクロポーラス層形成用ペースト組成物については、上述した通りである。
本発明のマイクロポーラス層付きガス拡散電極は、ガス拡散基材の片面上にマイクロポーラス層が形成されているものであり、マイクロポーラス層形成用ペースト組成物を、ガス拡散基材表面に塗工し、次いで乾燥を行う工程を経ることにより得られる。これによりガス拡散基材に高い撥水性、保水性及び高いガス拡散性を発現させることができ、生成水による細孔の閉塞を防ぐことができ、効率よく燃料ガスを電極に拡散させることができる。
本発明の燃料電池用のマイクロポーラス層付き触媒層は、触媒層の片面上にマイクロポーラス層が形成されている。
触媒層は、公知又は市販の白金含有の触媒層(カソード触媒又はアノード触媒)を使用することができる。具体的には、触媒層は、(1)触媒粒子を担持させた炭素粒子及び(2)水素イオン伝導性高分子電解質を含有する触媒層形成用ペースト組成物の乾燥及び焼成物から構成される。
マイクロポーラス層及びマイクロポーラス層形成用ペースト組成物については、上述した通りである。
本発明では、マイクロポーラス層付き触媒層は、ガス拡散基材の代わりに触媒層を使用すること以外は、上述のマイクロポーラス層付きガス拡散電極と同様に製造することができる。つまり、マイクロポーラス層形成用ペースト組成物を、触媒層表面に塗工し、次いで乾燥を行う工程を経ることにより得られる。
本発明の触媒層付きガス拡散電極は、例えば、上記の方法で、マイクロポーラス層付きガス拡散電極を得た後、公知の触媒層形成用のペースト組成物を、マイクロポーラス層表面に塗工し、次いで乾燥工程を経ることにより、溶剤を除去して触媒層を形成し、触媒層付きガス拡散電極とすることができる。
本発明の膜−電極接合体は、イオン伝導性固体高分子電解質膜の片面又は両面上に、本発明の触媒層付きガス拡散電極が、イオン伝導性固体高分子電解質膜と触媒層とが接するように形成されている。この本発明の膜−電極接合体は、電解質膜の片面又は両面上に、本発明の触媒層付きガス拡散電極を、触媒層と電解質膜とが対向するように配置し、電解質膜の片面又は両面に触媒層及びマイクロポーラス層を形成したガス拡散基材を積層することにより得られる。
電解質膜は、公知又は市販のものを使用することができるが、例えば、基材上に水素イオン伝導性高分子電解質を含有する溶液を塗工し、乾燥することによっても製造することができる。水素イオン伝導性高分子電解質としては、例えば、パーフルオロスルホン酸系のフッ素イオン交換樹脂、より具体的には、炭化水素系イオン交換膜のC−H結合をフッ素で置換したパーフルオロカーボンスルホン酸系ポリマー(PFS系ポリマー)等が挙げられる。電気陰性度の高いフッ素原子を導入することで、化学的に非常に安定し、スルホン酸基の解離度が高く、高いイオン伝導性が実現できる。このような水素イオン伝導性高分子電解質の具体例としては、デュポン社製の「Nafion」(登録商標)、旭硝子(株)製の「Flemion」(登録商標)、旭化成(株)製の「Aciplex」(登録商標)、ゴア(Gore)社製の「Gore Select」(登録商標)等が挙げられる。
製造方法(1)
本発明の膜−電極接合体は、例えば、
(1−1)イオン伝導性固体高分子電解質膜の片面又は両面に、前記触媒層付きガス拡散電極を、前記イオン伝導性固体高分子電解質膜と前記触媒層とが接するように積層する工程
を含む方法により、製造することができる。
また、本発明の膜−電極接合体の製造方法は、上記の工程(1−1)を含む製造方法のみに限られず、他にも、
(2−1)転写基材上に触媒層を形成し、触媒層形成用転写シートを作製する工程、
(2−2)イオン伝導性固体高分子電解質膜の片面又は両面に、前記触媒層形成用転写シートの触媒層を転写し、触媒層−電解質膜積層体を作製する工程、
(2−3)前記触媒層−電解質膜積層体の触媒層の上に、前記マイクロポーラス層付きガス拡散電極を、前記触媒層と前記マイクロポーラス層とが接するように積層する工程
を含む製造方法によっても、製造することができる。
転写基材としては、例えば、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリパラバン酸アラミド、ポリアミド(ナイロン等)、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアリレート、ポリエチレンナフタレート等の高分子フィルムを挙げることができる。また、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の耐熱性フッ素樹脂を用いることもできる。さらに転写基材は、高分子フィルム以外にアート紙、コート紙、軽量コート紙等の塗工紙、ノート用紙、コピー用紙等の非塗工紙であっても良い。転写基材の厚さは、取り扱い性及び経済性の観点から通常6〜100μm程度、好ましくは10〜30μm程度とするのがよい。
本発明の膜−電極接合体に公知又は市販のセパレータを設けることにより、本発明の膜−電極接合体を具備する、固体高分子形燃料電池を得ることができる。
導電性炭素粒子:ファーネスブラック(バルカンXC72R:キャボット社製)、重量平均分子量1000〜3000
金属繊維:ステンレススチールファイバー(X-SMF530AE-EP、JFEテクノリサーチ(株)製)、平均繊維径10〜15μm、平均繊維長50〜500μm、平均アスペクト比3.3〜50、アスペクト比30以下のものの割合は80重量%、嵩密度0.95〜1.15
導電性炭素繊維:VGCF(登録商標)(標準品)(昭和電工(株)製)、平均繊維径150nm、平均繊維長10〜20μm、平均アスペクト比10〜500
非ポリマー系フッ素材料:フッ化ピッチ(オグソール FP−S:大阪ガス(株)製)、重量平均分子量3000程度、平均粒子径1.2〜30μm程度
分散剤:ポリオキシエチレンアルキレンアルキルエーテル(エマルゲンMS110:花王(株)製)
熱硬化性樹脂:PR50781(登録商標)(住友ベークライト(株)製)
白金触媒担持炭素粒子:(TEC10E50E:田中貴金属工業(株)製)
イオン伝導性高分子電解質溶液:Nafion5wt%溶液(DE−520CS:デュポン社製)
導電性炭素粒子50重量部、金属繊維3.75重量部、フッ化ピッチ35重量部、分散剤5重量部、熱硬化性樹脂4重量部及び水250重量部をホモジナイザにて60分攪拌し、マイクロポーラス層形成用ペースト組成物を調製した。
マイクロポーラス層形成用ペースト組成物中の金属繊維を3.75重量部から、11.35重量部に変更する以外は実施例1と同様にして、実施例2の触媒層付きガス拡散電極を作製した。
マイクロポーラス層形成用ペースト組成物中の金属繊維を3.75重量部から、22.7重量部に変更する以外は実施例1と同様にして、実施例3の触媒層付きガス拡散電極を作製した。
マイクロポーラス層形成用ペースト組成物の導電性炭素粒子50重量部に対し、更に、導電性炭素繊維を12.5重量部添加する以外は、実施例1と同様にして、実施例4の触媒層付きガス拡散電極を作製した。
マイクロポーラス層形成用ペースト組成物の導電性炭素粒子50重量部に対し、更に、導電性炭素繊維を12.5重量部添加する以外は、実施例2と同様にして、実施例5の触媒層付きガス拡散電極を作製した。
ガス拡散基材として市販品の撥水処理されたカーボンペーパー(SGLカーボン社製、35BA、厚み300μm)を用い、実施例1で作製した触媒層形成用ペースト組成物を、カーボンペーパー上に塗工(塗工量:固形分換算で12〜15g/m2)し、95℃で乾燥し、比較例1の触媒層付きガス拡散電極を作製した。
マイクロポーラス層形成用ペースト組成物中の金属繊維を添加しない以外は実施例1と同様にして、比較例2の触媒層付きガス拡散電極を作製した。
<膜−電極接合体の作製>
実施例1〜5及び比較例1〜2の触媒層付きガス拡散電極をプロトン伝導性固体高分子電解質膜(デュポン社製「NRS−212CS」)の両面に、それぞれ電解質膜と触媒層とが対向するように配置し、6MPa、150℃の条件で120秒ホットプレスすることで一体化を行なうことにより、実施例1〜5及び比較例1〜2の膜−電極接合体を作製した。
上記で作製した実施例1〜5及び比較例1〜2の膜−電極接合体を燃料電池セルに組み込むことにより、実施例1〜5及び比較例1〜2の固体高分子形燃料電池を製造した。
上記の実施例1〜5及び比較例1〜2の膜−電極接合体を使用しての電池性能評価を、以下の条件により行った。
加湿温度:カソード65℃、アノード65℃
ガス利用率:カソード40%、アノード70%
Claims (12)
- 導電性炭素粒子、金属繊維及び非ポリマー系フッ素材料を含有し、フッ素樹脂を含有していない、燃料電池用のマイクロポーラス層。
- 導電性炭素繊維を更に含有している、請求項1に記載のマイクロポーラス層。
- 熱硬化性樹脂を更に含有している、請求項1又は2に記載のマイクロポーラス層。
- ガス拡散基材の片面上に、請求項1〜3のいずれかに記載のマイクロポーラス層が形成されている、燃料電池用のマイクロポーラス層付きガス拡散電極。
- 請求項4に記載のマイクロポーラス層付きガス拡散電極のマイクロポーラス層の上に触媒層が形成されている、燃料電池用の触媒層付きガス拡散電極。
- 触媒層の片面上に、請求項1〜3のいずれかに記載のマイクロポーラス層が形成されている、燃料電池用のマイクロポーラス層付き触媒層。
- 請求項6に記載のマイクロポーラス層付き触媒層のマイクロポーラス層の上にガス拡散基材が形成されている、燃料電池用の触媒層付きガス拡散電極。
- イオン伝導性固体高分子電解質膜の片面又は両面上に、請求項5又は7に記載の触媒層付きガス拡散電極が、イオン伝導性固体高分子電解質膜と触媒層とが接するように形成されている、燃料電池用の膜−電極接合体。
- イオン伝導性固体高分子電解質膜の両面上に触媒層付きガス拡散電極が形成され、ガス拡散基材/マイクロポーラス層/触媒層/イオン伝導性固体高分子電解質膜/触媒層/マイクロポーラス層/ガス拡散基材で構成される、請求項8に記載の膜−電極接合体。
- 請求項8又は9に記載の膜−電極接合体を備えた固体高分子形燃料電池。
- (1−1)イオン伝導性固体高分子電解質膜の片面又は両面に、請求項5又は7に記載の触媒層付きガス拡散電極を、前記イオン伝導性固体高分子電解質膜と前記触媒層とが接するように積層する工程
を含む、燃料電池用の膜−電極接合体の製造方法。 - (2−1)転写基材上に触媒層を形成し、触媒層形成用転写シートを作製する工程、
(2−2)イオン伝導性固体高分子電解質膜の片面又は両面に、前記触媒層形成用転写シートの触媒層を転写し、触媒層−電解質膜積層体を作製する工程、
(2−3)前記触媒層−電解質膜積層体の触媒層の上に、請求項4に記載のマイクロポーラス層付きガス拡散電極を、前記触媒層と前記マイクロポーラス層とが接するように積層する工程
を含む、燃料電池用の膜−電極接合体の製造方法。
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